(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】歪抵抗測定回路及び当該回路における歪抵抗算定方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/00 20060101AFI20230403BHJP
G01L 1/22 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G01L1/00 J
G01L1/00 D
G01L1/22 A
(21)【出願番号】P 2022052746
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2021055926
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521132440
【氏名又は名称】エスシーティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】山口 作太郎
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04363243(US,A)
【文献】特開2013-174514(JP,A)
【文献】特開2000-055608(JP,A)
【文献】特開2007-263667(JP,A)
【文献】実開昭56-170757(JP,U)
【文献】特公昭47-017392(JP,B1)
【文献】特開平11-230709(JP,A)
【文献】特公昭48-022673(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00,1/22,1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と、第2の歪ゲージの一方側端子とを接続した上で、第1の歪ゲージの一方側と第2の歪ゲージの他方側とによる接続両端子
の
みに対し、定電流電源及び電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が
並列状態
に接続されており、前記各接続両端子における定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源の電圧値の調整によって電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不
要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
【請求項7】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子を、第2の歪ゲージの一方側端子と接続した上で、第1の歪ゲージの一方側と第2の歪ゲージの他方側とによる接続両端子
のみに対し、可変定電流電源及び電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が
並列状態に接続されており、前記接続両端子における可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源の電流値の調整によって電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要と
することを特徴とする歪抵抗測定回路。
【請求項10】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第1の定電流電源及び第1の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が
並列状態に接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第2の定電流電源及び第2の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が
並列状態に接続されており、第1の歪ゲージにおける前記各接続両端子における第1の定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であり、かつ可変定電圧電源の電圧値を調整することによって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージにおける前記各接続両端子における第2の定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源の電圧値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
とす
ることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
【請求項11】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続した上で、第1の歪ゲージの一方側端子と第2の歪ゲージの他方側端子とによる接続両端子
のみに対し、定電流電源が接続されると共に、第1の歪ゲージの接続両端子に対し、第1の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第2の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が
定電流電
源と並列状態にて接続されており、前記各接続両端子における定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源の電圧値の調整によって第1の電圧計及び第2の電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによ
って、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
【請求項14】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続した上で、第1の歪ゲージの一方側端子と第2の歪ゲージの他方側端子とによる接続両端子
のみに対し可変定電流電源が接続されており、第1の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第1の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第2の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が
可変定電流電
源と並列状態にて接続されており、前記各接続両端子における可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源の電流値の調整によって第1の電圧計及び第2の電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによ
って、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
【請求項17】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続し、第1の歪ゲージの一方側端子及び第2の歪ゲージの他方側端子による接続両端子
のみに対し、定電流電源が接続されており、第1の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第1の電圧計と直列状態にて接続している第1の可変定電圧電源が接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第2の電圧計と直列状態にて接続している第2の可変定電圧電源が接続されており、前記各接続両端子における定電流電源の導通方向と第1の可変定電圧電源及び第2の可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電圧電源の電圧値の調整によって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の可変定電圧電源の電圧値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴
とする歪抵抗測定回路。
【請求項20】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第1の可変定電流電源及び第1の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が
並列状態に接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第2の可変定電流電源及び第2の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が
並列状態に接続されており、第1の歪ゲージの前記各接続両端子における第1の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電流電源の電流値を調整することによって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージの前記各接続両端子における第2の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第2の可変定電流電源の電流値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
と
することによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
【請求項21】
歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続し、第1の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第1の可変定電流電源及び第1の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が
並列状態に接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子
のみに対し、第2の可変定電流電源及び第2の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が
並列状態に接続されており、第1の歪ゲージの前記各接続両端子における第1の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電流電源の電流値の調整によって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージの前記各接続両端子における第2の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第2の可変定電流電源の電流値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホ
イートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
【請求項25】
請求項1、5、10、11、17の何れか一項に記載の
歪抵抗測定回路であって、
前記可変定電圧電源は、定電圧電源が可変抵抗素子の両端と接続すると共に、当該可変抵抗素子の出力側において、歪ゲージの接続両端子のうちの一方側端子が可変抵抗素子の一方側端と接続し、かつ他方側端子が可変抵抗素子に対しスライド自在の状態にて接続し、かつ歪ゲージの接続両端子との間に電圧計が可変抵抗素子と並列状態にて接続されていることを特徴とする
歪抵抗測定回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歪ゲージによって圧力、トルク等による歪み原因によって変化した歪ゲージ抵抗変化値及び歪ゲージ抵抗値の変化に伴って発生した歪を測定する回路及び当該回路において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び前記歪を具体的に測定及び算定する方法を対象としている。
【背景技術】
【0002】
歪ゲージにおいて、歪み原因に基づいて変化した歪抵抗を測定する回路構成は周知である。
【0003】
但し、前記のように変化した歪抵抗の測定の場合には高度の精度が要求されることから、殆ど全ての従来技術においては、歪ゲージが備えている抵抗を構成要素とするホイートストンブリッジ回路(以下「ブリッジ回路」と略称する。)が採用されている。
【0004】
ブリッジ回路による歪抵抗の測定について評価するに、ブリッジを構成する抵抗素子として、1個の歪ゲージを使用するブリッジ回路において、歪ゲージと接触している測定対象物に外力が作用した場合には、歪ゲージが備えている抵抗値R0は、
R1=R0+ΔR
に変化する。
尚、歪ゲージが備えている抵抗値R0は、製造メーカーにおいて予め設定し、かつ表示しているが、当該設定値には多少の誤差を包摂する場合があることから、改めて抵抗値R0を電圧値及び電流値の測定によって設定することが少なからず行われている。
【0005】
このように、抵抗値R
0が変化した場合、
図24(a)に示すブリッジ回路のように、他の3個の抵抗として採用されたR
2,R
3,R
4によってブリッジ回路を構成した上で、電源電圧Eを一方側端子に印加した場合、他方側端子の電圧Vについては、
V=(R
1・R
4-R
2・R
3)E/(R
1+R
2)(R
3+R
4)
が成立する。
但し、R
1が前記のようにR
0からR
0+ΔRに変化し、かつ
図24(b)に示すように、R
0=R
2=R
3=R
4と設定した場合には、
V=ΔRE/(4R
0+2ΔR)≒ΔRE/4R
0
という近似式が成立し、しかも従来技術の殆ど大抵の場合に前記近似式に依拠している。
【0006】
然るに、上記近似式による測定電圧Vは、ΔRE/2R0というブリッジ回路において本来測定すべき電圧に対し、電圧計の感度が1/2に低下している。
【0007】
このような感度の低下は、測定精度が低下する一方、信号増幅器のゲイン(増幅度)を増加させることが必要とならざるを得ない。
【0008】
しかも、
ΔRE/(4R0+2ΔR)≒(ΔRE/4R0)・(1-ΔR/2R0)E
という更に性格な近似式が成立することを考慮した場合には、前記ΔR/R0という一次近似に立脚している前記近似式は、決して精度の高い近似式ではない。
【0009】
通常、歪ゲージの抵抗素子としては、金属箔が採用されていることから、抵抗値は、環境温度によって変化し、大抵の場合には、温度が高温であるほど抵抗率が増加する。
但し、歪ゲージにおいては、 歪ゲージを構成している抵抗素子における前記のような温度変化を原因とする抵抗率の変化に基づく抵抗値の変化だけでなく、測定対象物の熱収縮又は熱膨張と歪ゲージにおける熱収縮又は熱膨張の相違を反映した抵抗率の変化による抵抗値の変化も発生している。
【0010】
したがって、
図24(a)に示すブリッジ回路のように、1個の歪ゲージを採用した上で、環境変化に伴って温度が常温から変化した場合には、測定値の内には、前記各抵抗率の変化に基づく抵抗値が当然含まれている。
【0011】
温度変化を原因として変化した測定値を除外した状態にて変化した抵抗値を測定することを目的として、従来技術においては、
図24(c)に示すブリッジ回路のように、2個の歪ゲージを抵抗素子として使用し、双方を同一の環境温度下の状態にした上で、抵抗R
1につき、歪み原因が作用した状態を設定し、抵抗R
3につき、歪み原因が作用しない状態とする構成が採用されている。
【0012】
図24(c)に示す回路図の構成において、測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した抵抗値をΔR´とし、温度変化によって変化した抵抗値、即ち見かけの歪みによって変化した抵抗値をΔR(T)とした場合には、
R
1=R
0+ΔR´+ΔR(T)
が成立し、
R
3=R
0+ΔR(T)
が成立する。
【0013】
したがって、
図24(b)のブリッジ回路の場合と同様に、R
0=R
2=R
4と設定した場合には、
V=(ΔR´・R
0・E)/(2R
0+ΔR´+ΔR(T))(2R
0+ΔR(T))
≒ΔR´・E/4R
0
という近似式が成立する。
【0014】
しかしながら、上記近似式の前提となる上記一般式においては、温度変化によるΔR(T)が分母中に残存し、当該ΔR(T)を完全にキャンセルし得ない状態にあり、温度によって歪ゲージの抵抗が変化した場合に、測定対象物に対する外力及び測定対象物の温度変化に伴う変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´を全測定温度範囲内にて完全に測定することは原理的に不可能である。
【0015】
このように、
図24(a)、(b)、(c)に示す従来技術によるブリッジ回路による歪抵抗の測定方法に対する精度を改善するために、例えば引用文献1においては4個の歪ゲージが備えている抵抗によってブリッジ回路を構成している(特許文献1の第2図)。
