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特許7254207定電流制御電源回路および電界放出電子源
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-30
(45)【発行日】2023-04-07
(54)【発明の名称】定電流制御電源回路および電界放出電子源
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20230331BHJP
   H01J 37/06 20060101ALI20230331BHJP
【FI】
G05F1/10 W
H01J37/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021560184
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2020085325
(87)【国際公開番号】W WO2021082362
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】201911047324.X
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521438939
【氏名又は名称】新▲鴻▼▲電▼子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】唐▲華▼平
(72)【発明者】
【氏名】尹翔宇
(72)【発明者】
【氏名】秦占峰
(72)【発明者】
【氏名】潘▲勁▼松
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲慶▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】占▲楊▼▲い▼
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201928017(CN,U)
【文献】特開平10-163835(JP,A)
【文献】特開2006-136056(JP,A)
【文献】特開2002-290222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0376139(US,A1)
【文献】特開2002-033648(JP,A)
【文献】特開2004-126112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
H01J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
のソースが電圧源の負極に接続され、Sのドレインが電源回路の出力端子として負荷を接続する、ドレインおよびソースを介して順番に直列に接続された電界効果トランジスタS(1≦i≦nであり、i、nは自然数であり、n≧2である)と、
11がSのゲートと前記電圧源の負極の間に並列に接続され、D1nがSのゲートとSのドレインの間に並列に接続され、n>2の場合、残りのD1iがSのゲートとSi+1のゲートの間に並列に接続される、直列に接続された第1のダイオード群D1i(1≦i≦nであり、i、nは自然数であり、n≧2である)と、
のゲートとソースに並列に接続される第1の抵抗群R1j(2≦j≦nであり、jはiの値に対応し、i、jは自然数である)と、
前記電圧源の出力電圧を調整して、負荷を流れる電流を一定にする電圧制御モジュールと、を含み、
前記電界効果トランジスタS(1≦i≦nである)は、可変抵抗領域で動作する
ことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
電界効果トランジスタS(1≦i≦nである)は、Nチャネル増強型電界効果トランジスタである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記電圧制御モジュールは、前記電源回路の出力端子に接続された負荷と直列に接続され、負荷を流れる電流を検出する検出ユニットと、
負荷を流れる電流に応じて制御信号を生成し、前記制御信号を前記電圧源に印加する制御信号生成ユニットと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
前記制御信号生成ユニットは、
負荷を流れる電流を電流設定値と比較し、
負荷を流れる電流が前記電流設定値よりも小さい場合は、前記電圧源の出力電圧を増加させ、
負荷を流れる電流が前記電流設定値よりも大きい場合は、前記電圧源の出力電圧を低減させるように構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の電源回路。
【請求項5】
2kのカソードがSのゲートに接続され、D2kのアノードがSのソースに接続されている、並列に接続された第2のダイオード群D2k(2≦k≦nであり、kはiの値に対応し、kは自然数であり、nは2以上の自然数である)をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項6】
