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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】水耕栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20230403BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20230403BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A01G31/04 B
A01G31/00 601Z
A01G7/00 601A
A01G7/00 603
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021561648
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 AU2020050143
(87)【国際公開番号】W WO2020210860
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】2019901308
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521451813
【氏名又は名称】ベイス オーストラリア プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー,トビー
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0060491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
A01G 7/00
A01G 9/00
A01G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が支持台の軸受から回転自在に支持され、反対側の開口端が取り外し可能なカバープレートによってアクセス可能に開口される回転ドラムと、前記軸受を中心として前記回転ドラムを回転させるための駆動装置と、前記回転ドラム内の軸方向ランプとを備える水耕栽培装置であって、前記回転ドラムは、その中に補充液を収容する環状給水タンクを画定し、使用時にその内部に複数の植物を保持して、前記軸方向ランプによって前記植物を照明しつつ、前記回転ドラムの回転によって前記植物の根を前記補充液に周期的に浸すように構成される、水耕栽培装置。
【請求項2】
前記給水タンクは、前記支持台から供給ホースを介して水および養液を補充される、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項3】
前記給水タンクは、別個の供給ホースから水および養液補充される、請求項2に記載の水耕栽培装置。
【請求項4】
前記水耕栽培装置は、前記回転ドラム内に挿入可能であり、複数の種子ポッドを保持するための複数のポケットを有する環状インサートを備える、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項5】
各々の種子ポッドは、その中に種子を備える繊維材料を備える、請求項4に記載の水耕栽培装置。
【請求項6】
各々の種子ポッドは、前記種子が発芽して貫通する被覆をさらに備える、請求項5に記載の水耕栽培装置。
【請求項7】
前記種子ポッドを収容し、成長開口部を露出させるために引っ張ることができるカバーを有する筐体であって、前記環状インサートのポケット内に嵌合するように成形された筐体をさらに備える、請求項5に記載の水耕栽培装置。
【請求項8】
前記ポケットは、その入口の断面よりも大きい断面の内部を有し、前記各々の種子ポッドは、前記種子ポッドが前記ポケットの内部に保持されるように、前記入口の断面よりも大きい断面を有する、請求項4に記載の水耕栽培装置。
【請求項9】
前記環状インサートは、前記入口が拡張して前記種子ポッドを収容することができるような可撓性材料を備える、請求項8に記載の水耕栽培装置。
【請求項10】
前記回転ドラム内の異なる内部生育領域に応じて前記水耕栽培装置の動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項11】
前記軸方向ランプは、複数の長手方向照明アレイを備え、前記コントローラは、各々の異なる内部領域で光を変化させるように前記長手方向照明アレイを制御するように構成される、請求項10に記載の水耕栽培装置。
