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特許7254460電子吸収変調器用の電子吸収バイアス回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】電子吸収変調器用の電子吸収バイアス回路
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/015 20060101AFI20230403BHJP
   G02F 1/025 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
G02F1/015 502
G02F1/025
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018144423
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2019049695
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】62/550,511
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/987,515
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515288122
【氏名又は名称】ルーメンタム オペレーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Lumentum Operations LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】リカルド サード
(72)【発明者】
【氏名】リンダ リュー
(72)【発明者】
【氏名】ユー-チン フシュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーサム クマール
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-076776(JP,A)
【文献】特開2004-061556(JP,A)
【文献】特開2011-086683(JP,A)
【文献】特開2012-168410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0075549(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサと、
前記温度センサから受信されるデータに基づいて温度依存制御信号を提供するコントローラと、
前記コントローラからの温度依存制御信号に基づいて出力電圧を供給する電源と、
前記電源により提供される出力電圧及び前記コントローラから受信される別の制御信号に基づいてバイアス電圧を出力する電子吸収駆動回路と、
を備える、電子吸収バイアス回路。
【請求項2】
前記別の制御信号は前記温度センサから受信されるデータに基づいて決定される別の温度依存制御信号である、請求項1に記載の電子吸収バイアス回路。
【請求項3】
前記コントローラは更に、前記データに基づいて温度の変化を特定し、前記温度依存制御信号を前記温度の変化の特定に基づいて前記電源の出力電圧の絶対値を変化するように決定する、請求項1に記載の電子吸収バイアス回路。
【請求項4】
前記電源は負電源である、請求項1に記載の電子吸収バイアス回路。
【請求項5】
前記出力電圧は、電子吸収変調器の温度の関数である直流出力電圧である、請求項1に記載の電子吸収バイアス回路。
【請求項6】
前記温度センサから受信されるデータは電子吸収変調器の温度に関する温度データである、請求項1に記載の電子吸収バイアス回路。
【請求項7】
前記温度依存制御信号は前記電子吸収駆動回路により消費電力又はワット損を減少させる、請求項1に記載の電子吸収バイアス回路。
【請求項8】
制御デバイスで入力データを受信するステップであって、前記入力データはレーザダイオード及び電子吸収変調器と関連する温度を特定する情報を含む、ステップと、
前記制御デバイスにより電源及び駆動回路のための一組の制御信号を決定するステップであって、前記一組の制御信号は前記電子吸収変調器に供給されるバイアスを前記温度に基づいて変化させる、ステップと、
前記一組の制御信号を前記電源及び前記駆動回路に提供して前記駆動回路に供給される前記電源の出力電圧を前記温度に基づいて変化させるとともに、前記駆動回路により供給されるバイアスを前記温度に基づいて変化させるステップと、
を含む方法。
【請求項9】
前記一組の制御信号を決定するステップは、
前記入力データに基づいて温度の低下を特定するステップと、
前記一組の制御信号を前記温度の低下の特定に基づいて前記電源の出力電圧の絶対値を増加させるように決定するステップと、
