(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ブロックチェーンの決済処理方法、装置、機器及び媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20230331BHJP
【FI】
G06Q20/40
(21)【出願番号】P 2021104918
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】202010688994.6
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512015127
【氏名又は名称】バイドゥ オンライン ネットワーク テクノロジー(ペキン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ウェイ
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086600(JP,A)
【文献】国際公開第2019/203736(WO,A1)
【文献】特開2018-081498(JP,A)
【文献】特開2002-366864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0042996(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106203971(CN,A)
【文献】コンセンサス・ベイス株式会社,ブロックチェーンのしくみと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書,2019年09月14日,p.149-153,ISBN : 978-4-297-10636-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行されるブロックチェーンの決済処理方法であって、ブロックチェーンノードに適用され、前記方法は、
ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を取得するステップと、
前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定するステップと、
前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証するステップであって、前記アカウント残高は前記ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額であり、前記デジタル通貨の金額は正の値又は負の値であ
り、通貨与信限度額の範囲内で、金額が負の値であるデジタル通貨が、事前に前記ブロックチェーンアカウントが利用可能なデジタル通貨として取引されるステップと、
前記アカウント残高と通貨与信限度額との合計が前記支払い条件を満たす場合、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨
の種類を決定し、
前記支払い対象のデジタル通貨を入金先のアカウントに振り込むステップであって、前記支払い対象のデジタル通貨の種類が、前記アカウント残高に保有するデジタル通貨と、通貨与信限度額の範囲内で作成されたデジタル通貨とを含むステップと、
を含み、
前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を決定し、入金先のアカウントに振り込むステップが、
前記ブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額の範囲内で、金額が負の値であるデジタル通貨を作成し、支払い対象のデジタル通貨として、入金先のアカウントに振り込むステップを含む、
ことを特徴とするブロックチェーンの決済処理方法。
【請求項2】
ブロックチェーンアカウントに対して通貨与信を行う通貨与信要求を与信サーバに開始するステップと、
前記与信サーバからフィードバックされた通貨与信通知に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタル通貨はUTXOである、
ことを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
ブロックチェーンアカウントに対する残高クエリ要求を取得する場合、前記ブロックチェーンアカウントにおけるデジタル通貨の合計をクエリして取得し、前記アカウント残高とし、前記アカウント残高で前記残高クエリ要求に応答するステップであって、前記アカウント残高は正数、ゼロまたは負数であるステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項5】
前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証するステップは、
前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い対象の費用以上であるか否かを検証するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定するステップは、
前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求が入金先に振り込む予定
の費用及び/又は現在のブロック生成ノードに振り込む予定の手数料を決定し、前記支払い対象の費用とするステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ブロックチェーンアカウントへの決済トランザクション要求を取得した場合、前記決済トランザクション要求における振り込まれた金額が正の値であるデジタル通貨に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおける金額が負の値であるデジタル通貨を削除するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ブロックチェーンの決済処理装置であって、ブロックチェーンノードに配置され、前記装置は、
ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を取得するためのビジネストランザクション要求取得モジュールと、
前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定するための支払い対象の費用決定モジュールと、
前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証するための支払い限度額検証モジュールであって、前記アカウント残高は前記ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額であり、前記デジタル通貨の金額は正の値または負の値であ
り、通貨与信限度額の範囲内で、金額が負の値であるデジタル通貨が、事前に前記ブロックチェーンアカウントが利用可能なデジタル通貨として取引される支払い限度額検証モジュールと、
前記アカウント残高と通貨与信限度額との合計が前記支払い条件を満たす場合、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨
の種類を決定し、
前記支払い対象のデジタル通貨を入金先のアカウントに振り込むための支払い通貨振り込みモジュール
であって、前記支払い対象のデジタル通貨の種類が、前記アカウント残高に保有するデジタル通貨と、通貨与信限度額の範囲内で作成されたデジタル通貨とを含む支払い通貨振り込みモジュールと、
を含み、
前記支払い通貨振り込みモジュールが、
