(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】デジタルマイクロ流体デバイス、マイクロ流体装置、ラボオンチップデバイス、デジタルマイクロ流体方法、及びデジタルマイクロ流体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230331BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230331BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230331BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230331BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230331BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20230331BHJP
B81B 1/00 20060101ALI20230331BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20230331BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G01N35/08 B
H01L29/78 619A
H01L29/78 612Z
H01L27/146 C
G01N37/00 101
B01J19/00 321
B81B1/00
B81B7/02
B81C1/00
(21)【出願番号】P 2019568168
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 CN2018105221
(87)【国際公開番号】W WO2019134388
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】201810008675.9
(32)【優先日】2018-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フェンチュン・パン
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ・カイ
(72)【発明者】
【氏名】ユエ・ゲン
(72)【発明者】
【氏名】レ・グ
(72)【発明者】
【氏名】チュンチェン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ハイリン・シュエ
(72)【発明者】
【氏名】シビン・シャオ
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107497509(CN,A)
【文献】特開2011-228733(JP,A)
【文献】特開2012-018400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0007608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 37/00
H01L 29/78
H01L 27/146
B01J 10/00-12/00
B01J 14/00-19/32
B81B 1/00- 7/04
B81C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタ駆動基板を備え、
前記薄膜トランジスタ駆動基板は、
第1のベース基板と、
複数のサンプル作動ユニットと、
複数のサンプル位置検出ユニットと、
前記複数のサンプル作動ユニット及び前記複数のサンプル位置検出ユニットの前記第1のベース基板から離れた側に位置する誘電絶縁層と、
前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第1の疎水層とを備え、
前記複数のサンプル作動ユニットの各々は、
前記第1のベース基板上に位置し、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備える第1の薄膜トランジスタと、
前記第1のドレイン電極に電気的に接続され、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成された第1の電極とを備え、
前記複数のサンプル位置検出ユニットの各々は、
前記第1のベース基板上に位置し、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備える第2の薄膜トランジスタと、
前記第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における前記液滴の有無を検出するように構成された光センサ
と、
前記第1のベース基板と前記第1の電極との間であって、前記光センサの前記第1のベース基板から離れた側に位置する共通電極とを備える、デジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極に電気的に接続され、前記第1の薄膜トランジスタ及び前記第2の薄膜トランジスタをターンオンするためのゲート走査信号を供給するように構成されたゲート線と、
前記第1のソース電極に電気的に接続され、前記第1の薄膜トランジスタがターンオンすると、前記第1の電極に駆動信号を供給するように構成された第1の電極駆動信号線と、
前記第2のドレイン電極に電気的に接続され、前記光センサによって検出された信号を送信するように構成された読み出し線とをさらに備える、請求項1に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記共通電極への共通電圧信号を供給されるように構成された共通電極信号
線をさらに備え、
前記共通電極は、前記光センサに電気的に接続され、
前記光センサは、
前記共通電極に電気的に接続された第1の極性領域と、
前記第2のソース電極に電気的に接続された第2の極性領域と、
前記第1の極性領域と前記第2の極性領域とを電気的に接続するダイオード接合部とを備える、請求項1から2のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記第2の極性領域を前記第2のソース電極に電気的に接続するコンタクト電極をさらに備え、
前記コンタクト電極及び前記第2のソース電極は、同一層に位置し、同一の材料を含む、請求項3に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記第2のソース電極の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第1の絶縁層をさらに備え、
前記光センサの前記第2のソース電極に隣接する側面は、前記第1の絶縁層を介して前記第2のソース電極から離間されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記第1の絶縁層は、前記第1のソース電極、前記第1のドレイン電極、前記第2のソース電極及び前記第2のドレイン電極の前記第1のベース基板から離れた側に位置し、
前記薄膜トランジスタ駆動基板は、前記第1の絶縁層を貫通する第1のビアを備え、
前記光センサは、前記第1のビアを介して前記第2のソース電極に電気的に接続される、請求項5に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記共通電極及び前記光センサの前記第1のベース基板から離れた側に位置する第2の絶縁層と、
前記共通電極への共通電圧信号を供給されるように構成され、前記第2の絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に位置する共通電極信号線とをさらに備え、
前記共通電極は、前記光センサに電気的に接続され、
前記薄膜トランジスタ駆動基板は、前記第2の絶縁層を貫通する第2のビアを備え、
前記共通電極信号線は、前記第2のビアを介して前記共通電極に電気的に接続される、請求項6に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記共通電極信号線の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第3の絶縁層をさらに備え、
前記第1の電極は、前記第3の絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側、かつ前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板に面する側に位置し、
前記薄膜トランジスタ駆動基板は、前記第3の絶縁層及び前記第2の絶縁層を貫通する第3のビアを備え、
前記第1の電極は、前記第3のビアを介して前記第1のドレイン電極に電気的に接続されている、請求項7に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記薄膜トランジスタ駆動基板から離間されている対向基板をさらに備え、
前記対向基板は、
第2のベース基板と、
前記第2のベース基板の前記薄膜トランジスタ駆動基板に面する側に位置する第2の電極と、
前記第2の電極の前記薄膜トランジスタ駆動基板に面する側に位置する第2の疎水層とを備える、請求項1から8のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記第1の電極の前記第1のベース基板上の正射影は、前記光センサの前記第1のベース基板上の正射影を覆い、
前記第1の電極は実質的に透明な電極である、請求項1から9のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
複数のサンプル作動及び位置検出ユニットのアレイを備え、
前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットの各々は、前記複数のサンプル作動ユニットのうちの1つと、前記複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つとを備え、
