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特許7254174ペニシリウム・カメンベルティの新規な菌株
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  • 特許-ペニシリウム・カメンベルティの新規な菌株 図1
  • 特許-ペニシリウム・カメンベルティの新規な菌株 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】ペニシリウム・カメンベルティの新規な菌株
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/14 20060101AFI20230331BHJP
   A23C 19/032 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
C12N1/14 A
A23C19/032
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021525148
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2019081057
(87)【国際公開番号】W WO2020099427
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】1860633
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【微生物の受託番号】CNCM  CNCM I-5305
(73)【特許権者】
【識別番号】521196453
【氏名又は名称】サヴェンシア エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライツ-アウソール ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】タロン リシャール
(72)【発明者】
【氏名】ダハイーヌ アマンディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ゴアラン-エルヴェ アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】スーリー ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ラコット ピエール
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】LWT - Food Science and Technology,2017年11月05日,Vol.89,pp.179-185
【文献】J. Dairy Sci.,2013年,Vol.96,pp.4031-4040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-18
A23C 19/00-16
CAplus/AGRICOLA/CABA/BIOSIS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4℃の乳培地上で19日間より長いラグタイムを有する、2018年4月5日に番号I-5305でCNCMに寄託されたペニシリウム・カメンベルティの菌株。
【請求項2】
ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズを製造するための、請求項1に記載のP.カメンベルティ菌株の使用。
【請求項3】
ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズが、牛乳又はヤギ乳に基づくことを特徴とする、請求項2に記載のP.カメンベルティ菌株の使用。
【請求項4】
前記P.カメンベルティ菌株が、少なくとも1種の他の表面菌株と組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載のP.カメンベルティ菌株の使用。
【請求項5】
前記P.カメンベルティ菌株が少なくともゲオトリクム・カンジダムと組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項4に記載のP.カメンベルティ菌株の使用。
【請求項6】
植物性マトリックスを発酵させるための、請求項1に記載のP.カメンベルティ菌株の使用。
【請求項7】
植物性マトリックスと乳製品材料とから形成される食品を発酵させるための、請求項1に記載のP.カメンベルティ菌株の使用。
【請求項8】
請求項1に記載のP.カメンベルティ菌株による発酵工程を含む、食品を調製する方法。
【請求項9】