前記ブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額の範囲内で、金額が負の値であるデジタル通貨を作成し、支払い対象のデジタル通貨として、入金先のアカウントに振り込むための負の値のデジタル通貨作成ユニットを含む、
ことを特徴とするブロックチェーンの決済処理装置。
【請求項9】
ブロックチェーンアカウントに対して通貨与信を行う通貨与信要求を与信サーバに開始するための通貨与信限度額要求モジュールと、
前記与信サーバからフィードバックされた通貨与信通知に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置するための通貨与信限度額取得モジュールと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記デジタル通貨はUTXOである、
ことを特徴とする請求項
8に記載の装置。
【請求項11】
残高クエリモジュールをさらに含み、
前記残高クエリモジュールは、ブロックチェーンアカウントに対する残高クエリ要求を取得する場合、前記ブロックチェーンアカウントにおけるデジタル通貨の合計をクエリして取得し、前記アカウント残高とし、前記アカウント残高で前記残高クエリ要求に応答し、前記アカウント残高は正数、ゼロまたは負数である、
ことを特徴とする請求項
8~10のいずれか
1項に記載の装置。
【請求項12】
支払い限度額検証モジュールは、
前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い対象の費用以上であるか否かを検証するためのアカウント残高と与信額統計ユニットを含む、
ことを特徴とする請求項
8に記載の装置。
【請求項13】
支払い対象の費用決定モジュールは、
前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求が入金先に振り込む予定
の費用及び/又は現在のブロック生成ノードに振り込む予定の手数料を決定し、前記支払い対象の費用とするための支払い対象の費用統計ユニットを含む、
ことを特徴とする請求項
8に記載の装置。
【請求項14】
前記ブロックチェーンアカウントへの決済トランザクション要求を取得した場合、前記決済トランザクション要求における振り込まれた金額が正の値であるデジタル通貨に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおける金額が負の値であるデジタル通貨を削除するための決済トランザクション処理モジュールをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
8に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1~
7のいずれか
1項に記載のブロックチェーンの決済処理方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ命令は
、コンピュータに請求項1~
7のいずれか
1項に記載のブロックチェーンの決済処理方法を実行させる、
ことを特徴とする非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項17】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータに請求項1~
7のいずれか
1項に記載のブロックチェーンの決済処理方法を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、コンピュータ技術の分野に関し、具体的には、ブロックチェーン技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ブロックチェーン技術は、データストレージ、データ計算、振り込み取引などを含む、ますます多くのビジネスシーンに適用されている。
【0003】
様々なビジネスシーンにおいて、決済リンクに関与する可能性があり、且つブロックチェーンの実行プロセスにおいて、ブロック生成ノードへの手数料の支払いを行うリンクに関与する可能性もある。異なるビジネスシーンにおいて、費用支払いの時間ニーズ、オブジェクトニーズ及び費用ニーズが異なる可能性があるが、現在のブロックチェーンの単一決済モードは、このような柔軟で変更可能なビジネスシーンをサポートすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、ブロックチェーンの決済処理方法、装置、機器及び媒体を提供し、ブロックチェーンのビジネスモードを豊富にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様によれば、ブロックチェーンの決済処理方法を提供し、ブロックチェーンノードに適用され、前記方法は、
ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を取得するステップと、
前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定するステップと、
前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証するステップであって、ここで、前記アカウント残高は前記ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額であり、前記デジタル通貨の金額は正の値又は負の値であるステップと、
前記アカウント残高と通貨与信限度額との合計が前記支払い条件を満たす場合、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を決定し、入金先のアカウントに振り込むステップと、を含む。
【0006】
本願の別の態様によれば、ブロックチェーンの決済処理装置を提供し、ブロックチェーンノードに配置され、前記装置は、
ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を取得するためのビジネストランザクション要求取得モジュールと、
前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定するための支払い対象の費用決定モジュールと、
前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証するための支払い限度額検証モジュールであって、ここで、前記アカウント残高は前記ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額であり、前記デジタル通貨の金額は正の値又は負の値である支払い限度額検証モジュールと、
前記アカウント残高と通貨与信限度額との合計が前記支払い条件を満たす場合、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を決定し、入金先のアカウントに振り込むための支払い通貨振り込みモジュールと、を含む。
【0007】
本願の別の態様によれば、電子機器を提供し、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサが本願の実施例のいずれかに記載のブロックチェーンの決済処理方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0008】
本願の別の態様によれば、コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータに本願の実施例のいずれかに記載のブロックチェーンの決済処理方法を実行させる。
