(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/26 20060101AFI20230331BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20230331BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230331BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
A61K8/26
A61K8/365
A61K8/81
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019050888
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】松尾 真樹
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178835(JP,A)
【文献】特開2004-284962(JP,A)
【文献】特開2013-227292(JP,A)
【文献】Long-Lasting Deodorant, MINTEL GNPD [ONLINE], 2018.05,[検索日 2023.03.13],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra> (Database accession no.5685945)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/26
A61K 8/365
A61K 8/81
A61Q 19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、及び下記成分(D)を含有し、
前記成分(A)の含有割合が0.01~0.05質量%であり、前記成分(B)の含有割合が0.4~0.8質量%であり、
前記成分(C)の含有割合が0.1~1.0質量%であり、前記成分(D)の含有割合が50.0~99.5質量%であり、前記成分(C)と前記成分(A)の質量比[成分(C)/成分(A)]が10.0以上である化粧料組成物。
成分(A):ミョウバン
成分(B):ポリアクリレートクロスポリマー-6
成分(C):クエン酸及び/又はクエン酸塩
成分(D):水
【請求項2】
さらに、下記成分(E)を含有する、請求項1に記載の化粧料組成物。
成分(E):トリメチルグリシン
【請求項3】
さらに、下記成分(F)を含有する、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
成分(F):水溶性である、ポリエーテル変性シラン及び/又はポリエーテル変性シリコーン
【請求項4】
さらに、下記成分(G)を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
成分(G):数平均分子量が200~3000のポリエチレングリコール
【請求項5】
さらに、下記成分(H)を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
成分(H):数平均分子量が10000~30000のポリエチレングリコール
【請求項6】
さらに、下記成分(I)を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
成分(I):ジプロピレングリコール
【請求項7】
非乳化型である請求項1~6のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
植物油、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、ロウ、高級アルコール、及び高級脂肪酸からなる群より選ばれた油性成分の含有割合が0.1質量%以下である請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ミョウバンは、収斂効果や殺菌効果などを発揮する成分として知られており、皮膚化粧料に用いられている。ミョウバンを含む皮膚化粧料としては、例えば、特許文献1及び2に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-284962号公報
【文献】特開2013-227292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ミョウバンは結晶化しやすいため、化粧料中で析出しやすく、安定的に化粧料中に配合することが困難であるという問題があった。また、ミョウバンは非常に強い電解質であり、一般的な増粘剤の膨潤を阻害して、増粘剤の増粘作用を著しく低下させるという問題があった。過剰量の増粘剤により僅かに増粘させることもできるが、その場合、均一な系にできないという問題があった。このため、ミョウバンを含み、且つ適度な粘性を有する化粧料を得ることは困難であった。
【0005】
従って、本発明の目的は、ミョウバンが析出しにくく安定性に優れ、適度な粘性を有する化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ミョウバン、ポリアクリレートクロスポリマー-6、クエン酸及び/又はクエン酸塩、並びに水を含有し、ポリアクリレートクロスポリマー-6の含有割合を特定の範囲にし、さらに、クエン酸及び/又はクエン酸塩とミョウバンとの質量比を特定の範囲にすることにより、ミョウバンが析出しにくく安定性に優れ、適度な粘性を有する化粧料組成物が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、及び下記成分(D)を含有し、上記成分(B)の含有割合が0.4~0.8質量%であり、上記成分(C)と上記成分(A)の質量比[成分(C)/成分(A)]が10.0以上である化粧料組成物を提供する。
