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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】決定装置及び決定方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20230331BHJP
   G06Q 10/08 20230101ALI20230331BHJP
【FI】
B65G61/00 546
G06Q10/08
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019564352
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2018046009
(87)【国際公開番号】W WO2019138776
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2018002837
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018201492
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】西川 由理
(72)【発明者】
【氏名】小澤 順
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/092860(WO,A1)
【文献】特開2009-020608(JP,A)
【文献】特開2011-132031(JP,A)
【文献】特開2013-140479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、
前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記各配達通知情報の閲覧時刻を示す閲覧時刻情報を前記第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する配達通知情報の送信時刻と前記閲覧時刻情報が示す閲覧時刻との時間差に基づいて算出され、
前記時間差が短い荷物ほど前記関心度を高く算出し、
前記関心度が高い荷物ほど前記配達順序を早く設定し、
前記送受信器は、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する、
提示装置。
【請求項2】
プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、
前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記各配達通知情報の閲覧時刻を示す閲覧時刻情報を前記第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する配達通知情報の送信時刻と前記閲覧時刻情報が示す閲覧時刻との時間差に基づいて算出され、
前記時間差が短い荷物ほど前記関心度を高く算出し、
前記複数の荷物のそれぞれを、前記関心度の値に対応した複数のクラスに分類し、
前記関心度の高いクラスほど時間幅が短くなるように複数の配達時間帯の候補を決定し、
前記複数の配達時間帯の候補を前記第1情報端末に送信し、
前記複数の配達時間帯の候補の中から前記ユーザが指定した希望配達時間帯を前記第1情報端末から取得し、
前記希望配達時間帯に前記荷物が配送可能となるように、前記荷物の前記配達順序を設定する、
示装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記関心度が高い前記クラスほど、1の配達時間帯の候補の時間幅を短く設定する、
請求項記載の提示装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
第1クラスに属する前記荷物については、所定の第1時間帯内で前記配達時間帯の候補を決定し、前記第1クラスよりも前記関心度が高い第2クラスに属する前記荷物については、前記第1時間帯以外の時間帯と前記第1時間帯とを含む第2時間帯内で前記配達時間帯の候補を決定する、
請求項又は記載の提示装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のうち、同一の集合住宅内、ビル内、又は敷地内を配送先とし、且つ、ある特定のクラスに属する荷物が複数存在する場合、
前記特定のクラスに属する複数の荷物のうち、所定の上限個数の荷物を前記特定のクラスに分類し、残りの荷物を前記特定のクラスよりも前記関心度が低いクラスに分類する、
請求項2~4のいずれかに記載の提示装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のうち、ある一定半径以内を配送先とし、且つ、ある特定のクラスに属する荷物が複数存在する場合、
前記特定のクラスに属する複数の荷物のうち、所定の上限個数の荷物を前記特定のクラスに分類し、残りの荷物を前記特定のクラスよりも前記関心度が低いクラスに分類する、
請求項2~4のいずれかに記載の提示装置。
【請求項7】
前記荷物に関する情報は、少なくとも、前記荷物を一意に特定する識別子を含む、
請求項1~のいずれかに記載の提示装置。
【請求項8】
前記荷物に関する情報は、さらに前記荷物の配達予定日又は配達予定日時と、前記荷物の現在位置と、前記荷物の配達状況を示す情報とを含む、
請求項1~のいずれかに記載の提示装置。
【請求項9】
前記提示装置は、さらにメモリを備え、
前記メモリは、前記荷物を一意に特定する識別子と前記荷物の配達予定日又は配達予定日時とが対応付けられた配達予定時刻表を記憶し、
前記第1情報端末は、対応する荷物に関する情報が閲覧可能に構成され、
前記プロセッサは、
前記ユーザにより入力された前記識別子を前記第1情報端末から取得した場合、前記識別子に対応する前記配達予定日又は前記配達予定日時を前記配達予定時刻表から特定し、特定した前記配達予定日又は前記配達予定日時を前記第1情報端末に送信し、
前記第1情報端末は、送信された前記配達予定日又は前記配達予定日時を出力する、
請求項1~のいずれかに記載の提示装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記複数の荷物のそれぞれについて前記配達予定日又は前記配達予定日時の前記ユーザによる閲覧時刻を検知し、
前記関心度は、前記複数の荷物のそれぞれに対応する前記配達通知情報の送信時刻と、検知した前記閲覧時刻との時間差に基いて算出される、
請求項記載の提示装置。
【請求項11】
プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、
複数のユーザの荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記配達通知情報が対応する第1情報端末において閲覧されたことを示す閲覧情報を前記対応する第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する前記配達通知情報の総数を前記各荷物に対応する前記閲覧情報の総数で割ることで算出した配達通知情報の閲覧率が高いほど高く算出され、
前記関心度が高い荷物ほど前記配達順序を早く設定し、
前記送受信器は、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する、
提示装置。
【請求項12】
プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記第1情報端末は、対応する荷物に関する情報が閲覧可能に構成され、
前記送受信器は、前記荷物に関する情報に対するユーザの閲覧履歴を前記第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する前記閲覧履歴から算出した前記荷物に関する情報の閲覧時間が長いほど高く算出され、
前記関心度が高い荷物ほど前記配達順序を早く設定し、
前記送受信器は、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する、
提示装置。
【請求項13】
プロセッサと送受信器とメモリとを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記メモリは、前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザに対して過去に配達された荷物に対する前記各ユーザの関心の高さを示す関心度と前記各荷物の属性を示す属性情報とが対応付けられた配達履歴を記憶し、
前記送受信器は、
前記1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれの属性情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記配達履歴に含まれる属性情報の特徴量と、前記受信した属性情報の特徴量とのユーザ毎の類似度が高いほど、前記複数の荷物のそれぞれに対する前記各ユーザの関心の高さを示す関心度を高く推定し、
前記関心度が高い荷物ほど前記配達順序を早く設定し、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する、
提示装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記関心度が高い荷物ほど、前記配達順序を早く設定する、
請求項記載の提示装置。
【請求項15】
前記複数の荷物は、宅配ボックスを配達位置とするボックス配達荷物を含み、
前記送受信器は、前記宅配ボックスを管理する第3情報端末から前記宅配ボックスにおいて空いているボックスを示す空き情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記空き情報に基づいて、前記ボックス配達荷物の全てを前記宅配ボックスに収納することができないと判定した場合、前記関心度が高い順にボックス配達荷物の前記宅配ボックスへの収納順序を設定し、
前記送受信器は、前記収納順序を示す収納順序情報を前記第2情報端末に送信する、
請求項1~14のいずれかに記載の提示装置。
【請求項16】
前記送受信器は、前記配達車が配送センターを出発したことを示す出発情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記出発情報が受信された場合、前記各荷物の配達予想時刻を、前記出発情報の受信時刻と前記各荷物の配達位置とに基づいて算出し、
前記関心度が閾値以上であるユーザをプレミアムユーザとして特定し、
前記送受信器は、前記プレミアムユーザの前記第1情報端末に配達予想時刻を送信する、
請求項1~14のいずれかに記載の提示装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記配達車の現在位置に対して一定範囲内に前記プレミアムユーザの荷物の配達位置があることを検知した場合、該当するプレミアムユーザの前記第1情報端末に対してまもなく荷物が配達される旨の通知を行う、
請求項16記載の提示装置。
【請求項18】
前記送受信器は、前記配達車の現在位置を示す位置情報及び前記配達車の配達地域の道路交通情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記受信した前記位置情報及び前記道路交通情報と、現在時刻と、前記プレミアムユーザの荷物の配達位置とに基づいて前記プレミアムユーザの荷物の配達予想時刻を算出し、
前記算出した配達予想時刻が前記プレミアムユーザに送信済みの配達予想時刻より遅延すると判定した場合、前記プレミアムユーザの荷物を前記送信済みの配達予想時刻までに配達させるために、前記配達順序を修正し、
前記送受信器は、前記修正した配達情報を前記第2情報端末に送信する、
請求項16又は17記載の提示装置。
【請求項19】
前記送受信器は、前記第2情報端末から1の荷物について配達できなかったことを示す未配達情報を受信し、
前記プロセッサは、前記未配達情報を受信した場合、前記1の荷物のユーザが前記関心度が閾値以上であるプレミアムユーザであれば、前記プレミアムユーザに前記1の荷物が配達できなかったことを通知するための未配達通知情報を生成し、
前記送受信器は、前記未配達通知情報を前記プレミアムユーザの前記第1情報端末に送信する、
請求項1~14のいずれかに記載の提示装置。
【請求項20】
前記送受信器は、前記第1情報端末から現在位置を示す位置情報を受信し、
前記プロセッサは、前記複数の荷物のうち、配達位置が前記現在位置から一定範囲内にある荷物を抽出し、抽出した荷物について前記関心度に基づいて前記配達順序を設定する、
請求項1~14のいずれかに記載の提示装置。
【請求項21】
プロセッサと送受信器とを備える提示装置が、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示方法であって、
前記送受信器は、
前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記各配達通知情報の閲覧時刻を示す閲覧時刻情報を前記第1情報端末から受信し、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度が高い荷物の配達順序が早くなるように設定された配達順序情報を前記第2情報端末に送信し、
前記関心度は、前記各荷物に対応する配達通知情報の送信時刻と前記閲覧時刻情報が示す閲覧時刻との時間差が短いほど高く算出される、
提示方法。
【請求項22】
プロセッサと送受信器とを備える提示装置が、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示方法であって、
前記送受信器は、
複数のユーザの荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記配達通知情報が対応する第1情報端末において閲覧されたことを示す閲覧情報を前記対応する第1情報端末から受信し、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度が高い荷物の配達順序が早くなるように設定された配達順序情報を前記第2情報端末に送信し、
前記関心度は、前記各荷物に対応する前記配達通知情報の総数を前記各荷物に対応する前記閲覧情報の総数で割ることで算出された配達通知情報の閲覧率が高いほど高く算出される、
提示方法。
【請求項23】
プロセッサと送受信器とを備える提示装置が、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示方法であって、
前記送受信器は、
前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記第1情報端末は、対応する荷物に関する情報が閲覧可能に構成され、
前記荷物に関する情報に対するユーザの閲覧履歴を前記第1情報端末から受信し、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度が高い荷物の配達順序が早くなるように設定された配達順序情報を前記第2情報端末に送信し、
前記関心度は、前記各荷物に対応する前記閲覧履歴から算出した閲覧時間が長いほど高く算出される、
提示方法。
【請求項24】
プロセッサと送受信器とメモリとを備える提示装置が、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示方法であって、
前記メモリは、前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザに対して過去に配達された荷物に対する前記各ユーザの関心の高さを示す関心度と前記各荷物の属性を示す属性情報とが対応付けられた配達履歴を記憶し、
前記送受信器は、
前記1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれの属性情報を受信し、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度が高い荷物の配達順序が早くなるように設定された配達順序情報を前記第2情報端末に送信し、
前記関心度は、前記配達履歴に含まれる属性情報の特徴量と、前記受信した属性情報の特徴量とのユーザ毎の類似度が高いほど、前記複数の荷物のそれぞれに対する前記各ユーザの関心の高さを示す関心度が高くなるように推定される
提示方法。
【請求項25】
第i送信時間に第i荷物の第i情報を第iユーザの第i端末に送信し、前記第i情報が第i閲覧時刻に閲覧されたことを示す第i閲覧時刻情報を前記第i端末から受信することをi=1~nで繰り返す送受信器と、
前記第i閲覧時刻と第i送信時刻の差である第i時間差が短いほど前記第i荷物の第i関心度が高くなるように前記第i関心度を算出することをi=1~nで繰り返すプロセッサを含み、
前記iは自然数、前記nは2以上の自然数であり、
第p荷物に対応する第p時間差は、第q荷物に対応する第q時間差より小さく、第p関心度は第q関心度より大きく、配達順序は、前記第p荷物の配達は前記第q荷物の配達より早いことを示し、前記pは自然数、前記qは自然数、1≦p、q≦n、p≠qであり、
前記プロセッサは、第i関心度に基づいて前記第i荷物が属するクラスを決定することをi=1~nで繰り返し、前記第p荷物が属するクラスに対応する第1時間幅は前記第q荷物が属するクラス対応する第2時間幅より小さく、