を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記一組の制御信号を決定するステップは、
前記入力データに基づいて前記温度の増加を特定するステップと、
前記一組の制御信号を前記温度の増加の特定に基づいて前記電源の出力電圧の絶対値を減少させるように決定するステップと、
を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記電源は直流負電圧電源である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記レーザダイオードは少なくとも100ギガビット/秒のデータレートと関連する光トランシーバに含まれている、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記一組の制御信号は前記出力電圧を温度に基づいて変化させ、温度に基づいて変化しない一定の出力電圧と比較して、消費電力の低減又はワット損の低減の少なくとも一つをもたらす、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子吸収変調器用の電子吸収バイアス回路に関する。より詳しくは、本開示のいくつかの態様は、光デバイス、例えば光トランシーバ、光サブシステム、光サブアセンブリ等、のワット損要件又は消費電力を低減するために、電子吸収駆動回路への可変負電圧電源の出力電圧を電子吸収変調器の温度に基づいて動的に調整する電子吸収変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムは高速長距離光通信に使用することができる。光通信システムの光デバイスは送信機を含み得る。或いは、光デバイスはトランシーバを含み得る。光デバイスはビームを提供するレーザを含み得る。例えば、光デバイスは分布帰還型レーザ、レーザダイオード、及び/又は同種のものを含み得る。レーザはそのビームを光通信のために変調するために変調器に光学的に結合され得る。場合によっては、レーザは変調されたビームを提供する有向DFBレーザを含み得る。或いは、DFBレーザに電子吸収変調器を結合し、電界を印加してビームを変調し、変調されたビームを提供することができる。
【0003】
電子吸収変調器は電子吸収変調器のバイアスを制御するために電子吸収バイアス回路に結合することができる。電子吸収バイアス回路は、電源から入力電圧を受電し、バイアス電圧を電子吸収変調器に提供する電子吸収駆動回路を含むことができる。コントローラ又は他のタイプの処理装置(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ等)又は回路が電子吸収駆動回路を制御する信号を供給することができる。コントローラはその信号を電子吸収駆動回路に供給し、電子吸収駆動回路に電子吸収変調器に提供されるバイアス電圧を調整させることができる。
【0004】
コントローラは電子吸収駆動回路に供給する前記信号をセンサ(例えば、コントローラ内部のセンサ、コントローラ外部のセンサ等)からのセンサ信号に基づいて決定することができる。例えば、電子吸収変調器を含む光学パッケージの動作温度が閾値より低いとき、コントローラは温度センサからセンサ信号を受信し得る。この場合には、コントローラは電子吸収駆動回路に信号を供給して電子吸収駆動回路により提供されるバイアス電圧を閾値電圧より低く減少させることができる(即ち、バイアス電圧はより大きい負に調整される)。同様に、動作温度が閾値より大きいときは、電子吸収駆動回路により提供されるバイアス電圧は閾値電圧より大きく増加され得る(バイアス電圧はより小さい負に調整される)。電子吸収変調器は、受電するバイアス電圧に基づいて、ビームを変調して変調ビームを発生し、その変調ビームは光通信のために提供される。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの可能な実施形態によれば、電子吸収バイアス回路は温度センサを含むことができる。前記電子吸収バイアス回路は、前記温度センサから受信されるデータに基づいて温度依存制御信号を提供するコントローラを含むことができる。前記電子吸収バイアス回路は前記コントローラからの温度依存制御信号に基づいて出力電圧を提供する電源を含むことができる。前記電子吸収バイアス回路は前記電源により提供される出力電圧に加えられるバイアス電圧を出力する電子吸収駆動回路を含むことができる。
【0006】
いくつかの可能な実施形態によれば、光デバイスは制御デバイスを含むことができる。前記光デバイスは変調器バイアス回路を含むことができる。前記変調器バイアス回路は、前記光デバイスと関連する温度の関数である負電圧を提供する可変負電圧源を含むことができる。前記負電圧源は前記制御デバイスから制御信号を受信し、前記可変負電圧源により提供される負電圧を制御することができる。前記光デバイスは送信光サブアセンブリ(TOAS)を含むことができる。TOSAはビームを提供するためにレーザダイオードを含むことができる。TOSAは前記負電圧に基づいて前記ビームを変調するために電子吸収変調器を含むことができる。
