(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ペン型入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20230331BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20230331BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2019041868
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】臼井 孝
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136364(JP,A)
【文献】特開2009-237769(JP,A)
【文献】特開2011-018090(JP,A)
【文献】特開平10-240442(JP,A)
【文献】特開2013-242821(JP,A)
【文献】特開2010-231267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0206330(US,A1)
【文献】実開昭55-094881(JP,U)
【文献】特開平07-261909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0363034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面へのタッチ操作により入力操作が可能な情報処理装置に用いる複数の機能を有するペン型入力装置であって、
柱状のペン本体と、
前記ペン本体の表面の一部に設けられた接触センサと、
前記接触センサの検出結果に基づき前記ペン本体の保持位置を判定する検出位置判定部と、
前記検出位置判定部の判定結果に基づき当該ペン型入力装置の機能を特定する機能特定部と、
を備え、
前記接触センサは、前記ペン本体の表面における前記ペン本体を保持する持ち手の指が接触する位置と、前記持ち手の親指付け根と人差し指付け根との間の一部が接触する位置とを検出し、
前記ペン本体は、前記接触センサの特定の検出位置に対応する前記ペン本体の表面の特定位置に、前記検出位置に対応して特定される機能を明示する表示部を更に備えることを特徴とするペン型入力装置。
【請求項2】
前記接触センサは、前記ペン本体の長手方向で少なくとも2箇所以上の複数の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載のペン型入力装置。
【請求項3】
前記検出位置判定部は、前記接触センサの検出結果に基づき、前記ペン本体を保持する持ち手の前記ペン本体の長手方向に沿った保持位置を判定することを特徴とする請求項1に記載のペン型入力装置。
【請求項4】
前記機能特定部に特定される機能は、入力モードの設定を含むことを特徴とする請求項1に記載のペン型入力装置。
【請求項5】
前記入力モードの設定は、ペン入力による線の太さの設定、消しゴム機能の設定、ペン入力によるペン入力モードの設定、ペン入力による線タイプの設定、図形入力の設定、編集機能の設定、ペン入力の色の設定のうち少なくとも何れか一設定を含むことを特徴とする請求項4に記載のペン型入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン型入力装置等に係り、特に、表示画面へのタッチ操作により入力操作が可能な情報処理装置に用いる複数の機能を有するペン型入力装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペン型入力装置において、側面部に接触検知手段を設けたものが知られている。
接触検知手段は、例えば、誤動作防止のための保持状態検出のためや、クリック等の操作を行う情報入力領域を設定するために用いられている。
【0003】
また、接触検知手段により、ペン型入力装置の持ち手を判断する技術が知られている。
従来技術として、例えば、電子機器において、ディスプレイ上で手書きしたストロークの長さや向きから持ち手を判断するようにしたものや(特許文献1を参照)、入力装置において、利用者が押圧した領域の面積から持ち手を判断するものが開示されている(特許文献2を参照)。
【0004】
また、ペン型入力装置において、側面部に設けられたセンサにより保持位置を検出して、ペン型入力装置を操作する際に、誤操作を防止するようにしたものや(特許文献3を参照)、ペン型入力装置のグリップ部の全周に亘り接触検知手段を配置して、保持する指の位置を検出して、指の接触位置に基づいて情報入力領域を設定するようにしたものが開示されている(特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5989903号
【文献】特開2015-146090号公報
【文献】特開2009-217604号公報
【文献】特開2010-238046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2の技術は、いずれも持ち手を正確に判断する技術として信頼性が高いもとは言えなかった。
【0007】
また、特許文献3,4の技術では、ペン型入力装置の保持位置を検出したり、保持する指の位置を検出するようにしているが、ペン型入力装置の向きを検出することができず、ペン型入力装置の操作が煩雑になり、操作性が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、ペン型の入力装置を使用する際に、入力装置の持ち手の状態を正確に判断するとともに、ペン型入力装置の向きを検出して、操作性の向上を図ったペン型入力装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表示画面へのタッチ操作により入力操作が可能な情報処理装置に用いる複数の機能を有するペン型入力装置であって、柱状のペン本体と、前記ペン本体の表面の一部に設けられた接触センサと、前記接触センサの検出結果に基づき前記ペン本体の保持位置を判定する検出位置判定部と、前記検出位置判定部の判定結果に基づき当該ペン型入力装置の機能を特定する機能特定部と、を備え、前記接触センサは、前記ペン本体の表面における前記ペン本体を保持する持ち手の指が接触する位置と、前記持ち手の親指付け根と人差し指付け根との間の一部が接触する位置とを検出することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、表示画面へのタッチ操作により入力操作が可能な情報処理装置に用いる複数の機能を有するペン型入力装置の入力制御方法であって、当該ペン型入力装置の柱状のペン本体を保持されたことを検出する検出工程と、前記検出した結果に基づき前記ペン本体の保持位置を判定する判定工程と、前記判定した結果に基づき当該ペン型入力装置の機能を特定する特定工程と、を備え、前記検出工程では、前記ペン本体を保持する持ち手の指が接触する位置と、前記持ち手の親指付け根と人差し指付け根との間の一部が接触する位置とを検出することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、表示画面へのタッチ操作により入力操作が可能な情報処理装置に用いる複数の機能を有するペン型入力装置のプログラムであって、コンピュータにより、当該ペン型入力装置の柱状のペン本体を保持されたことを検出する機能と、前記検出した結果に基づき前記ペン本体の保持位置を判定する機能と、前記判定した結果に基づき当該ペン型入力装置の機能を特定する機能と、を備え、前記ペン本体を保持する持ち手の指が接触する位置と、前記持ち手の親指付け根と人差し指付け根との間の一部が接触する位置とを検出する機能と、を実現させることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、表示画面へのタッチ操作により入力操作が可能な情報処理装置と、前記情報処理装置に対して入力操作を行うペン型入力装置とを用いる情報処理システムにおいて、
前記ペン型入力装置として、柱状のペン本体と、前記ペン本体の表面の一部に設けられた接触センサと、前記接触センサの検出結果に基づき前記ペン本体の保持位置を判定する検出位置判定部と、前記検出位置判定部の判定結果に基づき当該ペン型入力装置の機能を特定する機能特定部と、を備え、前記接触センサは、前記ペン本体の表面における前記ペン本体を保持する持ち手の指が接触する位置と、前記持ち手の親指付け根と人差し指付け根との間の一部が接触する位置とを検出することを特徴とするペン型入力装置を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、柱状のペン本体の表面の一部に設けられた接触センサにより、ペン本体の保持位置を検出して、前記ペン本体を保持する持ち手の指が接触する位置と、持ち手の親指付け根と人差し指付け根との間の一部が接触する位置とを検出することで、ペン本体の保持位置を正確に判定することができ、その判定結果に基づき当該ペン型入力装置の機能を特定するようにして、操作性の向上を図ることができるペン型入力装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係るペン型入力装置の使用状態を示す説明図である。
【
図2】前記ペン型入力装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】前記ペン型入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】前記ペン型入力装置の保持状態を示す説明図である。
【
図5】(a)、(b)は前記ペン型入力装置を3本の指で保持した状態を示す説明図である。
【
図6】(a)、(b)は前記ペン型入力装置を指の基部で保持する状態を示す説明図である。
【
図7】前記ペン型入力装置における機能設定を行う処理の一手順を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】前記ペン型入力装置において設定された機能をペン本体上に表示する表示部の一例を示す説明図である。
【
図10】前記表示部と接触センサとの位置関係を示す説明図である。
【
図11】(a)は機能に対応する接触センサのペン本体上の位置関係を示す説明図、(b)は接触センサと表示部とのペン本体上の位置関係を示す説明図である。
【