【0016】
このような構成においては、4個のうち2個については、環境温度が変化するだけでなく、歪み原因が作用しており、残2個については、環境温度が変化するも、歪み原因が作用していない状態を設定しているもの状態を推定することができる。
【0017】
合計4個の構成の場合に、
図24(c)と同様に、R
1=R
2=R
3=R
4と設定し、かつ
図24(c)に示す従来技術の場合と同様に変化した抵抗値をそれぞれΔR´、ΔR(T)と設定した場合には、
V={(R
0+ΔR´+ΔR(T))
2-(R
0+ΔR(T))
2}E/(2R
0+ΔR´+2ΔR(T))
2
≒ΔR´E/2R
0
という近似式が成立する。
【0018】
しかしながら、上記近似式は、
図24(c)に示すブリッジ回路の場合よりも、電圧計の感度が2倍向上するだけであって、基本的には、
図24(c)に示す従来技術の場合と同様に、温度変化に基づくΔR(T)が分母中に残存することからも明らかなように、決して正確な測定値を保証する訳ではない。
【0019】
加速度センサによる測定を対象としている引用文献2においては、引用文献1の場合と同様に、4個の歪ゲージを採用した上で(特許文献2の
図7の加速度センサ34)、測定上の精度を向上させるために、定電圧回路だけでなく、可変定電流電源を採用している。
【0020】
しかしながら、可変定電流電源を採用したとしても、引用文献2においては、引用文献1の場合と同様にブリッジ回路に依拠している以上、精度が決して高くない前記近似式に依拠しなければならないという基本的欠点を免れることができない。
【0021】
このように、ブリッジ回路の場合には、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR、又は測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´を正確に測定することが不可能であるにも拘らず、前記変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR及びΔR´を測定し得る回路、更には当該回路を使用することによって変化した歪ゲージ抵抗変化値、更には歪ゲージ抵抗変化値の変化に伴って発生する歪を正確に測定及び算定する方法は、未だ提唱されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】特開平2-78924号公報
【文献】特開2002-22760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、ブリッジ回路に依拠せずに、環境変化に伴う温度変化が生じている場合及び生じていない場合の何れにおいても、測定感度の減少が発生せず、しかも変化した歪ゲージ抵抗変化値及び当該変化に伴って発生した歪を測定し得る回路及び当該回路において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び前記歪を高い精度による正確な測定及び算定を可能とする方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記課題を解決するため、本発明の構成は、以下の基本構成に立脚している。
(1)歪抵抗の測定を目的とする歪ゲージの接続両端子のみに対し、定電流電源及び電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が並列状態に接続されており、かつ前記各接続両端子における定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源の電圧値の調整によって電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(2)基本構成(1)の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 歪ゲージと接触している測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電流I0の設定、並びに電圧計の測定値をゼロとするような可変定電圧V0の調整、及びR0=V0/I0による歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定。
2 測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計による電圧値Vfの測定。
3 ΔR=Vf/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
(3)歪抵抗の測定を目的とする歪ゲージの接続両端子のみに対し、可変定電流電源及び電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が並列状態に接続されており、かつ前記各接続両端子における可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源の電流値の調整によって電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(4)基本構成(3)の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 歪ゲージと接触している測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧V0の設定、並びに電圧計の測定値をゼロとするような可変定電流I0の調整、及びR0=V0/I0による歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定。
2 測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計による電圧値Vfの測定。
3 ΔR=Vf/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
(5)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と、第2の歪ゲージの一方側端子とを接続した上で、第1の歪ゲージの一方側と第2の歪ゲージの他方側とによる接続両端子のみに対し、定電流電源及び電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が並列
状態に接続されており、前記各接続両端子における定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源の電圧値の調整によって電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによって、ホイートストンブリッジ回路
を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(6)基本構成(5)の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 第1の歪ゲージ及び当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージと接触している各測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電流I0の設定、並びに電圧計の測定値をゼロとするような可変定電圧V0の調整、及びR0=V0/2I0による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定。2 各測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計による電圧値Vfの測定。
3 ΔR=Vf/2I0による各測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
(7)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子を、第2の歪ゲージの一方側端子と接続した上で、第1の歪ゲージの一方側と第2の歪ゲージの他方側とによる接続両端子のみに対し、可変定電流電源及び電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が並列状
態に接続されており、前記接続両端子における可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源の電流値の調整によって電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不
要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(8)基本構成(7)の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 第1の歪ゲージ及び当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージと接触している各測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧V0の設定、並びに電圧計の測定値をゼロとするような可変定電流I0の調整、及びR0=V0/2I0による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定。2 各測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計による電圧値Vfの測定。
3 ΔR=Vf/2I0による各測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
(9a)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第1の定電流電源及び第1の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が並列状態に接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第2の定電流電源及び第2の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が並列状態に接続されており、第1の歪ゲージにおける前記各接続両端子における第1の定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であり、かつ可変定電圧電源の電圧値を調整することによって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージにおける前記各接続両端子における第2の定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源の電圧値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(9b)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続した上で、第1の歪ゲージの一方側端子と第2の歪ゲージの他方側端子とによる接続両端子のみに対し、定電流電源が接続されると共に、第1の歪ゲージの接続両端子に対し、第1の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第2の電圧計と直列状態にて接続している可変定電圧電源が定
電流電源と並列状態にて接続されており、前記各接続両端子における定電流電源の導通方向と可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源の電圧値の調整によって第1の電圧計及び第2の電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とするこ
とによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(10)基本構成(9a)又は(9b)の何れかの歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源による定電流I0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとし、かつ第2の電圧計の測定値V20を略ゼロとするような可変定電圧V0の調整、及びR0=V0/I0による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及び第2の歪ゲージが備えている抵抗値の近似値R0の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計による電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 V1x=V2xであるか否かの判定。
6(1)V1x=V2xである場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V1x=V2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
(11)基本構成(9a)又は(9b)の何れかの歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源による定電流I0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとし、かつ第2の電圧計の測定値V20を略ゼロとするような可変定電圧V0の調整、及びR0=V0/I0による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及び第2の歪ゲージが備えている抵抗値の近似値R0の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計による電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
(12)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続した上で、第1の歪ゲージの一方側端子と第2の歪ゲージの他方側端子とによる接続両端子のみに対し可変定電流電源が接続されており、第1の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第1の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第2の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が可変定
電流電源と並列状態にて接続されており、前記各接続両端子における可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源の電流値の調整によって第1の電圧計及び第2の電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とするこ
とによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(13)基本構成(12)記載の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源による定電圧V0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとし、かつ第2の電圧計の測定値V20を略ゼロとするような可変定電流I0の調整、及びR0=V0/I0による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及び第2の歪ゲージが備えている抵抗値の近似値R0の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計による電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 V1x=V2xであるか否かの判定。
6(1)V1x=V2xである場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V1x=V2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
(14)基本構成(12)記載の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源による定電圧V0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとし、かつ第2の電圧計の測定値V20を略ゼロとするような可変定電流I0の調整、及びR0=V0/I0による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及び第2の歪ゲージが備えている抵抗値の近似値R0の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計による電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