成分(A):ミョウバン
成分(B):ポリアクリレートクロスポリマー-6
成分(C):クエン酸及び/又はクエン酸塩
成分(D):水
【0008】
上記化粧料組成物は、さらに下記成分(E)を含有することが好ましい。
成分(E):トリメチルグリシン
【0009】
上記化粧料組成物は、さらに下記成分(F)を含有することが好ましい。
成分(F):水溶性である、ポリエーテル変性シラン及び/又はポリエーテル変性シリコーン
【0010】
上記化粧料組成物は、さらに下記成分(G)を含有することが好ましい。
成分(G):数平均分子量が200~3000のポリエチレングリコール
【0011】
上記化粧料組成物は、さらに下記成分(H)を含有することが好ましい。
成分(H):数平均分子量が10000~30000のポリエチレングリコール
【0012】
上記化粧料組成物は、さらに下記成分(I)を含有することが好ましい。
成分(I):ジプロピレングリコール
【0013】
上記化粧料組成物は、非乳化型であることが好ましい。
【0014】
上記化粧料組成物は、油性成分の含有割合が0.1質量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化粧料組成物は、ミョウバンが析出しにくく安定性に優れ、適度な粘性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の化粧料組成物は、ミョウバン;ポリアクリレートクロスポリマー-6;クエン酸及び/又はクエン酸塩;並びに、水を少なくとも含む。なお、本明細書において、ミョウバンを「成分(A)」、ポリアクリレートクロスポリマー-6を「成分(B)」、クエン酸及び/又はクエン酸塩を「成分(C)」、水を「成分(D)」とそれぞれ称する場合がある。
【0017】
本発明の化粧料組成物は、さらに、トリメチルグリシンを含むことが好ましい。また、水溶性である、ポリエーテル変性シラン及び/又はポリエーテル変性シリコーンを含むことが好ましい。また、数平均分子量が200~3000のポリエチレングリコールを含むことが好ましい。また、数平均分子量が10000~30000のポリエチレングリコールを含むことが好ましい。また、ジプロピレングリコールを含むことが好ましい。なお、本明細書において、トリメチルグリシンを「成分(E)」、水溶性である、ポリエーテル変性シラン及び/又はポリエーテル変性シリコーンを「成分(F)」、数平均分子量が200~3000のポリエチレングリコールを「成分(G)」、数平均分子量が10000~30000のポリエチレングリコールを「成分(H)」、ジプロピレングリコールを「成分(I)」とそれぞれ称する場合がある。
【0018】
すなわち、本発明の化粧料組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び成分(D)を少なくとも含む。本発明の化粧料組成物は、上記成分(A)~(D)以外の成分、例えば成分(E)、成分(F)、成分(G)、成分(H)、成分(I)、及び成分(A)~(I)以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の化粧料組成物に含まれる各成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、成分(G)、成分(H)、成分(I)、及び他の成分などの各成分は、それぞれ、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0019】
[成分(A)]
成分(A)は、ミョウバンである。成分(A)は、1価の陽イオンの硫酸塩と3価の金属陽イオンの硫酸塩の複塩である。上記1価の陽イオンとしては、K+、Na+等の1価の金属イオン、NH4
+などが挙げられる。上記3価の金属陽イオンとしては、Al3+、Fe3+などが挙げられる。また、成分(A)は、硫酸塩の水和物であってもよいし無水物であってもよい。成分(A)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0020】
成分(A)は、具体的には、硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)、カリミョウバンの無水物(焼きミョウバン)、硫酸アルミニウムアンモニウム(アンモニウムミョウバン)等のアルミニウムミョウバン;硫酸鉄(III)カリウム、硫酸鉄(III)アンモニウム等の鉄ミョウバンが挙げられる。
【0021】
成分(A)の市販品としては、例えば、商品名「ミョウバン」(大明化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0022】
本発明の化粧料組成物中の成分(A)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、0.01~0.05質量%が好ましく、より好ましくは0.02~0.04質量%である。上記含有割合が0.01質量%以上であると、成分(A)による効果がより高くなる。上記含有割合が0.05質量%以下であると、成分(A)がより析出しにくく、より安定性に優れる。
【0023】
[成分(B)]
成分(B)は、ポリアクリレートクロスポリマー-6であり、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸ラウリルとメタクリル酸ラウレス-4の共重合体をトリアクリル酸トリメチロールプロパンで架橋したものである。また、INCI名で「POLYACRYLATE CROSSPOLYMER-6」と表記される化合物である。増粘剤として成分(B)を用いることにより、成分(A)を含む系であっても充分な増粘効果を得ることができる。成分(B)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0024】