本願の別の態様によれば、コンピュータプログラムを提供し、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに本願の実施例のいずれかに記載のブロックチェーンの決済処理方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本願の技術案によれば、ビジネストランザクション要求に対して支払う時に、アカウント残高と予め配置された通貨与信限度額との合計を検証し、検証を通過した場合、ビジネストランザクション要求処理の費用を支払うことができ、それによりアカウント残高が不足する場合、通貨与信限度額の範囲内のデジタル通貨を使用して前払いを行い、従来の技術において、アカウント残高が不足する場合、ブロックチェーンネットワークを使用してビジネストランザクション要求処理を行うことができないという問題を解決し、柔軟で変更可能なビジネスシーンをサポートすることができ、ブロックチェーンネットワークの決済モードの多様性を増やし、事前与信の支払いを実現し、ブロックチェーンネットワークの支払い効率を向上させる。
【0010】
なお、本部分に説明された内容は、本願の実施例における肝心又は重要な特徴を識別することを意図しておらず、本願の範囲を制限することも意図していないと理解すべきである。本願の他の特徴は、以下の明細書により理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、本技術案をよりよく理解するためのものであり、本願を限定するものではない。
【
図1】本願の実施例に係るブロックチェーンの決済処理方法の概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る別のブロックチェーンの決済処理方法の概略図である。
【
図3】本願の実施例により開示されるブロックチェーン決済処理装置の概略構造図である。
【
図4】本願の実施例により開示される電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面と組み合わせて本願の例示的な実施例を説明し、理解を容易にするためにその中には本願の実施例の様々な詳細事項が含まれており、それらは単なる例示的なものと見なされるべきである。したがって、当業者は、本願の範囲及び精神から逸脱することなく、ここで説明される実施例に対して様々な変更と修正を行うことができる。同様に、わかりやすくかつ簡潔にするために、以下の説明では、周知の機能及び構造の説明を省略する。
【0013】
図1は本願の実施例により開示されるブロックチェーンの決済処理方法のフローチャートであり、本実施例は、ブロックチェーンネットワークにおいて、ノードがブロックチェーンアカウントのアカウント残高及び通貨与信限度額を使用してブロックチェーンにおけるビジネストランザクション要求に対して支払う場合に適用することができる。本実施例の方法は、ブロックチェーンの決済処理装置によって実行されてもよく、該装置はソフトウェア及び/又はハードウェアで実現でき、且つブロックチェーンノードに配置できる。ブロックチェーンノードは、ブロックチェーンネットワークにおける任意の単位又は個人で制御される電子機器に配置されることができる。
【0014】
ブロックチェーンネットワークは、パブリックブロックチェーン、コンソーシアムブロックチェーン又はプライベートブロックチェーンであってもよく、ブロックチェーンネットワークは通常、複数のブロックチェーンノードを含む。ブロックチェーンネットワークは、分散型トランザクション処理方式を採用し、通常、一定の時間内に、合意メカニズムを介して1つのブロック生成ノードを決定し、且つ該ブロック生成ノードによってこの時間内にトランザクション処理を行ってブロックを生成し、ブロックチェーンネットワークにおける他のノードに提供してブロック検証を行い、検証を通過した後、生成されたブロックをブロックチェーンに追加する。合意メカニズムは、ブロックチェーンネットワークのブロックチェーンノードからブロック生成ノードをスクリーニングし、具体的には、全てのブロックチェーンノードは、統一されたアルゴリズムに基づいて計算し、ブロック生成ノードを共同で決定する。
【0015】
S101において、ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を取得する。
【0016】
ブロックチェーンアカウント間でデジタル通貨が流通することができ、ブロックチェーンアカウントとは、ブロックチェーンネットワークにおけるデジタルウォレットアカウントのことであってもよい。ユーザは、ブロックチェーンアカウントを介してデジタル通貨の振り込み及び引き落としを行うことができる。
【0017】
ビジネストランザクション要求は、ブロックチェーンノードが処理し、ビジネストランザクション要求を生成してブロックに追加するために用いられ、ビジネストランザクション要求は、取引要求又は著作権登録情報処理要求などの様々なビジネスのような、データ記憶要求、データクエリ要求及びデータ更新要求などを含むが、これらに限定されない。
【0018】
ビジネストランザクション要求は、ブロックチェーンアカウントに関連付けられ、ビジネストランザクション要求とは、ブロックチェーンアカウントによって開始されたあるビジネスのトランザクション要求のことであってもよい。
【0019】
S102において、前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定する。
【0020】
支払い対象の費用とは、ビジネストランザクション要求の処理に必要な費用のことであってもよく、ビジネストランザクション要求に取引要求が含まれる時の振り込み金額及び/又はブロックチェーンネットワークがビジネストランザクション要求に対して処理操作を行うために必要な手数料を含むことができ、通常はブロック生成ノードに支払う必要がある。
【0021】
選択可能に、前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定するステップは、前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求が入金先に振り込む予定の支払い対象の費用及び/又は現在のブロック生成ノードに振り込む予定の手数料を決定し、前記支払い対象の費用とするステップを含む。
【0022】
ビジネストランザクション要求が入金先に振り込む予定の支払い対象の費用とは、ビジネストランザクション要求に取引要求が含まれる時の振り込み金額のことであってもよい。現在のブロック生成ノードの手数料とは、現在のブロック生成ノードがビジネストランザクション要求に対してブロック生成処理を行う費用のことであってもよい。ここで、ブロックチェーンアカウントの決済対象は、一般的に入金先及び/又は現在のブロック生成ノードが属するアカウントを含むことができる。
【0023】
一方で、ビジネストランザクション要求がブロックチェーンネットワークにおけるデジタル通貨の取引要求である場合、支払い対象の費用はデジタル通貨の取引金額を含む。
【0024】
他方で、一般的には、ブロックチェーンアカウントがブロックチェーンネットワークのサービスを要求し、該サービスに対してサービス決済を行う必要があり、該サービスはビジネストランザクション要求を処理し、ブロックを生成し且つ他のブロックチェーンノードに提供して検証及びアップリンクなどを行うために用いられる。すなわち、現在のブロック生成ノードは、ビジネストランザクション要求の処理プロセスにおいて、ブロックチェーンアカウントが手数料を支払う時に、現在のブロック生成ノードがブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求に対してブロック生成処理を行う。
【0025】
