(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】溶接電流源の操作デバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0484 20220101AFI20230403BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20230403BHJP
B23K 9/10 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G06F3/0484
G06F3/0488
B23K9/10 A
B23K9/10 Z
(21)【出願番号】P 2020537844
(86)(22)【出願日】2018-09-23
(86)【国際出願番号】 EP2018000446
(87)【国際公開番号】W WO2019057334
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】102017009140.4
(32)【優先日】2017-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520098109
【氏名又は名称】エスケーエス ウエルディング システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クライン,トーマス
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0129581(US,A1)
【文献】特表2015-512336(JP,A)
【文献】特開2015-114057(JP,A)
【文献】特開2013-159273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0024458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
B23K 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接システムの設定パラメータ値の視覚的な表現のための表示手段を有するとともに、溶接システムのパラメータを変更し得る入力手段を有した、溶接システムの操作デバイスであって、
前記操作デバイスは、前記表示手段の外側に配置された複数の入力手段であるとともに、ソフトキーとして設計された複数の入力手段を含み、前記操作デバイスの割り当てモードにおいては、タッチ感知式タッチスクリーンとして設計された前記表示手段が駆動され得るものであることに基づいて、及び、前記表示手段上に表示された複数のパラメータ又は複数の機能に関する所定の選択肢からの選択によって前記各ソフトキーに対して特定のパラメータ又は特定の機能を割り当て得ることに基づいて、前記ソフトキーの各々に対して、前記操作デバイスの操作を介して、前記溶接システムの異なるパラメータを又は機能を順次的に割り当てることができ、前記選択後には、前記操作デバイスの動作モードにおいて、前記各ソフトキーを駆動することにより、それぞれのソフトキーに対応するパラメータを変更することができる、あるいは、それぞれのソフトキーに対応する機能を適用することができる、ことを特徴とする、操作デバイス。
【請求項2】
前記タッチスクリーンの駆動により、前記割り当てモードへと、操作モードを切り替えことができることを特徴とする、請求項1に記載の操作デバイス。
【請求項3】
前記タッチスクリーンの領域を特徴とし、この領域は、駆動された時には、特定のハードウェアボタンに関して前記割り当てモードを活性化させる、請求項2に記載の操作デバイス。
【請求項4】
前記タッチスクリーンの複数の領域を特徴とし、これら領域のうちの1つが駆動された時には、特定のハードウェアボタンに関して、特に前記複数のハードウェアボタンのただ1つのハードウェアボタンに関して、あるいは、前記複数のハードウェアボタンのただ1つのロッカーボタンに関して、あるいは、前記複数のハードウェアボタンのただ1つのダブルボタンに関して、前記割り当てモードを活性化させることを特徴とする、請求項2又は3に記載の操作デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つのダブルボタン又はロッカーボタンを特徴とし、この少なくとも1つのダブルボタン又はロッカーボタンの2つのボタンに対して、例えばプラス/マイナス機能などの、同類ではあるものの異なる2つの機能が割り当てられた時に、前記タッチスクリーンの、それらに対して割り当てられた領域が活性化された際には、前記ダブルボタン又は前記ロッカーボタンの前記2つのボタンの各々に関して、個別の割り当てモードへと入る、請求項1~4のいずれか一項に記載の操作デバイス。