前記複数のサンプル作動ユニットのうちの1つの前記第1の薄膜トランジスタと、前記複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つの前記第2の薄膜トランジスタとは同一のゲート線に電気的に接続され、同時にターンオンするように構成される、請求項1から10のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
複数のゲート線と、複数の第1の電極駆動信号線と、複数の読み出し線とをさらに備え、
前記複数のゲート線は、前記複数の第1の電極駆動信号線及び前記複数の読み出し線と交差して、複数のサンプル作動及び位置検出領域を形成し、
前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットは、前記複数のサンプル作動及び位置検出領域内にそれぞれ位置する、請求項11に記載のデジタルマイクロ流体デバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体デバイスを備え、
前記光センサにより検出された信号を受信するように構成された光検出回路と、
前記第1の電極に駆動信号を供給するように構成された電極駆動回路とを備える、マイクロ流体装置。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体デバイスを備える、ラボオンチップデバイス。
【請求項15】
デジタルマイクロ流体デバイスを用いて液滴を選択的に輸送するステップであって、
前記デジタルマイクロ流体デバイスは、薄膜トランジスタ駆動基板を備え、
前記薄膜トランジスタ駆動基板は、
第1のベース基板と、
複数のサンプル作動ユニットと、
複数のサンプル位置検出ユニットと、
前記複数のサンプル作動ユニット及び前記複数のサンプル位置検出ユニットの前記第1のベース基板から離れた側に位置する誘電絶縁層と、
前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第1の疎水層とを備え、
前記複数のサンプル作動ユニットの各々は、
第1のベース基板と、
前記第1のベース基板上に位置し、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備える第1の薄膜トランジスタと、
前記第1のドレイン電極に電気的に接続され、前記デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成された第1の電極とを備え、
前記複数のサンプル位置検出ユニットの各々は、
前記第1のベース基板上に位置し、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備える第2の薄膜トランジスタと、
前記第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における前記液滴の有無を検出するように構成された光センサ
と、
前記第1のベース基板と前記第1の電極との間であって、前記光センサの前記第1のベース基板から離れた側に位置する共通電極とを備えるステップと、
前記複数のサンプル位置検出ユニットそれぞれの個々に位置する前記光センサを用いて、前記複数のサンプル位置検出ユニットに対する前記液滴の位置を検出するステップと、
前記複数のサンプル位置検出ユニットに対する前記液滴の位置に基づいて、前記デジタルマイクロ流体デバイス上の前記液滴の輸送を駆動するステップとを含む、デジタルマイクロ流体方法。
【請求項16】
前記液滴の輸送を駆動するステップは、
前記液滴が少なくとも部分的に位置し前記複数のサンプル作動ユニットのうちの現在のサンプル作動ユニットが位置する、現在のサンプル作動及び位置検出領域を確定するステップと、
次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域内にある、前記複数のサンプル作動ユニットのうちの次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の電極を作動させて、前記現在のサンプル作動ユニットから前記次の直接隣接するサンプル作動ユニットの方向に沿って前記液滴を輸送するステップとを含む、請求項15に記載のデジタルマイクロ流体方法。
【請求項17】
前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の電極を作動するステップは、
前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の薄膜トランジスタの前記第1のソース電極に駆動信号を供給するステップと、
前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の薄膜トランジスタをターンオンするためのゲート走査信号を供給して、前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の電極に前記駆動信号が供給されるようにするステップとを含む、請求項16に記載のデジタルマイクロ流体方法。
【請求項18】
前記複数のサンプル位置検出ユニットに対する前記液滴の位置を検出するステップは、
前記第2の薄膜トランジスタをターンオンするためのゲート走査信号を供給するステップと、
前記光センサにより検出された光検出信号を送信するステップと、
前記光検出信号を参照信号と比較して、前記光センサに対応する位置における前記液滴の有無を確定するステップとを含む、請求項15から17のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体方法。
【請求項19】
前記デジタルマイクロ流体デバイスは、
行状及び列状に配置された複数のサンプル作動及び位置検出ユニットのアレイと、
複数のゲート線と、
複数の第1の電極駆動信号線と、
複数の読み出し線とを備え、
前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットの各々は、前記複数のサンプル作動ユニットのうちの1つと、前記複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つとを備え、
前記複数のゲート線は、前記複数の第1の電極駆動信号線及び前記複数の読み出し線と交差して、複数のサンプル作動及び位置検出領域を形成し、
前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットは、前記複数のサンプル作動及び位置検出領域内にそれぞれ位置し、
前記方法は、前記複数のゲート線のそれぞれを介して、前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットの複数の行に複数のゲート走査信号をそれぞれ供給するステップを含み、
前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニット内の第1の薄膜トランジスタ及び第2の薄膜トランジスタをそれぞれ行単位でターンオンする、請求項15から18のいずれか1項に記載のデジタルマイクロ流体方法。
【請求項20】
薄膜トランジスタ駆動基板を形成するステップを含み、
前記薄膜トランジスタ駆動基板を形成するステップは、
第1のベース基板上に、複数のサンプル作動ユニットと複数のサンプル位置検出ユニットとを形成するステップと、
前記複数のサンプル作動ユニット及び前記複数のサンプル位置検出ユニットの前記第1のベース基板から離れた側に誘電絶縁層を形成するステップと、
前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に第1の疎水層を形成するステップとを含み、
前記複数のサンプル作動ユニットの各々を形成するステップは、
前記第1のベース基板上に、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備えるように形成される第1の薄膜トランジスタを形成するステップと、
前記第1のドレイン電極に電気的に接続され、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成された第1の電極を形成するステップとを含み、
前記複数のサンプル位置検出ユニットの各々を形成するステップは、
前記第1のベース基板上に、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備えるように形成される第2の薄膜トランジスタを形成するステップと、
前記第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における前記液滴の有無を検出するように構成された光センサを形成するステップ
と、
前記第1のベース基板と前記第1の電極との間であって、前記光センサの前記第1のベース基板から離れた側に位置する共通電極を形成するステップとを含む、デジタルマイクロ流体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年1月4日に提出された中国特許出願201810008675.9号の優先権を主張し、そのすべての内容を参照によりここに援用する。
【0002】
