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特許7254521セメント系スラリー添加用の発泡調整剤を用いた起泡剤のオンラインブレンド方法
<図1>
  • 特許-セメント系スラリー添加用の発泡調整剤を用いた起泡剤のオンラインブレンド方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】セメント系スラリー添加用の発泡調整剤を用いた起泡剤のオンラインブレンド方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20230403BHJP
   C04B 24/02 20060101ALI20230403BHJP
   C04B 28/14 20060101ALI20230403BHJP
   C04B 111/40 20060101ALN20230403BHJP
【FI】
B28B1/30
C04B24/02
C04B28/14
C04B111:40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018566294
(86)(22)【出願日】2017-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 US2017024677
(87)【国際公開番号】W WO2017218061
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】15/186,320
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/186,336
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/038885
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/431,444
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】アンナマリア・ヴィリンスカ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・シー・リー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイシン・ディー・ソング
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】佐藤 陽一
【審判官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-501002号公報
【文献】特表2014-508665号公報
【文献】特開昭63-236779号公報
【文献】特開2006-62879号公報
【文献】特開2006-69815号公報
【文献】米国特許出願公開第2012/0315464号明細書
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 1/00- 1/54
C04B 2/00-32/02
C04B40/00-40/06
C04B38/00-38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡セメント系ボードを作製する方法であって、
(a)第1の量の第1の起泡剤、第2の量の第2の起泡剤、および第3の量の脂肪族アルコールを第1の重量比でブレンドして水性ブレンド流れを形成することと、
ただし、前記第1の起泡剤は少なくとも1つのアルキルサルフェートであり、前記第2の起泡剤は少なくとも1つのアルキルエーテルサルフェートであり、前記水性ブレンド流れは、前記第1の起泡剤、前記第2の起泡剤、前記脂肪族アルコール、及び水から実質的になり、前記第1の起泡剤及び前記第2の起泡剤の合計重量前記脂肪族アルコールの重量に対して5000:1から100:1の重量比で存在する、
(b)第1、第2、および第3の量を前記第1の重量比から前記第1の重量比とは異なる第2の重量比に制御可能に変更することと、
(c)前記ブレンドされた流れの中に空気を挿入して気泡を形成することと、
(d)少なくとも水、セメント系材料、および前記気泡を混合して、スラリーを形成することと、
(e)第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間に前記スラリーを配置して、ボード前駆体を形成することと、
(f)前記ボード前駆体をボードに切断することと、
(g)前記ボードを乾燥させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1、第2、および第3の量が、流量計量システムによって制御され、プロセスコントローラが、前記流量計量システムと通信して前記第1、第2、および第3の量のうちの1つ以上を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流量計量システムが、前記第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの各々の前記水性ブレンド流れへの流動を制御するための弁と動作可能に関連する少なくとも1つのポンプを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記脂肪族アルコールが、C-C20脂肪族アルコールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
