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  • 特許-取付金具及び抵抗器ユニット 図5B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】取付金具及び抵抗器ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01C 1/01 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
H01C1/01 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018214840
(22)【出願日】2018-11-15
(65)【公開番号】P2020087975
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 直俊
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123428(JP,A)
【文献】実開昭47-011329(JP,U)
【文献】特開2016-042522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗器の取り付けに用いられる取付金具であって、
第1側板と、前記第1側板に対向する第2側板と、一端及び他端がそれぞれ前記第1側板の一端及び前記第2側板の一端に接続される底板と、を有し、前記抵抗器を挟持する挟持部と、
前記底板の一端から突出するように設けられる第1取付片と、
前記底板の他端から突出するように設けられる第2取付片と、を備え、
前記挟持部は、前記第1取付片と前記第2取付片との間に配置され
前記第2取付片は、前記底板の他端に接続された前記第2側板の一端から前記第2側板の他端までの寸法よりも小さい第2突出長さを有する、
取付金具。
【請求項2】
請求項1に記載の取付金具であって、
前記第1側板に対応する第1側板領域と、
前記第2側板に対応する第2側板領域と、を備え、
前記第1取付片は、前記第1側板領域に切り込みを入れることにより形成され、
前記第2取付片は、前記第2側板領域に切り込みを入れることにより形成される、
取付金具。
【請求項3】
請求項2に記載の取付金具であって、
前記第1取付片及び前記第2取付片は、前記挟持部に対して非対称に設けられる、
取付金具。
【請求項4】
請求項3に記載の取付金具であって、
前記第1取付片は、第1突出長さを有し、
前記第2突出長さは、前記第1突出長さよりも小さい
取付金具。
【請求項5】
請求項4に記載の取付金具であって、
前記第2突出長さは、前記第2側板の一端から前記第2側板の他端までの寸法の1/2以下である、
取付金具。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の取付金具であって、
前記第1取付片には、貫通孔が形成され、
前記第2取付片には、貫通孔又は凹部が形成され、
前記第1取付片の貫通孔から前記底板の一端までの寸法は、前記第2取付片の貫通孔又は凹部から前記底板の他端までの寸法よりも大きい、
取付金具。
【請求項7】
請求項2に記載の取付金具であって、
前記第1取付片及び前記第2取付片は、前記挟持部に対して対称に設けられる、
取付金具。
【請求項8】
請求項7に記載の取付金具であって、
前記第1取付片及び前記第2取付片のいずれも、所定の突出長さを有し、
前記所定の突出長さは、前記第1側板の一端から前記第1側板の他端までの寸法の1/2以下であり、
前記第1側板の一端から前記第1側板の他端までの寸法は、前記第2側板の一端から前記第2側板の他端までの寸法と同じである、
取付金具。
【請求項9】
抵抗器ユニットであって、
長手方向に延在する抵抗器と、
請求項1から8のいずれか1項に記載の取付金具と、を備え、
前記抵抗器は、前記挟持部に挟持された状態において、その長手方向の両端が前記取付金具から露出する、
抵抗器ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の抵抗器ユニットであって、
前記抵抗器は、車両に用いられる抵抗器である、