前記食品が、チーズ、植物性マトリックス、又は植物性マトリックスと乳製品材料との混合物であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記発酵工程が、請求項1に記載のP.カメンベルティ菌株及び少なくとも1種の他の表面菌株を含む表面菌株の混合物を用いて実行されることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記他の表面菌株がゲオトリクム・カンジダムであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載の方法によって得られる食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペニシリウム・カメンベルティの新規な菌株、並びに食品(例えば、乳製品及び/又は植物由来の食品)を調製するためのその使用に関し、ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するソフトチーズ(特にカマンベール)の熟成などのためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ペニシリウム・カメンベルティ(P.カメンベルティ)種は、製品の表面菌叢としてチーズ製造に使用される子嚢菌類の真菌であり、製品にそれらの白い「ブルーム」を与え、その脂肪分解特性、タンパク質分解特性及びその脱酸能力により熟成の発達に寄与する。この真菌は、ペニシリウム・アルバム、ペニシリウム・カンジダム、又はペニシリウム・ビフォルムとも呼ばれる。
【0003】
熟成は、ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有する伝統的なチーズの製造工程の1つであり、他の標準的な工程の後に続く工程である。
-乳が凝固剤及び乳酸産生発酵体の作用によって凝固するように乳を放置する凝固工程。上記凝固剤は、従来、子ウシの胃から抽出されたレンネットであり、酵素キモシン及びペプシンのみからなる。今日、それは、ほとんどの場合、当業者に「レンネット」としても知られている微生物由来又は植物由来の凝固剤に置き換えられている。この用語「レンネット」はまた、その起源にかかわらず、チーズ製造に使用される任意の凝固剤を表すものとして以下において、この意味で使用される。
-凝固工程の後に得られるカードを成形する工程
-カード(固相)をホエイ(液相)から分離する工程のみからなる脱水工程
-チーズの将来の味を決定するものであり、塩水に浸すか、又はチーズの表面に乾燥散布することによってなされ得る塩析工程
【0004】
塩析工程の後、熟成工程を実施するためにチーズの全面をP.カメンベルティで覆う。あるいは、代替的又は追加的に、凝固工程の前に熟成菌叢を乳と混合することも可能である。この熟成工程の間に、チーズは、その表面及び内部において、酵素と微生物の二重作用により様々に変質する。塩がソフトチーズの中に移動し、外皮を形成し始める。その後、乳中の発酵体が後を受け継いで、チーズの風味に関して重要な役割を果たす。最後に、表面上の発酵体、具体的には、すなわち細菌、酵母、真菌、特にP.カメンベルティが、この熟成プロセスを完結させる。
【0005】
既知のP.カメンベルティ発酵体としては、市販の発酵体、例えばDanisco_Choozit PC 12 HYP 50 D V3(登録商標)、Danisco Choozit PC NEIGE LYO 2 D(登録商標)、Cargill_TC_PCTAM 5_FR_210208(登録商標)、SACCO_PCV5(登録商標)、Danisco_Choozit-Ripening-Mould-Cultures(登録商標)、O2_22_VS_ABL_HP6_SAM3(登録商標)、及びneige CHR Hansen Brand-Penicillium candidum PCA1、PCA3、TT033(登録商標)が挙げられる。
【0006】
ブルーミーな外皮は、ペニシリウム属又はゲオトリクム属(ゲオトリクム・カンジダムなど)の表面菌叢の増殖によってチーズの表面に発達する外皮であり、一般に白くふわふわした外観を有する。混合外皮は、少なくとも1種のペニシリウム属基準株と、少なくとも1種のゲオトリクム属基準株(ゲオトリクム・カンジダムなど)とを組み合わせた表面菌叢、又は、少なくとも1種のペニシリウム属基準株若しくは少なくとも1種のゲオトリクム属基準株(ゲオトリクム・カンジダムなど)と、少なくとも1種の他の表面菌株とを組み合わせた表面菌叢の増殖によって得られる外皮である。
【0007】
しかしながら、P.カメンベルティのこれらの既知の発酵体を使用したブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズは、外皮の質に関する問題、及び/又は、それらを輸出できるほどに十分長く保存することができないという熟成に関する問題を有する可能性がある。外皮の質の問題の例には、望ましくない外皮の着色(例えば黄変、灰色化)、厚い皮、又は強すぎる風味も含まれる。
【発明の概要】
【0008】
これに関連して、本発明者らは、より長い(具体的には19日より長い)ラグタイムを有し、ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズの外皮の質の問題の是正、並びに、その生物学的熟成を遅らせるのに有用なP.カメンベルティの新規な菌株を同定した。
【0009】
したがって、本発明の主題は、4°Cの乳製品培地上で19日を超える(好ましくは20、21又は22日を超える)ラグタイムを有するペニシリウム・カメンベルティの菌株である。
【0010】
本発明の文脈において、ラグタイムは、培養培地上への株の接種から前記株の菌糸体の外観が視覚的に知覚可能になるまで間の時間間隔として定義される。
【0011】
乳製品培地は、乳、及び/又はカゼイン、及び/又は乳脂肪、及び/又はラクトース…を含む寒天培地として定義され、それは、例えば、ミルク寒天培地、トリブチリン寒天…から構成することができ、好ましくは、乳製品培地は、その組成が以下の実験セクションに詳述されるMRP培地である。
【0012】
