(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】物質を分析するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20230331BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20230331BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20230331BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G01N29/24
A61B5/145
G01N27/04 Z
G01N33/49 Z
(21)【出願番号】P 2020530510
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2018083509
(87)【国際公開番号】W WO2019110597
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/081398
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516378529
【氏名又は名称】ディアモンテク、アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DiaMonTech AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】トルステン、ルビンスキ
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ、シュリーク
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-143259(JP,A)
【文献】特開2001-025465(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117520(WO,A1)
【文献】米国特許第05348002(US,A)
【文献】特表2007-536053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 33/48 - G01N 33/98
A61B 5/06 - A61B 5/22
G01J 3/00 - G01J 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質(5)を分析するためのデバイスであって、
- 測定のために前記物質(5)と少なくとも部分的に接触させられることになる測定面(2)を有する測定本体(1、1’、11)と、
- 前記測定面を通過する際に前記物質に向けられる
、赤外スペクトル範囲内の、
3μmから20μmまでの間における異なる波長を有する1つまたは複数の励起ビーム(8)を発生するための、励起ビーム
源と、
- 検出デバイス(4、6)であって、以下の、
・ 前記測定本体(1、1’、11)の部分であり、具体的には、前記測定面(2)に隣接して、または直接隣接して配置されており、圧力または温度の変化に応じて変化する電気特性を有する検出領域(4、4’)、ならびに
・ 上述の電気特性を表す電気信号を検出するために用いられ得る電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)
であって、少なくとも2つの電極(6a、6b)が、前記測定面の面法線(7)に垂直な方向において前記検出領域(4)の異なる側に互いに離間配置されている電極、
を備える検出デバイス(4、6)と、
を有する、デバイス。
【請求項2】
前記圧力または温度に従って変化する前記電気特性が、
・ 前記圧力変化および/または温度変化に応じた圧電信号を前記電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)上に生じさせるか、あるいは
・ 前記温度に従って変化する電気比抵抗によって形成され、
前記デバイスが、前記電気抵抗および/または圧電信号を検出するために前記測定本体の前記検出領域に導電接続された、前記電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)を含む電気接触デバイス(6)も備える、請求項1に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項3】
励起ビームを集束するための光学要素を備え、前記励起ビームを集束するための前記光学要素は、
-レーザデバイスと前記測定本体との間に、
-前記励起ビームが前記測定本体に入射する場所で前記測定本体自体の上に、または
-前記測定本体上の前記励起ビームが前記測定本体を出る領域内に設けられる、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
少なくとも2つの電極(6c、6d)が
、前記測定面(2)の面法線(7)に沿って、前記測定面(2)から異なる距離に前後に配置されてい
ることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項5】
前記励起ビーム(8)が前記測定本体(1)、具体的には、前記測定本体の前記検出領域(4、4’)を通過し、光導波路(126、133、134、135、136、137)が、具体的には、前記励起ビームを案内するために、前記測定本体(1)内または上に配置されており、より具体的には、前記光導波路が前記測定本体内に一体化されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項6】
前記励起ビームが、前記検出領域(4、4’)に直接隣接した、および/またはそれに隣り合った領域内で前記測定面(2)を通過することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項7】
前記励起ビーム(8)の強度を変調するための変調デバイス(9)が設けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項8】
少なくとも2
つの電極が、前記測定面(3)から異なる距離に前後に配置されているか、または前記測定面の面法線(7)と垂直な方向に互いに離間配置されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項9】
少なくとも2
つの電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)が、前記測定面(2)の面法線(7)の方向に、もしくは面法線(7)と垂直に、または前記面法線(7)に対して0~90度の方向に、前記検出領域(4、4’)から異なる距離に、具体的には、前記検出領域の中心から異なる距離に前後に配置されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項10】
少なくとも2
つの電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)が、前記検出領域(4、4’)の周りの環状領域(10)または球殻状領域内に、および少なくとも部分的に、前記検出領域の異なる側において互いに反対側に配置されており、異なる電極が各々、前記検出領域の前記中心から実質的に同じ距離、または前記検出領域の前記中心から異なる距離にあることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項11】
前記接触デバイス(6)の前記電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)のうちの1つまたは複数または全てが、円盤もしくは板状、環状、環状円盤状、開口部を有する矩形もしくは多角形フレームの形態、キャップ状、または棒状であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項12】
前記接触デバイス(6)の前記電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)のうちの1つまたは複数または全てが、前記測定本体(1、1’、11)または前記検出デバイス(4、4’、6)の表面上に配置され
ていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項13】
前記接触デバイス(6)の前記電極(6a~6y、22、23、24、25、26、27、28、29、123、124、130、131)のうちの1つまたは複数または全てが、前記測定本体(1、1’、11)の内側またはその外側において、前記測定本体の1つまたは複数の凹部(17、18、19、20、21)内に配置されており、それらが、具体的には、鋳造によって、射出成形によって、または付加製造方法(3D印刷)によって導入され、挿入されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項14】
前記測定本体(1、1’、11)が平坦本体(11)として、具体的には、プレートの形態の平面平行本体として形成されており、具体的には、前記測定面(2)と垂直な方向における前記測定本体(1)の厚さが、前記測定面内で延びる方向における前記測定本体の最小延長の50%未
満であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項15】
前記測定本体(1、1’、11)が、前記励起ビーム源、具体的には、レーザデバイス(3)によって前記測定面(2)上に照射された前記励起ビーム(8)を反射するためのミラーデバイス(12)を有するか、またはこれを担持することを特徴とする、請求項14に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項16】
前記励起ビーム(8)が、前記測定面(2)と平行に、または前記測定面に対して30度未
満の角度で前記測定本体(1、1’、11)内へ照射され、前記励起ビームが前記測定面(2)の方向にそらされるか、または偏向され、それを通過することを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の物質を分析するためのデバイス。
【請求項17】
前記励起ビーム(8)が前記測定本体(1)の材料を通過することを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記測定本体(1、1’、11)が、前記励起ビーム(8)が通過する、少なくとも1つの凹部もしくはスロット(13)、具体的には、穿孔を有し、前記凹部もしくはスロットおよび/または穿孔が、具体的には、前記測定面(2)から、または前記測定面によって境界された前記測定本体のセンサ層から、前記測定本体内へ延びるか、あるいは前記凹部もしくはスロット(13)および/または穿孔が前記測定面(2)と反対側の前記測定本体の境界面から前記測定面(2)まで前記測定本体全体を貫通することを特徴とする、請求項1から17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記測定本体(1、1’、11)内において、具体的には、前記検出デバイス(4、4’、6)内において、またはそれに直接隣接し、それと熱接触して、比熱容量および/または比熱伝導率が、前記測定本体が作製された前記材料もしくは前記材料群の比熱容量および/または比熱伝導率よりも大きいか、あるいはペルチェ要素として設計された、本体の形態の少なくとも1つのヒートシンク(14)が配置されていることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記測定本体(1、1’、11)内において、具体的には、前記検出デバイス(4、4’、6)内において、またはそれに直接隣接し、それと熱接触して、比熱容量および/または比熱伝導率が、前記測定本体(1)が作製された前記材料の比熱容量および/または比熱伝導率よりも大きい、本体の形態の少なくとも1つの熱バリア(15)が配置されていることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記検出デバイス(4、4’、6)、および/または前記測定本体(1、1’、11)、および/または前記測定本体のセンサ層(1’)が、圧電材
料で少なくとも部分的に
作製されていることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記測定本体(1、1’、11)の圧電要素または圧電領域がアクチュエータとして電圧源に接続され得、入力電圧に依存して、励起ビームに対する妨害物であることを特徴とする、請求項1から21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載のデバイスを動作させるための方法であって、変調された励起ビーム(8)が、具体的には、前記測定本体(1、1’、11)を通して、前記分析される物質(5)へ誘導され、前記接触デバイス(6)の異なる電極対からの信号が同時または順次に取得され、評価され、まず、基準に基づいて、電極の前記対のうちのどの1つまたは複数が、さらなる処理のために適した信号を出力するのかが決定され、次に、1つまたは複数の選択された電極対からの前記信号が測定のために用いられ、評価され、具体的には、前記選択された電極対または対群の前記信号が取得され、評価される、後続の測定が遂行されることを特徴とする、方法。
【請求項24】
初期測定試験の後に、検出された前記信号に依存して、前記分析される物質(5)に対する前記デバイスの不整列が決定され、指示され、具体的には、前記ユーザが、再整列を遂行するよう促されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1から22のいずれか1項に記載のデバイスを用いて、物質(5)を分析するための方法であって、前記方法において、
- 励起送出デバイス(3)を用いて、少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの強度変調された電磁励起ビーム(8)が発生され、前記励起送出デバイス(3)が、前記少なくとも1つの電磁励起ビーム(8)を、前記物質(5)の前記表面の下方に配置された物質(5)の体積内へ照射し、
- 応答信号が検出デバイス(16、106、107、109)を用いて検出され、
- 前記物質が、前記検出された応答信号に基づいて分析され
、
- 前記励起送出デバイスの異なる変調周波数を用いて、応答信号、具体的には、前記励起ビームの異なる波長のための時間応答信号波形が順次決定され、
- 異なる変調周波数における複数の応答信号波形が互いに相関を取られ、
- 前記物質の前記表面の下の深さ範囲に固有の情報がこれらから得られる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、排他的ではないにしても、ピエゾ効果を利用した検出方法を特に考慮した、物質を分析するためのデバイスおよび方法に関する。ここで説明されるデバイスおよびここで説明される方法は、例えば、動物または人間の組織、体液の分析のため、ならびに一実施形態では、ブドウ糖または血糖を測定するために用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
物質を分析するため、具体的には、血糖を測定するための周知の方法が、例えば、以下の文献に記載されている。
【0003】
- Guoら:「Noninvasive glucose detection in human skin using wavelength modulated differential laser photothermal radiometry」, Biomedical Optics Express,Vol.3,2012,No.11、
- Uemuraら:「Non-invasive blood glucose measurement by Fourier transform infrared spectroscopic analysis through the mucous membrane of the lip: application of a chalcogenide optical fiber System」, Front Med Biol Eng.1999;9(2):137-153、
- Farahiら:「Pump probe photothermal spectroscopy using quantum cascade lasers」, J.Phys.D.Appl.Phys.45(2012)、および
- M.Fujinamiら:「Highly sensitive detection of molecules at the liquid/liquid interface using total internal reflection-optical beam deflection based on photothermal spectroscopy」, Rev.Sci.Instrum.,Vol.74、Number 1(2003)。
- (1)von Lilienfeld-Toal,H.Weidenmuller,M.Xhelaj,A.Mantele,W. A Novel Approach to Non-Invasive Glucose Measurement by Mid-Infrared Spectroscopy:The Combination of Quantum Cascade Lasers (QCL) and Photoacoustic Detection、 Vibrational Spectroscopy,38:209-215,2005。
- (2)Pleitez,M.von Lilienfeld-Toal,H.Mantele W. Infrared spectroscopic analysis of human interstitial fluid in vitro and in vivo using FT-IR spectroscopy and pulsed quantum Cascade lasers (QCL):Establishing a new approach to non-invasive glucose measurement、 Spectrochimica Acta.Part A, Molecular and Biomolecular spectroscopy,85:61-65,2012。
- (3)Pleitez,M.ら In Vivo noninvasive Monitoring of glucose concentration in Human Epidermis by Mid-Infrared Pulsed PhotoacousticSpectroscopy、Analytical Chemistry,85:1013-1020,2013。
- (4)Pleitez,M.Lieblein,T.Bauer,A.Hertzberg,O.of Lilienfeld-Toal,H.Mantele, W.Windowless ultrasound photocoutic cell for in vivo mid-IR spectroscopy of human epidermis:Low interference by changes of air pressure, temperature, and humidity caused by skin contact opens the possibility for non-invasive monitoring of glucose in the interstitial fluid、Review of Scientific instruments 84,2013。
