(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
B01D 39/20 20060101AFI20230331BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20230331BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20230331BHJP
C04B 35/195 20060101ALI20230331BHJP
C04B 35/478 20060101ALI20230331BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
B01D39/20 D
B01D46/00 302
C04B38/00 303Z
C04B35/195
C04B35/478
F01N3/022 C
(21)【出願番号】P 2018193600
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】國枝 雅文
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098835(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/098834(WO,A1)
【文献】特開2006-272318(JP,A)
【文献】特開2018-158445(JP,A)
【文献】特開2017-127803(JP,A)
【文献】国際公開第2005/097446(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
B01D 46/00-46/90
C04B 38/00-38/10
C04B 35/00-35/84
F01N 3/01,3/02-3/038
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁と、排ガス入口側の端面が開口され且つ排ガス出口側の端面が封じられている排ガス導入セルと、排ガス出口側の端面が開口され且つ排ガス入口側の端面が封じられている排ガス排出セルとを備えたハニカム構造体であって、
前記排ガス導入セル及び前記排ガス排出セルは、前記排ガス導入セル及び前記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面形状が一定である内部領域と、前記排ガス導入セル及び前記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って拡大又は縮小されている端部領域とからなり、
前記ハニカム構造体の少なくとも1つの端面において、該端面のセルの形状における重心位置であるセル端面重心と、前記ハニカム構造体の内部領域における前記セルの長手方向に垂直な断面形状における重心位置であるセル内部重心とが、内部領域における水力直径に対して5%以上、40%以下ずれているセルである、重心位置ずれセルが、該端面におけるセルのうち30%以上の数存在
し、
前記端部領域のセルの長手方向の長さは、1~10mmであり、
前記端面におけるセル隔壁の厚さは、0.1~0.5mmであり、
前記セル隔壁の気孔率は、35~65%であり、
前記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、5~30μmであることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記内部領域におけるセルの長手方向に垂直な断面形状は、四角形である請求項
1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記ハニカム構造体は、外周に外周壁を有する一のハニカム焼成体により構成されている請求項1
又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記ハニカム焼成体は、コージェライト、又は、チタン酸アルミニウムからなる請求項
3に記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境または人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HCまたはNOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境または人体に及ぼす影響についても懸念されている。
【0003】
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HCまたはNOx等の排ガス中の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、チタン酸アルミニウム、コージェライト、炭化ケイ素等の多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0004】