【請求項6】
ダブルボタン又はロッカーボタンの場合に、前記ダブルボタン又は前記ロッカーボタンの前記2つのボタンの各々に関して、個別の割り当てモードが活性化され、この割り当てモードによって、前記ダブルボタン又は前記ロッカーボタンの前記2つのボタンの1つに対して、機能が割り当てられた時には、前記ダブルボタン又は前記ロッカーボタンの双方のボタンは、実行モードへと切り替えられることを特徴とする、請求項5に記載の操作デバイス。
【請求項7】
前記タッチスクリーンの構成設定を特徴とし、この構成設定においては、前記ハードウェアボタンの1つに対してパラメータ又は機能が割り当てられた時には、前記割り当てモードから前記動作モードへの自動的な変化が起こる、請求項
3又は4に記載の操作デバイス。
【請求項8】
構成設定を特徴とし、この構成設定により、前記割り当てモードを活性化することができ、好ましくは、少なくともいくつかの前記ハードウェアボタンに関しては、他のハードウェアボタンとは個別的に、活性化を解除することができる、請求項
3又は4に記載の操作デバイス。
【請求項9】
少なくとも1つのハードウェアボタンペアを特徴とし、前記ハードウェアボタンペアの一方のハードウェアボタンが活性化された時には、パラメータ値が一方の向きに変化し、前記ハードウェアボタンペアの他方のハードウェアボタンが活性化された時には、同じパラメータ値が他方の向きに変化し、同じハードウェアボタンペアに対して、異なるパラメータを順次的に割り当てることができる、請求項1~8のいずれか一項に記載の操作デバイス。
【請求項10】
制御信号を供給するために溶接システムに対して接続された又は溶接システムに対して接続され得る操作デバイスによって前記溶接システムを制御するための方法であって、
前記操作デバイスには、その目的のために、溶接システムの設定パラメータ値の視覚的な表現のための表示手段と、溶接システムのパラメータを変更するために駆動される入力手段と、が設けられ、
前記操作デバイスの、ソフトキーとして設計された複数の入力手段は、前記表示手段の外側に配置され、前記操作デバイスの割り当てモードにおいては、タッチ感知式タッチスクリーンとして設計された前記表示手段を駆動することによって、及び、前記表示手段上に表示された複数のパラメータに関する所定の選択肢からの選択により前記各ソフトキーに対して特定のパラメータを割り当てることによって、前記溶接システムの異なるパラメータを、前記ソフトキーの各々に対して順次的に割り当て、前記選択後には又は前記選択と同時的に、前記操作デバイスの動作モードにおいて
、前記各ソフトキーを駆動することにより、それぞれのソフトキーに対応するパラメータを変更することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接方法の設定パラメータ値の視覚的な表現のための表示手段を有するとともに、アーク溶接システムのパラメータを変更し得る入力手段を有した、溶接電流源の操作デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接システムは、アーク溶接方法を実行するために必要な電流をアーク溶接トーチに対して提供し得る溶接電流源を含む。電流及び電圧に加えて、例えば、ワイヤ送給速度、ガス供給、プログラムシーケンスパラメータ、及び/又は、特性曲線パラメータ、を含めた、この方法に関する他のパラメータ及び仕様も、また、溶接方法のために設定することができる。特に自動溶接方法の場合には、特にパラメータ値と材料値とに関する事前設定が、その後のプロセスシーケンスのために、手動入力によってコントローラに対して供給されなければならない。その後、最適化は、通常、オペレータによるティーチインプロセスにおいて手動で実行され、設定されたパラメータは、その後の自動処理方法のために、アーク溶接システムのコントローラ内に保存される。操作デバイスを使用することにより、オペレータが、ティーチインプロセスとは独立的に、手動で溶接方法を制御することも、また、可能である。
【0003】
これらのプロセスに適した操作デバイスは、通常、ディスプレイデバイスを有し、このディスプレイデバイス上において、オペレータは、様々なパラメータに関する設定値又は指定値を読み取り得るとともに、入力手段を使用してそれらを変更することができる。例えば、回転ボタン、押しボタン、又は、ハードウェアボタン、などの様々な入力デバイスが既に知られている。同様に、操作デバイスに関連して、タッチ感知式ディスプレイデバイスも、また、知られており、このようなタッチ感知式ディスプレイデバイスは、表示と入力との双方のために提供されて設計されている。
【0004】
