IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図1
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図2
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図3
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図4
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図5
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図6
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図7
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図8
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図9
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図10
  • 特許-ブロック複合材料造核剤を用いた造核 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ブロック複合材料造核剤を用いた造核
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/14 20060101AFI20230331BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20230331BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
C08L23/14
C08L53/00
C08F293/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020136093
(22)【出願日】2020-08-12
(62)【分割の表示】P 2017508635の分割
【原出願日】2015-08-20
(65)【公開番号】P2020189991
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】62/039,941
(32)【優先日】2014-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】イー・ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム・エル・ウォルトン
(72)【発明者】
【氏名】モーガン・エム・ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ダブリュ・カージャラ
(72)【発明者】
【氏名】ラミー・ジェイ・チョピン・サード
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ロンジュアン・コン
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-542284(JP,A)
【文献】特表2013-529705(JP,A)
【文献】特表2008-545015(JP,A)
【文献】特開平09-241334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00- 23/36
C08L 53/00
C08F 293/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)5075重量%のランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーであって、前記プロピレン系インターポリマーが、プロピレン/エチレンコポリマーであり、(i)前記プロピレン系インターポリマーの総重量に基づいて7重量%~49重量%のCのコモノマー含有量、(ii)0.90g/cc以下の密度、ならびに(iii)1g/10分以上のMFR(230℃/2.16kg)を有する、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーと、
(B)2550重量%のブロック複合材料造核剤であって、
(1)80~95重量%のプロピレン由来のmer単位と、エチレン由来の残りのmer単位を含むプロピレン系ポリマーである第1のポリマー、
(2)5~20重量%のプロピレン由来のmer単位と、エチレン由来の残りのmer単位を含むエチレン系ポリマーである第2のポリマー、ならびに
(3)第1のセグメント及び第2のセグメントを有するブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの前記第1のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤中の前記第1のポリマーと同一の組成を有し、前記ブロックコポリマーの前記第2のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤の前記第2のポリマーと同一の組成を有し、前記ブロックコポリマーが、30~50重量%の前記第2のセグメント及び50~70重量%の第1のセグメントを含む、ブロックコポリマーを含む、ブロック複合材料造核剤であって、鎖シャトリング剤を用いて製造されたブロック複合材料造核剤と、を含む、組成物であって、
前記組成物中の前記プロピレン系インターポリマー:前記ブロック複合材料造核剤の比率が1:1~3:1である、組成物。
【請求項2】
前記第1のセグメントが、5~20重量%のエチレン由来のmer単位を含み、前記第2のセグメントが、85~95重量%のエチレン由来のmer単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ブロック複合材料造核剤が、核剤であり、いかなる他の核剤も除外する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
粘着付与剤と、ワックス及び油の群から選択される少なくとも1つと、をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ブロック複合材料造核剤の微細構造指数が、1超かつ20未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
均質プロピレン/α-オレフィンコポリマーの造核のためのプロセスであって、
造核条件下で以下、
(A)5075重量%のランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーであって、前記プロピレン系インターポリマーが、プロピレン/エチレンコポリマーであり、(i)前記プロピレン系インターポリマーの総重量に基づいて7重量%~49重量%のCのコモノマー含有量、(ii)0.90g/cc以下の密度、ならびに(iii)1g/10分以上のMFR(230℃/2.16kg)を有する、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーと、
(B)2550重量%のブロック複合材料造核剤であって、
(1)80~95重量%のプロピレン由来のmer単位と、エチレン由来の残りのmer単位を含むプロピレン系ポリマーである第1のポリマー、
(2)5~20重量%のプロピレン由来のmer単位と、エチレン由来の残りのmer単位を含むエチレン系ポリマーを含む第2のポリマー、ならびに
(3)第1のセグメント及び第2のセグメントを有するブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの前記第1のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤中の前記第1のポリマーと同一の組成を有し、前記ブロックコポリマーの前記第2のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤の前記第2のポリマーと同一の組成を有し、前記ブロックコポリマーが、30~50重量%の前記第2のセグメント及び50~70重量%の第1のセグメントを含む、ブロックコポリマーを含む、ブロック複合材料造核剤であって、鎖シャトリング剤を用いて製造されたブロック複合材料造核剤と、を接触させることを含み、
前記プロピレン系インターポリマー:前記ブロック複合材料造核剤の比率が1:1~3:1である、プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、高コモノマー含有量のプロピレン系インターポリマーの造核のためのブロ
ック複合材料造核剤(BCN)に関する。
【背景技術】
【0002】
ホモポリマーとしてか、またはランダムコポリマーとしてのいずれかでポリプロピレン
の特性を変更する方法は、高結晶化構造を達成するためなど、結晶構造を改変するための
ものである。結晶化の開始は、造核(すなわち、結晶形成プロセスを開始するための核)
として既知であり、これは、個々のポリマー分子が整列し始めるとき、ポリマーマトリッ
クスを通してランダムに生じ得る。あるいは、造核は、異質混入物または意図的に追加さ
れた核剤の界面で生じ得る。核剤の適切な使用は、独特で望ましい結晶構造をもたらし、
(例えば、プロセス時間を短縮すること、及び/またはより高い温度で造核を開始するこ
とによって)ある一定のプロセスの効率を促進し得る。
【0003】
さらに、均質組成物分布及び狭分子量分布(MWDまたはMw/Mn)を伴う高コモノ
マー含有量のプロピレン/アルファオレフィンコポリマーは、緩徐な結晶化速度を有する
ことで既知であり、これに対して結晶化挙動の分析は、結晶化ピーク及び開始温度の明白
な増加を示すことができる示差走査熱量計(DSC)を利用することによって実行され得
る。分析のためにDSCを使用して、第1の加熱、第1の冷却、及び第2の加熱が実行さ
れ得る。緩徐な結晶化速度は、典型的なDSCプロファイル(サーモグラム)において、
第2の加熱時の低温結晶化ピークの出現によって定性的に特徴付けられ、これは、ポリマ
ーが、通常の冷却速度下、例えば、1分当たり摂氏10度(10℃/分)での事前の冷却
中に結晶化を完了できなかったことを示す。いくつかの場合、第1の冷却に時間がかかり
すぎることがあり、これは製造及び/または最終製品特徴に対して悪影響を有する。緩徐
な結晶化は、高コモノマー含有量のプロピレン/α-オレフィンコポリマーがペレット化
することを困難にさせ、ペレットのブロッキング傾向のために、在庫保管を極端に困難に
する。加えて、その緩徐な結晶化速度はまた、紡糸などの速い結晶化または硬化を必要と
する領域においてその用途を限定する。より速い結晶化速度を観察するため(ならびにペ
レット化及び/または保管を可能にするため)に、エチレンコポリマーまたはより高弾性
率のプロピレンコポリマーを、これらのプロピレンコモノマーにブレンドすることが提案
されている。しかしながら、これらのエチレンコポリマーまたはより高弾性率のプロピレ
ンコポリマーは、高コモノマー含有量のプロピレンコポリマーの造核に関して追加の利点
を提供せず、しばしば所望されるよりも硬い製品をもたらす。
【0004】
したがって、この種類の高コモノマー含有量のプロピレン系インターポリマーの結晶化
を加速させるために効果的な造核剤が探求される。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、(A)30~95重量%のランダムまたは均質プロピレン系インターポリ
マーであって、(i)プロピレン系インターポリマーの総重量に基づいて7重量%~49
重量%の、C及びC4-10α-オレフィンのうちの少なくとも1つのコモノマー含有
量、(ii)0.90g/cc以下の密度、ならびに(iii)1g/10分以上のMF
R(230℃/2.16kg)を有する、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリ
マーと、(B)5~70重量%のブロック複合材料造核剤であって、(1)ポリプロピレ
ンを含む第1のポリマー、
(2)アルファオレフィン系ポリマーを含む第2のポリマーであって、アルファオレフィ
ンが、C及びC4-10α-オレフィンのうちの少なくとも1つから選択される、第2
のポリマー、ならびに(3)第1のセグメント及び第2のセグメントを有するブロックコ
ポリマーであって、ブロックコポリマーの第1のセグメントが、ブロック複合材料造核剤
中の第1のポリマーと同一の組成を有し、ブロックコポリマーの第2のセグメントが、ブ
ロック複合材料造核剤の第2のポリマーと同一の組成を有する、ブロックコポリマーを含
む、ブロック複合材料造核剤と、を含む組成物を提供することによって実現され得る。ラ
ンダムまたは均質プロピレン系インターポリマーの造核のためのプロセスは、造核条件下
で組成物の成分と接触させるステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】プロピレン/エチレンコポリマー(対照1)の2つのDSCプロファイルの組である。第1のDSCプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のDSCプロファイルは第1の冷却のものである。
図2】本発明の実施例1、すなわち、図1の対照1と実施例のBCN1とのブレンドの、2つのDSCプロファイルの組である。第1のDSCプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のDSCプロファイルは第1の冷却のものである。
