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7254125トゥールビヨン機構の調整式レバーおよび調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】トゥールビヨン機構の調整式レバーおよび調整方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/28 20060101AFI20230331BHJP
【FI】
G04B17/28
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021126434
(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公開番号】P2022067053
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】20202613.4
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501475413
【氏名又は名称】グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】トニー・ブラウン
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-512065(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2871536(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 17/00 - 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット(200)を止めるためのトゥールビヨン機構の調整式レバー(100)であって、
- 作動するように構成されている少なくとも1つの第1の部材(110)と、
ブレーキ力を有する少なくとも1つのブレーキ要素(240)を作動させるように構成されている少なくとも1つの第2の部材(120)と、
- 第1の位置(101)と第2の位置(102)との間で前記少なくとも1つの第1の部材(110)に対して前記少なくとも1つの第2の部材(120)の位置を調整するように、および/または第1の位置(101)と第2の位置(102)との間で前記少なくとも1つの第2の部材(120)に対して前記少なくとも1つの第1の部材(110)の位置を調整するように、構成され、これにより、前記少なくとも1つのブレーキ要素(240)のブレーキ力を調整可能にしている、少なくとも1つの調整部材(130)と、を備える、調整式レバー(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の部材(110)と前記少なくとも1つの第2の部材(120)との間の前記少なくとも1つの第1の部材(110)上におよび/または前記少なくとも1つの第2の部材(120)上に、少なくとも1つの回転軸(140)を備え、前記少なくとも1つの第1の部材(110)および/または前記少なくとも1つの第2の部材(120)は、前記少なくとも1つの回転軸(140)を中心に回転可動である、請求項1に記載の調整式レバー(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの調整部材(130)は、少なくとも1つの第1のねじ(130)または少なくとも1つの第1の偏心ねじ(130)、であり、前記少なくとも1つの第1のねじ(130)または前記少なくとも1つの第1の偏心ねじ(130)は、第1のヘッド(131)を備える、請求項1または2に記載の調整式レバー(100)。
【請求項4】
少なくとも1つの第1の穴(121)および少なくとも1つの固定要素(115)を備え、前記少なくとも1つの固定要素(115)は、前記少なくとも1つの第1の穴(121)と協働して、前記第1の位置(101)と前記第2の位置(102)との間の調整した位置(103)に前記少なくとも1つの第1の部材(110)に対して前記少なくとも1つの第2の部材(120)を定着させるように、および/または前記第1の位置(101)と前記第2の位置(102)との間の調整した位置(103)に前記少なくとも1つの第2の部材(120)に対して前記少なくとも1つの第1の部材(110)を定着させるように、構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の調整式レバー(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の穴(121)は、第1の先端(127)および第2の先端(128)を備え、前記第1の位置(101)では、前記少なくとも1つの調整部材(130)は、前記第2の先端(128)よりも前記第1の先端(127)から近く、前記第2の位置(102)では、前記少なくとも1つの調整部材(130)は、前記第1の先端(127)よりも前記第2の先端(128)から近い、請求項4に記載の調整式レバー(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の穴(121)は、前記少なくとも1つの調整部材(130)上に設けられ、前記少なくとも1つの第1の穴(121)は、楕円形状を有している、請求項5に記載の調整式レバー(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの固定要素(115)は、少なくとも1つの第2のねじ(111)および少なくとも1つの第2の穴(112)を備える、請求項4に記載の調整式レバー(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の部材(120)は、前記少なくとも1つの調整部材(130)または前記第1のヘッド(131)、を受容するように構成されている受容部材(123)または受容細長穴(123)、を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の調整式レバー(100)。