図12】第2実施形態に係るペン型入力装置において線の太さの設定を行う実施例1の設定を示す表である。
【
図13】第2実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例2の設定を示す表である。
【
図14】第2実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例3の設定を示す表である。
【
図15】第2実施形態に係るペン型入力装置においてペンタイプ設定を行う実施例4の設定を示す表である。
【
図16】第2実施形態に係るペン型入力装置において線タイプ設定を行う実施例5の設定を示す表である。
【
図17】第2実施形態に係るペン型入力装置において図形入力設定を行う実施例6の設定を示す表である。
【
図18】第2実施形態に係るペン型入力装置において編集設定を行う実施例7の設定を示す表である。
【
図19】第2実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力モード設定を行う実施例8の設定を示す表である。
【
図20】第3実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図21】前記ペン型入力装置におけるペン本体上の検出部と表示部との位置関係の一例を示す説明図である。
【
図22】(a)は第3実施形態に係るペン型入力装置におけるペン本体上の複数の検出部の位置関係を示す説明図、(b)は前記複数の検出部に対応する複数の表示部のペン本体上の位置関係を示す説明図である。
【
図23】第3実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力色の設定を行う実施例1の設定を示す表である。
【
図24】第3実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力の線幅の設定を行う実施例2の設定を示す表である。
【
図25】第4実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図26】前記ペン型入力装置のペン本体のペン先部側を保持したときの接触センサによる検出状態の一例を示す説明図である。
【
図27】前記ペン本体のペン先部側を保持した状態で入力操作を行う一例を示す説明図である。
【
図28】前記ペン本体の後端部側を保持したときの接触センサによる検出状態の一例を示す説明図である。
【
図29】前記ペン本体の後端部側を保持した状態で入力操作を行う一例を示す説明図である。
【
図30】第5実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図31】前記ペン型入力装置を構成するペン本体の構成の一例を示す説明図である。
【
図32】第5実施形態に係るペン型入力装置において線の太さの設定を行う実施例1の設定を示す表である。
【
図33】第5実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例2の設定を示す表である。
【
図34】第5実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例3の設定を示す表である。
【
図35】第5実施形態に係るペン型入力装置においてペンタイプ設定を行う実施例4の設定を示す表である。
【
図36】第5実施形態に係るペン型入力装置において線タイプ設定を行う実施例5の設定を示す表である。
【
図37】第5実施形態に係るペン型入力装置において図形入力設定を行う実施例6の設定を示す表である。
【
図38】第5実施形態に係るペン型入力装置において編集設定を行う実施例7の設定を示す表である。
【
図39】第5実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力モード設定を行う実施例8の設定を示す表である。
【
図40】第6実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図41】前記ペン型入力装置のペン本体を左手で保持したときの接触センサの検出位置の一例を示す説明図である。
【
図42】前記ペン本体を左手で保持したときの重力センサにより検出された重力方向を示す説明図である。
【
図43】前記ペン本体を右手で保持したときの接触センサの検出位置の一例を示す説明図である。
【
図44】前記ペン本体を右手で保持したときの重力センサにより検出された重力方向を示す説明図である。
【
図45】前記表示装置の表示画面にメニュー画面を表示したときの利用者とメニュー画面との位置関係を示す説明図である。
【
図46】第6実施形態に係るペン型入力装置によりメニュー画面を表示画面に表示する処理の一手順を示すフローチャートである。
【
図47】第7実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図48】前記ペン型入力装置により軌跡入力位置を補正して移動した状態を示す説明図である。
【
図49】前記ペン型入力装置による表示画面への通常の入力時のペン先の位置と軌跡入力位置との位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の第1実施形態に係るペン型入力装置の使用状態を示す説明図、
図2は前記ペン型入力装置の全体構成を示す説明図、
図3は前記ペン型入力装置の構成を示すブロック図、
図4は前記ペン型入力装置の保持状態を示す説明図、
図5(a)、(b)は前記ペン型入力装置を3本の指で保持した状態を示す説明図、
図6(a),(b)は前記ペン型入力装置を指の基部で保持する状態を示す説明図である。
【0016】
第1実施形態は、
図1,
図2に示すように、ペン型入力装置1であって、柱状のペン本体110と、接触センサ120として第1接触センサ121と第2接触センサ122とを備えて、第1接触センサ121および第2接触センサ122の検出結果に基づきペン本体110の保持位置を判定して、利用者Pのペン本体110の保持位置に応じてペン型入力装置1の機能を特定するようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
(ペン型入力装置の構成)
ペン型入力装置1は、表示画面へのタッチ操作により入力操作が可能な情報処理装置(図示省略)に用いる入力装置であって、複数の機能を有する。
【0018】
ペン型入力装置1は、
図3に示すように、主に、ペン本体110と、接触センサ120と、検出位置判定部130と、機能特定部140と、機能切替部150と、通信部160と、制御部170とを備えて構成されている。
【0019】
ペン本体110は、
図2に示すように、一端部を先細の円柱状を呈したペン先部111とし、他端部を後端部112として、ペン先部111から後端部112に亘り円柱状に形成されている。ペン本体110は、表面の一部の外周全域にわたり検出可能な接触センサ120を備えている。
なお、ペン本体110の形状は、円柱状に限られるものではなく、例えば、6角形状等の多角形状の柱状体であってもよい。
【0020】
接触センサ120は、ペン先部111側に第1接触センサ121を備え、第1接触センサ121から後端部112側へ所定量を離間した位置に第2接触センサ122を備えている。第1接触センサ121と第2接触センサ122との間隔は、経験的に設定してもよく、間隔を調整可能に構成してもよい。
【0021】
検出位置判定部130は、接触センサ120の検出結果に基づき利用者Pの持ち手によるペン本体110の保持位置を判定する。そして、検出位置判定部130では、ペン本体110の保持位置に対応して利用者Pのペン型入力装置1の保持状態を特定するようにされている。
【0022】
機能特定部140は、検出位置判定部130の判定結果に基づき、ペン型入力装置1の有する複数の機能のうちからペン型入力装置1の保持位置に対応する機能を特定する。
機能特定部140では、検出位置判定部130の判定結果に基づき特定されたペン型入力装置1の保持状態(ペン型入力装置1の向き、回転角度、保持位置)に応じて操作時の機能を特定するようにされている。
【0023】
機能切替部150は、機能特定部140により特定された機能を実行するよう機能を切り替える。
【0024】
通信部160は、情報処理装置と通信接続を行なう。
制御部170は、ペン型入力装置1の行う処理の全体を制御するための機能部である。
【0025】
(ペン型入力装置の保持位置の検出について)
次に、第1実施形態に係るペン型入力装置1の利用者Pにより保持されたときの接触センサ120による検出について説明する。
【0026】
第1実施形態において、利用者Pがペン型入力装置1を保持したときは、第1接触センサ121は、
図4に示すように、ペン先部111側を保持したことを検出する。また、第1接触センサ121は、
図4,
図5(a),(b)に示すように、利用者Pの親指F1と人差し指F2と中指F3による保持位置F11,F21,F31を検出する。
【0027】
第2接触センサ122は、
図4,
図6(a),(b)に示すように、利用者Pがペン型入力装置1を保持したときに、利用者Pの親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間の一部F4が接触する位置F41を検出する。
【0028】
第1接触センサ121および第2接触センサ122により、利用者Pがペン型入力装置1を保持したときの接触位置を検出した結果に基づいて、検出位置判定部130により、利用者Pによるペン型入力装置1の保持位置が判定される。そして、その保持位置に対応して予め設定されたペン型入力装置1の保持状態が特定される。
【0029】
例えば、
図5(a),(b)に示すように、第1接触センサ121により、利用者Pの親指F1と人差し指F2と中指F3による保持位置F11,F21,F31を検出し、
図6(a),(b)に示すように、第2接触センサ122により、利用者Pの親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間の一部F4が接触する位置F41を検出したときは、検出位置判定部130は、利用者Pがペン先側を保持した状態であると判定する。
【0030】
また、第2接触センサ122は、検出領域の構成を、利用者Pの親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間の一部F4が接触する位置に応じて、ペン型入力装置1の備える機能、例えば、ペン入力モード、消しゴムモード、色設定、線幅設定、ペンタイプ設定等の機能に対応するように構成してもよい。このように構成することで、ペン本体110を持ち手上で回転させるだけで、機能切り替えが可能になる。