- (5)M.A.Pleitez Rafael,O.Hertzberg,A.Bauer,M.Seeger、T.. Lieblein、H.von Lilienfeld-Toal,and W.Mantele. Photothermal deflectometry enhanced by total internal reflection enables non-invasive glucose monitoring in human epidermis. The Analyst,2014年11月。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、物質、特に、動物もしくは人間の組織、または組織の構成要素もしくは成分を極めて単純且つ費用効果の高い仕方で分析するために用いられ得るデバイスおよび方法を明確に記述することである。本発明の一態様はまた、デバイスの小型サイズの達成を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、とりわけ、請求項1に係る特徴を有するデバイスによって達成される。デバイスの諸実施形態は下位クレームにおいて特定される。加えて、本発明は、従属する下位クレーム(単数または複数)に係る対応する諸実施形態とともに、独立の方法クレームに係る方法に関する。
【0006】
独国特許明細書、独国特許第102014108424(B3)号が参照され、同特許の内容はここで明確に参照され、本出願の内容は同特許の内容に基づき、したがって、独国特許明細書、独国特許第102014108424(B3)号の全内容は、この明示的な参照を通じて、本出願の開示内容の一部を同様になすと見なされるべきである(その開示の全ての詳細についての「参照による組み込み」)。具体的には、本参照は、付与された特許クレームにおいて述べられた特徴の全てに関する。加えて、本参照はまた、具体的には、そこで述べられている励起光ビームの詳細に関し、例えば、そこで述べられているパルス周波数および波長(波長範囲)の数値に関し、また、間質液中のブドウ糖含有量の測定の詳細に関する。
【0007】
出願時に明示的に述べられたクレームおよび例示的な実施形態の主題に加えて、本特許出願はまた、本明細書の最後に列挙された他の諸態様を参照する。これらの態様は、個々に、またはグループで組み合わせられ得、いずれの場合にも、出願時に列挙されたクレームの特徴を有する。これらの態様はまた、単独で捉えられるのか、それとも互いに、または本出願のクレームされている主題と組み合わせられるのかにかかわらず、独立発明を構成する。出願人は、これらの発明を後日クレームの主題とする権利を留保する。これは、本出願の部分として、あるいは本出願の優先権を主張する、後続のサブ出願(sub-application)、継続出願(米国)、一部継続出願(米国)、またはフォローアップ出願(follow-up application)の文脈内で起こり得る。
【0008】
以下の陳述に関して、用語「光」または「レーザ光」は、可視範囲、近、中、および遠赤外範囲内、ならびにUV範囲内の電磁波または電磁放射線を意味する。
【0009】
ここで提示される方法の1つの可能な態様は、材料表面(の離間間隔)の下方における選択された深さ範囲への応答信号の測定の集中である。パラメータdが、本方法を用いて測定される深さ範囲に最も大きな影響を及ぼす。それは、d=√(D/(π*f))と定義され、ここで、Dはサンプル(例えば、ここでは、皮膚)の熱拡散率であり、fは励起ビームの変調周波数である。皮膚の熱拡散率に関する文献:
- U.Werner,K.Giese,B.Sennheiser,K.Plamann,and K.Kolmel,「Measurement of the thermal diffusivity of human epidermis by studying thermal wave propagation」, Phys.Med.Biol.37(1),21-35(1992)。
- A.M.Stoll,heat Transfer in Biotechnology,Vol 4 of advances in heat Transfer,J.P.Hartnett and T.Irvin,eds.(New York,Academic,1967),p117。
【0010】
測定の質を改善することを目的として物質の最上層からの応答信号を除去するために、一実施形態では、最上層における測定が、他のより深い層と比べて、より少ない程度で、またはよりゆっくりと変化する場合には、以前の測定と比較した測定値の変化が用いられ得る。これは、一実施形態では、皮膚の最上層が実際には下層との交換を受けず、したがって、生理的パラメータがあまり変化しない、人間の皮膚上の測定における場合であり得る。また、測定値の時間微分が、最上皮膚層からの信号を除外するべく応答信号のために用いられてもよい。このように、測定または少なくとも評価が皮膚中の間質液に限定されるか、または集中させられ得る。
【0011】
この目的のために、測定は、励起光源の異なる変調周波数を用いて複数回取得されるスペクトルのための応答信号の取得を含むことができ、例えば、同じ波長および異なる変調シーケンスのための応答信号の測定値を差分するか、またはそれらの商を形成することによって、異なる変調周波数のための結果を組み合わせる。このような測定を遂行するために、また、励起ビームのための適切な制御デバイスと、応答信号のスペクトルのための評価デバイスとを有するデバイスが提供されるべきである。
【0012】
以下の本文は、まず、出願時に列挙されたクレームの主題を扱う。
【0013】
目的は、物質を分析するためのデバイスであって、
- 測定のために物質と少なくとも部分的に接触させられることになる測定面を有する測定本体と、
- 測定面を通過することによって物質に向けられる、好ましくは、赤外スペクトル範囲内の、異なる波長の1つまたは複数の励起ビームを発生するための、励起ビーム源、具体的には、レーザデバイス、より具体的には、量子カスケードレーザ(quantum cascade laser、QCL)、波長可変QCL、および/またはレーザアレイ、好ましくは、QCLのアレイを有するレーザデバイスと、
- 検出デバイスであって、以下の、
・ 測定本体の部分であり、具体的には、測定面に隣接して、または直接隣接して配置されている検出領域であって、検出領域の材料が、圧力または温度の変化に応じて変化する電気特性を有する、検出領域、ならびに
・ 指定された電気特性を表す電気信号を検出するために用いられ得る電極、
を含む検出デバイスと、
を有する、物質を分析するためのデバイスによる、特許請求項1に係る本発明の特徴を用いて達成される。
【0014】
この場合には、領域の指定された特性は、具体的には、領域の材料の特性であることができる。
【0015】
好ましいアプローチは、物質を分析するためのこのようなデバイスであって、圧力または温度に依存して変化する電気特性が、
・ 圧力変化および/または温度変化に応じた圧電信号を電極上に生じさせるか、あるいは
・ 温度に従って変化する電気比抵抗によって形成され、
デバイスがまた、電気抵抗および/または圧電信号を検出するために測定本体の検出領域に導電接続された、前記電極を含む電気接触デバイスを備える、デバイスを用いることである。
【0016】
圧電信号の検出の場合には、圧力または温度に応じて変化する電気特性は「分極」と称され得る。誘電率などの、圧力および/または温度に応じて変化し、本発明の目的のために活用され得る他の電気特性も同等に可能である。
【0017】
この文脈において、励起ビームは、光ビームレーザ・ビーム、あるいはさらに、励起ビーム源、具体的には、レーザデバイス、または励起ビーム源、具体的には、レーザデバイスの個々のレーザ要素によって、分析される物質へ順次もしくは同時に放射される多数の実質的に平行なレーザ・ビームを意味すると理解されるものとする。励起ビームのコヒーレンスは必要とされず、これにより、コヒーレントでない、または部分的にのみコヒーレントな放射さえも用いられ得る。この点において、レーザデバイスに加えて、波長または波長範囲の選択を可能にする、LED/半導体ダイオードまたは他のものなどの、他の光源もビーム源として用いられ得る。励起ビームのためにより広帯域の光源を用いるときには、また、波長可変フィルタなどの波長フィルタが、異なる波長または波長範囲のための励起ビームを選択的に発生するために用いられ得る。
【0018】
異なる適用のためには、中赤外範囲内の励起ビームを選択することが有用になり得る。例えば、OPA(optical parametric amplification(光パラメトリック増幅))、またはNOPA(non-collinear optical parametric amplification(非共直線光パラメトリック増幅))、またはOPG(optical parametric generation(光パラメトリック発生))方法を用いて動作し、このような方法を用いて異なる波長の発生を可能にするレーザを光源として選択することも可能である。
【0019】
光学的に非線形の結晶、例えば、ベータホウ酸バリウムを有する光共振器における、いわゆる光パラメトリック発振器(optical parametric oscillator、OPO)を用いることも可能である。非線形の3波相互作用のゆえに、結晶は、とりわけ、注入されたポンプ波から変換された波長の放射線を発生する。このように、上述のOPA/NOPA方法または機構と同様に、例えば、近赤外波長範囲内の放射線から、本出願において説明される分光手順のために用いられ得る中赤外範囲内の放射線が得られ得る。
【0020】
測定本体の検出領域は、温度もしくは圧力に依存した電気比抵抗を有することによって、および/または圧力もしくは温度変化の適用下で電気信号、具体的には、圧電性電圧信号を発生することによって、上述の特性を呈する測定本体の空間領域または区分を指す。これは、材料選択によって、および任意選択的に、また、検出領域が成る材料のさらなる構成、例えば、処理によって達成される。
【0021】
検出領域に隣接した測定本体の領域が、この点において、具体的には、それらが成る材料に関して、検出領域の材料とは異なるという場合があり得る。しかし、また、検出領域に隣接した測定本体の領域、および検出領域自体が温度もしくは圧力依存性電気比抵抗を有し、および/または圧力もしくは温度変化が生じた場合に、電気的、具体的には、圧電性の、電圧信号を発生することも提供され得る。検出領域は電極および/または分離領域によって測定本体の他の領域から分離されていてもよく、分離領域は検出領域の材料よりも著しく柔らかい、弾性を有する、または可撓性を有する材料で作製されていてもよく、これにより、分離領域の材料は、検出領域の材料ほど圧力または温度上昇を伝導しない。
【0022】
具体的には、測定本体はまた、第1の部分、およびセンサ層として実装された測定本体の第2の部分によって形成されていてもよく、センサ層は、測定本体の第1の部分とは異なる組成を有してもよく、具体的には、圧電材料で少なくとも部分的に構成され得る。センサ層は、測定面の領域内の測定本体の第1の部分に適用され得、具体的には、接着接合され得る。センサ層はまた、測定本体の第1の部分よりも大きい、圧力または温度に対する屈折率の依存性を有する材料で作製され得る。測定本体の第1の部分は励起ビーム/励起ビームに対して透明であることができ、例えば、シリコンから成り得る。励起ビーム(単数または複数)のためのセンサ層が透明でないか、または測定本体の第1の部分ほど透明でない場合には、このとき、センサ層は、励起ビーム(単数または複数)の通過を可能にするためのスロットを有することができる。スロット内において、例えば、励起ビーム(単数または複数)を、分析される物質内の点に集束させるためのレンズが設けられていてもよい。
【0023】
また、測定面内、上、またはその前方で終了する光導波路が、励起ビーム(単数または複数)を案内するために測定本体の内部に設けられていてもよい。光導波路は測定本体の基板内に一体化され、SOI技術において製造され得る。光導波路は検出領域を貫通することができるか、またはそのそばを過ぎるよう案内されてもよい。光導波路は、励起ビームに対する圧電性圧力の発生の影響を最小限に抑えるために、機械的圧力に対する屈折率の依存性を有しないか、または最小限に有するのみである材料で構成され得る。光導波路材料はまた、検出領域内に設けられた圧電材料から機械的に離間されているか、または可撓性の、具体的には、弾性材料層または気体層によってそれから機械的に切り離されていてもよい。
【0024】
目的は、代替的に、物質を分析するためのデバイスであって、
- 測定のために物質と少なくとも部分的に接触させられることになる測定面を有する測定本体と、
- 測定面を通過する際に材料に向けられる、異なる選択可能な波長の励起ビームを発生するための、好ましくは、赤外スペクトル範囲内の、励起ビーム源、具体的には、レーザデバイス、より具体的には、量子カスケードレーザ(QCL)、波長可変QCL、および/またはレーザアレイ、好ましくは、QCLのアレイを有するレーザデバイスと、を有し、
- 測定面に隣接して配置され、および/またはそれに直接隣り合う少なくとも1つの検出デバイスであって、検出デバイスが、圧電信号を検出するためのくとも2つの電極を有する接触デバイスを有し、前記電極が、検出領域の異なる側において互いに反対に配置されている、検出デバイスを有する、物質を分析するためのデバイスによる特許請求項2に係る本発明の特徴によって達成される。検出領域内において、具体的には圧電効果のゆえに、温度および/または圧力変化に応じて材料の電気抵抗を変化させるか、または電気信号を発生する材料が配置される。
【0025】
クレーム1の主題の場合、およびクレーム2の主題の場合のどちらにおいても、励起源、具体的には、レーザデバイスは、例えば、特定の波数/波長を掃引する励起ビームを、分析される物質内へ送り込むか、または特定の固定された波数を有する多数の励起ビームを順次もしくは同時に放射する。この場合には、波長選択はまた、励起ビーム源の背後の光路内のフィルタを用いて後で実施されてもよい。
【0026】
アレイを用いるときには、レーザアレイは単純な固定波長レーザを有し得る。特定の波長において、ビームは、分析される物質の材料に依存して吸収され、これにより、エネルギーが放出され、エネルギーは、少なくとも部分的に熱波動の形態で材料の表面へ、次に、測定本体内へ、およびそこでさらに検出領域へ輸送される。励起ビームは、有利に、強度変調され、異なる、さらには複数の、変調シーケンスの利用が可能である。また、フーリエ変換領域における多数の変調周波数を包含するレーザ・パルスを形成することも可能である。検出領域内における材料のパルス状加熱は、抵抗および/または電圧信号の変化、ならびに/あるいは屈折率の変化などの他のパラメータ変化を発生させる。接触デバイスの電極およびそれらの給電ケーブルを用いて、述べられた最初の2つの電気現象が、電圧および/または電気抵抗を測定し、これらの変化を評価し、それらを物質中の温度上昇および/または励起ビームの吸収強度に対応付ける測定デバイスに接続され得る。それゆえ、吸収強度は、横断される励起ビームの波数/周波数に応じた吸収スペクトルとして測定され得る。
【0027】
検出領域は、有利に、測定面に隣接して配置されており、すなわち、検出領域は、測定面に直接隣接して、または測定面から距離を置いて配置されており、この距離は小さくなければならない(例えば、いずれの場合も検出領域と測定面との間の最小距離で測定され、10ミクロン未満または100ミクロン未満)。例えば、検出デバイスはまた、測定本体の部分として測定本体の別の部分と一体に接合されたプレートもしくは本体、またはさもなければ、測定面の領域内における測定本体の部分のコーティングを含み得る。
【0028】
具体的には、圧力変化が検出される場合には、例えば、ピエゾ感受性材料/ピエゾ・センサを用いるときには、検出デバイスは、また、分析される物質中における励起ビームの吸収によって発生され、既知の速度(人間の組織内において、およそ1500m/s)で測定面および検出領域へ伝わる、音波の形態の応答信号を検出するために用いられ得る。励起ビームのための変調デバイスに接続された評価デバイスを用いることで、応答信号の測定の良好な時間分解能のゆえに、励起ビームの変調と応答信号との間の位相ずれが測定され、これにより、吸収が生じた組織内の深さを決定することができる。信号は、多くの場合、異なる組織層からの異なる応答信号の重畳であるため、異なる測定が異なる変調周波数で実施されてもよく、異なる変調周波数における応答信号の相関が取られ、具体的には、上部組織層からの信号を相殺し、除去することができ、その理由は、これらは、汚れた、および死んだ皮膚細胞による汚染に起因する誤差を特に被りやすいためである。
【0029】
本開示では、同じ用語「応答信号」がいくつかの方法で用いられることに留意されたい。一方では、それは、励起ビームによる励起に対する物理的応答、すなわち、音波、温度上昇または同様のものなどを記述することができる。他方では、それはまた、この物理的応答を表す(通例、電気的)信号、すなわち、電極によって測定された電圧または電流などを指すこともできる。本提示の簡潔性および一貫性のために、同じ用語「応答信号」が全体を通じて用いられており、それが物理的応答(例えば、圧力波)を指すのか、その物理的応答の物理的結果(例えば、圧電材料の圧縮)を指すのか、それとも関連測定信号(例えば、圧電材料によって発生された電圧)を指すのかは、さらなる説明がなくとも、文脈から明らかである。
【0030】
異なる変調周波数の代わりに、また、多くの変調周波数の混合を表し、フーリエ解析を用いた異なる変調周波数の分析を可能にする、急勾配の上昇を有する信号(理想的には、いわゆるディラック・パルス)が形成されてもよい。
【0031】
デバイスの一実装形態は、具体的には、測定面の面法線に沿った、少なくとも2つの電極が、測定面から異なる距離に前後に配置されているか、または面法線と垂直な方向の検出領域の異なる側において互いに離間配置されていることを提供し得る。
【0032】
測定面は平坦であるか、または湾曲していてもよい。湾曲している場合には、面法線は、点における、具体的には、励起ビームが測定面を通過する場所における、測定面に対する法線を意味すると理解される。
【0033】
少なくとも2つの電極が、それらが検出領域を完全に、もしくは部分的に包囲するよう、または検出領域が2つの電極の間に完全に、もしくは部分的に配置されるよう、配置されなければならない。電極は、検出領域の異なる側の異なる幾何学的場所に分布させられ、具体的には、検出領域を取り巻いて分布させられてもよい。
【0034】
デバイスのさらなる実装形態は、励起ビームが測定本体、具体的には、検出領域を通過し、光導波路が、具体的には、励起ビームを案内するために、測定本体内または上に配置されており、また、具体的には、光導波路が測定本体内に一体化されていることを提供することができる。
【0035】
それゆえ、励起ビームは、測定本体を通り、例えば、測定本体の材料を直接通り、またはその内部に配置された光導波路を通り、検出領域を通り、または検出領域のそばを過ぎ、分析される物質の点まで伝わり、物質は励起放射線を吸収し、熱放射線を放射する。
【0036】
測定本体の材料内および/または検出領域の材料内に一体化された光導波路が、励起ビームを案内するための光導波路として用いられ得る。このような光導波路は、例えば、エピタキシャル法によって、またはウェハ内もしくは上へのウェハ材料の選択的ドーピングによって適用され得る。しかし、光ファイバケーブルが測定本体内に挿入されるか、またはさもなければ、これに外側で少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0037】
また、励起ビームが、検出領域に直接隣接し、および/またはこれに隣り合う領域内で測定面を通過することも提供され得る。
【0038】
デバイスのさらなる実装形態は、励起ビームの強度を変調するための変調デバイスを提供し得る。この場合には、機械的チョッパを用いて、ならびに制御可能なシャッターもしくは偏向ミラーデバイス、または透過が制御可能である本体/層を用いて、異なる種類の変調が可能である。加えて、変調はまた、励起光源/レーザ光源の活性化によって直接達成され得る。このとき、測定は1つまたは複数の変調周波数におけるスペクトルの取得を含み得、異なる変調周波数における測定は、深さ情報を得、および/または分析されるサンプル/物質の特定の深さ範囲からの測定データを除去するために、互いに相関を取られ得る。具体的には、したがって、物質の表面から発出した測定データが除去され得る。これらは、物質の表面における励起光ビームの吸収に由来する、ならびに分析される物質の表面上の不純物または異常によって生じ得る測定データおよび熱波動である。患者の皮膚の分析におけるこの一例は、情報価値のない組成を有し、および/または誤った情報を提供する、死んだ細胞から部分的に成る最上層である。これは、生物活性物質、活性代謝または代謝産物あるいは同様のものが皮膚中で検出されるべきである場合に、特に当てはまる。
