(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】検知装置、自動ドアシステムおよび自動ドアシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/74 20150101AFI20230331BHJP
E05F 15/632 20150101ALI20230331BHJP
【FI】
E05F15/74
E05F15/632
(21)【出願番号】P 2019034321
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】角山 浩司
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036240(JP,A)
【文献】特開2017-048575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸を開閉駆動する駆動部および前記駆動部を制御する制御部を有する自動ドア装置と、
前記引戸が全開位置にあるときに前記引戸と対面するように設置される柵体と、
前記引戸が全閉位置にあるときに前記引戸の戸尻近傍の領域であって前記柵体よりも前記自動ドア装置側の領域の少なくとも一部に人又は物体を検知する検知エリアを有する検知部と、
前記検知部が人又は物体を検知した検知状態になったときに前記引戸を減速又は停止させるように前記駆動部を制御する信号を出力する出力部と
を備える自動ドアシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記引戸の全閉状態において前記出力部から前記信号を受信したときに前記全閉状態を維持するように前記駆動部を制御する、請求項1に記載の自動ドアシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記引戸の全閉状態において前記出力部から前記信号を受信し、かつ、前記引戸を挟んで反対側の所定領域で人又は物体を検知したときに前記
引戸の運動エネルギーが所定値以下となる速度で前記引戸を開動作させるように前記駆動部を制御し又は前記駆動部を停止する、請求項1に記載の自動ドアシステム。
【請求項4】
前記制御部が前記駆動部を停止しているときに、前記引戸の手動開閉が可能になったことを報知する報知部を更に備える請求項3に記載の自動ドアシステム。
【請求項5】
前記検知部が前記検知状態になったときに警告情報を発信する警告発信部を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の自動ドアシステム。
【請求項6】
前記検知部は、少なくとも前記柵体の閉方向側の端部の近傍に前記検知エリアを有する、請求項1~5のいずれか1項に自動ドアシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記出力部から前記信号の出力が停止されてから前記引戸が一開閉した後に、前記駆動部の制御を前記出力部からの前記信号に基づく制御から前記自動ドア装置を起動させる起動センサの検知状態に基づく制御に変更する請求項1~6のいずれか1項に記載の自動ドアシステム。
【請求項8】
引戸の戸尻近傍の領域であって前記引戸が全開位置にあるときに前記引戸と対面するように設置された柵体よりも前記引戸を開閉駆動する駆動部および前記駆動部を制御する制御部を有する自動ドア装置側の領域の少なくとも一部に人又は物体を検知する検知エリアを有する検知部と、
前記検知部が人又は物体を検知した検知状態になったときに前記引戸を減速又は停止させる信号を前記自動ドア装置に出力する出力部と
を備える検知装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記引戸を減速させる信号を前記自動ドア装置に出力する、請求項8に記載の検知装置。
【請求項10】
前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記引戸の運動エネルギーが所定値以下となる速度で前記引戸を開動作させる信号を前記自動ドア装置に出力する、請求項9に記載の検知装置。
【請求項11】
前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記引戸を停止させる信号を前記自動ドア装置に出力する、請求項8~10のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記駆動部を停止する信号を前記自動ドア装置に出力する、請求項8~11のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項13】
前記出力部は、前記検知部が前記検知状態でなくなったときに、前記信号の出力を停止し、又は前記駆動部の制御を切り替える信号を前記自動ドア装置に出力する、請求項8~12のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項14】
前記出力部が前記駆動部を停止する信号を出力しているときに、前記引戸の手動開閉が可能になったことを報知する報知部を更に備える、請求項13に記載の検知装置。
【請求項15】
前記検知部が前記検知状態になったときに警告情報を発信する警告発信部を更に備える、請求項8~14のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項16】
前記検知部は、少なくとも前記
柵体の閉方向側の端部の近傍に前記検知エリアを有する、請求項8~15のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項17】
引戸を開閉駆動する駆動部および前記駆動部を制御する制御部を有する自動ドア装置と、
前記引戸が全開位置にあるときに前記引戸と対面するように設置される柵体と、
前記引戸が全閉位置にあるときに前記引戸の戸尻近傍の領域であって前記柵体よりも前記自動ドア装置側の領域の少なくとも一部に、人又は物体を検知する検知エリアを有する検知部を有する検知装置と、を有する自動ドアシステムにおいて、
