(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ワクチンベクターとしての三セグメントピチンデウイルス
(51)【国際特許分類】
C12N 15/40 20060101AFI20230331BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230331BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230331BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20230331BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20230331BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230331BHJP
C12N 7/00 20060101ALI20230331BHJP
C12N 7/02 20060101ALI20230331BHJP
C07K 14/08 20060101ALI20230331BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20230331BHJP
A61K 39/29 20060101ALI20230331BHJP
A61K 39/25 20060101ALI20230331BHJP
A61K 39/04 20060101ALI20230331BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230331BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230331BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230331BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
C12N15/40 ZNA
C12N15/86 Z
C12N15/12
C12N15/31
C12N15/33
C12N5/10
C12N7/00
C12N7/02
C07K14/08
A61K39/12
A61K39/29
A61K39/25
A61K39/04
A61K39/00 H
A61P31/00
A61P35/00
A61K39/395 U
(21)【出願番号】P 2019513483
(86)(22)【出願日】2017-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2017061865
(87)【国際公開番号】W WO2017198726
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-15
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518408763
【氏名又は名称】ユニベルシタト バーゼル
(73)【特許権者】
【識別番号】518408774
【氏名又は名称】ホオキパ バイオテック ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ウェルディ ボニーラ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル デビッド ピンスチェワー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス オルリンジャー
【審査官】白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/048949(WO,A1)
【文献】Journal of Virology,2016年,Vol.90, No.5,p.2551-2560
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/00-7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子であって、
第1のSセグメントが、GPをコードするORFをピチンデウイルスゲノムの3'UTRの制御下の位置に及び第1の対象の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスゲノムの5'UTRの制御下の位置に担持するように操作されており
、
第2のSセグメントが、NPをコードするORFをピチンデウイルスゲノムの3'UTRの制御下の位置に及び第2の対象の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスゲノムの5'UTRの制御下の位置に担持するように操作されて
おり、かつ
Lセグメントが、Lタンパク質をコードするORFをピチンデウイルスゲノムの3'UTRの制御下の位置に及びZタンパク質をコードするORFをピチンデウイルスゲノムの5'UTRの制御下の位置に担持する、前記三セグメントピチンデウイルス粒子。
【請求項2】
前記対象の遺伝子が:
(i)感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする;
(ii)ヒト免疫不全ウイルス抗原、パピローマウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、B型肝炎ウイルス抗原、水痘帯状疱疹ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、腫瘍関連抗原、並びに腫瘍ネオ抗原及び腫瘍ネオエピトープを含む腫瘍特異的抗原から選択される抗原をコードする;又は
(iii)蛍光タンパク質をコードする、
請求項1記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
【請求項3】
前記ピチンデウイルスが、株Munchique CoAn4763単離株P18、又はP2株である、請求項1又は2記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する方法であって:
(i)前記1つのLセグメント及び2つのSセグメントの1以上のcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;
(ii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び
(iii)該ピチンデウイルス粒子を収集すること
を含む、前記方法。
【請求項5】
前記1つのLセグメント及び2つのSセグメントの転写が、二方向性プロモーターを使用して行われる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記1つのLセグメント及び前記2つのSセグメントの転写が、それぞれ:
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある、請求項4記載の方法。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子を含む、ワクチン。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年5月18日に出願された米国仮出願第62/338,400号からの優先権の恩典を主張するものであり、それらの全体の内容は、引用により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
本願は、2017年5月16日に作成され、61,423バイトのサイズを有し、「Sequence_Listing_13194-020-228.TXT」と題されたテキストファイルとして、本願と共に提出された配列表を、引用により組み込む。
【0003】
1. 序論
本願は、そのゲノム内にそのオープンリーディングフレーム(「ORF」)の再配列を有するピチンデウイルスに関する。特に、本明細書に提供されるのは、改変されたピチンデウイルスゲノムセグメントであって、該ピチンデウイルスゲノムセグメントは、ウイルスORFを、そのORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されている。また、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメント、又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む、三セグメントピチンデウイルス粒子である。本明細書で記載されるピチンデウイルスは、本明細書に記載されるピチンデウイルスは、ワクチン及び/又は疾患の治療のため及び/又は免疫療法で使用するために好適であり得る。
【背景技術】
【0004】
2. 背景
2.1 ピチンデウイルスの一般的背景及びゲノム構成
ピチンデウイルスは、コロンビアでOryzomys albigularis (コメネズミ)から単離されたアレナウイルスである (McLayらの文献、2014, Journal of General Virology, 95: 1-15において検討された)。ピチンデウイルスは、非病原性であり、一般にヒトに疾患を引き起こすことは知られていない。血清学的証拠は、現地人集団においてさえも血清有病率が非常に低いことを示唆する (Trapidoらの文献、1971, Am J Trop Med Hyg, 20: 631-641)。アレナウイルス科(Arenaviridae)は、ラッサ熱ウイルス(LASV)及びリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のような旧世界(OW)アレナウイルス、及びピチンデウイルス及びフニンウイルスのような新世界(NW)アレナウイルスの、2つの群に分類される(Buchmeierらの文献、 2001, 「アレナウイルス科:ウイルス及びその複製」(Arenaviridae: The Viruses and Their Replication), Fields Virology Vol 2, 1635-1668)。アレナウイルスはエンベロープRNAウイルスである。そのゲノムは、ネガティブセンスの一本鎖RNAの2つのセグメントからなる(
図1A)。(McLayらの文献、2014, Journal of General Virology, 95: 1-15)。各セグメントは、反対方向に2つのウイルス遺伝子をコードしている。短いセグメント(Sセグメント)は、ウイルス糖タンパク質(GP)及び核タンパク質(NP)をコードしている。長いセグメント(Lセグメント)は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp; Lタンパク質)及びマトリックスタンパク質Z(タンパク質Z)、RINGフィンガータンパク質を発現する。各セグメント上の2つの遺伝子は、非コード遺伝子間領域(IGR)によって隔てられており、5'及び3'非翻訳領域(UTR)が隣接している。IGRは、安定なヘアピン構造を形成し、ウイルスmRNA転写の構造依存的終結に関与することが示されている(Pinschewerらの文献、 2005, J Virol 79(7): 4519-4526)。UTRの末端ヌクレオチドは、高度の相補性を示し、二次構造の形成をもたらす。これらのパンハンドル構造は、転写及び複製のためのウイルスプロモーターとして機能することが知られており、部位特異的突然変異誘発によるそれらの分析は、マイナーな配列変化でさえ許容されない配列依存性及び構造依存性を明らかにした(Perez及びde la Torreの文献、 2003, Virol 77(2): 1184-1194)。
【0005】
2.2 逆遺伝学的システム
ピチンデウイルスのようなマイナス鎖ウイルスの単離及び精製されたRNAは、mRNAとして直接機能することができない、すなわち、細胞に導入された場合に、翻訳され得ない。その結果、ウイルスRNAでの細胞のトランスフェクションは、感染性ウイルス粒子の生成をもたらさない。培養された許容細胞においてcDNAからマイナス鎖RNAウイルスの感染性ウイルス粒子を作製するために、ウイルスRNAセグメント(複数可)は、転写及び複製に必要な最小限の因子でトランス補完されなければならない。数年前に公開されたミニゲノムシステムの助けを借りて、ウイルス粒子の転写、複製及び形成に関与するウイルスのシス作用エレメント及びトランス作用因子は、最終的に分析することができた(Leeらの文献、 2000, J Virol 74(8): 3470-3477; Leeらの文献、 2002, J Virol 76(12): 6393-6397; Perez及びde la Torreの文献、 2003, J Virol 77(2): 1184-1194; Pinschewerらの文献、 2003, J Virol 77(6): 3882-3887; Pinschewerらの文献、 2005, J Virol 79(7): 4519-4526)。このような逆遺伝学システムは、ピチンデウイルスレスキューを成功裡に実証するために開発されてきた(例えば、Liangらの文献、 2009, Ann N Y Acad Sci, 1171: E65-E74; Lanらの文献、 2009, Journal of Virology, 83 (13): 6357-6362を参照されたい)。
【0006】
2.3 対象の遺伝子を発現する組換えピチンデ
対象となる外来遺伝子を発現する組換えマイナス鎖RNAウイルスの作製が、長い間追求されてきた。他のウイルスについて様々な戦略が公表されている(Garcia-Sastreらの文献、 1994, J Virol 68(10): 6254-6261; Percy らの文献、 1994, J Virol 68(7): 4486-4492; Flick及びHobomの文献、 1999, Virology 262(1): 93-103; Machadoらの文献、 2003, Virology 313(1): 235-249)。生ピチンデウイルスベースのベクターが公表されている(Dhanwani らの文献、 2015, Journal of Virology 90:2551-2560;国際特許出願公開番号WO 2016/048949)。三セグメントのピチンデウイルスが公表されている(Dhanwani らの文献、 2015, Journal of Virology 90:2551-2560;国際特許出願公開番号WO 2016/048949)。Dhanwani によって2015年に公表された三セグメントウイルスにおいて、NPとGPの両方は、Sセグメント内でそれぞれの天然位置に保持されるため、隣接UTRの中のそれらの天然のプロモーター下で発現された。
【0007】
2.4 複製欠損アレナウイルス
感染性アレナウイルス粒子は、感染細胞中でその遺伝物質を増幅及び発現する能力を有するゲノムを含有するが、遺伝子操作されていない正常細胞ではさらなる子孫を生成することができないように操作することはできる(すなわち、感染性複製欠損アレナウイルス粒子)ことが示された(国際公開番号WO 2009/083210 A1及び国際公開番号WO 2014/140301 A1)。
【発明の概要】
【0008】
3. 発明の概要
本願は、そのゲノム内にそのORFの再配列を有するピチンデウイルスに関する。特に、本願は、ピチンデウイルスORFを、その野生型位置以外の位置に担持するように操作されているピチンデウイルスゲノムセグメントに関する。本願は、複製可能二セグメントピチンデウイルス粒子に組換えしない、1つのLセグメント及び2つのSセグメント、又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む、三セグメントピチンデウイルス粒子をも提供する。本願は、該三セグメントピチンデウイルス粒子を、遺伝的安定性が改善され、持続的な導入遺伝子発現を確実にするように操作することができることを実証する。
【0009】
ある実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは、感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入することができる。あるより具体的な実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは、感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入し、その後、宿主細胞でその遺伝情報を増幅させ、それを発現させることができる。ある実施態様において、該ウイルスベクターは、感染した細胞でその遺伝情報を増幅させ、それを発現させる能力を有するゲノムを含有するが、正常の、遺伝子操作されていない細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができないように操作された感染性複製欠損ピチンデウイルスのウイルスベクターである。ある実施態様において、該感染性ピチンデウイルスのウイルスベクターは、複製可能であり、遺伝子操作されていない正常細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成することができる。あるより具体的な実施態様において、そのような複製可能ウイルスベクターは、該複製可能ウイルスベクターが由来する野生型ウイルスに比べて弱毒化される。
3.1 非天然オープンリーディングフレーム
したがって、一つの態様において、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルスゲノムセグメントである。ある実施態様において、該ゲノムセグメントは、ウイルスORFをそのORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作される。いくつかの実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントは、
(i)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vii)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(x)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
からなる群から選択される。
【0010】
いくつかの実施態様において、該ピチンデウイルスの3'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント又はピチンデウイルスLセグメントの3'UTRである。ある実施態様において、該ピチンデウイルスの5'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント又はピチンデウイルスLセグメントの5'UTRである。
【0011】
また、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるピチンデウイルスゲノムセグメントの単離されたcDNAである。また、本明細書に提供されるのは、該ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを含むDNA発現ベクターである。
【0012】
また、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルスゲノムセグメント、ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNA、又はピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを含むベクターを含む、宿主細胞である。
【0013】
また、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように、該ピチンデウイルスゲノムセグメント及び第2のピチンデウイルスゲノムセグメントを含むピチンデウイルス粒子である。
【0014】
ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は、感染性であり、複製可能である。いくつかの実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は弱毒化されている。他の実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は、感染性であるが、非相補細胞においてさらなる感染性子孫を生成できない。
【0015】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの少なくとも1つは、除去されているか、又は機能的に不活性化されている。
【0016】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの少なくとも1つは、除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFと置き換えられている。他の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つのみが除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFと置き換えられている。より具体的な実施態様において、GPをコードするORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFと置き換えられている。他の実施態様において、NPをコードするORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFと置き換えられている。いくつかの実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFと置き換えられている。他の実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFと置き換えられている。
【0017】
ある実施態様において、異種ORFは、レポータータンパク質をコードする。いくつかの実施態様において、異種ORFは、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする。他の実施態様において、抗原をコードする異種ORFは、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、B型肝炎表面抗原、水痘帯状疱疹(varizella zoster)ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、腫瘍関連抗原、及び(腫瘍ネオ抗原及び腫瘍ネオエピトープのような)腫瘍特異的抗原から選択される。
【0018】
ある実施態様において、ピチンデウイルス粒子の増殖又は感染性は、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFによって影響されない。
【0019】
また、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルスゲノムセグメントを生成する方法である。ある実施態様において、該方法は、ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを転写することを含む。
【0020】
また、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルス粒子を生成する方法である。ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子を生成する方法は、
(i)ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを、宿主細胞にトランスフェクトすること;
(ii)第2のピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを含むプラスミドを、該宿主細胞にトランスフェクトすること;
(iii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び
(iv)ピチンデウイルス粒子を収集すること
を含む。
【0021】
ある実施態様において、Lセグメント及びSセグメントの転写は、二方向性プロモーターを使用して行われる。
【0022】
ある実施態様において、該方法は、ピチンデウイルスポリメラーゼをコードする1以上の核酸を宿主細胞にトランスフェクトすることをさらに含む。さらにより具体的な実施態様において、該ポリメラーゼはLタンパク質である。他の実施態様において、該方法は、NPをコードする1以上の核酸を該宿主細胞にトランスフェクトすることをさらに含む。
【0023】
ある実施態様において、Lセグメント、及びSセグメントの転写は、それぞれ、
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある。
【0024】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルス粒子を含むワクチンであって、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの少なくとも1つは、除去されているか、又は機能的に不活化されている; 又はGP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の別の生物からの異種ORFで置き換えられている;又はGP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つのみは、除去され、ピチンデウイルス以外の別の生物からの異種ORFで置き換えられている。より具体的な実施態様において、該ワクチンは、医薬として許容し得る担体をさらに含む。
【0025】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルス粒子を含む医薬組成物であって、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの少なくとも1つは、除去されているか、又は機能的に不活化されている; 又はGP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の別の生物からの異種ORFで置き換えられている;又はGP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つのみは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている。より具体的な実施態様において、該医薬として許容し得る担体は、医薬として許容し得る担体をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメント又はピチンデウイルス粒子は、高病原性長期継代株 Munchique CoAn4763 単離株P18又は短期継代P2株に由来するか、又はTrapido及び共同研究者によって記載されたいくつかの単離株のいずれかに由来する(Trapidoらの文献、1971, Am J Trop Med Hyg, 20: 631-641)。
【0027】
3.2 三セグメントピチンデウイルス
一つの態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子である。いくつかの実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントピチンデウイルス粒子を感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのピチンデウイルスのORFを結合している2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、ウイルスプロモーター活性を抑制する。
【0028】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子である。ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントピチンデウイルス粒子を感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのピチンデウイルスのORFを結合している2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、ウイルスプロモーター活性を抑制する。
【0029】
ある実施態様において、2つのSセグメントのうちの1つは:
(i)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
からなる群から選択される。
【0030】
ある実施態様において、2つのLセグメントのうちの1つは:
(i)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
からなる群から選択される。
【0031】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子の3'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント又はピチンデウイルスLセグメントの3'UTRである。他の実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子の5'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント又はピチンデウイルスLセグメントの5'UTRである。
【0032】
ある実施態様において、2つのSセグメントは、(i)ピチンデウイルス以外の生物からの1つ又は2つの異種ORF;又は(ii)1つ又は2つの重複ピチンデウイルスORF;又は(iii)ピチンデウイルス以外の生物からの1つの異種ORF及び1つの重複ピチンデウイルスORFを含む。
【0033】
ある実施態様において、2つのLセグメントは、(i)ピチンデウイルス以外の生物からの1つ又は2つの異種ORF;又は(ii)1つ又は2つの重複ピチンデウイルスORF;又は(iii)ピチンデウイルス以外の生物からの1つの異種ORF及び1つの重複ピチンデウイルスORFを含む。
【0034】
ある実施態様において、異種ORFは、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする。他の実施態様において、抗原をコードする異種ORFは、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、B型肝炎表面抗原、水痘帯状疱疹(varizella zoster)ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、腫瘍関連抗原、及び(腫瘍ネオ抗原及び腫瘍ネオエピトープのような) 腫瘍特異的抗原から選択される。
【0035】
ある実施態様において、少なくとも1つの異種ORFは、蛍光タンパク質をコードする。他の実施態様において、該蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は赤色蛍光タンパク質(RFP)である。
【0036】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、4つ全てのピチンデウイルスORFを含む。いくつかの実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性であり、複製可能である。
【0037】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、4つのピチンデウイルスORFの1以上を欠いている。他の実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性であるが、非相補細胞でさらなる感染性子孫を生成することができない。
【0038】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、4つのピチンデウイルスORFの1つを欠いており、ここで、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性であるが、非相補細胞でさらなる感染性子孫を生成することができない。
【0039】
いくつかの実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、GP ORFを欠いている。
【0040】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子である。ある実施態様において、第1のSセグメントは、GPをコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に及び対象の第1の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスの5'UTRの制御下の位置に担持するように操作されている。いくつかの実施態様において、第2のSセグメントは、NPをコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に及び対象の第2の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスの5'UTRの制御下の位置に担持するように操作されている。
【0041】
さらに別の態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子である。ある実施態様において、第1のSセグメントは、GPをコードするORFをピチンデウイルスの5'UTRの制御下の位置に及び対象の第1の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に担持するように操作されている。いくつかの実施態様において、第2のSセグメントは、NPをコードするORFをピチンデウイルスの5'UTRの制御下の位置に及び対象の第2の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に担持するように操作されている。
【0042】
ある実施態様において、対象の遺伝子は、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする。他の実施態様において、対象の遺伝子は、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、B型肝炎表面抗原、水痘帯状疱疹(varizella zoster)ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、腫瘍関連抗原、及び (腫瘍ネオ抗原及び腫瘍ネオエピトープのような) 腫瘍特異的抗原から選択される抗原をコードする。さらに別の実施態様において、 少なくとも1つの対象の遺伝子は、蛍光タンパク質をコードする。具体的な実施態様において、該蛍光タンパク質は、GFP又はRFPである。
【0043】
また、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノムの単離されたcDNAである。また、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノムのcDNAを含むDNA発現ベクターである。また、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルスのcDNAを個別に又は全体として含む1以上のDNA発現ベクターである。
【0044】
また、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子、三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノムのcDNA、又は三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノムのcDNAを含むベクターを含む、宿主細胞である。
【0045】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は弱毒化されている。
【0046】
また、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する方法である。ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子を作製する方法は、
(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメントの1以上のcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;
(ii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び
(iii)ピチンデウイルス粒子を収集すること
を含む。
【0047】
また、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する方法である。ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する方法は、
(i)2つのLセグメント及び1つのSセグメントの1以上のcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;
(ii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び
(iii)ピチンデウイルス粒子を収集すること
を含む。