(15)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続し、第1の歪ゲージの一方側端子及び第2の歪ゲージの他方側端子による接続両端子のみに対し、定電流電源が接続されており、第1の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第1の電圧計と直列状態にて接続している第1の可変定電圧電源が接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第2の電圧計と直列状態にて接続している第2の可変定電圧電源が接続されており、前記各接続両端子における定電流電源の導通方向と第1の可変定電圧電源及び第2の可変定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電圧電源の電圧値の調整によって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の可変定電圧電源の電圧値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすること
を特徴とする歪抵抗測定回路。
(16)基本構成(15)の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源による定電流I0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとするような可変定電圧V10の調整、及び第2の電圧計の測定値V20をゼロとするような可変定電圧V20の調整、及びR0=V10/I0による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及びR0´=V20/I0による第2の歪ゲージが備えている抵抗値R0´であって前記R0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計による電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 V1x=V2xであるか否かの判定。
6(1)V1x=V2xである場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V1x=V2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
(17)基本構成(15)の歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源による定電流I0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとするような可変定電圧V10の調整、及び第2の電圧計の測定値V20をゼロとするような可変定電圧V20の調整、及びR0=V10/I0による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及びR0´=V20/I0による第2の歪ゲージが備えている抵抗値R0´であって前記R0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計による電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V1Lf-V1L)/I0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
(18a)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第1の可変定電流電源及び第1の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が並列状態に接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第2の可変定電流電源及び第2の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が並列状態に接続されており、第1の歪ゲージの前記各接続両端子における第1の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電流電源の電流値を調整することによって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージの前記各接続両端子における第2の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第2の可変定電流電源の電流値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(18b)歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージを採用し、第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージの各接続両端子のうち、第1の歪ゲージの他方側端子と第2の歪ゲージの一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続し、第1の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第1の可変定電流電源及び第1の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が並列状態に接続されており、第2の歪ゲージの接続両端子のみに対し、第2の可変定電流電源及び第2の電圧計と直列状態にて接続している定電圧電源が並列状態に接続されており、第1の歪ゲージの前記各接続両端子における第1の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電流電源の電流値の調整によって第1の電圧計の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージの前記各接続両端子における第2の可変定電流電源の導通方向と定電圧電源の印加方向とが同一方向であって、かつ第2の可変定電流電源の電流値の調整によって第2の電圧計の測定値をゼロと設定することを可能とすることによ
って、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路。
(19)基本構成(18a)又は(18b)の何れかの歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源における定電圧V0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとするような可変定電流I10の調整、及び第2の電圧計の測定値V20をゼロとするような可変定電流I20の調整、及びR0=V0/I10による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及びR0´=V0/I20による第2の歪ゲージが備えている抵抗値R0´であって前記R0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計における電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計における電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 V1x=V2xであるか否かの判定。
6(1)V1x=V2xである場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I10による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、ΔR=(V1Lf-V1L)/I10による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I10による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V1x=V2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V1x=V2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
(20)基本構成(18a)又は(18b)の何れかの歪抵抗測定回路において、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージにおいて変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定する方法。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージを測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージと同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージを測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源における定電圧V0の設定、並びに第1の電圧計の測定値V10をゼロとするような可変定電流I10の調整、及び第2の電圧計の測定値V20をゼロとするような可変定電流I20の調整、及びR0=V0/I10による第1の歪ゲージが備えている抵抗値R0の設定、及びR0´=V0/I20による第2の歪ゲージが備えている抵抗値R0´であって前記R0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ及び第2の歪ゲージに対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計における電圧値V1Lの測定、並びに第2の電圧計における電圧値V2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計による電圧値V1Lfの測定、並びに第2の電圧計による電圧値V2Lと同一値である電圧値V2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージにおけるV1x=V1L-V10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージにおけるV2x=V2L-V20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V1Lf-V1L)/I10による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I10による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【発明の効果】
【0025】
基本構成(2)の方法は、基本構成(1)の回路に立脚し、基本構成(4)の方法は、基本構成(3)の回路に立脚し、基本構成(6)の方法は、基本構成(5)の回路に立脚し、基本構成(8)の方法は、基本構成(7)の回路に立脚し、基本構成(10)、(11)の各方法は、基本構成(9a)、(9b)の回路に立脚し、基本構成(13)、(14)の各方法は、基本構成(12)の回路に立脚し、基本構成(16)、(17)の各方法は、基本構成(15)の回路に立脚し、基本構成(19)、(20)の各方法は、基本構成(18a)、(18b)の回路に立脚している。
【0026】
前記関係からも明らかなように、前記各回路は、前記各方法を実施するための基本構成に該当する。
【0027】
基本構成(1)、(2)、基本構成(5)、(6)、基本構成(9a)、(9b)、(10)、(11)、基本構成(15)、(16)、(17)は、定電流電源及び可変定電圧電源を採用している点において共通しており、基本構成(3)、(4)、基本構成(7)、(8)、基本構成(12)、(13)、(14)、基本構成(18a)、(18b)、(19)、(20)は、定電圧電源及び可変定電流電源を採用している点において共通している。
【0028】
定電流電源及び可変定電圧電源を採用している基本構成においては、設定された定電流の下に歪ゲージの接続両端子における電圧計による測定電圧をゼロとするような可変定電圧の調整によって、高い感度及び精度によって変化した歪ゲージ抵抗変化値及び歪ゲージ抵抗変化値の変化に対応して発生した歪の正確な測定及び算定を実現している点において共通しており、定電圧電源及び可変定電流電源を採用している基本構成においては、設定された定電圧の下に歪ゲージの接続両端子における電圧計による測定電圧をゼロとするような可変定電流電源の調整によって、高い感度及び精度によって変化した歪ゲージ抵抗変化値及び前記歪を正確に測定及び算定している点において共通している。
【0029】
即ち、上記の共通内容による方法においては、ブリッジ回路による測定の場合のような近似式に基づく歪ゲージ抵抗変化値に依拠せずに、正確な測定及び算定を可能としている。
【0030】
基本構成(1)~(8)の場合には、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値及び前記原因によって発生した歪を測定及び算定の対象としており、基本構成(9a)、(9b)~(20)の場合には、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値並びに前記原因によって発生した歪の測定及び算定、及び/又は当該外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値並びに前記原因によって発生した歪を測定及び算定の対象としているが、何れの場合においても、ブリッジ回路の場合のような近似式を不要とし、高い感度及び精度による正確な測定及び算定を可能としている。
尚、何れの基本構成においても、
図24(b)に示すような抵抗値が等しい状態にある従来技術によるブリッジ回路における歪の測定に比し、4倍の感度を実現することができることについては、後述するとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】基本構成(1)及び請求項1の回路構成を示す。
【
図2】基本構成(2)及び請求項2のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図3】基本構成(3)及び請求項3の回路構成を示す。
【
図4】基本構成(4)及び請求項4のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図5】基本構成(5)及び請求項5の回路構成を示す。
【
図6】基本構成(6)及び請求項6のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図7】基本構成(7)及び請求項7の回路構成を示す。
【
図8】基本構成(8)及び請求項8のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図9(a)】基本構成(9a)及び請求項
10の回路構成を示す。
【
図9(b)】基本構成(9b)及び請求項
11の回路構成を示す。
【
図10】基本構成(10)及び請求項
12のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図11】基本構成(11)及び請求項
13のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図12】基本構成(12)及び請求項
14の回路構成を示す。
【
図13】基本構成(13)及び請求項
15のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図14】基本構成(14)及び請求項
16のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。
【
図15】基本構成(15)及び請求項
17の回路構成を示す。
【
図16】基本構成(16)及び請求項
18のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。 尚、可変定電圧V
10の調整と可変定電圧V
20の調整のプロセスが並存した状態にて描かれているが、双方の調整は、並存によって同時である場合と、何れか一方が先行する場合との双方を選択することが可能である。
【
図17】基本構成(17)及び請求項
19のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。 尚、可変定電圧V
10の調整と可変定電圧V
20の調整のプロセスが並存した状態にて描かれているが、双方の調整は、並存によって同時である場合と、何れか一方が先行する場合との双方を選択することが可能である。