入金先に振り込む費用及び/又は現在のブロック生成ノードの手数料として支払い対象の費用を決定することにより、ブロックチェーンネットワークの使用料及び振り込み金額がカバーされ、それによって支払い対象の費用の金額を正確に決定し、支払い費用の漏れを回避し、ビジネストランザクション要求の正しい処理を保証する。
【0026】
S103において、前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証し、ここで、前記アカウント残高は前記ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額であり、前記デジタル通貨の金額は正の値又は負の値である。
【0027】
アカウント残高とは、ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額のことであってもよい。ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨は、他のブロックチェーンアカウントと取引することができる。通貨与信限度額とは、与信サーバによってブロックチェーンアカウントに提供された、設定された時間範囲内に利用可能な最高のデジタル通貨の金額のことであってもよい。ここで、通貨与信限度額は、他のブロックチェーンアカウントと取引することができない。
【0028】
異なるシステムのブロックチェーンネットワークにおいて、デジタル通貨の実現プロトコルは異なってもよい。選択可能に、デジタル通貨はUTXO(消費されていない取引出力、Unspent Transaction Output)である。ブロックチェーンネットワークの取引は、取引入力と取引出力で構成され、取引毎に1つの入力が消費(spend)され、1つの出力(output)が生成され、生成された出力は「消費されていない取引出力」であり、すなわちUTXOである。例示的に、デジタル通貨の金額は57であってもよく、本願の実施例において、UTXOの金額を負の値に許容し、例えば-12であってもよい。UTXOは、ブロックチェーンネットワークでよく使用されるデジタル通貨のタイプであり、デジタル通貨をUTXOとして配置し、且つUTXOの金額を負の値に許容するように配置し、従来のUTXOに基づいて改良することができ、通貨与信限度額の開発の難易度を低下させ、通貨与信限度額の普及と応用を容易にする。
【0029】
アカウント残高と通貨与信限度額との合計は、実際にはブロックチェーンアカウントが利用可能なデジタル通貨の合計金額である。支払い条件は、ブロックチェーンアカウントが支払い対象の費用を支払うことができるか否かを判断するために用いられる。例えば、支払い条件は、アカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い対象の費用を支払うために十分であるか否かを判断するために用いられる。
【0030】
つまり、ブロックチェーンアカウントが保有する正の値のデジタル通貨の他に、ブロックチェーンアカウントは、さらに、通貨与信限度額の範囲内のデジタル通貨を使用して取引することができる。アカウント残高は負の値であってもよく、アカウント残高の最小値の絶対値が通貨与信限度額と同じであり、すなわちアカウント残高の最小値と通貨与信限度額との合計が0である。
【0031】
従来の技術では、ブロックチェーンアカウントのアカウント残高が負の値であることができず、アカウント残高が0、負の値であり、又は支払い対象の費用未満である場合、ブロックチェーンアカウントがブロックチェーンネットワークのサービスを取得できず、すなわちブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求がブロックチェーンネットワークによって処理されることができず、ブロックチェーンアカウントが十分な金額のデジタル通貨を保有するまで待たなければならず、ブロックチェーンネットワークが該ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を処理するように指示することができる。
【0032】
本願の実施例において、ブロックチェーンアカウントが通貨与信限度額を保有する場合、ブロックチェーンアカウントは、アカウント残高が支払い対象の費用未満である場合、一定金額のデジタル通貨を取得でき、該金額が通貨与信限度額の範囲内で、ビジネストランザクション要求の支払い費用を予め支払うことにより、ビジネストランザクション要求の処理を迅速に実現し、後続に通貨与信限度額を返済する。
【0033】
選択可能に、前記支払い対象の費用金に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証するステップは、前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い対象の費用以上であるか否かを検証するステップを含む。
【0034】
アカウント残高と通貨与信限度額との総合計とは、ブロックチェーンアカウントが通貨与信限度額の範囲内に利用可能なデジタル通貨の合計金額のことであってもよい。アカウント残高と通貨与信限度額との総合計が、支払い対象の費用以上である場合、ブロックチェーンアカウントが利用可能なデジタル通貨の合計金額が、該支払い対象の費用を支払うために十分であることを示す。それにより、ブロックチェーンアカウントが該支払い対象の費用を支払うために十分である場合、支払い条件を満たすことを決定し、ブロックチェーンアカウントが支払い対象の費用を支払うことができることを正確に検出することができる。
【0035】
支払い条件をアカウント残高と通貨与信限度額との合計と支払い対象の費用との大きさの関係を判断することに配置することにより、ブロックチェーンアカウントが利用可能なデジタル通貨の金額が支払い対象の費用を支払うために十分であるか否かを正確に判断することができ、それによりブロックチェーンアカウントが通貨与信限度額の範囲内のデジタル通貨を使用して取引することを実現し、通貨与信限度額を使用する精度を向上させ、それによってブロックチェーンアカウントのビジネストランザクション要求を事前に処理し、その後に返済するというアプリケーションシーンを実現する。
【0036】
選択可能に、前記方法は、前記ブロックチェーンアカウントへの決済トランザクション要求を取得する場合、前記決済トランザクション要求における振り込まれた金額が正の値であるデジタル通貨に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおける金額が負の値であるデジタル通貨を削除するステップをさらに含む。
【0037】
決済トランザクション要求は、ブロックチェーンアカウントがデジタル通貨を受信することに用いられる。決済トランザクション要求は、他のブロックチェーンアカウントが該ブロックチェーンアカウントに一定金額のデジタル通貨を振り込むことであってもよい。通常、決済トランザクション要求がデジタル通貨を振り込む金額は正の値である。
【0038】
振り込まれたデジタル通貨は、通貨与信限度額に関連付けられた前払い金額を返済するために用いられることができる。ブロックチェーンアカウントに金額が負の値であるデジタル通貨が含まれる場合、振り込まれた正の値の金額のデジタル通貨を使用して、該負の値の金額のデジタル通貨を削除することができる。負の値のデジタル通貨を削除することは、実際には、金額が負の値であるデジタル通貨が存在し且つ正の値のデジタル通貨を振り込む時に、アカウント残高の統計操作を実行することである。
【0039】
