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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】ロック及びそれを備える装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/125 20190101AFI20230403BHJP
【FI】
G07D11/125
【請求項の数】 41
(21)【出願番号】P 2020529825
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 GB2018052093
(87)【国際公開番号】W WO2019030470
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】1712848.9
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1715246.3
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520047037
【氏名又は名称】アイデアズ フォー ライフ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IDEAS FOR LIFE LIMITED
【住所又は居所原語表記】23 Rutland Park, Sheffield S10 2PB GB
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ リチャード
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-527523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の前記側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は対応して前記キャリア上に成形される第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、
前記雄部材及び前記雌部材は、前記蓋と前記キャリアが係合した際に前記蓋の平面と直交する方向に突出する鋸歯状部をそれぞれ備え、
前記雄部材及び前記雌部材は、連結部をそれぞれさらに備え、
前記雄部材及び前記雌部材の前記鋸歯状部、並びに前記雄部材及び前記雌部材の前記連結部は、互いに係合して前記キャリアから前記蓋が引き抜かれることを防止するようそれぞれ位置付けられ、
前記雌部材の前記鋸歯状部は斜面を備え、前記斜面は、前記雄部材を前記雌部材に挿入する間の前記雄部材の前記鋸歯状部による前記斜面の係合が、前記雌部材の前記鋸歯状部が突出する前記雌部材の表面から前記雄部材を離間させるよう構成され、離間により前記雄部材の一部が前記雌部材の前記連結部を通過することが可能となり、これによって前記連結部が連結係合することが可能となる装置。
【請求項2】
前記雄部材が実質的に平面状である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記雄部材が舌片を備える請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記雌部材の前記連結部を通過する前記雄部材の一部は、実質的に平面状である請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記連結部を通過する前記雄部材の一部は、前記鋸歯状部から離間し/解放される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記鋸歯状部が突出する前記表面は、前記雌部材のベースを形成し、前記蓋と前記キャリアが係合した際に前記蓋の前記平面と直交する方向に前記ベースから離間する頂部が設けられる請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記頂部と前記雌部材上の前記連結部との間の隙間は、前記蓋と前記雌部材の前記鋸歯状部との隙間よりも小さい請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記頂部は、実質的に閉鎖されている請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記頂部及び前記ベースは、前記蓋及び前記ベースと実質的に直交して前記ベースと前記頂部の間に延びる1つ又は複数の側壁によって接合され、前記雌部材の前記連結部は、前記側壁から、前記蓋と前記キャリアが係合した際の前記蓋の前記平面に突出する請求項6から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記雄部材の前記連結部は、切り欠きを備え、及び前記雌部材の前記連結部は突起を備え、前記突起は前記切り欠きに少なくとも部分的に受けられるよう構成された請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記雌部材は、開いている口以外は実質的に閉じられている有孔構造を備えた請求項6から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