【請求項12】
前記軸方向ランプは、前記回転ドラムに対して静止状態で維持され、前記水耕栽培装置は、前記軸方向ランプに対する前記回転ドラムの回転配向を検出する回転変換器を備え、前記長手方向照明アレイは、前記軸方向ランプに対する前記回転ドラムの回転配向に応じて前記コントローラよって制御される、請求項11に記載の水耕栽培装置。
【請求項13】
前記環状給水タンクは、前記回転ドラム内の水が前記回転ドラムの最下部領域に溜まって前記回転ドラム内の植物が周期的に前記最下部領域の水と接触するように、前記回転ドラムの外面と内面との間に画定され、前記コントローラは、前記最下部領域において前記異なる内部生育領域の滞留時間を制御するために前記回転ドラムの回転速度を可変的に制御するように構成される、請求項10に記載の水耕栽培装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記異なる内部生育領域に応じて前記植物の種類を用いてプログラムされ、前記コントローラは、異なる植物の種類の生育要件のデータベースにアクセスし、前記コントローラは、前記生育要件に応じて前記水耕栽培装置を制御するように構成される、請求項10に記載の水耕栽培装置。
【請求項15】
前記水耕栽培装置は、前記回転ドラム内に挿入可能であり、種子ポッドを保持するための複数のポケットを備え、前記異なる生育領域を画定する環状インサートを備える、請求項10に記載の水耕栽培装置。
【請求項16】
前記環状インサートは、前記コントローラが前記回転ドラムの向きに対する前記環状インサートの生育領域を決定することができるように、特定の回転配向でのみ前記回転ドラム内に挿入することができる、請求項15に記載の水耕栽培装置。
【請求項17】
前記環状インサートは、前記異なる生育領域を決定するためにリーダによって読み取られる少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を備える、請求項15に記載の水耕栽培装置。
【請求項18】
前記軸方向ランプに沿って配置され、使用時に前記回転ドラム内の植物の成長高さを検出するように構成された近接センサをさらに備える、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項19】
モバイル通信デバイスと動作可能に通信し、前記モバイル通信デバイスに植物の成長高さに応じてアラートを生成させるコントローラをさらに備える、請求項18に記載の水耕栽培装置。
【請求項20】
前記水耕栽培装置は、少なくとも1つの内部画像センサを備え、モバイル通信デバイスと動作可能に通信するコントローラをさらに備え、使用時に、前記画像センサは、前記回転ドラムの内部のビューを示す画像データを取り込むように構成され、前記モバイル通信デバイスは、前記回転ドラムの内部のビューを表示するように構成される、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項21】
前記コントローラは、前記少なくとも1つの画像センサから連続する画像データを順に取り込み、前記連続する画像データをつなぎ合わせて前記回転ドラムの内部の360°ビューを形成するように構成される、請求項20に記載の水耕栽培装置。
【請求項22】
前記水耕栽培装置は、赤外線センサを備える少なくとも1つの植物健康状態センサをさらに備え、前記植物健康状態センサと動作可能に通信するコントローラをさらに備え、使用時に、前記コントローラは、前記植物健康状態センサから受信したデータに従って植物の健康状態を判定するように構成される、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項23】
前記植物健康状態センサは、画像センサをさらに備え、前記コントローラまたは前記コントローラに動作可能に結合されたコンピューティングデバイスは、植物の健康状態を判定するために前記画像センサから受信した画像データに対して画像処理を行うように構成される、請求項22に記載の水耕栽培装置。
【請求項24】
前記画像処理は、前記画像データを使用して植物の健康状態を認識するために、訓練用画像データおよび植物健康状態データに基づいて訓練された訓練済み機械学習モジュールを使用する、請求項23に記載の水耕栽培装置。
【請求項25】
総溶解固形分(TDS)センサ、pHセンサ、塩分センサ、および温度センサのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項26】
前記カバープレートは、半透明であり、前記軸方向ランプからの光を減衰させるように構成される、請求項1に記載の水耕栽培装置。