ブロックチェーンアカウントには少なくとも1つのデジタル通貨が含まれ、少なくとも1つの金額が正の値であるデジタル通貨又は少なくとも1つの金額が負の値であるデジタル通貨を含むことができる。振り込まれたデジタル通貨の金額がいずれかの負の値の金額のデジタル通貨の金額の絶対値より小さい場合、金額が最大の負の値の金額のデジタル通貨を選択して削除し、且つ振り込まれたデジタル通貨と金額が最大の負の値の金額のデジタル通貨との合計に基づいて、新たな金額が負の値であるデジタル通貨を生成する。振り込まれたデジタル通貨の金額がある負の値の金額のデジタル通貨の金額の絶対値に等しい場合、該負の値の金額のデジタル通貨を削除するように選択する。振り込まれたデジタル通貨の金額が少なくとも1つの負の値の金額のデジタル通貨の金額の絶対値の累積結果より大きい場合、前述した少なくとも1つの負の値の金額のデジタル通貨を削除し、且つ振り込まれた金額と累積結果との合計に基づいて、新たなデジタル通貨を生成するまたは生成しないように選択する。振り込まれた金額と累積結果との合計が0である場合、新たなデジタル通貨を生成しない。振り込み金額と累積結果との合計が0でない場合、新たなデジタル通貨を生成し、生成されたデジタル通貨の金額は振り込まれた金額と累積結果との合計に等しい。
【0040】
また、ブロックチェーンアカウントの金額が正の値である場合、正の値の金額のデジタル通貨を直接振り込むことができ、このときアカウント残高は、振り込まれたデジタル通貨と元のアカウント残高との合計である。
【0041】
決済トランザクション要求を介してブロックチェーンアカウントに正の値の金額のデジタル通貨を振り込み、該正の値の金額のデジタル通貨は、アカウント残高における負の値の金額のデジタル通貨を削除するために用いられ、アカウント残高が負の値であり且つ正の値のデジタル通貨を振り込む時にアカウント残高の統計操作を実行することを実現し、アカウント残高の計算精度を向上させる。
【0042】
S104において、前記アカウント残高と通貨与信限度額との合計が前記支払い条件を満たす場合、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を決定し、入金先のアカウントに振り込む。
【0043】
アカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たす場合、ブロックチェーンアカウントが支払い対象の費用を支払うことができることを示す。支払い対象のデジタル通貨は、支払い対象の費用を支払うために用いられる。支払い対象のデジタル通貨の金額は支払い対象の費用と同じである。支払いプロセスの詳細は、ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を引き落とし、入金先のアカウントに支払い対象のデジタル通貨を振り込む。
【0044】
入金先のアカウントは、ビジネストランザクション要求がデジタル通貨の取引要求である場合、取引要求に関連付けられた引き落としアカウントを含むことができ、ここで、該ブロックチェーンアカウントは、振り込みアカウント、及び/又は現在のブロック生成ノードにマッチングされるブロックチェーンアカウントである。
【0045】
本願の技術案によれば、ビジネストランザクション要求に対して支払う時に、アカウント残高と予め配置された通貨与信限度額との合計を検証し、検証を通過した場合、ビジネストランザクション要求処理の費用を支払うことができ、それによりアカウント残高が不足する場合、通貨与信限度額の範囲内のデジタル通貨を使用して前払いを行い、従来の技術において、アカウント残高が不足する場合、ブロックチェーンネットワークを使用してビジネストランザクション要求処理を行うことができないという問題を解決し、柔軟で変更可能なビジネスシーンをサポートすることができ、ブロックチェーンネットワークの決済モードの多様性を増やし、事前与信の支払いを実現し、ブロックチェーンネットワークの支払い効率を向上させる。
【0046】
図2は、本願の実施例により開示される別のブロックチェーンの決済処理方法のフローチャートであり、上記技術案に基づいてさらに最適化と拡張し、かつ上記各選択可能な実施形態と組み合わせることができる。
【0047】
S201において、ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を取得する。
【0048】
本実施例において、詳細に説明されていない内容については、上述した任意の実施形態における説明を参照することができる。
【0049】
S202において、前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定する。
【0050】
S203において、ブロックチェーンアカウントに対して通貨与信を行う通貨与信要求を与信サーバに開始する。
【0051】
与信サーバは、各ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を割り当てるために用いられる。与信サーバとは、センターサーバのことであってもよい。例示的に、ブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額は、いずれも1つのサーバによって配置される。
【0052】
通貨与信要求は、与信サーバが各ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置するために用いられる。通貨与信要求はブロックチェーンノードによって開始され、該通貨与信要求がトランザクション要求として、現在のブロック生成ノードを介して処理し、且つブロックを生成し、ブロックを検証し、アップリンクを行って記憶する。
【0053】
ここで、通貨与信要求は、ブロックチェーンアカウントの識別子情報及び与信パラメータなどを含むことができ、識別子情報はブロックチェーンアカウントを識別するために用いられ、与信パラメータは与信サーバが該ブロックチェーンアカウントに割り当てられた通貨与信限度額の具体的数値を判断するために用いられる。例示的に、与信パラメータは、ブロックチェーンアカウントの信用情報、アカウント残高の最大値又は振り込みと引き落とし情報などを含むことができる。ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置することを実現するために、与信サーバは、ブロックチェーンアカウントの識別子情報及び与信パラメータなどに基づいて、ブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額を計算し、ブロックチェーンノードに提供することができる。
【0054】
S204において、前記与信サーバからフィードバックされた通貨与信通知に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置する。
【0055】
通貨与信通知は、与信サーバが、与信サーバによってブロックチェーンアカウントに割り当てられた通貨与信限度額をブロックチェーンノードに通知するために用いられる。
【0056】
ブロックチェーンノードが通貨与信通知を受信した後、ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置し記録する。具体的には、通貨与信通知は、ブロックチェーンノードで受信されたフィードバック情報であり、該通貨与信通知がトランザクション要求として、現在のブロックノードを介して処理し、且つブロックを生成し、ブロックを検証し、アップリンクを行って記憶する。ブロックチェーンアカウントが変化した後、ブロックチェーンノードは、与信サーバに対してブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額を取得するように再要求して更新することができる。又は、定期的に与信サーバに対してブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額を取得するように要求して更新することができる。
【0057】
