(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20230403BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20230403BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20230403BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
F04B49/06 321A
F04B49/10 311
F04B53/10 J
F04D15/00 F
(21)【出願番号】P 2018217393
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩彰
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-163554(JP,A)
【文献】特開平10-300536(JP,A)
【文献】特開2005-181032(JP,A)
【文献】特開昭62-294795(JP,A)
【文献】特開2009-197701(JP,A)
【文献】特開2017-141771(JP,A)
【文献】特開2005-164406(JP,A)
【文献】国際公開第2012/153454(WO,A1)
【文献】特開2010-25120(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 49/10
F04B 53/10
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、
前記ポンプに接続されたモータと、
前記ポンプに接続された吐出配管と、
前記吐出配
管に設けられ、リニア出力で圧力検出が可能な
第1圧力センサと、
前記吐出配管であって、前記第1圧力センサの二次側に直列に設けられ、リニア出力で圧力検出が可能な第2圧力センサと、
前記第1圧力センサ及び前記第2圧力センサの差圧と流量との関係である流量-配管損失の関係の情報が記憶された記憶部と、
前記モータを制御するとともに、前記
第1圧力センサ及び前記第2圧力センサ
でそれぞれ検出された圧力値の差と、前記記憶部に記憶された前記流量-配管損失の関係から流量を推定する制御部と、
を備えるポンプ装置。
【請求項2】
前記吐出配管に設けられた逆止弁をさらに備え、
前記
第1圧力センサ及び前記第2圧力センサは、前記逆止弁の一次側及び二次側に設けられる、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記
第1圧力センサは、前記ポンプの直後
に設けられ、前記第2圧力センサは、前記吐出配管の末端に設けられる請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記ポンプは、並列に複数設けられ、
前記第1圧力センサは、前記複数のポンプの二次側にそれぞれ設けられ、
前記制御部は、前記
複数のポンプの二次側にそれぞれ設けられた前記第1圧力センサのいずれかが故障したと判断したときに、
故障したと判断した前記第1圧力センサ以外の前記
第1圧力センサで検出した圧力に基づいてバックアップ運転を行う、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記
第1圧力センサ及び前記第2圧力センサは、補正及び0点調整が行われ、
前記記憶部には、前記補正及び0点調整の情報が記憶さ
れ、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記補正及び0点調整の情報から、前記
第1圧力センサ及び前記第2圧力センサで検出された圧力の差を補正する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動給水を行うポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動給水を行う装置として、流量センサを用いてポンプを制御するポンプ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなポンプ装置に用いられる流量センサとして、小水量や解列流量を判断するパドル式やフロート式の流量センサが知られている。
【0003】