前記自動ドア装置または前記検知装置は、前記検知部が人又は物体を検知した検知状態になったときに前記引戸を減速又は停止させる信号を前記駆動部に出力する、自動ドアシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置、自動ドアシステムおよび自動ドアシステムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、引き戸方式の自動ドアにおいては、開動作中における戸尻と枠との間または戸尻と壁との間における押しつぶしや衝撃を回避するための保護方策の1つとして、防護柵の設置がある。防護柵に関する技術として、例えば、特許文献1には、ドアが開いて生じる出入口を通行する通行者がドアに衝突することを防止する可動防護柵を備えた自動ドアシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、防護柵を設ける場合、防護柵の内側に人が入り込み、入り込んだ人がドアと衝突する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、防護柵の内側に入り込んだ人とドアとの衝突を抑制することができる検知装置、自動ドアシステムおよび自動ドアシステムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、引戸を開閉駆動する駆動部および前記駆動部を制御する制御部を有する自動ドア装置と、前記引戸が全開位置にあるときに前記引戸と対面するように設置される柵体と、前記引戸が全閉位置にあるときに前記引戸の戸尻近傍の領域であって前記柵体よりも前記自動ドア装置側の領域の少なくとも一部に人又は物体を検知する検知エリアを有する検知部と、前記検知部が人又は物体を検知した検知状態になったときに前記引戸を減速又は停止させるように前記駆動部を制御する信号を出力する出力部とを備える自動ドアシステムである。
【0007】
本発明による自動ドアシステムにおいて、前記制御部は、前記引戸の全閉状態において前記出力部から前記信号を受信したときに前記全閉状態を維持するように前記駆動部を制御してもよい。
【0008】
本発明による自動ドアシステムにおいて、前記制御部は、前記引戸の全閉状態において前記出力部から前記信号を受信し、かつ、前記引戸を挟んで反対側の所定領域で人又は物体を検知したときに前記ドアの運動エネルギーが所定値以下となる速度で前記引戸を開動作させるように前記駆動部を制御し又は前記駆動部を停止してもよい。
【0009】
本発明による自動ドアシステムにおいて、前記制御部が前記駆動部を停止しているときに、前記引戸の手動開閉が可能になったことを報知する報知部を更に備えてもよい。
【0010】
本発明による自動ドアシステムにおいて、前記検知部が前記検知状態になったときに警告情報を発信する警告発信部を更に備えてもよい。
【0011】
本発明による自動ドアシステムにおいて、前記検知部は、少なくとも前記柵体の閉方向側の端部の近傍に前記検知エリアを有してもよい。
【0012】
本発明による自動ドアシステムにおいて、前記制御部は、前記出力部から前記信号の出力が停止されてから前記引戸が一開閉した後に、前記駆動部の制御を前記出力部からの前記信号に基づく制御から前記自動ドア装置を起動させる起動センサの検知状態に基づく制御に変更してもよい。
【0013】
本発明は、引戸の戸尻近傍の領域であって前記引戸が全開位置にあるときに前記引戸と対面するように設置された柵体よりも前記引戸を開閉駆動する駆動部および前記駆動部を制御する制御部を有する自動ドア装置側の領域の少なくとも一部に人又は物体を検知する検知エリアを有する検知部と、前記検知部が人又は物体を検知した検知状態になったときに前記引戸を減速又は停止させる信号を前記自動ドア装置に出力する出力部とを備える検知装置である。
【0014】
本発明による検知装置において、前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記引戸を減速させる信号を前記自動ドア装置に出力してもよい。
【0015】
本発明による検知装置において、前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記引戸の運動エネルギーが所定値以下となる速度で前記引戸を開動作させる信号を前記自動ドア装置に出力してもよい。
【0016】
本発明による検知装置において、前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記引戸を停止させる信号を前記自動ドア装置に出力してもよい。
【0017】
本発明による検知装置において、前記出力部は、前記検知部が前記検知状態になったときに、前記駆動部を停止する信号を前記自動ドア装置に出力してもよい。
【0018】
本発明による検知装置において、前記出力部は、前記検知部が前記検知状態でなくなったときに、前記信号の出力を停止し、又は前記駆動部の制御を切り替える信号を前記自動ドア装置に出力してもよい。
【0019】
本発明による検知装置において、前記出力部が前記駆動部を停止する信号を出力しているときに、前記引戸の手動開閉が可能になったことを報知する報知部を更に備えてもよい。
【0020】
本発明による検知装置において、前記検知部が前記検知状態になったときに警告情報を発信する警告発信部を更に備えてもよい。
【0021】
本発明による検知装置において、前記検知部は、少なくとも前記防護柵の閉方向側の端部の近傍に前記検知エリアを有してもよい。
【0022】
本発明は、引戸を開閉駆動する駆動部および前記駆動部を制御する制御部を有する自動ドア装置と、前記引戸が全開位置にあるときに前記引戸と対面するように設置される柵体と、前記引戸が全閉位置にあるときに前記引戸の戸尻近傍の領域であって前記柵体よりも前記自動ドア装置側の領域の少なくとも一部に、人又は物体を検知する検知エリアを有する検知部を有する検知装置と、を有する自動ドアシステムにおいて、前記自動ドア装置または前記検知装置は、前記検知部が人又は物体を検知した検知状態になったときに、前記引戸を減速又は停止させる信号を前記駆動部に出力する、自動ドアシステムの制御方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、防護柵の内側に入り込んだ人とドアとの衝突を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態による自動ドアシステムの一例を示す平面図である。
【
図4】
図1の自動ドアシステムのブロック図である。
【
図5】
