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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】電磁継電器の端子、及び電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/14 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
H01H50/14 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018225916
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020087890
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100214868
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 一馬
(72)【発明者】
【氏名】窪野 和男
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181386(JP,A)
【文献】特開2000-123700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚を有する第1部材と接点を有する第2部材とを組み合わせて構成される電磁継電器の端子であって、
前記第2部材は、少なくとも3個の穴を有し、
前記第1部材は、前記少なくとも3個の穴に個別に挿入されてかしめられる少なくとも3個の突起を有し、
前記少なくとも3個の穴の内、両端の穴の前記接点に近い側の縁に接する直線に対し、他の穴の前記接点側に近い側の縁が前記接点とは反対側に位置するように配置されており、
前記第1部材は、前記少なくとも3個の突起が形成される支持部を有し、
前記支持部は、前記接点が設けられる側で前記第2部材を支持する、
端子。
【請求項2】
請求項1に記載の端子と、
前記端子を支持するベースブロックと、を備える、
電磁継電器。
【請求項3】
脚を有する第1部材と接点を有する第2部材とを組み合わせて構成される電磁継電器の端子であって、
前記第2部材は、少なくとも3個の穴を有し、
前記第1部材は、前記少なくとも3個の穴に個別に挿入されてかしめられる少なくとも3個の突起を有し、
前記少なくとも3個の穴の内、両端の穴の前記接点に近い側の縁に接する直線に対し、他の穴の前記接点側に近い側の縁が前記接点とは反対側に位置するように配置されており、
前記脚は、前記接点が設けられる側とは反対の側へ前記第2部材から突出する基端と、前記基端から屈曲して前記第2部材から離れる方向へ延びる末端とを有し、前記突起は前記基端と同じ方向に突出している、
端子。
【請求項4】
脚を有する第1部材と接点を有する第2部材とを組み合わせて構成される端子であって、前記第2部材は、少なくとも3個の穴を有し、前記第1部材は、前記少なくとも3個の穴に個別に挿入されてかしめられる少なくとも3個の突起を有し、前記少なくとも3個の穴の内、両端の穴の前記接点に近い側の縁に接する直線に対し、他の穴の前記接点側に近い側の縁が前記接点とは反対側に位置するように配置されており、前記脚は、前記接点が設けられる側とは反対の側へ前記第2部材から突出する基端と、前記基端から屈曲して前記第2部材から離れる方向へ延びる末端とを有する、端子と、
前記端子を支持するベースブロックと、を備え、
前記ベースブロックは、
前記脚の前記末端を外部へ導出する孔と、
前記脚の前記基端を受容する凹所を有するとともに該凹所の位置で前記孔よりも外側へ隆起する隆起部とを備える、
電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器の端子、及び電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁石により接点を開閉する電磁継電器は、電磁石と、接極子と、可動接点を有する可動端子と、固定接点を有する固定端子とを備え、電磁石の励磁により接極子を動かして可動端子を押圧することで、可動接点と固定接点とを互いに接触させる。
【0003】
特許文献1には、可動接点を有する第1の部材と、外部機器と接続する脚を有する第2の部材とが3箇所のかしめで固定された端子を備えた電磁継電器が開示されている。
【0004】
特許文献2には、接極子の先端に可動端子を押圧する絶縁性の押圧部材を取り付け、可動端子と接極子との絶縁距離を確保した電磁継電器が開示されている。
【0005】
特許文献3には、電磁石及び接極子を絶縁壁で囲んで、可動端子及び固定端子に対する絶縁距離を確保するようにした電磁継電器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5741679号公報
【文献】特許第3959894号公報
【文献】特開2008-53152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2個の部材を複数箇所で固定してなる端子を備えた電磁継電器では、端子に外力が加わると部材同士の固定箇所が不均一な応力集中により損傷する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、脚を有する第1部材と接点を有する第2部材とを組み合わせて構成される電磁継電器の端子であって、第2部材は、少なくとも3個の穴を有し、第1部材は、少なくとも3個の穴に個別に挿入されてかしめられる少なくとも3個の突起を有し、少なくとも3個の穴の内、両端の穴の接点に近い側の縁に接する直線に対し、他の穴が接点16とは反対側に位置するように配置される。