本発明のP.カメンベルティの菌株は、I-5311、I-5304、I-5307、I-5308、I-5305、I-5302、I-5309及びI-5310を含む菌株から選択することができ、好ましくは、I-5307、I-5308、I-5305、I-5302、I-5309及びI-5310から選択することができる。
【0013】
本発明のP.カメンベルティ菌株は、以下の番号でCNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes、National Collection of Microorganism Cultures)に寄託されている。
-I-5311、2018年4月5日
-I-5304、2018年4月5日
-I-5307、2018年4月5日
-I-5308、2018年4月5日
-I-5305、2018年4月5日
-I-5302、2018年4月5日
-I-5309、2018年4月5日
-I-5310、2018年4月5日
【0014】
好ましくは、本発明のP.カメンベルティ菌株はまた、4°Cの乳培地で、0.15cm/日未満の回収率を有し、好ましくは、0.12cm/日以下、0.10cm/日以下、又は0.05cm/日以下の回収率を有する。
【0015】
菌株の回収率は、時間の関数としてのコロニーの直径の単純な線形モデルによって得られる株の半径方向成長率として定義され、この回復率は、回帰直線の方向付け係数である。
【0016】
この好ましい実施形態によれば、本発明によるP.カメンベルティの菌株は、I-5311、I-5305及びI-5310を含む菌株群から選択され、好ましくは、I-5305及びI-5310を含む菌株群から選択され、より好ましくは、本発明によるP.カメンベルティの株はI-5305株である。
【0017】
別の主題によれば、本発明は、ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズの製造のための、あるいは、ブルーミーな外皮を有するチーズの類似食品の製造における、上記で定義したP.カメンベルティの菌株の少なくとも1つの使用に関する。
【0018】
本発明によるブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズ、低脂肪チーズ及びチーズ特殊品は、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、バッファロー乳、ラクダ乳、トナカイ乳、ヤク乳、哺乳動物の任意の種、又は異なる乳の混合物から製造することができる。ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズは、例えば、カマンベール、ブライド、ソース、クーロン、ブリラット・サバリン、サンアルブレー、ル・モンタニャール、ヤギのチーズログであり、特に、カマンベールである。
【0019】
本発明によるブルーミーな外皮を有するチーズの類似品は、チーズ及びチーズの特殊品に関する2007年4月27日の規則番号2007-628に定義されたもの以外のすべての製品であり、その製造方法は、他の菌株の有無にかかわらず、P.カメンベルティに基づく外皮の発達をもたらす熟成工程を含む。
【0020】
好ましくは、上記で定義したP.カメンベルティの株は、牛乳又はヤギ乳に基づくブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズを製造するために使用される。
【0021】
その注目すべき特性により、本発明によるP.カメンベルティの菌株は、外皮の質感、及び/又は味、及び/又は色を改善することを可能にする。したがって、得られた外皮は、有利には、市販のP.カメンベルティ菌株のみを用いて製造された外皮よりも厚みが小さく、かつ/又はきめがあまり粗くなく、かつ/又はザラザラした感じが少なくなり得、かつ/又は中性の味を有することが可能であり、これは、チーズが低脂肪であるか又は脂肪強化であるかにかかわらない。
【0022】
さらに、P.カメンベルティの市販の菌株で生成されたブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズの外皮は、熟成後に急速に発色するが(特に灰色、黄色)、本発明によるP.カメンベルティの菌株は、この欠陥を改善することができ、より白く、かつ/又は黄色味がより少ない外皮、すなわち着色がなく、かつ/又は着色があまり強くない外皮を生成することができる。
【0023】
より具体的には、本発明によるP.カメンベルティの菌株で得られたブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズは、市販のP.カメンベルティの菌株で作製され、同様の物理化学的特性を有する同じ日齢のチーズと比較して、より滑らかでより均一な外観を備える表面を有し、及び/又は、ソフトチーズに一体化した外皮のために切削抵抗を有する。
【0024】
本発明によるP.カメンベルティ菌株はまた、P.カメンベルティのある種の市販の菌株を用いて得られるチーズよりも、苦味が少なく、土のような味がより目立たない(特に熟成終期において)ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズの調製を可能にし得る。
【0025】
有利には、本発明によるP.カメンベルティの菌株で得られたブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズは、市販の菌株で熟成することによって得られたブルーミー又は混合外皮を有するチーズよりも長期間にわたって優れた感覚刺激性(特に、食感、味、匂い)を保持する(実験パート参照)。このため、同様の生産物の通常の消費期間を数日延長することが可能となる。この利点は、特に、これらのチーズを、製造地域から遠く離れた消費地域に輸送することを可能にする。