【0039】
以下において、様々な幾何学的電極構成が提示され、それらの利点が説明される。
【0040】
この目的を達成するために、例えば、少なくとも2つ、具体的には、少なくとも3つまたは4つ、より具体的には、少なくとも6つ、より具体的には、少なくとも8つの電極が、測定面から異なる距離に前後に配置されているか、または測定面の面法線と垂直な方向に互いに離間配置されていることも提供され得る。
【0041】
電極のうちの少なくとも1つまたは複数は検出領域の各々の側に配置されている。これは、電気抵抗または電圧を測定するために用いられ得る電極の異なる対が利用可能であることを意味する。
【0042】
給電ケーブルを介して複数または全ての電極に接続された電子デバイスがこの目的のために設けられている。電子デバイスは、異なる選択可能な電極の間の電気抵抗または電圧の取得および評価を順次または同時に生じさせる、制御デバイス、および、具体的には、評価デバイスを有する。
【0043】
この目的を達成するために、電極の異なる対または全ての対が試験的に選択されてもよい。試験的測定のために選択された、電極の対の電極は、それらの間に検出領域の少なくとも一部を各々有しなければならない。個々の電極対からの測定が互いに比較され、評価され得る。評価パラメータは、例えば、信号強度、または信号の変化の大きさ、または信号対雑音比、あるいは他のパラメータであることができる。測定本体内への電極の一体化に加えて、同様に含まれるべきである別の例は、複数の電極が接着によって測定本体/測定面の表面上に、ずらされたパターンで適用されるか、またはその上に組み込まれているか、もしくは蒸着されている例である。
【0044】
また、少なくとも2つ、具体的には、少なくとも3つまたは4つ、具体的には、少なくとも6つ、具体的には、少なくとも8つの電極が、測定面の面法線の方向に、もしくは面法線と垂直に、または面法線に対して0~90度の方向に、検出領域から異なる距離に、具体的には、検出領域の中心から異なる距離に前後に配置されていることも提供され得る。この場合の検出領域は、例えば、特定の材料から成る測定本体の空間領域によって規定され得る。検出領域はまた、全体的な機構によって、分析される材料内への励起ビームの進入点の上方に位置する測定本体の領域として規定され得る。
【0045】
加えて、検出領域はまた、利用可能な電極によって電気信号が潜在的に検出可能である空間点の合計によって規定され得る。
【0046】
さらなる実装形態は、少なくとも2つ、具体的には、少なくとも3つまたは4つ、より具体的には、少なくとも6つ、より具体的には、少なくとも8つの電極が、検出領域の周りの環状または球殻状領域内に、および少なくとも部分的に、検出領域の異なる側において互いに反対側に配置されており、異なる電極が、検出領域の中心から本質的に同じ距離、または検出領域の中心から異なる距離を有することを提供することができる。これは、測定本体の表面上方に分布した電極の場合も含むことを意図されている。
【0047】
上述の電極分布を用いて、例えば、電極の複数の対において測定することで、測定のために最も適した電極対(単数または複数)が選択され、用いられ得る。
【0048】
電極対を選択する際の測定品質の好適な尺度として、例えば、信号強度、または信号ダイナミックレンジ、または雑音レベル、または信号/雑音比のいずれかが用いられ得る。
【0049】
また、接触デバイスの電極のうちの1つまたは複数または全てが、円盤状もしくは板状、環状、環状円盤状、開口部を有する矩形もしくは多角形フレームの形態、キャップ状、または棒状であるように設計されていることも提供され得る。
【0050】
デバイスの一実装形態は、接触デバイスの電極のうちの1つまたは複数または全てが測定本体または検出器デバイスの1つの表面上に配置されており、具体的には、接合方法を用いて、具体的には、接着接合または溶接によって取り付けられていることを提供することができる。それらはまた、蒸着またはコーティングによって適用されてもよい。測定本体は単一の均質な材料で作製され得るか、または検出領域内においては、それは、測定本体の他の領域の材料とは異なる特別な材料から成ってもよい。
【0051】
電極は、通常、全ての実施形態のために金属で、いずれにせよ、良好な導電率を有する材料から作製されている。それらはまた、導電性プラスチックまたは導電的に充填された材料で作製されていてもよい。
【0052】
デバイスのさらなる実装形態は、接触デバイスの電極のうちの1つまたは複数または全てが測定本体の内側または外側において、測定本体の穿孔、凹部、もしくは溝などの、1つまたは複数のスロット内に配置されている、具体的には、挿入されている、鋳造されている、射出成形によって、または付加製造方法(3D印刷)によって組み込まれていることを提供することができる。これらの変形例は、技術的に単純な仕方による測定本体内への電極の挿入を可能にする。
【0053】
電極はまた、測定本体の材料の領域を、照射によって、または粒子による衝撃によって導電性にすることによって、測定本体内に作成され得る。これは、例えば、高エネルギー放射線が炭素分子を部分的に破壊し、導電性である炭素蓄積を形成するプラスチックにおいて可能である。
【0054】
加えて、測定本体が平坦本体として、具体的には、プレートの形態の平面平行本体として形成されており、具体的には、測定面と垂直な厚さが、測定面内で延びる方向における測定本体の最小延長の50%未満、具体的には、25%未満、より具体的には、10%未満であることが提供され得る。
【0055】
測定本体のこの設計変形例は、熱応答信号の異なる検出方法のために用いられ得、ピエゾ効果に基づく検出方法に原則的に限定されない。それはまた、測定面において反射された測定ビーム、およびその偏向を検出するための検出器を用いた測定方法においても用いられ得、測定面と垂直な方向における測定本体の寸法の大幅な低減を可能にする。例えば、ピエゾ効果を用いることによるものであれ、または反射されたビームの偏向を測定することによるものであれ、測定方法にかかわりなく、平坦本体として形成された測定本体は測定面の領域内の層を有することができ、この層は、ピエゾ式測定方法の場合には、圧電材料から成り、反射された測定ビームの偏向を測定することによる検出の場合には、屈折率が測定本体の他の領域の材料内よりも温度に応じて強く変化する材料で成ることができる。
【0056】
デバイスのさらなる実装形態は、測定本体が、励起ビーム源、具体的には、レーザデバイスによって照射された励起ビームを反射するためのミラーデバイスを有するか、またはこのようなミラーデバイスを担持することを提供し得る。
【0057】
非常に平坦な測定本体の場合には、励起ビームは測定本体の平坦な側部から照射され得る。このとき、励起ビームは励起ビーム源から、最初は、測定本体内において測定面と本質的に平行に、または測定本体の境界面と平行に伝搬し、次に、測定面に向けて偏向される。
【0058】
励起ビームを反射する代わりに、それはまた、測定本体の好適な材料設計を用いて測定面に向けて回折されてもよい。平坦本体はまた、励起ビームのための光集束要素を有するか、またはこのような要素、例えば、1つまたは複数のレンズに接続されていてもよい。
また、励起ビームが、測定面と平行に、または測定面に対して30度未満、具体的には、20度未満、より具体的には、10度未満もしくは5度未満の角度で測定本体内へ照射され、励起ビームが測定面に向けてそらされるか、または偏向され、それを通過することも提供され得る。
【0059】
特に、平坦本体が用いられるときには、測定本体内に一体化されるか、またはそれに直接接続されて、励起ビームを、測定面、および分析される物質の物質表面に集束させる、例えば、回折要素/レンズの形態の、集束デバイスが設けられ得る。
【0060】
また、励起ビームが測定本体の材料を通過することも提供され得る。
【0061】
また、測定本体が、励起ビームによって貫かれる少なくとも1つのスロット、具体的には、穿孔を有し、スロットおよび/または穿孔が、具体的には、測定面から測定本体内へ延びるか、あるいは凹部もしくはスロットおよび/または穿孔が測定本体の測定面の反対側の境界面から測定本体全体を貫通し、測定面に達することも提供される。凹部は、チャネルまたは穿孔であって、その長手方向軸もまた、少なくとも部分的に、測定面と平行な励起ビームの方向のものである、チャネルまたは穿孔として延びることができる。センサ層が設けられている場合には、スロット、凹部、および/または穿孔は測定面と反対側のセンサ層の境界面から測定本体内へ延びることができ、これにより、センサ層自体はスロットによって貫かれない。
【0062】
この場合には、測定本体は励起ビームのための中空のチャネル/穿孔/凹部を有することができ、これにより、たとえ、励起ビームが測定本体および測定面を通過し、分析される物質に至っても、励起ビームは測定本体の材料に侵入しない。
【0063】
また、測定本体が、励起ビームのための連続チャネルを有する第1の部分を有し、測定本体がその下側において第1の部分上に、凹部を有しないか、または第1の部分の凹部の続きを有して連続しているセンサ層を有することも提供され得る。センサ層が200ミクロンよりも薄い、具体的には、100ミクロンよりも薄い場合には、励起ビームは - たとえ、それが赤外ビームである場合でも - あまり吸収を伴わずにセンサ層を通過することができ、センサ層内の凹部、穿孔、またはチャネルは必要ない。測定本体のセンサ層は、圧電性特性を有し、本発明に係る検出領域を形成する材料から成ることができる。センサ層はまた、温度および/または圧力の変化が屈折率の変化を生じさせる材料から成ることもでき、これにより、この変化もまた、例えば、センサ層内で反射された検出ビームの反射の角度を検出することによって応答信号として検出され得る。例えば、このとき、測定本体の第1の部分は、可視範囲内では、検出ビームのために透過性であるが、赤外スペクトル範囲内では透過性がより低い、または不透明である、石英もしくはサファイアなどの材料から成ることができる。
【0064】
デバイスのさらなる実装形態は、測定本体内もしくは上において、具体的には、検出デバイス内において、またはそれに直接隣接し、それと熱接触して、比熱容量および/または比熱伝導率が、測定本体が構成される材料の比熱容量および/または比熱伝導率よりも大きいか、あるいはペルチェ要素として設計された、本体の形態の少なくとも1つのヒートシンクが配置されていることを提供することができる。
【0065】
比熱容量および/または熱伝導率が、測定本体が作製される材料の比熱容量および/または比熱伝導率よりも大きい、本体の形態のヒートシンクの代わりに、また、温度勾配を調整するための能動的または受動的冷却要素、具体的には、ペルチェ冷却要素が設けられていてもよい。温度勾配または絶対温度はまた、閉ループ制御デバイスを用いてペルチェ要素によって制御されてもよい。
【0066】
例えば、金属もしくは水晶本体、または能動的に動作させられるペルチェ要素の形態の、この種のヒートシンクを用いると、温度変化が検出領域内で変調周波数とともに十分に高まること、および熱が十分迅速に遠くに輸送されることを確実にするために必要となる、熱拡散率に関する測定本体の適切な熱的特性が達成され得る。無論、これは、主として、測定本体/検出デバイスの材料に依存するが、それは1つまたは複数のヒートシンクの適切な追加によって影響を受け得る。例えば、これらは、少なくとも部分的に検出領域の周りに配置されるか、またはさもなければ、検出領域の1つの側に設けられ得る。
【0067】
デバイスのさらなる実装形態は、測定本体内もしくは上において、具体的には、検出デバイス内において、またはそれに直接隣接し、それと熱接触して、比熱容量および/または比熱伝導率が、測定本体が作製される材料の比熱容量および/または比熱伝導率よりも小さい、本体の形態の少なくとも1つの熱バリアが配置されていることを提供することができる。
【0068】
この種の熱バリアを、単独で、または同様にヒートシンクと組み合わせて用いると、温度変化が変調周波数とともに検出領域内で十分に高められること、およびまた、熱が変調周波数に対応して十分迅速に遠くに輸送されることを確実にするために必要となる、熱拡散率に関する測定本体の適切な熱的特性が達成され得る。これは、1つまたは複数の熱バリアの好適な追加によって影響を受け得る。例えば、これらは、少なくとも部分的に検出領域の周りに配置されるか、またはさもなければ、検出領域の1つの側に設けられ得る。熱バリアは、例えば、熱絶縁性プラスチック要素によって実装され得る。例えば、温度勾配を発生し、熱輸送の方向を制御するために、1つまたは複数のヒートシンクが検出領域の第1の側に設けられ、1つまたは複数の熱バリアが第1のものと反対側の検出領域の第2の側に設けられ得る。
【0069】
検出デバイスおよび/または測定本体が、圧電材料、具体的には、圧電セラミック、具体的には、PZTセラミック、より具体的には、焼結セラミック、あるいは単結晶圧電材料、具体的には、石英、電気石、ニオブ酸リチウム、オルトリン酸ガリウム、ベルリナイト、セニエット塩、チタン酸バリウム(BTO)もしくはジルコン酸チタン酸鉛、リン酸ガリウムもしくはニオブ酸鉛マグネシウム、または薄層堆積としての酸化亜鉛(ZnO)もしくは窒化アルミニウム、または分極ポリフッ化ビニルなどの強誘電体から少なくとも部分的に成ることが提供され得る。
【0070】
それぞれの材料は、赤外周波数範囲内、有利には、中赤外周波数範囲内においてできるだけ透明でなければならない。
【0071】
上述の圧電材料は測定本体上の薄い層として設けられ、測定面を形成することができる。このとき、層厚さは0.5mm未満、具体的には、300ミクロン未満であり、および/または励起ビームのための穿孔もしくはチャネルなどの、凹部もしくはスロットを有しなければならい。このとき、測定本体の残りの部分は、圧電性でなくても、励起ビームに対して透明でなくても、および/または励起ビームのための凹部を有しなくてもよい。測定本体のこの残りの部分は、圧電材料を用いたコーティングのためのヒートシンクの役割を果たすことができ、これは、それが圧電層よりも大きい比熱容量および/または熱伝導率を有することができることを意味する。
【0072】
デバイスのさらなる実装形態は、測定本体の圧電要素または圧電領域がアクチュエータとして電圧源に接続されることができ、制御可能な入力電圧に依存して、励起ビームのための妨害物を形成することを提供することができる。
【0073】
このように、測定本体の材料は、誘電率を変更することによって励起ビームのための光学チョッパとしても用いられ得る。
【0074】
本発明に係るデバイスを動作させるための方法は、変調された励起ビームが、具体的には、測定本体を通して、分析される物質上へ誘導され、接触デバイスの異なる電極対からの信号が同時または順次に取得され、評価され、まず、基準に基づいて、電極の対のうちのいずれの1つまたは複数が、さらなる処理のために適した信号を出力するのかが決定され、次に、1つまたは複数の選択された電極対からの信号が測定のために用いられ、評価され、具体的には、選択された電極対または対群の信号が取得され、評価される、後続の測定が遂行されることを提供することができる。
【0075】
好適な信号は、例えば、信号の強度、信号/雑音比、または信号が励起ビームの変調に追随する急峻さに基づいて選択され得る。好適な電極の選択により、適用可能な場合には、例えば、熱波動が測定領域の中心に達しない場合には、測定デバイスに対する分析される物質の任意の不整列を検出し、修正することが可能である。この場合には、異なって分布した電極が電流測定のために選択される。
【0076】
測定の間に、励起ビームが波数/波長/周波数に関して連続的もしくは段階的に変更されるか、または固有波長範囲が走査される。アレイを用いるときには、励起ビームはまた、アレイの異なる要素を通じて、異なる波長で、または異なる波長範囲内で同時または順次に放射され得る。
【0077】
本方法の一実装形態では、また、初期試験測定の後に、検出された信号に依存して、分析される物質に対するデバイスの不整列が決定され、指示され、具体的には、ユーザが、再整列を遂行するよう要求されることも提供され得る。
【0078】
本方法は、測定が遂行されることになる指の不整列のみを検出し、合図するための別の検出方法、例えば、反射検出ビームと並行して用いられさえし得る。
【0079】
不整列は、例えば、プロファイル/ベクトルの形態の初期測定における電極の異なる対の信号強度を決定し、このプロファイル/ベクトルを、以前の測定または指定された参照値からの対応する値と比較することによって検出され得る。特定のプロファイルはまた、信号強度に正規化され得る。参照プロファイルに対する差が、プロファイルの特定の要素のための、または非対称性に関する特定の閾値を超える場合には、このとき、不整列が推測され得る。
【0080】
方法のさらなる実装形態では、また、
- 励起送出デバイスを用いて、少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの強度変調された電磁励起ビームが発生され、励起送出デバイスが、少なくとも1つの電磁励起ビームを、物質の表面の下方に配置された物質の体積内へ照射し、
- 応答信号が検出デバイスを用いて検出され、
- 物質が、検出された応答信号に基づいて分析され、
- 励起送出デバイスの異なる変調周波数を用いて、応答信号、具体的には、励起ビームの異なる波長のための時間応答信号波形が順次決定され、
- 異なる変調周波数における複数の応答信号波形が互いに相関を取られ、
- 物質の表面の下の深さ範囲に固有の情報がこれらから得られることも提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図2】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図3】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図4】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図5】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図6】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図7】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図8】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図9】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図10】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図11】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図12】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図13】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図14】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図15】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図16】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図17】場合によっては、異なる実施形態における、デバイスおよびその要素の異なる要素の概略図を示す。
【
図18】第1の一体化レンズを有する測定本体、および測定面上に配置された指の断面図である。
【
図19】第2の一体化レンズを有する測定本体の断面図である。
【
図20】第3の一体化レンズを有する測定本体の断面図である。
【
図21】第1の一体化レンズを有する測定本体、および励起ビームの断面図である。
【
図22】第2の一体化レンズを有する測定本体、および励起ビームの断面図である。
【
図23】第3の一体化レンズを有する測定本体、および励起ビームの断面図である。
【