また、ブロックチェーンアカウントによって開始された通貨与信要求は、ブロックを生成し且つアップリンクを行って記憶する必要がないが、通貨与信通知はブロックを生成し且つアップリンクを行って記憶しなければならない。
【0058】
上記与信サーバに対して与信額を要求する操作は、任意のタイミングで完了することができ、ビジネストランザクション要求を開始した後に与信を要求することに限定されない。
【0059】
S205において、前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証し、ここで、前記アカウント残高は前記ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額であり、前記デジタル通貨の金額は正の値又は負の値である。
【0060】
選択可能に、前記デジタル通貨はUTXOである。
【0061】
S206において、前記アカウント残高と通貨与信限度額との合計が前記支払い条件を満たす場合、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を決定し、入金先のアカウントに振り込む。
【0062】
選択可能に、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を決定し、入金先のアカウントに振り込むステップは、前記ブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額の範囲内で、金額が負の値であるデジタル通貨を作成し、支払い対象のデジタル通貨として、入金先のアカウントに振り込むステップを含む。
【0063】
金額が負の値であるデジタル通貨を作成して、支払い対象の費用を支払うために用いられる。ここで、作成された金額が負の値であるデジタル通貨の絶対値は、通貨与信限度額以下である。通貨与信限度額の範囲内で、金額が負の値であるデジタル通貨を作成し、事前にブロックチェーンアカウントが利用可能なデジタル通貨として取引するために用いられることができる。通常、ブロックチェーンアカウントのアカウント残高が支払い対象の費用未満である場合、すなわちアカウント残高が支払い対象の費用を支払うために不足している場合、金額が負の値であるデジタル通貨を作成することができる。入金先のアカウントは、入金先が支払い対象の費用を受け取るアカウントとする。また、現在のブロック生成ノードに関連付けられたアカウントに振り込むこともできる。
【0064】
絶対値が支払い対象の費用に等しく金額が負の値であるデジタル通貨を直接作成し、支払い対象のデジタル通貨として、入金先のアカウントに振り込むことができる。アカウント残高に金額が正の値であるデジタル通貨が含まれる場合、該金額が正の値であるデジタル通貨に基づいて該作成された金額が負の値であるデジタル通貨を削除することができる。これにより、アカウント残高は、該金額が負の値であるデジタル通貨とアカウント残高のデジタル通貨との合計に更新される。
【0065】
また、アカウント残高の金額が正の値である場合、アカウント残高が保持されているデジタル通貨と、作成された金額が負の値であるデジタル通貨とを、共に支払い対象のデジタル通貨とし、ここで、作成されたデジタル通貨の金額の絶対値とアカウント残高が保持されているデジタル通貨の金額との合計が支払い対象の費用に等しい。この場合、アカウント残高は、作成された金額に更新され、すなわち負の値である。
【0066】
ブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額の範囲内で、ブロックチェーンアカウントに金額が負の値であるデジタル通貨を作成し、支払い対象のデジタル通貨として入金先のアカウントに振り込むことにより、通貨与信限度額をデジタル通貨に変換し且つ取引することができ、通貨与信限度額を使用して支払い対象の費用を支払うことを実現し、それにより事前与信の支払いを実現し、ブロックチェーンネットワークの与信支払いの精度を向上させる。
【0067】
選択可能に、前記方法は、ブロックチェーンアカウントに対する残高クエリ要求を取得する場合、前記ブロックチェーンアカウントにおけるデジタル通貨の合計をクエリして取得し、前記アカウント残高とし、前記アカウント残高で前記残高クエリ要求に応答し、ここで、前記アカウント残高は正数、ゼロ又は負数である。
【0068】
残高クエリ要求は、ブロックチェーンアカウントのアカウント残高をクエリするために用いられる。ブロックチェーンアカウントには、少なくとも1つのデジタル通貨を含むことも、又はデジタル通貨を含まないこともできる。複数のデジタル通貨を累積し、累積結果をアカウント残高の数値とすることができる。ブロックチェーンアカウントにデジタル通貨が含まれていない場合、アカウント残高は0である。
【0069】
例示的に、デジタル通貨は、金額が-3であるデジタル通貨と、金額が-30であるデジタル通貨とを含み、アカウント残高は(-3)+(-30)=-33である。
【0070】
残高クエリ要求を受信した場合、ブロックチェーンアカウントにおけるデジタル通貨を累積計算し、計算結果をアカウント残高とし、デジタル通貨が負の値である場合、アカウント残高が負の値であることにより、ブロックチェーンアカウントが負の値のデジタル通貨を保持することをサポートすることを実現し、それによりブロックチェーンアカウントが費用を支払うために不足している時に通貨与信限度額によって費用を前払うことを実現し、ブロックチェーンネットワークの与信支払いシーンを増やし、ブロックチェーンネットワークの支払いの多様性を増やし、ブロックチェーンネットワークの支払い効率を向上させる。
【0071】
本願の実施例の技術案によれば、与信サーバを介してブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置し、アカウント残高が支払うために不足している場合、通貨与信限度額の範囲内のデジタル通貨を使用して前払いを行うことを実現し、ブロックチェーンネットワークの与信支払いシーンを増やし、ブロックチェーンネットワークの支払いの多様性を増やし、ブロックチェーンネットワークの支払い効率を向上させる。
【0072】
図3は、本願の実施例により開示されるブロックチェーンの決済処理装置の概略構造図であり、本実施例は、ブロックチェーンノードがブロックチェーンアカウントのアカウント残高及び通貨与信限度額を使用してブロックチェーンにおけるビジネストランザクション要求に対して支払う場合に適用することができる。本実施例において、該装置は、ソフトウェア及び/又はハードウェアで実現でき、且つブロックチェーンノードに配置できる。ブロックチェーンノードは、ブロックチェーンネットワークにおける任意の単位又は個人で制御される電子機器に配置できる。
【0073】
図3に示すように、本実施例により開示されるブロックチェーンの決済処理装置300は、ビジネストランザクション要求取得モジュール301と、支払い対象の費用決定モジュール302と、支払い限度額検証モジュール303と、支払い通貨振り込みモジュール304とを含み、ここで、
ビジネストランザクション要求取得モジュール301は、ブロックチェーンアカウントによって開始されたビジネストランザクション要求を取得するために用いられ、
支払い対象の費用決定モジュール302は、前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求の支払い対象の費用を決定するために用いられ、
支払い限度額検証モジュール303は、前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い条件を満たすか否かを検証するために用いられ、ここで、前記アカウント残高は前記ブロックチェーンアカウントが保有するデジタル通貨の金額であり、前記デジタル通貨の金額は正の値又は負の値であり、