図1の自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態の第1の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態の第2の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態の第3の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態の第4の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の第5の変形例による自動ドアシステムを示すブロック図である。
【
図11】本実施形態の第5の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態の第6の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図13】本実施形態の第7の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態の第8の変形例による自動ドアシステムを示すブロック図である。
【
図15】本実施形態の第8の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図16】本実施形態の第9の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図17】本実施形態の第9の変形例による自動ドアシステムの動作例において、検知装置および起動センサの検知状態とドアの駆動制御との対応関係を示す図である。
【
図18】本実施形態の第10の変形例による自動ドアシステムを示すブロック図である。
【
図19】本実施形態の第10の変形例による自動ドアシステムを示す鳥瞰図である。
【
図20】本実施形態の第10の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図21】本実施形態の第11の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図22】本実施形態の第12の変形例による自動ドアシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図23】本実施形態の第13の変形例による自動ドアシステムを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る検知装置、自動ドアシステムおよび自動ドアシステムの制御方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合があり、また、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0026】
図1は、本実施形態による自動ドアシステム1の一例を示す平面図である。
図2は、
図1の自動ドアシステム1の正面図である。
図3は、
図1の自動ドアシステム1の鳥瞰図である。
図4は、
図1の自動ドアシステム1のブロック図である。
【0027】
図1~
図4に示すように、自動ドアシステム1は、自動ドア装置20と、柵体の一例である防護柵10と、検知部31と、起動センサ3と、バス4とを備える。自動ドア装置20は、引戸21と、FIX22と、駆動部の一例であるドアエンジン24と、位置検出器25と、制御部の一例であるドアコントローラ26と、検知装置30の一部である出力部32とを備える。
【0028】
自動ドアシステム1は、引戸21の開口部を通行しようとする人又は物体(以下、通行者と呼ぶこともある)を起動センサ3で検知し、起動センサ3の検知に応じて、通行者を通行させるために引戸21を開動作させる。また、自動ドアシステム1は、引戸21の開動作時における戸尻側の安全性を確保するため、防護柵10を備えている。以下、このような自動ドアシステム1の構成を更に詳述する。
【0029】
先ず、自動ドア装置20および防護柵10の詳細な構成について説明する。自動ドア装置20のドアエンジン24は、電源の電力を供給されることで引戸21を自動で開閉するための回転力を発生させるモータ(図示せず)を内蔵する。モータの回転力は、プーリやタイミングベルトなどの動力伝達部材(図示せず)を介して
図1~
図3に示す開閉方向d1への駆動力として引戸21に伝達される。
【0030】
図1~
図3の例において、引戸21は、第1ドア211と、第1ドア211よりも全閉位置において戸先側(すなわち、閉方向d12側)に位置する第2ドア212とを有し、引戸21の側方の壁23側に向かってスライドすることで開動作を行い、壁23から離反する側に向かってスライドすることで閉動作を行う片引きタイプの二重引き戸である。
【0031】
防護柵10は、開動作中の引戸21に接触する恐れがある全開位置側の領域への通行者の進入を回避する意図で設置されている。防護柵10は、引戸21が全開位置にあるときに引戸21と対面するように設置され、引戸21の戸尻21aの動線上への人の侵入を防ぐ。
図1~
図3の例において、防護柵10は、引戸21の全開位置側において引戸21に重なる(すなわち、対面する)固定体であるFIX22に対向して設置されている。引戸21の全開位置側において引戸21に重なる固定体として、FIX22の替わりに壁が設けられていてもよい。
【0032】
二重引き戸は、ドアの個数が単数である通常の片引きタイプの引き戸と比較して、FIX22の開閉方向d1の寸法を小さくすることができる。このため、二重引き戸は、制約された建物の開口を効率的に利用して自動ドア装置20の有効開口幅を大きくとることができる。すなわち、二重引き戸は、通常の引き戸と比較して通行性に優れている。なお、引戸21の具体的な態様は
図1~
図3の態様に限定されず、例えば、通常の引き戸、複数の第2ドア212を有する三重以上の多重引き戸、第1ドア211および第2ドア212を二組有する引き分けタイプの二重引き戸、円形引き戸等の種々の態様を選択することができる。
【0033】
図4に示される位置検出器25は、ドアエンジン24のモータの回転に応じて引戸21の位置を示す位置信号を生成し、生成された位置信号をドアコントローラ26に出力する。位置検出器25は、引戸21の位置を検知できるのであれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、位置検出器25は、モータに設けられたホール素子の検出信号の位相に基づいて位置信号を生成してもよい。あるいは、位置検出器25は、モータの回転を検知する回転エンコーダの検出信号、または引戸21の開閉位置を検知するために設けられるリニアエンコーダの検出信号に基づいて位置信号を生成してもよい。
【0034】