また、これらのハニカムフィルタでは、内燃機関の燃費を改善し、圧力損失の上昇に起因する運転時のトラブル等をなくすために、圧力損失の低いハニカム構造体からなるフィルタが種々提案されている。
【0005】
特許文献1には、このようなハニカム構造体を作製するための封口用治具が開示されている。具体的には、三角錐状基部と円錐状先端部を有する治具である。
特許文献1では、このような封口用治具の封口用突起をセルに挿入することによりセルを封口することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術は、三角錐状基部と円錐状先端部を有する治具を使用することでセルをより均等に変形させる技術である。
しかし、セルが均等に変形されていると、高流量時でもセルが変形した部分(変形部)でガスが整流となる。すると、変形部でガスがセル隔壁を通過しにくくなる。
変形部でガスが通過しにくくなると、端部領域で変形させたセル隔壁(斜め隔壁)を使用したPMの捕集ができなくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、斜め隔壁も充分にPM捕集に寄与させることができて、捕集効率が高く、圧力損失の低いハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のハニカム構造体は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁と、排ガス入口側の端面が開口され且つ排ガス出口側の端面が封じられている排ガス導入セルと、排ガス出口側の端面が開口され且つ排ガス入口側の端面が封じられている排ガス排出セルとを備えたハニカム構造体であって、
上記排ガス導入セル及び上記排ガス排出セルは、上記排ガス導入セル及び上記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面形状が一定である内部領域と、上記排ガス導入セル及び上記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って拡大又は縮小されている端部領域とからなり、
上記ハニカム構造体の少なくとも1つの端面において、該端面のセルの形状における重心位置であるセル端面重心と、上記ハニカム構造体の内部領域における上記セルの長手方向に垂直な断面形状における重心位置であるセル内部重心とが、内部領域における水力直径に対して5%以上、40%以下ずれているセルである、重心位置ずれセルが、該端面におけるセルのうち30%以上の数存在することを特徴とする。
【0010】
なお、上記排ガス導入セルの排ガス出口側の端面及び上記排ガス排出セルの排ガス入口側の端面が封じられているとは、上記した端面を含む部分が封止剤を充填することにより目封じされているのではなく、上記端部領域において、セルの長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って縮小され、端面において上記断面の面積が0となり、閉じられていることをいう。
【0011】
上記定義のような重心位置ずれセルにおいては、排ガス導入セルに流入する排ガスが端部領域で整流とならないので、排ガスが斜め隔壁部分で排ガス排出セルに移動しやすくなるため、PMの捕集が斜め隔壁部分でも行われる。
また、ずれの程度が内部領域における水力直径に対して40%以下となっておりずれ過ぎてもいないので、圧力損失が大きくなることは防止される。
さらに、重心位置ずれセルが、端面におけるセルのうち30%以上存在することで、上述した端部領域でのガス流れによる圧力損失低減の効果を充分に発揮することできる。
その結果、斜め隔壁も充分にPM捕集に寄与させることができて、捕集効率が高く、圧力損失の低いハニカム構造体とすることができる。
【0012】
本発明のハニカム構造体では、上記端部領域のセルの長手方向の長さは、1~10mmであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記端部領域のセルの長手方向の長さが、1~10mmであると、排ガス入口側において、排ガスがセル内部に導入される抵抗、及び排ガス出口側において、排ガスがセル内部より排出される抵抗をより小さくできるため、圧力損失をさらに低減させることができる。
【0013】
本発明のハニカム構造体において、上記端部領域のセルの長手方向の長さが、1mm未満であると、排ガス入口側において、セル内部への排ガスを導入する際の抵抗が大きくなり、排ガス出口側において、排ガスが排出される際の抵抗が大きくなるため、圧力損失を充分に低減できなくなり、一方、上記端部領域のセルの長手方向の長さが、10mmを超えると、そのような構造のハニカム構造体の製造が難しくなる。
【0014】
本発明のハニカム構造体では、上記端面におけるセル隔壁の厚さは、0.1~0.5mmであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記端面におけるセル隔壁の厚さが、0.1~0.5mmであると、圧縮強度を低下させることなく、セル隔壁の厚さを充分に薄くすることができるので、圧力損失を充分に低減させることができる。