【0048】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントの転写は、二方向性プロモーターを使用して行われる。いくつかの実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントの転写は、二方向性プロモーターを使用して行われる。
【0049】
ある実施態様において、該方法は、ピチンデウイルスポリメラーゼをコードする1以上の核酸を宿主細胞にトランスフェクトすることをさらに含む。さらにより具体的な実施態様において、該ポリメラーゼはLタンパク質である。他の実施態様において、該方法は、NPタンパク質をコードする1以上の核酸を宿主細胞にトランスフェクトすることをさらに含む。
【0050】
ある実施態様において、1つのLセグメント、及び2つのSセグメントの転写は、それぞれ、
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある。
【0051】
ある実施態様において、2つのLセグメント、及び1つのSセグメントの転写は、それぞれ、
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある。
【0052】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、二セグメントピチンデウイルス粒子と同じトロピズムを有する。他の実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は複製欠損である。
【0053】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子及び医薬として許容し得る担体を含むワクチンである。
【0054】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。
【0055】
いくつかの実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメント又はピチンデウイルス粒子は、高病原性長期継代株Munchique CoAn4763 単離株P18、又は短期継代P2株に由来するか、又はTrapido及び共同研究者によって記載されたいくつかの単離株のいずれかに由来する(Trapidoらの文献、 1971, Am J Trop Med Hyg, 20: 631-641)。
3.3 慣例及び略語
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0056】
4. 図面の簡単な説明
【
図1】
図1A-1D: 二セグメント及び三セグメントピチンデウイルスのゲノム構成の概略図。野生型ピチンデウイルスの二セグメントゲノムは、GP及びNPをコードする1つのSセグメント並びにZタンパク質及びLタンパク質をコードする1つのLセグメントからなる。両方のセグメントには、それぞれ5'UTR及び3'UTRが隣接している。(
図1A)その天然ゲノムセグメントS(配列番号16)及びL(配列番号2)を有するcDNA由来野生型ピチンデウイルスであるrPIC
wt ピチンデウイルスゲノムの概略説明。これはそれぞれのcDNAのBsmBI及びBbsI部位を抑制するために導入されたサイレント突然変異によって改変されたものである。(
図1B-1D)組換え三セグメントピチンデウイルス(r3PIC)のゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなり、該Sセグメントの各々に対象の遺伝子(ここではGFP/sP1AGM融合タンパク質)を挿入するべき1つの位置を有する。(
図1B)人為的な構成を有する三セグメントピチンデウイルスベクターゲノムの概略説明。重複Sセグメントのうちの1つにおいて、糖タンパク質(GP)ORFは天然Sセグメントの核タンパク質(NP)ORFの代わりに、すなわち、3'UTR及びIGRの間に位置する。(
図1C)r3PIC-GFP
artは、その天然の位置にある全てのウイルス遺伝子からなるが、ただしGP ORFは人為的に3'UTRに並置され、3'UTRの制御下で発現される(S-GP/GFPart;配列番号13)。(
図1D)三セグメントピチンデウイルスベースのsP1AGM発現r3PIC-sP1AGM
artベクターゲノムの概略説明。
【0057】
【
図2】
図2: 三セグメントr3PIC-GFP
artは、その二セグメント野生型親ウイルスと比較して弱毒化された。感染多重度(moi)0.01で感染させたBHK-21細胞における示されたウイルスの増殖動態学 (野生型ピチンデウイルス:黒の四角; r3PIC-GFP
art:黒の円)。感染後の示した時点で上清を採取し、フォーカス形成アッセイによってウイルス力価を決定した。
【0058】
【
図3】
図3:
図2及び
図4に記載された実験のために使用されたプラスミドの発現カセットの概略説明。
【0059】
【
図4】
図4: r3PIC-GFP
artを用いた、細胞におけるcDNAからの感染性のGFP発現ウイルスの再構成。GFP発現の蛍光像は、Sセグメントミニゲノム:pC-PIC-L-Bsm、pC-PIC-NP-Bbs、pol-I-PIC-miniS-GFP;Lセグメントミニゲノム:pC-PIC-L-Bsm、pC-PIC-NP-Bbs、pol-I-PIC-L-GFP-Bsm;r3PIC-GFP
art:pC-PIC-L-Bsm、pC-PIC-NP-Bbs、pol-I-PIC-L、pol-I-PIC-NP-GFP、pol-I-PIC-GP-GFP;rPIC
wt:pC-PIC-L-Bsm、pC-PIC-NP-Bbs、pol-I-PIC-L、pol-I-PIC-Sの組み合わせのプラスミドでのBHK-21細胞のトランスフェクション後48時間又は168時間に捕捉された。
【0060】
【
図5】
図5A-5B: 三セグメントピチンデウイルスベースのウイルスベクターは高度に免疫原性である。BALB/cマウスを10e5 FFUのr3PIC-sP1AGM
artで静脈内感染させた。対照のマウスは免疫しなかった。8日後、末梢血中のP1A特異的CD8+T細胞の頻度を、MHCクラスI四量体染色によって決定した。例示的なFACSプロット(
図5A)及び末梢血中のCD8+T細胞内の四量体結合細胞の頻度(
図5B)を示す。Bのシンボルは個々のマウスを表す。
【0061】
【
図6】
図6: それぞれ5’及び3'UTRプロモーターの制御下で、すなわち、人為的重複SセグメントS-GP/GFPnat(配列番号15)及びS-NP/GFP(PIC-NP-GFPとしても知られる; 配列番号11)の文脈においてそれぞれの「天然」位置で、その糖タンパク質(GP)及び核タンパク質(NP)遺伝子を発現するように設計された三セグメントピチンデウイルスベクターゲノムの概略説明。該ゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなり、該Sセグメントの各々に対象の遺伝子(ここではGFPタンパク質)を挿入すべき1つの位置を有する。
【0062】
【
図7】
図7: 三セグメントr3PIC-GFP
nat及びr3PIC-GFP
artの初期の継代は、その二セグメント野生型親ウイルスと比較して弱毒化された。感染多重度(moi)0.01で感染させた、培養中のBHK-21細胞における示されたウイルスの増殖動態。感染48時間後に上清を採取し、フォーカス形成アッセイによってウイルス力価を決定した。シンボルは、個々の平行細胞培養ウェルの力価を示す;エラーバーは平均+/-SDを表示する。
【0063】
【
図8】
図8: 安定に弱毒化されたr3PIC-GFP
artと異なり、r3PIC-GFP
natはマウスの持続感染中にrPIC
wtの範囲の力価に到達した。AGRマウス(I型及びII型インターフェロン受容体並びにRAG1を三重欠損しているマウス)を、図に示すとおりに10e5 FFUのウイルスで静脈内感染させた(野生型ピチンデウイルス-rPIC
wt:灰色の三角;r3PIC-GFP
art:黒の円; r3PIC-GFP
nat:白の四角)。血液を7、14、21、28、35、42、56、77、98、120及び147日目に集め、ピチンデウイルス核タンパク質(NP FFU)を検出するフォーカス形成アッセイにおいてウイルス感染性を決定した。
【0064】
【
図9】
図9: 安定に弱毒化されたr3PIC-GFP
artと異なり、r3PIC-GFP
natはマウスの持続感染中にrPIC
wtの範囲の力価に到達した。AGRマウス(I型及びII型インターフェロン受容体並びにRAG1を三重欠損しているマウス)を、図に示すとおりに10e5 FFUのウイルスで静脈内感染させた(野生型ピチンデウイルス-rPIC
wt:灰色の三角;r3PIC-GFP
art:黒の円;r3PIC-GFP
nat:白の四角)。血液を7、14、21、28、35、42、56、77、98、120及び147日目に集め、r3PIC-GFP
nat及びr3PIC-GFP
art(GFP FFU)のウイルスGFP導入遺伝子を検出するフォーカス形成アッセイにおいてウイルス感染性を決定した。
【0065】
【
図10】
図10: 人為的なゲノムを有する三セグメントピチンデウイルスベースのウイルスベクターは、高度に免疫原性である。AGRマウス(I型及びII型インターフェロン受容体並びにRAG1を三重欠損しているマウス)を図に示したとおりに10e5 FFUのウイルスで静脈内感染させた(r3PIC-GFP
art:黒の円;r3PIC-GFP
nat:白の四角)。血液を7、14、21、28、35、42、56、77、98、120及び147日目に集め、
図9及び
図10に提示するとおりにフォーカス形成アッセイによってウイルス感染性を決定した。得られた値を使用して各動物及び時点についてのNP:GFP FFU比を計算した。
【0066】
【
図11】
図11: r3PIC-GFP
art感染後147日に集めたマウス血清中のウイルスは、細胞培養において直接継代した場合には弱毒化された増殖を示したが、r3PIC-GFP
nat感染マウスから増殖させたウイルスは、rPIC
wtに匹敵する力価に到達した。BHK-21細胞での感染後147日に集めた血清を継代し、48時間後にNP FFUアッセイによってウイルス感染性を決定した。シンボルは、個々のマウス血清由来ウイルスの力価を示す;エラーバーは平均+/-SDを表示する。
【0067】
【
図12】
図12: r3PIC-GFPart感染後147日に集めたマウス血清から単離し増やしたウイルスは、細胞培養において直接継代した場合には弱毒化された増殖を示したが、r3PIC-GFPnat感染マウスから単離し増やしたウイルスは、rPICwtに匹敵する力価に到達した。BHK-21細胞は、感染後147日に集め、予め48時間継代した血清から得られたウイルスで標準化(standardized)感染多重度=0.01で感染させた。ウイルス力価は、48時間後に決定した。シンボルは、個々のマウス血清由来ウイルスの力価を示す;エラーバーは平均+/-SDを表示する。
【0068】
【
図13】
図13: r3PIC-GFP
artは、マウスにおける147日間の持続感染期間中に2つのSセグメントを組換えしなかったが、NP配列及びGP配列の両方を含有するSセグメントRNA種は、147日間r3PIC-GFP
natに持続感染したマウスの血清中に検出された。RT-PCRは、ウイルス感染後147日に集めた血清試料に行い、プライマーは、rPIC
wtゲノムテンプレート上の357塩基対のPCRアンプリコンを生じると予測されるように、それぞれピチンデウイルスNP及びGPに結合するよう設計され、ピチンデウイルスSセグメントの遺伝子間領域(IGR)にわたるプライマーを使用した。各レーンは、
図8~10に示す実験における個々のマウスからのRT-PCR生成物を表す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
発明の詳細な説明
4.1 非天然位置にオープンリーディングフレームを有するピチンデウイルス
本明細書に提供されるのは、そのORFの再配列を有するピチンデウイルスである。ある実施態様において、このようなピチンデウイルスは複製可能であり、感染性である。このようなピチンデウイルスのゲノム配列は本明細書に提供される。一つの態様において、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルスゲノムセグメントであり、ここで、該ピチンデウイルスゲノムセグメントは、ピチンデウイルスORFを、それぞれの遺伝子がピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18(7.配列表の配列番号1及び2を参照されたい)のような野生から単離されたウイルスで見出されている該ORFの位置(「野生型位置」と本明細書で呼ぶ)以外の位置(すなわち、非天然位置)に担持するように改変されている。
【0070】
野生型ピチンデウイルスゲノムセグメント及びORFは、当技術分野で公知である。特に、該ピチンデウイルスゲノムは、Sセグメント及びLセグメントからなる。該Sセグメントは、GP及びNPをコードするORFを担持する。該Lセグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質をコードする。両方のセグメントは、それぞれ5'UTR及び3'UTRに隣接する(
図1Aを参照されたい)。説明的な野生型ピチンデウイルスゲノムセグメントは、配列番号1及び配列番号2に提供される。
【0071】
ある実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメントは、2以上のピチンデウイルスORFを野生型位置以外の位置に担持するように操作することができる。他の実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントは、2つのピチンデウイルスORF、又は3つのピチンデウイルスORF、又は4つのピチンデウイルスORFを野生型位置以外の位置に担持するように操作することができる。
【0072】
ある実施態様において、本明細書に提供されるピチンデウイルスゲノムセグメントは、
(i)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(vii)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスLセグメント;
(x)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスLセグメント;
であり得る。
【0073】
ある実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、ピチンデウイルスの3'UTR又はピチンデウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる。より具体的な実施態様において、該ピチンデウイルスの3’UTRは、ピチンデウイルスSセグメントの3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該ピチンデウイルスの3'UTRは、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該ピチンデウイルスの5'UTRは、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRである。他の具体的な実施態様において、5'UTRは、Lセグメントの5'UTRである。
【0074】
他の実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメントの制御下に置くことができる(5'-及び3'-末端19~21ヌクレオチド領域)(例えば、Perez及びde la Torreの文献、 2003, J Virol. 77(2): 1184-1194を参照されたい)。
【0075】
ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、5'UTRのプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献、 2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照されたい)。別の実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、3'UTRのプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献、 2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照されたい)。より具体的な実施態様において、5'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、3'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの3'UTRプロモーターエレメントである。
【0076】
ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、切断型ピチンデウイルスの3'UTR又は切断型ピチンデウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる(例えば、Perez及び de la Torreの文献、 2003, J Virol. 77(2): 1184-1194; Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照されたい)。より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントの5'UTRである。
【0077】
また、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように、そのORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように操作された第1のゲノムセグメント及び第2のピチンデウイルスゲノムセグメントを含むピチンデウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該ORFの野生型位置以外の位置にあるORFは、ピチンデウイルスORFのうちの1つである。
【0078】
ある具体的な実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は、全4つのピチンデウイルスORFの完全な相補体を含むことができる。具体的な実施態様において、該第2のピチンデウイルスゲノムセグメントは、そのORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように操作されている。別の具体的な実施態様において、該第2のピチンデウイルスゲノムセグメントは、野生型ゲノムセグメントであり得る(すなわち、ORFをセグメント上で野生型位置に含む)。
【0079】
ある実施態様において、該第1のピチンデウイルスゲノムセグメントはLセグメントであり、該第2のピチンデウイルスゲノムセグメントはSセグメントである。他の実施態様において、該第1のピチンデウイルスゲノムセグメントはSセグメントであり、該第2のピチンデウイルスゲノムセグメントはLセグメントである。
【0080】
そのORFの野生型位置以外の位置にORFを有するゲノムセグメント及び第2のゲノムセグメントを含むピチンデウイルス粒子の非限定的な例を表1に示す。
表1
ピチンデウイルス粒子
*位置1は、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、ピチンデウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
【表2】
【0081】
また、本明細書に提供されるのは、ORFをそのORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されているピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAである。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1記載のピチンデウイルスゲノムのcDNA又はcDNAセットである。
【0082】
ある実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントをコードする核酸は、本明細書で開示される核酸配列に少なくともある種の配列同一性を有することができる。したがって、いくつかの態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメントをコードする核酸は、配列番号によって本明細書に開示される核酸配列又は配列番号によって本明細書に開示される核酸配列にハイブリダイズする核酸配列に対し、少なくとも80%同一性、少なくとも85%同一性、少なくとも90%同一性、少なくとも91%同一性、少なくとも92%同一性、少なくとも93%同一性、少なくとも94%同一性、少なくとも95%同一性、少なくとも96%同一性、少なくとも97%同一性、少なくとも98%同一性、又は少なくとも99%同一性の核酸配列を有するか、又はそれと同一である。ハイブリダイゼーション条件は、本明細書に記載されるもののような当業者に周知の高度にストリンジェント、中程度にストリンジェント、又は低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を含む。同様に、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントを作製するのに使用され得る核酸は、配列番号によって本明細書に開示される核酸又は配列番号によって本明細書に開示される核酸配列にハイブリダイズする核酸に対し、あるパーセントの配列同一性を有し得る。例えば、ピチンデウイルスゲノムセグメントを作製するために使用される核酸は、本明細書に記載される核酸配列に対し、少なくとも80%同一性、少なくとも85%同一性、少なくとも90%同一性、少なくとも91%同一性、少なくとも92%同一性、少なくとも93%同一性、少なくとも94%同一性、少なくとも95%同一性、少なくとも96%同一性、少なくとも97%同一性、少なくとも98%同一性又は少なくとも99%同一性を有するか、又はそれと同一であることができる。
【0083】
配列同一性(相同性又は類似性としても知られる)は、2つの核酸分子間又は2つのポリペプチド間の配列類似性を指す。同一性は、各配列における位置を比較することによって決定することができ、各配列は比較のために整列させてもよい。比較される配列における位置が同じ塩基又はアミノ酸によって占められている場合、それらの分子はその位置で同一である。配列間の同一性の程度は、該配列によって共有されるマッチング又は相同位置の数の関数である。配列同一性のパーセントを決定するための2つの配列のアラインメントは、例えばAusubelらの文献、「分子生物学の現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」, John Wiley and Sons, Baltimore, MD (1999)に記載されたもののような当技術分野で公知のソフトウェアプログラムを使用して行うことができる。好ましくは、アラインメントにはデフォルトパラメーターが使用される。使用することができる当技術分野で周知の1つのアラインメントプログラムはデフォルトパラメーターに設定されたBLASTである。特に、プログラムは、デフォルトパラメーターとして、遺伝コード=標準;フィルター=なし;ストランド=両方;カットオフ=60;期待=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;選別順=HIGH SCORE;データベース=非重複、GenBank + EMBL + DDBJ + PDB + GenBank CDS 翻訳 + SwissProtein + SPupdate + PIRを使用する、BLASTN及びBLASTPである。これらのプログラムの詳細は、the National Center for Biotechnology Informationで見つけることができる。
【0084】
ストリンジェントハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドが安定な条件を指す。当業者には公知のように、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの安定性は、ハイブリッドの融解温度(Tm)に反映される。一般に、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの安定性は、塩濃度、例えばナトリウムイオン濃度、及び温度の関数である。ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシーの条件下で行い、その後、種々の、より高いストリンジェンシーの洗浄を行うことができる。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーの参照は、このような洗浄条件に関する。高度にストリンジェントなハイブリダイゼーションは、例えば0.018M NaCl中、65℃で安定なハイブリダイズしたポリヌクレオチドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションが許容される条件を含み、 例えば、ハイブリッドが0.018M NaCl中、65℃で安定でなければ、それは本明細書において企図される高ストリンジェンシー条件下で安定ではないことになる。高ストリンジェンシー条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×Denhart溶液、5×SSPE、0.2% SDS中、42℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSPE、及び0.1% SDS中、65℃での洗浄によって提供され得る。高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件以外のハイブリダイゼーション条件もまた、本明細書に開示される核酸配列を記載するために使用され得る。例えば、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーションという語句は、50%ホルムアミド、5×Denhart溶液、5×SSPE、0.2% SDS中、42℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSPE、0.2% SDS中、42℃での洗浄と同等の条件を指す。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションという語句は、10%ホルムアミド、5×Denhart溶液、6×SSPE、0.2% SDS中、22℃でのハイブリダイゼーションと、その後の1×SSPE、 0.2% SDS中、37℃での洗浄と同等の条件を指す。Denhart溶液は、1% Ficoll、1%ポリビニルピロリドン、及び1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する。20×SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミド四酢酸(EDTA))は、3M 塩化ナトリウム、0.2M リン酸ナトリウム、及び0.025 M (EDTA)を含有する。他の好適な低、中及び高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液及び条件は、当業者に周知であり、例えば、Sambrook及び Russellの文献、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory Manual)」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y. (2001);及びAusubelらの文献、「分子生物学の現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley及びSons, Baltimore, MD (1999)に記載されている。
【0085】
ある実施態様において、ORFをそのORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込まれている。具体的な実施態様において、ORFをそのORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAは、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントの生成を促進するDNA発現ベクターの一部であるか、又はそのDNA発現ベクターに組み込まれている。別の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる。cDNA又は核酸及び発現系のより詳細な説明は、第4.5.1節に提供されている。cDNAの生成のための技術は、分子生物学並びにDNAの操作及び生成の日常的な従来技術である。当業者に公知の任意のクローニング技術を使用することができる。そのような技術は周知であり、当業者は、Sambrook及びRussellの文献、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory Manual)」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y. (2001)などの実験室マニュアルで利用可能である。
【0086】
ある実施態様において、ORFをそのORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されているピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAは、(例えば、トランスフェクトされた)宿主細胞に導入される。かくして、本明細書に提供されるいくつかの実施態様において、ORFをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されているピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNA(すなわち、ゲノムセグメントのcDNA)を含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができる。かくして、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに組み込まれている、本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントは、宿主細胞に導入される。
【0087】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、ピチンデウイルスゲノムセグメントを生成する方法であって、該方法は、該ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを転写することを含む。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタンパク質は、インビトロ又はインビボでのピチンデウイルスゲノムセグメントの転写中に存在し得る。
【0088】
ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性プロモーターを使用して行われる。他の実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性発現カセットを使用して行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献、 2013, J Gen Virol., 94(Pt 6): 1175-1188を参照されたい)。より具体的な実施態様において、該二方向性発現カセットは、それぞれ、挿入されるピチンデウイルスゲノムセグメントの2つの末端へ両側から読むポリメラーゼI及びポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。さらにより具体的な実施態様において、pol-I及びpol-IIプロモーターを有する二方向性発現カセットは、両側からLセグメント及びSセグメントへ読む。
【0089】
他の実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写はプロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター又はT3プロモーターが挙げられる。
【0090】
ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントを生成する方法は、ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞に導入することをさらに含むことができる。ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントを生成する方法は、ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを、ピチンデウイルスゲノムセグメントの生成のための他の全ての成分を発現する宿主細胞に導入すること;及び該宿主細胞の上清からピチンデウイルスゲノムセグメントを精製することをさらに含むことができる。このような方法は、当業者に周知である。
【0091】
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染した細胞株、培養物及び細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクター系及び細胞株のより詳細な説明は、第4.5節に提供されている。
【0092】
ある実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子は、感染性で複製可能なピチンデウイルス粒子をもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子は弱毒化される。特定の実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は、ウイルスが、依然として少なくとも部分的に広がることができ、インビボで複製できるが、不顕レベルの非病原性感染をもたらす低いウイルス負荷しか発生させることができないように弱毒化される。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用することができる。本明細書に提供されるのは、第4.7節に記載される、非天然位置にあるORFを有するピチンデウイルスを含む免疫原性組成物である。
【0093】
4.1.1 非天然位置にオープンリーディングフレームを有する複製欠損ピチンデウイルス粒子
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードするORFが除去されているか又は機能的に不活化されたピチンデウイルス粒子である。1以上のORFが欠失した又は機能的に不活化された遺伝子改変ゲノムを含むピチンデウイルス粒子は、相補細胞(すなわち、欠失した又は機能的に不活化されたピチンデウイルスORFを発現する細胞)で生成することができる。得られるピチンデウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に宿主細胞に移され、その中で該遺伝物質は発現及び増幅されることができる。さらに、本明細書に記載される遺伝子改変ピチンデウイルス粒子のゲノムは、ピチンデウイルス粒子以外の生物からの異種ORFをコードすることができる。
【0094】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの少なくとも1つは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。別の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも2つのORF、少なくとも3つのORF、又は少なくとも4つのORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうち1つのみが、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。より具体的な実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFが除去される。別の具体的な実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメントのNPをコードするORFが除去される。より具体的な実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメントのZタンパク質をコードするORFが除去される。さらに別の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFが除去される。
【0095】
かくして、ある実施態様において、本明細書に提供されるピチンデウイルス粒子は、(i)非天然位置にORFを担持するように操作され;(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され;(iii)除去されるORFが、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられているゲノムセグメントを含む。