ドアコントローラ26は、バス4を介して検知装置30および起動センサ3に接続されている。バス4は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信が可能なCANバスである。ドアコントローラ26は、バス4を介した通信によって、検知装置30から後述する防護柵側検知エリア内の通行者の検知状況に応じた停止信号を取得する。また、ドアコントローラ26は、バス4を介した通信によって、起動センサ3から後述するドア側検知エリア内の通行者の検知状況に応じた起動信号を取得する。また、ドアコントローラ26は、位置検出器25から出力された位置信号を取得する。
【0035】
ドアコントローラ26は、検知装置30から取得された信号、起動センサ3から取得された起動信号および位置検出器25から取得された位置信号に基づいて、モータに供給する電力を制御することでモータの駆動制御を行う。モータの駆動制御は、モータの駆動の有無、駆動速度、駆動トルクおよび回転方向の少なくとも1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせの制御である。
【0036】
ドアコントローラ26は、モータの駆動制御が可能な構成であれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、ドアコントローラ26は、起動センサ3からの信号に応じてPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力し、PWM信号のデューティ比によってモータの駆動速度を制御するCPUと、PWM信号によってオンオフ制御される半導体スイッチ(例えば、FET)をアームとして有するとともにモータに接続されたHブリッジ回路と、Hブリッジ回路に接続され、半導体スイッチのオン状態に応じて、モータに正回転または逆回転用の電流信号(すなわち、駆動信号)を印加する直流電源と、を備えていてもよい。
【0037】
ここで、ドアコントローラ26のより具体的な構成を説明する前に、検知装置30および起動センサ3の構成について説明する。
【0038】
図1~
図3に示すように、検知装置30は、自動ドア装置20の無目部28における防護柵10の上方に設けられている。
【0039】
検知装置30は、検知部31と、出力部32とを備える。検知部31は、引戸21が全閉位置にあるときに引戸21の戸尻21a近傍の領域であって防護柵10よりも自動ドア装置20側の床面6上の領域の少なくとも一部に、人又は物を検知する防護柵側検知エリア5Aを有する。防護柵側検知エリア5Aは、開動作時における引戸21との衝突から防護柵10の内側に入り込んだ通行者を保護するために用いるエリアである。防護柵側検知エリア5Aは、検知装置30を用いて通行者を検知可能な床面6上の領域である。防護柵側検知エリア5Aは、二次元方向だけでなく三次元方向にも幅を有していてもよい。
【0040】
検知部31は、防護柵側検知エリア5Aへの近赤外光の投光によって防護柵側検知エリア5Aの検知状況を取得してもよい。また、検知部31は、近赤外光の投光以外にも、防護柵側検知エリア5Aへの電波の発信や撮像などの方法によって防護柵側検知エリア5Aの検知状況を取得してもよい。
【0041】
検知部31は、近赤外光の反射光などの防護柵側検知エリア5Aから取得された情報を、当該情報の物理量(例えば、反射光の受光量)に応じた電気信号に変換することで、防護柵側検知エリア5Aの検知状況を示す検知信号を生成する。
【0042】
検知部31は、検知信号の信号値が人または物の検知の閾値に達しているか否かを判断基準として、通行者が検知されたか否かを判断する。
【0043】
出力部32は、検知部31が通行者を検知した検知状態になったときに、引戸21が減速又は停止するように引戸21を開閉駆動するドアエンジン24を制御する信号を、バス4経由でドアコントローラ26に出力する。なお、出力部32は、ドアコントローラ26が兼ねてもよいし、検知部31とともに同一の筐体内に収容された検知部31と一体の構成であってもよい。また、自動ドア装置20と別体の構成であってもよい。
【0044】
一方、
図3に示すように、起動センサ3は、無目部28における全閉状態の引戸21の中央部の上方に設けられている。起動センサ3は、天井などの無目部28以外の場所に設けられていてもよい。
【0045】
起動センサ3は、ドア側検知エリア5Bを有する。ドア側検知エリア5Bは、引戸21の起動または閉動作時における引戸21との衝突から通行者を保護するために用いるエリアである。ドア側検知エリア5Bは、起動センサ3を用いて通行者を検知可能な床面6上の領域である。防護柵側検知エリア5Aと同様に、ドア側検知エリア5Bは、二次元方向だけでなく三次元方向にも幅を有していてもよい。なお、ドア側検知エリア5Bと防護柵側検知エリア5Aとは、部分的に重複してもよい。
【0046】
図3の例では、引戸21に対する進入側の床面6上に配置された検知エリア5を示しているが、検知エリア5は、引戸21を挟んで反対側の、引戸21に対する退出側の床面上にも設定されていてもよい。また、起動センサ3は、ドア側検知エリア5Bへの近赤外光の投光によってドア側検知エリア5Bの検知状況を取得してもよい。また、起動センサ3は、近赤外光の投光以外にも、ドア側検知エリア5Bへの電波の発信や撮像などの方法によってドア側検知エリア5Bの検知状況を取得してもよい。
【0047】
起動センサ3は、近赤外光の反射光などのドア側検知エリア5Bから取得された情報を、当該情報の物理量(例えば、受光量)に応じた電気信号に変換することで検知信号を生成し、生成された検知信号の信号値が人または物の検知の閾値に達しているか否かを判断基準として、通行者が検知されたか否かを判断する。具体的には、起動センサ3は、検知信号の信号値の基準値と、検知の有無を判断するための基準値に対する信号値の変化量の閾値とを記憶しておき、信号値が閾値以上である場合に、通行者が検知されたと判断する。なお、引戸21の起動に用いる起動検知エリアの閾値よりも、保護検知エリアの閾値は低く設定されていてもよい。
【0048】
そして、起動センサ3は、全閉状態において起動検知エリアで通行者を検知したときに、ドアコントローラ26に対して検知信号を出力し、ドアコントローラ26は検知信号に基づいて引戸21の起動(すなわち、開動作)を行う。また、起動センサ3が、全開状態において保護検知エリアで通行者を検知したときには、ドアコントローラ26は引戸21の閉動作を中止する。なお、ドアコントローラ26に替えて、起動センサ3が検知信号に基づいて起動信号や閉動作の中止を指示する信号をドアコントローラ26に出力してもよい。