図3】本発明の実施例2、すなわち、図1の対照1と実施例のBCN1とのブレンドの、2つのDSCプロファイルの組である。第1のDSCプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のDSCプロファイルは第1の冷却のものである。
図4】比較例A、すなわち、図1の対照1と実施例の比較CN1とのブレンドの、2つのDSCプロファイルの組である。第1のDSCプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のDSCプロファイルは第1の冷却のものである。
図5】比較例B、すなわち、図1の対照1と実施例の比較CN1とのブレンドの、2つのDSCプロファイルの組である。第1のDSCプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のDSCプロファイルは第1の冷却のものである。
図6】比較例C、すなわち、プロピレン/エチレンコポリマーとAFFINITY(商標)PL1280Gとのブレンドの、2つのDSCプロファイルである。第1のプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のプロファイルは第1の冷却のものである。
図7】比較例D、すなわち、プロピレン/エチレンコポリマーとDS6D82とのブレンドの、2つのDSCプロファイルである。第1のプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のプロファイルは第1の冷却のものである。
図8】比較例E、すなわち、プロピレン/エチレンコポリマーとAFFINITY(商標)PL1280Gとのブレンドの、2つのDSCプロファイルである。第1のプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のプロファイルは第1の冷却のものである。
図9】比較例F、すなわち、プロピレン/エチレンコポリマー及びDS6D82の、2つのDSCプロファイルである。第1のプロファイルは第2の加熱のものであり、第2のプロファイルは第1の冷却のものである。
図10】熱勾配相互作用クロマトグラフィー温度較正の溶出温度の外挿である。
図11】比較BCN1、iPPとTAFMER(商標)P0280とのブレンド、及びVERSIFY(商標)2400とTAFMER(商標)P0280とのブレンドの、高温液体クロマトグラフィー(HTLC)クロマトグラムを報告する。破線は、iPP、VERSIFY(商標)2400(主ピーク)、及びTAFMER(商標)P0280の化学組成対それらの溶出体積の直線回帰適合である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態は、高コモノマー含有量のランダムまたは均質プロピレン系インターポリマー
のための造核剤としてのブロック複合材料造核剤(BCN)の使用を含む組成物及びプロ
セスに関する。
【0008】
定義
元素周期表に対する全ての参照は、CRC Press,Inc.,1990により出
版され、著作権が取得された元素周期表を指す。また、族(単数または複数)に対する全
ての参照は、族を番号付けするためにIUPACシステムを用いるこの元素周期表に反映
された族(単数または複数)に対するものとする。反対の定めがない限り、文脈から黙示
的でない限り、または当該技術分野において慣例ではない限り、全ての部及びパーセント
は重量に基づき、全ての試験方法は本開示の出願日時点で最新である。米国特許慣行の目
的のため、特に、合成技術、製品及び加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示において
具体的に提供されるいかなる定義とも矛盾しない程度まで)、ならびに当該技術分野の一
般知識の開示に関して、参照されるいかなる特許、特許出願、または特許公開の内容も、
それらの全体が参照により組み込まれる(あるいは、その米国等価版が同様に参照により
組み込まれる)ものとする。
【0009】
本開示における数値範囲は近似であるため、特に指定のない限り、範囲外の値を含み得
る。数値範囲は、1単位の増分で、下限値から上限値(それらを含む)までの全ての値を
含むが、但し、いかなる下限値といかなる上限値との間にも少なくとも2単位の分離が存
在することを条件とする。一例として、例えば、分子量、粘度、メルトインデックスなど
の組成的、物理的、または他の特性が100~1,000である場合、100、101、
102などの全ての個々の値、及び100~144、155~170、197~200な
どの下位範囲が明白に列挙されることが意図される。1未満の値を含有する範囲、または
1よりも大きい分数(例えば、1.1、1.5など)を含有する範囲について、1単位は
、必要に応じて0.0001、0.001、0.01、または0.1であるとみなされる
。10未満の一桁の数を含有する範囲(例えば、1~5)について、1単位は、典型的に
は0.1であるとみなされる。これらは、具体的に意図されるものの例にすぎず、列挙さ
れる最低値と最高値との数値の全ての可能な組み合わせが、本開示において明白に述べら
れるものとみなされる。数値範囲は、本開示において、他のものの中でもとりわけ組成物
の成分の密度及びメルトインデックスについて提供される。
【0010】
化学化合物に関して使用される場合、特に具体的に示されない限り、単数形は全ての異
性体形態を含み、逆もまた同様である(例えば、「ヘキサン」は、個々または集合的にヘ
キサンの全ての異性体を含む)。「化合物」及び「複合体」という用語は、有機化合物、
無機化合物、または有機金属化合物を指すために互換的に使用される。「原子」という用
語は、イオン状態にかかわらず、すなわち、それが電荷もしくは部分電荷を帯びるか、ま
たは別の原子に結合されるかにかかわらず、元素の最小の構成物を指す。
【0011】
「組成物」及び類似する用語は、2つ以上の成分の混合物またはブレンドを意味する。
例えば、1つの組成物は、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマー及びブロッ
ク複合材料造核剤の組み合わせである。
【0012】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」などの用語は、2つ以上のポリマーのブレンドを
意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、または混和性でなくてもよい。そ
のようなブレンドは、相分離されても、または相分離されなくてもよい。そのようなブレ
ンドは、透過型電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野において既知であるい
かなる他の方法からも決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、または含有し
なくてもよい。
【0013】
「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを
重合することによって調製される化合物を指す。したがって、ポリマーという一般名称は
、以下に定義されるように、1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために
通常使用されるホモポリマーという用語、及びインターポリマーという用語を包含する。
それはまた、全ての形態のインターポリマー、例えば、ランダム、ブロック、均質、異質
なども包含する。「エチレン/アルファオレフィンポリマー」及び「プロピレン/アルフ
ァオレフィンポリマー」という用語は、以下に記載されるインターポリマーを意味する。
【0014】
「インターポリマー」及び「コポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマー
の重合によって調製されるポリマーを意味する。これらの一般名称は、古典的コポリマー
、すなわち、2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーと、3つ以上の異なる
種類のモノマー(例えば、ターポリマー、テトラポリマーなど)から調製されるポリマー
との両方を含む。
【0015】
「mer単位」などの用語は、ポリマーの繰り返し単位を意味する。例えば、-(CH
CH)-は、エチレンポリマーのmer単位であり、この単位は、モノマーエチレン
に由来する。
【0016】
「プロピレン系ポリマー」及び類似する用語は、(重合可能モノマーの総量に基づいて
)過半重量パーセントの重合プロピレンモノマーを含み、かつ任意に、プロピレンとは異
なる少なくとも1つの重合コモノマーを含んで、プロピレン系インターポリマーを形成す
る、ポリマーを意味する。例えば、プロピレン系ポリマーがコポリマーである場合、プロ
ピレンの量は、コポリマーの総重量に基づいて50重量%を超える。「プロピレン由来の
単位」及び類似する用語は、プロピレンモノマーの重合から形成したポリマーの単位を意
味する。「α-オレフィン由来の単位」及び類似する用語は、α-オレフィンモノマー、
具体的には、C3-10α-オレフィンのうちの少なくとも1つの重合から形成したポリ
マーの単位を意味する。対照的に、「エチレン系ポリマー」及び類似する用語は、(重合
可能モノマーの総重量に基づいて)過半重量パーセントの重合エチレンモノマーを含み、
かつ任意に、エチレンとは異なる少なくとも1つの重合コモノマーを含んで、エチレン系
インターポリマーを形成し得る、ポリマーを意味する。例えば、エチレン系ポリマーがコ
ポリマーであるとき、エチレンの量は、コポリマーの総秤量に基づいて50重量%を超え
る。
【0017】
「ランダムプロピレン系インターポリマー」及び類似する用語は、α-オレフィンモノ
マー由来の単位が、ポリマー鎖にわたって交互パターン、周期的パターン、またはブロッ
クパターンで分布するのとは対照的に、ポリマー鎖にわたってランダムに分布する、プロ
ピレン/α-オレフィンインターポリマーを意味する。
【0018】
「均質プロピレン系インターポリマー」及び類似する用語は、α-オレフィンモノマー
由来の単位が、バルクポリマーのポリマー鎖にわたってランダムかつおよそ均一に分布す
る、プロピレン/α-オレフィンインターポリマーを意味する。
【0019】
「ブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」という用語は、直線様式で
接合された2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)
を含むポリマー、すなわち、ペンデント様式またはグラフト化様式ではなく、むしろ重合
官能性に関して端々接合(共有結合)された、化学的に区別される単位を含むポリマーを
指す。ブロックは、それらの中に組み込まれたコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶
化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成
物のポリマーに起因し得る微結晶サイズ、立体規則性の種類もしくは程度(イソタクチッ
クもしくはシンジオタクチック)、位置規則性もしくは位置不規則性、長鎖分岐もしくは
超分岐を含む分岐の量、均質性、及び/またはいかなる他の化学的もしくは物理的特性に
おいても異なる。ブロックコポリマーは、ポリマー多分散度(PDIまたはMw/Mn)
及びブロック長分布の両方の独特な分布によって、例えば、触媒(実施例において記載さ
れるものなど)と組み合わせたシャトリング剤(複数可)の使用の効果に基づいて、特徴
付けられる。
【0020】
「ブロック複合材料」(BC)、例えば、ブロック複合材料造核剤(BCN)という用
語は、10モル%超かつ95モル%未満であるコモノマー含有量(C及びC4-10α
-オレフィンのうちの1つのような)を有する軟質コポリマーと、(エチレンなどの)モ
ノマー含有量を有する硬質ポリマーと、ブロックコポリマー(例えば、軟質セグメント及
び硬質セグメントを有するジブロック)とを含むポリマーを指し、ブロックコポリマーの
硬質セグメントは、ブロック複合材料中の硬質ポリマーと本質的に同一の組成であり、ブ
ロックコポリマーの軟質セグメントは、ブロック複合材料の軟質コポリマーと本質的に同
一の組成である。
【0021】
「硬質」セグメント/ブロックという用語は、重合単位の結晶性/半結晶性ブロックを
指す。「軟質」セグメント/ブロックは、重合単位の非結晶性、実質的に非結晶性、また
はエラストマーのブロックを指す。硬質セグメントは、軟質セグメントよりも比較的硬く
てもよい。
【0022】
「結晶性」という用語は、示差走査熱量計(DSC)または等価技術によって決定され
る、一次転移または結晶融点(Tm)を持つポリマーまたはポリマーブロックを指す。こ
の用語は、「半結晶性」という用語と互換的に使用され得る。
【0023】
「結晶化性」という用語は、得られるポリマーが結晶性であるように重合し得るモノマ
ーを指し得る。結晶性プロピレンポリマーは、0.88g/cc~0.91g/ccの密
度及び100℃~170℃の融点を有し得るが、これらに限定されない。
【0024】
「非結晶性」という用語は、示差走査熱量計(DSC)または等価技術によって決定さ
れる結晶融点を欠くポリマーを指し得る。
【0025】
「イソタクチックな」という用語は、13C-NMR分析によって決定される、少なく
とも70パーセントのイソタクチックなペンタッドを有するポリマー反復単位として定義
される。「高度にイソタクチックな」とは、少なくとも90パーセントのイソタクチック
なペンタッドを有するポリマーとして定義される。
【0026】
プロピレン系インターポリマー
組成物中のプロピレン系インターポリマーの量は、組成物の総重量に基づいて、10重
量%~95重量%、30重量%~95重量%、30重量%~85重量%、40重量%~8
5重量%、及び/または45重量%~80重量%である。例えば、粘着付与剤、油、及び