【0026】
したがって、本発明はまた、ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有する熟成チーズのための、上記で定義したP.カメンベルティ菌株の使用に関する。この菌株を使用することにより、チーズの熟成が十分にゆっくりとしたものとなり、並みの品質及び保存可能期間ではこれまで不可能であった用途が可能になり、又は、非乳製品成分及び/又は添加剤の使用が可能になる(特殊チーズの場合)。これらの用途には、輸出が含まれるが、これに限定されない。
【0027】
上記で定義したP.カメンベルティ菌株を用いたチーズの熟成は、P.カメンベルティの増殖を可能にする当業者に公知の条件で行われる。例えば、熟成は、選択的透過性を有する壁を有する適切な容器内で、菌株の増殖に適した温度で行うことができる。
【0028】
特定の一実施形態では、本発明によるP.カメンベルティ菌株は、少なくとも1種の他の表面菌株と関連付けることができる。
【0029】
本発明者らは、本発明によるP.カメンベルティ菌株を少なくとも1種の他の表面菌株と組み合わせた場合であっても、この混合物で改良されたブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズの品質が改善されることを示した。この改善は、外皮の色、その質感(細かく、口の中であまり知覚できない)の変化、並びに、より弱い匂いにとって特に重要であり得る。
【0030】
表面菌株は、外皮の形成に有用な、当業者が任意に添加する微生物として定義され、例えば、カビ、細菌又は酵母である。
【0031】
表面菌株とは、それがチーズの表面上で成長するときに、外皮の形成に関与し、熟成に寄与する任意の種類の微生物を意味する。
【0032】
好ましくは、ゲオトリクム・カンジダム、Penicillium fuscoglaucum、ペニシリウム・ビフォルム、ペニシリウム・アルバム、フザリウム・ドメスティカム、デバリオマイセス・ハンゼニイ、クルイベロマイセス・ラクティス、クルイベロマイセス・マーキシアヌス、ブレビバクテリウム・リネンス、アースロバクター・グロビフォルミス、スタフィロコッカス・キシロサス、スタフィロコッカス・シウリ、Staphylococcus succinus、ミクロコッカス・カセオリティカス、ミクロコッカス・コングロメラタス、コリネバクテリウム・カゼイ、ハフニア・アルベイが表面菌株として選択される。
【0033】
より好ましくは、本発明によるP.カメンベルティ菌株は、少なくとも、ゲオトリクム・カンジダムと組み合わせて、0.5を超えるゲオトリクム・カンジダムに対するP.カメンベルティの比で使用され、0.5から0.99の比の範囲、好ましくは0.8から0.99の比の範囲で使用される。
【0034】
本発明の一実施形態では、P.カメンベルティ菌株を、少なくとも1種の市販のペニシリウム・カメンベルティ菌株と組み合わせて使用し、例えば0.2から0.80の範囲で使用することができる。
【0035】
本発明の別の実施形態では、本発明によるP.カメンベルティ菌株を単独で使用する。
【0036】
本発明者らはまた、本発明によるP.カメンベルティ菌株が、チーズ及びチーズ類似品以外の食品の調製を可能にすることを見出した。
【0037】
したがって、本発明はまた、植物性マトリックスを発酵させるための上記で定義された少なくとも1種のP.カメンベルティ菌株の使用に関する。この実施形態では、発酵は、植物性マトリックスを覆う外皮の発達をもたらす。
【0038】
植物性マトリックスは、本発明では、動物界に由来しない原料の任意の混合物として定義され、より具体的には、果実、及び/又はナッツ、及び/又はマメ科植物、及び/又は草、及び/又は藻類、及び/又は真菌、及び/又はこれらの材料から抽出又は加工された任意の製品(ジュース、小麦粉、タンパク質粉末、及びデンプン粉末など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
植物性マトリックスとは、P.カメンベルティ菌株による発酵を可能にするのに十分な水分率を有し、かつ、0.8以上、好ましくは0.9以上の水分活性(Aw)を有するようなものである。
【0040】
より一般的には、本発明はまた、植物性マトリックスと乳製品材料との混合物のみからなる食品を発酵させるための上記で定義された少なくとも1種のP.カメンベルティ菌株の使用を対象とし、乳製品材料に対する植物性マトリックスの比に関してはいかなる制限もないが、本発明の特定の実施形態においては、前記混合物は、少なくとも30%の植物性マトリックスを含む。
【0041】
乳製品材料は、乳、乳由来の任意の製品であって、脱脂粉乳又は非脱脂粉乳、乳タンパク質、乳クリーム由来の乳脂、バター、標準化された無水乳脂肪及び/又は無水脂肪材料の分画に由来する材料、炭水化物(例えばラクトース)、ミネラル又はそれらの混合物、などの製品、並びに、乳から作られる任意の製品であって、例えば、クリーム、バター、ヨーグルト、チーズなどの乳の凝固によって作られる製品、を意味し、さらに、例えば、レンネットカゼイン、硬質又は半硬質の低脂肪又は部分的に低脂肪のチーズ、低脂肪又は部分的に低脂肪のソフトチーズ、カゼインナトリウム、カゼインカリウム又はカゼインカルシウムを意味する。