【0007】
いくつかの可能な実施形態によれば、方法は制御デバイスにより入力データを受信するステップを含むことができる。前記入力データはレーザダイオード及び電子吸収変調器と関連する温度を特定する情報を含むことができる。前記方法は、電源及び駆動回路のための一組の制御信号を前記制御デバイスにより決定するステップを含むことができる。前記一組の制御信号は前記電子吸収変調器に供給されるバイアスを前記温度に基づいて変化させることができる。前記方法は前記一組の制御信号を前記電源及び前記駆動回路に提供して前記駆動回路に供給される前記電源の出力電圧を前記温度に基づいて変化させるとともに、前記ドライバ回路により供給されるバイアスを前記温度に基づいて変化させるステップを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書に記載された例示的な実施形態の概観図である。
図2】本明細書に記載された電子吸収変調器の電子吸収バイアス回路の一例の線図である。
図3】本明細書に記載された電子吸収変調器のための電子吸収バイアス回路を制御する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明は添付図面を参照している。異なる図面中の同じ参照番号は同一又は類似の要素を示す。
【0010】
送信光サブアセンブリ(TOSA)は光通信ネットワークの光トランシーバモジュールにおいて高速データ通信アプリケーションのために使用することができる。TOSAは入力電気信号を受信し、出力光信号として、変調されたビームを提供することができる。TOSAは、出力光信号を用いて光通信を可能にするためにファイバに結合することができる。TOSAはビームを変調して変調ビームを形成するために電子吸収変調器を含むことができる。場合により、TOSAは50ギガビット/秒(G/s)、100G/s、200G/s、400G/s、等より高いデータレートと関連してよい。場合により、TOSAは10G/sTOSA、25G/sTOSA、40G/sTOSA、4×25G/sTOSA、4×28G/sTOSA、4×50G/sTOSA、8×50G/sTOSA、4×100G/sTOSA、等とし得る。しかしながら、閾値、例えば50G/s、100G/s、200G/s、400G/s、等より大きいデータ転送速度での送信は、トランシーバ、TOSA、サブシステム等に対して過度のワット損要件を生じ得る。これは過度のコンポーネントの加熱を生じ、電力消費コンポーネント等を組み込むために過度に大きなフォームファクタをもたらす。従って、ワット損要件を低減し、それによってコンポーネントへの熱応力の低減、フォームファクタの縮小、達成可能なデータ転送速度の増加等を可能にするのが有利である。
【0011】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は電子吸収変調器のための電子吸収バイアス回路を提供することができる。例えば、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は負電源を温度に基づいて制御するコントローラを提供することができる。このように、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は電子吸収変調器及び/又は電子吸収変調器を含むTOSAに対するワット損要件を低減することができる。更に、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は負電源により他の技術と比較して電力の利用を低減することができ、負電源は電子吸収バイアス回路に定電圧を供給することができる。
【0012】
図1は本明細書に記載される光デバイス100の例示的な実施形態の概観図である。図1に示されるように、光デバイス100は制御デバイス102、TOSA104、熱電気冷却器106(TEC106として示す)、サーミスタ108、フォトダイオード110、レーザダイオード112、電子吸収変調器114(EAM114として示す)、レンズ116、ファイバ118、フォトダイオードモニタ120、熱電気冷却器コントローラ122(TECコントローラ122として示す)、温度センサ124、クロック及びデータ回復回路126(CDR126として示す)、変調器ドライバ128、変調器バイアス回路130、レーザバイアス回路134、及び一組の信号(例えば、光信号及び電気信号)150-192を含む。
【0013】