アルキルエーテルサルフェートが、アルキルサルフェートの添加の前に、前記脂肪族アルコールと組み合わされる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
アルキルサルフェートが、アルキルエーテルサルフェートの添加の前に、前記脂肪族アルコールと組み合わされる、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2016年6月17日に共に出願され、かつ2015年10月1日出願の米国仮特許出願第62/235,979号の利益を主張する米国特許出願第15/186,320号および同第15/186,336号の一部において継続である、2017年2月22日に出願された米国特許出願第15/431,444号に対する優先権の利益を主張し、それらの先行出願の全ては、参照により本明細書によって組み込まれる。
【0002】
硬化石膏(すなわち、硫酸カルシウム二水和物)は、建築構造および改築のためのパネルおよび他の製品を含む、多くの製品で使用される周知の材料である。1つのそのようなパネル(多くの場合、石膏ボードと称される)は、2つのカバーシート間に挟持された硬化石膏芯の形態であり(例えば、紙直面ボード)、建物の内壁および天井の乾式壁構造で一般的に使用される。多くの場合、「スキムコート」と称される1つ以上の緻密層が、通常は紙-芯界面において、芯の両側で含まれてもよい。
【0003】
ボードの製造中、スタッコ(すなわち、硫酸カルシウム半水化物および/または硫酸カルシウム無水石膏の形態の焼石膏)、水、および必要に応じて他の成分が、典型的には、ピンミキサ(その用語は当該技術分野において使用される)内で混合される。スラリーは、ミキサから、スキムコート(存在する場合)のうちの1つがすでに適用された(多くの場合、ミキサの上流で)カバーシートを運ぶ移動コンベヤ上に形成および放出される。スラリーは、紙上に広げられる(スキムコートは、任意に紙上に含まれる)。スキムコートの有無にかかわらず、別のカバーシートがスラリー上に適用されて、例えば、形成プレートなどを用いて、望ましい厚さのサンドイッチ構造を形成する。混合物は、鋳造され、硬化されて、焼石膏の水との反応によって硬化(すなわち、再水和)石膏を形成して、結晶性水和石膏(すなわち、硫酸カルシウム二水和物)のマトリックスを形成する。硬化石膏結晶のインターロッキングマトリックスの形成を可能にし、それにより、生成物中の石膏構造に強度を付与するのは、焼石膏の望ましい水和である。熱は、残りの遊離(すなわち、未反応)水を除去して、乾燥生成物を得るために必要とされる(例えば、窯内で)。
【0004】
設置のより高い効率のため、ボード重量の低減が望ましい。例えば、持ち上げの必要性ははるかに少なく、それは、より長い仕事日およびより少ない怪我をもたらす。より軽量のボードはまた、輸送費およびエネルギー消費の低減をもたらし得るため、より「環境に優しい」。ボードの重量を低減するために、起泡剤がスラリーに導入されて、最終生成物中の空気間隙を形成することができる。しかしながら、それらの性質からして、起泡剤は概して不安定であり、それによって、気泡の泡が特にセメント系材料の存在下で容易に崩壊する傾向があり、それにより、無駄および非効率性をもたらす。
【0005】
さらに、質量を石膏ボードエンベロープ中の空気で置き換えることは、重量を低減するが、その質量の損失はまた、より小さい強度ももたらす。強度の損失を補うことは、当該技術分野における重量低減の努力においてかなりの障害物である。
【0006】
この背景技術の記載が、読み手を補助するために本発明者らによって作られており、従来技術の参照としても、示された問題のうちのいずれもそれら自体が当該技術分野において理解されたという指示としてもみなされるものではないことが理解されるであろう。記載された原理は、いくつかの観点および実施形態において、他のシステムに固有の問題を軽減できるが、保護された革新性の範囲が、添付の特許請求の範囲によって定義され、本明細書で記されたいかなる特定の問題を解決する本開示のいかなる実施形態の能力によっても定義されないことが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本開示は、相対重量の調節される起泡剤および発泡調整剤を可能にする方法で、ブレンドされた予混合物気泡の流れを形成するための、起泡剤(石鹸)および発泡調整剤(石鹸調整剤)の「オンライン」ブレンドを提供する。例えば、気泡は、発泡石膏またはセメントボードの製造において特定の有用性を有する。乾燥した製品に空隙をもたらす気泡は、ボードがより軽くなるように使用される。オンラインブレンドは、石膏ウォールボードまたはセメントボード製造施設で、起泡剤(複数可)および発泡調整剤の量を直接的に調節することを可能にする。この可撓性は、気泡から形成された空隙を含むボード層内の空隙のサイズおよび配置を含む、例えばボード構造に関して、ボード最終製品の特性を調整することを可能にするため有利である。
【0008】