【請求項27】
前記カバープレートは、前記回転ドラムに磁気的に取り付け可能である、請求項26に記載の水耕栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に水耕栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
支持台上で水平軸を中心として回転する開口端円筒形ドラムを有する回転式植物育成装置を教示しているUS6604321B2(米国特許第6,604,321号)(Marchildon、2002)に開示されているものを含む様々な構成の水耕栽培装置が存在する。Marchildonによれば、ランプがドラムの軸に位置決めされ、植物が光の方を向き、ポットの底部がドラムから外側に半径方向に延びる形で、ドラム内の穴が植物ポットを保持する。ドラムの下のトレイは、水のプールを保持し、ドラムが回転するにつれてポットの下方部が水と接触して植物に給水するようにドラムから間隔を置いて配置される。該装置は、水耕栽培に特に適している。
【0003】
本発明は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服するまたは実質的に改善する水耕栽培装置を提供すること、または少なくとも代替物を提供することを目的とする。
【0004】
任意の先行技術情報が本明細書で言及されている場合、そのような言及は、その情報がオーストラリアまたは任意の他の国において当技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0005】
一端が支持台の軸受から回転自在に支持され、反対側の開口端が取り外し可能なカバープレートによってアクセス可能に開口される回転ドラムを備える水耕栽培装置が提供される。駆動装置が軸受を中心として回転ドラムを回転させる。
【0006】
軸方向ランプがドラム内に配置される。さらに、回転ドラムは、その中に環状給水タンクを画定し、使用時にその内部に複数の植物を保持して植物が軸方向ランプによって照明されている間に給水タンクによって給水されるように構成される。
【0007】
したがって、本発明の装置は、ハーブを育てる調理台の上、オフィスデスクなどの室内での使用に特に適している。
【0008】
給水タンクは、支持台の供給ホースおよび水リザーバから補充され得る。支持台は、さらに養液用の複数のリザーバを備え得、該装置は、該装置内に植えられた植物の種類に応じて、または水質センサ読取値に従って、自動で給水および養液投与するように構成されたコントローラを備え得る。
【0009】
該装置は、ドラム内に挿入可能であり、種子ポッドを保持するための複数のポケットを有する環状インサートを備え得る。各々の種子ポッドは、内部に種子を有する繊維材料を含み得る。ポケットは、その入口の断面よりも大きい断面の内部を有し得、各々の種子ポッドは、ドラム内で反転された場合を含めて種子ポッドがポケットの内部に保持されるように、入口の断面よりも大きい断面を有し得る。種子ポッドは、取り外し可能なカバーを有する筐体であり、ポケット内にぴったり収まり得る筐体内に予めパッケージ化され得る。
【0010】
該装置は、コントローラを備え得、コントローラは、ドラム内の異なる内部生育領域に応じて該装置の動作を制御するように構成され得る。
【0011】
例えば、軸方向ランプは、複数の長手方向照明アレイを備え得、コントローラは、ドラムの異なる内部領域で光を変化させるように長手方向照明アレイを制御するように構成され得る。
【0012】
軸方向ランプは、半径方向ドラムに対して静止状態で維持され得、該装置は、半径方向ランプに対するドラムの回転配向を検出する回転変換器を備え得、そのことにより、コントローラは、異なる生育領域で光を変化させるように軸方向ランプに対するドラムの回転配向に応じて照明アレイを制御する。
【0013】
さらに、環状給水タンクは、その中の水がドラムの最下部領域に溜まって、ドラム内の植物が周期的に最下部領域の水と接触するように、ドラムの外面と内面との間に画定され得る。したがって、コントローラは、ドラムの回転速度を可変的に制御して、最下部領域において異なる内部生育領域の滞留時間を制御して、各々の異なる内部生育領域の給水量を変化させるように構成され得る。
【0014】
したがって、これらの実施形態によれば、コントローラは、ドラム内の異なる種類の植物の照明および/または給水を調整するように構成され得る。
【0015】