操作デバイス上におけるこれらの設定は、多くの場合、工業生産の過酷な環境下において行われなければならない。したがって、オペレータの触覚と、操作デバイスをきめ細かく操作する可能性とが、少なくとも厳しく制限されるけれども、オペレータは、また、作業用手袋を着用して操作デバイスを操作し得る必要がある。操作デバイスに課せられる他の要求は、操作デバイスが、オペレータ自身に関連したタスクをオペレータができる限り容易に操作することを可能とする必要があることである。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、冒頭において言及したタイプの操作デバイスであって、多数の異なるパラメータが考慮されるべきであったとしても、本発明による操作デバイスを使用することにより、オペレータが信頼性高くかつ迅速な操作を実行し得るものとされる操作デバイスを提供するという目的に基づくものである。
【0006】
この目的は、冒頭において言及したタイプの操作デバイスにおいて、本発明によって達成され、操作デバイスは、表示手段の外側に配置された複数の入力手段であるとともに、ソフトキーとして設計された複数の入力手段を含み、操作デバイスの割り当てモードにおいては、タッチ感知式タッチスクリーンとして設計された表示手段が駆動され得るものであることに基づいて、及び、表示手段上に表示された複数のパラメータ又は複数の機能に関する所定の選択肢からの選択によって各ソフトキーに対して特定のパラメータ又は特定の機能を割り当て得ることに基づいて、ソフトキーの各々に対して、操作デバイスの操作を介して、アーク溶接方法の異なるパラメータを又は機能を順次的に割り当てることができ、選択後には、操作デバイスの動作モードにおいて、各ソフトキーを駆動することにより、それぞれのソフトキーに対応するパラメータを変更することができる、あるいは、それぞれのソフトキーに対応する機能を適用することができる。本発明の好ましい展開においては、ソフトキーの各々に対して、このように連続して異なるパラメータ又は機能をあるいは同じパラメータ又は機能を、割り当て得ることを、提供することができる。この目的は、また、請求項7に記載の方法によっても達成される。
【0007】
したがって、本発明は、操作デバイス上に、入力手段として、複数の物理的に利用可能なボタン(ソフトキー)を設けるという構想に基づくものであり、複数の物理的に利用可能なボタンに対して、アーク溶接方法に対して影響を与え得るよう、それら物理的に利用可能なボタン(ソフトキー)のすぐ近傍に配置されたタッチスクリーンを使用して、異なる機能又は異なるパラメータを割り当てることができる。この場合、操作デバイスは、物理的に存在する入力手段の少なくとも1つに関して、特定の機能を、とりわけ、操作デバイスの後続の動作モードに関して、アーク溶接方法の直前に決定されたパラメータに影響を与える可能性を有した機能を、制御パネルのメニューナビゲーションに影響を与える可能性を有した機能を、あるいは、溶接方法又は溶接システムの他の構成設定に影響を与える可能性を有した機能を、割り当てることができる割り当てモードへと、移行し得るものでなければならない。操作デバイスの動作モードにおいては、ハードウェアボタンとも称され得る物理的に存在するソフトキー(物理的に具現された入力手段)を駆動することにより、パラメータの各設定値を変更することができる。割り当てモードへの移行は、好ましくは、動作モードから直接的に実行される。よって、本発明によるこの解決策により、ハードウェアボタンとして設計された少数のソフトキーを使用することにより、したがって明確な数のいくつかのソフトキーを使用することにより、それらハードウェアボタンによる手動介入によって、実際に設けられたハードウェアボタンと比較してはるかに多くのパラメータと機能と入力とを有していることのために複雑なアーク溶接方法を、制御することができる。また、このようにして、マシン構成を実行することもできる。オペレータは、自身の要求に応じて操作デバイスを設定することができ、好ましくは、必要なパラメータを、自身で決定し得る選択によっていくつかのハードウェアボタンの1つに対して割り当てることができる。よって、複数のハードウェアボタンのうちの少なくとも1つに対して、好ましくは複数のハードウェアボタンのうちのいくつかに対して、特に好ましくはすべてのハードウェアボタンに対して、溶接プロセスを制御するための、及び/又は、溶接システム及び/又は操作デバイスを構成するための、異なる機能を連続して割り当て得るとともに、また、これらの機能を、それぞれのハードウェアボタンから削除することもできる。「機能」が、本発明に関連して言及される限りにおいて、及び、少なくとも1つのハードウェアボタンに対して割り当てられ得るものとしてハードウェアボタンに関連して言及される限りにおいて、「機能」とは、作成され得るすべての設定であって、溶接システムの構成及び操作デバイス自体の構成を含めて、それを使用することによりユーザの介入が溶接方法及び溶接システムに影響を与え得るすべての設定を意味する。よって、「機能」は、非網羅的なリストにおいて、溶接パラメータ、「ガスオン」及び「ガスオフ」などの溶接システムの機能、プラス/マイナス、値の増減、制御デバイスのメニューを通しての入力又はナビゲーション、を含むことができる。