【
図18(a)】基本構成(18a)及び請求項
20の回路構成を示す。
【
図18(b)】基本構成(18b)及び請求項
21の回路構成を示す。
【
図19】基本構成(19)及び請求項
22のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。 尚、可変定電流I
10の調整と可変定電流I
20の調整のプロセスが並存した状態にて描かれているが、双方の調整は、並存によって同時である場合と、何れか一方が先行する場合との双方を選択することが可能である。
【
図20】基本構成(20)及び請求項
23のプロセスを順次実現するフローチャートを示す。 尚、可変定電流I
10の調整と可変定電流I
20の調整のプロセスが並存した状態にて描かれているが、双方の調整は、並存によって同時である場合と、何れか一方が先行する場合との双方を選択することが可能である。
【
図21】実施例の回路構成を例示する。 尚、右側端における
上下方向両側矢印は、歪ゲージ、又は第1の歪ゲージ、若しくは第2の歪ゲージの何れかが接続対象たり得ることを示
し、上下方向両側の白線矢印は、歪ゲージからの他方側端子が可変抵抗
素子に対しスライド自在の状態であることを示す。
【
図22】基本構成(10)、(11)、(13)、(14)において調整された定電圧V
0及び温度変化による見かけの歪信号電圧及び温度変化による測定対象物の変形を伴う真の歪信号電圧によるV
1LとV
1xとの関係、並びに調整された定電圧V
0及び温度変化に伴う見かけの歪信号電圧によるV
2LとV
2xとの関係を、V
1x=V
2xが成立するCase Aの場合と、V
1x=V
2xが成立しないCase Bの場合において明らかにするチャート図を示す。
【
図23】基本構成(16)、(17)、(19)、(20)において調整された電圧V
0及び温度変化による見かけの歪信号電圧及び温度変化による測定対象物の変形を伴う真の歪信号電圧によるV
1LとV
1xとの関係、並びに調整された電圧V
0及び温度変化に伴う見かけの歪信号電圧によるV
2LとV
2xとの関係を、V
1x=V
2xが成立するCase Aの場合と、V
1x=V
2xが成立しないCase Bの場合において明らかにするチャート図を示す。
【
図24】ブリッジ回路による歪抵抗の測定に関する従来技術を開示しており、(a)は、1個の歪ゲージをブリッジ回路の抵抗素子として採用している構成であり、(b)は、(a)においてR
0=R
2=R
3=R
4となる場合を採用している構成であり、(c)は、2個の歪ゲージをブリッジ回路の抵抗素子として採用している構成である。
【
図25】基本構成(2)の測定方法の場合と、
図24(b)に示すブリッジ回路における測定方法の場合とを対比した場合、V
f/V≒4が実験によって裏付けられることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、各基本構成について説明する。
【0033】
基本構成(1)は、
図1に示すように、歪抵抗の測定を目的とする歪ゲージ1の接続両端子
のみに対し、定電流電源21及び電圧計4と直列状態にて接続している可変定電圧電源32が
並列状態に接続されており、かつ前記各接続両端子における定電流電源21の導通方向と可変定電圧電源32の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源32の電圧値の調整によって電圧計4の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによっ
て、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
【0034】
歪ゲージ1の接続両端子における定電流電源21の導通方向と可変定電圧電源32の印加方向とが同一方向であるという要件は、定電流電源21と可変定電圧電源32の極性が前記接続両端子において同一であるという趣旨であり、このような関係は、可変定電流電源22と定電圧電源31との間においても妥当する。
【0035】
図1において、定電流電源21の導通方向と可変定電圧電源32の印加方向が同一である場合には、電圧計4に対し、歪ゲージ1の接続両端子において可変定電圧電源32の印加方向と逆方向の電圧源が存在することを意味している。
【0036】
このような場合には、可変定電圧電源32の電圧値を調整することによって、電圧計4の測定値をゼロと設定することができる。
【0037】
このようなゼロ設定が可能であることによって、基本構成(2)の測定及び算定が実現しているが、このような回路と前記測定及び算定との関係は、後述する他の基本構成による回路、他の基本構成による測定及び算定との関係においても同様に妥当する。
【0038】
基本構成(2)は、基本構成(1)に立脚した上で、
図2のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 歪ゲージ1と接触している測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電流I
0の設定、並びに電圧計4の測定値をゼロとするような可変定電圧V
0の調整、及びR
0=V
0/I
0による歪ゲージ1が備えている抵抗値R
0の設定。
2 測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計4による電圧値V
fの測定。
3 ΔR=V
f/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
【0039】
具体的計算に即して説明するに、プロセス1において設定された定電流I0を、抵抗R0を備えている歪ゲージ1の接続両端子を介して導通した上で、当該接続両端子に対する測定電圧をゼロとするように可変定電圧V0を調整した場合には、前記抵抗値R0の設定式からも明らかなように、
I0R0-V0=0
が成立する。
但し、プロセス1における「ゼロ」は、数学的に厳密な「零」という趣旨ではなく、測定値に立脚した「約ゼロ」の趣旨であって、具体的には、測定値の誤差が10-2以下の場合には、当該誤差を度外視することができる。
尚、上記趣旨は、他の方法に関する各基本構成における「ゼロ」の場合においても同様に妥当する。
【0040】
プロセス2において測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値をΔRとした場合、当該ΔRに対応する電圧計4による測定値Vfについては、
Vf=(R0+ΔR)I0-V0
=ΔRI0 ・・・(1)
が成立し、プロセス3において、ΔRについては、
ΔR=Vf/I0
によって正確に算定され、プロセス4において、歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0) ・・・(2)
によって算定されることに帰する。
尚、Kは、歪ゲージ1において具体的に歪εの正確な数値を提示するために必要な補正係数であるゲージ率であって、通常約2前後の数値が採用されている。
ゲージ率Kの趣旨及び数値範囲は、他のフローチャートに即した基本構成においても正に同様である。
【0041】
前記ΔRの歪測定における感度として、歪の発生に対応する測定電圧に対する算定された歪εとの比率、即ち基本構成(2)の場合のVf/εを設定した場合には、前記(1)式及び(2)式から、
Vf/ε=KI0R0
=KV0
即ち、歪ゲージのゲージ率と歪が発生していない場合の基準電圧V0との積による尺度を感度として実現することができる。
【0042】
他方、
図24(b)のブリッジ回路の場合には、背景技術の項において既に説明したように、
ΔR≒4V(R
0/E) ・・・(3)
という近似式が成立する。
【0043】
前記(3)式から、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
≒(4/K)(V/E)
が成立し、
V/ε≒KE/4
が成立する。
【0044】
即ち、
図24(b)のブリッジ回路の場合には、歪ゲージのゲージ率と歪の発生に左右されない定電圧Eとの積の1/4を尺度とする感度が実現することに帰する。
【0045】
したがって、前記(1)式に立脚している基本構成(2)における前記尺度による感度は、
図24(b)のブリッジ回路の場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0046】
即ち、
図1の歪電圧V
0と
図24(b)における定電圧Eとが等しく、V
0=Eの状態を設定した上で、同一の歪εが実現している場合には、
基本構成(2)のV
f/
図24(b)におけるV=4
が成立する。
【0047】
前記4倍の数式の成立は、当然尺度として、
測定電圧/算定された歪ε
だけでなく、
測定電圧/(算定された歪εに比例する物理量、具体的には歪ゲージに加えた荷重)
の場合においても成立し、かつこの点は、後述する他の基本構成の場合においても変わりはない。
【0048】
図25は、
図1に示す基本構成(1)の回路と
図24(b)のブリッジ回路において、歪抵抗に比例する荷重物の数(但し、1個当たり36.86g)にしたがって変化した歪に対応する測定電圧値(μV)、即ち基本構成(2)のV
f及び
図24(b)のVの場合を示すグラフである。
但し、歪ゲージが有している抵抗値R
0=120Ωと設定し、定電流I
0として、10mAを設定し、歪ゲージの抵抗R
0及び
図24(b)のブリッジ回路において歪ゲージ以外の3個の抵抗素子のR
0につき120Ωを設定し、何れも基本構成(2)におけるV
0及び
図24(b)の定電圧Eを1.2Vに設定している。
【0049】
図25のグラフによれば、
Vf/V=193.92/49.21
≒3.94
であって、前記4倍の感度が相当の精度を以って成立することが実験によって確認することができる。
【0050】
このように、4倍の感度が実験上裏付けられることについては、後述する他の各基本構成の場合においても変わりはない。
【0051】
基本構成(3)は、
図3に示すように、歪抵抗の測定を目的とする歪ゲージ1の接続両端子
のみに対し、可変定電流電源22及び電圧計4と直列状態にて接続している定電圧電源31が
並列状態に接続されており、かつ前記各接続両端子における可変定電流電源22の導通方向と定電圧電源31の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源22の電流値の調整によって電圧計4の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによっ
て、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
【0052】
基本構成(4)は、基本構成(3)に立脚した上で、
図4のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 歪ゲージ1と接触している測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧V
0の設定、並びに電圧計4の測定値をゼロとするような可変定電流I
0の調整、及びR
0=V
0/I
0による歪ゲージ1が備えている抵抗値R
0の設定。
2 測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計4による電圧値V
fの測定。
3 ΔR=V
f/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
【0053】
具体的な計算に即して説明するに、プロセス1において設定された定電圧V0を、抵抗R0を備えている歪ゲージ1の接続両端子に加え、当該接続両端子における電圧計4による測定値をゼロとするように可変定電流I0を調整した場合には、前記抵抗値R0の設定式からも明らかなように、
R0I0-V0=0
が成立している。
【0054】
プロセス2において、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値をΔRとした場合、当該ΔRに対応する電圧計4による測定値Vfについては、
Vf=(R0+ΔR)I0-V0
=ΔRI0
が成立し、プロセス3において、ΔRについては、
ΔR=Vf/I0
によって正確に算定され、プロセス4において、歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
によって算定されることに帰する。
【0055】
基本構成(3)に立脚している基本構成(4)においても、基本構成(2)の場合と同一の尺度による感度を設定した場合には、
Vf/ε=KI0R0
=KV0
が成立し、基本構成(2)の場合と同様の一般式が成立する。
【0056】
したがって、基本構成(4)もまた、基本構成(2)の場合と同様に、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0057】
基本構成(5)は、
図5に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の各接続両端子のうち、第1の歪ゲージ11の他方側端子と、第2の歪ゲージ12の一方側端子とを接続した上で、第1の歪ゲージ11の一方側と第2の歪ゲージ12の他方側とによる接続両端子
のみに対し、定電流電源21及び電圧計4と直列状態にて接続している可変定電圧電源32が
並列状態に接続されており、前記各接続両端子における定電流電源21の導通方向と可変定電圧電源32の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源32の電圧値の調整によって電圧計4の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路
を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
尚、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12は、同一の応力が発生する場所に配置され、このような配置によって2倍の感度による歪測定を実現することができる。
【0058】
基本構成(6)は、基本構成(5)の回路に立脚した上で、
図6のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 第1の歪ゲージ11及び当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12と接触している各測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電流I
0の設定、並びに電圧計4の測定値をゼロとするような可変定電圧V
0の調整、及びR
0=V
0/2I
0による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値R
0の設定。
2 各測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計4による電圧値V
fの測定。
3 ΔR=V
f/2I
0による各測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
【0059】
具体的な計算に即して説明するに、プロセス1において、定電流電源21の電流I0を、抵抗R0を備えている2個の歪ゲージ11、12の接続両端子を介して導通した上で、当該接続両端子における電圧計4による測定値をゼロとするように可変定電圧V0を調整することによって、前記抵抗値R0の設定式からも明らかなように、
2R0I0-V0=0
が成立する。
【0060】
プロセス2において、2個の歪ゲージ11、12に対し、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値をΔRとした場合、当該ΔRに対応する電圧計4による測定値Vfについては、
Vf=2(R0+ΔR)I0-V0
=2ΔRI0
が成立し、プロセス3において、ΔRについては、
ΔR=Vf/2I0
によって算定され、プロセス4において、歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
によって算定されることに帰する。
【0061】
基本構成(5)に立脚している基本構成(6)において、感度に関するVf/εによる尺度を設定した場合には、
Vf/ε=2KR0I0
=KV0
となり、基本構成(2)、(4)の場合と同様の一般式が成立する。
【0062】
したがって、基本構成(6)もまた、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0063】
しかも、基本構成(5)、(6)の場合には、同一規格の2個の歪ゲージ11、12につき、一挙に変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR及び発生した歪εを算定できる点に特徴を有している。
【0064】
基本構成(7)は、
