(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】捕虫器
(51)【国際特許分類】
A01M 1/14 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
A01M1/14 V
(21)【出願番号】P 2018239725
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2018091791
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513244546
【氏名又は名称】株式会社西當照明
(74)【代理人】
【識別番号】100110984
【氏名又は名称】加藤 敬子
(72)【発明者】
【氏名】西當 和久
【審査官】小笠原 かれん
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1543167(JP,S)
【文献】米国特許出願公開第2010/0263260(US,A1)
【文献】特開2009-286403(JP,A)
【文献】特開2002-154566(JP,A)
【文献】実開平02-116972(JP,U)
【文献】特開2006-230258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0167450(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0297662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫を誘引するための誘引光源と、前記誘引光源にて誘引された虫を捕獲する
捕虫シートと、前記誘引光源及び捕虫シートを収納する函体とを具備する縦置き型の捕虫器であって、
前記函体は、誘引光源を固定する基部と、前記基部の長手方向に沿って側面を覆うように配設され、前面に開口部が形成される一対の側部と、前記基部の両端にヒンジ部を介して取り付けられ前記側部の側方を閉止する一対のキャップ部とを備え、
前記一対の側部の上下端
であって、前記一対のキャップ部のヒンジ部近傍に切り欠きが設けられ、
前記一対のキャップ部の下側のキャップ部の内側
に、側部の曲率と同様の曲率を有する突起部を設け、側部と突起部の間に溝部が設けられている、捕虫器。
【請求項2】
前記函体前面の開口部を覆う保護カバーをさらに備え、前記保護カバーは、格子状であり、大型昆虫が通過できる間隔を有する、請求項1記載の捕虫器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫器に関し、特に捕虫効率が向上すると共に、消臭機能を有する、捕虫器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小バエや蛾などの飛翔虫の好む紫外線を発する誘引光源と粘着シートとが函体に設けられ、誘引光源に誘引された飛翔虫を粘着シートで捕獲する捕虫器は広く知られている(例えば特許文献1)。このような捕虫器においては、誘引光源である紫外線が広範囲に照射されるため、多くの飛翔虫を誘引可能である。また、誘引した飛翔虫を感電死させるのではなく、粘着シートに付着させて捕獲するため、電気代が安く、安全性も高いといったメリットもある。
【0003】
このような捕虫器においては、函体内部に係合部を設けて粘着シートを固定する。粘着シートは、一定量の捕虫が行われた場合に取り換える。粘着シートの取り換えは、例えばピンセット等で粘着シートを掴んで引き抜くことにより行う。しかし、通常粘着シートは函体内にしっかりと固定されているので、粘着シートを掴むことが容易ではない。
【0004】
また、捕虫器は、小型の飛翔虫を捕虫することを目的とする。しかし、大型の蛾などが捕虫される場合がある。大型の蛾は、一旦は捕虫シートに捕虫されるが逃げてしまう。
【0005】
一方、ペットなどが誘引光源や粘着シートに触れることを回避する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
捕虫シートを容易に交換することができる捕虫器を提供する必要がある。
また、大型飛翔虫を同時に捕虫することができれば、好ましい。
さらに、大型飛翔虫を捕虫すると同時に、ペットなどが捕虫器内部に触れることを回避できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果以下の発明を見出した。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0009】
本発明の捕虫器は、虫を誘引するための誘引光源と、前記誘引光源にて誘引された虫を捕獲する粘着シートと、前記誘引光源及び捕虫シートを収納する函体とを具備する縦置き型の捕虫器であって、
前記函体は、誘引光源を固定する基部と、前記基部の長手方向に沿って側面を覆うように配設され、前面に開口部が形成される一対の側部と、前記基部の両端にヒンジ部を介して取り付けられ前記側部の側方を閉止する一対のキャップ部とを備え、
前記一対の側部の上下端で、前記一対のキャップ部のヒンジ部近傍に切り欠きが設けられ、
前記一対のキャップ部の下側のキャップ部の内側周縁に溝部が設けられている。
【0010】
本発明においては、函体の一対の側部の上下端で、一対のキャップ部のヒンジ部近傍に切り欠きを設ける。この結果、切り欠きより捕虫シートを掴むことが可能となるので、捕虫シートの取り換えが容易になる。
【0011】
また、切り欠きは、一対のキャップ部のヒンジ部近傍に設ける。このため、キャップ部を閉じた状態では、切り欠きは外部から見えないので、外観に影響を与えないという効果を有する。
【0012】
本発明においては、前記一対のキャップ部の下側のキャップ部の内側周縁に溝部を設ける。大型の飛翔虫は、捕虫シートに捕虫された後に、自重と虫自体が暴れるため、粘着シートに沿って下側に落ちる。この際に、下側のキャップ部の内側に何も設けられていなければ、大型の飛翔虫は捕虫器から出て行く。一方、下側のキャップ部の内側周縁に溝部を設けておけば、大型の飛翔虫はこの溝部にはまり、逃げることができなくなる。この結果、大型の飛翔虫を捕虫することができる。下側のキャップを開くことで、大型の飛翔虫を手に触れずに廃棄することができる。