成分(B)の市販品としては、例えば、商品名「SEPIMAX ZEN」(株式会社成和化成製)などが挙げられる。
【0025】
本発明の化粧料組成物中の成分(B)の含有割合は、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、0.4~0.8質量%であり、好ましくは0.5~0.7質量%である。上記含有割合が0.4質量%以上であることにより、成分(A)を含みながらも組成物の増粘することができる。上記含有割合が0.8質量%を越えると化粧料組成物塗布後の肌の皮膜感(肌がつっぱる感触)が強くなり、使用感が低下する場合がある。
【0026】
[成分(C)]
成分(C)は、クエン酸及び/又はクエン酸塩である。クエン酸塩としては、例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムなどが挙げられる。成分(C)は、本発明の化粧料組成物中で所謂クエン酸緩衝液を形成する。このため、成分(C)は、好ましくは、クエン酸及びクエン酸塩である。なお、上記クエン酸緩衝液は、クエン酸及びクエン酸塩が配合されて形成されてもよいし、クエン酸及びその中和剤(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等)が配合されてクエン酸及びクエン酸塩が生成することにより形成されてもよい。パッファーとして成分(C)を用いることにより、成分(A)の析出を抑制することができる。成分(C)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0027】
本発明の化粧料組成物中の成分(C)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、0.1~1.0質量%が好ましく、より好ましくは0.12~0.8質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であると、成分(A)がより析出しにくく、より安定性に優れる。上記含有割合が1.0質量%以下であると、成分(B)による増粘効果がより一層高くなる。
【0028】
成分(C)と成分(A)の質量比[成分(C)/成分(A)]は、10.0以上であり、好ましくは12.0以上である。上記質量比を10.0以上とすることにより、成分(A)の析出を抑制し、安定性に優れる組成物が得られる。
【0029】
[成分(D)]
成分(D)は水であり、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の化粧料組成物中の成分(D)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物100質量%に対して、50.0~99.5質量%が好ましく、より好ましくは55.0~95.0質量%、さらに好ましくは60.0~90.0質量%である。
【0030】
[成分(E)]
成分(E)は、トリメチルグリシンであり、グリシンベタイン又は単にベタインと称される成分である。成分(E)を配合することで、化粧料組成物の優れた安定性及び適度な粘性を損なわずに、化粧料組成物の塗布後の皮膜感を抑制し、つっぱり感を抑え、さらに保湿感を付与することができる。成分(E)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0031】
成分(E)の市販品としては、例えば、商品名「アミノコート」(旭化成ファインケム株式会社製)、などが挙げられる。また、成分(E)を含む混合原料を用いてもよく、その市販品としては、例えば、商品名「プロデュウ400」(味の素株式会社製)などが挙げられる。
【0032】
本発明の化粧料組成物中の成分(E)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、0.5~10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~8.0質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であると、化粧料組成物の塗布後の皮膜感及びつっぱり感を充分に抑制でき、さらに保湿感をより付与することができる。上記含有割合が10.0質量%以下であると、ベタつき感がなく、適度な保湿感を付与できる。
【0033】
[成分(F)]
成分(F)は、水溶性である、ポリエーテル変性シラン及び/又はポリエーテル変性シリコーンである。すなわち、成分(F)は、ポリエーテル変性シラン及びポリエーテル変性シリコーンのうちの一方又は両方である。成分(F)を配合することで、優れた安定性及び適度な粘性を損なわずに、塗布後の乾き際の肌のべたつきを抑制することができる。成分(F)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0034】
上記ポリエーテル変性シランは、ポリエーテル基(ポリエーテル鎖)を有するシラン化合物である。上記ポリエーテル変性シリコーンは、ポリエーテル基(ポリエーテル鎖)を有するシリコーン化合物である。
【0035】