記雄部材は、前記雄部材と前記雌部材が不可逆式のロックを形成した際に、前記雌部材の前記口を前記雄部材が実質的に閉じるよう形成された請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記雄部材は、前縁を備え、前記前縁は、前記雄部材及び前記雌部材の挿入軸に沿って延びる挿入方向における前記雄部材の前方最先端であり、前記鋸歯状部は、前記前縁に隣接する請求項6から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記雄部材の前記鋸歯状部の前記斜面は、前記雄部材の前記連結部の前記挿入方向の前方に位置する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
複数の鋸歯状部及び/又は複数の連結部が、前記雄部材及び前記雌部材それぞれの上に存在する請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記雌部材は、一対の前記連結部であって、対向する側壁上に設けられかつ互いに向かって突出する一対の前記連結部を備える請求項9に従属する請求項14に記載の装置。
【請求項17】
第一の部材を備えたロックであって、前記第一の部材は、対応して成形される第二の部材と共に、前記第一の部材と前記第二の部材の相対的な摺動運動によって不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、
前記雄部材及び前記雌部材は鋸歯状部をそれぞれ備え、前記鋸歯状部は前記雌部材の平面と直交する方向に突出しており、
前記雄部材及び前記雌部材は、連結部をそれぞれさらに備え、
前記雄部材及び前記雌部材の前記鋸歯状部並びに前記雄部材及び前記雌部材の前記連結部は、互いに係合して前記雄部材から前記雌部材が引き抜かれることを防止するようそれぞれ位置付けられ、
前記雌部材の前記鋸歯状部は、斜面を備え、前記斜面は、前記雄部材を前記雌部材に挿入する間に前記雄部材の前記鋸歯状部による前記斜面の係合が、前記雌部材の前記鋸歯状部が突出する前記雌部材の表面から前記雄部材を離間させるよう構成され、離間により前記雄部材の一部は、前記雌部材の前記連結部を通過することが可能となり、これによって前記連結部は噛み合わさって係合することが可能となるロック。
【請求項18】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、且つ前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、
前記雌部材は、前記雄部材を受けるための口及び前記口から又は前記口に隣接する場所から突出するシールドを備える装置。
【請求項19】
前記シールドは、前記雄部材の幅と実質的に等しい幅を有する請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記シールドは、前記キャリアのベースに隣接して横たわる前記口の縁の上、及び/又は前記紙幣又は他の物品を受けるために前記キャリアに付属される袋又はポーチに隣接して設けられる請求項18又は19に記載の装置。
【請求項21】
前記シールドは、実質的に平面状である、請求項18から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記シールドは、5mm以下の長さで前記口から突出する請求項18から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、
前記キャリアに対向する前記蓋の表面は、前記第一の部材に直接隣接する凹所を備える装置。
【請求項24】
前記凹所は、リブによって前記第一の部材から分離されている請求項23に記載の装置。
【請求項25】
複数の凹所が前記第一の部材に直接隣接して設けられ、前記複数の凹所は、複数のリブによって互いに分離されている請求項23又は24に記載の装置。
【請求項26】
2つ以上の凹所の列が設けられている請求項25に記載の装置。
【請求項27】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、
前記雌部材は、前記雄部材を受けるための口を備え、バリアが前記口に直接隣接する前記雌部材内部に設けられている装置。
【請求項28】
前記バリアが、実質的に前記口の幅にわたって広がっている請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記バリアが、鋸歯状部が突出する前記雌部材の表面から突出している請求項27又は28に記載の装置。
【請求項30】
前記バリアが、前記雌部材の前記表面から離間してかつ平行に横たわっている平坦な表面を有する請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記バリアが、リブを備えている請求項27から30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、
前記雄部材及び前記雌部材は鋸歯状部をそれぞれ備え、前記鋸歯状部は、前記蓋と前記キャリアが係合した際に前記蓋の平面と直交する方向に突出し、前記雄部材及び前記雌部材の前記鋸歯状部は、互いに係合して前記キャリアから前記蓋が引き抜かれることを防止するよう位置し、