また、上記端面におけるセル隔壁の厚さを測定する際、測定位置は、上記端面の各セルの中心領域とする。
【0015】
本発明のハニカム構造体において、上記端面におけるセル隔壁の厚さが、0.1mm未満であると、セル隔壁の厚さが薄すぎることとなり、圧縮強度を低下させてしまう。一方、セル隔壁の厚さが0.5mmを超えると、セル隔壁の厚さが厚すぎるため、圧力損失を充分に低減させることが難しくなる。
【0016】
本発明のハニカム構造体において、上記内部領域におけるセルの長手方向に垂直な断面形状は、四角形であることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記内部領域におけるセルの長手方向に垂直な断面形状が、四角形であると、ハニカム構造体を製造する際、上記端部領域において、セルの長手方向に垂直な断面形状を、端面に近づくに従って拡大又は縮小させ易く、圧力損失が充分に低いハニカム構造体の実現が可能となる。
【0017】
本発明のハニカム構造体では、上記ハニカム構造体は、外周に外周壁を有する一のハニカム焼成体により構成されていることが望ましい。
本発明のハニカム構造体においては、接着剤を用いて多数のハニカムセグメントを組み合わせたハニカム構造体に比べて、接着層がない分、端面における開口率を高くできるため、圧力損失の低減効果がより発揮できる。
【0018】
本発明のハニカム構造体では、上記ハニカム焼成体は、コージェライト、又は、チタン酸アルミニウムからなることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記ハニカム焼成体が、コージェライト、又は、チタン酸アルミニウムからなると、上記セラミックは、熱膨張率の低い材料であるので、再生時等において大きな熱応力が発生した場合であっても、クラック等の発生しにくいハニカム構造体となる。
【0019】
本発明のハニカム構造体では、上記セル隔壁の気孔率は、35~65%であることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記セル隔壁の気孔率が、35~65%であると、セル隔壁は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。従って、圧力損失をさらに低減させることができる。
【0020】
セル隔壁の気孔率が35%未満では、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過しにくくなり、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁の気孔率が65%を超えると、セル隔壁の機械的特性が低く、再生時等において、クラックが発生し易くなる。
【0021】
本発明のハニカム構造体では、上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、5~30μmであることが望ましい。
【0022】
本発明のハニカム構造体において、上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が、5~30μmであると、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
【0023】
セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が5μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を透過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が30μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1(a)は、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)におけるA-A線断面図であり、
図1(c)は、一方の端面側から見た端面図である。
【
図2】
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)は、セル端面重心とセル内部重心の関係の一例を模式的に示す、ハニカム構造体の端面側から見た端面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したハニカム構造体の端面の近傍を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4(a)は、成形工程により作製された未封止ハニカム成形体を模式的に示す斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)に示した未封止ハニカム成形体のB-B線断面図である。
【
図5】
図5は、未封止ハニカム成形体の再成形工程の様子を模式的に示す説明図である。
【
図6】
図6は、未封止ハニカム成形体の再成形工程の様子を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施例1で製造したハニカム構造体の端面から見た写真である。