コントローラは、異なる内部生育領域に応じて植物の種類(バジル、パセリ、コリアンダなど)を用いてプログラムされ得、コントローラは、異なる種類の植物の生育要件のデータベースにアクセスして、それに応じて照明および給水を制御することができるようにし得る。
【0016】
実施形態において、環状インサートのポケットは、異なる生育領域を画定し得る。1つの方法では、コントローラがドラムの向きに対する環状インサートの生育領域を決定することができるように、環状インサートは特定の向きでのみドラム内に挿入可能である。代替形態では、環状インサートは、ドラムに対する環状インサートの向きを検出するように構成される。したがって、環状インサートの指示に従って、ユーザは、コントローラがその給水時の照明を適切に自動制御するように、異なる種類の種子ポッド(バジル、コリアンダ、およびパセリなど)を挿入することが可能であり得る。あるいは、どのインサートも、異なる種類の種子ポッドと共にパッケージ化され得る。
【0017】
代替形態では、各々の種子ポッドまたは環状インサートポケットは、様々な回転位置でコントローラのリーダによって読み取られるコンピュータ可読媒体(RFID、NFCタグなど)を備え得る。したがって、コントローラは、環状インサートの各々のポケットまたは生育領域内の植物の種類を検出し、それに応じて照明および/または給水のうちの少なくとも一方を制御するように構成され得る。
【0018】
該装置は、植物が伸びすぎているのを検出するために軸方向ランプに沿って配置された近接センサを備え得、関連付けられたモバイル通信デバイスにアラートが送信され得る。
【0019】
該装置は、関連付けられたモバイル通信デバイス上に表示され得るドラムの内部ビューを生成するための内部画像センサを備え得る。該装置は、画像センサから画像データを順に取り込み、画像データをつなぎ合わせてドラムの内部の360°ビューを形成することができる。
【0020】
さらに、該装置は、関連付けられたモバイル通信デバイス上に同様に表示され得るそれぞれ植物の健康状態および水質を判定するための植物健康状態センサおよび/または水質センサを備え得る。実施形態において、該装置は、植物の健康状態を判定するために、画像センサから取得された画像データに対して画像解析を実行し得る。
【0021】
本発明の他の態様も開示されている。
【0022】
本発明の範囲内に含まれ得る任意の他の形態があるとしても、単なる例として本開示の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係る、水耕栽培装置の正面図である。
図2】水耕栽培装置の側面図である。
図3】水耕栽培装置の上面図である。
図4】回転ドラムの無い状態の水耕栽培装置の側面図である。
図5】一実施形態に係る水耕栽培装置の例示的な制御システムを示す図である。
図6】一実施形態に係る水耕栽培装置の正面図における液位を示す図である。
図7】一実施形態に係るコントローラの略上面図である。
図8】一実施形態に係る水耕栽培装置の側断面図である。
図9】一実施形態に係るモバイル通信デバイスのユーザインターフェースを示す図である。
図10】一実施形態に係る水耕栽培装置の側断面図である。
図11】一実施形態に係る、種子ポッドを水耕栽培装置のドラム内に装填するための環状インサートを示す図である。
図12】一実施形態に係る、種子ポッドを水耕栽培装置のドラム内に装填するための環状インサートを示す図である。
図13】実施形態に係る種子ポッドの様々な形態を示す図である。
図14】実施形態に係る種子ポッドの様々な形態を示す図である。
図15】実施形態に係る種子ポッドの様々な形態を示す図である。
図16】実施形態に係る種子ポッドの様々な形態を示す図である。
図17】実施形態に係る種子ポッドの様々な形態を示す図である。
図18】実施形態に係る種子ポッドの様々な形態を示す図である。
図19】実施形態に係る種子ポッドの様々な形態を示す図である。
図20A-20C】一実施形態に係る、環状インサートのポケット内への種子ポッドの装填を示す図である。
図21】一実施形態に係る水耕栽培装置のカバープレートの光反射特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、水耕栽培装置100の正面図である。図2は、装置100の側面図であり、図3は装置100の上面図である。
【0025】
装置100は、一端が支持台の軸受113からのみ回転可能に支持され、反対側端がアクセス可能に開口される回転ドラム101を備える。装置100は、軸受113を中心として回転ドラム101を回転させるための駆動装置をさらに備える。
【0026】