【請求項9】
前記受容部材(123)または受容細長穴(123)は、前記少なくとも1つの調整部材(130)または前記第1のヘッド(131)、を受容するように構成されている、請求項8に記載の調整式レバー(100)。
【請求項10】
前記受容部材(123)または受容細長穴(123)は、両口レンチ(123)、両口スパナ(123)、U字形開口レンチ(123)、および/または少なくとも1つの調整部材対応栓(123)または第1のヘッド対応栓(123)、である、請求項8または9に記載の調整式レバー(100)。
【請求項11】
前記調整式レバー(100)は、ラック(100)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の調整式レバー(100)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかによる少なくとも1つの調整式レバー(100)を備える少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット(200)。
【請求項13】
トゥールビヨン機構の少なくとも1つのブレーキ要素(240)に掛かる力を調整するための調整方法であって、ブレーキ力を有する前記ブレーキ要素(240)のブレーキ力を調整可能にしている、少なくとも1つの調整部材(130)を備え、
少なくとも1つの調整部材(130)による、第1の位置(101)と第2の位置(102)との間での少なくとも1つの第1の部材(110)に対する少なくとも1つの第2の部材(120)の位置の調整、および/または第1の位置(101)と第2の位置(102)との間での前記少なくとも1つの第2の部材(120)に対する前記少なくとも1つの第1の部材(110)の位置の調整、を含む、調整方法。
【請求項14】
前記位置の調整後に、前記少なくとも1つの第1の部材(110)を前記少なくとも1つの第2の部材(120)に固定し、および/または前記少なくとも1つの第2の部材(120)を前記少なくとも1つの第1の部材(110)に固定する、ことを含む、請求項13に記載の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明および開示は、時計のムーブメントに関し、例えば、トゥールビヨン・ユニットを備え、さらにバランス停止機構を備えた腕時計のムーブメントに関する。詳細には、本発明および開示は、トゥールビヨン機構の調整式レバーおよび調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
時計の中には、時計の針をセットするための設定デバイス、および枢動ピンを中心に枢動可能な円形のテンプ輪を備えたものがある。
【0003】
場合によっては、テンプ輪は、テンプ輪に当接するように枢動するスプリング・アームによって拘束されており、針合わせの作業終了後、スプリング・アームをテンプ輪から離れるように枢動させる作用は、テンプ輪をその拘束された状態から解放する。
【0004】
トゥールビヨンを搭載した時計では、このようなテンプ輪の拘束作用を利用することはできないが、それはブレーキ力が強すぎるかまたは弱すぎるからである。そのため、時計の設定デバイスを作動させたときに、緩すぎたり強すぎたりすることなく、テンプ輪の枢動運動を容易に阻止することが可能なトゥールビヨンを提供する必要がある。
【0005】
確かに、テンプ輪に掛かる力が緩すぎると、トゥールビヨンがさらに移動して機構に損傷を与える可能性があり、また、掛かる力が強すぎると、トゥールビヨンがずれてしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明および開示の特定の目的は、少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニットを止めるためのトゥールビヨン機構の調整式レバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記調整式レバーは、
― 作動するように構成されている少なくとも1つの第1の部材と、
― 少なくとも1つのブレーキ要素を作動させるように構成されている少なくとも1つの第2の部材と、
― 第1の位置と第2の位置との間で前記少なくとも1つの第1の部材に対して前記少なくとも1つの第2の部材の位置を調整するように、および/または第1の位置と第2の位置との間で前記少なくとも1つの第2の部材に対して前記少なくとも1つの第1の部材の位置を調整するように、構成されている、少なくとも1つの調整部材と、を備える。
【0008】
このように、この構成は、前記調整式レバーを介して、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整することを可能にする。
【0009】
一実施形態によれば、前記調整式レバーは、前記少なくとも1つの第1の部材と前記少なくとも1つの第2の部材との間の前記少なくとも1つの第1の部材上におよび/または前記少なくとも1つの第2の部材上に、少なくとも1つの回転軸を備え、前記少なくとも1つの第1の部材および/または前記少なくとも1つの第2の部材は、前記少なくとも1つの回転軸を中心に回転可動である。
【0010】
このように、この構成は、前記調整式レバーが前記少なくとも1つの回転軸を中心に回転したときに、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整することが可能である。
【0011】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの調整部材は、少なくとも1つの第1のねじ、好ましくは少なくとも1つの第1の偏心ねじ、であり、前記少なくとも1つの第1のねじ、好ましくは前記少なくとも1つの第1の偏心ねじは、第1のヘッドを備える。