【0096】
ある実施態様において、該異種ORFは、8~100ヌクレオチド長、15~100ヌクレオチド長、25~100ヌクレオチド長、50~200ヌクレオチド長、50~400ヌクレオチド長、200~500ヌクレオチド長、又は400~600ヌクレオチド長、500~800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、該異種ORFは、750~900ヌクレオチド長、800~100ヌクレオチド長、850~1000ヌクレオチド長、900~1200ヌクレオチド長、1000~1200ヌクレオチド長、1000~1500ヌクレオチド又は10~1500ヌクレオチド長、1500~2000ヌクレオチド長、1700~2000ヌクレオチド長、2000~2300ヌクレオチド長、2200~2500ヌクレオチド長、2500~3000ヌクレオチド長、3000~3200ヌクレオチド長、3000~3500ヌクレオチド長、3200~3600ヌクレオチド長、3300~3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長~4400ヌクレオチド長、4200~4700ヌクレオチド長、4800~5000ヌクレオチド長、5000~5200ヌクレオチド長、5200~5500ヌクレオチド長、5500~5800ヌクレオチド長、5800~6000ヌクレオチド長、6000~6400ヌクレオチド長、6200~6800ヌクレオチド長、6600~7000ヌクレオチド長、7000~7200ヌクレオチド長、7200~7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長である。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、5~10アミノ酸長、10~25アミノ酸長、25~50アミノ酸長、50~100アミノ酸長、100~150アミノ酸長、150~200アミノ酸長、200~250アミノ酸長、250~300アミノ酸長、300~400アミノ酸長、400~500アミノ酸長、500~750アミノ酸長、750~1000アミノ酸長、1000~1250アミノ酸長、1250~1500アミノ酸長、1500~1750アミノ酸長、1750~2000アミノ酸長、2000~2500アミノ酸長、又は2500以上のアミノ酸長であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、該異種ORFは、終止コドンを含まない。ある実施態様において、該異種ORFは、コドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技術は、当技術分野で公知であり、異種ORFを最適化するために適用することができる。
【0097】
ピチンデウイルス以外の生物からの任意の異種ORFを、ピチンデウイルスゲノムセグメントに含有させることができる。ある実施態様において、該異種ORFは、レポータータンパク質をコードする。レポータータンパク質のより詳細な説明は第4.3節において記載される。別の実施態様において、該異種ORFは、感染性病原体の抗原又は免疫応答を誘発することができる任意の疾患に関連する抗原をコードする。具体的な実施態様において、該抗原は、感染性生物、腫瘍(すなわち、癌)、又はアレルゲンに由来する。異種ORFに関するより詳細な説明は、第4.3節に記載される。
【0098】
ある実施態様において、ピチンデウイルス粒子の増殖及び感染性は、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFによって影響されない。
【0099】
当業者に公知の技術は、野生型位置以外の位置にピチンデウイルスORFを担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメントを含むピチンデウイルス粒子を生成するために使用されてよい。例えば、逆遺伝学技術を使用して、そのようなピチンデウイルス粒子を作製してよい。他の実施態様において、該複製欠損ピチンデウイルス粒子(すなわち、野生型位置以外の位置にピチンデウイルスORFを担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメントであって、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFが欠失している)は、相補細胞で生成することができる。
【0100】
ある実施態様において、本願は、ワクチンとしての使用に好適な本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子、及び例えば感染又は癌のための、ワクチン接種及び治療又は防止におけるそのようなピチンデウイルス粒子を使用する方法に関する。本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第4.6節に提供されている。
【0101】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される1以上のcDNAを、1以上の容器に含むキットである。具体的な実施態様において、キットは、1又は2以上の容器に、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメント又はピチンデウイルス粒子を含む。該キットは、ピチンデウイルスゲノムセグメント又はピチンデウイルス粒子のレスキューに好適な宿主細胞、宿主細胞にプラスミドcDNAをトランスフェクトするのに好適な試薬、ヘルパーウイルス、ウイルスタンパク質をコードするプラスミド及び/又は改変ピチンデウイルスゲノムセグメント若しくはピチンデウイルス粒子又はそれらのcDNAに特異的な1以上のプライマーのうちの1以上をさらに含んでもよい。
【0102】
ある実施態様において、本願は、医薬組成物として使用するのに好適な本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子、及び感染及び癌のワクチン接種及び治療又は予防におけるそのようなピチンデウイルス粒子を使用する方法に関する。本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第4.7節に提供されている。
【0103】
4.2 三セグメントピチンデウイルス粒子
本明細書に提供されるのは、そのORFの再配列を有する三セグメントピチンデウイルス粒子である。一態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子である。ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、複製可能な二セグメントピチンデウイルス粒子に組み換えされない。より具体的には、ある実施態様において、ゲノムセグメントの2つ(例えば、それぞれ、2つのSセグメント又は2つのLセグメント)は、2つの親セグメントと置き換えられることができる単一のウイルスセグメントを生成するように組み換えることができない。具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、ORFをそのORFの野生型位置以外の位置に含む。さらに別の具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、4つ全てのピチンデウイルスORFを含む。かくして、ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、複製可能であり、感染性である。他の実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、4つのピチンデウイルスORFのうちの1つを欠いている。かくして、ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性であるが、非相補細胞でさらなる感染性子孫を生成することができない。
【0104】
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、ピチンデウイルスの3'UTR又はピチンデウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる。より具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルスの3'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント(複数可)の3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルスの3'UTRは、三セグメントピチンデウイルスLセグメント(複数可)の3'UTRである。より具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルスの5'UTRは、ピチンデウイルスSセグメント(複数可)の5'UTRである。他の具体的な実施態様において、該5'UTRは、Lセグメント(複数可)の5'UTRである。
【0105】
他の実施態様において、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメント(5'及び3'末端の19~21ヌクレオチド領域)の制御下に置くことができる(例えば、Perez 及び de la Torreの文献、 2003, J Virol. 77(2):1184-1194を参照されたい)。
【0106】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードするORFは、5'UTRのプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献、 2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照されたい)。別の実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFは、3'UTRのプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献、 2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照されたい)。より具体的な実施態様において、5'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、3'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の3'UTRプロモーターエレメントである。
【0107】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードするORFは、切断型ピチンデウイルスの3'UTR又は切断型ピチンデウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる(例えば、Perez及びde la Torreの文献、 2003, J Virol., 77(2):1184-1194; Albarinoらの文献、 2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照されたい)。より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、該ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、該ピチンデウイルスSセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の5'UTRである。
【0108】
また、本明細書に提供されるのは、該三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAである。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2又は表3に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子をコードするDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。
【0109】
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルスゲノムセグメントをコードする核酸は、本明細書に開示される核酸配列に少なくともある種の配列同一性を有することができる。したがって、いくつかの態様において、三セグメントピチンデウイルスゲノムセグメントをコードする核酸は、配列番号によって本明細書に開示される核酸配列又は配列番号によって本明細書に開示される核酸配列にハイブリダイズする核酸配列に対し、少なくとも80%同一性、少なくとも85%同一性、少なくとも90%同一性、少なくとも91%同一性、少なくとも92%同一性、少なくとも93%同一性、少なくとも94%同一性、少なくとも95%同一性、少なくとも96%同一性、少なくとも97%同一性、少なくとも98%同一性、又は少なくとも99%同一性の核酸配列を有するか、又はそれと同一である。ハイブリダイゼーション条件は、本明細書に記載されるような、当業者に周知の高度にストリンジェント、中程度にストリンジェント、又は低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を含むことができる。同様に、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルスゲノムセグメントを作製するのに使用し得る核酸は、配列番号によって本明細書に開示される核酸配列又は配列番号によって本明細書に開示される核酸配列にハイブリダイズする核酸配列に対し、あるパーセントの配列同一性を有することができる。例えば、三セグメントピチンデウイルスゲノムセグメントを作製するのに使用される核酸は、本明細書に記載される核酸配列に対して、少なくとも80%同一性、少なくとも85%同一性、少なくとも90%同一性、少なくとも91%同一性、少なくとも92%同一性、少なくとも93%同一性、少なくとも94%同一性、少なくとも95%同一性、少なくとも96%同一性、少なくとも97%同一性、少なくとも98%同一性又は少なくとも99%同一性を有するか、又はそれと同一であることができる。
【0110】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルスゲノムをコードする核酸は、1以上のDNA発現ベクターの一部であるか又は1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている。具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノムをコードする核酸は、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子の生成を促進する1以上のDNA発現ベクターの一部であるか又は1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている。別の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる。cDNA及び発現系のより詳細な説明は、第4.5.1節に提供されている。cDNA生成のための技術は、分子生物学並びにDNAの操作及び生成の日常的な従来技術である。当業者に公知の任意のクローニング技術を使用することができる。そのような技術は周知であり、当業者は、Sambrook及びRussellの文献、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory Manual)」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y. (2001)などの実験室マニュアルで利用可能である。
【0111】
ある実施態様において、三セグメントピチンデウイルスのcDNAは、(例えば、トランスフェクトされた)宿主細胞に導入される。かくして、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNA(すなわち、三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノムセグメントのcDNA)を含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができる。かくして、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに組み込まれる、本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルスゲノムセグメント(すなわち、Lセグメント及び/又はSセグメント又は複数のそれらのセグメント)は、宿主細胞に導入される。
【0112】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、該三セグメントピチンデウイルス粒子を生成する方法であって、該三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAを転写することを含む、前記方法である。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタンパク質は、インビトロ又はインビボで該三セグメントピチンデウイルス粒子の転写中に存在することができる。ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性プロモーターを使用して行われる。
【0113】
他の実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性発現カセットを使用して行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献、 2013, J Gen Virol., 94(Pt 6):1175-1188を参照されたい)。より具体的な実施態様において、該二方向性発現カセットは、それぞれ、挿入されるピチンデウイルスゲノムセグメントの2つの末端へ両側から読むポリメラーゼI及びポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。
【0114】
他の実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写は、プロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター、又はT3プロモーターが挙げられる。
【0115】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子を生成する方法は、さらに、該三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAを宿主細胞に導入することを含むことができる。ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子を生成する方法は、さらに、該三セグメントピチンデウイルス粒子の生成のための全ての他の成分を発現する宿主細胞に、該三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAを導入すること、及び該宿主細胞の上清から該三セグメントピチンデウイルス粒子を精製することを含むことができる。そのような方法は、当業者に周知である。
【0116】
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染した細胞株、培養物及び細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクター系及び細胞株のより詳細な説明は、第4.5節に提供されている。
【0117】
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性で複製可能なピチンデウイルス粒子をもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子は弱毒化される。特定の実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、ウイルスが、依然として少なくとも部分的に複製可能であり、インビボで複製できるが、不顕レベルの非病原性感染をもたらす低いウイルス負荷しか発生させることができないように弱毒化される。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用することができる。
【0118】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、該二セグメントピチンデウイルス粒子と同じトロピズムを有する。
【0119】
また、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される1以上のcDNAを、1以上の容器に含むキットである。具体的な実施態様において、キットは、1又は2以上の容器に、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子を含む。該キットは、該三セグメントピチンデウイルス粒子のレスキューに好適な宿主細胞、宿主細胞にプラスミドcDNAをトランスフェクトするのに好適な試薬、ヘルパーウイルス、ウイルスタンパク質をコードするプラスミド及び/又は改変ピチンデウイルスゲノムセグメント若しくはピチンデウイルス粒子又はそれらをコードする核酸に特異的な1以上のオリゴヌクレオチドプライマーの1以上をさらに含んでいてもよい。
【0120】
また、本明細書に提供されるのは、第4.6節及び第4.7節に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子を含む免疫原性組成物である。
【0121】
4.2.1 1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子
一態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子である。ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントピチンデウイルス粒子(第4.8.13節参照)に感染させたマウスにおける持続感染の少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、又は少なくとも100日後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、少なくとも10継代、少なくとも20継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、又は少なくとも50継代後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
【0122】
ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに1つのセグメント上に2つのアレナウイルスORFを結合している、本明細書に提供される三セグメントピチンデウイルス粒子の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造:5'UTR----5'UTR又は3'UTR----3'UTRのゲノムセグメント)をもたらし、その中で、ゲノムの一端を形成する各UTRは、同一ゲノムの他端の逆方向反復配列である。
【0123】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、ピチンデウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されている。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、2つのピチンデウイルスORF、又は3つのピチンデウイルスORF、又は4つのピチンデウイルスORF、又は5つのピチンデウイルスORF、又は6つのピチンデウイルスORFを、野生型位置以外の位置に担持するように操作されている。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、4つ全てのピチンデウイルスORFの完全相補体を含む。かくして、いくつかの実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性複製可能三セグメントピチンデウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子の2つのSセグメントは、それらのORFのうちの1つをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されている。より具体的な実施態様において、該2つのSセグメントは、SセグメントのORFの完全相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Lセグメントは、野生型位置以外の位置にORFを担持するように操作されているか、又は該Lセグメントは、野生型ゲノムセグメントであり得る。
【0124】
ある実施態様において、2つのSセグメントのうちの1つは:
(i)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(ii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(iii)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
(v)LをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるピチンデウイルスSセグメント;
であり得る。
【0125】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、重複ORF(すなわち、2つの野生型SセグメントのORF、例えば、GP又はNP)を含むことができる。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、1つの重複ORF(例えば、(GP、GP))又は2つの重複ORF(例えば、(GP、GP)及び(NP、NP))を含むことができる。
【0126】
以下の表2Aは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントピチンデウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表2A
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子
位置1は、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、ピチンデウイルスSセグメントの3’UTRの制御下にある;位置3は、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、ピチンデウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
【表3】
【0127】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。例えば、三セグメントピチンデウイルス粒子は、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、該三セグメントピチンデウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されている)。
【0128】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子中のSセグメント及びLセグメントのセグメント間の組換えは、2つの別々のセグメントの代わりに、1つのみのセグメント上に2つのウイルス遺伝子を有する機能的セグメントを復元する。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子中のSセグメント及びLセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
【0129】
以下の表2Bは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントピチンデウイルスゲノム中のSセグメント及びLセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表2B
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子
位置1は、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、ピチンデウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、ピチンデウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
【表4】
【0130】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。例えば、三セグメントピチンデウイルス粒子は、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、該三セグメントピチンデウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されている)。
【0131】
ある実施態様において、当業者は、表2A又は2Bに示され、かつ本明細書に記載される構成でピチンデウイルスゲノムを構築し、次いで、第4.8節に記載されるアッセイを使用して、該三セグメントピチンデウイルス粒子が遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書で論じられる複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさないかどうかを決定し得る。
【0132】
4.2.2 2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子
一態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子である。ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントピチンデウイルス粒子(第4.8.13節参照)に感染させたマウスにおける少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、又は少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、少なくとも100日の持続後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖は、少なくとも10継代、20継代、30継代、40継代、又は50継代後に複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
【0133】
ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに、1つのセグメント上に2つのピチンデウイルスORFを結合している、本明細書に提供される三セグメントピチンデウイルス粒子の2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造:5'UTR----5'UTR又は3'UTR----3'UTRのゲノムセグメント)をもたらし、その中で、ゲノムの一端を形成する各UTRは、同一ゲノムの他端の逆方向反復配列である。
【0134】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、ピチンデウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されている。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、2つのピチンデウイルスORF、又は3つのピチンデウイルスORF、又は4つのピチンデウイルスORF、又は5つのピチンデウイルスORF、又は6つのピチンデウイルスORFを、野生型位置以外の位置に担持するように操作されている。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、4つ全てのピチンデウイルスORFの完全相補体を含む。かくして、いくつかの実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性複製可能三セグメントピチンデウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子の2つのLセグメントは、それらのORFのうちの1つをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されている。より具体的な実施態様において、該2つのLセグメントは、LセグメントのORFの完全相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Sセグメントは、それらのORFのうちの1つをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されているか、又は該Sセグメントは、野生型ゲノムセグメントであり得る。
【0135】
ある実施態様において、2つのLセグメントのうちの1つは:
(i)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
であり得る。
【0136】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、重複ORF(すなわち、2つの野生型LセグメントのORF、例えば、Zタンパク質又はLタンパク質)を含むことができる。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、1つの重複ORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質))又は2つの重複ORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質)及び(Lタンパク質、Lタンパク質))を含むことができる。
【0137】
以下の表3は、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントピチンデウイルスゲノム中の2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、推定される得られる組換えLセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTR又は2つの5'UTRから構成されているだろう)。表3に基づいて、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRから構成されているピチンデウイルス粒子を作製するために、同様の組み合わせを予測することができる。
表3
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子
*位置1は、ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、ピチンデウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
【表5】
【0138】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。
【0139】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子からのLセグメント及びSセグメントのセグメント間の組換えは、2つの別々のセグメントの代わりに、1つのみのセグメント上に2つのウイルス遺伝子を有する機能的セグメントを復元する。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子中のLセグメント及びSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
【0140】
以下の表3Bは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントピチンデウイルスゲノム中のLセグメント及びSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表3B
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子
*位置1は、ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、ピチンデウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、ピチンデウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
【表6】
【0141】
ある実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る;位置2と位置3の間のIGRは、ピチンデウイルスLセグメントのIGRであり得る;位置5と位置6の間のIGRは、ピチンデウイルスSセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。