/またはワックスのうちの少なくとも1つが組成物中に含まれるとき、プロピレン系イン
ターポリマーの量は、10重量%~95重量%の範囲の下端であり得る。
【0027】
使用されるランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーは、プロピレンインター
ポリマー及びポリプロピレンの反応器コポリマー(RCPP)を含み、かつ2個の炭素原
子及び4~10個の炭素原子のうちの少なくとも1つを有する、7重量%以上(10モル
%以上)のアルファオレフィンコモノマーを含む。例えば、アルファオレフィンコモノマ
ーは、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーの総重量に基づいて、7重量%
~49重量%(例えば、10重量%~40重量%、10重量%~30重量%、10重量%
~20重量%、10重量%~19重量%、10重量%~15重量%など)の量で存在し得
る。ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーは、ジブロックコポリマーなどの
ブロックコポリマーと識別可能である。例えば、ランダムまたは均質プロピレン系インタ
ーポリマーは、ブロック複合材料造核剤に関して以下に論じられるように、典型的に均質
な溶液種類の重合プロセスにおいて、鎖シャトリング剤を使用することなく作製され得る
【0028】
例えば、プロピレン/アルファオレフィンインターポリマーは、(A)60~93未満
(例えば、80~99及び/または85~99)重量パーセントのプロピレン由来の単位
と、(B)7~40(例えば、1~20、1~15、及び/または5~15)重量パーセ
ントのエチレン及び/またはC4-10α-オレフィン(例えば、オクテン)のうちの少
なくとも1つに由来する単位などの残りとを含むものとしてさらに特徴付けられ得る。例
示的な実施形態において、プロピレン/アルファオレフィンインターポリマーは、プロピ
レン-エチレンコポリマーである。プロピレン/アルファオレフィンインターポリマーは
、平均で少なくとも0.001の長鎖分岐/1000個の総炭素を含有し得る。
【0029】
プロピレンとの重合のための例示的なコモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、1
-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、及び1-デセン
、ならびに4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘ
キセン、ビニルシクロヘキサン、及びスチレンが挙げられる。例えば、使用されるコモノ
マーには、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンのうちの少なくとも
1つが含まれる。例えば、ランダムまたは均質プロピレン系コポリマーとしては、エチレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネ
ン、1-デセン、またはこれらの任意の組み合わせを有するプロピレンが挙げられる。追
加の不飽和コモノマーとしては、1,3-ペンタジエン、ノルボルナジエン、及びジシク
ロペンタジエンが挙げられる。例えば、アルファオレフィンは、7重量%~49重量%(
例えば、10重量%~40重量%、10重量%~30重量%、10重量%~20重量%、
10重量%~19重量%、10重量%~15重量%など)の量で存在し、残りがプロピレ
ンである、エチレンであり得る。
【0030】
特定の目的のプロピレン系インターポリマーとしては、例えば、プロピレン/エチレン
、プロピレン/1-ブテン、プロピレン/1-ヘキセン、プロピレン/4-メチル-1-
ペンテン、プロピレン/1-オクテン、プロピレン/エチレン/1-ブテン、プロピレン
/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1-ヘキセン、及びプロピレン/エチレン
/1-オクテンが挙げられる。例示的なプロピレンインターポリマーは、プロピレン/エ
チレン/1-ブテン、プロピレン/エチレン/1-ヘキセン、及びプロピレン/エチレン
/1-オクテンである。
【0031】
好適なポリプロピレンは、当該技術分野の技術の範囲内の手段によって、例えば、シン
グルサイト触媒(メタロセンもしくは幾何拘束型)またはチーグラー・ナッタ触媒を用い
て形成される。例示的なポリプロピレンポリマーとしては、VERSIFY(商標)ポリ
マー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、KS400
5ポリプロピレンコポリマー(これまではSolvayから入手可能)、及びKS300
ポリプロピレンターポリマー(これまではSolvayから入手可能)が挙げられる。プ
ロピレン及びコモノマー(エチレンまたはアルファオレフィンモノマー)は、例えば、G
alli,et al.,Angew. Macromol. Chem.,Vol.
120,73(1984)によって、またはE.P.Moore等によってPolypr
opylene Handbook,Hanser Publishers,New Y
ork,1996、特に11~98項において開示されるものなどの、当該技術分野の技
術の範囲内の条件下で重合され得る。
【0032】
プロピレン系インターポリマーは、ASTM D-1238に従って230℃/2.1
6kgで測定される、1~3000g/10分、1~1000g/10分の範囲内、1~
500g/10分の範囲内、1~250g/10分の範囲内、1~200g/10分の範
囲内、1~100g/10分の範囲内、1~50g/10分の範囲内、1~25g/10
分の範囲内、及び/または1~10g/10分の範囲内のメルトフローレート(MFR)
を有する。例示的な実施形態において、MFRは、1g/10分以上である。MFRは、
10g/10分未満であり得る。プロピレン系インターポリマーは、350°F/177
℃で、ブルックフィールド粘度計を用いて測定される、50,000センチポアズ(cP
)を超える(例えば、60,000cP超及び/または100,000cP超)ブルック
フィールド粘度計を有し得る。
【0033】
プロピレン系インターポリマーは、1立方センチメートル当たり0.90グラム(g/
cc)以下の密度を有する。例えば、プロピレン系コポリマーの密度は、0.80g/c
c~0.89g/cc、0.82g/cc~0.89g/cc、0.84g/cc~0.
88g/cc、0.84g/cc~0.87g/cc、0.845g/cc~0.86g
/cc、及び/または0.85g/cc~0.86g/cc未満である。
【0034】
プロピレン系インターポリマーは、例えば、4以下、3.5以下、3以下、及び/また
は2.5以下の狭分子量分布(MWD)を有し得る。狭MWDのプロピレン系ポリマーは
、当該技術分野の技術の範囲内の手段によって形成される。狭MWDを有するプロピレン
系ポリマーは有利に、ビスブレーキングによって、もしくはシングルサイト触媒作用を用
いて反応器等級(ビスブレーキングされていない)を製造することによって、または両方
の方法によってもたらすことができる。
【0035】
プロピレン/アルファオレフィンインターポリマーは、米国特許第7,199,203
号に記載される示差走査熱量計(DSC)によって測定される、典型的には120℃未満
の融解温度(Tm)、及び典型的には1グラム当たり70ジュールの融解熱(Hf)を有
し得る。
【0036】
プロピレン系インターポリマーは、反応器等級であっても、ビスブレーキングされてい
ても、造核速度及び結晶化速度の増加を提供するために分岐またはカップリングされてい
てもよい。「カップリングされている」という用語は、本明細書では、溶融ポリマーが押
出中に(例えば、環状ダイの直前の押出機内で)流動する耐性の変化を呈するようにレオ
ロジー改質されている、プロピレン系ポリマーを指すために使用される。「ビスブレーキ
ングされている」が鎖切断の方向である一方で、「カップリングされている」は、架橋ま
たはネットワーク化の方向である。カップリングの一例として、押出後、得られるポリプ
ロピレンポリマー組成物が初期メルトフローレートよりも実質的に低いメルトフローレー
トを達成するように、カップリング剤(例えば、アジド化合物)が比較的高メルトフロー
レートのプロピレンポリマーに添加される。カップリングまたは分岐ポリプロピレンにつ
いて、後続MFR対初期MFRの比率は、0.7:1以下及び/または0.2:1以下で
あり得る。
【0037】
プロピレン系インターポリマーは、実質的にイソタクチックなプロピレン配列を有する
ものとして特徴付けられる、プロピレン/アルファオレフィンインターポリマー(例えば
、プロピレン/アルファオレフィンコポリマー)を含み得る。「実質的にイソタクチック
なプロピレン配列」は、配列が、0.85を超える、代替形態において0.90を超える
、別の代替形態において0.92を超える、及び別の代替形態において0.93を超える
13C NMRによって測定されるイソタクチックトライアッド(mm)を有することを
意味する。イソタクチックトライアッドは、当該技術分野において既知であり、例えば、
米国特許第5,504,172号及び国際公開第2000/001745号において記載
され、これは、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖における
トライアッド単位の点からイソタクチックな配列を指す。
【0038】
例示的なプロピレン/アルファオレフィンインターポリマーは、米国特許第8,609
,228号及び同第6,525,157号にさらに記載される。例示的なプロピレン/ア
ルファオレフィンインターポリマーは、商品名VERSIFY(商標)でThe Dow
Chemical Companyから、または商品名VISTAMAXX(商標)で
ExxonMobil Chemical Companyから市販されている。
【0039】
ブロック複合材料造核剤
組成物中のブロック複合材料造核剤(BCN)の量は、組成物の総重量に基づいて、5
重量%~70重量%、10重量%~60重量%、15重量%~55重量%、及び/または
20重量%~55重量%である。組成物中のプロピレン系インターポリマー対ブロック複
合材料造核剤の比率は、95:5~30:70であり得、例えば、組成物が他の任意の成
分/添加剤を含むとき、比率は、95:5~30:70であり得る。例えば、85:15
~35:65、80:20~40:60、及び/または76:24~49:51である。
例えば、比率は、およそ1:1~3:1である。
【0040】
ブロック複合材料造核剤(BCN)は、ブロック複合材料を指す。ブロック複合材料は
、コモノマー含有量が、(軟質コポリマーの総重量に基づいて)10重量%超かつ95重
量%未満であり得る軟質ポリマー、モノマーが、(硬質ポリマーの総重量に基づいて)8
0重量%超かつ100重量%までの量で存在し得る硬質ポリマー、ならびに軟質セグメン
ト及び硬質セグメントを有するブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーに関して
、ブロックコポリマーの硬質セグメントは、ブロック複合材料中の硬質ポリマーと本質的
に同一の組成であり、ブロックコポリマーの軟質セグメントは、ブロック複合材料の軟質
コポリマーと本質的に同一の組成である。本明細書において使用される場合、軟質ポリマ
ー及び軟質セグメントは、それぞれ第1のポリマー及び第1のセグメントと呼ばれ得、硬
質ポリマー及び硬質セグメントは、それぞれ第2のポリマー及び第2のセグメントと呼ば
れ得る。
【0041】
硬質セグメントにおいて、モノマーは、80重量%を超える量(例えば、85重量%超
かつ100重量%未満)で存在し得、残りがコモノマーである。軟質セグメントにおいて
、(コモノマーがモノマーとは異なる)コモノマー含有量は、20重量%超かつ100重
量%未満(例えば、50重量%超かつ99重量%未満、及び/または80重量%超かつ9
9重量%未満)であり得る。ブロックコポリマーについて、軟質セグメントの重量パーセ
ンテージは、硬質セグメントの重量パーセンテージを超え得る。
【0042】
例示的な実施形態に従って、ブロック複合材料造核剤は、20~50重量%及び/また
は25~45重量%の硬質ブロック、50~80重量%及び/または55~75重量%の
軟質ブロックを有するブロックコポリマーを含むプロピレン-エチレンブロック複合材料
造核剤を含み、硬質ブロックは5~20重量%(例えば、10重量%超かつ20重量%未
満)のプロピレン由来の単位と、エチレン由来の残りとを含み、軟質ブロックは(ブロッ
クと共に存在するプロピレン系ポリマー及びエチレン系ポリマーに加えて)80~95重
量%のプロピレン由来の単位と、エチレン由来の残りとを含む。
【0043】
ブロック複合材料造核剤は、従来のランダムコポリマー及びポリマーの物理的ブレンド
とは区別され得る。ブロック複合材料造核剤は、微細構造指数、より良好な引っ張り強度
、改善された破壊強度、より微細な形態、改善された光学、及び/またはより低温でのよ
り大きな衝撃強度などの特徴によって、ランダムコポリマーとは、及び物理的ブレンドと
は区別され得る。例えば、ブロック複合材料造核剤は、直線様式で接合された異なる領域
またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を有するブロックコポリマーを含む。ブロ
ックは、例えば、ポリエチレン対ポリプロピレンなどの結晶化度の種類において異なる。
ブロックコポリマーは、直線または分岐であってもよい。連続プロセスにおいて生成され
る場合、ブロック複合材料は、1.7~15(例えば、1.8~10、1.8~5、及び
/または1.8~3.5)のPDIを持ち得る。バッチまたは半バッチプロセスにおいて
生成される場合、ブロック複合材料は、1.0~2.9(例えば、1.3~2.5、1.