制御デバイス102は電子吸収変調器114のバイアスを制御するために1つ以上のコンポーネントを含む。例えば、制御デバイス102は、プロセッサ、コントローラ、アナログ回路、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等の制御デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態において、制御デバイス102は、入力として信号170,176,178及び180を受信し、出力として信号172,182,186,188及び192を出力する一組のディジタル-アナログ変換器を含むことができる。いくつかの実施形態において、制御デバイス102は、制御装置、サーバ等からの信号178を受信する。例えば、制御デバイス102は制御デバイス102のオペレータ制御を可能にするためにI2C(inter-integrated circuit)信号又はマネジメントデータ入力/出力(MDIO)信号を受信することができる。
【0014】
TOSA104は入力電気信号150に基づく出力信号160を提供するために1つ以上のコンポーネントを含む。いくつかの実施形態において、TOSA104は熱電気冷却器106を含むことができ、この冷却器はTOSA104の他のコンポーネントに対して閾動作温度又は温度範囲が維持されるようにする。いくつかの実施形態において、TOSA104は熱電気冷却器106を省略することができる。例えば、TOSA104に基づいて別の冷却技術、例えばパッシブ冷却技術、別のアクティブ冷却技術等、を使用し、TOSA104は熱電気冷却器106を省略することができる。いくつかの実施形態において、電子吸収バイアス回路の温度依存制御の実行に基づいて熱電気冷却器106を省略し、それによってコスト、消費電力(例えば、熱電気冷却器の消費電力)等を低減することができる。同様に、本明細書に詳しく説明される電子吸収バイアス回路の温度依存制御を使用すると、熱電気冷却器106の使用を低減することができ(例えば、熱電気冷却器106は閾値範囲外の温度に対してのみ使用することができ)、それによって熱電気冷却器106をすべての温度で使用する場合と比較して消費電力を低減することができる。いくつかの実施形態において、TOSA104は、例えば調整、データ回復等のためにレーザダイオード112の出力をモニタするためにフォトダイオード110を含むことができる。例えば、TOSA104はレーザダイオード112の出力に又は光路内の別のコンポーネント、例えば電子吸収変調器114、レンズ116、ファイバ118等に光学的に結合されたフォトダイオード110を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、TOSA104はビーム164,166を提供するレーザダイオード112を含むことができ、ビーム164は電子吸収変調器114により変調され、ビーム166はフォトダイオード110等によりモニタさる。例えば、TOSA104は、本明細書に記載されるように、逆バイアス電子吸収変調器114に結合された順バイアスレーザダイオード112を含むことができる。いくつかの実施形態において、TOSA104(例えば、電子吸収変調器114)は変調出力光信号160をレンズ116に提供することができ、レンズ116はファイバ118又は平面光波回路(PLC)に結合される。
【0016】
フォトダイオードモニタ120はレーザダイオード112をモニタする1つ以上のコンポーネント又はモニタフォトダイオード110を含む。例えば、フォトダイオードモニタ120は、レーザダイオード112により出力されるビーム部分166をモニタするフォトダイオード110からの信号168を受信することができる。この場合には、フォトダイオードモニタ120は出力として信号170を制御デバイス102に提供し、制御デバイス102をイネイブルして、例えば信号188をレーザバイアス回路134の制御のために提供し、レーザバイアス回路134はフォトダイオード112に提供される入力を変更する信号190を提供する。
【0017】
熱電気冷却器コントローラ122は熱電気冷却器106を制御する1つ以上のコンポーネントを含む。いくつかの実施形態において、熱電気コントローラ122は制御デバイス102から信号172を受信し得る。制御デバイス102は、例えばTOSA104の動作温度を特定するサーミスタ108からの信号180、TOSA104の周囲温度を特定する温度センサ124からの信号176及び/又は同種の信号の受信に基づいて信号172を提供し得る。この場合には、熱電気冷却器コントローラ122は信号174を熱電気冷却器106に提供して熱電気冷却器106によりTOSA104の動作温度を維持又は変化させることができる。
【0018】
温度センサ124は光デバイス100、TOSA104又はそのコンポーネントの周囲温度を決定する1つ以上のコンポーネントを含む。例えば、温度センサ124は、サーミスタ、熱電対、半導体ベースの温度センサ等を含み、TOSA104が動作する位置の周囲温度を決定し、信号176を制御デバイス102に提供して周囲温度を特定する。この場合には、制御デバイス102は信号172を熱電気冷却器コントローラ122に提供してTOSA104の熱電気冷却器106を制御することができる。加えて又は代わりに、制御デバイス102は信号186を変調器バイアス回路130に提供し、TOSA104の電源の電圧出力を温度センサ124からの信号176の受信に基づいて制御することができ、それによってTOSA104のワット損要件を電源の一定出力(例えば一定負電圧)を使用する場合と比較して低減することができる。いくつかの実施形態において、温度センサ124はTOSA104の内部、TOSAと関連するプリント回路基板(PCB)内、コントローラ内等に配置することができる。