【0142】
ある実施態様において、当業者は、表3A又は3Bに示され、本明細書に記載される構成でピチンデウイルスゲノムを構築し、次いで、第4.8節に記載されるアッセイを使用して、三セグメントピチンデウイルス粒子が遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書で論じられる複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさないかどうかを決定し得る。
【0143】
4.2.3 複製欠損三セグメントピチンデウイルス粒子
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成することができない(すなわち、複製欠損である)ように、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている、三セグメントピチンデウイルス粒子である。ある実施態様において、該第3のピチンデウイルスセグメントはSセグメントであり得る。他の実施態様において、該第3のピチンデウイルスセグメントはLセグメントであり得る。より具体的な実施態様において、該第3のピチンデウイルスセグメントは、ORFをその野生型位置以外の位置に担持するように操作することができるか、又は該第3のピチンデウイルスセグメントは、野生型ピチンデウイルスゲノムセグメントであり得る。さらにより具体的な実施態様において、該第3のピチンデウイルスセグメントは、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするピチンデウイルスORFを欠く。
【0144】
ある実施態様において、三セグメントゲノムセグメントは、S又はLセグメントハイブリッド(すなわち、SセグメントとLセグメントの組み合わせであり得るゲノムセグメント)であり得る。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを含むSセグメントである。別の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを含むLセグメントである。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを有するSセグメントのUTRである。別の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメントのUTRである。具体的な実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを有するSセグメントの5'UTRであるか、又はLセグメントのIGRを有するSセグメントの3'UTRである。他の具体的な実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメントの5'UTR又はSセグメントのIGRを有するLセグメントの3'UTRである。
【0145】
1以上のORFが欠失しているか、又は機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを含む三セグメントピチンデウイルス粒子は、相補細胞(すなわち、欠失しているか、又は機能的に不活化されているピチンデウイルスORFを発現する細胞)で生成することができる。得られるピチンデウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に宿主細胞に移ることができ、その中で該遺伝物質は発現及び増幅されることができる。さらに、本明細書に記載される遺伝子改変ピチンデウイルス粒子のゲノムは、ピチンデウイルス粒子以外の生物からの異種ORFをコードすることができる。
【0146】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。別の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも2つのORF、少なくとも3つのORF、又は少なくとも4つのORFは、除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられることができる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの1つのみが除去され、ピチンデウイルス粒子以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。より具体的な実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFは除去される。別の具体的な実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントのNPをコードするORFは除去される。より具体的な実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントのZタンパク質をコードするORFは除去される。さらに別の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは除去される。
【0147】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、その中で、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスが複製欠損で、感染性ではないように、GP又はNPをコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている三セグメントピチンデウイルス粒子である。具体的な実施態様において、1つのORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。別の具体的な実施態様において、2つのORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。他の具体的な実施態様において、3つのORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。具体的な実施態様において、GPをコードするORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。他の具体的な実施態様において、NPをコードするORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。さらにより具体的な実施態様において、NPをコードするORF及びGPをコードするORFは、除去され、ピチンデウイルス粒子以外の生物からの1つ又は2つの異種ORFで置き換えられる。かくして、ある実施態様において、三セグメントピチンデウイルス粒子は、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメント;(ii)そのORFの野生型位置以外の位置にあるORF;(iii)ピチンデウイルス以外の生物からの1以上の異種ORFを含む。
【0148】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含み、その中で、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスが複製欠損で、感染性ではないように、Zタンパク質及び/又はLタンパク質をコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている三セグメントピチンデウイルス粒子である。具体的な実施態様において、1つのORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。別の具体的な実施態様において、2つのORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。他の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。さらにより具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORF及びLタンパク質をコードするORFは除去され、ピチンデウイルス粒子以外の生物からの異種ORFで置き換えられる。かくして、ある実施態様において、三セグメントピチンデウイルス粒子は、(i)2つのLセグメント及び1つのSセグメント;(ii)そのORFの野生型位置以外の位置にあるORF;(iii)ピチンデウイルス以外の生物からの1以上の異種ORFを含む。
【0149】
かくして、ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントピチンデウイルス粒子は、i) ORFを非天然位置に担持するように操作されている;ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去されている);iii)該除去されているORFはピチンデウイルス以外の生物からの1以上の異種ORF で置き換えられている、三セグメントピチンデウイルス粒子(すなわち、1つのLセグメント及び2つのSセグメント、又は2つのLセグメント及び1つのSセグメント)を含む。
【0150】
ある実施態様において、該異種ORFは、8~100ヌクレオチド長、15~100ヌクレオチド長、25~100ヌクレオチド長、50~200ヌクレオチド長、50~400ヌクレオチド長、200~500ヌクレオチド長、又は400~600ヌクレオチド長、500~800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、該異種ORFは、750~900ヌクレオチド長、800~100ヌクレオチド長、850~1000ヌクレオチド長、900~1200ヌクレオチド長、1000~1200ヌクレオチド長、1000~1500ヌクレオチド又は10~1500ヌクレオチド長、1500~2000ヌクレオチド長、1700~2000ヌクレオチド長、2000~2300ヌクレオチド長、2200~2500ヌクレオチド長、2500~3000ヌクレオチド長、3000~3200ヌクレオチド長、3000~3500ヌクレオチド長、3200~3600ヌクレオチド長、3300~3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長~4400ヌクレオチド長、4200~4700ヌクレオチド長、4800~5000ヌクレオチド長、5000~5200ヌクレオチド長、5200~5500ヌクレオチド長、5500~5800ヌクレオチド長、5800~6000ヌクレオチド長、6000~6400ヌクレオチド長、6200~6800ヌクレオチド長、6600~7000ヌクレオチド長、7000~7200ヌクレオチド長、7200~7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長である。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、5~10アミノ酸長、10~25アミノ酸長、25~50アミノ酸長、50~100アミノ酸長、100~150アミノ酸長、150~200アミノ酸長、200~250アミノ酸長、250~300アミノ酸長、300~400アミノ酸長、400~500アミノ酸長、500~750アミノ酸長、750~1000アミノ酸長、1000~1250アミノ酸長、1250~1500アミノ酸長、1500~1750アミノ酸長、1750~2000アミノ酸長、2000~2500アミノ酸長、又は2500以上のアミノ酸長であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、該異種ORFは、終止コドンを含有しない。ある実施態様において、該異種ORFはコドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技術は、当技術分野で公知であり、異種ORFを最適化するために適用することができる。
【0151】
ピチンデウイルス以外の生物からの任意の異種ORFを、三セグメントピチンデウイルス粒子に含有させることができる。一実施態様において、該異種ORFは、レポータータンパク質をコードする。レポータータンパク質のより詳細な説明は、第4.3節に記載される。別の実施態様において、該異種ORFは、感染性病原体の抗原、又は任意の疾患と関連し、免疫応答を誘発することができる抗原をコードする。具体的な実施態様において、該抗原は、感染性生物、腫瘍(すなわち、癌)、又はアレルゲンに由来する。異種ORFに関するより詳細な説明は、第4.3節に記載される。
【0152】
ある実施態様において、ピチンデウイルス粒子の増殖及び感染性は、該ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFによって影響されない。
【0153】
当業者に公知の技術を使用して、ピチンデウイルスORFをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメントを含むピチンデウイルス粒子を生成することができる。例えば、逆遺伝学技術を使用して、そのようなピチンデウイルス粒子を生成することができる。他の実施態様において、該複製欠損ピチンデウイルス粒子(すなわち、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFが欠失している、ピチンデウイルスORFを野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメント)は、相補細胞で生成することができる。
【0154】
ある実施態様において、本願は、ワクチンとしての使用に好適な本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子、及び例えば感染及び癌のワクチン接種及び治療又は防止においてそのようなピチンデウイルス粒子を使用する方法に関する。本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第4.6節に提供される。
【0155】
ある実施態様において、本願は、医薬組成物としての使用に好適な本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子、及び例えば感染又は癌のワクチン接種及び治療又は防止においてそのようなピチンデウイルス粒子を使用する方法に関する。本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第4.6節に提供される。
【0156】
4.3 異種ORFを発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子
ある実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメント、及びそれぞれのピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、異種ORFを含むことができる。他の実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメント及びそれぞれのピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、対象の遺伝子を含むことができる。より具体的な実施態様において、該異種ORF又は対象の遺伝子は抗原をコードする。より具体的な実施態様において、該異種ORF又は対象の遺伝子は、レポータータンパク質又は蛍光タンパク質をコードする。
【0157】
ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、1以上の異種ORF又は1以上の対象の遺伝子を含むことができる。他の実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、少なくとも1つの異種ORF、少なくとも2つの異種ORF、少なくとも3つの異種ORF、又はそれより多い異種ORFを含むことができる。他の実施態様において、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、少なくとも1つの対象の遺伝子、少なくとも2つの対象の遺伝子、少なくとも3つの対象の遺伝子、又はそれより多い対象の遺伝子を含む。
【0158】
多様な抗原を、本願のピチンデウイルスゲノムセグメント、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子によって発現させることができる。一実施態様において、該異種ORFは、感染性病原体の抗原又は免疫応答を誘発することができる任意の疾患と関連する抗原をコードする。ある実施態様において、該異種ORFは、ウイルス、細菌、菌類、寄生生物に由来する抗原をコードすることができ、又は、腫瘍又は腫瘍関連疾患(すなわち、癌)、自己免疫疾患、変性疾患、遺伝性疾患、物質依存性、肥満、又はアレルギー性疾患において発現させることができる。
【0159】
いくつかの実施態様において、該異種ORFはウイルス抗原をコードする。ウイルス抗原の非限定的な例としては、アデノウイルス科(例えば、マストアデノウイルス及びトリアデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、単純ヘルペスウイルス5型、単純ヘルペスウイルス6型、エプスタイン-バーウイルス、HHV6-HHV8及びサイトメガロウイルス)、レビウイルス科(例えば、レビウイルス、バクテリオファージMS2、アロレビウイルス(allolevirus))、ポックスウイルス科(例えば、コードポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス、トリポックスウイルス、カプリポックスウイルス、ウサギポックスウイルス、ブタポックスウイルス、モルシポックスウイルス、及びエントモポックスウイルス亜科)、パポバウイルス科(例えば、ポリオーマウイルス及びパピローマウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス1型、モビリウイルス(例えば、麻疹ウイルス)、ルブラウイルス(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス)、ニューモウイルス亜科(例えば、ニューモウイルス、ヒトRSウイルス)、ヒトRSウイルス及びメタニューモウイルス(例えば、トリニューモウイルス及びヒトメタニューモウイルス)、ピコルナウイルス科(例えば、エンテロウイルス、ライノウイルス、へパトウイルス(例えば、ヒトA型肝炎ウイルス)、カルジオウイルス、及びアフトウイルス)、レオウイルス科(例えば、オルトレオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、サイポウイルス、フィジウイルス、ファイトレオウイルス、及びオリザウイルス)、レトロウイルス科(例えば、哺乳動物B型レトロウイルス、哺乳動物C型レトロウイルス、トリC型レトロウイルス、D型レトロウイルス群、BLV-HTLVレトロウイルス、レンチウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1及びHIV-2(例えば、HIV gp160)、スプーマウイルス)、フラビウイルス科(例えば、C型肝炎ウイルス、デングウイルス、 ウエストナイルウイルス)、ヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルス)、トガウイルス科(例えば、アルファウイルス(例えば、シンドビスウイルス)及びルビウイルス(例えば、風疹ウイルス)、ラブドウイルス科(例えば、ベシクロウイルス、リッサウイルス、エフェメロウイルス、サイトラブドウイルス、及びヌクレオラブドウイルス)、アレナウイルス科(例えば、アレナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピイウイルス、及びラッサウイルス)、及びコロナウイルス科(例えば、コロナウイルス及びトロウイルス)からの抗原が挙げられる。具体的な実施態様において、該ウイルス抗原は、HIV gp120、gp41、HIV Nef、RSV F糖タンパク質、RSV G糖タンパク質、HTLV tax、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質(例えば、gB、gC、gD、及びgE)又はB型肝炎表面抗原、C型肝炎ウイルスEタンパク質又はコロナウイルススパイクタンパク質である。一実施態様において、該ウイルス抗原はHIV抗原ではない。
【0160】
他の実施態様において、該異種ORFは、細菌抗原(例えば、細菌外被タンパク質)をコードする。他の実施態様において、該異種ORFは、寄生生物抗原(例えば、原生動物抗原)をコードする。さらに他の実施態様において、異種ヌクレオチド配列は菌類抗原をコードする。
【0161】
細菌抗原の非限定的な例としては、アクアスピリラム科、アゾスピリラム科、アゾトバクター科、バクテロイデス科、バルトネラ属、ブデロビブリオ科、カンピロバクター属、クラミジア属(例えば、クラミジア肺炎菌)、クロストリジウム属、腸内細菌科(例えば、シトロバクター属、エドワジエラ属、エンテロバクター・エロゲネス、エンヴィニア属、大腸菌、ハフニア属、クレブシエラ属、モルガネラ属、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア属、サルモネラ属、霊菌、及びフレキシネル赤痢菌)、ガードネレラ科、インフルエンザ菌、ハロバクテリウム科、ヘリコバクター科、レジオネラ科、リステリア属、メチロコッカス科、マイコバクテリア(例えば、結核菌)、ナイセリア科、海洋らせん菌科、パスツレラ科、肺炎球菌属、シュードモナス属、リゾビウム科、スピリラム科、スピロソーマ科、ブドウ球菌(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌及び化膿性ブドウ球菌)、連鎖球菌(例えば、ストレプトコッカス・エンテリティディス、連鎖球菌科、及び肺炎連鎖球菌)、バンピロビブル・ヘリコバクター科、エルシニア科、炭疽菌及びバンピロビブリオ科の細菌からの抗原が挙げられる。
【0162】
寄生生物抗原の非限定的な例としては、アメーバ、マラリア寄生生物、プラスモジウム属、クルーズトリパノソーマのような寄生生物からの抗原が挙げられる。菌類抗原の非限定的な例としては、ユミケカビ属(例えば、アブシジア・コリムビフェラ及びアブシジア・ラモサ)、アスペルギルス属、(例えば、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニガー、及びアスペルギルス・テレウス)、バシジオボラス・ラナラム、ブラストミセス・デルマティティディス、カンジダ属(例えば、鵞口瘡カンジダ、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・ケーン、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプローシス、カンジダ・プソイドトロピカリス、カンジダ・クイレモンディイ、カンジダ・ルゴサ、カンジダ・ステラトイデア、及びカンジダ・トロピカリス)、コクシジオイデス・イミチス、コニディオボラス属、クリプトコッカス・ネオフォルムス、クスダマカビ属、皮膚糸状菌、ヒストプラズマ・カプスラーツム、ミクロスポルムギプセウム、ムコール・プシルス、南アメリカ分芽菌、シュードアレシェリア・ボイディイ、リノスポリジウム・セーベリ、ニューモシスチス・カリニ、クモノスカビ属(例えば、リゾプス・アリズス、リゾプス・オリーゼ、及びリゾプス・ミクロスポラス)、サッカロミケス属、スポロトリックス・シェンキイ、接合菌、及び接合菌類、子嚢菌類、担子菌類、不完全菌類、及び卵菌類のような綱の菌類からの抗原が挙げられる。
【0163】
いくつかの実施態様において、異種ORFは、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原をコードする。いくつかの実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原としては、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、小児副腎皮質癌、エイズ関連癌、カポジ肉腫、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、非定型奇形腫瘍/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、肝外(胆管細胞癌)、膀胱癌、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳癌、脳腫瘍、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルチノイド胃腸腫瘍、原発不明癌、中枢神経系リンパ腫、原発性、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍、子宮頸癌、小児癌、慢性気管支炎、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、繊維形成性小円形細胞腫瘍、肺気腫、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃(胃)癌、カルチノイド胃腸腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍、脳幹神経膠腫、神経膠腫、小児小脳星状細胞腫、小児視経路及び視床下部、胃カルチノイド、ヘアリーセル白血病、頭頚部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部及び視経路膠腫、眼内黒色腫、膵島細胞癌(内分泌膵臓)、カポジ肉腫、腎臓癌(腎細胞癌)、喉頭癌、急性リンパ性リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、口唇及び口腔癌、脂肪肉腫、肝臓癌(原発性)、肺癌、非小細胞、小細胞、エイズ関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、原発中枢神経系、マクログロブリン血症、ワルデンストレーム、男性の乳癌、骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫、髄芽腫、黒色腫、眼内眼、メルケル細胞癌、中皮腫、成人悪性、中皮腫、原発不明転移性扁平上皮頸部癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病、慢性、骨髄性白血病、成人急性、骨髄性白血病、小児急性、骨髄腫、多発性(骨髄の癌)、骨髄増殖性疾患、慢性、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非小細胞肺癌、乏突起神経膠腫、口腔癌、口腔咽頭、骨肉腫/骨悪性線維性組織球腫、卵巣癌、上皮性卵巣癌(間質性腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵島細胞、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体神経膠腫、松果体胚細胞腫、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腺腫、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜胚芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌(腎臓癌)、腎盂及び尿管、移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、小児、唾液腺癌、肉腫、ユーイングファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌(黒色腫)、メルケル細胞癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌-皮膚癌(非黒色腫)参照、原発不明扁平上皮頸部癌、転移性、胃癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、皮膚-菌状息肉腫及びセザリー症候群参照、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、腎盂及び尿管の小児移行上皮癌、妊娠性絨毛腫瘍、原発不明、成人の原発部位不明の癌、小児、尿管及び腎盂癌、移行上皮癌、尿道癌、子宮癌、子宮内膜子宮肉腫、気管支腫瘍、中枢神経系胎児性腫瘍;小児脊索腫、大腸癌、頭蓋咽頭腫、上衣芽腫、ランゲルハンス細胞組織球症、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(成人/小児)、小細胞肺癌、髄上皮腫、口腔癌、乳頭腫症、中間分化の松果体実質腫瘍、下垂体腫瘍、第15染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌、脊髄腫瘍、胸腺腫、甲状腺癌、膣癌;外陰癌、及びウィルムス腫瘍を含む腫瘍関連疾患からの抗原が挙げられる。
【0164】
腫瘍又は腫瘍関連抗原の非限定的な例としては、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1A1、BCLX (L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH (hMena)、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250 /MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン(Lengsin)、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ(Meloe)、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン(secernin)1、SOX10、STEAP1、サバイビン(survivinn)、テロメラーゼ、VEGF、又はWT1、EGF-R、CEA、CD52、gp100タンパク質、MELANA/MART1、NY-ESO-1、p53 MAGE1、MAGE3及びCDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、K-ras、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPD1、SYT-SSX1又は-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、レングシン(Lengsin)、M-CSF、MCSP、又はmdm-2が挙げられる。
【0165】
いくつかの実施態様において、該異種ORFは呼吸器病原体抗原をコードする。具体的な実施態様において、該呼吸器病原体は、RSV、コロナウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、又はPRRSVのようなウイルスである。呼吸器ウイルス抗原の非限定的な例としては、RSウイルスF、G及びM2タンパク質、コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群(SARS)、HuCoV)スパイクタンパク質(S)、ヒトメタニューモウイルス融合タンパク質、パラインフルエンザウイルス融合タンパク質及び赤血球凝集素タンパク質(F、HN)、ヘンドラウイルス (HeV)及びニパウイルス(NiV)付着糖タンパク質(G及びF)、アデノウイルスキャプシドタンパク質、ライノウイルスタンパク質、及びPRRSV野生型又は改変GP5及びMタンパク質が挙げられる。
【0166】
具体的な実施態様において、該呼吸器病原体は、炭疽菌、結核菌、百日咳菌、肺炎連鎖球菌、ペスト菌、黄色ブドウ球菌、野兎病菌、レジオネラ・ニューモフィラ、クラミジア肺炎菌、緑膿菌、髄膜炎菌、及びインフルエンザ菌のような細菌である。呼吸器細菌抗原の非限定的な例としては、炭疽菌防御抗原PA、結核菌マイコバクテリア抗原85A及びヒートショックタンパク質(Hsp65)、百日咳菌百日咳トキソイド(PT)及び線維状赤血球凝集素(FHA)、肺炎球菌ソルターゼA及び表面アドヘシンA(PsaA)、ペスト菌F1及びVサブユニット、及び黄色ブドウ球菌、野兎病菌、レジオネラ・ニューモフィラ、クラミジア肺炎菌、緑膿菌、髄膜炎菌、及びインフルエンザ菌からのタンパク質が挙げられる。
【0167】
いくつかの実施態様において、該異種ORFはT細胞エピトープをコードする。他の実施態様において、該異種ORFは、サイトカイン又は成長因子をコードする。
【0168】
他の実施態様において、該異種ORFは、自己免疫疾患において発現される抗原をコードする。より具体的な実施態様において、該自己免疫疾患は、I型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、エリテマトーデス、及び乾癬であり得る。自己免疫疾患抗原の非限定的な例としては、Ro60、dsDNA、又はRNPが挙げられる。
【0169】
他の実施態様において、ORFは、アレルギー性疾患において発現される抗原をコードする。より具体的な実施態様において、該アレルギー性疾患は、季節性及び通年性鼻結膜炎、 喘息、及び湿疹を含み得るが、これらに限定されない。アレルギー抗原の非限定的な例としては、Bet v 1及びFel d 1が挙げられる。
【0170】
他の実施態様において、ピチンデウイルスゲノムセグメント、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、レポータータンパク質をさらに含む。該レポータータンパク質は、本明細書に記載される抗原と同時に発現させることができる。理想的には、発現は、通常光又は他の波長の光で見える。ある実施態様において、レポータータンパク質によって生み出される効果の強度は、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を直接測定及び監視するために使用することができる。
【0171】
レポーター遺伝子は、当業者によって容易に認識されるであろう。ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は蛍光タンパク質である。他の実施態様において、該レポーター遺伝子はGFPである。GFPは、紫外線又は青などに曝される場合、明るい緑色光を発する。
【0172】
レポータータンパク質の非限定的な例としては、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ又はRFPのような、しかしそれらだけではない、種々の酵素が挙げられる。
【0173】
ある実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、ワクチン接種のためのベクターとしての使用のために望ましい特性を有する(例えば、第4.6節を参照されたい)。別の実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ロバ、ヒト)において免疫応答を誘導することができる。他の実施態様において、本明細書に記載される異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、自然免疫応答を誘導する。他の実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、適応免疫応答を誘導する。より具体的な実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、自然免疫応答及び適応免疫応答の両方。
【0174】
別の実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、T細胞応答を誘導する。さらにより具体的な実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、CD8+T細胞応答を誘導する。他の実施態様において、外来の対象の遺伝子を担持するピチンデウイルス粒子は、高頻度及び高機能性の強力なCD8+T細胞応答を誘導する。他の実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、相当する外来の対象の遺伝子の1つ又は複数のエピトープに対して特異的なCD8+T細胞を誘導する。
【0175】
ある実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、Tヘルパー1の分化、CD4+T細胞のメモリー形成を誘導することができ、及び/又は耐久性のある抗体応答を誘発することができる。これらの抗体は、腫瘍細胞に対して中和し、オプソニン化し、毒性であることができ、又は他の好都合な生物学的特徴を有することができる。他の実施態様において、異種ORFを発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、樹状細胞に対する強いトロピズムを有し、感染に際してそれらを活性化する。このことは、抗原提示細胞による抗原の提示を増強する。
【0176】
ある実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現する該ピチンデウイルスゲノムセグメント、該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子は、ピチンデウイルスに対する低い又は検出不能な中和抗体力価と、それぞれの外来導入遺伝子に対する高い保護中和抗体応答とを誘導する。いくつかの実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現する粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を形成するピチンデウイルス骨格は、ピチンデウイルス骨格成分に対する免疫の誘導について低い能力を有する。