本発明は、マイクロ流体技術に関し、特に、デジタルマイクロ流体デバイス、マイクロ流体装置、ラボオンチップデバイス、デジタルマイクロ流体方法、及びデジタルマイクロ流体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロフルイディクスは、小さいボリューム(例えば、マイクロリットルスケール)に幾何学的に制約される流体の正確な制御及び操作を可能にするものである。マイクロフルイディクスは、その迅速な反応及び自動化の可能性から、ルーチンバイオアッセイを迅速かつ信頼性のある試験に転換することができる。デジタルマイクロフルイディクスは、小型化されたバイオアッセイのために開発されてきた。この技術は、パターンニングされた電極の表面における流体の個別の液滴の操作を可能にする。デジタルマイクロフルイディクスを用いることで、それらの液滴を結合し混合させて様々な生化学反応を行うためのアレイベースのバイオアッセイが容易となる。さらに、デジタルマイクロフルイディクスを用いて、大規模、並列スケールで、多重化された解析を行うことができる。デジタルマイクロフルイディクスは、細胞ベースのアッセイ、酵素アッセイ、タンパク質プロファイリング及びポリメラーゼ連鎖反応を含む多種多様な用途を見出している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの側面において、本開示は、薄膜トランジスタ駆動基板を備え、前記薄膜トランジスタ駆動基板は、第1のベース基板と、複数のサンプル作動ユニットと、複数のサンプル位置検出ユニットと、前記複数のサンプル作動ユニット及び前記複数のサンプル位置検出ユニットの前記第1のベース基板から離れた側に位置する誘電絶縁層と、前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第1の疎水層とを備え、前記複数のサンプル作動ユニットの各々は、前記第1のベース基板上に位置し、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備える第1の薄膜トランジスタと、前記第1のドレイン電極に電気的に接続され、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成された第1の電極とを備え、前記複数のサンプル位置検出ユニットの各々は、前記第1のベース基板上に位置し、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備える第2の薄膜トランジスタと、前記第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における前記液滴の有無を検出するように構成された光センサとを備える、デジタルマイクロ流体デバイスを提供する。
【0005】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極に電気的に接続され、前記第1の薄膜トランジスタ及び前記第2の薄膜トランジスタをターンオンするためのゲート走査信号を供給するように構成されたゲート線と、前記第1のソース電極に電気的に接続され、前記第1の薄膜トランジスタがターンオンすると、前記第1の電極に駆動信号を供給するように構成された第1の電極駆動信号線と、前記第2のドレイン電極に電気的に接続され、前記光センサによって検出された信号を送信するように構成された読み出し線とをさらに備えてもよい。
【0006】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、前記光センサに電気的に接続された共通電極と、前記共通電極への共通電圧信号を供給されるように構成された共通電極信号線とをさらに備え、前記光センサは、前記共通電極に電気的に接続された第1の極性領域と、前記第2のソース電極に電気的に接続された第2の極性領域と、前記第1の極性領域と前記第2の極性領域とを電気的に接続するダイオード接合部とを備えてもよい。
【0007】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、前記第2の極性領域を前記第2のソース電極に電気的に接続するコンタクト電極をさらに備え、前記コンタクト電極及び前記第2のソース電極は、同一層に位置し、同一の材料を含んでもよい。
【0008】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、前記第2のソース電極の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第1の絶縁層をさらに備え、前記光センサの前記第2のソース電極に隣接する側面は、前記第1の絶縁層を介して前記第2のソース電極から離間されていてもよい。
【0009】
或いは、前記第1の絶縁層は、前記第1のソース電極、前記第1のドレイン電極、前記第2のソース電極及び前記第2のドレイン電極の前記第1のベース基板から離れた側に位置し、前記薄膜トランジスタ駆動基板は、前記第1の絶縁層を貫通する第1のビアを備え、前記光センサは、前記第1のビアを介して前記第2のソース電極に電気的に接続されてもよい。
【0010】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、前記光センサに電気的に接続され、前記光センサの前記第1のベース基板から離れた側に位置する共通電極と、前記共通電極及び前記光センサの前記第1のベース基板から離れた側に位置する第2の絶縁層と、前記共通電極への共通電圧信号を供給されるように構成され、前記第2の絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に位置する共通電極信号線とをさらに備え、前記薄膜トランジスタ駆動基板は、前記第2の絶縁層を貫通する第2のビアを備え、前記共通電極信号線は、前記第2のビアを介して前記共通電極に電気的に接続されてもよい。
【0011】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、前記共通電極信号線の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第3の絶縁層をさらに備え、前記第1の電極は、前記第3の絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側、かつ前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板に面する側に位置し、前記薄膜トランジスタ駆動基板は、前記第3の絶縁層及び前記第2の絶縁層を貫通する第3のビアを備え、前記第1の電極は、前記第3のビアを介して前記第1のドレイン電極に電気的に接続されていてもよい。
【0012】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、前記薄膜トランジスタ駆動基板から離間されている対向基板をさらに備え、前記対向基板は、第2のベース基板と、前記第2のベース基板の前記薄膜トランジスタ駆動基板に面する側に位置する第2の電極と、前記第2の電極の前記薄膜トランジスタ駆動基板に面する側に位置する第2の疎水層とを備えてもよい。
【0013】
或いは、前記第1の電極の前記第1のベース基板上の正射影は、前記光センサの前記第1のベース基板上の正射影を覆い、前記第1の電極は実質的に透明な電極であってもよい。
【0014】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、複数のサンプル作動及び位置検出ユニットのアレイを備え、前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットの各々は、前記複数のサンプル作動ユニットのうちの1つと、前記複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つとを備え、前記複数のサンプル作動ユニットのうちの1つの前記第1の薄膜トランジスタと、前記複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つの前記第2の薄膜トランジスタとは同一のゲート線に電気的に接続され、同時にターンオンするように構成されてもよい。
【0015】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、複数のゲート線と、複数の第1の電極駆動信号線と、複数の読み出し線とをさらに備え、前記複数のゲート線は、前記複数の第1の電極駆動信号線及び前記複数の読み出し線と交差して、複数のサンプル作動及び位置検出領域を形成し、前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットは、前記複数のサンプル作動及び位置検出領域内にそれぞれ位置してもよい。
【0016】
別の側面において、本開示は、本明細書で述べたデジタルマイクロ流体デバイス又は本明細書で述べた方法により製造されたデジタルマイクロ流体デバイスを備え、前記光センサにより検出された信号を受信するように構成された光検出回路と、前記第1の電極に駆動信号を供給するように構成された電極駆動回路とを備える、マイクロ流体装置を提供する。
【0017】
別の側面において、本開示は、本明細書で述べたデジタルマイクロ流体デバイス又は本明細書で述べた方法により製造されたデジタルマイクロ流体デバイスを備えるラボオンチップデバイスを提供する。
【0018】
別の側面において、本開示は、デジタルマイクロ流体デバイスを用いて液滴を選択的に輸送するステップを含み、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、薄膜トランジスタ駆動基板を備え、前記薄膜トランジスタ駆動基板は、第1のベース基板と、複数のサンプル作動ユニットと、複数のサンプル位置検出ユニットと、前記複数のサンプル作動ユニット及び前記複数のサンプル位置検出ユニットの前記第1のベース基板から離れた側に位置する誘電絶縁層と、前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に位置する第1の疎水層とを備え、前記複数のサンプル作動ユニットの各々は、第1のベース基板と、前記第1のベース基板上に位置し、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備える第1の薄膜トランジスタと、前記第1のドレイン電極に電気的に接続され、前記デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成された第1の電極とを備え、前記複数のサンプル位置検出ユニットの各々は、前記第1のベース基板上に位置し、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備える第2の薄膜トランジスタと、前記第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における前記液滴の有無を検出するように構成された光センサとを備えるステップと、前記複数のサンプル位置検出ユニットそれぞれの個々に位置する前記光センサを用いて、前記複数のサンプル位置検出ユニットに対する前記液滴の位置を検出するステップと、前記複数のサンプル位置検出ユニットに対する前記液滴の位置に基づいて、前記デジタルマイクロ流体デバイス上の前記液滴の輸送を駆動するステップとを含む、デジタルマイクロ流体方法を提供する。
【0019】