【0031】
また、第2接触センサ122は、利用者Pの親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間の一部F4が特定の検出領域に接触したとき、ペン型入力装置1により入力操作を行う表示画面上にメニューを表示させるようにしてもよい。このように構成することで、簡単にメニュー表示を行うことが可能になる。
【0032】
(ペン型入力装置の機能設定の手順)
次に、第1実施形態に係るペン型入力装置1を使用する際に、ペン型入力装置1の機能を設定する処理の手順について、一例をフローチャートに沿って説明する。
図7は第1実施形態に係るペン型入力装置における機能設定を行う処理の一手順を示すフローチャートである。
【0033】
図7に示すように、ペン型入力装置1を用いて入力操作を行う場合は、まず、利用者Pはペン型入力装置1を手に取り、使用する状態に保持する(S101)。このとき、ペン本体110の接触センサ120(第1接触センサ121、第2接触センサ122)により利用者Pの持ち手が接触する位置が検出される(S103)。
【0034】
そして、接触センサ120の検出結果に基づき、検出位置判定部130により利用者Pによるペン型入力装置1の保持位置が判定される(S105)。そして、検出位置判定部130の判定結果に基づき、機能特定部140によりペン型入力装置1の保持位置に対応する機能が特定される(S107)。
【0035】
そして、機能切替部150により特定された機能に切り替えられて、入力操作により実行される機能が設定される(S109)。
【0036】
このようにして、利用者Pがペン型入力装置1を保持したときに、保持した状態に応じて入力操作により実行される機能を特定して設定することができる。
【0037】
利用者Pがペン型入力装置1を保持したときに特定される機能の設定は、保持位置が変わる毎に特定される機能を変更するようにしてもよく、また、特定された設定が解除されるまで設定状態を維持するようにしてもよい。
【0038】
以上のように構成したので、第1実施形態によれば、複数の機能を有するペン型入力装置1において、柱状のペン本体110と、接触センサ120と、検出位置判定部130と、機能特定部140と、を備え、接触センサ120により、ペン本体110の表面における利用者Pのペン本体110を保持する持ち手の親指F1と人差し指F2と中指F3とによる保持位置と、持ち手の親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間の一部F4が接触する位置とを検出することで、利用者Pのペン本体110の保持状態と保持位置とを正確に判定することができる。そして、その判定結果に基づき、ペン型入力装置1の保持位置に応じて当該ペン型入力装置1の機能を特定することができる。これにより、利用者Pがペン本体110を保持するだけで、保持位置に応じて入力操作に適した入力処理を特定することができるので、ペン型入力装置1の操作性の向上を図ることができる。
【0039】
また、第1実施形態では、接触センサ120として、ペン本体110のペン先部111側に第1接触センサ121を設け、その後端部112側に第2接触センサ122を設けたことで、利用者Pの持ち手の指により保持する位置と、親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間でペン本体110を保持する位置とを検出することができるので、利用者がペン型入力装置1のペン先側を保持した状態であることを正確に判定することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照して説明する。
第2実施形態は、第1実施形態に係るペン型入力装置1の構成に加えて、検出部により特定された機能を明示する表示部を備えて、特定された機能が確認できることを特徴とするものである。第2実施形態では、ペン本体の外周上の特定位置に検出部を配置することを特徴としている。
【0041】
図8は第2実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図、
図9は前記ペン型入力装置におけるペン本体上の検出部と表示部との位置関係の一例を示す説明図、
図10はペン本体上の前記表示部と接触センサとの位置関係の一例を示す拡大説明図、
図11(a)は複数の検出部のペン本体上の位置関係を示す説明図、(b)は前記複数の検出部に対応する複数の表示部のペン本体上の位置関係を示す説明図である。
【0042】
なお、説明の便宜上、第1実施形態と同一の機能を有する構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
【0043】
第2実施形態に係るペン型入力装置201は、
図8,
図9,
図10に示すように、接触センサ220の特定の検出位置に対応するペン本体210の表面の特定位置(特定の検出位置に対向する反対側の位置)に、特定の検出位置に対応して特定される機能(機能に関する情報)を明示する表示部213を備えることを特徴としている。
【0044】
(ペン型入力装置の構成)
ペン型入力装置201は、
図8に示すように、主に、ペン本体210と、接触センサ220と、検出位置判定部230と、機能特定部240と、機能切替部150と、通信部160と、制御部270とを備えて、さらに、表示部213を備えて構成されている。
【0045】
ペン型入力装置201は、
図9に示すように、ペン本体210上に接触センサ220として第1接触センサ221および第2接触センサ222を備えている。
【0046】
第1接触センサ221は、第1実施形態に係るペン型入力装置1の第1接触センサ121と同様に機能するように構成されている。
【0047】
第2接触センサ222は、ペン本体210の外周上に所定範囲で複数の検出部223が設けられている。第2実施形態では、複数の検出部223に対応して各々特定される機能が設定される。
【0048】
ペン本体210の外周上には、複数の検出部223に対応した特定位置に、検出部223により特定された機能の内容を表示する表示部213が設けられている。
【0049】
検出位置判定部230は、利用者Pがペン本体210を保持したときに、利用者Pの持ち手を検出した第2接触センサ222の検出部223に応じて、利用者Pが保持した位置を判定する。
【0050】
機能特定部240は、検出位置判定部230の判定結果に基づき、検出した検出部223に対応して予め設定された機能を特定する。
【0051】
例えば、
図9,
図10に示すように、第2接触センサ222の検出部223は、検出されると特定の機能に設定されるようになっている。そして、ペン本体210の外周上で、検出部223と対向する位置には表示部213が設けられている。
【0052】
表示部213は、検出部223に対応して設定された設定情報が印刷や刻印等で常に表示されたものであってもよく、また、検出部223が検出した状態のときに設定情報を表示するようにしたものであってもよい。ここでは、検出部223と対向する位置(反対側の位置)の表示部213には設定情報が表示される。
【0053】
(ペン本体の検出部と表示部との位置関係)
第2実施形態では、
図11(a)に示すように、第2接触センサ222の検出部223として、ペン本体210の外周上に、4か所の検出部223a,223b,223c,223dが設けられている。そして、
図11(b)に示すように、表示部213として、ペン本体210の外周上に、検出部223a,223b,223c,223dの各々に対応した特定位置に、表示部213a,213b,213c,213dが各々設けられている。
【0054】
第2実施形態では、ペン本体210の外周上の4か所に設けられた検出部223a,223b,223c,223dにそれぞれ異なる機能が対応するように設定されている。機能の設定は、設定A,B,C,Dの4設定が設けられている。
【0055】
そして、表示部213a,213b,213c,213dには、検出部223a,223b,223c,223dにおいて利用者の接触を検出したときに、設定A,B,C,Dの4設定に対応して、特定された設定情報がそれぞれ表示される。なお、設定数は4設定に限定されるものではない。
【0056】
以下に、第2実施形態に係るペン型入力装置201において、第2接触センサ222の検出部223により特定される機能の設定について、例を挙げて説明する。
【0057】
(実施例1)
実施例1では、第2接触センサ222により「線の太さ」を設定する。
図12は第2実施形態に係るペン型入力装置において線の太さの設定を行う実施例1の設定を示す表である。
【0058】
実施例1では、
図12に示すように、線の太さの設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応して線の太さを設定する。
【0059】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、極細線が設定される。このとき、表示部213aには「極細」と表示される。
【0060】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常の太さの線(予め設定された線の太さ)が設定される。このとき、表示部213bには「通常」(または「標準」)と表示される。
【0061】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、太線が設定される。このとき、表示部213aには「太」と表示される。
【0062】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、極太線が設定される。このとき、表示部213aには「極太」と表示される。
【0063】
なお、表示部213a,213b,213c,213dに表示される線の太さに関する表示は、例えば、1,2,3,・・・等の数値化して表示してもよい。
【0064】
(実施例2)
実施例2では、第2接触センサ222により「消しゴム設定(1)」を設定する。
図13は第2実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例2の設定を示す表である。
【0065】
実施例2では、
