(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】リクレーマーの落鉱回収装置
(51)【国際特許分類】
B65G 63/00 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
B65G63/00 C
(21)【出願番号】P 2019107833
(22)【出願日】2019-06-10
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005924
【氏名又は名称】株式会社三井三池製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】笠置 正
(72)【発明者】
【氏名】原田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 正治
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-002364(JP,A)
【文献】特開昭55-074922(JP,A)
【文献】実開昭48-061569(JP,U)
【文献】特開平04-260539(JP,A)
【文献】特開昭54-122578(JP,A)
【文献】特開2011-195298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00-63/06
B65G 65/00-65/28
B65G 67/60-67/62
B65G 69/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ヤードの原料(鉱石、石炭等)を次工程へ搬送する地上コンベアに平行なレール上を、地上コンベアを跨いで走行する門型可動体、
門型可動体の上に載置された作業床、
作業床の上に旋回可能に載置された、上記原料を地上コンベアに誘導するシュートを備える旋回可動体、及び、
シュートの上部枠体に、所要の角度範囲で俯仰可能に軸支された、(a)先端に、原料を採取するホイルバケットを備え、採取した原料を、旋回可動体に載置したシュートに投入した後、リターンローラに支持されて巡回する機内コンベアを保持し、反対側に、(b)先端にカウンターウェイトを有するフレームを連結するブーム
を備え、
ブームの俯仰、及び、ホイルバケットの回転と機内コンベアの巡回による原料払出しを遠隔制御で行い、原料ヤードの原料を地上コンベアに送り出すリクレーマーの落鉱回収装置であって、
旋回可動体が、機内コンベアの下方に、一端が、旋回可動体の端部で軸支され、他端が、シュートの外壁面に当接して落鉱を回収し、回収した落鉱を、ブームの俯仰に連動して傾動して作業床に流出させる落鉱回収板を備える
ことを特徴とするリクレーマーの落鉱回収装置。
【請求項2】
前記落鉱回収板の断面が樋型であり、桶型上部の幅が、機内コンベアの幅の1.2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【請求項3】
前記落鉱回収板の他端が、シュートの外壁面と摺動しつつ当接を維持する弾性板を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【請求項4】
前記落鉱回収板が、底部に振動機を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【請求項5】
前記落鉱回収板が、原料の安息角を超える角度以上の範囲で傾動することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【請求項6】
前記落鉱回収板が、長尺の鎖でブームに連結されていて、払出し作業中は、ブームの俯仰で傾動せず、払出し作業終了後、リクレーマーが走行移動し、ブームが、原料積山を避け得る待機位置まで上昇・旋回・移動する時、上記鎖に牽引されて傾動することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【請求項7】