4~2.0、及び/または1.4~1.8)のPDIを持ち得る。そのようなブロック複
合材料は、例えば、ブロック複合材料、それらを作製するためのプロセス、及びそれらの
分析方法の記述に関して、参照により本明細書において組み込まれる、すべて2011年
12月22日公開の米国特許出願公開第2011/0313106、同第2011/03
13108号、及び同第2011/0313108号において記載される。
【0044】
ブロック複合材料造核剤は、1超かつ20以下(例えば、1.5~19.5及び/また
は1.75~19.5)の微細構造指数を有し得る。微細構造指数は、ブロックコポリマ
ーとランダムコポリマーとを区別するために、吸着系溶媒勾配相互作用クロマトグラフィ
ー(SGIC)分離を使用する推定である。具体的には、微細構造指数推定は、2つの画
分、すなわち、より高いランダムコポリマー含有量画分と、より高いブロックコポリマー
含有量画分とを区別することに頼り、そのランダムコポリマー及びブロックコポリマーは
、本質的に同一の化学組成を有する。初期溶出画分(すなわち、第1の画分)は、ランダ
ムコポリマーに関連し、後期溶出成分(すなわち、第2の画分)は、ブロックコポリマー
に関連する。
【0045】
ブロック複合材料造核剤は、付加重合可能モノマーまたはモノマーの混合物を、付加重
合条件下で、少なくとも1つの付加重合触媒、1つ以上の共触媒(例えば、2つの共触媒
)、及び鎖シャトリング剤を含む組成物と接触させることを含むプロセスによって調製さ
れ得る。プロセスは、定常状態の重合条件下で動作する2つ以上の反応器における、また
はプラグ流動重合条件下で動作する1つの反応器の2つ以上の帯域における、区別される
プロセス条件下での、少なくともいくらかの成長するポリマー鎖の形成によって特徴付け
られ得る。
【0046】
ブロック複合材料造核剤を生成するのに有用である好適なプロセスは、例えば、参照に
より本明細書において組み込まれる、2008年10月30日公開の米国特許出願公開第
2008/0269412号において発見され得る。具体的には、重合は、連続重合、好
ましくは連続溶液重合として望ましく実施され、これらの重合では、触媒成分、モノマー
、ならびに任意に、溶媒、アジュバント、スカベンジャー、及び重合助剤が1つ以上の反
応器または帯域に連続的に供給され、ポリマー生成物がそこから連続的に除去される。こ
の文脈において使用される「連続的」及び「連続的に」という用語の範囲内にあるのは、
規則的または不規則な小間隔で断続的な反応体の添加及び生成物の除去が存在するため、
経時的に、プロセス全体が実質的に連続的であるプロセスである。さらに、第1の反応器
もしくは帯域を含む重合中の任意の点で、第1の反応器の出口もしくは出口の少し手前で
、あるいは第1の反応器もしくは帯域と第2または任意の後続の反応器もしくは帯域との
間で、鎖シャトリング剤(複数可)が添加され得る。モノマー、温度、圧力の差異、また
は連続して接続された少なくとも2つの反応器もしくは帯域間の重合条件の他の差異のた
めに、コモノマー含有量、結晶化度、密度、立体規則性、位置規則性、または他の化学的
もしくは物理的差異などの、同一分子内の異なる組成物のポリマーセグメントが、異なる
反応器または帯域内で形成される。各セグメントまたはブロックのサイズは、連続ポリマ
ー反応条件によって決定され、好ましくは最も可能性の高い分布のポリマーサイズである
【0047】
実施形態に従って、組成物は、核剤としてブロック複合材料造核剤を含む。組成物は、
当該技術分野において既知である核剤などの別の核剤を任意で含み得る。例示的な実施形
態に従って、組成物は、いかなる他の核剤(当該技術分野において既知である核剤など)
も除外し得る。例えば、HMA組成物は、カルボン酸塩(安息香酸ナトリウムを含む)、
タルク、ホスフェート、金属-シリケート水和物、ジベンジリデンソルビトールの有機誘
導体、ソルビトールアセタール、有機ホスフェート塩、及びこれらの組み合わせなどの造
核剤を除外し得る。例示的な実施形態において、ブロック複合材料造核剤は、組成物中、
例えば、ホットメルト接着剤組成物である組成物中の唯一の核剤であり得る。
【0048】
添加剤及び充填剤
組成物は、1つ以上の添加剤及び/または充填剤を任意で含み得る。好適な添加剤の非
限定的な例としては、油、ワックス、粘着付与剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤(例えば
、UV光安定剤及び吸収剤)、光学的増白剤、帯電防止剤、潤滑剤、酸化防止剤、触媒、
レオロジー改質剤、殺生物剤、腐食防止剤、脱水剤、有機溶媒、着色剤(例えば、色素及
び染料)、界面活性剤アンチブロック剤、ワックス、粘着付与剤、上記のブロック複合材
料造核剤に加えて核剤、難燃剤、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。充填剤の非
限定的な例としては、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、タルク、炭酸カルシウム、カー
ボンブラック、アルミノシリケート、粘土、ゼオライト、セラミックス、雲母、二酸化チ
タン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。添加剤及び/または充填剤の種類及び量は
、組成物の製造、保管、使用、及び/または経済性を最大化するように選択される。
【0049】
含まれる場合、ワックス及び/または油は、組成物の溶融粘度を低減するために使用さ
れ得る。ワックスの非限定的な例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリン
ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、副生成物のポリエチレンワ
ックス、フィッシャー・トロプシュワックス、酸化フィッシャー・トロプシュワックス、
ならびにヒドロキシステアラミドワックス及び脂肪アミドワックスなどの官能化ワックス
が挙げられる。油の非限定的な例としては、鉱物系油、石油系油、グリセロールトリヒド
ロキシオレエートなどの官能化油、野菜油、脂肪油、当該技術分野において既知である他
の可塑油、及びこれらの混合物が挙げられる。例示的な油は、芳香族含有量が低く、性質
がパラフィン性またはナフテン性である、炭化水素油である。
【0050】
含まれる場合、粘着付与剤は、粘弾性特性(例えば、タンデルタ)、レオロジー的特性
(例えば、粘度)、粘着性(例えば、くっつく能力)、感圧性、及び湿潤特性などの組成
物の特性を変更し得る。いくつかの実施形態において、粘着付与剤は、組成物の粘着性を
改善するために使用され得る。他の実施形態において、粘着付与剤は、組成物の粘度を低
減するために使用され得る。特定の実施形態において、粘着付与剤は、被着材の表面を浸
潤し、かつ/または被着材の表面への接着力を改善するために使用される。粘着付与剤は
、90℃、または93℃、または95℃、または97℃、または100℃、または105
℃、または110℃~120℃、または130℃、または140℃、または150℃の(
ASTM E28に従って測定される)環球軟化温度を有し得る。
【0051】
本明細書に開示される組成物に好適な粘着付与剤は、室温で固形、半固形、または液体
であり得る。粘着付与剤の非限定的な例としては、(1)天然及び変性ロジン(例えば、
ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン
、及び重合ロジン)、(2)天然及び変性ロジンのグリセロール及びペンタエリスリトー
ルエステル(例えば、ペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリ
セロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリ
トールエステル、及びロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステル)、(3)
天然テルペンのコポリマー及びターポリマー(例えば、スチレン/テルペン及びアルファ
メチルスチレン/テルペン)、(4)ポリテルペン樹脂及び水素化ポリテルペン樹脂、(
5)フェノール変性テルペン樹脂及びこれらの水素化誘導体(例えば、酸性媒体中で、二
環式テルペン及びフェノールの縮合から生じる樹脂生成物)、(6)脂肪族または脂環式
炭化水素樹脂及びこれらの水素化誘導体(例えば、主にオレフィン及びジオレフィンから
なるモノマーの重合から生じる樹脂)、(7)芳香族炭化水素樹脂及びこれらの水素化誘
導体、(8)芳香族変性脂肪族または脂環式炭化水素樹脂及びこれらの水素化誘導体、な
らびにこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、粘着付与剤は、シラング
ラフト化非結晶性ポリアルファオレフィンまたはシラングラフト化エチレン/α-オレフ
ィンマルチブロックコポリマーのいずれかのシラノール基が反応する基を含まない。
【0052】
組成物は、(例えば、油と同一であるか、またはそれとは異なる)可塑剤を含み得る。
可塑剤は、押出性、柔軟性、加工性、及び/または伸縮性を改善するために添加され得る
有機組成物であり得る。可塑剤は、周囲温度で液体または固形のいずれかであり得る。例
示的な液体可塑剤としては、炭化水素油、ポリブテン、液体粘着付与樹脂、及び液体エラ
ストマーが挙げられる。可塑剤油は主に、芳香族含有量が低く、性質がパラフィン性また
はナフテン性である、炭化水素油である。可塑剤油は、揮発性が低くても、透明であって
も、かつ可能な限り少ない色及び匂いを有してもよい。他の例示的な可塑剤としては、オ
レフィンオリゴマー、低分子量ポリマー、野菜油及びこれらの誘導体、ならびに同様の可
塑液体が挙げられる。
【0053】
組成物
例示的な実施形態において、組成物は、(A)30~95重量%、40~85及び/ま
たは45~80重量%のランダムまたは均質プロピレン系コポリマーであって、(i)7
重量%以上、10重量%以上、及び/または12重量%以上のCまたはC4-10α-
オレフィンコモノマー含有量、(ii)4以下、3.5以下、及び/または3以下のMW
D、(iii)0.90g/cc以下、0.895g/cc以下、及び/または0.89
g/cc以下の密度、ならびに(iv)1g/10分以上のMFR(230℃/2.16
kg)のうちの少なくとも1つを有する、ランダムまたは均質プロピレン系コポリマーと
、(B)5~70重量%、10~60重量%、及び/または20~55重量%のブロック
複合材料造核剤であって、以下の特性、(1)5~92重量%、25~70重量%、及び
/または34~60重量%のエチレン由来の単位であり、残りがC3-10α-オレフィ