前記雌部材は、前記雄部材を受けるための口を備え、バリアが前記雌部材の内側に備えられ、
前記雌部材の前記鋸歯状部は、前記バリアと同一の面から突出し、かつ前記バリアよりも前記雌部材の内側に配された装置。
【請求項33】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、前縁及び後縁を有し、前記前縁は、第一の部材であって、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形される第一の部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記後縁は、対応して成形される前記キャリア上の第四の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形されている第三の部材を備え、前記第三の部材及び前記第四の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第三の部材及び前記第四の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記第三の部材への接近を防止するよう前記第三の部材を覆うためのカバーが前記蓋に固定された装置。
【請求項34】
前記カバーは、前記蓋と前記キャリアが係合する際に前記キャリアと異なる面を向く前記蓋の面に固定されている請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記カバーは、前記蓋に溶接又は接着されている請求項33又は34に記載の装置。
【請求項36】
前記第三の部材は、前記蓋と単一的に形成されている請求項33から35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記第三の部材及び前記蓋は、一体的に鋳造されている請求項33から36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記第三の部材が、前記キャリア上の対応する機構と一定方向で係合する鋸歯状部を備えた請求項33から37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記係合する手段は、前記蓋の前記平面と直交する「垂直」方向に前記蓋の前記側部を覆って当該方向への前記蓋と前記キャリアの分離をそれらの側縁部で防止する請求項1から16及び請求項18から38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記蓋は複数の孔を備え、前記複数の孔は、不正開封された場合に前記キャリアの内容物の一部又は全部を記録し、及びそこからの前記内容物の引き抜きを防止するよう形成されている請求項1から16及び請求項18から38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記キャリアの前記側部はチャネルを備え、前記第二の部材は、前記チャネルへの開口の一部又は全部を覆うためのカバータブを備えている請求項1から16及び請求項18から38のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック、特に紙幣又は他の物品の保管及び輸送のための不正開封防止付き装置に使用するのに好適なロック及び当該ロックを備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣を中に入れることができるが、その後不正開封があったという証拠を残さずには紙幣を取り出すことができない携帯型紙幣キャリアの提供が知られている。この種のキャリアは、一般にレジで使用され、レジ内の紙幣の束が特定量を超えた際、レジ管理係はキャリアに紙幣を入れることができ、その後キャリアは、定期的に又は一日の終わりに施錠され、レジにおけるキャリアの設置位置から取り外され、レジを識別する標識が記録されて集計及び預金のために引き渡される。
【0003】
そのような方式では、キャリアがレジから離れた後に不正開封があれば明らかであるため、レジ係は、キャリアに入れられた金額を数える必要がない。昨今、レジ係の当初の拠点から離れていている可能性のある「店舗外の(out of house)」中央会計拠点又は銀行で、キャリアの集計が行われることがよく好まれる。キャリアは、警備輸送会社といった異なる組織の人によって扱われることもある。従って、不正開封の防止が求められるだけでなく、キャリア及びその蓋は、キャリアを返却する不便さ及び費用から、軽量であり且つ再生利用可能であることが好ましい。
【0004】
欧州特許出願公開第1314144号明細書は、紙幣を受けるために支持体構造中の所定位置にキャリアが係止され、キャリアの取り外しが必要とされる際は、不正開封防止蓋がキャリア全体にわたって挿入された後にのみキャリアを取り外すことができる方式の一例を記載する。当該機構は、蓋を取り付け、その後支持体構造からキャリアを取り外す手順の間、紙幣を取り出すことができないよう設計されている。蓋は、キャリア上を一定方向のみに摺動し、蓋が完全に係合した際に係止する末端止め具があり、その時点で支持体構造からの解放が可能となる。キャリアに接近するためには、蓋を同一定方向に摺動させて蓋が導入された反対端でキャリアから外すことができるよう末端止め具を破壊する必要がある。
