(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】眼内生理センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20230331BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
A61B3/16
A61B5/00 N
A61B5/00 102A
(21)【出願番号】P 2021149948
(22)【出願日】2021-09-15
(62)【分割の表示】P 2020116837の分割
【原出願日】2014-03-10
【審査請求日】2021-09-28
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502373503
【氏名又は名称】グローコス コーポレーション
【住所又は居所原語表記】229 Avenida Fabricante,San Clemente,California 92672 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド エス. ハフナー
(72)【発明者】
【氏名】ラジ-ウル エム. ハク
(72)【発明者】
【氏名】ケンサル ディー. ワイズ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-520119(JP,A)
【文献】特表2009-535102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0269573(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0160609(US,A1)
【文献】特表2013-505107(JP,A)
【文献】国際公開第2012/146740(WO,A1)
【文献】特表2009-532113(JP,A)
【文献】特表2012-525922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
A61B 5/00 - 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
防湿バリアシールを用いて前記ハウジングの第一端に結合されるように構成されたセンサ部であって、生物の生理特性を測定するように構成された検知モジュール
と、前記ハウジングに結合されるように構成されたプラグ部と、前記センサ部が前記ハウジングに結合されたときに前記ハウジングから延在するヘッド部とを含むセンサ部と、
前記ハウジングの内部に配置されたアンテナと、
を含む埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項2】
防湿バリアシールを用いて前記ハウジングの第二端に結合されるように構成された先端キャップをさらに含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項3】
前記防湿バリアシールは、前記ハウジングと前記センサ部との間の内部接合部の一つ以上のOリングを含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項4】
前記防湿バリアシールは、前記ハウジングと前記センサ部との間の外部接合部に施された材料を含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項5】
前記検知モジュールは、眼圧検知モジュールを含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項6】
前記眼圧検知モジュールは、微小電気機械システム(MEMS)可変コンデンサを含む請求項5に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項7】
前記ハウジング内に、キャリア部材上に装着された複数の電気構成要素をさらに含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項8】
前記センサ部は、前記キャリア部材と物理的に嵌合するように構成され、前記センサ部は、嵌合時に前記キャリア部材に電気的に接続するように構成される請求項7に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項9】
前記センサ部は、前記キャリア部材を受け取るように構成されたカットアウトを含む請求項8に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項10】
前記センサ部は、前記検知モジュールから前記センサ部が前記ハウジングに結合されたときに前記検知モジュールが複数の電気構成要素のうちの少なくとも一つに電気的に接続される接合部まで前記センサ部のボディを通って延在する一つ以上のフィードスルー導体を含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項11】
前記センサ部は、前記センサ部が前記ハウジングに結合されたときに、前記ハウジング内に完全に凹設される請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項12】
前記ハウジングは、電気構成要素の保護のための防湿バリアを提供するために、セラミックで形成される請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項13】
前記アンテナは、一つ以上の電気構成要素を取り巻く請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項14】
前記アンテナは、外部デバイスへ測定値をワイヤレスで伝送し、前記外部デバイスからバッテリモジュールを充電するための電力をワイヤレスで受け取るように構成される請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項15】
前記検知モジュールに一定の間隔で測定を行わせるように構成されたコントローラモジュールをさらに含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項16】
前記測定の結果は、測定結果記憶モジュールに格納される前にデータ圧縮アルゴリズムを用いて圧縮される請求項
15に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項17】
前記センサ部は、ガラスで形成される請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項18】
一つ以上の電気構成要素に電力を供給するように構成されたバッテリモジュールをさらに含み、前記バッテリモジュールは、前記眼内生理測定デバイスに少なくとも約90日間電力を供給するのに十分なエネルギーを含む請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【請求項19】
前記デバイスは、人間の眼の毛様体上/脈絡膜上スペースに埋め込まれるように構成される請求項1に記載の埋込可能な眼内生理測定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術分野は、一般に、埋込可能な生理センサに関する。特に、本発明の実施形態は、一般に、眼圧およびグルコース濃度等の生理特性を測定するための埋込可能な眼内センサに関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障、糖尿病などを含む一部の病気は、早期に診断し、および/または効果的にモニタリングすれば、より効果的に治療することができる。例えば緑内障は、失明の主な原因である。この病気は、眼圧の上昇により視神経を損傷し、治療しないと完全失明に至ることもある。しかし、眼圧上昇を早期に検出し適切に管理すれば、失明のリスクを減らすことができる。同様に糖尿病も、血中グルコース濃度の上昇を早期に検出し、例えば連続実時間データを利用して積極的に管理すればより効果的に治療できる、深刻な状態である。
【0003】
そのため、眼圧およびグルコース濃度等の生理特性をモニタリングするための、人体内埋込用の診断用生理センサが開発されている。このような埋込可能センサを用いて、ある生理状態を効果的に診断および治療することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
埋込可能な眼内生理測定デバイスを開示する。一部の実施形態では、埋込可能な眼内生理測定デバイスは、一つ以上の電気構成要素を収めるように構成された管状メインボディと、防湿バリアシールを用いて該管状メインボディの第一端に挿入されるように構成されたセンサキャップであって、生物の生理特性を測定するように構成された検知モジュールを含むセンサキャップと、を含む。防湿バリアシールは、管状メインボディとセンサキャップとの間の内部接合部に一つ以上のOリングを、または管状メインボディとセンサキャップとの間の外部接合部に施された材料を含みうる。加えて、管状メインボディは、一つ以上の電気構成要素の保護のための防湿バリアを提供するために、セラミックで形成されることができる。センサキャップは、ガラスで形成することができる。埋込可能な眼内生理測定デバイスは、防湿バリアシールを有する管状メインボディの第二端に挿入されるように構成された先端キャップも含むことができる。一部の実施形態では、埋込可能な眼内生理測定デバイスは、人間の眼の毛様体上/脈絡膜上スペースに埋め込まれるように構成される。
【0005】
一部の実施形態では、検知モジュールは、眼圧検知モジュールを含む。埋込可能な眼内生理測定デバイスは、検知モジュールに一定の間隔で測定を行わせるように構成されたコントローラモジュールを含むことができる。測定結果は、測定結果記憶モジュールに格納される前に、データ圧縮アルゴリズムを使用して圧縮することができる。デバイスは、測定値を外部デバイスにワイヤレスで伝送するように構成されたアンテナを含むことができる。
【0006】
埋込可能な眼内生理測定デバイスは、眼内生理測定デバイスに少なくとも約90日間電力を供給するのに十分なエネルギーを含むバッテリモジュールも含むことができる。バッテリモジュールに充電するための電力を外部デバイスからワイヤレスで受け取るために、アンテナを用いることができる。
【0007】
デバイス、システムおよび方法の様々な実施形態および特徴を、以下の図面を参照して説明する。図面、関連の記述および特定の実装は、本発明の実施形態を説明するために提供するものであり、本開示の範囲を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】人間の眼の中に位置する埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図1B】虹彩角膜角の強膜組織に包埋された、線維柱帯網組織を通したアンカーにより固定された埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図1C】毛様体/脈絡膜と強膜との間の毛様体上/脈絡膜上スペース内にアンカーにより固定された埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図2】電気化学燃料電池を含む埋込可能な眼内生理センサを示したブロック図である。
【
図3】電気化学燃料電池からの出力に基づいて生理特性が測定される、埋込可能な眼内生理センサを示したブロック図である。
【
図4】電気化学燃料電池および/または太陽電池を含む埋込可能な眼内生理センサを示したブロック図である。
【
図5A】緑内障の治療を助けるために房水の排出も促進する、埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図5B】
図5Aのデバイスで使用できる回路キャリア部材を示した概略図である。
【
図6】眼内に埋め込まれた
図5Aのデバイスを示した概略図である。
【
図7】アンカー部材を有する埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図8】アンカー部材と流体チャネルとを有する埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図9】アンカー部材と生理センサの電子機器ハウジング部を通り抜けない流体チャネルとを有する埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図10】アンカー部材と薬物貯蔵部とを有する埋込可能な眼内生理センサを示した概略図である。
【
図11】送達デバイスが前房を横断して前進させられている、眼の概略横断面図である。
【
図12】送達デバイスが前房を横断して前進させられている、眼の概略横断面図である。
【
図13】本明細書に開示される実施形態による送達デバイスを示した図である。
【
図15】本明細書に開示される実施形態による送達デバイスを示した図である。
【
図16】送達デバイスの一実施形態の横断面図である。
【
図17】送達デバイスの一実施形態の横断面図である。
【
図18】送達デバイスの一実施形態の横断面図である。
【
図19】送達デバイスおよび関連するセンサ/シャントの一実施形態を示した横断面図である。
【
図20】眼圧センサの実施形態例を示したブロック図である。
【
図21】眼圧センサ用のハウジングアセンブリのメインハウジング部の実施形態例を示した斜視図である。
【
図22】毛様体/脈絡膜と強膜との間の毛様体上/脈絡膜上スペース内の眼圧センサの位置を示した図である。
【
図23】メインハウジングを透明なものとして示した
図21の複製物を示した図である。
【
図24】メインハウジングが除去された
図21の複製物を示した図である。
【
図25】アンテナが除去された
図24の複製物を示した図である。
【
図26】湾曲したハウジングを有する眼圧センサの別の実施形態例を示した図である。
【
図27】ハウジングのメインボディに少なくとも部分的に挿入されるように設計された非凹センサキャップを示した上面斜視図および横断面図である。
【
図28】非凹センサキャップを示した下面斜視図である。
【
図29】眼圧センサのメインハウジングに挿入された非凹センサキャップを示した二つの横断面図である。
【
図30】眼圧センサのメインハウジングに挿入された凹センサキャップの実施形態例を示した横断面図である。
【
図31】接合部にシールを形成する前(
図31A)および後(
図31B)の、ハウジングのメインボディとセンサキャップとの間の外部接合部の一実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
緑内障を検出しまたは進行をモニタリングするためには、患者の眼の中の眼圧を効果的にモニタリングする必要がある。眼圧は、例えば眼圧計を使用して非侵襲的に測定することができる。眼圧計は、非侵襲的であるという利点がある一方で、一般に高価であり、携帯できず、熟練した操作が必要な専門機器であるという欠点がある。したがって、実際には、眼圧計を使用して数日または数週間に一度を上回る時間分解能で患者の眼の中の眼圧を効果的にモニタリングすることは困難である。しかし、眼圧は比較的短期間で大きく変動しうるため、そのような比較的低頻度の眼圧測定では、患者の緑内障リスクの完全または正確な状況を知ることができない可能性がある。したがって、眼圧をより高頻度で、さらには連続的に測定できることが有利であろう。
【0010】
図1Aは、人間の眼100の中に位置する埋込可能な眼内生理センサ200を示した概略図である。参考のため、
図1では眼100の様々な解剖学的特徴の名称を表示している。例えば
図1Aは、硝子体液102、虹彩104、水晶体106、瞳孔108、前房および房水110、角膜112、網膜114、ならびに視神経116を示す。
図1は、前眼房内に位置する眼内生理センサ200も示す。眼内生理センサ200は、例えば眼の中の眼圧を測定することができる。眼内生理センサ200は、加えてまたは代わりに、本明細書に記載されるいくつかの他の生理特性のいずれかを測定するように設計することができる。眼内生理センサ200は、必ずしも縮尺通りには描かれていないことを理解されたい。
【0011】
加えて、センサ200は、眼の中のいくつかの異なる位置に置くことができる。例えば、眼内生理センサ200は、特定の用途に応じて、強膜または虹彩を含むがこれに限定されない眼の任意の適切な解剖学的特徴に固定して取り付けまたは定着させることもできる。さらに後述するように、眼内生理センサ200は、生理的房水流出経路にまたは内部に固定して取り付けまたは定着させることもできる。生理的房水流出経路は、線維柱帯網とシュレム管とを含む「従来の」経路と;毛様体と、強膜と毛様体上/脈絡膜上スペースとを含む「ぶどう膜強膜」経路と、を含む。
図1Bは、虹彩角膜角119の強膜組織118に包埋された、線維柱帯網組織117を通したアンカー201により固定されたセンサ200の位置を示す。
【0012】
図1Cは、毛様体/脈絡膜と強膜118との間の毛様体上/脈絡膜上スペース内にアンカー201により固定されたセンサ200の位置を示す。毛様体115は、脈絡膜115aと連続する。毛様体上/脈絡膜上スペースは、通常は毛様体/脈絡膜と強膜との間の境界面の潜在的スペースである。このスペースは、センサ200および/またはアンカー201等のインプラントを収容するために開くことができる。したがって毛様体上/脈絡膜上スペースが、ハッチング121により
図1Cに概略的に特定される。
図1Cは、眼内生理センサ200(前房110内に部分的にまたは完全に位置してもよいし、または毛様体上/脈絡膜上スペース121内に部分的にまたは完全に位置してもよい)およびアンカー201の配置の一例を示す。他の実施形態では、毛様体上/脈絡膜上スペース内に埋め込まれる生理センサは、
図5Aに示されるセンサ500のように構成されてもよい。
【0013】
あるいは、センサ200は、眼内レンズなど、他の何らかの眼インプラントに取り付けられてもよい。位置に関わらず、センサの角膜内皮との接触を回避するように注意しなければならない。
【0014】
眼内生理センサ200は、加えてまたは代わりに、房水110のグルコース濃度を測定してもよい。糖尿病による合併症を治療または防止する手段として、人体内のグルコース濃度を測定する必要がある。グルコースは通常、血液または尿から測定される。間質液からグルコースを測定するいくつかの埋込可能なグルコースセンサが開発されている。しかし、身体がこのようなインプラントに対して負の免疫応答を有し、それによりセンサの性能が経時的に劣化する可能性がある。しかし、眼、特に前眼房は、体内の免疫学的特権部位である。したがって、眼の中のグルコースを測定するための埋込可能なセンサは、身体の免疫学的特権部位でない部分のグルコース濃度を測定するために作られた他の埋込可能なセンサに勝る利点を持ちうる。加えて、房水内のグルコース濃度は血中グルコース濃度と同一でないかもしれないが、両者は相関付けられるため、房水のグルコース濃度の測定結果から血中グルコース濃度を予測することができる。
【0015】
眼圧センサ等の一部の実施形態では、センサ部を完全に毛様体上/脈絡膜上スペース内に埋め込むことが考えられる。一部の実施形態では、わずかなレベルの線維化は、埋め込まれたセンサの良好な機能を妨げることはないであろう。
【0016】
既に述べたように、一部の実施形態では、眼内生理センサ200は、眼圧および房水のグルコース濃度の両方を測定する。これは、糖尿病を診断および/または治療するためにグルコース濃度の測定結果を用いることができるために有利でありうる。一方で、糖尿病患者は、緑内障を発症するリスクも高い。したがって、眼圧およびグルコース濃度の測定が役立つと考えられる患者集団は有意に重なりうる。
【0017】
一部の実施形態では、眼内生理センサ200は、人体内に見られる物質を例えば電力に変換する燃料電池を用いて完全にまたは部分的に電力が供給される。例えば、一部の実施形態では、燃料電池は、房水に溶解されたグルコースを使用して電気を産出する電気化学燃料電池である。したがって、グルコース自体が、生理センサ200に電力を供給するための再生可能燃料として働く。
【0018】