【0177】
4.4 ピチンデウイルス粒子及び三セグメントピチンデウイルス粒子の作製
一般に、ピチンデウイルス粒子は、別のアレナウイルスであるLCMVについて記載された標準逆遺伝学技術によって組換えにより生成することができる(Flatz らの文献、 2006, Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668; Sanchez らの文献、 2006, Virology 350:370; Ortiz-Riano らの文献、 2013, J Gen Virol. 94:1175-88を参照されたい。それらは参照により本明細書に取り込まれる)。本明細書に提供されるピチンデウイルス粒子を作製するために、これらの技術は以下に記載されるように適用することができる。ウイルスのゲノムは、それぞれ第4.1節及び第4.2節に記載されるように改変することができる。
【0178】
4.4.1 非天然位置オープンリーディングフレーム
ウイルスORFをそのORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されているゲノムセグメントを含むピチンデウイルス粒子の作製は、当業者に公知の任意の逆遺伝学技術によって、組換えにより生成することができる。
【0179】
(i)感染性複製可能ピチンデウイルス粒子
ある実施態様において、ピチンデウイルス粒子を作製する方法は、(i)第1のピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(ii)第2のピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iii)ピチンデウイルスの最小限のトランス作用因子NP及びLを発現するプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iv)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び(v)ピチンデウイルス粒子を収集することを含む。あるより具体的な実施態様において、該cDNAはプラスミドに含まれている。
【0180】
cDNAから作製すると、ピチンデウイルス粒子(すなわち、感染性で、複製可能)は増やすことができる。ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は、本明細書に記載されるウイルスの使用を可能にする力価まで、ウイルスが増殖するのを可能にする任意の宿主細胞で増やすことができる。一実施態様において、該宿主細胞は、相当する野生型について決定される力価に匹敵する力価まで、ピチンデウイルス粒子が増殖するのを可能にする。
【0181】
ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は、宿主細胞で増やしてよい。使用することができる宿主細胞の具体例としては、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他が挙げられる。具体的な実施態様において、該ピチンデウイルス粒子は、細胞株で増やしてよい。
【0182】
ある実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えばポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で作製されるピチンデウイルスゲノムセグメント(複数可)を発現する。
【0183】
ピチンデウイルス粒子の作製に使用することができるプラスミドは、i)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードするプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I Lをコードするプラスミドを含むことができる。ある実施態様において、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を導くピチンデウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドは、トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及び/又はNPをコードするプラスミド(それぞれpC-L及びpC-NP)は存在することができる。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小限のトランス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAへ読むpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して行うことができる。
【0184】
ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントは、プロモーターの制御下にある。通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができる。ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミド(複数可)は同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1個のプラスミドからプロモーターによって転写することができる。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター又はT3プロモーターが挙げられる。
【0185】
さらに、該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とすることができるか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0186】
プラスミド(複数可)での宿主細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般的に使用される戦略のいずれかを使用して行うことができる。数日後、適切な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存クローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現クローンを同定する。
【0187】
本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子の回収のために、以下の手順が想定される。第1日目:上記のように、通常、M6ウェルプレート中で80%コンフルエントの細胞に、プラスミドの混合物をトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの任意の一般的に使用される戦略を利用することができる。
【0188】
3~5日後:培養上清(ピチンデウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にピチンデウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。該ピチンデウイルスベクター調製物の感染力価を、イムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフェクション後3~5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代することができ、培養上清を継代後5日までに収集する。
【0189】
本願はさらに、ゲノムセグメントをコードするプラスミドが、異種ORFを組み込むように改変される異種ORFの発現に関する。該異種ORFは、制限酵素を使用してプラスミドに組み込むことができる。
【0190】
(ii)感染性複製欠損ピチンデウイルス粒子
感染性複製欠損ピチンデウイルス粒子は、上記のようにレスキューすることができる。しかし、cDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損ピチンデウイルスは、相補細胞で増殖させることができる。相補細胞は、そのゲノムの改変により、複製欠損ピチンデウイルスから排除された機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
【0191】
ピチンデウイルスベクター中のORFのうちの1以上が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、ピチンデウイルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株は、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他などの細胞株に、対象となるウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1以上のプラスミド(複数可)(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、作製されるピチンデウイルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子(複数可)を発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0192】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G又はその他を、培養下で保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、相補性プラスミド(複数可)をトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足することができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供することができる。
【0193】
プラスミドは、2つのタイプのもの:i)ピチンデウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現させるためのTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド、例えば、本例でのピチンデウイルスのNP及びLタンパク質に由来するもの;及びii)ピチンデウイルスベクターゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現させるためのGS-プラスミドと呼ばれるプラスミドであり得る。TF-プラスミドは、それぞれのピチンデウイルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、一次転写物のプロセシングのための3'末端リボザイムを優先的に伴い、正確な末端を生じさせる。T7ベースのシステムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラスミドと類似した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスに含めることによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT7をさらに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0194】
該ピチンデウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TF及びGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用することができる。
【0195】
3~5日後:培養上清(ピチンデウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にピチンデウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該ピチンデウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフェクション後3~5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代し、培養上清を継代後5日までに収集してもよい。
【0196】
本発明は、さらに、抗原を発現する感染性複製欠損ピチンデウイルスが感染した細胞培養物における抗原の発現に関する。培養細胞における抗原の発現に使用する場合、以下の2つの手順を使用することができる:
【0197】
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるピチンデウイルスベクター調製物を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させると、感染後短時間で既に全ての細胞で抗原が生成される。
【0198】
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンをそのウイルス駆動性抗原発現レベルについて選択することができる。その後、ピチンデウイルスベクターの細胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に増やすことができる。その手法に関係なく、その後、抗原を、生成される抗原の特性に応じて、培養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかし、本発明は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損ピチンデウイルスをベクターとして使用して抗原の発現を駆動する他の方法を考慮してよい。
【0199】
4.4.2 三セグメントピチンデウイルス粒子の作製
引用により本明細書中に組み込まれる、例えば、Emonetらの文献、 2008, PNAS, 106(9):3473-3478; Popkinらの文献、 2011, J. Virol., 85 (15):7928-7932;Dhanwaniらの文献、2015,Journal of Virology, doi:10.1128/JVI.02705-15により記載されるように、三セグメントピチンデウイルス粒子は、当技術分野で公知の逆遺伝学的技術により組換えによって生成することができる。本明細書に提供される三セグメントピチンデウイルス粒子の作製は、第4.2節に記載されているとおりに改変することができる。
【0200】
(i)感染性複製可能三セグメントピチンデウイルス粒子
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する方法は、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(ii)該ピチンデウイルスの最小限のトランス作用因子のNP及びLを発現するプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;並びに(iv)ピチンデウイルス粒子を収集することを含む。
【0201】
cDNAから作製すると、該三セグメントピチンデウイルス粒子(すなわち、感染性で、複製可能)は増殖させることができる。ある実施態様において、三セグメントピチンデウイルス粒子は、本明細書に記載されるとおりに、ウイルスの使用を可能にする力価まで、ウイルスが増殖するのを可能にする任意の宿主細胞で増殖させることができる。一実施態様において、該宿主細胞は、対応する野生型について決定される力価に匹敵する力価まで、三セグメントピチンデウイルス粒子が増殖するのを可能にする。
【0202】
ある実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、宿主細胞で増殖させてよい。使用することができる宿主細胞の具体例としては、BHK-21、HEK 293、又はその他を含む。具体的な実施態様において、該三セグメントピチンデウイルス粒子は、細胞株で増殖させてよい。
【0203】
ある実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で、作製されるピチンデウイルスゲノムセグメント(複数可)を発現する。
【0204】
具体的な実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で、作製されるウイルス遺伝子(複数可)を発現する。
【0205】
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルスの作製に使用することができるプラスミドは、i)Sゲノムセグメント、例えばpol-I-PIC-Sを、それぞれコードする2つのプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えばpol-I-PIC-Lをコードするプラスミドを含むことができる。2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルスに必要なプラスミドは、i)Lゲノムセグメント、例えばpol-I-PIC-Lを、それぞれコードする2つのプラスミド、ii)Sゲノムセグメント、例えばpol-I-PIC-Sをコードするプラスミドである。
【0206】
ある実施態様において、ウイルスL及びSセグメントの細胞内合成を導くピチンデウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドを、トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及びNPをコードするプラスミド(それぞれpC-PIC-L及びpC-PIC-NP)。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小限のトランス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAへ読むpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して行うことができる。
【0207】
さらに、該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のポリメラーゼII発現カセットの制御下の、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0208】
プラスミド(複数可)でのBHK-21細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用して行うことができる。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現クローンを同定する。
【0209】
通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができ、後者は、一次転写物のプロセシングのための3'末端リボザイムを優先的に伴い、正確な末端を生じさせる。ある実施態様において、該ピチンデウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0210】
該ピチンデウイルス、該三セグメントピチンデウイルスベクターの回収のために、以下の手順が想定される。第1日目:上記のように、M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントの細胞に、プラスミドの混合物をトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用することができる。
【0211】
3~5日後:培養上清(ピチンデウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にピチンデウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。該ピチンデウイルスベクター調製物の感染力価をイムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクション後3~5日目に、トランスフェクトした細胞及び上清をより大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代し、継代後5日までに培養上清を収集してもよい。
【0212】
本願は、異種ORF及び/又は対象の遺伝子の発現であって、該ゲノムセグメントをコードするプラスミドが、異種ORF及び/又は対象の遺伝子を取り込むように改変されているものにさらに関する。該異種ORF及び/又は対象の遺伝子は、制限酵素を使用して該プラスミド中に取り込ませることができる。
【0213】
(ii)感染性複製欠損三セグメントピチンデウイルス粒子
感染性複製欠損三セグメントピチンデウイルス粒子を、上記のようにレスキューすることができる。しかし、cDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損ピチンデウイルスは、相補細胞で増殖させることができる。相補細胞は、そのゲノムの改変により、複製欠損ピチンデウイルスから排除された機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
【0214】
ピチンデウイルスベクターにおける1以上の該ORFの除去又は機能的不活化(ここでは糖タンパク質GPを例に取る)のために、ピチンデウイルスベクターは、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例ではGPをトランスに提供する細胞で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株は、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他などの哺乳動物細胞株(ここでは、BHK-21を例に取る)に、対象となるウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1以上のプラスミド遺伝子(複数可)(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するCMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、作製されるピチンデウイルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子(複数可)を発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0215】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G又はその他を、培養下で保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、相補性プラスミド(複数可)をトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体を用いたウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足することができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供することができる。
【0216】
2つのタイプのプラスミド:i)本例では、例えば、ピチンデウイルスのNP及びLタンパク質に由来する、ピチンデウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現させるためのTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド;並びにii)ピチンデウイルスベクターゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現させるためのGS-プラスミドと呼ばれるプラスミドを使用することができる。TF-プラスミドは、それぞれのピチンデウイルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、一次転写物のプロセシングのための3'末端リボザイムを優先的に伴い、正確な末端を生じさせる。T7ベースのシステムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラスミドと類似した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスに含めることによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT7をさらに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0217】
該ピチンデウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TF及びGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用することができる。
【0218】
3~5日後:培養上清(ピチンデウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にピチンデウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該ピチンデウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフェクション後3~5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代し、培養上清を継代後5日までに収集してもよい。
【0219】
本発明は、細胞培養物が抗原を発現する感染性複製欠損三セグメントピチンデウイルスでトランスフェクトされる、細胞培養物中の抗原の発現にさらに関する。培養細胞におけるCMV抗原の発現に使用される場合、以下の2つの手順が使用され得る:
【0220】
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるピチンデウイルスベクター調製物を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させると、感染後短時間で既に全ての細胞で該抗原が生成される。
【0221】
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンを、ウイルス駆動性抗原発現レベルについて選択することができる。その後、ピチンデウイルスベクターの細胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に増やすことができる。その手法に関係なく、その後、該抗原を、生成される該抗原の特性に応じて、培養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかし、本発明は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損ピチンデウイルスをベクターとして使用してCMV抗原の発現を駆動する他の方法を考慮してよい。
【0222】
4.5 核酸、ベクター系及び細胞株
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、それぞれ第4.1節及び第4.2節に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメント又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含む又はそれからなるcDNAである。
【0223】
4.5.1 非天然位置オープンリーディングフレーム
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第4.1節に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1に記載されるDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。そのような核酸を含む宿主細胞はまた、第4.1節に提供されている。
【0224】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAであって、該ピチンデウイルスゲノムセグメントは第4.1節に記載される異種ORFをコードする、cDNAである。
【0225】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスゲノムセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。具体的には、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子の2つのピチンデウイルスゲノムセグメント、すなわち、Lセグメント及びSセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。そのようなベクター系は、(1以上の別々のDNA分子)をコードすることができる。
【0226】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスSセグメントのcDNAであり、DNA発現系の一部であるか、DNA発現系に組込まれる。他の実施態様において、ORFをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスLセグメントのcDNA は、DNA発現系の一部であるか、DNA発現系に組込まれる。ある実施態様において、(i)ORFを、その野生型位置以外の位置に担持するように操作されており;及び(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている、ピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAである。
【0227】
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、ピチンデウイルスの特定の株に由来することができる。ピチンデウイルスの株は、Munchique CoAn4763 単離株P18及びそれらの派性物、P2及びそれらの派生物を含み、又は、Trapido及び共同研究者によって記載されたいくつかの単離株の任意のものに由来する(Trapidoらの文献、1971, Am J Trop Med Hyg, 20: 631-641)。具体的な実施態様において、該cDNAは、ピチンデウイルスMunchique CoAn4763単離株P18株に由来する。
【0228】
ある実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、ピチンデウイルスの特定の株に基づくことができる。ピチンデウイルスの株は、Munchique CoAn4763単離株P18及びそれらの派生物、P2及びそれらの派生物を含み、又はTrapido及び共同研究者によって記載されたいくつかの単離株の任意のものに由来する(Trapidoらの文献、1971, Am J Trop Med Hyg, 20: 631-641)。ある実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、ピチンデウイルスMunchique CoAn4763単離株P18株に基づいてもよい。ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18のSセグメントの配列は、配列番号1として掲載される。ある実施態様において、ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18のSセグメントの配列は、配列番号1に記載される配列である。ピチンデウイルスのLセグメントの配列は配列番号2として掲載される。
【0229】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記のcDNA又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞由来の細胞株、そのような細胞を含む培養物、感染したそのような細胞を培養する方法も、本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されているピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを含む細胞である。いくつかの実施態様において、該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含む。
【0230】
4.5.2 三セグメントピチンデウイルス粒子
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第4.2節に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子をコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、表2又は表3に記載されるDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。そのような核酸を含む宿主細胞も、第4.2節に提供されている。
【0231】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されている三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAからなるcDNAである。他の実施態様において、(i)ピチンデウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されており:(ii)該三セグメントピチンデウイルス粒子は、第4.2節に記載される異種ORFをコードする、三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAである。
【0232】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子を一緒にコードするDNA発現ベクター系である。具体的には、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが3つのピチンデウイルスゲノムセグメント、すなわち、本明細書に記載される三セグメントピチンデウイルス粒子の1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。そのようなベクター系は、(1以上の別々のDNA分子)をコードすることができる。
【0233】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されており、かつDNA発現系の一部であるか、DNA発現系に組込まれるピチンデウイルスSセグメント(複数可)のcDNAである。他の実施態様において、ORFをその野生型位置以外の位置に担持するように操作されたピチンデウイルスLセグメント(複数可)のcDNAは、DNA発現系の一部であるか、DNA発現系に組込まれる。ある実施態様において、(i)その野生型位置以外の位置に担持するように操作されており;及び(ii)GP、ORF、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAである。
【0234】
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、ピチンデウイルスの特定の株に由来することができる。ピチンデウイルスの株は、Munchique CoAn4763 単離株P18及びそれらの派性物、P2及びそれらの派生物を含み、又は、Trapido及び共同研究者によって記載されたいくつかの単離株の任意のものに由来する(Trapidoらの文献、1971, Am J Trop Med Hyg, 20: 631-641)。具体的な実施態様において、該cDNAは、ピチンデウイルスMunchique CoAn4763単離株P18株に由来する。
【0235】
ある実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、ピチンデウイルスの特定の株に基づくことができる。ピチンデウイルスの株は、Munchique CoAn4763単離株P18及びそれらの派生物、P2及びそれらの派生物を含み、又はTrapido及び共同研究者によって記載されたいくつかの単離株の任意のものに由来する(Trapidoらの文献、1971, Am J Trop Med Hyg, 20: 631-641)。ある実施態様において、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、ピチンデウイルスMunchique CoAn4763単離株P18株に基づいてもよい。ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18のSセグメントの配列は、配列番号1として掲載される。ある実施態様において、ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18のSセグメントの配列は、配列番号1に記載される配列である。ピチンデウイルスのLセグメントの配列は配列番号2として掲載される。
