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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】通信装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/03 20130101AFI20230331BHJP
   H04J 14/00 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
H04B10/03
H04J14/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021543708
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2020031972
(87)【国際公開番号】W WO2021044902
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2019159693
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英憲
(72)【発明者】
【氏名】相馬 大樹
(72)【発明者】
【氏名】別府 翔平
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 昇
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-051750(JP,A)
【文献】特開2003-134089(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025629(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/03
H04J 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光信号を送信する送信手段と、
第2光信号を受信する受信手段と、
第1コアに接続された送信ポートと、
第2コアに接続された受信ポートと、
前記送信手段に接続された阻止手段と、
前記阻止手段、前記受信手段、前記送信ポート及び前記受信ポートに接続され光カプラと、
を備え、
前記第1コア及び前記第2コアを伝搬できる光信号の方向は互いに異なり、
前記阻止手段は、前記送信手段が送信する前記第1光信号を通過させるが、前記送信手段に向かう光信号を阻止し、
前記光カプラは、前記送信手段から前記阻止手段を介して受信する前記第1光信号を前記送信ポート及び前記受信ポートそれぞれに出力し、前記受信ポートからの前記第2光信号を前記受信手段及び前記阻止手段それぞれに出力し、前記送信ポートからの前記第2光信号を前記受信手段及び前記阻止手段それぞれに出力する、通信装置。
【請求項2】
前記第1コア及び前記第2コアは、前記通信装置と対向通信装置とを接続する光ファイバのコアであり、当該光ファイバの長手方向と直交する断面において、当該断面の中心を通る直線に対して線対称の位置にある、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記光ファイバは、前記第1コア及び前記第2コアを含む複数のコアを有し、
前記直線の方向は、前記光ファイバが有する前記複数のコアそれぞれをシングルコア光ファイバに接続する接続部材に使用されているコネクタのロック機構の位置に基づき決定される、請求項に記載の通信装置。
【請求項4】
前記光ファイバは、前記複数のコアを有するマルチコア光ファイバである、請求項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記光ファイバは、前記複数のコアを有するテープ芯線である、請求項に記載の通信装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項に記載の通信装置と、
前記光ファイバを介して前記通信装置に接続される前記対向通信装置と、
を含む、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムにおける誤接続を解消させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信容量を増大させるため、一本の光ファイバ内に複数のコアを設けたマルチコア(MC)光ファイバが使用されている。特許文献1は、MC光ファイバとシングルコア(SC)光ファイバとを接続するための接続部材であるマルチコアインタフェース(MCI)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-22176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光通信システムにおいては2つのタイプのMCIが使用される。以下の説明において、一方のタイプのMCIを第1MCIと表記し、他方のタイプのMCIを第2MCIと表記する。図1A及び図1Bは、MC光ファイバを用いた光通信システムを示している。なお、図1A及び図1Bは、それぞれ、通信局舎内の構成を示し、図1Aに示す通信局舎と図1Bに示す通信局舎とは、4つのコアを有するMC光ファイバを用いた光伝送路により接続されている。ここで、図1Aの通信装置#1と図1Bの通信装置#3が対向し、図1Aの通信装置#2と図1Bの通信装置#4が対向しているものとする。第1MCIは、通信装置#1及び通信装置#2それぞれに接続されるSC光ファイバと、光伝送路のMC光ファイバとを接続するために使用され、第2MCIは、通信装置#3及び通信装置#4それぞれに接続されるSC光ファイバと、光伝送路のMC光ファイバとを接続するために使用される。