【発明の効果】
【0009】
一態様の端子によれば、第2部材の押圧箇所に力が加わったときに、1個の穴の周りに集中する応力とその隣の穴の周りに集中する応力との差が小さくなり、応力が一様に分散されることによって第2部材の塑性変形が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態における電磁継電器の斜視図である。
図2】実施の形態における電磁継電器の分解斜視図である。
図3】実施の形態における可動端子の正面図である。
図4】実施の形態における可動端子の斜視図である。
図5】穴の配置の異なる第2部材の正面図である。
図6】実施の形態における第2部材の正面図である。
図7】実施の形態における可動端子の変形例の正面図である。
図8】実施の形態における可動端子の変形例における第2部材の正面図である。
図9】実施の形態におけるベースブロックの斜視図である。
図10】実施の形態における第1部材の斜視図である。
図11】実施の形態における電磁継電器の断面図である。
図12】実施の形態における電磁継電器の拡大断面図である。
図13】実施の形態のおける押圧部材が取り付けられた接極子の斜視図である。
図14】実施の形態における押圧部材の接極子への取り付けを説明する斜視図である。
図15】実施の形態における押圧部材の正面図である。
図16】実施の形態における押圧部材の側面図である。
図17】実施の形態における押圧部材の平面図である。
図18】実施の形態における接極子、押圧部材、及び可動端子の位置関係を示す側面図である。
図19】実施の形態における押圧部材の断面及び接極子の正面を示す図である。
図20】実施の形態における接極子の斜視図である。
図21】実施の形態における押圧部材のかしめ部を説明する図である。
図22】実施の形態における電磁継電器の変形例の断面図である。
図23】実施の形態における電磁継電器の変形例のコイル組立及び金属部材の斜視図である。
図24】実施の形態における電磁継電器の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、実施の形態における電磁継電器について説明する。図1は実施の形態における電磁継電器2の斜視図である。図2は電磁継電器2の分解斜視図である。電磁継電器2は、構成部品が組み込まれるベースブロック4と、ベースブロック4を囲う箱形のカバー6とを備える。例えば、ベースブロック4及びカバー6は、樹脂による成形部品である。
【0012】
ベースブロック4に組み込まれる構成部品は、複数の接点端子(可動端子20、固定端子26)と、電磁石7と、ヒンジばね8と、接極子10と、押圧部材12とを含む。例えば、押圧部材12は、樹脂による成形部品である。
【0013】
可動端子20は、2本の脚14a、14bを有する第1部材14と、可動接点16を有する第2部材18とを有する。固定端子26は、2本の脚22a、22bと固定接点24とを有する。電磁石7は、コイル組立27と、鉄心30と、ヨーク32とを含む。コイル組立27は、脚28a及び脚28bをそれぞれに有する2個のコイル端子28と、コイル端子28に接続される巻線を有するコイル34と、コイル34が巻回されるボビン36とを有する。
【0014】
電磁継電器2は、脚28aと脚28bとの間に電圧を印加することで電磁石7を励磁する。電磁石7の励磁により、接極子10が揺動して一端で鉄心30に吸着する。押圧部材12は接極子10の他端に取り付けられ、接極子10の揺動に伴い可動端子20を押圧し、可動接点16を固定接点24に接触させる。ヒンジばね8は、接極子10とヨーク32とに取り付けられ、接極子10の一端を鉄心30から離れる方向へ弾性的に付勢する。
【0015】
コイル端子28への電圧印加を停止すると、ヒンジばね8の付勢により接極子10はその一端が鉄心30から離れるように復帰動作する。接極子10の復帰動作に伴い押圧部材12から可動端子20への押圧力が解除され、可動接点16は固定接点24から離れる。
【0016】
上記の構成により、電磁継電器2は可動接点16と固定接点24とを開閉する。上記の構成は一例であり、任意の構成部品及び原理を採用しても良い。例えば、固定端子26は、接点24を有する部材と、脚22a、22bを有する部材とで構成しても良い。
【0017】
(端子構造の説明)
図3は一態様に係る端子の実施形態である可動端子20の正面図である。可動端子20は、第1部材14と第2部材18とを組み合わせて構成される。
【0018】
第1部材14は、外部機器と電気的に接続される脚14a、14bと、複数(図では3個)の突起36a、36b、及び36cとを有する。第2部材18は、接点16と、複数(図では3個)の穴38a、38b、及び38cとを有する。第2部材18は、ばね性を有し弾性的に変位する板状の部材である。第1部材14及び第2部材18は、例えば金属である。
【0019】
突起36a、36b、36cは、穴38a、38b、38cに個別に挿入されて、それぞれ先端においてかしめられ、可動端子20のかしめ部40a、40b、40c(以下、かしめ部40とも総称する)を形成する。
【0020】
かしめ部40a、40b、40cにより第1部材14及び第2部材18は電気的に接続され、かつ互いに固定される。可動端子20に電流が流れると電圧降下が発生するが、かしめ部40を複数設けることで可動端子20の内部抵抗を低減し、電圧降下を低減することができる。例えば、30A(アンペア)以上の高電流を流す用途では、かしめ部40を3つ以上設けることが好ましい。
【0021】