ンに由来する単位、(2)1超かつ20以下(例えば、1.5~19.5及び/または1
.75~19.5の微細構造指数、ならびに(3)少なくとも85℃、少なくとも100
℃、及び/または少なくとも115℃のA DSCピーク融点のうちの少なくとも1つを
有するブロック複合材料造核剤とを含む。
【0054】
組成物は、ホットメルト接着剤組(HMA)であり得る。HMA組成物は、HMA組成
物の総重量に基づいて、(ランダムまたは均質プロピレン系コポリマー及びブロック複合
材料造核剤に加えて)0~70重量%の少なくとも1つの粘着付与剤を含み得る。例えば
、(含まれる場合)粘着付与剤の量は、HMA組成物の総重量に基づいて、5重量%~7
0重量%、10重量%~50重量%、20重量%~40重量%、及び/または30重量%
~40重量%であり得る。例示的な一実施形態において、HMA組成物は、30重量%~
40重量%の粘着付与樹脂を含む。HMA組成物は、0~40重量%のワックス及び/ま
たは油を含み得る(ワックス及び/または油の合計重量は、0~40重量%である、など
)。例えば、(含まれる場合)ワックス及び/または油の量は、HMA組成物の総重量に
基づいて、5重量%~40重量%、10重量%~35重量%、15重量%~30重量%、
及び/または20重量%~30重量%であり得る。例示的な一実施形態において、HMA
組成物は、20重量%~30重量%のワックスを含む。HMA組成物は、0重量%~5重
量%の酸化防止剤などの他の添加剤を含み得る。例えば、HMA組成物は、0.1重量%
~2重量%の酸化防止剤を含み得る。
【0055】
HMAは、溶融物として接着結合される部品上に適用される接着剤であり、それらが冷
却し、凝固するにつれ硬化する。HMA組成物は、非解決系接着剤であるように、ある溶
媒を除外し得る。HMA組成物は、ブロック複合材料系高溶融粘度かつ高メルトフローイ
ンデックス接着剤組成物であり得る。
【0056】
組成物は、溶融ブレンドされ、既知の組成物と同一の様式で使用され得る。この組成物
の溶融ブレンドは、当業者にとって既知である標準的手段によってもたらし得る。溶融ブ
レンド機器の例は、BANBURY(商標)またはBOLLING(商標)混合機などの
内部バッチ混合機である。他の例は、FARREL(商標)連続混合機、COPERIO
N(商標)二軸スクリュー混合機、またはBUSS(商標)混練連続押出機などの、使用
されてもよい連続単軸もしくは二軸スクリュー混合機である。成分は、混合物を効果的に
均質化するのに十分な温度かつ時間で混合され得る。利用される混合機の種類及び混合機
の動作条件は、粘度、体積抵抗率、及び/または押出された表面の滑らかさなどの組成物
の特性に影響を与え得る。プロセスは、溶融ブレンドされた組成物の溶融粘度を10%~
40%低減し得る。
【0057】
一実施形態において、均質化ステップは、溶融ブレンドを高圧均質化に供することを含
む。高圧均質化は、高圧ホモジナイザーを利用する。本明細書で使用される場合、「高圧
ホモジナイザー」(またはHPH)は、少なくとも100バールの静水圧を流体物質に適
用し、続いて、制限された流量をその流体に課す装置である。
【0058】
HPHは、溶融状態(ポリマー溶融物)または別様に流動可能な状態で、プロピレン系
インターポリマーと、ブロック複合材料造核剤とを配置することを含む。圧力ポンプは、
高圧(例えば、100バール~2000バール)下で、ポリマー溶融物をHPHの弁領域
に送達する。弁領域において、均質化間隙が弁座と弁との間に存在し得る。均質化間隙は
、弁座と弁との間の微小空間である。ポリマー溶融物が均質化間隙を通って流動し、かつ
そこを出ると、速度の急速な増加が圧力の急速な減少と同時に生じ得る。均質化間隙にお
ける強力なエネルギー放出は、オレフィン系ポリマーの個々の鎖を切断する乱流及び局所
圧力を引き起こし得る。インパクトリングは、均質化間隙からすぐ下流にあっても、また
はなくてもよい。インパクトリングによるポリマー溶融物の衝突は、均質化間隙を出るポ
リマー溶融物にさらなる乱流を与える。特定の理論によって束縛されないが、以下の現象
、高い静水圧、せん断応力、キャビテーション、乱流、衝突、及び温度上昇のうちの1つ
、いくつか、または全部がHPH中で生じ、かつポリマー溶融物の粘度低減に寄与すると
考えられる。
【0059】
一実施形態において、HPHは、10%、または15%、または20%、または25%
~30%、または35%、または40%、ポリマー溶融物の溶融粘度を低減する。溶融粘
度の低減は、均質化前のポリマー溶融物の初期溶融粘度に基づく。粘度が低減したポリマ
ー溶融物は、次の処理段階への移動のためにHPHのチャネルを通じて進む。一実施形態
において、HPHは、2段階高圧ホモジナイザーである。第1段階は、上記のような圧力
ポンプ及び弁領域を含む。第2段階は、キャビテーションを低減し、かつ乱流を増加させ
るために、第1段階よりも10%~20%少ない圧力を利用する、第2の圧力ポンプ及び
第2の弁領域を含む。
【0060】
一実施形態において、プロセスは、2500cP~20,000cPの溶融粘度を有す
るポリマー溶融物を、高圧ホモジナイザーに導入することを含む。プロセスは、ポリマー
溶融物を高圧均質化に供し、1500cP~12,000cPの溶融粘度を有するポリマ
ー溶融物を形成することを含む。一実施形態において、プロセスは、800cP~350
0cPの溶融粘度を有する配合されたホットメルトポリマー組成物を、高圧ホモジナイザ
ーに導入することを含む。プロセスは、配合されたホットメルトポリマー組成物を高圧均
質化に供し、480cP~2100cPの溶融粘度を有するホットメルトポリマー組成物
を形成することを含む。
【0061】
造核プロセス
高コモノマー含有量のランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーの溶融処理中
に造核及び結晶化速度を制御することは、完成物品の物理的特性の決定において重要であ
る。実施形態に従うブロック複合材料造核剤が提供するものは、典型的に細かく分裂され
た粒子であり、ポリマーのものよりも大きい溶融及び凍結温度を有する核剤の使用を組み
込む、造核及び結晶化を制御する様々な方法と区別可能であり、粒子は利用され(一方、
化学核剤は、主に有機または無機化合物などの酸性及び塩基性化合物の組み合わせである
)、最終生成物の物理的特性に(例えば、引っ張り強度を低下させることによって)有害
に影響を与え得ると考えられる。
【0062】
ブロック複合材料造核剤は、高コモノマー含有量のランダムまたは均質プロピレン系イ
ンターポリマーの結晶構造を変更し得る。ブロック複合材料造核剤は、高コモノマー含有
量のランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーの物理的特性を変えて、それらの
結晶氷点以下の点へのポリマーの冷却時に形成される球晶として既知の大きい結晶構造に
基づいて、結晶の形成を造核し得ると考えられる。核剤の追加は、典型的に、大きい球晶
(典型的に、それらの結晶氷点以下の点へのポリマーの冷却時に形成される大きい結晶構
造)を実質的に含まない結晶構造の形成をもたらす。これは、ある特定の適用により適し
ている物理的特性を有する高コモノマー含有量のランダムまたは均質プロピレン系インタ
ーポリマーをもたらす。例えば、得られるポリマーは、(多くのフィルム適用において望
ましい)より大きい透明度、及び/または増加した曲げ弾性率または硬化度を有し得る。
【0063】
一例示的な実施形態は、高コモノマー含有量のランダムまたは均質プロピレン系インタ
ーポリマーを造核するためのプロセスを含み、そのプロセスは、造核条件下でプロピレン
系インターポリマーとブロック複合材料造核剤を接触するステップを含む。ブロック複合
材料造核剤は、ポリプロピレンを含む第1のポリマー、アルファオレフィン系ポリマーを
含む第2のポリマー(アルファオレフィンが、C及びC4-10α-オレフィンのうち
の少なくとも1つから選択される)、ならびに第1のセグメント及び第2のセグメントを
有するブロックコポリマーであって、ブロックコポリマーの第1のセグメントが、ブロッ
ク複合材料造核剤中の第1のポリマーと同一の組成を有し、ブロックコポリマーの第2の
セグメントが、ブロック複合材料造核剤の第2のポリマーと同一の組成を有する、ブロッ
クコポリマーを有する。ブロックコポリマーは、エチレン由来の80重量%以上を含む1
0~90重量%の硬質ブロック、及び80重量%以上のプロピレン由来の単位を含む10
~90重量%の軟質ブロックを有し得る。例示的な実施形態において、ブロックコポリマ
ーは、エチレン由来の80重量%以上を含む20~50重量%(例えば、25~45重量
%など)の硬質ブロック、及び80重量%以上のプロピレン由来の単位を含む50~80
重量%(例えば、55~75重量%など)の軟質ブロックを有する。「造核条件下で」と
いう表現は、当業者によって理解されるように、ブロック複合材料造核剤と接触するとき
、ランダムまたは均質プロピレン/α-オレフィンコポリマーが、結晶を形成する温度を
意味する。
【0064】
例示的な実施形態において、造核条件は、ランダムまたは均質プロピレン系コポリマー
の(>)ガラス転移温度(Tg)超~ランダムまたは均質プロピレン系コポリマーの(<
)融解温度(DSCによって決定されるTm)未満の温度を含む。例えば、造核条件は、
ランダムまたは均質プロピレン系コポリマーの(>)ガラス転移温度(Tg)より5℃高
い温度~ランダムまたは均質プロピレン系コポリマーの(<)融解温度(DSCによって
決定されるTm)より10℃低い温度を含む。ランダムまたは均質プロピレン/α-オレ
フィンコポリマーをブロック複合材料造核剤と接触させることは、撹拌、延長された接触
時間、コポリマーへの造核剤の計量またはその逆などを伴う(好ましい)または伴わない
従来機器及び従来の技術を使用して実行されてもよい。例えば、接触は、ペレット化ステ
ップ前に達成される。
【0065】
例示的な実施形態において、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーは、ブ
ロック複合材料造核剤(例えば、核剤)と組み合わせて、結晶化の開始前、結晶化中、及
び/または開始後にもたらされる。得られる組成物は、製作された物品、例えば、フィル
ム、シート、フォーム、繊維、ポーチ、射出成形、押出されたカレンダー、及び類似物に
おいて使用され得る。バリア特性に関連する増加(水蒸気、湿気、及び/または酸素に関
連するなど)、「面内の」結晶構造が実現されるときの特定の方向に沿った縮みの低減、
部品における改善された寸法安定性、及び/または物品の流動機械方向における成長など
の改善は、造核されたプロピレン系フィルムなどの造核された物品を形成するときに実現