図13に示すように、消しゴム設定(1)を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応して消しゴムの消去幅(消す領域)とを設定する。
【0066】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、消しゴムではない通常入力(ペン入力)が設定される。このとき、表示部213aには「ペン入力」と表示される。
【0067】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、細い消去幅の消しゴムが設定される。このとき、表示部213bには「消しゴム(細)」と表示される。
【0068】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、普通の消去幅(予め設定された消去幅)の消しゴムが設定される。このとき、表示部213aには「消しゴム(普通)」と表示される。
【0069】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、太い消去幅の消しゴムが設定される。このとき、表示部213aには「消しゴム(太)」と表示される。
【0070】
なお、表示部213a,213b,213c,213dに表示される消しゴムの消去幅に関する表示は、例えば、1,2,3,・・・等の数値化して表示してもよい。
【0071】
(実施例3)
実施例3では、第2接触センサ222により「消しゴム設定(2)」を設定する。
図14は第2実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例3の設定を示す表である。
【0072】
実施例3では、
図14に示すように、消しゴム設定(2)を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応して消しゴムによる消去方法(描画の消し方)とを設定する。
【0073】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、消しゴムではない通常入力(ペン入力)が設定される。このとき、表示部213aには「ペン入力」と表示される。
【0074】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、接触した軌跡を消去する選択消去が設定される。このとき、表示部213bには「消しゴム(選択消去)」と表示される。
【0075】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、通過した軌跡を消去する通常の消去(予め設定された消去幅で消去)が設定される。このとき、表示部213aには「消しゴム(通常消去)」と表示される。
【0076】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、通過した回数だけ薄くなっていくぼかし消去が設定される。このとき、表示部213aには「消しゴム(ぼかし消去)」と表示される。
【0077】
(実施例4)
実施例4では、第2接触センサ222により「ペンタイプ」を設定する。
図15は第2実施形態に係るペン型入力装置においてペンタイプ設定を行う実施例4の設定を示す表である。
【0078】
実施例4では、
図15に示すように、ペンタイプ設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応してペンタイプを設定する。
【0079】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペン入力が設定される。このとき、表示部213aには「ペン入力」と表示される。
【0080】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、毛筆が設定される。このとき、表示部213bには「毛筆」と表示される。
【0081】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、マーカで塗りつぶす入力が設定される。このとき、表示部213aには「マーカ(塗りつぶし)」と表示される。
【0082】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、マーカでハイライト表示する入力が設定される。このとき、表示部213aには「マーカ(ハイライト)」と表示される。
【0083】
(実施例5)
実施例5では、第2接触センサ222により「線タイプ」を設定する。
図16は第2実施形態に係るペン型入力装置において線タイプ設定を行う実施例5の設定を示す表である。
【0084】
実施例5では、
図16に示すように、線タイプ設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応して線タイプを設定する。
【0085】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常の線入力が設定される。このとき、表示部213aには「通常」と表示される。
【0086】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、2重線による入力が設定される。このとき、表示部213bには「2重線」と表示される。
【0087】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、波線による入力が設定される。このとき、表示部213aには「波線」と表示される。
【0088】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、点線による入力が設定される。このとき、表示部213aには「点線」と表示される。
【0089】
(実施例6)
実施例6は、第2接触センサ222により「図形入力」を設定する。
図17は第2実施形態に係るペン型入力装置において図形入力設定を行う実施例6の設定を示す表である。
【0090】
実施例6では、
図17に示すように、図形入力設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応して図形の入力を設定する。
【0091】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペンによる描画が設定される。このとき、表示部213aには「ペン」と表示される。
【0092】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、直線による描画が設定される。このとき、表示部213bには「直線」と表示される。
【0093】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、四角形の画像(図形)による描画が設定される。このとき、表示部213aには「四角」と表示される。
【0094】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、円形の図形による描画が設定される。このとき、表示部213aには「円」と表示される。
【0095】
(実施例7)
実施例7では、第2接触センサ222により「編集」の機能を設定する。
図18は第2実施形態に係るペン型入力装置において編集設定を行う実施例7の設定を示す表である。
【0096】
実施例7では、
図18に示すように、編集設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応して編集の機能を設定する。
【0097】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペンにより編集する機能が設定される。このとき、表示部213aには「ペン」と表示される。
【0098】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、ページ送り、スクロール等による画面の移動を行う機能が設定される。このとき、表示部213bには「スワイプ」と表示される。
【0099】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、タッチ操作による画像等の選択、画像等をタッチしたまま移動(ドラッグ操作)、タッチ操作を解除した位置で固定(ドロップ操作)等を行う機能が設定される。このとき、表示部213aには「移動」と表示される。
【0100】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、テキストボックスを作成する機能が設定される。このとき、表示部213aには「テキストボックス」と表示される。
【0101】
(実施例8)
実施例8では、第2接触センサ222により「ペン入力モード」を設定する。
図19は第2実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力モード設定を行う実施例8の設定を示す表である。
【0102】
実施例8では、
図19に示すように、ペン入力モード設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ222の検出部223a,223b,223c,223dに対応してペン入力モードを設定する。
【0103】
設定Aは、検出部223aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペンにより入力を行う通常入力モードが設定される。このとき、表示部213aには「ペン」と表示される。
【0104】
設定Bは、検出部223bにおいて利用者の接触を検出した場合に、描画を消去する消しゴムモードが設定される。このとき、表示部213bには「消しゴム」と表示される。
【0105】
設定Cは、検出部223cにおいて利用者の接触を検出した場合に、メニューを表示するメニュー表示モードが設定される。このとき、表示部213aには「メニュー」と表示される。
【0106】
設定Dは、検出部223dにおいて利用者の接触を検出した場合に、ツールを選択するモードが設定される。このとき、表示部213aには「選択ツール」と表示される。
【0107】
以上のように構成したので、第2実施形態によれば、ペン型入力装置201において、ペン本体210に設けられる第2接触センサ222に特定の位置で検出する複数の検出部223を設け、複数の検出部223にそれぞれ対応するペン本体210の表面の特定位置(反対側)に、検出部223に対応して特定される機能を明示する表示部213をそれぞれ備えることで、利用者Pがペン本体210を保持した状態で、接触する検出部223を変更するだけで機能を変更することができ、さらに、その機能の変更内容を手元の表示部213により容易に確認することができる。