前記作業床が、堆積した落鉱を地上コンベアに送出する送出孔と送出管を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ヤードで貯留した原料を連続的に採取するリクレーマーの落鉱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所等の原料ヤードでは、駆動機構により、俯仰・旋回・走行するリクレーマーを運転制御して、ブームが備えるホイルバケットと機内コンベアで、原料(鉄鉱石、石炭等)を採取して搬送し、原料を下流工程に送り出す。
【0003】
リクレーマーは、自動で運転制御されている(例えば、特許文献1及び2、参照)が、採取した原料を搬送する機内コンベアが反転して巡回する際、機内コンベアから落下する原料粉(落鉱)が駆動機構の周辺に堆積して、設備故障を誘発する。設備故障が生じると、リクレーマーの稼働率が低下するので、駆動機構の周辺に堆積した落鉱を、定期的に、清掃・除去する必要がある。
【0004】
近年、微粉原料の取扱量が増大したことで、落鉱の堆積量が増加し、設備故障が頻発する。それ故、リクレーマーの稼働率が低下しないように、堆積した落鉱の清掃作業を頻繁に行う必要があり、このことが、リクレーマーの運転上、重要な課題となっている。
【0005】
図1に、リクレーマーの概略構造を示す。原料ヤードに、鉱石や石炭等の原料を高炉や焼結工場へ搬送する地上コンベア1が敷設されている。地上コンベア1に平行にレール2が敷設され、レール2上に、門型可動体3が、地上コンベア1を跨いで載置されている。門型可動体3の上には作業床4が載置され、その上に、シュート6を載置する旋回可動体5が、駆動機構(図示なし)で旋回可能に載置されている。
【0006】
旋回可動体5のシュート6の上部には、先端にホイルバケット7を備えるとともに、ホイルバケット7で採取した原料を搬送する機内コンベア9を保持するブーム8が、所要の角度範囲(図中、右側の一点鎖線矢印の範囲)で俯仰の上下動可能に軸支されている。なお、シュート6の上に、ホイルバケット7と機内コンベア9による原料の採取・搬送を監視する監視室が設けられている。
【0007】
シュート6は、機内コンベア9で搬送されてくる原料を収容し、該原料を、旋回可動体5の中央部を貫通し、作業床4と門型可動体3の中央に固定したホッパー10に誘導する。ホッパー10に誘導された原料は、振動フィーダー1a、乗継シュート1bを経て、地上コンベア1に落下し、高炉や焼結工場へ搬送される。
【0008】
ブーム8の反対側には、先端にカウンターウェイト12を備え、ブーム8の俯仰と連動して、所要の角度範囲(図中、左側の一点鎖線矢印の範囲)で俯仰するフレーム11が連結されている。
【0009】
ブーム8は、ジブ13から延びるフレーム13aとフレーム13bで保持され、フレーム11は、同じく、ジブ13から延びるフレーム13cとフレーム13dで保持されている。門型可動体の走行、旋回可動体の旋回、ブーム8の俯仰、及び、ホイルバケット7の回転と機内コンベア9の巡回等、リクレーマーの運転は、中央操作室での遠隔自動制御で制御される。
【0010】
機内コンベア9は、原料をシュート6に投入した後、反転し、リターンローラ9aに保持されて巡回するが、その際、巡回する機内コンベア9に付着している原料粉が落下する。これが、落鉱の要因である。通常、巡回する機内コンベア9に付着している原料粉がシュート6内に落下するように、ベルトクリーナー(図示なし)が所定の位置に配置されているが、ベルトクリーナーの効果は完全でない。
【0011】
原料粉が微粉であるほど、ベルトクリーナーの効果は小さく、巡回する機内コンベア9に付着している原料粉は、シュート6の外側で落下し、落鉱として堆積する。シュート6の周辺には、リクレーマーの駆動機構が集中していて、落鉱の堆積は設備故障を誘発するので、適時、落鉱の清掃作業が必要となる。
【0012】
図1に示すリクレーマーには、落鉱が駆動機構の周辺に堆積しないように、落鉱受板15が、最初のリターンローラ9a’の直下で、シュート6に固定されている。しかし、落鉱受板15で受け止めた落鉱を長時間放置すると、落鉱の堆積紛が駆動機構の周辺に流れ落ちて堆積し、設備故障を誘発する。
【0013】