【
図8】
図8は、圧力損失測定方法を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、捕集効率測定方法を模式的に示す断面図である。
【0025】
(発明の詳細な説明)
[ハニカム構造体]
まず、本発明のハニカム構造体について説明する。
【0026】
本発明のハニカム構造体は、排ガスの流路となる複数のセルを区画形成する多孔質のセル隔壁と、排ガス入口側の端面が開口され且つ排ガス出口側の端面が封じられている排ガス導入セルと、排ガス出口側の端面が開口され且つ排ガス入口側の端面が封じられている排ガス排出セルとを備えたハニカム構造体であって、
上記排ガス導入セル及び上記排ガス排出セルは、上記排ガス導入セル及び上記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面形状が一定である内部領域と、上記排ガス導入セル及び上記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って拡大又は縮小されている端部領域とからなり、
上記ハニカム構造体の少なくとも1つの端面において、該端面のセルの形状における重心位置であるセル端面重心と、上記ハニカム構造体の内部領域における上記セルの長手方向に垂直な断面形状における重心位置であるセル内部重心とが、内部領域における水力直径に対して5%以上、40%以下ずれているセルである、重心位置ずれセルが、該端面におけるセルのうち30%以上の数存在することを特徴とする。
【0027】
図1(a)は、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)におけるA-A線断面図であり、
図1(c)は、一方の端面側から見た端面図である。
図1(a)及び
図1(b)に示すハニカム構造体10は、排ガスの流路となる複数のセル12、13を区画形成する多孔質のセル隔壁11と、排ガス入口側の端面10aが開口され且つ排ガス出口側の端面10bが封じられている排ガス導入セル12と、排ガス出口側の端面10bが開口され且つ排ガス入口側の端面10aが封じられている排ガス排出セル13とを備え、排ガス導入セル12及び排ガス排出セル13は、排ガス導入セル12及び排ガス排出セル13の長手方向に垂直な断面形状が一定である内部領域10Bと、排ガス導入セル12及び排ガス排出セル13の長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って拡大され、又は、縮小され、封じられている端部領域10A、10Cとからなる。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、ハニカム構造体10が単一のハニカム焼成体からなる場合、ハニカム焼成体はハニカム構造体でもある。
【0028】
本発明のハニカム構造体では、ハニカム構造体の少なくとも1つの端面において、該端面のセルの形状における重心位置であるセル端面重心と、ハニカム構造体の内部領域におけるセルの長手方向に垂直な断面形状における重心位置であるセル内部重心とが、内部領域における水力直径に対して5%以上、40%以下ずれているセルである、重心位置ずれセルが、該端面におけるセルのうち30%以上の数存在する。
「重心位置ずれセル」につき、図面を参照して説明する。
【0029】
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)は、セル端面重心とセル内部重心の関係の一例を模式的に示す、ハニカム構造体の端面側から見た端面図である。
図2(a)には、セル端面重心Gとセル内部重心gの位置が一致しているセル12aを示している。
セル12aでは、セル端面形状が正方形であり、内部領域を示す正方形の四角を45°回転した形状となっている。
セル12aは、セル端面重心Gとセル内部重心gとがずれていないので、重心位置ずれセルではない。
【0030】
図2(b)には、セル端面重心Gとセル内部重心gの位置がずれているセル12bを示している。このセル12bでは、セル端面重心Gとセル内部重心gとのずれ幅が両矢印Xで示す長さである。このずれ幅が、内部領域における水力直径に対して5%以上、40%以下であるので、このセル12bは重心位置ずれセルである。
【0031】
図2(c)にも、セル端面重心Gとセル内部重心gの位置がずれているセル12cを示している。このセル12cでは、セル端面重心Gとセル内部重心gとのずれ幅(両矢印Xで示す長さ)が小さく、ずれ幅が内部領域における水力直径に対して5%未満である。
そのため、このセル12cは重心位置ずれセルではない。
【0032】
なお、内部領域のセルの水力直径は、セルを内部領域において長手方向と垂直な断面で切断した断面において、垂直な断面におけるセル(排ガス導入セル、排ガス排出セルのそれぞれ)の断面積の4倍をセルの外周長で割ることにより得られる。
【0033】
本発明のハニカム構造体では、ハニカム構造体の少なくとも1つの端面に存在するセルを重心位置ずれセルとそれ以外のセルに分類した際に、重心位置ずれセルが、該端面におけるセルのうち30%以上の数存在する。