抵抗器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付金具及び抵抗器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、抵抗器の下面に設けた引掛け突起に係合し、ベースへの取付ねじの貫通孔、回転止め突起を設けた底板と、底板より直角に折り曲げて抵抗器の外周に抱え込み、先端を抵抗器の上面に引掛ける支持腕と、を備える抵抗器の取付金具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-189201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、抵抗器は、このような取付金具を介して、車両のエンジンルーム内の回路基板等に取り付けられる場合、挟持部の片側に配置される取付片のみがねじ締めによって回路基板等に固定されるため、取付金具や抵抗器(抵抗器ユニット)がエンジン等からの振動を受けやすくなる。これにより、振動による抵抗器への悪影響が出たり、振動による音が発生したりするという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、耐振性が向上される取付金具及び抵抗器ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、抵抗器の取り付けに用いられる取付金具であって、第1側板と、前記第1側板に対向する第2側板と、一端及び他端がそれぞれ前記第1側板の一端及び前記第2側板の一端に接続される底板と、を有し、前記抵抗器を挟持する挟持部と、前記底板の一端から突出するように設けられる第1取付片と、前記底板の他端から突出するように設けられる第2取付片と、を備え、前記挟持部は、前記第1取付片と前記第2取付片との間に配置される、取付金具が提供される。
【発明の効果】
【0007】
この態様によれば、第1取付片に加え、第2取付片を取付金具に設けることにより、抵抗器が挟持部に挟持された取付金具は、第1取付片及び第2取付片を介して基板等に取り付けられるので、挟持部の片側のみに配置される取付片を介して基板等に取り付けられる取付金具に比べ、取付金具の耐振性が大幅に向上される。これにより、振動による抵抗器への悪影響及び音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る抵抗器ユニットを示す斜視図である。
図2図2は、抵抗器の構成を示す図である。
図3A図3Aは、取付金具を示す斜視図である。
図3B図3Bは、取付金具を示す平面図である。
図4A図4Aは、取付金具の第1変形例を示す斜視図である。
図4B図4Bは、取付金具の第1変形例を示す平面図である。
図5A図5Aは、取付金具の第2変形例を示す斜面図である。
図5B図5Bは、取付金具の第2変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付する。また、図中において、X軸に延在する
方向を長手方向とし、Y軸に延在する方向を幅方向とし、Z軸に延在する方向を上下方向とする。
【0010】
[抵抗器ユニット]
まず、図1を参照しながら本実施形態に係る抵抗器ユニット100について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る抵抗器ユニット100を示す斜視図である。
【0012】
本実施形態に係る抵抗器ユニット100は、ねじ締めによって車両のエンジンルーム内の回路基板(図示しない)等に取り付けられる抵抗器ユニットである。しかし、抵抗器ユニット100は、これに限定されるものではなく、例えば、エアコン等の一般的な電子機器に取り付けられる抵抗器ユニットであってもよい。
【0013】
図1に示すように、抵抗器ユニット100は、長手方向に延在する抵抗器1と、抵抗器1を回路基板に取り付ける取付金具2と、を備える。なお、抵抗器1は、取付金具2に挟持された状態において、その長手方向の両端が取付金具2から露出するようになっている。
【0014】
[抵抗器]
つぎに、図2を参照しながら本実施形態に係る抵抗器1について説明する。
【0015】
図2は、抵抗器1の構成を示す図である。
【0016】
図2に示すように、抵抗器1は、例えば車両用のセメント抵抗器である。抵抗器1は、抵抗素子11と、抵抗素子11を収容するケース12と、キャップによって抵抗素子11の両端に接続される外部接続端子13と、抵抗素子11がケース12に収容された状態でケース12を封止する封止材としてのセメント材14と、を有する。
【0017】