したがって、発泡セメント系ボードを製造する方法は、第1の量の第1の起泡剤、第2の量の第2の起泡剤、および第3の量の脂肪族アルコールをブレンドしてブレンド流れを形成することを含むか、またはそれからなるか、またはそれから本質的になり、第1、第2、および第3の量は、第1の重量比である。このステップにおいて、第1または第2の起泡剤は、まず事前流れ中で脂肪族アルコールと組み合わされ、次いで、ブレンド流れに、例えばブレンド流れ導管中に添加され得る。方法はまた、第1、第2、および/または第3の量を制御可能に変更して、第1の重量比とは異なる第2の重量比を形成することを含む。方法は、ブレンド流中に空気を挿入して気泡を形成することと、少なくとも水、セメント系材料、および気泡を混合してスラリーを形成することと、第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間にスラリーを配置して、ボード前駆体を形成することと、ボード前駆体をボードに切断することと、ボードを乾燥させることとをさらに含む。
【0009】
別の態様において、気泡を形成するためのシステムが提供される。システムは、第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールを、順序に関係なく、直接または間接的に気泡発生器に導入するように構成された流量計量システムを備えるか、それからなるか、またはそれから本質的になる。いくつかの実施形態において、第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールは、気泡発生器に添加する前に、順序にかかわらず、例えば、ブレンド流れ導管中で組み合わされる。いくつかの実施形態において、第1の起泡剤または第2の起泡剤は、ブレンド流れ導管に送達される前に、例えば、予め導管内でまず脂肪アルコールと混合される。コントローラは、直接的または間接的に気泡発生器に導入される(例えば、ブレンド流れ導管を介して)第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの相対量を選択的に変化させるために流量計量システムと通信する。空気供給導管は、気泡を形成するのに適した気泡発生器に空気を導入するために提供される。
【0010】
別の態様において、気泡を形成するためのシステムが提供される。システムは、第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールのブレンド流れ導管への流動を、順序に関係なく制御するための1つ以上の弁にと動作可能に関連する少なくとも1つのポンプを含む流量計量システムを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。コントローラは、ブレンド流れ導管に導入される第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの相対量を、選択的に変化させるために流量計量システムと通信する。気泡発生器は、ブレンド流れ導管と流体連通し、空気供給導管は、気泡が調製され得るように気泡発生器に空気を導入する。
【0011】
別の態様において、気泡を形成するためのシステムが提供される。システムは、第1の供給導管から第1の弁を介してブレンド流れ導管に第1の起泡剤を導入するために使用される第1のポンプを備えるか、それからなるか、またはそれから本質的になる。第2のポンプは、第2の供給導管から第2の弁を介してブレンド流れ導管に第2の起泡剤を導入するために使用される。第3のポンプは、第3の供給導管から第3の弁を介してブレンド流れ導管に第3の脂肪族アルコールを導入するために使用される。コントローラは、ブレンド流れ導管に導入される第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの相対量を、選択的に変化させるために、第1、第2、および第3の弁ならびに/または第1、第2、および第3のポンプのうちの1つ以上(例えば、全て)と通信する。撹拌手段を含む気泡発生器は、ブレンド流れ導管と通信している。空気供給導管は、気泡発生器に空気を導入する。したがって、ブレンド流れの内容物が撹拌され、気泡発生器内の空気と組み合わされると、気泡が形成される。次いで、気泡は、石膏ウォールボードまたはセメントボードなどのボードの調製のために、セメント系スラリー、例えばセメント系スラリーが連続的に形成されるミキサに送達され得る。
【0012】
別の態様において、本開示は、2つのカバーシート間に配置された硬化石膏芯を含む、それからなる、またはそれから本質的になる、石膏ボードを提供する。硬化石膏芯は、少なくとも水、スタッコ、および気泡から形成された石膏結晶マトリックスを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。気泡は、起泡剤、および脂肪族アルコールを含む泡安定剤から形成される。好ましくは、起泡剤は、少なくとも1つのアルキルサルフェート、少なくとも1つのアルキルエーテルサルフェート、またはそれらの任意の組み合わせを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。いくつかの実施形態において、起泡剤は、オレフィンおよび/またはアルキン起泡剤を実質的に除外する。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、脂肪族アルコールは、起泡剤と反応して、気泡を安定化させ、最終生成物中に形成された空気間隙のより良好な制御を可能にすると考えられる。いくつかの実施形態において、泡安定剤は、脂肪族アルコールを含むが、脂肪酸アルキロアミド(fatty acid alkyloamide)および/またはカルボン酸タウリドを実質的に除外する。いくつかの実施形態において、ボードは、脂肪族アルコールなしで調製された同じボードと比較して強化された強度を呈する。