図24】測定本体、およびレーザ光源もしくは励起光源、具体的には、レーザデバイスの形態の励起光源のいくつかの機構であって、励起光ビームが、測定本体の基板内に一体化された光導波路を用いて測定デバイスを通して測定面へ案内される、機構の図である。
【
図25】測定本体、およびレーザ光源もしくは励起光源、具体的には、レーザデバイスの形態の励起光源のいくつかの機構であって、励起光ビームが、測定本体の基板内に一体化された光導波路を用いて測定デバイスを通して測定面へ案内される、機構の図である。
【
図26】測定本体、およびレーザ光源もしくは励起光源、具体的には、レーザデバイスの形態の励起光源のいくつかの機構であって、励起光ビームが、測定本体の基板内に一体化された光導波路を用いて測定デバイスを通して測定面へ案内される、機構の図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1は、物質を分析するためのデバイスの例示的な実施形態を示す。物質5が、好ましくは、測定本体1上に直接配置されているか、またはその逆もあり、どちらの場合においても、物質と、本開示において「光学媒体」とも称される、測定本体1の測定面2とは、測定動作のために直接物理接触をしている。測定本体1は、光に対して透明な、または少なくとも赤外範囲内で透明な固体本体、具体的には、例えば、デバイスが、一実施形態では、例えば、血液などの、液体中のブドウ糖または血糖含有量を測定するように設計されているときには、具体的には、赤外範囲内において透明である、水晶もしくはガラス本体またはプラスチック本体、具体的には、ポリマー本体として実装され得る。このとき、デバイスは、ブドウ糖または血糖レベルの指示を生成するために用いられ得る。
【0083】
デバイスは、好ましくは、1つまたは複数の励起波長を有する励起光ビームの形態の、1つまたは複数の電磁励起ビームを、物質の表面の第1の領域の下の物質5内に位置する体積5a内へ放射するための、励起ビーム源の形態の励起送出デバイス3、具体的には、レーザデバイスを備える。励起送出デバイス3はまた、以下において、簡潔に、レーザデバイスとも称される。レーザデバイスは、波長に関して可変であるレーザ、具体的には、波長可変量子カスケードレーザであることができ、以下においてさらに説明されるように、レーザ、具体的には、固定波長を有する半導体レーザ、または規定された狭い波長範囲内の指定された個々の波長もしくは光を各々放射する、発光半導体ダイオードの形態の、少なくとも2つの単一のエミッタを有する光源ストリップまたは光源アレイを用いることが好ましく、組み合わせられた光源を、特定の波長または波長範囲を分離するために直列に接続された好適なフィルタととともに、同時または順次に用いる可能性を含む。複数の個々のエミッタが組み合わせられる場合には、個々の励起光ビームは、マルチプレクサを用いて光路内に、例えば、光ファイバケーブル、または分離されたチャネル、または光学媒体内の他の光路内に一緒に注入され得る。また、複数の光のビームが同時に放射される場合、および複数の光のビームが順次に放射される場合の両方において、異なるエミッタによって放射された光ビームをできるだけ厳密に互いに平行に整列させ、それらをできるだけ単一のビームに結合するためのコリメータが提供されてもよい。
【0084】
また、励起光の経路上において、励起光を集束させるための光学要素が設けられてもよい。これは、例えば、レーザデバイスと測定本体との間に、または励起ビームが測定本体に入る場所で測定本体自体の上に、または同様に、測定本体上の励起ビームが測定本体を出る領域内、例えば、測定面の領域内で、測定本体上に、測定面上に、測定面と同一平面で、または測定面と検出デバイスとの間に設けられ得る。
【0085】
例えば、光学要素は測定本体の材料から凸レンズとして機械加工され得るか、またはそれはまた、測定本体の材料とは異なる材料から成ることができる。
【0086】
加えて、励起ビーム(単数または複数)/励起光ビーム(単数または複数)の強度変調のためのデバイス9が設けられており、デバイス9は、好ましくは、具体的には、その活性化のための、励起ビーム源、具体的には、レーザデバイスのための変調デバイス、ならびに/あるいはビーム経路内に配置された少なくとも1つの制御されたミラー、および/または層の透明度に関して制御可能であり、ビーム経路内に配置された層によって形成されている。
【0087】
物質の領域5a内で励起ビームの吸収後に放射された熱波動は測定本体に入り、そこで、熱波動は検出領域4内で検出デバイスによって検出され得る。これは、吸収に時間的に極めて高速に追随する局所的な温度上昇または温度変化を検出することによって実施される。また、(励起ビームの強度が励起ビームの変調の一部として減少する際の)吸収段階の終了後における温度変化の逆転(温度の低下)も、励起ビームが物質中に吸収される深さに依存するいくらかの位相オフセットを伴って、吸収強度の強度曲線に極めて迅速に追随する。
【0088】
本明細書において、応答信号の振幅は、励起ビームの波長、サンプルの吸収特性、ならびにサンプルおよび測定本体/光学媒体1の熱的特性、具体的には、熱拡散率および熱伝導率に依存する。加えて、サンプルから測定本体内への熱信号の結合も役割を果たす。
【0089】
図示の例示的な実施形態では、検出デバイス4、6は、少なくとも部分的に、またはいくつかの区分において、圧電材料から成る、測定本体1の領域4として形成されており、検出デバイス4、6はまた、それぞれ検出領域4の反対側に配置された、電極6a、6b、6cおよび6dを有する。電極6a~6dは検出領域4の材料と電気接触しており、以下において共同で「接触デバイス」6と称される。このように、温度または温度変化が、圧電材料の材料選択に依存して、電極の間に発生されたピエゾ電圧によって、または電気抵抗、もしくは抵抗の変化によって検出され得る。
【0090】
図1の例では、2つの矩形状、薄板状、または板状の、平面電極6cおよび6dは、測定面2から異なる距離に測定面2の面法線7に沿って互いに平行に配置されている。同様に平面状で板状である2つの電極6aおよび6bは、面法線7の方向と垂直かつ測定面2と平行な矢印Bの方向に離間され、互いに平行に配置されている。矢印Aが測定面2の面法線7と平行であり、矢印BおよびCが面法線と垂直に配向されている、矢印A、BおよびCによって形成された座標系は、
図2~
図15にも、
図1に示されるように、配向の目的のために描かれている。
【0091】
電子デバイス、具体的には、デジタル処理デバイスとして、例えば、マイクロコントローラもしくはプロセッサとして、またはコンピュータとして設計された、物質を分析するための評価デバイス16が、電気ケーブル17、18を介して接触デバイス6の電極6a、6b、6cおよび6dと電気接触しており、検出された応答信号を評価し、一実施形態では、ブドウ糖または血糖レベル指示(BSI)を生成する。
【0092】
評価デバイス16はまた、変調デバイス9に電気接続されており、これにより、励起ビームの周波数/波長、および具体的には、変調の周波数および/または位相に関する情報が評価ユニット16において利用可能であり、評価において考慮され得る。このように、例えば、励起ビームの変調関数に対する応答信号の位相ずれが評価され、応答信号が発生された物質中の深さ、すなわち、同様に、測定面2または検出領域4からの距離に関する情報を得ることができる。これは、物質5中における、ブドウ糖などの、検出された物質の分布のデプス・プロファイリングに関する情報が得られることを可能にする。
【0093】
励起ビームの変調に関する情報は変調デバイス9から評価デバイス16へ送信され得るが、また、制御デバイス16が変調を直接制御することも提供され得る。評価デバイス16はまた、特に変調周波数における信号を評価する、評価のためのロック・イン増幅器を有することができる。
【0094】
図示の電極対6a/6b、6c/6dの配置は一例にすぎない。電極の単一の対でも十分であり得るが、検出領域4の少なくとも一部分は2つの電極の間に位置していなければならないことが重要である。加えて、最適な機能のために、被験者の指などの、分析される物質は、測定面2上の指定された点に配置されなければならない。指/物質のいかなる横方向の変位も、熱パルスがその効果を電極の間で正確に及ぼさず、測定読み値が最適以下または不正確になる原因となり得る。
【0095】
電極6a、6b、6c、6dは、付加法(3D印刷)によって、成形、蒸着、ドーピング、測定本体の原材料の標的化された変性(例えば、粒子放射またはガンマ放射またはレーザ放射を用いた炭化水素から導電性炭素への変換)、接着、あるいは以前に導入された凹部またはスロット内への挿入によって、測定本体1内に挿入されるか、またはそれに取り付けられ得る。
【0096】
図1に係るデバイスの動作、および、この文脈においては、物質5を分析するための方法が、分析される物質5が人間または動物の組織であり、ブドウ糖または血糖レベル指示が物質の分析の一部として決定されることになる場合について、例によってより詳細に説明される。
【0097】
1つまたは複数の励起ビーム8、好ましくは、赤外ビームが、レーザ光源3を用いて順次または同時に発生される。赤外ビームまたはビーム群の波長は、好ましくは、3μm~20μmの範囲内、特に好ましくは、8μm~11μmの範囲内である。
【0098】
励起ビーム8は強度変調デバイス9によって強度または振幅変調される。一実施形態では、強度変調デバイス9は、好ましくは、1kHz~1MHzのパルス周波数を有する、短い光パルス、または好ましくは、1kHz~10kHzのエンベロープ周波数を有する、パルス・パケット(2段または多段変調)を発生する。
【0099】
変調された励起ビーム8は光学媒体/測定本体1内に、具体的には、測定本体の材料内に直接結合され、測定面2を通過した後に、それらは組織5内の体積5aに入る。
【0100】
本発明の機能のためには、必須というわけではないが、励起ビーム8が測定面2の下側の分析される物質5に入ることが確実にされることを前提とすると、励起ビームが測定本体1を通過するか、または測定本体が作製される材料に入ることが可能である。これは、凹部/スロット13が、
図1において、測定本体1の下側の測定面2内に併合する狭いチャネルであって、それを通って励起ビーム8が測定面2の下側に達し、物質5に入ることができる、狭いチャネル、例えば、穿孔を形成する、潜在的な凹部として表されているという事実によって示されている。最初のビームが「測定面2を通過する」という上述の特徴が理解されるのは、この広い意味においてのことである。通常は、励起ビーム8が測定本体1の材料を容易に通過することができることを前提とすると、このような凹部13を有しない構造が設けられ得る。このような凹部13はまた、測定本体を部分的に貫通するのみであることもできる。凹部13の代わりに、励起ビームが注入され得る、一体化された光導波路が同じ領域内に設けられてもよい。これは、測定面またはセンサ層内または上で終了することができる。光導波路は、標準的な製造方法を用いて測定本体の基板内に一体化され得る。例えば、測定本体が全体的または部分的にシリコンから成る場合には、光導波路ケーブルがシリコン・オン・インシュレータ(silicon on insulator、SOI)光導波路として一体化され得る。このような光導波路は、まっすぐな、または湾曲した外形を有することができる。これは、励起ビームを発生する励起ビーム源、具体的には、レーザデバイスの位置が測定本体に対して自由に位置付けられることを可能にする。
【0101】
励起ビーム8の波長は - ここで説明される血糖測定の例に鑑みて - 好ましくは、励起ビーム8がブドウ糖または血糖によって大幅に吸収されるような仕方で選定される。以下のブドウ糖関連の赤外波長(真空波長)が、ブドウ糖または血糖を測定するために特に適しており8.1μm、8.3μm、8.5μm、8.8μm、9.2μm、9.4μmおよび9.7μmの応答信号を測定するための固定波長として個々に、またはグループで、同時に、または連続して設定され得る。加えて、ブドウ糖によって吸収されないブドウ糖耐性波長が、存在する他の物質を識別し、測定へのそれらの影響を除外するために用いられ得る。
【0102】
測定のために、スペクトル領域が、励起源、具体的には、レーザデバイス3を走査することによって連続的に走査され得るか、またはスペクトルは、好適な特定の固定波長によってサポート点において非連続的に網羅され得る。
【0103】
ブドウ糖以外の物質が検出されることになる場合には、これらの物質のための吸収波長の特徴である、対応する波長が励起ビームのために選択されることになる。
【0104】
組織5中の励起ビーム8の吸収は体積5aの領域内における局所的温度上昇を生じさせ、これは、組織5の表面およびそれと接触した測定面2に向かう熱伝達、ひいては、関連する圧力波および熱パルスを誘発する。測定本体1内の測定面2において、およびこれに隣接して生じる温度および圧力変動のゆえに、測定面2の付近の検出領域4内における密度、屈折率もしくは変形、微細構造、および反射挙動が変調され、その結果、ピエゾ材料の場合には、電気抵抗が影響を受けるか、またはピエゾ電圧が応答信号として発生されるか、もしくは変更/変調される。
【0105】
測定された値/応答信号の強度変調の大きさ/振幅は、(組織中の必然的な吸収のゆえに)励起ビームの波長、ならびに(組織の内部から測定面2へ向かう熱伝達および圧力波のゆえに)励起ビームのパルス周波数/変調周波数、ならびにサンプルおよび測定本体1の熱的特性に依存する。
【0106】
測定は複数の異なる変調周波数について遂行されてもよく、例えば、スペクトルの形態の、測定結果が互いに相関を取られ得る。個々のスペクトルは、励起ビームの波長に応じた応答信号、例えば、ピエゾ電圧、または可変ピエゾ電圧の振幅を表す。異なるスペクトルは、サンプルの(物質5の)表面からの測定値が相殺/除去され得るか、または特定の情報が特定の深さ範囲から取得され得るような仕方で、相関を取られ得る。
【0107】
励起ビーム8は、それがサンプル内に入っていくにつれて、異なる深さの層内で部分的に吸収されるため、所与の変調周波数におけるスペクトルの各々は、異なる深さからの、分析される物質5からの応答信号の重畳から生じる。
【0108】
それゆえ、応答信号は異なる深さからの信号の混合を表す。
【0109】
異なる深さからの信号の混合比は励起ビーム8の変調の周波数に依存する。
【0110】
異なる変調周波数における異なるスペクトルの相関を取ること、例えば、いずれの場合にも個々のスペクトルの異なる重み付けを用いて、より高い変調周波数におけるスペクトルとより低い変調周波数におけるスペクトルとの差を算出すること、またはより高い変調周波数におけるスペクトルをより低い変調周波数におけるスペクトルで除算することによって、物質の上部層の影響が除去されるか、または少なくとも低減され得る。
【0111】
以前に実施された校正または比較測定との、あるいは一実施形態では、比較表または比較曲線の形態で評価デバイス16のメモリ内に記憶された、参照データセットとの比較に基づいて、デバイスは、組織内または体積5a内のブドウ糖または血糖の現在の濃度に関する情報を提供し、対応するブドウ糖または血糖レベル指示を生成することができる。例えば、比較表または比較曲線は、患者の身体の外部で分析された血液サンプルから得られたブドウ糖または血糖値に基づいて作成されていてもよい。
【0112】
図示の例示的な実施形態では、励起光ビームまたはビーム群8を発光するためのレーザデバイス3によって形成されている、励起ビーム源は、アレイとして実装されてもよい。アレイは、分析される物質の吸収スペクトル内における異なる固定波長の単色光のための、少なくとも5個、有利には、少なくとも10個、より有利には、少なくとも15個または少なくとも50個または100個の個々に制御可能なエミッタ100aを有する。個々のエミッタはレーザ・エミッタであることができるが、それらはまた、特定の波長範囲内の放射線を選択的に放射する、好適な発光ダイオードまたは他の半導体構成要素などの、他の種類のエミッタであることもできる。
【0113】
アレイは、好ましくは、以下の8.1μm、8.3μm、8.5μm、8.8μm、9.2μm、9.4μmおよび9.7μmの波長(真空波長)のうちの1つまたは複数、特に好ましくは、全てにおける単色光のビームを生成する、ならびに、所望の場合には、追加的に、ブドウ糖耐性波長である。
【0114】
励起送出デバイス/励起光源3が、直接、または調整デバイスを用いて、光学媒体/測定本体1に永久的に機械的に接続されていることが提供され得る。調整デバイスは、好ましくは、測定本体1からの励起光源3の距離の調整、またはビームの長手方向における調整、および/またはビームの長手方向と垂直な平面内の調整を可能にする。
【0115】
また、励起送出デバイス3、および検出デバイス4、6を有する測定本体1が互いに直接、または共通の担体(図示されていない)に取り付けられていることが提供され得る。担体は、ハウジング内に設置されたプラスチック部分、プリント回路板、または金属シートによって形成され得る。
【0116】
担体はまた、ハウジング自体、またはハウジングの一部によって形成され得る。
【0117】
また、デバイスが配置されたハウジング(図示されていない)を有する、物質を分析するためのデバイスが、身体、例えば、人の胴に取り付けられてもよく、1つまたは複数の励起光ビーム8を放射するための励起送出デバイス3、および時間依存性応答信号を検出するための検出デバイス4、6が、測定のために適した側、およびデバイスの測定面2が、デバイスの、身体/胴とは反対の側に位置するように配置され、構成されており、これにより、例えば、患者が測定面2上に指を配置することによって、分析される物質が、ハウジングの、身体/胴から見て外方に向いた側で測定され得ることも提供され得る。この目的のために、例えば、ハウジングは人の身体に、身体の部分を形成するストラップを用いて取り付けられ、一実施形態では、リストバンドの形態で手首に取り付けられる。手首の反対側において、このとき、ハウジングは、励起光ビーム8に対して透過性である窓を有するか、または測定本体1の外方に向いた測定面2を有する測定本体1が、ハウジングの、本体から外側に向いた側へ直接収まり、例えば、測定面2と共に、ハウジング自体の表面のいくらかの区分を形成する。
【0118】
この設計では、このときには、指パッドが測定本体1上に配置され、監視され得る。
【0119】
測定本体1は、担体と同じ様態で、ハウジングの内部に、または直接ハウジング上に設置され得る。測定本体1はまた、担体に直接接続されてもよく、この場合には、光学媒体/測定本体1に対する担体の位置付けのための調整デバイスが設けられなければならない。
【0120】
また、励起光源3を測定本体上に直接設置することも可能である。
【0121】
ハウジング内の光学窓を通して、および/または測定本体1を通して、一実施形態では指紋などの、物質表面または適用された指パッドの他のパラメータも監視され得る。この目的のために、また、例えば、測定本体を通して、またはそのそばを過ぎて測定本体の隣で物質5の表面の画像をデジタル的に取得する、カメラの形態の光学検出器が担体に取り付けられてもよい。この画像、および検出デバイス4、6からの測定情報は処理デバイス内で処理され、処理デバイスは、検出デバイス4、6に直接、およびまた、励起送出デバイス3に接続され得る。処理デバイスはまた、測定のための制御タスクを遂行することもできる。それはまた、デバイスの他の部分から少なくとも部分的に分離され、遠隔にあり、無線リンクを介してそれらと通信することもできる。
【0122】
それゆえ、カメラからの画像データは、ハウジングの内部で、または同様に、無線接続を介してハウジングの外部でさらに処理され、識別された人の校正データを検索し、このデータを測定の基準として用いるために個人識別データベースと比較され得る。
【0123】
このような校正データはまた、検索のために、データベース内、一実施形態では、クラウド内に遠隔的に記憶されてもよい。検出デバイスの測定データもまた、ハウジングの内部および外部の両方でさらに処理され得る。
【0124】
データがハウジングの外部で処理される場合には、結果データは、好ましくは、無線によってハウジングの内部のデバイスへ、そこで表示されるために伝送されて戻されなければならない。
【0125】