【0042】
本発明はまた、上記で定義した少なくとも1種のP.カメンベルティ菌株で発酵する工程を含む食品の調製方法に関し、前記食品は、チーズ、植物性マトリックス、又は植物性マトリックスと乳製品材料の混合物であり得る。
【0043】
より具体的には、本発明による方法は、チーズの調製に関する場合、以下の工程、すなわち、
a)任意で、乳の限外ろ過の工程と、
b)乳又はリテンテート(濃縮液)へ乳製品対象の微生物及びレンネットを添加する工程と、
c)上記方法が事前の限外ろ過の工程を含む場合は、リテンテートの投与する工程と、
d)乳又はリテンテートを凝固させる工程と、
e)カードを成形する工程と、
f)上記方法が事前の限外ろ過の工程を含まない場合は、カード及びホエイを分離することのみからなるカードを脱水する工程と、
g)塩水に浸すこと、又は前記カードの表面若しくは塊に塩を散布することによって、カードを塩析する工程と、
h)工程g)で得られたチーズを熟成させる工程と、
を任意の順序で含むことができる。
前記方法は、このP.カメンベルティ菌株を熟成工程h)の直前にチーズの表面に適用し、かつ/又は、このP.カメンベルティ菌株を工程b)の間に乳製品に関心のある微生物及びレンネットと共にミルク又はリテンテートと直接混合する、といったものである。
【0044】
この方法は、その脂肪含有量にかかわらず、任意のチーズに適用され、具体的には、低脂肪チーズ又は脂肪強化チーズに適用される。
【0045】
より具体的には、
-任意の限外ろ過工程は、4から60°Cで実施することができ、85から200g/kgのタンパク質を含み、0から1.5の比で脂肪/タンパク質を含むリテンテートを生成する。また、前記リテンテートにクリームを混合して、後者の比を3.2に上げることができる。
-乳製品対象の微生物及びレンネットは、乳、又はリテンテート(限外ろ過の場合)、又は標準化された混合物(クリームの添加による脂肪強化製品の場合又は低脂肪製品の場合)に添加される。
-凝固工程は、乳若しくはリテンテート、又は標準化された混合物に対しても行うことができる。
-成形工程は押出成形によって行うことができる。
【0046】
本発明の方法で使用される乳製品対象の微生物の菌株は、ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズを製造するために一般的に使用される菌株であり、当業者に公知である。それは、例えば、中温性乳酸発酵体(ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス、及び/又は、Lactococcus lactis cremoris、Lactococcus lactis ssp lactis biovar diactylactis、リューコノストック・ラクティス、及び/又は、リューコノストック・メゼンテロイデス)、あるいは、好熱菌(ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・デルブルエクイ亜種ブルガリア菌、及び/又は、ラクトバチルス・カゼイ、及び/又は、ラクトバチルス・ブレビス)からなり得る。
【0047】
本発明による方法は、植物性マトリックス又は植物性マトリックスと乳製品材料との混合物の場合、以下の工程、すなわち、
a)植物性マトリックスを形成する原料(上記で定義した原料など)を混合する工程と、
b)任意で、乳製品材料を添加する工程と、
c)植物性マトリックス又は前記混合物を低温殺菌する工程と、
d)工程c)で得られた生成物を成形する工程と、
e)本発明によるP.カメンベルティ菌株の少なくとも1種を接種する工程であって、浸漬及び/又は噴霧によって行うことができる接種の工程と、
f)工程e)で得られた前記生成物を発酵させる工程と、
を任意の順序で含み得る。
【0048】
より具体的には、
-植物性マトリックスを形成する原料の混合は、10から90°Cの温度、及び、1から500s-1のずり速度で行うことができ、好ましくは、植物性マトリックスは種子の大部分又はナッツから構成され、そのとき、その混合物は、好ましくは20°C程度の温度、及び、10s-1程度のずり速度で調製される。
-前記植物性マトリックス又は前記混合物の低温殺菌は、例えば、70°Cから90°Cの温度で60秒から1800秒間行い、好ましくは、約72°Cの温度で約900秒間行う。
-成形は、10から25°Cの温度で行うことができ、好ましくは20°Cで行うことができる。
-発酵は、均質な外皮が発達するまで30°C未満の温度で行うことができる。
【0049】
上記に定義される本発明による方法の特定の実施形態によれば、発酵工程は、上記に定義される少なくとも1種の他の表面菌株と併せて本発明によるP.カメンベルティの少なくとも1つの菌株を含む表面菌株の混合物を用いて行われる。
【0050】
好ましくは、上記混合物は、本発明によるP.カメンベルティの株及び少なくともゲオトリクム・カンジダムを含む。
【0051】
本発明は、最後に、上記で定義した本発明の方法の1つによって得られる食品に関する。
【0052】
具体的には、本発明は、本発明の方法によって得られるブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズに関する。このようなチーズは、その感覚刺激特性が最適である時間が、市販のP.カメンベルティ発酵体によって得られるブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズのそれよりも長いことを特徴とする。