上記ポリエーテル基(ポリエーテル鎖)としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基などの炭素数1~4のポリアルキレン基が挙げられる。中でもポリオキシエチレン基が好ましい。上記ポリエーテル変性シランにおけるオキシアルキレン(例えば、オキシエチレン)の平均付加モル数は、特に限定されないが、乾き際の肌のべたつき抑制効果をより一層高める観点から、5~100が好ましく、より好ましくは10~30である。上記ポリエーテル基は、一種のみを有していてもよいし、二種以上を有していてもよい。また、上記ポリエーテル基は、オキシアルキレンを一種のみを含むものであってもよいし、二種以上を含むものであってもよい。
【0036】
成分(F)としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
【0037】
上記式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ、水素原子又は置換基を示し、同一であっても異なっていてもよい。なお、上記R1、R2、R3、及びR4のうち、少なくとも1つは、ポリエーテル鎖を含む基である。中でも、上記R1、R2、R3、及びR4のうち、2つがポリエーテル鎖を含む基であることが好ましい。
【0038】
ポリエーテル鎖を含む基以外の上記置換基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3-クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基などの有機基が挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1~8のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0039】
上記ポリエーテル鎖を含む基は、ポリオキシアルキレン鎖を含む基であり、例えば、下記式(2)で表される置換基が挙げられる。
【化2】
【0040】
上記式(2)中、Raはアルキレン基を示し、好ましくは炭素数1~4のアルキレン基、より好ましくはエチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基である。すなわち、上記[ORa]はオキシエチレン単位であることが好ましく、上記ポリエーテル鎖を含む基はポリエチレングリコール鎖(ポリオキシエチレン鎖)を含む基であることが好ましい。なお、上記ポリエーテル鎖は、互いに異なる炭素数のオキシアルキレン単位から形成されていてもよく、例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位を含んでいてもよい。
【0041】
上記式(2)中、nは、オキシアルキレン単位の平均付加モル数であり、特に限定されないが、5~100が好ましく、より好ましくは10~30である。なお、成分(F)に含まれるポリエーテル変性シラン中の、全てのポリエーテル鎖についてのオキシアルキレン単位の平均付加モル数は、特に限定されないが、乾き際の肌のべたつき抑制効果をより一層高める観点から、5~150が好ましく、より好ましくは20~50である。
【0042】
上記式(2)中、R5は、水素原子又は置換基を示す。上記置換基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1~8のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0043】
成分(F)は、特に、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
【化3】
【0044】
上記(3)中、R6、R7、R8、及びR9は、それぞれ、水素原子又は置換基を示し、同一であっても異なっていてもよい。上記置換基としては、上述の式(1)で表される化合物においてポリエーテル鎖を含む基以外の置換基として例示されたものが挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
【0045】
上記(3)中、Rb及びRcは、それぞれ、アルキレン基を示し、同一であっても異なっていてもよい。上記アルキレン基は、炭素数1~4のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基である。なお、[(ORb)l]で示されるポリエーテル鎖、及び[(ORc)m]で示されるポリエーテル鎖は、それぞれにおいて、互いに異なる炭素数のオキシアルキレン単位から形成されていてもよく、例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位を含んでいてもよい。
【0046】
上記(3)中、l及びmは、それぞれ、オキシアルキレン単位の平均付加モル数であり、同一であっても異なっていてもよく、特に限定されないが、5~100が好ましく、より好ましくは10~30である。また、lとmの和[l+m]は、特に限定されないが、乾き際の肌のべたつき抑制効果をより一層高める観点から、5~150が好ましく、より好ましくは20~50である。
【0047】
成分(F)としては、ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシランが好ましい。成分(F)の市販品としては、例えば、商品名「DOW CORNING 2501 COSMETIC WAX」(ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン)(ダウ・東レ株式会社製)などが挙げられる。なお、ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシランは、上記式(3)において、R6、R7、R8、及びR9がいずれもメチル基;Rb及びRcがいずれもエチレン基;l及びmがいずれも18であるポリエーテル変性シランである。
【0048】