【0108】
また、表示部213の構成として、検出部223a,223b,223c,223dにおいて利用者Pの接触が検出されたときに、表示部213a,213b,213c,213dを、ペン本体210の親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間に位置する側面と反対側の領域の、視認できる位置に設けることで、入力軌跡が表示される表示画面の所定位置を確認することなく、手元の表示部213により設定された機能を容易に確認することができる。
【0109】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。
第3実施形態は、第1実施形態に係るペン型入力装置1の構成に加えて、第2実施形態と同様に、特定された機能を明示する表示部を備えて、特定された機能が確認できることを特徴とするものである。第3実施形態では、ペン本体の外周上の予め設定した所定角度の位置に検出部を配置することを特徴としている。
【0110】
図20は第3実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図、
図21は前記ペン型入力装置におけるペン本体上の検出部と表示部との位置関係の一例を示す説明図、
図22の(a)は第3実施形態に係るペン型入力装置におけるペン本体上の複数の検出部の位置関係を示す説明図、(b)は前記複数の検出部に対応する複数の表示部のペン本体上の位置関係を示す説明図である。
【0111】
なお、説明の便宜上、第1実施形態または第2実施形態と同一の機能を有する構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
【0112】
第3実施形態に係るペン型入力装置301は、
図22(a),(b)に示すように、ペン型入力装置1の構成に加えて、接触センサ320の特定の検出位置に対応するペン本体310の表面の特定位置(特定の検出位置に対向する反対側の位置)に、検出位置に対応して特定される機能(機能に関する情報)を明示する表示部313を備えることを特徴としている。
【0113】
(ペン型入力装置の構成)
ペン型入力装置301は、第2実施形態のペン型入力装置201と同じ様に構成され、
図20に示すように、主に、ペン本体310と、接触センサ320と、検出位置判定部330と、機能特定部340と、機能切替部150と、通信部160と、制御部370と、表示部313を備えて構成されている。
【0114】
ペン型入力装置301は、
図21に示すように、ペン本体310上に接触センサ320として第1接触センサ321および第2接触センサ322を備えている。
【0115】
第1接触センサ321は、第2実施形態に係るペン型入力装置201の第1接触センサ221と同様に機能するように構成されている。
【0116】
第2接触センサ322は、ペン本体310の外周上に所定範囲で複数の検出部323が設けられている。第3実施形態では、複数の検出部323に対応して各々特定される機能が設定される。
【0117】
ペン本体310の外周上には、複数の検出部323に対応した特定位置に、検出部323により特定された機能の内容を表示する表示部313が設けられている。
【0118】
検出位置判定部330は、利用者Pがペン本体310を保持したときに、利用者Pの持ち手を検出した第2接触センサ322の検出部323に応じて、利用者Pが保持した位置を判定する。
【0119】
機能特定部340は、検出位置判定部330の判定結果に基づき、検出した検出部323に対応して予め設定された機能を特定する。
【0120】
第3実施形態に係るペン型入力装置301の構成は、第2実施形態に係るペン型入力装置201と同様な構成を備えるものとして、詳しくは第2実施形態の説明に準ずるものとする。
【0121】
(ペン本体の検出部と表示部との位置関係)
第3実施形態では、
図22(a)に示すように、第2接触センサ322の検出部323として、ペン本体310の外周上の予め設定された所定角度の位置に、6か所の検出部323a,323b,323c,323d,323e,323fが設けられている。そして、
図22(b)に示すように、表示部313として、検出部323a,323b,323c,323d,323e,323fの各々に対応した特定位置に、ペン本体310の外周上に、表示部313a,313b,313c,313d,313e,313fが各々設けられている。
【0122】
第3実施形態では、
図22(a)に示すように、ペン本体310の外周上に、検出部323aの位置を基準角度0°(360°)として、検出部323bが設定角度60°、検出部323cが設定角度120°、検出部323dが設定角度180°、検出部323eが設定角度240°、検出部323fが設定角度300°の位置にそれぞれ設けられている。
そして、検出部323a,323b,323c,323d,323e,323fにそれぞれ異なる機能が対応するように設定されている。機能の設定は、設定A,B,C,D,E,Fの6設定が設けられている。
【0123】
そして、表示部313a,313b,313c,313d,313e,313fには、検出部323a,323b,323c,323d,323e,323fにおいて利用者の接触を検出したときに、設定A,B,C,D,E,Fの6設定に対応して、特定された設定情報がそれぞれ表示される。なお、設定数は6設定に限定されるものではない。
【0124】
以下に、第3実施形態に係るペン型入力装置301において、第2接触センサ322の検出部323により特定される機能の設定について、例を挙げて説明する。
【0125】
(実施例1)
実施例1では、第2接触センサ322により「ペン入力色」を設定する。
図23は第3実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力色の設定を行う実施例1の設定を示す表である。
【0126】
実施例1では、
図23に示すように、ペン入力色の設定を設定A,B,C,D,E,Fの6設定として、それぞれの設定を第2接触センサ322の検出部323a,323b,323c,323d,323e,323fに対応してペン入力色を設定する。
【0127】
設定Aは、基準角度0°の検出部323aにおいて利用者の接触を検出した場合に、赤色が設定される。このとき、表示部313aには「赤」と表示される。
【0128】
設定Bは、設定角度60°の検出部323bにおいて利用者の接触を検出した場合に、黄色が設定される。このとき、表示部313bには「黄」と表示される。
【0129】
設定Cは、設定角度120°の検出部323cにおいて利用者の接触を検出した場合に、緑色が設定される。このとき、表示部313cには「緑」と表示される。
【0130】
設定Dは、設定角度180°の検出部323dにおいて利用者の接触を検出した場合に、シアン色が設定される。このとき、表示部313dには「シアン」と表示される。
【0131】
設定Eは、設定角度240°の検出部323eにおいて利用者の接触を検出した場合に、青色が設定される。このとき、表示部313eには「青」と表示される。
【0132】
設定Fは、設定角度300°の検出部323fにおいて利用者の接触を検出した場合に、マゼンタ色が設定される。このとき、表示部313fには「マゼンタ」と表示される。
【0133】
これにより、ペン入力色が設定された場合に、設定された色が何色であるかを表示画面のメニュー等により確認する必要が無く、ペン型入力装置301のペン本体310の表示部313を見るだけで容易に確認することができる。
【0134】
なお、表示部313aから表示313bへ、表示部313bから表示部313cへ、・・・等、表示される色の切り替えは、利用者の接触を検出した検出部323が切り替わるとともに連続的に切り替わるようにしてもよい。
【0135】
また、実施例1では、ペン入力色の色相を切り替えるようにしているが、ペン入力色の明るさ(濃度の違い)や鮮やかさを変化するようにしてもよい。
【0136】
(実施例2)
実施例2では、第2接触センサ322によりペン入力の「線幅」を設定する。
図24は第3実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力の線幅の設定を行う実施例2の設定を示す表である。
【0137】
実施例2では、
図24に示すように、ペン入力の線幅を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を第2接触センサ322の検出部323a,323b,323c,323dに対応してペン入力の線幅を設定する。
【0138】
設定Aは、基準角度0°の検出部323aにおいて利用者の接触を検出した場合に、標準の線幅が設定される。このとき、表示部313aには「標準」と表示される。
【0139】
設定Bは、設定角度90°の検出部323bにおいて利用者の接触を検出した場合に、太い線幅が設定される。このとき、表示部313bには「太」と表示される。
【0140】
設定Cは、設定角度180°の検出部323cにおいて利用者の接触を検出した場合に、標準の線幅が設定される。このとき、表示部313cには「標準」と表示される。
【0141】
設定Dは、設定角度270°の検出部323dにおいて利用者の接触を検出した場合に、細い線幅が設定される。このとき、表示部313dには「細」と表示される。
【0142】
なお、ペン入力の線幅の設定は、上述した線幅に限定されるものではない。
【0143】
以上のように構成したので、第3実施形態によれば、ペン型入力装置301において、ペン本体310に設けられる第2接触センサ322に、予め設定された角度の位置で検出する複数の検出部323を設け、複数の検出部323にそれぞれ対応するペン本体310の表面の特定位置(反対側)に、検出部323に対応して特定される機能を明示する表示部313をそれぞれ備えることで、利用者Pがペン本体310を保持した状態で、接触する検出部323を変更することにより検出部323に対応する機能を変更することができ、さらに、その機能の変更内容を手元の表示部313により容易に確認することができる。
【0144】