図3に示すように、かしめ部40a、40b、40cは並べて配置される。ただし、突起36bは、突起36a及び36cよりも距離H1だけ図3下方に配置され、穴38bは、穴38a及び38cよりも距離H1だけ図3下方に配置されるため、中央のかしめ部40bは、両端のかしめ部40a及び40cよりも距離H1だけ図3下方に配置されている。距離H1は、例えば0.3mm程度である。
【0022】
穴38a、38b、38cは、例えば、円、楕円、三角形、矩形等の任意の形状が採用され、突起36a、36b、36cは、穴38a、38b、38cそれぞれに挿入可能な任意の形状が採用される。
【0023】
図4から図7を用いて、かしめ部40a、40b、40cの配置の効果について説明する。図4は可動端子20の斜視図である。第2部材18は、押圧部材12により図4に示す矢印A方向に押圧され、弾性的に変位する。第2部材18がA方向に変位すると、第2部材18の、突起36a、36b、36cに固定された穴38a、38b、38cそれぞれの周囲に応力が集中する。
【0024】
図5は、比較例として、可動接点16aを有し、図4と異なる位置に穴38d、38e、38fが配置される第2部材19の正面図である。第2部材19は、中央の穴38eの位置が第2部材18と異なっており、3個の穴38d、38e、38fは、図5の上下方向(高さ方向)において同じ高さに配置されている。
【0025】
押圧箇所42aは、押圧部材12により押圧される第2部材19の領域である。押圧箇所42aの中心点44aを用いて、穴38d、38e、38fそれぞれの近傍の応力について説明する。中心点44aは、第2部材19の幾何学的中心に位置し、押圧部材12が第2部材19を押圧する力を一点で受けるものと仮定する。
【0026】
中心点44aにて受ける力により、穴38d、38e、38fの周囲に発生する応力の大きさは、中心点44aからの距離に依存する。中心点44aと穴38d、38e、38fとの距離が短くなるほど、第2部材19の穴付近の曲げ角度が増加して応力が大きくなる。
【0027】
図5においては、中心点44aと左端の穴38dの中心点39dとを結ぶ線分L11と、中心点44aと右端の穴38fの中心点39fとを結ぶ線分L22とは略同一の長さである。この場合、中心点44aに加わる外力による穴38dの近傍での応力と穴38fの近傍での応力とは、互いに同程度となる。
【0028】
一方、図5では、中心点44aと中央の穴38eの中心点39eとを結ぶ線分L33は、線分L11及びL22よりも短い。図5では、3個の穴38d、38e、38fは横一列に並んでおり、隣り合う穴38d、38e、38fの押圧箇所42a側の縁46a、48a、50aを通る直線L44は、線分L33に対し直交する。
【0029】
このような位置関係の下では、中央の穴38eの近傍での応力は、両端の穴38d及び38fの近傍での応力よりも大きくなる。
【0030】
図6は本実施形態の第2部材18の正面図である。図6を用いて、実施の形態における第2部材18の穴38a、38b、及び38cそれぞれの近傍での応力について説明する。
【0031】
中央に配置される穴38bは、両端の穴38a及び38cよりも図6下方に配置される。直線L10は、両端の穴38a、38cの接点16に近い側の縁46、50に接する直線である。穴38a、38cの形状が円である場合には、直線L10は円の接線である。
【0032】
本実施形態においては、直線L10に対し、中央の穴38bが接点16とは反対側に位置するように配置される。
【0033】
本実施形態においては、押圧箇所42の中心点44と左端の穴38aの中心点39aとを結ぶ線分L1と、押圧箇所42の中心点44と右端の穴38cの中心点39cを結ぶ線分L2とは、略同一の長さである。
【0034】
上記のように、穴38bが、穴38a及び38cよりも図6で下方に配置されると、図で両端の穴38a、38cの接点16に近い側の縁46、50に接する直線L10に対し、他の穴38bが接点16とは反対側に位置するように配置されることになる。
【0035】
本実施形態においては、押圧箇所42の中心点44と中央の穴38bの中心点39bとを結ぶ線分L3の長さは、図5の比較例における線分L33よりも長くなり、線分L1、L2の長さに近づいている。従って、本実施形態においては、比較例と比べて、中央の穴38bの近傍での応力が低減する。
【0036】
本実施形態では、穴38bは、線分L1及びL2の長さと、線分L3の長さとの差が小さくなる位置に配置される。それにより、押圧箇所42に力が加わったときに、1個の穴の周りに集中する応力とその隣の穴の周りに集中する応力との差が小さくなり、応力が一様に分散することで第2部材18の塑性変形が防止される。
【0037】
図7は変形例である可動端子20Bの正面図である。図7に示すように、穴38bは、穴38a及び38cよりも小さく、突起36bは、突起36a及び36cよりも小さい。結果として、穴38bは、穴38a及び38cよりも距離H2だけ図7で下方に配置され、突起36bは、突起36a及び36cよりも距離H2だけ図7で下方に配置される。距離H2は、例えば0.3mm程度である。
【0038】
図8は可動端子20Bを構成する第2部材18Bの正面図である。図8を用いて、本実施形態の第2部材18Bの穴38a、38b、及び38cのそれぞれの近傍での応力について説明する。
【0039】
図8に示すように、穴38a、38b、38cの中心点39a、39b、39cは同一直線上に配置されるが、上述したように、中央の穴38bは、両端の穴38a及び38cよりも図7で下方に配置される。
【0040】
直線L10は、両端の穴38a、38cの接点16に近い側の縁46、50に接する直線である。穴38a、38cの形状が円である場合には、直線L10は円の接線である。
【0041】
本実施形態においては、直線L10に対し、中央の穴38bが接点16とは反対側に位置するように配置される。