或いは、前記液滴の輸送を駆動するステップは、前記液滴が少なくとも部分的に位置し前記複数のサンプル作動ユニットのうちの現在のサンプル作動ユニットが位置する、現在のサンプル作動及び位置検出領域を確定するステップと、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域内にある、前記複数のサンプル作動ユニットのうちの次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の電極を作動させて、前記現在のサンプル作動ユニットから前記次の直接隣接するサンプル作動ユニットの方向に沿って前記液滴を輸送するステップとを含んでもよい。
【0020】
或いは、前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の電極を作動するステップは、前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の薄膜トランジスタの前記第1のソース電極に駆動信号を供給するステップと、前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の薄膜トランジスタをターンオンするためのゲート走査信号を供給して、前記次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の前記第1の電極に前記駆動信号が供給されるようにするステップとを含んでもよい。
【0021】
或いは、前記複数のサンプル位置検出ユニットに対する前記液滴の位置を検出するステップは、前記第2の薄膜トランジスタをターンオンするためのゲート走査信号を供給するステップと、前記光センサにより検出された光検出信号を送信するステップと、前記光検出信号を参照信号と比較して、前記光センサに対応する位置における前記液滴の有無を確定するステップとを含んでもよい。
【0022】
或いは、前記デジタルマイクロ流体デバイスは、行状及び列状に配置された複数のサンプル作動及び位置検出ユニットのアレイと、複数のゲート線と、複数の第1の電極駆動信号線と、複数の読み出し線とを備え、前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットの各々は、前記複数のサンプル作動ユニットのうちの1つと、前記複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つとを備え、前記複数のゲート線は、前記複数の第1の電極駆動信号線及び前記複数の読み出し線と交差して、複数のサンプル作動及び位置検出領域を形成し、前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットは、前記複数のサンプル作動及び位置検出領域内にそれぞれ位置し、前記方法は、前記複数のゲート線のそれぞれを介して、前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニットの複数の行に複数のゲート走査信号をそれぞれ供給するステップと、前記複数のサンプル作動及び位置検出ユニット内の第1の薄膜トランジスタ及び第2の薄膜トランジスタをそれぞれ行単位でターンオンするステップとを含んでもよい。
【0023】
別の側面において、本開示は、薄膜トランジスタ駆動基板を形成するステップを含み、前記薄膜トランジスタ駆動基板を形成するステップは、第1のベース基板上に、複数のサンプル作動ユニットと複数のサンプル位置検出ユニットとを形成するステップと、前記複数のサンプル作動ユニット及び前記複数のサンプル位置検出ユニットの前記第1のベース基板から離れた側に誘電絶縁層を形成するステップと、前記誘電絶縁層の前記第1のベース基板から離れた側に第1の疎水層を形成するステップとを含み、前記複数のサンプル作動ユニットの各々を形成するステップは、前記第1のベース基板上に、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備えるように形成される第1の薄膜トランジスタを形成するステップと、前記第1のドレイン電極に電気的に接続され、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成された第1の電極を形成するステップとを含み、前記複数のサンプル位置検出ユニットの各々を形成するステップは、前記第1のベース基板上に、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備えるように形成される第2の薄膜トランジスタを形成するステップと、前記第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における前記液滴の有無を検出するように構成された光センサを形成するステップとを含む、デジタルマイクロ流体デバイスの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の図面は開示する様々な実施形態による例示を目的とした例にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0025】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態における光検出器の回路図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態における光センサの構造を示す模式図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態における光センサの構造を示す模式図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、実施形態を参照しつつ、本開示について具体的に説明する。なお、いくつかの実施形態に関する以下の説明は例示及び説明としてのものにすぎない。それは、網羅的であること、又は開示された正確な形態に限定されることを意図するものではない。
【0027】
本開示は、特に、関連技術における制限及び欠点に起因する1つ以上の課題を実質的に解消する、デジタルマイクロ流体デバイス、マイクロ流体装置、ラボオンチップデバイス、デジタルマイクロ流体方法、及びデジタルマイクロ流体デバイスの製造方法を提供する。1つの側面において、本開示はデジタルマイクロ流体デバイスを提供する。いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、薄膜トランジスタ駆動基板を備える。いくつかの実施形態において、薄膜トランジスタ駆動基板は、第1のベース基板と、複数のサンプル作動ユニットと、複数のサンプル位置検出ユニットと、複数のサンプル作動ユニット及び複数のサンプル位置検出ユニットの第1のベース基板から離れた側に位置する誘電絶縁層と、誘電絶縁層の第1のベース基板から離れた側に位置する第1の疎水層とを備える。或いは、複数のサンプル作動ユニットの各々は、第1のベース基板上に位置する第1の薄膜トランジスタと、第1の薄膜トランジスタに電気的に接続されている第1の電極とを備えてもよい。第1の薄膜トランジスタは、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備える。第1の電極は、第1のドレイン電極に電気的に接続され、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成される。或いは、複数のサンプル位置検出ユニットの各々は、第1のベース基板上に位置する第2の薄膜トランジスタと、第2の薄膜トランジスタに電気的に接続されている光センサとを備えてもよい。第2の薄膜トランジスタは、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備える。光センサは、第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における液滴の有無を検出するように構成される。
【0028】
図1は、本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図(平面図)である。
図2は、本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図(断面図)である。
図1及び
図2を参照すると、デジタルマイクロ流体デバイスは、薄膜トランジスタ駆動基板Aを備えている。薄膜トランジスタ駆動基板Aは、第1のベース基板100と、複数のサンプル作動ユニット1と、複数のサンプル位置検出ユニット2と、複数のサンプル作動ユニット1及び複数のサンプル位置検出ユニット2の第1のベース基板100から離れた側に位置する誘電絶縁層615と、誘電絶縁層615の第1のベース基板100から離れた側に位置する第1の疎水層616とを備える。第1の疎水層616の外面は、液滴10とその流路において接触するように構成されている。液滴10に隣接する第1の電極200に作動電圧が印加されると、液滴10と、第1の電極200上方に位置する第1の疎水層616の液滴10に隣接する表面との間のディウェッティング挙動に変化が生じ、例えば、疎水性が低下する。作動電圧が上昇すると、第1の電極200上方に位置する第1の疎水層616の表面における液滴10の接触角は減少する。ディウェッティング挙動が変化し接触角が減少した結果、液滴10は、液滴10に隣接する作動電圧が印加された第1の電極200に向かって移動するように駆動される。複数の第1の電極にそれぞれ作動電圧を順次印加することにより、作動電圧が印加された方向に沿って液滴10を輸送することができる。
【0029】
図2を参照すると、複数のサンプル作動ユニット1の各々は、第1のベース基板100上に位置する第1の薄膜トランジスタTFT1と、第1の薄膜トランジスタTFT1に電気的に接続されている第1の電極200とを備えている。第1の薄膜トランジスタTFT1は、第1のゲート電極301と、第1のソース電極303と、第1のドレイン電極302とを備える。第1の電極200は、第1のドレイン電極302に電気的に接続され、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴10の輸送を駆動するように構成される。
【0030】
図2を参照すると、複数のサンプル位置検出ユニット2の各々は、第1のベース基板100上に位置する第2の薄膜トランジスタTFT2と、第2の薄膜トランジスタTFT2に電気的に接続されている光センサ900とを備えている。第2の薄膜トランジスタTFT2は、第2のゲート電極311と、第2のソース電極313と、第2のドレイン電極312とを備える。光センサ900は、第2のソース電極313に電気的に接続され、光センサ900に対応する位置における液滴10の有無を検出するように構成される。