【0008】
本発明によれば、それぞれの機能は、タッチ感知式タッチスクリーンによって割り当てられることとなる。タッチスクリーン及びその上に表示されるGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)は、そのプログラムロジックと共に、タッチスクリーン上において選択可能なパラメータ及び/又は機能を表示するという機能と、選択のためにそれらを提示するという機能と、を有している。タッチスクリーン及びその上に表示されるGUIは、そのプログラムロジックと共に、また、タッチスクリーン上において手動で駆動することにより、操作デバイス上に設けられた複数のハードウェアボタンのうちの特定のハードウェアボタンに対して、選択したパラメータを変更可能に割り当て得るようにして、オペレータがパラメータを選択することを可能とするという機能も、有している。この場合、好ましくは、所与のパラメータを、いくつかのハードウェアボタンのうちの任意のものに対して割り当て得るべきであり、その結果、操作デバイスを、方法固有の態様だけでなく、各アーク溶接プロセスに関してユーザ固有の態様でも、構成することができる。この割り当ては、好ましくは、操作デバイスの割り当てモードにおいて実行される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態においては、割り当てモードは、また、個々のハードウェアボタンに関して個別的に切り替えることもでき、この時、他のハードウェアボタンは、同時的に動作モードとされ、例えば、溶接プロセスは、これらの他のハードウェアボタンによって同時的に影響を受けることができる。タッチスクリーン、及び、各場合に表示されるGUIに対しては、プログラムロジックと共に、割り当てモードと動作モードとの間にわたって交互的に切り替えられ得るという機能も、また、割り当てられていることが好ましい。しかしながら、本発明の他の実施形態においては、このために、別個のハードウェアボタンを設けることもできる。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、特にその値が範囲内で上下に調整可能とされるべきすなわち増減少されるべきパラメータに関して、複数のハードウェアボタンペアを、操作デバイス上に、好ましくは表示デバイスのすぐ近くに、ソフトキーとして配置することができる。よって、ハードウェアボタンペアのそれぞれについて、ハードウェアボタンペアの一方は、割り当てられたパラメータ値を増加させ得るものとして提供され、ハードウェアボタンペアの他方は、割り当てられたパラメータ値を減少させ得るものとして提供される。ハードウェアボタンペアの代替として、ロッカーボタンを設けることもでき、その場合、ロッカーボタンを一方の向きへと駆動すると、パラメータ値が増加し、他方の向きへと駆動すると、パラメータ値が減少する。ハードウェアボタンペアの場合と同様に、ロッカーボタンは、一般に、一方のボタンによって特定のパラメータ値を増加させるとともにロッカーボタンの他方のボタンによって同じパラメータ値を減少させるなどのように、関連した機能の選択を可能とするために使用され得る2つのボタンを有している。非網羅的なリストのさらなる例は、「保護ガスオン」又は「保護ガスオフ」という機能あるいは「ワイヤ送給装置オン」又は「ワイヤ送給装置オフ」という機能に関してのイエス/ノーの決定を含み、これらの各々は、同様に、ロッカーボタン上の2つのボタンの一方を使用した、操作デバイスに対しての入力とすることができ、よって、コントローラへの入力とすることもできる。
【0011】
操作デバイスの特に直感的な操作は、動作モードから割り当てモードへの切り替えを、タッチスクリーンの特定の領域をタッチすることにより行い得るという点において、特にそれぞれのソフトキーの直接的に隣に位置した領域をタッチすることにより行い得るという点において、得ることができる。これに関連して、溶接プロセスのパラメータの選択が、タッチスクリーン上に自動的に表示されることも、また、提供されることが好ましく、そのパラメータは、ソフトキーに関して選択することができ、動作モードへの到達後に厳密にこのソフトキーを使用してこのパラメータの値をその後に変更し得るように、特にタッチスクリーンの隣接領域が直前に駆動されたソフトキーに関して選択することができる。割り当てモードへとさらに切り替えた時には、特に同じソフトキーに関する割り当てモードへとさらに切り替えた時には、パラメータが、特に直前に設定されたパラメータとは異なるパラメータが、パラメータリストの中から、その同じソフトキーに対して割り当てられることができる。