【0042】
本実施形態においては、押圧箇所42の中心点44と左端の穴38aの中心点39aとを結ぶ線分L1と、押圧箇所42の中心点44と右端の穴38cの中心点39cを結ぶ線分L2とは、略同一の長さである。
【0043】
上記のように、穴38bが、穴38a及び38cよりも図8で下方に配置されると、図で両端の穴38a、38cの接点16に近い側の縁46、50に接する直線L10に対し、他の穴38bが接点16とは反対側に位置するように配置されることになる。
【0044】
本実施形態においては、押圧箇所42の中心点44と中央の穴38bの中心点39bとを結ぶ線分L3の長さは、図5の比較例における線分L33よりも長くなり、線分L1、L2の長さに近づいている。従って、本実施形態においては、比較例と比べて中央の穴38bの近傍に集中する応力が低減する。
【0045】
本実施形態では、穴38bは、線分L1及びL2の長さと線分L3の長さとの差が小さくなる位置に配置される。それにより、押圧箇所42に力が加わったときに、1個の穴の周りに集中する応力とその隣の穴の周りに集中する応力との差が小さくなり、応力が一様に分散することで第2部材18Bの塑性変形が防止される。
【0046】
本実施形態の可動端子20Bは、穴38bの径を小さくすることで線分L3と線分L1、L2との長さの差を小さくするようにしている。従って、図3の例と比較すると穴38bの下端が上側に位置するため、縁部52aを延ばさなくても穴38bを形成することができる。そのため、可動端子20Bの大型化を避けつつ、第2部材18Bの塑性変形を防止できる。
【0047】
本実施形態におけるかしめ部40の配置は、例えば固定端子26を、接点24を有する第1部材と脚22a及び22bを有する第2部材とを組み合わせて構成する場合にも適用できる。
【0048】
3個のかしめ部40を有する可動端子20及び20Bを説明したが、第2部材は、並べて配置される少なくとも3個の穴を有し、これらの穴のうち両端の穴の接点に近い側の縁に接する直線に対し、他の穴の接点に近い側の縁が接点とは反対側に位置するように配置されるのであれば、上記した本実施形態の構成は4個以上のかしめ部を有する端子にも適用できる。
【0049】
図10は、第1部材14の斜視図である。
【0050】
端子に高電流を流す場合には、脚の大きさをなるべく大きくして内部抵抗を低減することが考えられる。脚を大型化するために例えばブレード端子のような形状を採用する場合には、脚と接続されるプリント基板に角穴を開口する必要が生じる。
【0051】
一方、図10に示す脚14a及び14bのように、比較的小型な脚を複数設けて内部抵抗を低減する構成とした場合には、脚が接続される基板には角穴ではなく比較的小型な穴を開口すれば良く、プリント基板の設計がブレード端子を採用するよりも容易となる。
【0052】
第1部材14は、平坦な面56aを有する支持部56を有する。突起36a、36b、及び36cは、面56aに形成される。図4に示すように、支持部56は第2部材18の接点16が設けられる側に配置され、第2部材18を支持する。
【0053】
第1部材14は、面56aを、第2部材18の接点16が設けられる側の面18aに接触させることにより、この接触箇所で押圧部材12により押された第2部材18に加わる力を受け止める。
【0054】
第1部材14に第2部材18は、押圧部材12から力を受けると、第1部材14に向けて押される。このとき、第2部材18が直線状の面56aの上端56bによって支持されるため、第2部材18のかしめ部40付近に生じる応力が上端56bに沿って分散される。上端56bに沿って応力が分散されることにより、支持部56がない場合と比較して、穴38a、38b、及び38cそれぞれの近傍に集中する応力が低減する。図4とは逆に、第2部材の押される側に第1部材を配置して第2部材を支持した場合、押圧部材によって第2部材が押されるとかしめ部の特に上端に応力が集中し、高い応力が生じてしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、第2部材18が押される側に第1部材14が配置されているため、第2部材18の下部が第1部材14によって支えられる。特に、線状の上端56bによって第2部材18が支持されるので、第2部材18の支持される範囲が広がり、且つ第2部材18を支持する上端56bがかしめ部40から離れていることから、第2部材18に生じる応力が分散し、かしめ部40への応力集中が防止できる。
【0055】
図4及び図10を用いて、脚14a及び14bの構成を説明する。脚14aは、支持部56と連結する基端58aを有する。図4に示すように、基端58aは、第2部材18の接点16が設けられる側とは反対の側に突出している。
【0056】
また、脚14aは、基端58aから屈曲する末端60aを有する。末端60aは、図4図示下方に延在し、第2部材18と離れる方向に延びるように形成される。基端58aは、支持部56と連結する部分よりも末端60aと連結する部分の方が図で上方に配置されるように屈曲している。
【0057】
脚14bは、脚14aと同一の構成であり、基端58bと末端60bとを有する。
【0058】
図11は、図1の切断線A1-A1における電磁継電器2の断面図である。図12は、図11の破線で囲われた領域XIIの拡大断面図である。領域XIIは、可動端子20の第1部材14の近傍を拡大して示している。図12を用いて、脚14a及び14bの構造の効果について説明する。
【0059】
ベースブロック4は、可動端子20及び固定端子26を収容して支持する。ベースブロック4は、接着剤71が塗布される底部61を有する。接着剤71は、例えばエポキシ樹脂である。底部61は、第1の接着部62を有する。第1の接着部62は、脚14aの末端60aを電磁継電器2の外部へ導出する孔64を有する。