【0049】
次に、ドアコントローラ26のより具体的な構成を説明する。ドアコントローラ26は、検知装置30および起動センサ3から出力された信号に応じたドアエンジン24の駆動制御を行う。例えば、ドアコントローラ26は、検知装置30の出力部32から停止信号が出力された場合に、引戸21の開動作を停止する停止制御を行う。また、ドアコントローラ26は、起動センサ3から起動信号が出力された場合に、引戸21を開動作させる開駆動制御を行う。
【0050】
(動作例)
次に、以上のように構成された自動ドアシステム1の動作例について説明する。
図5は、
図1の自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0051】
図5に示すように、先ず、検知装置30の出力部32は、位置検出器25で生成された位置信号をドアコントローラ26からバス4経由で取得し、取得された位置信号に基づいて、引戸21が開動作中であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0052】
引戸21が開動作中である場合(ステップS1:Yes)、出力部32は、検知部31が検知状態であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0053】
一方、引戸21が開動作中でない場合(ステップS1:No)、出力部32は、引戸21が開動作中であるか否かの判定を繰り返す(ステップS1)。
【0054】
検知部31が検知状態である場合(ステップS2:Yes)、出力部32は、ドアコントローラ26に停止信号を出力する(ステップS3)。
【0055】
一方、検知部31が検知状態でない場合(ステップS2:No)、出力部32は、引戸21が開動作中であるか否かの判定を繰り返す(ステップS1)。
【0056】
停止信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して引戸21の停止制御を行う(ステップS4)。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、開動作中に検知部31によって防護柵側検知エリア5A内で通行者が検知された場合に、出力部32によって停止信号を出力することで、引戸21を停止させることができる。これにより、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を抑制することができる。
【0058】
(第1の変形例)
次に、検知部31が検知状態になった場合に減速信号を出力する第1の変形例について説明する。
図6は、本実施形態の第1の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0059】
図1~
図5では、検知部31が検知状態になった場合に停止信号を出力する例について説明した。これに対して、第1の変形例における出力部32は、
図6に示すように、開動作中に検知部31が検知状態である場合(ステップS2:Yes)、引戸21を減速させるようにドアエンジン24を制御する減速信号を、ドアコントローラ26に出力する(ステップS3a)。
【0060】
減速信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して引戸21の減速制御を行う(ステップS4a)。
【0061】
第1の変形例によれば、開動作中に検知部31が検知状態になったときに、出力部32によって減速信号を出力することで、引戸21を減速させることができる。これにより、通行性を維持したまま、防護柵10の内側に入り込んだ通行者の退避時間を確保することで通行者と引戸21との衝突を抑制することができる。
【0062】
(第2の変形例)
次に、検知部31が検知状態になった場合に、減速信号を出力した後に停止信号を出力する第2の変形例について説明する。
図7は、本実施形態の第2の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0063】
図7に示すように、第2の変形例における出力部32は、開動作中に検知部31が検知状態である場合(ステップS2:Yes)、ドアコントローラ26に減速信号を出力する(ステップS3a)。
【0064】
減速信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して引戸21の減速制御を行う(ステップS4a)。
【0065】
減速制御が行われた後、出力部32は、ドアコントローラ26に停止信号を出力する(ステップS3)。
【0066】
停止信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して引戸21の停止制御を行う(ステップS4)。
【0067】
第2の変形例によれば、開動作中に検知部31が検知状態になったときに、出力部32によって減速信号の出力およびその後の停止信号の出力を行うことで、引戸21を減速させた後に停止させることができる。これにより、通行性を維持しつつ、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を第1の変形例よりも効果的に抑制することができる。
【0068】
(第3の変形例)
次に、検知部31が検知状態になった場合に、減速信号を出力した後に低エネルギー駆動信号を出力する第3の変形例について説明する。
図8は、本実施形態の第3の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0069】
図8に示すように、第2の変形例における出力部32は、開動作中に検知部31が検知状態である場合(ステップS2:Yes)、ドアコントローラ26に減速信号を出力する(ステップS3a)。
【0070】
減速信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して引戸21の減速制御を行う(ステップS4a)。
【0071】
減速制御が行われた後、出力部32は、引戸21の運動エネルギーが所定値(例えば、1.69J)以下となる速度で引戸21を開動作させるようにドアエンジン24を制御する低エネルギー駆動信号をドアコントローラ26に出力する(ステップS3b)。
【0072】
低エネルギー駆動信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して引戸21の運動エネルギーが所定値以下となる速度で引戸21を開動作させる低エネルギー駆動制御を行う(ステップS4b)。低エネルギー駆動制御によって、引戸21は、減速制御による減速時よりも低速に制御される。