3tのカソードがSのゲートに接続され、D3tのアノードが前記電圧制御モジュールによって出力された制御信号を受信して前記電界効果トランジスタSがオンまたはオフになるように制御する第3のダイオード群D3t(2≦t≦nであり、tはiの値に対応し、tは自然数であり、nは2以上の自然数である)をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項7】
記検出ユニットは、抵抗素子、インダクタンス素子、またはホールセンサー素子を含む、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電源回路。
【請求項8】
前記制御信号生成ユニットが、オペアンプ、マイクロコントローラ、FPGA、またはシングルチップマイクロコンピュータを含む、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の電源回路。
【請求項9】
前記電源回路は、前記直列に接続された第1のダイオード群D1i(1≦i≦nであり、i、nは自然数であり、n≧2である)を、直列に接続された抵抗およびコンデンサの並列接続構造に置き換えるように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項10】
カソードが電界効果トランジスタSのドレインに接続され、アノードが第2の抵抗の一方の端部に接続される第4のダイオードと、
もう一方の端部がグランドに接続されている第2の抵抗と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電源回路と、
前記電源回路の、グランドに接続される電圧源の正極に接続されるゲート部材と、少なくとも1つのカソードと、を含み、前記少なくとも1つのカソードは、少なくとも1つの電源回路と1対1で対応し、前記少なくとも1つの電源回路の出力端子に接続され、前記複数のカソードと前記ゲート部材とが平行に配置され、各前記カソードと前記ゲート部材の間に電界放出電界が形成される
ことを特徴とする複数のポイントの電界放出電子源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年10月30日に出願された出願番号が201911047324.Xである中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は引用により本出願に組み込まれる。
本開示は、電子源放出の技術分野に関し、より具体的には、電源回路および当該電源回路を適用する電界放出電子源に関する。
【背景技術】
【0002】
電源回路の性能は、電子機器の性能にとって重要である。例えば、電界放出電子源製品において、電界放出電子源回路に印加される電流が変化すると、電界放出電子源の性能が低下する。
【0003】
固体には大量の電子があり、これらの電子が原子核の引力により固体内に閉じ込められる。通常の状態では、これらの電子が有するエネルギーは物体の表面から逃げるのに十分ではなく、一定の外部エネルギーの作用だけでまたは電子閉じ込みを除去する方法により、電子を固体の内部から表面を通って真空に逃がすことができる。真空中で大量の電子を生成させることができるシステムを電子源と呼ぶ。一つの方法は、外部電界を利用して材料の表面バリアを抑制し、バリアを下げて狭くし、バリアの幅が電子の波長に匹敵するほど狭い場合、電子のトンネル効果が働き始め、自由電子は滑らかに表面バリアを浸透して真空に進入することである。このような強い外部電界を利用して固体表面から電子を引き抜く現象は、電界放出現象であり、このタイプの電子源は電界放出電子源と呼ばれる。研究によると、外部電界の電界強度が10の6乗に達すると、電子放出現象が非常に明らかに発生された。電界電子放出に時間遅延はなく、応答速度はマイクロ秒レベルに達する。つまり、電界放出電子源を瞬時に始めおよび閉じることができる。
【0004】
したがって、電界放出電子源に適用される回路は、安定した電流を維持し、瞬時に応答できることが求められる。
【発明の概要】
【0005】
上記の技術問題を少なくとも部分的に解決するために、本開示は、電源回路およびこの電源回路を適用する電界放出電子源が提案された。
【0006】
本開示の一態様によれば、Sのソースが電圧源の負極に接続され、Sのドレインが電源回路の出力端子として負荷を接続する、ドレインおよびソースを介して順番に直列に接続された電界効果トランジスタS(1≦i≦nであり、i、nは自然数であり、n≧2である)と、D11がSのゲートと前記電圧源の負極の間に並列に接続され、D1nがSのゲートとSのドレインの間に並列に接続され、n>2の場合、残りのD1iがSのゲートとSi+1のゲートの間に並列に接続される、直列に接続された第1のダイオード群D1i(1≦i≦nであり、i、nは自然数であり、n≧2である)と、Sのゲートとソースに並列に接続される第1の抵抗群R1j(2≦j≦nであり、jはiの値に対応し、i、jは自然数である)と、前記電圧源の出力電圧を調整して、負荷を流れる電流を一定にする電圧制御モジュールと、を含み、前記電界効果トランジスタS(1≦i≦nである)は、可変抵抗領域で動作する電源回路が提案された。