【0012】
このように、この構成は、前記少なくとも1つの調整部材を動かすことにより、好ましくは、前記少なくとも1つの第1の偏心ねじを螺合させることにより、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整することが可能である。
【0013】
一実施形態によれば、前記調整式レバーは、少なくとも1つの第1の穴および少なくとも1つの固定要素を備え、少なくとも1つの固定要素は、前記少なくとも1つの第1の穴と協働して、前記第1の位置と前記第2の位置との間の調整した位置に前記少なくとも1つの第1の部材に対して前記少なくとも1つの第2の部材を定着させるように、および/または前記第1の位置と前記第2の位置との間の調整した位置に前記少なくとも1つの第2の部材に対して前記少なくとも1つの第1の部材を定着させるように、構成されている。
【0014】
このように、この構成は、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整し、前記調整した位置を定着させることを可能にする。
【0015】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1の穴は、第1の先端および第2の先端を備え、前記第1の位置では、前記少なくとも1つの調整部材は、前記第2の先端よりも前記第1の先端から近く、前記第2の位置では、前記少なくとも1つの調整部材は、前記第1の先端よりも前記第2の先端から近い。
【0016】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1の穴は、前記少なくとも1つの調整部材上に設けられ、好ましくは、前記少なくとも1つの第1の穴は、楕円形状を有している。
【0017】
一実施形態によれば、少なくとも1つの固定要素は、少なくとも1つの第2のねじおよび少なくとも1つの第2の穴を備える。
【0018】
このように、それらの構成の1つは、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整し、前記調整した位置を定着させることを可能にする。
【0019】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの第2の部材は、前記少なくとも1つの調整部材、好ましくは前記第1のヘッド、を受容するように構成されている受容部材、好ましくは受容細長穴、を備える。
【0020】
一実施形態によれば、前記受容部材、好ましくは受容細長穴は、前記少なくとも1つの調整部材、好ましくは前記第1のヘッド、を受容するように構成されている。
【0021】
一実施形態によれば、前記受容部材、好ましくは受容細長穴は、両口レンチ、両口スパナ、U字形開口レンチ、および/または少なくとも1つの調整部材対応栓、好ましくは第1のヘッド対応栓、である。
【0022】
このように、これらの構成のうちの1つは、第1の位置と第2の位置との間で前記少なくとも1つの第1の部材の位置および/または前記少なくとも1つの第2の部材の位置を調整することによって、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整することを可能にする。
【0023】
一実施形態によれば、前記調整式レバーは、ラックである。
【0024】
このように、この構成は、前記調整式レバーを介して前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整することを可能にする。
【0025】
本発明は、本発明の態様による少なくとも1つの調整式レバーを備える少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニットに関する。
【0026】
このように、この構成は、前記調整式レバーを介して前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニットの前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整することを可能にする。
【0027】
本発明は、トゥールビヨン機構の少なくとも1つのブレーキ要素に掛かる力を調整するための調整方法に関し、前記調整方法は、少なくとも1つの調整部材による、第1の位置と第2の位置との間での前記少なくとも1つの第1の部材に対する前記少なくとも1つの第2の部材の位置の調整、および/または第1の位置と第2の位置との間での前記少なくとも1つの第2の部材に対する前記少なくとも1つの第1の部材の位置の調整、を含む。
【0028】
このように、この調整方法は、前記調整式レバーを介して、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整することを可能にする。
【0029】
一実施形態によれば、前記調整方法は、前記位置の調整後に、前記少なくとも1つの第1の部材を前記少なくとも1つの第2の部材に固定し、および/または前記少なくとも1つの第2の部材を前記少なくとも1つの第1の部材に固定する、ことを含む。
【0030】
このように、この調整方法は、前記少なくとも1つのブレーキ要素のブレーキ力を調整し、前記位置を第1の位置と第2の位置との間に固定することを可能にする。
【0031】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、態様、および利点は、以下の図面に関連して、例示として、また限定するものとしてではなく与えられた、以下の発明を実施するための形態から明らかになってくるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】少なくとも1つのトゥールビヨン・ブロック271および少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200を含むムーブメントを示す図である。