図7に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の各接続両端子のうち、第1の歪ゲージ11の他方側端子を、第2の歪ゲージ12の一方側端子と接続した上で、第1の歪ゲージ11の一方側と第2の歪ゲージ12の他方側とによる接続両端子
のみに対し、可変定電流電源22及び電圧計4と直列状態にて接続している定電圧電源31が
並列状態に接続されており、前記接続両端子における可変定電流電源22の導通方向と定電圧電源31の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源22の電流値の調整によって電圧計4の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不
要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
尚、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12は、同一の応力が発生する場所に配置される。
【0065】
基本構成(8)は、基本構成(7)の回路に立脚した上で、
図8のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 第1の歪ゲージ11及び当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12と接触している各測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧V
0の設定、並びに電圧計4の測定値をゼロとするような可変定電流I
0の調整、及びR
0=V
0/2I
0による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値R
0の設定。
2 各測定対象物に対し外力が作用する状態の設定、及び当該状態における電圧計4による電圧値V
fの測定。
3 ΔR=V
f/2I
0による各測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
4 所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記原因によって発生した歪εの算定。
【0066】
具体的な計算に即して説明するに、プロセス1において設定された定電圧V0を、抵抗R0を備えている2個の歪ゲージ11、12の両端子の接続両端子に加え、当該接続両端子における電圧計4による測定圧をゼロとするように可変定電流I0を調整した場合には、前記R0の設定式からも明らかなように、
2R0I0-V0=0
が成立する。
【0067】
プロセス2において、各測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値をΔRとした場合、当該ΔRに対応する電圧計4による測定値Vfについては、
Vf=2(R0+ΔR)I0-V0
=2ΔRI0
が成立し、プロセス3においては、ΔRについては、
ΔR=Vf/2I0
によって算定され、プロセス4において、歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
によって算定されることに帰する。
【0068】
基本構成(7)に立脚している基本構成(8)において、Vf/εの尺度による感度を設定した場合には、
Vf/ε=KV0
という基本構成(6)の場合と同様の一般式が成立する。
【0069】
したがって、基本構成(8)もまた、基本構成(6)の場合と同様に、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0070】
基本構成(9a)は、
図9(a)に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12を採用し、第1の歪ゲージ11の接続両端子
のみに対し、第1の定電流電源21及び第1の電圧計41と直列状態にて接続している可変定電圧電源32と
並列状態に接続
されており、第2の歪ゲージ12の接続両端子
のみに対し、第2の定電流電源21及び第2の電圧計42と直列状態にて接続している可変定電圧電源32と
並列状態に接続
されており、第1の定電流電源21の導通方向と可変定電圧電源32の印加方向とが同一方向であり、かつ第1の電圧計41の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の定電流電源21の導通方向と可変定電圧電源32の印加方向とが同一方向であって、第2の電圧計42の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とす
る歪抵抗測定回路である。
【0071】
基本構成(9b)は、
図9(b)に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12を採用し、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の各接続両端子のうち、第1の歪ゲージ11の他方側端子と第2の歪ゲージ12の一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続した上で、第1の歪ゲージ11の一方側端子と第2の歪ゲージ12の他方側端子とによる接続両端子
のみに対し、定電流電源21が接続されると共に、第1の歪ゲージ11の接続両端子に対し、第1の電圧計41と直列状態にて接続している可変定電圧電源32が接続されており、第2の歪ゲージ12の接続両端子
のみに対し、第2の電圧計42と直列状態にて接続している可変定電圧電源32が
定電流電源21と並列状態にて接続されており、前記各接続両端子における定電流電源21の導通方向と可変定電圧電源32の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電圧電源32の電圧値の調整によって第1の電圧計41及び第2の電圧計42の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路
を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
【0072】
基本構成(10)は、基本構成(9a)又は基本構成(9b)に立脚した上で、
図10のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源21による定電流I
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとし、かつ第2の電圧計42の測定値V
20を略ゼロとするような可変定電圧V
0の調整、及びR
0=V
0/I
0による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及び第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値の近似値R
0の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 V
1x=V
2xであるか否かの判定。
6(1)V
1x=V
2xである場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V
1x=V
2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0073】
具体的な計算に即して説明するに、プロセス1において設定された定電流I0を、抵抗R0を備えている第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の接続両端子を介して導通した上で、第1の電圧計41による測定値V10をゼロとし、かつ第2の電圧計42による測定値V20を略ゼロとするように可変定電圧V0を調整した場合には、前記R0の設定式からも明らかなように、
第1の電圧計41においては、
R0I0-V10=0
及び第2の電圧計42においては、
R0I0-V20≒0
が成立している。
【0074】
第1の電圧計41及び第2の電圧計42に対し共通の可変定電圧が印加されているにも拘らず、第2の電圧計42の測定値V20につき略ゼロとするような調整が行われているのは、たとえ第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12が同一規格であったとしても、第2の電圧計42の測定値V20を第1の電圧計41の測定値V10と完全に一致させることは不可能であり、第1の電圧計41においてR0I0-V10=0が成立する場合に、第2の電圧計42において同様にR0I0-V20=0が成立することは、現実には不可能であることに由来している。
【0075】
しかしながら、第1の歪ゲージ11と第2の歪ゲージ12とが同一規格であることから、殆ど大抵の場合、第2の電圧計42による測定値V20は、第1の電圧計41による測定値V10と酷似の状況にある。
【0076】
前記酷似の状況及び第1の電圧計41による測定値V10にさえ微細な誤差が存在する可能性を考慮するならば、プロセス2以降においては、第2の電圧計42の近似式については、第1の電圧計41における式と同視して扱うことができる。
【0077】
プロセス2において、第1の電圧計41によって測定された可変定電圧V1Lは、温度変化による見かけの歪信号電圧及び温度変化による測定対象物の変形を伴う真の歪信号電圧の双方を電圧成分としている。
【0078】
これに対し、第2の電圧計42によって測定された可変定電圧V2Lは、温度変化による見かけの歪信号電圧のみを電圧成分としている。
【0079】
前記可変電圧V1L及びV2Lについては、温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した第1の歪ゲージ11の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(tr)及び温度変化によって変化した第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(T)とすることによって、以下の関係式が成立する(尚、前記ΔR(tr)の“tr”とは、変形、即ち“transformation”の略式表現に由来している。)。
【0080】
V1L=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
V2L=(R0+ΔR(T))I0
【0081】
プロセス3において、測定対象物に対する外力を原因として変化した第1の歪ゲージ11の歪ゲージ抵抗変化値をΔRとすることによって、第1の電圧計41によって測定された可変定電圧V1Lfについては、以下の関係式が成立する。
V1Lf=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T)+ΔR)I0
【0082】
プロセス3においては、第2の電圧計42によって、第1の電圧計41の場合と同様に電圧値V2Lfを測定し、かつ確認することが行われるが、当該V2Lfは、電圧値V2
Lと同一であることから、このような確認は必要不可欠ではなく、省略することができる。
【0083】
但し、電圧値V
2Lfの確認を省略した場合も、プロセス3に該当することに変わりはなく、かつこの点は、
図11、13、14、16、17、19、20に示す各基本構成(11)、(13)、(14)、(16)、(17)、(19)、(20)においても同様である(尚、前記各基本構成においては、前記省略に関する説明の繰り返しを避けることにする。)。
【0084】
プロセス4において算定された差分電圧V1xについては、
V1x=V1L-V10
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、差分電圧V2xについては、
V2x=V2L-V20
=ΔR(T)・I0
が成立する。
【0085】
したがって、プロセス5においてV1x=V2xであるか否かは、
ΔR(tr)=0
の成否によって左右される。
【0086】
プロセス6(1)のように、
V1x=V2x
であり、かつ
ΔR(tr)=0
の場合には、第1の歪ゲージ11においては、
V1L=(R0+ΔR(T))I0
が成立する。
【0087】
したがって、プロセス3によって調整されたV1Lfについては、
V1Lf=(R0+ΔR+ΔR(T))I0
=ΔRI0+V1L
が成立し、
ΔR=(V1Lf-V1L)/I0
によってΔRが算定され、プロセス7(1)のように、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
が算定されることに帰する。
【0088】
プロセス6(1)におけるV
0及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
0及びV
2LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとの関係、及びV
1LfとV
1Lとの関係は、
図22のチャート図のうちCase Aによって明瞭に確認することができる。
【0089】
プロセス6(2)のように、V1x=V2xではない場合には、
ΔR(tr)=0
は成立しない。
【0090】
然るに、プロセス2において、可変定電圧V1Lについては、
V1L=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、プロセス3において、可変定電圧V1Lfについては、
V1Lf=(R0+ΔR+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、
V1Lf-V1L=ΔR・I0
が成立する。
【0091】
したがって、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRについては、
ΔR=(V1Lf-V1L)/I0
によって算定され、前記原因によって発生した歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
によって算定されることに帰する。
【0092】
他方、V1xからV2xを差引いた更なる差分電圧V1yを設定した場合には、
V1y=V1x-V2x
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I0-ΔR(T)・I0
=ΔR(tr)・I0
が成立する。
【0093】
したがって、測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´については、
ΔR´=ΔR+ΔR(tr)
=(V1Lf-V1L+V1y)/I0
=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0
によって算定され、前記原因によって発生した歪ε´については、
ε´=(1/K)(ΔR´/R0)
によって算定されることに帰する。
【0094】
プロセス6(2)におけるV
0及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
0及びV
2LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとV
1yとの各関係、及びV
1LfとV
1LとV
1yとの各関係については、
図22のチャート図のうちCase Bによって明瞭に確認することができる。
【0095】
基本構成(10)は、プロセス5においてV1x=V2xであるか否か、即ち、
ΔR(tr)=0
が成立するか否かの判定が行われることを特徴としているが、V1x=V2xの場合には、ΔR=ΔR´の測定及び算定が、前記判定の後には第1の歪ゲージ11のみによって実現し得る点において、極めて効率的である。
【0096】
更には、基本構成(10)は、V1x=V2xではない場合において、外力のみによって変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR、及び外力及び温度変化を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の何れか一方又は双方を測定及び算定し得る点において、極めて有用である。
【0097】
基本構成(9a)又は基本構成(9b)に立脚している基本構成(10)において、測定された測定電圧に対する算定された歪との比率を尺度とする感度及び当該感度の対比は、以下の通りである。
【0098】
V1Lf及びV1Lは、何れも測定されていることから、V1Lf-V1Lは、測定電圧に立脚している。
【0099】
しかも、
(V1Lf-V1L)/ε
=KΔRI0/(ΔR/R0)
=KI0R0
が成立する。
【0100】
KI0R0は、歪ゲージ1が本来備えている抵抗値R0による電圧であって、歪が加えられていない場合の電圧に該当する。
【0101】
図24(b)のブリッジ回路においては、歪ゲージ1並びに抵抗R
0と、2個の抵抗R
0とが並列回路を形成していることから、歪が発生していない場合には、
E=(I
0/2)×2R
0
=I