【0053】
本発明はまた、上記で定義されたP.カメンベルティの少なくとも1種の株で発酵された植物性マトリックスで構成される食品に関する。
【0054】
本発明はまた、上記で定義されたなP.カメンベルティの少なくとも1種の株で発酵された植物性マトリックス及び乳製品材料の混合物のみからなる食品に関する。具体的に、当該混合物は、少なくとも30%の植物性材料を含むようなものであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、I-5305株及びPC 12株(CHOOZIT PC 12、Danisco)を用いて作製したチーズの内部及び外皮のpH動態である。
図2図2は、I-5305株及びPC 12株(CHOOZIT PC 12、Danisco)を用いて作製したチーズの内部及び外皮の乳酸塩の残留濃度の動態である。
【発明の詳細な説明】
【0056】
【実施例
【0057】
実施例1-本発明のP.カメンベルティ菌株の機能特性の評価
材料及び方法
【0058】
a)試験した菌株
試験した菌株は以下の通りである。
-I-5302、I-5304、I-5305、I-5307、I-5308、I-5309、I-5310、I-5311を、15%グリセロール凍結保護剤に懸濁した胞子の形態で、-80°Cで凍結保存する。胞子は、PDAタイプの合成培地、固体培地(Biokarによって市販されているPotato Dextrose Agar)上で培養した後に得られる。
-PC 12及びPC SAM3(供給元、Danisco)は、液体形態で市販されている。それらを、液状発酵体(50%)及び30%グリセロールの凍結保護剤(50%)からなる混合物中で(-80°Cで)凍結保存する。
-PC TN、PC PR1、PC TAM5(供給元、Lallemand)及びPC A1 swing(供給元、CHR HANSEN)は、凍結乾燥形態で市販されている。それらを、2gの凍結乾燥剤+18gの15%グリセロールの凍結保護剤の混合物により、-80°Cで凍結保存する。
【0059】
b)使用培地
使用する培地は、乳製品培地、乳製品及び酸性化されたMRPである。
培地:乳製品モデル(MRP)
【0060】
【表1】
【0061】
ミルクベースは、11.22%の標準的な無水乳脂肪、11.48%の限外ろ過脱脂粉乳及び77.30%の水から構成される。
【0062】
c)容器の接種
単離されたコロニーを得、それらの直径をより容易に測定するために、異なる発酵体の細胞数に応じて希釈液を調整する。
【0063】
d)観察
容器をD+3から毎日観察する。
【0064】
e)観測パラメータ
菌株の増殖は、半径方向の増殖(これにより回収率の計算が可能になる)及びそれらのラグタイムを測定することによって観察する。
【0065】
*回収率の測定
これは、コロニーの直径を毎日測定することによって得られる。
【0066】
回収率(単位:cm/日)は、時間(日)の関数としてのコロニーの直径(cm)のグラフから得られた直線の傾きによって定義する。
【0067】
*ラグタイムの測定
その計算は、半径方向の成長を表す線の式に関して行われる。
【0068】
試験した菌株は、異なる生理学的状態を有し、液体形態や凍結乾燥物の形態であってもよく、又は、寒天培地上で培養される。
【0069】
ついては、2つの系の特性評価を、両方の系の読み取り日が同じ日になるように接種日を考慮して、1週間空けて開始した。
結果
【0070】
*ラグタイム
【表2】
【0071】
*回収率
【表3】
結果
【0072】
市販の菌株は、0.16からから0.23cm/日の回収率及び16から18日のラグタイムを有する。
【0073】
本発明による菌株(I-5311、I-5304、I-5307、I-5308、I-5305、I-5302、I-5309及びI-5310)は、4°CのMRP培地上で体系的に19日間よりも長いラグタイムを有する。
【0074】
さらに、本発明による菌株のうちのいくつか(I-5305、I-5310及びI-5311)は、4°CのMRP培地で0.15cm/日未満の回収率を示す。
【0075】
本発明によるP.カメンベルティ菌株の特性により、当該菌株は、ブルーミーな外皮及び/又は混合外皮を有するチーズのゆっくりとした熟成のための使用における優れた候補となり、結果として、これらのチーズのより長い保存を可能にする。
実施例2-バット内で脂肪強化された乳酸カードからブルーミーな外皮を有するソフトチーズを製造するためのP.カメンベルティの異なる菌株の使用
材料及び方法
【0076】
a)製造工程の説明
バット内で脂肪強化された乳酸カードからブルーミーな外皮を有するソフトチーズを調製するための方法は、以下の主要なステップを含む。
-30±5g/lのタンパク質物質(PM)及び110±10g/lの脂肪(F)の標的の特徴を有する全クリーム又はリテンテートの添加によって強化された牛乳を、当業者の標準的な手順に従って低温殺菌する。
-次いで、市販の中温性乳酸発酵体(2から10g/l、例えば、Lactococcus lactis ssp cremoris、Lactococcus lactis ssp lactis、Lactoccoccus lactis ssp lactis biovar diacetylactis、Leuconostocなど)、及び、熟成(酵母及びカビを含む)を通常の用量で添加して乳酸カードを作製する。
-乳を200l~500lのバットの中で6.50以下のpHで適切な用量でレンネット処理し、これを放置して凝乳にする。