【0060】
第1の接着部62の外側の面62aに接着剤71が塗布され、孔64が塞がれることで、電磁継電器2の内部へはんだ、フラックス等の異物が侵入することを防止する。
【0061】
底部61は、第2の接着部70を有する。第2の接着部70は、固定端子26の脚22aを電磁継電器2外部へ導出する孔72を有する。第2の接着部70における電磁継電器2の外側の面70aには接着剤71が塗布され、孔72が塞がれる。実施の形態においては、面62aと面70aとは同一平面上に配置される。接着剤71を充填するスペースを確保するため、面62aと面70aとは、カバー6の下端6aよりも図12上方に配置される。
【0062】
底部61は、隆起部66を有する。隆起部66は、凹所68を有することで、面62a及び面70aからみて図12下方に隆起しており、凹所68の位置で、第1の接着部62及び第2の接着部70よりも電磁継電器2の外側に突出している。すなわち、隆起部66よりも、面62a及び面70aは、図12下方からみて奥側に配置されている。
【0063】
凹所68内には、脚14aの基端58aが収容される。末端60bは、凹所68の外側に配置され孔64から電磁継電器2の外部へ導出される。従って、末端60bは、かしめ部40bの下方から電磁継電器2の外部へ導出されない。なお、図11不図示の脚14bについても、凹所68内に基端58bが収容され、第1の接着部62は脚14bの末端60bを電磁継電器2の外部へ導出する孔(不図示)を有し、孔には接着剤71が塗布される。
【0064】
上記のように、基端58a、58bを凹所68に収容し、末端60a、60bをかしめ部40の下方とは外れた位置から電磁継電器2の外部へ導出することで、かしめ部40の下方にて接着剤71を塗布するスペースを確保する必要がなくなり、凹所68の高さ方向分だけ第2部材18の収容スペースを拡げることができる。従って、第2部材18の収容スペースを拡げることができ、電磁継電器2は低背を維持しつつ、第2部材18を長くすることができる。ベースブロック4と脚14a及び脚14bとの組み合わせる構成により、電磁継電器2の高さを変更することなく、第2部材18を長くして、許容電流を高くすることができる。
【0065】
(接極子及び押圧部材の説明)
図13は、押圧部材12が取り付けられた接極子10の斜視図である。接極子10は、鉄心30に吸着する第1の部分74と、第1の部分74から延びる第2の部分76とを有する。第2の部分76は、第1の部分74と連結する屈曲部78を有し、第1の部分74から屈曲して延びる。押圧部材12は第2の部分76の先端に取り付けられて、接極子10に固定されている。例えば接極子10は金属で形成され、押圧部材12は樹脂で形成される。
【0066】
図11に示すように、第1の部分74の下方には鉄心30が配置されている。第1の部分74は、鉄心30に吸着する吸着面74aを有する。電磁石7の励磁により、第1の部分74は矢印B方向に動作し、吸着面74aが鉄心30に吸着する。
【0067】
接極子10はヒンジばね8(図2)を弾性変形させながら、屈曲部78に位置する揺動軸線80を中心に揺動する。第1の部分74がB方向に動作すると、第2の部分76は連動してA方向に動作する。押圧部材12は、第2の部分76と一体的にA方向に動作し可動端子20を押圧する。可動端子20は、接極子10の動作に応じて変位する。
【0068】
図14は、接極子10と、押圧部材12とを別個に示す斜視図である。第2の部分76は、その先端に、押圧部材12へ挿入される板状の挿入部82を有する。第2の部分76は、挿入部82の図で上側に併設されるガイド溝84を有する。挿入部82及びガイド溝84は揺動軸線80に平行な方向へ延びており、押圧部材12が搖動軸線と平行にガイド溝84に嵌入される。なお、「揺動軸線に平行な方向」とは厳密に平行な方向だけでなく、製造公差等を考慮した略平行な方向を含む。
【0069】
図15は押圧部材12の正面図である。図16は押圧部材12の図14図示右側から見た側面図である。押圧部材12は、押圧する可動端子20に向かって突出する押圧部86を有する。押圧部86は、直線状に延びる先端86aを有する。図13に示すように、押圧部材12を接極子10に取り付けた状態で、先端86aは揺動軸線80に平行に配置される。
【0070】
押圧部材12は、一端で開口する囲壁90の中に、挿入部82を受け容れる袋状の受容部88を有する。受容部88は、4つの内面88a、88b、88c及び88dと、底面88eと、底面88eの反対側に位置する開口91とを有する。
【0071】
図17は、押圧部材12の上面図である。図16及び図17に示すように、押圧部材12はガイド溝84に嵌入される嵌入部92を有する。嵌入部92は、囲壁90の一部であり、内面88dを有する。
【0072】
図19は、図16の切断線B1-B1における押圧部材12の断面、及び接極子10の正面を示す図である。嵌入部92の内面88dは、他の内面88a、88b、88cに比べて底面88eからの長さが短く、開口91は、図19で右方及び上方へ開口している。
【0073】
押圧部材12を接極子10に取り付けるときには、挿入部82を受容部88に挿入する。このとき嵌入部92がガイド溝84に沿って案内されることで、図14及び図19に示すように、押圧部材12は、揺動軸線80に平行な矢印Cの逆方向へ移動しながら接極子10に取り付けられる。
【0074】
なお、受容部88への挿入部82の挿入を容易にするために、内面88dの開口91に位置する部分、及び挿入部82の先端に、テーパ状の案内面93、95が形成される。挿入部82が受容部88に完全に受け容れられた状態で、受容部88は、囲壁90で挿入部82を被覆する。
【0075】