前記プロセッサは、前記第p荷物の複数の候補配達期間を決定し、前記第p荷物の複数の候補配達期間のそれぞれは前記第1時間幅を有し、
前記プロセッサは、前記第q荷物の複数の候補配達期間を決定し、前記第q荷物の複数の候補配達期間のそれぞれは前記第2時間幅を有し、
前記送受信器は、前記第p荷物の複数の候補配達期間を第p端末に送信し、前記第q荷物の複数の候補配達期間を第q端末に送信し、
前記送受信器は、前記第p端末から前記第p荷物の複数の候補配達期間から選択された第p期間と前記第q端末から前記第q荷物の複数の候補配達期間から選択された第q期間を取得し、
第r荷物の配送先と前記第p荷物の配送先が同一のビルであり、第r関心度に基づいて決定された前記第r荷物が属するクラスが前記第1時間幅と対応する場合、前記プロセッサは、前記第r荷物が所属するクラスを前記第1時間幅と対応するクラスから前記第2時間幅が対応するクラスに変更し、前記rは自然数、1≦r≦n、r≠p、r≠qであり、
前記プロセッサは、前記第r荷物の複数の候補配達期間を決定し、前記第r荷物の複数の候補配達期間のそれぞれは前記第2時間幅を有し、
前記送受信器は、前記第r荷物の複数の候補配達期間を第r端末に送信し、
前記送受信器は、前記第r端末から前記第r荷物の複数の候補配達期間から選択された第r期間を取得し、
前記プロセッサは、前記第p期間が示す時間帯と、前記第q期間が示す時間帯と、前記第r期間が示す時間帯とに基づいて、前記第1荷物、~、前記第n荷物が配達される順序を示す配達順序を決定し、
前記送受信器は、前記配達順序を示す配達順序情報を前記第1荷物、~、前記第n荷物を搭載する配送車の端末に送信する
提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を決定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運搬自動車の巡回範囲において取り扱われる商品を規定するサービス可能範囲情報を予め保持し、ユーザが端末を介して商品の即日配達の要求を行うと、要求した商品が巡回範囲内で取り扱われている商品であり、且つ、ユーザの所在地が巡回範囲内にあれば、ユーザに対して要求した商品を即日配達する技術が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
また、ユーザがユーザ端末を用いてタクシーサービスを利用した場合、ユーザ端末の位置を特定し、特定した位置に関する情報をタクシーサービスの提供者に通知する技術が知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-124099号公報
【文献】特開2002-56078号公報
【発明の概要】
【0005】
しかし、特許文献1、2の技術は更なる改善が必要である。
【0006】
本開示は、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物とを自動的に区分けして、適切な配達順序を設定する技術を提供するものである。
【0007】
本開示の一態様に係る提示装置は、プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、
前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記各配達通知情報の閲覧時刻を示す閲覧時刻情報を前記第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する配達通知情報の送信時刻と前記閲覧時刻情報が示す閲覧時刻との時間差に基づいて算出され、
前記関心度に基づいて、前記複数の荷物の前記配達順序を設定し、
前記送受信器は、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する。
【0008】
なお、この包括的または具体的な態様は、方法、システム、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)などの不揮発性の記録媒体を含む。
【0009】
本開示によれば、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物とを自動的に区分けして、適切な配達順序を設定することができる。本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態に係る提示システムのネットワーク構成の一例を示す図
図2図1に示す提示システムの詳細な構成の一例を示すブロック図
図3図2示す提示システムの処理の概要を示す図
図4】サーバがエンゲージメント率から配達順序を設定する処理の一例を示すフローチャート
図5図4に示す処理の具体的なシーンを示す図
図6】配達端末に表示される配達順序を示す配達順序画面の一例を示す図
図7】配達通知メールのメール画面の一例を示す図
図8】配達通知メールに対するユーザの開封履歴を示す開封履歴テーブルの一例を示す図
図9】配達状況アプリのお知らせ画面を示す図
図10】配達状況アプリによって提供される配達トラッカー画面の一例を示す図
図11】配達状況アプリによって提供される配達トラッカー画面の他の一例を示す図
図12】配達状況アプリにおけるメッセージに対するユーザの開封履歴を示す開封履歴テーブルと、配達状況アプリにおけるユーザの滞在履歴を示す滞在履歴テーブルとの一例を示す図
図13】配達状況通知サービスを提供するWebサイトのお知らせ画面の一例を示す図
図14】配達状況通知サービスをWebサイトで提供する態様を採用した場合に用いられるWeb滞在履歴テーブルの一例を示す図
図15】配達履歴テーブルのデータ構成の一例と、対象荷物に関する情報が登録された荷物テーブルのデータ構成の一例を示す図
図16】配達ボックスへの収納順序を決定する処理の一例を示すフローチャート
図17】プレミアムユーザに対して配達情報を通知する処理の一例を示すフローチャート
図18】プレミアムユーザに対してまもなく荷物が配達される旨の通知をする際のサーバの処理の一例を示す図
図19】プレミアム荷物の配達予想時刻を遵守させる処理の一例を示すフローチャート
図20図19の処理の具体例を示すタイムチャート
図21】プレミアム荷物を配達できなかった旨を通知する処理の一例を示すフローチャート
図22】荷物がクラスに分類される際の処理の一例を示すフローチャート
図23】配達状況通知サービスを提供するWebサイトにおける伝票番号の入力画面G23の一例を示す図
図24】サーバのメモリが記憶する配達予定表のデータ構造の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となる知見)
近年、ユーザが自身の情報端末を用いて商品を販売するサイトにアクセスして商品を注文すると、その商品がユーザの自宅にまで配達されるネット通販が爆発的に普及している。このネット通販では、ユーザは、配達日を指定する入力を行うことにより、自身が購入した商品(荷物)を他の荷物より優先的に配達してもらうことが可能である。
【0012】
このように、ネット通販に使用される現状の物流システムは、ユーザが優先的に荷物を配達してもらうことを希望する場合は、ユーザは配達の緊急性を明示的に入力しなければならず、ユーザの負担が大きいという課題があった。そのため、現状の物流システムでは、配達の緊急性の入力なしに、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物と自動的に区分けして、配達順序を設定することができないという課題があった。
【0013】
また、ユーザの中には荷物に対する関心は非常に高いものの、追加料金の支払いへの抵抗感から緊急性を明示する入力を行わないユーザも存在する。しかし、従来の物流システムでは、このようなユーザの荷物は後回しにされており、このようなユーザの要望が考慮されていないのが実情である。したがって、潜在的に存在するユーザの荷物への関心をくみ取って配達順序に反映させることができれば、ユーザの顧客満足度を高める上で有用な物流システムを構築できる。
【0014】
特許文献1は、即日配達の入力をユーザに課しているので、上述した従来の物流システムの課題を解決することはできない。特許文献2は、タクシーの配車に関するものであり、本開示とは技術分野が相違することに加え、ユーザの現在位置に1台のタクシーを配車できれば十分であるので、タクシーの配車順序を設定するというような発想は生じ得ない。そのため、特許文献2では、上述した現状の物流システムの課題は生じ得ない。
【0015】
現状の物流システムにおいて、ユーザが商品を注文すると、注文を受領した旨のメール、及び商品の配達を運送業者に手配した旨のメール等がユーザに対して送信される。商品(荷物)に対する関心が高いユーザはこれらのメールに対する開封を速やかに行うと考えられる。そこで、本発明者は、このようなユーザの行動履歴を用いれば、明示的なユーザの入力なしに、ユーザの荷物への関心の高さを推定できるとの知見を得た。
【0016】
本開示は、このような知見に基づいてなされたものであり、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物とを自動的に区分けして、適切な配達順序を設定する技術を提供することである。
【0017】
本開示の一態様に係る提示装置は、プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、
前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記各配達通知情報の閲覧時刻を示す閲覧時刻情報を前記第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する配達通知情報の送信時刻と前記閲覧時刻情報が示す開封時刻との時間差に基づいて算出され、
前記関心度に基づいて、前記複数の荷物の前記配達順序を設定し、
前記送受信器は、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する。
【0018】
本態様によれば、各荷物に対応する配達通知情報の送信時刻と閲覧時刻との時間差に基づいて関心度が算出され、関心度に基づいて配達順序が設定されている。つまり、本態様では、配達される荷物に対して関心が高いユーザは、配達通知情報が第1情報端末で受信されると、直ぐに閲覧するというユーザの行動に着目して、関心度を推定する。そのため、本態様は、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物とを自動的に区分けして、適切な配達順序を設定することができる。
【0019】
上記態様において、前記プロセッサは、
前記時間差が短い荷物ほど前記関心度を高く算出し、
前記関心度が高い荷物ほど前記配達順序を早く設定してもよい。
【0020】
本態様によれば、配達通知情報の送信時刻と閲覧時刻との時間差が短いほど関心度が高く算出され、且つ、関心度が高い荷物ほど配達順序が早められるので、関心度が高い荷物をより早くユーザに配達できる。
【0021】
上記態様において、前記プロセッサは、
前記時間差が短い荷物ほど前記関心度を高く算出し、
前記複数の荷物のそれぞれを、前記関心度の値に対応した複数のクラスに分類し、
前記クラスに応じて時間幅が異なるように複数の配達時間帯の候補を決定し、
前記複数の配達時間帯の候補を前記第1情報端末に送信し、
前記複数の配達時間帯の候補の中から前記ユーザが指定した希望配達時間帯を前記第1情報端末から取得し、
前記希望配達時間帯に前記荷物が配送可能となるように、前記荷物の前記配達順序を設定してもよい。
【0022】
本態様によれば、複数の荷物は、それぞれ、関心度に応じて複数のクラスに分類され、クラスに応じて時間幅が異なるように複数の配達時間帯の候補が決定されて第1情報端末に送信される。そのため、本態様は、関心度の高いクラスに属する荷物ほど、複数の配達時間帯の候補を構成する1の配達時間帯の候補の時間幅を短く設定することが可能となる。その結果、関心度の高いクラスに属する荷物のユーザは、希望配達時間帯をより詳細な分解能で選択することが可能となる結果、ジャストインタイムで荷物を受け取ることが可能となる。
【0023】
上記態様において、前記プロセッサは、
前記関心度が高い前記クラスほど、1の配達時間帯の候補の時間幅を短く設定してもよい。
【0024】
本態様によれば、関心度が高いクラスほど、1の配達時間帯の候補の時間幅が短く設定されるので、関心度の高いクラスに属する荷物のユーザは、関心度の低いクラスに属する荷物のユーザに比べ、希望配達時間帯をより細かい分解能で選択できる結果、ジャストインタイムで荷物を受け取ることが可能となる。
【0025】
上記態様において、前記プロセッサは、
第1クラスに属する前記荷物については、所定の第1時間帯内で前記配達時間帯の候補を決定し、前記第1クラスよりも前記関心度が高い第2クラスに属する前記荷物については、前記第1時間帯以外の時間帯と前記第1時間帯とを含む第2時間帯内で前記配達時間帯の候補を決定してもよい。
【0026】
本態様によれば、第1クラスに属する荷物は第1時間帯内で配達時間帯の候補が決定されるのに対して、第1クラスよりも関心度の高い第2クラスに属する荷物は第1時間帯以外の時間帯を含む第2時間体内で配達時間帯の候補が決定される。そのため、第2クラスに属する荷物のユーザは、第1時間帯よりも広い時間枠である第2時間帯の中から希望配達時間帯を選択することができる。その結果、例えば第1クラスに属する荷物のユーザは日中の時間帯でしか希望配達時間帯を選択できないのに対して、第2クラスに属する荷物のユーザは深夜又は早朝の時間帯からも希望配達時間帯を選択することが可能となる。これにより、関心度の高いユーザに対してプレミアム感を付与することができ、関心度の低いユーザとの差別化を有効に図ることができる。
【0027】
現状では、配達車はドライバーによって運転されているため、配達可能な時間帯は、例えば、9時から21時までというようなドライバーの労働時間帯に制限されているが、今後、AI技術の発展によって自動運転される配達車が普及することが見込まれている。この場合、荷物が配達可能な時間帯としてドライバーの労働時間帯を考慮する必要がなくなり、24時間での荷物の配達が可能になると見込まれる。そのため、本態様は、特に自動運転される配達車が普及した場合において、関心度の高いユーザに対してプレミアム感を効果的に付与できる。
【0028】
上記態様において、前記プロセッサは、
前記複数の荷物のうち、同一の集合住宅内、ビル内、又は敷地内を配送先とし、且つ、ある特定のクラスに属する荷物が複数存在する場合、
前記特定のクラスに属する複数の荷物のうち、所定の上限個数の荷物を前記特定のクラスに分類し、残りの荷物を前記特定のクラスよりも前記関心度が低いクラスに分類してもよい。
【0029】
例えば、同一の集合住宅内を配送先とする荷物であって特定のクラスに属する荷物が複数あったとする。そして、これら複数の荷物のうち1の荷物は例えば、9:00から9:30までの時間帯が希望配達時間帯として選択され、他の1の荷物は、例えば、10:00から10:30までの時間帯が希望配達時間帯として選択されたとする。この場合、配達車は、1の荷物を配達した後、他の1の荷物を配達するためにこの集合住宅に戻る必要があり、配達効率の悪化が懸念される。
【0030】
本態様によれば、例えば、同一の集合住宅を配送先とする荷物であって、特定のクラスに属する荷物が複数ある場合、所定の上限個数の荷物が特定のクラスに分類され、残りの荷物は特定のクラスよりも関心度が低いクラスに分類される。その結果、例えば、前記1の荷物の希望配達時間帯が9:00から9:30までの時間帯に選択されたとしても、前記他の1の荷物の希望配達時間帯を、前記1の荷物の希望配達時間帯を含み且つ前記1の荷物の希望時間帯よりも広い時間帯(例えば、9:00~11:00)に選択させることが可能となる。その結果、同一の集合住宅への配達車の出戻りを抑制し、配達効率を向上させることができる。
【0031】
上記態様において、前記プロセッサは、
前記複数の荷物のうち、ある一定半径以内を配送先とし、且つ、ある特定のクラスに属する荷物が複数存在する場合、
前記特定のクラスに属する複数の荷物のうち、所定の上限個数の荷物を前記特定のクラスに分類し、残りの荷物を前記特定のクラスよりも前記関心度が低いクラスに分類してもよい。
【0032】
ある一定半径以内のエリアを配送先とする荷物であって特定のクラスに属する荷物が複数あったとする。そして、これら複数の荷物のうち1の荷物は例えば、9:00から9:30までの時間帯が希望配達時間帯として選択され、他の1の荷物は、例えば、10:00から10:30までの時間帯が希望配達時間帯として選択されたとする。この場合、配達車は、1の荷物を配達した後、他の1の荷物を配達するためにこのエリアに戻る必要があり、配達効率の悪化が懸念される。
【0033】
本態様によれば、ある一定半径以内のエリアを配送先とする荷物であって、特定のクラスに属する荷物が複数ある場合、所定の上限個数の荷物が特定のクラスに分類され、残りの荷物は特定のクラスよりも関心度が低いクラスに分類される。その結果、例えば、前記1の荷物の希望配達時間帯が9:00から9:30までの時間帯に選択されたとしても、前記他の1の荷物の希望配達時間帯を、前記1の荷物の希望配達時間帯を含み且つ前記1の荷物の希望時間帯よりも広い時間帯(例えば、9:00~11:00)に選択させることが可能となる。その結果、同一のエリアへの配達車の出戻りを抑制し、配達効率を向上させることができる。