支払い通貨振り込みモジュール304は、前記アカウント残高と通貨与信限度額との合計が前記支払い条件を満たす場合、前記ブロックチェーンアカウントから支払い対象のデジタル通貨を決定し、入金先のアカウントに振り込むために用いられる。
【0074】
選択可能に、本実施例の装置は、ブロックチェーンアカウントに対して通貨与信を行う通貨与信要求を与信サーバに開始するための通貨与信限度額要求モジュールと、前記与信サーバからフィードバックされた通貨与信通知に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントに通貨与信限度額を配置するための通貨与信限度額取得モジュールと、をさらに含む。
【0075】
選択可能に、支払い通貨振り込みモジュール304は、前記ブロックチェーンアカウントの通貨与信限度額の範囲内で、金額が負の値であるデジタル通貨を作成し、支払い対象のデジタル通貨として、入金先のアカウントに振り込むための負の値のデジタル通貨作成ユニットを含む。
【0076】
選択可能に、前記デジタル通貨はUTXOである。
【0077】
選択可能に、前記装置は、ブロックチェーンアカウントに対する残高クエリ要求を取得する場合、前記ブロックチェーンアカウントにおけるデジタル通貨の合計をクエリして取得し、前記アカウント残高とし、前記アカウント残高で前記残高クエリ要求に応答するための残高クエリモジュールをさらに含み、ここで、前記アカウント残高は正数、ゼロ又は負数である。
【0078】
選択可能に、支払い限度額検証モジュール303は、前記支払い対象の費用に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおけるアカウント残高と通貨与信限度額との合計が支払い対象の費用以上であるか否かを検証するためのアカウント残高と与信額統計ユニットを含む。
【0079】
選択可能に、支払い対象の費用決定モジュール302は、前記ビジネストランザクション要求を実行するプロセスにおいて、前記ビジネストランザクション要求が入金先に振り込む予定の支払い対象の費用及び/又は現在のブロック生成ノードに振り込む予定の手数料を決定し、前記支払い対象の費用とするための支払い対象の費用統計ユニットを含む。
【0080】
選択可能に、前記装置は、前記ブロックチェーンアカウントへの決済トランザクション要求を取得した場合、前記決済トランザクション要求における振り込まれた金額が正の値であるデジタル通貨に基づいて、前記ブロックチェーンアカウントにおける金額が負の値であるデジタル通貨を削除するための決済トランザクション処理モジュールをさらに含む。
【0081】
本願の実施例により開示されるブロックチェーンの決済処理装置は、本願の実施例により開示されるブロックチェーンノードに適用される任意のブロックチェーンの決済処理方法を実行することができ、方法を実行するのに対応する機能モジュールと有益な効果を有する。本実施例において、詳細に説明されない内容は本願の任意の方法の実施例における説明を参照することができる。
【0082】
本願の実施例によれば、本願は、電子機器及び読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
本願の実施例によれば、本願は、コンピュータプログラムを提供し、コンピュータプログラムは、コンピュータに本願によって提供されるブロックチェーンの決済処理方法を実行させる。
【0083】
図4に示すように、本願の実施例に係るブロックチェーンの決済処理方法の電子機器のブロック図である。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、および他の適切なコンピュータ等の様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを目的とする。電子機器は、パーソナルデジタルプロセッサ、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、他の類似するコンピューティングデバイスなどの様々な形態のモバイルデバイスを表すこともできる。本明細書で示される部材、それらの接続と関係、及びそれらの機能は単なる例であり、本明細書の説明及び/又は要求される本願の実現を制限することを意図したものではない。
【0084】
図4に示すように、該電子機器は、1つ又は複数のプロセッサ401と、メモリ402と、高速インターフェース及び低速インターフェースを含む、各部材を接続するためのインターフェースと、を含む。各部材は、互いに異なるバスで接続され、共通のマザーボード上に取り付けられていてもよく、必要に応じて取り付けられていてもよい。プロセッサは、電子機器内で実行される命令を処理することができ、当該命令は、外部入力/出力装置(例えば、インターフェースに結合されたディスプレイデバイス等)にGUIの図形情報をディスプレイするためにメモリ内又はメモリに記憶されている命令を含む。他の実施形態では、必要に応じて、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスを、複数のメモリ及び複数のメモリとともに使用してもよい。同様に、複数の電子機器を接続することができ、各機器は、一部の必要な操作(例えば、サーバアレイ、1グループのブレードサーバ、又はマルチプロセッサシステムとする)を提供することができる。
図4において、1つのプロセッサ401を例とする。
【0085】
メモリ402は、本願により提供される非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。ここで、前記メモリには、少なくとも1つのプロセッサが本願により提供されるブロックチェーンの決済処理方法を実行するように、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されうる。本願の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータに本願により提供されるブロックチェーンの決済処理方法を実行させるためのコンピュータ命令が記憶されている。
【0086】
メモリ402は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能なプログラム及びモジュール、例えば本願の実施例におけるブロックチェーンの決済処理方法に対応するプログラム命令/モジュール(例えば、
図3に示すビジネストランザクション要求取得モジュール301、支払い対象の費用決定モジュール302、支払い限度額検証モジュール303、及び支払い通貨振り込みモジュール304)を記憶する。プロセッサ401はメモリ402に記憶されている非一時的なソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することにより、サーバの各種類の機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち上記方法の実施例におけるブロックチェーンの決済処理方法を実現する。
【0087】
メモリ402は、ストレージプログラムエリアとストレージデータエリアとを含むことができ、ここで、ストレージプログラムエリアは、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、ストレージデータエリアは、ブロックチェーンの決済処理方法の電子機器の使用によって作成されたデータ等を記憶することができる。また、メモリ402は、例えば、少なくとも1つのディスクストレージデバイス、フラッシュメモリ、又はその他の非一時的な不揮発性ストレージデバイス、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、さらに非一時的なメモリを含んでもよい。一部の実施例において、メモリ402はプロセッサ401に対して遠隔に設けられたメモリを含み、これらの遠隔メモリはネットワークを介してブロックチェーンの決済処理方法の電子機器に接続することができる。上記ネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク及びその組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。