また、推定末端圧力一定制御等の目標圧力一定制御を行うための高精度のリニア出力流量センサとして、パドル式、フロート式、電磁式、カルマン渦式の流量センサも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した高精度のリニア出力流量センサは高価である。このため、ポンプ装置に、リニア出力流量計を用いると、ポンプ装置の製造コストが増大する、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、安価にリニア出力で流量を検出できるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様として、ポンプ装置は、ポンプと、前記ポンプに接続されたモータと、前記ポンプに接続された吐出配管と、前記吐出配管に設けられ、リニア出力で圧力検出が可能な第1圧力センサと、前記吐出配管であって、前記第1圧力センサの二次側に直列に設けられ、リニア出力で圧力検出が可能な第2圧力センサと、前記第1圧力センサ及び前記第2圧力センサの差圧と流量との関係である流量-配管損失の関係の情報が記憶された記憶部と、前記モータを制御するとともに、前記第1圧力センサ及び前記第2圧力センサでそれぞれ検出された圧力値の差と、前記記憶部に記憶された前記流量-配管損失の関係から流量を推定する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安価にリニア出力で流量を検出できるポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るポンプ装置の構成を模式的に示す説明図。
【
図2】本発明の他の実施形態に係るポンプ装置の構成を模式的に示す説明図。
【
図3】本発明の他の実施形態に係るポンプ装置の構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るポンプ装置1を、
図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るポンプ装置1の構成を模式的に示す説明図である。
【0011】
図1に示すように、ポンプ装置1は、複数のポンプ11と、複数のモータ12と、複数のポンプ11にそれぞれ接続された吸込管13と、複数のポンプ11にそれぞれ接続された吐出管14と、複数の吐出管14を合流させる合流管15と、吐出管14に設けられた逆止弁16と、ポンプ11の二次側に直列に配置された複数の圧力センサ17と、ポンプ11の二次側にそれぞれ設けられた流量センサ18と、合流管15に設けられたアキュムレータ19と、制御盤20と、を備えている。
【0012】
このようなポンプ装置1は、各構成が一体に組み合わされたポンプユニットである。ポンプ装置1は、例えば、マンション等の建造物に、各戸の給水先へ給水する自動給水装置である。例えば、ポンプ装置1は、水源として受水槽100に接続される。
【0013】
ポンプ11は、例えば、多段ポンプである。複数のポンプ11は、並列に配置される。本実施形態のポンプ装置1においては、ポンプ11が2台用いられる例を用いて説明する。
【0014】
モータ12は、各ポンプ11にそれぞれ接続される。モータ12は、電気的に制御盤20に接続される。モータ12は、ポンプ11を駆動する。
【0015】
吸込管13は、一端がポンプ11に接続され、他端が受水槽100に配置される。
【0016】
吐出管14は、複数のポンプ11のそれぞれに設けられる。吐出管14は、一端がポンプ11に接続され、他端が合流管15に接続される。
【0017】
合流管15は、各ポンプ11に接続された複数の吐出管14を合流させる。合流管15の二次側は、建造物等に設けられた配管に接続される。吐出管14及び合流管15は、ポンプ装置1の吐出配管を構成する。
【0018】
逆止弁16は、吐出管14に設けられる。逆止弁16は、合流管15側からポンプ11内へ水が逆流することを防止する。
【0019】
圧力センサ17は、リニア出力で圧力検出が可能に形成される。ここで、リニア出力とは、圧力センサ17が圧力に比例した関係の電圧または電流またはパルスを信号として出力することを意味する。例えば、圧力センサ17は、歪みゲージを有し、歪みゲージの歪み量によって圧力に対応した信号を出力する。
【0020】
複数の圧力センサ17は、ポンプ11の二次側に、少なくとも二つが直列に配置される。具体例として、複数の圧力センサ17は、ポンプ11の二次側にそれぞれ設けられた第1圧力センサ21と、第1圧力センサ21の二次側に設けられた第2圧力センサ22と、を備えている。
【0021】
第1圧力センサ21は、各吐出管14にそれぞれ設けられる。具体例として、第1圧力センサ21は、ポンプ11の二次側であって、且つ、逆止弁16の一次側に配置される。第1圧力センサ21は、リニア出力で圧力検出が可能に形成される。ここで、リニア出力とは、圧力センサ17が圧力に比例した関係の電圧または電流またはパルスを信号として出力することを意味する。例えば、第1圧力センサ21は、歪みゲージを有し、歪みゲージの歪み量によって圧力に対応した信号を出力する。
【0022】
第2圧力センサ22は、合流管15であって、且つ、全ての吐出管14が合流した合流部の二次側に設けられる。例えば、第2圧力センサ22は、合流管15の末端、即ち、吐出配管の末端に配置される。第2圧力センサ22は、リニア出力で圧力検出が可能に形成される。例えば、第1圧力センサ21は、歪みゲージを有し、歪みゲージの歪み量によって圧力に対応した信号を出力する。