いずれにせよ、有利に、光学窓を通して、一実施形態ではまた、部分的に測定本体を通して、または測定本体1上で読み取られ得る、ディスプレイ(図示されていない)がハウジング上に設けられ得る。ディスプレイはまた、光学窓を通してインジケータ光を表示面上に投影し、この目的のために、投影デバイスを備えることもできる。一実施形態では、ディスプレイは、測定または分析結果、具体的には、ブドウ糖濃度が表示されることを可能にする。出力は、一実施形態では、文字または色コードを用いて実施され得る。一実施形態では、他の患者パラメータ(例えばインスリン補正指数)に依存するインスリン投与量のための提言、またはインスリン・ポンプの形態の投与デバイスへの自動信号伝送が、ディスプレイ、またはこれと並列にある信号デバイスを介して出力され得る。
【0126】
代替的に、特定の量での特定の食物の消費のための勧告が行われ得る。これは、例えば、データベースから取り込まれ、具体的には、電子的形態で伝送され得る、調製の提案にリンクされ得る。この調製命令はまた、自動食物調製デバイスへ送信され得る。
【0127】
外部データ処理デバイスへの、およびそこからのデバイスの接続は、光ファイバケーブル、無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi)、あるいはさらに超音波または赤外信号などの、全ての共通規格を用いて実装され得る。
【0128】
図2~
図16は、とりわけ、種々の仕方で分布させられた電極を有する接触デバイス6の特定の設計を示す。
【0129】
図17は、測定光ビームの反射を検出する検出デバイスを有する本発明の設計を示す。
【0130】
図2は、測定面2と、検出領域4と、接触デバイス6とを有する測定本体1を再び概略的に示す。
図2はまた、接触デバイス6が検出領域4の各々の側に複数の電極を有することもできることを示す。図示の例では、電極6e、6fが検出領域4の第1の側に示されており、電極6g、6hが検出領域4の反対の側に示されている。図示の例では、個々の電極は矩形プレート状の様態で設計されている。測定のために、デバイス16は、2つの電極6e、6f、6g、6hの間の(圧電電圧または変更された抵抗の形態の)ピエゾ信号を評価することができ、結果が比較され得る。次に、測定のさらなる評価のため、または後続の測定のための電極の対が選択され得る。選択は、電極のどの対が、最も大きな信号、または干渉を最も受けにくい信号をもたらすのかを考慮することができる。好ましくは、隣接した電極の対、例えば、電極6fおよび6g、あるいはさもなければ、電極6eおよび6fあるいは6gおよび6hが測定のために選択され得る。しかし、電極対6e、6hを測定のために用い、これらの電極の間に存在する信号を評価することも可能である。その際に、測定のために現在用いられていない電極は他の電極に対する誘電遮蔽をもたらすことができることに留意されたい。例えば、使用されない電極は、浮遊電位のままにしておかれるか、または特定の場合には、接地電位に接続されてもよい。
【0131】
図3は、検出領域4の各々の側に3つの環状電極6i、6j、6kを有する、接触デバイス6の機構を示す。これらの電極もまた、測定のために対で用いられ得る。図示の場合には、環状電極の直径は検出領域4から外方へ増大し、これにより、電極6iは電極6jよりも大きい直径を有し、これは電極6kよりも大きい直径を有する。
【0132】
加えて、例えば、平坦な板状電極6l、6mの対が電極6i、6j、6kの背後の外側に設けられ得る。
【0133】
電極の環状設計は、外方へ増大するサイズと相まって、外側の電極が内部電極によってあまり遮蔽されず、異なる電極対が互いに独立して用いられ得るという結果をもたらすことができる。
【0134】
図4は、測定面2と平行な水平方向 - すなわち方向B - における検出領域の各々の側において互いの背後に3つの環状電極6n、6o、6pを有する接触デバイス6を有し、検出領域4からの距離の増大とともに環状電極の直径が減少する機構を示す。
【0135】
検出領域の各々の側において、電極の外側横方向に、測定本体内に組み込まれるか、またはその外側に取り付けられ得る、ヒートシンク14、14aが示されている。例えば、これらのヒートシンクは、熱容量および/または熱伝導率が、測定本体1を構成する材料(単数または複数)のものよりも大きい金属または別の材料から成り得る。
【0136】
また、検出領域4、または測定本体1全体を包囲する、環状本体などの、単一の本体がヒートシンクとして設けられていてもよい。ヒートシンクはまた、ペルチェ要素によっても実装され得る。ヒートシンクは、検出領域内における熱波動/熱パルスの到来によって生じる温度上昇が冷却によってできるだけ迅速に相殺され得、これにより、検出領域4内の測定本体1の材料が後続の熱パルスにできるだけ迅速に反応することができることを確実にする。
【0137】
熱パルスは励起ビームの変調周波数をもって互いの後を追う。検出領域の上方に、励起ビーム8の通過のための開口部を有する、板状の熱バリア15が設けられている。これは、測定本体1の材料の熱伝導率が過度に高い場合に、熱パルスが、それが検出領域内に到来した時に、過度に迅速に放散されず、これにより、熱が、例えば、ヒートシンクを介して、放散される前に、温度上昇が検出領域4内に短期間蓄積することができることを確実にする。
【0138】
1つまたは複数のヒートシンクおよび/または1つまたは複数の熱バリアが、熱伝達を適切に誘導するために、測定本体内に一体化されているか、またはその外側に設置されていてもよい。これは、平坦な測定本体のため、またはピエゾ材料の薄いコーティングを有し、さもなければ、ピエゾ効果を有しない材料で構成されている測定本体のために特に実用的であり得る。
【0139】
図5は、検出領域4の各々の側に2つのフレーム形電極6q、6rを有する接触デバイス6であって、フレーム形電極が矩形フレームとして実装されており、検出領域4から同じ距離に、または検出領域4から異なる距離に配置され得る、接触デバイス6を示す。それゆえ、電極6q、6rは、例えば、検出領域4の各々の側において互いに同一平面上かつ同軸に配置されているか、または検出領域4からの距離に関しては、ずれていてもよい。
【0140】
図6は、検出領域4の上方および下方の両方に3つの環状電極を有する接触デバイス6を示し、すなわち、電極は、検出領域4の両側において、方向Aにおける面法線に関して測定面2から異なる距離に前後に配置されている。
【0141】
図7は接触デバイス6の電極の使用の一例を示す。検出領域4の各々の側において、2つのフレーム形電極6q、6rが検出領域4から異なる距離に設けられている。通常、分析される物質が測定面2の下の中心に配置されている場合には、
図7において物質の領域5によって指示されるように、検出領域4の両側の2つの電極の選択が測定のために最適となることができる。しかし、例えば、被験者の指が最適な位置に対して横方向に動かされることによって、サンプルが誤った場所で測定面2上に配置された場合には、分析される材料は図示の位置5’の方向に動くことになり、最適な検出領域は、4’として指定された、測定本体1の領域内にあることになる。この場合には、2つの他の電極、図示の場合には、電極6q、6rを測定のために選択し、それらの間で発生された電気信号を評価することが実用的になり得る。この場合には、電極の異なる対も試験として用いられてよく、対応する信号が評価され、分析される物質5が測定面2上に配置される正確な点、およびどの電極対が最良の結果をもたらすのかを決定するために互いに比較され得る。
【0142】
図8は、検出領域4の両側において面法線Aの方向に前後に配置された6つの環状電極を示す。検出領域の各々の側は、互いに同軸上に配置され、各電極の直径が検出領域4からの距離の増大とともに増大する、3つの環状電極を有する。ここでも先と同様に、検出領域4に対して対称的または非対称的に互いに反対側に位置付けられた異なる電極対が測定のために選択され得る。この例示では、他の図のうちのいくつかの場合と同様に、評価ユニットは、励起ビームおよびレーザデバイスの例示であるため、理解しやすいように省略されている。
【0143】
図9は、接触デバイス6が、検出領域4の周りの環状領域10内に分布した複数の電極6s、6t、6uを有する、検出領域4を有する測定本体1を示す。電極6s、6t、6uのこの分布においては、2つの直径方向に対向した電極6s、6uの間の信号を測定のために選択することが意味をなし、異なる電極対が選択のために試験的に動作させられ得る。
【0144】
この文脈において、検出領域4は、図において、必要とされる材料の選択に対応する測定本体の領域として識別され、これにより、それはピエゾ効果を呈し、同時に、分析される物質5からの応答信号が熱パルスの形態で到来する測定本体1の領域内に位置することに留意されたい。可能な検出領域4はまた、測定のために選択された電極6に依存し、この領域4内の測定本体1が、必要とされる材料から成るか、またはピエゾ効果を呈するときには、通常、測定のために選択された電極6の間に位置する。したがって、検出領域4は必ずしも測定本体内で指定されるわけではなく、実際には、分析される物質からの応答信号が、選択された接触電極6によって、物質5が測定面2の下に適切に位置付けられたときに利用される物理的効果を用いて検出され得る領域として得られる。
【0145】
図9に示される電極6s、6t、6uは、矩形、または、円形、または楕円形であり、形状が平坦または部分的円筒形である、すなわち、1つの軸において湾曲していてもよい。
【0146】
図10は、一例において、電極が検出領域の周りに配置された環状領域10は、測定面と平行な円環の形態で配置される必要がなく、異なる角度位置における測定本体1の空間内の円環として設けられ得ることを示す。
【0147】
図11は、接触デバイス6が測定本体1内または測定本体1上の測定面2の領域内に直接設けられている機構を示す。個々の電極6v、6wが、環状領域10内の検出領域4の周りに分布した測定面2上に直接配置されている。
【0148】
図12は、
図11において指示される構造の特定の実施形態を示す。
図12では、測定本体1は下側から、すなわち、外側から測定面2を見て示されており、電極を受容するための凹部が測定本体1の下部層1’内の環状領域10の周りに設けられている。凹部は17、18、19、20、21によって指定されている。電極本体6x、6yが凹部内に配置され得、押し込み嵌合または材料的に接着された仕方でそこに保持され得る。例えば、電極6x、6yは凹部21、20内に掛け留めされ得る。凹部17、18、19、20、21は、例えば、測定面2上の導体トラック32に接続されたコンタクトを有する。導体トラック32は、図示されていない評価デバイスに電気接続されている。電極6x、6yを凹部内に挿入すると、それらは導体トラック32に、およびそれゆえ、評価デバイスに電気接続される。
【0149】
電極は、以上においてすでに説明されたように、測定のために選択され得る。
【0150】
例えば、測定本体1の層1’が圧電材料から成り、その一方で、測定本体1の残りの部分が、同じく圧電的に感受性を有するか、または非圧電性である、異なる材料から成ることが提供され得る。
【0151】
図13は、測定本体1の層1’が、例えば、接着接合または蒸着によって、外部から層1’(センサ層)に適用された、電極22、23を担持する、設計の変形例を示す。圧電材料で作製されたセンサ層1’の層厚さは、0~1mm、具体的には、0~500ミクロン、具体的には、100ミクロン未満であることができる。層は測定本体1の第1の部分/残りの区分に接着接合されてもよく、または異なる接合技法によってそれに接合されてもよい。励起ビームはこの層1’を通過することができる。励起ビームのためのチャネル状凹部が測定本体1の残りの区分内に(測定本体1のいわゆる第1の部分内に)設けられ得る。このとき、測定本体1のこの残りの区分の材料は、石英またはサファイアなどの、赤外放射線に対して不透過性の材料から成ることができる。これらの電極は層1’内の検出領域4内における圧電効果の測定を可能にする。同じ種類の他の電極が、検出領域4の周りの環状領域10内において、測定面2の下、または測定面2内の凹部内に設けられていてもよい。
【0152】
図14は、2つの電極24、25が層1’の側に取り付けられている、測定本体1の圧電層1’を有する一実施形態を示す。これらの電極24、25はまた、層1’の表面に、例えば、接着接合もしくは蒸着されるか、または別の仕方で適用され得るか、あるいはそれらは層1内の凹部内に導入され得る。層1’の残りの側面も電極26、27を有することができ、全ての電極は光ケーブルまたは導体トラックを介して評価デバイスに接続されている。
【0153】
図15は、測定本体の圧電層の下側において、すなわち、測定面2上において、検出領域4の周りの環状領域10内に配置された複数の電極28、29を示す。ここでも先と同様に、電極の異なる対が測定のために代替的に用いられてもよく、対の2つの電極は、検出領域4の異なる側で互いに対向して位置付けられるように設計されている。これらの電極はまた、層1’の表面に、例えば、接着接合もしくは蒸着されるか、または別の仕方で適用され得るか、あるいは層内の凹部内に導入され得る。実験によって、電極の異なる対が、測定面2の下における物質5の位置付けに依存した、すなわち、最適な検出領域4の位置に依存した最適な電極対を選択するべく測定のために組み合わせられ、動作させられ得る。
【0154】
図16は、平坦本体として設計されており、例えば、
図14、15に示される測定本体1の層1’と同様に設計され、電極を備えることができる、測定本体11を示す。しかし、この場合には、測定本体1全体が平坦本体11によって形成され得る。平坦本体11の下側において、測定面2が設けられており、測定面2の面法線7の方向における平坦本体11の延長は、測定面2と平行な方向の延長と比べて小さい。デバイスの組み付けのために面法線7に沿ってとる空間を最小限に抑えるために、レーザデバイス3を、平坦本体の平坦面のうちの1つにおける測定面の仮想延長上において平坦本体の側に配置し、励起ビーム8を測定本体/平坦本体11内に測定面2と平行にまたは実質的に平行に照射することが提供され得る。励起ビーム8のために、次に、
図1において参照符号13の下で示されているものと同様のチャネル状凹部が平坦本体内に設けられ得る。例えば、次に、測定ビーム8を、測定面2に向けて反射し、その後、測定面2を通過して物質5内へ至らせる、ミラーデバイス12が平坦本体の内部に設けられている。
【0155】
平坦本体はまた、全体が圧電材料から成るか、または圧電層を測定面の領域内に有することができる。
【0156】
代替的に、また、レーザデバイス3が平坦本体11の若干上方に位置付けられており、これにより、励起ビーム8が平坦本体11の上に配置されたミラーデバイス12へ平坦本体と平行に放射され、そこで平坦本体11内へ測定面2と垂直に反射されることも提供され得る。どちらの場合にも、面法線7の方向におけるデバイスの延長は、
図1に示される実施形態と比べて大幅に低減される。それゆえ、測定本体11およびレーザデバイス3は、平坦なハウジング内に一緒に、場合によっては、評価デバイス16と一緒に収容され得る。
【0157】
検出領域4上の測定のために用いられる電極22、23が平坦本体11の内部、下方、またはその側に設けられ得る。この設計では、また、上述された2つ以上の電極の機構のうちの任意のものが用いられ得る。
【0158】
また、平坦本体11として形成されたこのような測定本体は、第1の部分、およびこれらの部分に接合/接着されたセンサ層、例えば、圧電層から形成され得、このとき、圧電層が測定面を形成し、電極を備える。この場合にも、凹部が励起ビームのために測定本体11の第1の部分内に設けられ得、このとき、測定本体11は、任意選択的に、石英またはサファイアなどの、赤外放射線に対して不透過性であるであるか、またはあまり透過性を有しない材料から成ることができる。
【0159】
図16の下部において、励起ビーム8の反射経路を明瞭にするために、上で斜視図で示された機構が側面図で示されている。
【0160】
上述された平坦本体が、その側に位置付けられたレーザデバイスであって、波長が変化する強度変調励起ビームを平坦本体内またはその上方で測定面と実質的に平行に放射するように整列させられた、レーザデバイスとともに用いられ、励起ビームが測定面へそらされる場合には、測定本体内に注入され、測定面の領域内で反射される、ビーム源によって別個に生成された測定ビームが検出のために用いられてもよく、測定面の領域内における測定本体内における測定ビームの偏向(偏向角)は、分析される物質からの応答信号によって影響を受ける。偏向角が測定され、物質5中における励起ビームの吸収強度、および吸収物質/その物質中の検出されるべき物質の密度/濃度に対応する、応答信号の強度を決定するために用いられ得る。
【0161】
このような適用物のためにさえも、平坦本体は、屈折率が温度に依存する材料から均質的に構築され得るか、またはそれは、屈折率が温度に依存する材料で作製された測定面の領域内の層を有し得る。
【0162】
図18は、
図19~
図23と同様に、2つの概略的に描かれた平行プレート電極123および124を有する第1の電極機構119が圧電検出デバイスの一部として埋め込まれた、基板120の断面図を示す。理解しやすいように、切断部分におけるハッチングは省略されている。測定面118は、各図において、シリコンから全体的または部分的に成ることができる、基板120の上部部分内に配置されている。例示として、
図18および
図20では、人間の指117が、物質が分析されることになる例示的な測定対象として示されている。指は分析のために測定面118上に配置されている。
【0163】
図18~
図23では、基板120は、材料が、赤外範囲内、中赤外範囲内、または一般的に励起ビーム121の波長範囲内の励起ビーム121に対して透過性である、測定本体の領域内においてそれぞれ示されている。例えば、これは中赤外範囲のためのシリコン基板120に当てはまる。基板120に加えて、測定本体は、
図18~
図23において測定面118に隣り合って概略的に示されている、圧電領域/検出領域、ならびに測定面118の機械的保護のため、および/またはインピーダンス整合のための1つまたは複数の被覆層などの、他の本体および層を含むことができる。励起ビーム121は、基板120がその波長範囲に対して透明であるという条件で、基板材料を通して測定面118上へ、およびそれを通して、測定される物質(例えば、指117)内へ誘導され得る。このような場合には、励起ビーム121のための開口部を基板120内に設ける必要はない。励起ビーム121は、電極デバイス119のそばを過ぎるように、またはそれを貫通するように操向され得る。
【0164】
測定本体または基板120の、測定面118とは反対の側において、レンズ116、116’、116’’が基板120内に一体化されており、具体的には、基板120の材料によって形成されており、例えば、研磨方法を用いて、具体的には、エッチングまたはスパッタリングによって、基板の材料から引き出される。
【0165】
【0166】
第1のレンズ116は、通常屈折性の、屈折凸面収束レンズに対応し、第2のレンズ116’は、フレネル形態に研磨された(屈折)収束レンズ(キノフォーム・レンズ)に対応し、第3のレンズ116’’は、励起ビーム10を回折によって同心格子構造に集束させる回折レンズに対応する。レンズ116~116’’の光軸は測定面118上に鉛直に各々位置付けられ得、これにより、励起光源は基板120を直接まっすぐ通過することができる。しかし、光軸はまた、基板に対してある角度をなす励起光源の潜在的に省スペースの位置付けを可能にするために、測定面118に対する垂線に対して傾斜していることもできる。
【0167】
図21、
図22および
図23は各々、基板120上のレンズ形状116、116’、116’’を、励起ビーム121、および分析される物質上に集束させられた集束ビーム122とともに示す。
【0168】
図24は、励起ビーム8が、レーザ機構3から、測定本体1を層1’へ貫通する光導波路126内へ誘導される、センサ層1’を有する測定本体1を断面図で示す。光導波路126はまた、層1’を通って測定面2まで延びることもできるが、層1’が励起ビーム8のためのスロットを有するか、または励起ビーム8が層の材料を通して放射することも提供され得る。測定面2の領域内において、例えば、測定面2に直接隣り合って、および/または層1’内において、励起ビーム8を、調査される物質内の点に集束させるためのレンズ140が設けられ得る。光導波路126はレーザデバイス3から測定面2へまっすぐに延び、検出デバイス、および/または電極123、124の間の領域を通過する。圧電効果と、その結果生じた、光導波路に対する検出領域の材料の力の作用との間の干渉を回避するために、後者は、外力または圧力に対する屈折率の依存性を全くまたはほとんど有しない材料から成り得る。例えば、レーザデバイスが測定本体の側に位置付けられている場合には(