【0012】
また、割り当てモードを個々のソフトキーに関して個別的に設定し得ることを、好ましいものとすることもできる。このための特に単純で直感的に操作し得るオプションは、個々のソフトキーに対して、それぞれのGUIによってタッチスクリーン上の特定の領域又はゾーンを割り当てることとすることができ、ソフトキーの特定のゾーンがタッチスクリーン上においてタッチ又は駆動された時には、割り当てモードが活性化される。この場合、人間工学的な観点から、物理的に存在するソフトキーのいくつかのものがあるいは好ましくはすべてのものが、タッチスクリーンのエッジに沿って外側に配置されているとともに、互いに離間して配置されていることを、特に望ましいものとすることができる。タッチスクリーンの、それぞれのソフトキーに対して隣接したそれぞれの領域は、好ましくはタッチスクリーンのエッジに対して隣接した領域は、タッチ又は駆動された時にこのソフトキーに関してのみ割り当てモードを活性化し得るよう、それぞれのソフトキーに対して割り当てることができる。好ましくは、このただ1つのソフトキーのみに関しての割り当てモードは、存在するソフトキーの各々に関して、あるいは少なくとも複数に関して、個別的に活性化することができる。言い換えれば、本発明のこの好ましい実施形態においては、個々のソフトキーについて、それらのそれぞれの割り当てモードの各々を順次的に活性化することができ、また、それらのそれぞれの割り当てモードの各々を、他のいずれの割り当てモードも活性化されていない時にのみ、活性化することができ、あるいは、新たな割り当てモードが活性化された時には、他のソフトキーに関してなおも活性化されている割り当てモードが中止又は終了される、という構成とすることができる。同様に、好ましくは、新しい割り当てモードを活性化する前には、操作デバイス上において行動を起こすことによって、例えばタッチスクリーンを駆動することによって、活性化されている割り当てモードを、最初に能動的に閉じなければならないという構成を提供することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態においては、少なくとも1つのダブルボタン又はロッカーボタンを提供することができ、その2つのボタンに対して、例えばプラス/マイナス機能などの、関連するものの異なる2つの機能が割り当てられた場合、タッチスクリーンの、それらに対して割り当てられた領域が活性化された時には、所与のダブルボタン又はロッカーボタンの2つのボタンの各々に関して、個別の割り当てモードへと入る。
【0014】
操作デバイスに関する特に迅速な構成が可能なさらに好ましい実施形態においては、ダブルボタン又はロッカーボタンの場合に、ダブルボタン又はロッカーボタンの2つのボタンの各々に関して、個別の割り当てモードが活性化され、この割り当てモードによって、ダブルボタン又はロッカーボタンの2つのボタンの1つに対して、機能が割り当てられた時には、ダブルボタン又はロッカーボタンの双方のボタンは、自動的に実行モードへと切り替えられることができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において提供されるように、割り当てモードが終了するとすぐに動作モードが自動的に活性化される場合には、これは、特に単純で信頼性が高い操作性であるとともに、同時に迅速な操作性に対して、寄与することができる。本発明のこの実施形態の望ましい展開においては、割り当てモードは、自動的に終了することができ、パラメータが、割り当てモードにおいて、対応するソフトキーに対して割り当てられるとすぐに、実行モードを活性化することができる。このような割り当ては、タッチスクリーンに表示されたパラメータが、タッチスクリーンのタッチ操作を介して選択されるという点において、したがって、それぞれのソフトキーに関して活性化されるという点において、好都合に行うことができる。本発明のさらに好ましい実施形態においては、タッチスクリーンは、割り当てモードが活性化される所与の割り当てモードにおいて、それぞれのソフトキーに関して選択可能なパラメータが表示される中間領域及び/又は中央領域を有することができ、好ましくは、それら選択可能なパラメータがリストの形態で提供される中間領域及び/又は中央領域を有することができる。
【0016】