駆動機構の周辺は、通常、清掃作業がし難い場所であり、また、落鉱受板15を配置しても、落鉱が駆動機構の周辺に堆積することは避けられないので、結局、駆動機構を落鉱から保護し、設備故障を回避することは、現状の設備では十分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開平01-242322号公報
【文献】特開平04-217518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
リクレーマーの運転において、設備故障の原因である落鉱を完全になくすことは困難であり、落鉱の堆積量が増大して設備故障が発生する前に、落鉱を清掃・除去することが現実的な対策である。
【0016】
しかし、清掃作業はリクレーマーの運転を休止して行い、また、駆動機構の周辺は、通常、清掃作業がし難い場所であるので、清掃作業の回数が増加すると、清掃コストが増大するとともに、リクレーマーの稼働率が低下する。
【0017】
さらに、設備故障を誘発する落鉱の堆積量の増大は、清掃コストの増大や、リクレーマーの稼働率の低下だけでなく、整備費・外注費の増大や、焼結鉱の品質低下にも繋がるので、落鉱を効率的に回収し、清掃作業の回数を低減し、リクレーマーの稼働率を阻害しない設備の構築が求められている。
【0018】
そこで、本発明は、上記要求を踏まえ、リクレーマーの運転において、落鉱が多量に発生する箇所で、落鉱を、駆動機構の周辺に堆積しないように適確に回収して、清掃作業の回数を低減するとともに、リクレーマーの稼働率を高めることを課題とし、該課題を解決する落鉱回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題を解決する手段について鋭意検討した。その結果、機内コンベアが反転して、巡回する際、落鉱が大量に発生し易い位置で落鉱を受け止め、リクレーマーの俯仰・旋回と連動して、落鉱を回収し得る装置を配置することを発想した。
【0020】
本発明は、上記発想に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
【0021】
(1)原料ヤードの原料(鉱石、石炭等)を次工程へ搬送する地上コンベアに平行なレール上を、地上コンベアを跨いで走行する門型可動体、
門型可動体の上に配置された作業床、
作業床の上に旋回可能に載置された、上記原料を地上コンベアに誘導するシュートを備える旋回可動体、及び、
シュートの上部枠体に、所要の角度範囲で俯仰可能に軸支された、(a)先端に、原料を採取するホイルバケットを備え、採取した原料を、旋回可動体に配置したシュートに投入した後、リターンローラに支持されて巡回する機内コンベアを保持し、反対側に、(b)先端にカウンターウェイトを有するフレームを連結するブーム
を備え、
ブームの俯仰、及び、ホイルバケットの回転と機内コンベアの巡回による原料払出しを遠隔制御で行い、原料ヤードの原料を地上コンベアに送り出すリクレーマーの落鉱回収装置であって、
旋回可動体が、機内コンベアの下方に、一端が、旋回可動体の端部で軸支され、他端が、シュートの外壁面に当接して落鉱を回収し、回収した落鉱を、ブームの俯仰に連動して傾動して作業床に流出させる落鉱回収板を備える
ことを特徴とするリクレーマーの落鉱回収装置。
【0022】
(2)前記落鉱回収板の断面が樋型であり、桶型上部の幅が、機内コンベアの幅の1.2倍以上であることを特徴とする前記(1)に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【0023】
(3)前記落鉱回収板の他端が、シュートの外壁面と摺動しつつ当接を維持する弾性板を備えることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【0024】
(4)前記落鉱回収板が、底部に振動機を備えることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかに記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【0025】
(5)前記落鉱回収板が、原料の安息角を超える角度以上の範囲で傾動することを特徴とする前記(1)~(4)のいずれかに記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【0026】