【0023】
このような複数の圧力センサ17は、例えば、複数の第1圧力センサ21と一つの第2圧力センサ22が直列に配置される。即ち、本実施形態においては、一つの第2圧力センサ22が合流管15に設けられることで、一つの第2圧力センサ22が、第1圧力センサ21のそれぞれと直列的な配置になる。
【0024】
流量センサ18は、小水量を検出可能に構成される。ここで、小水量とは、例えば、ポンプ装置1の停止流量である。流量センサ18は、例えば、パドル式の流量センサである。
【0025】
アキュムレータ19は、合流管15に設けられる。アキュムレータ19は、蓄圧可能に構成される。
【0026】
制御盤20は、複数のモータ12にそれぞれ接続された複数のインバータ31と、記憶部32と、制御部33と、を備える。
【0027】
インバータ31は、信号線を介してモータ12及び制御部33に電気的に接続される。インバータ31は、モータ12と同数の、本実施形態においては2つ設けられる。インバータ31は、出力周波数、即ちモータ12の運転周波数を可変可能に構成される。
【0028】
記憶部32は、例えば、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。記憶部32は、ポンプ装置1を起動する起動圧力、給水時における目標圧力及び定格流量、及び、圧力センサ17の故障を判断する閾値を記憶する。また、記憶部32は、圧力センサ17で出力された電圧、電流またはパルスによる信号と圧力との比例関係を記憶する。換言すると、記憶部32は、圧力センサ17からリニア出力された信号を圧力値に換算するための一次式が記憶されている。
【0029】
また、記憶部32は、複数の圧力センサ17の差圧と実際の流量との関係である流量-配管損失の関係の情報が記憶されている。本実施形態においては、複数の圧力センサ17の差圧とは、第1圧力センサ21と第2圧力センサ22と差圧であり、本実施形態においては二つの第1圧力センサ21を有することから、各第1圧力センサ21と第2圧力センサ22との差圧となる。また、流量-配管損失の関係は、例えば、設計値や、出荷前に予め実測した実測値が記憶部32に記憶される。
【0030】
さらに、記憶部32は、給水運転時に通常運転として制御部33によりインバータ31を制御する制御プログラム、複数の圧力センサ17のいずれかの故障を判断する判断プログラム、及び、圧力センサ17の故障時の給水運転時にバックアップ運転として制御部33によりインバータ31を制御する制御プログラム等の各種プログラムが記憶されている。
【0031】
制御部33は、例えばマイコンである。制御部33は、複数の圧力センサ17、流量センサ18、インバータ31、記憶部32等に電気的に接続される。制御部33は、各センサ17、18で検出された検出値に基づいてインバータ31の出力周波数を制御する。
【0032】
具体例として、制御部33は、以下の(1)乃至(4)の機能を有する。なお、制御部33の各機能は、ポンプ装置1の駆動状況や記憶部32に記憶された各閾値やプログラムに基づいて生じる。
【0033】
(1)直列に配置された圧力センサ17の差圧から、流量を求める機能。
(2)ポンプ11を通常運転する機能。
(3)圧力センサ17の故障を判断する機能。
(4)ポンプ11をバックアップ運転する機能。
次に、制御部33が有する(1)乃至(4)の機能について説明する。
【0034】
(1)の機能は、直列に配置された圧力センサ17でそれぞれ検出された圧力値の差と、記憶部32に記憶された流量-配管損失の関係とから、流量を推定する機能である。具体例として、制御部33は、第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22から送信された信号に基づいてそれぞれの圧力値を検出し、第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22における圧力値から差圧を求める。なお、例えば、制御部33は、圧力センサ17から送信された信号と記憶部32に記憶された一次式とから、圧力値を求める。
そして、制御部33は、記憶部32に記憶された流量-配管損失の関係から、求めた差圧に対応する流量を、ポンプ11の二次側の流量と推定する。このように、(1)の機能は、制御部33が、直列に配置された第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22の検出値から求められた差圧から流量を推定する機能である。
【0035】