【0031】
複数のサンプル作動ユニット1及び複数のサンプル位置検出ユニット2の様々な適切な配置を実施してよい。或いは、複数のサンプル位置検出ユニット2の総数に対する複数のサンプル作動ユニット1の総数の比は、1:50~50:1の範囲、例えば、1:25~25:1、1:10~10:1、1:5~5:1、1:2.5~2.5:1、1:2~2:1、1:1.5~1.5:1の範囲にあってもよい。或いは、複数のサンプル位置検出ユニット2の総数に対する複数のサンプル作動ユニット1の総数の比は、1:1であってもよい。或いは、複数のサンプル作動ユニット1をアレイ状に配置し、複数のサンプル位置検出ユニット2をアレイ状に配置してもよい。或いは、複数のサンプル作動ユニット1及び複数のサンプル位置検出ユニット2は、マイクロ流体装置内における液滴の設計流路に対応するパターンを有するように形成されてもよい。
【0032】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、第1のゲート電極301及び第2のゲート電極311に電気的に接続され、第1の薄膜トランジスタTFT1及び第2の薄膜トランジスタTFT2をターンオンするためのゲート走査信号を供給するように構成されたゲート線600を備えている。
図1において、第1のゲート電極301及び第2のゲート電極311は同一のゲート線600に共通接続されている。或いは、第1のゲート電極301及び第2のゲート電極311は、第1のゲート電極301及び第2のゲート電極311のそれぞれに2つの異なるゲート走査信号をそれぞれ供給する2本の別々のゲート線によってそれぞれ制御されてもよい。
【0033】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、第1のソース電極303に電気的に接続されている第1の電極駆動信号線500を備えている。第1の電極駆動信号線500は、第1のソース電極303に駆動信号を供給するように構成されている。
図1及び
図2に示すように、第1の薄膜トランジスタTFT1がターンオンすると、第1の薄膜トランジスタTFT1は、第1のソース電極303から、第1の電極200に順に電気的に接続されている第1のドレイン電極302へ駆動信号を通過させる。駆動信号を供給された第1の電極200は、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴10の輸送を駆動するように構成されており、これについてはデジタルマイクロ流体方法の部分と関連付けて詳しく後述する。
【0034】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、第2のドレイン電極312に電気的に接続され、光センサ900によって検出された信号を、例えば、光検出回路等に送信するように構成された読み出し線710を備えている。
【0035】
図3は、本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、対向基板Bをさらに備えている。対向基板Bは、薄膜トランジスタ駆動基板Aから離間されている。いくつかの実施形態において、対向基板Bは、第2のベース基板101と、第2のベース基板101の薄膜トランジスタ駆動基板Aに面する側に位置する第2の電極400と、第2の電極400の薄膜トランジスタ駆動基板Aに面する側に位置する第2の疎水層102とを備えている。或いは、デジタルマイクロ流体デバイスは、第1の疎水層616と第2の疎水層102との間に挟まれた液滴10の輸送を駆動するように構成されてもよい。或いは、第2の電極400は、例えば、接地電圧等の共通電圧が供給されるように構成されるのに対し、第1の電極200は、流路に沿って液滴10を輸送するための駆動電圧(例えば、作動電圧)が供給されるように構成されてもよい。
【0036】
図4は、本開示のいくつかの実施形態における光検出器の回路図である。
図1から4を参照すると、光センサ900は、第2の薄膜トランジスタTFT2の第2のソース電極313に電気的に接続されている。第2の薄膜トランジスタTFT2の第2のドレイン電極312は、光検出回路C1に順に接続されている読み出し線710のうちの1本に電気的に接続されている。
【0037】
本願のデジタルマイクロ流体デバイスを作製及び使用するにあたり、ダイオード接合部を有する様々な適切なフォトセンサを用いてもよい。ダイオード接合部を有する光センサの例としては、PNフォトダイオード、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、MIMダイオード接合部、MISダイオード接合部、MOSダイオード接合部、SISダイオード接合部及びMSダイオード接合部が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
図5は、本開示のいくつかの実施形態における光センサの構造を示す模式図である。
図5を参照すると、いくつかの実施形態において、光センサ900は、共通電極800に接続された第1の極性領域PR1と、第2の薄膜トランジスタTFT2の第2のソース電極313に接続された第2の極性領域PR2と、第1の極性領域PR1と第2の極性領域PR2とを接続するダイオード接合部Jとを備えている。本明細書において「ダイオード接合部」という用語は、例えば、一方のバイアス方向において他方と比較して大幅に異なる導電性を示す接合部等の電流整流を示すことのできる接合部をいう。
【0039】
或いは、ダイオード接合部を有する光センサは、第1のドーパント部を有する第1の極性領域と、第2のドーパント部を有する第2の極性領域と、第1の極性領域と第2の極性領域とを接続するダイオード接合部とを備えてもよい。或いは、第1の極性領域が低電圧に接続され、第2の極性領域が高電圧に接続されたとき、ダイオード接合部を有する光センサは逆バイアスされてもよい。例えば、第1の極性領域が(低電圧、例えば、-5V~0Vの)共通電極に接続されているとき、ダイオード接合部を有する光センサは逆バイアス状態にある。いくつかの実施形態において、ダイオード接合部を有する光センサは、第1の極性領域としてP+ドーピング半導体領域を、第2の極性領域としてN+ドーピング半導体領域を有するPN接合部である。いくつかの実施形態において、ダイオード接合部を有する光センサは、第1の極性領域としてのP+ドーピング半導体領域と、第2の極性領域としてのN+ドーピング半導体領域と、P+ドーピング半導体領域とN+ドーピング半導体領域との間に位置するアモルファスシリコンの真性領域とを有するPINフォトダイオードである。
【0040】
図2及び
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、共通電極800に電気的に接続され、共通電極800への共通電圧信号を供給されるように構成された共通電極信号線810をさらに備えている。
【0041】
図2、3及び5を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、第2の極性領域PR2を第2のソース電極313に電気的に接続するコンタクト電極700をさらに備えている。或いは、コンタクト電極700及び第2のソース電極313は、同一層に位置し、同一の導電材料により作製されてもよい。コンタクト電極700及び第2のソース電極313は、同一のパターニング処理で、例えば、同一のマスク板を用いてパターニングしてもよい。
【0042】
図2及び
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、第2のソース電極313の第1のベース基板100から離れた側に位置する第1の絶縁層610をさらに備えている。光センサ900の第2のソース電極313に隣接する側面は、第1の絶縁層610を介して第2のソース電極313から離間されている。
図6は、本開示のいくつかの実施形態における光センサの構造を示す模式図である。
図2、3及び6を参照すると、いくつかの実施形態において、光センサ900は、第1のベース基板100と反対側の第1の側S1と、第1の側S1と対向し第1のベース基板100に面する第2の側S2と、第1の側S1と第2の側S2とを接続する第3の側S3とを有する。
図6に示すように、いくつかの実施形態において、第2のソース電極313から離間されている側面は第3の側S3である。
【0043】
第1の絶縁層610により第2のソース電極313からフォトセンサ900の側面を離間させることで、光センサ900のパターニング処理の際に(例えば、光センサ900のエッチング処理の際に)、第2のソース電極313の金属材料(及び第2のドレイン電極312の金属材料)によるフォトセンサ900の汚染を回避することができる。
【0044】
さらに、共通電極800は、光センサ900上に形成された後続層をパターニングする際に(例えば、第2の絶縁層611をパターニングする際に)、光センサ900を保護するためのエッチング停止層としても機能する。
【0045】
図2及び
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、第1の絶縁層610は、第1のソース電極303、第1のドレイン電極302、第2のソース電極313及び第2のドレイン電極312の第1のベース基板100から離れた側に位置している。薄膜トランジスタ駆動基板Aは、第1の絶縁層610を貫通する第1のビアV1を備えている。光センサ900(例えば、第2の極性領域PR2)は、第1のビアV1を介して(例えば、第2の極性領域PR2を第2のソース電極313に電気的に接続するコンタクト電極700を介して)第2のソース電極313に電気的に接続されている。或いは、第1のソース電極303と、第1のドレイン電極302と、第2のソース電極313と、第2のドレイン電極312とは、同一層に位置し、同一材料からなり、同一処理で(例えば、同一のマスク板を用いて)パターニングされてもよい。本明細書において「同一層」という用語は、同一のステップで同時に形成された層同士の関係をいう。1つの実施例において、第1のドレイン電極302と、第2のソース電極313と、第2のドレイン電極312とは、同一材料層において行われた同一のパターニング処理の1つ以上のステップの結果として形成されると、同一層に位置する。別の実施例において、第1のドレイン電極302と、第2のソース電極313と、第2のドレイン電極312とは、活性層を形成するステップと第1の電極を形成するステップとを同時に行うことにより同一層に形成することができる。「同一層」という用語は、断面における層の厚み又は層の高さが必ずしも同一であることを意味しない。