本発明の化粧料組成物中の成分(F)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、0.1~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.2~1.5質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であると、乾き際の肌のべたつき抑制効果をより一層高めることができる。上記含有割合が2.0質量%以下であると、成分(F)に起因するべたつきの発生を抑制することができる。
【0049】
[成分(G)]
成分(G)は、数平均分子量が200~3000のポリエチレングリコールである。成分(G)を配合することで、優れた安定性及び適度な粘性を損なわずに、塗布後の乾き際の肌のべたつきを抑制することができる。成分(G)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0050】
成分(G)の数平均分子量は、乾き際の肌のべたつき抑制効果をより一層高める観点から、200~3000であり、好ましくは500~2500である。
【0051】
成分(G)の市販品としては、例えば、商品名「PEG1500」(日油株式会社製)などが挙げられる。
【0052】
本発明の化粧料組成物中の成分(G)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、0.1~5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5~3.0質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であると、乾き際の肌のべたつき抑制効果をより一層高めることができる。上記含有割合が5.0質量%以下であると、成分(G)に起因する乾いた後の肌のべたつきの発生を抑制することができる。
【0053】
[成分(H)]
成分(H)は、数平均分子量が10000~30000のポリエチレングリコールである。成分(H)を配合することで、優れた安定性及び適度な粘性を損なわずに、塗布後の皮膚に適度なハリ感を付与することができる。また、皮膜感も緩和することができる。成分(H)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0054】
成分(H)の数平均分子量は、塗布後の皮膚に適度なハリ感を付与する効果をより一層高める観点から、10000~30000であり、好ましくは15000~25000である。
【0055】
成分(H)の市販品としては、例えば、商品名「PEG#20000」、商品名「PEG#11000」、商品名「PEG#6000」(以上、日油株式会社製)、商品名「ブラウノン PEG-20000S」(青木油脂工業株式会社製)などが挙げられる。
【0056】
本発明の化粧料組成物中の成分(H)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、0.1~3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5~2.0質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であると、塗布後の皮膚に適度なハリ感を付与することができる。上記含有割合が3.0質量%以下であると、乾き際の肌のベタつきを抑制できる。
【0057】
[成分(I)]
成分(I)は、ジプロピレングリコールである。成分(I)を配合することで、化粧料組成物の肌なじみを高くすることができる。
【0058】
本発明の化粧料組成物中の成分(I)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物の総量100質量%に対して、1.0~20.0質量%が好ましく、より好ましくは2.0~15.0質量%である。上記含有割合が1.0質量%以上であると、化粧料組成物の肌なじみをより高くすることができる。上記含有割合が20.0質量%以下であると、原料特有の油性感を抑制できる。
【0059】
本発明の化粧料組成物は、油性成分を少量しか含まない又は実質的に含まないことが好ましい。上記油性成分としては、例えば、植物油、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、ロウ、高級アルコール、高級脂肪酸などが挙げられる。本発明の化粧料組成物中の植物油、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、ロウ、高級アルコール、及び高級脂肪酸からなる群より選ばれる油性成分の含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物100質量%に対して、0.1質量%以下(例えば、0~0.1質量%)が好ましく、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。上記含有割合が0.1質量%以下であると、透明な外観が得られる。
【0060】
上記植物油としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、椿油、これらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)などが挙げられる。
【0061】
上記エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)などが挙げられる。
【0062】
上記シリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノールなどが挙げられる。
【0063】