【0005】
具体的には、通信装置#1の送信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#1に接続される。通信装置#1の受信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#2に接続される。通信装置#2の送信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#3に接続される。通信装置#2の受信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#4に接続される。第1MCIは、ポート#1~4と、MC光ファイバのコア#1~#4とを、それぞれ接続する。第1MCIのコネクタを光伝送路に接続することで、第1MCIのMC光ファイバのコア#1~#4は、光伝送路のコア#1~#4に接続される。
【0006】
また、通信装置#3の受信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#1に接続される。通信装置#3の送信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#2に接続される。通信装置#4の受信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#3に接続される。通信装置#4の送信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#4に接続される。第2MCIは、ポート#1~#4と、MC光ファイバのコア#1~4とを、それぞれ接続する。第2MCIのコネクタを光伝送路に接続することで、第2MCIのMC光ファイバのコア#1~#4は、光伝送路のコア#1~#4に接続される。
【0007】
図2A及び図2Bは、それぞれ、第1MCIのコネクタ及び第2MCIのコネクタの断面を示している。なお、参照符号80は、MC光ファイバを示し、参照符号81は、コネクタ本体を示し、参照符号82は、コネクタのロック機構を示している。また、図2A及び図2Bにおいて、#1から#4と記載された丸は、それぞれ、MC光ファイバのコア#1~コア#4を示している。図2A及び図2Bに示す様に、第1MCIのコネクタの断面と、第2MCIのコネクタの断面は鏡面対称となる。これは、通信装置#1及び通信装置#2と、通信装置#3及び通信装置#4は、それぞれ、光伝送路の異なる端部に接続されるからである。
【0008】
ここで、通信装置#3及び通信装置#4と光伝送路を接続するために、第2MCIではなく、第1MCIが間違って使用された場合を考える。この場合、光伝送路のコア#1は、間違って使用された第1MCIのコア#4に接続され、光伝送路のコア#2は、間違って使用された第1MCIのコア#3に接続され、光伝送路のコア#3は、間違って使用された第1MCIのコア#2に接続され、光伝送路のコア#4は、間違って使用された第1MCIのコア#1に接続される。したがって、通信装置#1の送信ポートは、通信装置#4の送信ポートに接続され、通信装置#1の受信ポートは、通信装置#4の受信ポートに接続され、通信装置#2の送信ポートは、通信装置#3の送信ポートに接続され、通信装置#2の受信ポートは、通信装置#2の受信ポートに接続されてしまう。これは、通信装置#1及び通信装置#2と光伝送路を接続するために、第1MCIではなく、第2MCIが間違って使用された場合も同様である。
【0009】
なお、光伝送路においては、当該光伝送路と通信装置との接続部にのみMCIが使用されるのではなく、光伝送路間の接続箇所においてもMC光ファイバとSC光ファイバの接続が必要になるため第1MCI及び第2MCIが使用され得る。例えば、図1Aの第1MCIのポート#3とポート#4を他の光伝送路に接続し、図1Bの第2MCIのポート#3及びポート#4を他の光伝送路に接続することで、通信装置#2を通信装置#1とは異なる場所に設置し、かつ、通信装置#4を通信装置#3とは異なる場所に設置することも行われ得る。
【0010】
したがって、光通信システムに使用される複数のMCIのうちの幾つかのタイプの間違いが生じ、ある通信装置が、当該通信装置とは対向しない他の通信装置と接続された場合、タイプ間違いが生じているMCIを特定することや、ある通信装置がどの通信装置と誤って接続されているかを判定することは困難となる。特に、MC光ファイバのコア数が増加し、かつ、同じ光伝送路を使用する通信装置が様々な場所に設置されている様な状況においては、困難の程度が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によると、通信装置は、第1光信号を送信する送信手段と、第2光信号を受信する受信手段と、第1コアに接続された送信ポートと、第2コアに接続された受信ポートと、前記送信手段に接続された阻止手段と、前記阻止手段、前記受信手段、前記送信ポート及び前記受信ポートに接続された光カプラと、を備え、前記第1コア及び前記第2コアを伝搬できる光信号の方向は互いに異なり、前記阻止手段は、前記送信手段が送信する前記第1光信号を通過させるが、前記送信手段に向かう光信号を阻止し、前記光カプラは、前記送信手段から前記阻止手段を介して受信する前記第1光信号を前記送信ポート及び前記受信ポートそれぞれに出力し、前記受信ポートからの前記第2光信号を前記受信手段及び前記阻止手段それぞれに出力し、前記送信ポートからの前記第2光信号を前記受信手段及び前記阻止手段それぞれに出力する