対照的に、他の埋込可能な生理センサは、その電力をバッテリまたは外部源に完全に依存していてもよい。しかし、バッテリ式の埋込可能な生理センサの場合、バッテリの容量によって、このような埋込可能なセンサの有用寿命が制限される傾向がある。バッテリにより提供される有用寿命が所与の応用に適切でない場合は、埋込可能なセンサを置き換える必要があるだろう。埋込可能なセンサの挿入が侵襲プロセスであり、様々なリスクを伴った手術が必要になりうることから、これでは不利である。あるいは、(例えば外部的に供給される電力を用いた実時間動作のため、または内部バッテリの再充電のために)電力を外部デバイスに依存する埋込可能な生理センサもある。例えば、埋込可能な生理センサは、誘導結合または外部デバイスからのRFエネルギーにより、外部的に電力を供給されてもよい。しかし、このような外部電源によって、埋込可能な生理センサの有用寿命のバッテリへの依存は除去または低減されうるものの、外部電源によって他の望ましくない運用限界も導入されうる。例えば、センサが外部的に電力を供給されている間しか測定ができない場合には、このような埋込可能なセンサによる測定の時間分解能が制限されうる。
【0019】
したがって、動作電力をバッテリまたは外部デバイスに完全に依存するセンサより長い有用寿命を有すると期待できることから、燃料電池式の眼内生理センサ200が有利である。加えて、このような埋込可能なセンサを用いて、測定を相対的により頻繁に、または連続的に行うこともできるであろう。
【0020】
図2は、埋込可能な眼内生理センサ200を示したブロック図である。一部の実施形態では、埋込可能な眼内生理センサ200は、電気化学燃料電池210と、電力供給電子機器220とを含む。埋込可能な眼内生理センサ200は、電気化学燃料電池210により充電されるバッテリ240も含んでもよい。一部の実施形態では、埋込可能な眼内生理センサ200は、生理特性検知モジュール250と、測定結果記憶モジュール260と、コントローラモジュール270と、アンテナ285を有する伝送器モジュール280とを含む。埋込可能な眼内生理センサ200の構成要素の各々は、生体適合性ハウジング290内に完全にまたは部分的に収められればよい。埋込可能な生理センサ200は、本明細書においては主に眼内応用に関して記載されるが、生物の眼以外の部分に使用されてもよいことを理解されたい。
【0021】
燃料電池を用いない生理センサの実施形態では、バッテリ、またはバッテリもしくは蓄電コンデンサと組み合わせた太陽電池等のオンボード電力供給源が存在してもよい。バッテリは、外部デバイス(例えば生理測定結果をダウンロードするために使用されるデバイス)により再充電できる充電式バッテリとすることができる。燃料電池を用いない生理センサの他の実施形態では、誘導またはRF手段によって電力が提供されてもよい。燃料電池を用いない生理センサのさらに他の実施形態では、センサは、参照により全体として本明細書に組み込まれるP-Jチェン(P-J Chen)他著、「微細製造された埋込可能パリレンベースワイヤレス受動眼圧センサ(Microfabricated Implantable Parylene-Based Wireless Passive Intraocular Pressure Sensors)」、ジャーナル・オブ・マイクロエレクトロメカニカル・システム(Journal of Microelectromechanical Systems)(2008年)、第17巻に説明されるもの等の、外部機器により照会される受動共振回路の構成要素を含んでもよい。
【0022】
生理特性検知モジュール250は、目的の生理特性の測定を行う構成要素である。例えば、生理特性検知モジュール250は、測定対象の生理特性を量的に表わす信号(例えば電気信号)を出力する。本明細書に記載するように、生理特性検知モジュール250は、眼圧を測定するように設計することができる。眼圧を測定するためのいくつかの異なる眼圧測定デバイスがある。参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,678,065号に、いくつかのセンサが記載されている。生理特性検知モジュール250は、これらまたは将来開発されるデバイスのいずれかを利用することができる。あるいは、生理特性検知モジュール250は、眼内グルコース濃度を測定するように設計することもできる。さらに他の実施形態では、生理特性検知モジュール250は、バイオマーカ物質が示しうる対応する生理状態とともに列挙した表1のバイオマーカ物質のいずれかを測定するように設計することができる。
【0023】
【0024】
一部の実施形態では、埋込可能な生理特性検知モジュール250は、生理センサ200の温度補正のための温度センサを含んでもよく、および/または生理センサ200を酸素分圧に関して補正するための酸素センサを含んでもよい。
【0025】
一部の実施形態では、眼内生理センサ200は、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,653,424号および米国特許出願公開第2007/0030443号に開示されるような蛍光センサを含んでもよい。これらの実施形態では、埋め込まれたセンサ200は、オンボード電力供給源が必要なくてもよく、外部デバイスにより照会されてもよい。
【0026】
一部の実施形態では、埋込可能な眼内生理センサ200は、生理特性検知モジュール250の複数の実現例を含む。検知モジュール250の各実現例は、異なる生理特性を測定するために用いることができる。本明細書に記載するように、一部の実施形態では、生理センサ200は、眼圧およびグルコース濃度を測定するための二つの検知モジュール250を含む。ここでも、生理特性検知モジュール(単数または複数)250は、特定の用途で前述の物質または他の任意の目的の生理特性を測定するために、任意の既知のまたは将来開発されるデバイスを使用することができる。
【0027】
一部の実施形態では、生理特性検知モジュール250は、一定の間隔で測定を行うように(例えばコントローラモジュール270により)制御される。例えば検知モジュール250は、特定の用途に応じて、少なくとも1時間毎に、少なくとも15分毎に、少なくとも毎分、またはその他の間隔で測定を行うことができる。一部の実施形態では、生理特性検知モジュール250は、実質的に連続的に測定を行う。このようにして、生理特性が時間の関数としていかに変化するかにつき、より有用または完全な状況説明を提供するために、目的の生理特性に関する傾向データを収集することができる。あるいは、一部の実施形態では、エネルギー(例えばバッテリ寿命)を節約するために、一日を通してより低頻度で(例えば連続または15分毎に対して1日に4~6回)測定を行ってもよい。
【0028】
埋込可能な眼内生理センサ200は、生理特性検知モジュール250から外部デバイスに測定結果をワイヤレスで伝送するためのアンテナ285に通信可能に結合された、伝送器モジュール280も含んでもよい。一部の実施形態では、伝送器モジュール280は、同様に外部デバイスからの通信(例えば制御コマンド)を受けることができる送受信器モジュールにより置き換えられてもよい。既知のまたは将来開発される任意のタイプの適切な伝送器または送受信器デバイスを使用することができる。
【0029】
一部の実施形態では、生理特性検知モジュール250は、生理特性のレベルの関数として共振周波数を発現する電気回路を含み、外部デバイスを用いて共振周波数が決定されてもよい。この種の実施形態では、モジュール250は、ワイヤレス通信のためにアンテナを利用しうるが、伝送器は必ずしも利用しない(例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる、P-Jチェン(P-J Chen)他著、「微細製造された埋込可能パリレンベースワイヤレス受動眼圧センサ(Microfabricated Implantable Parylene-Based Wireless Passive Intraocular Pressure Sensors)」、ジャーナル・オブ・マイクロエレクトロメカニカル・システム(Journal of Microelectromechanical Systems)(2008年)、第17巻を参照)。一部の実施形態では、生理特性検知モジュール250および/または送信器モジュール280は、外部デバイスにワイヤレスで測定結果を伝送し、および/または外部デバイスから指示を受け取るために、光(例えば赤外線)エミッタおよび/または検出器を含んでもよい。
【0030】
送信器モジュール280は、例えば所定の間隔で、連続的に、またはデータが伝送される外部デバイスからのコマンドに応じて測定結果を伝送するように、(例えば、コントローラモジュール270により)制御されてもよい。一部の実施形態では、測定データが伝送される外部デバイスは、臨床医がダウンロードできるまで測定結果を格納するために患者が着用するデータロガーであってもよい。他の実施形態では、外部デバイスは、例えば測定結果記憶モジュール260により内部に格納された測定データを周期的にダウンロードするために臨床医が使用するハンドヘルド読み取りデバイスであってもよい。それから読み取りデバイスが、ダウンロードした測定結果を、処理および/または臨床医による分析のためにコンピュータに(例えばインターネットまたは他の何らか通信網を介して)伝送することができる。一部の実施形態では、送信器モジュール280は、患者が着用するインシュリンポンプにグルコース濃度測定結果を伝送する。このような測定結果は、患者の体内へのインシュリンの注入を制御するためにインシュリンポンプにより使用することができる。読み取りデバイスは、ダウンロードした測定結果を、ユーザインタフェースを介して患者に提供することもできる。グルコース濃度測定結果の場合には、例えば患者が自分の食事および/または運動を管理するために測定結果を使用することができる。
【0031】
埋込可能な眼内生理センサ200は、測定結果記憶モジュール260を任意に含んでもよい。測定結果記憶モジュール260は、例えば伝送器モジュール280を介して測定結果記憶モジュール260に通信可能に結合された外部デバイスにより取り出すことができるまで生理特性検知モジュール250からの測定結果を内部にロギングするために使用することができる。測定結果記憶モジュール260は、例えば固体電子メモリデバイスとすることができる。一部の実施形態では、生理センサ200は、例えば患者のベッドサイドに置かれた外部受信器に、例えば一度に一日分または他の期間分の測定結果(例えばIOP測定結果)をダウンロードするように構成される。毎日よりも多い頻度または少ない頻度でデータがダウンロードされてもよい。一部の実施形態では、データのダウンロードは自動プロセスである。測定データは、外部デバイスにダウンロードされると、患者の眼科医またはその他の管理医師への報告の準備のために、遠隔読取センターに転送されることができる。加えて、眼内生理センサ200は、生理測定結果のほかにまたは生理測定結果に加えてその他のデータを格納するために構成された記憶モジュールを含んでもよい。例えば記憶モジュールには、患者の電子病歴データまたは他の任意の個人データもしくは極秘データが取り込まれてもよい。一部の実施形態では、埋込可能な眼内デバイスは、生理検知能力を持たず、安全であるが容易にアクセスできる、免疫学的特権位置にデータを格納するための記憶モジュールを提供するために主に使用されてもよい。例えば記憶モジュールは、セキュリティ目的で患者に関連する識別情報を保ってもよい。本明細書に記載するように、この情報は、例えば埋め込まれたデバイスに照会するための外部読み取り器を使用してアクセスされてもよい。
【0032】
埋込可能な眼内生理センサ200は、コントローラモジュール270も含む。コントローラモジュール270は、例えば生理センサ200の他の構成要素の制御操作を行うために使用することができる。一部の実施形態では、コントローラモジュール270は、測定を行うよう生理特性検知モジュール250にコマンドを提供してもよい。コントローラモジュール270は、測定結果記憶モジュール260へのデータの書き込みおよび読み取り、ならびに伝送器モジュール280の操作を制御することもできる。加えて、コントローラモジュール270は、電気化学燃料電池210、電力供給電子機器220、およびバッテリ240の電力設定を制御することができる。以下にさらに記載するように、
図1に示される相互接続ラインは主に電力供給源接続を表す。しかし、センサ200の任意の全ての構成要素間(例えばコントローラモジュール270、生理特性検知モジュール250、測定結果記憶モジュール260、伝送器モジュール280、および/または電力供給電子機器220などの間)に必要に応じて信号および/またはコマンドラインを提供できることを理解されたい。
【0033】
コントローラモジュール270は、他の機能を行ってもよい。例えば、一部の実施形態では、コントローラモジュール270は、生理特性検知モジュール250により収集された測定結果のデータ処理タスクを行うことができるが、他の実施形態では、そのようなオンボード処理の電力要求を回避するために、測定結果をダウンロードした後に外部デバイスによりその種の任意の必要なデータ処理が行われてもよい。加えて、コントローラモジュール270は、収集された測定結果をモニタリングし、モニタリングされている生理特性が何らかの閾値に達した場合、またはそれ以外で即時の通知が必要であると考えられる場合に、アラーム信号を(例えば伝送器モジュール280を介して外部デバイスに)出力することができる。例えば、センサが潜在的に危険な低血糖値を検出した場合に、アラーム信号がトリガされればよい。コントローラモジュール270は、(より多くの測定結果を測定結果記憶モジュール260に格納できるように)測定データ圧縮を行うこともできる。加えて、コントローラモジュール270は、不使用時にシャットダウンするためまたは省電力状態に入るように、生理センサ200の他の構成要素(例えば伝送器モジュール480、測定結果記憶モジュール460、生理特性検知モジュール450など)にコマンドを発することができる。
【0034】
上に簡単に述べたように、埋込可能な眼内生理センサ200は、電気化学燃料電池210等の燃料電池を含むことができる。一部の実施形態では、電気化学燃料電池210は、グルコースとの化学反応から電力を産出するために、房水108中のグルコースを使用する。電気化学燃料電池210により産出される電力を使用して、埋込可能な眼内生理センサ200の他のいずれかまたは全ての構成要素の電力要求を全体または部分的に満たすことができる。
図2に、電気バス230が示される。電気バス230は、電気化学燃料電池210から(例えば電力供給電子機器220および/またはバッテリ240を介して)電力を得る。埋込可能な眼内生理センサ200の他の任意の構成要素が、必要に応じて動作電力を受け取るために、(
図2の相互接続ラインで示すように)電気バス230に接続されうる。
【0035】
電気化学燃料電池210は、電力供給電子機器220に接続されうる。電力供給電子機器220は、例えば電圧レギュレータ、電圧コンバータ、または電気化学燃料電池210により出力される電力を埋込可能な眼内生理センサ200内の他の電気構成要素が問題なく使用できるよう調整するために望ましいその他の任意の電気構成要素を含むことができる。一部の実施形態では、バッテリ240を充電するために電気化学燃料電池210が使用されてもよい。バッテリ240は、例えば伝送器モジュール280からのデータ伝送に、電気化学燃料電池210から利用可能な瞬時電力より大きい電力バーストが必要な場合に有用でありうる。バッテリ240は、例えば燃料電池210により使用される燃料(例えばグルコース)の供給が不規則である状況で、安定したレベルの電力を埋込可能な眼内生理センサ200の他の構成要素に提供する際にも有用でありうる。埋込可能な眼内生理センサ200は、電力要求を少なくとも部分的に満たすために電気化学燃料電池210を含むが、燃料電池210の存在は、生理センサ200に追加の動作電力を提供するための他の内部または外部電源の使用を必ずしも排除しないことを理解されたい。さらに、一部の実施形態では、眼内生理センサ200は、燃料電池に加えてまたは代えて二つ以上のバッテリを含んでもよい。このような実施形態では、あるバッテリは別のバッテリがさらなる使用のために放電され過ぎたときに活性化され、このようにしてセンサの有用寿命を延長することができる。バッテリ間の切替えは、例えばソフトウェアおよび/またはハードウェアにより制御することができる。
【0036】
いくつかの推定値によれば、生理特性検知モジュール450により15分毎に測定が行われ、伝送器モジュール480が1日1回データ伝送を行うと考えると、生理センサ200の平均電力消費量は約10nW未満とすることができる。したがって、一部の実施形態では、電気化学燃料電池210は、少なくとも約10nWの平均電力出力を有する。しかし、例えば測定またはデータ伝送がより頻繁に行われた場合、あるいは一つ以上の生理特性がモニタされる場合などには、電力要求はより大きくなりうる。したがって、一部の実施形態では、電気化学燃料電池210は、少なくとも約10μWまたはそれ以上の平均電力出力を産出する。
【0037】
埋込可能な眼内生理センサ200は、特に示したものに加えて、他のモジュールも含むことができる。例えば、埋込可能な眼内生理センサ200は、患者の所在についての位置情報を提供するために、全世界測位システム(GPS;Global Positioning System)モジュールを含んでもよい。GPSモジュールは、例えば生理測定が行われる度毎の患者の位置の読み取り結果を格納してもよい。位置情報は、生理測定結果とともに生理センサ200からダウンロードされ、例えば患者の位置の気圧情報を含む天気データベースにアクセスするために使用されてもよい。それから、このような気圧情報を用いて、生理センサ200により検出された眼圧測定結果に任意の必要な補正を行うことができる。
【0038】
図3は、電気化学燃料電池310からの出力に基づいて生理特性が測定される、埋込可能な眼内生理センサ300を示したブロック図である。埋込可能な眼内生理センサ300は、例えば電気化学燃料電池310、電力供給電子機器320、電気バス330、バッテリ340、生理特性検知モジュール350、測定結果記憶モジュール360、コントローラモジュール370、アンテナ385に結合された伝送器モジュール380、および生体適合性ハウジング390を含むことができる。これらの構成要素の各々は、
図2に関して記載した対応する構成要素に類似しうる。
【0039】
埋込可能な眼内生理センサ300において、生理特性検知モジュール350は、電力を生成するために電気化学燃料電池310が用いる(例えば生理センサ300の近辺の)物質の量を測定する。例えば、電気化学燃料電池310はグルコース燃料電池であり、検知モジュール350は房水のグルコース濃度を測定するように設計されてもよい。この実施形態では、検知モジュール350は、検知モジュール350が電気化学燃料電池310により出力される電流または電圧に基づいてグルコース濃度を測定することを示すために、電気化学燃料電池310に直接接続されて示される。例えば、眼の房水にグルコースがより高い濃度で存在するときには、電気化学燃料電池310は、より大きな電流または電圧を産出し、より低いグルコース濃度ではより大きな電流または電圧を産出しうる。生理特性検知モジュール350により提供されるグルコース測定結果は、例えば、燃料電池310からの電流または電圧に比例しうる。
【0040】
図4は、電気化学燃料電池410および/または太陽電池415を含む埋込可能な眼内生理センサ400を示したブロック図である。電気化学燃料電池410、電力供給電子機器420、電気バス430、バッテリ440、生理特性検知モジュール450、測定結果記憶モジュール460、コントローラモジュール470、伝送器モジュール480およびアンテナ485、ならびに生体適合性ハウジング490は、
図2および3に関して記載した対応する構成要素に類似しうる。
【0041】
埋込可能な眼内生理センサ400は、太陽電池415も含むことができる。太陽電池415は、眼100に入る任意の光から電力を生成する。太陽電池415は、現在既知のまたは将来開発される任意の適切なタイプとすることができ、生理センサ400の様々な構成要素の電力要求を少なくとも部分的に満たすために使用することができる。例えば、電気化学燃料電池410が生理センサ400の電力要求を満たすことができない場合には、それらの要求を満たすのを助ける追加の電源として太陽電池415を使用しうる。一部の実施形態では、生理センサ400の他の構成要素が接続された電気バス430に(例えば電力供給電子機器420を介して)電圧を与えるために太陽電池415が使用される。太陽電池415は、生理センサ400が暗い状態でも動作することができるように、バッテリ440を充電するためにも使用することができる。太陽電池415は、例えば電気化学燃料電池410に加えてまたは代えて含むことができる。