【0034】
上記態様において、前記荷物に関する情報は、少なくとも、前記荷物を一意に特定する識別子を含んでもよい。
【0035】
本態様によれば、荷物に関する情報には荷物を一意に特定する識別子が含まれているため、荷物と荷物が配達されるユーザが所持する第1情報端末との関連付けを容易に行うことが可能となる。
【0036】
上記態様において、前記荷物に関する情報は、さらに前記荷物の配達予定日又は配達予定日時と、前記荷物の現在位置と、前記荷物の配達状況を示す情報とを含んでもよい。
【0037】
本態様によれば、荷物に関する情報には、前記荷物の配達予定日又は配達予定日時と、前記荷物の現在位置と、前記荷物の配達状況を示す情報とが含まれているので、荷物に対する関心が高いユーザに対して配達通知情報を閲覧しようとする動機付けを与えることができる。
【0038】
上記態様において、前記提示装置は、さらにメモリを備え、
前記メモリは、前記荷物を一意に特定する識別子と前記荷物の配達予定日又は配達予定日時とが対応付けられた配達予定時刻表を記憶し、
前記第1情報端末は、対応する荷物に関する情報が閲覧可能に構成され、
前記プロセッサは、
前記ユーザにより入力された前記識別子を前記第1情報端末から取得した場合、前記識別子に対応する前記配達予定日又は前記配達予定日時を前記配達予定時刻表から特定し、特定した前記配達予定日又は前記配達予定日時を前記第1情報端末に送信し、
前記第1情報端末は、送信された前記配達予定日又は前記配達予定日時を出力してもよい。
【0039】
本態様によれば、ユーザにより荷物の識別子が第1情報端末に入力されると、その荷物に対応する配達予定日又は配達予定日時が提示装置から第1情報端末に送信される。そのため、ユーザは第1情報端末に対して荷物の識別子を入力する操作を行うことにより、荷物の配達予定日又は配達予定日時を容易に確認することができる。
【0040】
上記態様において、前記プロセッサは、前記複数の荷物のそれぞれについて前記配達予定日又は前記配達予定日時の前記ユーザによる閲覧時刻を検知し、
前記関心度は、前記複数の荷物のそれぞれに対応する前記配達通知情報の送信時刻と、検知した前記閲覧時刻との時間差に基いて算出されてもよい。
【0041】
本態様によれば、配達通知情報の送信時刻と、配達予定日又は配達予定日時を第1情報端末を用いてユーザが閲覧した閲覧時刻との時間差を用いて関心度が算出されることになる。
【0042】
本開示の別の一態様に係る提示装置は、プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、
複数のユーザの荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれについて、荷物に関する情報を通知するための配達通知情報を、対応するユーザの第1情報端末に送信し、
前記配達通知情報が対応する第1情報端末において閲覧されたことを示す閲覧情報を前記対応する第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する前記閲覧情報から算出した配達通知情報の閲覧率に基づいて算出され、
前記関心度に基づいて、前記複数の荷物の配達順序を設定し、
前記送受信器は、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する。
【0043】
本態様によれば、各荷物に対応する閲覧情報から算出した配達通知情報の閲覧率に基づいて各荷物に対する関心度が算出され、関心度に基づいて配達順序が設定されている。例えば、ある荷物をユーザに配達する場合、ユーザが配達を要求したときにその要求を受領したことを示すメール、要求した荷物を運送会社に発送したことを通知するメール、及び要求した荷物の配達予定日時を通知するメールというように複数の配達通知情報が第1情報端末に送信されることがある。この場合、荷物の関心が高いユーザはこれら複数のメールの閲覧率が高くなることに本態様は着目して、関心度を推定した。そのため、本態様は、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物とを自動的に区分けして、適切な配達順序を設定することができる。
【0044】
本開示の更に別の一態様に係る提示装置は、プロセッサと送受信器とを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記送受信器は、前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記第1情報端末は、対応する荷物に関する情報が閲覧可能に構成され、
前記送受信器は、前記荷物に関する情報に対するユーザの閲覧履歴を前記第1情報端末から受信し、
前記プロセッサは、
前記複数の荷物のそれぞれについて、ユーザの関心の高さを示す関心度を算出し、前記関心度は、前記各荷物に対応する前記閲覧履歴から算出した前記荷物に関する情報の閲覧時間に基づいて算出され、
前記関心度に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれの配達順序を設定し、
前記送受信器は、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する。
【0045】
本態様によれば、荷物に関する情報に対するユーザの閲覧履歴から荷物に関する情報に対するユーザの閲覧時間が算出され、その閲覧時間に基づいて関心度が算出され、関心度に基づいて配達順序が設定される。つまり、本態様は、荷物に対する関心が高いユーザは荷物に関する情報の閲覧時間が長くなることに着目して、関心度を推定した。そのため、本態様は、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物とを自動的に区分けして、適切な配達順序を設定することができる。
【0046】
本開示の更に別の一態様に係る提示装置は、プロセッサと送受信器とメモリとを備え、配達車が配達する複数の荷物の配達順序を提示する提示装置であって、
前記メモリは、前記複数の荷物が配達される1又は複数のユーザに対して過去に配達された荷物に対する前記各ユーザの関心の高さを示す関心度と前記各荷物の属性を示す属性情報とが対応付けられた配達履歴を記憶し、
前記送受信器は、
前記1又は複数のユーザの情報端末である1又は複数の第1情報端末と前記配達車の情報端末である第2情報端末と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、
前記複数の荷物のそれぞれの属性情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記配達履歴に含まれる属性情報の特徴量と前記受信した属性情報の特徴量とのユーザ毎の類似度に基づいて、前記複数の荷物のそれぞれに対する前記各ユーザの関心の高さを示す関心度を推定し、
前記各関心度に基づいて、前記各荷物の配達順序を設定し、
前記配達順序を示す配達順序情報を前記第2情報端末に送信する。
【0047】
本態様によれば、ユーザに対して過去に配達された荷物の属性情報とその荷物へのユーザの関心度とが対応付けられた配達履歴がメモリに記憶されており、配達履歴に含まれる属性情報の特徴量とこれから配達される荷物の属性情報の特徴量とのユーザ毎の類似度に基づいて、これから配達される荷物へのユーザの関心度が推定されている。つまり、本態様は、これから配達される荷物に対するユーザの関心度は、過去に配達された荷物と同様の属性情報を持つ荷物の関心度と相関があることに着目して関心度を推定している。そのため、本態様は、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、優先的に配達するべき荷物とそうでない荷物とを自動的に区分けして、適切な配達順序を設定することができる。
【0048】
上記態様において、前記プロセッサは、前記関心度が高い荷物ほど、前記配達順序が早いように設定してもよい。
【0049】
本態様によれば、関心度が高い荷物ほど配達順序が早められるので、関心度が高い荷物をより早くユーザに配達できる。
【0050】
上記態様において、前記複数の荷物は、宅配ボックスを配達位置とするボックス配達荷物を含み、
前記送受信器は、前記宅配ボックスを管理する第3情報端末から前記宅配ボックスにおいて空いているボックスを示す空き情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記空き情報に基づいて、前記ボックス配達荷物の全てを前記宅配ボックスに収納することができないと判定した場合、前記関心度が高い順にボックス配達荷物の前記宅配ボックスへの収納順序を設定し、
前記送受信器は、前記収納順序を示す収納順序情報を前記第2情報端末に送信してもよい。
【0051】
本態様では、宅配ボックスに全ての荷物を収納できない場合、関心度が高い順に荷物の収納順序が設定されるので、関心度の高い荷物を優先して宅配ボックスに収納させることができる。ここで、荷物に対する関心の高いユーザは宅配ボックスから速やかに荷物を取り出す可能性が高い。そのため、本態様は、ボックス数に限りのある宅配ボックスの空きボックス数を十分に確保できる。
【0052】
上記態様において、前記送受信器は、前記配達車が配送センターを出発したことを示す出発情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記出発情報が受信された場合、前記各荷物の配達予想時刻を、前記出発情報の受信時刻と前記各荷物の配達位置とに基づいて算出し、
前記関心度が閾値以上であるユーザをプレミアムユーザとして特定し、
前記送受信器は、前記プレミアムユーザの前記第1情報端末に配達予想時刻を送信してもよい。
【0053】
本態様によれば、関心度が閾値以上であるプレミアムユーザに対しては、配達車が荷物をユーザに届けるために配送センターを出発した場合、荷物の配達予想時刻が通知されるので、プレミアムユーザに対して手厚いサービスを提供できる。
【0054】
上記態様において、前記プロセッサは、前記配達車の現在位置に対して一定範囲内に前記プレミアムユーザの荷物の配達位置があることを検知した場合、該当するプレミアムユーザの前記第1情報端末に対してまもなく荷物が配達される旨の通知を行ってもよい。
【0055】
本態様によれば、プレミアムユーザに対しては、荷物の配達位置から一定範囲内に配達車が入ったとき、まもなく荷物が配達される旨の通知が行われるので、プレミアムユーザに対してより手厚いサービスを提供できる。
【0056】
上記態様において、前記送受信器は、前記配達車の現在位置を示す位置情報及び前記配達車の配達地域の道路交通情報を受信し、
前記プロセッサは、
前記受信した前記位置情報及び前記道路交通情報と、現在時刻と、前記プレミアムユーザの荷物の配達位置とに基づいて前記プレミアムユーザの荷物の配達予想時刻を算出し、
前記算出した配達予想時刻が前記プレミアムユーザに送信済みの配達予想時刻よりも遅延すると判定した場合、前記プレミアムユーザの荷物を前記送信済みの配達予想時刻までに配達させるために、前記配達順序を修正し、
前記送受信器は、前記修正した配達情報を前記第2情報端末に送信してもよい。
【0057】
本態様によれば、渋滞に遭遇する等の理由により配達予想時刻に荷物を配達できない状況が発生したとしても、その荷物がプレミアムユーザの荷物であれば、荷物の配達予想時刻が遵守されるように配達順序が修正される。そのため、プレミアムユーザに対してより手厚いサービスを提供できる。
【0058】
上記態様において、前記送受信器は、前記第2情報端末から1の荷物について配達できなかったことを示す未配達情報を受信し、
前記プロセッサは、前記未配達情報を受信した場合、前記1の荷物のユーザが前記関心度が閾値以上であるプレミアムユーザであれば、前記プレミアムユーザに前記1の荷物が配達できなかったことを通知するための未配達通知情報を生成し、
前記送受信器は、前記未配達通知情報を前記プレミアムユーザの前記第1情報端末に送信してもよい。
【0059】
本態様によれば、ユーザに荷物を配達することができなかった場合であっても、配達車の到着時にたまたまユーザが近所に外出している、或いは、外出はしていないが配達車の到着時にたまたま手を離すことができない作業をしているような場合であれば、ユーザに荷物を配達することができなかった旨の通知を行えば、その後、直ぐに、そのユーザに対して荷物を配達できることがある。本態様では、ユーザに荷物を配達することができなかった場合、そのユーザがプレミアムユーザであれば、未配達通知情報が送信されるので、プレミアムユーザに対して速やかに荷物を配達することができる。
【0060】
上記態様において、前記送受信器は、前記第1情報端末から現在位置を示す位置情報を受信し、
前記プロセッサは、前記複数の荷物のうち、配達位置が前記現在位置から一定範囲内にある荷物を抽出し、抽出した荷物について前記関心度に基づいて前記配達順序を設定してもよい。
【0061】
本態様によれば、配達車の現在位置に対して一定範囲内に配達位置がある荷物に対して配達順序が設定され、配達車の現在位置に対して一定範囲内に配達位置がない荷物に対して配達順序が設定されないため、配達順序を設定する際の処理負担を軽減できる。
【0062】
(実施の形態)
(ネットワーク構成)
図1は、本開示の実施の形態に係る提示システム10のネットワーク構成の一例を示す図である。提示システム10は、配達車4が配達する複数の荷物の配達順序を配達車4のドライバーに提示させるシステムである。配達車4のドライバーは提示された配達順序にしたがって、複数の荷物を配達する。
【0063】
提示システム10は、サーバ1(提示装置の一例)、複数のユーザ端末2_1、・・・,2_n(第1情報端末の一例)、及び配達端末3(第2情報端末の一例:図2参照)を備える。サーバ1、ユーザ端末2、及び配達端末3はネットワークNTを介して相互に通信可能に接続されている。サーバ1は、例えば、商品購入サイトを運営するネット通販事業者によって管理されるサーバであってもよいし、商品購入サイトで購入した商品をユーザに配達する運送業者によって管理されるサーバであってもよい。
【0064】
ネットワークNTとしては、インターネット通信網、携帯電話通信網、及び公衆電話回線網を含むネットワークで構成される。
【0065】
サーバ1は、例えば、1又は複数のコンピュータを含むクラウドサーバで構成されている。サーバ1を構成するクラウドサーバは、CPU又はFPGA等のプロセッサとメモリとを含む。
【0066】
ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、ボタン式携帯電話、又はタブレット端末等の携帯情報端末で構成されている。但し、これは一例であり、ユーザ端末2は、据え置き型の情報端末で構成されてもよい。
【0067】
図1の例では、ユーザ端末2は、ユーザU1のユーザ端末2_1、・・・、ユーザUnのユーザ端末2_nというようにn台のユーザ端末2が示されている(nは2以上の整数)。
【0068】
配達端末3は、例えば、配達車4に搭載されるコンピュータで構成されてもよいし、配達車4に搭乗するドライバーが携帯する携帯情報端末で構成されてもよい。配達車4に搭載されるコンピュータとしては、例えば、カーナビゲーションシステムが採用されてもよいし、カーナビゲーションシステム以外の配達車4が元々備えるコンピュータが採用されてもよい。ドライバーが携帯する携帯情報端末としては、スマートフォン、ボタン式携帯電話、又はタブレット端末が採用できる。
【0069】
図2は、図1に示す提示システム10の詳細な構成の一例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、通信部12(送受信器の一例)、及びメモリ13を備える。制御部11は、CPU等のプロセッサで構成され、コンピュータを本開示の提示装置として機能させるプログラムを実行する。このプログラムは、ネットワークを通じてダウンロードすることで提供されてもよいし、コンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体に記憶させることで提供されてもよい。
【0070】
通信部12は、例えば、サーバ1をネットワークNTに接続させる通信回路で構成され、ユーザ端末2に対して、荷物に関する情報を通知するための配達通知メールを送信したり、配達端末3に対して、配達順序を示す配達順序情報を送信したりする。
【0071】
メモリ13は、不揮発性の記憶装置で構成され、コンピュータを提示装置として機能させるプログラム、後述するエンゲージメント率(関心度の一例)及び荷物の配達順序を設定する上で必要となるテーブルを記憶する。
【0072】
ユーザ端末2は、制御部21、メモリ22、操作部23、検出部24、通信部25、及び表示部26を備える。なお、図2では、n(nは2以上の整数)人のユーザに対応するn台のユーザ端末2_1,・・・,2_nが例示されている。ユーザU1はユーザ端末2_1所有し、・・・、ユーザUnはユーザ端末2_n所有を所有する。
【0073】
制御部21は、CPU等のプロセッサで構成され、ユーザ端末2の全体制御を司る。メモリ22は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成され、荷物に関する情報をユーザに提示するためのアプリケーションプログラムを記憶する。
【0074】