挿入部82を受容部88へC方向に挿入し、嵌入部92をガイド溝84に嵌入して押圧部材12を接極子10に取り付ける構成とすることで、押圧部材12が接極子10に対し図14上下方向への位置ずれを生じないようにすることができる。そのため、接極子10と押圧部材12との位置ずれが起こるとしても、その方向はガイド溝84に沿った、揺動軸線80に平行な方向に限定される。
【0076】
図18は、接極子10と押圧部材12と可動端子20との位置関係を示す図である。接極子10に対して押圧部材12が揺動軸線80に平行な方向にずれてしまったとしても、接極子10の回動支点である揺動軸線80から押圧部材12と可動端子20との当接点すなわち先端86aまでの距離L21は変わらない。
【0077】
このように、電磁継電器2では、衝撃等により接極子10に対して押圧部材12の位置がずれたとしても、そのずれの方向は揺動軸線80と平行な方向に限定されるため、揺動軸線80と先端との距離L21が変わらない。距離L21が変わらなければ、押圧部材12が可動端子20を押す図18の上下方向の位置も変わらないため、可動端子20を固定端子26(図11)に接触させるために押圧部材12から可動端子20に作用する押圧力のモーメントは変わらない。従って、接極子10の第1の部分74を鉄心30に吸着させるためのコイル34への印加電圧も変わらず、電磁継電器2の動作電圧などの特性変化を防止できる。
【0078】
押圧部材12は、囲壁90が挿入部82を被覆して接極子10と可動端子20とを絶縁する。また、囲壁90の外側に可動端子20に向かって突出する押圧部86を有するので、電磁継電器2において、接極子10と可動端子20とは、図18左右方向に離れた位置に配置される。その結果、図18の点線矢印で示される接極子10と可動端子20との間の沿面距離を確保することができる。
【0079】
図16及び図19に示すように、押圧部材12は、内面88bに、挿入部82の端面98に係合する第1の突起94を有する。
【0080】
第1の突起94は、内面88a、88cに平行な方向に囲壁90の開口91の付近から底面88eまで直線状に延びる突条の形状を有する。押圧部材12を接極子10に取り付けた状態で、第1の突起94は揺動軸線80に平行に配置される。
【0081】
第1の突起94は、内面88bからの高さが異なる高背部94aと低背部94bとを有する。高背部94aは底面88eに近い側に形成され、内面88bからの高さが高背部94aよりも低い低背部94bは、開口91に近い側に形成される。
【0082】
図20は、接極子10を可動端子20と対向しない側からみた斜視図である。図19及び図20に示すように、接極子10は、挿入部82の末端で揺動軸線80に平行な方向へ延びる端面98を有する。端面98は、揺動軸線80からの距離が途中で変化する段差形状を有し、揺動軸線80に近い端面98aで第1の突起94の高背部94aに係合する一方、揺動軸線80から遠い端面98bで低背部94bに係合する。
【0083】
押圧部材12を接極子10に取り付けるときに、図19のC方向へ挿入部82を受容部88に挿入すると、挿入部82は囲壁90の内面88a、88b、88c、88dに案内されて端面98が第1の突起94の上を摺動する。挿入部82が受容部88に押し込まれるに従い、端面98aは、低背部94bを通過した後、高背部94aに食い込むように係合し、端面98bは、低背部94bに食い込むように係合する。
【0084】
第1の突起94は、接極子10の長手方向に対して押圧部材12を位置決めするものである。端面98が第1の突起94に係合することで、端面98の反対側でガイド溝84を画定する挿入部82の他の縁99が、押圧部材12の内面88dに押し付けられる。その結果、挿入部82は受容部88に圧入状態で固定され、接極子10と押圧部材12との図19上下方向へのずれが防止される。
【0085】
また挿入部82は、端面98がその端面98a、98bで段差のある高背部94aと低背部94bとの2点に係合するから、押圧部材12の接極子10への圧入時に端面98と内面88bとの平行度が悪化する方向へ挿入部82と押圧部材12とが相対的に傾くことを防止できる。その結果、接極子10への押圧部材12の取り付けが完了したときに、先端86aと揺動軸線80との高水準の平行度が確保される。
【0086】
図16及び図19に示すように、押圧部材12は、内面88cに、挿入部82の面100に係合する第2の突起96を有する。
【0087】
第2の突起96は、内面88b、88dに平行な方向に囲壁90の開口91の付近から底面88eまで直線状に延びる突条の形状を有する。押圧部材12を接極子10に取り付けた状態で、第2の突起96は揺動軸線80に平行に配置される。
【0088】
第2の突起96は、内面88cからの高さが異なる高背部96aと低背部96bとを有する。高背部96aは底面88eに近い側に形成され、内面88cからの高さが高背部94aよりも低い低背部96bは開口91に近い側に形成される。
【0089】
図19及び図20に示すように、接極子10は、面100及び端面106を有する。面100は、端面106から遠い奥側部100aと、端面106に近い手前側部100bとを有する。奥側部100aは揺動軸線80に対して平行に形成された凹部102を有し、面100は凹部102と手前側部100bとで段差形状を形成する。面100は、凹部102で第2の突起96の高背部96aに係合する一方、手前側部100bで低背部96bに係合する。
【0090】
押圧部材12を接極子10に取り付けるときに、図19C方向へ挿入部82を受容部88に挿入すると、挿入部82は内面88a、88b、88c、88dに案内されて面100が第2の突起96の上を摺動する。挿入部82が受容部88に押し込まれるに従い、面100の凹部102は低背部96bを通過した後、高背部96aに食い込むように係合し、手前側部100bは低背部96bに食い込むように係合する。