【0042】
上述のように、前述の実施形態を緑内障の診断または治療において使用することができる。米国の約2パーセントの人が緑内障にかかっている。緑内障は、視神経円板の病理変化および対応する視野欠損を引き起こし、治療せずにおくと失明につながる眼病の群である。緑内障の主な病因的因子は、眼圧上昇である。ある実施形態では、本明細書に記載するようなセンサが、緑内障の治療として眼への薬物送達および/または前房からの房水の排出を提供する一つ以上のインプラントと一緒に使用および/または送達されてもよい。
【0043】
眼圧の上昇(IOP;intraocular pressure)に関連する緑内障では、房水の流出に対する抵抗源は主に線維柱帯網にある。線維柱帯網の組織は、房水または水分がシュレム管に入るのを可能にし、それからシュレム管が房水をシュレム管の後壁の集水チャネルへ、さらに強膜上静脈系を形成する房水静脈へと注ぐ。房水は、角膜と眼の前部と水晶体との間の領域を満たす透明な液体である。房水は、水晶体のまわりの毛様体によって絶えず分泌されるため、毛様体から前眼房へ房水が基本的に常に流れている。前房圧は、房水の産出と、線維柱帯網(主ルート)またはブドウ膜強膜流出(副ルート)を通じた房水の出とのバランスによって決定される。線維柱帯網は、前房隅角の虹彩の外縁と角膜の後部との間に位置する。シュレム管に隣接した線維柱帯網の部分(傍小管網)が、水分流出に対する抵抗の大部分を引き起こす。
【0044】
房水の産出と排出との間の不均衡を軽減する二つの主な方法は、IOPを減らす医薬品の使用および前房からの水分の排出を促進する眼インプラントの使用である。インプラントは、前房から水分を排出できるようにするためのルートを提供することができる。インプラントは、結膜下スペース(ブレブの使用を含む)およびシュレム管またはぶどう膜強膜流出経路等の生理的流出路(脈絡膜上スペースおよび/または毛様体上スペースを含む)を含む任意の適切な位置への排出を可能にするように設計されればよい。
【0045】
水分の排出を促進する多種多様な眼インプラントのいずれかを、本明細書に開示する他のインプラントと関連して使用することができる。例えば米国特許第6,638,239号および米国特許第6,736,791号は、排出デバイスまたはシャントをアブ・インテルノ(ab internoで(内側から))配置するデバイスおよび方法を開示する。ステントは、入口セクションと出口セクションとを有する中空の細長い管状要素を含む。出口セクションは、シュレム管内に置き安定化させるのに適した二つのセグメントまたは要素を任意に含んでもよい。一実施形態では、デバイスは「T」形のデバイスのように見える。別の実施形態では、デバイスは「L」形のデバイスのように見える。さらに別の実施形態では、デバイスは「I」形の実施形態のように見える。これらの特許のそれぞれの全内容が、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0046】
他のインプラントは、水分の排出を提供する際の使用に適する。例えば排出インプラントの一実施形態は、縦軸を有し、少なくとも部分的に前房内にあるようにサイズ設定および構成された第一部と、シュレム管、脈絡膜上スペースまたは主ルートもしくは副ルートの別の生理的流出経路内にあるようにサイズ設定および構成された第二部とを含む。第一部は、インプラント縦軸に沿ってはしり、デバイスの第二部の一つ以上の出口または流出ポートと連絡する管腔と連絡する入口セクションも含む。別のタイプのデバイスは、リベットに似た形状であってもよく、前房内にある入口部と、一つ以上の出口を有し生理的流出経路(例えばシュレム管、ぶどう膜強膜流出経路、脈絡膜上スペース、毛様体上スペース)内にあるのに適した遠位部と、組織を通って延在し入口部と遠位部との間に流体連通を提供するのに適した中間部とがある。デバイスは、眼の中の所望の位置にデバイスを保持するのを補助する一つ以上の保持特徴部(例えば隆起、かかり、突出部など)も含んでもよい。このようなデバイスは、一つ以上の薬物も含んでもよい。これらおよび他の適切なインプラントは、米国特許第7,135,009号、米国特許第7,857,782号、米国特許第7,431,710号および米国特許第7,879,001号に開示され、その開示は参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。
【0047】
前述のインプラントのいずれも、排出を提供するのに加えて、薬物コーティングを特徴とすることができ、その薬物は、緑内障または他の眼の状態を治療するための薬物、ならびに瘢痕、線維症、凝固およびデバイスの埋め込みの結果として生じうるその他の有害作用を防止または低減するための薬物を含む、本明細書に開示する任意のタイプであればよい。他の実施形態では、デバイスは、薬物をバルク形態で、例えばデバイスの凹所または管腔内に置かれた状態で、またはデバイスのボディ内に固着されまたは含まれるタブレットまたは塊の形態で提供することにより、一つ以上の薬物を所望の期間にわたって送達するように適合されてもよい。バルク薬物は、デバイスの凹所または管腔内に置かれてもよいし、またはデバイスに固着されてもよい、小さなペレットまたはタブレットの形態をとることもできる。薬物がバルク形態で存在する場合には、デバイスは排出管腔も含んでもよい。一部の実施形態では、水分の排出が薬物溶出を助長するように、排出管腔が薬物も含んでもよい。デバイスは、バルク薬物および薬物コーティングの両方を含んでもよい。このようなデバイスの例は、国際公開第2010/135369号に見られ、その開示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0048】
図5Aは、緑内障の治療を助けるために房水の排出も促進する、埋込可能な眼内生理センサ500を示した概略図である。生理センサ500は、生理特性検知モジュール560を含み、これは例えば、電気機械式(例えば容量型眼圧センサ)、電気化学式(例えば電流測定グルコースセンサ)、または光学式(例えば蛍光グルコースセンサ)であってもよい。生理センサ500は、電気化学燃料電池510および本明細書に記載するような様々な電子構成要素も含む。埋込可能なデバイスは、オンボードメモリ、論理制御(マイクロプロセッサ等)、ソフトウェア、ファームウェア、デジタル化およびワイヤレス(無線周波数または光)通信も組み込みうる。例えばセンサ500は、コントローラモジュール570、信号調整およびアナログデジタル変換モジュール574、伝送器などを含むことができる。伝送器は、アンテナ580を含むことができる。これらの構成要素の一部または全てを、キャリア部材572上に提供し、または取り付けることができる。一部の実施形態では、キャリア部材572は、回路ボードである。本明細書でさらに論じるように、センサデバイス500は、眼の様々な解剖学的特徴部または内部に埋込可能であるように設計することができる。したがって、一部の実施形態では、キャリア部材572は、所望の解剖学的特徴にうまく適合できるように可撓性である。可撓性キャリア部材572は、例えばKapton(商標)(ポリイミド)等の屈曲可能なフィルムであってもよいし、「フレックス回路」として公知の可撓性電気回路を含んでもよい。
図5Bは、キャリア部材572の実施形態を示した概略図である。図のように、キャリア部材572を曲線形態に変形できるようにする可撓性材料からキャリア部材572を作製することができる。キャリア部材572に様々なモジュール590を、キャリア部材の両側に間隔をあけて装着することができる。モジュール590は、積み重ねられてもよい。図のモジュール590は、例えば本明細書に記載したモジュール(例えばコントローラ、伝送器など)のいずれかを表しうる。電気トレース等の信号接続ラインを、キャリア部材572上の様々なモジュール590間に形成することができる。モジュール590は、間隔をあけてキャリア部材572上に装着されるため、キャリア部材572とモジュール590との組み合わせは、埋め込まれる解剖学的構造の形状をより自由にとることができる。
【0049】
図示してはいないが、燃料電池510およびキャリア部材572ならびにそれに装着された電子構成要素は、流体チャネル内に提供される。流体チャネルは、例えば概して円筒状の形状の管腔またはシースであってもよいが、他の形状も可能である。一部の実施形態では、管腔またはシースは、概して円形、正方形、または長方形の横断面形状を有してもよい。正方形および長方形の横断面形状は、シース内に回路ボード、電子機器などをより効率的に適合させることが可能であるという観点から有利でありうる。シースは、概して正方形または長方形の横断面形状を有してもよいが、例えばシュレム管または脈絡膜上スペースへのデバイスの挿入を容易にし、組織への損傷を回避するために、正方形または長方形の角には丸みがつけられてもよい。流体チャネルは、センサデバイスが目的の外科的位置に埋め込まれたときに眼の中の房水と流体連通するように設計された入口ポートを有してもよい。流体チャネルは、房水の生理的流出経路と連通するように設計された流体出口ポートも有してもよい。例えば流体チャネルの出口ポートは、脈絡膜上スペースまたはシュレム管内に位置してもよい。房水が流体チャネルを通って流れると、燃料電池510と接触して、センサデバイス500を作動させる電力を生成するために燃料電池に燃料(例えば房水に溶解されたグルコース)を提供する。加えて、センサデバイス500は、流体チャネルを通る水分の流れを補助するポンプモジュール(図示せず)を含んでもよい。
【0050】
一部の実施形態では、生理特性検知モジュール560は、眼圧を測定するように設計される。したがって、このような実施形態では、検知モジュール560は、デバイス500が眼の中の目的箇所に埋め込まれたときに前眼房内に置かれるように設計されればよい。しかし、本明細書に記載するように、検知モジュール560は、加えてまたは代わりに他の生理特性を測定するように設計されてもよい。
図5Aに示すように、検知モジュール560は、デバイス500の残部から取り外し可能なモジュール構成要素とすることができる。図の特定の実施形態では、検知モジュール560は、回路ボードとして示されるキャリア部材572と嵌合するノッチ付コネクタ566を含む。回路ボードは、検知モジュール560との間で信号および電力をやり取りするための電気ラインも含む。検知モジュール560は、キャリア部材572と電子構成要素(例えば570、574、580)と燃料電池510とを取り囲む流体チャネルと嵌合する、コネクタ564も含むことができる。特に、検知モジュール560は、流体チャネルとして働くシースの一つの開放端内に装着されるキャップであってもよい。流体チャネルが検知モジュールを囲む房水と流体連通できるように、検知モジュール560に流体入口ポート562を提供することができる。
【0051】
本明細書に記載するように、燃料電池510はグルコース燃料電池とすることができる。
図5Aには二つの別々の燃料電池を示しているが、他の実施形態は、一つのみまたは他の数の燃料電池を使用してもよい。グルコースを含有する房水は、検知モジュール560の入口ポート562に入ることができる。それから房水は、検知モジュールでキャップされた流体チャネルを通って、キャリア部材572および電気構成要素(例えばコントローラモジュール570、信号処理モジュール574、アンテナ580)の上およびまわりを流れ、さらに燃料電池510の上およびまわりを流れた後、流体チャネルの出口ポートから房水の生理的流出経路内へと出ることができる。
【0052】
当初の推定値に基づけば、グルコース燃料電池510は、表面積あたりおよそ1.5mW/cm2を提供することができる。燃料電池510のサイズおよび表面積は、利用可能なスペースによって応用例ごとに変動しうる。しかし、センサデバイス500が脈絡膜上スペースに挿入可能であるようにサイズ設定された応用例についての当初の推定値は、各燃料電池が約2.9×10-3cm2の表面積を有しうるというものである。これらの推定値に基づけば、燃料電池510は、それぞれが約4.3×10-3mWを産出することができる。したがって、二つの燃料電池の組み合わせであれば、およそ8μWを提供すると考えられる。当初の推定値によれば、グルコース燃料電池510は、8μWの電力を生成するためには、1分あたりおよそ4.8×10-8モルのグルコースを必要とすると考えられる。通常の房水産生率および房水のグルコース濃度に基づけば、燃料電池に必要なグルコースは、眼中の利用可能なグルコースの僅かな割合(例えば0.4%)であってよい。
【0053】
一部の実施形態では、センサデバイス500は、測定を行う間には数マイクロワット程度を消費し、測定の合間の待機低電力モードの間には数ピコワットを消費すると推定される。しかし、外部デバイスへの測定結果の伝送には、おそらくは短時間に数ミリワット程度の、より多くの電力が必要であろう。センサデバイス500の正確な電力要求は、測定の頻度、外部デバイスへのデータ伝送の頻度および必要範囲などを含む多数の要因に依存する。しかし、センサデバイス500の電力要求に応じて、追加の燃料電池またはより少数の燃料電池が用いられてもよい。
【0054】
図6は、眼600内に埋め込まれた
図5Aのデバイス500を示した概略図である。特に、
図6はセンサデバイス500の配置の上面図であり、アンテナ580からの電磁波の伝送も示している。
図6は、眼600を、前房610、視神経616、および他の様々な解剖学的特徴とともに示す。頬骨620も示される。
【0055】
一部の実施形態では、センサデバイス500は、図のように、少なくとも部分的に眼の脈絡膜上スペースに埋め込まれ、および/または定着されるように設計される。このような実施形態では、センサデバイス500は、約0.6mm以下の外径または外寸法を有する概して細長い円筒状の形状に設計されてもよい。一部の実施形態では、概して細長い円筒状のセンサデバイス500は、長さが約3~14mmである。一部の実施形態では、概して細長い円筒状のセンサデバイス500は、長さが約4mmであり、外径または外寸法が約360μmであり、内径または内寸法が約160μmである。センサデバイス500のボディは、ポリエーテルサルホン(PES;polyethersulfone)を含む様々な材料で作製することができる。加えて、一部の実施形態では、センサデバイスは、縁郭部またはその近傍の自己閉鎖切開創を介して前房に挿入されてもよいが、白内障手術、線維柱帯切除術またはその他の眼科外科処置のために作製される切開創等のその他の開口部を通じて挿入されてもよい。既に述べたように、センサデバイス500は、検知モジュール560が前房610にとどまり房水と流体連通する一方で、デバイス500の残部は脈絡膜上スペースおよび/またはぶどう膜強膜流出経路の他の部分に少なくとも部分的に置かれるように挿入されうる。この配置により、検知モジュール560が、前房610内の眼圧を測定することができるとともに、流体チャネルを通じた脈絡膜上スペースへの水分の排出も提供される。一部の実施形態では、圧力センサモジュールおよび太陽電池を含むがこれに限られないセンサデバイス500のある構成要素は、脈絡膜上スペース内に定着してから位置決め完了後または位置決め中に広がるかまたは大きくなるデバイスの一部として、小さな切開創を通して前房に挿入可能であるように設計されてもよい。この広がる動作または大きくなる動作を含む実施形態では、可撓性のバッカに剛性構成要素が装着されてもよい。センサデバイス500のその他の眼内配置が用いられてもよい。例えば、センサデバイス500は、シュレム管に少なくとも部分的に挿入されるように設計されてもよい。このような実施形態では、センサデバイス500は、例えば約150μm以下の直径または寸法の概して細長い円筒状の形状を有していればよい。既に述べたように、一部の実施形態(眼圧センサ等)では、センサデバイス500は、眼の脈絡膜上スペース内に完全に埋め込まれてもよい。
【0056】
センサデバイス500は、一つの寸法を細長く、第二および/または第三の寸法を狭くまたは薄くすることにより、毛様体上または脈絡膜上スペース内の配置のために構成されてもよい。(a)小ゲージ挿入針またはカニューレを通じた眼の中への挿入を助長するため、および/または(b)デバイスを解剖学的構造の曲がり(例えば強膜の曲がり)に適合するのに十分な可撓性にするために、細長い寸法は2~25mmの範囲内、より具体的には3~14mmの範囲内であればよく、狭い寸法(単数または複数)は1mm未満であればよく、0.6mm未満であるのが好ましい。
【0057】
図6に示される配置の少なくとも一つの考えられる利点は、アンテナ580の大部分が、眼窩骨または頬骨620等の骨に隠されないことである。したがって、アンテナ580は、軟組織を通して伝送するだけでよい。これにより、伝送器の電力要求が軽減され、および/またはデバイスの伝送範囲が増加しうる。
【0058】
前房内にセンサデバイス500を配置するもう一つの利点は、本明細書に記載するように、この身体の位置が免疫学的特権位置であることである。他の身体の位置では、異物の存在に対する反応としてコラーゲン(線維性)被包が生じうる。線維性被包は、埋め込まれた生物医学的センサの有用寿命を減少させうる障害である。対照的に、前房は、炎症性免疫応答を誘発せずに異物を導入しうる「免疫特権」を示す体内の極めて少ない部位の一つである。したがって、最小限の外傷により埋め込まれ、少なくとも部分的に前房内に置かれたグルコース(または他の)バイオセンサ等の異物は、体内の他の場所に埋め込まれた同じバイオセンサよりも線維性被包が少なく、有用寿命が長いと考えられる。
【0059】
本明細書に記載するように、センサデバイス500は、埋め込まれたセンサにより測定され一時的に格納された眼圧値が、睡眠中に埋め込まれたセンサに照会する患者のベッドサイドのデバイス等のモニタにより自動的に読み込まれるシステムの一部として使用することができる。一部の実施形態では、ベッドサイドモニタは、例えばインターネットにインタフェースし、評価のためデータを診療室に自動送信する。このシステムは、埋め込まれたセンサによる眼圧測定結果のタイムスタンピングおよびメモリへの一時記憶を含んでもよい。センサ測定は、連続的でも断続的でもよく、デバイスはアクティブ状態と休止状態との間で切換可能であってもよい。
【0060】
図7は、アンカー部材702を有する埋込可能な眼内生理センサ700を示した概略図である。アンカー部材702は、房水の生理的流出経路を含む眼組織等の眼組織704にセンサ700を固定して取り付けるために使用することができる。アンカー部材702は、とげ付き保持特徴部を有して図示されるが、多様なタイプの保持特徴部のいずれかを含むことができる。加えて、生理センサ700は、他のいずれかのセンサデバイスに関して本明細書に記載される特徴のいずれを含んでもよい。
【0061】
図8は、アンカー部材802と流体チャネルとを有する埋込可能な眼内生理センサ800を示した概略図である。したがって、生理センサ800は、水分排出特徴を生理特性検知特徴と都合よく組み合わせる。センサ800は、本明細書に記載するように検知モジュール、コントローラモジュール、伝送器、燃料電池などを含むことができるヘッド部805を含む。ヘッド部805は、ステム部803によりアンカー部材802に取り付けることができる。一部の実施形態では、アンカー部材802は、眼組織804への貫通およびこのような眼組織における保持を可能にする、先細の球根状部である。一部の実施形態では、ステム部803の長さは、センサデバイス800が位置するように設計された眼組織804の厚みに対応する。
【0062】
センサデバイス800は、内部の特徴であることを示すために点線で図示した流体チャネル808も含むことができる。一部の実施形態では、流体チャネル808は、センサデバイス800のヘッド部805に入口ポートを有する。流体チャネル808は、センサデバイス800が埋め込まれたときに房水と流体連通するように設計されたヘッド部から、ステム部803を通ってアンカー部材802へと延在することができる。一部の実施形態では、センサデバイス800は、溝等の外部の流体チャネルおよび出口特徴を含んでもよい。アンカー部材802は、一つ以上の流体出口ポート806を含むことができる。一部の実施形態では、生理センサ800は、前眼房に挿入され、眼組織804内に定着されるようにサイズ設定および成形される。一実施形態では、インプラントは線維柱帯網に定着され、これによりシュレム管への房水の排出を促進することができる。