本実施形態では、抵抗素子11は、円柱状に形成されるセラミックスやガラス繊維等の絶縁体と、その絶縁体の外周面に巻き付けられた金属線材とより構成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、他の種類のものであってもよい。
【0018】
金属線材の材料として、ニッケル・鉄合金(Ni-Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ニッケル・クロム合金(Ni-Cr)等のものが挙げられる。
【0019】
ケース12は、一方向(長手方向)に延在するように設けられ、上面に開口を有するトップオープンボックスタイプのケースである。ケース12は、開口よりも奥側に抵抗素子11を収容する収容空間と、下面に2つの引掛け突起121と、を有する。取付金具2の後述する底板213は、2つの引掛け突起121に係合することにより、取付金具2に対する抵抗器1の長手方向の移動が規制される。
【0020】
外部接続端子13は、導電性を有する金属材から構成される。抵抗素子11がケース12の収容空間に収容された状態において、外部接続端子13は、その一部がケース12の開口から突出するようになっている。
【0021】
セメント材14は、抵抗素子11がケース12に収容された状態において、ケース12の収容空間を封止するものである。これにより、抵抗器1は、外部接続端子13の一部を除き、長手方向に延在する立方体となる。
【0022】
[取付金具]
つぎに、図1図3A及び図3Bを参照しながら本実施形態に係る取付金具2について説明する。
【0023】
図3Aは、本実施形態に係る取付金具2を示す斜視図である。図3Bは、本実施形態に係る取付金具2を示す平面図である。
【0024】
図1図3A及び図3Bに示すように、本実施形態に係る取付金具2は、抵抗器1の一方側面と当接可能な第1側板211と、第1側板211に対向し抵抗器1の他方側面と当接可能な第2側板212と、第1側板211及び第2側板212に接続される底板213と、を有し、抵抗器1を挟持する挟持部21と、基板等に取り付ける第1取付片22及び第2取付片23と、を備える。
【0025】
取付金具2は、底板213に対応する底板領域Aと、底板領域Aの一端側に配置され第1側板211に対応する第1側板領域Bと、底板領域Aの他端側に配置され第2側板212に対応する第2側板領域Cと、を有する一枚の板金によって形成されるものである。これにより、取付金具2が一体的に形成されることにより、特に上下方向への耐振性の向上と軽量化との相反する効果の両立を図ることができる。なお、第1側板領域B及び第2側板領域Cは、底板領域Aに対して対称の位置に設けられる。
【0026】
第1取付片22は、第1側板領域Bに第1側板領域Bの一端から第1側板領域Bの他端まで幅方向に延在する切り込みを2本入れることにより形成される。第2取付片23は、第2側板領域Cに一対の辺と、一対の辺を接続する半円部又は円弧部と、を有するような略M字型の切り込みを入れることにより形成される。第1取付片22及び第2取付片23は、いずれも底板213に対応する底板領域Aに接続している。
【0027】
また、第1取付片22の形成によって、直角に折り曲げられた第1側板領域B(第1側板211)と抵抗器1の一方側面とが当接する当接面積が減少するので、抵抗器1に対する取付金具2の伝熱面積が減少し、抵抗器1から取付金具2を通じて基板等への伝熱を抑制することができる。第2取付片23の形成によって、直角に折り曲げられた第2側板領域C(第2側板212)と抵抗器1の他方側面とが当接する当接面積が減少するので、抵抗器1に対する取付金具2の伝熱面積が減少し、抵抗器1から取付金具2を通じて基板等への伝熱を抑制することができる。
【0028】
このように、第1側板領域B(第1側板211)と抵抗器1の一方側面とが当接する当接面積が減少するだけではなく、第1側板領域B(第1側板211)に対応する第2側板領域C(第2側板212)と抵抗器1の他方側面とが当接する当接面積も減少するので、第1側板211及び抵抗器1の一方側面の当接面積と、第2側板212及び抵抗器1の他方側面の当接面積との差を小さくすることができ、抵抗器1の両方側面の放熱むらを小さくし、放熱むらによる抵抗器1の性能低下を抑制することができる。
【0029】
第1側板211は、第1取付片22を切り欠いた第1側板領域Bを、底板領域Aに対して直角に折り曲げることにより形成される。第2側板212は、第2取付片23を切り欠いた第2側板領域Cを、底板領域Aに対して直角に折り曲げることにより形成される。底板213は、底板領域Aから形成される。