図1(c)にはハニカム構造体の少なくとも1つの端面に存在するセルとして12個のセルを示している。これら12個のうち、
図2(b)に示すような重心位置ずれセル12bが6つ、
図2(c)に示すような重心位置ずれセルではないセル12cが4つ、
図2(a)に示すような重心位置ずれセルではないセル12aが2つ存在している。
この場合、重心位置ずれセルがこの端面において50%存在している、といえる。
【0034】
本発明のハニカム構造体では、ハニカム構造体の少なくとも1つの端面において、重心位置ずれセルが30%以上の数存在する。ハニカム構造体の端面においてセルを重心位置ずれセルとそれ以外のセルに分類してセルの数をカウントすればよいが、ハニカム構造体の外周部に存在する不完全セルはカウントしない。不完全セルとは、例えば
図1(a)においてハニカム構造体の外周に位置していて、セル端面形状が正方形(四角形)の一部を切り欠いた形状となっているセルである。重心位置ずれセルが30%以上の数存在するか否かは、ハニカム構造体に存在するセルのうち無作為に100個のセルを確認することで、判断することができる。
【0035】
上記定義のような重心位置ずれセルにおいては、排ガス導入セルに流入する排ガスが端部領域で整流とならないので、排ガスが斜め隔壁部分で排ガス排出セルに移動しやすくなるために接触し、PMの捕集が斜め隔壁部分でも行われる。
また、ずれの程度が内部領域における水力直径に対して40%以下となっておりずれ過ぎてもいないので、圧力損失が大きくなることは防止される。
さらに、重心位置ずれセルが、端面におけるセルのうち30%以上存在することで、上述した端部領域でのガス流れによる圧力損失低減の効果を充分に発揮することできる。
その結果、斜め隔壁も充分にPM捕集に寄与させることができて、捕集効率が高く、圧力損失の低いハニカム構造体とすることができる。
【0036】
本発明のハニカム構造体では、上記端部領域のセルの長手方向の長さは、1~10mmであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記端部領域のセルの長手方向の長さが、1~10mmであると、排ガス入口側において、排ガスがセル内部に導入される抵抗、及び、排ガス出口側において、排ガスがセル内部より排出される抵抗をより小さくできるため、圧力損失をさらに低減させることができる。
なお、
図1(b)からも理解できるように、端部領域のセルの長手方向の長さはセル隔壁ごとに異なる。ハニカム構造体全体でみる場合には、いずれかの端部において端部領域の長さが最も長くなるセル隔壁によって端部領域のセルの長手方向の長さを定義する。
【0037】
本発明のハニカム構造体では、上記端面におけるセル隔壁の厚さは、0.1~0.5mmであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記端面におけるセル隔壁の厚さが、0.1~0.5mmであると、圧縮強度を低下させることなく、セル隔壁の厚さを充分に薄くすることができるので、圧力損失を充分に低減させることができる。
また、内部領域におけるセル隔壁の厚さは、0.12~0.4mmであることが望ましい。
図3は、
図1に示したハニカム構造体10の端面の近傍を模式的に示す断面図である。
図3には、ハニカム構造体10の端面10aにおけるセル隔壁11の厚さd
1を示している。また、ハニカム構造体10の内部領域におけるセル隔壁11の厚さd
2も示している。
【0038】
また、本発明のハニカム構造体では、上記端部領域において、上記排ガス導入セル及び上記排ガス排出セルの長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って拡大又は縮小されており、排ガス入口側及び出口側の端面で開口率が高くなっているので、排ガスがハニカム構造体に流入する際及び排ガス構造体から流出する際の抵抗が小さくなり、圧力損失を充分に低減させることができる。
【0039】
本発明のハニカム構造体において、内部領域におけるセルの長手方向に垂直な断面形状は、四角形に限定されず、三角形、六角形、八角形であってもよいが、四角形であることが望ましく、正方形であることがより望ましい。
【0040】
本発明のハニカム構造体の形状としては、円柱状に限定されず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
【0041】
本発明のハニカム構造体において、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面のセルの密度は、31~155個/cm2(200~1000個/inch2)であることが望ましい。
【0042】
本発明のハニカム構造体において、ハニカム焼成体の外周面に外周コート層が形成されている場合、外周コート層の厚さは、0.1~2.0mmであることが望ましい。
【0043】
本発明のハニカム構造体は、外周に外周壁を有する一のハニカム焼成体により構成されていてもよいし、複数個のハニカム焼成体を備えていてもよく、複数個のハニカム焼成体が接着剤により結合されていてもよいが、外周に外周壁を有する一のハニカム焼成体により構成されていることが望ましい。