【0019】
クロック及びデータ回復回路126は、信号182、データ信号150、及び/又は信号152を用いてクロック及びデータ回復動作を実行する1つ以上のコンポーネントを含む。例えば、信号182は双方向データをクロック及びデータ回復回路126及び/又は制御デバイス102(例えば、コントローラ)に提供することができる。この場合には、クロック及びデータ回復回路126からのデータは、アラーム、設定等に関するステータス情報とすることができ、クロック及びデータ回復回路126へのデータはクロック及びデータ回復動作を制御することができる。いくつかの実施形態において、信号150は光データ信号に変調すべき電気データを含む無線周波信号とすることができる。いくつかの実施形態において、信号182はクロック及びデータ回復信号とすることができる。
【0020】
変調器ドライバ128は電子吸収変調器114を駆動する1つ以上のコンポーネントを含む。例えば、変調器ドライバ128は制御デバイス102から信号192及びクロック及びデータ回復回路126から信号152を受信し、電子吸収変調器114を駆動する信号154を提供する。いくつかの実施形態において、信号192は(例えば、振幅、交点等を制御するための)制御信号とし得る。いくつかの実施形態において、信号154は高速の電気無線周波データ信号とすることができる。
【0021】
変調器バイアス回路130は電子吸収変調器114に供給されるバイアスを制御する1つ以上のコンポーネントを含む。例えば、変調器バイアス回路130は制御デバイス102から信号186(例えば、TOSA104又は光デバイス100と関連する温度に基づく変調器バイアス回路130の電源電圧の制御と関連する信号)を受信し、信号156を提供することができる。信号156及び信号154は合成ブロック132により合成されて信号158を形成し、この信号158は電子吸収変調器114により受信され、ビーム164を変調する。
【0022】
上述したように、図1は一例として示されているにすぎない。他の例も可能であり、図1に関して記載した例と異なってよい。
【0023】
図2は電子吸収バイアス回路200の一つの例示的な実施形態の線図である。図2に示すように、電子吸収バイアス回路200は、温度センサ202と、ディジタル-アナログ変換器206-1及び206-2を含むコントローラ204と、電源208と、電子吸収駆動回路210(EAD210として示す)と、電子吸収変調器212(EAM212として示す)とを含む。いくつかの実施形態において、温度センサ202は図1に示す温度センサ124に対応する。いくつかの実施形態において、コントローラ204は図1に示す制御デバイス102に対応する。いくつかの実施形態において、電源208及び電子吸収駆動回路210は図1に示す変調器バイアス回路130のコンポーネントであってよい。いくつかの実施形態において、電子吸収変調器212は図1に示す電子吸収変調器114に対応する。
【0024】
更に図2に参照番号220で示すように、コントローラ204は温度センサ202からの情報を受信する。例えば、コントローラ204は、電子吸収バイアス回路200が動作する位置(例えば、電子吸収バイアス回路200に結合されたTOSAが動作する位置)に関連する周囲温度を特定する情報を受信し得る。加えて又は代わりに、コントローラ204は温度センサ202からの情報を受信し、コントローラ204が結合されるTOSA等の動作温度を特定することができる。
【0025】
更に図2に参照番号222で示すように、コントローラ204は第1の信号を電源208に提供する。いくつかの実施形態において、電源208は直流(DC)を供給する可変の負電圧電源としてよい。例えば、コントローラ204はディジタル-アナログ変換器206-1を使用してコントローラ204を含む光デバイスの周囲温度の関数である第1の信号を提供し、電源208により提供される直流出力電圧Vを制御する。例えば、電源208は入力直流電圧(例えば、+3.3ボルト)を受信し、入力直流電圧及び第1の信号222に基づいて0ボルトより低い出力電圧V(例えば、-4.5ボルト、-4ボルト、-3.5ボルト、-3ボルト等)を提供することができる。参照番号224で示すように、電源208は出力電圧を電子吸収駆動回路210に供給し、電子吸収駆動回路210が電子吸収変調器212を駆動する(例えば、バイアス電圧VM0を電子吸収変調器212に供給する)のを可能にする。いくつかの実施形態において、バイアス電圧228は図1の信号156に対応する。