操作部23は、入力装置、例えば、タッチパネル又はキーボード及びマウスで構成され、ユーザからの操作を受け付ける。
【0075】
検出部24は、例えば、操作部23が受け付けたユーザの操作を検知する電気回路で構成される。
【0076】
通信部25は、例えば、ユーザ端末2をネットワークNTに接続させる通信回路で構成され、本開示では、通信部25は、サーバ1に対し、配達通知メールがユーザによって開封されたことを示すデータ等を送信したり、サーバ1から送信される配達通知メールを受信したりする。なお、本願の明細書、図面、要約書において、「開封」は「閲覧」を意味してもよい。なお、ユーザ端末が、表示部に表示されたメッセージの概要の選択指示を検知することを、ユーザ端末がメッセージの概要に対応するメッセージが開封されたと検知することとしてもよい。
【0077】
表示部26は、ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELで構成され、荷物に関する情報をユーザに表示する。
【0078】
配達端末3は、制御部31、メモリ32、操作部33、検出部34、通信部35、表示部36、及びGPSセンサ37を備える。制御部31は、CPU等のプロセッサで構成され、配達端末3の全体制御を司る。メモリ32は、例えば、不揮発性の記憶装置で構成され、配達順序情報をドライバーに提示するためのアプリケーションプログラムを記憶する。
【0079】
操作部33は、入力装置、例えば、タッチパネル又はキーボードで構成され、ドライバーからの操作を受け付ける。
【0080】
検出部34は、例えば、操作部33が受け付けたドライバーの操作を検知する電気回路で構成される。
【0081】
通信部35は、例えば、配達端末3をネットワークNTに接続させる通信回路で構成され、本開示では、通信部35は、サーバ1から荷物の配達順序を示す配達順序情報を受信したり、サーバ1に対して配送センターを出発したことを示す出発情報を送信したり、サーバ1に対してGPSセンサ37が周期的に算出する配達端末3の位置情報を送信したりする。
【0082】
表示部36は、ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELで構成され、配達順序を示す画像を表示し、配達順序をユーザに提示する。なお、表示部36は、配達端末3がカーナビゲーションシステムで構成される場合、カーナビゲーションシステムのディスプレイで構成される。
【0083】
GPSセンサ37は、複数のGPS衛星から送信される信号を受信し、受信した信号に基づいて、配達端末3の現在位置を算出する。
【0084】
(シーケンス)
図3は、図2示す提示システム10の処理の概要を示すシーケンス図である。なお、図3では、エンゲージメント率が配達通知メールの開封状況に基づいて算出される態様が採用された場合の処理の概要が示されている。但し、これは一例である。後述するエンゲージメント率を算出するいずれの態様が採用された場合であっても、図3のシーケンスは適用可能である。
【0085】
図3のシーケンスは大きく2つのフェーズに分けられる。1つ目のフェーズは、配達通知メールの開封状況からユーザの荷物に対するエンゲージメント率を求めるフェーズであり、S31~S34の処理によって示される。2つ目のフェーズは、1つ目のフェーズで得られた各荷物のエンゲージメント率から荷物の配達順序を決定するフェーズであり、S36~S39の処理によって示される。2つ目のフェーズは、例えば、配達端末3から位置情報が送信される度に繰り返し実行される。
【0086】
なお、図3では、1台の配達車4が複数の荷物を配達するケースを例に挙げて説明する。したがって、ここで決定される配達順序の設定対象となる複数の荷物は、1台の配達車4が積載する複数の荷物である。なお、サーバ1は管理対象となる他の配達車4に積載される複数の荷物についても図3のシーケンスを適用して複数の荷物の配達順序を設定する。
【0087】
まず、サーバ1の制御部11は、配達通知メールを、該当する荷物の送信先となるユーザのユーザ端末2に通信部12を用いて送信する(S31)。ここでは、配達通知メールは、例えば、商品購入サイトにおいてユーザが商品を購入した際にそのユーザに送信される受領メールであってもよいし、その商品の運送業者への発注が完了した際にそのユーザに送信される発注完了メールであってもよいし、配達車4がユーザ宅に商品を配達するために配送センターを出発したタイミングでその旨をユーザに通知するためのメールであってもよい。
【0088】
図3では明示していないが、S31の処理では、実際には、対象となる1台の配達車4が配達する複数の荷物PA1、PA2、・・・、PAnの複数の配達通知メールMA1、MA2、・・・、MAnが複数のユーザ端末2_1、2_2、・・・、2_nに送信される。つまり、サーバ1は、荷物PA1の配達通知メールMA1をユーザ端末2_1に送信し、荷物PA2の配達通知メールMA2をユーザ端末2_2に送信し、・・・、荷物PAnの配達通知メールMAnをユーザ端末2_nに送信する。
【0089】
なお、サーバ1は、送信時刻ST1に配達通知メールMA1をユーザ端末2_1に送信し、送信時刻ST2に配達通知メールMA2をユーザ端末2_2に送信し、・・・、送信時刻STnに配達通知メールMAnをユーザ端末2_nに送信する。
【0090】
S32では、ユーザ端末は、ユーザからの配達通知メールの開封指示の入力を検知し、配達通知メールを表示部26に表示し、ユーザに配達通知メールを閲覧させる。ユーザからの配達通知メールの開封指示の入力は、例えば、タッチスクリーンに表示された配達通知メールを選択することであってもよい。
【0091】
図3では明示していないが、S32の処理では、ユーザ端末2_1は、ユーザU1からの配達通知メールMA1の開封指示の入力を検知し、配達通知メールMA1をユーザ端末2_1の表示部に表示し、ユーザU1に配達通知メールMA1を閲覧させ、ユーザ端末2_2は、ユーザU2からの配達通知メールMA2の開封指示の入力を検知し、配達通知メールMA2をユーザ端末2_2の表示部に表示し、ユーザU2に配達通知メールMA2を閲覧させ、・・・、ユーザ端末2_nは、ユーザUnからの配達通知メールMAnの開封指示の入力を検知し、配達通知メールMAnをユーザ端末2_nの表示部に表示し、ユーザUnに配達通知メールMAnを閲覧させる。
【0092】
S33では、ユーザ端末2は、配達通知メールの開封時刻を示す開封時刻情報をサーバ1に送信する。配達通知メールの開封時刻は、ユーザ端末2がユーザから配達通知メールの開封指示の入力を検知した時刻であってもよい。
【0093】
図3では明示していないが、S33の処理では、ユーザ端末2_1は、ユーザ端末2_1がユーザU1から配達通知メールMA1の開封指示の入力を検知した開封時刻OT1を示す開封時刻情報O1をサーバ1に送信し、ユーザ端末2_2は、ユーザ端末2_2がユーザU2から配達通知メールMA2の開封指示の入力を検知した開封時刻OT2を示す開封時刻情報O2をサーバ1に送信し、・・・、ユーザ端末2_nは、ユーザ端末2_nがユーザUnから配達通知メールMAnの開封指示の入力を検知した開封時刻OTnを示す開封時刻情報Onをサーバ1に送信してもよい。
【0094】
S34では、サーバ1の制御部11は、開封時刻情報が示す開封時刻と、配達通知メールの送信時刻との時間差を算出し、算出した時間差に基づいてエンゲージメント率を算出する。ここでは、対象となる1台の配達車4が配達する複数の荷物のそれぞれについてエンゲージメント率が算出される。つまり、制御部11は、開封時刻OT1と送信時刻ST1の時間差TD1に基づいてエンゲージメント率EN1、開封時刻OT2と送信時刻ST2の時間差TD2に基づいてエンゲージメント率EN2、・・・、開封時刻OTnと送信時刻STnの時間差TDnに基づいてエンゲージメント率ENnを算出する。算出された各荷物の各エンゲージメント率は各荷物に対して事前に付与された伝票番号と対応付けて荷物データベース(図略)に登録される。なお、荷物データベースは、エンゲージメント率の他、受注した全ての荷物に関する送り主情報(例えば、送り主の、ユーザID、名前、住所、及び電話番号など)と、荷物の配達先を示す配達先情報(例えば、受取人の、ユーザID、名前、住所、及び電話番号など)とが伝票番号と対応付けて登録されている。また、この荷物データベースにおいて、配達する配達車4が決定された荷物については、その荷物の伝票番号と対応付けて配達車4の識別情報が登録される。また、この荷物データベースにおいて、配達予定日及び配達予定時刻が決定された荷物については、配達予定日及び配達予定時刻が登録される。
【0095】
以上が1つ目のフェーズである。以降2つ目のフェーズが開始される。2つ目のフェーズは、例えば、対象となる1台の配達車4が配送センターを出発したことをトリガーに開始される。
【0096】
S35では、配達端末3はサーバ1に対して配達端末3の現在位置を示す位置情報を通信部35を用いて送信する。ここで、配達端末3は、例えば、配送センターを出発すると位置情報をサーバ1に周期的に送信する。
【0097】
S36では、サーバ1の制御部11は配達端末3から送信された位置情報を通信部12を用いて受信し、配達車4の現在位置を検知する。
【0098】
S37では、サーバ1の制御部11は、配達車4が配達する荷物のうち、配達先(配達位置)が配達車4の現在位置に対して一定範囲内にある荷物を抽出する。
【0099】
S38では、サーバ1の制御部11は、S37で抽出した荷物について、エンゲージメント率が高い順に配達順序を設定する。
【0100】
S39では、サーバ1の制御部11は、設定した配達順序を示す配達順序情報を通信部12を用いて配達端末3に送信する。
【0101】
図4は、サーバ1がエンゲージメント率から配達順序を設定する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図3で説明した2つ目のフェーズに対応している。このフローチャート、すなわち、図4に示す処理は、例えば、配送センターを配達車4が出発したことを示す出発情報をサーバ1が配達端末3から受信したことをトリガーに開始される。そして、サーバ1は、サーバ1が配達端末3から位置情報を受信する度に、図4に示す処理を実行する。
【0102】
また、サーバ1の制御部11は、対象となる配達車4が配達する複数の荷物の伝票番号等が列記された荷物リストを事前に作成しており、メモリ13に記憶しているものとする。この荷物リストには、伝票番号の他、荷物の送り主情報(例えば、送り主の、ユーザID、名前、住所、及び電話番号など)と、荷物の配達先を示す配達先情報(例えば、受取人の、ユーザID、名前、住所、及び電話番号など)とが含まれる。サーバ1は、例えば、配達車4が配送センターを出発する直前にこの荷物リストを配達端末3に送信し、配達車4のドライバーは配達端末3を通じてこの荷物リストを閲覧することができる。
【0103】
まず、サーバ1の制御部11は、配達端末3から配達車4の現在位置を示す位置情報を通信部12を用いて取得する(S401)。次に、サーバ1の制御部11は、荷物リストに記載された複数の荷物の中から、配達車4の現在位置に対して一定範囲内に配達先の住所が位置する1又は複数の荷物を抽出する(S402)。
【0104】
次に、サーバ1の制御部11は、抽出した各荷物のエンゲージメント率を取得する(S403)。ここで、サーバ1の制御部11は、図3で説明した1つ目のフェーズのS34で算出された各荷物エンゲージメント率の中から抽出した各荷物のエンゲージメント率を取得すればよい。或いは、図3において、エンゲージメント率を算出するS34の処理を省き、S403でエンゲージメント率は算出されてもよい。
【0105】
次に、サーバ1の制御部11は、S402で抽出した荷物をエンゲージメント率が高い順にソートして抽出した荷物に対する配達順序を設定する(S404)。次に、サーバ1の制御部11は、配達順序を示す配達順序情報を配達端末3に送信する(S405)。
【0106】
なお、サーバ1が配達車4から位置情報を取得する度に、サーバ1は図4に示す処理を実行するとして説明したが、本開示はこれに限定されず、サーバ1は図4に示す処理を、配達車4が一定距離移動する度に実行してもよいし、配達車4が一つの荷物を配達する度に実行してもよいし、配達車4が現在設定されている図5で後述される一定範囲D1から出る度に実行してもよい。
【0107】
図5は、図4に示す処理の具体的なシーンを示す図である。サーバ1は、配達中の配達車4の現在位置が位置P1であることを示す位置情報を配達端末3から取得している。この場合、サーバ1の制御部11は、位置P1を中心に例えば、所定半径の円を一定範囲D1として設定する。ここでは、所定半径としては800m程度の半径を想定しているが、これは一例であり、50m、100m、1kmというような値が採用さてもよい。また、図5では、説明の便宜上、一定範囲D1は扇状の図形で示されているが、実際には円である。
【0108】
次に、サーバ1の制御部11は、荷物リストの中から、一定範囲D1内に受取人の住所が位置する荷物を抽出する。ここでは、位置P1から距離500mに受取人であるユーザU1の自宅H1が位置し、位置P1から距離650mに受取人であるユーザU2の自宅H2が位置し、位置P1から距離450mに受取人であるユーザU3の自宅H3が位置していたため、ユーザU1~U3の荷物が荷物リストから抽出される。
【0109】
ここで、抽出したユーザU1~U3の荷物のエンゲージメント率は、それぞれ、0.4、0.8、0.6であったとする。そのため、サーバ1の制御部11は、エンゲージメント率が1番高い0.8のユーザU2の荷物を1番目、エンゲージメント率が次に高い0.6のユーザU3の荷物を2番目、エンゲージメント率が0.4のユーザU1の荷物を3番目の配達順序に設定し、配達順序情報を配達端末3に送信する。そして、配達車4のドライバーは、送信された配達順序情報が示す配達順序を配達端末3を通じて確認し、この配達順序にしたがって荷物を配達する。
【0110】
図6は、配達端末3に表示される配達順序を示す配達順序画面G6の一例を示す図である。配達順序画面G6には荷物リストから抽出された一定範囲D1内にある荷物の配達順序が示されている。この配達順序画面G6は、地図領域R61と順序領域R62とを備えている。地図領域R61には、配達車4の位置P1を含む一定範囲の地図画像が表示されており、この地図画像上に配達するべき荷物の配達位置がマークM1、M2、M3を用いてマーキングされている。ここでは、荷物の配達順序は、マークM1、M2、M3の順番であるため、マークM1、M2、M3のそれぞれの近傍には配達順序を示す数字「1」、「2」、「3」が表示されている。
【0111】
順序領域R62には、「次の順に配送してください」とのメッセージが表示され、このメッセージの下側に、配達順序「1」、「2」、「3」のそれぞれの荷物に対応する荷物欄R621、R622、623が上から順に表示されている。荷物欄R621には、配達順序を示す数字「1」と、受取人であるユーザの名前「宅急 太郎様」と、荷物の伝票番号「11-22-333」とが表示されている。他の荷物欄R622、R623も荷物欄R621と同じ内容が表示されている。また、荷物欄R621、R622、R623は、下向きの矢印マークY1、Y2によって繋げられている。
【0112】
このように、順序領域R62には、荷物欄R621~R623が荷物の配達順に表示されているので、ドライバーはどの順番で荷物を配達するべきかを速やかに確認できる。また、地図領域R61には、荷物の配達位置がマークM1~M3を用いて地図画像上にマーキングされているので、ドライバーは荷物の配達位置をどのようなルートで配達するべきかを速やかに確認できる。また、マークM1~M3は、配達順序を示す数字「1」~「3」によって、荷物欄R621~R623と対応付けられているため、ドライバーは、荷物の受取人及び配達位置を地図画像上で速やかに確認できる。
【0113】
次に、エンゲージメント率の算出手法について説明する。本開示では、下記の4つの手法を用いてエンゲージメント率が算出される。
【0114】
(エンゲージメント率の算出手法その1)
算出手法その1は、図3で説明したように、配達通知メールの送信時刻と配達通知メールの開封時刻との時間差に基づいてエンゲージメント率を算出する手法である。なお、配達通知メールは配達通知情報の一例であり、開封時刻は閲覧時刻の一例である。
【0115】
図7は、配達通知メールのメール画面G7の一例を示す図である。メール画面G7では、運送会社「ABC運輸」がユーザ「宅急太郎」の荷物を受注した際に、ユーザ端末2に送信されて表示される配達通知メールの画面が示されている。メール画面G7には、ヘッダー欄R71とボディー欄R72とが含まれている。ヘッダー欄R71には、配達通知メールの送信元「ABC運輸」と、配達通知メールの宛先「宅急太郎様」及びメールアドレスと、件名「お荷物をお預かりしました」と、配達通知メールが送信された日時「2017年10月16日 15:36」とが含まれている。
【0116】
ボディー欄R72には、運送会社がユーザの荷物を預かった旨のメッセージ「あなた宛ての荷物を、お預かりしました」と、配達予定日時を示すメッセージ「明日 2017年10月17日 18-20時にお届け予定です。」と、荷物の伝票番号「11-22-333」と、荷物の発送者「Pana.com」と、荷物の内容「キッチンペーパー、4ロール」とが表示されている。
【0117】