され得る。
【0066】
例示的な実施形態において、ブロック複合材料造核剤は、例えば、押出、押出ブロー成
形、押出ケースフィルム、押出圧縮成形、押出コーティング、フィルム押出、シート押出
、射出成形、回転成形、熱成形、及び/または薄壁射出成形を使用して物品を形成するた
めの組成物において使用され得る。例示的な適用としては、パイプ、キャップ及び閉鎖、
押出された管、インフレーションフィルム、ボトルなどの押出ブロー成形物品、ならびに
/または繊維(不織及び単一繊維など)が挙げられる。
【実施例
【0067】
試験方法
密度を、ASTM D-792に従って測定する。結果は、1立方センチメートル当た
りグラム(g)、またはg/ccで報告される。
【0068】
メルトインデックス(I)を、ASTM D-1238(190℃、2.16kg)
に従って測定する。結果は、グラム/10分で報告される。
【0069】
メルトフローレート(MFR)を、ASTM D-1238(230℃、2.16kg
)に従って測定する。結果は、グラム/10分で報告される。
【0070】
示差走査熱量計(DSC)を使用して、ポリマー(例えば、エチレン系(PE)ポリマ
ー)中の結晶化度を測定する。約5~8mgのポリマー試料を計量し、DSCパンに配置
する。蓋をパン上に圧着して、密閉雰囲気を確実にする。試料パンをDSCのセル内に配
置し、次いで約10℃/分の速度で、PEの場合、180℃(ポリプロピレンまたは「P
P」の場合、230℃)の温度まで加熱する。試料を、この温度で3分間保つ。次いで、
試料を10℃/分の速度で、PEの場合、-60℃(PPの場合、-40℃)まで冷却し
、この温度で3分間等温的に保つ。次いで、試料を10℃/分の速度で、完全に溶融する
まで加熱する(第2の熱)。結晶化度の割合を、第2の熱曲線から決定した融解熱(H
)を、PEの場合、292J/g(PPの場合、165J/g)の理論的融解熱で除し、
この数に100を乗じて算出する(例えば、結晶化度%=(H/292J/g)×10
0(PEの場合))。
【0071】
特に指定のない限り、各ポリマーの溶融点(複数可)(T)を第2の熱曲線(ピーク
Tm)から決定し、結晶化温度(T)を第1の冷却曲線(ピークTc)から決定する。
【0072】
ホモポリマーポリプロピレンの融解温度測定は、DSCを使用して、融点を決定する。
直線ベースラインに関する最大熱流量での温度を、融点として使用する。直線ベースライ
ンを、(ガラス転移温度を超える)溶融開始から溶融ピークの終了までで構築する。温度
を10℃/分で室温から200℃まで上昇させ、200℃で5分間維持し、10℃/分で
0℃まで低下させ、0℃で5分間維持し、次いで、温度を10℃/分で0℃から200℃
まで上昇させ、この第2の加熱サイクルからデータを取得する。
【0073】
高温熱勾配相互作用クロマトグラフィー測定は、市販の結晶化溶出分割装置(CEF)
(Polymer Char,Spain)を使用するを使用して、高温熱勾配相互作用
クロマトグラフィー(HT-TGIC、またはTGIC)測定を実施する(Cong,e
t al.,Macromolecules,2011,44(8),3062-307
2)。単一のHypercarbカラム(100×4.6mm、部品番号35005-1
04646、Thermo Scientific)を分離に使用する。27ミクロンの
ガラスビーズ(カタログ番号GL01918/20-27um、MO-SCI Spec
ialty Products,LLC,Rolla,MO,USA)で充填された、3
インチの長さを有する「1/4インチ×3/16インチのID」ステンレス鋼カラムを、
CEF装置の頂部オーブン上、IR検出器の前に設置する。実験パラメータは、150℃
の頂部オーブン/移動ライン/針温度、160℃の溶解温度、2の溶解撹拌設定、0.4
00mLの試料充填体積、15秒間のポンプ安定時間、0.500mL/mの洗浄カラム
のポンプ流量、0.300mL/分のカラム充填のポンプ流量、150℃の安定温度、3
.0分間の安定時間(前、カラムへの充填前)、1.0分間の安定時間(後、カラムに充
填した後)、5.0分間のSF(可溶性画分)時間、3.00℃/分の150℃から30
℃までの冷却速度、0.00mL/分の冷却プロセス中の流量、2.00℃/分の30℃
から150℃までの加熱速度、15分間の150℃での等温時間、0.500mL/分の
溶出流量、140マイクロリットルの注入ループサイズである。
【0074】
冷却プロセス中の流量は、グラファイトカラムの長さに従って調節することができ、全
てのポリマー画分は、冷却サイクルの終了時、カラム上にとどまらなくてはならない。
【0075】
試料を、ODCB中4.0mg/mlの濃度(以下に定義)で、120分間、160℃
のPolymerCharオートサンプラーによって調製する。シリカゲル40(粒径0
.2~0.5mm、カタログ番号10181-3、EMD)を、160℃の真空オーブン
中で使用前に約2時間乾燥させる。2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノー
ル(1.6グラム、BHT、カタログ番号B1378-500G、Sigma-Aldr
ich)及びシリカゲル40(5.0グラム)を、2リットルのオルト-ジクロロベンゼ
ン(ODCB、99%無水等級、Sigma-Aldrich)に添加する。この「BH
T及びシリカゲルを含有するODCB」を、これより「ODCB」と呼ぶ。このODCB
に、乾燥窒素(N)を使用前に1時間注入する。
【0076】
TGICデータを、PolymerChar(Spain)「GPC One」ソフト
ウェアプラットフォーム上で処理する。7.0mLのODCBを充填した10mLバイア
ル中、約4~6mgのEicosane、14.0mgのイソタクチックホモポリマーポ
リプロピレンiPP(3.6~4.0の多分散度、及びポリエチレン当量として報告され
る150,000~190,000ダルトンの分子量Mw、及び3.6~4.0の多分散
度(Mw/Mn)、及び以下に明記される方法による158~159℃でのDSC融解温
度)、ならびに14.0mgのホモポリマーポリエチレンHDPE(ゼロのコモノマー含
有量、ポリエチレン当量として報告される115,000~125,000ダルトンのM
w、及び2.5~2.8の多分散度)の混合物によって、温度較正を実施する。溶解時間
は160℃で2時間である。
【0077】
較正プロセス(Eicosane溶出物及びHDPE溶出物の場合30℃~150℃)
は、以下のステップからなる。
(1)加熱速度に従って、溶出中の等温ステップのそれぞれについて溶出温度を外挿す
る(図10に実証)。
(2)遅延体積を計算する。IR測定チャネルクロマトグラム(y軸)に対応する温度
(x軸)を移動させて、Eicosaneピーク最大値(y軸)が30.0℃での溶出温
度と一致するようにする。遅延体積を、温度差(30℃-Eicosaneピーク最大値
の実際の溶出温度)をこの方法の加熱速度で除し、次いで溶出流量を乗じて算出する。
(3)この同一の遅延体積調節によって記録された溶出温度を調節する。
(4)加熱速度を直線スケーリングして、観察されたHDPE基準が150.0℃の溶
出ピーク最大温度を有する一方で、Eicosane溶出ピーク最大温度が30.0℃に
とどまるようにする。
(5)ポリプロピレンのピーク温度は119.3~120.2℃の範囲内で観察され、
これは較正法の検証である。
【0078】
TGICのポリマー試料のデータ処理を、以下に記載する。
【0079】
溶媒ブランク(溶媒リザーバからのODCB)を、ポリマー試料と同一の実験条件で実
施する。ポリマー試料のデータ処理は、各検出器チャネルについての溶媒ブランクの減算
、較正プロセスに記載される温度外挿、較正プロセスから決定される遅延体積による温度
の補償、及び較正の加熱速度から計算される、30℃~150℃範囲に対する溶出温度軸
の調節を含む。
【0080】
クロマトグラム(IR-4検出器の測定チャネル)は、PolymerChar「GP
C One」ソフトウェアと統合される。高溶出温度で、ピークが平坦なベースライン(
ブランク減算クロマトグラムがおよそゼロ値)になり、可溶性画分(SF)の高温側で検
出器信号の最小または平坦な領域になる場合、可視の差異から直線ベースラインを引く。
【0081】
温度積分上限は、ピークが平坦なベースライン領域(ブランク減算クロマトグラムがお
よそゼロ値)になる場合、可視の差異に基づいて確立される。温度積分下限は、ベースラ
インと可溶性画分を含むクロマトグラムとの交差点に基づいて確立される。
【0082】
可溶性画分(SF)は、34.0℃以下で溶出する材料の重量パーセンテージとして定
義される。
【0083】
【数1】
【0084】
高温液体クロマトグラフィー(HTLC)測定:HTLCの実験は、わずかな変更をも
って、公開される方法に従って行われる(Lee,D.;Miller,M.D.;Me
unier,D.M.;Lyons,J.W.;Bonner,J.M.;Pell,R
.J.;Shan,C.L.P.;Huang,T.J.Chromatogr.A20
11,1218,7173)。2つのShimadzu(Columbia,MD,US
A)LC-20ADポンプを使用して、それぞれデカン及びトリクロロベンゼン(TCB
)を送達する。各ポンプを、10:1の固定流動分割器(部品番号:620-PO20-
HS、Analytical Scientific Instruments Inc
.,CA,USA)に接続する。分割器は、製造者によると、HO中、0.1mL/分
で1500psiの圧力低下を有する。両方のポンプの流量を、0.115mL/分に設
定する。分割後、デカン及びTCBの両方について、収集された溶媒を30分超秤量する
ことによって決定される微流量は、0.01mL/分である。収集された溶出液の体積を
、室温での溶媒の質量及び密度によって決定する。分離のために、微流量をHTLCカラ
ムに送達する。主流動を、溶媒リザーバに送り戻す。50μL混合機(Shimadzu
)を分割器の後に接続して、Shimadzuポンプからの溶媒を混合する。次いで、混
合された溶媒を注入器またはWaters(Milford,MA,USA)GPCV2
000のオーブン内に送達する。Hypercarb(商標)カラム(2.1×100m
m、5μm粒径)を、注入器と10口VICI弁(Houston,TX,USA)との
間に接続する。弁は、2つの60μLの試料ループを備える。弁を使用して、溶出液を第
1の寸法(D1)HTLCカラムから第2の寸法(D2)SECカラムへと連続サンプリ
ングする。Waters GPCV2000のポンプ及びPLgel Rapid(商標
)-Mカラム(10×100mm、5μm粒径)を、D2サイズ排除クロマトグラフィー