【0046】
図2及び
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、共通電極800及び光センサ900の第1のベース基板100から離れた側に位置する第2の絶縁層611と、第2の絶縁層611の第1のベース基板100から離れた側に位置し、共通電極800への共通電圧信号を供給されるように構成された共通電極信号線810とをさらに備えている。或いは、薄膜トランジスタ駆動基板Aは、第2の絶縁層611を貫通する第2のビアV2を備え、共通電極信号線810は、第2のビアV2を介して共通電極800に電気的に接続されていてもよい。
【0047】
図2及び
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、共通電極信号線810の第1のベース基板100から離れた側に位置する第3の絶縁層613をさらに備えている。第1の電極200は、第3の絶縁層613の第1のベース基板100から離れた側、かつ誘電絶縁層615の第1のベース基板100に面する側に位置している。或いは、薄膜トランジスタ駆動基板Aは、第3の絶縁層613及び第2の絶縁層611を貫通する第3のビアV3を備えてもよい。第1の電極200は、第3のビアV3を介して第1のドレイン電極302に電気的に接続されている。
【0048】
図1から3を参照すると、いくつかの実施形態において、第1の電極200の第1のベース基板100上の正射影は、光センサ900の第1のベース基板100上の正射影を覆っている。或いは、第1の電極200は実質的に透明な電極であってもよい。本明細書において「実質的に透明」という用語は、可視波長範囲の光が少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)が透過することを意味する。
【0049】
図7は、本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
図7を参照すると、いくつかの実施形態において、第1の電極200の第1のベース基板100上の正射影は、光センサ900の第1のベース基板100上の正射影と、第1の薄膜トランジスタTFT1の第1のベース基板100上の正射影と、第2の薄膜トランジスタTFT2の第1のベース基板100上の正射影との組み合わせを少なくとも覆っている。或いは、さらに
図7を参照すると、複数のサンプル作動ユニット1それぞれの個々の第1の電極200の第1のベース基板100上の正射影は、複数のサンプル位置検出ユニット2のうちの1つの第1のベース基板100上の正射影と、複数のサンプル作動ユニット1のうちの1つの他の要素の第1のベース基板100上の正射影との組み合わせを少なくとも覆ってもよい。
【0050】
図8は、本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
図9は、本開示のいくつかの実施形態におけるデジタルマイクロ流体デバイスの一部の構造を示す模式図である。
図8及び
図9を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3のアレイを備えている。或いは、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3の各々は、複数のサンプル作動ユニット1のうちの1つと、複数のサンプル位置検出ユニット2のうちの1つとを備えてもよい。或いは、複数のサンプル作動ユニット1のうちの1つの第1のトランジスタTFT1と、複数のサンプル位置検出ユニット2のうちの1つの第2のトランジスタTFT2とは同一のゲート線600に電気的に接続され、同時にターンオンするように構成されてもよい。
図9を参照すると、いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体デバイスは、複数のゲート線600と、複数の第1の電極駆動信号線500と、複数の読み出し線710とを備えている。或いは、複数のゲート線600は、複数の第1の電極駆動信号線500及び複数の読み出し線710と交差して、複数のサンプル作動及び位置検出領域3’を形成してもよい。或いは、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3は、複数のサンプル作動及び位置検出領域3’内にそれぞれ位置してもよい。
【0051】
別の側面において、本開示はデジタルマイクロ流体方法を提供する。いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体方法は、本開示に述べるデジタルマイクロ流体デバイスを用いて液滴を選択的に輸送するステップを含む。いくつかの実施形態において、デジタルマイクロ流体方法は、複数のサンプル位置検出ユニットそれぞれの個々に位置する光センサを用いて、複数のサンプル位置検出ユニットに対する液滴の位置を検出するステップと、複数のサンプル位置検出ユニットに対する液滴の位置に基づいて、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するステップとを含む。
図8を参照すると、液滴10は、複数のサンプル作動及び位置検出領域の現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’における位置に、少なくとも部分的に位置している。複数のサンプル作動ユニット1のうちの現在のサンプル作動ユニットは、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’に位置している。いくつかの実施形態において、液滴10の輸送を駆動するステップは、液滴10が少なくとも部分的に位置し複数のサンプル作動ユニット1のうちの現在のサンプル作動ユニットが位置する、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’を確定するステップと、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内に位置する、複数のサンプル作動ユニット1のうちの次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の第1の電極200を作動させて、現在のサンプル作動ユニットから次の直接隣接するサンプル作動ユニットの方向に沿って(例えば、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’から次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’の方向に沿って)液滴10を輸送するステップとを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、複数のサンプル位置検出ユニット2に対する液滴10の位置を検出するステップは、第2の薄膜トランジスタTFT2をターンオンするためのゲート走査信号を供給するステップと、光センサ900により検出された光検出信号を送信するステップと、光検出信号を参照信号と比較して、光センサ900に対応する位置における液滴10の有無を確定するステップとを含む。或いは、このステップは、共通電極800に共通電圧信号Vcomを供給するステップをさらに含んでもよい。光センサ900に光が照射されると、光センサ900は光子を電気信号(例えば、光電流)に変換する。第2の薄膜トランジスタTFT2がターンオンすると、光センサ900で生成された光検出信号は、コンタクト電極700を介して第2のソース電極313に送信される。そして、第2の薄膜トランジスタTFT2がターンオンすると、光検出信号は、第2のソース電極313から第2のドレイン電極312へと通過することができる。そして、光検出信号は、読み出し線710を介して光検出回路(例えば、
図9に示す光検出回路C1)へ送信される。入射光と光センサ900の間に液滴10があるために、液滴10を有する現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内で光センサ900によって検出される光検出信号は、液滴10のないサンプル作動及び位置検出領域内で光センサ900によって検出される光検出信号と異なる。したがって、光検出信号を参照信号と比較することにより、液滴10を有する現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’を容易に確定することができ、複数のサンプル位置検出ユニット2に対する液滴10の位置を容易に検出することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、
図9に示すように、デジタルマイクロ流体デバイスは、行状及び列状に配置された複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3のアレイを備えている。この方法は、或いは、複数のゲート線600のそれぞれを介して、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3の複数の行に複数のゲート走査信号をそれぞれ供給するステップと、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3内の第2の薄膜トランジスタをそれぞれ行単位でターンオンするステップとを含む。したがって、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3内における液滴10の有無は、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3内で検出された光検出信号を参照信号とそれぞれ比較することによって確定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、この方法は、第1の薄膜トランジスタTFT1の第1のゲート電極301及び第2の薄膜トランジスタTFT2の第2のゲート電極311にゲート走査信号を供給して、第1の薄膜トランジスタTFT1及び第2の薄膜トランジスタTFT2をターンオンするステップと、第1の電極駆動信号線500を介して第1の電極200に負電圧V2ndを供給するステップと、共通電極信号線810を介して共通電極800に負電圧V1stを供給するステップと、第2の電極400に負電圧V2ndを供給するステップとを含む。或いは、V1st及びV2ndの電圧レベルは互いに異なってもよい。このとき、第1の電極200及び第2の電極400における電圧レベルが同一であるため、液滴10は複数のサンプル作動ユニット1によって駆動されない。