図6を参照すると、回転ドラム101は、補充液123を収容する環状給水タンク122を内部に画定する。回転ドラム101は、その内部の複数の植物をリザーバ122の補充液123と流体接触した状態で半径方向に係合させるよう構成される。装置100は、支持台からリザーバタンク122に補充するための補充供給ホース110をさらに備える。
【0027】
図2を参照すると、支持台は、基部105と、そこから垂直方向に延びる垂直ステム103と、軸受113を支持するエルボ129とを備え得る。スイベル継手104は、ステム103とエルボ129とを接続し得る。
【0028】
図6を参照すると、回転ドラム101は、外層120および内層121を備え得、それらの間にリザーバタンク122を画定する。供給ホース110は、外層120と内層121との間に到達してそれらの間に液体を注入するホース延長部107に結合し得る。
【0029】
図1を参照すると、回転ドラム101の内部は、複数の穴108を備え得る。実施形態では、プラスチックシートがこれらの穴101を覆い、植物の根がそこを突き抜けて、リザーバタンク123に到達し得る。
【0030】
図1を参照すると、装置100は、回転ドラム101内で半径方向に保持された植物を半径方向に照明するための軸方向ランプ106を備える。
【0031】
図1図3を参照すると、一実施形態では、回転ドラム101は、軸受113に結合された端壁と、その反対側端のより大きい直径のアクセス可能な開口部とを有する円錐台状である。半径方向に保持された植物は、開口部を介してアクセスされ手入れされ得る。
【0032】
図2を参照すると、実施形態において、装置100は、開口部を覆い得る半透明カバープレート124を備え得る。実施形態では、カバープレート124は、磁気継手147によって回転ドラム101に結合し得る。実施形態において、カバープレート124は、ランプ106から発せられる光を約40%以上減衰させることができる。
【0033】
図4図7を参照すると、支持台の基部105は、その中に少なくとも1つの流体密封コンパートメント114を備え得る。図7を参照すると、装置100は、複数のコンパートメント114を備え得る。コンパートメント114は、例えば、その中に水を保持するための主コンパートメント114と、その中に養液を保持するための副コンパートメント114とを備え得る。装置100は、それぞれのコンパートメントから水および養液を汲み上げるために、ポンプ119および汲み上げホース115を備え得る。ポンプ119は、水および/または養液がリザーバ122を満たすように、コネクタホース116を介して供給ホース110に圧送し得る。
【0034】
各々のコンパートメント114は、補充するのにアクセスするための取り外し可能な蓋118を備え得る。各々の蓋118は、それぞれの押しボタン117によって解放され得る。
【0035】
装置100は、バッテリ電源と、供給ポンプ119、軸方向ランプ106などを含む装置100の動作を制御するための電子制御構成要素122とを備え得る。
【0036】
実施形態では、該装置は、コンパートメント119からの水を蒸発させ、回転ドラム101の内部を加湿するために水が通気口112を介して軸受113から排出される加湿器(圧電型エキサイタなど)を備え得る。
【0037】
図5は、一実施形態に係る装置100の制御システムの例示的な概略図である。制御システムは、デジタルデータを処理するためのプロセッサを備えるコントローラ122を備え得る。プロセッサは、FPGAデバイスなどの低電力コンピューティングデバイスの形態をとり得る。コンピュータプログラムコード命令を含むデジタルデータを記憶するように構成されたメモリデバイスが、プロセッサと動作可能に通信する。使用中、プロセッサは、装置100の機能性を制御するための解釈および実行のために、これらのコンピュータプログラムコード命令および関連データをメモリデバイスからフェッチする。
【0038】
実施形態では、軸方向ランプ106は、LED109のマトリックスを備え得る。
【0039】
さらに、図5を参照すると、これらのLED109は、照明アレイインターフェース126を介して複数の長手方向照明アレイ127において個々に制御可能であり得る。コントローラ122は、回転ドラム101の内部を半径方向に異なる形で照明することができるように、長手方向照明アレイ127の各々の動作、強度および色温度のうちの少なくとも1つを調整することが可能であり得る。強度は、時分割多重化によってコントローラ112によって制御され得る。
【0040】