(SEC)のためにVICI弁に接続する。接続には、文献(van der Hors
t,A.;Schoenmakers,P.J.J.Chromatogr.A.200
3,1000,693)に記載される対称的な構成を使用する。濃度、組成物、及び分子
量を測定するために、二重角光散乱検出器(PD2040、Agilent,Santa
Clara,CA,USA)及びIR5推測吸収検出器を、SECカラムの後に接続す
る。
【0085】
HTLCの分離
バイアルを160℃で2時間、穏やかに振盪することによって、約25mgを8mLの
デカン中に溶解させる。デカンは、ラジカルスカベンジャーとして400ppmのBHT
(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)を含有する。次いで、試料バ
イアルを、注入のため、GPCV2000のオートサンプラーに移動させる。オートサン
プラー、注入器、Hypercarbカラム及びPLgelカラムの両方、10口VIC
I弁、ならびにLS検出器及びIR5の両方の温度を、分離を通して140℃に維持する
【0086】
注入前の初期条件は、以下の通りである。HTLCカラムの流量は、0.01mL/分
である。D1 Hypercarbカラム内の溶媒組成は、100%デカンである。SE
Cカラムの流量は、室温で2.51mL/分である。D2 PLgelカラム内の溶媒組
成は、100%TCBである。D2 SECカラム内の溶媒組成は、分離を通して変化し
ない。
【0087】
311μLのアリコート試料溶液を、HTLCカラム内に注入する。注入は、以下に記
載する勾配を引き起こす。
0~10分まで、100%デカン/0%TCB、
10~651分まで、TCBは、0%TCBから80%TCBまで直線的に増加する。
【0088】
注入はまた、15°角度(LS15)での光散乱信号、ならびにEZChrom(商標
)クロマトグラフィーデータシステム(Agilent)を用いる、IR5検出器からの
「尺度」信号及び「メチル」信号(IR尺度及びIRメチル)の収集も引き起こす。検出
器からのアナログ信号は、SS420Xアナログ-デジタル変換器を通してデジタル信号
に変換される。収集周波数は10Hzである。注入はまた、10口VICI弁の切り換え
も引き起こす。弁の切り換えは、SS420X変換器からの中継信号によって制御される
。弁は、3分毎に切り換えられる。クロマトグラムは、0~651分まで収集される。各
クロマトグラムは、651/3=217SECクロマトグラムからなる。
【0089】
勾配分離後、0.2mLのTCB及び0.3mLのデカンを使用して、次の分離のため
にHTLCカラムを洗浄し、再平衡化する。このステップの流量は0.2mL/分であり
、混合機に接続されたShimadzu LC-20ABポンプによって送達される。
【0090】
HTLCのデータ分析
651分間の未加工のクロマトグラムをまず折り重ね、217SECクロマトグラムを
もたらす。各クロマトグラムは、2D溶出体積の単位で0~7.53mLである。次いで
、積分限界を設定し、SECクロマトグラムは、スパイク除去、ベースライン補正、及び
平滑化を受ける。このプロセスは、従来のSECにおける複数SECクロマトグラムのバ
ッチ分析と同様である。ピークの左側(積分上限)及び右側(積分下限)の両方がゼロと
してベースラインにあることを確実にするために、全てのSECクロマトグラムの合計を
目視検査する。さもなければ、積分限界を調節して、プロセスを反復する。
【0091】
1~217の各SECクロマトグラムnはHTLCクロマトグラムにおいてX-Yペア
をもたらし、nは分数である。
=溶出体積(mL)=D1流量×n×t切り換え
式中、t切り換え=3分は、10口VICI弁の切り換え時間である。
【0092】
【数2】
【0093】
式中、IR尺度、iは、D2 SECクロマトグラムにおいてデータ点iを表す。
【0094】
上記の方程式は、例としてIR尺度信号を使用する。得られたHTLCクロマトグラム
は、溶出体積の関数としての、別個のポリマー成分の濃度を示す。正規化IR尺度HTL
Cクロマトグラムを例えば図11に示し、YはdW/dVによって表わされ、これは溶出
体積に関する正規化重量分率を意味する。
【0095】
データのX-Yペアもまた、IRメチル信号及びLS15信号から得られる。IRメチ
/IR尺度の比率を使用して、較正後の組成を計算する。LS15/IR尺度の比率を
使用して、較正後の重量平均分子量(M)を計算する。
【0096】
較正は、Lee et al.(同書)の手順に従う。高密度ポリエチレン(HDPE
)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、ならびに20.0、28.0、50.0
、86.6、92.0、及び95.8重量%Pのプロピレン含有量を有するエチレン-プ
ロピレンコポリマーを、IRメチル/IR尺度較正のための標準物質として使用する。標
準物質の組成を、NMRによって決定する。標準物質を、IR5検出器を有するSECに
よって送液する。標準物質の得られたIRメチル/IR尺度の比率を、それらの組成の関
数としてプロットし、較正曲線を得る。
【0097】
HDPE基準を、ルーチンLS15較正に使用する。基準のMを、SECによって、
LS検出器及びRI(屈折率)検出器を用いて、104.2kg/モルとして事前決定す
る。SECは、SECにおける標準物質としてNBS1475を使用する。この標準物質
は、NISTによる52.0kg/モルの認証値を有する。7~10mgの標準物質を、
160℃の8mLのデカン中に溶解させる。溶液を、100%TCB中HTLCカラムに
注入する。ポリマーを、0.01mL/分での一定100%TCB下で溶出させる。した
がって、ポリマーのピークは、HTLCカラム空隙体積で出現する。較正定数Ωを、総L
S15信号(ALS15)及び総IR尺度信号(AIR、尺度)から決定する。
【0098】
【数3】
【0099】
次いで、実験LS15/IR尺度比率を、Ωを通してMに変換する。
【0100】
微細構造指数推定:HTLCの実験を参照すると、ポリマーの吸着系溶媒勾配相互作用
クロマトグラフィー(SGIC)分離において、ブロックコポリマーは、同一の化学組成
のランダムコポリマーよりも後に溶出する(Brun,Y.;Foster,P.J.S
ep.2010,33,3501)。具体的には、微細構造指数推定に使用される材料は
、2つの画分、すなわち、同一の化学組成のランダムコポリマー及びブロックコポリマー
に分けられる。初期溶出画分、すなわち、第1の画分は、ランダムコポリマーの比較的よ
り高い存在を示す。後期溶出成分、すなわち、第2の画分は、ブロックコポリマーの比較
的より高い存在を示す。微細構造指数は、
【0101】
【数4】
【0102】
として定義され、式中、wは画分nの重量分率であり、成分n、ランダムは、直線較
正曲線由来の画分の化学組成(重量%P)である(図11中の破線)。曲線は、4.56
mLで0重量%Pに、1.65mLで100重量%Pに達する。4.56mLより先の組
成は、0重量%Pであるとみなされる。1.65mLより前の組成は、100重量%Pで
あるとみなされる。成分n、試料は、試料(特許請求の範囲の材料の試料など)から測定
される画分の化学組成(重量%P)である。
【0103】
例として、3つのHTLCクロマトグラムを図11に示す。約2.0及び4.2のより
低いピークを有するクロマトグラムは、比較BCN1(すなわち、CBCN1)のもので
ある。約1.5及び3.9のピークを有するクロマトグラムは、iPPとTAFMER(
商標)P-0280(Mitsui Chemicalsから市販されているエチレン/
アルファオレフィンコポリマー生成物)とのブレンドのものである。約2.0及び3.9
のピークを有するクロマトグラムは、VERSIFY(商標)2400(The Dow
Chemical Companyから市販されているプロピレン-エチレンコポリマ
ー)とTAFMER(商標)P-0280とのブレンドのものである。破線は、iPP、
VERSIFY(商標)2400、及びTAFMER(商標)P-0280の化学組成対
それらの溶出体積の直線回帰適合である。VERSIFY(商標)2400は2つのピー
クを有することに留意されたい。主ピークの組成物及び溶出体積を、直線適合に使用する
。3つのポリマーは全て、80,000ダルトンを超えるMを有する。
【0104】
複合材料形成のための材料
触媒-1([[rel-2’,2’’’-[(1R,2R)-1,2-シルコヘキサン
ジイルビス(メチレンオキシ-κO)]ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)-
5-メチル[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ジメチル-ハフ
ニウム)及び共触媒-1、実質的に米国特許第5,919,983号、実施例2に開示さ
れるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo-No
bel,Inc.から入手可能)、HCl及びLi[B(C]の反応によって
調製されたテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ(C14-18
ルキル)アンモニウム塩の混合物は、Boulder Scientificから購入し
、さらに精製することなく使用する。
【0105】
CSA-1(ジエチル亜鉛またはDEZ)及び共触媒-2(修飾メチルアルモキサン(
MMAO))を、Akzo Nobelから購入し、さらに精製することなく使用した。
【0106】
重合反応用の溶媒は、ExxonMobil Chemical Companyから
得ることができる炭化水素混合物(ISOPAR(登録商標)E)であり、13-X分子
ふるいの床を通して使用前に精製される。
【0107】
ブロック複合材料造核剤1(BCN1)及び比較複合材料造核剤1(CCN1)を、(
溶液パイロット施設において)連続して接続された2つの連続撹拌槽反応器(CSTR)
を用いて調製する。各反応器は、液圧的に満たされ、定常状態条件で動作するように設定
されている。モノマー、溶媒、触媒-1、共触媒-1、共触媒-2、及びCSA-1は、
表1及び2に概要を述べるプロセス条件に従って、第1の反応器へと流動する。次いで、
表1及び2に記載される第1の反応器の内容物が、連続して第2の反応器へと流動する。
追加の触媒、共触媒-1、及び共触媒-2が、第2の反応器に添加される。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
上記を参照すると、BCN1は、30重量%の硬質ブロック及び70重量%の軟質ブロ