【0063】
図9は、アンカー部材902と生理センサの電子機器ハウジング部を通り抜けない流体チャネル908とを有する埋込可能な眼内生理センサ900を示した概略図である。生理センサ900は、ヘッド部905を含み、本実施形態ではヘッド部905がセンサの様々な電子構成要素(例えば検知モジュール、コントローラモジュール、伝送器、燃料電池など)のハウジングとして働く。ヘッド部905は、ステム部903を介してアンカー部材902に接続される。
【0064】
ステム部903は、一つ以上の流体入口ポート909と流体チャネル908とを含む。流体チャネル908は、アンカー部材902内へと延在し、アンカー部材902は一つ以上の流体出口ポート906を含む。ステム部903は、ヘッド部905とアンカー部材902と間のその長さ沿いにフランジ907も含む。フランジ907は、アンカー部材902と連動して、ヘッド部905が組織904から浮き上がるようにセンサデバイス900を眼組織904に装着するのを可能にする。流体チャネル908の入口ポート909は、ヘッド部905とフランジ907との間のステム部903に位置する。したがって、流体チャネル908は、電子構成要素が位置するハウジング(例えばヘッド部905)を必ずしも通り抜ける必要はない。これは、電子機器ハウジングを通して流体チャネルを置くことでハウジング内の電子構成要素のレイアウトが複雑になりうるため、有利であろう。しかし、
図9に示した実施形態では、電子機器ハウジングと流体チャネルとは、実質的に独立して設計することができる。
【0065】
図7~10の実例は、性質が概略的である。したがって、インプラントの形状、位置および設計ならびにインプラントの特徴は、図と異なってもよい。例えば、ヘッド部、アンカー部およびフランジを含むがこれに限られない特徴の形状および相対的サイズは、図のようであってもよいし、異なる形状を有していてもよい。他の実施形態では、ヘッド部の横断面形状は円形または多角形であってもよく、上部は概して平坦でも湾曲していてもよく、インプラントの他の特徴と比べてサイズが大きくても小さくてもよい。他の実施形態では、アンカー、アンカー部および/またはフランジ(単数または複数)は、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,857,782号に開示されるものを含む異なるサイズおよび形状でもよい。インプラントは、より多数またはより少数の入口および/または出口ポートを有してもよく、入口および/または出口ポートは、異なるサイズおよび/または形状でもよく、図とは異なる位置にあってもよい。前述のように、センサデバイスは、一つの寸法を細長く、第二および/または第三の寸法を狭くまたは薄くすることにより、毛様体上または脈絡膜上スペース内の配置のために構成されてもよい。(a)小ゲージ挿入針またはカニューレを通じた眼の中への挿入を助長するため、および/または(b)デバイスを解剖学的構造の曲がり(例えば強膜の曲がり)に適合するのに十分な可撓性にするために、細長い寸法は2~25mmの範囲内であればよく、狭い寸法(単数または複数)は1mm未満であればよく、0.5mm未満であるのが好ましい。
【0066】
本明細書に記載するインプラントは、眼に送達される一つ以上の薬物を含んでもよい。薬物送達能力を有するデバイスは、薬物が眼に直接送達されることを可能にし、例えば黄斑、網膜、毛様体、視神経、または眼のある領域への血流など、眼の中の構造体を標的とした送達も可能にすることができる。薬物溶出インプラントの使用は、病状に応じて制御された量の薬物を所望の時間にわたり投与する機会も提供しうる。例えば、薬物が一定速度で数日間だけ放出されることが必要な病状もあれば、数ヵ月間に至る一定速度での薬物放出が必要な病状もあれば、周期的または時間とともに変動する放出速度が必要な病状もあれば、放出のない期間が必要な病状もあるだろう。さらに、インプラントは、薬物の送達が完了した後、追加の機能を果たしてもよい。インプラントは、眼の空洞内の流体流路の開存性を維持してもよいし、同じまたは異なる治療剤の将来の投与のための貯留部として機能してもよいし、または例えばステントとしても機能するなど、第一位置から第二位置への流体経路または流路の開存性を維持するために機能してもよい。反対に、急性的に薬物の投与が必要であるにすぎない場合には、インプラントを完全に生分解性にしてもよい。
【0067】
本明細書において用いられるところの「薬物」とは、本明細書に記載するインプラント内に収められる、単独で、一つ以上の薬剤的に許容可能な賦形剤(例えば結合剤、崩壊剤、充填材、希釈剤、潤滑剤、薬物放出制御ポリマーまたはその他の薬剤など)、助剤もしくは化合物と組み合わせて、および/または合成して投与することができる、一つ以上の薬物を一般的にさす。「薬物」という用語は、「治療剤」および「医薬品」または「薬理学的薬剤」等の用語と互換可能に使用できる広義の用語であり、いわゆる小分子薬物だけでなく、高分子薬物、ならびにタンパク質、核酸、抗体などを含むがこれに限られない生物製剤も、そのような薬物が天然薬物であるか、合成薬物であるか、組み換え薬物であるかに関わらず含む。「薬物」は、薬物だけをさすこともできるし、上述の賦形剤と組み合わせたものをさすこともできる。「薬物」は、活性薬物自体または活性薬物のプロドラッグまたは塩をさすこともできる。
【0068】
眼の中の所望の部位での埋込の後、インプラントの様々な態様の設計に基づいて、標的化および制御された様式で、好ましくは長期間にわたり、薬物がインプラントから放出される。本明細書に開示するインプラントおよび関連の方法は、後眼房、前眼房、または眼の中の特定組織への薬物投与が必要な病状の治療に用いることができる。
【0069】
薬物送達デバイスとしてのみ機能する一部の実施形態では、インプラントは一つ以上の薬物を眼の前部領域に制御された様式で送達するように構成され、他の実施形態では、インプラントは一つ以上の薬物を眼の後部領域に制御された様式で送達するように構成される。さらに他の実施形態では、インプラントは、薬物を眼の前部および後部領域の両方に制御された様式で同時に送達するように構成される。さらに他の実施形態では、インプラントの構成は、薬物が特定の眼内組織、例えば黄斑、毛様体、毛様体突起、毛様体筋、シュレム管、線維柱帯網、強膜上静脈、水晶体皮質、水晶体上皮、水晶体嚢、脈絡膜、視神経および/または網膜に標的化された様式で放出されるようなものである。
【0070】
ある実施形態では、薬物送達インプラントは、生浸食性ポリマーまたは生浸食性ポリマーおよび少なくとも一つの追加の薬剤と合成されても合成されなくてもよい一つ以上の薬物を含むことができる。さらに他の実施形態では、薬物送達インプラントは、複数の薬物を順次送達するために用いられる。加えて、ある実施形態は、状況に応じた薬物溶出プロファイルを生成するために様々な外殻材料および/または多様な透過性の材料を使用して構築される。ある実施形態は、状況に応じた薬物溶出プロファイルを生成するために、インプラント殻の異なる数、寸法および/または位置のオリフィスを用いて構築される。ある実施形態は、状況に応じた薬物溶出プロファイルを生成するために、インプラント上の様々なポリマーコーティングおよび様々なコーティング位置を用いて構築される。実施形態は、一定速度で、ゼロ次放出プロファイルで、または可変溶出プロファイルで薬物を溶出させうる。一部の実施形態は、所定の期間にわたり溶出を完全にまたはほぼ完全に停止し(例えば「ドラッグホリデー」)、後に同じまたは異なる溶出速度もしくは濃度で溶出を再開するように設計される。そういった実施形態の中には、ドラッグホリデーの前後で異なる治療剤を溶出させるものもあれば、ドラッグホリデーの前後で同じ治療剤を溶出させるものもある。
【0071】
薬物を含むコーティングを有する任意のインプラントだけでなくセンサと連動して使用される別個の薬物送達インプラントも含む薬物送達能力を有する実施形態で利用される治療剤は、以下に挙げる一つ以上の薬物を単独または組み合わせで含むことができる。利用される薬物は、以下に挙げる薬物の一つ以上の等価物、誘導体、またはアナログでもあってもよい。薬物には、抗緑内障薬、眼剤、抗微生物剤(例えば抗生剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤)、抗炎症剤(ステロイド類または非ステロイド系抗炎症剤を含む)を含む医薬製剤、ホルモン類、酵素類または酵素関連成分、抗体または抗体関連成分、オリゴヌクレオチド類(DNA、RNA、短干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド類などを含む)、DNA/RNAベクター、(野生型または遺伝的に修飾された)ウイルス類またはウイルスベクター、ペプチド類、タンパク質類、酵素類、細胞外マトリクス成分、および一つ以上の生物学的成分を産出するように構成された生細胞を含む生物学的製剤を含みうるがこれに限られない。いかなる特定の薬物の使用も、その一次作用または規制当局が認めた治療適応もしくは使用様式に限定されない。薬物は、別の薬物または治療剤の一つ以上の副作用を減少または治療する化合物またはその他の材料も含む。多くの薬物は複数の作用機序を有するため、以下のいずれか一つの治療分類にいずれの特定の薬物が挙げられていても、その薬物の一つの考えられる使用を表すにすぎず、眼科用インプラントシステムでのその使用範囲を制限することを意図したものではない。
【0072】
上述のように、治療剤は、当技術分野で周知の任意の数の賦形剤と組み合わせることができる。上述の生分解性ポリマー賦形剤に加えて、ベンジルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セチルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、デキストラン類、デキストロース、フルクトース、ゼラチン、グリセリン、モノグリセリド類、ジグリセリド類、カオリン、塩化カルシウム、ラクトース、ラクトース一水和物、マルトデキストリン類、ポリソルベート類、アルファ化でんぷん、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化シルコン(silcon dioxide)、コーンスターチ、タルクなどを含むがこれに限られない他の賦形剤が使用されてもよい。一つ以上の賦形剤が、最低約1%、5%または10%の総量で含まれてよく、他の実施形態では、最大50%、70%、90%またはそれ以上の総量で含まれてもよい。薬物が微小なペレットまたはタブレットの形態であるときには、賦形剤が多く含まれるのが望ましい。このようなタブレットについてのさらなる開示は、国際公開第2010/135369号に見られ、その開示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0073】
薬物の例には、様々な抗分泌剤;アンジオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジン、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害物質、ならびに、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))およびベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ペガプタニブ(MACUGEN(登録商標))、スニチニブおよびソラフェニブならびに血管新生阻害効果を有する様々な任意の小分子および転写阻害剤のいずれか等の抗血管内皮成長因子(抗VEGF)等の血管新生阻害剤を特に含む、有糸分裂阻害剤ならびにその他の抗増殖剤;例えばアテノロールプロプラノロール、メチプラノロール、ベタキソロール、カルテオロール、レボベタキソロール、レボブノロールおよびチモロール等のβ遮断薬剤を含むアドレナリンきっ抗薬等の緑内障剤を含む既知の分類の眼科用薬;エピネフリン、ジピベフリン、クロニジン、アパクロニジン(aparclonidine)およびブリモニジン等のアドレナリン作動薬または交感神経様作動薬;ピロカルピン、カルバコール、ホスホリンヨウ素(phospholine iodine)、およびフィゾスチグミン、サリチル酸塩、塩化アセチルコリン、エゼリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、臭化デメカリウム)等の副交感神経作動薬またはコリン作動薬(cholingeric agonist);ムスカリン剤;例えばアセトゾラミド(acetozolamide)、ブリンゾラミド、ドルゾラミドおよびメタゾラミド、エトキスゾラミド、ダイアモックスならびにジクロルフェナミドなどの局所および/または全身用薬剤を含む炭酸脱水酵素阻害剤;アトロピン、シクロペントレート、スクシニルコリン、ホマトロピン、フェニルエフリン、スコポラミンおよびトロピカミド等の散瞳毛様体筋麻痺剤;プロスタグランジンF2アルファ、抗プロスタグランジン剤、プロスタグランジン前駆体等のプロスタグランジン類またはビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロストおよびウノプロストン等のプロスタグランジンアナログ剤が含まれうる。
【0074】
薬物のその他の例には、ベタメサゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21リン酸塩、メチルプレドニゾロン、プレドニソロン21リン酸塩、酢酸プレドニゾロン、プレドニソロン、フルロオメトロン(fluroometholone)、ロテプレドノール、メドリゾン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルオロメトロン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、リメキソロン等のグルココルチコイドおよびコルチコステロイド類、ならびに、例えばジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナクおよびケトロラック、サリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカムおよびナブメトンを含む非ステロイド系抗炎症剤を含む抗炎症剤;例えばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、ゲンタマイシンおよびトブラマイシン等のアミノグリコシド類;シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン等のフルオロキノロン類;バシトラシン、エリスロマイシン、フシジン酸、ネオマイシン、ポリミキシンB、グラミシジン、トリメトプリムおよびスルファセタミドを含む抗生物質等の抗感染剤または抗菌剤;アンフォテリシンBおよびミコナゾール等の抗真菌剤;イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン等の抗ウイルス剤;抗有糸分裂剤(antimicotics);クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン(methapyriline)、クロルフェニラミン、セトリジン(cetrizine)、ピリラミン、プロフェンピリダミンを含む抗アレルギー薬等の免疫調整剤;アゼラスチン、エメダスチンおよびレボカバスチン等の抗ヒスタミン剤;免疫薬(ワクチンおよび免疫刺激薬等);クロモリンナトリウム、ケトチフェン、ロドキサミド、ネドクリミル(nedocrimil)、オロパタジン等のマスト細胞安定剤、ならびにゲンチマイシン(gentimicin)およびシドホビル等のペミロラスト毛様体切除剤(pemirolastciliary body ablative agents);ならびにベルテポルフィン、プロパラカイン、テトラカイン、シクロスポリンおよびピロカルピン等のその他の眼科用剤;細胞表面糖タンパク質受容体の阻害物質;フェニルエフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリン(tetrahydrazoline)等の鬱血除去薬;脂質類または降圧脂質類;キンピロール、フェノールドーパムおよびイボパミン等のドーパミン作動薬および/または拮抗薬;血管攣縮阻害剤;血管拡張剤;抗高血圧剤;アンギオテンシン変換酵素(ACE;angiotensin converting enzyme)阻害薬;オルメサルタン等のアンギオテンシン-1受容体拮抗薬;微小管阻害薬;分子モータ(ダイニンおよび/またはキネシン)阻害薬;シクトカラシン(cyctchalasin)、ラトランキュリン、スウィンホリドA、エタクリン酸、H-7およびRho-キナーゼ(ROCK)阻害薬等のアクチン細胞骨格制御因子;リモデリング阻害剤;tert-ブチルヒドロ-キノロンおよびAL-3037A等の細胞外基質調節剤;N-6-シルクロフェキシルアデノシン(cylclophexyladenosine)および(R)-フェニルイソプロピルアデノシン等のアデノシン受容体作動薬および/または拮抗薬;セロトニン作用薬;エストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インシュリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチドおよびバソプレシン視床下部放出因子等のホルモン剤;上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子またはその拮抗薬(それぞれ参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,759,472号または米国特許出願第12/465,051号、第12/564,863号もしくは第12/641,270号に開示されるものなど)、形質転換増殖因子β、ソマトトラピン(somatotrapin)、フィブロネクチン、結合組織増殖因子、骨形態形成蛋白(BMP;bone morphogenic protein)を含む増殖因子拮抗薬または増殖因子;インターロイキン、CD44、cochlin等のサイトカイン類および血清アミロイドA等の血清アミロイド類も含むことができる。
【0075】
その他の治療剤には、ルベゾール(lubezole)、ニモジピンおよび関連化合物等であり、ドルゾラミドまたはベタキソロール等の血流促進剤を含む神経保護剤;エリスロポエイチン(erythropoeitin)等の血液酸素化を促進する化合物;ナトリウムチャネル遮断薬;ニルバジピンまたはロメリジン等のカルシウムチャネル遮断薬;メマンチンニトロメマンチン、リルゾール、デキストロメトルファンまたはアグマチン等のグルタミン酸阻害薬;ガランタミン等のアセチルコリンステラーゼ(acetylcholinsterase)阻害薬;水溶性ヒドロキシルアミン誘導体OT-440等のヒドロキシルアミンまたはその誘導体;イチョウ等のフラボノイド配糖体および/またはテルペノイドを含む硫化水素化合物等のシナプス調節物質;グリア細胞系由来神経栄養因子、脳由来神経栄養因子等の神経栄養因子;毛様神経栄養因子または白血病抑制因子等のIL-6タンパク質ファミリーのサイトカイン類;酸化窒素、ニトログリセリンまたは酸化窒素シンターゼ阻害剤等の酸化窒素レベルに作用する化合物または因子;WIN55-212-2等のカンナビノイド受容体作動薬;メトキシポリエチレングリコールチオエステル(MPDTE)、またはEDTAメチルトリエステルに結合されたメトキシポリエスレン(methoxypolyethlene)グリコールチオール(MPSEDE)等のフリーラジカルスカベンジャ;アスタキサチン(astaxathin)、ジチオールチオン、ビタミンEまたはメタロコロール(例えば鉄、マンガンまたはガリウムコロール)等の抗酸化剤;ニューログロビンまたはシトグロビン等の酸素ホメオスタシスに関与する化合物または因子;Mdivi-1(ダイナミン関係タンパク質1(Drp1)の選択的阻害剤)等のミトコンドリアの分裂または分体に影響する阻害剤または因子;Rhoキナーゼ阻害剤H-1152またはチロシンキナーゼ阻害剤AG1478等のキナーゼ阻害剤または調節剤;β1-インテグリン活性化抗体HUTS-21等のインテグリン機能に影響する化合物または因子;N-アシル-エタノールアミン類およびその前駆体;N-アシル-エタノールアミンリン脂質類;グルカゴン様ペプチド1受容体の刺激因子(例えばグルカゴン様ペプチド1);レスベラトロール等のポリフェノール含有化合物;キレート化合物;アポトーシス関連プロテアーゼ阻害剤;新規タンパク質合成を抑制する化合物;放射線治療剤;光線力学療法剤;遺伝子療法剤;遺伝的修飾因子;グラチマー(glatimir)等の神経または神経の部分への損傷(例えば脱髄)を防ぐ自己免疫調節剤;抗NgR遮断タンパク質、NgR(310)ecto-Fc等のミエリン阻害剤;FK506結合タンパク質(例えばFKBP51)等のその他の免疫調節剤;およびシクロスポリンA、粘滑薬(delmulcents)およびヒアルロン酸ナトリウム等のドライアイ用の薬を含むことができる。