なお、配達通知メールは、配達車4が配送センターを出発する前に限らず、配達車4が配送センターを出発した後に、ユーザ端末2に送信されてもよい。配達車4が配送センターを出発した後にユーザ端末に送信される配達通知メールのボディー欄R72には、荷物の現在位置が記載されても良いし、荷物の配達状況を示す情報が含まれても良い。荷物の現在位置は、配達車4のGPSセンサ37が検知した位置情報に基づいて決定されればよい。荷物の配達状況は、荷物が配達車4に積まれた状況、荷物が配達車4に積まれて配送センターから出発した状況、及び、配達順序が一つ前の荷物の配達が完了した状況等が含まれる。
【0118】
このように配達通知メールには、配達予定日、及び配達される荷物の内容等の情報が含まれているため、荷物に対する関心が高いユーザは、配達通知メールを速やかに開封することになる。
【0119】
図8は、配達通知メールに対するユーザの開封履歴を示す開封履歴テーブルT1の一例を示す図である。開封履歴テーブルT1はサーバ1のメモリ13に記憶されている。
【0120】
開封履歴テーブルT1は、1つのレコードに1つの配達通知メールの開封履歴が登録されたデータベースであり、「ユーザID」、「伝票番号」、「メール送信時刻」、及び「メール開封時刻」のフィールドを備えている。
【0121】
「ユーザID」フィールドには、該当する荷物に対する配達通知メールを受信したユーザ端末2のユーザ(荷物の受取人)のユーザID(識別情報)が登録されている。「伝票番号」フィールドには、配達通知メールに対応する荷物の伝票番号が登録されている。「メール送信時刻」フィールドには、配達通知メールがサーバ1からユーザ端末2に送信された日時が登録されている。「メール開封時刻」フィールドには、ユーザがユーザ端末2を用いて配達通知メールを開封した日時が登録されている。
【0122】
サーバ1の制御部11は、開封履歴テーブルT1に登録されたメール送信時刻とメール開封時刻との時間差に基づいてエンゲージメント率を算出する。
【0123】
ここで、サーバ1は、式(1)を用いてエンゲージメント率を算出すればよい。
【0124】
【数1】
【0125】
式(1)において、N:ある荷物に対して送信された配達通知メールの総数、ti:当該ある荷物に関するi番目の配達通知メールの送信時刻と当該ある荷物に関するi番目の配達通知メールの開封時刻との時間差、すなわち、ti={(当該ある荷物に関するi番目の配達通知メールの開封時刻)-(当該ある荷物に関するi番目の配達通知メールの送信時刻)}であり、T:半減期である。半減期Tは定数であり、T=6(時間)×60(分)×60(秒)=21600のような値が採用される。式(1)では、tiは(1/2)の指数であるので、tiが小さいほど、すなわち、ユーザが配達通知メールを速やかに開封するほどエンゲージメント率は高い。
【0126】
なお、配達通知メールが未開封の場合、ti→∞となるので、
【0127】
【数4】
【0128】
となる。
【0129】
荷物に対する関心が高いユーザは、その荷物の到着を待ちこがれているので、配達通知メールに対する関心も高く、配達通知メールの着信の有無も頻繁に確認していると考えられる。したがって、荷物に対する関心が高いユーザは、配達通知メールがユーザ端末2に着信すると速やかに開封することが見込まれる。よって、前記時間差はユーザの荷物に対する関心の高さを図る上での有用な指標となる。そこで、算出手法その1では、前記時間差に基づいてエンゲージメント率を算出している。ここで、サーバ1は、式(1)に代えて、時間差の値をそのままエンゲージメント率として採用してもよいし、エンゲージメント率の最大値が1になるように時間差を正規化した値をエンゲージメント率として算出してもよい。
【0130】
なお、この例では、配達通知メールが配達通知情報として採用されているが、これは一例であり、SNS上で送信されたメッセージが配達通知情報として採用されてもよい。この場合、SNS上で送信されたメッセージをユーザが閲覧した閲覧時刻と当該SNS上で送信されたメッセージの送信時刻との時間差に基づいてエンゲージメント率が算出されてもよい。
【0131】
(エンゲージメント率の算出手法その2)
算出手法その2は、配達通知メールの開封率に基づいてエンゲージメント率を算出する手法である。商品購入サイトにおいてある商品を購入した場合、その商品を購入した際に商品の購入を受領した旨の受領メール、その商品の運送業者への発注が完了したことをユーザに通知する発注完了メール、及び配達車4がユーザ宅に商品を配達するために配送センターを出発したタイミングでその旨をユーザに通知するためのメール等の複数のメールがユーザ端末2に送信されるのが一般的である。
【0132】
荷物への関心が高いユーザは、配達通知メールの着信の有無を頻繁に確認する傾向にあるため、荷物に対して送信された配達通知メールを開封する割合も高くなる。そこで、算出手法その2では、商品を購入した際に送信されるこれらのメールを配達通知メールとして位置づけ、この配達通知メールの開封率に基づいてエンゲージメント率を算出する。
【0133】
図8の開封履歴テーブルT1では、ユーザID「U001234」のユーザが購入した商品である伝票番号「11-22-333」の荷物に対してユーザ端末2に送信された3つの配達通知メールが示されている。この場合、上から2つの配達通知メールは「メール開封時刻」フィールドに配達通知メールの開封日時が登録されているため、これら2つの配達通知メールはユーザによって開封されている。一方、上から3つ目の配達通知メールは、「メール開封時刻」フィールドに「N/A」が登録されているため、未開封である。
【0134】
よって、この場合の伝票番号「11-22-333」の荷物の開封率は、2/3=0.66となる。つまり、開封率は、ある1の荷物に対して送信された配達通知メールの総数を、開封された配達通知メールの総数を割った値で定義される。
【0135】
この例では、配達通知メールは配達通知情報の一例であり、配達通知メールの開封率は配達通知情報の閲覧率の一例である。但し、本開示はこれに限定されず、配達通知情報はSNS上で送信されたメッセージが採用されてもよい。この場合、ユーザがSNS上で送信されたメッセージを閲覧した閲覧回数と当該SNS上で送信されたメッセージの総数に基づいてエンゲージメント率が算出されてもよい。
【0136】
(エンゲージメント率の算出手法その3)
昨今、運送会社などにより、各ユーザの荷物の配達状況を随時、各ユーザに知らせるアプリケーションソフトウェア(以下、「配達状況アプリ」と記述する。)を用いた配達状況通知サービスが提供されている。算出手法その3は、この配達状況アプリに対するユーザの閲覧履歴に基づいてエンゲージメント率を算出する。
【0137】
図9は、配達状況アプリのお知らせ画面G91、G92を示す図である。お知らせ画面G91は、例えば、ユーザがユーザ端末2において配達状況アプリを起動したときに表示される画面である。お知らせ画面G91には、配達状況通知サービスからユーザに対して通知されたメッセージの概要が一覧表示されている。ここでは、2つのメッセージ表示欄R911、R912が表示されている。メッセージ表示欄R911に表示されたメッセージの概要は、ユーザが発注した商品の荷物を運送会社が預かったことを示すメッセージの標題「お荷物をお預かりしました」と、メッセージの送信日時「2017/10/16 15:36」と、荷物の伝票番号「11-22-333」とを含む。メッセージ表示欄R912に表示されたメッセージの概要は、運送会社の営業時間に関するメッセージの標題を含む。
【0138】
メッセージ表示欄R911には、メッセージの概要に対応するメッセージがユーザによって開封されていないため、「未読」ボタンB911が表示されている。「未読」ボタンB911がユーザによって選択されると、メッセージの内容を通知するお知らせ画面G92がユーザ端末2に表示される。
【0139】
お知らせ画面G92には、ヘッダー欄R921とボディー欄R922とが含まれている。ヘッダー欄R921にはメッセージの標題とメッセージの送信時刻とが表示されている。ボディー欄R922には、ユーザ名「宅急太郎」と、運送会社がユーザの荷物を預かったことを示すメッセージ「あなた宛の荷物を、お預かりしました。」と、配達予定日時を示すメッセージ「2017年10月17日 18-20時にお届け予定です。」とが表示されている。また、ボディー欄R922には、荷物の伝票番号「11-22-333」と、荷物の発送者「Pana.com」と、荷物の内容「キッチンペーパー 4ロール」とが表示されている。
【0140】
図10は、配達状況アプリによって提供される配達トラッカー画面G10の一例を示す図である。配達トラッカー画面とは、配達中の荷物の現在位置をユーザに知らせるための画像である。配達トラッカー画面G10には、配送中の荷物の現在の位置P1が地図画像上に表示されている。ここでは、北大阪地域在住のユーザが福岡地域から荷物を届けてもらうシーンが示されている。この荷物は福岡地域にある配送センターC1から北大阪地域にある配送センターC2に遠距離配達用の配達車4によって配達された後、北大阪地域を担当する地域配達用の配達車4によって北大阪地域にあるユーザ宅まで配達される。遠距離配達用の配達車4は、現在、広島と福岡との中間よりもやや広島寄りの高速道路上の位置P1に位置しているので、位置P1に荷物の場所を示すマークM10が西日本の広域を示す地図画像上に表示されている。このように、配達トラッカー画面G10では、遠隔距離用の配達車4によって配達中の荷物の現在位置がリアルタイムで表示される。なお、ユーザは、この配達トラッカー画面G10を、例えば、配達状況アプリのメニュー画面(図略)から選択して表示することができる。
【0141】
図11は、配達状況アプリによって提供される配達トラッカー画面G11の他の一例を示す図である。ここでは、北大阪地域の配送センターC2を出発した地域配達用の配達車4によって該当する荷物がユーザ宅に配達されるシーンが示されている。配達トラッカー画面G11では、配達車4の現在の位置P1を示すマークM111と、ユーザの自宅の位置を示すマークM112とがユーザ宅を含む地域の地図画像上に表示されている。また、配達トラッカー画面G11には、何分後に荷物がユーザ宅に配達されるかを示すメッセージ「あと約10分で配達予定です。」が表示されている。このように、配達トラッカー画面G11では、地域配達用の配達車4によって配達する荷物の現在位置がリアルタイムで表示される。
【0142】
配達トラッカー画面G10、G11では、荷物の現在位置がリアルタイム表示されるので、荷物の配達を待ちこがれているユーザは、配達トラッカー画面G10、G11を閲覧する時間が長くなると考えられる。
【0143】
そこで、算出手法その3では、配達状況アプリを閲覧する時間(滞在時間)に基づいてエンゲージメント率が算出されている。
【0144】
図12は、配達状況アプリにおけるメッセージに対するユーザの開封履歴を示す開封履歴テーブルT2と、配達状況アプリにおけるユーザの滞在履歴を示す滞在履歴テーブルT3との一例を示す図である。ここで、開封履歴テーブルT2及び滞在履歴テーブルT3はユーザ端末2から適宜送信される配達状況アプリに対する閲覧履歴に基づいてサーバ1により作成される。ユーザ端末2から送信される閲覧履歴には、メッセージの開封時刻と、配達状況アプリが提供する各画面の閲覧開示時刻及び閲覧終了時刻とが含まれる。
【0145】
開封履歴テーブルT2及び滞在履歴テーブルT3はサーバ1のメモリ13に記憶されている。
【0146】
開封履歴テーブルT2は、1つのレコードに1つのメッセージの開封履歴が登録されたデータベースであり、「ユーザID」、「伝票番号」、「通知送信時刻」、及び「通知開封時刻」のフィールドを備えている。「ユーザID」フィールドには、該当する荷物に対するメッセージを受信したユーザ端末2のユーザ(荷物の受取人)のユーザIDが登録されている。「伝票番号」フィールドには、メッセージに対応する荷物の伝票番号が登録されている。「通知送信時刻」フィールドには、メッセージがユーザ端末2に通知された日時が登録されている。「通知開封時刻」フィールドには、ユーザがメッセージを開封した日時が登録されている。メッセージを開封した日時としては、「未読」ボタンB911がユーザによって選択された時刻が採用される。なお、ユーザが開封していないメッセージの「通知開封時刻」フィールドには未開封であることを示す「N/A」が登録されている。
【0147】
滞在履歴テーブルT3は、1つのレコードに対してユーザが閲覧した配達状況アプリの一つの画面が割り当てられたデータベースであり、「ユーザID」、「画面種別」、「訪問時刻」、「離脱時刻」、及び「伝票番号」のフィールドを備えている。
【0148】
この滞在履歴テーブルT3では、ユーザが配達状況アプリ内の一つの画面を閲覧する度に1つのレコードが作成される。したがって、同じユーザが同じ画面を複数閲覧した場合であっても複数の閲覧毎に1つのレコードが作成される。
【0149】
「ユーザID」は、配達状況アプリの画面の種別が登録されている。画面の種別としては、図9で説明したお知らせ画面G91、G92を示す「お知らせ」並びに図10及び図11で説明した配達トラッカー画面G10、G11を示す「配達トラッカー」等がある。「訪問時刻」フィールドには、該当する画面をユーザが訪問した日時、すなわち、該当する画面をユーザがユーザ端末2に表示させた日時が登録されている。「離脱時刻」フィールドには、該当する画面をユーザが離脱した日時が登録されている。離脱した日時としては、例えば、ユーザが該当する画面から別の画面に画面遷移させる操作を入力した日時又は配達状況アプリを停止させる操作を入力した日時が該当する。
【0150】
サーバ1の制御部11は、開封履歴テーブルT2及び滞在履歴テーブルT3を参照し、式(2)を用いてエンゲージメント率を算出する。
【0151】
【数2】
【0152】
式(2)における、N:ある荷物に対して送信されたメッセージの総数、ti:当該ある荷物に関するi番目のメッセージを開封した日時と当該ある荷物に関するi番目のメッセージから離脱した時刻との時間差、すなわち、ti={(当該ある荷物に関するi番目のメッセージから離脱した時刻)-(当該ある荷物に関するi番目のメッセージを開封した日時)}、T:半減期である。半減期Tは定数であり、T=6(時間)×60(分)×60(秒)=21600のような値が採用される。メッセージが未確認であれば、tiは式(1)と同様、無限大になる。なお、ti={(当該ある荷物に関するi番目のメッセージを離脱した時刻)-(当該ある荷物に関するi番目のメッセージを開封した時刻)}は、ti={(当該ある荷物に関するi番目のメッセージの概要に対する画面からユーザが離脱した時刻)-(当該ある荷物に関するi番目のメッセージの概要に対する画面をユーザが訪問した時刻)}であってもよい。
【0153】
第2項において、τはある荷物の配達状況を調べるため、配達状況アプリを開いている時間の総和を示し、Cは√τの大きさを0~1を少し超える程度の値に丸め込むための定数である。τにルートを付けているのは、τの大きさを0~1を少し超える程度の値に丸め込むためである。第2項のminは、(1/C)・√τと1とのうち小さい方の値を選択する演算子である。係数α、βは、0<α<1、0<β<1、且つ、α+β=1の定数である。これにより、エンゲージメント率は0以上1以下の値に正規化される。
【0154】
このように、式(2)はtiが減少するにつれてエンゲージメント率は増大し、且つ、τが増大するにつれて、エンゲージメント率は増大する関係を持つ。
【0155】
なお、メッセージを送信してからユーザがそのメッセージを開封するまでの早さを重視する、すなわち、第1項を重視する場合は係数αは係数βよりも大きくされる。また、配達状況アプリにおけるユーザの滞在時間を重視する、すなわち、第2項を重視する場合は係数βは係数αよりも大きくされる。
【0156】
算出手法その3では、エンゲージメント率は式(2)で算出されたが、これは一例であり、tiに対して負の相関を持ち、τに対して正の相関を持つ演算式であれば、どのような演算式が採用されてもよい。また、式(2)では、メッセージに対するユーザの確認の速さを考慮するために第1項が設けられていたが、この第1項は省かれても良い。この場合、配達状況アプリの滞在時間が考慮されてエンゲージメント率が算出されることになる。
【0157】
サーバ1の制御部11は、開封履歴テーブルT2を参照し、ある荷物に対して送信されたメッセージ毎に通知送信日時と通知確認日時との時間差を式(2)のtiとして算出すればよい。また、サーバ1は、滞在履歴テーブルT3の中から、対象となる1のユーザのある1の荷物に対するレコードを抽出し、抽出したレコードのそれぞれについて訪問時刻と離脱時刻との時間差を算出し、各時間差の合計値を式(2)のτとして算出すればよい。
【0158】
例えば、図12の例では、ユーザID「U001234」のユーザの画面種別として、お知らせ画面と配達トラッカー画面とのレコードが登録されているため、お知らせ画面のレコードにおける訪問時刻及び離脱時刻の時間差と、配達トラッカー画面のレコードにおける訪問時刻及び離脱時刻の時間差との合計値が式(2)のτとして算出される。なお、画面種別毎に重み付けが付けられても良い。例えば、お知らせ画面についての重み付けがβ1、配達トラッカー画面についての重み付けがβ2であるとすると、式(2)の第2項は、β1を係数とするmin(1/c√τ,1)の値とβ2を係数とするmin(1/c√τ,1)の値とを加算することで算出されればよい。但し、β1+β2=βである。
【0159】