0R
0
が成立し、前記(3)式については、
ΔR≒4V(R
0/I
0R
0)
と表現することができる。
【0102】
したがって、(V
1Lf-V
1L)/εを尺度とする場合には、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0103】
V1L、V10、及びV2L、V20は何れも測定値であることから、(V1Lf-V1L+V1x+V2x)は、測定値V1Lf、V1L、V10、V2L、V20に立脚している。
【0104】
このような場合、
(V1Lf-V1L+V1x+V2x)/ε´
=KΔR´R0/(ΔR´/R0)
=I0R0
が成立する。
【0105】
したがって、(V
1Lf-V
1L)/εと同様の根拠に基づいて、(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/ε´についても、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0106】
基本構成(11)は、基本構成(9a)又は基本構成(9b)に立脚した上で、
図11のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源21による定電流I
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとし、かつ第2の電圧計42の測定値V
20を略ゼロとするような可変定電圧V
0の調整、及びR
0=V
0/I
0による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及び第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値の近似値R
0の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0107】
基本構成(11)のプロセス1、2、3、4は、基本構成(10)のプロセス1、2、3、4と同一であり、成立する一般式も全く同一である。
【0108】
基本構成(11)は、基本構成(10)のプロセス5のようなV1x=V2xであるか否かの判定を経ずに、直ちに測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR及び/又は当該外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´を算定していることを特徴としている。
【0109】
ΔR及びΔR´の算定のプロセス及び根拠は、基本構成(10)のプロセス6(2)の場合と全く同一である。
【0110】
基本構成(11)は、プロセス5、6において、基本構成(10)のプロセス5の判定を不要とし、基本構成(10)のプロセス6(1)、(2)、7(1)、(2)を統一して推進することによって、効率的な測定及び算定を実現することができる。
但し、基本構成(10)のように、V1x=V2xの場合にΔR=ΔR´の測定及び算定が第1の歪ゲージ11のみによって実現し得るという特徴点を発揮することはできない。
【0111】
基本構成(11)においても、基本構成(10)の場合と同様に、
(V1Lf-V1L)/ε=KI0R0
が成立し、
(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/ε´
=KI0R0
が成立する。
【0112】
したがって、基本構成(11)もまた、基本構成(10)の場合と同様の根拠によって、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0113】
基本構成(12)は、
図12に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12を採用し、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の各接続両端子のうち、第1の歪ゲージ11の他方側端子と第2の歪ゲージ12の一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続した上で、第1の歪ゲージ11の一方側端子と第2の歪ゲージ12の他方側端子とによる接続両端子
のみに対し可変定電流電源22が接続されており、第1の歪ゲージ11の接続両端子
のみに対し、第1の電圧計41と直列状態にて接続している定電圧電源31が接続されており、第2の歪ゲージ12の接続両端子
のみに対し、第2の電圧計42と直列状態にて接続している定電圧電源31が
可変定電流電源22と並列状態にて接続されており、前記各接続両端子における可変定電流電源22の導通方向と定電圧電源31の印加方向とが同一方向であって、かつ可変定電流電源22の電流値の調整によって第1の電圧計41及び第2の電圧計42の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリッジ回路を不
要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
【0114】
基本構成(13)は、基本構成(12)に立脚した上で、
図13のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源31による定電圧V
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとし、かつ第2の電圧計42の測定値V
20を略ゼロとするような可変定電流I
0の調整、及びR
0=V
0/I
0による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及び第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値の近似値R
0の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 V
1x=V
2xであるか否かの判定。
6(1)V
1x=V
2xである場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V
1x=V
2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0115】
具体的な計算に即して説明するに、プロセス1において設定された定電圧V0を、抵抗R0を備えている第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の接続両端子を介して印加した上で、第1の電圧計41による測定値V10をゼロとし、かつ第2の電圧計42による測定値V20を略ゼロとするように可変定電流I0を調整した場合には、前記R0の設定式からも明らかなように、
第1の電圧計41においては、
R0I0-V10=0
及び第2の電圧計42においては、
R0I0-V20≒0
が成立している。
【0116】
第2の電圧計42における測定値V20の場合には、近似値として成立すること、更には第2の電圧計42における測定値V20が第1の電圧計41における測定値V10と酷似しており、プロセス2以下においては、近似式を正式の一般式と同視し得ることについては、基本構成(10)において説明した通りである。
【0117】
プロセス2において、第1の電圧計41によって測定された可変定電圧V1Lが、温度変化による見かけの歪信号電圧及び温度変化による測定対象物の変形を伴う真の歪信号電圧の双方を電圧成分としており、第2の電圧計42によって測定された可変定電圧V2Lが、温度変化による見かけの歪信号電圧のみを電圧成分としていることについては、基本構成(10)の場合と同様である。
【0118】
基本構成(10)の場合と同様に、温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した第1の歪ゲージ11の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(tr)及び温度変化によって変化した第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(T)とした場合には、
V1L=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
V2L=(R0+ΔR(T))I0
が成立する。
【0119】
プロセス3において、測定対象物に対する外力を原因として変化した第1の歪ゲージ11の歪ゲージ抵抗変化値をΔRとすることによって、第1の電圧計41によって測定された可変定電圧V1Lfについては、以下の関係式が成立する。
V1Lf=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T)+ΔR)I0
【0120】
プロセス4において算定された差分電圧V1xについては、
V1x=V1L-V10
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、差分電圧V2xについては、
V2x=V2L-V20
=ΔR(T)・I0
が成立する。
【0121】
したがって、プロセス5においてV1x=V2xであるか否かは、
ΔR(tr)=0
の成否によって左右される。
【0122】
プロセス6(1)のように、
V1x=V2x
であり、かつ
ΔR(tr)=0
の場合には、第1の歪ゲージ11においては、
V1L=(R0+ΔR(T))I0
が成立する。
【0123】
したがって、プロセス3によって調整されたV1Lfについては、
V1Lf=(R0+ΔR+ΔR(T))I0
=ΔRI0+V1L
が成立し、
ΔR=(V1Lf-V1L)/I0
によってΔRが算定され、プロセス7(1)のように、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
が算定されることに帰する。
【0124】
プロセス6(1)におけるV
10及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
20及びV
2
LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとの関係、及びV
1LfとV
1Lとの関係は、
図22のチャート図のうちCase Aによって明瞭に確認することができる。
【0125】
プロセス6(2)のように、V1x=V2xではない場合には、
ΔR(tr)=0
は成立しない。
【0126】
然るに、プロセス2において、可変定電圧V1Lについては、
V1L=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、プロセス3において、可変定電圧V1Lfについては、
V1Lf=(R0+ΔR+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、
V1Lf-V1L=ΔR・I0
が成立する。
【0127】
したがって、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRについては、
ΔR=(V1Lf-V1L)/I0
によって算定され、前記原因によって発生した歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
によって算定されることに帰する。
【0128】
他方、V1xからV2xを差引いた更なる差分電圧V1yを設定した場合には、
V1y=V1x-V2x
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I0-ΔR(T)・I0
=ΔR(tr)・I0
が成立する。
【0129】
したがって、測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´については、
ΔR´=ΔR+ΔR(tr)
=(V1Lf-V1L+V1y)/I0
=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0
によって算定され、前記原因によって発生した歪ε´については、
ε´=(1/K)(ΔR´/R0)
によって算定されることに帰する。
【0130】
プロセス6(2)におけるV
10及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
20及びV
2
LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとV
1yとの各関係、及びV
1LfとV
1LとV
1yとの各関係については、
図22のチャート図のうちCase Bによって明瞭に確認することができる。
【0131】
基本構成(13)は、プロセス5においてV1x=V2xであるか否か、即ち、
ΔR(tr)=0
が成立するか否かの判定が行われることを特徴としているが、V1x=V2xの場合には、ΔR=ΔR´の測定及び算定が、前記判定の後には第1の歪ゲージ11のみによって実現し得る点において、極めて効率的である。
【0132】
更には、基本構成(13)は、V1x=V2xではない場合において、外力のみによって変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR、及び外力及び変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の何れか一方又は双方を測定及び算定し得る点において、極めて有用である。
【0133】
基本構成(13)においても、
(V1Lf-V1L)/ε=KI0R0
が成立し、
(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/ε´
=KI0R0
が成立する。
【0134】
したがって、基本構成(13)もまた、基本構成(10)の場合と同様の根拠によって、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0135】
基本構成(14)は、基本構成(12)に立脚した上で、
図14のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源31による定電圧V
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとし、かつ第2の電圧計42の測定値V
20を略ゼロとするような可変定電流I
0の調整、及びR
0=V
0/I
0による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及び第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値の近似値R
0の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0136】
基本構成(14)のプロセス1、2、3、4は、基本構成(13)のプロセス1、2、3、4と同一であり、成立する一般式も全く同一である。
【0137】
基本構成(14)は、基本構成(13)のプロセス5のようなV1x=V2xであるか否かの判定を経ずに、直ちに測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR及び/又は当該外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´を算定していることを特徴としている。
【0138】
ΔR及びΔR´の算定のプロセス及び根拠は、基本構成(13)のプロセス6(2)の場合と全く同一である。
【0139】
基本構成(14)は、プロセス5、6において、基本構成(13)のプロセス5の判定を不要とし、基本構成(13)のプロセス6(1)、(2)、7(1)、(2)を統一して推進することによって、効率的な測定及び算定を実現することができる。
但し、基本構成(13)のように、V1x=V2xの場合にΔR=ΔR´の測定及び算定が第1の歪ゲージ11のみによって実現し得るという特徴点を発揮することはできない。
【0140】
基本構成(14)においても、
(V1Lf-V1L)/ε=KI0R0
が成立し、
(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/ε´
=KI0R0
が成立する。
【0141】
したがって、基本構成(14)もまた、基本構成(10)の場合と同様の根拠によって、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0142】
基本構成(15)は、
図15に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12を採用し、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の各接続両端子のうち、第1の歪ゲージ11の他方側端子と第2の歪ゲージ12の一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続し、第1の歪ゲージ11の一方側端子及び第2の歪ゲージ12の他方側端子による接続両端子