(6)前記落鉱回収板が、長尺の鎖でブームに連結されていて、払出し作業中は、ブームの俯仰で傾動せず、払出し作業終了後、リクレーマーが走行移動し、ブームが、原料積山を避け得る待機位置まで上昇・旋回・移動する時、上記鎖に牽引されて傾動することを特徴とする前記(1)~(5)のいずれかに記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【0027】
(7)前記作業床が、堆積した落鉱を地上コンベアに送出する送出孔と送出管を備えることを特徴とする前記(1)~(6)のいずれかに記載のリクレーマーの落鉱回収装置。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、リクレーマーの運転において、落鉱が多量に発生する箇所で、落鉱を、駆動機構の周辺に堆積しないように適確に回収して、清掃作業の回数を低減するとともに、リクレーマーの稼働率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】リクレーマーの旋回部の概略構造を示す図である。
【
図3】ブームの俯仰・旋回と落鉱の回収・流出の連携を模式的に示す図である。
【
図4】作業床を載置する門型可動体の側面態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明のリクレーマーの落鉱回収装置(以下「本発明装置」ということがある。)は、
原料ヤードの原料(鉱石、石炭等)を次工程へ搬送する地上コンベアに平行なレール上を、地上コンベアを跨いで走行する門型可動体、
門型可動体の上に配置された作業床、
作業床の上に旋回可能に載置された、上記原料を地上コンベアに誘導するシュートを備える旋回可動体、及び、
シュートの上部枠体に、所要の角度範囲で俯仰可能に軸支された、(a)先端に、原料を採取するホイルバケットを備え、採取した原料を、旋回可動体に載置したシュートに投入した後、リターンローラに支持されて巡回する機内コンベアを保持し、反対側に、(b)先端にカウンターウェイトを有するフレームを連結するブーム
を備え、
ブームの俯仰、及び、ホイルバケットの回転と機内コンベアの巡回による原料払出しを遠隔制御で行い、原料ヤードの原料を地上コンベアに送り出すリクレーマーの落鉱回収装置であって、
旋回可動体が、機内コンベアの下方に、一端が、旋回可動体の端部で軸支され、他端が、シュートの外壁面に当接して落鉱を回収し、回収した落鉱を、ブームの俯仰に連動して傾動して作業床に流出させる落鉱回収板を備える
ことを特徴とする。
【0031】
以下、図面に基づいて本発明装置について説明する。ただし、図面は、本発明装置の一態様を示すものであり、本発明装置は、図面に示す態様に限定されない。
【0032】
図2に、リクレーマーの旋回部の概略構造を示す。リクレーマーの基本構造は、
図1に概略構造を示すリクレーマーと同じであるので、
図2において、
図1に示す記号と同じ記号の構成部材は、
図1に示す構成部材と同じである。
【0033】
原料ヤードの鉱石や石炭等の原料を次工程へ搬送する地上コンベアに平行なレール上を、地上コンベアを跨いで走行する門型可動体(
図1、参照)の上に、作業床4が載置され、作業床4の上には、旋回可動体5が載置され、さらに、旋回可動体5の上に、上記原料を地上コンベアに誘導するシュート6が載置されている。
【0034】
シュートの上部枠体6aには、(a)先端に、原料を採取するホイルバケット(図示なし)を備え、採取した原料を、旋回可動体5に配置したシュート6に投入した後、リターンローラ9a’、9aに支持されて巡回する機内コンベア9を保持し、反対側に、(b)先端にカウンターウェイトを有するフレーム(
図1、参照)を連結するブーム8が、軸支部材6bで、所要の角度範囲で俯仰可能に軸支されている。
【0035】
なお、旋回可動体5の旋回、ブーム8の俯仰、及び、ホイルバケットの回転と機内コンベアの巡回による原料の採取・搬送作業(払出し作業)は、中央操作室での遠隔操作で制御される(特許文献1及び2、参照)。
【0036】