(2)の機能は、給水運転において行われる制御の一である通常運転によりポンプ11を制御する機能である。具体例として、制御部33は、第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22の少なくとも一方で検出された圧力が、記憶部32に記憶された起動圧力以下となった場合に、モータ12を制御してポンプ11を起動する。また、ポンプ11の起動後、流量センサ18で所定の流量を検出したときに、モータ12を制御してポンプ11を停止する。
【0036】
また、制御部33は、流量センサ18、第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22で検出された圧力及び流量、並びに、第1圧力センサ21及び第2圧力センサの差圧に基づいて求められた流量に基づいて、各インバータ31を制御し、吐出圧力一定又は推定末端圧力一定となるように、目標圧力一定制御を行い、ポンプ装置1の単独運転、並列運転及び解列運転を行う。
【0037】
このように、(2)の機能は、流量センサ18、第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22で検出された圧力及び流量に基づいて、目標圧力一定制御でポンプ11を制御する機能である。なお、(2)の機能は、(3)の機能により圧力センサ17が故障と判断されるまで行われる。
【0038】
(3)の機能は、圧力センサ17の故障を判断する機能である。具体例として、制御部33は、圧力センサ17で検出された圧力値が記憶部32に記憶された閾値から外れた場合に、当該閾値から圧力値が外れた圧力センサ17を故障と判断する。なお、閾値は、例えば、ポンプ装置1を給水運転するときに圧力センサ17で検出されうる圧力値の範囲が設定されており、制御部33は、この閾値として設定された圧力値の範囲から圧力センサ17で検出された圧力値が外れた場合に、圧力センサ17を故障と判断する。
【0039】
(4)の機能は、給水運転において行われる制御の一であるバックアップ運転によりポンプ11を制御する機能である。ここで、バックアップ運転とは、(3)の機能によりいずれかの圧力センサ17が故障していると判断したとき、又は、モータ12等の故障を検出したときに行われる運転である。換言すると、バックアップ運転とは、いずれかの構成が故障し、複数のポンプ11を用いた通常運転が出来ないと判断したときに、断水を防止すべく、給水を行う運転である。
【0040】
具体例として、制御部33は、(3)の機能で、いずれかの圧力センサ17が故障していると判断すると、故障していない圧力センサ17で検出された圧力に基づいてポンプ11を起動し、予め記憶部32に記憶したモータ12の運転周波数により、ポンプ11を制御する。なお、例えば、複数のモータ12のうち一方が故障したと判断した場合には、故障していないモータ12を駆動し、1台のポンプ11により単独運転を行う制御をする等、故障した構成に応じて、適宜バックアップ運転が行われる。このように、(4)の機能は、故障した構成に基づいてポンプ11を制御するとともに、いずれかの圧力センサ17が故障した場合には、正常な圧力センサ17に基づいてポンプ11を制御する機能である。
【0041】
このように構成されたポンプ装置1によれば、ポンプ11の二次側に直列に少なくとも二つの圧力センサ17を設ける構成とし、この少なくとも二つの圧力センサ17を用いてポンプ11を制御する構成とした。この構成により、ポンプ装置1は、リニア出力が可能な流量センサを設けなくても、直列に少なくとも二つの圧力センサ17を設けることで、リニア出力により流量を検出することができるため、製造コストを低減できるとともに、好適に目標圧力一定制御運転を行うことができる。
【0042】
また、圧力センサ17は、流量を推定するためだけに用いるのではなく、起動圧力等の制御に用いるために必要な圧力を検出することにも用いることから、部品の共用化にもなり、製造コストの低減につながる。
【0043】
より具体的に説明すると、ポンプ装置1は、直列に配置された二つの圧力センサ17の差圧と記憶部32に記憶された流量-配管損失の関係に基づいて制御部33が流量を推定することで、複数の圧力センサ17、記憶部32及び制御部33により、差圧式の流量センサを構成する。このため、高価な差圧式流量センサを設けることなく、差圧によって流量を推定できることから、ポンプ装置1は、安価に好適な制御を行うことができる。また、圧力センサ17は、目標圧力一定制御運転に要する圧力を検出する。さらに、複数の圧力センサ17を用いることで、いずれかの圧力センサ17が故障したとしても、故障していない他の圧力センサ17によって、ポンプ11の起動圧力等を検出することができることから、ポンプ装置1のバックアップ運転が可能となる。このため、ポンプ装置1は、断水を防止することができる。
【0044】
また、ポンプ装置1は、第2圧力センサ22を吐出配管の末端(合流管15の末端)に設けることで、第1圧力センサ21との距離を極力確保できることから、差圧を求めやすくなり、流量を推定する精度を向上することができる。