【0030】
第1側板211は、底板213の一端から立設される側板である。第1側板211は、長手方向において第1取付片22を挟むように設けられる2つの第1サブ側板211a、211bから構成される。
【0031】
第1サブ側板211a、211bは、これらの一端(基端)が底板213の一端に接続され、これらの他端(先端)に抵抗器1の上面に引掛ける第1支持爪24が設けられる。また、第1サブ側板211a、211bのいずれも、第1高さH1(すなわち、第1サブ側板211a、211bの一端から第1サブ側板211a、211bの他端までの寸法)を有し、抵抗器1の一方側面に当接可能に設けられる(図3A及び図3B参照)。
【0032】
本実施形態では、第1サブ側板211aは、第1サブ側板211bと同一高さ及び同一幅(長手方向)に形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅の寸法が第1サブ側板211bの幅の寸法と異なるように形成されてもよい。
【0033】
第2側板212は、底板213の他端から立設される側板である。第2側板212は、長手方向に離間する第2サブ側板212a、212bと、第2サブ側板212a、212bの他端(先端)側を連通する接続板212cとから構成される。第2サブ側板212a、212b及び接続板212cのいずれも、抵抗器1の他方側面に当接可能に設けられる。
【0034】
第2サブ側板212a、212bは、これらの一端(基端)が底板213の他端に接続され、これらの他端(先端)に抵抗器1の上面に引掛ける第2支持爪25が設けられる。また、第2サブ側板212a、212bのいずれも、第1高さH1と同じである第2高さH2(すなわち、第2サブ側板212a,212bの一端から第2サブ側板212a、212bの他端までの寸法)を有する(図3A及び図3B参照)。すなわち、第1側板211の一端から第1側板211の他端までの寸法は、第2側板212の一端から第2側板212の他端までの寸法と同じである。
【0035】
接続板212cは、底板213から離間するようになっている。すなわち、接続板212cの一端(下端)は、底板213の他端に接続されていない。また、接続板212cは、その高さh1(接続板212c一端から接続板212cの他端までの寸法)が第1高さH1(第2高さH2)の1/2以上であるように形成される(図3A参照)。
【0036】
第2サブ側板212a、212bは、接続板212cによって連通されるため、第2側板212の一体化が図られる。これによれば、第2側板212の強度を高めることができ、その結果、取付金具2の全体としての耐振性が向上される。
【0037】
本実施形態では、第2サブ側板212aは、第2サブ側板212bと同一高さ及び同一幅(長手方向)に形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅の寸法が第2サブ側板212bの幅の寸法と異なるように形成されてもよい。
【0038】
第2サブ側板212a、212bは、その長手方向の寸法が第1サブ側板211a、211bの長手方向の寸法よりも大きく形成される。つまり、第1側板211に対応する第1取付片22は、その長手方向の幅が第2側板212に対応する第2取付片23の長手方向の幅よりも大きく形成される。
【0039】
本実施形態では、接続板212cは、その他端(上端)に抵抗器1の上面に引掛ける支持爪が設けられていないが、これに限定されるものではなく、その他端(上端)に支持爪が設けられてもよい。
【0040】
底板213は、平面視で矩形に形成される。底板213は、中央に第1側板211及び第2側板212が立設される側に凹む窪み部213aと、窪み部213aの周囲に設けられる平面部213bと、を有する。窪み部213aは、基板と当接することがなく、抵抗器1の下面と当接可能に平面視で矩形に形成される。平面部213bは、抵抗器1の下面と当接することなく、基板と当接可能に形成される。
【0041】
このように、抵抗器1の下面は、平面部213bと当接することなく、窪み部213aのみと当接するため、抵抗器1によって発生される熱は、基板と当接する平面部213bを通じて基板側に伝達されにくくなる。これにより、基板の温度上昇を抑えることができる。
【0042】