図2】少なくとも1つのトゥールビヨン・ブロック271および少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200を含むムーブメントを示す図である。
図3】一実施形態による、少なくとも1つの調整式レバー100の分解図である。
図4】一実施形態による、少なくとも1つの巻き機構290を介して作動する前記少なくとも1つの調整式レバー100を示す図である。
図5】一実施形態による、第1の位置101と第2の位置102との間で、少なくとも1つの第1の部材110に対して少なくとも1つの第2の部材120を調整する少なくとも1つの調整部材130を表す図である。
図6】一実施形態による、第1の位置101と第2の位置102との間で、少なくとも1つの第1の部材110に対して少なくとも1つの第2の部材120を調整する少なくとも1つの調整部材130を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1および図2において、ムーブメントが示される。ムーブメントは、少なくとも1つのトゥールビヨン・ブロック271および少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200を備える。前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200は、少なくとも1つのキャリッジ250に回転式に装着された少なくとも1つのテンプ輪220を備える。前記少なくとも1つのテンプ輪220は、ガンギ車(図示せず)に係合することができる。前記少なくとも1つのキャリッジ250には、例えば、ダイアル上で秒を示すように構成されている少なくとも1つの秒針210がさらに備えられている。
【0034】
前記少なくとも1つのキャリッジ250には、回転式に結合されるかまたは回転式に固定された少なくとも1つのクラッチ277と、少なくとも1つの伝達要素245とがさらに備えられている。前記少なくとも1つの伝達要素245は、少なくとも1つのクラッチ277においてまたはクラッチ277によって軸方向に変位可能であるかまたは誘導される。
【0035】
前記少なくとも1つのクラッチ277が作動すると、前記少なくとも1つのクラッチ277のそれぞれの動きが前記少なくとも1つの伝達要素245に伝達される。
【0036】
このように、前記少なくとも1つの伝達要素245は、少なくとも1つのブレーキ要素240を押し付けることにより、前記少なくとも1つのブレーキ要素240の軸方向変位または軸方向変形をもたらすように構成されている。このように、前記少なくとも1つのキャリッジ250上に配置されている前記少なくとも1つのブレーキ要素240は、解除位置または解除状態から、前記少なくとも1つのブレーキ要素240が前記少なくとも1つのテンプ輪220の外縁に軸方向に係合する、制動位置または制動状態へ軸方向に変位可能であるかまたは変形可能である。このように、前記少なくとも1つのブレーキ要素240は、制動トルクまたはブレーキ力を前記少なくとも1つのテンプ輪220に掛けるように、また前記少なくとも1つのテンプ輪220が回転するまたは振動するのを止める、または妨げるように構成されている。
【0037】
引き起こされ得る緩みが過度にならないように、時計の設定デバイスが作動するとテンプ輪220が阻止され得るように、少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200に掛かるブレーキ力が分配されなければならないので、前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200の静止は、極めて重要であり得る。
【0038】
確かに、テンプ輪220に掛かる力があまりにも緩い場合、前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200がさらに動き、機構に損傷を与える可能性があり、掛かる力があまりにも強い場合、前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200がずれる可能性があり、機構も損傷する可能性がある。
【0039】
テンプ輪220の静止をもたらすために、本発明の一態様による前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200は、前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200を止めるためのトゥールビヨン機構の少なくとも1つのブレーキ要素240および少なくとも1つの調整式レバー100、好ましくは少なくとも1つのラック100、を備え得るよい。
【0040】
図1に示されるように、前記少なくとも1つの調整式レバー100は、少なくとも1つの引き出し片295を介して作動するように構成されている少なくとも1つの第1の部材110と、前記少なくとも1つのブレーキ要素240を作動させるように構成されている少なくとも1つの第2の部材120と、少なくとも1つの調整部材130と、を備え得る。
【0041】
前記少なくとも1つの調整部材130は、第1の位置101と第2の位置102との間で、前記少なくとも1つの第1の部材110に対して前記少なくとも1つの第2の部材120の位置を調整するように、および/または第1の位置101と第2の位置102との間で、前記少なくとも1つの第2の部材120に対して前記少なくとも1つの第1の部材110の位置を調整するように構成され得る。前記少なくとも1つの第2の部材120が少なくとも1つの第1の部材110に対して調整され得るか、またはその逆も同様であるため、前記少なくとも1つのブレーキ要素240のブレーキ力が分配され得る。
【0042】
