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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】矯正器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20230403BHJP
   A61F 5/10 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61F5/01 N
A61F5/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020193634
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082207
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2020-11-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】509057279
【氏名又は名称】株式会社オンリースタイル
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富澤 慈之
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】大谷 光司
【審判官】出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6458091(US,B1)
【文献】実開昭58-30458(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0222222(US,A1)
【文献】中国実用新案第201350144(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F5/01, 5/10
A63B23/14, 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が略矩形であって、弾性体で形成された板状部材の下辺、右辺、および左辺から所定距離だけ内側に設けられ、当該板状部材の第1の面から手首を挿入するための第1孔と、手を開いた状態における五本の指の位置にそれぞれ設けられ、当該第1の面と反対側の面から、当該五本の指をそれぞれ挿入するための複数の第2孔とが設けられ、装着されると掌が反った状態を維持する
矯正器具。
【請求項2】
前記板状部材に補強部材を固定するための固定手段を更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の矯正器具。
【請求項3】
前記第1孔および前記複数の第2孔のうち少なくともいずれか一つは、挿入方向に平行な2つの直線の辺と外側に凸な2つの曲線の辺とで構成される形状である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の矯正器具。
【請求項4】
前記第1孔および各第2孔において、挿入方向の孔の長さと前記平行な2つの直線の長さとの比は、3:2~4:3である
ことを特徴とする請求項3に記載の矯正器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の姿勢を矯正する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
拘縮とよばれる症状を改善するために、手首の姿勢を矯正するための器具がある。例えば、特許文献1には、板状の部材にバンドを設け、手首から先をこの部材に固定し、窄めた状態の手指を伸長させるための手指矯正器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3076021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では装着に手間がかかる。加えて、特許文献1の発明においては、指はストレッチできたとしても、掌を含む手の全体ないしは手首まで含めた部分まで伸ばすことができない。ここで、例えば日曜大工や家庭菜園、コンピュータ操作など、特に手指または手首(あるいはその両方;換言すると手首から先の部分の全体)に負担をかける類の作業が種々存在するが、このような手の疲労軽減に効果的な器具はなかった。
本発明は、手首から先の部分を簡単かつ効果的にストレッチできる器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一の態様において、弾性体で形成された板状部材に、第1の面から手首を挿入するための第1孔と、第1の面と反対側の面から各指を挿入するための複数の第2孔とが設けられた矯正器具を提供する。
好ましい態様において、前記板状部材に補強部材を固定するための固定手段を更に有する。
好ましい態様において、前記第1孔および前記複数の孔のうち少なくともいずれか一つは、挿入方向に平行な2つの直線の辺と外側に凸な2つの曲線の辺とで構成される形状である。
好ましい態様において、前記第1孔および各第2孔において、挿入方向の孔の長さと前記平行な2つの直線の長さとの比は、3:2~4:3である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、手首から先の部分を簡単かつ効果的にストレッチすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】矯正器具10の全体図。
図2】矯正器具10を反対側からみた図。
図3】矯正器具10の使用状態を示す図(その1)。
図4】矯正器具10の使用状態を示す図(その2)。
図5】矯正器具10Aの構造を示す図。
図6】矯正器具10Bの構造を示す図。
図7】矯正器具10の外形の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施例>
図1および図2を参照して矯正器具10の構造を説明する。図1は矯正器具10を正面から見た図、図2は矯正器具10を背面から見た図である。