荷物への関心が高いユーザは、荷物の到着を待ちこがれているので、配達状況アプリを頻繁に起動させ、関心の高い荷物に対するメッセージがあれば、お知らせ画面を表示させてそのメッセージを速やかに開封すると考えられる。また、荷物への関心が高いユーザは、その荷物が配送センターを出発した後において、配達トラッカー画面を閲覧して、荷物の現在位置を追跡するため、配達トラッカー画面の閲覧時間が長くなると考えられる。
【0160】
算出手法その3では、配達状況アプリにおいてユーザに送信されたメッセージの開封が早い荷物ほどエンゲージメント率が高く算出されると共に配達状況アプリの滞在時間が長い荷物ほどエンゲージメント率が高く設定されるので、荷物に対するユーザの関心が正確に反映されたエンゲージメント率を算出することができる。
【0161】
なお、配達状況通知サービスは配達状況アプリに代えてWebサイトによって提供されてもよい。図13は、配達状況通知サービスを提供するWebサイトのお知らせ画面G131、G132の一例を示す図である。お知らせ画面G131は、Webサイトのトップ画面にアクセスした後、ユーザID及びパスワード等を用いた所定の認証処理が実行され、アクセスが許可された場合に表示される画面であり、実質的な記載内容はお知らせ画面G91と同じである。
【0162】
すなわち、お知らせ画面G131には、「お知らせ一覧」と記載されたメッセージの概要を一覧表示する欄が設けられ、このメッセージの概要を一覧表示する欄には、メッセージ表示欄R1311、R1312が表示されている。メッセージ表示欄R1311、R1312の表示内容はそれぞれお知らせ画面G91のメッセージ表示欄R911、R912と同じである。
【0163】
但し、お知らせ画面G131では、「お知らせ一覧」と記載された欄の上側には、「荷物を送りたい」と記載されたボタンB1311と、「荷物を受け取りたい」と記載されたボタンB1312とが設けられている。ボタンB1311は、荷物の送信を希望するユーザによって選択されるボタンである。ボタンB1311をユーザが選択すると、荷物の発送を依頼する依頼フォームが表示され、ユーザはこの依頼フォームに必要な情報を入力することで、荷物の発送を依頼することができる。ボタンB1312は、荷物の受け取りを希望するユーザによって選択されるボタンである。ボタンB1312は、例えば、不在等の理由により荷物を受け取れなかったユーザが荷物の受け取りを希望する場合に選択されるボタンである。
【0164】
メッセージ表示欄R1311に表示された「未読」ボタンB1311をユーザが選択すると、お知らせ画面G132がユーザ端末2に表示される。このお知らせ画面G132も、実質的な表示内容はお知らせ画面G92と同じである。
【0165】
お知らせ画面G132には、ヘッダー欄R1321及びボディー欄R1322が含まれているが、実質的な表示内容はお知らせ画面G92のヘッダー欄R921、ボディー欄R922と同じである。
【0166】
なお、図示は省略するが、配達トラッカー画面G10、G11もこのWebサイトで表示されてもよい。
【0167】
図14は、配達状況通知サービスをWebサイトで提供する態様を採用した場合に用いられるWeb滞在履歴テーブルT4の一例を示す図である。
【0168】
Web滞在履歴テーブルT4は、サーバ1のメモリ13に記憶されている。ここで、サーバ1は、このWebサイトを掲載するWebサーバが自身と別のWebサーバで構成されているのであれば、このWebサーバと通信することで、Web滞在履歴テーブルT4に登録される各種データを取得すればよい。
【0169】
Web滞在履歴テーブルT4は、1つのレコードに対してユーザが閲覧したWebサイトの一つの画面が割り当てられたデータベースであり、「ユーザID」、「サイト種別」、「訪問時刻」、「離脱時刻」、及び「伝票番号」のフィールドを備えている。なお、Web滞在履歴テーブルT4のデータ構成は、「画面種別」が「サイト種別」となっている以外は、滞在履歴テーブルT3と実質的に同じであるため、詳細な説明は省略する。また、図14の例では、マイページトップ画面のレコードにおいて「伝票番号」フィールドにはデータが登録されていない。これは、マイページトップ画面は個々の荷物に関する情報を通知する画面ではなく、配達状況通知サービス全般に関する情報を通知する画面だからである。
【0170】
Web滞在履歴テーブルT4を用いた場合、サーバ1は、式(3)を用いてエンゲージメント率を算出すればよい。
【0171】
【数3】
【0172】
ここで、式(3)は、係数βが省かれている以外は式(2)の第2項と同じであるため、詳細な説明は省く。サーバ1は、Web滞在履歴テーブルにおいて、訪問時刻と離脱時刻との時間差を式(3)のτに代入してエンゲージメント率を算出すればよい。
【0173】
(算出手法その4)
エンゲージメント率の算出手法その4は、ユーザに対して過去に配達された荷物の配達履歴に基づいて、今回配達される荷物(以下、「対象荷物」と記述する。)のエンゲージメント率を推定し、推定したエンゲージメント率(推定エンゲージメント率)に基づいて、対象荷物の最終的なエンゲージメント率(以下、「最終エンゲージメント率」と記述する。)を算出する手法である。
【0174】
図15は、配達履歴テーブルT5のデータ構成の一例と、対象荷物に関する情報が登録された荷物テーブルT6のデータ構成の一例を示す図である。
【0175】
なお、配達履歴テーブルT5はサーバ1のメモリ13に記憶されている。また、荷物テーブルT6は、ユーザが商品購入サイトにおいて商品を購入した場合において、ユーザ端末2からサーバ1に送信されるデータに基づいてサーバ1により生成される。或いは、サーバ1が商品購入サイトを運営するサーバとは別のサーバで構成されている場合、荷物テーブルT6は、商品購入サイトを運営するサーバからユーザが購入した商品の配達依頼として送信されるデータに基づいてサーバ1により生成される。
【0176】
配達履歴テーブルT5は、1つのレコードに1つの配達履歴が登録されたデータベースであり、「伝票番号」、「送り主」、「内容」、「外寸・重さ」、及び「エンゲージメント率」のフィールドを備えている。
【0177】
「伝票番号」は、図8等で示す「伝票番号」と同じである。「送り主」フィールドには、荷物の送り主の名称が登録されている。「内容」フィールドには、荷物の内容が登録されている。荷物の内容には、荷物の種類名、荷物の商品名、及び荷物の個数等の情報が含まれる。「外寸・重さ」フィールドには、荷物の寸法及び重さが登録されている。荷物の寸法とは、例えば、荷物を梱包する箱の高さ、幅、及び奥行きのそれぞれの寸法が採用される。「エンゲージメント率」フィールドには、該当する荷物に対して算出された最終エンゲージメント率が登録されている。
【0178】
荷物テーブルT6のデータ構成は、配達履歴テーブルT5のデータ構成と同じであるため、詳細な説明は省略する。ここで、サーバ1は、配達履歴テーブルT5に登録された各種データから対象荷物の最終エンゲージメント率を算出し、荷物テーブルT6の「エンゲージメント率」フィールドに登録する。
【0179】
ここで、配達履歴テーブルT5及び荷物テーブルT6において、「送り主」、「内容」、及び「外寸・重さ」に関するデータを総称して、荷物の属性を示す「属性情報」と記述する。
【0180】
最終エンゲージメント率の算出の詳細は下記の通りである。まず、サーバ1は、対象荷物の現在のエンゲージメント率を求める。ここで、サーバ1は、上述した算出手法その1~その3のいずれか一つの手法を用いて現在のエンゲージメント率を算出すればよい。
【0181】
次に、サーバ1は、配達履歴テーブルT5の中から対象荷物のユーザと同一ユーザの1以上の配達履歴を抽出し、抽出した各配達履歴の属性情報の特徴量(以下、「履歴特徴量」と記述する。)をそれぞれ求めると共に、対象荷物の属性情報の特徴量(以下、「対象特徴量」と記述する。)を求める。そして、サーバ1は、各履歴特徴量と対象特徴量との類似性から対象荷物の推定エンゲージメント率を算出する。
【0182】
ここで、推定エンゲージメント率は、対象荷物に対するユーザの関心の高さは、過去に配達された類似する荷物に対するユーザの関心の高さに対して類似する傾向を示すとの考えに基づいている。したがって、サーバ1は、対象特徴量と各履歴特徴量との類似度をそれぞれ算出し、算出した類似度が高い配達履歴ほど重み係数が高くなるように各配達履歴の重み係数を設定し、設定した重み係数を用いて各配達履歴のエンゲージメント率を重み付け平均することで、対象荷物の推定エンゲージメント率を算出すればよい。
【0183】
推定エンゲージメント率を数式化すると例えば式(4)のように表される。
【0184】
推定エンゲージメント率=(1/N)・Σ(γi・Ei) (4)
式(4)において、N:該当するユーザの配達履歴の総数、γi:i番目の配達履歴のエンゲージメント率の重み係数、Ei:i番目の配達履歴のエンゲージメント率
なお、対象特徴量とi番目の履歴特徴量との類似度は例えば下記のように算出される。例えば、「送り主」及び「内容」はそれぞれテキスト情報なので、両成分の類似度は、それぞれ、テキスト類似度が採用される。また、「外寸・重さ」は、高さ、幅、奥行き、重さの4成分からなるベクトルで表されるので、「外寸・重さ」の類似度は、ベクトル類似度が採用される。サーバ1は、「送り主」のテキスト類似度と、「内容」のテキスト類似度と、「外寸・重さ」のベクトル類似度との和を対象特徴量とi番目の履歴特徴量との類似度として算出すればよい。そして、サーバ1は、対象特徴量とi番目の履歴特徴量との類似度を、0以上1以下の値を取るように正規化することで、重み係数γiを算出すればよい。
【0185】
テキスト類似度としては例えばレーベンシュタイン距離又はジャロ・ウィンクラー距離等の距離が採用でき、ベクトル類似度としては、ユークリッド距離又はコサイン距離等の距離が採用できる。さらに、テキスト類似度は、テキスト情報を形態素解析し、形態素解析により得られた各単語を、word2vecに代表される単語のベクトル変換手法によりベクトル化するベクトル類似度を用いて算出されてもよい。
【0186】
このようにして、推定エンゲージメント率を算出すると、サーバ1は、式(5)を用いて対象荷物の最終エンゲージメント率を算出する。
【0187】
最終エンゲージメント率=α×推定エンゲージメント率+β×現在のエンゲージメント率 (5)
式(5)において、係数α、βは、それぞれ、0<α<1、0<β<1、α+β=1である。
【0188】
このように、算出手法その4によれば、過去に配達された荷物に対するユーザのエンゲージメント率を考慮に入れて対象荷物のエンゲージメント率が算出されているので、荷物に対するユーザの関心が正確に反映されたエンゲージメント率を算出することができる。
【0189】
なお、配達履歴テーブルT5において、「エンゲージメント率」フィールドには最終エンゲージメント率が登録されているとして説明したが、本開示はこれに限定されず、推定エンゲージメント率が登録されていてもよいし、現在のエンゲージメント率(算出手法その1~その3のいずれかで算出されたエンゲージメント率)が登録されてもよい。この場合、推定エンゲージメント率は、配達履歴テーブルT5に登録されたエンゲージメント率(推定エンゲージメント率又は現在のエンゲージメント率)が式(4)のEiに代入されて算出されることになる。
【0190】
(宅配ボックスへの収納順序の決定)
集合住宅では、荷物を受け取ることができなかった住人の荷物を一時的に預かる宅配ボックスが設けられている。この宅配ボックスでは、収納できる荷物に限りがあるので、宅配ボックスの収納状況によっては、配達車4が配達できなかった全ての荷物を収納できないことがある。そこで、本開示では、宅配ボックスへの収納対象となる全ての荷物を配達ボックスに収納できない場合、エンゲージメント率の高い順に荷物の収納順序を決定し、その収納順序にしたがって宅配ボックスに荷物を収納する。
【0191】
図16は、配達ボックスへの収納順序を決定する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えば、配達車4がある集合住宅に荷物を配達したときに、ユーザが不在であることを理由に配達することができなかった荷物が発生した場合に実行される。詳細には、配達車4のドライバーにより配達端末3に対して配達できなかった荷物があることを示す未配達指示が入力され、その未配達指示がサーバ1に受信されたことをトリガーに実行される。なお、この未配達指示には、配達できなかった荷物の少なくとも伝票番号が含まれているものとする。
【0192】
まず、サーバ1の制御部11は、配達端末3から送信されたある1の集合住宅における荷物の未配達指示からその1の集合住宅に設置された宅配ボックスに対して収納候補となる荷物を示す荷物リストを作成する(S1601)。この荷物リストには、少なくとも収納候補となる荷物の伝票番号が含まれる。また、この荷物リストに記載された荷物がボックス配達荷物の一例となる。
【0193】
次に、サーバ1は、宅配ボックスを管理する管理装置(第3情報端末の一例)に対して、宅配ボックスにおける空きボックス数m(mは1以上の整数)を問い合わせることで、空きボックス数を取得する(S1602)。ここで、宅配ボックスを管理する管理装置は宅配ボックス内に設けられたコンピュータで構成されてもよいし、ネットワークNT上に配置されたサーバで構成されてもよい。
【0194】
次に、サーバ1の制御部11は、空きボックス数mが収納候補の荷物数より小さいか否かを判定する(S1603)。空きボックス数mが収納候補の荷物数より小さければ(S1603でYES)、サーバ1は、この荷物リストに記載された各荷物のエンゲージメント率を算出する(S1604)。ここで、エンゲージメント率は、上述した算出手法その1~その4のいずれかを用いて算出されればよい。或いは、既にエンゲージメント率が算出されて荷物データベースに登録されているのであれば、荷物データベースから該当する荷物のエンゲージメント率は取得されてもよい。
【0195】
一方、空きボックス数nが収納候補の荷物数以上であれば(S1603でNO)、収納候補の荷物の全てを宅配ボックスに収納できるので、処理は終了される。この場合、サーバ1は、配達端末3に対して、収納候補の荷物の全てを宅配ボックスに配達する指示を送信してもよい。
【0196】
次に、サーバ1の制御部11は、荷物リストに記載された各荷物をエンゲージメント率が高い順にソートし、宅配ボックスへの収納順序を示す収納順序情報を生成する(S1605)。
【0197】
次に、サーバ1の制御部11は、収納候補の荷物のうち、収納順序が高い順に空きボックス数分のm個の荷物を抽出し、抽出した荷物を宅配ボックスに収納させるための収納指示を配達端末3に送信する(S1606)。ドライバーはこの収納指示に指示されたm個の荷物を宅配ボックスを収納する。ここでは、収納指示が配達端末3に送信されるとして説明したが、これは一例であり、収納順序情報が配達端末3に送信されてもよい。この場合、ドライバーは収納順序情報が示す荷物のうち上位n個の荷物を宅配ボックスに収納すればよい。
【0198】
このように、本開示では、エンゲージメント率が高い荷物が優先的に宅配ボックスに収納されるので、エンゲージメント率の高い荷物を優先して宅配ボックスに収納させることができる。ここで、荷物に対する関心の高いユーザは宅配ボックスから速やかに荷物を取り出す可能性が高い。そのため、本態様は、ボックス数に限りのある宅配ボックスの空きボックス数を十分に確保できる。
【0199】
(エンゲージメント率が高い荷物のユーザに事前通知)
本開示では、サーバ1は、エンゲージメント率が閾値以上の荷物のユーザ(以下、プレミアムユーザと呼ぶ)に対しては、配達車4が配送センターを出発したときに配達予想時刻を含む配達情報をユーザ端末2に通知してもよい。閾値としては、例えば、荷物への関心が普通であるユーザのエンゲージメント率に対して所定のマージンを加えた値が採用でき、例えば、0.6、0.7、0.8、0.9といった値が採用できる。
【0200】
図17は、プレミアムユーザに対して配達情報を通知する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えば、配達車4の荷積みが終了したことをトリガーに開始される。ここで、出発情報は、例えば、配達車4への荷積みが終了した際にドライバーの指示によって送信される。
【0201】
まず、サーバ1の制御部11は、配達車4がこれから配達する全ての荷物に関する情報(例えば、伝票番号及び配達位置)が掲載された荷物リストを生成する(S1701)。ここで、サーバ1は、上述した荷物データベース(図略)に対して該当する配達車4に対してどの荷物を配達するかを割り当てた情報を登録しており、この荷物データベースから該当する配達車4に対して割り当てられた荷物を抽出することで、荷物リストを生成すればよい。或いは、出発情報に配達するべき荷物の情報が含まれているのであれば、サーバ1は、この出発情報に含まれる荷物の情報から荷物リストを生成してもよい。
【0202】
次に、サーバ1は、荷物リストに登録された全ての荷物のそれぞれに対するエンゲージメント率を算出する(S1702)。ここで、サーバ1は、上述した算出手法その1~その4のいずれかを用いて各荷物のエンゲージメント率を算出すればよい。或いは、既に荷物データベースに各荷物対して算出されたエンゲージメント率が登録されているのであれば、荷物データベースから該当する荷物のエンゲージメント率を取得すればよい。
【0203】