この調整は、トゥールビヨン機構の前記少なくとも1つのブレーキ要素240に掛かる前記力の前記調整を可能にする少なくとも1つの調整方法によりもたらされ得る。前記調整方法には、図3および図4に示されるように、少なくとも1つの調整部材130による、第1の位置101と第2の位置102との間での前記少なくとも1つの第1の部材110に対する前記少なくとも1つの第2の部材120の位置の調整および/または第1の位置101と第2の位置102と間での前記少なくとも1つの第2の部材120に対する前記少なくとも1つの第1の部材110の位置の調整が含まれ得る。
【0043】
具体的には、前記少なくとも1つの第2の部材120と前記少なくとも1つの第1の部材110との間で前記調整をもたらすために、前記調整式レバー100が、前記少なくとも1つの第1の部材110と前記少なくとも1つの第2の部材120との間に少なくとも1つの回転軸140を備えてもよく、または前記調整式レバー100が、図1に示されるように、前記少なくとも1つの第1の部材110上におよび/または前記少なくとも1つの第2の部材120上に少なくとも1つの回転軸140を備えてもよく、また、前記少なくとも1つの第1の部材110および/または前記少なくとも1つの第2の部材120が、前記少なくとも1つの回転軸140を中心として回転可動であってもよい。
【0044】
このように、この構成により、前記調整式レバー100が、前記少なくとも1つの回転軸140を中心に回ると、前記少なくとも1つのブレーキ要素240のブレーキ力を調整することが可能になる。
【0045】
この調整は、第1のヘッド131を有する、少なくとも1つの第1のねじ130、好ましくは少なくとも1つの第1の偏心ねじ130、であってもよい前記少なくとも1つの調整部材130を通して実現される。
【0046】
図1図3および図4に示すように、前記少なくとも1つの第2の部材120は、前記少なくとも1つの調整部材130、好ましくは前記第1のヘッド130、を受容するように構成されている、受容部材123、好ましくは受容細長穴123、を備え得る。より具体的には、前記受容部材123、好ましくは受容細長穴123は、両口レンチ123、両口スパナ123、U字形開口レンチ123、および/または少なくとも1つの調整部材対応栓123、好ましくは第1のヘッド対応栓123、であってもよい。
【0047】
図2に示されるように、少なくとも1つの巻き機構290が引き出されると、前記少なくとも1つの引き出し片295が前記少なくとも1つの第1の部材110に噛み合う。前記少なくとも1つのブレーキ要素240のブレーキ力を調整するために、前記少なくとも1つの調整部材130が前記少なくとも1つの第1の部材110に向けられおよび/または螺合してもよく、前記第1のヘッド131が、前記受容部材123内で動いてもよく、例えば、前記ブレーキ力が分配されるまで、むしろ前記少なくとも1つのブレーキ要素240が前記少なくとも1つのトゥールビヨン・ユニット200を静止させるまで、前記少なくとも1つの第1の部材110に対して前記少なくとも1つの第2の部材120をずらしてもよい。
【0048】
この2つの極限位置、例えば前記第1の位置101および前記第2の位置102が図3に示される。確かに、前記第1のヘッド131には、前記第2の位置102に対して+π/4に向いた少なくとも1つの溝があり得、前記少なくとも1つの溝は、例えば、前記第1の位置101に対して-π/4に向いていてもよい。
【0049】
前記少なくとも1つのブレーキ要素240のブレーキ力が調整される場合、前記調整方法には、前記少なくとも1つの第1の部材110の前記少なくとも1つの第2の部材120への固定および/または前記少なくとも1つの第2の部材120の前記少なくとも1つの第1の部材110への固定が含まれ得る。
【0050】
確かに、前記調整式レバー100は、少なくとも1つの第1の穴121と、少なくとも1つの第2のねじ111および少なくとも1つの第2の穴112を備える少なくとも1つの固定要素115と、を備え得る。前記少なくとも1つの第1の穴121と協働するように構成されている前記少なくとも1つの固定要素115は、前記少なくとも1つの第1の部材120の前記少なくとも1つの第1の部材110への固定によって、前記第1の位置101と前記第2の位置102との間の調整した位置103に、前記少なくとも1つの第1の部材110に対して前記少なくとも1つの第2の部材120を定着させるように構成され得る。あるいは、前記少なくとも1つの第1の部材110を前記少なくとも1つの第2の部材120に固定することによって、前記第1の位置101と前記第2の位置102との間の調整した位置103に、前記少なくとも1つの第2の部材120に対して前記少なくとも1つの第1の部材110を定着させることが可能であってもよい。
【0051】
図3では、楕円形状であるのが好ましい前記少なくとも1つの第1の穴121が、前記少なくとも1つの第2の部材120上に設けられてもよく、前記少なくとも1つの第1の穴121が、第1の先端127および第2の先端128を備えていてもよく、前記第1の位置101では、前記少なくとも1つの調整部材130が前記第2の先端128よりも前記第1の先端127から近くてもよく、前記第2の位置102では、前記少なくとも1つの調整部材130が、前記第1の先端127よりも前記第2の先端128から近くてもよい。
【符号の説明】
【0052】
100 調整式レバー、ラック
101 第1の位置
102 第2の位置
103 調整した位置
110 第1の部材
111 第2のねじ
112 第2の穴
115 固定要素
120 第2の部材
121 第1の穴
123 受容部材、受容細長穴、両口レンチ、両口スパナ、U字形開口レンチ、調整部材対応栓、第1のヘッド対応栓
127 第1の先端
128 第2の先端
130 調整部材、第1のねじ、第1の偏心ねじ
131 第1のヘッド
140 回転軸
200 トゥールビヨン・ユニット、テンプ輪
240 ブレーキ要素
245 伝達要素
250 キャリッジ
271 トゥールビヨン・ブロック
277 クラッチ
290 巻き機構
295 引き出し片
図1
図2
図3
図4
図5
図6