【0073】
第3の変形例によれば、開動作中に検知部31が検知状態になったときに、出力部32によって減速信号の出力およびその後の低エネルギー駆動信号の出力を行うことで、引戸21を減速させた後に引戸21の運動エネルギーが所定値以下となる速度で引戸21を開動作させることができる。これにより、第2の変形例よりも通行性を効果的に維持しつつ、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を抑制することができる。
【0074】
(第4の変形例)
次に、検知部31が検知状態になった場合にドアエンジン停止信号を出力する第4の変形例について説明する。
図9は、本実施形態の第4の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0075】
図9に示すように、先ず、検知装置30の出力部32は、位置検出器25で生成された位置信号をドアコントローラ26からバス4経由で取得し、取得された位置信号に基づいて、引戸21が全閉状態であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0076】
引戸21が全閉状態である場合(ステップS6:Yes)、出力部32は、検知部31が検知状態であるか否かを判定する(ステップS2a)。
【0077】
一方、引戸21が全閉状態でない場合(ステップS6:No)、出力部32は、
図5で説明したステップS1~ステップS4を実施する。
【0078】
全閉状態において検知部31が検知状態である場合(ステップS2a:Yes)、出力部32は、ドアエンジン24を停止するドアエンジン停止信号(すなわち、駆動部停止信号)をドアコントローラ26に出力する(ステップS7)。
【0079】
一方、検知部31が検知状態でない場合(ステップS2a:No)、出力部32は、引戸21が全閉状態であるか否かの判定を繰り返す(ステップS6)。
【0080】
ドアエンジン停止信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24の停止制御を行う(ステップS8)。ドアエンジン24の停止制御によって、全閉状態を維持するためにドアエンジン24が引戸21を閉方向に押し付ける動作が行われなくなる。これにより、手動での引戸21の開閉が可能となる。
【0081】
第4の変形例によれば、全閉状態において検知部31が検知状態になったときに、出力部32によってドアエンジン停止信号を出力することで、手動での引戸21の開閉を許容することができる。これにより、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を
図1~
図5の例よりも効果的に抑制することができる。
【0082】
(第5の変形例)
次に、ドアエンジン停止信号の出力後に引戸21の手動開閉が可能になったことを報知する第5の変形例について説明する。
図10は、本実施形態の第5の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図11は、本実施形態の第5の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0083】
図10に示すように、第5の変形例における検知装置30は、
図4の構成に加えて、更に、報知部33を備える。報知部33は、出力部32によるドアエンジン停止信号の出力後に、引戸21の手動開閉が可能になったことを報知する。報知の具体的な態様は特に限定されず、例えば、音声出力および画像表示の少なくとも一方で行ってもよい。また、報知部33は、検知装置と別体でもよい。
【0084】
図11に示すように、第5の変形例の動作例は、第4の変形例に対して、ドアエンジン24の停止制御(ステップS8)後に報知部33による引戸21の手動開閉可能状態の報知を実施する工程(ステップS9)を追加したものとなる。
【0085】
第5の変形例によれば、引戸21が手動開閉可能であることを報知することで、第4の変形例よりも利便性を向上させることができる。
【0086】
(第6の変形例)
次に、検知部31が検知状態でなくなったときに減速又は停止信号の出力を停止する第6の変形例について説明する。
図12は、本実施形態の第6の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0087】
図12に示すように、第6の変形例における自動ドアシステム1は、
図5のステップS1~ステップS4を実施した後に、ステップS10~ステップS12を実施する。
【0088】
具体的には、出力部32は、引戸21の減速又は停止制御(ステップS4)が行われた後、検知部31が検知状態でなくなったか否かを判定する(ステップS10)。
【0089】
検知部31が検知状態でなくなった場合(ステップS10:Yes)、出力部32は、信号の出力を停止する(ステップS11)。
【0090】
一方、検知部31が検知状態である場合(ステップS10:No)、出力部32は、検知部31が検知状態でなくなったか否かの判定を繰り返す(ステップS10)。
【0091】
停止信号の出力が停止された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して起動センサ3の検知に応じた引戸21の開駆動制御を行う。
【0092】
第6の変形例によれば、検知部31が検知状態でなくなったときに信号の出力を停止することで、起動センサ3による引戸21の開動作を再開させることができる。これにより、
図1~
図5の例よりも通行性を向上させることができる。
【0093】
(第7の変形例)
次に、検知部31が検知状態でなくなったときにドアコントローラ26のドアエンジン24に対する制御を切り換える信号を出力する第7の変形例について説明する。
図13は、本実施形態の第7の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0094】
図13に示すように、第7の変形例における自動ドアシステム1は、
図5のステップS1~ステップS4を実施した後に、ステップS10、ステップS11aを実施する。
【0095】
具体的には、出力部32は、引戸21の減速又は停止制御(ステップS4)が行われた後、検知部31が検知状態でなくなったか否かを判定する(ステップS10)。
【0096】