上述のように、本実施形態では、底板213は、窪み部213aと、窪み部213aの周囲に設けられる平面部213bと、により構成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、窪み部213aを有さずに平面視で矩形をなす平面部のみにより構成されてもよい。
【0043】
抵抗器1は、その一方側面、他方側面及び下面がそれぞれ第1側板211、第2側板212及び底板213と当接するように挟持部21に挟持された状態において、第1支持爪24及び第2支持爪25をカシメ等によって抵抗器1の上面側に折り曲げることで、抵抗器1を挟持部21によって確実に挟持することができる。
【0044】
第1取付片22は、底板213の幅方向の一端から突出するように設けられ、第2取付片23は、底板213の幅方向の他端から突出するように設けられる。挟持部21は、平面視で第1取付片22と第2取付片23との間に配置される。本実施形態では、第1取付片22及び第2取付片23は、挟持部21に対して非対称に設けられる。
【0045】
第1取付片22及び第2取付片23は、幅方向に延在する同一直線上に配置される。これによれば、第1取付片22によって第1側板領域Bに形成される切り欠きの位置と第2取付片23によって第2側板領域Cに形成される切り欠きの位置とを対応させるため、抵抗器1の両方側面の放熱パターンを近づけることができ、抵抗器1の両方側面の放熱むらをより小さくし、放熱むらによる抵抗器1の性能低下をより抑制することができる。
【0046】
第1取付片22は、平面視で矩形に形成され、幅方向において第1高さH1と同じである第1突出長さL1をする(図3B参照)。第1取付片22の中央には、基板に締め付けるねじ(図示しない)が挿通される貫通孔221が形成される。また、第1取付片22の先端には、基板の縁部に回転止め突起222が設けられる。第1取付片22の先端に回転止め突起222を設けることにより、取付金具2が基板に取り付けられた状態において、回転止め突起222が基板の縁部に引掛かるため、取付金具2の回転を確実に抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、第1取付片22は、貫通孔221と回転止め突起222とを有するが、これに限定されるものではなく、例えば、貫通孔221を有し、回転止め突起222を有しなくてもよい。この場合、取付金具2の製造の簡易化が図られる。
【0048】
第2取付片23は、第2側板領域Cに略M字型の切り込みを入れることにより形成されるため、底板213に接続される箇所を除き略M字型の輪郭を有し、全体として平面視で略U字型に形成されるものである。第2取付片23は、幅方向において第1突出長さL1よりも小さい第2突出長さL2を有する(図3B参照)。また、第2取付片23は、その第2突出長さL2が第2側板212の第2高さH2の1/2以下であるように形成される。これにより、実装面積が抑えられるとともに回路基板等への伝熱も抑制することができる。
【0049】
第2取付片23の先端には、基板に締め付けるねじ(図示しない)に係合される凹部231が形成される。凹部231は、第2側板領域Cに切り込みを入れることにより形成されるものであるので、第1取付片22に貫通孔221を形成するための穿孔工程等を必要とせず、取付金具2の製造の簡易化がより図られる。
【0050】
また、凹部231は、平面視で半円形に形成されるので、ねじが挿通される貫通孔を形成した場合に比べ、第2取付片23の幅方向の寸法をより小さくすることができる。
【0051】
本実施形態では、第2取付片23には、凹部231が形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、貫通孔が形成されてもよい。また、凹部231は、必ずしもねじを挿通するものではなく、回路基板等に第2取付片23を嵌めるように固定してもよい。
【0052】
貫通孔221から底板213の一端までの寸法d1は、凹部231から底板213の他端までの寸法d2よりも大きい(図3B参照)。
【0053】
本実施形態では、取付金具2は、底板213の他端から突出する第2取付片23を1つのみ有するが、これに限定されるものではなく、例えば、底板213の他端から突出する第2取付片23を複数有してもよい。この場合、取付金具2の耐振性がより大幅に向上される。
【0054】
つぎに、本実施形態による作用効果について説明する。
【0055】