【0236】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記のcDNA又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、及び感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、三セグメントピチンデウイルス粒子のcDNAを含む細胞である。いくつかの実施態様において、該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含む。
【0237】
4.6 使用方法
ワクチンは、ポリオウイルスに関するもの及び麻疹などの感染症を予防及び/又は治療するのに成功してきた。しかし、癌及び慢性感染を含む確立された慢性疾患の状況での治療免疫は、あまり成功していない。ピチンデウイルス粒子及び/又は三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する能力は、新たな新規のワクチン戦略を表す。
【0238】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における感染及び/又は癌を治療する方法であって、本明細書に提供される1以上のタイプのピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物を該対象に投与することを含む、前記方法である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染及び/又は癌を治療する方法は、本明細書に記載される治療有効量の1以上のピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。該対象は、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、ロバなどの家畜動物などの哺乳動物であり得る。具体的な実施態様において、該対象はヒトである。該ヒト対象は、男性でも女性でも成人でも子供でも老人(65以上)でもよく、複数の疾患を有する者(すなわち、多重罹患(polymorbid)対象)でもよい。ある実施態様において、対象は、その疾患が、化学療法、放射線療法、手術、及び/又は生物薬での治療後に進行した者である。
【0239】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象において感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物を該対象に投与することを含む、前記方法である。
【0240】
別の実施態様において、本明細書に提供される感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子、又はその組成物が投与される対象は、感染、癌の発症又はアレルギーを有し、それらを起こしやすい、又はそのリスクに曝されているか、又は前癌組織病変を呈する。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物が投与される対象は、感染、癌、前癌組織病変、又はアレルギーに感染しているか、起こし易いか、そのリスクに曝されているか、又はそう診断されている。
【0241】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物を投与される対象は、中でも特に肺系、中枢神経系、リンパ系、胃腸管系、又は循環系の感染、癌、前癌組織病変、又はアレルギーに罹患しているか、罹り易いか、又はそのリスクに曝されている。具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物を投与される対象は、脳、肝臓、肺、眼、耳、腸、食道、子宮、上咽頭、又は唾液腺を含むがそれらに限定されない、身体の1以上の器官の感染、癌、又はアレルギーを患っているか、起こし易いか、又はそのリスクに曝されている。
【0242】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物を投与される対象は、熱、寝汗、疲労、不調、不安、のどの痛み、腺の腫れ、関節痛、筋肉痛、食欲不振、体重減少、下痢、胃腸潰瘍、胃腸出血、息切れ、肺炎、口腔潰瘍、視力の問題、肝炎、黄疸、脳炎、発作、昏睡、掻痒症、紅斑、色素増加症、リンパ節の変化、又は聴力喪失を含むがそれらに限定されない症状を罹患する対象である。
【0243】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、感染、癌、又はアレルギーを患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている任意の年齢群の対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に提供される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子、又はその組成物は、免疫不全の対象、妊娠している対象、臓器若しくは骨髄移植を受けている対象、免疫抑制薬を服用している対象、血液透析を受けている対象、癌を有する対象、又は感染、癌、又はアレルギーを患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている対象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、感染、癌、又はアレルギーを患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17歳の子供である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、感染、癌、又はアレルギーを患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている乳児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、感染、癌、又はアレルギーを患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月の乳児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、感染、癌、又はアレルギーを患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている高齢対象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、又は90歳のシニア対象である対象に投与される。
【0244】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、播種性感染、癌、又はアレルギーのリスクが高い対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、新生児の、したがって未熟な免疫系を有する、新生児期の対象に投与される。
【0245】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、休眠性感染、癌、又はアレルギーを有する対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、免疫系の不全の際に再活性化し得る休眠性感染、休眠性癌、又は休眠性アレルギーを有する対象に投与される。かくして、本明細書に提供されるのは、感染、癌、又はアレルギーの再活性化を防止する方法である。
【0246】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、再発性感染、癌、又はアレルギーを有する対象に投与される。
【0247】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、感染、癌、又はアレルギーについての遺伝的素因を有する対象に投与される。別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、対象に投与される。別の実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、リスク要因を有する対象に投与される。例示的なリスク要因としては、加齢、タバコ、太陽への露出、放射線被曝、化学物質曝露、家族の病歴、アルコール、貧しい食生活、運動不足、又は太り過ぎが挙げられる。
【0248】
別の実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子の投与は、症候性感染、癌、又はアレルギーを低減する。別の実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子の投与は、無症候性感染、癌、又はアレルギーを低減する。
【0249】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物に由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、インフルエンザウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、ロタウイルス、伝染性気管支炎ウイルス、伝染性喉頭気管炎ウイルス、トリ貧血ウイルス、マレック病ウイルス、トリ白血病ウイルス、トリアデノウイルス、 又はトリニューモウイルス、 SARS原因ウイルス、 ヒトRSウイルス、 ヒト免疫不全ウイルス、 A型肝炎ウイルス、 B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、ヒトパラインフルエンザ3型ウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、 エボラウイルス、マールブルグウイルス、ウエストナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス、ハンタウイルス、リフトバレー熱ウイルス、 ラッサ熱ウイルス、単純ヘルペスウイルス及び黄熱病ウイルスの1以上の株に感染した対象又は動物に投与される。
【0250】
別の実施態様において、本明細書に記載される癌に由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、1以上のタイプの癌を患う対象に投与される。他の実施態様において、本明細書に記載されるワクチンでの治療に感受性である任意のタイプの癌が、標的となり得る。より具体的な実施態様において、本明細書に記載される癌に由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、例えば、黒色腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、神経芽細胞腫、肝細胞癌、子宮頚癌、及び胃癌、バーキットリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;ホジキンリンパ腫; 鼻咽頭癌(鼻の後ろののどの上部の癌)、白血病、粘膜関連リンパ組織リンパ腫を患う対象に投与される。
【0251】
別の実施態様において、本明細書に記載されるアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、1以上のアレルギーを患う対象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載されるアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子 又はその組成物は、例えば、季節性アレルギー、通年性アレルギー、鼻結膜炎、喘息、湿疹、食物アレルギーを患う対象に投与される。
【0252】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物の対象への投与は、感染、癌、又はアレルゲンに対する細胞媒介性免疫(CMI)を付与する。理論に束縛されるものではないが、別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、アレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、宿主(例えば、マクロファージ、樹状細胞、又はB細胞)に感染し、主要組織適合性抗原(MHC)クラスI及びII上での抗原の直接提示のために、宿主の抗原提示細胞(APC)において、対象となる抗原を発現する。別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、アレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物の対象への投与は、感染、癌、又はアレルギーを治療又は防止するために、多機能(plurifunctional) 細胞溶解性ならびにIFN-γ及びTNF-α共産生性CMV特異的CD4+及びCD8+T細胞応答を高度に誘導する。
【0253】
別の実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物の投与は、個体が感染、癌、アレルギーを発症するリスクを、そのような治療の非存在下で感染、癌、アレルギーを発症するリスクと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれ以上低減する。
【0254】
別の実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物の投与は、 感染、癌、又はアレルギーの症状を、そのような治療の非存在下での感染、癌、アレルギーの症状の顕在化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれ以上低減する。
【0255】
ある実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、好ましくは、複数回の注射で(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、40、45、又は50回の注射)又は連続注入によって(例えば、ポンプを使用して)、複数の部位(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、又は14の部位)に投与される。ある実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、6ヶ月の期間、12ヶ月の期間、24ヶ月の期間、又は48ヶ月の期間にわたって、2回以上の別々の注射で投与される。ある実施態様において、感染性生物、癌、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、選択された日に最初の用量を、最初の投与後の少なくとも2ヶ月の時点で第2の用量を、及び最初の投与後6ヶ月の時点で第3の用量で投与される。
【0256】
一例において、皮膚の注射は、局所皮膚反応の程度を低減するために、複数の身体部位に行われる。所与のワクチン接種日に、患者に、割り当てられた総用量の細胞を、1つのシリンジから3~5回の別々の用量(例えば、少なくとも0.4 ml、0.2 ml、又は0.1 ml)の皮内注射に分けて、それぞれを、肢において最も近くに隣接した注射部位から少なくとも約5 cm(例えば、少なくとも4.5、5、6、7、8、又は9 cm)間隔をとった針刺入部位で与える。その後のワクチン接種日に、該注射部位は、時計回り又は反時計回りで異なる四肢に回転される。
【0257】
別の実施態様において、新生児の、従って未熟な免疫系を有する対象へのCMV抗原を発現する感染性複製欠損ピチンデウイルス又はその組成物は、そのような治療の非存在下での感染、癌、又はアレルギーに対するCMI応答を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれ以上上回る、感染、癌、又はアレルギーに対する細胞媒介性免疫(CMI)応答を誘導する。
【0258】
ある実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子の対象への投与は、最低限でも少なくとも4週間の間、検出可能な抗体力価を誘導する。別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子の対象への投与は、該抗体力価を少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%増大する。
【0259】
ある実施態様において、一次抗原曝露は、感染免疫ヒト対象からの平均対照血清の少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の機能的、(中和性)及び最小抗体力価を誘発する。より具体的な実施態様において、免疫後少なくとも4週間以内に、該一次中和性幾何平均抗体力価は、少なくとも1:50、少なくとも1:100、少なくとも1:200、又は少なくとも1:1000のピーク値まで増大する。別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子での免疫は、該ワクチンの単回投与の後、又は2以上の逐次免疫の後、免疫後少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、又は少なくとも5年の間残る、高力価の抗体を生成する。
【0260】
さらに別の実施態様において、二次抗原曝露は、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%抗体力価を増大する。別の実施態様において、二次抗原曝露は、感染免疫ヒト対象からの平均対照血清の少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の機能的、(中和性)及び最小抗体力価を誘発する。より具体的な実施態様において、免疫後少なくとも4週間以内に、該二次中和性幾何平均抗体力価は、少なくとも1:50、少なくとも1:100、少なくとも1:200、又は少なくとも1:1000のピーク値まで増大する。別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子での二次免疫は、免疫後少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、又は少なくとも5の間年残る、高力価の抗体を生成する。
【0261】
さらに別の実施態様において、第3の追加免疫は、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%、抗体力価を増大する。別の実施態様において、該追加免疫は、感染免疫ヒト対象からの平均対照血清の少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の機能的、(中和性)及び最小抗体力価を誘発する。より具体的な実施態様において、該第3の追加免疫は、感染免疫ヒト対象からの平均対照血清の少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の機能的、(中和性)及び最小抗体力価を誘発する。別の実施態様において、第3の追加免疫は、免疫後少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、又は少なくとも5年の間、抗体力価を延長させる。
【0262】
ある実施態様において、感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、T細胞非依存性又はT細胞依存性応答を誘発する。他の実施態様において、感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子はT細胞応答を誘発する。他の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、Tヘルパー応答を誘発する。別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、Th1適応性(Th1-orientated)応答又はTh2適応性(Th2-orientated)応答を誘発する。
【0263】
より具体的な実施態様において、該Th1適応性応答は、IgG1に対するIgG2抗体の優勢によって示される。他の実施態様において、IgG2:IgG1の比は、1:1より大きく、2:1より大きく、3:1より大きく、又は4:1より大きい。別の実施態様において、本明細書に記載される、感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA又はIgE抗体の優勢によって示される。
【0264】
いくつかの実施態様において、CMV抗原又はその断片を発現する感染性複製欠損ピチンデウイルスは、CD8+T細胞応答を誘発する。別の実施態様において、感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、抗体との組み合わせで又は抗体と組み合わせずに、CD4+及びCD8+T細胞応答の両方を誘発する。
【0265】
ある実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、高力価の中和抗体を誘発する。別の実施態様において、本明細書に記載される感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、個別のタンパク質複合体成分の発現より高力価の中和抗体を誘発する。
【0266】
別の実施態様において、感染性生物、癌、又はアレルギーに由来する1、2、3、4、5又はそれ以上の抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する1つの抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子よりも高力価の中和抗体を誘発する。
【0267】
ある実施態様において、該方法は、該ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子及び少なくとも1つの追加の治療法の共投与をさらに含む。ある実施態様において、共投与は同時である。別の実施態様において、該ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、該追加の治療法の投与前に投与される。他の実施態様において、該ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、該追加の治療法の投与後に投与される。ある実施態様において、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子及び該追加の治療法の投与は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、又は約12時間である。ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子及び前記追加の治療法の投与の間の間隔は、約1日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間である。ある実施態様において、該ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子及び該追加の治療法の投与の間の間隔は、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、又は約6ヶ月である。
【0268】
ある実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又はその組成物の投与は、患者血液試料、又は血清試料に検出される抗体の数を低減する。ある実施態様において、感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子、その組成物の投与は、尿、唾液、血液、涙液、精液、剥離細胞試料、又は乳汁に検出される感染性生物、癌、又はアレルギーの量を低減する。
【0269】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染生物、癌、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、レポータータンパク質をさらに含んでもよい。本明細書に記載される感染生物、癌、又はアレルゲンに由来する抗原及びレポータータンパク質を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又は組成物は、感染、癌、又はアレルギーを治療及び/又は防止するために対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、該レポータータンパク質は、遺伝子発現、タンパク質局在、及びワクチン送達を、インビボ、インシチュ及びリアルタイムで監視するために使用することができる。
【0270】
別の実施態様において、本明細書に記載される感染生物、癌、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子、又は組成物は、蛍光タンパク質をさらに含んでもよい。より具体的な実施態様において、本明細書に記載される感染生物、癌、又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子及びレポータータンパク質、又は組成物は、感染、癌、又はアレルギーを治療及び/又は防止するために対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、該蛍光タンパク質は、該レポータータンパク質であることができ、遺伝子発現、タンパク質局在、及びワクチン送達を、インビボ、インシチュ及びリアルタイムで監視するために使用することができる。
【0271】
感染性生物、癌、アレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物の投与によって対象において誘導される、感染、癌、又はアレルギーに対するCMI応答機能の変化は、フローサイトメトリー(例えば、Perfetto S.P.らの文献、2004, Nat Rev Immun., 4(8):648-55を参照されたい)、リンパ球増殖アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献、2008, Ann Allergy Asthma Immunol, 101:101-4;及びHicks M.J. らの文献、1983, Am J Clin Pathol., 80:159-63を参照されたい)、Tリンパ球のサイトカイン測定の活性化後の表面マーカー発現変化の決定を含むリンパ球活性化を測定するためのアッセイ(例えば、Caruso A.らの文献、Cytometry.1997;27:71-6を参照されたい)、ELISPOTアッセイ(例えば、Czerkinsky C.C.らの文献、1983, J Immunol Methods, 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献、1989, J Immunol Methods, 120:1-8を参照されたい)、又はナチュラルキラー細胞の細胞傷害性アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献、2006, Ann Allergy Asthma Immunol., 94(5 Suppl 1):S1-63を参照されたい)を含むが、これらに限定されない当業者に公知の任意のアッセイによって測定することができる。
【0272】
癌患者の治療の成功は、予想される生存期間の延長、抗腫瘍免疫応答の誘導、又は癌の特定の特性の改善として評価することができる。改善される可能性のある癌の特徴の例としては、腫瘍の大きさ(例えば、T0、Tは、又はT1-4である)、転移の状態(例えば、M0、M1)、観察可能な腫瘍の数、リンパ節病変(例えば、N0、N1-4、Nx)、グレード(すなわち、グレード1、2、3、又は4)、ステージ(例えば、0、I、II、III、又はIV)、細胞上若しくは体液中のあるマーカー(例えば、AFP、B2M、β-HCG、BTA、CA 15-3、CA 27.29、CA 125、CA 72.4、CA 19-9、カルシトニン、CEA、クロモグラニンA、EGFR、ホルモン受容体、HER2、HCG、免疫グロブリン、NSE、NMP22、PSA、PAP、PSMA、S-100、TA-90、及びサイログロブリン)の存在又は濃度、及び/又は関連する病状(例えば、腹水若しくは浮腫)又は症状(例えば、悪液質、発熱、食欲不振、又は疼痛)が挙げられる。改善は、パーセントによって測定可能な場合に、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、又は90%(例えば、腫瘍の生存、又は体積又は直線寸法)であり得る。
【0273】
別の実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性生物、癌又はアレルゲンに由来する抗原を発現するピチンデウイルス粒子の使用の方法であって、そのGP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードするORFのうちの少なくとも1つが、感染性をコードするヌクレオチド配列、感染性生物、癌、アレルゲンに由来する抗原又はそれらの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列で置き換えられている粒子の使用の方法である。
【0274】
4.7 組成物、投与、及び投与量
本願は、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含むワクチン、免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)、及び医薬組成物にさらにまた関する。そのようなワクチン、免疫原性組成物及び医薬組成物は、当技術分野の標準的な手順に従って製剤化することができる。
【0275】
本明細書に記載される方法及び適用の好適な改変及び適合は自明であり得、範囲の範囲又はその任意の実施態様から逸脱することなく為し得ることは、関連技術分野の当業者には容易に明らかであろう。
【0276】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含む組成物である。そのような組成物は、疾患を治療及び防止する方法において使用することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、感染している、又は感染し易い対象の治療において使用される。他の実施態様において、本明細書に記載される組成物は、癌又は腫瘍形成に罹り易い又はその特徴的な症状を呈している対象、又は癌を有すると診断される対象の治療において使用される。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される免疫原性組成物を使用して、該組成物が投与される宿主に免疫応答を誘導することができる。本明細書に記載される免疫原性組成物は、ワクチンとして使用することができ、それに応じて、医薬組成物として製剤化することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、対象(例えば、ヒト対象)の感染又は癌の防止に使用される。他の実施態様において、該ワクチン、免疫原性組成物又は医薬組成物は、動物及び/又はヒトへの投与に適している。
【0277】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるピチンデウイルスベクターを含む免疫原性組成物である。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物はさらに、医薬として許容し得る賦形剤を含む。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物はさらに、アジュバントを含む。本明細書に記載される組成物と組み合わせて投与するためのアジュバントは、前記組成物の投与前、投与と同時、又は投与後に投与することができる。いくつかの実施態様において、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載される組成物と組み合わせて又は本明細書に記載される組成物の一部として投与したときに、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子、及び最も重要な、それが運搬する(vectorises)遺伝子生成物に対する免疫応答を高める、増強する、及び/又はブーストするが、該化合物が単独で投与された場合には、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子、及び後者によって運搬される(vectorised)遺伝子生成物に対する免疫応答をもたらさない化合物を指す。いくつかの実施態様において、該アジュバントは、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子、及び後者によって運搬される(vectorised)遺伝子生成物に対する免疫応答をもたらし、アレルギー又は他の有害反応を生じさせない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージ又は樹状細胞の刺激を含むいくつかのメカニズムによって免疫応答を増強することができる。本発明のワクチン組成物又は免疫原性組成物が、アジュバントを含むか又は1種以上のアジュバントと一緒に投与される場合、使用することができるアジュバントとしては、無機塩アジュバント又は無機塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュバント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。アジュバントの例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3De-O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(GB 2220211を参照されたい)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80; ICL Americas社)、イミダゾピリジン化合物(国際公開番号WO2007/109812として公開された国際出願PCT/US2007/064857を参照されたい)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開番号WO2007/109813として公開された国際出願PCT/US2007/064858を参照されたい)、及びQS21などのサポニン(Kensilらの文献、「ワクチンデザイン:サブユニット及びアジュバントアプローチ(Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach)」、 (Powell&Newman編集、Plenum Press、NY、1995);米国特許第5,057,540号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、必要に応じてモノホスホリルリピドAなどの免疫刺激剤と組み合わせた、水中油型エマルジョン(スクアレン又はピーナッツ油など)である(Stouteらの文献、 N.Engl.J.Med.336、86-91(1997) を参照されたい)。
【0278】
該組成物は、単独で、又は医薬として許容し得る担体と共に、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含む。ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子の懸濁液又は分散液、とりわけ等張水性懸濁液若しくは分散液を使用することができる。該医薬組成物は、滅菌することができ、かつ/又は賦形剤、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤並びに/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩類及び/若しくは緩衝剤を含んでよく、それ自体既知の方法で、例えば、従来の分散及び懸濁プロセスによって調製される。ある実施態様において、そのような分散液又は懸濁液は、粘度調節剤を含んでよい。該懸濁液又は分散液は、約2℃~8℃の温度に保たれるか、又は優先的には、長期保存については、凍結した後、使用直前に解凍してよく、或いは保存のために凍結乾燥してもよい。注射については、ワクチン又は免疫原性製剤は、水溶液中で、好ましくは、ハンクス溶液、リンゲル溶液、又は生理食塩緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液で製剤化してよい。該溶液は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含有してよい。
【0279】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物はさらに、防腐剤、例えば、水銀誘導体のチメロサールを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、0.001%~0.01%のチメロサールを含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0280】