【0026】
更に図2に参照番号226で示すように、コントローラ204は、電子吸収駆動回路210により供給されるバイアス電圧を制御するために第2の信号226(Vcontrolとして示す)を提供する。参照番号228で示すように、コントローラ204は、電源208への第1の信号の供給に基づいて、電源208により負出力電圧Vを電子吸収駆動回路210に供給させ、電子吸収駆動回路210への第2の信号の提供に基づいて、電子吸収駆動回路210によりバイアス電圧を電子吸収変調器212に供給させる。従って、バイアス電圧228(VM0)は電源208からの可変出力電圧Vを用いて電子吸収変調器212に提供され得る。これは、電源208はより大きい負の出力電圧で動作するときよりもより小さい負の出力電圧で動作するときに、より少ない電力を消費するため及びより小さい負の出力電圧224はコントローラ204が温度センサ202から高い温度を決定するとき第1の信号222(Vcontrol)により要求されるため、有利である。従って、電子吸収バイアス回路200のワット損は高温度において低減され得る。例えば、温度依存制御信号を用いて温度依存出力電圧を生じさせる技術によれば、変化する温度に対して一定の出力電圧を使用する技術及び/又は温度依存制御信号及び/又は温度依存出力電圧を使用しない別の技術と比較して、温度依存出力電圧は温度の変化に対して消費電力及び/又はワット損の低減と結びつけることができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、複数の電子吸収変調器を単一の電源に結合することができる。例えば、電源208は負の出力電圧を複数の電子吸収変調器212に、複数の電子吸収駆動回路210、単一の電子吸収駆動回路210、及び/又は同種のものを介して提供することができる。いくつかの実施形態において、電源208は共通の電圧を複数の電子吸収変調器212の各々に提供してもよい。加えて又は代わりに、電源208は第1の電圧を第1の電子吸収変調器212に、及び第2の異なる電圧を第2の電子吸収変調器212に(異なる動作温度等を示す異なる制御信号に基づいて)提供してもよい。
【0028】
上述したように、図1は一例として示されているにすぎない。他の例も可能であり、図2に関して記載した例と異なってよい。
【0029】
図3は本明細書に記載される電子吸収変調器に対する電子吸収バイアス回路を制御する一つの例示的なプロセス300のフローチャートである。いくつかの実施形態において、図3の1つ以上のプロセスブロックは制御デバイス102により実行することができる。いくつかの実施形態において、図3の1つ以上のプロセスブロックは、別のデバイスによって又は制御デバイス102とは別の又は制御デバイス102を含む一群の別々のデバイス、例えば、TOSA104、熱電気冷却器106、サーミスタ108、フォトダイオード110、レーザダイオード112、電子吸収変調器114、レンズ116、ファイバ118、フォトダイオードモニタ120、熱電気冷却器コントローラ122、温度センサ124、クロック及びデータ回復回路126、変調器ドライバ128、変調器バイアス回路130、レーザバイアス回路134等、によって実行することができる。
【0030】
図3に示すように、プロセス300は入力データを受信するステップを含み得る(ブロック310)。例えば、制御デバイス102が受信し得る。いくつかの実施形態において、制御デバイス102はTOSA(例えばTOSA104)に関する温度データを受信し得る。例えば、制御デバイス102は、TOSAが動作する場所の周囲温度、TOSAの内部温度、TOSAのコンポーネント(例えば、TOSAの電子吸収変調器)の温度等を特定する温度センサからのデータを受信し得る。いくつかの実施形態において、制御デバイス102は温度センサ、サーミスタ、及び/又は同種のものからの温度データを受診し得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、制御デバイス102は他の入力データ、例えば、電子吸収駆動回路の電源の入力電圧を特定する入力データ、電子吸収バイアス回路に供給すべき最小電圧を特定する入力データ等、を受信し得る。いくつかの実施形態において、制御デバイス102はTOSAの電力消費能力を特定する入力データを受診し得る。
【0032】