のみに対し、定電流電源21が接続されており、第1の歪ゲージ11の接続両端子
のみに対し、第1の電圧計41と直列状態にて接続している第1の可変定電圧電源32が接続されており、第2の歪ゲージ12の接続両端子
のみに対し、第2の電圧計42と直列状態にて接続している第2の可変定電圧電源32が接続されており、前記各接続両端子における定電流電源21の導通方向と第1の可変定電圧電源32及び第2の可変定電圧電源32の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電圧電源32の電圧値の調整によって第1の電圧計41の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の可変定電圧電源32の電圧値の調整によって第2の電圧計42の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、
ホイートストンブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
【0143】
基本構成(16)は、基本構成(15)に立脚した上で、
図16のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源21による定電流I
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとするような可変定電圧V
10の調整、及び第2の電圧計42の測定値V
20をゼロとするような可変定電圧V
20の調整、及びR
0=V
10/I
0による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及びR
0´=V
20/I
0による第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値R
0´であって前記R
0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 V
1x=V
2xであるか否かの判定。
6(1)V
1x=V
2xである場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V
1x=V
2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0144】
具体的な計算に即して説明するに、プロセス1において設定された定電流I0を、抵抗R0を備えている第1の歪ゲージ11及び抵抗R0の近似値である抵抗R0´を備えている第2の歪ゲージ12の接続両端子を介して導通した上で、第1の電圧計41による測定値V10をゼロとするように可変定電圧V10を調整し、かつ第2の電圧計42による測定値V20をゼロとするように可変定電圧V20を調整した場合には、前記R0の設定式からも明らかなように、
第1の電圧計41においては、
R0I0-V10=0
及び第2の電圧計42においては、
R0´I0-V20=0
が成立している。
【0145】
尚、基本構成(16)においては、
図15に示すように、2個の可変定電圧電源32を採用していることから、第2の電圧計42における前記式は、近似式ではなく、その点において基本構成(10)の場合と相違している。
【0146】
プロセス2において、第1の電圧計41によって測定された可変定電圧V1Lが、温度変化による見かけの歪信号電圧及び温度変化による測定対象物の変形を伴う真の歪信号電圧の双方を電圧成分としており、第2の電圧計42によって測定された可変定電圧V2Lが、温度変化による見かけの歪信号電圧のみを電圧成分としていることについては、基本構成(10)の場合と同様である。
【0147】
基本構成(10)の場合と同様に、温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した第1の歪ゲージ11の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(tr)及び温度変化によって変化した第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(T)とした場合には、
V1L=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
V2L=(R0´+ΔR(T))I0
が成立する。
尚、抵抗値R0´が抵抗値R0と酷似していることを考慮するならば、前記V2Lについては、
V2L=(R0+ΔR(T))I0
と評価することができる。
【0148】
プロセス3において、測定対象物に対する外力を原因として変化した第1の歪ゲージ11の歪ゲージ抵抗変化値をΔRとすることによって、第1の電圧計41によって測定された可変定電圧V1Lfについては、以下の関係式が成立する。
V1Lf=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T)+ΔR)I0
【0149】
プロセス4において算定された差分電圧V1xについては、
V1x=V1L-V10
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、差分電圧V2xについては、
V2x=ΔR(T)・I0
が成立する。
【0150】
したがって、プロセス5においてV1x=V2xであるか否かは、
ΔR(tr)=0
の成否によって左右される。
【0151】
プロセス6(1)のように、
V1x=V2x
であり、かつ
ΔR(tr)=0
の場合には、第1の歪ゲージ11においては、
V1L=(R0+ΔR(T))I0
が成立する。
【0152】
したがって、プロセス3によって調整されたV1Lfについては、
V1Lf=(R0+ΔR+ΔR(T))I0
=ΔRI0+V1L
が成立し、
ΔR=(V1Lf-V1L)/I0
によってΔRが算定され、プロセス7(1)のように、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
が算定されることに帰する。
【0153】
プロセス6(1)におけるV
10及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
20及びV
2
LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとの関係、及びV
1LfとV
1Lとの関係は、
図23のチャート図のうちCase Aによって明瞭に確認することができる。
【0154】
プロセス6(2)のように、V1x=V2xではない場合には、
ΔR(tr)=0
は成立しない。
【0155】
然るに、プロセス2において、可変定電圧V1Lについては、
V1L=(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、プロセス3において、可変定電圧V1Lfについては、
V1Lf=(R0+ΔR+ΔR(tr)+ΔR(T))I0
が成立し、
V1Lf-V1L=ΔR・I0
が成立する。
【0156】
したがって、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRについては、
ΔR=(V1Lf-V1L)/I0
によって算定され、前記原因によって発生した歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
によって算定されることに帰する。
【0157】
他方、V1xからV2xを差引いた更なる差分電圧V1yを設定した場合には、
V1y=V1x-V2x
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I0-ΔR(T)・I0
=ΔR(tr)・I0
が成立する。
【0158】
したがって、測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´については、
ΔR´=ΔR+ΔR(tr)
=(V1Lf-V1L+V1y)/I0
=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I0
によって算定され、前記原因によって発生した歪ε´については、
ε´=(1/K)(ΔR´/R0)
によって算定されることに帰する。
【0159】
プロセス6(2)におけるV
10及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
20及びV
2
LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとの関係、及びV
1LfとV
1Lとの関係は、
図23のチャート図のうちCase Bによって明瞭に確認することができる。
【0160】
基本構成(16)は、プロセス5においてV1x=V2xであるか否か、即ち、
ΔR(tr)=0
が成立するか否かの判定が行われることを特徴としているが、V1x=V2xの場合には、ΔR=ΔR´の測定及び算定が、前記判定の後には第1の歪ゲージ11のみによって実現し得る点において、極めて効率的である。
【0161】
更には、基本構成(16)は、V1x=V2xではない場合において、外力のみによって変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR、及び外力及び変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の何れか一方又は双方を測定及び算定し得る点において、極めて有用である。
【0162】
基本構成(16)においても、
(V1Lf-V1L)/ε=KI0R0
が成立し、
(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/ε´
=KI0R0
が成立する。
【0163】
したがって、基本構成(16)もまた、基本構成(10)の場合と同様の根拠によって、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0164】
基本構成(17)は、基本構成(15)に立脚した上で、
図17のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における第1及び第2の各定電流電源21による定電流I
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとするような可変定電圧V
10の調整、及び第2の電圧計42の測定値V
20をゼロとするような可変定電圧V
20の調整、及びR
0=V
10/I
0による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及びR
0´=V
20/I
0による第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値R
0´であって前記R
0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
0による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
0による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0165】
基本構成(17)のプロセス1、2、3、4は、基本構成(16)のプロセス1、2、3、4と同一であり、成立する一般式も全く同一である。
【0166】
基本構成(17)は、基本構成(16)のプロセス5のようなV1x=V2xであるか否かの判定を経ずに、直ちに測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR及び/又は当該外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´を算定していることを特徴としている。
【0167】
ΔR及びΔR´の算定のプロセス及び根拠は、基本構成(16)のプロセス6(2)の場合と全く同一である。
【0168】
基本構成(17)は、プロセス5、6において、基本構成(16)のプロセス5の判定を不要とし、基本構成(16)のプロセス6(1)、(2)、7(1)、(2)を統一して推進することによって、効率的な測定及び算定を実現することができる。
但し、基本構成(16)のように、V1x=V2xの場合にΔR=ΔR´の測定及び算定が第1の歪ゲージ11のみによって実現し得るという特徴点を発揮することはできない。
【0169】
基本構成(17)においても、
(V1Lf-V1L)/ε
=KI0R0
が成立し、
(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/ε´
=KI0R0
が成立する。
【0170】
したがって、基本構成(17)もまた、基本構成(10)の場合と同様の根拠によって、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0171】
基本構成(18a)は、
図18(a)に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12を採用し、第1の歪ゲージ11の接続両端子
のみに対し、第1の可変定電流電源22及び第1の電圧計41と直列状態にて接続している定電圧電源31が
並列状態に接続されており、第2の歪ゲージ12の接続両端子
のみに対し、第2の可変定電流電源22及び第2の電圧計42と直列状態にて接続している定電圧電源31が
並列状態に接続されており、第1の歪ゲージ11の前記各接続両端子における第1の可変定電流電源22の導通方向と定電圧電源31の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電流電源22の電流値を調整することによって第1の電圧計41の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージ12の前記各接続両端子における第2の可変定電流電源22の導通方向と定電圧電源31の印加方向とが同一方向であって、かつ第2の可変定電流電源22の電流値の調整によって第2の電圧計42の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストン
ブリッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
【0172】
基本構成(18b)は、
図18(b)に示すように、歪抵抗の測定を目的とする2個の同一規格による第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12を採用し、第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の各接続両端子のうち、第1の歪ゲージ11の他方側端子と第2の歪ゲージ12の一方側端子とをアースに接続すると共に相互に接続し、第1の歪ゲージ11の接続両端子
のみに対し、第1の可変定電流電源22及び第1の電圧計41と直列状態にて接続している定電圧電源31が
並列状態に接続されており、第2の歪ゲージ12の接続両端子
のみに対し、第2の可変定電流電源22及び第2の電圧計42と直列状態にて接続している定電圧電源31が
並列状態に接続されており、第1の歪ゲージ11の前記各接続両端子における第1の可変定電流電源22の導通方向と定電圧電源31の印加方向とが同一方向であって、かつ第1の可変定電流電源22の電流値の調整によって第1の電圧計41の測定値をゼロと設定することが可能であると共に、第2の歪ゲージ12の前記各接続両端子における第2の可変定電流電源22の導通方向と定電圧電源31の印加方向とが同一方向であって、かつ第2の可変定電流電源22の電流値の調整によって第2の電圧計42の測定値をゼロと設定すること
を可能
とすることによって、ホイートストンブリ
ッジ回路を不要とすることを特徴とする歪抵抗測定回路である。
【0173】
基本構成(19)は、基本構成(18a)又は基本構成(18b)に立脚した上で、
図19のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源31における定電圧V
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとするような可変定電流I
10の調整、及び第2の電圧計42の測定値V
20をゼロとするような可変定電流I
20の調整、及びR
0=V
0/I
10による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及びR
0´=V
0/I
20による第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値R
0´であって前記R
0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41における電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42における電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 V