次に、サーバ1の制御部11は、エンゲージメント率が閾値以上の荷物(以下、「プレミアム荷物」と記述する。)が荷物リスト内にあるか否かを判定する(S1703)。プレミアム荷物があれば(S1703でYES)、サーバ1の制御部11は、現在の交通状況を元にプレミアム荷物の配達予想時刻を算出する(S1704)。一方、プレミアム荷物がなければ(S1703でNO)、処理は終了される。
【0204】
ここで、サーバ1の制御部11は、該当する配達車4が担当する地域のVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)情報(道路交通情報の一例)をネットワークから取得することで現在の交通状況を取得すればよい。そして、サーバ1の制御部11は、VICS(登録商標)情報と、荷物リストに登録されたすべての荷物の配達位置と、現在時刻とを所定の経路探索アルゴリズムに適用して、各荷物を配達する上で最適な配達経路を地図情報から探索し、探索した配達経路を用いて各荷物の配達予想時刻を算出すればよい。ここで、経路探索アルゴリズムとしては、例えば、Aスターアルゴリズム又はダイクストラといったアルゴリズムが採用できる。
【0205】
次に、サーバ1の制御部11は、プレミアム荷物のそれぞれについて、配達予想時刻及び配達車4の配送センターの出発時刻等を含む配達情報を個別に生成し、プレミアムユーザのユーザ端末2に送信する(S1705)。
【0206】
このように、本開示は、エンゲージメント率が閾値以上である荷物のユーザであるプレミアムユーザに対しては、配達車4への荷積みが終了したとき、出荷時刻及び配達予想時刻を含む配達情報が送信されるので、プレミアムユーザに対して手厚いサービスを提供できる。
【0207】
(プレミアムユーザに対して事前に架電)
本開示では、サーバ1はプレミアムユーザに対してまもなく荷物が配達される旨の通知をしてもよい。図18は、プレミアムユーザに対してまもなく荷物が配達される旨の通知をする際のサーバ1の処理の一例を示す図である。なお、このフローチャートは、配達車4が配送センターを出発した後、配達車4から位置情報を取得する度に繰り返し実行されるものとする。
【0208】
まず、サーバ1の制御部11は、配達端末3から配達車4の現在位置を示す位置情報を取得する(S1801)。次に、サーバ1の制御部11は、配達車4が配達するべき全ての荷物に関する情報が掲載された荷物リストの中から、配達車4の現在位置に対して一定範囲内に配達先の住所が位置する1又は複数の荷物を抽出する(S1802)。ここで、一定範囲とは、図5で説明された一定範囲D1のことを指す。
【0209】
次に、サーバ1の制御部11は、抽出した各荷物のエンゲージメント率を算出する(S1803)。ここで、サーバ1の制御部11は、上述した算出手法その1~その4のいずれかを用いて該当する各荷物のエンゲージメント率を算出すればよい。或いは、既に荷物データベースに各荷物に対して算出されたエンゲージメント率が登録されているのであれば、荷物データベースから該当する荷物のエンゲージメント率を取得すればよい。
【0210】
次に、サーバ1の制御部11は、S1802で抽出した荷物をエンゲージメント率が高い順にソートして該当する各荷物に対する連絡順序を設定する(S1804)。
【0211】
次に、サーバ1の制御部11は、設定した連絡順序においてエンゲージメント率が閾値以上である、上位k(kは1以上の整数)個の荷物のユーザをそれぞれプレミアムユーザとして設定し、k人のプレミアムユーザのユーザ端末2に架電して、プレミアムユーザに対してまもなく荷物が配達される旨の通知を行う(S1805)。
【0212】
ここで、架電は、人工知能からなる電話オペレータにより実行されてもよいし、人間からなる電話オペレータにより実行されてもよい。また、架電の順序はエンゲージメント率が高い順に行ってもよいし、k人の電話オペレータが同時に行ってもよい。また、ここでは、架電するとして説明したが、これは一例であり、まもなく荷物が配達される旨のメッセージを含む電子メールをプレミアムユーザのユーザ端末2に送信してもよい。
【0213】
このように、本開示では、プレミアムユーザに対しては、配達位置から一定範囲内に配達車が入ったとき、まもなく荷物が配達される旨の通知が行われるので、プレミアムユーザに対してより手厚いサービスを提供できる。
【0214】
(プレミアム荷物の時間遵守)
本開示では、サーバ1は、プレミアム荷物が事前に通知した配達予想時刻を越えることを検知した場合、プレミアム荷物の配達順序を繰り上げて、配達予想時刻を遵守するようにしてもよい。
【0215】
図19は、プレミアム荷物の配達予想時刻を遵守させる処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えば、配達車4が配送センターを出発した後で周期的に繰り返し実行されるものとする。なお、このフローチャートが開始される前において、既に図17の処理が実行されており、プレミアムユーザに対しては配達予想時刻が通知されているものとする。図19のフローチャートの実行周期としては、例えば、5分程度が想定されているが、これは一例であり、5分以外の値が採用されてもよい。また、このフローチャートが開始される前に配達車4が配達するべき荷物のうち、エンゲージメント率が閾値以上であるプレミアム荷物に関する情報が掲載されたプレミアム荷物リストが事前に作成されているものとする。プレミアム荷物リストには少なくともプレミアム荷物の伝票番号が記載されている。
【0216】
まず、サーバ1の制御部11は、プレミアム荷物リストから一つのプレミアム荷物を選択する(S1901)。ここで、プレミアム荷物を選択する順序は、例えばエンゲージメント率が高い順序であってもよいし、配達車4の現在位置から配達先までの距離が近い順序であってもよいし、任意の順序が採用されればよい。
【0217】
次に、サーバ1の制御部11は、現在の交通状況を元にプレミアム荷物の配達予想時刻を算出する(S1902)。ここで、配達予想時刻の算出手法はS1704と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0218】
次に、サーバ1の制御部11は、S1902で算出した配達予想時刻が伝達済配達時刻を越えるか否かを判定する(S1903)。ここで、伝達済配達時刻とは、プレミアムユーザに対して既に通知している配達予想時刻のことを指し、図17のS1704で算出された配達予想時刻のことを指す。
【0219】
次に、サーバ1の制御部11は、配達予想時刻が伝達済予想時刻を超えると判定した場合(S1903でYES)、該当するプレミアム荷物の配達順序を一つ繰り上げ(S1904)、処理が1902に戻される。一方、配達予想時刻が伝達済予想時刻を超えないと判定した場合(S1903でNO)、処理はS1905に進められる。
【0220】
すなわち、サーバ1の制御部11は、配達予想時刻が伝達済配達時刻を超えなくなるまで、プレミアム荷物の配達順序を一つずつ繰り上げていくのである。なお、サーバ1の制御部11は、一つ前の荷物が非プレミアム荷物であれば、そのまま、プレミアム荷物の順序を1つ繰り上げ、一つ前の荷物もプレミアム荷物であれば、両プレミアム荷物を1つ繰り上げてもよい。
【0221】
S1905では、サーバ1の制御部11は、全てのプレミアム荷物を選択したか否かを判定し、選択されていないプレミアム荷物があれば(S1905でNO)、処理をS1901に戻し、次に処理対象となるプレミアム荷物を選択する。一方、サーバ1の制御部11は、全てのプレミアム荷物が選択していれば(S1905でYES)、処理を終了する。
【0222】
図20は、図19の処理の具体例を示すタイムチャートである。図20において、上段は元の配達順序を示し、中段は渋滞によりA宅への到着が遅れた場合を示し、下段は修正後の配達順序を示している。
【0223】
元の配達順序は、例えば、配達車4が配送センターを出発するときに設定された配達順序であってもよいし、図19のフローチャートが前回実施されたときに設定された配達順序であってもよい。
【0224】
図20の例では、元の配達順序は、19時45分に配達車4が配送センターを出発し、A宅、B宅、C宅、及びD宅の順番で荷物を配達するように設定されている。また、元の配達順序において、A宅、B宅、C宅、及びD宅のそれぞれの配達予想時刻は、20時00分、20時10分、20時20分、及び20時30分である。なお、A宅、B宅、C宅、及びD宅とは、それぞれ、ユーザUA、UB、UC、及びUDの自宅であり、荷物の配達位置である。ユーザUCはエンゲージメント率が閾値以上の荷物のユーザであるプレミアムユーザであり、プレミアム荷物が配達される。ユーザUCには、既に配達予想時刻として20時20分が伝達されている。つまり、20時20分はユーザUCの伝達済配達時刻である。
【0225】
図20の中段に示すように、A宅に向かっている途中で渋滞が発生し、配達車4は渋滞に遭遇している。この渋滞の発生に伴って、サーバ1の制御部11は、図19の処理により、再度、A~D宅のそれぞれの配達予想時刻を算出すると、20時05分、20時15分、20時25分、20時35分となり、C宅への配達予想時刻がユーザUCの伝達済配達時刻である20時20分(デッドライン)を超えている。
【0226】
そこで、サーバ1の制御部11は、ユーザUCのプレミアム荷物の配達順序を一つ繰り上げる。すなわち、ユーザUCのプレミアム荷物の配達をユーザUCのプレミアム荷物の配達をA宅への荷物の配達とB宅への荷物の配達との間に行うように設定し、再度、A~D宅の配達予想時刻を算出する。すると、下段に示すように、A宅、C宅、B宅、D宅のそれぞれの配達予想時刻が20時05分、20時15分、20時25分、20時35分と算出され、C宅の配達予想時刻「20時15分」がデットラインである20時20分を超えていない。これにより、プレミアム荷物に対して既に通知した伝達済配達時刻が遵守されていることが分かる。
【0227】
このように、本開示によれば、渋滞に遭遇する等の理由により伝達済配達時刻に荷物を配達できない状況が発生したとしても、その荷物がプレミアム荷物であれば、荷物の伝達済配達時刻が遵守されるように配達順序が修正される。そのため、プレミアムユーザに対してより手厚いサービスを提供できる。
【0228】
(プレミアムユーザに対して速やかに配達できなかった旨の通知)
本開示では、サーバ1は、プレミアム荷物を配達できなかった場合、速やかにプレミアムユーザにその旨を通知してもよい。図21は、プレミアム荷物を配達できなかった旨を通知する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、配達端末3から未配達情報が送信されたことをトリガーに実行される。ここで、未配達情報は、荷物の配達先に到着したもののユーザにその荷物を手渡すことができなかった場合に、ドライバーの指示によって配達端末3からサーバ1に送信される情報であり、例えば、該当する荷物の伝票番号が含まれている。なお、未配達情報は、配達できなかった1つの荷物について1つの未配達情報が送信されてもよいし、配達できなかった複数の荷物について1つの未配達情報が送信されてもよい。
【0229】
まず、サーバ1の制御部11は、未配達情報に示される荷物、すなわち、配達できなかった荷物のエンゲージメント率を算出する(S1501)。ここで、サーバ1の制御部11は、上述した算出手法その1~その4のいずれかを用いてエンゲージメント率を算出すればよい。また、既に該当する荷物に対して算出されたエンゲージメント率が荷物データベースに登録されているのであれば、サーバ1の制御部11は、荷物データベースから該当する荷物のエンゲージメント率を取得してもよい。
【0230】
次に、サーバ1の制御部11は、該当する荷物のエンゲージメント率が閾値を超えているか否か、すなわち、該当する荷物がプレミアム荷物であるか否かを判定する(S1502)。プレミアム荷物であれば(S1502でYES)、サーバ1の制御部11は、該当する荷物の受取人、すなわち、該当する荷物のプレミアムユーザに架電し、荷物を配達できなかった旨の通知(未配達通知情報の一例)を行う。一方、プレミアム荷物でなければ(S1502でNO)、すなわち、非プレミアム荷物であれば、そのユーザには荷物を配達できなかった旨の通知はされず、処理は終了される。ここで、架電は、人工知能からなる電話オペレータにより行われてもよいし、人間からなる電話オペレータにより行われてもよい。
【0231】
ここでは、プレミアムユーザに架電するとして説明したが、荷物が配達できなかった旨のメッセージ(未配達通知情報の一例)を生成し、該当するプレミアムユーザのユーザ端末2に送信してもよい。
【0232】
架電又はメッセージにより荷物が配達できなかった事実を認識したプレミアムユーザは、直ぐに、電話オペレータ又は配達車4のドライバーと連絡を取る等して、荷物を受け取るための措置をとることができる。例えば、配達時にたまたま近所に外出していた、或いは、配達時に在宅していたもののたまたま手を離すことができない作業をしていたような場合であれば、プレミアムユーザは、今、在宅している又はまもなく帰宅するので直ぐに家に来てほしい旨を電話オペレータ又は配達車4のドライバーに伝えることで、直ぐに荷物を受け取ることができる。また、こうすることで、配達車4の荷物の残量を減らすことができ、配達効率を高めることができる。
【0233】
(荷物をクラスに分類)
本開示では、複数の荷物のそれぞれをエンゲージメント率の値に対応したクラスに分類し、クラスに応じて時間幅が異なるように複数の配達時間帯の候補を決定し、複数の配達時間帯の候補の中から希望する希望配達時間帯をユーザに選択させてもよい。
【0234】
以下、複数のクラスとして、エンゲージメント率の高い順に、プレミアムクラス、準プレミアムクラス、及び一般クラスの3つのクラスがあるものとして説明する。但し、これは一例であり、複数のクラスは4つ以上のクラスで構成されていてもよいし、2つのクラスで構成されていてもよい。
【0235】
図22は、荷物がクラスに分類される際の処理の一例を示すフローチャートである。このフローは、例えば、少なくとも1日単位で実施される。S2201では、サーバ1の制御部11は、荷物データデータベース(図略)に登録された荷物であって配達予定日時が決定されていない荷物をクラスに分類する。ここでは、サーバ1の制御部11は、各荷物に対して算出されたエンゲージメント率に基づいて、各荷物をプレミアムクラス、準プレミアムクラス、及び一般クラスに分類する。例えば、荷物データベースに登録された全荷物のうちエンゲージメント率が上位Z1%未満の荷物がプレミアムクラスに分類され、上位Z1%以上、上位Z2(>Z1)%未満の荷物が準プレミアム荷物に分類され、残りの荷物が一般クラスに分類される。ここで、Z1%としては、例えば1%~3%程度の値が採用され、Z2%としては、例えば10%程度の値が採用される。
【0236】
S2202では、サーバ1の制御部11は、各荷物について配達時間帯の候補を決定する。ここでは、プレミアムクラスに属する荷物の配達時間帯の候補の時間幅は第1時間幅に設定され、準プレミアムに属する荷物の配達時間帯の候補の時間幅は第1時間幅よりも長い第2時間幅に設定され、一般クラスに属する荷物の配達時間帯の候補の時間幅は第2時間幅よりも長い第3時間幅に設定される。ここで、第1時間幅は、例えば30分であり、第2時間幅は、例えば1時間であり、第3時間幅は、例えば2時間である。第1時間幅を有する配達時間帯の例は、9:00から9:30であり、第2時間幅を有する配達時間帯の例は、9:00から10:00であり、第3時間幅を有する配達時間帯の例は、9:00から11:00である。
【0237】
これにより、プレミアムクラスに属する荷物のユーザは、30分刻みで希望配達時間帯を選択でき、準プレミアムクラスに属する荷物のユーザは、1時間刻みで希望配達時間帯を選択でき、一般クラスに属する荷物のユーザは、2時間刻みで希望配達時間帯を選択できる。
【0238】
なお、配達時間帯の候補とは、荷物を受け取るユーザが希望配達時間帯として選択可能な時間帯の候補のことを指す。本開示では、プレミアムクラスについては、配達車4の1日の稼働時間帯を第1時間幅で区切ったときの1区画が1の配達時間帯の候補となり、準プレミアムクラスについては、稼働時間帯を第2時間幅で区切ったときの1区画が1の配達時間帯の候補となり、一般クラスについては、稼働時間帯を第3時間幅で区切ったときの1区画が1の配達時間帯の候補となる。稼働時間帯としては、例えば、9時から21時までというように配達車4の1日における営業時間帯が採用される。
【0239】
S2203では、サーバ1の制御部11は、S2201でクラス分けされた各荷物を受け取る各ユーザのユーザ端末2に対して配達時間帯の候補を通信部12を用いて送信する。
【0240】
S2211では、ユーザ端末2の制御部21は、サーバ1から送信された配達時間帯の候補を通信部25を用いて受信し、表示部36に表示する。これにより、各ユーザに対してエンゲージメント率に応じた配達時間帯の候補が複数提示される。複数の配達時間帯の候補の例は、9:00~9:30、9:30~10:00、・・・、20:30~21:00である。
【0241】
S2212では、ユーザ端末2の制御部21は、配達時間帯の候補の中からユーザにより操作部23を用いて選択された1の配達時間帯の候補を希望配達時間帯として取得する。この場合、各ユーザのユーザ端末2の表示部36には、例えば、配達車4の1日の稼働時間帯の中からクラスに応じた時間幅で希望配達時間帯が選択可能なユーザインターフェースが表示される。ユーザはこのユーザインターフェースに対して希望配達時間帯を選択する操作を入力することで、ユーザ端末2の制御部21に希望配達時間帯を取得させればよい。なお、このユーザインターフェースは、希望配達日も選択可能に構成されてもよい。この場合、ユーザ端末2の制御部21は、希望配達時間帯に加えて希望配達日も取得することになる。