【0007】
いくつかの実施例では、電界効果トランジスタS(2≦i≦nである)は、Nチャネル増強型電界効果トランジスタである。
【0008】
いくつかの実施例では、前記電圧制御モジュールは、前記電源回路の出力端子に接続された負荷と直列に接続され、負荷を流れる電流を検出する検出ユニットと、負荷を流れる電流に応じて制御信号を生成し、前記制御信号を前記電圧源に印加する制御信号生成ユニットと、を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記制御信号生成ユニットは、負荷を流れる電流を電流設定値と比較し、負荷を流れる電流が前記電流設定値よりも小さい場合は、前記電圧源の出力電圧を増加させ、負荷を流れる電流が前記電流設定値よりも大きい場合は、前記電圧源の出力電圧を低減させるように構成される。
【0010】
いくつかの実施例では、D2kのカソードがSのゲートに接続され、D2kのアノードがSのソースに接続されている、並列に接続された第2のダイオード群D2k(2≦k≦nであり、kはiの値に対応し、kは自然数であり、nは2以上の自然数である)をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施例では、D3tのカソードがSのゲートに接続され、D3tのアノードが前記電圧制御モジュールによって出力された制御信号を受信して前記電界効果トランジスタSがオンまたはオフになるように制御する第3のダイオード群D3t(2≦t≦nであり、tはiの値に対応し、tは自然数であり、nは2以上の自然数である)をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記検出ユニットは、抵抗素子、インダクタンス素子、またはホールセンサー素子を含む。
【0013】
いくつかの実施例では、前記制御信号生成ユニットが、オペアンプ、マイクロコントローラ、FPGA、またはシングルチップマイクロコンピュータを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記電源回路は、前記直列に接続された第1のダイオード群D1i(1≦i≦nであり、i、nは自然数であり、n≧2である)を、直列に接続された抵抗およびコンデンサの並列接続構造に置き換えるように構成される。
【0015】
いくつかの実施例では、カソードが電界効果トランジスタSのドレインに接続され、アノードが第2の抵抗の一方の端部に接続される第4のダイオードと、もう一方の端部がグランドに接続されている第2の抵抗と、をさらに含む。
【0016】
本開示の別の態様によれば、前記実施例による少なくとも1つの電源回路と、前記電源回路の、グランドに接続される電圧源の正極に接続されるゲート部材と、少なくとも1つのカソードと、を含み、前記少なくとも1つのカソードは、少なくとも1つの電源回路と1対1で対応し、前記少なくとも1つの電源回路の出力端子に接続され、前記複数のカソードと前記ゲート部材とが平行に配置され、各前記カソードと前記ゲート部材の間に電界放出電界が形成される複数のポイントの電界放出電子源が提案された。
【0017】
開示実施例の技術案によれば、電源回路が提供され、カスケード接続された複数の電界効果トランジスタによって、カソード電界放出に必要な高電圧を共有し、単一の電界効果トランジスタの不十分な耐電圧の問題を解決し、回路動作の信頼性を増加し、電界放出電子源制御システムの製造コストを低減し、電界放出電子源の瞬時オンおよびオフを実現した。
【0018】
添付の図面と併せて本開示の実施例を説明し、本開示の実施例の上記および他の目的、特徴、および利点をより明確にするであろう。図面全体を通して、同じ要素が同じまたは類似の参照番号で示されていることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施例による電源回路の回路図を示している。
図2】本開示の実施例による、単一チャネル電界放出電子源の回路図を示している。
図3】本開示の別の実施例による単一チャネル電界放出電子源の回路図を示している。
図4】本開示の実施例による複数のポイントの電界放出電子源の回路図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施例の目的、技術案および利点をより明確にするために、本開示の実施例における技術案は、本開示の実施例における添付の図面と併せて明確かつ完全に説明される。明らかに、記載された実施例は、本開示の実施例のすべてではなく、一部の実施例である。記載された本開示の実施例に基づいて、創造的な労力なしに当業者によって得られた他のすべての実施例は、本開示の保護範囲に属する。以下の説明では、いくつかの具体的な実施例は、目的を説明するだけであり、本開示を制限するものと解釈されるべきではなく、単に本開示の実施例の例示である。本開示の理解に混乱を生じさせる可能性がある場合、通常の構造または構成は省略される。図中の各部材の形状およびサイズは、実際のサイズおよび比率を反映するものではなく、単に本開示の実施例の内容を例示するものであることに留意すべきである。