-4.90以下のpHで成形を行う。
-次いで、生成物を放置した後、金型から、必要に応じてひっくり返して、取り出す。
-塩析を乾式で行う。
-包装工程に進む前に熟成工程を行う。
【0077】
P.カメンベルティ菌株には、乳100l当たり0.1から2用量(1用量=2.10胞子/ml)で乳酸発酵体及び他の発酵体を直接接種するか、又は、0.4から5用量の水で塩析した後にスプレーで接種することができる。
【0078】
b)試験した菌株
I-5305菌株並びにLallemandのVELV-TOP(登録商標)PC IB 1菌株及びLallemandのVELV-TOP(登録商標)PC PR 1菌株をそれぞれ、同じ用量及び同じ条件でチーズを製造するために使用した。
【0079】
感覚刺激の結果
それぞれの菌株を用いて製造したブルーミーな外皮を有するソフトチーズを、専門家パネルに提出し、外観、切断の容易さ、食感及び味の4つの基準に関して、最適な日齢(25~30日)で包装した後の製品の評価を行った。
【0080】
以下の表4は、I-5305株から作製された生成物の間で観察された主な利点を、IB1株及びPR1株で得られた生成物と比較してまとめる。これらのコメントは、2つの独立した複製に基づく。
【0081】
【表4】
【0082】
I-5305株で得られたチーズは、包装後の製品が、かなり白っぽく、より滑らかでかつより均一な表面を有するようになることが見込まれ、当該チーズは、ソフトチーズに一体化した外皮のために良好な切削挙動を有し、最適な賞味日齢において、苦味や土の味などの欠点を持たず、典型的なカビの特徴を持ち、極めてクリーミーな味を有する。
【0083】
I-5305株で得られたチーズは、熟成した製品に望ましい、色、苦味のなさ、及び外皮の下部の滑らかさからなる確立された基準に照らして、同じ日齢において、より長い保存可能期間を有すると評価される。
実施例3-バット技術でヤギのチーズを生産するためのP.カメンベルティの異なる菌株の使用
材料及び方法
【0084】
a)製造工程の説明
100%のP.カメンベルティ外皮を有するバット技術を用いてヤギのチーズを調製する方法は、以下の主要な工程を含む。
-33±2g/lのタンパク質物質及び46±2g/lの脂肪の特性又は標的を有する17%にデラクトース化されたクリームの添加によって強化されたヤギのチーズを、当業者が用いる標準的な方法に従って低温殺菌する。
-低温熟成が可能になるように、0.15から0.2pH単位で、市販の中温性乳酸発酵体(例えば、100Lに対して3gのLactococcus lactis ssp cremoris、Lactococcus lactis ssp lactis、Lactoccoccus lactis ssp lactis biovar diacetylactis、Leuconostocの混合物)を接種することができる。
-次いで、材料を熱処理し、保存する。
-好熱性乳酸培養物を添加する(Streptococcus thermophilus 4g/100l)。
-乳のレンネット処理を、適切な用量で200l~500lのバット中6.35以下のpHで実施し、血清下に放置する。
-6.40以下のpHで成形を行う。
-次いで、生成物を放置した後、pH5で、必要に応じてひっくり返して、脱型する。
-塩析を乾式で行う。
-包装工程に進む前に熟成工程を行う。
【0085】
P.カメンベルティ菌株には、乳100lに対して0.4用量の間の用量で乳酸発酵体及び他の発酵体を直接接種するか、又は、1用量/lの水で塩析した後に24時間噴霧することによって接種することができる。
【0086】
b)試験した菌株
I-5305菌株並びにPC TN 菌株(VELV-TOP PC TN、ラルマン)及びPC 12菌株(Danisco)を、同じ用量及び同じ条件で試験する。
【0087】
感覚刺激の結果
生成されたブルーミーな外皮を有するソフトチーズを、視覚的日齢窓D+28で評価するために専門家パネルに提出した。
【0088】
以下の表5は、50% PC 12及びPC TNを接種したチーズ及び100%のI-5305株を有するチーズの主な特徴を示す。
【0089】
【表5】
【0090】
半熟成段階から、I-5305を用いて製造された一連のチーズには、ブルーミーな外皮を有する良質なチーズを製造する間に必要とされるすべての基準において、明らかに定性的な利点がある。
【0091】
実施例4-限外ろ過法によるブルーミーな外皮を有する低脂肪ソフトチーズを製造するための異なるP.カメンベルティ菌株の使用
材料及び方法
【0092】
a)製造工程の説明
限外ろ過法による、ブルーミーな外皮を有する低脂肪ソフトチーズの調製方法は、以下の主要な工程を含む。
-リテンテート、均質化されたクリーム、塊中の塩、ゼラチン、ベータカロチンを含むプレチーズの調製
-中温性乳酸発酵体P.カメンベルティ及びレンネットの投与及び組み込み
-5.35以下のpHでの酸性化
-冷却、離型及び塩析
-乾燥
-熟成
-包装前の乾燥
-包装
-保存
【0093】
b)試験した菌株
I-5305株並びにPC 12株(CHOOZIT PC 12、Danisco)を同じ用量及び同じ条件で試験する。
結果
【0094】
a)分析結果
2つのチーズの比較において実施したpH動態は、PC 12 株(CHOOZIT PC 12、Danisco)のみで作られたチーズの内部と外皮の両方において、pHが50日で1 pH単位分も大きく上昇することを明らかにする(図1)。
【0095】