【0005】
しかし、そのような構成における蓋のチャネル及びキャリア上部は、薄くするか、又は一部のプラスチック材料で作製すると、それらが分離されてこじ開けられ、不正開封された証拠を残さずに紙幣が取り出されるのに十分な可撓性を有することが見出された。関連する部材を厚くするか、又は異なる材料で作製する必要なく、このようなことが起こり得ないことを確実にすることが望まれることは明らかである。実際に、場合により部品をより薄くできること、及び部品をより再生利用可能な材料で作製できることは好ましく、改善された構成が開発された。欧州特許第1839281号明細書は、キャリア及び蓋を備える装置であって、キャリアは、紙幣を受けるよう構成され、且つキャリア内の紙幣への接近を防止するよう蓋をその内部に摺動させることができる側部を有し、キャリアの側部は、蓋の側部と係合する手段を有し、係合する手段は、蓋の平面と直交する「垂直」方向に蓋の側部を覆って当該方向における蓋とキャリアの分離をそれらの側縁部で防止する装置を備える、そのような改善された構成の一例を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不正開封防止付きの紙幣の保管及び輸送のためのさらに改善された装置の開発において発明された。なお、本発明の装置は、紙幣の保管及び輸送を念頭に置いて提供されるが、本装置は、例えば他の形態の支払票(郵便為替、小切手、クレジットカード利用控、クーポン、及び/又は前払式証票)が挙げられるがそれらに限定されない他の物品の不正開封が防止された保管及び輸送にも使用(又は特許請求の範囲内で適用)されてもよい。同様に、ロックは、紙幣の保管及び輸送以外の分野で適用されてもよいと理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によると、請求項1に記載のキャリア及び蓋を備える装置が提供される。
【0008】
本発明の更なる態様によると、以下が提供される。
【0009】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記雌部材は、前記雄部材を受けるための口及び前記口から突出するシールドを備える装置。
【0010】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記キャリアに対向する前記蓋の表面は、前記第一の部材に直接隣接する凹所を備えている装置。
【0011】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記雌部材は、前記雄部材を受けるための口を備え、バリアが前記口に直接隣接する前記雌部材内部に設けられている装置。
【0012】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、第一の部材を備える前縁を有し、前記第一の部材は、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形され、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記雄部材及び前記雌部材は鋸歯状部をそれぞれ備え、前記鋸歯状部は、前記蓋と前記キャリアが係合した際に前記蓋の平面と直交する方向に突出し、前記雄部材及び前記雌部材の前記鋸歯状部は、互いに係合して前記キャリアから前記蓋が引き抜かれることを防止するよう位置し、前記雌部材は、前記雄部材を受けるための口を備え、バリアが前記雌部材の内側に備えられ、前記雌部材の前記鋸歯状部は、前記バリアと同一の面から突出し、かつ前記バリアよりも前記雌部材の内側に配された装置。
【0013】
キャリア及び蓋を備える装置であって、前記キャリアは、紙幣又は他の物品を受けるよう適合し、及び前記キャリア内の前記紙幣又は他の物品に近づくことを防止するよう前記蓋を内部に摺動させることができる側部を有し、前記キャリアの前記側部は、前記蓋の側部と係合する手段を有し、前記蓋は、前縁及び後縁を有し、前記前縁は、第一の部材であって、対応して成形される前記キャリア上の第二の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形される第一の部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第一の部材及び前記第二の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記後縁は、対応して成形される前記キャリア上の第四の部材と共に不可逆式のロックを形成するよう成形されている第三の部材を備え、前記第三の部材及び前記第四の部材のうちの一方は雄部材を備え、前記第三の部材及び前記第四の部材のうちの他方は雌部材を備え、前記第三の部材に近づくことを防止するよう前記第三の部材を覆うためのカバーが前記蓋に固定された装置。
【0014】
なお、前述の態様の何れかを単独で採用してもよく、又は前述の態様の何れかを残る態様の何れか1つ、複数、若しくは全てと組み合わせて採用してもよい。
【0015】
好ましい機構は、従属項中にさらに示される。
【0016】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】キャリアの一例の斜視図である。