【0021】
別段の定義がない限り、本開示の実施例で使用される技術的または科学的用語は、当業者によって理解される通常の意味であるべきである。本開示の実施例で使用される「第1」、「第2」および類似な単語は、いかなる順序、数、または重要性を示すものではなく、単に異なる構成要素を区別するためのものである。
【0022】
また、本開示の実施例の説明において、「に接続された」または「接続された」という用語は、2つの素子が直接接続されていること、または2つの素子が1つまたは複数の他の素子を介して接続されていることを意味し得る。さらに、これら2つの素子は、有線または無線の方式で接続または結合することができる。
【0023】
開発された既存の電界放出X線源は、電界放出電子源を使用して、電界電子放出によって電子ビームを生成し、電子ビームを生成する部分(カソードと呼ばれる)および制御電界を生成する部分を含む。固体による電界放出には強い電界が必要であり、これも電界放出カソードの必須要素である。カソード材料の改善により、電界放出電圧の閾値が大幅に低下し、ミクロンあたり数ボルト(V/um)のレベルに達する。したがって、電界放出電子源のゲート制御電圧は、カソードとゲートの距離に直接関連し、異なるプロセス方法で数十マイクロメートル(um)からミリメートル(mm)のオーダーで制御することができる。これにより、電界放出電子源の動作電圧は、数千ボルト(kV)である。
【0024】
本開示の実施例は、上記の電界放出電子源によって必要とされる電源として使用される電源回路を提出した。しかしながら、本開示の実施例における電源回路は、例えば電気真空の分野などの他の場合にも適用できることを理解されたい。
【0025】
図1は、本開示の実施例による電源回路の回路図を示している。図1に示すように、本開示の実施例による電源回路は、主に、ドレインとソースを介して順番に直列に接続された電界効果トランジスタSを含む(1≦i≦nであり、n≧2であり、ここでi、nは自然数である)。図1では、Sのソースは電圧源の負極に接続され、電圧源の正極は電源回路の出力端子として使用され、SのドレインはSのソースに接続され、SのドレインはSのソースに接続され、逐次類推して、Sn-1のドレインはSのソースに接続され、Sのドレインは電源回路のもう一方の出力端子として使用される。電源回路の2つの出力端子間に負荷を接続できる。
【0026】
図1に示すように、電源回路には、直列に接続されたダイオード(第1のダイオード群)D1i(1≦i≦nであり、n≧2であり、ここで、i、nは自然数である)が含まれる。図1に示すように、ダイオードD11はSのゲートと電圧源のカソードの間に並列に接続され、D1nはSのゲートとSのドレインの間に並列に接続される。n>2の場合、残りのダイオードD1iが電界効果トランジスタSと1対1で対応する。つまり、残りのD1iはSのゲートとSi+1のゲートの間に並列に接続される。例えば、ダイオードD12は、SのゲートとSのゲートとの間に並列に接続され、ダイオードD13は、SのゲートとSのゲートとの間に並列に接続され、逐次類推する。
【0027】
図1に示すように、電源回路には電圧制御モジュールも含まれており、電圧制御モジュールは、電圧源の出力電圧を調整して、負荷を流れる電流を一定にすることができる。
【0028】
本開示の実施例によれば、図1に示されるように、電源回路は、並列に接続されたダイオード(第2のダイオード群)D2kおよび抵抗(第1の抵抗群)R1j(2≦k≦nであり、2≦j≦nであり、ここで、k、jおよびnはすべて2以上の自然数である)をさらに含み得る。図1では、ダイオード(第2のダイオード群)D2kが破線のボックスに含まれており、選択可能な素子であることを示している。
【0029】
図1では、kとjの値が対応しており、対応するダイオードD2kが抵抗R1jと並列に接続され、次に電界効果トランジスタSのゲートとソースの間に並列に接続されていることがわかる。ダイオードD2kのアノードは電界効果トランジスタSiのゲートに接続され、ダイオードD2kのカソードは電界効果トランジスタSのソースに接続されている。たとえば、ダイオードD22と抵抗R12はSのゲートとソースの間に並列に接続され、D22のカソードはSのゲートに接続され、D22のアノードはSのソースに接続される。
【0030】
本開示の実施例によれば、電流フィードバックモジュールは、検出ユニットおよび制御信号生成ユニットをさらに含むことができ、検出ユニットは、電源回路の出力端子に接続された負荷と直列に接続されて、負荷を流れる電流を検出する。制御信号生成ユニットは、負荷を流れる電流に応じて制御信号を生成し、その制御信号を電圧源に印加する。これについては、具体例と併せて後述する。
【0031】
検出ユニットは、抵抗素子、インダクタンス素子、またはホールセンサ素子であってもよく、本開示の実施例は、それらに限定されない。制御信号生成ユニットは、オペアンプ、マイクロコントローラ、FPGAまたはシングルチップマイクロコンピュータであってもよく、本開示の実施例は、それらに限定されない。