【0076】
使用できるその他の治療剤には、アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、アスモロール(asmolol)、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロールおよびピンドロール等の他のβ遮断剤;アスピリン、ベタメサゾン、コルチゾン、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルドロコルチゾン、フルルビプロフェン、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、インドメタシン(indomethacine)、ケトプロフェン、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、メチルプレドニゾロン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、プレドニソロン、プリオキシカム(prioxicam)、サルサレート、スリンダク、およびトルメチン等のその他のコルチコステロイド系および非ステロイド系抗炎症薬;セレコキシブ、ロフェコキシブ、およびバルデコキシブ等のCOX-2阻害剤;アルデスロイキン、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、アザチオプリン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、エタナーセプト(ENBREL(登録商標))、ヒドロキシクロロキン、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、レフルノミド、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチルおよびスルファサラジン等のその他の免疫調節剤;ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジンおよびプロメタジン等のその他の抗ヒスタミン剤;アミカシンおよびストレプトマイシン等のアミノグリコシド類等のその他の抗感染剤;アムホテリシンB、カスポファンギン、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィンおよびナイスタチン等の抗真菌剤;クロロキン、アトバコン、メフロキン、プリマキン、キニジンおよびキニーネ等の抗マラリア剤;エタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピンおよびリファブチン等の抗ミコバクテリア剤;アルベンダゾール、メベンダゾール、チオベンダゾール(thiobendazole)、メトロニダゾール、ピランテル、アトバコン、ヨードキナオール(iodoquinaol)、イベルメクチン、パロマイシン、プラジカンテルおよびトリマトレキセート(trimatrexate)等の抗寄生虫剤;アシクロビル、シドホビル、ファムシクロビル、ガングシクロビル(gangciclovir)、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、トリフルリジンおよびフォスカーネット等の抗CMV剤または抗ヘルペス剤を含むその他の抗ウイルス剤;リトナビル、サキナビル、ロピナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビルおよびネルフィナビル等のプロテアーゼ阻害剤;アバカビル、ddI、3TC、d4T、ddC、テノホビルおよびエムトリシタビン、デラビルジン、エファビレンツおよびネビラピン等のヌクレオチド/ヌクレオシド/非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤;インターフェロン、リバビリンおよびトリフルリジエン(trifluridiene)等のその他の抗ウイルス剤;エルタペネム、イミペネムおよびメロペネムのようなカルパペネム類を含むその他の抗菌剤;セファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフジトレン、セファレキシン、セファクロル、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタキシジム(ceftaxidime)、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシムおよびロラカルベフ等のセファロスポリン類;アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシンおよびテリスロマイシン等のその他のマクロライド類およびケトライド類;アモキシシリン、アンピシリン、ピバンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリンおよびチカルシリンを含む(クラブラン酸を伴うまたは伴わない)ペニシリン類;ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびテトラサイクリン等のテトラサイクリン類;アズトレオナム、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リネゾリド、ニトロフラントインおよびバンコマイシン等のその他の抗菌剤;ドキサゾシン、プラゾシンおよびテラゾシン等のα遮断剤;アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミル等のカルシウムチャネル遮断薬;クロニジン、ジアゾキシド、フェノルドパン(fenoldopan)、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、フェノキシベンズアミン、エポプロステノール、トラゾリン、トレプロスチニルおよび硝酸塩ベースの薬剤等のその他の抗高血圧剤;ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、チンザパリンおよびフォンダパリヌクス等のヘパリン類およびヘパリン類似物質を含む抗凝固剤;ヒルジン、アプロチニン、アルガトロバン、ビバリルジン、デシルジン、レピルジン、ワーファリンおよびキシメラガトラン等のその他の抗凝固剤;アブシキシマブ、クロピドグレル、ジピリダモール、オプチフィバチド(optifibatide)、チクロピジンおよびチロフィバン等の抗血小板剤;アルプロスタジル、カルボプロスト、シルデナフィル、タダラフィルおよびバルデナフィル等のプロスタグランジンPDE-5阻害剤およびその他のプロスタグランジン剤;トロンビン阻害剤;抗血栓剤;血小板凝集抑制剤;アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼおよびウロキナーゼ等の血栓溶解剤および/または線維素溶解剤;シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセルおよびミコフェノール酸等の抗増殖剤;レボチロキシン、フルオキシメストロン(fluoxymestrone)、メチルテストステロン、ナンドロロン、オキサンドロロン、テストステロン、エストラジオール、エストロン、エストロピペート、クロミフェン、ゴナドトロピン、ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ミフェプリストン、ノルエチンドロン、オキシトシン、プロゲステロン、ラロキシフェンおよびタモキシフェンを含むホルモン関連薬剤;カルムスチンロムスチン、メルファラン、シスプラチン、フルオロウラシル3等のアルキル化剤、およびブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシンおよびプリカマイシン等のプロカルバジン抗生物質様薬剤を含む抗腫瘍剤;(1,3-シスレチノイン酸、5-フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、マイトマイシンCおよびシスプラチン等の)抗増殖剤;シタラビン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリンおよび5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝拮抗剤;アルデスロイキン、イマチニブ、リツキシマブおよびトシツモマブ等の免疫調節剤;有糸分裂阻害剤ドセタキセル、エトポシド、ビンブラスチンおよびビンクリスチン;ストロンチウム-89等の放射性薬剤;ならびにイリノテカン、トポテカンおよびミトタン等のその他の抗腫瘍剤が含まれる。
【0077】
図10は、アンカー部材1002と薬物貯蔵部または薬物送達デバイス1001とを有する埋込可能な眼内生理センサ1000を示した概略図である。生理センサ1000は、検知モジュール、コントローラモジュール、伝送器、燃料電池等、本明細書に記載する様々な構成要素を収めうるヘッド部1005を含むことができる。ヘッド部1005は、ステム部1003によりアンカー部材1002に取り付けられる。本明細書に記載するように、アンカー部材1002は、眼組織内のデバイス1000に装着するために使用できる。生理センサ1000は、薬物貯蔵部1001も含む。薬物貯蔵部または薬物送達デバイス1001は、センサ1000のヘッド部1005の開口部として示されるが、デバイス1000の様々な場所に位置しうる。薬物貯蔵部または薬物送達デバイス1001には、本明細書に記載する薬物のいずれかを提供することができる。一部の実施形態では、薬物貯蔵部または薬物送達デバイス1001は、連続的に薬物を放出することもできるし、またはコマンドに応じて制御された量の薬物を放出することもできる。
【0078】
一部の実施形態では、本明細書に記載する生理センサを用いて、生理状態を治療するためのクローズドモニタリングおよび制御システムを提供することができる。例えば、生理特性の目標値を、生理センサに格納しうる。センサを眼に埋め込んだ後、生理特性の測定結果を取得するために使用できる。センサは、生理特性の測定結果を生理特性の目標値と比較し、それから生理特性の測定結果と生理特性の目標値との間の差を減少させるために動作を制御することができる。本明細書に記載するように、一部の実施形態では、動作は、眼圧を治療するために薬物を放出する動作、または眼からの房水の流出を調節する動作であってもよい。
【0079】
一部の実施形態では、生理センサ1000は、緑内障患者を管理する臨床医に、臨床医が設定した所定のIOP目標に基づいて生理センサ1000により制御される個別化された薬物療法計画を設計し実施する能力を与える、クローズド連続IOPモニタリングおよび制御システムとして使用されてもよい。一般に、緑内障患者を管理する医師は、病気進行のリスクを減らすために患者に適すると医師が感じる眼圧の目標レベルを確立することができる。目標圧力を選択する際には、医師は、現在の/ベースラインIOP、家族歴、視神経乳頭部の状態、網膜神経線維層の評価および視野効率を含むがこれに限られないいくつかの要因を考慮しうる。多数の研究により、より低い圧力は進行のリスクを減少させることが分かっているが、臨床医は、進行リスクと目標圧力に達し維持するために必要な介入に関連する副作用および発生率との間で適切なバランスを保つ目標圧力を選択する傾向がある。
【0080】
クローズド連続IOPモニタリングシステムを用いれば、医師または他のユーザは、目標圧力を選択し、特定のIOP測定基準に応じて所定の投与量の例えば降圧薬を投与することを薬物送達デバイスに指示するようシステムをプログラムすることもできる。加えてまたは代わりに、システムは、特定の出力に応じて特定の局所薬を投与することを患者に指示してもよい。これにより、システムがIOPを常に目標圧力以下に維持するのに必要な量だけ薬物を投与することが可能になる。
【0081】
例えば医師が、患者のために16mmHgの目標圧力を選択しうる。患者に、プロスタグランジンアナログ等の治療レベルの薬物を連続的に投与する眼内生理センサ1000等のデバイスが(例えば線維柱帯網に)埋め込まれうる。患者の脈絡膜上スペースにも、αアゴニスト等の薬物を含むデバイスが埋め込まれてもよい。しかし、この第二の薬物は、埋め込まれたデバイスにより測定された患者の平均IOPが、設定期間にわたり18mmHgを上回ったときにのみ送達されてもよい。別の例では、医師が、18mmHg等の目標圧力を選択しうる。患者の線維柱帯網に、プロスタグランジンアナログ等の治療レベルの薬物を連続的に投与するデバイスが埋め込まれてもよい。埋め込まれたモニタリングデバイスは、患者の平均IOPが例えば6時間等のある期間にわたり21mmHgを上回ったときにチモロール等の薬物の局所投与量を投与するよう患者に(例えば患者が着用する外部デバイスを介して)通信しうる。別の例では、医師が、例えば18mmHgの目標圧力を選択しうる。患者の線維柱帯網に、患者のIOPが何らかの設定期間にわたり目標値を上回ったときにのみプロスタグランジンアナログ等の一回分の薬物を投与するデバイスが埋め込まれてもよい。
【0082】
薬物による制御されたIOP管理を提供するクローズド連続IOPモニタリングおよび制御システムに加えて、房水の流出を調節することによりIOPを管理するためにステントを用いて、類似のクローズド連続IOPモニタリングおよび制御システムが提供されてもよい。このような実施形態では、例えば臨床医がセンサにプログラムしうる目標眼圧値とあわせた生理センサからの眼圧測定結果に基づいて、ステントの流出および/または薬物の放出を制御することができる。
【0083】
グルコース濃度の測定でも、類似のクローズド連続モニタリングおよび制御システムを実装しうる。例えば、臨床医または患者が、目標グルコースレベルを設定することができる。それから、埋め込まれた眼内生理センサがグルコース濃度レベルをモニタし、測定されたグルコース値と目標値との間の比較に基づいてインシュリンを投与するために(例えばワイヤレスコマンドインタフェースで)インシュリンポンプを制御してもよい。代わりにおよび/または加えて、生理センサは、測定されたグルコース値と目標値との間の比較に基づいて食事または運動するよう、通知を患者に(例えば患者が着用する外部デバイスを介して)通信してもよい。
【0084】
本明細書に開示するインプラントの様々な実施形態は、アブ・インテルノ(ab interno)処置またはアブ・エクステルノ(ab externo:外側からの)処置により埋め込むことができる。「アブ・インテルノ」処置は、本明細書においては、前房から内部の眼組織または前房の境界を形成する眼組織へと通常は後方に向かって開口部を作製する任意の処置を意味することを企図する。このアブ・インテルノ処置は、強膜壁または角膜壁を通じて前房に入るのを第一ステップとして開始されうる。「アブ・エクステルノ」処置という用語は、本明細書においては、強膜壁に開口部を作製し、前房に向かって内方へと進む任意の処置を意味することを意図する。例えば、一部の「アブ・エクステルノ」処置では、器具がシュレム管に通されまたはシュレム管に接触してから線維柱帯網に入り、前房に接近する。一部の実施形態では、アブ・エクステルノ処置により、センサデバイスを眼の中または強膜壁内に置くために、強膜壁の厚みの一部または全部に通してもよい。針またはカニューレの先端が前房または脈絡膜上スペースにアクセスするように針またはカニューレを用いて強膜組織をくぐることにより、侵襲性のより低いアブ・エクステルノ処置を達成できる。それから、センサデバイスが前房内に少なくとも部分的に位置するか、または脈絡膜上スペース内に少なくとも部分的に位置するように、針またはカニューレを通してセンサデバイスを進めればよい。眼中のセンサデバイスの送達後、強膜を通る自己閉鎖跡を残して針またはカニューレを引き出す。この方法による埋込の結果、センサデバイスの一部または全部が強膜組織内または強膜と結膜との間に存在しうる。
【0085】
インプラントは、プッシャ、ガイドワイヤ、鉗子または他の適切なデバイス等のアプリケータを使用して眼の中に配置すればよい。アプリケータは、一つ以上のインプラントを送達するために器具にエネルギーが蓄積された、米国特許出願公開第2002/0133168号に開示されるものまたは米国特許第7,331,984号に開示されるものを含むがこれに限られない送達器具であってもよい。これらの二つの文書の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0086】
アプリケータの一部の実施形態は、円形切除能力を有し、切断または組織貫通特徴もしくは機構が、眼の中にインプラントを埋め込みおよび/または留めることができるようにする穴または開口部を眼組織に作製する目的で、アプリケータの一部を形成する。一部の実施形態では、インプラントは、インプラント自体が開口部を作製するように自己円形切除式でもよい。
【0087】
送達装置の一実施形態は、ハンドピース、細長ボディ、ホルダおよび送達機構を含む。一部の実施形態では、送達機構はアクチュエータである。ハンドピースは、遠位端と近位端とを有する。細長ボディは、ハンドピースの遠位端に接続される。細長ボディの少なくとも遠位端部は、縁郭部もしくはその近傍を含む強膜または角膜の切開創を通じて前眼房内へと配置されるようにサイズ設定および構成される。ホルダは、細長先端の末端部に取り付けられ、インプラントを保つおよび解放するように構成される。ハンドピース上に配備機構またはアクチュエータがあり、ホルダからインプラントを解放する役割をする。
【0088】
一部の実施形態では、ホルダはクランプを含む。クランプは、インプラントの少なくとも一部、通常は近位部にクランプ力を及ぼすように構成された、複数の爪を含んでもよい。ホルダは、摩擦を利用してデバイスを保つかまたはインプラントの対応する特徴を係合する、一つ以上のフランジ、バンプまたはその他の隆起した領域も含んでもよい。ホルダは、細長ボディの端部またはその近傍に、インプラントまたはその一部を内部に保持するための凹エリアまたは溝も含んでもよい。
【0089】
一部の実施形態では、装置は、一つ以上のインプラントがホルダにより保たれているときに負荷されるように構成されたスプリングをハンドピース内にさらに含み、アクチュエータを作動させるとスプリングは少なくとも部分的に負荷が解除されて、ホルダからインプラントを解放できるようになる。
【0090】
送達装置の配備機構は、例えばアクチュエータ機構内のスプリングから少なくとも一部の張力を解放することにより、または送達デバイスの少なくとも一部を送達デバイスおよび/またはインプラントの別の部分に対して移動させることによりインプラントの送達を引き起こすために操作されるプッシュプル式プランジャ、押しボタンまたはトリガを含むことができる。一部の実施形態では、眼組織内への安定した予測可能な開口部形成を可能にするべく、トロカールまたは切断デバイスを操作するためにアクチュエータが使用されてもよい。
【0091】
デバイスの細長部は、可撓性であるか、または可撓性ワイヤ等の可撓性材料で作製することができる。遠位部は、ハンドピースの長軸から約45度であるのが好ましい屈折範囲を有していればよい。デバイスの細長部は、前房内への開口部が作製される箇所から眼の反対側の隅角に達するのを助けるために湾曲させてもよい。送達装置は、細長先端内に洗浄ポートをさらに含んでもよい。
【0092】