【0055】
いくつかの実施形態において、光検出回路は、液滴10に関連する他の情報を検出するように構成されている。液滴10に関連する情報の例としては、液滴10の1つ以上の化学特性、液滴10の1つ以上の物理特性、及び液滴10の1つ以上の光学特性が挙げられる。
【0056】
いくつかの実施形態において、次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の第1の電極200を作動するステップは、次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の第1の薄膜トランジスタTFT1の第1のソース電極303に駆動信号を供給するステップと、次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の第1の薄膜トランジスタTFT1をターンオンするためのゲート走査信号を供給して、次の直接隣接するサンプル作動ユニット内の第1の電極200に駆動信号が供給されるようにするステップとを含む。
図8を参照すると、複数のサンプル作動及び位置検出領域のうちの現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’と次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’とは、互いに直接隣接している。現在のサンプル作動ユニットは、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内に位置する。次の直接隣接するサンプル作動ユニットは、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内に位置する。液滴10の位置が検出され、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内に少なくとも部分的に位置することが確定される。第1の疎水層616の外面は、液滴10とその流路において接触するように構成される。次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の薄膜トランジスタTFT1の第1の電極200に作動電圧が印加されると、液滴10と、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200上方に位置する第1の疎水層616の表面との間のディウェッティング挙動に変化が生じ、例えば、疎水性が低下する。作動電圧が上昇すると、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200上方に位置する第1の疎水層616の表面における液滴10の接触角は減少する。ディウェッティング挙動が変化し接触角が減少した結果、液滴10は、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200に向かって移動するように駆動される。液滴10は、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’から次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’の方向に沿って輸送される。
【0057】
いくつかの実施形態において、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内の第1の電極200に、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200と異なる電圧信号が印加されて、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’と次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’とにおいて液滴10のディウェッティング挙動及び接触角が異なるものとなり、これにより液滴10は、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’から次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’の方向に沿って輸送される。或いは、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内の第1の電極200に印加された電圧信号は、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200に印加された電圧信号と極性が逆であってもよい。或いは、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内の第1の電極200に接地電圧が印加され、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200に作動電圧が供給されてもよい。
【0058】
1つの実施例において、
図8を参照すると、液滴10の位置が検出され、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内に少なくとも部分的に位置することが確定される。ゲート走査信号は、第1の薄膜トランジスタTFT1の第1のゲート電極301と、第2の薄膜トランジスタTFT2の第2のゲート電極311とに供給されて、第1の薄膜トランジスタTFT1と第2の薄膜トランジスタTFT2とがターンオンされる。第2の電極400に負電圧V
2ndが供給される。負電圧V
2ndは、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’内の第1の電極200にも供給される。次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200に正電圧V
3rdが供給される。次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の液滴10のディウェッティング挙動及び接触角の変化のために、液滴10は、現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’から次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’の方向に沿って輸送される。
【0059】
いくつかの実施形態において、
図9に示すように、デジタルマイクロ流体デバイスは、行状及び列状に配置された複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3のアレイを備えている。この方法は、或いは、複数のゲート線600のそれぞれを介して、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3の複数の行にそれぞれ複数のゲート走査信号をそれぞれ供給するステップと、複数のサンプル作動及び位置検出ユニット3内の第1の薄膜トランジスタをそれぞれ行単位でターンオンするステップとを含む。複数の第1の電極駆動信号線500のうちの1つを介して、次の直接隣接するサンプル作動及び位置検出領域3b’内の第1の電極200に第1の駆動信号が供給されるのに対し、(現在のサンプル作動及び位置検出領域3a’を含む)他のサンプル作動及び位置検出領域内の第1の電極200に第2の駆動信号が供給される。
【0060】
別の側面において、本開示はデジタルマイクロ流体デバイスの製造方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、薄膜トランジスタ駆動基板を形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、薄膜トランジスタ駆動基板を形成するステップは、第1のベース基板上に、複数のサンプル作動ユニットと複数のサンプル位置検出ユニットとを形成するステップと、複数のサンプル作動ユニット及び複数のサンプル位置検出ユニットの第1のベース基板から離れた側に誘電絶縁層を形成するステップと、誘電絶縁層の第1のベース基板から離れた側に第1の疎水層を形成するステップとを含む。或いは、複数のサンプル作動ユニットの各々を形成するステップは、第1のベース基板上に、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極とを備えるように形成される第1の薄膜トランジスタを形成するステップと、第1のドレイン電極に電気的に接続され、デジタルマイクロ流体デバイス上の液滴の輸送を駆動するように構成された第1の電極を形成するステップとを含んでもよい。或いは、複数のサンプル位置検出ユニットの各々を形成するステップは、第1のベース基板上に、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極とを備えるように形成される第2の薄膜トランジスタを形成するステップと、第2のソース電極に電気的に接続され、光センサに対応する位置における液滴の有無を検出するように構成された光センサを形成するステップとを含んでもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、この方法は、第1のゲート電極と第2のゲート電極とに電気的に接続され、第1の薄膜トランジスタ及び第2の薄膜トランジスタをターンオンするためのゲート走査信号を供給するように構成されたゲート線を形成するステップと、第1のソース電極に電気的に接続され、第1の薄膜トランジスタがターンオンすると、第1の電極に駆動信号を供給するように構成された第1の電極駆動信号線を形成するステップと、第2のドレイン電極に電気的に接続され、光センサにより検出された信号を送信するように構成された読み出し線を形成するステップとをさらに含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、この方法は、光センサに電気的に接続された共通電極を形成するステップと、共通電極への共通電圧信号を供給された共通電極信号線を形成するステップとをさらに含む。或いは、光センサを形成するステップは、共通電極に電気的に接続された第1の極性領域を形成するステップと、第2のソース電極に電気的に接続された第2の極性領域を形成するステップと、第1の極性領域と第2の極性領域とを電気的に接続するダイオード接合部を形成するステップとを含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、この方法は、第2の極性領域を第2のソース電極に電気的に接続するコンタクト電極を形成するステップをさらに含む。コンタクト電極及び第2のソース電極は、同一層内に形成され、例えば、同一のパターニング処理で同一のマスク板を用いて、同一の材料を含むように形成される。