図2図1に示されるキャリアの一部の斜視図である。
図3図1に示されるキャリアに使用するのに適する蓋の一例の斜視図である。
図4図3に示される蓋の一部の斜視図である。
図5図1及び図3に示されるキャリア及び蓋の断面図を示す図である。
図6】キャリアに取り付けられる紙幣用の袋を有するキャリアを下から見た斜視図である。
図7図6に示されるキャリア及び袋の別の図である。
図8図6に示されるキャリア及び袋のさらに別の図である。
図9】本発明にかかるロックの雄部材の上面斜視図である。
図10図9の雄部材の底面斜視図である。
図11図11a及び図11bは、本発明にかかるロックの他の雌部材の部分上面斜視図である。
図12】取り外された雌部材を規定する挿入部を有するキャリアのフレーム前部の部分斜視図である。
図13】本発明にかかるロックの係合状態における部分上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図8は、欧州特許第1839281号明細書に示される装置に沿う装置の一例に関する。欧州特許第1839281号明細書の全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。なお、本例の装置は、本発明に必要とされるロックの特徴を割愛するが、本発明の実施形態に従い、本例の装置は、図9図12の実施形態を参照して説明されるように、(後述する)挿入部75及び93を適切に修正/置換することによって、必要とされるロックを含むよう修正される。かかる本発明に沿う装置は、ここではされているが英国特許出願公開第245558号明細書で開示され、その内容が参照により本明細書に組み込まれる構成に沿ってさらに修正されてもよい。
【0019】
図1は、本例によるキャリア1の斜視図である。キャリア1は、大きな長手方向中央開口72及び2つのサイドフラップ73を有する平坦なフラットベース71を備え、2つのサイドフラップ73は、材料を減らしかつそれらの可撓性を高めるために開口している。ベースの各側縁部は、それぞれ、図5を参照してさらに説明される2つの箱形断面長手方向チャネル74のうちの1つである。そのチャネルは、蓋の対応する側部を完全に取り囲む(図3参照)。キャリアの前端には、両チャネル74の前端の間のキャリアにわたって架かる挿入部75が配置される。
【0020】
図2は、延伸プレート76を備える(図1の向きから上下を返した)挿入部75を示し、プレート76は、部分的には強化するため、部分的には蓋の前方突起を受けるため、また部分的には各開口78をセントラルオープンボックス部79と共に画定するためにプレート76と一体となったオープンボックス部77を各端に有している。セントラルボックス部79の内には、隆起した鋸歯80がプレート76上に配置され、鋸歯80は、実質的に「垂直」に向いている。セントラルボックス部は、キャリア1のベース71から前方に延び、対応する大きさ及び形状に形成された前側タブ81(図1)に嵌合する。
【0021】
図3は、図1に示されるキャリア1に使用するための蓋5を示す。蓋5は、概して平坦なプレート91及びキャリア1のチャネル74内部に摺動して嵌合する2つの長手方向側部を備えている。蓋は、その前端に挿入部93を備えている。
【0022】
図4に示されるように、挿入部93は、延伸プレート94を備え、プレート94から舌片95を前方に延伸させている。この舌片は、キャリア1のセントラルボックス部79内に嵌合するよう適合している。舌片は、鋸歯状突起96を含み、突起96は、係合が一度成されると蓋とキャリアを分離するには各部を破壊する必要があるように、鋸歯80と一定方向で係合するよう位置し、適合している。鋸歯状突起96の後方に、舌片を横切るように隔壁97が配置され、隔壁97は、蓋が完全にキャリアに挿入される際に、セントラルボックス部79の口を閉鎖する。
【0023】
舌片95の両側には、2つの突出部98のうちの一方がそれぞれ配置され、突出部98は、蓋がキャリアに完全に挿入される際に、キャリアのボックス部79とボックス部77との間の開口78を通って延びる。これにより、これらの突出部98は、前述の構造からキャリアを解放させることができる。挿入部93の各端には、他の2つの突起99のうちの一方がそれぞれあり、各突起99は、蓋1の各側方のボックス部77に受容される。
【0024】
挿入部75及び93は、それぞれ接着又は熱処理によってキャリア及び蓋内にそれぞれ固定されてもよい。別の構成において、挿入部75及び93は、キャリア及び蓋とそれぞれ一体的に形成されることももちろん可能である。
【0025】
図5は、キャリア1及び蓋5の断面を示す。各チャネル74は、(図5では右側のチャネルについてのみ示される)外側壁1101、フラットベース71と平行な頂壁、内側壁1102、及び側方フランジ1104を備え、内側壁の底部からチャネル内に戻る方向へ延び、側方フランジ1104は、側方フランジ1104とフラットベース71との間に空隙を残している。この空隙を除き、チャネル74は閉断面である。蓋5のプレート91は、その側方端に外側壁1105を有する。この側壁は、内側に延びるフランジ1106を有する。壁1105及びフランジ1106は、チャネル74の壁1101~1105及びフランジ1104によって画定される内部空間と一致、連結し、フランジ1106は、フランジ1104と垂直方向で係合し、その側縁部で蓋とキャリアの分離を防止する。ベース91は、上方に延びてチャネル74の内壁1103の内側に係合する内直立壁1106も有する。蓋のベースは、空隙に嵌合してチャネル74を閉鎖することが分かる。