上記炭化水素油としては、例えば、α-オレフィンオリゴマー、ワセリン、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソドデカンなどが挙げられる。
【0064】
上記ロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリン、ヒマワリ種子ロウなどが挙げられる。
【0065】
上記高級アルコールとしては、炭素数が12~24の脂肪族アルコールが挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、デシルテトラデカノール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
【0066】
上記高級脂肪酸としては、炭素数が12~22(より好ましくは16~18)の脂肪酸が好ましく、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ラウリン酸、ラノリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
【0067】
[その他の成分]
本発明の化粧料組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、上述の各成分以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分等が挙げられる。上記その他の成分しては、特に限定されないが、例えば、界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等);エタノール等の低級アルコール;成分(A)以外の粉体;成分(I)以外の多価アルコール;成分(B)以外の増粘剤;保湿剤;殺菌剤;パール化剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;成分(C)以外のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤;皮膜形成性高分子化合物;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリなどが挙げられる。
【0068】
本発明の化粧料組成物は、非乳化型であることが好ましい。なお、非乳化型は、油剤と水を乳化剤を用いて乳化させていない非乳化の剤型である。成分(A)を含む非乳化系において増粘させることが困難であるところ、本発明の化粧料組成物は、成分(A)を含む非乳化型でありながら、組成物を増粘させることを達成することができたことが特徴である。
【0069】
本発明の化粧料組成物の25℃における粘度は、500mPa・s以上であることが好ましく、より好ましくは700mPa・s以上である。上記粘度が500mPa・s以上であると、適度な粘性を有する。また、上記粘度は、特に限定されないが、例えば5000mPa・s以下、好ましくは3000mPa・s以下である。上記粘度が5000mPa・s以下であると、化粧料組成物の粘性が適度となり、塗布性に優れる。なお、上記粘度は、例えば、粘度計を用いて、No.2またはNo.3ローターを使用して回転速度12rpm、回転時間1分間の条件で測定される。上記粘度計としては、東機産業株式会社製、TV-22型粘度計を使用することができる。
【0070】
本発明の化粧料組成物は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、ディスパーミキサー、パドルミキサー等の公知の撹拌装置を用いて撹拌する方法等が挙げられる。
【0071】
本発明の化粧料組成物は、主に、皮膚(肌)に塗布するために用いられる皮膚化粧料組成物が好ましい。本発明の化粧料組成物を塗布する部位としては、特に限定されず、例えば、顔面(例えば、額、目元、目じり、頬、口元等)や、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中等が挙げられる。
【0072】
本発明の化粧料組成物は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨などとして用いられる。本発明の化粧料組成物は、特に限定されないが、皮膚化粧料であることが好ましく、より具体的には、例えば、スキンケア化粧料である(保湿化粧料、美白化粧料、アクネケア用化粧料、アンチエージング化粧料(しわ抑制、たるみ抑制などを目的とする化粧料)など)。
【0073】
従来、ミョウバン[成分(A)]は非常に強い電解質であり、一般的な増粘剤を含む系であっても、増粘剤の増粘作用を著しく低下させるため、成分(A)を含む化粧料を得ることは困難であった。しかしながら、本発明の化粧料組成物は、水[成分(D)]を含む系で、成分(A)を用いながら、ポリアクリレートクロスポリマー-6[成分(B)]並びにクエン酸及び/又はクエン酸塩[成分(C)]を用い、且つ成分(B)の含有割合、及び成分(A)に対する成分(C)の質量割合をそれぞれ特定の範囲内とすることで、ミョウバンが析出しにくく安定性に優れ、適度な粘性を有する。このような効果は、成分(C)の代わりに他の緩衝剤を用いた場合には得られない。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、表中、「-」は、無配合あるいは評価を行わなかったことを示す。
【0075】
実施例1~15、比較例1~8
表に記した各成分(成分(A)~(I)など)を用い、実施例及び比較例の各組成物を常法により調製した。なお、比較例6において、水酸化カリウムはカルボキシビニルポリマーを中和する量を添加した。
【0076】
表に記載の主な成分は、以下の通りである。
【0077】
<成分(A)>