図26参照)、光導波路はまた、部分的または完全に測定本体の表面に沿って延びることができる。
図24では、光導波路127は、まず、その全長の第1の部分において、測定本体の表面において、またはその上で、レーザデバイス3’から延び、その後、引き続き、その全長の第2の部分にわたって、光導波路126として測定本体を貫通する。励起ビーム8は、光導波路の方向変更の領域内で、例えば、ミラーにおいて、反射され得るか、または光導波路がそこで曲げられ得る。このような光導波路126、127は製造技法によって(例えば、SOI - シリコン・オン・インシュレータ技術によって)測定本体の材料内に一体化されるか、または例えば、接着接合によって光ファイバ導波路としてそれに接続され得るか、あるいは光導波路はその全長の一部にわたって一体化され、その全長の異なる部分にわたって光ファイバケーブルとして実装され得る。
【0169】
図24はまた、電極123、124が、通常、測定本体内の凹部またはスロット内に設けられていることも示す。この場合には、鋳造によってポリマーで封止された、これらの凹部または溝128、129が、検出領域、ならびにそれゆえ、熱波動および/または圧力波の結果として膨張および収縮することができ、これにより、圧電性の測定可能な効果を示す、検出領域を規定する圧電性本体を分離するために用いられる。このとき、これらは電極によって検出され得る。
【0170】
対応する凹部または溝128、129が、本文書において様々な測定本体内で示される全ての電極上に設けられてもよく、ポリマーなどの非圧電材料を用いて鋳造され得る。
【0171】
材料凹部128、129は、例えば、測定本体1の製作の間に設けられるか、あるいはエッチングもしくはスパッタリングによって、または鋸引きもしくはレーザ切断によって後に導入され得る。
【0172】
しかし、光導波路設計の2つの異なる変形例における
図25から分かるように、また、励起ビームを、レーザデバイス3’が設けられた、測定本体1上の位置から測定面2へ案内する、湾曲した光導波路133、134も設けられ得る。光導波路133、134の順路が比較的自由に形状設定され得るという事実は、励起ビーム8によって侵入される領域と検出領域との間の最小距離が維持されることを可能にする。励起ビーム8はまた、測定面2の面法線に対して0度~60度の間、具体的には、0~45度の間の角度で測定面2に衝突し、それを通過することもできる。
【0173】
分析される物質内への低い侵入深さのゆえに、励起ビーム8がそれと相互作用する物質の領域は、斜めの照射方向にもかかわらず、検出デバイスおよび電極123、124の直下にある。例えば、湾曲した光導波路133、134は、少なくとも区分において、測定本体1の穿孔または同様の凹部内の光ファイバケーブルとして設けられ得、それらは所定位置に接着または鋳造される。
【0174】
図26から分かるように、また、例えば、測定本体1の、1つもしくは2つもしくは3つの異なる相互に隣接した表面上で、複数の方向に、および/または2つもしくは3つの相互に垂直な方向に案内される、励起ビーム8を案内するための光導波路135、136、137、138も設けられ得る。例えば、このような光導波路135、136、137、138は、
図24および
図25に示される光導波路が可能であるのと同様に、それぞれの測定本体1内に一体化され得る。測定本体の表面上において、これは、SOI技術において、または、測定本体の材料によっては、関連固体製造技術において実装するために特に簡素である。シリコン基板内では、酸化ケイ素層または他の層によって被覆され、基板から分離された光導波路がこの目的のために組み込まれ得る。この目的を達成するために、まず、被覆および光導波路の材料をその後、適切に堆積させるために、好適な凹部が基板内にエッチングまたはスパッタリングされ得る。この場合には、例えば、光導波路の被覆は、光導波路135、136、137、138が測定本体1を越えて突出しないよう、測定本体の表面と同一平面で終端することができる。測定本体1の表面に沿った光導波路135、136、137、138の進路は、励起ビーム8と検出デバイスとの任意の相互作用、および圧電材料の影響を防止する。最後の光導波路138は、その後、励起ビーム8が、分析される物質に入らなければならない領域内で終了する。光導波路138の最後において、励起ビーム8を物質内へ誘導する要素、例えば、ミラーが設けられ得る。
【0175】
図26において図の右下隅における円142内に示される細部は、光導波路138がまた、測定面2へ斜めにつながる測定本体1の凹部または溝(点線で示される)内に配置されてもよく、これにより、光導波路の長手方向軸は溝の底部141と平行に、測定面2を貫いて、分析される物質へ誘導されることを示す。
【0176】
本特許出願は、(最初にすでに述べられたように)クレームおよび上述された例示的な諸実施形態の主題に加えて、以下の諸態様に関する。これらの態様、またはそれらの個々の特徴は、クレームの特徴と、個々に、またはグループで組み合わせられ得る。諸態様はまた、単独で捉えられるのか、それとも互いに、またはクレームの主題と組み合わせられるのかにかかわらず、独立発明を構成する。出願人は、これらの発明を後日クレームの主題とする権利を留保する。これは、本出願の範囲内、または本出願の優先権を主張する、後続の部分出願もしくは後続出願の文脈において行われ得る。
【0177】
諸態様:
1) 身体内の物質を分析するための方法であって、
- 1つまたは複数の特定の励起波長を有する励起光ビーム(励起ビーム)を、身体の表面の第1の領域を通して放射することと、
- 具体的には、順次に、機械的、電気的、または光学的チョッパを用いた、具体的には、励起光源の電子的活性化、励起光源の役割を果たす励起レーザの共振器、または可動ミラーデバイスのための調整デバイス、制御可能な回折デバイス、ステッパ・モータなどのモータに、またはMEMSに結合されたシャッターまたはミラーデバイス、あるいは透過または反射に関して制御され得るビーム経路内の層による、1つまたは複数の周波数を有する励起光ビームの強度変調と、
- 身体の外部に配置された検出器を用いた身体内における励起光ビームの波長依存吸収の影響に起因する応答信号の時間分解検出と、
を含む方法。
【0178】
検出器は、例えば、具体的には、測定面(=分析される物質と接触した測定本体の境界面)と隣接もしくは直接隣接しており、圧力もしくは温度依存性電気比抵抗を有し、および/または圧力もしくは温度変化が生じた場合には、電気的、具体的には、圧電性の、電圧信号を発生する検出領域、ならびに電気抵抗および/または電気信号を検出するための光学媒体/測定本体の検出領域に導電接続された電極を有する電気接触デバイスを有する光学媒体/測定本体であって、検出デバイスが接触デバイスおよび検出領域によって形成されている、光学媒体/測定本体によって形成され得る。
【0179】
例えば、検出器/検出デバイスは、圧電材料、または正もしくは負の温度係数を有する温度依存抵抗(サーミスタ)、または熱電対を含むことができる。
【0180】
変調は、一実施形態では、干渉によって、または具体的には、励起送出デバイスがレーザ光デバイスを含む場合には、励起送出デバイスの放射の位相もしくは分極を操作することによって、実施され得る。変調はまた、測定本体の部分/要素であり、透過または反射特性/反射率がピエゾ要素上の電圧コントローラによって制御され得る、能動的に動作させられるピエゾ要素を制御することによって遂行され得る。応答信号は、例えば、反射された測定ビームの強度または偏向角、あるいは圧電効果を用いて動作する検出器の電圧信号であることができる。
【0181】
2) 励起光ビーム/励起ビームが、光を異なる波長で、同時もしくは順次に、またはパルス・パターンで、または、同様に交互に放射する、具体的には、レーザアレイの形態の、複数のエミッタまたはマルチ・エミッタによって発生されることを特徴とする、態様1に記載の方法。
【0182】
3) 音響応答信号が身体の表面の第1の領域において音響センサによって検出されることを特徴とする、態様1または2に記載の方法。
【0183】
4) 身体の表面の第1の領域において、応答信号が、赤外放射線センサ、具体的には、熱電対、ボロメータ、または量子カスケード検出器などの半導体検出器、またはピエゾ検出器によって検出されることを特徴とする、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。ピエゾ検出器は、例えば、測定本体/光学媒体内または上に形成され得る。
【0184】
5)
- 光学媒体/測定本体と身体の物質表面との接触を確立し、これにより、光学媒体/測定本体の表面(例えば、測定面)の少なくとも1つの領域が身体の表面の第1の領域と接触しているようにするステップと、
- 励起波長を有する励起光ビームを、具体的には、物質表面の第1の領域と接触した光学媒体の表面の領域を通して、表面の第1の領域の下方の物質内に位置する体積内に放射するステップと、
- 光高温測定または光熱的方法によって光学媒体表面の第1の領域内における温度もしくは温度変化および/または圧力変化を測定するステップと、
- 励起光ビームの波長に応じた、検出された温度上昇に基づいて物質を分析するステップと、
を含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。このプロセスは1回の測定の間に異なる変調周波数について遂行され得、異なる変調周波数についての結果が組み合わせられ得る。
【0185】
6) 測定光ビームおよび励起光ビームが互いに直接隣接しているか、または光学媒体/測定本体と、測定光ビームが反射される物質表面との接触面において重なり合う仕方による、光学媒体/測定本体を通した、物質表面と直接接触した光学媒体の表面の領域上への測定光ビームの放射と、
励起光ビームの波長に応じた、反射された測定光ビームの偏向の直接もしくは間接的検出と、
励起光ビームの波長に応じた、測定光ビームの検出された偏向に基づいて物質を分析することと、
によって特徴付けられる、態様5に記載の方法。このプロセスは1回の測定の間に異なる変調周波数について遂行され得、異なる変調周波数についての結果が組み合わせられ得る。
【0186】
この方法はまた、例えば、平坦な測定本体、および(測定面と実質的に平行な)励起ビームの横方向照射に、ならびに測定面へ、および分析される物質へ反射される励起ビームに用いられ得る。
【0187】
7) 測定光ビームが、励起光ビームを発生する同じ光源によって発生されることを特徴とする、態様5または6に記載の方法。
【0188】
8) 測定ビームが、偏向後および検出前に、光学媒体内、光学媒体の外部、あるいは光学媒体の部分的に内部および部分的に外部で1回または複数回反射されることを特徴とする、態様5、6または7のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
9) 励起光ビームが、具体的には、赤外スペクトル範囲内の、強度変調された、具体的には、パルス状の、励起光ビームであり、変調速度が、具体的には、1Hz~10kHz、好ましくは、10Hz~3000Hzであることを特徴とする、態様1または以前もしくは以後の他のもののいずれか1つに記載の方法。
【0190】
10) 励起光ビーム(単数または複数)の光が、複数の個々のレーザを有する一体化された機構、具体的には、レーザアレイを用いて、同時に、あるいは順次に、あるいは部分的に同時に、および部分的に順次に発生されることを特徴とする、態様1または以前または以後の他のもののいずれか1つに記載の方法。
【0191】
11) 応答信号の強度分布が、応答信号が発生された表面の下方の深さに応じた、励起光ビームの異なる変調周波数において得られた応答信号から決定されることを特徴とする、態様1または以前もしくは以後の他のもののいずれか1つに記載の方法。
【0192】
12) 応答信号の強度分布が、応答信号が生成された表面の下方の深さに応じた、励起光ビームの1つまたは異なる変調周波数における変調された励起光ビームに対する応答信号の位相オフセットから決定されることを特徴とする、態様1または以前もしくは以後の他のもののいずれか1つに記載の方法。
【0193】
13) 表面の下方の深さに応じた応答信号の強度分布を決定するために、異なる変調周波数における測定結果が重み付けされ、互いに相関を取られることを特徴とする、態様11または12に記載の方法。
【0194】
14) 特定の深さにおける、または深さ範囲内における、特定の波長範囲内の励起光ビームを吸収する物質の材料密度が、本体の表面の下方の深さの上方の強度分布から決定されることを特徴とする、態様11、12または13に記載の方法。
【0195】
15) 応答信号/信号群の検出の直前または直後または最中に、少なくとも1つの生体測定、具体的には、指紋の測定が、物質分析が遂行される表面の第1の領域内の身体上で、またはそれに直接隣接して実施され、身体、具体的には、人が識別され、具体的には、関連参照値(校正値)が人の識別によって応答信号の検出に対応付けられることを特徴とする、態様1または以前もしくは以後の他のもののいずれか1つに記載の方法。
【0196】
生体測定はまた、励起光ビームのスペクトルにわたって走査したときの応答信号のスペクトルの測定を含むことができる。スペクトルの評価によって、人の識別を可能にすることができる、身体内に存在する物質のプロファイルならびにそれらの量または密度比が決定され得る。
【0197】
16) 物質を分析するためのデバイスであって、
励起波長を各々有する1つまたは複数の励起光ビームを、物質内においてその表面の第1の領域の下方に位置する体積内へ送出するためのデバイスを、放射線源の変調デバイス、具体的には、その制御、干渉デバイス、位相もしくは偏光変調デバイス、および/またはビーム経路内に配置された少なくとも1つの制御されたミラー、および/または層の透明度に関して制御され、ビーム経路内に配置され得る層によって形成された、励起光ビームを変調するためのデバイスとともに有し、励起光の波長および励起光の強度変調に応じた時間依存性応答信号を検出するための検出デバイスを有し、検出された応答信号を用いて物質を分析するためのデバイスを有する、デバイス。
【0198】
17) 異なる強度変調周波数に従って応答信号を別個に決定するためのデバイスを有し、および/または励起光ビームの変調の位相に対するそれぞれの応答信号の位相オフセットに応じた、具体的には、励起光ビームの変調周波数に応じた応答信号を決定するためのデバイスを有する、態様16に記載のデバイス。
【0199】
18) 光学媒体の表面(例えば、いわゆる測定面)と物質表面の第1の領域との間で接触するための光学媒体/測定本体を有し、
1つまたは複数の励起波長を有する励起光ビームを、具体的には、物質の表面と接触した光学媒体の表面(測定面)の領域を通して、表面の第1の領域の下方の物質内に位置する体積内へ放射するためのデバイスを有し、
測定光ビームを利用する光学手順を用いて、またはピエゾ効果を用いる上述された方法を用いて、材料表面の第1の領域と接触した、測定面のすぐ近傍の測定本体内の領域(いわゆる検出領域)内における温度および/または圧力変化の形態の応答信号を測定するためのデバイスを有し、励起光ビームの波長および励起光ビームの強度変調、具体的には、励起光ビームの変調周波数に応じた、温度変化/圧力変化の形態の検出された応答信号を用いて物質を分析するためのデバイスを有する、16または17に記載の物質を分析するためのデバイス。
【0200】
この態様およびそれに関連する以下の諸態様では、また、測定本体が、励起ビームのための連続チャネルの形態の凹部/スロットを有する第1の部分を有すること、ならびに測定本体がその下側において、励起ビームのための凹部/スロットを有せず連続しているか、または第1の部分の凹部の続きを設けられている、第1の部分上のセンサ層を有することも提供され得る。センサ層が十分に薄い、例えば、200ミクロンよりも薄い、具体的には、100ミクロンよりも薄い場合には、このとき、層の選択された材料に依存して、励起ビームは、たとえそれが赤外ビームであっても、同様に、吸収をあまり伴うことなく通過することができ、センサ層内の凹部/スロットは必要でない。測定本体のセンサ層は測定本体の第1の部分/残りの部分に接着接合されるか、または別の接合技法によってそれに接合され得、圧電性の特性を有し、本発明に係る検出領域を形成する材料から成ることができる。センサ層はまた、温度および/または圧力の変化が屈折率の変化を生じさせる材料から成ることもでき、これにより、この変化もまた、例えば、センサ層内または上で反射された検出ビームの反射角度を検出することによって応答信号として検出され得る。例えば、このとき、測定本体の第1の部分/残りの部分は、石英もしくはサファイア、またはプラスチック、例えば、ポリマーなどの、可視範囲内では、検出ビームのために透過性であるが、赤外スペクトル範囲内では透過性がより低い、または不透過性である材料から成ることができる。
【0201】
19) 励起光源が光学媒体/測定本体に直接永久的に機械的に接続されていることを特徴とする、態様18に記載のデバイス。
【0202】
20) 測定光ビームを、物質の表面の第1の領域と接触した光学媒体/測定本体の領域内へ送出するためのデバイスが設けられており、このデバイス/または測定光ビームを検出するための検出デバイスが光学媒体/測定本体に永久的に直接機械的に接続されているか、その内部に一体化されているか、または光導波路を用いてそれに結合されていることを特徴とする、態様18に記載のデバイス。
【0203】
21) 光学媒体/測定本体が結像光学系を直接担持していること、および/または結像光学系が光学媒体/測定本体内に一体化されていることを特徴とする、態様18、19または20に記載のデバイス。
【0204】
22) 光学媒体/測定本体の表面が、測定光ビームが複数回反射される、互いに向かって傾斜した複数の部分面を有することを特徴とする、態様18または以前もしくは以後の他のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0205】
23) 光学媒体/測定本体内または上において、測定光ビームの反射のための1つまたは複数のミラー面が設けられていることを特徴とする、態様18または以前もしくは以後の他のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0206】
24) 測定ビームの複数の反射のゆえに、ビームの経路が延ばされ、これにより、角度ずれがより良好に検出され得る(
図17も参照)。
【0207】
25) 時間依存性応答信号を検出するための検出デバイスが、具体的には、共振器を用いて、より具体的には、ヘルムホルツ共振器を用いて、材料の表面上の音波を検出するための音響検出器を有することを特徴とする、態様16または17に記載のデバイス。
【0208】
これとは関わりなく、好ましくは、指定された共振器と同じ共振周波数を有する、水晶音叉が検出器として用いられてもよい。共振器は開放型または閉鎖型であることができる。水晶音叉は、好ましくは、共振器の頸部内もしくは上(オフ・ビーム)、または共振器の内側/外側に(イン・ビーム)配置されている。
【0209】
26) 時間依存性応答信号を検出するための検出デバイスが、物質の表面上の熱放射を検出するための熱放射検出器、具体的には、赤外検出器、より具体的には、熱電対、ボロメータ、または半導体検出器、あるいはピエゾ要素を有することを特徴とする、態様16、17または18に記載のデバイス。
【0210】
27) 励起光源および検出デバイスが、互いに直接、または具体的には、デバイスのハウジングもしくはハウジング部分によって形成された、共通担体に取り付けられていることを特徴とする、態様16~25のいずれか1つに記載のデバイス。
【0211】
28) デバイスが、人の身体に取り付けられ得る携帯型ハウジングを有し、1つまたは複数の励起光ビームを放射するためのデバイスおよび時間依存性応答信号を検出するための検出デバイスが、動作時において、デバイスが身体上に着用されている場合には、分析される物質が、ハウジングの、身体から見て外方に向いた側で測定されるような仕方、具体的には、測定本体の測定面が、身体から見て外方に向いた側に配置されるような仕方で配置され、構成されていることを特徴とする、態様16~26のいずれか1つに記載のデバイス。