【0026】
図6図8は、キャリア1及び取り付けられる袋120を示し、取り付けられる袋120は、袋の下の、バネを搭載する台座を含む機構と共に使用するよう意図されている。袋120は、キャリア1の下方でキャリア1の縁部に固定される長方形の口、及び4つのコーナープリーツ121を有し、図6に示されるように袋を折り畳み可能にしている。図7は、部分的に展開された袋を示し、図8は、完全に展開された袋を示し、この際、袋は収納される紙幣で満たされ、キャリア1内のフラップの下に保持される。このような袋をバネ付きの支持台座と併せて使用することで、伸縮性を有する袋の使用を不要にする。
【0027】
袋が、折り畳まれた平坦な形態からキャリアの下方で最大の状態となるまで展開できるよう、他の形態の袋120が採用されてもよい。
【0028】
図9図13は、本発明の第一の実施形態にかかるロック100を示す。ロック100は、対応して成形される第二の部材102と不可逆式のロックを形成するよう成形される第一の部材101を備えている。第一の部材101は雄部材を備え、第二の部材102は雌部材を備えている。別の構成において、これらは入れ替えられてもよい。図1図8を参照した記載によるキャリア及び蓋を備えた装置は、挿入部93が第一の部材101によって変更/置換されまた挿入部75が第二の部材102によって変更/置換されるか、又はその逆とされた装置とすることができ、本発明によるキャリア及び蓋を備える装置を提供する。そのような装置はキャリア1を備え、紙幣を受けるよう適合されるとともに、蓋5を内部に摺動させてキャリア内の紙幣への進入を防止することができる側部74を有し、キャリアの側部は、(図5に示すように)蓋の側部と係合する手段を有し、蓋は、キャリア上に対応して形成された第二の部材102と共に不可逆式なロックを形成された第一の部材101を備えた前縁を有している。
【0029】
以下、装置を参照してロックをより詳細に説明する。しかし、ロックは、様々な別の分野での適用のために、当該装置から独立して利用され得ることが留意される。本明細書に記載される全ての特徴が、そのような他の分野における当該ロックに適用され得る。本発明の目的である不正開封が防止されたロック/装置の提供には、開封された証拠を残さずにロックが開封されなければ十分であることがさらに留意される。
【0030】
さらに、先の本明細書の導入部において説明された態様に従い、様々な要素が単独で、又は相互に組み合わされて採用されてもよい。
【0031】
図9及び図10は、図1に示されるキャリア1と共に使用される蓋を示す。それは、概して平坦なプレート91及び2つの長手方向側部を備え、長手方向側部は、キャリア1のチャネル74内に摺動して嵌合する。蓋は、その前端に挿入部93を備えている。挿入部93は、蓋と独立して形成されてもよく、又は蓋と一体的に形成されてもよい。蓋は、示されているように一片の鋳造物で構成されていてもよく、この構成が好ましい。
【0032】
雄部材101は、蓋の平面と直交する方向に突出する鋸歯状部102を備える。雌部材102は、雌部材の平面と直交する(かつ蓋とキャリアとが係合した際に蓋の平面と直交する)方向に突出する鋸歯状部108を備え、他の構成が図11a及び図11bに示されている。雄部材は、蓋の平面に延びる連結部105を更に備えている。雌部材102は、雌部材の平面(及び蓋とキャリアが係合した際の蓋の平面)に突出する連結部110を更に備える。雄部材及び雌部材の鋸歯状部102,108並びに雄部材及び雌部材の連結部105,110は、キャリアからの蓋の引き抜きを防止するように、互いに係合するようそれぞれ配されている。
【0033】
雌部材の鋸歯状部108は、斜面109を備え、斜面109は、雄部材101を雌部材102に挿入する際の雄部材の鋸歯状部103による(特に、雄部材の鋸歯状部102の斜面103による)斜面109の係合が、雌部材102の鋸歯状部108が突出する雌部材の表面112から雄部材を離間させるようになっており、離間により雄部材の101の一部が雌部材の連結部110を横切ることを可能とし、これによって連結部105,110が、図12に示されるように、連結係合することが可能となっている。
【0034】
本構成に明らかに示されるように、雄部材及び雌部材上には、複数の鋸歯状部、及び複数の連結部がそれぞれ存在する。雄部材101は、摺動方向に互いに整列する一対の離間した鋸歯状部1021を備える。雌部材102は、対応する一対の鋸歯状部108を備える。雌部材は、突起形状の一対の連結部110であって、対向する側壁113上に設けられ、かつ互いに向かうように突出する一対の連結部110を備えている。雄部材は、雄部材の側縁に形成された、対応する一対の切り欠き105を備える。切り欠きは、雌部材の連結部を少なくとも部分的に受けるよう構成される。
【0035】
雄部材は、雄部材及び雌部材の挿入/摺動方向に雄部材の前方最先端である前縁104を備える。前縁は、雌部材と雄部材が係合する際、最初に雌部材に進入する。鋸歯状部1021は、前縁に隣接して設けられている。鋸歯状部1021は、何れも同じ距離だけ前縁から離間している。雄部材の鋸歯状部の斜面103は、雄部材101の連結部105の摺動方向前方にあり、すなわち、連結部105は斜面よりも更に前縁から離間している。