【0242】
S2213では、ユーザ端末2の通信部25は、S2212で取得された希望配達時間帯をサーバ1に送信する。この場合、希望配達日も取得されているのであれば希望配達日も送信される。
【0243】
S2204では、サーバ1の通信部12は、ユーザ端末2から送信された希望配達時間帯を受信する。
【0244】
S2205では、サーバ1の制御部11は、荷物データベースを参照し、本日において各配達車4が配達を担当する荷物の割り振りを行う。ここで、サーバ1の制御部11は、各荷物の配達先の住所を用いて割り振りを行えばよい。この場合、希望配達日が指定されている荷物があればそれも考慮に入れて本日の各配達車4への荷物の割り振りを行えばよい。なお、希望配達日が指定されていない荷物については、サーバ1の制御部11は、希望配達日が指定された荷物を優先しつつ、可能な限り配達日が早くなるように、本日の各配達車4への荷物の割り振りを行えばよい。
【0245】
S2206では、サーバ1の制御部11は、各配達車4に割り振られた複数の荷物についての配達順序を決定する。ここで、サーバ1の制御部11は、複数の荷物のそれぞれについて希望配達時間帯に該当する荷物の配達が可能となるように、最適化問題を解くことにより、各荷物の配達順序を決定すればよい。例えば、サーバ1の制御部11は、希望配達時間帯内に荷物を配達するという制約の下、各荷物の配達先の住所を用いて配達コストが最小となるような配達経路を地図情報から探索することで各荷物の配達予定時刻を決定し、配達順序を決定すればよい。
【0246】
S2207では、サーバ1の制御部11は、S2206で配達車4ごとに決定した複数の荷物の配達順序を示す配達順序情報を通信部12を用いて該当する配達端末3に送信する。この場合、サーバ1の制御部11は、配達車4が本日の配達を開始する際に配達端末3に送信すればよい。
【0247】
配達順序情報を受信した配達端末3は、その配達順序情報を示す配達順序を表示部36に表示させ、その配達順序に従ってドライバーを案内すればよい。
【0248】
このように、本開示では、エンゲージメント率の高いクラスに属する荷物ほど、1の配達時間帯の候補の時間幅が短く設定されるため、エンゲージメント率の高いクラスに属する荷物のユーザは、希望配達時間帯をより詳細な分解能で選択することが可能となる結果、ジャストインタイムで荷物を受け取ることが可能となる。
【0249】
なお、荷物をクラス分けする態様においては、下記の変形例が採用できる。
【0250】
上記説明では、配達車4の稼働時間帯はクラスに拘わらず一定であるものとして説明したが、本開示はこれに限定されず、クラスに応じて異なる稼働時間帯が採用されてもよい。この場合、エンゲージメント率が高いクラスほど長い稼働時間帯が採用されてもよい。
【0251】
例えば、一般クラスについては、稼働時間帯として通常の営業時間帯(例えば、9時から21まで)が採用され、準プレミアムクラスについては、稼働時間帯として通常の営業時間帯を含み且つ通常の営業時間帯よりも長い準プレミアム時間帯(例えば、5時から24時まで)が採用され、プレミアムクラスについては、準プレミアム時間帯を含み且つ準プレミアム時間帯よりも長いプレミアム時間帯(例えば、0時から24時まで)が採用されてもよい。通常の時間帯は第1時間帯の一例に相当し、準プレミアム時間帯及びプレミアム時間帯は第2時間帯の一例に相当する。ここでは、クラスに応じて3つの稼働時間帯が採用されたが、クラスが2クラスであれば2つのクラスに対応する2つの稼働時間帯が採用され、クラスが4クラス以上であれば、4つ以上のクラスに対応する4つ以上の稼働時間帯が採用されればよい。
【0252】
これにより、プレミアムクラスに属する荷物のユーザは、プレミアム時間帯の中から30分刻みで希望配達時間帯を選択でき、準プレミアムクラスに属する荷物のユーザは準プレミアム時間帯の中から1時間刻みで希望配達時間帯を選択でき、一般クラスに属する荷物のユーザは、通常の営業時間帯の中から2時間刻みで希望配達時間帯を選択することができる。
【0253】
このように、この変形例では、プレミアムクラスに属する荷物のユーザ及び準プレミアムクラスに属する荷物のユーザは、一般クラスに属する荷物のユーザに比べて稼働配達時間帯が長く設定されるため、プレミアムクラスに属する荷物のユーザ及び準プレミアムクラスに属する荷物のユーザに対してプレミアム感を付与することができ、一般クラスに属する荷物のユーザとの差別化を有効に図ることができる。
【0254】
AI技術の発展により自動運転により荷物を配達する配達車4が今後普及することが見込まれており、この場合、従来の営業時間帯の縛りがなくなり、24時間での荷物の配達が実現されることが見込まれている。そのため、本変形例は、配達車4が自動運転される形態が普及された場合において、エンゲージメント率の高い荷物のユーザに対してプレミアム感を効果的に付与できる。
【0255】
また、上記の荷物をクラスに分類する態様において、下記の変形例が採用されてもよい。例えば、サーバ1の制御部11は、ある1の配達車4が配達する複数の荷物の中に、同一の集合住宅内、ビル内、又は敷地内を配送先とするプレミアムクラスに属する荷物が複数含まれている場合、これら複数の荷物のうち1個(上限個数の一例)の荷物をプレミアムクラスに属する荷物に分類し、残りの荷物を準プレミアムクラス又は一般クラスに格下げしてもよい。以下、同一の集合住宅、ビル、及び敷地を総称して、同一建物と記述する。
【0256】
上述したようにプレミアムクラスのユーザは、30分刻みで希望配達時間帯を選択できる。そのため、例えば、同一の建物内にプレミアムクラスのユーザが2名存在し、一方のユーザが、例えば荷物の希望配達時間帯を「9:00-9:30」の時間帯に選択し、他方のユーザが、例えば荷物の希望配達時間帯を「10:00-10:30」の時間帯に選択することも起こり得る。この場合、配達車4は、一方のユーザに対して「9:00-9:30」の時間帯に荷物を配達した後、他方のユーザの荷物を配達するために「10:00-10:30」の時間帯に再度同一建物に戻る必要があり、配達効率の悪化が懸念される。
【0257】
この変形例では、同一建物内に属するプレミアムクラスの荷物は、1個に制限されるので、例えば、一方のユーザの荷物がプレミアムクラスとされ、他方のユーザの荷物は準プレミアムクラス又は一般クラスに格下げされる。すなわち、サーバ1の制御部11は、他方のユーザの荷物を、プレミアムクラスから、準プレミアムクラス又は一般クラスに変更してもよい。ここで、準プレミアムクラス又は一般クラスのユーザは、1時間又は2時間刻みでしか希望配達時間帯を選択できない。そのため、格下げされた他方のユーザが、例えば「9:00-10:00」又は「9:00-11:00」を希望配達時間帯として選択するというように、一方のユーザの希望配達時間帯と重複する時間帯を希望配達時間帯として選択する可能性を高めることができる。その結果、配達車4は、一方のユーザの荷物と他方のユーザの荷物とを一度に配達することが可能となり、配達効率を高めることができる。
【0258】
上記説明では、プレミアムクラスの荷物に維持される荷物は1個として説明したが、これは一例であり、2個以上であってもよい。また、プレミアムクラスの荷物を格下げ対象として説明したが、準プレミアムクラスの荷物も格下げ対象にされてもよい。例えば、同一建物内に属するプレミアムクラスの荷物を1個に制限し、残りのプレミアムクラスの荷物を準プレミアムクラス又は一般クラスに格下げすると共に、同一建物内に属する準プレミアムクラスの荷物を1個に制限し、残りの準プレミアムクラスの荷物を一般クラスに格下げしてもよい。
【0259】
なお、この変形例を採用した場合、本来的にはプレミアムクラスであるはずの荷物が格下げされてしまうため、格下げされた荷物のユーザに不公平感を与えてしまうおそれがある。また、このしくみを熟知しているユーザは、常時、配達状況アプリ又は配達状況通知サービスを提供するWebサイトにアクセスする等して自己の荷物のエンゲージメント率を高める措置をとり、同一建物内においてこのユーザの荷物ばかりがプレミアム荷物として分類されるという事態も起こり得る。
【0260】
そこで、本開示では下記の態様が採用されてもよい。
【0261】
例えば、上記の例において、今回格下げされた荷物のユーザは、次回配達される荷物はプレミアム荷物に分類され、今回プレミアム荷物に分類された一方のユーザの次回配達される荷物は準プレミアムクラス又は一般クラスに分類されてもよい。具体的は、サーバ1の制御部11は、格下げされた荷物のユーザに関する情報を格下げ履歴としてメモリ13に保持しておく。そして、サーバ1の制御部11この格下げ履歴に基づいて同一建物内においてプレミアム荷物のユーザが複数居住している場合、これら複数のユーザのうちプレミアム荷物のユーザに分類される1名のユーザをローテーション(輪番制)により決定すれすればよい。例えば、今回の配達において、ユーザPU1のプレミアム荷物PP1、ユーザPU2のプレミアム荷物PP2のうち、プレミアム荷物PP1はプレミアムクラスの荷物に維持し、プレミアム荷物PP2を準プレミアムクラス又は一般クラスに格下げした場合、次回の配達において、ユーザPU1のプレミアム荷物PP3、ユーザPU2のプレミアム荷物PP4のうち、プレミアム荷物PP4はプレミアムクラスの荷物に維持し、プレミアム荷物PP3を準プレミアムクラス又は一般クラスに格下げしてもよい。これにより、格下げされた荷物のユーザの不公平感を無くすことができると共に同一建物内において特定のユーザの荷物ばかりがプレミアム荷物として分類される事態を回避できる。
【0262】
また、格下げされた荷物のユーザの不公平感を低減するために、サーバ1の制御部11は、当該ユーザのユーザ端末2に対して、今回配達された荷物は格下げされたが次回配達される荷物はプレミアム荷物として取り扱われる可能性がある旨のメッセージを通信部12を用いて送信してもよい。
【0263】
また、上記説明では、同一建物内を配達先とする荷物が格下げの適用対象とされたが、本開示はこれに限定されず、例えば、ある一定半径以内のエリアを配達先とすると荷物が格下げの適用対象とされてもよい。一定半径としては、例えば、10m、20m、30mといった値が採用できる。このような小さなエリア内を配達先とするプレミアム荷物が複数存在する場合、同一建物内を配達先とする場合と同様に配達効率の悪化が懸念される。そこで、サーバ1の制御部11は、ある一定半径以内のエリアを配達先とするプレミアムクラスの荷物が複数存在する場合、1個の荷物をプレミアムクラスに分類し、残りの荷物を準プレミアムクラス又は一般クラスに分類してもよい。この場合、サーバ1の制御部11は、メモリ13に格下げされた荷物のユーザに関する情報を含む格下げ履歴を保持させ、この格下げ履歴を用いて同一エリア内を配達先とする複数の荷物のうちプレミアムクラスに分類する1個の荷物をローテーション(輪番制)により決定してもよい。
【0264】
(伝票番号の入力)
図13で説明した配達状況通知サービスを提供するWebサイトは、ユーザから荷物の配達依頼を受け付けた後、ユーザにより荷物の伝票番号が入力された場合、荷物の配達予定日又は配達予定日時をユーザに提示する機能を備えていてもよい。
【0265】
図23は、配達状況通知サービスを提供するWebサイトにおける伝票番号の入力画面G23の一例を示す図である。
【0266】
この入力画面G23は、例えば、図13に示すお知らせ画面G131において、図略の入力画面G23への遷移させるボタンを選択する操作がユーザにより入力されることでユーザ端末2の表示部26に表示される。
【0267】
入力画面G23には、伝票番号の入力欄R231とQRコード(登録商標)の入力欄R232とを備えている。ユーザは、操作部23を操作することで、荷物の配達依頼を行った際に発行された荷物の伝票番号を入力欄R231に入力する。すると、ユーザ端末2の通信部25は、入力された伝票番号をサーバ1に送信する。
【0268】
荷物の配達依頼を行った際にQRコードが発行されたのであれば、ユーザはそのQRコードを入力欄R232の枠内に表示させてユーザ端末2が備えるカメラに撮影させる。すると、ユーザ端末2の制御部11はQRコードを伝票番号に変換し、通信部25を用いてサーバ1に送信する。
【0269】
図24は、サーバ1のメモリ13が記憶する配達予定表T24のデータ構造の一例を示す図である。配達予定表T24は、上述した荷物データベースから各荷物の配達予定日時に関する情報を抽出することで予め作成されてメモリ13に記憶されたテーブルである。
【0270】
具体的には、配達予定表T24は、「伝票番号」、「ユーザID」、「配達予定日」、及び「配達予定時刻」のフィールドを備えている。「伝票番号」は荷物データベースに登録された荷物を一意に特定するための識別子であり、例えば、サーバ1の制御部11が荷物の配達依頼を受け付けたときに発行される。「ユーザID」は荷物の受け取るユーザの識別子である。「配達予定日」は荷物がユーザに配達される予定日を示し、サーバ1の制御部11によって決定される。「配達予定時刻」は荷物がユーザに配達される予定時刻でありサーバ1の制御部11によって決定される。
【0271】
サーバ1の制御部11は、ユーザ端末2から送信された伝票番号が通信部12によって受信されると、該当する荷物の伝票番号が登録されたレコードを配達予定表T24から取得し、そのレコードに記憶されている配達予定日及び配達予定時刻を読み出す。そして、サーバ1の制御部11は、読み出した配達予定日及び配達予定時刻を通信部12を用いて、伝票番号を送信したユーザ端末2に送信する。
【0272】
ユーザ端末2の制御部21は、送信された配達予定日及び配達予定時刻を通信部25が受信すると、その配達予定日及び配達予定時刻を含むWebページを表示部26に表示させる。この場合、ユーザ端末2の制御部21は、例えば、図13の右側に示すようなお知らせ画面G132を表示部26に表示させればよい。
【0273】
なお、ユーザ端末2の制御部21は、ユーザが伝票番号を入力して配達予定日及び配達予定時刻を閲覧した場合、閲覧時刻をユーザIDと対応付けてサーバ1に送信してもよい。これにより、サーバ1の制御部11は、ユーザが配達予定日及び配達予定時刻を閲覧した閲覧時刻を検知することができる。
【0274】
そして、サーバ1の制御部11は、荷物の受注時にユーザ端末2に送信した配達通知メールの送信時刻と閲覧時刻との時間差を算出し、上述の式(1)又は式(2)を用いてエンゲージメント率を算出してもよい。
【0275】
なお、この態様を採用する場合、エンゲージメント率の算出手法その1で説明した配達通知メールを送信する態様と、図13で説明した配達通知サービスを提供するWebサイトを通じて荷物の状況をユーザに提供する態様とを組み合わせればよい。
【0276】
また、図23の入力画面G23は、図13に示す配達通知サービスを提供するWebサイトの例に適用されたが、これは一例であり、図9に示す配達状況アプリの例に適用されてもよい。
【0277】
本開示は下記の変形例が採用できる。
【0278】
(1)上記説明では明記しなかったが、本開示は、1のユーザに対して複数の荷物が配達される態様も含まれる。この場合、サーバ1は、1のユーザに対して、各荷物のそれぞれについて個別にエンゲージメント率を算出して、配達順序を決定すればよい。
【0279】
(2)上記説明では、荷物リストの中から配達車4の現在位置に対して一定範囲D1内にある荷物が抽出され、抽出された荷物の配達順序がエンゲージメント率に基づいて設定されていが、本発明はこれに限定されず、荷物リストに記載された全ての荷物の配達順序がエンゲージメント率に基づいて算出されてもよい。
【0280】
上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、上記実施の形態において説明された複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【0281】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素は、当該構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0282】
また、制御部などの構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。制御部等の構成要素は、具体的には、回路または集積回路によって実現されてもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0283】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0284】
本開示によれば、ユーザに荷物の配達の緊急性を明示的に入力させることなく、適切な配達順序を設定できるので、ネット通販の物流システムに対して有用である。
【符号の説明】
【0285】
1:サーバ
2:ユーザ端末
3:配達端末
4:配達車
10:提示システム
11、21、31:制御部
12、25、35:通信部
13、22、32:メモリ
D1:一定範囲
NT:ネットワーク
T1:開封履歴テーブル
T2:開封履歴テーブル
T3:滞在履歴テーブル
T4:Web滞在履歴テーブル
T5:配達履歴テーブル
T6:荷物テーブル
図1
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