検知部31が検知状態でなくなった場合(ステップS10:Yes)、出力部32は、起動センサ3の検知に応じた制御を指示する切替信号をドアコントローラ26に出力する(ステップS11a)。
【0097】
一方、検知部31が検知状態である場合(ステップS10:No)、出力部32は、検知部31が検知状態でなくなったか否かの判定を繰り返す(ステップS10)。
【0098】
切替信号が出力された後、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して起動センサ3の検知に応じた引戸21の開駆動制御を行う(ステップS12)。
【0099】
第7の変形例によれば、検知部31が検知状態でなくなったときに切替信号を出力することで、起動センサ3による引戸21の開動作を再開させることができる。これにより、
図1~
図5の例よりも通行性を向上させることができる。
【0100】
(第8の変形例)
次に、検知部31が検知状態になったときに警告情報を発信する第8の変形例について説明する。
図14は、本実施形態の第8の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図15は、本実施形態の第8の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図15のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0101】
図14に示すように、第8の変形例における検知装置30は、
図4の構成に加えて、更に、警告発信部34を備える。警告発信部34は、検知部31が検知状態になったときに、防護柵側検知エリア5Aに入り込んだ通行者に防護柵側検知エリア5Aからの退避を促す警告情報を発信する。警告情報の具体的な態様は特に限定されず、例えば、音声情報および画像情報の少なくとも一方であってもよい。また、警報発信部34は検知装置30と別体であってもよい。
【0102】
図15に示すように、第8の変形例の動作例は、
図5に対して、引戸21の停止制御(ステップS4)後に警告発信部34による警告情報の発信を実施する工程(ステップS13)を追加したものとなる。
【0103】
第8の変形例によれば、警告情報を発信することで、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を
図1~
図5の例よりも効果的に抑制することができる。
【0104】
(第9の変形例)
次に、全閉状態において検知部31が検知状態になったときに全閉状態を維持する第9の変形例について説明する。
図16は、本実施形態の第9の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図16のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0105】
図16に示すように、先ず、検知装置30の出力部32は、位置検出器25で生成された位置信号をドアコントローラ26からバス4経由で取得し、取得された位置信号に基づいて、引戸21が全閉状態であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0106】
引戸21が全閉状態である場合(ステップS6:Yes)、出力部32は、検知部31が検知状態であるか否かを判定する(ステップS2a)。
【0107】
一方、引戸21が全閉状態でない場合(ステップS6:No)、出力部32は、
図5で説明したステップS1~ステップS4を実施する。
【0108】
全閉状態において検知部31が検知状態である場合(ステップS2a:Yes)、ドアコントローラ26は、ドアエンジン24に対して、引戸21の全閉状態の維持制御を行う(ステップS14)。引戸21の全閉状態の維持制御は、全閉状態の引戸21を閉方向に押し付ける動作をともなう。
【0109】
一方、検知部31が検知状態でない場合(ステップS2a:No)、出力部32は、引戸21が全閉状態であるか否かの判定を繰り返す(ステップS6)。
【0110】
なお、
図16のフローチャートに示されている動作に加えて、更に、ドアコントローラ26は、
図17に示される検知装置30および起動センサ3の検知状態と引戸21の駆動制御との対応関係にしたがって引戸21の駆動を制御してもよい。
【0111】
第9の変形例によれば、全閉状態において検知部31が検知状態になったときに全閉状態を維持することで、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を
図1~
図5の例よりも効果的に抑制することができる。
【0112】
(第10の変形例)
次に、全閉状態において、引戸21を挟んで防護柵側検知エリア5Aおよびドア側検知エリア5Bの反対側に配置された起動検知エリアからの起動信号に応じて引戸21を低エネルギー駆動制御する第10の変形例について説明する。
図18は、本実施形態の第10の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図19は、本実施形態の第10の変形例による自動ドアシステム1を示す鳥瞰図である。
図20は、本実施形態の第10の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図20のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0113】
図18に示すように、第10の変形例における自動ドアシステム1は、
図4の構成に加えて、更に、第2の起動センサ3aを備える。
図19に示すように、第2の起動センサ3aは、防護柵側検知エリア5Aおよびドア側検知エリア5Bに対して引戸21を挟んで反対側の床面上に、所定領域の一例として、起動検知エリアを含む検知エリア5Cを有する。以下、検知エリア5Cのことを、反対側検知エリア5Cとも呼ぶ。反対側検知エリア5Cの詳細な構成は、ドア側検知エリア5Bと同様である。
【0114】
図20に示すように、先ず、検知装置30の出力部32は、位置検出器25で生成された位置信号をドアコントローラ26からバス4経由で取得し、取得された位置信号に基づいて、引戸21が全閉状態であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0115】
引戸21が全閉状態である場合(ステップS6:Yes)、出力部32は、検知部31が検知状態であるか否かを判定する(ステップS2a)。
【0116】