溶接プロセスに関しての、「オン」又は「オフ」などの2つの値のみが許容されるパラメータについて、少なくとも1つの単一ハードウェアボタンを、ソフトキーとして設けることができる。割り当てモードが要求された場合には、タッチスクリーンは、このボタンに関する選択肢として、「0」と「1」あるいは「オン」と「オフ」及び同種のものなどの2つのデジタル値のみを許容するパラメータのみを提供することが好ましい。そのようなパラメータの例は、例えば、「保護ガス供給」をオンとすること又は「保護ガス供給」をオフとすることである。この実施形態の好ましい展開においては、また、複数の単一ハードウェアボタンを、操作デバイス上に設けることもでき、そのそれぞれに対して、デジタル値のみを許容するパラメータを割り当てることができる。本発明に関連して、ソフトキー(ハードウェアボタン)は、異なる例示的な実施形態においては、動作モードに関して相違して機能することができる。例えば、1つ又は複数のソフトキーに対して、双安定スイッチとして又は単安定スイッチとしてそれらを形成するプログラムロジックを付与することができる。双方の変形例は、ボタン信号のエッジ上において、エッジトリガーすることができる。これは、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに対して、反応することができる。言い換えれば、ソフトキーは、それが駆動された時とそれが離された時とのいずれかの時に、動作をトリガーすることができる。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施形態は、特許請求の範囲、説明、及び図面からもたらされる。
【0018】
本発明は、図において純粋に概略的に示される例示的な実施形態を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、操作デバイスを有した溶接電流源の斜視図を示し、溶接電流ケーブルが、溶接電流源の2つの電極コンタクトデバイスに対して接続されている。
【
図2】
図2は、ケーブルを介して溶接電流源に対して接続され得る操作デバイスを示す。
【
図3】
図3は、動作モードとされたタッチスクリーンを有した
図2の操作デバイスを示す。
【
図4】
図4は、タッチスクリーンが割り当てモードとされた
図3の操作デバイスを示す。
【
図5】
図5は、タッチスクリーンがさらなる操作レベルでの動作モードとされた
図3の操作デバイスを示す。
【
図6】
図6は、タッチスクリーンがさらなる操作レベルでの割り当てモードとされた
図5の操作デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、アーク溶接トーチ(詳細には図示されていない)によってアーク溶接方法を実施するために電流及び電圧を提供する溶接電流源1を示している。加えて、溶接電流源1は、操作デバイスとして操作パネル2を備えた制御デバイスを含み、操作パネル2を使用することにより、各場合に実施されるべきアーク溶接方法のパラメータを設定し得るとともに、溶接方法を制御することができる。この場合、溶接電流源1は、例えば、MIG/MAG溶接、また、TIG溶接、プラズマ溶接、電極溶接、及び、他のすべてのアーク溶接方法、あるいは、大電流応用、を実行するために使用することができる。本発明のさらに可能な実施形態においては、この溶接電流源を使用することにより、他のアーク溶接及び切断プロセスを、実行することもできる。それぞれ1つの溶接電流ケーブル3を接続するために設けられた2つの電極コンタクトデバイス5、6は、溶接電流源1のハウジング4から突出している。
図1から理解されるように、ハウジング4の上側部分4aは、下側ハウジング部分4bがなすT字形状の狭い前方部分130に対して、ハウジングの両側部において突出している。下側ハウジング部分4bがなすT字形状の後方側の幅広部分131に関し、上側ハウジング部分4aは、下側ハウジング部分4bの後方側の幅広部分131の幅に対して、少なくともほぼ対応した幅を有している。この構成においては、ハウジング4の両側部上における上側ハウジング部分4aの領域は、上側ハウジング部分の突出部分の下面7がハウジングカバーによってこの場合にはハウジングプレートによって覆われているとともに、自由にアクセス可能とされている。上側ハウジング部分4aの下面7のこれらの2つの領域は、例示的な実施形態においては、長方形であり、ハウジング4の正面から及び片側から、自由にアクセスすることができる。上側ハウジング部分4aの下面7のこれら2つの領域は、下側ハウジング部分がなすT字形状の狭い部分によって、互いに離間されている。2つの電極コンタクトデバイス5、6のうちの1つは、上側ハウジング部分4aの下面7の2つの領域のうちの1つ上に配置され、これにより、電極コンタクトデバイス5、6のうちの一方だけを、これらの2つの領域のいずれか上に配置することができる。よって、2つの電極コンタクトデバイス5、6は、本発明による好ましい溶接電流源のハウジング4から、上側ハウジング部分4aの下面7上において、突出している。溶接電流源のハウジング4は、2部材型の設置部材9上に配置され、この設置部材を使用することにより、ハウジングを、面上に設置することができる。