これに関して、回転ドラム101の内部は、生育領域ごとに(例えば、四分円または他の区分ごとに)制御可能であり得、異なる種類の植物が各々の領域内に植えられ得る。メモリデバイスは、各々の生育領域に対する領域設定128を含み得る。回転トランスデューサ125は、コントローラ122が、それぞれ配向された長手方向照明アレイ127を制御して生育領域設定128に従って各々の生育領域を適切に照明することができるように回転ドラムの回転位置を確認するために、支持台103と回転ドラム101とを接続し得る。
【0041】
例えば、直射日光を好む種類の植物が第1の領域内に植えられ、日陰の光を好む別の種類の植物が第2の領域内に植えられ得る。したがって、回転ドラム101が軸方向ランプ106に対して回転し、軸方向ランプ106が回転ドラム101に対して静止状態で維持されるとき、コントローラ122は、支持台に対する回転ドラム101の回転オフセットを確認することができ、そのことにより、個々の長手方向照明アレイ(各々が1つ以上のLED列を有する)を制御して、第1の領域を高強度光で照明し、第2の領域を低強度光で照明することができる。
【0042】
代替形態では、軸方向ランプ106は回転ドラム101と共に回転する。この実施形態によれば、コントローラ102は、回転ドラム101の内部で異なる生育領域を異なる形で照明することができるように、個々の長手方向照明アレイ127をさらに制御することが可能であり得る。
【0043】
実施形態では、該装置は、装置100の制御のために実行するソフトウェアアプリケーションを備えるようなモバイル通信デバイスとインターフェースするように、ワイヤレスインターフェース149(Wi-FiまたはBluetooth(登録商標)ワイヤレスインターフェースなど)を備え得る。
【0044】
したがって、ソフトウェアアプリケーションを使用して、装置100の動作を遠隔制御し、その様々な読取値を閲覧することができる。
【0045】
例えば、ソフトウェアアプリケーションは、該装置の動作を制御し、給水の態様および軸方向ランプ106の動作の態様を制御することが可能であり得る。ソフトウェアアプリケーションはさらに、各々のコンパートメント114の個々の液位を含む、基部105およびリザーバタンク122の液位などの種々の読取値を表示し得る。
【0046】
実施形態では、ソフトウェアアプリケーションはさらに、生育領域を構成するために使用され得る。
【0047】
実施形態において、ソフトウェアアプリケーションは、ユーザが各々の生育領域内に植えられる植物の種類を指定することを可能にするインターフェースを備え得る。例えば、利用可能な生育領域に対して、ユーザは、バジル、パセリ、コリアンダなどの様々な種類の一般的な植物から選択することができる。実施形態では、ソフトウェアアプリケーションは、ユーザ指定の種類の植物の各々について、生育領域設定128を含み得る(またはソフトウェアアプリケーションは、インターネットを介してサーバからその設定を取り出すことができる)。
【0048】
したがって、回転ドラムにバジル、パセリおよびコリアンダが植えられていることをユーザが指定した場合、ソフトウェアアプリケーションは、これらの種類の植物に対する生育領域設定128を自動的に取り出して、長手方向照明アレイ127を個別に制御し、これらの異なる種類の植物の各々を、それらの既知の要件に従って適切に照明することができる。
【0049】
実施形態では、コントローラ122はさらに、回転ドラム101の回転を制御して、異なる種類の植物の給水を調整し得る。例えば、第1の生育領域は、より少ない水を必要とする第1の種類の植物を含み、第2の生育領域内には、第2の種類の植物が植えられ得る。したがって、コントローラ122は、第2の生育領域が回転サイクルの底部にあるときに回転ドラム121の回転を遅くすることで、その第2の領域におけるリザーバタンク122内に溜められている液体123が、第1の生育領域と比較して第2の生育領域でより長く滞留することができる。
【0050】
図8は、回転ドラム101が図1に示される実施形態と比較して軸方向に反転され、ドラム101のより小さい直径の端部が外側を向いた実施形態を示す。
【0051】
装置100は、ドラム101を回転させるためのモータ130およびモータコントローラ131を備え得る。
【0052】
図9は、ワイヤレスインターフェース149を介して該装置と動作可能に通信するモバイル通信デバイス101を示す。
【0053】
装置100は、その中で成長する植物135の近接を検出するために、軸方向ランプ106に沿って配置された少なくとも1つの近接センサ133を備え得る。したがって、近接センサ133は、植物135が伸びすぎて軸方向ランプ106に接近または接触すると検出するように構成され得る。植物135が伸びすぎたか、または軸方向ランプ106に接触していることを検出すると、それに応じて、接続されているモバイル通信デバイス140によってアラートが生成され得る。