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、通信システム内において誤接続が生じても簡易に誤接続を解消することができる。
【0013】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】従来技術の問題の説明図。
図1B】従来技術の問題の説明図。
図2A】従来技術の問題の説明図。
図2B】従来技術の問題の説明図。
図3A】一実施形態による第1MCIのコネクタ断面図。
図3B】一実施形態による第2MCIのコネクタ断面図。
図4A】一実施形態による光通信システムの構成図。
図4B】一実施形態による光通信システムの構成図。
図5】一実施形態による通信装置の構成図。
図6A】一実施形態による第1MCIのコネクタ断面図。
図6B】一実施形態による第2MCIのコネクタ断面図。
図7】一実施形態による通信装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
<第一実施形態>
通常、MC光ファイバにおいては、図2A及び図2Bに示す様に、円周方向に沿って複数のコアが配置され、円周方向に沿ってコア番号が付与される。また、通常、対向する2つの通信装置が送受信に使用するコアは、コア番号が連続する様に選択される。しかしながら、図1A及び図1B並びに図2A及び図2Bで説明した様に、間違ったタイプのMCIが使用されると、ある通信装置は、対向する通信装置とは異なる他の通信装置に接続されてしまう。このため、本実施形態においては、対向する2つの通信装置が送受信に使用する2つのコアを、MC光ファイバの断面内の所定方向の線に対して線対称の関係にある2つのコアとする。なお、所定方向の線は、MCIに使用されるコネクタのロック機構の位置に応じて決定される。
【0017】
図3A及び図3Bは、それぞれ、対向する2つの通信装置が送受信に使用する2つのコアの説明図である。なお、図3A及び図3Bは、それぞれ、第1MCIのコネクタ及び第2MCIのコネクタの断面を示している。なお、図3A及び図3Bに示すMC光ファイバの断面は、MC光ファイバ80の長手方向と直交する平面における断面でもある。所定方向の線は、ロック機構を鉛直方向の上側又は下側としたときに、MC光ファイバの中心を通る鉛直方向の線とする。そして、この鉛直方向の線に対して対称の位置にあるコア#1A及びコア#1Bと、コア#2A及びコア#2Bを、それぞれ、対向する他の2つの通信装置が送受信に使用するコアとする。
【0018】
図4A及び図4Bは、対向する2つの通信装置が送受信に使用する2つのコアを上述した様に決定した場合の光通信システムの構成図である。なお、図4Aの通信装置#1と図4Bの通信装置#3が、互いに対向する2つの通信装置であり、図4Aの通信装置#2と図4Bの通信装置#4が、互いに対向する2つの通信装置である。
【0019】
通信装置#1の送信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#1Aに接続される。通信装置#1の受信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#1Bに接続される。通信装置#2の送信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#2Aに接続される。通信装置#2の受信ポートは、SC光ファイバにより、第1MCIのポート#2Bに接続される。第1MCIは、ポート#1A、#1B、#2A及び#2Bと、MC光ファイバのコア#1A、#1B、#2A及び#2Bを、それぞれ接続する。第1MCIのコネクタを光伝送路に接続することで、第1MCIのMC光ファイバのコア#1A、#1B、#2A及び#2Bは、光伝送路のコア#1A、#1B、#2A及び#2Bに接続される。
【0020】
また、通信装置#3の受信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#1Aに接続される。通信装置#3の送信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#1Bに接続される。通信装置#4の受信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#2Aに接続される。通信装置#4の送信ポートは、SC光ファイバにより、第2MCIのポート#2Bに接続される。第2MCIは、ポート#1A、#1B、#2A及び#2Bと、マルチコア(MC)光ファイバのコア#1A、#1B、#2A及び#2Bを、それぞれ接続する。第2MCIのコネクタを光伝送路に接続することで、第2MCIのMC光ファイバのコア#1A、#1B、#2A及び#2Bは、光伝送路のコア#1A、#1B、#2A及び#2Bに接続される。
【0021】