以上述べたように、本実施形態に係る取付金具2は、抵抗器1の取り付けに用いられるものであって、第1側板211と、第1側板211に対向する第2側板212と、一端及び他端がそれぞれ第1側板211の一端及び第2側板212の一端に接続される底板213と、を有し、抵抗器1を挟持する挟持部21と、底板213の一端から突出するように設けられる第1取付片22と、底板213の他端から突出するように設けられる第2取付片23と、を備え、挟持部21は、第1取付片22と第2取付片23との間に配置されるものである。
【0056】
これによれば、第1取付片22に加え、第2取付片23を挟持部21に設けることにより、抵抗器1が挟持部21に挟持された取付金具2は、第1取付片22及び第2取付片23を介して基板等に取り付けられるので、挟持部21の片側のみに配置される取付片を介して基板等に取り付けられる取付金具2に比べ、取付金具2の耐振性が大幅に向上される。これにより、振動による抵抗器1への悪影響や音の発生を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態において、第1側板211に対応する第1側板領域Bと、第2側板212に対応する第2側板領域Cと、を備え、第1取付片22は、第1側板領域Bに切り込みを入れることにより形成され、第2取付片23は、第2側板領域Cに切り込みを入れることにより形成される。
【0058】
これによれば、取付片を別途に挟持部21に追加することなく、第1側板211に対応する第1側板領域B及び第2側板212に対応する第2側板領域Cの一部をそれぞれ第1取付片22及び第2取付片23として利用するため、取付金具2を容易に製造するとともに部材追加によるコストアップを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態において、第1取付片22及び第2取付片23は、底板213に対して非対称に設けられる。
【0060】
これによれば、取付金具2の取付方向を容易に識別することができる。その結果、取付の作業性が向上される。
【0061】
また、本実施形態において、第1取付片22は、第1突出長さL1を有し、第2取付片23は、第1突出長さL1よりも小さい第2突出長さL2を有する。
【0062】
これによれば、第2取付片23の第2突出長さL2を、第1取付片22の第1突出長さL1よりも小さくすることにより、取付金具2の幅方向の小型化を図ることができる。
【0063】
また、本実施形態において、第2突出長さL2は、第2側板212の一端から第2側板212の他端までの寸法H2(第2高さ)の1/2以下である。
【0064】
これによれば、取付金具2の幅方向の小型化をより図ることができ、実装面積が抑えられる。また、接続板212cの一端から接続板212cの他端までの寸法(接続板212cの高さh1)を大きくすることができ、第2側板212の強度低下を抑制することができ、その結果、取付金具2の全体としての強度を維持することができる。
【0065】
また、本実施形態において、第1取付片22には、貫通孔221が形成され、第2取付片23には、凹部231が形成され、第1取付片22の貫通孔221から底板213の一端までの寸法d1は、第2取付片23の凹部231から底板213の他端までの寸法d2よりも大きい。これによれば、取付金具2の耐振性がより向上される。
【0066】
また、本実施形態に係る抵抗器ユニット100は、長手方向に延在する抵抗器1と、本実施形態に係る取付金具2と、を備え、抵抗器1は、挟持部21に挟持された状態において、その長手方向の両端が取付金具2から露出する。
【0067】
これによれば、長手方向の長さが異なる抵抗器1であっても、同一の取付金具2に挟持されるので、取付金具2の汎用性を高めることができる。
【0068】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0069】
(取付金具の第1変形例)
つぎに、図4A及び図4Bを参照しながら取付金具2の第1変形例について説明する。なお、第1変形例では、上記実施形態と同様の点については、説明を省略し、上記実施形態と主に異なる点について説明する。
【0070】
図4Aは、取付金具2の第1変形例を示す斜視図である。図4Bは、取付金具2の第1変形例を示す平面図である。
【0071】
図4A及び図4Bに示すように、第1変形例の取付金具2は、第1側板211と、第1側板211に対向する第2側板212と、第1側板211及び第2側板212に接続される底板213と、を有し、抵抗器1を挟持する挟持部21と、基板等に取り付ける第1取付片22’及び第2取付片23と、を備える。