【0054】
軸方向ランプの遠位端は、様々な情報を表示するためのLEDまたは小型デジタルディスプレイを備え得る。さらに、優れた軸方向ランプの遠位端は、装置100の動作の様々な態様を制御するためのタッチセンサ、押しボタンなどを備え得る。
【0055】
装置100は、植物の成長を監視するための赤外線センサ132を備え得る。赤外線センサ132からの読取値は、他のセンサ読取値(例えば、二酸化炭素濃度、水消費量など)と併せて、植物の健康状態を判定するために使用され得る。実施形態では、軸方向ランプは、植物135の光合成を強化して植物の健康状態および味を改善するために、遠赤色ダイオードおよび赤外ダイオードを備え得る。
【0056】
装置100は、ドラム101の内部の画像データを取り込むための少なくとも1つの画像センサ134を備え得る。実施形態では、画像センサ134から取得された画像データは、装置内部の植物135の健康状態をさらに推定するために処理され得る(機械学習技術の使用を含む)。
【0057】
画像センサ134は、ドラム101の内部の広角画像を取り込むための広角カメラを備え得る。実施形態では、画像センサ134は、ドラム101の内部全体を見ることができるように構成される。しかしながら、代替形態では、少なくとも1つの画像センサ134は、ドラム101が回転するにつれて画像データを順に取り込み、そのことにより画像データがつなぎ合わされてドラム101の内部の360°画像が形成される。
【0058】
モバイル通信デバイス140のインターフェースは、ドラムの内部の360°ライブビュー141を含み得る。
【0059】
インターフェースはさらに、水位読取値、水質読取値、植物健康状態読取値などの表示を含む、装置100の種々のセンサから導出される追加情報を表示し得る。
【0060】
図8を参照すると、装置100は、水位センサ137を備え得る。図8に示される実施形態では、水位センサ137は、水および/または養液の液位を判定することができるように、流体密封コンパートメント114の深さ方向に配列される複数の個別の電気水接触センサを備える。
【0061】
流体密封コンパートメント114内の水位が低いまたは実体であることを検出すると、モバイル通信デバイス140は、それに応じてアラートを生成し得る。
【0062】
ドア136は、水位または養液の液位を補充するために開かれ得る。
【0063】
実施形態では、装置100またはモバイル通信デバイス140は、レベルセンサ137を使用して水使用量を推定し、補充が必要になる前に残っている水の量を予測するように構成される。
【0064】
装置100は、総溶解固形分(TDS)センサ、pHセンサ、塩分センサ、温度センサなどを含む、追加の水質センサ138を備え得る。したがって、モバイル通信デバイス140のインターフェースは、水質センサ138を使用して水質読取値を表示し得る。
【0065】
図10は、装置100の換気システムを示しており、装置100は、基部105内に配置されるようなインペラ142を備え得る。インペラは、支持台103の入口143および上部中央導管144を介して空気を引き込むことができる。空気は、冷却するためにモータ130を取り囲むことができ、モータ130の出口140から逃げることができる。
【0066】
空気は、ドラム101に入り、軸方向ランプ106に沿って逃げるのを含めて、ドラム内の穴145から逃げることができる。カバープレート124は、空気が逃げることができるように、貫通する穴または周縁の穴146を備え得る。
【0067】
図10は、ドラム101へのカバー124の磁気スナップフィット取り付けを可能にする磁気継手147をさらに示す。
【0068】
図11および図12は、種子ポッドをドラム101内に装填するための環状種子ポッド保持インサート148を示す。
【0069】
環状インサート148は、種子ポッドが挿入され得る複数のポケット150を備える。図11の実施形態は、発泡体などの可撓性材料を含む環状インサート148を有し、ポケット150は、拡張するための隣接スリット151を備え得る。図12は、より剛性の高いプラスチックを含む環状インサート148を有する。
【0070】
図13は、内部に複数の種子155を有する繊維材料153を含む予備成形された種子ポッド152を示す。ダークステッカーなどの被覆154が種子155を覆い得る。図14に示されるように、植物135は、被覆154を貫通して成長することができる。
【0071】