【0013】
また、本発明の捕虫器は、前記函体前面の開口部を覆う保護カバーをさらに備え、前記保護カバーは、格子状であり、大型昆虫が通過できる間隔を有する構成であってもよい。この構成により、大型飛翔虫を捕虫すると同時に、ペットなどが捕虫器内部に触れることを回避できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の捕虫器は、捕虫シートの取り換えを容易に行うことができる。また、捕虫器に入り、一旦捕虫シートに捕虫された大型の飛翔虫も、逃さずに捕虫することができる。さらに、大型飛翔虫を捕虫すると同時に、ペットなどが捕虫器内部に触れることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3(A)】
図3(A)は、本発明の捕虫器の函体と捕虫シートの概略断面図である。
【
図3(B)】
図3(B)は、本発明の捕虫器の函体に切り欠きを設けた概略背面図である。
【
図5(A)】
図5(A)は、本発明の一対のキャップ部7の下側のキャップ部7の内側を概念的に示す図である。
【
図5(B)】
図5(B)は、本発明の一対のキャップ部7の下側のキャップ部7の概略断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の捕虫器において、保護カバーを設けた構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面により本発明を説明する。
図1は、本発明の捕虫器の正面図である。
図2は、本発明の捕虫器の右側面図である。図、21に示すように、本発明の捕虫器1は、虫を誘引するための誘引光源2と、誘引光源2にて誘引された虫を捕獲する捕虫シート3と、誘引光源2及び捕虫シート3を収納する函体4とで構成される。本発明の捕虫器1は、縦置き型(例えば、意願2017-014703)である。
【0017】
図1、3に示すように、函体4は、前面に前記誘引光源を固定する基部5と、前記基部の長手方向に沿って側面を覆うように配設され、前面に開口部が形成されるとともに、内側面に前記捕虫シートが配設される一対の側部6と、基部5の両端に取り付けられ側部6の側方を閉止する一対のキャップ部7とを、備える。
【0018】
誘引光源2は、
図3Aの基部5中に電源ユニットを介して設置される。誘引光源2は、一般的に多くの飛翔虫が好む300~400nmの紫外線を強く発することにより、飛翔虫を誘引する。誘引光源2は、直管状の蛍光灯として構成されている。誘引光源2の形状は特に制限はないが、直管状の蛍光灯として構成されていれば好ましい。誘引光源2は、基部5上に設けたソケット8に着脱可能に固定される。
【0019】
捕虫シート3は、一面に粘着剤が塗布された帯状シートとして構成されており、側部6の先端の内周面に配接され、内側面の円弧形状に沿って左右方向(長手方向)に取り付けられている。捕虫シート3の固定は、側部41の内周面に固定部と側部の縁の間に挿入してもよい。捕虫シート3の取替は、キャップ部7を開いて、側部6の側方から行う。
【0020】
図1に示すように、キャップ部7は上面が平板であり、キャップ部7の一端に設けたヒンジ部を介して、基部5に固定されている。
図5(B)に示すように、キャップ部7はヒンジ部を基部5に固定するための固定機構を用いるため、キャップ部7のヒンジ部近傍は、一定の厚みと、内部に空間を有する構造となっている。
図5(B)の例では、下側のキャップ部7を示したが、上側の例においても、同様である。
【0021】
例えば、切り欠き8は、
図3AのA面に設ける。切り欠き8は、
図3Bに示すように、A面の外側に配置する。これにより、親指と人差し指で、捕虫シート3を直接掴む、またピンセットなどで、捕虫シート3を掴むことができる。A面に切り欠き8を設けると、上記したように、キャップ部7のヒンジ部近傍は、一定の厚みと、内部に空間を有する構造(「キャップ部7の後部」という)である。
図4に示すように、切り欠き8は、一対の側部6の上下端で、一対のキャップ部7のヒンジ部近傍に設けられている。キャップ部7を閉じた状態では、切り欠き8は、キャップ部7の後部の中に収納されるので、外からは見えない。このため、美観を害さない。一方、キャップ部7を開くと、切り欠き8が見えるので、切り欠き8を介して、捕虫シート3の取り換えができる。
【0022】
図5(A)は、本発明の一対のキャップ部7の下側のキャップ部7の内側を概念的に示す図である。
図5(A)に示すように、一対のキャップ部7の下側のキャップ部7の内側周縁に溝部9が設けられている。例えば、下側のキャップ部の内側に側部6の曲率と同様の曲率を有する突起部10を設けると、函体4の側部6と壁の間に、溝部9が形成される。溝部9の幅および深さは、大型の飛翔虫が溝部に嵌まり込み、容易に逃げ出さない程度であれば、特に制限はない。
【0023】
図6は、本発明の捕虫器において、保護カバーを設けた構成を示す図である。
図6に示すように、保護カバー11は、函体前面の開口部を覆うように設けられている。
図7は、保護カバーの平面図である。
図7に示すように、保護カバー11は、格子状であり、可撓性のある材料で作られている。格子間の間隔は大型昆虫が通過できる間隔を有する。この結果、大型飛翔虫を捕虫すると同時に、ペットなどが捕虫器内部に触れることを回避できる。大型昆虫が通過できる間隔とは、3~7cm程度、例えば、4.7cmである。また、保護カバー11は、可撓性であるので、函体の曲率とほぼ同じ曲率に曲げて使用することができる。
【0024】
函体に対する保護カバー11の取付は、例えば以下のように行う。
図7に示すように、保護カバーの4隅には上下端は格子を形成する部材が突出している。本発明では、函体4において突出している部分が当接する部分に、これと嵌合する凹部を形成する例えば「ユ」字状の部材を取り付ける。この「ユ」字状の部材内に突出している部分を嵌合させることにより、函体に対して保護カバーを取り付けることができる。函体に対する保護カバーの取付は、特に制限はなく公知の方法で取り付ければよい。
【符号の説明】
【0025】
1 捕虫器
2 誘引光源
3 捕虫シート
4 函体
5 基部
6 側部
7 キャップ部
8 切り欠き
9 溝部
10 突出部
11 保護カバー