【0088】
ブロックチェーンの決済処理方法の電子機器は、入力装置403と、出力装置404と、をさらに含むことができる。プロセッサ401、メモリ402、入力装置403及び出力装置404は、バスを介して又はほかの形態で接続され、
図4において、バス接続を例とする。
【0089】
入力装置403は入力された数字又は文字情報を受信し、ブロックチェーンの決済処理の電子機器のユーザ設定及び機能制御に関するキー信号入力を生成することができ、例えば、タッチスクリーン、キーボード、マウス、トラックパッド、タッチパネル、指示レバー、1つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティック等の入力装置である。出力装置404は、表示機器、補助照明装置(例えば、LED)、触覚フィードバックデバイス(例えば、振動モータ)等を含むことができる。当該表示機器は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、及びプラズマディスプレイを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態で、表示機器は、タッチスクリーンであってもよい。
【0090】
本明細書で説明されるシステムと技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、特定用途向けASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムで実施され、当該1つ又は複数のコンピュータプログラムは、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行及び/又は解釈されることができ、当該プログラマブルプロセッサは、専用又は汎用のプログラマブルプロセッサであってもよく、ストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、データ及び命令を当該ストレージシステム、当該少なくとも1つの入力装置、及び当該少なくとも1つの出力装置に伝送することができる。
【0091】
これらのコンピューティングプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサの機械命令を含むことができ、高レベルのプロセス及び/又は対象指向のプログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語でこれらのコンピューティングプログラムを実施することができる。本明細書に使用されるような、「機械読み取り可能な媒体」及び「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又は装置(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指し、機械読み取り可能な信号である機械命令を受信する機械読み取り可能な媒体を含む。「機械読み取り可能な信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するための任意の信号を指す。
【0092】
ユーザとのインタラクションを提供するために、コンピュータ上でここに説明されているシステム及び技術を実施することができ、当該コンピュータは、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを有し、ユーザは、当該キーボード及び当該ポインティングデバイスによって入力をコンピュータに提供することができる。他の種類の装置も、ユーザとのインタラクションを提供することができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態のセンシングフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、任意の形態(音響入力と、音声入力と、触覚入力とを含む)でユーザからの入力を受信することができる。
【0093】
ここで説明されるシステム及び技術は、バックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとする)、又はミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するユーザコンピュータであり、ユーザは、当該グラフィカルユーザインタフェース又は当該ウェブブラウザによってここで説明されるシステム及び技術の実施形態とインタラクションする)、又はこのようなバックエンドコンポーネントと、ミドルウェアコンポーネントと、フロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで実施することができる。任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によってシステムのコンポーネントを相互に接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)と、ワイドエリアネットワーク(WAN)と、インターネットと、を含む。
【0094】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバは、一般的に、互いに離れており、通常に通信ネットワークを介してインタラクションする。対応するコンピュータ上で実行され、かつ互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって、クライアントとサーバとの関係が生成される。
【0095】
本願の技術案によれば、ビジネストランザクション要求に対して支払う時に、アカウント残高と予め配置された通貨与信限度額との合計を検証し、検証を通過した場合、ビジネストランザクション要求処理の費用を支払うことができ、それによりアカウント残高が不足する場合、通貨与信限度額の範囲内のデジタル通貨を使用して前払いを行い、従来の技術において、アカウント残高が不足する場合、ブロックチェーンネットワークを使用してビジネストランザクション要求処理を行うことができないという問題を解決し、柔軟で変更可能なビジネスシーンをサポートすることができ、ブロックチェーンネットワークの決済モードの多様性を増やし、事前与信の支払いを実現し、ブロックチェーンネットワークの支払い効率を向上させる。
【0096】
なお、上記に示される様々な形態のフローを使用して、ステップを並べ替え、追加し、又は削除することができる。例えば、本願に記載されている各ステップは、並列に実行されてもよいし、順次的に実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよいが、本願で開示されている技術的解決手段が所望の結果を実現することができれば、本明細書では限定しない。
【0097】
上記具体的な実施形態は、本願の保護範囲を制限するものではない。当業者は、設計要件と他の要因に基づいて、様々な修正、組み合わせ、サブコンビネーション、及び代替を行うことができる。本願の精神と原則内で行われる任意の修正、同等の置換、及び改善などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。