【0032】
本開示の実施例によれば、制御信号生成ユニットは、負荷を流れる電流を電流設定値と比較し、負荷を流れる電流が電流設定値よりも小さい場合、電圧源の出力電圧を増加させ、負荷を流れる電流が電流設定値よりも大きい場合、電圧源の出力電圧を低減させるように構成される。
【0033】
本開示の実施例によれば、電界効果トランジスタS(1≦i≦n)は、Nチャネル増強型電界効果トランジスタであり、これにより回路構造を顕著に簡潔化することができる。さらに、すべての電界効果トランジスタS(1≦i≦n)が、ゲートに印加される制御信号に応じて、オンまたはオフにされることができる。電界効果トランジスタS(1≦i≦n)がオンにされる場合、電界効果トランジスタSiは可変抵抗領域で動作し、電界効果トランジスタS(1≦i≦n)がオフにされる場合、電界効果トランジスタSはピンチオフ領域にある。
【0034】
電界効果トランジスタSのゲート回路に対する制御は、電圧制御モジュール内の制御信号生成ユニットによっても実現することができる。図1に示す電源回路では、第3のダイオード群D3t(2≦t≦n)も含まれ、ここで、D3tのカソードは、Sのゲートに接続され、tの値は、iの値に対応する。D3tのアノードは、電圧制御モジュールによって出力された制御信号を受信して??、電界効果トランジスタSのオンまたはオフを制御する。ここで、iおよびtは自然数であり、nは2以上の自然数である。
【0035】
本開示の実施例では、電圧源の出力電圧を調整することによって、電源回路の定出力電流は実現され、直列に接続された複数の電界効果トランジスタの同時のオンおよびオフを制御することによって、高電圧および高速応答を実現する。
【0036】
以下、電源回路について具体例と併せて詳しく説明する。
【0037】
図2は、本開示の実施例による、単一チャネル電界放出電子源の回路図を示している。
【0038】
図2に示すように、回路には、順次に直列に接続されたn個の電界効果トランジスタS、S、…、Sn、過渡抑制ダイオード(TVSチューブ)またはツェナーダイオード(または電圧安定管)D11、D12、…、D1n、D22、…、D2n、D、ダイオードD32、…、D3n、抵抗R、R12 … R1nが含まれている。そのうち、R12 … R1nは、それぞれツェナーダイオードD22 … D2nの両端に並列に接続されている。電界効果トランジスタSのソースは、負荷を流れる電流を検出するための検出ユニットに接続されている。電界効果トランジスタSのドレインは電界効果トランジスタSのソースに接続され、電界効果トランジスタSのドレインは電界効果トランジスタSのソースに接続され、…、電界効果トランジスタSn-1のドレインは電界効果トランジスタSのソースに接続され、電界効果トランジスタSnのドレインは、電界放出電子ソースのカソードに接続されている。電圧安定管D22のカソードは、電界効果トランジスタSのゲートに接続され、電圧安定管D22のアノードは、電界効果トランジスタSのソースに接続され、抵抗R12は、電圧安定管D22の両端と並列に接続され、逐次類推する。電圧安定管D23と抵抗R13の並列回路は、電界効果トランジスタSのゲートとソースとの間に接続され、…、電圧安定管D2nと抵抗器R1nの並列回路は、電界効果トランジスタSのソースとゲートとの間に接続される。定電圧管と抵抗で形成された並列回路により、電界効果トランジスタのゲート-ソース間電圧Ugsは、電界効果トランジスタのゲート-ソース間電圧の上限を超えないようになっている。電圧源は負の高電圧源であることができ、その負極が負の高電圧を出力し、その正極がグランドに接続されている。
【0039】
11のアノードは電界効果トランジスタSのソースに接続され、D11のカソードは電界効果トランジスタSのゲートに接続され、D1nのアノードは電界効果トランジスタSのゲートに接続され、D1nのカソードは電界放出電子源のカソードに接続されている。n≧2の場合、D12のアノードはSのゲートに接続され、D12のカソードはSのゲートに接続され、D13、…、 D1n-1は前記D12とS及びSとの接続方式と類似の式でそれぞれ電界効果トランジスタS、…、Sに1対1で接続されている。単一の電界効果トランジスタの耐電圧は低く、複数の電界効果トランジスタを直列に接続することで高電圧を共有することができる。各電界効果トランジスタのソースとドレイン間の最大電圧値は、対応D1nの電気的特性によって決まる。
【0040】
電圧安定管を使用して電界効果トランジスタのソース電圧とドレイン電圧のバランスをとるだけでなく、抵抗とコンデンサの並列接続で実現することもできる。図3に示すように、抵抗R31とコンデンサC11によって形成される並列ネットワークは、図2の電圧安定管D11に取って代わる。
【0041】
抵抗Rの一端はグランドGNDに接続され、他端は電圧安定管Dのアノードに接続され、ダイオードDのカソードは電界放出電子源のカソードに接続される。その機能は、電界放出電子源が動作していないときに、電圧安定管Dと抵抗Rによって構築されたループを介してカソードに蓄積された電荷を放電することである。
【0042】