【0044】
本発明のハニカム構造体を構成する材料は、特に限定されず、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック、ケイ素含有炭化ケイ素等が挙げられるが、ハニカム構造体が外周に外周壁を有する一のハニカム焼成体により構成されている場合には、コージェライト、又は、チタン酸アルミニウムが望ましい。
【0045】
上記ハニカム焼成体が、コージェライト、又は、チタン酸アルミニウムからなると、上記セラミックは、熱膨張率の低い材料であるので、再生時等において大きな熱応力が発生した場合であっても、クラック等の発生しにくいハニカム構造体となるからである。
【0046】
本発明のハニカム構造体では、上記セル隔壁の気孔率は、35~65%であることが望ましい。
本発明のハニカム構造体において、上記セル隔壁の気孔率が、35~65%であると、セル隔壁は、排ガス中のPMを良好に捕集することができ、かつ、セル隔壁に起因する圧力損失の上昇を抑制することができる。従って、圧力損失をさらに低減させることができる。
【0047】
本発明のハニカム構造体において、上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、5~30μmであることが望ましい。
【0048】
本発明のハニカム構造体において、上記セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が、5~30μmであると、圧力損失の増加を抑制しながら、高い捕集効率でPMを捕集することができる。
本発明のハニカム構造体において、気孔率および平均気孔径は、水銀圧入法にて接触角を130°、表面張力を485mN/mの条件で測定する。
【0049】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
以下においては、チタン酸アルミニウムからなるハニカム構造体の製造方法を例にとって説明するが、本発明の製造対象は、チタン酸アルミニウムに限定されるものではない。
(混合工程)
まず、アルミナ粉末及びチタニア粉末にマグネシア粉末、シリカ粉末等の添加剤を添加し、混合することにより混合粉末を得る。
【0050】
上記混合粉末において、シリカとマグネシアは、焼成助剤としての役割もあるが、焼成助剤としては、シリカとマグネシアの他に、Y、La、Na、K、Ca、Sr、Baの酸化物が用いられていてもよい。これらの混合粉末に以下の添加剤を必要により添加して原料組成物を得る。成形助剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコールが挙げられる。有機バインダとしては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース等の親水性有機高分子が挙げられる。分散媒としては、水のみからなる分散媒、又は、50体積%以上の水と有機溶剤とからなる分散媒が挙げられる。有機溶剤としては、ベンゼン、メタノール等のアルコールが挙げられる。造孔剤としては、微小中空球体であるバルーン、球状アクリル粒子、グラファイト、デンプンが挙げられる。バルーンとしては、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュ(FA)バルーン、ムライトバルーンが挙げられる。
【0051】
また、原料組成物中には、その他の成分が更に含有されていてもよい。その他の成分としては、たとえば、可塑剤、分散剤、潤滑剤が挙げられる。可塑剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物が挙げられる。分散剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。潤滑剤としては、たとえば、グリセリンが挙げられる。
【0052】
(成形工程)
成形工程は、混合工程により得られた原料組成物を成形して未封止ハニカム成形体を作製する工程である。未封止ハニカム成形体は、たとえば、原料組成物を押出金型を用いて押出成形することにより作製することができる。すなわち、未封止ハニカム成形体は、ハニカム構造体の筒状の外周壁と隔壁となる部分を構成する壁部を一度に押出成形することにより作製する。また、押出成形では、ハニカム構造体の一部の形状に対応する成形体を成形してもよい。すなわち、ハニカム構造体の一部の形状に対応する成形体を成形し、それら成形体を組み合わせることによってハニカム構造体と同一形状を有するハニカム成形体を作製してもよい。
【0053】
図4(a)は、成形工程により作製された未封止ハニカム成形体を模式的に示す斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)に示した未封止ハニカム成形体のB-B線断面図である。