矯正器具10は、第1面11と反対側の第2面12を有し、例えば厚みが矯正器具10mmの板状の部材である。矯正器具10は、例えば標準的な大人の手の大きさに対応しており、例えば縦300mm*横200mmである。矯正器具10の素材は、繊維、樹脂、ゴム、その他弾性体であって、好ましくは装着時に手が痛くなりにくい素材(ポリエチレンである。要するに、矯正器具10は力を作用させると変形し反発力を発揮する素材で形成されていればよい。
【0009】
矯正器具10には、第2孔21~25と第1孔29とが形成される。第2孔21~25は、各指を挿入するためのものであり、第1孔29は手首を挿入するためのものである。第2孔21~25と第1孔29は、挿入方向に平行な直線と曲線とで構成された樽型(指や手首を挿入する方向に平行な2つの直線の辺と外側に凸な2つの曲線の辺とで構成される形状)である。手首の挿入方向に対して孔の方向(すなわち指の挿入方向)は、標準的な手の骨格に応じて角度がつけられている。
なお、第2孔21~25および第1孔29の形状およびサイズは一例である。樽型の長さ、幅、曲線の部分の曲率は、ユーザの年齢、性別、手や指の大きさ、形状や引っ掛かり具合の好みなどに応じて設計できる。ただし、ユーザの各指の第1関節から上部分が載るような位置に各第2孔21~25を配置することが好ましい。こうすることで、適度な力を掌全体に作用しつつも指が抜けてしまう虞が小さくなる。また、各孔の形状に関し、好ましくは、図2に示すように、第2孔21~25および第1孔29において、挿入方向の孔の長さ(縦方向の長さの最大値)と前記平行な2つの直線の長さとの比は(同図のL1:L2ないしM1:M2)、3:2~4:3である。
【0010】
図3および4を参照して、矯正器具10の使用方法を説明する。なお、同図では、左手をストレッチする場合について説明するが、右手をストレッチする場合は、矯正器具10をひっくり返して使用することになる。
同図に示すように、ユーザは、まず第1面11の側から手首Rを差し込み、続いて第2孔21~25にそれぞれ指F1~F5を対応する挿入したのち第2面12の方へ出して第1面11へ載せることで装着する。この状態において、矯正器具10には、手から受けた力から変形し、この変形により生じた反力が手に作用することで、図4に示すように、手首から先の部分全体の筋肉や腱が伸びて、ほどよく反った姿勢が矯正される。これにより、掌および手指を含む手首から先の部分が全体的にストレッチされる。この際、ばね等などの特定の方向にのみ作用する部材を用いていないため、無理な力が手に加わることがなく、関節や筋肉を痛める虞が少ない理想的な力を作用させることができる。また、第1孔の両サイド部分をあえて切り込まずに残すことで、矯正器具10に生じる反発力が向上し、掌の反りの維持に寄与している。
【0011】
また、矯正器具10の製造においては板状の部材に孔を開けるだけでよいので、安価に製造することができる。また、手首を固定するためのバンド等の部材を用いていないので、装着が簡単である。さらに、表裏を使い分けることで、左手と右手の両方を一つの器具でストレッチすることができる。また、各孔の縁が曲線になっていることで、挿入しやすく、孔の縁が指や手首に振れることによる不快感が軽減される。
【0012】
<他の実施例>
装着した際に手に作用する反発力を調整すべく、矯正器具10に補強部材を固定するための固定手段を更に有してもよい。例えば、図5に示すように、矯正器具10Aの側面(紙面下側)からを計2つの穴13、14を挿入方向と平行に開け、この穴13、14の中に補強部材31、32を挿入する。挿入した補強部材31、32は、穴13、14の内壁との摩擦力で固定される。補強部材31、32の素材は、例えば金属であって、矯正器具10よりも高い反発力をする素材が好ましい。補強部材31、32の断面形状は、薄板状、丸棒状、角棒状などであって、孔の形状に合わせて任意のものを選択することができる。挿入する補強部材31、32の材質や厚みなどを選択することで、ユーザの好みや疲れの程度等に応じて反発力の強さを調整することができる。また、第11面および/または第2面12は平面である必要がなく、装着時の安定性や装着感がよくなるように、曲面であってもよい。換言すると、矯正器具10の厚みは一様である必要はない。
【0013】
あるいは、図6に示すように、矯正器具10Bの第1面11または第2面12の少なくともいずれか一つの面において、固定部材41~48を第1面11および/または第2面12の側面近傍に設け、補強部材51および補強部材52を側面に平行に挿通して固定してもよい。固定部材41~48は、例えばプラスチック素材であって第1面11または第2面12に接着されてもよいし、矯正器具10に固定部材41~48を取り付けるための貫通孔を形成し、貫通孔に固定部材41~48を挿入して環状に成形することで、矯正器具10に固定部材41~48を取り付けてもよい。
【0014】
矯正器具10の外形は矩形に限られない。例えば、図7に示すように、指および/または手(手首)の形状に沿うような外形であってもよい。こうすることで、図1および2に示した形状に比べて、矯正器具10の製造に用いる材料の量を減らすことができる。
【0015】
本発明に係る矯正器具を使用する目的は問わない。例えば、手作業の疲れの軽減、痙縮や拘縮といった病状の改善、リラックス効果の付与などに適用できる。また、手首や手指のストレッチに替えて、足首のストレッチを行うものであってもよい。この場合、第1孔および第2孔は足の形状(足首から先の部分)に応じた位置およびサイズに形成される。一方の面から足首を挿入して反対側から各足指を出すことで装着する点は、上記実施例と同様である。
要するに、本発明に係る矯正器具は、弾性体で形成された板状の部材に、第1の面から手首または足首を挿入するための第1孔と、第1の面と反対側の面から各手指(または各足指)を挿入するための複数の第2孔とが設けられていればよい。
【符号の説明】
【0016】
10、10A、10B・・・矯正器具、11・・・第1面、12・・・第2面、13、14・・・穴、21~25・・・第2孔、29・・・第1孔、41~48・・・固定部材、31、32、51、52・・・補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7