また、表示部313の構成として、検出部323a,323b,323c,323dにおいて利用者Pの接触が検出されたときに、表示部313a,313b,313c,313d等を、ペン本体310の親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間に位置する側面と反対側の領域の利用者が視認できる位置に設けることで、入力軌跡が表示される表示画面の所定位置を確認することなく、手元の表示部313により設定された機能を容易に確認することができる。
【0145】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図面を参照して説明する。
第4実施形態は、第1実施形態に係るペン型入力装置1の構成に加えて、ペン本体を保持する持ち手のペン本体の長手方向に沿った保持位置に応じて機能を設定することを特徴とするものである。
【0146】
図25は第4実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図、
図26は前記ペン型入力装置のペン本体のペン先部側を保持したときの接触センサによる検出状態の一例を示す説明図、
図27は前記ペン本体のペン先部側を保持した状態で入力操作を行う一例を示す説明図、
図28は前記ペン本体の後端部側を保持したときの接触センサによる検出状態の一例を示す説明図、
図29は前記ペン本体の後端部側を保持した状態で入力操作を行う一例を示す説明図である。
【0147】
なお、説明の便宜上、第1実施形態と同一の機能を有する構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
【0148】
第4実施形態に係るペン型入力装置401は、
図25に示すように、ペン型入力装置1の構成に加えて、検出位置判定部430の機能として、接触センサ420の検出結果に基づき、ペン本体410を保持する持ち手のペン本体410の長手方向に沿った保持位置を判定することを特徴とするものである。
【0149】
(ペン型入力装置の構成)
ペン型入力装置401は、主に、ペン本体410と、接触センサ420と、検出位置判定部430と、機能特定部440と、機能切替部150と、通信部160と、制御部170とを備えて構成されている。
【0150】
ペン型入力装置401は、
図26,
図28に示すように、ペン本体410上にペン本体410の長手方向に沿って3箇所以上の接触センサ420を備えている。第4実施形態では、接触センサ420として、接触センサ420a,420b,420c,420dが配置されている。
【0151】
検出位置判定部430は、利用者Pがペン本体410を保持したときに、利用者Pの持ち手を検出した接触センサ420の位置に応じて、利用者Pが保持した位置を判定する。
【0152】
具体的には、
図26に示すように、利用者Pがペン本体410のペン先部411側を保持したときは、ペン先部411側の接触センサ420a,420bが利用者Pの持ち手を検出する。検出位置判定部430は、その検出結果に基づき、利用者Pがペン本体410のペン先部411側を保持したことを判定する。
【0153】
一方、
図28に示すように、利用者Pがペン本体410の後端部412側を保持したときは、後端部412側の接触センサ420c,420dが利用者Pの持ち手を検出する。検出位置判定部430は、その検出結果に基づき、利用者Pがペン本体410の後端部412側を保持したことを判定する。
【0154】
機能特定部440は、検出位置判定部430の判定結果に基づき、ペン型入力装置401の有する複数の機能のうちからペン型入力装置1の保持位置に対応する機能を特定する。
【0155】
第4実施形態では、機能特定部440は、検出位置判定部430の判定結果に基づき、利用者Pの持ち手の位置に応じて適した機能を特定することを特徴としている。
【0156】
例えば、
図26に示すように、ペン本体410の保持位置がペン先部411側のペン先に近いと判定されたときは、軌跡を細く入力する機能を設定する。具体的には、
図27に示すように、細線L1を描く緻密な位置精度を要する細線機能は、ペン先部411のペン先側を短く持ったとき対応して設定する。
【0157】
一方、
図28に示すように、ペン本体410の保持位置が後端部412側のペン先から遠いと判定されたときは、軌跡を太く入力する機能を設定する。具体的には、
図29に示すように、太線L2を描く位置精度が大まかになる太線機能やマーカ機能は、ペン先部411のペン先側を長めに持ったときに対応して設定する。
【0158】
以上のように構成したので、第4実施形態によれば、ペン型入力装置401において、検出位置判定部430の機能として、3箇所以上の接触センサ420の検出結果に基づき、ペン本体410を保持する持ち手のペン本体410の長手方向に沿った保持位置を判定することで、機能特定部340により、利用者Pの持ち手の保持位置に応じて適した機能を特定することができる。
【0159】
なお、第4実施形態では、ペン本体410の長手方向に沿った保持位置を、ペン先側と後端部側の2位置によって、細線L1と太線L2との2つの設定を切り替えるようにしているが、設定数はこれに限定されるものではない。例えば、保持位置に応じて3つ以上の設定を切り替えるようにして、例えば、ペン先側、中央部側、後端部側等の保持位置を判定するようにしてもよい。
【0160】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図面を参照して説明する。
第5実施形態は、第4実施形態と同様に、ペン本体を保持する持ち手のペン本体の長手方向に沿った保持位置に応じて機能を設定することを特徴とするものである。第5実施形態では、ペン本体の長手方向に沿って複数の接触センサを連設して配置することを特徴としている。
【0161】
図30は第5実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図、
図31は前記ペン型入力装置を構成するペン本体の構成の一例を示す説明図である。
【0162】
なお、説明の便宜上、第1実施形態と同一の機能を有する構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
【0163】
第5実施形態に係るペン型入力装置501は、
図30に示すように、ペン型入力装置401のペン本体410の構成に換えて、ペン本体510の長手方向に沿って複数の接触センサ520を連設して配置することを特徴とするものである。
【0164】
(ペン型入力装置の構成)
ペン型入力装置501は、主に、ペン本体510と、接触センサ520と、検出位置判定部530と、機能特定部540と、機能切替部150と、通信部160と、制御部170とを備えて構成されている。
【0165】
ペン型入力装置501は、
図31に示すように、ペン本体510上にペン本体510の長手方向に沿った中央部付近に、接触センサ520a,520b,520c,520d,520eを連設して配置している。
【0166】
検出位置判定部530は、利用者Pがペン本体510を保持したときに、利用者Pの持ち手を検出した接触センサ520の位置に応じて、利用者Pが保持した位置を判定する。
【0167】
機能特定部540は、検出位置判定部530の判定結果に基づき、ペン型入力装置501の有する複数の機能のうちからペン型入力装置1の保持位置に対応する機能を特定する。
【0168】
第5実施形態では、複数の接触センサ520a,520b,520c,520d,520eに対応して、各々特定の機能を設定するようにされている。
【0169】
利用者Pがペン本体510を保持したときに、ペン本体510の保持位置によって接触センサ520による検出状態が特定される。検出位置判定部530による判定結果に基づいて、接触センサ520が特定される。そして、機能特定部540により、特定された接触センサ520に関連付けされた機能が特定されて、特定の機能設定が行われる。
【0170】
第5実施形態では、ペン本体510の長手方向に沿って接触センサ520a,520b,520c,520d,520eにそれぞれ異なる機能が対応するように、設定A,B,C,D,Eなどの設定が設けられている。
【0171】
以下に、第5実施形態に係るペン型入力装置501において、接触センサ520により特定される機能の設定について、例を挙げて説明する。
【0172】
(実施例1)
実施例1では、接触センサ520により「線の太さ」を設定する。
図32は第5実施形態に係るペン型入力装置において線の太さの設定を行う実施例1の設定を示す表である。
【0173】
実施例1では、
図32に示すように、線の太さの設定を設定A,B,C,D,Eの5設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520d,520eに対応して線の太さを設定する。
【0174】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、極細線が設定される。
【0175】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、細線が設定される。
【0176】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常の太さの線(予め設定された線の太さ)が設定される。
【0177】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、太線が設定される。
【0178】
設定Eは、接触センサ520eにおいて利用者の接触を検出した場合に、極太線が設定される。
【0179】
(実施例2)
実施例2では、接触サンサ520により「消しゴム設定(1)」を設定する。
図33は第5実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例2の設定を示す表である。
【0180】
実施例2では、
図33に示すように、消しゴム設定(1)を設定A,B,C,D,Eの5設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520d,520eに対応して消しゴムの消去幅(消す領域)とを設定する。
【0181】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、消しゴムではない通常入力(ペン入力)が設定される。
【0182】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、細い消去幅の消しゴムが設定される。
【0183】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、普通の消去幅(予め設定された消去幅)の消しゴムが設定される。