【0091】
第2の突起96は、接極子10の第2の部分76が移動する方向に対して押圧部材12を位置決めするものである。面100が第2の突起96に係合することで、面100と反対側の面101が内面88aに押し付けられる。その結果、挿入部82は受容部88に圧入状態で固定され、接極子10と押圧部材12との矢印A方向へのずれが防止される。
【0092】
挿入部82は、面100が、凹部102と手前側部100bとで高背部96aと低背部96bとの2点に係合するから、押圧部材12の接極子10への圧入時に、面100と内面88cとの平行度が悪化する方向へ挿入部82と押圧部材12とが相対的に傾くことを防止できる。その結果、接極子10への押圧部材12の取り付けが完了したときに、押圧部86の先端86aと揺動軸線80との高水準の平行度が確保される。
【0093】
なお、挿入部82の端面98及び面100は段差形状を有さなくても良い。第1の突起94は、高背部94aと低背部94bとを有さずに、内面88bからみて同じ高さになるように形成しても良い。第2の突起96も、高背部96aと低背部96bとを有さずに、内面88cからみて同じ高さになるように形成しても良い。
【0094】
この場合、挿入部82の端面98が第1の突起94に係合することで、端面98の反対側でガイド溝84を画定する他の縁99が押圧部材12の内面88dに押し付けられる。その結果、挿入部82は受容部88に圧入状態で固定され、接極子10と押圧部材12との図19上下方向へのずれが防止される。
【0095】
また、挿入部82の面100が第2の突起96に係合することで、面101が押圧部材12の内面88aに押し付けられる。その結果、挿入部82は受容部88に圧入状態で固定され、接極子10と押圧部材12との矢印A方向へのずれが防止される。
【0096】
図21は、押圧部材12を接極子に固定するかしめ構造を説明する図である。図19及び図21を用いて、押圧部材12のかしめ構造を説明する。図19に示すように、押圧部材12は、開口91に隣接して受容部88から図19右方に配置されるかしめ部104を有する。また、接極子10は、一端を切欠いて形成された端面106を有する。
【0097】
かしめ部104は、熱を加えて変形される。図21(a)は、かしめ部104が変形する前の状態を示し、図21(b)は、かしめ部104が熱を加えられて変形した後の状態を示す。
【0098】
図21(b)に示すように、変形したかしめ部104は端面106と係合する。かしめ部104と端面106とが係合することで、かしめ部104によって押圧部材が接極子に固定され、外部からの衝撃等があっても、押圧部材12の位置ずれや抜けを防止できる。
【0099】
(絶縁構造の説明)
図9及び図11を参照して、電磁継電器2の絶縁構造を説明する。図9はベースブロック4の斜視図である。本実施形態による電磁継電器2は、装置を小型化しつつ、各部の絶縁距離を確保するものである。なお、絶縁距離は空間距離と沿面距離とを含む。
【0100】
電磁継電器2は、コイル34及び鉄心30が配置される第1領域110と、可動端子20、固定端子26、及び押圧部材12が配置される第2領域112とを有する。図9及び図11に示すように、ベースブロック4は、第1領域110と第2領域112との間に位置する壁部108を有する。壁部108は、図9及び図11で上下方向に延在する。
【0101】
壁部108は例えば樹脂により形成され、コイル34と可動端子20及び固定端子26とを絶縁する。壁部108は第1領域110と第2領域112とを分離するように、且つコイル34の第2領域112に近い部分を覆うように形成されているため、コイル34と可動端子20及び固定端子26との絶縁距離を確保することができる。
【0102】
第1の部分74は、第1領域110においてコイル34及び鉄心30の上方に配置される。第2の部分76は、第1の部分74から延びて第2領域112に配置される。
【0103】
すでに述べたとおり、第2の部分76に、可動端子20に向かって突出する押圧部86を有する押圧部材12が取り付けられるため、押圧部材12により接極子10と可動端子20との絶縁距離を確保できる。
【0104】
ボビン36は、第1の鍔部118及び第2の鍔部120と、鉄心30が挿入される空洞121とを有する。ボビン36は、例えば樹脂による成形部品である。第1の鍔部118及び第2の鍔部120は、鉄心30とコイル34とを絶縁する。図2及び図11に示すように、第1の鍔部118及び第2の鍔部120はコイル34の上面34a及び下面34bを覆う形状となっているため、鉄心30とコイル34との絶縁距離を確保できる。
【0105】
ベースブロック4は、壁部108から延び第1領域110に配置される第1の延長部114及び第2の延長部116を有する。図9及び図11に示すように、第1の延長部114は、上方にて壁部108と連結され、壁部108からみて第1領域110側に突出している。第2の延長部116は、下方にて壁部108と連結され、壁部108からみて第1領域110側に突出している。第1の延長部114は、第1の鍔部118と対向し、第1の鍔部118の図11で上方に配置される。第2の延長部116は、第2の鍔部120と対向し、第2の鍔部120の図11で下方に配置される。第1の延長部114及び第2の延長部116は、コイル34と接極子10及びヨーク32とを絶縁する。第1の延長部114と第1の鍔部118とによりコイル34の上面34aが覆われるため、コイル34と接極子10の第1の部分74との絶縁距離を確保できる。同様に、第2の延長部116と第2の鍔部120とによりコイル34の下面34bが覆われるため、コイル34とヨーク32の第1の部分122との絶縁距離を確保できる。