該医薬組成物は、約103~約1011フォーカス形成単位のピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含む。
【0281】
一実施態様において、該医薬組成物の投与は非経口投与である。非経口投与は、静脈内又は皮下投与であることができる。したがって、非経口投与のための単位用量形態は、例えば、アンプル又はバイアルであり、例えば、約103~1010 フォーカス形成単位又は105~1015 物理粒子のピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含有するバイアルである。ある実施態様において、「10eX」という用語は、10のX乗を意味する。
【0282】
別の実施態様において、本明細書に提供されるワクチン組成物又は免疫原性組成物は、限定されないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内及び吸入経路を含む経路により、並びにスカリフィケーション(例えば、二股針を使用して、皮膚の最上層から傷を付けること)により、対象に投与される。具体的には、皮下、筋肉内又は静脈内経路を使用することができる。
【0283】
鼻腔内への又は吸入による投与のために、本発明による使用のための調製物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適なガスを使用して、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレー提示の形態で好都合に送達され得る。加圧エアロゾルの場合には、投薬量単位は、定量を送達するためのバルブを提供することにより決定してよい。吸入器又は注入器で使用するための、例えばゼラチンの、カプセル及びカートリッジは、化合物とラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含めて製剤化してよい。
【0284】
活性成分の投薬量は、ワクチン接種の種類によって、並びに対象及びその年齢、体重、個々の状態、個々の薬物動態データ、及び投与様式によって決まる。ある実施態様において、最適投薬範囲を同定するのを助けるために、インビトロアッセイが用いられる。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導いた用量応答曲線から外挿してもよい。
【0285】
ある実施態様において、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含むワクチン、免疫原性組成物、又は医薬組成物は、生ワクチンとして使用することができる。生ピチンデウイルス粒子の例示的な用量は、用量あたり10~100 PFU、又はそれ以上の生ウイルスで変化し得る。いくつかの実施態様において、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子の好適な投薬量は、102、5×102、103、5×103、104、5×104、105、5×105、106、5×106、107、5×107、108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011又は1012 pfuであり、必要な頻度で間隔をあけて1回、2回、3回又はそれ以上対象に投与することができる。別の実施態様において、生ピチンデウイルスは、0.2mLの用量が106.5~107.5蛍光フォーカス単位の生ピチンデウイルス粒子を含有するように製剤化される。別の実施態様において、不活化ワクチンは、それが約15μg~約100μg、約15μg~約75μg、約15μg~約50μg、又は約15μg~約30μgのピチンデウイルスを含有するように製剤化される。
【0286】
ある実施態様において、小児への投与について、2用量の、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、少なくとも1ヶ月空けて、小児に投与される。具体的な実施態様において、成人への投与について、単回用量の、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物が与えられる。別の実施態様において、2用量の、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物は、少なくとも1ヶ月空けて、成人に投与される。別の実施態様において、幼い小児(6ヶ月~9歳)は、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子又はその組成物を、1ヶ月空けた2用量で初めて投与されてもよい。特定の実施態様において、ワクチン接種の最初の年に1用量のみを受けた小児は、次の年に2用量を受けるべきである。いくつかの実施態様において、4週間空けて投与される2用量は、本明細書に記載される免疫原性組成物を初めて投与される2~8歳の小児については好ましい。ある実施態様において、6~35ヶ月齢の小児については、3歳より上の対象について好ましい可能性のある0.5 mlとは対照的に、半用量(0.25 ml)が好ましい可能性がある。
【0287】
ある実施態様において、該組成物は、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子の治療的有効量を含む単回用量で患者に投与することができる。いくつかの実施態様において、該ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子は、それぞれ治療的有効量の、治療的有効量のピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含む単回用量で、及び1以上の医薬組成物で、患者に投与することができる。
【0288】
ある実施態様において、該組成物は、単回用量として患者に投与され、続いて、3~6週間後に第2の用量で投与される。これらの実施態様によれば、ブースター接種は、第2の接種後6~12ヶ月の間隔で対象に投与することができる。ある実施態様において、ブースター接種は、異なるピチンデウイルス又はその組成物を利用してもよい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される同じ組成物の投与は、反復してもよく、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は少なくとも6ヶ月間隔ててもよい。
【0289】
また、本明細書に提供されるのは、活性成分としてピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を含む医薬製剤の形態のワクチンの製造のためのプロセス並びに該ピチンデウイルス粒子又は該三セグメントピチンデウイルス粒子の使用である。本願の医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例えば、従来の混合及び/又は分散のプロセスによって調製される。
【0290】
4.8 アッセイ
4.8.1 ピチンデウイルス検出アッセイ
当業者は、当技術分野で公知の技術を使用して、本明細書に記載されるピチンデウイルスゲノムセグメント又は三セグメントピチンデウイルス粒子を検出することができる。例えば、RT-PCRをピチンデウイルスに特異的なプライマーと共に使用して、ORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されているピチンデウイルスゲノムセグメント、又は三セグメントピチンデウイルス粒子を検出及び定量することができる。ウェスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降、免疫細胞化学、又はFACSと組み合わせた免疫細胞化学を用いて、ピチンデウイルスゲノムセグメント又は三セグメントピチンデウイルス粒子の遺伝子産物を定量することができる。
【0291】
4.8.2 感染性を測定するためのアッセイ
当業者に公知の任意のアッセイをピチンデウイルスベクター調製物の感染力を測定するために使用することができる。例えば、ウイルス/ベクター力価の決定は、「フォーカス形成単位アッセイ」(FFUアッセイ)により行うことができる。簡潔に述べると、相補細胞、例えば、MC57細胞をプレーティングし、ウイルス/ベクター試料の異なる希釈物を接種する。インキュベーション期間の後、細胞に単層を形成させ、ウイルスを細胞に付着させるために、単層をメチルセルロースで覆う。プレートをさらにインキュベートすると、もとの感染した細胞はウイルス子孫を放出する。メチルセルロースが重層されるため、新しいウイルスの拡散は、隣接する細胞に制限される。結果として、各々の感染性粒子は、フォーカスと呼ばれる感染した細胞の円形のゾーンをもたらす。そのようなフォーカスを、ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子が発現するピチンデウイルスNP又は別のタンパク質に対する抗体及びHRPベースの呈色反応を使用して見えるようにし、それにより、数えられるようにすることができる。ウイルス/ベクターの力価は、1ミリリットル当たりのフォーカス形成単位(FFU/mL)で計算することができる。
【0292】
4.8.3 ピチンデウイルス粒子の増殖
本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子の増殖は、当技術分野で公知の又は本明細書に記載される任意の方法により評価することができる(例えば、細胞培養)。ウイルス増殖は、細胞培養物(例えば、BHK-21細胞)に、本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子の連続希釈物を接種することによって決定することができる。指定された時間ウイルスをインキュベーションした後、ウイルスを、標準的な方法を使用して単離する。
【0293】
4.8.4 血清ELISA
動物(例えば、マウス、モルモット)のワクチン接種時の液性免疫応答の決定は、抗原特異的血清ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)により行うことができる。簡潔に述べると、プレートを抗原(例えば、組換えタンパク質)でコーティングし、抗体の非特異的結合を避けるためにブロッキングし、血清の連続希釈物と共にインキュベートする。インキュベーション後、結合した血清-抗体を、例えば、酵素が結合した(全IgG又はIgGサブクラスを検出する)抗種(例えば、マウス、モルモット)特異的抗体及びその後の呈色反応を使用して検出することができる。抗体力価を、例えば、終点幾何平均力価として決定することができる。
【0294】
4.8.5 誘導された抗体の中和活性を測定するためのアッセイ
血清中の中和抗体の決定は、ATCCからのARPE-19細胞とGFPタグ化ウイルスとを使用する以下の細胞アッセイを使用して行う。さらに、外因性補体の源としての補足血清(例えば、モルモット血清)を使用する。このアッセイは、中和に使用する1日又は2日前に、384ウェルプレートに6.5×103細胞/ウェル(50μl/ウェル)を播種することにより開始する。中和は、細胞を含まない96ウェル滅菌組織培養プレートで、37℃で1時間行う。中和インキュベーション工程の後、混合物を細胞に添加し、プレートリーダーによるGFP検出のために、さらに4日間インキュベートする。陽性の中和ヒト血清を各々のプレートでアッセイ陽性対照として使用して、全ての結果の信頼性を確認する。4パラメータロジスティック曲線フィッティングを使用して、力価(EC50)を決定する。追加の検査として、ウェルを蛍光顕微鏡で確認する。
【0295】
4.8.6 プラーク減少アッセイ
簡潔に述べると、ピチンデウイルスについてのプラーク減少(中和)アッセイを、緑色蛍光タンパク質がタグ付けされている複製可能又は複製欠損ピチンデウイルスを使用して行い、5%ウサギ血清を外因性補体の源として使用することができ、プラークを蛍光顕微鏡観察により数えることができる。中和力価は、対照(免疫前)血清試料における希釈と比較して、プラークの50%、75%、90%又は95%減少をもたらす血清の最大希釈と定義することができる。
【0296】
qPCR: ピチンデウイルスRNAゲノムを、製造元によって提供されるプロトコルに従って、QIAamp Viral RNAミニキット(QIAGEN)を使用して単離する。ピチンデウイルスRNAゲノム相当物を、SuperScript(登録商標) III Platinum(登録商標) One-Step qRT-PCRキット(Invitrogen)並びにピチンデNPコード領域又はピチンデウイルス粒子若しくは三セグメントピチンデウイルス粒子の別のゲノムストレッチの一部に特異的なプライマー及びプローブ(FAMレポーター及びNFQ-MGBクエンチャー)を使用してStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)で実施される定量的PCRにより検出する。反応の温度プロファイルは: 60℃で30分、95℃で2分の後、95℃で15秒、56℃で30秒の45サイクルであり得る。RNAを、試料の結果と、プライマー及びプローブ結合部位を含むピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子のNPコード配列又は別のゲノムストレッチの断片に対応する、分光光学的に定量されたインビトロ転写RNA断片のlog10希釈系列から作成された標準曲線との比較により、定量することができる。
【0297】
4.8.7 ウェスタンブロッティング
組織培養フラスコ中又は懸濁液で増殖させた感染細胞を、示された感染後の時点でRIPA緩衝液(Thermo Scientific)を使用して溶解させるか、又は細胞溶解なしでそのまま使用する。試料を還元剤及びNuPage LDS試料緩衝液(NOVEX)と共に99℃に10分間加熱し、室温に冷却した後、電気泳動のために4~12%SDS-ゲルに充填する。タンパク質を、Invitrogens iBlot Gel転写装置を使用して膜上にブロッティングし、ポンソー染色により可視化する。最後に、調製物を、対象となるタンパク質に対する一次抗体及びアルカリホスファターゼコンジュゲート二次抗体でプロービングし、その後、1-Step NBT/BCIP溶液(INVITROGEN)で染色する。
【0298】
4.8.8 抗原特異的CD8+T細胞増殖の検出のためのMHC-ペプチドマルチマー染色アッセイ
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的CD8+T細胞応答を試験することができる。例えば、MHC-ペプチド四量体染色アッセイを使用することができる(例えば、Altman J.D.らの文献、 Science 1996; 274:94-96;及びMurali-Krishna K.らの文献、 Immunity 1998;8:177-187を参照されたい)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含み、四量体アッセイを使用して、抗原特異的T細胞の存在を検出する。T細胞がそれに対して特異的なペプチドを検出するために、T細胞は、ペプチドと(通常、蛍光標識されている)定義した抗原特異性及びMHCハプロタイプのT細胞用の特別仕様のMHC分子の四量体の両方を認識しなければならない。その後、四量体を、蛍光標識を介してフローサイトメトリーにより検出する。
【0299】
4.8.9 抗原特異的CD4+T細胞増殖の検出のためのELISPOTアッセイ
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的CD4+T細胞応答を試験することができる。例えば、ELISPOTアッセイを使用することができる(例えば、Czerkinsky C.C.らの文献、 J Immunol Methods. 1983; 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献、 J Immunol Methods. 1989; 120:1-8を参照されたい)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:免疫スポットプレートを抗サイトカイン抗体でコーティングする。細胞を免疫スポットプレート中でインキュベートする。細胞はサイトカインを分泌し、その後、洗い落とされる。その後、プレートを第2のビオチン化抗サイトカイン抗体でコーティングし、アビジン-HRPシステムで可視化する。
【0300】
4.8.10 CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性の検出のための細胞内サイトカインアッセイ
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性を試験することができる。例えば、フローサイトメトリーと組み合わせた細胞内サイトカインアッセイを使用することができる(例えば、Suni M.A.らの文献、 J Immunol Methods. 1998; 212:89-98; Nomura L.E.らの文献、 Cytometry 2000; 40:60-68;及びGhanekar S.A.らの文献、 Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 2001; 8:628-63を参照されたい)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:特異的ペプチド又はタンパク質による細胞の活性化、タンパク質輸送の阻害(例えば、ブレフェルジンA)を加えて、サイトカインを細胞内に保持する。インキュベーションの定義した期間後、典型的には5時間後に、洗浄工程が続き、他の細胞マーカーに対する抗体を細胞に添加することができる。その後、細胞を固定し、透過処理する。蛍光色素結合抗サイトカイン抗体を添加し、細胞をフローサイトメトリーにより解析することができる。
【0301】
4.8.11 ウイルスベクターの複製欠損を確認するためのアッセイ
感染性でかつ複製可能なウイルス粒子の濃度を決定する当業者に公知の任意のアッセイも使用して、試料中の複製欠損ウイルス粒子を測定することができる。例えば、非相補細胞を使用するFFUアッセイをこの目的で使用することができる。
【0302】
さらに、プラークベースのアッセイは、ウイルス試料中のプラーク形成単位(PFU)に関してウイルス濃度を決定するために使用される標準的な方法である。具体的には、非相補宿主細胞のコンフルエントな単層に様々な希釈のウイルスを感染させ、寒天などの半固形培地で覆って、ウイルス感染が無制限に拡大するのを防ぐ。ウイルスが感染し、固定された細胞単層内の細胞でそれ自体を複製し、周囲の細胞に広がるのに成功すると、ウイルスプラークが形成される(例えば、Kaufmann、S.H.; Kabelitz、D.の文献(2002)、「微生物学の方法(Methods in Microbiology)」 第32巻:「感染の免疫学(Immunology of Infection)」、Academic Press. ISBN 0-12-521532-0を参照されたい)。プラーク形成は、解析されているウイルスによって、2~14日間かかることがある。プラークを全体的に手作業で計数し、その結果を、プレートを調製するために使用した希釈係数と組み合わせて使用して、試料単位容量当たりのプラーク形成単位の数(PFU/mL)を計算する。PFU/mLの結果は、試料中の感染性複製可能粒子の数を表す。C細胞を使用する場合、同一のアッセイを用いて、複製欠損ピチンデウイルス粒子又は三セグメントピチンデウイルス粒子を滴定することができる。
【0303】
4.8.12 ウイルス抗原の発現についてのアッセイ
当業者に公知の任意のアッセイを、ウイルス抗原の発現を測定するために使用することができる。例えば、FFUアッセイを実施することができる。検出のために、それぞれのウイルス抗原に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体調製物(複数可)を使用する(導入遺伝子特異的FFU)。
【0304】
4.8.13 動物モデル
本明細書に記載されるピチンデウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために、インビボ動物モデルを使用することができる。ある実施態様において、三セグメントピチンデウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために使用することができる動物モデルは、マウス、モルモット、ウサギ、及びサルを含む。好ましい実施態様において、ピチンデウイルスの組換え及び感染力を調べるために使用することができる動物モデルは、マウスを含む。より具体的な実施態様において、マウスを、ピチンデウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために使用することができ、このマウスは、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)の3つを欠損している。
【0305】
ある実施態様において、動物モデルを用いて、ピチンデウイルスの感染力及び導入遺伝子の安定性を決定することができる。いくつかの実施態様において、ウイルスRNAは、動物モデルの血清から単離することができる。技術は、容易に当業者によって知られている。ウイルスRNAを逆転写することができ、ピチンデウイルスORFを担持するcDNAを、遺伝子特異的プライマーを用いてPCR増幅することができる。フローサイトメトリーも用いて、ピチンデウイルスの感染力及び導入遺伝子の安定性を調べることができる。
【0306】
5. 実施例
これらの実施例は、ピチンデウイルスベースのベクター技術を、(1)ウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に有するピチンデウイルスゲノムセグメント、及び(2)複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない三セグメントピチンデウイルス粒子を成功裡に開発するために使用することができることを実証する。
【0307】
5.1 材料及び方法
5.1.1 細胞
BHK-21細胞を、10%熱非働化ウシ胎児血清(FCS; Biochrom)、10 mM HEPES (Gibco)、1 mM ピルビン酸ナトリウム(Gibco)及び1×リン酸トリプトースブロス(tryptose phosphate broth)を補充した高グルコースDulbecco's Eagle培地(DMEM Sigma)中で培養した。細胞は、加湿した5% CO2インキュベーター中で37 ℃で培養した。293-T細胞は、 10%熱非働化ウシ胎児血清(FCS)を補充したDulbecco's Eagle培地 (DMEM、Glutamax含有; Sigma)中で培養した。
【0308】
5.1.2 導入遺伝子
(1) 緑色蛍光タンパク質(GFP)は、シームレスクローニングのために隣接するBsmBI部位を有するGFP-Bsm (配列番号9)として合成した。(2) i)水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSVG)シグナルペプチド、ii)マウスP815マスト細胞腫腫瘍細胞株のP1A抗原、iii) GSG リンカー、iv)エンテロウイルス 2Aペプチド、及びv)マウスGM-CSFからなる融合タンパク質。この融合タンパク質は、sP1AGMと呼ぶ。我々は、それを、シームレスクローニングのためにsP1AGM-Bsm (配列番号10)として隣接するBsmBI部位を設けて合成した。(3) 野生型ピチンデウイルスSセグメント発現プラスミド(BbsI部位のないSセグメント) (配列番号8)を再構成するための、シームレスクローニングのために隣接するBsmBI部位を有するピチンデウイルスGP。
【0309】
5.1.3 プラスミド
我々は、非コード突然変異を導入してBsmBI制限部位を欠失させた、ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18(Genbank アクセッション番号EF529747.1)のL ORFの改変cDNAを合成した。好適に隣接するBsmBI並びにEcoRI及びNheI制限部位を有するこの合成ORF(LΔBsmBI;配列番号3)を、ポリメラーゼII (pol-II)発現ベクター pCAGGS中に導入し、真核細胞でのピチンデ Lタンパク質の発現のためのpC-PIC-L-Bsm (
図3)を生じた。
【0310】
我々は、L ORFを欠失させ、両側に隣接するBsmBI部位を有するGFP ORFで置換した、ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18 (Genbank アクセッション番号EF529747.1)の改変Lセグメント(PIC-L-GFP-Bsm;配列番号4)を合成した。この合成cDNAを、マウスポリメラーゼI(pol-I)発現カセット(Pinschewer らの文献、 J Virol. 2003 Mar;77(6):3882-7)に導入し、pol-I-PIC-L-GFP-Bsm (
図3)を生じた。
【0311】
我々は、PIC-L-BsmをBsmBIで消化し、該BsmBI変異 L ORFを、同様に消化したpol-I-PIC-L-GFP-Bsm骨格中に挿入して、それによりGFP ORFをL ORFで置き換え、クローニング目的のための全ての制限部位が除去されたピチンデウイルスLセグメントcDNAをシームレスに再構成した。得られたpol-I-PIC-L プラスミド(
図3)は、真核細胞中での全長ピチンデウイルスLセグメント(PIC-L-seg;配列番号2)の細胞内発現のために設計された。
【0312】
我々は、PIC-miniS-GFP(配列番号5)と呼ばれ、GP ORFが2つのBsmBI制限部位で置き換えられ、かつNP ORFが2つの隣接するBbsI制限部位を有するGFPで置き換えられた、ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18 (Genbank アクセッション番号EF529746.1)の改変SセグメントcDNAを合成した。この合成cDNAを、マウスポリメラーゼI(pol-I)発現カセット(Pinschewerらの文献、J Virol. 2003 Mar;77(6):3882-7)に導入し、pol-I-PIC-miniS-GFP(
図3)を生じた。
【0313】
我々は、非コード突然変異を導入して両BbsI制限部位を欠失させた、ピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18 (Genbank アクセッション番号EF529747.1)のNP ORFの改変cDNAを合成した。好適に隣接するBbsI並びにEcoRI及びNheI制限部位を有するこの合成ORF(NPΔBbsI;配列番号6)をポリメラーゼII(pol-II)発現ベクターpCAGGSに導入し、真核細胞中でのピチンデNPタンパク質の発現のためのpC-PIC-NP-Bbs (
図3)を生じた。
【0314】
我々は、NPΔBbsIをBbsIで消化し、該BbsI変異NP ORFを、同様に消化したpol-I-PIC-miniS-GFP骨格に挿入して、それによりGFP ORFをNP ORFで置き換え、クローニング目的のための全ての制限部位が除去されたピチンデウイルスSセグメントcDNAの3'UTR-NP-IGR部分をシームレスに再構成した。pol-Iの制御下でPIC-NP-Bsm (配列番号7)を発現する、得られたpol-I-PIC-NP-Bsmプラスミド(
図3)は、得られる組換えピチンデウイルスSセグメントの真核細胞における発現のために、BsmBI部位をシームレスに置き換えることにより、5'UTR及びIGRの間に挿入されるべき対象の導入遺伝子を受け入れるために設計された。
【0315】
我々は、非コード突然変異を導入して両BbsI制限部位を欠失させたピチンデウイルス株Munchique CoAn4763単離株P18(Genbank アクセッション番号EF529747.1)のGP ORFの改変cDNAを合成した。NPΔBbsIと同じように、この合成ORFをpol-I-PIC-miniS-GFP骨格に導入し、それによりGFP ORFをGP ORFで置き換え、クローニング目的のための全ての制限部位が除去されたピチンデウイルスSセグメントcDNAの3'UTR-GP-IGR部分をシームレスに再構成した。PIC-GP-Bsm (配列番号8)を発現する得られたpol-I-PIC-GP-Bsmプラスミド(
図3)は、組換えピチンデウイルスSセグメントの真核細胞における発現のために、BsmBI部位をシームレスに置き換えることにより、5'UTR及びIGRの間に導入されるべき対象の導入遺伝子を受け入れるために設計された。
【0316】
我々は、次に、pol-I-PIC-NP-Bsm中に、以下の遺伝子及び導入遺伝子:全て隣接BsmBI部位を有する、1. GFP、2. sP1AGM、及び3. ピチンデGP、を挿入した。得られるプラスミドは、pol-I-PIC-NP-GFP(PIC-NP-GFPを発現、S-NP/GFPとしても知られる;配列番号11)及びpol-I-PIC-NP-sP1AGM (PIC-NP-sP1AGMを発現;配列番号12)及びpol-I-PIC-S (PIC-Sを発現、配列番号1)と命名した。同じように、我々は、GFP又はsP1AGMのどちらかをpol-I-PIC-GP-Bsmに挿入し、pol-I-PIC-GP-GFP(PIC-GP-GFPを発現、S-GP/GFPartとしても知られる;配列番号13)及びpol-I-PIC-GP-sP1AGM (PIC-GP-sP1AGMを発現;配列番号14)を生じた。
【0317】
5.1.4 細胞のDNAトランスフェクション及び組換えウイルスのレスキュー
リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスの糖タンパク質を発現するように安定にトランスフェクトされたBHK-21細胞(BHK-GP細胞、Flatz らの文献 Nat Med. 2010 Mar;16(3):339-45)を、6ウェルプレートに5×105 細胞/ウェルの密度で播種し、24時間後に、製造元によって提供される指示書に従ってリポフェクタミン(約3μl/μg DNA; Invitrogen)を使用して異なる量のDNAでトランスフェクトした。プラスミドDNAからの組換え二セグメントウイルスの全体としてのレスキューのために、2つの最小ウイルストランス作用因子であるNP及びLを、pol-II駆動性プラスミド(0.8 μg pC-PIC-NP-Bbs, 1.4 μg pC-PIC-L-Bsm)から送達し、1μgのpol-I-PIC-L及び0.8 μgのpol-I-PIC-Sで共トランスフェクトした。1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなる三セグメントr3PICのレスキューの場合、0.8 μgの両pol-I駆動性Sセグメントを、トランスフェクションミックス中に含有させた。トランスフェクション72時間後、細胞及び上清を、75 cm2 組織培養フラスコに移し、さらに48~96時間後に上清を収集した。ウイルス感染力を、フォーカス形成アッセイにおいて決定し、該ウイルスを、さらなる増幅のために正常BHK-21細胞で48継代した(48時間で感染多重度=0.01)。このように得られたウイルスストックのウイルス力価を、フォーカス形成アッセイによって再度決定した。
【0318】
5.1.5 ウイルス及びウイルスの増殖動態
野生型及び組換えウイルスのストックは、0.01の感染多重度(moi)でBHK-21又は293-T細胞のいずれかを感染させることによって生成し、上清を感染後48時間に収集した。ウイルスの増殖曲線は、インビトロでT75細胞培養フラスコのフォーマットで行った。BHK021細胞は、5×106細胞/フラスコの密度で播種し、24時間後に、該細胞を5 mlの0.01のmoiのウイルス接種物と一緒に90分間ロッカープレート上で37℃及び5% CO2でインキュベートすることによって感染させた。新鮮培地を添加し、細胞を37℃ / 5% CO2でインキュベートした。所与の時点で(通常24、48、72時間)上清を採取し、フォーカス形成アッセイによってウイルス力価を分析した。
【0319】
5.1.6 フォーカス形成アッセイ
次に、ピチンデウイルスの力価をフォーカス形成アッセイによって決定した。別途述べていない場合、293-T細胞又は3T3細胞をフォーカス形成アッセイのために使用した。細胞を、3×104細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、MEM/2%FCS中で調製したウイルスの3.17倍の連続希釈液100 μlと混合した。37 ℃で2~4時間インキュベーション後、1ウェル当たり80μlの粘性培地(2%メチルセルロース、2× 補充DMEM中)を添加し、ウイルス粒子が確実に近隣の細胞のみに拡散するようにした。37 ℃で48時間後、該上清をはじきとり(flicked off)、100 μlのメタノールを室温で20分間添加することにより細胞を固定した(以降の全ての工程は室温で行う)。細胞を、100 μl/ウェルのBSS/ 1% Triton X-100 (Merck Millipore)で20分間透過処理し、続いてPBS/ 5% FCSで60分間ブロックした。抗NP染色のために、ラット抗ピチンデNPモノクローナル抗体を一次染色抗体として使用し、PBS/ 2.5% FCS中で60分間希釈した。プレートを水道水で3回洗浄し、二次HRP-ヤギ抗ラットIgGをPBS/2.5% FCS中、1:100の希釈率で添加して、1時間インキュベートした。該プレートを再び水道水で3回洗浄した。呈色反応(0.5 g/l DAB (Sigma D-5637), 0.5 g/l 硫酸ニッケルアンモニウム、PBS/ 0.015% H2O2中)を添加し、反応を10分後に水道水で停止した。染色されたフォーカスを計数し、最終力価を希釈率に従って計算した。
【0320】
5.1.7 マウス
BALB/cマウスは、Charles River Laboratoriesから購入し、実験のために特定病原体除去(SPF)条件下で収容した。全ての動物実験は、the University of Baselで動物保護に関するスイス法に準拠してそれぞれの責任ある州当局の許可を得て行った。マウスの感染は、マウス1匹当たり1×105 FFUの用量で静脈内で行った。
【0321】
5.1.8 フローサイトメトリー
血液は、抗CD8a及び抗B220抗体との組み合わせで、免疫優勢P1A由来H-2L
d-制限エピトープ
【化1】
を搭載したMHCクラスI四量体で染色し、エピトープ特異的CD8+T細胞頻度を、BD LSRFortessa フローサイトメーターで決定して、該データをFlowJoソフトフェア(Tree Star, Ashland, OR)を使用して処理した。
【0322】
5.1.9 統計学的解析
統計学的有意性は、Graphpad Prismソフトウェア(version 6.0d)を用いて両側独立t検定によって決定した。
【0323】
5.2 結果
5.2.1 人為的なゲノム構成を有する三セグメントピチンデウイルスベースのベクターの設計
野生型ピチンデウイルスのゲノムは、2つのネガティブ極性の一本鎖RNAセグメント(1つのLセグメント、1つのSセグメント)からなる(
図1A)。我々は、5’非翻訳領域(5'UTR)及び重複Sセグメントの遺伝子間領域(IGR)の間に選択した導入遺伝子のシームレスな挿入を可能にするカセット系に基づいて、人為的なゲノム構成を有する複製可能三セグメントピチンデウイルスベクター(r3PIC-art、
図1B、 1C及び1D)のためのポリメラーゼ-I/II駆動性cDNAレスキュー系を設計した。導入遺伝子挿入の際に完全に除去され、かくして得られる組換えウイルスにはないBsmBI部位を使用する、アレナウイルスSセグメント中への導入遺伝子のシームレス挿入(すなわち、分子クローニングに由来する残存ヌクレオチドストレッチがなく、かくして付加的な制限酵素認識部位がない)のための分子クローニング戦略は、Pinschewerらの文献、Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Jun 24;100(13):7895-900 によって、支持する
図4に詳細に記載されている。BbsI酵素は、Flickらの文献、 J Virol. 2001 Feb;75(4):1643-55に概説されているように、シームレスクローニングのために同じように使用された。これらのピチンデウイルスベースのr3PIC-art ゲノムは、人為的重複Sセグメントを伴う野生型ピチンデウイルスLセグメントからなっており、3'UTRの制御下に、すなわち、3'UTR及びIGRの間に、核タンパク質(NP)又は糖タンパク質(GP)のいずれかを担持するように設計された。これは、各Sセグメント中に導入遺伝子の挿入のための1つの位置を残し、すなわち、各1つの導入遺伝子は、それぞれ、2つのSセグメントの各々の5'UTR及びIGRの間に挿入され得た。
【0324】
5.2.2 人為的なゲノム構成を有する三セグメント組換えウイルスベクターからレスキューされた感染性GFP発現ウイルス
三セグメント組換えピチンデウイルスを作製するために、我々は、第5.1.3節に記載したとおりの複数のプラスミドを合成した。我々は、以下の組み合わせのプラスミド:
(A)Sセグメント ミニゲノム: pC-PIC-L-Bsm、 pC-PIC-NP-Bbs、 pol-I-PIC-miniS-GFP;
(B)Lセグメント ミニゲノム: pC-PIC-L-Bsm、 pC-PIC-NP-Bbs、 pol-I-PIC-L-GFP-Bsm;
(C)r3PIC-GFPart: pC-PIC-L-Bsm、 pC-PIC-NP-Bbs、 pol-I-PIC-L、 pol-I-PIC-NP-GFP、 pol-I-PIC-GP-GFP;