【0054】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、上記成形工程により、セル22、23の長手方向に垂直な断面形状が四角で、端面20a′、20b′におけるセル22、23の形状も全く同じ四角形状で、セル22、23を隔てるセル隔壁21を有し、全体が円柱形状の未封止ハニカム成形体20′が作製される。
【0055】
製造するハニカム構造体の内部領域のセルの水力直径は、成形工程における押出金型の形状を変更することによって調整することができる。内部領域のセルの水力直径は、成形工程で得られたセル22、23の水力直径と同じである。内部領域のセルの水力直径は、後述する再成形工程においては変化しない。
後述する乾燥、焼成工程を経て、内部領域のセルの水力直径が所定の値に定まるように、成形工程を行う。
【0056】
(再成形工程)
この後、テーパー冶具を用い、未封止ハニカム成形体20′に対し、ハニカム構造体の端部領域に相当する部分を形成するための再成形を行い、排ガス導入セル及び排ガス排出セルとなるセル22、23の長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って拡大され、又は、縮小され、封じられた形状の封止ハニカム成形体とする。
【0057】
図5は、未封止ハニカム成形体の再成形工程の様子を模式的に示す説明図であり、
図6は、未封止ハニカム成形体の再成形工程の様子を模式的に示す断面図である。
図5及び
図6に示すように、支持部33と支持部33上に固定された基台部31と基台部31上に形成された多数の四角錐形状の先端部32とを備えたテーパー冶具30を用い、先端部32の四角錐を構成する4つの平面32bの境界部である角部32cが未封止ハニカム成形体20′の端面20a′におけるセル隔壁21の四角を構成する一の辺21aの真ん中に当接するように配置し、未封止ハニカム成形体20′の中央部分に向かってテーパー冶具30を押し込む。
【0058】
このとき、先端部32が押し込まれたセル22の端部領域に相当する部分は、セルの長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って拡大された形状となり、先端部32が押し込まれたセル22の上下左右に存在していたセル23の端部領域に相当する部分は、セル23の長手方向に垂直な断面形状が端面に近づくに従って縮小され、封じられた形状となる。
【0059】
テーパー治具は多数の先端部を備えるが、各先端部の長さ及び角度はそれぞれ異なるテーパー治具を使用することが好ましい。各先端部の長さ及び角度がそれぞれ異なるようにすることによって、重心位置ずれセルを形成することができる。
各先端部の四角推形状の底面の部分の形状及び隣り合う先端部同士の幅は一定とすることによって、端面のセル形状は一定(例えば正方形)とすることができる。
【0060】
この再成形工程により得られた封止ハニカム成形体は、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用い、100~150℃、大気雰囲気下で乾燥され、250~400℃、酸素濃度5容積%~大気雰囲気下で脱脂される。
【0061】
(焼成工程)
焼成工程は、再成形工程により得られた封止ハニカム成形体を1400~1600℃で焼成する工程である。この焼成工程では、アルミナの表面からチタニアとの反応が進行して、チタン酸アルミニウムの相が形成される。焼成は、公知の単独炉、いわゆるバッチ炉や、連続炉を用いて行うことができる。焼成温度は、1450~1550℃の範囲であることが望ましい。焼成時間は特に限定されないが、上記の焼成温度において1~20時間保持することが望ましく、1~10時間保持することがより望ましい。また、焼成工程は大気雰囲気下で行うことが望ましい。大気雰囲気に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを混合することにより、酸素濃度を調整してもよい。
【0062】
上記した混合工程、成形工程、再成形工程、及び、焼成工程を経ることにより、本発明のハニカム構造体を製造することができる。
【実施例】
【0063】
以下、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
まず、下記組成の原料組成物を調製した。
D50が0.6μmのチタニア微粉末:11.1重量%、D50が13.0μmのチタニア粗粉末:11.1重量%、D50が15.9μmのアルミナ粉末:30.4重量%、D50が1.1μmのシリカ粉末:2.8重量%、D50が3.8μmのマグネシア粉末:1.4重量%、D50が31.9μmのアクリル樹脂(造孔材):18.5重量%、メチルセルロース(有機バインダ):7.1重量%、成形助剤(エステル型ノニオン):4.7重量%、及び、イオン交換水(分散媒):12.9重量%からなる組成のものを混合機で混合し、原料組成物を調製した。
【0064】
調製した原料組成物を押出成形機に投入して押出成形を行うことにより、セルが封止されていない未封止ハニカム成形体20′を作製した。
【0065】
未封止ハニカム成形体20′を作製した後直ぐに、アルミ製のテーパー冶具30を用いて、再成形を行い、封止ハニカム成形体を作製した。
テーパー冶具30としては、