ミョウバン:商品名「ミョウバン」、大明化学工業株式会社製
<成分(B)>
ポリアクリレートクロスポリマー-6:商品名「SEPIMAX ZEN」、株式会社成和化成製
<成分(C)>
クエン酸/クエン酸3Na:商品名「精製クエン酸M(結晶)/クエン酸三ナトリウム(結晶)S」、扶桑化学工業株式会社製/昭和化工株式会社製
<成分(E)>
トリメチルグリシン:商品名「アミノコート」、旭化成ケミカルズ株式会社製
<成分(F)>
ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン:商品名「DOW CORNING 2501 COSMETIC WAX」、ダウ・東レ株式会社製
<成分(G)>
PEG1500:商品名「PEG1500」、日油株式会社製(成分名:PEG1500、化粧品表示名称:PEG-6+PEG-32(50:50))
<成分(H)>
PEG20000:商品名「ブラウノン PEG-20000S」、青木油脂工業株式会社製
<その他の成分>
カルボキシビニルポリマー:商品名「カーボポール980」、日本ルーブリゾール株式会社製
キサンタンガム:商品名「エコーガムT」(大日本住友製薬株式会社製)
クロルヒドロキシAl:商品名「マイクロドライ 3115」、Summit Research Labs,Inc.製
フィチン酸:商品名「フィチン酸」、築野ライスファインケミカルズ株式会社製
【0078】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各組成物について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0079】
(1)安定性
実施例及び比較例で得られた各組成物約50gを、容量50mLのスクリュー管に充填後、-3℃の恒温槽に1週間保管後、目視にて外観を確認し、安定性を以下の基準で判定した。
[安定性の判定基準]
○(良好):析出物が見られなかった。
×(不良):析出物が見られた。
【0080】
(2)粘性
実施例及び比較例で得られた各組成物約50gを、容量50mLのスクリュー管に充填後、性状を目視にて評価し、粘性を以下の基準で判定した。
[粘性の判定基準]
○(良好):均一で、とろみのある液状であった。
×(不良):とろみが全くない又は不均一な性状であった。
【0081】
【0082】
【0083】
本発明の化粧料組成物(実施例)は、ミョウバンの析出が起こらず、安定性に優れ、なおかつ、適度な粘性を有する(とろみのある液状である)と評価された。一方、成分(B)を配合しない場合(比較例1)、全く増粘できず、とろみのある液状の組成物を得ることができなかった。成分(C)を配合しない場合(比較例2)、ミョウバンが析出した。また、成分(C)に代えて、pH調整作用がある程度期待されたクロルヒドロキシAlやフィチン酸を用いた場合(比較例3及び4)、組成物の作製直後にミョウバンが析出した。成分(A)に対する成分(C)の質量比が10未満である場合(比較例5)、低温保管後ではミョウバンが析出した。また、成分(B)の代わりに他の増粘剤を用いた場合、全く増粘できなかったり(比較例5、7)、不均一な性状となったりして(比較例6)、適度な粘性を有する組成物を得ることができなかった。
なお、本発明の化粧料組成物(実施例)は、上記(2)の評価で得られたスクリュー管を振とうして泡をかませた後、24時間放置しても、泡が消えない特性を有しており、粘性に加えて、ある程度の弾性を有する特有の粘弾性特性を有していることが分かった。
【0084】
(3)乾き際のべたつきのなさ
実施例10~15で得られた各化粧料組成物について、以下の通り乾き際のべたつきのなさを評価した。
化粧料組成物約0.2gを上腕内側部に塗布したときの、組成物の乾き際のべたつきの有無を評価した。
その結果、実施例12~15の各化粧料組成物は、乾き際のべたつきが全く感じられなかった。一方、実施例10及び11の各化粧料組成物は、乾き際のべたつきがやや感じられるものであったが、実用上不快となるレベルではなかった。
【0085】
(4)塗布後の皮膜感のなさ
実施例10~15で得られた各化粧料組成物について、以下の通り塗布後の皮膜感のなさを評価した。
化粧料組成物約0.2gを上腕内側部に塗布し、なじませた後の、肌の皮膜感の有無を評価した。
その結果、実施例10~15で得られた化粧料組成物について、肌に適度なはり感はあるものの、過度のつっぱりがなく、塗布後の皮膜感のなさが良好であると評価された。
【0086】
(5)よれのなさ
実施例10~15で得られた各化粧料組成物について、以下の通りよれのなさを評価した。
化粧料組成物約0.2gを上腕内側部に塗布したときの、組成物のよれの有無を評価した。
その結果、10~15で得られた化粧料組成物について、塗布中に剤のよれ(ゲル状の塊が感じられること)が全くなく、優れた塗布感触であった。
【0087】
さらに、以下に、本発明の化粧料組成物の処方例を示す。
処方例:美容液
ミョウバン 0.03質量%
ポリアクリレートクロスポリマー-6 0.8質量%
クエン酸/クエン酸3Na 0.45質量%
水 残部
ジプロピレングリコール 5.0質量%
グリセリン 5.0質量%
1,3-ブチレングリコール 5.0質量%
PEG1500 1.0質量%
PEG20000 1.0質量%
トリメチルグリシン 8.0質量%
ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン 1.0質量%
メチルパラベン 0.2質量%
フェノキシエタノール 0.2質量%
1,2-オクタンジオール 0.2質量%
オクトキシグリセリン 0.1質量%
L-メントール 0.05質量%
香料 0.05質量%
PPG-6デシルテトラデセス-20 0.4質量%
合計 100質量%