(D)rPICwt: pC-PIC-L-Bsm、 pC-PIC-NP-Bbs、 pol-I-PIC-L、 pol-I-PIC-S
を用いてBHK-21細胞をトランスフェクトした。
【0325】
我々は、S及びLセグメントミニゲノムのトランスフェクション48時間後に、GFP 発現を見出し(
図4、上記で概略を示したプラスミド組み合わせA及びB)、遺伝子発現において活性であるリボ核タンパク質(RNPs)としての機能的ピチンデウイルスS及びLセグメントアナログの細胞内再構成を考証した。同じように、r3PIC-GFP
art の作製を目的としたトランスフェクション Cは、トランスフェクション48時間後にGFP陽性細胞を立証したが、一方、rPIC
wt を作製するためのプラスミド組み合わせDは、予測されたとおり、緑色蛍光を立証しなかった。トランスフェクション168時間後、GFP陽性細胞は、S及びLセグメント ミニゲノムトランスフェクションにおいては大部分が消滅していたが、r3PIC-GFP
artを有する細胞においては豊富にあり、感染性のGFP発現ウイルスがcDNAから再構成され、細胞培養中に拡散したことが示された。
【0326】
5.2.3 組換え三セグメントウイルスは野生型ピチンデウイルスより低い力価に増殖する
rPIC
wt及びr3PIC-GFP
artを用いて得られたウイルスで比較増殖曲線を行なった(
図2)。第5.2.2節のトランスフェクションC及びDからの上清を集め、BHK-21細胞中で並行して継代した(感染多重度=0.01、
図2)。両ウイルスについて、ピーク感染力には48時間後に到達したが、r3PIC-GFP
artの方は実質的にrPIC
wtの方より低かった。これは、三セグメントr3PIC-GFP
artが、その二セグメント野生型親ウイルスと比較して弱毒化されることを示した。
【0327】
5.2.4 sP1AGMを発現する組換えr3PICは迅速、強力、かつ多機能なP1A特異的CD8+T細胞応答を誘導する。
ワクチン接種目的のためのr3PIC
artベクター送達技術の利用性を試験するために、我々は、r3PIC-GFP
art(
図1C)と類似するゲノム構成を有するr3PIC-sP1AGM
artワクチンベクター(
図1D)を作製した。我々は、r3PIC-GFP
artについて上記で概略を示したものと類似する手順により、しかしプラスミドpol-I-PIC-NP-GFP及びpol-I-PIC-GP-GFPの代わりにそれぞれpol-I-PIC-NP-sP1AGM及びpol-I-PIC-GP-sP1AGMを使用して、sP1AGMを発現するウイルス(r3PIC-sP1AGM
art)を創出した。我々は、BALB/cマウスを、静脈内10e5 フォーカス形成単位(FFU)のr3PIC-sP1AGM
artを用いて静脈内免疫し、8日後、免疫優勢P1A由来H-2Ld制限エピトープ
【化2】
に対するCD8+T細胞応答を、MHCクラスI四量体を使用するフローサイトメトリーによって測定した。r3PIC-sP1AGM
artで免疫したマウスは、P1A35-43特異的CD8T細胞の非常に大きな集団を末梢血中に現し、それは免疫していないマウスの血液には存在しなかった(
図5A及び5B)。これらの観察は、r3PIC-artベースのウイルスベクターが高度に免疫原性であり、免疫療法及びワクチン接種のための有望なツールであることを実証した。
【0328】
5.2.5 cDNAからのレスキュー後の初期の継代で試験した場合、それぞれの天然の位置にある糖タンパク質及び核タンパク質遺伝子を発現するように設計された組換え三セグメントウイルス、及び3’非翻訳領域(UTR)プロモーターの制御下でその糖タンパク質を発現するように人為的に設計された組換え三セグメントウイルスの両方が、野生型ピチンデウイルスよりも低い力価に増殖する。
我々は、それぞれ5’及び3'UTRプロモーターの制御下で、すなわち、S-GP/GFPnat(配列番号15)及びS-NP/GFP (PIC-NP-GFPとしても知られる;配列番号11)からなる人為的重複Sセグメントの文脈においてそのそれぞれの「天然」位置にある、その糖タンパク質(GP)及び核タンパク質(NP)遺伝子を発現する、三セグメントピチンデウイルスを作製した(
図6)。このr3PIC-GFP
natウイルスは、三セグメントr3PIC-GFP
artウイルスについて上記で概略を示したものと類似の手順によって創出した。r3PIC-GFP
nat は、
図6に模式的に概略を示したようにGFPを発現した。培養においてBHK-21細胞で増殖させた場合(感染多重度=0.01、48時間で収集)、r3PIC-GFP
natは、実質的にrPIC
wtより低い力価、r3PIC-GFP
artについて観察されたのと同様に低い力価に到達した(
図7;シンボルは個々の平行細胞培養ウェルについての力価を示す;エラーバーは平均+/-SDを表示する)。これは、三セグメントr3PIC-GFP
natがその二セグメント野生型親ウイルスと比較して弱毒化されることを示した。
【0329】
5.2.6 免疫欠損マウスの持続感染中に、人為的なゲノム構成を有する組換え三セグメントウイルス(r3PIC-GFP
art )は、トランスジェニックGFP発現を維持し、野生型ピチンデウイルス(rPIC
wt)より一貫して低い血中ウイルス力価を保つが、一方、その糖タンパク質及び核タンパク質遺伝子をそのそれぞれの天然位置で発現するように設計された三セグメントウイルス(r3PIC-GFP
nat)は、結局はGFP発現を喪失し、rPIC
wtに感染した動物と同等の血中ウイルス耐荷量に到達する。
我々は、I型及びII型インターフェロン受容体並びにRAG1の三重欠損マウス(AGRマウス;Grobらの文献、 1999, 「弱毒化仮性狂犬病ウイルス感染の全身性汎発の制御におけるマウスにおける個々のインターフェロン系及び特異的免疫の役割(Role of the individual interferon systems and specific immunity in mice in controlling systemic dissemination of attenuated pseudorabies virus infection)」、J Virol, 4748-54)を、第0日に、10e5フォーカス形成単位(「FFU」)のr3PIC-GFP
art、r3PIC-GFP
nat、又はrPIC
wtウイルスのいずれか1つで静脈内(i.v.)感染させた。我々は、第7、14、21、28、35、42、56、77、98、120及び147日に血液を集め、FFUアッセイによってウイルス感染力を決定した。これらのアッセイにおいて、我々は、ピチンデウイルス核タンパク質(NP FFU;
図8)又はr3PIC-GFP
nat及びr3PIC-GFP
artのウイルスGFP導入遺伝子(GFP FFU;
図9)を検出した。これらの値から、我々は、各動物及び各時点についてNP:GFP FFU比を計算した(
図10)。
【0330】
感染後の最初の21日間の間、r3PIC-GFP
nat及びr3PIC-GFP
art の総感染力(NP FFUアッセイによって決定されるもの)は、AGRマウスの血液中に同様のレベルで存続し、rPIC
wt感染対照におけるよりもおよそ10倍低かった(
図8)。しかし、第28日以降、r3PIC-GFP
nat 感染力は、NP FFUアッセイによって決定されるとおり、rPIC
wtと区別できないレベルに到達した。反対に、r3PIC-GFP
art NP FFU力価は、147日間の観察期間を通じて、rPICwt のものよりも、およそ10倍低いレベルにとどまった(
図8)。
【0331】
総ウイルス感染力を決定するためにウイルス構造タンパク質NPを検出することに加えて(
図8)、我々は、r3PIC-GFP
nat-及びr3PIC-GFP
art-感染AGRマウスの血液中で感染力を発現するGFPを発現する導入遺伝子を評価するためにFFUアッセイを行なった(GFP FFU、
図9)。NP FFU力価(
図8)と著しく対照的に、r3PIC-GFP
nat-感染AGRマウスにおけるGFP FFU力価は、第28日から先は降下し、第120日から先は検出不能であった(
図9)。これは、r3PIC-GFP
art-感染マウスの血液におけるほとんど一定のGFP FFU力価とは対照的であった(
図9)。「NP:GFP FFU比」を計算することによって(
図10)、我々は、r3PIC-GFP
art-感染マウスにおいて、事実上全ての感染力(NP FFU)が、GFP導入遺伝子をも発現したことを決定した。これは、147日の観察期間を通じて1の範囲の「NP:GFP FFU比」において裏付けられた(
図10)。著しい対照において、r3PIC-GFP
nat-感染マウスの血液における「NP:GFP FFU比」も、1周辺で開始したが、第28日から先は、数百及びそれ以上に到達した(
図10)。これは、第28日及びそれ以降にr3PIC-GFPnat-感染マウスの血液中を循環しているビリオンの集団内で、100のうち1以下のみが、まだGFP導入遺伝子を発現したこと、及びGFP発現感染力は、結局検出可能なレベル未満に降下したことを示した。したがって、r3PIC-GFP
artは、AGRマウスにおける147日間の持続感染を通じて、GFP導入遺伝子発現を維持した。
【0332】
5.2.7 r3PIC-GFP
art-感染マウスの血清から回収されたウイルスは、r3PIC
wt-感染動物から単離されたウイルスと同様の力価に到達したr3PIC-GFP
nat-感染動物からのものと比較して弱毒化されたまま維持された
持続感染AGRマウスの血清中に循環するウイルスの増殖特性を評価するために、我々は、BHK-21細胞の感染後147日に集めたウイルス血症の血清を継代し、48時間後にNP FFUアッセイによってウイルス感染力を決定した。r3PIC-GFP
nat-感染マウスの血清から増殖したウイルスは、rPIC
wtウイルス感染動物からのものと同様又はそれより高いIFF力価に到達した(
図11;シンボルは個々のマウス血清由来ウイルスの力価を示す;エラーバーは平均+/-SDを表示する)。反対に、r3PIC-GFP
art-感染マウスからの血清の継代後に得られたウイルス力価は、前述した群のいずれのものより実質的に低かった(
図11)。
【0333】
48時間の間継代された、これらのウイルスから、我々は、細胞培養増殖のさらなる解析のために各群から4つを無作為に選んだ。
図11に提示した実験 (血清からの感染力の直接継代) とは異なって、この実験(
図12)は、インプット感染力について正規化されており、それによって培養において到達したウイルス力価の評価における潜在的交絡要因としてのインプット感染力の異なる量を除外した。したがって、我々は、BHK-21細胞を、標準化した感染多重度=0.01で感染させ、48時間後にウイルス力価を決定した(
図12;シンボルは個々のマウス血清由来ウイルスからの力価を示す;エラーバーは平均+/-SDを表示する)。血清からの直接エクスビボ継代後に見出された力価における差異と同じように、r3PIC-GFP
nat-由来ウイルスは、rPIC
wt-由来ウイルスのものと少なくとも同等の力価に到達した。反対に、インビボ継代されたr3PIC-GFP
art に由来するウイルスが到達した力価は、前述した2つの群のものより実質的に低かった。
【0334】
これは、r3PIC-GFPnat-感染動物の血清から回収したウイルスは、もう弱毒化されていなかったが、r3PIC-GFPart-感染マウスの血液に循環しているウイルスはrPICwt-由来ウイルスと比較して明らかにまだ弱毒化されていたことを示唆した。したがって、AGRマウスにおける実験を通じてrPICwtウイルス血症より低いr3PIC-GFPartウイルス血症(第5.2.6節を参照されたい)、及びまた、細胞培養において血液から再増幅された場合のrPICwt力価より低いr3PIC-GFPart力価から判定して、r3PIC-GFPart は、マウスにおけるインビボ複製の147日間の期間を通じてその弱毒化を維持した。
【0335】
5.2.8 r3PIC-GFP
natと異なって、人為的なゲノム構成を有する組換え三セグメントウイルス(r3PIC-GFP
art)は、その2つのSセグメントを組換えせず、その導入遺伝子を維持した
我々は、AGRマウスにおける持続感染の経過において、r3PIC-GFP
nat が、その2つのSセグメントを組換えして単一RNAセグメント上にNP及びGP遺伝子を再結合し、それによってGFP導入遺伝子を排除してしまったか否かを決定したかった。この可能性を試験するために、我々は、ウイルス感染後147日に各動物から集めた血清試料からウイルスRNAを抽出した。我々は、それぞれピチンデウイルスNP及びGPに結合するように設計され、かつ、それらがrPIC
wtゲノムテンプレート上の357塩基対のPCR アンプリコンを生じると予測されるようにピチンデウイルスSセグメントの遺伝子間領域(「IGR」)にわたるプライマーを使用して、RT-PCRを行った。このようなアンプリコンは、実際、rPIC
wt又はr3PIC-GFP
natのいずれかに感染させた動物からのウイルスRNAを使用した場合に得られたが、r3PIC-GFP
art感染マウスの血液からのウイルスRNAを使用する場合は得られなかった(
図13;各レーンは
図8~10に示す実験における1匹の個々のマウスからのRT-PCR生成物を表す)。
【0336】
総合すると、これらのデータは、AGRマウスの持続感染の経過において、r3PIC-GFPnatはその2つのSセグメント(S-GP/GFPnat、S-NP/GFP)を組換えし、NP及びGPオープンリーディングフレームをRNAの1つの単一セグメントに再結合することを示す。それによって、それは、GFP導入遺伝子の発現を喪失し、血液からの収集の際及び細胞培養における再拡大において見られるように細胞培養において、及びウイルス血症のレベルにおいて明白なようにマウスにおいて、その増殖能をrPICwtの増殖能まで高めた。反対に、r3PIC-GFPartは、NP及びGP遺伝子にわたるRT-PCR アンプリコンの欠如において明白なように、その2つのSセグメントを組換えしなかった。
【0337】
6.等価物
本明細書に開示されるウイルス、核酸、方法、宿主細胞、及び組成物は、本明細書に記載される特定の実施態様によって範囲を限定されるべきではない。実際、記載されるものに加えて、ウイルス、核酸、方法、宿主細胞、及び組成物の様々な改変は、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0338】
様々な刊行物、特許及び特許出願が本明細書に引用されており、これらの開示は、その全体が引用により組み込まれる。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
ピチンデウイルスゲノムセグメントであって、該ゲノムセグメントは、ウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)を該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように操作されており、該ピチンデウイルスゲノムセグメントは、以下のもの:
(i) 核タンパク質(「NP」)をコードするORFが、ピチンデウイルスの5’非翻訳領域(「UTR」)の制御下にあるSセグメント;
(ii) マトリックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)をコードするOFRが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iii) RNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパク質」)をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iv) ウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v) Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi) Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vii) GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(viii) NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ix) Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(x) GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(xi) NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(xii) Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
からなる群から選択される、ピチンデウイルスゲノムセグメント。
(態様2)
前記ピチンデウイルスの3'UTRが、前記ピチンデウイルスSセグメント又は前記ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRであり、かつ前記ピチンデウイルスの5'UTRが、前記ピチンデウイルスSセグメント又は前記ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRである、態様1記載のピチンデウイルスゲノムセグメント。
(態様3)
態様1記載のピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNA。
(態様4)
態様3記載のcDNAを含むDNA発現ベクター。
(態様5)
態様1記載のピチンデウイルスゲノムセグメント、態様3記載のcDNA、又は態様4記載のベクターを含む宿主細胞。
(態様6)
ピチンデウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように、態様1記載のピチンデウイルスゲノムセグメント及び第2のピチンデウイルスゲノムセグメントを含むピチンデウイルス粒子。
(態様7)
前記ピチンデウイルス粒子が、感染性及び複製可能である、態様6記載のピチンデウイルス粒子。
(態様8)
前記ピチンデウイルス粒子が、弱毒化されている、態様6記載のピチンデウイルス粒子。
(態様9)
前記ピチンデウイルス粒子が、感染性であるが、非相補細胞においてさらなる感染性子孫を生成できない、態様6記載のピチンデウイルス粒子。
(態様10)
GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの少なくとも1つが、除去されているか、又は機能的に不活化されている、態様9記載のピチンデウイルス粒子。
(態様11)
GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFの少なくとも1つが、除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている、態様9記載のピチンデウイルス粒子。
(態様12)
GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのOFRのうち1つのみが、除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている、態様9記載のピチンデウイルス粒子。
(態様13)
前記GPをコードするORFが、除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている、態様9記載のピチンデウイルス粒子。
(態様14)
前記NPをコードするORFが、除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている、態様9記載のピチンデウイルス粒子。
(態様15)
前記Zタンパク質をコードするORFが、除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている、態様9記載のピチンデウイルス粒子。
(態様16)
前記Lタンパク質をコードするORFが、除去されており、ピチンデウイルス以外の生物からの異種ORFで置き換えられている、態様9記載のピチンデウイルス粒子。
(態様17)
前記異種ORFが、レポータータンパク質をコードする、態様11~16のいずれか1項記載のピチンデウイルス粒子。
(態様18)
前記異種ORFが、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする、態様11~16のいずれか1項記載のピチンデウイルス粒子。
(態様19)
抗原をコードする前記異種ORFが、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、水痘帯状疱疹(varizella zoster)ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異的抗原(腫瘍ネオ抗原及び腫瘍ネオエピトープなど)から選択される、態様18記載のピチンデウイルス粒子。
(態様20)
前記ピチンデウイルス粒子の増殖又は感染力が、ピチンデウイルス以外の生物からの前記異種ORFによって影響されない、態様11~18のいずれか1項記載のピチンデウイルス粒子。
(態様21)
態様1記載のピチンデウイルスゲノムセグメントを生成する方法であって、前記方法が、態様3記載のcDNAを転写することを含む方法。
(態様22)
態様6記載のピチンデウイルス粒子を作製する方法であって、前記方法が:
(i)宿主細胞に態様3記載のcDNAをトランスフェクトすること;
(ii)該宿主細胞に、第2のピチンデウイルスゲノムセグメントのcDNAを含むプラスミドをトランスフェクトすること;
(iii)該宿主細胞を、ウイルス形成に好適な条件下に維持すること;及び
(iv)該ピチンデウイルス粒子を収集すること
を含む方法。
(態様23)
前記Lセグメント及び前記Sセグメントの転写が、二方向性プロモーターを使用して行われる、態様22記載の方法。
(態様24)
前記方法が、宿主細胞にピチンデウイルスポリメラーゼをコードする1以上の核酸をトランスフェクトすることをさらに含む、態様22記載の方法。
(態様25)
前記ピチンデウイルスポリメラーゼが前記Lタンパク質である、態様24記載の方法。
(態様26)
前記方法が、前記宿主細胞に前記NPタンパク質をコードする1以上の核酸をトランスフェクトすることをさらに含む、態様22又は24記載の方法。
(態様27)
前記Lセグメント及び前記Sセグメントの転写が、それぞれ:
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある、態様22記載の方法。
(態様28)
態様6~19のいずれか1項記載のピチンデウイルス粒子及び医薬として許容し得る担体を含むワクチン。
(態様29)
態様6~19のいずれか1項記載のピチンデウイルス粒子及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
(態様30)
前記ピチンデウイルスゲノムセグメント又はピチンデウイルス粒子が、株Munchique CoAn4763単離株P18、又はP2株に由来する、態様1記載のピチンデウイルスゲノムセグメント又は態様6記載のピチンデウイルス粒子。
(態様31)
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子であって、前記三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、かつ10
4
PFU の前記三セグメントピチンデウイルス粒子に感染しているマウスにおける70日の持続感染後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない、三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様32)
2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのピチンデウイルスのORFを結合している前記2つのSセグメントのセグメント間の組換えが、ウイルスプロモーター活性を抑制する、態様31記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様33)
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子であって、前記三セグメントピチンデウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、かつ10
4
PFUの前記三セグメントピチンデウイルス粒子に感染しているマウスにおける70日の持続感染後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない、三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様34)
2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのピチンデウイルスORFを結合している前記2つのLセグメントのセグメント間の組換えが、ウイルスプロモーター活性を抑制する、態様33記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様35)
前記2つのSセグメントの1つが:
(i)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3’UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)LをコードするORFが、ピチンデウイルスの3’UTRの制御下にあるSセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3’UTRの制御下にあるSセグメント;
からなる群から選択される、態様31記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様36)
前記2つのLセグメントが:
(i)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、ピチンデウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
からなる群から選択される、態様33記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様37)
前記ピチンデウイルスの3'UTRが、前記ピチンデウイルスSセグメント又は前記ピチンデウイルスLセグメントの3'UTRであり、かつ前記ピチンデウイルスの5'UTRが、前記ピチンデウイルスSセグメント又は前記ピチンデウイルスLセグメントの5'UTRである、態様35又は36記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様38)
前記2つのSセグメントが、(i)ピチンデウイルス以外の生物からの1つ又は2つの異種ORF;又は(ii)1つ又は2つの重複ピチンデウイルスORF;又は(iii)1つのピチンデウイルス以外の生物からの異種ORF及び1つの重複ピチンデウイルスORFを含む、態様31記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様39)
前記2つのLセグメントが、(i)ピチンデウイルス以外の生物からの1つ又は2つの異種ORF;又は(ii)2つの重複ピチンデウイルスORF;又は(iii)1つのピチンデウイルス以外の生物からの異種ORF及び1つの重複ピチンデウイルスORFを含む、態様33記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様40)
前記異種ORFが、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする、態様38又は39記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様41)
前記抗原をコードする異種ORFが、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、水痘帯状疱疹(varizella zoster)ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異的抗原(腫瘍ネオ抗原及び腫瘍ネオエピトープなど)から選択される、態様40記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様42)
少なくとも1つの異種ORFが蛍光タンパク質をコードする、態様38又は39記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様43)
前記蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質又は赤色蛍光タンパク質である、態様42記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様44)
前記三セグメントピチンデウイルス粒子が、4つ全てのピチンデウイルスORFを含み、該三セグメントピチンデウイルス粒子が、感染性及び複製可能である、態様31~41のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様45)
前記三セグメントピチンデウイルス粒子が、前記4つのピチンデウイルスORFの1以上を欠き、該三セグメントピチンデウイルス粒子が、感染性であるが、非相補細胞においてさらなる感染性子孫を生成できない、態様31~43のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様46)
前記三セグメントピチンデウイルス粒子が、前記4つのピチンデウイルスORFsの1つを欠き、該三セグメントピチンデウイルス粒子が、感染性であるが、非相補細胞においてさらなる感染性子孫を生成できない、態様31~43のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様47)
前記ピチンデウイルスがGP ORFを欠く、態様44又は45記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様48)
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子であって、第1のSセグメントが、GPをコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に及び第1の対象の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルス5'UTRの制御下の位置に担持するように操作されており、かつ第2のSセグメントが、NPをコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に及び第2の対象の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルス5'UTRの制御下の位置に担持するように操作されている、三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様49)
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントピチンデウイルス粒子であって、第1のSセグメントが、GPをコードするORFをピチンデウイルスの5'UTRの制御下の位置に及び第1の対象の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に担持するように操作されており、かつ第2のSセグメントが、NPをコードするORFをピチンデウイルスの5'UTRの制御下の位置に及び第2の対象の遺伝子をコードするORFをピチンデウイルスの3'UTRの制御下の位置に担持するように操作されている、三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様50)
前記対象の遺伝子が、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする、態様48又は49記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様51)
前記対象の遺伝子が、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、水痘帯状疱疹(varizella zoster)ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、腫瘍関連抗原、及び腫瘍特異的抗原(腫瘍ネオ抗原及び腫瘍ネオエピトープなど)から選択される抗原をコードする、態様50記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様52)
少なくとも1つの対象の遺伝子が蛍光タンパク質をコードする、態様48又は49記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様53)
前記蛍光タンパク質が緑色蛍光タンパク質又は赤色蛍光タンパク質である、態様52記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様54)
態様31、33、35、36、48又は49のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子ゲノムのcDNA。
(態様55)
態様54記載のcDNAを含むDNA発現ベクター。
(態様56)
態様31又は33記載の三セグメントピチンデウイルス粒子、態様54記載のcDNA、又は態様55記載のベクターを含む宿主細胞。
(態様57)
前記三セグメントピチンデウイルス粒子が弱毒化されている、態様31~49のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様58)
態様31記載の三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する方法であって、前記方法が:
(i)前記Lセグメント及び2つのSセグメントの1以上のcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;
(ii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び
(iii)ピチンデウイルス粒子を収集すること
を含む方法。
(態様59)
態様33記載の三セグメントピチンデウイルス粒子を作製する方法であって、前記方法が:
(i)2つのLセグメント及び1つのSセグメントの1以上のcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;
(ii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び
(iii)ピチンデウイルス粒子を収集すること
を含む方法。
(態様60)
1つのLセグメント及び2つのSセグメントの転写が、二方向性プロモーターを使用して行われる、態様58記載の方法。
(態様61)
2つのLセグメント及び1つのSセグメントの転写が、二方向性プロモーターを使用して行われる、態様59記載の方法。
(態様62)
前記方法が、ピチンデウイルスポリメラーゼをコードする1以上の核酸を前記宿主細胞にトランスフェクトすることをさらに含む、態様58又は59記載の方法。
(態様63)
前記ピチンデウイルスポリメラーゼが前記Lタンパク質である、態様62記載の方法。
(態様64)
前記方法が、前記NPタンパク質をコードする1以上の核酸を前記宿主細胞にトランスフェクトすることをさらに含む、態様58、59、60又は61記載の方法。
(態様65)
前記Lセグメント及び前記2つのSセグメントの転写が、それぞれ:
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある、態様58記載の方法。
(態様66)
2つのLセグメント及び前記Sセグメントの転写が、それぞれ:
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある、態様59記載の方法。
(態様67)
前記三セグメントピチンデウイルス粒子が、前記二セグメントピチンデウイルス粒子と同じトロピズムを有する、態様31~49のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様68)
前記三セグメントピチンデウイルス粒子が複製欠損である、態様31~49のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
(態様69)
態様31~49、67又は68のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子及び医薬として許容し得る担体を含むワクチン。
(態様70)
態様31~49、67又は68のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
(態様71)
前記ピチンデウイルスが、株Munchique CoAn4763単離株P18、又はP2株である、態様31~49、67又は68のいずれか1項記載の三セグメントピチンデウイルス粒子。
【0339】
様々な刊行物、特許及び特許出願が本明細書に引用されており、これらの開示は、その全体が引用により組み込まれる。
7.配列表
【表7】
【配列表】