一部の実施形態では、送達デバイスは、埋込の合間に眼からデバイスを除去しなくても一つ以上のインプラントを眼の中に送達できるように適合される。送達されるインプラントは、任意の組み合わせのセンサ、排出デバイス、マイクロポンプ、薬物送達デバイス、および以上の機能の一つ以上を含みうるデバイスを含む以上の任意の組み合わせとすることができる。例えば送達デバイスは、センサタイプのインプラントと排出/薬物送達インプラントとの組み合わせ、IOPセンサと二つの排出インプラントとの組み合わせ、IOPセンサと薬物送達インプラントとの組み合わせなどを送達することができる。複数のインプラントを送達するためのデバイスは、眼の切開創を通じて眼の中に導入するためにサイズ設定された細長ボディと、細長ボディ上または細長ボディ内に置かれた複数のインプラントとを含みうる。細長ボディは、細長ボディからインプラントを眼組織内に埋め込むために順次分配するアクチュエータをさらに含んでもよい。
【0093】
一つ以上のインプラントを埋め込む方法は、切開創を通じて眼に器具を挿入するステップと、器具を利用して第一位置で第一インプラントを眼組織内または上へ送達するステップとを含む。他の実施形態は、インプラントの送達の合間に器具を眼から除去することなく、器具を利用して第二位置で第二インプラントを眼組織内または上に送達するステップを含む。
【0094】
切開創は、縁郭部またはその近傍を含む強膜または角膜に作製することができる。一部の実施形態では、切開創は、自己閉鎖するように小さい。他の実施形態では、埋込処置が完了し、送達デバイスが眼から除去された後に開口部を閉じるために、一針または二針の縫合が必要であってもよい。一部の実施形態では、切開創は長さが約1mmである。それから、周知のように眼科手術で使用されるゴニオスコープまたはその他の画像機器を使用して、インプラント(単数または複数)の配置および埋込が行われればよい。
【0095】
埋込の間には、送達器具が、挿入部位または切開創を通じて進められ、所望の眼組織へと進められればよい。一部の実施形態では、この前進は、眼を横断してまたは後側から前房隅角内へと至るものであってもよい。前房隅角を参照ポイントとして用いて、インプラントを前房隅角の内方の虹彩内へと推進するために、送達器具を概して後方向にさらに進めればよい。送達デバイスを用いて、線維柱帯網、シュレム管、毛様体上スペース、脈絡膜上スペースなどを含む眼の任意の場所に一つ以上のインプラントを埋め込むことができる。
【0096】
任意にインプラントの構造に基づいて、インプラントが前房隅角内に置かれ、前房隅角の環状形状にマッチするように湾曲した形状を帯びてもよい。しかし、角膜内皮等の繊細な眼組織への損傷を最小化するために、インプラントがアンカー、接着剤、摩擦またはその他の力を用いるなどして組織に留められ、または少なくとも前房内で自由に移動できないのが好ましい。
【0097】
送達デバイスおよびインプラントが眼の中の所望の位置にきたら、眼組織に開口部を作製すればよい。これは例えば、送達デバイスの細長部の遠位端を使用して、または自己円形切除式インプラントを用いて行われればよい。それから、インプラントが組織に送達される。配備機構を用いて送達が行われればよい。例えば、プッシャチューブを進めるとインプラントも進められるように、プッシャチューブを送達器具の遠位端に向かって軸方向に進めればよい。インプラントが所望の場所にきたら、インプラントを眼組織に残して送達器具を後退させればよい。その後、別のインプラントを眼の別の位置に埋め込み、または送達デバイスを眼から除去すればよい。
【0098】
他の実施形態では、埋込力を継続的に加えることにより、送達器具の遠位部を用いてインプラントを適所に打ち込むことにより、またはこれらの方法の組み合わせにより、送達器具を用いてインプラントが所望の場所に押し込まれる。インプラントが所望の場所にきたら、送達器具の遠位部を用いて打つことによりさらに据え付けられればよい。あるいは、スプリングまたはその他のエネルギー蓄積手段等からの蓄積エネルギーを用いてインプラントを組織内に推進するためにアクチュエータを用いることにより、デバイスが埋め込まれてもよい。
【0099】
一実施形態では、インプラントが眼内組織に固着される。一実施形態では、生体適合性接着剤を用いてこのさらなる固着が行われてもよい。他の実施形態では、一つ以上の縫合を用い、または一つ以上の組織アンカーを用いてもよい。別の実施形態では、インプラントボディの外側表面と前房隅角の周囲組織との相互作用を介して、インプラントが実質的に適所に保持される。デバイスは、以上の固着方法の何らかの組み合わせを用いてもよい。
【0100】
本明細書には、様々な眼内生理センサを記載している。本明細書にさらに記載するように、一部の実施形態では、このようなセンサは、流体チャネルまたは他のタイプのシャントを含む。本明細書に記載するように、一部の実施形態では、センサ/シャントが、埋込部位から眼を横断したところの部位から挿入される。送達器具は、挿入部位から前房を横断して埋込部位へと眼を横断してセンサ/シャントを進めるのに十分に長ければよい。器具の少なくとも一部は、可撓性であってもよい。あるいは、器具は剛性であってもよい。器具は、互いに対して縦に移動可能な複数の部材を含むことができる。一部の実施形態では、送達器具の少なくとも一部は、湾曲しているか、または角度がつけられている。一部の実施形態では、送達器具の一部は剛性であり、器具の別の部分は可撓性である。
【0101】
一部の実施形態では、送達器具は、遠位曲がりを有する。送達器具の遠位曲がりは、およそ10~30mm、好ましくは約20mmの半径として特徴付けることができる。
【0102】
一部の実施形態では、送達器具は、遠位角度を有する。遠位角度は、送達器具の近位セグメントの軸に対しておよそ90~170度、好ましくは約145度として特徴付けることができる。角度は、送達器具の近位セグメントから遠位セグメントに滑らかに移行するように、「エルボ」で小さな曲率半径を取り入れることができる。遠位セグメントの長さは、およそ0.5~7mm、好ましくは約2~3mmであればよい。
【0103】
一部の実施形態では、器具は、尖らせた前端を有し、自己円形切除式である、すなわち切開創、穴または口を予め形成せずに組織を通り抜けるように自己貫通する。あるいは、トロカール、メスまたは類似の器具を用いて眼組織に切開創が予め形成されてから、センサ/シャントをそのような組織内に通してもよい。
【0104】
眼センサ/シャントの一部の実施形態の送達では、眼から器具を引き出した際に縫合を行わずに挿入部位が自己閉鎖するように、器具は十分に小さな横断面を有していればよい。送達器具の外径は、約18ゲージ以下であり、約32ゲージより小さくないのが好ましい。説明および疑問の回避のために、本明細書に開示する全ての送達デバイスは、センサ、シャントまたは排出デバイスおよびその組み合わせを含むがこれに限られない本明細書に開示する任意のインプラントを、眼の任意の部分に、好ましくは前房からアクセスできる部分に送達するために使用することができる。送達デバイスは、好ましくは埋込の合間に眼から送達デバイスを除去することを必要とせずに、一つ以上のデバイスを送達してもよい。
【0105】
眼センサ/シャントの一部の実施形態の送達では、センサ/シャントが通される中空針を用いて、角膜組織の切開創が作製されるのが好ましい。切開創が自己閉鎖し、粘弾材を用いるか否かにかかわらず密閉されたチャンバ内に埋込が行われるように、針は小さな直径サイズ(例えば18または19または20または21または22または23または24または25または26または27または28または29または30または31または32ゲージ)を有する。ヘラ形状のメスを用いて角膜を通る概して逆V形状の切開創が作られる従来の「トンネル」処置を用いて、自己閉鎖切開創を形成することもできる。好適な様式では、角膜を通る切開創を形成するために使用される器具は、処置の間は適所にとどまり(すなわち角膜切開創を通って延在する)、埋込後まで除去されない。このような切開創形成器具は、眼センサ/シャントを担持するために使用することもできるし、または送達器具と連携して切開創形成器具を引き出すことなく同じ切開創を通じた埋込を可能にすることもできる。もちろん、他の様式では、様々な手術器具が一つ以上の角膜切開創に複数回通されてもよい。
【0106】
送達器具は、前房に入ると、挿入部位から眼を横断して前房隅角内に進められ、強膜岬の近傍の位置に置かれればよい。強膜岬を参照ポイントとして用いて、虹彩に向かって強膜岬のすぐ内方の位置の眼組織内にセンサ/シャントを推進するために、送達器具が概して後方向にさらに進められればよい。センサ/シャントの配置および埋込は、ゴニオスコープまたはその他の従来の画像機器を使用して行うことができる。埋込力を継続的に加えることにより、送達器具の遠位部を用いてセンサ/シャントを適所に打ち込むことにより、またはこれらの方法の組み合わせにより、送達器具を用いてセンサ/シャントが所望の場所に押し込まれるのが好ましい。センサ/シャントが所望の場所にきたら、送達器具の遠位部を用いて打つことによりさらに据え付けられればよい。
【0107】
送達器具は、管腔が内部に延在する開放遠位端を含むことができる。管腔内には、管腔内で軸方向に移動可能なプッシャチューブが置かれるのが好ましい。プッシャチューブは、例えばスクリュ、ロッド、スプリング等の蓄積エネルギーデバイスなど、送達器具との関係でセンサ/シャントを押すまたは操作することに適した任意のデバイスであればよい。送達器具の壁は、センサ/シャントを管腔内に配置できるように、プッシャチューブを越えて延在するのが好ましい。センサ/シャントは、適所に留められてもよい。例えばセンサ/シャントは、プッシャチューブまたは壁との粘弾性または機械的インターロックにより留められればよい。センサ/シャントが前房隅角内の組織に隣接した場所にくると、プッシャチューブが送達器具の開放遠位端に向かって軸方向に進められる。プッシャチューブが進められると、センサ/シャントも進められる。センサ/シャントが組織を通して進められて、もはや送達器具の管腔内になくなると、送達器具が後退させられ、センサ/シャントが眼組織内に残される。
【0108】
一部の実施形態は、ばね負荷式または蓄積エネルギープッシャシステムを含むことができる。ばね負荷式プッシャは、ヒンジ付きロッドデバイスに動作可能に接続されたボタンを含むのが好ましい。ヒンジ付きロッドデバイスのロッドは、プッシャの表面の窪みを係合し、プッシャのスプリングを圧縮形態に保つ。ユーザがボタンを押すと、ロッドが窪みから外され、これによりスプリングが圧縮解除されてプッシャを前に進める。
【0109】
一部の実施形態では、オーバーザワイヤシステムを用いて、センサ/シャントが送達される。センサ/シャントを、ワイヤ上で送達することができる。ワイヤは、自己円形切除式であるのが好ましい。ワイヤは、トロカールとして機能してもよい。ワイヤは、超弾性であっても、可撓性であっても、またはセンサ/シャントに対して相対的に可撓性が低くてもよい。ワイヤは、ある形状を有するように予め形成されればよい。ワイヤは、湾曲させてもよい。ワイヤは、形状記憶を有してもよいし、または弾性であってもよい。一部の実施形態では、ワイヤはプルワイヤである。ワイヤは、操縦可能なカテーテルであってもよい。
【0110】
一部の実施形態では、ワイヤは、センサ/シャントの管腔内に置かれる。ワイヤは、管腔内で軸方向に移動可能であってもよい。管腔は、バルブまたはその他の流れ調節デバイスを含んでもよいし含まなくてもよい。
【0111】
一部の実施形態では、送達器具はトロカールを含む。トロカールは、角度をつけてもよいし、または湾曲させてもよい。トロカールは、剛性、半剛性、または可撓性であってもよい。トロカールが固い実施形態では、センサ/シャントは比較的可撓性であってもよいが、その必要はない。トロカールの直径は、約25.4μm~約254μmであればよい。一部の実施形態では、トロカールの直径は、25.4、50.8、101.6、127、152.4、177.8、203.2、228.6または254μmである。
【0112】
一部の実施形態では、センサ/シャントの遠位端部またはその近傍で推進力を加えることにより、センサ/シャントの送達が達成される。推進力は、一般的にセンサ/シャントの端に対して加えられる引く力または押す力であってもよい。
【0113】
器具は、器具が眼の中にあるときに房水が送達器具を通過することおよび/または器具の部材間を通過すること防止するシールを含むことができる。シールは、房水が器具を通って眼から外へ逆流するのを防止するのも助けうる。漏れ抑止のための適切なシールは、例えばOリング、コーティング、親水剤、疎水剤およびそれらの組み合わせを含む。コーティングは、例えばMDX(登録商標)シリコーン流体等のシリコーンコートであってもよい。一部の実施形態では、器具は、コーティングおよび親水剤または疎水剤で被覆される。一部の実施形態では、器具の一つの領域はコーティングと親水剤で被覆され、器具の別の領域はコーティングと疎水剤で被覆される。送達器具は、器具を構成する様々な部材間のシールをさらに含んでもよい。シールは、器具の部材のスリップフィット表面間の疎水性コーティングまたは親水性コーティングを含むことができる。シールは、送達器具により運ばれる際に、排出センサ/シャントの付近に配置されればよい。シールは、互いに密嵌するように加工された二つのデバイスの少なくともそれぞれのセクションに存在するのが好ましい。
【0114】
一部の実施形態では、送達器具は、面取り形状を有する遠位端を含んでもよい。送達器具は、ヘラ形状を有する遠位端を含んでもよい。面取り形状またはヘラ形状は、尖らせたエッジを有してもよい。面取り形状またはヘラ形状は、センサ/シャントを含むための凹所を含んでもよい。凹所は、センサ/シャントを押し出すためまたはイジェクトするためのプッシャまたはその他の適切な手段を含んでもよい。
【0115】
送達器具は、複数のシャントを送達するようにさらに構成することができる。一部の実施形態では、以下で詳述するように、複数のシャントを送達するときにはシャントをタンデムに設けることができる。
【0116】
眼センサ/シャントの一部の実施形態の送達では、粘弾材を用いるか否かにかかわらず密閉されたチャンバ内に埋込が行われる。シャントはプッシャ等のアプリケータを使用して配置されてもよいし、または参照により内容が全体として本明細書に組み込まれ、本明細書および開示の一部となる2002年8月28日に出願の米国特許出願公開第2004/0050392号に開示されるように、器具内に蓄積されたエネルギーを有する送達器具を使用して配置されてもよい。一部の実施形態では、埋込を容易にするためにセンサ/シャントの遠位端で高い流体圧力を生じさせるために、処置で使用する送達器具または別の器具を通じて流体が注ぎ込まれてもよい。
【0117】
一部の実施形態では、センサ/シャントは、毛様体筋の強膜に対する線維性付着を通して埋め込まれる。この線維性付着ゾーンは、
図11の二つの矢印(1020)の間で示されるように、強膜岬から約0.5mm後方に延在する。
【0118】
一部の実施形態では、縁郭部またはその近傍の小さな切開創を通じて、眼を横断してアブ・インテルノでセンサ/シャントを送達することが望ましい。システム全体の形状によって、送達器具に遠位曲がりまたは遠位角度を取り入れることが有利になる。前者の場合には、センサ/シャントは、曲がりに沿った送達を助長するために可撓性であってもよいし、または正確な進路に沿って移動しやすいように、よりゆるく保持されてもよい。後者の場合には、センサ/シャントは比較的剛性であってもよい。送達器具は、遠位角度を通過するのに十分に可撓性であるセンサ/シャント前進要素(例えばプッシャ)を取り入れてもよい。
【0119】
一部の実施形態では、臨床使用中に、センサ/シャントおよび送達器具が、縁郭部またはその近傍の切開創から前房32を通して、虹彩を横断して、毛様体筋付着を通して、センサ/シャント出口部がぶどう膜強膜流出経路内に位置する(例えば強膜38と脈絡膜40との間に画成される脈絡膜上スペース34に露出される)まで進められればよい。それから操作者は、センサ/シャント出口部がぶどう膜強膜流出経路内の位置を維持するように、送達器具を引き戻すと同時にプッシャデバイスを押し進めればよい。センサ/シャントが送達器具から解放され、送達器具が近位に後退させられる。それから送達器具が、切開創を通じて前房から引き出されればよい。
【0120】
一部の実施形態では、脈絡膜と強膜との間にセンサ/シャントによりアクセスできるチャンバまたはポケットを作るために、脈絡膜上スペースに粘弾材が注入されてもよい。このようなポケットは、脈絡膜および強膜組織エリアをより多く露出させ、ぶどう膜強膜流出を増加させ、IOPの低下をもたらすことができる。一部の実施形態では、粘弾性材料は、例えば25または27Gのカニューレによって、毛様体筋付着部の切開創を通じて、または強膜を通じて(例えば眼の外から)注入されてもよい。粘弾性材料は、埋込完了前、埋込中、または埋込完了後に、センサ/シャント自体を通じて注入されてもよい。
【0121】
一部の実施形態では、高浸透圧剤が脈絡膜上スペースに注入されてもよい。このような注入は、IOPの低下を遅延させることができる。したがって、脈絡膜吸収を一時的に減少させることにより、術後急性期の低眼圧を回避することができる。高浸透圧剤は、例えばグルコース、アルブミン、HYPAQUE(商標)媒質、グリセロールまたはポリ(エチレングリコール)であればよい。高浸透圧剤は、患者が回復するとともに分解または流失し、安定した許容可能な低さのIOPがもたらされ、一過性低眼圧が回避される。
【0122】
図11は、人間の前眼部の子午線横断面を示し、本明細書に記載するシャントの実施形態とともに使用できる送達器具1130の別の実施形態を概略的に示す。
図11では、矢印1020が、毛様体筋1030の強膜1040に対する線維性付着ゾーンを示す。毛様体筋は、脈絡膜1050の一部である。脈絡膜上スペース34は、脈絡膜と強膜との間の境界部である。眼のその他の構造体には、水晶体1060、角膜1070、前房32、虹彩1080、およびシュレム管1090が含まれる。
【0123】
一部の実施形態では、緑内障患者の眼圧を低下させるために、線維性付着ゾーンを通してセンサ/シャントを埋め込み、これにより前房をぶどう膜強膜流出経路に接続することが望ましい。一部の実施形態では、縁郭の小さな切開創を通じて眼の内部を(アブ・インテルノで)横断するデバイスを用いてセンサ/シャントを送達することが望ましい。
【0124】
送達器具/センサ/シャントアセンブリは、虹彩角膜角に達するように虹彩と角膜との間に通されればよい。したがって、送達器具/センサ/シャントアセンブリ(
図11の寸法1095)の高さは、約3mm未満であるのが好ましく、2mm未満であるのがより好ましい。
【0125】
脈絡膜と強膜との間の脈絡膜上スペースは、眼の光軸1115と概して約55度の角度1110をなす。前の段落に記載した高さ要件に加え、この角度が、送達器具/センサ/シャントアセンブリの幾何学的設計において考慮すべき特徴である。
【0126】
システムの全体的形状により、送達器具1130に、
図11に示したような遠位曲がり1140、または
図12に示したような遠位角度1150を取り入れることが有利になる。遠位曲がり(
図11)は、縁郭部の角膜または強膜の切開創をより滑らかに通過することが予想される。しかし、センサ/シャントは、この場合湾曲しているか、または可撓性であるのが好ましい。あるいは、
図12の設計では、センサ/シャントは、送達器具の「エルボ」または角度1150から遠位の直線状セグメント上に装着されてもよい。この場合、センサ/シャントは直線状で比較的可撓性が低くてもよく、送達器具は、この角度を進むのに十分可撓性である送達機構を取り入れてもよい。一部の実施形態では、センサ/シャントが遠位セグメント1160の長さ以下であるものとして、センサ/シャントは剛性チューブである。
【0127】
送達器具1130の遠位曲がり1140は、半径およそ10~30mm、好ましくは約20mmとして特徴付けることができる。
図12に示した送達器具の遠位角度は、送達器具の近位セグメント1170の軸に対しておよそ90~170度、好ましくは約145度として特徴付けることができる。この角度は、送達器具の近位セグメント1170から遠位セグメント1160に滑らかに移行するように、「エルボ」で小さな曲率半径を取り入れる。遠位セグメント1160の長さは、およそ0.5~7mm、好ましくは約2~3mmであればよい。
【0128】
図13、14Aおよび