【0212】
29) デバイスが、人の身体に取り付けられ得る携帯型ハウジングを有し、デバイスのハウジングが、意図された着用位置において、ハウジングの、身体から見て外方に向いた側において、励起ビームに対して透過性である窓を有することを特徴とする、態様16~26のいずれか1つに記載のデバイス。
【0213】
窓は測定本体の直接前方に配置されるか、または測定本体の測定面によって形成され得る。
【0214】
29a) 少なくとも1つの励起波長を有する少なくとも1つの電磁励起ビーム、具体的には、励起光ビームを発生するための励起発光デバイスと、応答信号を検出するための検出デバイスと、検出された応答信号を用いて物質を分析するためのデバイスと、を有する物質を分析するためのデバイス。
【0215】
30) 検出デバイスが、水晶、またはスペクトルの可視領域内で透明な他の材料の変形を測定するように構成されていることを特徴とする、先行する態様16~29aのいずれか1つに記載のデバイス。
【0216】
変形は、光熱的「跳ね返り法(bouncing method)」と類似的に、サンプル表面への測定ビームのより急な(より大きな)入射角度を選択することによって、より効果的に測定され得、蜃気楼効果によって生じる測定ビームの偏向が最小限に抑えられ得る。
【0217】
文献:
M.Bertolotti, G.L.Liakhou, R.Li Voti, S.Paolino, and C.Sibilia. Analysis of the photothermal deflection technique in the surface refection theme: Theory and Experiment. Journal of Applied Physics 83,966(1998)。
【0218】
カンチレバーがサンプル上に直接配置されるか、またはサンプルが一方の側に配置され、カンチレバーが反対側に配置される十分に薄い光学媒体上に配置され得る。サンプルまたは光学要素の熱膨張は、変調されたポンプ・ビーム/励起ビームの吸収によって生じた熱膨張の結果としてカンチレバーを振動させる。測定ビームはカンチレバーの測定面において反射され、照射された波長、およびサンプルの熱的特性、ならびに変調周波数に応じた振動によって偏向される。この偏向が検出される。
【0219】
31) 励起送出デバイスが、プローブレーザ、またはNIR(near-infrared(近赤外))LEDなどのLEDを包含することを特徴とする、先行する態様16~30のいずれか1つに記載のデバイス。
【0220】
32) 励起送出デバイスが、追加のポンプ・レーザ(=励起ビームを発生するためのレーザ)よりも小さい直径を有するプローブレーザを有することを特徴とする、先行する態様16~31のいずれか1つに記載のデバイス。
【0221】
33) より有利な信号対雑音比を達成するために、熱がより良好に放散されるよう、特殊コーティングが、具体的には、エミッタ、例えば、IRE上に、設けられていること(例えば「熱伝導ペースト」)を特徴とする、先行する態様16~32のいずれか1つに記載のデバイス。
【0222】
光学要素は、光学媒体内への熱信号の改善された伝導が行われ得るような仕方で接触面上にコーティングされ得る。加えて、コーティングはまた、引っかき保護として用いられることも可能であり、巧みな材料選択によって、測定ビームのための反射面をもたらすこともできる。この場合には、励起光のための透明度を保持することが必須である。
【0223】
34) デバイスが、
i. パルス列/2段変調
ii. 振動鏡
iii. MEMS干渉計
のためのシステムを有することを特徴とする、先行する態様16~33のいずれか1つに記載のデバイス。
【0224】
35) デバイスが、一実施形態では、ベルト、ストラップまたは鎖または留め金などの、ハウジングに接続された保持デバイスを用いて、人のために身体上に永久的に着用可能であるように設計されており、ならびに/あるいは検出デバイスが、測定、時刻および/または文字情報などの情報のための表示面の役割も果たす検出面を有することを特徴とする、先行する態様16~34のいずれか1つに記載のデバイス。
【0225】
検出面は測定面と同一であるか、またはその延長/続きを形成することができる。
【0226】
36) デバイスが、検出面/測定面の領域内に、好ましくは、検出面/測定面の隣に、物質の表面の前処理、および清潔な表面を確実にすること、ならびに/あるいは一実施形態では、ブドウ糖測定の場合には、特に、皮膚の洗浄のための、剥離フィルムを有することを特徴とする、以前の態様35に記載のデバイス。
【0227】
37) 検出デバイスが、指紋を読み取って認識し、人の特定の値/校正を取り込むように構成されており、および/またはそれが、指の位置を検出するための、好ましくは、測定の最中における望ましくない動きを検出し、決定するためのデバイスを有することを特徴とする、先行する態様16~36のいずれか1つに記載のデバイス。
【0228】
38) 検出デバイスが、好ましくは、一実施形態では、色コーディングを用いて、誤差指示(例えば:「100mg/dlプラス/マイナス5mg/dl」)を含む、アナログ表示として、音響的に、および/またはデバイスの測定精度が可能にするよりも大きな刻みによる測定値の結果表示を用いて(例えば、多色交通信号灯表示を用いて)実施された、結果表示を有することを特徴とする、先行する態様16~37のいずれか1つに記載のデバイス。これは、ユーザが小さな変動を知らされないことを意味し、これは、それらに対する不確かさを生じさせ得るであろう。
【0229】
39) デバイスが、
測定されたデータを交換し、校正もしくは識別データまたは他のデータを他のデバイスまたはクラウド・システムから取り込むためのデータ・インターフェース、例えば、有線または無線インターフェース(赤外、光もしくは無線インターフェース)を有し、
デバイスが、好ましくは、データ伝送が暗号化され得る、具体的には、操作者の指紋または他の生体データによって暗号化され得ることを確実にするように構成されていることを特徴とする、先行する態様16~38のいずれか1つに記載のデバイス。
【0230】
40) デバイスが、人に与えられるべきインスリン投与量もしくは物質/食品および消費されるべき量のための提案がデバイスによって決定され得(例えば、インスリン補正指数)、ならびに/あるいは体重、体脂肪が測定され、および/または手動で入力されるか、あるいは他のデバイスからデバイスに同時に転送され得るように構成されていることを特徴とする、先行する態様16~39のいずれか1つに記載のデバイス。
【0231】
41) 測定精度を増大させるために、デバイスが、光の偏光を測定する(指の表面上の水/汗を除外する)ために、一実施形態では、皮膚温度、皮膚の拡散率/伝導率/水分レベルを決定するためのセンサを用いて、さらなるパラメータを決定するように構成されていることを特徴とする、先行する態様16~40のいずれか1つに記載のデバイス。
【0232】
ブドウ糖の測定に影響を及ぼし得る、人の皮膚の表面上の水および汗は、1640cm-1(6.1μm)および690cm-1(15μm)における水固有の帯域を有する励起送出デバイスを用いた励起放射線による試験励起によって検出され得る。吸収が特定の値を超える場合には、測定部位/物質表面/皮膚表面は、信頼できる測定のために湿りすぎている。代替的に、水分レベルを決定するために、物質の伝導率が測定部位の付近で、またはそこで直接測定されてもよい。次に、エラーメッセージおよび乾燥命令が発行されてもよい。
【0233】
42) デバイスが、ポンプおよび/または測定ビームレーザのビーム経路内にカバーを設けられていることを特徴とする、先行する態様16~41のいずれか1つに記載のデバイス。これは、義務づけられた人間の眼の安全性を確実にすることができる。
【0234】
43) デバイスが交換可能な検出面/測定面を有することを特徴とする、先行する態様16~42のいずれか1つに記載のデバイス。
【0235】
44) 光学媒体/測定本体としてのデバイスが、サンプル(例えば、指)がより良好に校正されることを可能にする、部分的に溝を付けられた、または粗面化された水晶を測定本体として有することを特徴とする、先行する態様16~43のいずれか1つに記載のデバイス。分析される物質の表面が配置される測定点は、好ましくは、溝を有せず、滑らかに設計される。
【0236】
45) 円筒形のTEMpl TEM00モードが測定ビームのために用いられるか、あるいは他のモードTEM01(ドーナツ)、TEM02またはTEM03が円筒形のTEMpl TEM00モードの代わりに用いられることを特徴とする、先行する態様16~44のいずれか1つに記載のデバイス。後者は、具体的には、それらの強度が、偏向された測定ビームのための検出器を形成する、象限ダイオードの感度プロファイルに一致させられ得るという利点を有する。加えて、TEM30もしくはTEM03またはより高いものなどの、矩形のTEMmnモードが用いられ得る。これは、水平または鉛直方向における干渉に対する感受性がより低い走査/測定ビームの使用を可能にする。
【0237】
46) デバイスが1つの点においてのみでなく、グリッド内で測定することを特徴とする、先行する態様16~45のいずれか1つに記載のデバイス。これは、ポンプもしくはプローブレーザまたは検出ユニットのいずれかを被験者の皮膚表面に対して変位させることによって実施され得る。変位の代わりに、アレイにわたって空間的に分布した、ポンプまたはプローブレーザの1つまたは複数のアレイを用いることも考えられる。
【0238】
加えて、本発明の以下の諸態様にも言及されなければならない。
【0239】
47) 少なくとも1つの励起波長を有する、少なくとも1つの電磁励起ビーム、具体的には、励起光ビームを発生するための励起送出デバイス/レーザデバイスと、
応答信号を検出するための検出デバイスと、
検出された応答信号を用いて物質を分析するためのデバイスと、
を有する、具体的には、同じく請求項16~46のいずれか1つに記載の、物質を分析するためのデバイス(10)。
【0240】
時間依存性応答信号は、測定本体内の温度もしくは圧力上昇、および、例えば測定ビームの偏向、または測定本体内もしくは上に配置されたピエゾ要素の電気信号における、同じものを検出する任意の測定変量の形態をとることができる。
【0241】
48) 励起送出デバイスが、放射線源3、一実施形態では、単色性の、具体的には、偏光放射線源、より具体的には、レーザ光源であり、
デバイスが、物質5、具体的には、物質の表面の第1の領域5aと直接接触している、光学媒体/測定本体1、1’を有し(測定本体は全体的に均質であり、屈折率が温度とともに変化する材料で構成され得るか、あるいは少なくとも、測定面の領域内では、それは、このような材料の層1’、または屈折率が測定本体の他の領域よりも温度に応じて強く変化する層を有することができ)、
励起送出デバイスが、好ましくは、放射された励起ビーム8が光学媒体/測定本体1、1’(必ずしも測定本体の材料でない)を通過し、光学媒体/測定面の表面において測定本体の境界から再び出るように配置されており、
デバイスが、放射された測定ビームが光学媒体に侵入するような仕方で配置された、測定ビーム、具体的には、測定光ビーム112を放射するためのデバイス105を備え、動作時において、測定ビームおよび励起ビームが、好ましくは、光学媒体の接触面/測定面2、および測定ビーム(112)が反射される物質の表面(この領域は測定面と同一もしくは部分的に同一であることができる)において重なり合い、
検出デバイスが、応答信号を形成する反射された測定ビーム112を受け、および/または反射された測定ビームの偏向を直接もしくは間接的に検出するためのデバイス106であることを特徴とする、態様47に記載のデバイス、(参照符号は
図17を参照する)。
【0242】
- また、励起送出デバイス3が、レーザの形態の、具体的には、1、2もしくは多次元送出要素アレイの形態の2つを超える送出要素を備え、2つ以上の送出要素の電磁励起ビームの固定波長が異なり、
- 励起ビームの強度変調のための変調デバイスが設けられており、
- 応答信号を検出するための検出デバイスが設けられており、
- 検出された応答信号に基づいて物質を分析するためのデバイス107、109であって、
- 測定本体が、測定ビームに対して透明な材料、具体的には、ガラス、水晶、または透明プラスチックから成り、検出デバイスが、測定本体内で(
図17によれば、層1’内以外に、ビーム経路を延ばすための2つの他の反射要素114、115においても)1回または複数回反射された、応答信号を形成する測定ビームを受け、および/または反射された測定ビームの偏向を直接もしくは間接的に検出するためのデバイス106であり、測定ビームを放射するためのデバイスおよび検出デバイスが、検出デバイスが測定ビームを、前記ビームが光学媒体/測定本体の測定面の領域内で少なくとも1回反射された後に、時間依存性応答信号として検出するような仕方で、互いに対して位置決めされていることも提供され得る。検出デバイス106は、測定面上に位置する反射点の背後の測定光ビームのビーム経路内に配置されており、測定ビームの位置を検出する、位置感知光電検出要素、例えば、象限ダイオードを有することができる。
【0243】
したがって、検出デバイスは、励起光の波長および/または励起光の強度変調に応じた時間依存性応答信号を検出するために適している。この目的のために、評価ユニット109はまた、励起ビームのための変調デバイス9に接続されている。さらに、デバイスは、検出された応答信号に基づいて物質を分析するために適しており、励起送出デバイスの異なる変調周波数を用いて、応答信号、具体的には、励起ビームの異なる波長のための時間応答信号波形が順次決定され、異なる変調周波数における複数の応答信号波形が評価デバイス109によって相関を取られ、これから、物質表面の下方の深さ範囲に固有の情報が得られる。
【0244】
態様47または48に係る実施形態についても、測定本体を、測定面と平行な測定本体の最小寸法の50%未満、具体的には、20%未満、より具体的には、10%未満であることができる測定面と垂直な厚さ/寸法を有する、平坦本体として設計することが考えられる。このとき、励起ビームを発生するための励起送出デバイス/レーザデバイスは、それが励起ビームを測定本体内へ測定面と実質的に平行に(またはこの方向から20度未満の角度ずれをもって)放射するような仕方で、測定本体の側に位置付けられ、整列させられ得る。(これは、励起ビームが励起送出デバイスから光導波路内に、およびそこから測定本体内に結合されることを必要とし得る。しかし、また、ミラーデバイスが励起送出デバイス/レーザデバイスと測定本体との間に設けられていてもよく、これにより、励起送出デバイスから発出した励起ビームは最初に第1のミラーによって測定面の横方向の仮想延長の方向に反射され、その後、測定面と平行な方向にそらされる)。その後、励起ビームは測定面へ向け直され、そこから、分析される物質に入ることができる。
【0245】
49) デバイスが、物質、具体的には、物質の表面の第1の領域と直接接触した光学媒体/測定本体を有し、応答信号を検出するために、検出デバイスが、応答信号の結果として、具体的には、第1の領域に隣接した領域内における、光学媒体/測定本体のパラメータの変化、具体的には、光学媒体の変形および/または密度変化あるいは屈折率の変化を検出することを特徴とする、態様47または48のいずれかに記載のデバイス。
【0246】
上述の種類のデバイスでは、具体的には、態様47、48または49に記載のデバイスでは、測定本体が測定面の領域内において、温度もしくは圧力に応じて材料の屈折率を測定本体の残りの部分よりも強く変化させる材料でコーティングされ、コーティングが、有利には、1mmよりも薄い、より有利には、0.5mmよりも薄い、具体的には、0.2mmよりも薄い、または0.1mmよりも薄いことも提供され得る。コーティングはまた、接着接合されたセンサ層、または測定本体の残り/第1の部分に付着させられたものとして形成され得る。
【0247】
コーティングまたはセンサ層に接続された、測定本体の残りの部分内において、凹部13(
図17参照)が、測定本体のこの領域内の励起ビームが測定本体の少なくとも第1の部分の材料に触れない、またはそれを通過しないような仕方で導入され得る。測定本体の残りの領域は、測定ビームに対して透過性、すなわち、スペクトルの可視範囲内で透過性でなければならず、これにより、この測定ビームはコーティング/センサ層に達し、その上、またはその内部で反射され得る。
【0248】
コーティング/センサ層1’(同様に
図17を参照)に接続された、測定本体の材料は、コーティング1’の材料のものよりも大きい比熱容量または熱伝導率を有することができ、これにより、コーティングに接続する測定本体の残りの部分はコーティングのためのヒートシンクの役割を果たすことができる。代替的に、または追加的に、また、追加のヒートシンクまたはペルチェ要素110が測定本体上に設けられていてもよく、これによって、測定本体の温度が制御デバイスを用いて制御され得る。
【0249】
この場合には、測定ビームの反射角度が、検出されるべき応答信号を表す。
【0250】
50) 検出デバイスが、変形および/または温度もしくは密度変化を検出するための検出器として光学媒体に接続されているか、またはそれに一体化されたピエゾ要素を有することを特徴とする、態様47、48または49のいずれか1つに記載のデバイス。
【0251】
51) 検出デバイスが、応答信号を検出するための検出器として温度センサを有することを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0252】
52) デバイスが励起光ビームの強度変調のためのデバイスを有し、
検出デバイスが、励起光の波長および/または励起光の強度変調に応じた時間依存性応答信号を検出するために適していることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0253】
53) 励起ビームを発生するために、励起送出デバイス/レーザ光源が、少なくとも1つの電磁励起ビームを、物質の表面の第1の領域の下にある物質の体積内へ放射することを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0254】
54) 励起ビームを発生するための励起送出デバイス/レーザ光源が、具体的には、1、2または多次元送出要素アレイの形態の、2つ以上の送出要素を含むことを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0255】
個々の送出要素は、例えば、固定波長を有するQCレーザまたは固体レーザであることができる。
【0256】
55) 2つ以上の送出要素が別個の電磁励起ビームを各々発生し、それを第1の領域の下方の体積内へ放射することを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0257】
56) 2つ以上の送出要素の電磁励起ビームの波長が異なることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0258】
57) 励起ビームを発生するための励起送出デバイス/レーザ光源が、具体的には、1もしくは2次元レーザアレイの形態の、2つ以上のレーザ、および/または具体的には、1、2または多次元ダイオード・アレイの形態の、2つ以上のLEDを含むことを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0259】
58) 励起送出デバイスが、物質、具体的には、物質を分析するために測定が遂行される物質の表面の第1の領域に永久的に機械的に接続された、光学媒体/測定本体に直接 - または校正デバイスを用いて間接的に - 接続されていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0260】
59) 強度変調デバイスが、励起送出デバイス/レーザ光源に電気接続されており、これを、励起ビームを発生するために電気的に制御する電気変調デバイスを含むか、またはこの電気変調デバイスによって形成されていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0261】