【0036】
鋸歯状部及び連結部の何れか又は両方は、多かれ少なかれ存在し得ると理解される。鋸歯状部及び連結部の何れか又は両方は、さらに異なる形状、すなわちより大きいか、若しくはより小さくてもよく、又は別の構成でもよい。本発明はこれに限定されない。
【0037】
図から明らかであるように、雄部材101は、実質的に平面状であることが好ましい。図1図8の構成に関して先に説明されたように、雄部材は、舌片を備えることが好ましい。
【0038】
雌部材の連結部を横切る雄部材の部分は、鋸歯状部1021から離間するか又は解放されている。当該部分は、実質的に平面状である。当該部分は、雄部材において最も薄い部分であることが好ましい。本構成において、当該部分は、雄部材の側縁部を備え、鋸歯状部を備える雄部材の部分から横方向外側に離間している。
【0039】
鋸歯状部108が突出する表面112は、雌部材102のベースを形成している。頂部(明瞭性のために図11a、図11b、及び図13では省略されている)は、ベースから離間して蓋の平面と直交する方向に設けられている。頂部は、実質的に平面である。頂部は、鋸歯状部/連結部への接近が防止されるよう、実質的に閉じられている。この目的で、頂部は、完全に閉じられていてもよく、又は1つ又は複数の小さな開口を有していてもよい。頂部及びベースは、蓋及びベースと実質的に直交し、ベースと頂部の間に延びる側壁113によって接合されている。
【0040】
雌部材の頂部は、図9に見られるように、対応して成形された雄部材101の上面107の傾斜前部を受ける傾斜前部を有していてもよい。
【0041】
頂部と雌部材上の連結部との間の離間寸法は、蓋と雌部材の鋸歯状部との間の離間寸法よりも小さいことが好ましい。
【0042】
図面及び記載から明らかなように、明瞭性のため雌部材の頂部は省略されるが、雌部材は、開いた口以外は実質的に閉じた中空構造を備える。本構成では、雄部材と雌部材が不可逆式のロックを形成した際に、雌部材の口を雄部材が実質的に閉じる構成であることが好ましい。
【0043】
本明細書で説明されるように、本構成では、雄部材が雌部材に挿入された際に、鋸歯状部の斜面103,109が互いに係合し、雄部材の鋸歯状部の斜面が、雌部材の鋸歯状部の斜面を上がるようになっている。これにより、(鋸歯状部102が突出する)雄部材の平面部は、雌部材のベース112から徐々に離間する。平面で、鋸歯状部から離間し/解放され、かつ連結部/切り欠き105の前方に配された雄部材の部分は、雌部材の連結部材110と雌部材の頂部との間の空間を通過する。鋸歯状部102,108が互いに乗り越え、連結部110が連結部105を形成する切り欠きと並ぶと、雄部材は(もはや強制的にベース112から離間させられていないため)跳ね返り、連結部が係合する。2つの平面における不可逆式なロックが形成される。
【0044】
前述されたように(蓋の平面と直交する方向に突出する鋸歯状部、及び連結部を備える)雄部材101及び雌部材102を使用することが好ましいが、雄部材及び雌部材が別の構成で形成されていてもよい。
【0045】
更なる態様で、互いに単独で又は相互を任意に組み合わされて、及び前述の雄部材101及び雌部材102と組み合されて、又はそれとは独立して取られ得る態様を、以下に説明する。これらの追加の態様は、前述の雄部材101及び雌部材102を備える実施形態の中で説明されるが、これに限定されない。例えば、図1図8の構成は、(前述の雄部材101及び雌部材102の使用は省略するが)以下の態様の1つ若しくは複数、又は全てを導入することによって変更され、本発明の実施形態を形成し得る。
【0046】
一態様において、シールド114は、雌部材の口から又は雌部材の口に隣接する場所から突出するよう設けられている。シールド114は、図12に示され、図12は取り外された雌部材102(図11a及び図11b参照)を規定する挿入部を備えたキャリアのベース71の前部を示す部分斜視図である。前述のように、雌部材102は、キャリア1のベース71から前方に延びる前タブ81に嵌合するセントラルボックス部によって画定されることが好ましい。本構成において、シールドは、ベース71と一体的に形成されている。しかし、様々な別の構成が当業者によって容易に想到されるだろう。本構成における雌部材102の口からのその突起は、雌部材102の口がシールド111が突出するベース71の縁112と実質的に並んだ結果である。本構成において、雌部材102を規定する挿入部の縁116は、雌部材102の口を規定する縁116であり、キャリアのベースの縁115と直線状に並ぶことが好ましい。
【0047】
シールド114は、袋120に隣接して/雌部材102の鋸歯状部108が突出する雌部材の表面112に隣接して延びる雌部材102の口の縁の上に(又は少なくとも雌部材102の口の縁に隣接して)設けられることが好ましい。
【0048】
シールドを設けることにより、雌部材102の口への接近、及び/又は鋸歯状部1021,108への接近が著しく妨げられ、装置の安全性がより強化される。これに関連し、シールドの具体的形態及びその形成/取付手段は、口から/口に隣接する場所からシールドが突出して口への接近を防御する限り決定的な要素でないことに留意することが重要である。