機内コンベア9は、原料をシュート6に投下した後、反転して、リターンローラ9a’、9aに支持されて巡回するが、その際、落鉱が生じる。機内コンベア9の反転後、直近のリターンローラ9a’までの間で生じる落鉱は、シュート6内に落下するが、リターンローラ9a’を過ぎてからの落鉱は、シュート6の外側の旋回可動体5及び作業床4に堆積する。
【0037】
落鉱は、原料が微粉であるほど、機内コンベア9から落下し難いでの、リターンローラ9a’を過ぎてから生じ易い。それ故、旋回可動体5は、機内コンベア9の下方において、シュート6の外側の落鉱が堆積し易い場所に、一端が、旋回可動体5の端部の軸支部19で軸支され、他端が、シュート6の外壁面に当接し、かつ、ブーム8の俯仰に連動して傾動する落鉱回収板16を備えている。
【0038】
即ち、落鉱回収板16は、リターンローラ9a’、9aに支持されて巡回する機内コンベア9から生じる落鉱を受け止めて回収し、払出し作業の終了後、ブーム8の俯仰・旋回に連動して傾動・移動して、作業床4の特定領域に流出させる機能を有するものである。落鉱回収板16からの落鉱の流出については後述する。
【0039】
落鉱回収板16は、受け止めた落鉱が左右に流出しないように、左右に壁を持たせ、多量の落鉱を保持できる樋型のものが好ましい。桶型上部の幅は、落鉱を確実に受け止める点で、機内コンベア9の幅の1.2倍以上が好ましい。桶型上部の幅の上限は、ブーム8の幅や、他の構成部材の形状・寸法等を考慮して、適宜設定する。
【0040】
一端が、旋回可動体5の端部の軸支部19で軸支されて傾動する落鉱回収板16の他端と、シュート6の外壁面との当接を確実に維持し、落鉱の回収漏れをなくすため、落鉱回収板16の他端の先端に、シュート6の外壁面に摺動しつつ柔軟に当接する弾性板17を備えることが好ましい。
【0041】
落鉱回収板16の材質は、落鉱の堆積重量に耐える機械強度を有する材質であればよいので、特定の材質に限定されないが、機械強度の点で、金属、特に鋼が好ましい。
【0042】
弾性板17の材質は、シュート6の外壁面と摺動しつつ柔軟に当接し、シュート6の外壁面との密着を維持できる弾性を有するものあればく、特定の材質に限定されないが、柔軟性の点で、例えば、ゴム材が好ましい。
【0043】
落鉱回収板16は、下ブーム8aの連結部8bに、余裕を持たせた長尺の鎖18で連結されていて、ブーム8の俯仰に連動して、軸支部19を支点にして傾動する。最下位にある落鉱回収板16(図中、落鉱回収板16(a))は、払出し作業中には、落鉱が滑り落ちない傾斜角で静止している。
【0044】
払出し作業中は、落鉱が落鉱回収板から滑り落ちないで、堆積することが望ましいので、最下位の落鉱回収板16(a)の傾斜角は、原料の安息角未満に設定する。機内コンベアの稼働実績によれば、上記傾斜角は水平~30°程度が好ましい。
【0045】
落鉱回収板16(a)は、長尺の鎖18で、下ブーム8a’の連結部8b’に連結されているので、機内コンベア9の稼働中は、ブーム8の俯仰で傾動しない。即ち、機内コンベアの払出し作業中、落鉱の全ては落鉱回収板16(a)の上に堆積し、落鉱の作業床4への流出は抑制される。
【0046】
落鉱回収板16(a)は、機内コンベア9の払出し作業の終了後、ブーム8が、中央操作室での遠隔操作で、待機位置(後述する)まで上昇・旋回して移動する間、鎖18に牽引されて上方に傾動し、落鉱回収板16(b)を経て、最上位の落鉱回収板16(c)に達し、落鉱を、作業床に流出させる。落鉱回収板16(c)の傾斜角は、機内コンベア9で払い出す原料の安息角以上である必要がある。
【0047】
落鉱回収板16の底部に、振動機20を備えることが好ましい。原料が微粉であるほど、落鉱回収板16に付着して残留する落鉱の量が増加するので、落鉱回収板16が落鉱回収板16(c)に達した時、振動機20を作動して、付着・残留の落鉱を、作業床4に流出させることができる。
【0048】
図2では、落鉱回収板16を、余裕を持たせた長尺の鎖18で、下ブーム8aの連結部8bに連結して、落鉱を回収し、作業床の特定の範囲に流出させる態様を示したが、鎖を用いず、他の手段、例えば、電気的手段を用いて、落鉱回収板の傾動を、ブームの俯仰・旋回に連動させてもよい。落鉱回収板の傾動を、ブームの旋回にも連動させることで、落鉱の作業床上の流出範囲を、更に限定することができる。
【0049】