【0013】
別の態様において、本開示は、セメント系(例えば、石膏またはセメント)ボードを作製する方法を提供する。気泡は、典型的には予め生成される。したがって、方法は、起泡剤と、脂肪族アルコールを含む泡安定剤との水性混合物に空気を挿入することによって、気泡を予め生成することを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。好ましくは、起泡剤は、少なくとも1つのアルキルサルフェート、少なくとも1つのアルキルエーテルサルフェート、またはそれらの任意の組み合わせを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。安定した起泡剤および不安定な起泡剤がブレンドされ得る。いくつかの実施形態において、起泡剤は、オレフィンおよび/またはアルキン起泡剤を実質的に除外する。気泡は、スラリーに導入(例えば、注入)される。
【0014】
方法は、少なくとも水、スタッコ、および気泡を混合してセメント系スラリーを形成することと、第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間にスラリーを配置して、ボード前駆体を形成することと、ボード前駆体をボードに切断することと、ボードを乾燥させることとを含む。好ましい実施形態において、脂肪族アルコールは、予混合物中で起泡剤と組み合わされ得、予混合物は、例えば、ミキサ内で、スタッコ、水、および望ましいように他の添加剤に添加される。理論に束縛されるものではないが、脂肪族アルコールは、水性起泡剤中で概して可溶化されると考えられる。いくつかの実施形態において、泡安定剤は、脂肪族アルコールを含むが、グリコールおよび/またはアミド化合物を実質的に除外する。
【0015】
別の態様において、本開示は、発泡石膏スラリーを形成する方法を提供する。方法は、起泡剤を脂肪族アルコールと組み合わせて、水性石鹸混合物を形成することと、水性石鹸混合物から気泡を生成することと、気泡をスタッコおよび水を含む石膏スラリーに添加して、発泡石膏スラリーを形成することとを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、気泡が石膏スラリーに取り込まれると、気泡の泡は、シェルがスラリーと接する泡を包囲して形成される。脂肪族アルコールの存在が、望ましくは、界面においてシェルを安定化させることがさらに考えられる。
【0016】
別の態様において、本開示は、水と、スタッコと、起泡剤と、脂肪族アルコールとを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になるスラリーを提供し、スラリーがボードとして鋳造され、乾燥させられたとき、ボードは、脂肪族アルコールなしで形成された同じボードと比較して増加した強度を有する。
【0017】
別の態様において、本開示は、例えば、セメント系(例えば、石膏またはセメント)ボードの調製で使用される、セメント系スラリー中の発泡構造を安定化させる方法を提供する。方法において、脂肪族アルコールは、起泡剤と組み合わされ得る。いくつかの実施形態において、起泡剤は、脂肪族アルコールと混合されて、水性石鹸混合物を形成する。気泡は、水性石鹸混合物から生成される。気泡は、セメント系材料(例えば、スタッコまたはセメント)および水を含む石膏またはセメントスラリーに添加されて、発泡セメント系スラリーを形成する。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、気泡がセメント系スラリーに取り込まれると、気泡の泡は、シェルがスラリーと接する泡を包囲して形成される。脂肪族アルコールの存在が、望ましくは、界面においてシェルを安定化させることがさらに考えられる。
【0018】
ボードを作製するために、発泡セメント系スラリーは、頂部(または正面)カバーシートに結合関係で適用されて、第1および第2の主面を有する発泡セメント系芯スラリーを形成する。発泡セメント系芯スラリーの第1の主面は、頂部カバーシートに面する。底部(または背面)カバーシートは、発泡セメント系芯スラリーの第2の主面に結合関係で適用されて、ボード前駆体の湿潤アセンブリを形成する。望ましい場合、スキムコートは、芯と、カバーシートの一方または両方との間に適用され得る。ボード前駆体は、切断され、乾燥させられて、ボード生成物を形成する。
【0019】
別の態様において、本開示は、水と、セメント材料(例えば、ポートランドセメント、アルミナセメント、マグネシアセメントなど、およびそのような材料のブレンド)との芯混合物から形成されたセメントボードを提供する。起泡剤および脂肪族アルコールもまた混合物中に含まれる。任意に、軽量凝集体(例えば、膨張粘土、膨張スラグ、膨張シェール、パーライト、膨張ガラスビーズ、ポリスチレンビーズなど)が、いくつかの実施形態において、混合物中に含まれ得る。セメントボードは、2つのカバーシートの間に配置されたセメント芯を含む。セメント芯は、少なくとも水、セメント、起泡剤、および脂肪族アルコールから形成され得る。
【0020】