【0064】
いくつかの実施形態において、この方法は、第2のソース電極の第1のベース基板から離れた側に第1の絶縁層を形成するステップをさらに含む。第1の絶縁層は、光センサの第2のソース電極に隣接している側面を第2のソース電極から離間するように形成される。或いは、第1の絶縁層は、第1のソース電極、第1のドレイン電極、第2のソース電極及び第2のドレイン電極の第1のベース基板から離れた側に形成されてもよい。或いは、この方法は、第1の絶縁層を貫通する第1のビアを形成するステップをさらに含んでもよい。光センサは、第1のビアを介して第2のソース電極に電気的に接続されるように形成される。
【0065】
いくつかの実施形態において、この方法は、光センサに電気的に接続され、光センサの第1のベース基板から離れた側に共通電極を形成するステップと、共通電極及び光センサの第1のベース基板から離れた側に第2の絶縁層を形成するステップと、共通電極への共通電圧信号が供給されるように構成され、第2の絶縁層の第1のベース基板から離れた側に位置する共通電極信号線を形成するステップとをさらに含む。或いは、この方法は、第2の絶縁層を貫通する第2のビアを形成するステップをさらに含んでもよい。共通電極信号線は、第2のビアを介して共通電極に電気的に接続されるように形成される。
【0066】
いくつかの実施形態において、この方法は、共通電極信号線の第1のベース基板から離れた側に第3の絶縁層を形成するステップをさらに含む。或いは、第1の電極は、第3の絶縁層の第1のベース基板から離れた側、かつ誘電絶縁層の第1のベース基板に面する側に形成されてもよい。或いは、この方法は、第3の絶縁層及び第2の絶縁層を貫通する第3のビアを形成するステップをさらに含んでもよい。第1の電極は、第3のビアを介して第1のドレイン電極に電気的に接続される。
【0067】
いくつかの実施形態において、この方法は、薄膜トランジスタ駆動基板から離間された対向基板を形成するステップをさらに含む。或いは、対向基板を形成するステップは、第2のベース基板を形成するステップと、第2のベース基板の薄膜トランジスタ駆動基板に面する側に第2の電極を形成するステップと、第2の電極の薄膜トランジスタ駆動基板に面する側に第2の疎水層を形成するステップとを含んでもよい。
【0068】
或いは、第1の電極及び光センサは、第1の電極の第1のベース基板上の正射影が、光センサのベース基板上の正射影を覆うように形成されてもよい。第1の電極は、実質的に透明な導電材料により形成される。
【0069】
いくつかの実施形態において、この方法は、複数のサンプル作動及び位置検出ユニットのアレイを形成するステップを含み、複数のサンプル作動及び位置検出ユニットの各々は、複数のサンプル作動ユニットのうちの1つと、複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つとを備えるように形成される。或いは、複数のサンプル作動ユニットのうちの1つの第1のトランジスタと、複数のサンプル位置検出ユニットのうちの1つの第2のトランジスタとは同一のゲート線に電気的に接続されるように形成され、同時にターンオンするように構成されてもよい。或いは、この方法は、複数のゲート線と、複数の第1の電極駆動信号線と、複数の読み出し線とを形成するステップをさらに含んでもよい。或いは、複数のゲート線は、複数の第1の電極駆動信号線及び複数の読み出し線と交差して、複数のサンプル作動及び位置検出領域を形成するように形成されてもよい。複数のサンプル作動及び位置検出ユニットは、複数のサンプル作動及び位置検出領域内にそれぞれ形成されてもよい。
【0070】
様々な適切な導電材料及び様々な適切な製造方法により、第1のゲート電極と、第1のソース電極と、第1のドレイン電極と、第2のゲート電極と、第2のソース電極と、第2のドレイン電極と、共通電極信号線と、第1の電極駆動信号線とを作製してよい。例えば、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)処理によって導電材料を基板上に積層してもよい。適切な導電材料の例としては、モリブデン、アルミニウム、銅、銀、クロム、ネオジム、ニッケル、マンガン、チタン、タンタル及びタングステン等の金属材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
様々な適切な導電材料及び様々な適切な製造方法により、第1の電極と、第2の電極と、共通電極とを作製してよい。例えば、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)処理によって透明導電材料を基板上に積層してもよい。適切な透明導電材料の例としては、様々な透明金属電極材料、透明金属酸化物電極材料、透明カーボンナノチューブ等が挙げられるが、これらに限定されない。透明金属電極材料としては、銀及びマグネシウム/銀の合金又は積層体が挙げられる。透明金属酸化物電極材料の例としては、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム酸化物及びインジウムガリウム亜鉛酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
様々な適切な絶縁材料及び様々な適切な製造方法により、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、第3の絶縁層と、誘電絶縁層と、第2の誘電絶縁層とを作製してよい。例えば、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)処理によって絶縁材料を基板上に積層してもよい。適切な絶縁材料の例としては、ポリイミド、樹脂、酸化ケイ素(SiOy)、窒化ケイ素(SiNy、例えばSi3N4)及び酸窒化ケイ素(SiOxNy)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
様々な適切な絶縁材料及び様々な適切な製造方法により第1の疎水層及び第2の疎水層を作製してよい。例えば、疎水性材料は、コーティングにより基板上に積層してもよい。適切な疎水性材料の例としては、テフロン(登録商標)及びCYTOP(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
別の側面において、本開示は、本明細書で述べたデジタルマイクロ流体デバイス又は本明細書で述べた方法により製造されたデジタルマイクロ流体デバイスを備えるマイクロ流体装置を提供する。或いは、マイクロ流体装置は、光センサにより検出された信号を受信するように構成された光検出回路と、第1の電極に駆動信号を供給するように構成された電極駆動回路とをさらに備えてもよい。
【0075】
別の側面において、本開示は本明細書で述べたデジタルマイクロ流体デバイス又は本明細書で述べた方法により製造されたデジタルマイクロ流体デバイスを備えるラボオンチップデバイスを提供する。
【0076】
本発明の実施形態に関する以上の記述は、例示及び説明を目的とする。以上の説明は、網羅的であること、又は開示された正確な形態或いは例示的な実施形態に本発明を限定することを意図していない。それ故、上記記載は限定ではなく例示を目的としていると見なすべきであり、多くの変更や変形は当業者にとって明らかであろう。これらの実施形態は、本発明の原理及びその最良の態様の実際の適用を説明するために選択及び記載されたものであり、それによって、本発明が特定の用途又は想定される実施形態の様々な実施形態及び様々な変形例に適用可能であることを当業者に理解させることを目的としている。本発明の範囲は、本開示に付した請求項及びその均等物により定義することが意図され、別途示唆しない限り、すべての用語は合理的な範囲内で最も広く解釈される。したがって、「本発明」、「本開示」又はこれに類する用語は請求項を必ずしも特定の実施形態に限定せず、本発明の例示的実施形態に対する参照は本発明への限定を示唆するものではなく、かかる限定を推論すべきではない。本発明は添付する請求項の精神と範囲によってのみ限定される。さらに、これらの請求項では後に名詞又は要素を伴って「第1の」、「第2の」等の表現を用いる場合がある。特定の数量が示されない限り、このような用語は専用語であると理解すべきであり、修飾された要素の数量が上記専用語により限定されると解釈してはならない。記載した効果や利点はいずれも本発明のすべての実施形態にあてはまるとは限らない。当業者であれば、以下の請求項により定義される本発明の範囲から逸脱せずに、記載した実施形態を変形できることが理解されよう。さらに、本開示の要素及び構成要素は、以下の請求項に明記されているか否かを問わず、いずれも公衆に捧げる意図はない。
【符号の説明】
【0077】
1 サンプル作動ユニット
2 サンプル位置検出ユニット
3a’ サンプル作動及び位置検出領域
3b’ サンプル作動及び位置検出領域
10 液滴
100 ベース基板
101 ベース基板
102 疎水層
200 電極
301 ゲート電極
302 ドレイン電極
303 ソース電極
311 ゲート電極
312 ドレイン電極
313 ソース電極
400 電極
500 電極駆動信号線
600 ゲート線
610 絶縁層
611 絶縁層
613 絶縁層
615 誘電絶縁層
616 疎水層
700 コンタクト電極
710 読み出し線
800 共通電極
810 共通電極信号線
900 光センサ