次に、払出し作業中及び終了後のブームの俯仰・旋回と落鉱の回収・流出の連携について説明する。
【0050】
図3に、ブームの俯仰・旋回と落鉱の回収・流出の連携を模式的に示す。
図3に示す「払出し旋回範囲」内で、旋回可動体5に載置されたシュート6の上部枠体に軸支されたブーム8の俯仰・旋回により、原料が積山から払い出される。原料の払出し作業中は、前述したように、落鉱は、全て、落鉱回収板上に堆積し、落鉱の作業床4への流出は抑制される。
【0051】
原料の払出し作業が終了すると、ブーム8は、中央操作室での遠隔操作で、
図3に示す「移動時旋回位置」まで旋回して移動する。この間、落鉱回収板は、前述したように、傾動せず、落鉱は、駆動機構の周辺に落下しない。
【0052】
ブーム8が、旋回して「移動時旋回位置」に達すると、ブーム8は、地上コンベア1の真上の待機位置まで上昇・旋回して移動する。この間、落鉱回収板は、
図2に示すように、鎖(
図2中、18)に牽引されて上方に傾動し始める。
【0053】
ブーム8が、地上コンベア1の真上の待機位置まで上昇・旋回して移動し終わるまでの間、即ち、落鉱回収板が、鎖に牽引されて最上位(傾斜角が原料の安息角以上)に達する(
図2中、落鉱回収板16(c)、参照)までの間、落鉱が落鉱回収板から流出しないことが望ましいが、ブーム8は作業床4の上を上昇・旋回するので、流出したとしても、落鉱は作業床に落下し、清掃作業の負担を増大させない。
【0054】
ブーム8が、地上コンベア1の真上の待機位置まで上昇・旋回して移動し終わったとき、即ち、落鉱回収板が、鎖に牽引されて最上位(傾斜角が原料の安息角以上)に達したとき(
図2中、落鉱回収板16(c)、参照)、落鉱回収板から落鉱が作業床に設けた送出孔4aの周辺に集中的に落下して堆積する。送出孔4aには、落鉱を地上コンベア1に送出する送出管が連結されているが、これについては、
図4で説明する。
【0055】
落鉱は、送出孔4aの周辺に集中的に落下して堆積するので、作業床の清掃は、落鉱を、送出孔4aに掃き込めばよく、清掃作業の負担が大きく軽減される。なお、
図3には、送出孔が1個の場合を示したが、清掃作業の負担の軽減ため、送出孔を2個以上設けてもよい。
【0056】
図4に、作業床を載置する門型可動体の側面態様を示す。作業床4に設けた送出孔4aには、他端の開口が地上コンベアに向く送出管4bが連結されている。作業床4で、送出孔4aに掃き込まれた落鉱は、送出管4bから地上コンベア1に落下して回収される。
【実施例】
【0057】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0058】
(実施例)
リクレーマーの旋回部に、落鉱回収装置を配置して(
図2、参照)、リクレーマーを運転した。リクレーマーの払出し作業中、落鉱は、落鉱回収装置に落下して堆積し、リクレーマーの旋回部に落鉱の堆積は見られなかった。
【0059】
また、リクレーマーの払出し作業が終了した時、落鉱回収板から流出し、作業床の送出孔の周辺に落下・堆積した落鉱を、適宜、作業床の送出孔に掃き込んだので(
図3と
図4、参照)、清掃作業を、負担増なく、迅速に終了することができた。
【産業上の利用可能性】
【0060】
前述したように、本発明によれば、リクレーマーの運転において、落鉱が多量に発生する箇所で、落鉱を、駆動機構の周辺に堆積しないように適確に回収して、清掃作業の回数を低減するとともに、リクレーマーの稼働率を高めることができる。よって、本発明は、鉄鋼産業に限らず、原料ヤードを必要とする産業おいて利用可能性が高いものである。
【符号の説明】
【0061】
1 地上コンベア
1a シュート
1b ホッパー
2 レール
3 門型可動体
4 作業床
4a 送出孔
4b 送出管
5 旋回可動体
6 シュート
6a 上部枠体
6b 軸支部材
7 ホイルバケット
8 ブーム
8a、8a’ 下ブーム
8b、8b’ 連結部
9 機内コンベア
9a、9a’ リターンローラ
10 ホッパー
11 フレーム
12 カウンターウェイト
13 ジブ
13a、13b、13c、13d フレーム
14 監視室
15 落鉱受板
16 落鉱回収板
16(a)、16(b)、16(c) 落鉱回収板
17 弾性板
18 鎖
19 軸支部
20 振動機