60) 強度変調デバイスが、ビーム経路内に配置された少なくとも1つの制御されたミラーを含むことを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0262】
61) 強度変調デバイスが、ビーム経路内に配置された、層の透明度に関して制御可能な、少なくとも1つの層を含むか、またはこの層によって形成されていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0263】
62) 測定ビーム、具体的には、測定光ビームを、材料分析が遂行される物質の表面と接触した光学媒体/測定本体の領域内へ放射するためのデバイス(105)が設けられていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。測定本体の対応する表面は測定面とも称される。
【0264】
63) 測定ビームを放射するためのデバイス、および検出デバイスが、測定ビームが、物質、具体的には、物質の表面の第1の領域と接触した光学媒体の接触面(=測定面)において少なくとも1回反射された後に、検出デバイスが測定ビームを時間依存性応答信号として検出するような仕方で、互いに対して位置決めされていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0265】
測定面は、測定本体の部分を形成し、具体的には、接着接合によって、測定本体の残りの部分に接続された、センサ層の外面であることができる。
【0266】
64) 測定ビームを放射するためのデバイス、および/または検出デバイス、および/または励起送出デバイスが光学媒体/測定本体に機械的に永久的に接続されており、および/または光導波路を用いてそれに結合されていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0267】
65) 光学媒体/測定本体が結像光学系を直接担持していること、および/または結像光学系が光学媒体内に一体化されていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。例えば、結像光学系は、測定本体内に成形された1つまたは複数のレンズまたは反射面を包含することができる。例えば、測定本体の表面はこの目的のためにレンズとして形状設定され得る。
【0268】
66) 光学媒体の表面が、測定ビーム、具体的には、測定光ビームが複数回反射される、互いに向かって傾斜した複数の部分面を有することを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0269】
67) 光学媒体/測定本体内または上において、励起ビームまたは測定ビーム、具体的には、測定光ビームの反射のための1つまたは複数のミラー面が設けられていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0270】
68) 励起送出デバイス(および/または測定ビームを放射するためのデバイス、および/または検出デバイス)が互いに直接、または共通担体に取り付けられていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。この担体は、測定本体に対して、ユニットとして、制御された仕方で移動可能であることができ、校正デバイスを用いて測定本体に対して調整され得る。
【0271】
69) 担体が、プリント回路板、金属プレートもしくはプラスチック・プレート、またはデバイスのハウジングもしくはハウジング部分によって形成されていることを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0272】
70) 励起送出デバイスが、1つまたは複数のレーザ要素、ならびに少なくとも1つの微小光学構成要素、および好ましくは、追加の変調要素を有する、一体化された半導体デバイスを含むことを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0273】
71) 変調要素が、半導体構成要素の残りの部分に対して移動可能であり、その位置に関して制御可能である、少なくとも1つの要素、具体的には、ミラーを有することを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0274】
72) 変調要素が、層の放射線透過率に関して制御され得る層を有することを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0275】
73) 変調要素が、1つまたは複数のレーザ要素を変調するための電子制御回路を有することを特徴とする、態様47または以後のもののいずれか1つに記載のデバイス。
【0276】
74) 測定本体または光学媒体が、平坦本体として、具体的には、プレートの形態の平面平行本体として形成されており、具体的には、測定面(換言すれば、分析される物質が配置される光学媒体の境界面)と垂直な厚さが、測定面と平行な方向における測定本体の最小広がりの50%未満、具体的には、25%未満、より具体的には、10%未満、または5%未満、または1%未満であることを特徴とする、以前の態様のいずれか1つに記載のデバイス。
【0277】
結像光学系が、測定面に隣接した、もしくはその反対側の表面上、または測定面自体の上に設置されていてもよく、あるいは結像光学系がこの表面内に一体化されていてもよい。結像光学系は少なくとも1つのレンズを包含することができる。
【0278】
75) 測定本体/光学媒体が、レーザデバイスによって測定面(または分析される物質が配置される光学媒体の接触面)へ放射された励起ビームを反射するためのミラーデバイスを有するか、または担持することを特徴とする、以前の態様のいずれか1つに記載のデバイス。
【0279】
76) 励起ビームが、測定面(または分析される物質が配置される光学媒体の境界面)と平行に、あるいは測定面(または分析される物質が配置される光学媒体の境界面)に対して30度未満、具体的には、20度未満、より具体的には、10度未満、または5度未満の角度で測定本体内に照射され、励起ビームが測定面(または分析される物質が配置される光学媒体の接触面)の方へそらされ、または偏向され、それを通過することを特徴とする、請求項1または以後のもののいずれか1つに記載の物質を分析するためのデバイス。
【0280】
測定本体は、長手方向が測定面と平行に延びる、励起ビームのためのチャネル状凹部を有することができ、これにより、励起ビームが、それが測定面を通って出るまで測定本体の材料中を伝わる距離が低減され、具体的には、0に低減される。センサ層が測定本体内に一体化されている場合には、測定本体内の凹部/スロットはここまで達することができる。
【0281】
77) 物質を分析するための方法であって、本方法において、
励起送出デバイスを用いて、レーザ光源の複数のレーザ・エミッタの少なくとも部分的に同時的または逐次的な動作によって、1つまたは複数の励起波長を有する少なくとも1つの電磁励起ビームが発生され、物質内へ送出され、
応答信号が検出デバイスを用いて検出され、
物質が、検出された応答信号に基づいて分析される、方法。
【0282】
78) 励起送出デバイスの異なる変調周波数を用いて、応答信号、具体的には、時間応答信号波形が順次決定され、異なる変調周波数における複数の応答信号波形が互いに相関を取られ、これから、物質の表面の下方の深さ範囲に固有の情報が得られることを特徴とする、態様77に記載の方法。
【0283】
79) 異なる変調周波数における応答信号波形が励起ビームの異なる波長のために決定され、具体的には、これから、物質の表面の下方の深さ範囲に固有の情報が得られることを特徴とする、態様78に記載の方法。
【0284】
80) 励起ビームの複数の変調周波数を同時に用いるときに、検出された応答信号が、分析方法、好ましくは、フーリエ変換を用いて、その周波数に従って分離され、
処理されるべき周波数に対応する1つの部分信号のみが1度にフィルタリングされ、測定され、分析されることを特徴とする、態様79に記載の方法。
【0285】
このように、異なる変調周波数における複数の信号が順次分析され得、異なる変調周波数の結果が、信号についての深さ情報を得るため、または物質の表面から到来する信号を除去するために、互いに相関を取られ得る。
【0286】
81) 光学媒体/測定本体が、物質、具体的には、物質の表面の第1の領域と直接接触させられ、
励起送出デバイスを用いて、放射励起ビームが発生され、具体的には、それが光学媒体に侵入し、光学媒体の表面上の所定の点において、特に、測定面において、再びそれから出るような仕方で放射され、
測定ビーム、具体的には、測定光ビームが、測定ビームを放射するためのデバイスを用いて、前記ビームが光学媒体/測定本体内に侵入し、具体的には、動作中に、測定ビームおよび励起ビームが、光学媒体、および測定ビームが反射される材料の表面の接触面において、具体的には、測定面において重なり合うような仕方で発生され、
応答信号を形成する反射された測定ビームが検出デバイスを用いて測定され、
ならびに/あるいは反射されたビームの偏向が直接または間接的に検出されることを特徴とする、先行する態様77~80のいずれか1つに記載の方法。
【0287】
反射された測定ビームは、例えば、空間分解光感応性半導体デバイス、具体的には、象限ダイオードを用いてその強度を検出することによって測定され得る。
【0288】
82) 物質内において決定された物質の濃度に応じて、投与デバイスが、別の物質を物質内、具体的には、患者の身体内へ放出するよう作動させられ、および/または音響および/または光信号が放射され、および/または信号が無線リンクを介して処理デバイスへ発行され、ならびに/あるいは1つまたは複数の食品または食品の組み合わせが、データベースを用いて、測定された物質濃度に対応付けられ、栄養情報として、具体的には、栄養勧告として出力されることを特徴とする、先行する態様77~81のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
このような勧告に加えて、またはこれと組み合わせて、また、食品または食品の組み合わせのための量の指示が与えられてもよい。食品の組み合わせはまた、調理食品の部分を意味することも意図される。
【0290】
任意の所与の測定方法に関連した、具体的には、測定光ビームおよびその偏向の検出に関連した諸態様において述べられた、励起ビーム、その光学案内および変調の全ての特徴および方策、ならびに機械的構造および調整性の特徴、ハウジング、および外部デバイス、データベース、および接続されたデバイスとの通信の特徴はまた、本出願の特許請求の範囲においてクレームされているとおりの検出方法、すなわち、圧電効果を用いて、物質から測定本体内へ放射された熱波動を応答信号として検出する検出方法にも適用され得る。
【0291】
励起ビームの放射後に応答信号を検出するための他の検出方法は、
- 光音響検出 - 音叉もしくは他の振動要素を用いた光音響検出、あるいは、オープンQePASセル(open QePAS cell)(水晶増強光音響分光(Quartz-enhanced PhotoAcoustic Spectroscopy))を有する若干変更された形態の光音響を含むことができる。これらの方法は、物質の表面上の圧力変動/振動を検出し、それらを、測定されたビーム偏向のために上述されたとおりに評価するために用いられ得る。
【0292】
原理上、励起ビームの周期変調に応答したデプス・プロファイリングのために決定された応答信号の位相ずれの値が用いられ得る。(物質表面の加熱/冷却段階はそれらの特性に関してより精密に評価されなければならない)。
【0293】
説明されるデバイスは、人間の身体に対する考えられる最良の無干渉測定を可能にするための、死んだ皮膚層の除去のための接着ストリップ、および光学媒体に定期的に適用され得、熱伝導ペーストを有するパッチの供給を含み得る。光学媒体は、残りの部分の適切な設置および校正を所与として、交換可能であり得る。
【0294】
デバイスは、人の指だけでなく、口唇または耳垂に対する測定のためにも設計および構成され得る。
【0295】
測定は、精度および信頼性に関する誤差に対する同様の感受性を有する、記載および説明された測定システムの多くを組み合わせることによって改善され得る。
【0296】
評価におけるDAQおよびロック・イン増幅器が1つのデバイス内で組み合わせられてもよく、全体的な評価プロセスがデジタル化され得る。
【0297】
測定はまた、デバイスを、デバイスに対して移動している物質表面上に載せて実施されてもよく、これにより、グリッド測定の過程において、励起光源および/または測定光源は皮膚をグリッド・パターンで横切って移動し、皮膚の凸凹が補償または平均化されることを可能にする。
【0298】
検出デバイス/偏向ユニットの感度は、サンプル・ビーム/測定光源の波長を調整/変更することによって最適化され得る。この目的のために、測定光源は波長に関して可変であるか、または異なる波長の複数のレーザ光源を選択もしくは組み合わせのために包含することができる。
【0299】
最適な横モード(TEM)がポンプ/プローブレーザの偏向のために選択され得る。
【0300】
励起送出デバイス、測定光源、および検出器は共通アレイとして組み立てられてもよく、ビームは、全てのビームの送出および受光を1か所へ集束させるために適した仕方で、光学媒体内で偏向され得る。
【0301】
光学媒体の水晶上または内のレンズが、測定光ビームを応答信号に依存してより強く偏向させるために用いられてもよい。
【0302】
加えて、隙間がないフォトダイオードの使用が検出のために考えられ、この場合には、レンズが測定光ビームをその放射後に集束させ、それゆえ、より正確な測定を可能にすることができるであろう。
【0303】
特許請求の範囲に係る本発明の追加の構成が以下のコンセプトにおいて提示される。加えて、このコンセプトは、単独で捉えられるのか、それとも上述の諸態様、またはクレームの主題と組み合わせられるのかにかかわらず、それ自体で少なくとも1つの発明を構成する。出願人は、本発明または発明群を後日クレームの主題とする権利を留保する。これは、本出願の範囲内、または本出願の優先権を主張する、後続の部分出願もしくは後続出願の文脈において行われ得る。
【0304】
量子カスケードレーザによる刺激、および放射熱に起因する熱波動を測定することによって皮膚中のブドウ糖を決定することによる非侵襲的血糖測定のための以下のコンセプトもまた、本発明に含まれるものとし、クレームの趣旨と組み合わせられるか、または分割出願において独立して追求され得る。
【0305】
皮膚中の間質液(interstitial fluid、ISF)中のブドウ糖または任意の他の物質の濃度が決定されることを可能にする方法が説明される。ISF中のブドウ糖は血糖を表し、変化が起きるとそれに急速に追随する。本方法は、以下のステップのうちの少なくとも個々のステップまたはグループあるいは全シーケンスからから成る。
【0306】
1. 皮膚上の点(この場合には、物質の表面の第1の領域)が量子カスケードレーザの集束ビームを照射され、集束ビームはまた、ミラーまたは凹面鏡において反射されてもよく、放射線がブドウ糖特異的に吸収される特定の赤外範囲にわたって漸増的または連続的に同調される。量子カスケードレーザの代わりに、また、単一の波長をもって放射する複数のレーザを有するレーザアレイが用いられてもよい。スペクトル範囲(または個々の波長、通例、5つ以上の波長)は、ブドウ糖が吸収フィンガープリント、すなわち、典型的および代表的な吸収線を有する、およそ900~およそ1300cm-1の間に位置し得る。
【0307】
2. 励起ビームは連続モード(CWレーザ)で用いられるか、または高いパルス繰り返し数をもってパルス化もしくは変調される。加えて、励起ビームは低周波数で、具体的には、10~1000Hzの周波数範囲内で変調される。低周波数変調は、異なる周期関数を用いて、異なる実施形態では、シヌソイド、方形波、またはのこぎり波を用いて遂行され得る。
【0308】
3. 皮膚の照射によって、IR放射線は皮膚内に約50~100μmの深さまで侵入し、 - 波長に依存して - 特定の振動をブドウ糖分子中に励起する。振動レベルv0からv1へのこれらの励起はごく短時間内に基底状態へ戻り、このステップの間に熱が放出される。
【0309】
4. (3)に係る熱の発生の結果、吸収の部位から等方的に伝搬する熱波動が発生する。(2)において説明された低周波数変調によって決定された、熱拡散距離に依存して、熱波動は変調周波数で周期的に皮膚の表面に達する。
【0310】
5. 表面上における熱波動の周期的出現は皮膚(サンプル物質の表面)の熱放射特性の周期変調に対応する。皮膚は、ここでは、ほぼ黒体放射体として記述されてもよく、ステファン・ボルツマンの法則による総放射は表面温度の4乗に比例する。
【0311】
6. 皮膚上の照射点に向けられた、熱放射検出器、すなわち、赤外検出器、すなわち、熱電対、ボロメータ、半導体検出器、ピエゾ検出器、または同様のものが、(5)において説明された周期的温度上昇を記録する。それは、(1)および(2)において説明されたとおりの赤外光の照射、ならびに(3)において説明された吸収に依存し、したがって、ブドウ糖の濃度に依存する。
【0312】
熱放射(この場合には、応答信号)は、例えば、光学要素、一実施形態では、赤外レンズまたはミラー、具体的には、凹面放物面鏡を用いて収集され、一実施形態では、凸面鏡を介して検出器上に誘導される。この目的のために、一実施形態で用いられる収集ミラーは、収集されたビームが誘導される開口部を有することができる。加えて、特定の波長範囲の赤外放射線のみを透過するフィルタがビーム経路内に設けられていてもよい。
【0313】
別の例示的な実施形態では、熱放射は、測定本体を用いて、特許請求の範囲においてクレームされているように、圧電効果を用いて検出される。
【0314】
7. 応答信号の処理においては、変調周波数が特に考慮され得、この目的のために、応答信号がロック・イン増幅器において処理され得る。制御および処理デバイスを用いて励起信号と熱放射信号(応答信号)との間の位相オフセットを分析することによって、応答信号の大部分が受信される物質の表面の下方の深さを介して、深さ情報が得られ得る。
【0315】
8. 深さ情報はまた、(2)において説明されたように励起ビームのための異なる低周波変調周波数を選択して分析し、異なる変調周波数のための結果の相関を取ることによっても得られ得る(異なる変調周波数のための結果はまた、異なって重み付けされ得る)。差分方法、(例えば、単一の波長について、およびその後、測定されたスペクトルにわたる波長を通過する)各場合における少なくとも2つの応答信号からの商形成、または他の決定方法が、上部皮膚層の吸収を相殺するために用いられ得る。
【0316】
9. (6)に係る熱放射の検出の感受性をできるだけ高くするために、それは、問題の全赤外範囲のための広帯域スペクトルとして用いられる。プランク放射曲線のできるだけ多くの領域が用いられるべきである。検出を強度の励起放射線に対して無反応にするために、熱放射の検出は、これらの励起波長のための阻止フィルタ(ノッチ・フィルタ)を設けられる。
【0317】
10. 励起波長に依存する、(6~9)に従って測定された熱信号から、一実施形態では、ブドウ糖が検出されることになる場合には、最初に、励起ビームの非ブドウ糖関連(またはブドウ糖関連を除外した)波長において背景が決定され、次に、ブドウ糖関連波長において(またはこれらを含み)、背景信号に対する差が決定される。これは、(7)に係る選択された位相オフセット、または(8)に係る異なる変調周波数、またはそれらの相関によって決定される、皮膚層または皮膚層群中のブドウ糖濃度をもたらす。
【0318】
本発明は好ましい例示的な実施形態を用いてより詳細に例示され、説明されたが、本発明は、開示された例によって限定されず、それから当業者によって本発明の保護の範囲から逸脱することなく他の変形例が導かれ得る。
【符号の説明】
【0319】
1 測定本体
1’ 層
2 測定面
3 レーザデバイス
4 検出領域
4’ 検出領域
5 領域、物質
5’ 位置
6 接触デバイス
6e~6y 電極
7 面法線
8 励起ビーム
9 変調デバイス
10 領域
11 平坦本体
12 ミラーデバイス
13 凹部
14、14a ヒートシンク
15 熱バリア
16 評価デバイス
17~21 凹部
22~29 電極
32 導体トラック
A 方向、面法線
B 方向