一方、引戸21が全閉状態でない場合(ステップS6:No)、出力部32は、
図5で説明したステップS1~ステップS4を実施する。
【0117】
全閉状態において検知部31が検知状態である場合(ステップS2a:Yes)、ドアコントローラ26は、反対側検知エリア5Cから人又は物体の検知にともなう起動信号が取得されたか否かを判定する(ステップS15)。
【0118】
反対側検知エリア5Cから起動信号が取得された場合(ステップS15:Yes)、ドアコントローラ26は、引戸21の低エネルギー駆動制御を行う(ステップS5a)。
【0119】
一方、反対側検知エリア5Cから起動信号が取得されなかった場合(ステップS15:No)、ドアコントローラ26は、引戸21の全閉状態の維持制御を行う(ステップS14)。
【0120】
第10の変形例によれば、全閉状態において、検知部31が検知状態になり、かつ、反対側検知エリア5Cで人又は物体が検知されたときに、引戸21を低エネルギー駆動制御することで、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を抑制しつつ、防護柵10の反対側からの通行者の通行性を確保することができる。
【0121】
(第11の変形例)
次に、全閉状態において反対側検知エリア5Cからの起動信号に応じてドアエンジン24の停止制御を行う第11の変形例について説明する。
図21は、本実施形態の第11の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図21のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0122】
図21のフローチャートは、
図20のフローチャートに対して、反対側検知エリア5Cから起動信号が取得された場合(ステップS15:Yes)の次工程の内容が異なり、その他の内容は一致する。
【0123】
具体的には、
図21の例において、ドアコントローラ26は、反対側検知エリア5Cから起動信号が取得された場合(ステップS15:Yes)、ドアエンジン24の停止制御を行う(ステップS8)。
【0124】
第11の変形例によれば、全閉状態において、検知部31が検知状態になり、かつ、反対側検知エリア5Cから起動信号が取得されたときに、ドアエンジン24の停止制御を行って引戸21の手動開閉を許容することで、防護柵10の内側に入り込んだ通行者と引戸21との衝突を抑制しつつ、防護柵10の反対側からの通行者の通行性を確保することができる。
【0125】
(第12の変形例)
次に、検知部31が検知状態でなくなった場合に、引戸21の開閉動作が1回終了した後に引戸21の制御を起動センサ3の検知に応じたものに復帰させる第12の変形例について説明する。
図22は、本実施形態の第12の変形例による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図22のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0126】
図12および
図13では、検知部31が検知状態でなくなった場合に直ちに引戸21を制御を起動センサ3の検知に応じたものに復帰させる例について説明した。これに対して、第12の変形例による自動ドアシステム1は、検知部31が検知状態でなくなった場合に、引戸21の開閉動作が1回終了した後に通常の引戸21の制御を起動センサ3の検知に応じたものに復帰させるように構成されている。
【0127】
具体的には、
図22に示すように、第12の変形例による自動ドアシステム1は、
図11と同様にステップS1~ステップS4、ステップS10およびステップS11を実施する。ステップS11が実施された後、ドアコントローラ26は、低速モードでの引戸21の駆動制御(ステップS16)を開始する。低速モードとは、通常起動センサ3の検知に応じて引戸21を駆動するときよりも低速度で引戸21を駆動するモードである。
【0128】
低速モードでの引戸21の駆動制御を開始した後、ドアコントローラ26は、1回の引戸21の開閉動作が終了したか否かを判定する(ステップS17)。
【0129】
1回の引戸21の開閉動作が終了した場合(ステップS17:Yes)、これ以降、ドアコントローラ26は、起動センサ3の検知に応じて引戸21の駆動制御を行う。
【0130】
一方、1回の引戸21の開閉動作が終了していない場合(ステップS17:No)、ドアコントローラ26は、低速モードでの引戸21の駆動制御を繰り返す(ステップS16)。
【0131】
第12の変形例によれば、検知部31が検知状態でなくなった場合に、引戸21の開閉動作が1回終了した後に引戸21の制御を起動センサ3の検知に応じたものに復帰させることで、第6の変形例および第7の変形例と比較して、ドアエンジン24にかかる負荷を軽減することができる。
【0132】
(第13の変形例)
次に、防護柵10の閉方向側の端部の近傍に防護柵側検知エリア5Aを配置する第13の変形例について説明する。
図23は、本実施形態の第13の変形例による自動ドアシステム1を示す平面図である。これまでは、防護柵10における開閉方向d1の全範囲にわたって防護柵側検知エリア5Aを配置した例について説明した。
【0133】
これに対して、
図23に示すように、防護柵10の閉方向d12側の端部10aの近傍にのみ防護柵側検知エリア5Aを配置してもよい。防護柵10の内側に入り込む人は、通常、先ずは、防護柵10の閉方向d12側の端部10aの近傍領域に入り込む。このような近傍領域のみに防護柵側検知エリア5Aを配置することで、検知装置30の監視負担を軽減することができる。
【0134】
なお、上述した実施形態および変形例においては、検知装置30と起動センサ3とが別体の構成であるが、検知装置30と起動センサ3とは、一体の構成であってもよい。例えば、検知装置30の検知部31が、防護柵側検知エリア5Aおよびドア側検知エリア5Bの双方を有していてもよい。
【0135】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0136】
また、上述した変形例を含む実施の形態で説明した構成の一部を組み合わせたり、置き換えたりすることも可能である。更に、上述した変形例を含む実施の形態で説明した構成の一部のみを適用することも可能である。これらの場合、本明細書に明示されたものの他、それぞれの構成から導かれる特有の構成を有する。
【符号の説明】
【0137】
10 防護柵
20 自動ドア装置
21 引戸
24 ドアエンジン
30 検知装置
31 検知部
32 出力部