図15は、種子ポッド152が均一な断面を有する実施形態を示し、図16は、種子ポッド152が円錐台状のドラム101に適合するようにくさび形である実施形態を示す。
【0072】
図17は、種子ポッド152が種子151の両側に繊維材料を含む一実施形態を示し、図18は、種子155が被覆154によってベース繊維層153に対して保持される実施形態を示す。
【0073】
図19は、プラスチック筐体156内に保持され、植物135が成長するために貫通する開口部157を露出させるために引っ張ることができるプラスチックプルタブ158を有する、予めパッケージ化された種子ポッドを示す。プラスチック筐体156は、プルタブが除去されると環状インサート148のポケット内にそのまま挿入され得る。筐体156は、丸みを帯びた基部を備え得る。筐体156は、その中の種子ポッド152の中に水が染み込むことができるように、貫通した(基部を貫通することを含む)穴を備え得る。
【0074】
図20A図20Cは、種子ポッド152を環状インサート148のポケット150に挿入する様子を示している。ポケット150は、その入口の断面と比較してより大きい内部断面を備え得る。
【0075】
種子ポッド152は、ポケット150の開口部の寸法よりも大きい寸法を有し得るが、隣接スリット151は、ポケット150の開口部が拡張してその中にシードポッド152を受け入れることを可能にし得る。
【0076】
図20Bに示されるようにポケット150内に保持されると、種子ポッド152の寸法は、開口部150の寸法を超えるが、ポケット150のより大きい内部内に保持され得る。
【0077】
さらに、繊維材料153は湿潤すると、図20Cに示されるようにポケット150の内部でさらに膨張し得る。
【0078】
実施形態では、インサート148は、様々な生育領域を示すことができ、インサート148は、特定の向きでしかドラム101に挿入することができないように、または代替的にドラム101に挿入されたときにその向きを検出することができるように、固定される。
【0079】
ドラム100内にこのように配置されると、コントローラ122は、インサート148の異なる生育領域に従って、光(長手方向照明アレイ127を制御することによって)および水(ドラム101の回転速度を制御することによって)の供給を制御し得る。
【0080】
例えば、インサート148は、パセリ、バジルおよびコリアンダを生育するための領域を示すことができる。したがって、対応する種子ポッド152がこれらの領域内に挿入されると、コントローラ122は、異なる種類の植物について推奨される給水および照明に応じて、それぞれの種子ポッドの照明および給水を制御することができない。
【0081】
代替形態では、各々のポケット150を番号付けすることができ、ユーザは、モバイル通信デバイス140のインターフェースを使用して、ポケット150内に挿入される種子の種類を指定することができる。その後、コントローラ122は、指定された植物の種類に応じて、インサート148の様々なポケット150の給水および照明を制御することができる。
【0082】
実施形態では、各々のポケット150または種子ポッド152は、種子ポッドの生育領域または種類を決定するために装置100のリーダによって読み取られるコンピュータ可読媒体(RFID、NFCタグなど)を備え得る。
【0083】
図21は、カバープレート124が、光を反射させてドラム101の内部へと戻す反射内面160を備える実施形態を示す。カバープレート124は、暗い外面161を備え得る。
【0084】
前述の説明は、説明の便宜上、本発明の完全な理解を提供するために特定の用語を使用している。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。前述の説明は、網羅的であること、または本発明を開示されている正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示を考慮して多くの修正および変形が可能であることは明らかである。実施形態は、本発明の原理およびその実用的な応用を最も良く説明するために選択され、説明されたものであり、したがって、他の当業者は、本発明および企図される特定の使用に適した様々な修正を加えた様々な実施形態を最善の形で利用することができる。以下の請求項およびそれらの均等物が本発明の範囲を定義するものとする。
図1
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図10
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図20A-20C】
図21