【0072】
第1変形例の挟持部21及び第2取付片23は、上記実施形態の挟持部21及び第2取付片23と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
第1変形例の第1取付片22’は、上記実施形態の第1取付片22と同様に貫通孔221’を有する。第1取付片22’は、その第1突出長さL1’が上記実施形態の第1取付片22の第1突出長さL1よりも小さくなるように形成される。これによれば、上記実施形態の取付金具2に比べ、取付金具2’の幅方向の小型化をより図ることができる。
【0074】
また、第1取付片22’は、その長手方向の幅が上記実施形態の第1取付片22の長手方向の幅よりも小さくなるように形成される。これによれば、上記実施形態の第1取付片22に比べ、第1取付片22’と基板とが当接する当接面積を小さくすることができ、抵抗器1から取付金具2を通じて基板への伝熱をより抑制することができる。
【0075】
本第1変形例では、取付金具2は、1つの第1取付片22’及び1つの第2取付片23を有するが、これに限定されるものではなく、例えば、1つの第1取付片22’及び複数の第2取付片23を有してもよく、複数の第1取付片22’及び1つの第2取付片23を有してもよく、複数の第1取付片22’及び複数の第2取付片23を有してもよい。
【0076】
(取付金具の第2変形例)
つぎに、図5A及び図5Bを参照しながら取付金具2の第2変形例について説明する。なお、第2変形例では、上記実施形態と同様の点については、説明を省略し、上記実施形態と主に異なる点について説明する。
【0077】
図5Aは、取付金具2の第2変形例を示す斜視図である。図5Bは、取付金具2の第2変形例を示す平面図である。
【0078】
図5A及び図5Bに示すように、第2変形例の取付金具2は、第1側板211’と、第1側板211’に対向する第2側板212と、第1側板211’及び第2側板212に接続される底板213と、を有し、抵抗器1を挟持する挟持部21と、基板等に取り付ける第1取付片22’’及び第2取付片23と、を備える。
【0079】
第2変形例の第2側板212、底板213及び第2取付片23は、上記実施形態の第2側板212、底板213及び第2取付片23と同様であるため、説明を省略する。
【0080】
第1側板211’は、第2側板212と同様に設けられる。このため、第1側板211’は、第2側板212と同様に第1サブ側板211a’、211b’を連通する接続板211c’を有する。第1取付片22’’は、第2取付片23と同様に設けられ、その先端に凹部221’’を有する。すなわち、第1取付片22’’及び第2取付片23は、挟持部21に対して対称に設けられる。
【0081】
これによれば、第1取付片22’’によって第1側板領域Bに形成される切り欠きと第2取付片23によって第2側板領域Cに形成される切り欠きとが、同じとなるので、第1側板211’及び抵抗器1の一方側面の当接面積と、第2側板212及び抵抗器1の他方側面の当接面積と、を容易に同じくすることができ、抵抗器1の両方側面の放熱むらをなくし、放熱むらによる抵抗器1の性能低下を抑制することができる。
【0082】
また、第1取付片22’’及び第2取付片23のいずれも、所定の突出長さとしての第2突出長さL2を有する(図5B参照)。これによれば、取付金具2の幅方向の小型化をより図ることができる。さらに、接続板211c’によって第1側板211’の強度低下を抑制することができ、取付金具2の全体としての強度を維持することができる。
【0083】
本第2変形例では、取付金具2は、1つの第1取付片22’’及び1つの第2取付片23を有するが、これに限定されるものではなく、例えば、1つの第1取付片22’’及び複数の第2取付片23を有してもよく、複数の第1取付片22’’及び1つの第2取付片23を有してもよく、複数の第1取付片22’’及び複数の第2取付片23を有してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 抵抗器
2 取付金具
21 挟持部
22 第1取付片
23 第2取付片
100 抵抗器ユニット
211 第1側板
212 第2側板
213 底板
221 貫通孔
231 凹部
B 第1側板領域
C 第2側板領域
L1 第1突出長さ
L2 第2突出長さ(所定の突出長さ)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B