図6に示すような、各先端部の長さ及び角度がそれぞれ異なるテーパー治具を使用した。
【0066】
この後、再成形工程を経て得られた封止ハニカム成形体を大気雰囲気下、1450℃で15時間保持して焼成することにより、ハニカム構造体を製造した。得られたハニカム構造体は、気孔率が57%、平均気孔径が17μm、大きさが34mm×34mm×100mm、外周壁の厚さ0.3mm、端面におけるセル隔壁の厚さ0.40mm、内部領域におけるセル隔壁の厚さ0.25mm、セルの数(セル密度)が300個/inch2で、四角柱形状であった。なお、気孔率及び平均気孔径の測定は、下記する方法により行った。
内部領域のセルの水力直径は1.2mmであった(表1に記載)。
【0067】
図7は、実施例1で製造したハニカム構造体の端面から見た写真である。この写真から、重心位置ずれセルが形成されていることが分かる。
また、この写真に撮影された場所を含む、ハニカム構造体の端面において、重心位置ずれセルの数(割合)を求めたところ、35%であった(表1に記載)。
【0068】
(実施例2、3及び比較例1、2)
実施例1において、押出成形機の金型の形状及びテーパー治具の先端部の形状を変更することにより、水力直径及び重心位置ずれセルの割合が表1に記載の数値となるようにした他は実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
また、ハニカム構造体における気孔率、平均気孔径、大きさ、外周壁の厚さ、内部領域におけるセル隔壁の厚さ、セルの数(セル密度)はいずれも実施例1と同様であった。
【0069】
【0070】
(評価試験)
各実施例及び比較例のハニカム構造体の気孔率、平均気孔径、圧力損失及び捕集効率を測定した。
[気孔率及び平均気孔径]
各実施例及び比較例で得られたハニカム構造体を10mm×10mm×10mmに切り出して、気孔測定用サンプルを準備した。気孔測定用サンプルを用いて、水銀圧入法によるポロシメーター(島津製作所社製、オートポアIII 9420)により気孔率及び平均気孔径を測定した。水銀圧入法にて接触角を130°、表面張力を485mN/mの条件とした。
【0071】
[圧力損失]
図8は、圧力損失測定方法を模式的に示す断面図である。
この圧力損失測定装置210は、送風機211の配管212に、各実施例及び比較例で得られたハニカム構造体10を金属ケーシング213内に固定して配置し、ハニカム構造体10の前後の圧力を検出可能になるように圧力計214が取り付けられている。
ハニカム構造体10は、その排ガス入口側の端部が送風機211の配管212に近い側に配置される。すなわち、排ガス入口側の端部が開口されたセルにガスが流入するように配置される。
送風機211から300L/minのガスをハニカム構造体10に流通させた時の圧力損失をこのハニカム構造体の圧力損失(kPa)とした。
圧力損失は以下の通りとなった。
実施例1:2.4kPa
実施例2:2.4kPa
実施例3:2.0kPa
比較例1:2.8kPa
比較例2:2.4kPa
【0072】
[捕集効率]
図9に示したような捕集効率測定装置230を用いてPMの捕集効率を測定した。
図9は、捕集効率測定方法を模式的に示す断面図である。
この捕集効率測定装置230は、2L(リットル)のコモンレール式ディーゼルエンジン231と、エンジン231からの排ガスの一部を分岐させて流通する排ガス管232と、排ガス管232に接続されアルミナマット233を巻いたハニカム構造体10を固定する金属ケーシング234と、ハニカム構造体10を流通する前の排ガスをサンプリングするサンプラー235と、ハニカム構造体10を流通した後の排ガスをサンプリングするサンプラー236と、サンプラー235、236によりサンプリングされた排ガスを希釈する希釈器237と、希釈された排ガスに含まれるPMの量を測定するPMカウンタ238(TSI社製、凝集粒子カウンタ3022A-S)とを備えた走査型モビリティ粒径分析装置(Scanning Mobility Particle Sizer SMPS)として構成されている。
【0073】
次に、測定手順を説明する。エンジン231を回転数が2000min-1、トルクが47Nmとなるように運転し、エンジン231からの排ガスをハニカム構造体10に流通させた。このとき、ハニカム構造体10を流通する前のPM量P0と、ハニカム構造体10を通過した後のPM量P1とをPMカウンタ238を用いて把握した。そして、下記計算式を用いて捕集効率を算出した。
捕集効率(%)=[(P0-P1)/P0]×100
捕集効率は以下の通りとなった。
実施例1:85%
実施例2:86%
実施例3:81%
比較例1:79%
比較例2:73%
【符号の説明】
【0074】
10 ハニカム構造体
10a、10b 端面
10A、10C 端部領域
10B 内部領域
11 セル隔壁
12 排ガス導入セル
12a、12c 重心位置ずれセルではないセル
12b 重心位置ずれセル
13 排ガス排出セル
20′ 未封止ハニカム成形体
20a′、20b′ 端面
21 セル隔壁
21a 一の辺
22、23 セル
30 テーパー冶具
31 基台部
32 先端部
32b 平面
32c 角部
33 支持部