ダイオードD32、…、D3nのアノードはすべて制御信号生成ユニットに接続され、制御信号生成ユニットからの制御信号を受信することができ、制御信号の制御によってオンまたはオフになる。ダイオードD32、…、D3nのカソードは、対応する電界効果トランジスタのゲートに接続されている。例えば、D32のカソードは電界効果トランジスタSのゲートに接続され、D33のカソードは電界効果トランジスタSのゲートに接続され、以下同様に、ダイオードD3nのカソードは電界効果のゲートに接続される。ダイオードD3nと電界効果トランジスタとの組み合わせにより、制御信号生成ユニットを保護し、制御信号生成ユニットが電界効果トランジスタのゲート電圧によって逆に破壊されることを防止する。
【0043】
システム起動後、電圧源は負の高電圧を出力し、制御信号生成ユニットは電界効果トランジスタのゲート信号を制御し、例えばS、…、Sを統一にオンまたはオフするように制御する。電界効果トランジスタS、..、Sがオンになると、電界放出電子源のカソードの電位が電圧源の出力電圧に達し、電界放出電子源のカソードとゲートとの電位差は、電界放出の臨界値よりも大きく、カソードがゲートに電子を放出する。このとき、ゲット、カソード、S、…、S、検出ユニット、電圧源およびグランドが電流ループを構成する。
【0044】
制御信号生成ユニットは、負荷を流れる電流と電流設定値を比較した結果に基づいて、電圧源から出力される負の高電圧を調整し、調整範囲は0v?数Kvであることができる。
【0045】
検出ユニットは、電界放出電子源を流れる電流の大きさを検出し、電流検出値を制御信号生成ユニットにフィードバックする。検出ユニットを実現する方法は複数あるが、例えば、電流サンプリング抵抗、誘導コイル、ホールセンサーなどの一般的な方法はすべて、電流収集機能を実現できる。
【0046】
制御信号生成ユニットは、電流検出値を受信し、電流検出値と電流設定値を比較することにより、電圧源から出力される負電圧を調整し、ループ内の定電流を実現する。制御信号生成ユニットの構築方法は複数あり、例えばオペアンプを使用したり、DAとAD付きのMCUを使用したりすることができる。
【0047】
本開示の実施例により提供される電源回路は、拡張が容易である。電界効果トランジスタS?Sをそれぞれ可変抵抗領域またはピンチオフ領域で動作するように制御することにより、電源回路のオンまたはオフを制御することができる。したがって、電界放出電子源を結合して複数のポイントの電界放出電子源を形成することができ、異なるチャネル間の制御を容易になる。
【0048】
図4は、本開示の実施例による複数のポイントの電界放出電子源の回路図を示している。図4に示すように、複数のポイントの電界放出電子源は、図1?図3を参照して説明した実施例の電源回路を少なくとも1つ含む。各電源回路は1つのチャネルを構成し、各電源回路は並列に接続されており、互いに個別に動作することができ、個別にオン/オフにすることができる。
【0049】
図4に示されるように、当該複数のポイントの電界放出電子源は、ゲート部材および少なくとも1つのカソードをさらに含み、ゲート部材は、グランドに接続され、少なくとも1つのカソードは、少なくとも1つの電源回路に1対1で対応し、そして、少なくとも1つのカソードは、少なくとも1つの電源回路の出力端子に接続され、複数のカソードは、ゲート部材と平行に配置され、各カソードとゲート部材との間に電界放出電界が形成される。
【0050】
図4に示すように、複数のポイントに分散される電界放出電子源のカソード部材は、複数のカソードから構成され、各カソードは、それぞれのチャネルに対応して高電圧電界を伝送する。各高電圧電界の伝送には独立した制御信号があり、同一時刻に1つのみの高電圧電界が伝送されることができる。
【0051】
本開示の実施例によれば、1から数百の電界放出カソードを1つのチューブ構造に集積し、負の高電圧電源の出力電圧を調整することによって定電流制御を行うことに有利であり、これにより、回路はミリ秒以内に電流安定状態になる。
【0052】
本開示は、高電圧定電流制御システムを備えた電界放出電子源を提供し、複数の電界効果トランジスタのカスケードによってカソード電界放出に必要な高電圧を共有し、単一の電界効果トランジスタの不十分な耐電圧の問題を解決し、回路の動作の信頼性を向上し、電界放出電子源制御システムの製造コストを削減させることができる。高電圧定電流制御システムの電界効果トランジスタは、速くオン/オフにするという特性を持っているため、高電圧定電流制御システムを備えた電界放出電子源は、瞬時のスタートオンおよびシャットダウンの機能を実現でき、電流閉ループ検出フィードバックメカニズムにより、各電界放出カソードの動作電流放出を一定にし、電界放出電子源の定電流動作モードを実現する。
【0053】
これまで、好ましい実施例と併せて本開示を説明した。当業者は、本開示の実施例の精神および範囲から逸脱することなく、他の様々な変更、置換、および追加を行うことができることを理解されたい。したがって、本開示の実施例の範囲は、上記の特定の実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4