1x=V
2xであるか否かの判定。
6(1)V
1x=V
2xである場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
10による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
10による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
10による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
7(1)V
1x=V
2xである場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定した上で、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定。
(2)V
1x=V
2xではない場合に、所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0174】
具体的な計算に即して説明するに、プロセス1において設定された定電圧V0を、抵抗R0を備えている第1の歪ゲージ11及び抵抗R0の近似値である抵抗R0´を備えている第2の歪ゲージ12の接続両端子を介して加えた上で、第1の電圧計41による測定値V10をゼロとするように可変定電流I10を調整し、かつ第2の電圧計42による測定値V20をゼロとするように可変定電流I20を調整した場合には、前記R0の設定式からも明らかなように、
第1の電圧計41においては、
V10-R0I10=0
及び第2の電圧計42においては、
V20-R0´I20=0
が成立している。
【0175】
尚、基本構成(19)においては、
図18(a)及び
図18(b)に示すように、2個の可変定電流電源22を採用していることから、第2の電圧計42における前記式は、近似式ではなく、その点において基本構成(13)の場合と相違している。
【0176】
プロセス2において、第1の電圧計41によって測定された電圧値V1Lが、温度変化による見かけの歪信号電圧及び温度変化による測定対象物の変形を伴う真の歪信号電圧の双方を電圧成分としており、第2の電圧計42によって測定された電圧値V2Lが、温度変化による見かけの歪信号電圧のみを電圧成分としていることについては、基本構成(13)の場合と同様である。
【0177】
基本構成(13)の場合と同様に、温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した第1の歪ゲージ11の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(tr)及び温度変化によって変化した第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の歪ゲージ抵抗変化値をΔR(T)とした上で、第1の電圧計41における電圧値V1Lを測定した場合には、
(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))I10-V1L=0
が成立し、ΔR(T)に対応して、第2の電圧計42における電圧値V2Lを測定した場合には、
(R0´+ΔR(T))・I20-V2L=0
が成立する。
但し、抵抗値R0´が抵抗値R0と酷似していることを考慮するならば、上記関係式については、
(R0+ΔR(T))・I20-V2L=0
と評価することができる。
【0178】
プロセス3において、基本構成(13)の場合と同様に、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値をΔRとし、かつΔRに対応して、第1の電圧計41による電圧値V1Lfを測定した場合には、
(R0+ΔR+ΔR(tr)+ΔR(T))I10-V1Lf=0
が成立する。
【0179】
プロセス4において算定された差分電圧V1xについては、
V1x=V1L-V10
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I10
が成立し、算定された差分電圧V2xについては、
V2x=V2L-V20
=ΔR(T)I20
が成立する。
【0180】
プロセス5においてV1x=V2xであるか否かは、基本構成(13)の場合と同様に、
ΔR(tr)=0
の成否によって左右される。
【0181】
プロセス6(1)のように、V1x=V2xであり、かつ
ΔR(tr)=0
が成立している。
【0182】
しかも、第1の歪ゲージ11における測定値のみによって、
R0+ΔR(T)=V1L/I10
が成立する。
【0183】
したがって、測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRについては、
ΔR=R0+ΔR+ΔR(T)-(R0+ΔR(T))
=V1Lf/I10-V1L/I10
によって算定され、プロセス7(1)のように、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
が算定されることに帰する。
【0184】
プロセス6(1)におけるV
10及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
20及びV
2
LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとの関係、及びV
1LfとV
1Lとの関係は、
図23のチャート図のうちCase Aによって明瞭に確認することができる。
【0185】
プロセス6(2)のように、V1x=V2xではない場合には、
ΔR(tr)=0
は成立しない
【0186】
しかしながら、各差分電圧の算定からも明らかなように、
ΔR=R0+ΔR+ΔR(tr)+ΔR(T)-(R0+ΔR(tr)+ΔR(T))
=V1Lf/I10-V1L/I10
が必然的に成立する。
【0187】
したがって、測定対象物に対する外力を原因として発生した歪εについては、
ε=(1/K)(ΔR/R0)
によって算定されることに帰する。
【0188】
第1の電圧計41の測定値をゼロとする電圧値V10と、第2の電圧計42の測定値をゼロとするような電圧値V20は酷似の状況にある。
【0189】
したがって、可変定電流I10と可変定電流I20もまた酷似の状態にあり、
I10=I20
が成立するものと見做すことができ、測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR(tr)に関し、以下の関係式を得ることができる。
【0190】
V1y=V1x-V2x
=(ΔR(tr)+ΔR(T))I10-ΔR(T)・I20
=ΔR(tr)・I10
【0191】
したがって、ΔR´については、
ΔR´=ΔR+ΔR(tr)
=(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/I10
によって算定され、前記原因によって発生した歪ε´については、
ε´=(1/K)(ΔR´/R0)
によって算定されることに帰する。
【0192】
プロセス6(2)におけるV
10及びV
1LとV
1xとの関係、並びにV
20及びV
2
LとV
2xとの関係、更にはV
1xとV
2xとの関係、及びV
1LfとV
1Lとの関係は、
図23のチャート図のうちCase Bによって明瞭に確認することができる。
【0193】
基本構成(19)もまた、V1x=V2xであるか否か、即ち、
ΔR(tr)=0
が成立するか否かの判定が行われることを特徴としているが、V1x=V2xの場合には、ΔR=ΔR´の測定及び算定が前記判定の後に第1の歪ゲージ11のみによって実現し得る点において、極めて効率的である。
【0194】
更には、基本構成(19)は、V1x=V2xではない場合において、ΔR及びΔR´の双方又は何れか一方を算定し得る点において、極めて有用である。
【0195】
基本構成(19)においても、
(V1Lf-V1L)/ε
=KI0R0
が成立し、
(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/ε´
=KI0R0
が成立する。
【0196】
したがって、基本構成(19)もまた、基本構成(10)の場合と同様の根拠によって、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0197】
基本構成(20)は、基本構成(18a)又は基本構成(18b)に立脚した上で、
図20のフローチャートに示すように、以下のプロセスによって、第1の歪ゲージ11において変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を測定及び算定している。
1 常温又は環境の変化に伴う温度変化がある場合に、第1の歪ゲージ11を測定対象物と接触した状態とし、かつ当該第1の歪ゲージ11と同一の規格による構成を備えている第2の歪ゲージ12を測定対象物と接触していない状態とするか、又は外力が作用しても歪が発生しない場所に設置されている測定対象物に接触した状態とした上で、常温にて測定対象物に対し外力が作用していない状態における定電圧電源31における定電圧V
0の設定、並びに第1の電圧計41の測定値V
10をゼロとするような可変定電流I
10の調整、及び第2の電圧計42の測定値V
20をゼロとするような可変定電流I
20の調整、及びR
0=V
0/I
10による第1の歪ゲージ11が備えている抵抗値R
0の設定、及びR
0´=V
0/I
20による第2の歪ゲージ12が備えている抵抗値R
0´であって前記R
0に対する近似値の設定。
2 第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対し環境変化に伴う温度変化の状態の設定、及び第1の電圧計41における電圧値V
1Lの測定、並びに第2の電圧計42における電圧値V
2Lの測定。
3 測定対象物に対する外力の作用、及び第1の電圧計41による電圧値V
1Lfの測定、並びに第2の電圧計42による電圧値V
2Lと同一値である電圧値V
2Lfの確認。
4 第1の歪ゲージ11におけるV
1x=V
1L-V
10という差分電圧の算定、及び第2の歪ゲージ12におけるV
2x=V
2L-V
20という差分電圧の算定。
5 ΔR=(V
1Lf-V
1L)/I
10による測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔRの算定、及び/又はΔR´=(V
1Lf-V
1L+V
1x-V
2x)/I
10による測定対象物に対する外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´の算定。
6 所定の数値によるゲージ率Kを設定したうえで、ε=(1/K)(ΔR/R
0)という前記ΔRにおける原因によって発生した歪εの算定、及び/又はε´=(1/K)(ΔR´/R
0)という前記ΔR´における原因によって発生した歪ε´の算定。
【0198】
基本構成(20)のプロセス1、2、3、4は、基本構成(19)のプロセス1、2、3、4と同一であり、成立する一般式も全く同一である。
【0199】
基本構成(20)は、基本構成(19)のプロセス5のようなV1x=V2xであるか否かの判定を経ずに、直ちに測定対象物に対する外力を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR及び/又は当該外力及び温度変化に伴う測定対象物の変形を原因として変化した歪ゲージ抵抗変化値ΔR´を算定していることを特徴としている。
【0200】
ΔR及びΔR´の算定のプロセス及び根拠は、基本構成(19)のプロセス6(2)の場合と全く同一である。
【0201】
基本構成(20)は、プロセス5、6において、基本構成(19)のようなV1x=V2xの成否という判定を不要とし、基本構成(19)のプロセス6(1)、(2)、7(1)、(2)を統一して推進することによって、効率的な測定及び算定を実現することができる。
但し、基本構成(19)のように、V1x=V2xの場合にΔR=ΔR´の測定及び算定が第1の歪ゲージ11のみによって実現し得るという特徴点を発揮することはできない。
【0202】
基本構成(20)においても、
(V1Lf-V1L)/ε
=KI0R0
が成立し、
(V1Lf-V1L+V1x-V2x)/ε´
=KI0R0
が成立する。
【0203】
したがって、基本構成(20)もまた、基本構成(10)の場合と同様の根拠によって、
図24(b)のブリッジ回路においてV/εによる尺度を設定した場合に比し、4倍の感度を確保することができる。
【0204】
以下、実施例にしたがって説明する。
【実施例】
【0205】
可変定電圧電源32の従来技術としては様々な構成が存在するが、通常、可変抵抗素子だけでなく、電圧値を可変状態に調整するための制御回路等を必要としており、これらを備えるために相当のコストを必要とする。
【0206】
実施例は、基本構成(1)、(5)、(9a)、(9b)、(15)の
何れかの歪抵抗測定回路であって、可変定電圧電源32
は、
図21に示すように、定電圧Eが設定されている定電圧電源31が可変抵抗素子5の両端と接続すると共に、当該可変抵抗素子5の出力側において、歪ゲージ1又は第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の接続両端子のうちの一方側端子が可変抵抗素子5の一方側端と接続し、かつ他方側端子が可変抵抗素子5に対しスライド自在の状態にて接続し、かつ歪ゲージ1の接続両端子との間に電圧計4が可変抵抗素子5と並列状態にて接続されていることを特徴としている。
【0207】
前記構成によって可変定電圧が形成される根拠について説明するに、電圧計4が備えている内部抵抗、即ち内部インピーダンスR0の抵抗値はGΩのオーダーであって、歪ゲージ1又は第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12に対して電圧計4を介して導通する電流を無視することができる。
【0208】
したがって、
図21に示すように、可変抵抗素子rにつき、xの領域と1-xの領域とに区分し、かつ当該xの領域と、電圧計4及び歪ゲージ1又は第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12とが並列回路を形成した場合には、歪ゲージ1又は第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12と電圧計4との
並列回路
に加えられる可変定電圧V
0については、前記R
0が可変抵抗5の最大値rよりも圧倒的に大きいことを考慮するならば、
V
0={xrR
0E/(xr+R
0)}/{(1-x)r+xrR
0/(xr+R
0)}
≒xrE/{(1-x)r+xr}
=xE
が成立する。
【0209】
前記可変定電圧V0の殆ど全ては、抵抗R0を有する電圧計4に加えられている。
【0210】
例えば、
図2のフローチャートによる基本構成(2)において、プロセス1において設定された定電流I
0を歪ゲージ1又は第1の歪ゲージ11及び第2の歪ゲージ12の接続両端子に導通し、しかも電圧計4の測定値がゼロとなるように可変抵抗素子5を調整した場合には、
R
0I
0=V
0
が成立するように、xが調整されることに帰する。
【0211】
しかも、前記のような電圧のバランスは、
図6、10、11、16、17の各フローチャートによって、それぞれ示す基本構成(6)、(10)、(11)、(16)、(17)においても成立する。
【0212】
即ち、
図21に示す可変定電圧電源32によって、前記各基本構成の方法の実施を可能としているが、前記xが正確に調整可能であることは、安定した状態にて可変定電圧を設定することが可能であることを裏付けている。
【0213】
このように、実施例においては、電圧計4と可変抵抗素子5という受動素子のみによって、可変定電圧電源32を形成することができ、従来技術の可変定電圧電源32の回路よりも経済コスト上極めて有利である。
【産業上の利用可能性】
【0214】
このように、本発明においては、ブリッジ回路を採用せずに、定電流電源と可変定電圧電源との組み合わせ及び定電圧電源と可変定電流電源との組み合わせを採用することによって変化した歪ゲージ抵抗変化値及び発生した歪を正確に測定及び算定し得るだけでなく、温度変化によって歪ゲージの温度が変化したとしても、純然たる外力の作用によって変化した歪ゲージ抵抗変化値及び前記歪を正確に測定及び算定し得ること、更には、従来技術である
図24(b)のブリッジ回路による歪測定に比し、4倍の感度を確保し得ることによって歪の測定分野において画期的意義を有しており、その結果、広範な利用範囲を期待することができる。
【符号の説明】
【0215】
1 歪ゲージ
11 第1の歪ゲージ
12 第2の歪ゲージ
21 定電流電源
22 可変定電流電源
31 定電圧電源
32 可変定電圧電源
4 電圧計
41 第1の電圧計
42 第2の電圧計
5 可変抵抗及び可変抵抗素子