【0021】
図1における図示においては、制御パネル2は、ハウジングの前面上において、ハウジング内へと恒久的に組み込まれている。他方、
図2における図示は、基本的に同じとされた溶接電流源に関する代替可能な実施形態を示しており、電気ケーブル8が設けられた操作パネル2であって、ハウジングに対して固定的に取り付けられていない操作パネル2が示されている。ハウジング4へと通じていて、ハウジング内において制御電子回路に対して接続されたケーブル8を使用することにより、制御パネル2と制御電子回路(詳細には図示されていない)との間において、データを交換することができる。2つの実施形態における2つの制御パネル2は、他の点では同じであり、同じ態様で操作され得るとともに、同じ範囲の機能を提供することができる。
【0022】
図2に示す制御パネル2は、ほぼ長方形のタッチ感知式タッチスクリーン14が内部に挿入されたハウジング10を有し、タッチ感知式タッチスクリーン14は、ディスプレイデバイスの機能を有している。ハウジングには、人間工学的な考慮事項に従って設計された2つのハンドルストリップ15、16が設けられており、このため、オペレータは、制御パネル2を単純な態様で保持することができる。タッチスクリーンの2つのサイドエッジ17、18の領域に近接して、6つのハードウェアボタン20、21、22、23、24、25が、タッチスクリーン14の外側ではあるけれども、タッチスクリーン14に隣接して、配置されている。上側のそれぞれ2つのハードウェアボタン20、21及び23、24は、互いに個別に操作され得る一対のボタンとして設計されている。各ボタンペアの一方のボタンが駆動された時には、パラメータ値が増加し、これに対し、各ボタンペアの他方のボタンが駆動された時には、パラメータ値が減少する。増加及び/又は減少は、特定の間隔ステップによって各駆動により起こることができる。しかしながら、タッチスクリーンの両側にある最も下側のボタン22、25を使用することにより、溶接電源システムの機能又は特性を、オン又はオフへとスイッチングすることができる。各ボタン22、25が駆動された時には、これらは、オンへとスイッチングされ、それらが再び駆動された時には、それらは、オフへとスイッチングされる。
【0023】
溶接電流源を操作するために、及び可能であれば溶接回路内に設けられた他の構成要素を操作するために、制御パネルを、異なる2つのモードへと、すなわち動作モード及び割り当てモードへと、設定することができる。制御パネルの基本設定においては、制御パネルは、動作モードとされ、この動作モードにおいては、複数のボタン20~25のうちの1つが駆動された時には、その1つのハードウェアボタン20~25に対して割り当てられているパラメータの値が、調整される。タッチスクリーン及びハードウェアボタンの特定の構成、ならびに、タッチスクリーン14上に設けられたディスプレイ(GUI)の例が、
図3に示されている。したがって、タッチスクリーン14のGUIは、現在のパラメータの実際の値が動作モードで表示されている中央領域28を有している。例示的な実施形態においては、例えば、ワイヤ送給速度、電圧、電流、及びモータ電流というパラメータに関しての実際の値が、表示されている。動作モードにおいては、個々のハードウェアボタンに対して割り当てられたパラメータの設定値も、また、ハードウェアボタン20~25経由で、タッチスクリーン14の2つのエッジ領域29、30内に表示されている。各ハードウェアボタンに関し、パラメータ値は、タッチスクリーンのうちの、それぞれ対応するボタンに対して直接的に隣接した各エッジ領域29、30上の位置に、表示されている。ハードウェアボタン22、25に関しては、各ボタン20、25を介してオン又はオフをスイッチングし得る機能が、ここでは例えば手動ワイヤ送給及び手動ワイヤ後退という機能が、エッジ領域29、30において表示されている。
【0024】
タッチスクリーンのエッジ領域29、30にタッチすることにより、動作モードから割り当てモードへと切り替えることができる。ここに図示した好ましい例示的な実施形態においては、割り当てモードは、タッチスクリーン14上におけるタッチポイントの隣に位置したハードウェアボタンに関してのみ、活性化される。この文脈においては、ロッカーボタン(20、21、23、24)及びダブルボタンは、例えば+/-の設定に関するボタンは、それぞれただ1つのボタンと見なされる。したがって、ハードウェアボタン20~25の各々は、タッチスクリーン14上においてそれぞれに隣接する領域を有するとともに、その駆動によって、そのハードウェアボタンのみに関して、動作モードから割り当てモードへと切り替えられる。