図14Bは、センサ/シャント用の送達器具の例を示す。一部の実施形態では、切断先端2140を有する針を通じてセンサ/シャントが送達される。眼を通した送達のために、針のシャフト内にセンサ/シャントが装填されればよい。針は、
図14Aに示すように、面取り開口部2150とは反対の針の側面を湾曲させてもよい。これによって、針の湾曲した部分が、デバイスの有効高さに大きく影響せずに「下方」方向を向くことができる。この形状は、虹彩と角膜との間の前房の通過のために有利でありうる。同時に、この湾曲により、針の鋭い先端が毛様体筋/強膜境界部の角度(
図11に示した角度1110)に沿うことが可能になる。さらに、
図14Aに示した湾曲した先端の設計により、強膜からの毛様体筋の切離の深さを、線維性付着組織を切り開くのに必要な最小限の深さに制限することができる。この深さは、約0.5mm未満であると推定される。加えて、先端の曲がりは、針を通して遠位外方へ押されるセンサ/シャントを方向転換するためのバッフルとして働く。他の実施形態では、針の切断先端は
図14Bに示すように直線状である。
【0129】
図15は、様々な方法または処置を行うために使用できるシステムの別の実施形態を示す。センサ/シャント2200は、脈絡膜上スペースと平行の角度で「下方へ」屈折される。挿入の深さは、ストップ2230により移動距離が制限されてもよいプッシュロッド2220の長さにより決定されてもよい。プッシュロッドは、針2240の開口部の近位エッジで終端することが好ましい。そうすれば、センサ/シャントが毛様体筋の前面より下に押されることはない。
【0130】
図16は、様々な方法または処置を行うために使用できるシステムの別の実施形態を示す。図の実施形態では、湾曲させまたは角度をつけたシャフト2250上にセンサ/シャント2200が装着される。一部の実施形態では、センサおよびシャントの両方が、シャフト上に装着される。他の実施形態では、センサはシャントに接続されればよく、シャントだけがシャフト上に装着される(例えばセンサがシャントに拘束され、シャントがシャフト上に装着される)。シャフト2250は(図のように)管状であっても、固体であってもよく、遠位端2260は尖らせてもよい。センサ/シャントが比較的固く、それでもシャフトに沿って摺動するように、センサ/シャント2200を、送達デバイスとほぼ同じ半径で湾曲させてもよい。一部の実施形態では、プッシャチューブ2270が、センサ/シャントをシャフトに沿って遠位に摺動させ、解放させる。一部の実施形態の動作では、尖らせた端2260が、毛様体筋と強膜とを付着させる線維組織に切開創を作製する。一部の実施形態では、尖らせた先端2260とセンサ/シャントの遠位端との間の距離が、組織をどれだけ深く切開できるかを決定する。切断部を作製した後、操作者は、装着シャフト2250を固定して保ちながら、プッシャチューブ2270を進めればよい。この動作により、センサ/シャント2200が切開創内へと進められる。センサ/シャントの前進距離は、
図15に示すようにストップにより移動距離が制限されてもよいプッシャチューブ2270の長さにより決定されてもよい。
【0131】
本発明のさらなる実施形態は、脈絡膜上組織の後方切離を達成するために、センサ/シャントを通じたまたはシャフト2250を通じた粘弾材の注入を取り入れ、これにより房水の容量チャンバまたは貯蔵部が作られる。加えてまたは代わりに、センサ/シャント2220を通じてまたはシャフト2250を通じて、治療剤(例えば高浸透圧剤)が脈絡膜上スペース内に送達されてもよい。
【0132】
図17は、様々な方法または処置を行うために使用できるシステムの別の実施形態を示す。例えばプッシャ2720を用いて、センサ/シャント2700の遠位端2710部またはその近傍で推進力を加えることにより、センサ/シャント2700の送達を達成できる。推進力は、センサ/シャント2700の遠位端2710に加えられる押す力であってもよい。あるいは、送達デバイスは、組織を通してセンサ/シャントを引き込むための引く力を供給するために、センサ/シャントの内部またはまわりに延在してもよい。
【0133】
図18は、様々な方法または処置を行うために使用できるシステム2800の別の実施形態を示す。センサ/シャントの送達のために、ばね負荷式プッシャシステム2800を使用することができる。ばね負荷式プッシャ2810は、ヒンジ付きロッドデバイス2830に動作可能に接続されたボタン2820を含むのが好ましい。ヒンジ付きロッドデバイス2830の遠位部2835は、プッシャ2810の表面の窪み2840を係合し、プッシャ2810のスプリング2850を圧縮形態に保つ。ユーザがボタン2820を下方2860に押すと、ヒンジ付きロッドデバイス2830の遠位部2835が窪み2840から外され、これによりスプリング2850が圧縮解除されて、プッシャ2810を前に進める。
【0134】
図19は、様々な方法または処置を行うために使用できるシステムの別の実施形態を示す。図の実施形態では、センサ/シャント2900を送達するために、オーバーザワイヤシステム2920が使用される。一部の実施形態では、センサおよびシャントの両方がワイヤ上に装着される。他の実施形態では、センサは拘束されるかまたはそれ以外の方法でシャントに接続されればよく、シャント部だけがワイヤ上に装着される。このような実施形態は、センサ部にワイヤを通せる通路が必要なく、これによりセンサの設計および電子構成要素のレイアウトが簡単にできるため有利である。センサ/シャント2900は、遠位端に概して丸みがつけられた遠位部2915を有してもよい。遠位部の半径は、約70~約500μmであればよい。遠位部2915は、図のように近位方向に向かって好ましくはほぼ一定のテーパもしくは半径でまたは放物線状の様式で、横断面のサイズが徐々に増加してもよい。
【0135】
一部の実施形態では、インプラントは、インプラント内の内部チャンバまたは管腔と連通する一つ以上の開口部2905を含む。開口部のエッジは図のように丸みがつけられるのが好ましい。加えてまたは代わりに、インプラントは、上述のようにインプラントを定着させるためのその他の外面の不規則性(例えば環状溝)を含んでもよい。
【0136】
一部の実施形態では、センサ/シャントは、インプラントの近位部にフランジ2910を有してもよい。フランジは、図のように鋭いエッジおよび角を有するのが好ましい。鋭いエッジおよび角は、インプラントの流入端近傍の細胞増殖を阻害する傾向がある。
【0137】
ワイヤまたは類似の細長構造体2920は、トロカールとして機能することができる。ワイヤ2920は、自己円形切除式であるのが好ましい。ワイヤ2920の遠位部2930の先端の半径は、約10~約500μmであればよい。一部の実施形態では、ワイヤ2920の遠位部2930の先端の半径は、約70~約200μmであってもよい。ワイヤ2920の遠位部2930は、近位方向に向かって横断面のサイズが増加してもよい。一部の実施形態では、増加は放物線状の様式であってもよい。図の実施形態では、ワイヤ2920は、近位方向に向かって横断面のサイズが放物線状の様式で徐々に増加する遠位部2930を有する。ワイヤ2920は、遠位部2930の丸みがつけられた遠位先端を有しうる。他の実施形態では、遠位部は先細であってもよい。ワイヤは、超弾性であっても、可撓性であっても、またはセンサ/シャントに対して相対的に可撓性が低くてもよい。ワイヤは、ある形状を有するように予め形成されてもよい。ワイヤは、湾曲させてもよい。ワイヤは、形状記憶を有してもよいし、または弾性であってもよい。一部の実施形態では、ワイヤはプルワイヤである。ワイヤは、操縦可能なカテーテルであってもよい。
【0138】
一部の実施形態では、プッシャ2950が、センサ/シャント2900の送達を助けるために、ワイヤ2920と連動して用いられてもよい。センサ/シャント2900が所望の位置に送達された後にワイヤ2920が近位に引き出される際に、プッシャ2950を用いてセンサ/シャント2900を適所に保つことができる。
【0139】
プッシャ2950、トロカール2920、およびインプラント2900は、外側シースまたは針の中に嵌って移動する(例えば摺動する)ようにサイズ設定されるのが好ましい。針は、前眼房にアクセスする際に組織(例えば角膜組織)を貫通する、尖らせた遠位端を含むのが好ましい。
【0140】
図20は、眼圧センサ2000の例示的実施形態を示したブロック図である。眼圧センサ2000は、他の任意の生理センサに関して本明細書に記載した任意の構成要素または特徴を含むことができる。しかし、いかなる構成要素または特徴も、明示的に別段の指定がない限り、眼圧センサ2000に必ずしも必要であるものと理解されてはならない。加えて、眼圧センサ2000を眼の中の所望の位置に埋め込むために、本明細書に記載した任意の埋込技術およびツールを使用することができ、他の任意のセンサに関して本明細書に開示した任意の検知方法、制御方法および/または治療方法を眼圧センサ2000により使用することができる。
【0141】
一部の実施形態では、眼圧センサ2000は、ハウジングアセンブリ2100(
図21~29に関して本明細書に記載)、圧力検知モジュール2050、ワイヤレス伝送器/アンテナ2085、コントローラモジュール2070、測定結果記憶モジュール2060、およびバッテリ2040を含む。しかし、これらの構成要素の各々は、眼圧センサ2000の全ての実施形態に必ずしも必要なわけではない。さらに、眼圧センサ2000は、他の構成要素を含むこともできる。一部の実施形態では、眼圧センサ2000の構成要素の一部または全部が、チップ上の集積回路2075(
図20に点線ボックスとして示される)の一部として提供されるが、いくつかの構成要素は、例えば集積回路2075に対する電気接続を有する個別の構成要素として提供されてもよい。
【0142】
一部の実施形態では、圧力検知モジュール2050は、モジュールが位置する媒質の圧力に応じて静電容量が変動するコンデンサを含む。一部の実施形態では、圧力検知モジュール2050は、微小電気機械システム(MEMS;microelectromechanical system)を含む。例えば、本明細書にさらに記載するように、圧力検知モジュール2050は、可動メンブレンまたはダイアフラムの付近に固定されたコンデンサプレートを含めばよい。可動メンブレンと固定されたコンデンサプレートとの間の距離および/または接触は、例えば眼圧センサ2000が眼の中に埋め込まれたときに房水により加えられる圧力に応じて変動する。これが、MEMSデバイスの静電容量の変化として検出される。一部の実施形態では、圧力検知モジュール2050は、約±0.5mmHgの分解能で約3mmHg~約50mmHgまでの眼圧を測定できる、接触モードセンサである。一部の実施形態では、可動メンブレンまたはダイアフラムの下の空洞が真空下で密封され、圧力検知モジュールは、およそ600~900mmHgの絶対圧の範囲にわたり応答する。このような実施形態では、体外で独立して大気圧が測定され、センサ絶対圧から減算されて眼圧が得られる。一部の実施形態では、信号(静電容量)は、眼圧に対してほぼ線形の様式で変動する。一例では、静電容量は、ほぼ線形の圧力範囲にわたり、およそ5ピコファラド(pF)~およそ20pFまで増加しうる。
【0143】
一部の実施形態では、圧力検知モジュール2050は、圧力検知モジュール2050の静電容量を示す値、したがって検出圧力を出力する、静電容量デジタルコンバータ2056に電気的に接続される。この値は、制御モジュール2070に提供されればよい。一部の実施形態では、眼圧センサは、一つ以上の基準コンデンサ2052も含む。基準コンデンサ2052も、静電容量デジタルコンバータ2056に接続され、較正および/または温度補償のための基準値を提供するために使用されればよい。
【0144】
圧力検知モジュール2050からの圧力測定結果は、測定結果記憶モジュール2060に格納されればよい。一部の実施形態では、測定結果記憶モジュール2060は、集積回路2075上に提供され、例えばコントローラモジュール2070および/または圧力検知モジュール2050に通信可能に結合された、固体メモリである。例えば、測定結果記憶モジュール2060は、16kBスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM;static random-access memory)であってもよいが、その他のタイプのメモリおよび/または容量が使用されてもよい。一部の実施形態では、コントローラモジュール2070は、測定結果記憶モジュール2060に格納する前に、圧力測定結果のデータ圧縮を行う。データ圧縮を行うことにより、測定結果記憶モジュール2060は、より多くの測定結果を保つことができる。これによって、より頻繁に測定を行い、および/またはデータダウンロードイベントの頻度を少なくすることができる。一部の実施形態では、計算リソースを保存するために、比較的単純な圧縮技術を使用することが有利であろう。一つのデータ圧縮アルゴリズムの例は、測定結果自体ではなく、連続した測定結果間の差を格納することである。この技術によって、測定結果記憶モジュール2060により使用される測定結果ごとのビット数をより少なくすることができる。
【0145】
図20に示すように、眼圧センサ2000は、コントローラモジュール2070も含むことができる。コントローラモジュール2070は、例えば本明細書に開示した他のコントローラモジュールに関して記載した任意の機能を行うことができる。例えば、一部の実施形態では、コントローラモジュール2070は、例えばMSTRクロック2071により決定される所定の時間におよび/または一定の間隔で圧力検知モジュール2050に測定を行わせるようにプログラムされてもよい。例えば、一部の実施形態では、コントローラモジュール2070は、毎時に測定結果を取得するようにプログラムされる。しかし、記録/報告される各測定結果は、圧力検知モジュール2050による複数の測定結果から計算されてもよい。例えば、コントローラモジュール2070は、比較的短い間隔(例えば30秒)で複数の測定結果(例えば三つの測定結果)を取得するようにプログラムされてもよい。それからこれらの値が平均され、測定結果記憶モジュール2060で単一の測定結果として記録/報告されればよい。それからこのプロセスが、より長い間隔(例えば毎時)で繰り返されてもよい。
【0146】
図20に示される眼圧センサ2000は、コントローラモジュール2070および伝送器モジュール/アンテナ2085等の構成要素に電力を供給するバッテリモジュール2040を含む。一部の実施形態では、バッテリの物理的寸法は、およそ0.3mm×4.5mm以下である。バッテリは、およそ0.8μAh以上の電力定格を有していればよい。このような電力定格は、再充電の合間に十分な電力を少なくともおよそ180日間提供するものと推定される。一部の実施形態では、眼圧センサ2000のスリープ時電力消費量は数ピコワット程度であり、アクティブ時電力消費量は数ナノワット程度である。しかし、バッテリモジュール2040のサイズおよび電力定格は、上に挙げた数と異なってもよく、眼圧センサ2000の電力消費量も同様であることを理解されたい。前述の仕様は、例にすぎない。例えば、一部の実施形態では、バッテリモジュール2040は、眼圧センサ2000に少なくともおよそ90日間電力を供給することができる。
【0147】
一部の実施形態では、本明細書にさらに記載するように、バッテリモジュール2040は外部デバイスにより再充電可能である。例えば、外部デバイスからの誘導結合またはRFエネルギーを介して、バッテリモジュール2040をワイヤレスで再充電することができる。バッテリモジュール2040は、ソーラー電力により、または赤外レーザにより充電されてもよい(その場合、眼圧センサ2000は太陽または赤外レーザ光を電力に変換する適切な光電池を含めばよい)。
【0148】
眼圧センサ2000は、伝送器/アンテナ2085も含むことができる。測定結果記憶モジュール2060に格納された圧力測定結果を外部読み取りデバイスにワイヤレスで伝送するために、伝送器/アンテナ2085を使用することができる。外部読み取りデバイスは、センサ2000から圧力測定結果をダウンロードするために患者が着用する眼鏡と一体化されてもよい。伝送器/アンテナ2085は、(例えば格納された測定結果がダウンロードされる間に)バッテリモジュール2040を充電するためにワイヤレスで電力を受け取る、二重の目的を持ってもよい。例えば、伝送器/アンテナ2085は、誘導結合によりワイヤレスで電力を受け取ることができる。ワイヤレス充電デバイスが、眼圧センサ2000からデータをダウンロードするための外部読み取りデバイスを含む同じ眼鏡と一体化されてもよい。伝送器/アンテナ2085は、測定結果データを伝送し、バッテリモジュール2040を再充電するための電力を受け取ることができ、これらを同時にまたは一度に一つずつ(いずれの順序でも)行うことができる。
【0149】
一部の実施形態では、アンテナ2085は、銀、金、プラチナ、タングステンおよび/または以上の合金などの導体で作製される。一部の実施形態では、アンテナ2085は、約92%のプラチナと約8%のタングステンとの合金で作製される。本明細書にさらに記載するように、アンテナがハウジング内に適合するだけでなくハウジング内に提供された他の構成要素を包囲することもできるように、アンテナ2085は、直径がメインハウジング2102の内径よりもやや小さい螺旋形状を有してもよい。
【0150】
図21は、眼圧センサ2000用のハウジングアセンブリ2100のメインハウジング2102部の実施形態例を示した斜視図である。一部の実施形態では、メインハウジング2102は、概して円筒状のチューブである。メインハウジング2102は、例えばセラミックで作製されればよい。セラミックは、プラスチックよりも有効な防湿バリアを提供するが、金属のように伝送器/アンテナ2085との間での信号を遮断することはないという利点を提供する。セラミックは、例えば少なくとも約90%のアルミナであればよい。一つの考えられるセラミック材料は、約99.99%アルミナであり、別の考えられるセラミック材料は、約90%アルミナおよび約10%ジルコニアである。他の実施形態では、メインハウジング2102は、HDPEなどの高バリアプラスチックで作製されてもよい。このような実施形態では、プラスチックは、防湿性を改善するためにセラミックで被覆されてもよい。このような実施形態は、より複雑なメインハウジング形状(例えば屈曲または曲がりを含むメインハウジング形状)を作製するために有用であろう。加えて、一部の実施形態では、メインハウジング2102内の構成要素(例えば電子構成要素)は、液体がメインハウジング2102に浸透した場合の損傷の可能性をさらに減らすために疎水性材料で被覆されてもよい。集積回路2075、アンテナ2085などを含むメインハウジング2102内の構成要素は、短絡を防止するのを助けるために電気絶縁性コーティング(例えばParyleneコーティング)でさらに(または代わりに)被覆されてもよい。
【0151】
メインハウジング2102は、一部の実施形態においてはいずれも取外し可能であってもよい別個の先端キャップ2104および/または別個のセンサキャップ2108(
図27~29)と嵌合するように設計することができる。
図21に示すように、先端キャップ2104は、概して丸みがつけられた端を有してもよい。丸みがつけられた端によって、毛様体上/脈絡膜上スペース等、ある眼内解剖学的構造体内へのセンサ2000の挿入を容易にすることができる。先端キャップ2104は、メインハウジング2102の一端に圧入するように設計されてもよい。先端キャップ2104とメインハウジング2102との間の嵌めは、液密式とすることができる。例えば、先端キャップ2104は、先端キャップ2104とメインハウジングとの間の内部接合部に、メインハウジング2102に液体が入ることを防止するための一つ以上のシール(例えばOリング、はんだリング、共晶リング、金-金圧縮接合等の圧縮接合など)を含めばよい。センサキャップ2108は、先端キャップ2104と反対のメインハウジング2102の他端に圧入されるように設計されてもよい。センサキャップ2108も、本明細書に記載するように、例えば一つ以上のシール(例えばOリング、はんだリング、共晶リング、金-金圧縮接合等の圧縮接合など)を用いて、メインハウジング2102と防湿バリアシールを形成するように設計されてもよい。あるタイプの防湿バリアシール(例えばOリング)を用いた先端キャップ2104およびセンサキャップ2108の圧入嵌めは、結合形成、熱硬化、真空蒸着/その他のコーティング、電気インパルスなどを必ずしも必要とせずにハウジングアセンブリ2100(メインハウジング2102、先端キャップ2104およびセンサキャップ2108を含む)を組み立てて密封することができるため、有利でありうる。