【0045】
上述したように本発明の一実施形態に係るポンプ装置1によれば、安価にリニア出力で流量を検出できるポンプ装置を提供することができる。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、ポンプ装置1が停止流量を求めるための流量センサ18を備える構成を説明したがこれに限定されない。例えば、
図2に示す他の実施形態のように、ポンプ装置1は、インバータ31を用いた目標圧力一定制御を行う構成において、流量センサ18を設けない構成とし、圧力差が略0であり、そして、運転周波数が設定周波数以下の状態が一定時間経過した場合に、制御部33が停止流量と判断し、ポンプ11を停止する停止動作や、複数のポンプ11を駆動しているときは、1台減台する解列動作を行う構成としてもよい。
【0047】
また、ポンプ装置1は、インバータ31を用いた目標圧力一定制御を行う構成において、流量センサ18を設けない構成とし、運転周波数が設定周波数以下の小水量域であると判断した場合に、所定量目標圧力を上昇させ、一定時間経過後に運転周波数を所定値に低下させたときの圧力が当初の目標圧力以上である場合には、制御部33が停止流量と判断し、ポンプ11を停止する停止動作や、複数のポンプ11を駆動しているときは、1台減台する解列動作を行う構成としてもよい。
【0048】
このような構成とすることで、例えば、自動給水装置の差圧が小さく、チェック弁のバネの影響により差圧の検出が難しい小水量域であっても、制御部が停止流量を判断することが可能となる。
【0049】
また、上述した例では、第1圧力センサ21は、吐出管14であって、且つ、逆止弁16の一次側に設ける構成を説明したがこれに限定されない。例えば、第1圧力センサ21は、吐出管14であって、且つ、逆止弁16の二次側に設ける構成であってもよい。また、
図3に示す他の実施形態のように、第1圧力センサ21は、第2圧力センサ22と直列に配置される構成であれば、合流管15に一つ設ける構成であってもよい。同様に、第2圧力センサ22を吐出管14にそれぞれ設ける構成であってもよい。
【0050】
また、上述した例では、ポンプ装置1は、マンション等の建造物に、各戸の給水先へ給水する自動給水装置である例を説明したがこれに限定されず、例えば、ポンプ装置1は、消火ポンプ装置や空調用ポンプにも適用でき、また、水中ポンプにおいても適用できる。
【0051】
また、上述した例では、ポンプ装置1は、複数の圧力センサ17の差圧を求める構成を説明したが、例えば、ポンプ装置1の出荷時に、圧力センサ17の補正及び0点調整を行い、推定する流量の精度を向上させてもよい。また、例えば、出荷時や定期点検時において、圧力センサ17の補正や0点調整を行い、記憶部32に前記補正及び0点調整の情報が記憶し、そして、制御部33が差圧から流量を推定するときに、記憶部32に記憶された補正及び0点調整の情報から、複数の圧力センサ17の差圧を補正する構成としてもよい。
【0052】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] ポンプと、
前記ポンプに接続されたモータと、
前記ポンプに接続された吐出配管と、
前記吐出配管に少なくとも二つが直列に設けられ、リニア出力で圧力検出が可能な圧力センサと、
前記モータを制御するとともに、前記複数の圧力センサにより圧力を検出する制御部と、
を備えるポンプ装置。
[2] 前記吐出配管に設けられた逆止弁をさらに備え、
前記圧力センサは、前記逆止弁の一次側及び二次側に設けられる、請求項1に記載のポンプ装置。
[3] 前記圧力センサは、前記ポンプの直後、及び、前記吐出配管の末端に設けられる請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
[4] 前記制御部は、前記複数の圧力センサのいずれかが故障したと判断したときに、前記他の圧力センサで検出した圧力に基づいてバックアップ運転を行う、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のポンプ装置。
[5] 前記圧力センサは、補正及び0点調整が行われ、
前記補正及び0点調整の情報が記憶された記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記補正及び0点調整の情報から、前記複数の圧力センサで検出された圧力の差を補正する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【符号の説明】
【0053】
1…ポンプ装置、11…ポンプ、12…モータ、13…吸込管、14…吐出管、15…合流管、16…逆止弁、17…圧力センサ、18…流量センサ、19…アキュムレータ、20…制御盤、21…第1圧力センサ、22…第2圧力センサ、31…インバータ、32…記憶部、33…制御部、100…受水槽。