2つのチーズ内の残留乳酸濃度の動態は、I-5305株で製造されたチーズの外皮及び内部の残留濃度がより高いために、製造後30日から分岐し始める。製造後50日では、PC 12株(CHOOZIT PC12、Danisco)のチーズの残留濃度がはるかに低いのに比べて、I-5305株では、コア-外皮の乳酸濃度が4g/kg付近で平衡に向かう変化が観察される。最適な消費期限日に外皮中の残存する乳酸塩は、ペニシリウム・カメンベルティ株がタンパク質の代わりに乳酸塩を消費し続けることを可能にし、このことが最適な消費期限日の味をより良くする。
【0096】
これらの結果は、I-5305株と組み合わせた場合のチーズがより低いpHの外皮を有することを有意に示す。このより酸性のpHは、きめの粗い外皮(これは、限外ろ過プロセスによって得られるライトでブルーミーな外皮を有するソフトチーズの感覚刺激性の欠点である)の形成を引き起こす不溶性カルシウム層の形成を制限する。
【0097】
b)感覚刺激の結果
ブルーミーな外皮を有するソフトチーズを専門家パネルに提出して、それらの製品を期間の異なる段階で評価し、異なる基準(外観、外皮の質及び味)に関して製品の発展的側面を評価した。
【0098】
以下の表6は、PC 12 株(CHOOZIT PC12、Danisco)を用いて作製された製品との比較において、CNCM I-5305株を用いて作製された製品において観察された主な相違点をまとめる。
【0099】
【表6】
【0100】
これらの結果は、同等の日齢において、I-5305株で製造されたチーズの利点が、最適な消費期限内の期間における品質の改善を意味し得ることを示している。
実施例5-限外ろ過法によってブルーミーな外皮を有するソフトチーズを製造するための異なるP.カメンベルティ菌株の混合物の使用
材料及び方法
【0101】
a)製造工程の説明
他のP.カメンベルティ菌株と組み合わせた限外ろ過法によるブルーミーな外皮を有する低脂肪ソフトチーズの調製方法は、以下の主要な工程を含む。
-リテンテート、発酵乳、クリームを含むプレチーズの調製
-添加された乳製品タンパク質及び香味料を含む調製物との混合
-脱気後の熱処理による均質化
-P.カメンベルティ及びレンネットの乳酸発酵体(Lactococcus lactis ssp lactis biovar diacetylactis、Streptoccocus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii ssp bulgaricus)を組み込み
-4.85以上のpHでの投入及び酸性化
-冷却、離型及び塩析
-乾燥
-熟成
-乾燥
-包装工程に進む前の熟成工程
-保存
【0102】
b)試験した菌株
I-5305株並びにPC 12株(CHOOZIT PC12、Danisco)を、PC12/I-5305の比が0.5から1.5 Dの範囲(1D=2.10胞子/mL)であるリテンテート100kgについて、最終用量2回(D)のペニシリウム・カメンベルティで試験する。
【0103】
感覚刺激の結果
生成されたブルーミーな外皮を含むソフトチーズを、そのライフサイクル全体にわたって専門家パネルに提出した。
以下の表7は、100%のPC 12株(CHOOZIT PC12、Danisco)を接種したチーズ、及び、50%のPC 12(CHOOZIT PC12、Danisco)に関連する50%のI-5305株の組み合わせを有するチーズの主な特徴を示す。
【0104】
【表7】
【0105】
製造の半熟成段階(D+38及びD+45)では、2つの製品の間に、外観、外皮の質感及び味の変化において有意な差があり、100% PC 12株(CHOOZIT PC12株、Danisco)を用いたチーズの外皮の熟成段階がより進行していることが明らかになった。I-5305株を添加したチーズは、保存可能期間を通して優れた製品品質を維持しながら、製品の消費期限日まで色及び味に関して製品を安定化することを可能にする。
実施例6-混合外皮における限外ろ過法によるヤギのチーズの製造のためのペニシリウム・カメンベルティの異なる菌株の混合物の使用
材料及び方法
【0106】
a)製造工程の説明
混合外皮中の限外ろ過法によるヤギのチーズの調製方法は、以下の主要な工程を含む。
-リテンテート、クリーム、乳製品タンパク質を含むプレチーズの調製
-熱処理
-乳酸菌株(Lactococcus lactis ssp lactis、Lactococcus lactis ssp cremoris、Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii ssp bulgaricus)及び熟成発酵体(P・カメンベルティ及びゲオトリクム・カンジダム)及びレンネットの組み込み
-投与及び目標pH5までの酸性化
-冷却、離型及び塩析
-熟成
-乾燥
-包装
-保存
【0107】
b)試験した菌株
I-5305株並びにLallemandのVELV-TOP(登録商標)PC PR1株を、4用量/100kgの用量で試験した。それらは、0.2用量/100kg(1用量=8.10UFC/ml)でゲオトリクム・カンジダム菌株と組み合わせて適用することができる。
【0108】
感覚刺激の結果
製造されたソフトチーズを最適日齢窓D+29で評価するために専門家パネルに提出した。
以下の表8は、使用した熟成方法によるチーズの主な特徴を示す。
【0109】
【表8】
【0110】
I-5305株を用いた混合外皮の試験のすべてが、色、きめが細かくほとんど知覚されない外皮の品質、及びより弱い臭いの点で、定性的な改善を示すようである。
図1
図2