ック有するブロックコポリマーを含むプロピレン-エチレンブロック複合材料造核剤を含
み、硬質ブロックは91重量%のエチレン由来の単位を含み、軟質ブロックは(BCN1
中にも存在するプロピレン系ポリマー及びエチレン系ポリマーに加えて)15重量%のエ
チレン由来の単位を含む。CCN1は、80重量%の軟質ポリマー及び20重量%の硬質
ポリマーを含むプロピレン-エチレン複合材料造核剤であり、軟質ポリマーは14重量%
のエチレンを含む。
【0111】
得られるBCN1及びCCN1(比較)の測定された特性を、以下の表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
BCN1においてHTCLを介して分離された2つの成分の濃度、組成物、及びM
、以下の表4に示す。算出される微細構造指数を、BCN1について1.8になるように
決定し、ブロック複合材料造核剤が、微細構造指数を決定するために使用される比較ポリ
オレフィンエラストマーよりも「ブロックのような」材料であることを示す。
【0114】
【表4】
【0115】
プロピレン系コポリマー形成のための材料
実施例のために、プロピレン/エチレンコポリマー(P/E)(対照1とも呼ばれる)
を、単一撹拌槽反応器を用いて調製する。反応器は、液圧的に満たされ、定常状態条件で
動作するように設定されている。モノマー、溶媒、触媒-1、共触媒-1、共触媒-2、
及び水素は、以下の表5に概要を述べるプロセス条件に従って、第1の反応器へと流動す
る。
【0116】
【表5】
【0117】
P/E(対照1)の測定される特性は、以下の通りである。
(1)コモノマー(すなわち、エチレン)重量%:14重量%
(2)密度:0.858g/cc
(3)2g/10分(230℃/2.16kg)のメルトフローレート(MFR)
【0118】
例示的なブレンドの材料
Irganox(登録商標)1010(AO1)は、ペンタエリスリトールテトラキス
(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)系
酸化防止剤であり、BASF Chemicalから入手可能である。
【0119】
【表6】
【0120】
これらのブレンドに必要とされる材料をMettler-Toledo AT201モ
デル研究室天秤上で秤量する。配合物の均一な分散及び分布を達成するために、小型ボウ
ル(~50gの容量)を備えるHAAKE(商標)駆動モデルrs5000レオメータを
使用する。ボウルを177℃まで加熱し、70RPMで5分間混合する。固形材料のうち
の全てが溶融状態を達成した後、Irganox(登録商標)1010を添加する。
【0121】
以下の表7及び図1~5を参照すると、対照1の試料は、その冷却曲線において見られ
るいかなる測定可能な結晶化も受けない。これは、対照1のDSCの第2の加熱中に観察
された非常に顕著な二次冷却ピークによってさらに支持される。
【0122】
【表7】
【0123】
本発明の実施例1及び2、ならびに比較例A及びBの両方は、結晶化温度(Tc1)と
呼ばれる冷却ピークによって見られる結晶化の兆候を示す。図1~5を参照すると、本発
明の実施例1及び2、ならびに比較例A及びBは、二次冷却ピークを示さない。しかしな
がら、図2及び3において観察されるように、30~50℃の温度範囲にわたるエンタル
ピーピークを呈するそれぞれの比較例A及びBと比較して、それぞれの本発明の実施例1
及び2は、さらにより狭い温度範囲(5~20℃)にわたるさらにより急激な冷却エンタ
ルピーを呈する。これは、本発明の実施例1及び2が、比較例A及びBと比較して、より
速い結晶化速度を呈する指標である。
【0124】
比較ブレンドの材料
AFFINITY(商標)PL 1280Gは、6g/10分(190℃/2.16k
g)のメルトインデックス、0.900g/ccの密度、95℃のDSC溶融ピーク(1
0℃/分)を有するポリオレフィンプラストマーであり、The Dow Chemic
al Companyから入手可能である。
【0125】
DS6D82は、8g/10分(190℃/2.16kg)のメルトインデックスを有
する6重量%のエチレン、0.900g/ccの密度を有するランダムポリプロピレンコ
ポリマーであり、Braskemから入手可能である。
【0126】
比較例C、D、E、及びFについて、P/Eコポリマーを、単一撹拌槽反応器を用いて
調製する。反応器は、液圧的に満たされ、定常状態条件で動作するように設定されている
。比較例C~Fのプロセス条件を、表8に報告する。具体的には、モノマー、溶媒、触媒
-1、共触媒-1、共触媒-2、及び水素は、以下の表8に概要を述べるプロセス条件に
従って、第1の反応器へと流動する。
【0127】
【表8】
【0128】
製造中、AFFINITY(商標)PL 1280GまたはDS6D82(RCPP)
のいずれかを、ペレット化前にそれぞれのP/Eコポリマーを用いて溶融混合する。AF
FINITY(商標)PL 1280G及びDS6D82は、組成物中で造核剤として作
用し得ると考えられる。AFFINITY(商標)PL 1280Gを、比較配合C及び
Dのために追加し、DS6D82を、以下の表9に示されるブレンド比率(ブレンドの総
重量に基づく)で、比較配合E及びFに追加する。組成物を、水中ペレット化を介してペ
レット化する。
【0129】
【表9】
【0130】
表9の比較配合C~Fを、DSC分析に供し、結果を以下の表10及び図6~9に報告
する。
【0131】
【表10】
【0132】
DSC冷却下の比較例C及びEは、狭い温度範囲にわたる顕著で急激なエンタルピーピ
ーク、及び比較的速い結晶化速度の兆候を示す。しかしながら、比較例C及びEについて
のDSCの第2の熱曲線は、それぞれ約20℃及び18℃で顕著な二次冷却ピークを示す
。これは、P/Eコポリマー成分の少なくとも一部分が、第1の冷却中に結晶化を受けな
い兆候である。DSC冷却下の比較例D及びFは、比較的広い温度範囲(30~50℃)
にわたるエンタルピーピーク、比較的より緩徐な結晶化速度の兆候を示す。
【0133】
表7及び図2及び3を参照すると、本発明の実施例1及び2のみが、DSCの第2の加熱中に、狭い温度範囲にわたる顕著なエンタルピーピーク、及び顕著な二次冷却ピークの不足を示した。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1](A)30~95重量%のランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーであって、(i)前記プロピレン系インターポリマーの総重量に基づいて7重量%~49重量%の、C 及びC 4-10 α-オレフィンのうちの少なくとも1つのコモノマー含有量、(ii)0.90g/cc以下の密度、ならびに(iii)1g/10分以上のMFR(230℃/2.16kg)を有する、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーと、
(B)5~70重量%のブロック複合材料造核剤であって、
(1)ポリプロピレンを含む第1のポリマー、
(2)アルファオレフィン系ポリマーを含む第2のポリマーであって、前記アルファオレフィンが、C 及びC 4-10 α-オレフィンのうちの少なくとも1つから選択される、第2のポリマー、ならびに
(3)第1のセグメント及び第2のセグメントを有するブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの前記第1のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤中の前記第1のポリマーと同一の組成を有し、前記ブロックコポリマーの前記第2のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤の前記第2のポリマーと同一の組成を有する、ブロックコポリマーを含む、ブロック複合材料造核剤と、を含む、組成物。
[2]前記アルファオレフィンがエチレンである、前記[1]に記載の組成物。
[3]前記ブロックコポリマーの前記第2のセグメントが、少なくとも80重量%のエチレン由来のmer単位を含む、前記[2]に記載の組成物。
[4]前記ブロックコポリマーが、30~50重量%の前記第2のセグメント及び50~70重量%の第1のセグメントを含み、前記第1のセグメントが、5~20重量%のエチレン由来のmer単位を含み、前記第2のセグメントが、85~95重量%のエチレン由来のmer単位を含む、前記[2]に記載の組成物。
[5]前記ブロックコポリマーの前記第1のセグメントが、少なくとも80重量%のプロピレン由来のmer単位を含む、前記[1]に記載の組成物。
[6]前記ブロック複合材料造核剤が、核剤であり、前記組成物が、いかなる他の核剤も除外する、前記[1]に記載の組成物。
[7]粘着付与剤と、ワックス及び油の群から選択される少なくとも1つと、をさらに含む、前記[1]に記載の組成物。
[8]前記ブロック複合材料造核剤の微細構造指数が、1超かつ20未満である、前記[1]に記載の組成物。
[9]均質プロピレン/α-オレフィンコポリマーの造核のためのプロセスであって、
造核条件下で以下、
(A)30~95重量%のランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーであって、(i)前記プロピレン系インターポリマーの総重量に基づいて7重量%~49重量%の、C 及びC 4-10 α-オレフィンのうちの少なくとも1つのコモノマー含有量、(ii)0.90g/cc以下の密度、ならびに(iii)1g/10分以上のMFR(230℃/2.16kg)を有する、ランダムまたは均質プロピレン系インターポリマーと、
(B)5~70重量%のブロック複合材料造核剤であって、
(1)ポリプロピレンを含む第1のポリマー、
(2)アルファオレフィン系ポリマーを含む第2のポリマーであって、前記アルファオレフィンが、C 及びC 4-10 α-オレフィンのうちの少なくとも1つから選択される、第2のポリマー、ならびに
(3)第1のセグメント及び第2のセグメントを有するブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの前記第1のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤中の前記第1のポリマーと同一の組成を有し、前記ブロックコポリマーの前記第2のセグメントが、前記ブロック複合材料造核剤の前記第2のポリマーと同一の組成を有する、ブロックコポリマーを含む、ブロック複合材料造核剤と、を接触させることを含む、プロセス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11