【0152】
メインハウジング2102は、センサ2000を所望の眼内の解剖学的構造体部または内部に定着させるための、かかり2106等の一つ以上のアンカー部材も含むことができる。一部の実施形態では、アンカー部材は、メインハウジング2102の外側表面から隆起し、各アンカー位置でメインハウジングの外周の全部または一部を取り巻く、隆起したリッジまたはかかり2016である。
【0153】
メインハウジング2102は、任意の所望の眼内の解剖学的構造体に適合するようにサイズ設定および成形されればよい。しかし、一部の実施形態では、眼圧センサ2000が眼の毛様体上/脈絡膜上スペース内に埋め込まれるように設計される。このような実施形態では、ハウジングアセンブリ2100は、約2~8mmの長さおよび/または約0.3~0.6mmの直径を有していればよい。一部の実施形態では、ハウジングアセンブリ2100の長さは約5.4mmであり、直径は約0.48mmである。
【0154】
図22は、毛様体/脈絡膜と強膜との間の毛様体上/脈絡膜上スペース内の眼圧センサ2000の位置を示す。本明細書に記載するように、眼圧センサ2000は、一つ以上のアンカー部材2106によりこの位置に固定されてもよい。毛様体は、脈絡膜と連続する。毛様体上/脈絡膜上スペースは通常、毛様体/脈絡膜と強膜との間の境界部の潜在的スペースである。このスペースは、眼圧センサ2000等のインプラントを収容するために開くことができる。
図22は、(前眼房内に部分的にまたは完全に位置してもよいし、または毛様体上/脈絡膜上スペース内に部分的または完全に位置してもよい)眼内生理センサ2000の配置の例を示す。一部の実施形態では、房水の圧力を測定するために房水に即座にアクセスできるように、眼圧センサ2000の少なくともセンサキャップ端が前房内へと延在する。図示していないが、他の実施形態では、眼圧センサ2000は、強膜、虹彩、毛様体、線維柱帯網またはシュレム管を含むがこれに限られない、他の眼内の解剖学的特徴内または特徴部に埋め込むためにサイズ設定および成形されてもよい。
【0155】
図23は、メインハウジング2102を透明なものとして示した
図21の複製物を示した図である。先端キャップ2104およびかかり2106は、なお見ることができる。透明なメインハウジング2102を通して、アンテナ2085、先端キャップ2104のOリングシール2105、およびOリングシール2109を含むセンサキャップ2108の一部も見ることができる。
図23は、様々な構成要素を装着することができるキャリア部材2072も示す。例えば、バッテリモジュール2040および集積回路2075を、キャリア部材2072上に装着することができる。キャリア部材2072は、キャリア部材2072に装着または接続された様々な構成要素間の電気接続を提供するために表面上に形成されまたはその容積内に包埋された、電気接点、接続、信号トレースなどを含むことができる。一部の実施形態では、キャリア部材2072は、ガラスバックボーン(例えばホウケイ酸ガラス)である。
【0156】
本明細書にさらに記載するように、センサ2000にさらなる構造的一体性を提供し、キャリア部材に装着された構成要素をメインハウジング2102内に固定するために、キャリア部材2072を、先端キャップ2104および/またはセンサキャップ2108と物理的に嵌合するように設計することができる。この物理的嵌合を可能にするために、キャリア部材2072、先端キャップ2104および/またはセンサキャップ2108は、それぞれ、ハウジングアセンブリ2100の隣接部上の相補構造体と嵌合、取り付け、接合などするように設計された一つ以上のコネクタ、カットアウト、突起などを含んでもよい。
【0157】
図23に示したように、一部の実施形態では、アンテナ2085は、メインハウジング2102の内周のまわりでキャリア部材2072のまわりに螺旋を描く導体である。アンテナ2085は、キャリア部材2072上に装着された集積回路2075への電気接続を提供するために、例えばはんだによりキャリア部材2072に接続されてもよい。
【0158】
図24は、メインハウジング2102が除去された
図21の複製物を示した図である。ここでも、アンテナ2085、ガラスバックボーンキャリア部材2072、先端キャップ2104およびそのOリングシール2105、ならびにOリングシール2109を含むセンサキャップの一部が見えている。
図24は、キャリア部材2072上に装着されたバッテリモジュール2040も示す。本明細書にさらに記載するように、ガラスバックボーンキャリア部材2072は、先端キャップ2104および/またはセンサキャップ2108と物理的に嵌合するように構成される。例えば、ガラスバックボーンキャリア部材2072は、概して長方形の横断面を有するものとして図示される。先端キャップ2104およびセンサキャップ2108はそれぞれ、キャリア部材2072の端を挿入することができる対応して成形された内側カットアウトを含んでもよい。本明細書にさらに記載するように、カットアウトおよびキャリア部材2072はそれぞれ、キャリア部材がセンサキャップ2108と嵌合されて互いに接触するように設計された電気接点または他の接続を含んでもよい。
【0159】
図25は、アンテナ2085が除去された
図24の複製物を示した図である。前と同様に、ガラスバックボーンキャリア部材2072、先端キャップ2104およびそのOリングシール、Oリングシール2105を含むセンサキャップ2108の一部、ならびにバッテリモジュール2040を見ることができる。
図25は、アンテナ2085を除去した状態で、ガラスバックボーンキャリア部材2072上に装着された集積回路2075も示している。本明細書に記載するように、集積回路は、例えばコントローラモジュール2070、測定結果記憶モジュール2060などを含めばよい。
【0160】
図26は、湾曲したハウジング2602を有する眼圧センサ2000の別の実施形態例を示した図である。眼圧センサ2000が概して直線状のメインハウジング2102を有する実施形態を示した
図21~25とは対照的に、
図26は、湾曲したプロファイルを有する管状メインハウジング2602を示す。メインハウジング2602は、埋め込まれる予定の解剖学的構造体(例えば毛様体上/脈絡膜上スペース)の形状によりよく一致するように、長手方向寸法に沿ってやや湾曲している。しかし、異なる曲がりが用いられてもよいことを理解されたい。さらに、眼圧センサ2000の形状および/または寸法は、他の眼内の解剖学的特徴内または特徴部に埋め込まれるために適合されてもよい。
図26は、先端キャップ2104、センサキャップ2108およびアンカーかかり2602も示す。これらの特徴は、本明細書の他所に記載した通りである。
【0161】
図27は、ハウジングのメインボディ2102に少なくとも部分的に挿入されるように設計された非凹センサキャップ2108を示した上面斜視図および横断面図である。一部の実施形態では、センサキャップ2108はガラス(例えばホウケイ酸ガラス)で作製されるが、他の材料も考えられる。非凹センサキャップ2108は、プラグ部2115とヘッド部2114とを含む。プラグ部2115は、ハウジングアセンブリ2100のメインボディ2102にぴったりと挿入可能であるようにサイズ設定されればよい。例えば、プラグ部2115の直径は、メインボディ2102の内径に等しいか、またはほんの少し小さければよい。プラグ部2115は、一つ以上のOリングシール2109も含む。Oリングシールは、プラグ部2115の外周のまわりに形成された溝を含む。溝は、ゴム等のエラストマーの伸縮性材料で形成された一つ以上のOリングに適合するようにサイズ設定される。プラグ部2115がメインボディ2102に圧入されると、Oリングシール2109が防湿バリアを形成して、センサキャップ2108とメインボディ2102との接合部で房水がメインボディ2102に入るのが防止される。
【0162】
プラグ部2115は、Oリングシールを備えて示されるが、センサキャップ2108とメインボディ2102との間の内部接合部に他のタイプのシールを用いることもできる。例えば、センサキャップ2108のプラグ部2115のまわりに、はんだリングまたは共晶リングが提供されてもよい。プラグ部2115がメインボディ2102に挿入されると、はんだまたは共晶リングが変形しうる。はんだまたは共晶リングは、加熱時に再流動化し、これにより防湿バリアおよび/または気密シールを形成するように作られてもよい。一部の実施形態で使用できる別の種類のシールは、圧縮接合である。例えば、プラグ部2115および/またはメインボディ2102に、金または他の何らかの可鍛性材料で作製された環構造体を提供すればよい。環構造体(単数または複数)は、プラグ部2115がメインボディ2102に挿入されたときに係合されるように位置すればよい。この挿入力が加えられると環構造体(単数または複数)が変形され、これにより防湿バリアおよび/または気密シールを作ることができる。センサキャップ2108をメインボディ2102に挿入した後に熱を加える必要なくしてこのタイプの圧縮シールを作ることも考えられる。本明細書に記載した任意のタイプのシールを、単独でまたは本明細書に記載した他の任意のタイプのシールと連動して使用することができることを理解されたい。さらに、本明細書に記載した以外の他のタイプのシールが用いられてもよい。
【0163】
非凹センサキャップ2108は、ヘッド部2114も含む。ヘッド部2114は、プラグ部2115の直径およびメインボディ2102の内径よりも大きな直径を有する。したがって、ヘッド部2114は、センサキャップが挿入されたときに、メインボディ2102の端に当接する。一部の実施形態では、ヘッド部の直径は、メインハウジング2102の外径と同一または類似であってもよい。
【0164】
圧力検知モジュール2050が、センサキャップ2108のヘッド部2114内に内蔵される。本明細書に記載するように、一部の実施形態では、圧力検知モジュール2050は、容量性MEMS圧力センサである。容量性MEMS圧力センサは、固定コンデンサプレート2110と可動ダイアフラム2111とを含む。眼圧センサ2000が眼の中に埋め込まれると、可動ダイアフラム2111が房水に露出される。そのため、可動ダイアフラム2111が、房水により及ぼされる圧力に応じて撓む。その結果、房水により及ぼされる圧力に応じて、可動ダイアフラム2111とコンデンサの固定プレート2110との間の距離および/または接触が変化する。これにより、静電容量の検出可能な変化が生じる。一部の実施形態では、固定コンデンサプレート2110および/または可動ダイアフラム2111はシリコーンで形成されるが、他の材料も考えられる。
【0165】
容量性MEMS圧力センサ2050は、フィードスルー導体2113によりキャリア部材2072および/または集積回路2075に接続される。特に
図27は、二つのフィードスルー導体2113を示す。フィードスルー導体2113の一方は、可動ダイアフラム2111と電気的に接触し、他方のフィードスルー導体2113は、固定コンデンサプレート2110と電気的に接触する。
図27に示すように、フィードスルー導体2113は、センサキャップ2108のボディを通って長手方向に形成される。以下でさらに論じるように、フィードスルー導体2113は、圧力センサ2050からセンサキャップ2108とキャリア部材2072との間の接合部まで延在する。一部の実施形態では、フィードスルー導体2113はシリコーンで形成されるが、他の導体材料で形成されてもよい。
【0166】
図28は、非凹センサキャップ2108を示した下面斜視図である。
図28は、本明細書に記載したプラグ部2115、ヘッド部2114、圧力検知モジュール2050、およびOリングシール2109を示す。
図28は、センサキャップ2108のボディ内に形成されたフィードスルー導体2113の位置も示す。加えて
図28は、プラグ部2115の底に形成されたカットアウト2116を示す。カットアウト2116は、センサキャップ2108がメインボディ2102に挿入されるときにキャリア部材2072を受け取るように成形およびサイズ設定される。キャリア部材2072は、センサキャップ2108のプラグ部2115に形成されたカットアウトにキャリア部材2072が挿し込まれたときにフィードスルー導体2113に電気的に接続する電気接点を含めばよい。キャリア部材2072とセンサキャップ2108との間の電気接続は、各部分上に位置する電気接点間の機械的接触により、および/またははんだ付けにより、達成することができる。このようにして、圧力検知モジュール2050の可撓性ダイアフラム2111および固定導体プレート2110からキャリア部材2072へ、さらに集積回路2075へと電気信号が伝導されればよい。
【0167】
図29は、眼圧センサ2000のメインハウジング2102に挿入された非凹センサキャップ2108を示した二つの横断面図である。上の横断面図は断面C-Cに沿ったものであり、下の横断面図は断面C-Cに直交する断面B-Bに沿ったものである。上および下の横断面図は、本明細書に記載したプラグ部2115、ヘッド部2114、Oリングシール2109、ならびに圧力検知モジュール2050の可動ダイアフラム2111および固定コンデンサプレート2110を示す。上および下の横断面図は、センサキャップ2108のプラグ部2115に形成されたカットアウト2116も示す。カットアウト2116は、キャリア部材2072を受け取るように成形およびサイズ設定される。
図29の上の横断面図はカットアウト2116の厚み寸法を示し、下の横断面図はカットアウト2116の幅寸法を示す。カットアウト2116の各寸法は、キャリア部材をぴったりと受け取るように、キャリア部材2072の対応する寸法に応じて成形およびサイズ設定されればよい。また、下の横断面図に示すように、フィードスルー導体2113が、MEMSコンデンサからカットアウト2116までセンサキャップ2108を通り抜けるが、一部の実施形態では、カットアウト2116は、センサキャップのキャリア部材2072との接合部である。
【0168】
図30は、眼圧センサ2000のメインハウジング2102に挿入された凹センサキャップ3108の実施形態例を示した横断面図である。
図27~29に示した非凹センサキャップ2108とは異なり、凹センサキャップ3108は、プラグ部2115を含むが、ヘッド部2114は含まない。したがって、凹センサキャップ3108は、眼圧センサ2000のメインハウジング2102に完全に挿入することができる。メインハウジング2102は、凹センサキャップ3108がメインハウジング2102内の所望の地点を過ぎて挿入されることを防止するために、一体型プラグストップ2101を含んでもよい。
【0169】
センサキャップ3108は、本明細書に記載したように、キャリア部材2072と嵌合するためのカットアウト2116も含む。
図30に示した実施形態では、固定コンデンサプレート2110と可動ダイアフラム2111とを含む容量性MEMS圧力センサは、ヘッド部(例えば2114)ではなくプラグ部2115の最上部と一体化される。一つ以上のフィードスルー導体2113が、圧力センサを集積回路に電気的に接続するために、圧力センサ(例えば固定コンデンサプレート2110および可動ダイアフラム2111)からセンサキャップ3108のキャリア部材2072および/または集積回路2075との接合部まで延在するように、センサキャップ3108を通って長手方向に形成されてもよい。
【0170】
図31は、接合部3100にシール3110を形成する前(
図31A)および後(
図31B)の、ハウジングのメインボディ2102とセンサキャップ2108との間の外部接合部3100の一実施形態を示した図である。メインボディ2102とセンサキャップ2108との間の外部接合部3100は、房水がハウジングアセンブリのメインボディ2102に入る侵入地点となりうる。そのような房水はいずれも、内部Oリング2109(または別のタイプのシール)によりメインボディ2102からなお締め出されうるものの、一部の実施形態では、Oリング2109(または別のタイプのシール)により提供される内部防湿バリアに加えてまたは代えて、外部接合部3100に防湿バリアシールを形成することが望ましいこともある。
図31Bは、メインボディ2102とセンサキャップ2108との間の外部接合部3100に形成された防湿バリアシール3110を示す。一部の実施形態では、防湿バリアシール3110は、金または他の何らかの材料を接合部3100上または内にスパッタリングすることにより提供されてもよい。このようにして、防湿バリアシール3110は、房水がメインボディ2102に入ることを防ぐのを助けることができる。
【0171】
様々な特徴をもつ埋込可能な生理センサおよび関連方法の様々な実施形態を、本明細書に記載している。全ての実施形態が全ての特徴を備えて示されているわけではないが、本明細書に記載した特徴は、図と共に説明された様々な実施形態と自由に組み合わせることができることを理解されたい。本明細書に記載した様々な生理センサは、参照によりそれぞれが全体として本明細書に組み込まれる以下の米国特許に記載されたセンサデバイスと関連して開示された任意の特徴、特性、要素などを有してもよい。米国特許第6,981,958号、米国特許第7,678,065号、米国特許出願公開第2010/0056979号、および米国特許出願公開第2010/0106073号。加えて、本明細書に記載した様々な生理センサが、例えば前述の特許文献に記載された任意の様式または応用例で用いられてよい。
【0172】
本明細書に開示された実施形態と関連して記載された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、例えば電子ハードウェア(例えばアナログおよび/またはデジタルサーキットリ)、コンピュータソフトウェア、または両者の組み合わせとして実装されてもよい。このハードウェアとソフトウェアの互換性を明らかに示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、一般的にその機能性に関して上述されている。このような機能性がハードウェアとして実装されるかまたはソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途およびシステム全体に対する設計上の制約に依存する。記載された機能性は、特定の用途ごとに様々な方法で実装されてよいが、このような実装の決定が、本開示の範囲からの逸脱をもたらすと解釈されてはならない。
【0173】
本明細書に開示された実施形態と関連して記載された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路の一部は、本明細書に記載された機能を行うように設計された汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP;digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA;field programmable gate array)または他のプログラマブルロジックデバイス、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネント、またはその任意の組み合わせを用いて実装または実施されてよい。
【0174】
添付の図面に関連して実施形態を記載している。しかし、図は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。距離、角度などは例示にすぎず、図示されたデバイスの実際の寸法およびレイアウトと必ずしも正確な関係をもつわけではない。加えて、前述の実施形態は、通常の技術を有する当業者が本明細書に記載されたデバイス、システムなどを作製および使用することができる程度の詳細で記載されている。多種多様な変動が考えられる。構成要素、要素、および/またはステップが、変更、追加、削除、または再編成されてもよい。ある実施形態は明示的に記載されている一方で、他の実施形態は本開示に基づいて通常の技術を有する当業者に明らかになる。本明細書に開示したある発明の範囲は、以上の説明ではなく添付の請求の範囲により示される。請求項と等価の意味および範囲内の全ての変更が、請求項に包含されるものとする。