【0184】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、太い消去幅の消しゴムが設定される。
【0185】
設定Eは、接触センサ520eにおいて利用者の接触を検出した場合に、極太の消去幅の消しゴムが設定される。
【0186】
実施例2では、ペンの軌跡や消しゴムの効果(処理)を示す範囲が小さい(線が細い)ほど、位置精度の点で正確さが要求されるので、ペン先に近い保持位置としている。また、ペンの軌跡や消しゴムの効果(処理)を示す範囲が大きい(線が太い)ほど、位置精度の点で正確さを必要としないため、ペン先から遠い保持位置としている。
【0187】
(実施例3)
実施例3では、接触センサ520により「消しゴム設定(2)」を設定する。
図34は第5実施形態に係るペン型入力装置において消しゴム設定を行う実施例3の設定を示す表である。
【0188】
実施例3では、
図34に示すように、消しゴム設定(2)を設定A,B,C,D,Eの5設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520d,520eに対応して消しゴムによる消去方法(描画の消し方)とを設定する。
【0189】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、消しゴムではない通常入力(ペン入力)が設定される。
【0190】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、接触した軌跡を消去する選択消去が設定される。
【0191】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、通過した軌跡を消去する通常の消去(予め設定された消去幅で消去)が設定される。
【0192】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、通過した回数だけ薄くなっていくぼかし消去が設定される。
【0193】
実施例3では、接触した軌跡を選択消去するには、位置精度の点で正確さが要求されるので、接触センサ520aによる通常ペンに次いで、ペン先に近い保持位置となる接触センサ520bの位置としている。また、おおよそ通過した領域を消すには、接触センサ520a,520bの位置に次いでペン先に近い保持位置となる接触センサ520cの位置としている。
【0194】
また、黒塗りは、文字列等を大きめに塗りつぶす処理であって、位置精度の正確さは接触センサ520a,520b,520cの位置よりも緩くなるため、接触センサ520a,520b,520cの位置に次いでペン先に近い接触センサ520dの位置としている。
【0195】
また、ぼかして消去することは、位置精度の正確さを必要としないため、最もペン先から遠い接触センサ520eの位置としている。
【0196】
(実施例4)
実施例4は、接触センサ520により「ペンタイプ」を設定する。
図35は第5実施形態に係るペン型入力装置においてペンタイプ設定を行う実施例4の設定を示す表である。
【0197】
実施例4では、
図35に示すように、ペンタイプ設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520dに対応してペンタイプを設定する。
【0198】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、硬筆のペン入力が設定される。
【0199】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペン入力が設定される。
【0200】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、マーカでハイライト表示する入力が設定される。
【0201】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、ブラシ処理による入力が設定される。
【0202】
(実施例5)
実施例5では、接触センサ520により「線タイプ」を設定する。
図36は第5実施形態に係るペン型入力装置において線タイプ設定を行う実施例5の設定を示す表である。
【0203】
実施例5では、
図36に示すように、線タイプ設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520dに対応して線タイプを設定する。
【0204】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常の線入力が設定される。
【0205】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、破線による入力が設定される。
【0206】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、2重線による入力が設定される。
【0207】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、波線による入力が設定される。
【0208】
線タイプ設定では、2重線は太くなり、破線は更に太くなることから、実施例5では、通常線や破線の方が位置精度を要求されるため、ペン先に近い接触センサ520a,520bに設定されている。
【0209】
(実施例6)
実施例6では、接触センサ520により「図形入力」を設定する。
図37は第5実施形態に係るペン型入力装置において図形入力設定を行う実施例6の設定を示す表である。
【0210】
実施例6では、
図37に示すように、図形入力設定を設定A,B,C,D,Eの5設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520d,520eに対応して図形の入力を設定する。
【0211】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペンによる描画が設定される。
【0212】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、直線による描画が設定される。
【0213】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、三角形の画像(図形)による描画が設定される。
【0214】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、四角形の画像(図形)による描画が設定される。
【0215】
設定Eは、接触センサ520eにおいて利用者の接触を検出した場合に、円形の画像による描画が設定される。
【0216】
図形入力設定においては、頂点の数が少ないほど位置の正確さが要求される。したがって、実施例6では、ペン先に近い接触センサ520cを三角形の画像(図形)の設定として、これより遠い接触センサ520dを四角形の画像(図形)の設定としている。
【0217】
(実施例7)
実施例7は、接触センサ520により「編集」の機能を設定する。
図38は第5実施形態に係るペン型入力装置において編集設定を行う実施例7の設定を示す表である。
【0218】
実施例7では、
図38に示すように、編集設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520dに対応して編集の機能を設定する。
【0219】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペンにより編集する機能が設定される。
【0220】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、ページ送り、スクロール等を行うスワイプ処理を行う機能が設定される。
【0221】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、ファイル等を保存する機能が設定される。
【0222】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、ファイル等を新規作成する機能が設定される。
【0223】
実施例7では、位置の正確さと無関係なものについては、良く使用する機能が通常入力に近い保持位置となるように接触センサ520の機能が設定されている。
【0224】
(実施例8)
実施例8では、接触センサ520により「ペン入力モード」を設定する。
図39は第5実施形態に係るペン型入力装置においてペン入力モード設定を行う実施例8の設定を示す表である。
【0225】
実施例8では、
図39に示すように、ペン入力モード設定を設定A,B,C,Dの4設定として、それぞれの設定を接触センサ520a,520b,520c,520dに対応して、ペン入力モードを設定する。
【0226】
設定Aは、接触センサ520aにおいて利用者の接触を検出した場合に、通常のペンにより入力を行う通常入力モードが設定される。
【0227】
設定Bは、接触センサ520bにおいて利用者の接触を検出した場合に、描画を消去する消しゴムモードが設定される。
【0228】
設定Cは、接触センサ520cにおいて利用者の接触を検出した場合に、ツールを選択するモードが設定される。
【0229】
設定Dは、接触センサ520dにおいて利用者の接触を検出した場合に、メニューを表示するメニュー表示モードが設定される。
【0230】
以上のように構成したので、第5実施形態によれば、ペン型入力装置501において、ペン本体510の長手方向に沿って複数の接触センサ520を連設して配置し、接触センサ520に対応して特定される機能を設定することで、利用者Pの持ち手の保持位置に応じて機能を設定することができる。
【0231】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について図面を参照して説明する。
図40は第6実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図、
図41は前記ペン型入力装置のペン本体を左手で保持したときの接触センサの検出位置の一例を示す説明図、
図42は前記ペン本体を左手で保持したときの重力センサにより検出された重力方向を示す説明図、
図43は前記ペン本体を右手で保持したときの接触センサの検出位置の一例を示す説明図、