ここで、通信装置#3及び通信装置#4と光伝送路を接続するために、第2MCIではなく、第1MCIが間違って使用された場合を考える。この場合、光伝送路のコア#1Aは、間違って使用された第1MCIのコア#1Bに接続され、光伝送路のコア#1Bは、間違って使用された第1MCIのコア#1Aに接続され、光伝送路のコア#2Aは、間違って使用された第1MCIのコア#2Bに接続され、光伝送路のコア#2Bは、間違って使用された第1MCIのコア#2Aに接続される。したがって、通信装置#1の送信ポートは、通信装置#3の送信ポートに接続され、通信装置#1の受信ポートは、通信装置#3の受信ポートに接続され、通信装置#2の送信ポートは、通信装置#4の送信ポートに接続され、通信装置#2の受信ポートは、通信装置#4の受信ポートに接続されてしまう。
【0022】
しかしながら、図1A及び図1B並びに図2A及び図2Bで説明した場合と異なり、間違ったタイプのMCIが使用されたとしても、対向する2つの通信装置の送信ポート間が接続され、かつ、対向する2つの通信装置の受信ポート間が接続されるのみであり、ある通信装置が、無関係の他の通信装置と接続されることはない。これは、間違ったタイプが使用された数や場所に依存しない。したがって、誤接続が生じたとしても、通信装置#3と間違って使用された第1MCIとを接続するSC光ファイバの接続関係を変更することで誤接続を解消させることができる。具体的には、通信装置#3の送信ポートと、間違って使用された第1MCIのポート#1Aとを接続し、通信装置#3の受信ポートと、間違って使用された第1MCIのポート#1Bとを接続すれば良い。なお、通信装置#1と、正しいタイプである第1MCIとのSC光ファイバによる接続を変更しても同様である。
【0023】
さらに、通信装置とMCIとのSC光ファイバによる接続を作業者が変更するのではなく、通信装置において行う構成とすることができる。図5は、誤接続からの復帰機構を有する通信装置の構成図である。図5において送信部14は、情報を搬送する光信号を生成して送信し、受信部13は、対向する通信装置の送信部14が生成した光信号を受信して復調・復号する。通信装置の受信ポート10、送信ポート11、受信部13及び送信部14は、それぞれ、光切替(SW)部12のポート#1、#2、#3及び#4に接続される。
【0024】
光SW部12は、制御部16の制御により第1状態又は第2状態に設定される。第1状態において、光SW部12は、ポート#1とポート#3を接続し、かつ、ポート#2とポート#4を接続する。一方、第2状態において、光SW部12は、ポート#1とポート#4を接続し、かつ、ポート#2とポート#3を接続する。測定部15は、光SW部12と送信ポート11との間の光ファイバを伝搬する光のレベルを測定し、測定したレベルを制御部16に通知する。なお、通信装置は、図示しない管理装置とネットワークを介して通信でき、作業者は、管理装置を介して、遠隔から通信装置を制御できるものとする。
【0025】
対向する2つの通信装置#1及び通信装置#3を光伝送路により接続する際、作業者は、対向する2つの通信装置#1及び通信装置#3を誤接続検出モードに設定する。誤接続検出モードにおいて、通信装置の制御部16は、光SW部12を所定の状態、例えば、第1状態にする。そして、作業者は、対向する2つの通信装置の内の一方の通信装置の送信部14に光信号を送信させ、他方の通信装置の測定部15に光レベルを測定させる。なお、この際、他方の通信装置の送信部14には光信号の送信を停止させる。対向する2つの通信装置の送信ポート10と受信ポート11が正しく接続されている場合、他方の光通信装置の測定部15が検出する光のレベルは所定値より小さい。制御部16は、誤接続検出モードにおいて測定部15より光のレベルが所定値より小さいとの測定結果を受信すると、光SW部12の状態を変更せず、誤接続が無い旨を作業者に通知する。一方、対向する2つの通信装置の送信ポート10同士が接続され、かつ、受信ポート11同士が接続されている場合、他方の光通信装置の測定部15が検出する光のレベルは所定値以上になる。制御部16は、誤接続検出モードにおいて測定部15より光のレベルが所定値以上との測定結果を受信すると、光SW部12の状態を変更して、誤接続を解消させ、かつ、誤接続が有った旨を作業者に通知する。
【0026】
なお、図5において測定部15は、送信ポート11と光SW部12との間で光のレベルを検知していたが、送信部14と光SW部12との間で光のレベルを検知する構成とすることもできる。また、受信ポート10と光SW部12との間や、受信部13と光SW部12との間で光レベルを検知する構成とすることもできる。この場合、誤接続検出モードにおいて、測定部15が検出する光のレベルが所定値以上であると、誤接続が生じていないと判定する。この場合、受信部13が測定部15の機能を具備して兼ねる構成とすることもできる。
【0027】
以上、MC光ファイバの断面内の所定方向の線に対して対称の位置に配置された2つのコアを、対向する2つの通信装置が送受信に使用する2つのコアとする。なお、所定方向の線は、MCIのコネクタのロック機構の位置に基づき決定する。この構成により、任意の位置でMCIのタイプが取り違えられたとしても、対向する2つの通信装置の送信ポート間及び受信ポート間が接続される様になるのみであり、対向しない無関係な2つの通信装置が接続されることを防ぐことができる。また、対向する2つの通信装置の送信ポート間及び受信ポート間が接続される様になるのみであるため、SC光ファイバの接続側で簡易に誤接続を解消させることができる。また、通信装置に光SW部を設けることで、作業者が通信装置の設置場所に出向くことなく、遠隔から誤接続を解消させることができる。