更に図3に示すように、プロセス300は電源及び駆動回路のための一組の制御信号を決定するステップを含む(ブロック320)。例えば、制御デバイス102は電源(例えば、電源208)及び駆動回路(例えば、電子吸収駆動回路210)のための一組の制御信号を決定し得る。いくつかの実施形態において、制御デバイス102は入力データに基づいて前記信号を決定し得る。例えば、制御デバイス102は、駆動回路からの電圧レベルを制御するために第1の制御信号を駆動回路に提供し、且つ駆動回路に提供される直流電圧を制御するために第2の制御信号を電源に提供し、駆動回路が駆動回路からの電圧レベルを提供することを可能にし得る。温度が変化するにつれて、制御デバイス102は、制御信号を変化させて電源により駆動回路に供給される電圧及び駆動回路により電子吸収変調器に供給される電圧を変化させて、電源及び/又は駆動回路による消費電力及び/又はワット損を低減することができる。例えば、温度が減少したことを示すデータの受信に基づいて、制御デバイス102は電圧の絶対値を増加する(例えば、負電圧をもっと負にする)制御信号を決定する。加えて又は代わりに、温度が増加したことを示すデータの受信に基づいて、制御デバイス102は電圧の絶対値を減少させる制御信号を決定し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、制御デバイス102は温度の変化率に基づいて決定することができる。例えば、制御デバイス102は温度の変化率に基づいて予測温度を決定することができ、予測温度に基づいて電圧のレベルを制御する制御信号を決定することができる。いくつかの実施形態において、制御デバイス102は比例積分微分制御技術を用いて電圧のレベルを温度、温度の変化率等に基づいて制御することができる。加えて又は代わりに、制御デバイス102は温度を特定するデータに基づいて電圧のレベルを制御する制御信号を決定するために別の制御技術を用いることができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、制御デバイス102は逆バイアスされる電子吸収変調器に基づいて一組の制御信号を決定することができる。例えば、TOSAは逆バイアス電子吸収変調器に光学的に結合された順バイアスレーザダイオードを含むことができるため、
≦0;
=VM0+vm
であり、ここでVは、電子吸収変調器に入力され、電子吸収変調器に電流を発生させて光通信用にレーザダイオードにより提供されるビームを変調する変調電圧であって、VM0は電子吸収変調器にVとして供給される所要のバイアス電圧を表し、vmは光パワーを変調する変調電圧を表す。いくつかの実施形態において、VM0は温度依存である。例えば、制御デバイス102は、ファイバを介して出力として提供される光信号を設定(例えば、最適化)するために、VをTOSAの動作温度の変化に基づいて変化させる信号を提供することができる。この場合には、VM0は温度が減少するにつれて減少し(例えば、より負になり)、温度が増加するにつれて増加する(例えば、より正になる)。
【0035】
いくつかの実施形態において、制御デバイス102は変調電圧に関連するTOSAの変調光パワーに基づいて一組の制御信号を決定することができる。例えば、非ゼロ復帰(NRZ)変調では、
F(VM0+vm)=P
F(VM0)=P;
F(VM0-vm)=P
であり、ここでPは最小変調光パワーを表し、Pは平均変調光パワーを表し、Pは最大変調光パワーを表す。この場合には、制御デバイス102は、最小変調光パワーと最大変調光パワーの各々が電子吸収変調器に供給されるバイアス電圧に基づいて電子吸収変調器によって達成されるように一組の制御信号を決定することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、電源により電子吸収駆動回路に提供される電圧は所要の入力電圧の電子吸収変調器の動作温度に関する関数であるため、
≦min[VM0(T)]
であり、ここでVは電源により電子吸収駆動回路に提供される電圧を表し、VM0は電子吸収変調器に供給される電圧を表し、Tは電子吸収変調器の動作温度を表す。例えば、負電源は入力電圧(例えば、+3.3ボルト)を受信し、入力電圧及び制御デバイス102からの信号に基づいて出力電圧Vを提供することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、制御デバイス102は電子吸収変調器に供給されるバイアスを変更するために一組の制御信号を決定することができる。例えば、制御デバイス102は一組の制御信号を、相対的に低い温度は相対的により大きい値(即ち、より負の大きい絶対値)のVM0に対応し、相対的に高い温度は相対的により小さい値(即ち、少し負の小さい絶対値)のVM0に対応するように決定することができる。制御デバイス102の動作中に、電子吸収変調器は、min[V(T)]=-4ボルトになるように設定することができる。ここで、Vは電子吸収変調器に供給されるバイアスをVM0にするために電子吸収ドライバ回路により供給される電圧である。この場合には、制御デバイス102は、Vを-4ボルトより低い値に設定する一組の制御信号を決定することができる。いくつかの実施形態において、コントローラはVの値を-4ボルトからデルタ値(例えば、安全係数)だけ異なる値、例えば-4.2ボルト、-4.5ボルト、-5ボルト等、に設定するように一組の制御信号を決定することができる。ここでVMO及びデルタ値に関して特定の値を記載したが、他の値も可能である。
【0038】