【0106】
ヨーク32は、第1領域110に配置される第1の部分122と、第1の部分122から屈曲して延び、第2領域112に配置される第2の部分124とを有する。第2の部分124は、壁部108に沿って延在し、末端126にて接極子10の屈曲部78を支持する。壁部108は、ヨーク32の第2の部分124とコイル34とを絶縁する。上記の通り壁部108がコイル34を覆っているため、コイル34と第2の部分124との絶縁距離を確保できる。
【0107】
このように、本実施形態のボビン36及びベースブロック4を用いることによって、コイル34と各部との絶縁距離を確保することができる。特に、絶縁確保のために他の要素を追加しなくてもよいため、電磁継電器内のスペースが増えることを防止でき、電磁継電器の小型化を維持しつつ各部間の絶縁性を確保することが可能である。
【0108】
ヨーク32は、第1の部分122に開口128を有する。鉄心30は、末端にて突起130を有する。突起130が開口128に挿入されてかしめられることで、鉄心30及びヨーク32は連結して磁路を形成する。
【0109】
鉄心30は、空洞121に挿入される軸132と、第1の鍔部118の外側に配置される頭部134とを有する。軸132はコイル34の中心に配置される。頭部134は、コイル34の外側で軸132の先端から外方に延び、鉄心30の軸線方向の外側に向く面134aを有する。コイル34の励磁により、面134aに吸着面74aが吸着する。
【0110】
頭部134は、面134aの反対側で軸132の外周から外側へ張り出す面134bを有する。壁部108から延びる第1の延長部114は、その先端の薄肉部分114aで、頭部134とコイル34との間、より詳細には頭部134の面134bと第1の鍔部118との間に挿入される。
【0111】
図2図11及び図24を参照して、電磁継電器2の組立手順を説明する。コイル34が巻回されたボビン36を図11で左からベースブロック4に収容した後に、上方から鉄心30を挿入し、ベースブロック4の第1の延長部114と第2の延長部116との間に、鉄心30の頭部134が第1の延長部114に隣接する姿勢で挿入する。
【0112】
図24は、電磁継電器2の底面図である。ベースブロック4の底部61には開口148が設けられ、開口148から第2の延長部116が露出する。開口148からベースブロック4にヨーク32の第2の部分124を挿入して、ヨーク32の第1の部分122を第2の延長部116の外側に配置する。第1の延長部114と第2の延長部116との間に置かれたボビン36から突出する突起130を開口128に挿入してかしめる。
【0113】
このかしめ工程により、第1の延長部114の薄肉部分114aが、面134bと第1の鍔部118との間に挟み込まれ、また第2の延長部116が、ヨーク32の第1の部分122と第2の鍔部120との間に挟み込まれる。このようにして、電磁石7とベースブロック4とが互いにがたつき無く強固に固定される。
【0114】
図24に示すように、ヨーク32の第1の部分122は、開口148から露出する。底部61には接着剤71が塗布される。塗布された接着剤71は図24にてハッチングで示す。本実施形態では、第1の部分122と、第1の部分122の周囲の底部61の領域とが、接着剤71で覆われている。
【0115】
開口148からヨーク32を挿入する構成とすることで、電磁継電器2の組立てを容易にすると共に、接着剤71で覆うことで、電磁継電器2の内部が密封され、外部からの異物の混入を防止する。更には、電磁継電器2と、電磁継電器2に接続される外部機器との絶縁を確保する。
【0116】
図22は、図1の切断線A1-A1における、電磁継電器2の変形例の断面図である。本実施形態では、鉄心30及びヨーク32は、1つの金属部材138により一体的に形成される。鉄心30及びヨーク32を1つの金属部材138で形成することで、電磁継電器2の製造コストを低減することができる。
【0117】
金属部材138は、空洞121に挿入される鉄心部140と、鉄心部140から屈曲して延びるヨーク部142とを有する。鉄心部140は、コイル34の外側、かつ、図で上方に面140aを有する。コイル34の励磁により、面140aに吸着面74aが吸着される。
【0118】
ヨーク部142は、鉄心部140から屈曲して延び、第1領域110に配置される第1の部分144と、第1の部分144から延び、第2領域112に配置される第2の部分146とを有する。第2の部分146は、壁部108に沿って延在し、末端147にて接極子10の屈曲部78を支持する。壁部108は、ヨーク部142の第2の部分146とコイル34とを絶縁する。
【0119】
図23は、変形例による電磁継電器2のコイル組立27及び金属部材138の斜視図である。図23に示すように、鉄心部140と空洞121とは、例えば直方体状に形成される。
【0120】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。また、上記のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0121】
2 電磁継電器
12 押圧部材
14 第1部材
14a、14b 脚
16 可動接点
20 可動端子
36a、36b、36c 突起
38a、38b、38c 穴
39a、39b、39c 中心点
42 押圧箇所
44 中心点
46、50 縁
56 支持部
58a、58b 基端
60a、60b 末端
61 底部
62 第1の接着部
64 孔
66 隆起部
68 凹所
70 第2の接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24