【0028】
なお、図3A及び図3Bにおいては、MC光ファイバの断面内の所定方向の線上、つまり、ロック機構とMC光ファイバの中心を通る線上にはコアが存在しなかった。しかしながら、所定方向の線上に偶数個のコアが存在する場合も生じる。例えば、図3A及び図3Bのコア配置を45度だけ回転させると、所定方向の線上に2つのコアが存在することになる。さらに、異なる2つの半径の円周上に等間隔でコアを配置した場合、所定方向の線上に4つのコアが存在する場合も生じ得る。この所定方向の線上のコアについては、第1MCIと第2MCIを取り違えても誤接続は生じない。したがって、本実施形態では、所定方向の線上にないコアについては、所定方向の線に対して線対称の関係にある2つのコアを、対向する2つの通信装置が送受信に使用するコアのペアに使用する。一方、所定方向の線上にある偶数個のコアについては、任意に選択したコアのペアを対向する2つの通信装置の送受信のために使用することができる。
【0029】
なお、4つのコアを有するMC光ファイバにより本実施形態の説明を行ったが、複数のコアが線対称に配置されていれば良く、コア数は4つ以上であっても良い。さらに、複数のコアを有する光ファイバとしてMC光ファイバにより本実施形態の説明を行ったが、複数のSC光ファバイを1つのテープ状にした、所謂、テープ芯線に対しても本発明を適用することができる。図6A及び図6Bは、8つのSC光ファイバを含むテープ芯線に使用される第1MCI及び第2MCIのコネクタの断面を示している。なお、参照符号91は、コネクタ本体を示し、参照符号92は、ロック機構を示している。図6A及び図6Bにおいては、一列に配置された複数のコアの中心を通る線に対して対称となる位置に配置された2つのコアを1つのペアとし、この1つのペアに含まれる2つのコアを対向する2つの通信装置が送受信に使用するものとしている。具体的には、コア#1A及びコア#1Bが1つのペアであり、コア#2A及びコア#2Bが1つのペアであり、コア#3A及びコア#3Bが1つのペアであり、コア#4A及びコア#4Bが1つのペアである。
【0030】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態においては、誤接続を解消させるために光SW部12、監視部15及び制御部16を通信装置に設けていた。本実施形態においては、パッシブなデバイスのみで誤接続を解消させる。なお、本実施形態においては、光伝送路に設けられた中継器により、対向する2つの通信装置が送受信に使用する2つのコアのそれぞれは、互いに異なる方向に伝搬する光信号のみを通過させるものとする。具体的には、図4A及び図4Bに示す様に接続している場合、光伝送路のコア#1Aは、通信装置#1から通信装置#3に向かう方向の光信号のみを通過させ、通信装置#3から通信装置#1に向かう方向の光信号を阻止し、光伝送路のコア#1Bは、通信装置#3から通信装置#1に向かう方向の光信号のみを通過させ、通信装置#1から通信装置#3に向かう方向の光信号を阻止する。
【0031】
図7は、誤接続からの復帰機構を有する通信装置の構成図である。本実施形態においては、図5の光SW部12に代えて光カプラ17を使用している。また、送信部14と光カプラ17の間には光アイソレータ18を設けている。光アイソレータ18は、送信部14から光カプラ17に向かう光信号を通過させるが、光カプラ17から送信部14に向かう光信号を阻止する。
【0032】
光カプラ17のポート#1に入力された光信号は、等振幅に2分岐され、それぞれ、ポート#3及びポート#4から出力される。光カプラ17のポート#2に入力された光信号は、等振幅に2分岐され、それぞれ、ポート#3及びポート#4から出力される。光カプラ17のポート#3に入力された光信号は、等振幅に2分岐され、それぞれ、ポート#1及びポート#2から出力される。光カプラ17のポート#4に入力された光信号は、等振幅に2分岐され、それぞれ、ポート#1及びポート#2から出力される。
【0033】
送信部14が送信する光信号は、光カプラのポート#1及びポート#2から出力され、よって、受信ポート10及び送信ポート11の両方から出力される。しかしながら、受信ポート10から光伝送路に向けて出力された光信号は、上述した様に、光伝送路において阻止され、送信ポート11から出力された光信号のみが対向する通信装置に向けて伝送される。一方、対向する通信装置が送信した光信号は、光伝送路と通信装置とを接続するMCIのタイプに応じて、受信ポート10又は送信ポート11に入力される。対向する通信装置からの光信号が、受信ポート10と送信ポート11のどちらから入力されたかに拘わらず、光カプラ17は、対向する通信装置からの光信号をポート#3及びポート#4から出力する。ポート3から出力された光信号は受信部13で受信される。一方、ポート#4から出力された光信号は、光アイソレータ18で阻止される。この様に、MCIのタイプ間違いが生じても、対向する2つの通信装置は通信を行うことができる。
【0034】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0035】
本願は、2019年9月2日提出の日本国特許出願特願2019-159693を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7