【0049】
シールド114は、雄部材101の幅と実質的に等しい幅を有することが好ましいが、特にこれに限定されない。シールド114は、雄部材101よりも狭い又は広い幅を有し得る。シールド114は、雌部材102の口よりも狭い、広い、又は雌部材102の口と実質的に等しい幅を有し得る。
【0050】
シールドは、図12に示されるように実質的に平面状であってもよく、又は代替的に幾つかの三次元形態を有し得る。口からの突起は、シールドが効果を発揮するのに著しく大きい必要はない。本実施形態において、突起は、5mm以下の長さで口から突出するが、この限りではない。
【0051】
別の態様において、キャリアと対向する蓋の表面は、図10に示されるように、第一の部材(本実施形態における雄部材101)に直接隣接する凹所117を備える。凹所は、リブ118によって第一の部材101から分離されることが好ましいが、この限りではない。本実施形態において、3つの凹所が第一の部材101に直接隣接して設けられており、それらは一列に配置されている。第一の部材は、示されるように、少なくとも部分的に3つ全ての凹所にわたって幅方向に広がっている。凹所は、リブ119によって互いに分離されている。より多いか又は少ない数の凹所が設けられ得ることが理解されるべきである。単独の凹所は設けられ得る。さらに、示されるように、凹所の列が複数存在し、区分するリブの格子のようなパターンを形成してもよい。本実施形態における凹所は長方形の形態であり、且つ列に配置されるが、この限りではない。
【0052】
凹所を設けることにより、雌部材102の口への接近及び/又は鋸歯状部1021及び108への接近はより一層妨げられ、装置の安全性がより強化される。道具は、口よりもむしろ凹所(又は複数の凹所が設けられた凹所の1つ)におそらく進入する。これに関連し、凹所(又は複数の凹所)の具体的形態/配置は、凹所が口への接近を妨げる限り決定的な要素でないことに留意することが重要である。
【0053】
さらに別の態様において、バリア122は、図11bに示されるように、口に直接隣接する雌部材102内部に設けられ及び/又は図11bに示されるように、雌部材102の口と鋸歯状部108との間に配置されるよう雌部材102内部に設けられる。
【0054】
図11aは、バリア122が省略された代替的な雌部材102を示す。
【0055】
バリアは、実質的に口の幅にわたって架かっていてもよい。バリアは、雄部材101の幅にわたって架かっていてもよい。バリアは、鋸歯状部1021,108が設けられた雄部材又は雌部材の部分の幅にわたって広がっていてもよい。
【0056】
バリアは、雌部材102の鋸歯状部108が突出する雌部材の表面112から突出することが最も好ましい。示されるように、バリアは、平坦な表面を有し、雌部材の表面112から離間して平行に横たわっていてもよい。バリアは、リブを備えていてもよい。
【0057】
しかし、バリアの形状は特に限定されないことが留意される。バリアの目的は、窃盗をしようとする人がロックの係合を解くために雌部材102の口への挿入を試み得るあらゆる道具に対し、さらなる障害となる物を提供することにある。バリアは、雄部材101を雌部材101から解放するあらゆる試みの間、雄部材101の鋸歯状部1021の移動を遮るというさらなる利点を有する。これに関連し、バリアは、さらなる鋸歯状部として形成され得る。
【0058】
最後の態様において、キャリアの後縁(不図示)は、対応して成形されるキャリア上の第四の部材(不図示)と共に不可逆式のロックを形成するよう成形された第三の部材(不図示)を備え、第三及び第四の部材のいずれかは雄部材を備え、及び第三及び第四の部材の他方は雌部材を備え、かつ第三の部材への接近を防止するために第三の部材をカバーするための蓋に固定されるカバーを備えている。
【0059】
カバーは、蓋とキャリアが係合する際にキャリアと異なる方を向く蓋の面に固定されることが好ましい。カバーは、カバーが取り除かれた証拠を残すように固定される。カバーは、蓋に溶接又は接着されていてもよい。
【0060】
第三の部材は、蓋と一元的に形成されることが好ましい。第三の部材は、蓋と一体的に鋳造されてもよい。
【0061】
第三の部材は、キャリア上の対応する機構と一定方向で係合する鋸歯状部を備えることが好ましい。
【0062】
カバーの形態は、第三の部材への接近を妨げられる限り特に限定されない。カバーは、第三の部材を完全に覆う。
【0063】
なお、第一の部材及び第二の部材と同様、第三の部材及び第四の部材は、複数設けられてもよく、又は1つの第三の部材及び1つの第四の部材のみが設けられてもよい。
【0064】
装置の追加の好ましい機構は、前述の実施形態の何れかに組み込まれてもよい/前述の態様の何れかと組み合わされてもよく、以下を含む。すなわち、
不正開封された場合に、キャリアの袋120の内容物の一部又は全部に記録することを可能にし、且つそこから及び/又はそのような袋120内の孔自体からの内容物の引き抜きを防止するよう形成される複数の孔の蓋への形成。
キャリアの側部のチャネル74への開口の一部又は全部を覆うためのカバータブの設置。そのようなカバータブは、第二の部材によって形成されてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13