図44は前記ペン本体を右手で保持したときの重力センサにより検出された重力方向を示す説明図、
図45は表示装置の表示画面にメニュー画面を表示したときの利用者とメニュー画面との位置関係を示す説明図である。
【0232】
なお、説明の便宜上、第1実施形態と同一の機能を有する構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
【0233】
第6実施形態に係るペン型入力装置601は、
図40に示すように、ペン型入力装置1の構成に加えて、重力センサ620と、重力センサ620による検出結果に基づきペン本体610を保持する持ち手を判定する持ち手判定部680と、を備えることを特徴とするものである。
【0234】
(ペン型入力装置の構成)
ペン型入力装置601は、主に、ペン本体610と、接触センサ120と、検出位置判定部130と、機能特定部140と、機能切替部150と、通信部160と、制御部670とを備え、さらに、重力センサ620と、持ち手判定部680とを備えて構成されている。
【0235】
ペン本体610には、重力センサ620が設けられている。
持ち手判定部680は、重力センサ620で検出される下方向の向きと、接触センサ120により検出される持ち手の親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間に接触する位置との関係から、利用者Pの持ち手が右手であるか左手であるかを判定する。
【0236】
利用者Pがペン型入力装置601を左手で保持している場合は、
図41に示すように、接触センサ120により、左手の親指F1Lの付け根と人差し指F2Lの付け根との間の接触位置F41Lが検出される。そして、重力センサ620により、
図42に示すように、ペン型入力装置601に働く重力が矢印A方向であることが検出されたとき、持ち手判定部680は、接触センサ120の左側で持ち手の親指F1Lの付け根と人差し指F2Lの付け根との間の一部F4Lを検出していることから、持ち手は左手であると判定する。
【0237】
一方、利用者Pがペン型入力装置601を右手で保持している場合は、
図43に示すように、接触センサ120により、持ち手の親指F1の付け根と人差し指F2の付け根との間の接触位置F41Rが検出される。そして、重力センサ620により、
図44に示すように、ペン型入力装置601に働く重力が矢印A方向であることが検出されたとき、持ち手判定部680は、接触センサ120は右側で持ち手の親指F1Rの付け根と人差し指F2Rの付け根との間の一部F4Rを検出していることから、持ち手は右手であると判定する。
【0238】
このようにして、重力センサ620と接触センサ120との検出結果に基づき、利用者Pが左右のいずれかの持ち手でペン型入力装置601を保持しているかを判定することができる。
【0239】
(ペン型入力装置に持ち手に応じたメニュー画面の表示)
第6実施形態では、利用者Pのペン型入力装置601を保持する持ち手が右手であるか左手であるかを確実に判断できるので、ペン型入力装置601の持ち手に応じて、利用者Pが見やすい位置に、入力操作に関するメニュー画面を表示することができる。
【0240】
例えば、利用者Pが右手でペン型入力装置601を保持している場合は、
図45に示すように、表示装置6001の表示画面6100において、利用者Pが保持するペン型入力装置601の図中左側にメニュー画面M1を表示する。
【0241】
ここで、第6実施形態に係るペン型入力装置601により表示装置6001の表示画面6100にメニュー画面M1を表示する手順について、一例をフローチャートに沿って説明する。
図46は第6実施形態に係るペン型入力装置によりメニュー画面を表示画面に表示する処理の一手順を示すフローチャートである。
【0242】
図46に示すように、ペン型入力装置601を用いて表示装置6001において入力操作を行う場合は、まず、利用者Pはペン型入力装置601を手に取り、使用する状態に保持する(S101)。以下、ペン型入力装置601の保持位置に応じた機能の設定を行う処理は、第1実施形態と同様に行われる。したがって、S109までの説明は省略する。
【0243】
S109に続き、重力センサ620により重力方向を検出する(S601)。
そして、持ち手判定部680により、重力センサ620による検出結果と接触センサ120による検出結果に基づき、利用者Pが左右のいずれかの持ち手でペン型入力装置601を保持しているかを判定する(S603)。
【0244】
そして、制御部670により、持ち手判定部680による判定結果に基づき、表示装置6001の表示画面6100において、ペン型入力装置601を保持する持ち手と反対側の表示領域を、メニュー画面M1を表示する領域と判定する(S605)。
【0245】
そして、メニュー画面M1は、表示装置6001の表示画面6100の特定された領域に表示される(S607)。
【0246】
このようにして、ペン型入力装置1を保持する持ち手に応じて、表示装置6001の表示画面6100の最適な領域にメニュー画面M1を表示することができる。
【0247】
第6実施形態では、
図45に示すように、利用者Pによるペン型入力装置601の持ち手は右側であるため、表示画面6100において、ペン型入力装置601の左側は利用者Pに隠れて見えない領域なので、利用者P以外の人の表示画面6100の閲覧を邪魔することなく、しかも、利用者Pにとって見やすい位置にメニュー画面M1を表示することができる。
【0248】
以上のように構成したので、第6実施形態によれば、ペン型入力装置601において、重力センサ620と、持ち手判定部680とを備えることで、接触センサ120による検出結果と重力センサ620による検出結果に基づき、利用者Pのペン型入力装置601の持ち手が右手であるか左手であるかを正確に判定することができる。
【0249】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について図面を参照して説明する。
図47は第7実施形態に係るペン型入力装置の構成を示すブロック図、
図48は前記ペン型入力装置により軌跡入力位置を移動した状態を示す説明図、
図49は前記ペン型入力装置による表示画面への従来の入力時のペン先の位置と軌跡入力位置との位置関係を示す説明図である。
【0250】
なお、説明の便宜上、第4実施形態と同一の機能を有する構成には、同一の番号を付して説明を省略する。
【0251】
第7実施形態に係るペン型入力装置701は、ペン型入力装置601の構成に加えて、
図47に示すように、利用者Pのペン型入力装置701を保持する持ち手が右手か左手かを判定する判定結果に基づき、ペン型入力装置701により入力される描画の軌跡入力位置を移動する入力位置変更部790を備えることを特徴とするものである。
【0252】
(ペン型入力装置の構成)
ペン型入力装置701は、主に、ペン本体610と、接触センサ120と、検出位置判定部130と、機能特定部140と、機能切替部150と、通信部160と、重力センサ620と、持ち手判定部680と、制御部770とを備え、さらに、入力位置変更部790を備えて構成されている。
【0253】
入力位置変更部790は、持ち手判定部680による判定結果に基づき、利用者Pが入力操作を行うペン先の位置と、ペン型入力装置701により入力される描画の軌跡入力位置とが、利用者Pの視認する視線上で一致するように軌跡入力位置を設定して移動する。
【0254】
表示装置6001の表示画面6100は、
図48に示すように、表面に位置する操作入力部6101と操作入力部6101の下に重ねて配置される表示部6102とを備えて構成されている。
【0255】
利用者Pがペン型入力装置701を用いて表示画面6100上で描画を入力する操作を行う場合、
図49に示すように、操作入力部6101上でペン型入力装置701のペン先に対向する位置p1と、表示部6102に表示されると第1の軌跡入力位置p2とが平面上で一致するよう構成すると、利用者Pが斜めから見たときに、操作入力部6101の厚さの影響で視差が生じて、利用者Pの視線上でずれが生じる。
【0256】
第7実施形態に係るペン型入力装置701によれば、
図48に示すように、利用者Pが入力操作を行うペン先の位置p1と、ペン型入力装置701により入力される描画の第2の軌跡入力位置p3とが利用者Pの視認する視線上で一致するように、ペン先の位置p1と表示部6102上で対向する第1の軌跡入力位置p2からΔL移動した位置を第2の軌跡入力位置p3とする。
【0257】
具体的には、持ち手判定部680による判定結果に基づき、入力位置変更部790により、利用者Pのペン型入力装置701の持ち手側(右手であれば右側、左手であれば左側)にΔL移動した位置を第2の軌跡入力位置p3とする。
【0258】
このようにして、入力位置変更部790により、ペン型入力装置701により入力される描画の第2の軌跡入力位置p3を設定することで、利用者Pが斜めから見たときの視差を抑制することができる。
【0259】
以上のように構成したので、第7実施形態によれば、ペン型入力装置701において、入力位置変更部790により、操作入力部6101上でペン型入力装置701のペン先に対向する位置p1と、ペン型入力装置701により入力される描画の第2の軌跡入力位置p3とが利用者Pの視認する視線上で一致するように、利用者Pの持ち手側に第2の軌跡入力位置p3を設定することで、操作入力部6101の厚さの影響による視差を抑制して、視認性を良くして、操作性の向上を図ることができる。
【0260】
以上のように、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0261】
1,201,301,401,501,601,701 ペン型入力装置
110,210,310,410,510,610 ペン本体
120,220,320,420,520 接触センサ
121,221 第1接触センサ
122,222 第2接触センサ
130,230,330,430,530 検出位置判定部
140,240,340,440,540 機能特定部
150 機能切替部
170,270,470,570,670,770 制御部
213,313 表示部
223,323 検出部
620 重力センサ
680 持ち手判定部
790 入力位置変更部
6001 表示装置
6100 表示画面
6101 操作入力部
6102 表示部
F1,F1L,F1R 親指
F2,F2L,F2R 人差し指
F3 中指
F11,F21,F31 保持位置
F41,F41L,F41R 接触位置
L1 細線
L2 太線
M1 メニュー画面