【0025】
ハードウェアボタンペア20、21;23、24の1つに関するそのような割り当てモードが、
図4に示されている。ここに図示されているように、タッチスクリーン14の中央領域28における表示は、割り当てモードの活性化に基づいて変更されたものである。この場合には、そのハードウェアボタンに対して割り当てられ得る可能なパラメータのリストが、中央領域に表示される。リストが表示領域よりも長いことのために、タッチスクリーンの一部としてタッチ感知式矢印ボタンを使用して、このリスト内を移動することができる。そして、表示された複数のパラメータのうちの1つにタッチすることにより、パラメータを選択し得るとともに、その選択されたパラメータを、割り当てモードが現時点で活性化されているそのハードウェアボタンに対して、割り当てることができる。この選択及び割り当てにより、割り当てモードは、自動的に終了し、動作モードが再び活性化される。よって、制御パネルを使用することにより、溶接プロセスを再び制御することができる。任意の時点において、上記と同じハードウェアボタンと、他の任意のハードウェアボタン20、21、22、23、24、25と、のいずれかに関して、動作モードから割り当てモードへと切り替え得るとともに、そのハードウェアボタンに対して、現在利用可能なものとして割り当てられているパラメータではなく異なるパラメータを割り当てることができる、及び/又は、そのハードウェアボタンに対して他の機能を割り当てることができる。よって、ハードウェアボタン20~25は、ソフトキーとして設計され、ハードウェアボタンの目的及び/又は機能は、固定されておらず、変更することが可能である。制御パネル2のGUIの他のレベルが、
図5における図示において示されている。このレベルにおいては、溶接電流源及びそのコントローラが接続されているネットワークに関する情報が、タッチスクリーン14の中央領域28上に表示されている。ハードウェアボタン20~25に対しては、「上/下」、「左/右」、「元に戻す/やり直し」、「タブ」及び「エンター」、「プラス/マイナス」などのナビゲーション機能が割り当てられている。ナビゲーション機能を使用することにより、特定の定型入力あるいは選択メニューを、例えば現時点ではボタン22に対して割り当てられているタブ機能を使用して、活性化することができる。同じことは、「上向き矢印」又は「下向き矢印」ボタンを使用することにより、可能である。「+」/「-」ボタンを使用すると、以前に活性化されたパラメータの値を、増加又は減少させ得るとともに、「エンター」ボタン25によって保存することができる。ハードウェアボタンは、このレベルにおいても、また、ソフトキーとして設計されている。ボタン20~25のうちの1つに関する機能の変更は、そのボタンのすぐ隣のエッジ領域29、30がなす領域においてタッチスクリーン14にタッチすることによって、再び行うことができる。その結果、直前の動作モードに代えて、割り当てモードが活性化され、ナビゲーション機能のシンボルの選択メニューが、タッチスクリーン14のGUIの中央領域28において活性化される。表示されている複数のナビゲーション機能の1つを選択することにより、選択されたナビゲーション機能が、そのハードウェアボタンに対して割り当てられ、その後、割り当てモードが終了し、そして、動作モードが活性化される。
【0026】
不図示のさらなる変形例においては、
図4におけるパラメータの割り当てのための選択が、
図6に示すようにナビゲーションボタンによって行われることを、提供することができる。この目的のために、ナビゲーションボタンを、個々のハードウェアボタンに対してパラメータを選択して割り当てるための割り当てモードにおいて、ハードウェアボタンに対して割り当て得るとともに、その割り当てモードの持続時間中にハードウェアボタンに対して割り当てることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 溶接電流源
2 制御パネル
3 溶接電流ケーブル
4 ハウジング
4a 上側ハウジング部分
4b 下側ハウジング部分
5 電極コンタクトデバイス
6 電極コンタクトデバイス
7 下面
8 ケーブル
9 設置部材
10 ハウジング
14 タッチスクリーン
15 ハンドルストリップ
16 ハンドルストリップ
17 サイドエッジ
18 サイドエッジ
20 ハードウェアボタン
21 ハードウェアボタン
22 ハードウェアボタン
23 ハードウェアボタン
24 ハードウェアボタン
25 ハードウェアボタン
28 中央領域
29 エッジ領域
30 エッジ領域