更に図3に示すように、プロセス300は一組の制御信号を提供するステップを含むことができる(ブロック330)。例えば、制御デバイス102は一組の制御信号を提供する。いくつかの実施形態において、制御デバイス102は一組の制御信号を提供する前にそれらの制御信号を変換することができる。例えば、制御デバイス102のディジタル-アナログ変換器は一組の制御信号をアナログ信号に変換し、それらのアナログ信号を提供する。いくつかの実施形態において、制御デバイス102は一組の制御信号を変換することなく提供してもよい。例えば、電子吸収バイアス回路200のために実装されたアナログ回路は電子吸収変調器の温度に関するアナログ入力データを受信し、ディジタルシグナリングを用いずに、出力としてアナログ信号を提供することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、制御デバイス102は複数の信号を提供し得る。例えば、制御デバイス102は第1の信号を負電源に提供し、負電源の出力電圧Vを制御することができ、且つ第2の信号を電子吸収駆動回路に提供し、電子吸収駆動回路により供給される電圧Vを制御してバイアスVM0を電子吸収変調器に供給することができる。この場合には、TOSAの温度が増加すると、電源により提供される電圧は減少され、よって消費電力及び/又はワット損要件が減少する。
【0040】
図3はプロセス300の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施形態において、プロセス300は、追加のブロック、もっと少ないブロック、異なるブロック、又は図3に示すブロックと異なる配列のブロックを含んでよい。加えて又は代わりに、プロセス300の2つ以上のブロックを並列に実行してもよい。
【0041】
このように、温度依存制御信号を用いて電源の電圧出力を動的に変化させる技術に基づけば、定電圧出力の電源を用いる場合と比較して、消費電力要件を50ミリワット以上、75ミリワット以上、100ミリワット以上~低減することができる。
【0042】
以上の開示は例証及び説明のために提示されているが、網羅的な説明を意図するものでも、実施形態を開示の正確な形態に限定することを意図するものでもない。様々な変更や変形が以上の開示に照らして可能であり、また実施形態の実施から得ることができる
【0043】
本明細書で使用されるコンポーネントという語はハードウェア、ファームウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして広く解釈されることが意図されている。
【0044】
いくつかの実施形態は本明細書中に閾値と関連して記載されている。本明細書において、閾値を満たすとは、値が閾値より大きい、閾値を超える、閾値より高い、閾値に等しいかそれより大きい、閾値未満、閾値より少ない、閾値より低い、閾値に等しいかそれより少ない、閾値に等しい、等を意味し得る。
【0045】
本明細書に記載のシステム及び/又は方法は、ハードウェアの形態、ファームウェアの形態、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせの形態で実装することができる。これらのシステム及び/又は方法を実装するために使用される実際の専用制御ハードウェア又はソフトウェアコードはそれらの実装を制限しない。従って、これらのシステム及び/又は方法の動作及び挙動は特定のソフトウェアコードと関連して記載されていないが、これらのシステム及び/又は方法は本明細書の記載に基づいてソフトウェア及びハードウェアで設計し実装することができることを理解されたい。
【0046】
特定の特徴の組み合わせが請求の範囲に列挙され及び/又は明細書に開示されているが、これらの組み合わせは可能な実施形態の開示を限定するものではない。実際には、これらの特徴の多くは請求の範囲に明確に列挙されていない及び/又は明細書に開示されていない方法で組み合わせてもよい。以下に列挙される各従属請求項は一つの請求項にのみ直接従属してよいが、可能な実施形態の開示は各従属請求項と請求の範囲内のすべての他の請求項との組み合わせも含むものである。
【0047】
本明細書で使用する要素、操作又は指示は、特に明記されない限り、決定的又は本質的と解釈されるべきである。また、冠詞"a"及び"an"は一以上の要素を含むことが意図され、「一以上」と互換的に使用され得る。更に、本明細書で使用される「組」は一以上の要素(例えば、関連要素、非関連要素、関連要素及び関連要素の組み合わせ等)を含むことが意図され、「一以上」と互換的に使用され得る。唯一の要素が意図される場合には、「一つ」又は類似の語が使用される。また、本明細書で使用する語「有する」、「有している」等はオープンエンデッドタームであることが意図されている。更に、語句「基づく」は特に明記されない限り「少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図されている。
図1
図2
図3