別の態様において、本開示は、発泡セメントスラリーを形成する方法を提供する。方法は、起泡剤を脂肪族アルコールと組み合わせて、水性石鹸混合物を形成することと、水性石鹸混合物から気泡を生成することと、気泡を、セメント(例えば、ポートランドセメント、アルミナセメント、マグネシアセメントなど、またはそれらの組み合わせ)および水を含むセメントスラリーに添加して、発泡セメントスラリーを形成することとを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。気泡がセメントスラリーに取り込まれると、気泡の泡は、シェルがスラリーと接する泡を包囲して形成される。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、脂肪族アルコールの存在は、望ましくは、界面においてシェルを安定化させる。
【0021】
別の態様において、本開示は、水と、セメントと、起泡剤と、脂肪族アルコールとを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になるスラリーを提供し、スラリーがボードとして形成され、乾燥させられたとき、ボードは、脂肪族アルコールなしで形成された同じボードと比較して増加した強度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本明細書の実施例1に記載されるような、ポリカルボキシレートエーテルありまたはなしの両方の、脂肪族アルコールを含まない起泡剤溶液(X軸)に対する気泡の高さ(mm)(Y軸)の棒グラフである。
図2】本明細書の実施例1に記載されるような、起泡剤1Bを含有する起泡剤溶液(X軸)に対する気泡の高さ(mm)(Y軸)の棒グラフである。
図3】本明細書の実施例1に記載されるような、起泡剤1Cを含有する起泡剤溶液(X軸)に対する気泡の高さ(mm)(Y軸)の棒グラフである。
図4】本明細書の実施例1に記載されるような、起泡剤1Bを含有する起泡剤溶液の時間(X軸)に対する気泡の高さ(mm)(Y軸)のグラフである。
図5】本明細書の実施例1に記載されるような、起泡剤1Cを含有する起泡剤溶液の時間(X軸)に対する気泡の高さ(mm)(Y軸)のグラフである。
図6】本明細書の実施例2に記載されるような、脂肪族アルコールなしで調製された対照ウォールボード2Aの断面の20倍の倍率の光学顕微鏡画像である。
図7】本明細書の実施例2に記載されるような、1%のドデカノールとの起泡剤ブレンドを用いて調製されたウォールボード2Bの断面の20倍の倍率の光学顕微鏡画像である。
図8】本明細書の実施例2に記載されるような、1%のデカノールとの起泡剤ブレンドを用いて調製されたウォールボード2Cの断面の20倍の倍率の光学顕微鏡画像である。
図9】本明細書の実施例2に記載されるような、1%のオクタノールとの起泡剤ブレンドを用いて調製されたウォールボード2Dの断面の20倍の倍率の光学顕微鏡画像である。
図10】本明細書の実施例2に記載されるような、対照ウォールボード2A中の空隙サイズに対する体積分布(%)(Y軸)の棒グラフである。
図11】本明細書の実施例2に記載されるような、1%のドデカノールで調整された起泡剤を用いて調製されたウォールボード2B中の空隙サイズ(ミクロン)(X軸)に対する空隙の体積分布(%)(Y軸)の棒グラフである。
図12】本明細書の実施例2に記載されるような、1%のデカノールで調整された起泡剤を用いて調製されたウォールボード2C中の空隙サイズ(ミクロン)(X軸)に対する体積分布(%)(Y軸)の棒グラフである。
図13】本明細書の実施例2に記載されるような、1%のオクタノールで調整された起泡剤を用いて調製されたウォールボード2D中の空隙サイズ(ミクロン)(X軸)に対する体積分布(%)(Y軸)の棒グラフである。
図14】気泡が、例えば、ボードの製造中の石膏またはセメントスラリーへの挿入に有用であるような、安定および不安定な石鹸(起泡剤)ならびに石鹸(気泡)調整剤を含む気泡を調製するためのシステムの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態は、セメント系スラリー(例えば、石膏またはセメントスラリー)に、かつ関連する生成物および方法に有用な発泡調整剤を提供する。発泡調整剤は、脂肪族アルコールであり、それは、いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、気泡を安定化させるのを補助するよう作用すると考えられる。石膏およびセメントスラリーは、異なるタイプおよび量の材料を有する複合系であってもよい。スラリー内の成分は、気泡に応力を与え、それは、気泡の泡を崩壊させ、空気間隙サイズ分布の制御の低減をもたらす。驚くべきことに、かつ予想外に、本発明者らは、起泡剤を有する脂肪族アルコールを、例えば、気泡を調製するための予混合物中に含むことが、気泡の安定性の改善をもたらし、それにより、気泡(空気)間隙サイズおよび分布のより良好な制御を可能にすることを発見した。そのような頑丈な発泡系を形成することによって、いくつかの実施形態において、制御された芯構造は、例えば、改善された釘抜き抵抗性(時に単純に「釘抜き」と称される)、芯硬度などに見られるように、改善されたボード強度をもたらし得る。いくつかの実施形態において、ボードは、脂肪族アルコールなしで形成された同じボードと比較して増加した強度を有する。芯構造の空気間隙サイズ分布は、予め決定され得るように、例えば、より大きい空気間隙またはより小さい空気間隙を含む、例えば、より高くてもよく、またはより低くてもよい平均空隙径を有するように、望ましいように調整され得る。
【0024】
脂肪族アルコールは、石膏スラリー中で気泡を生成するのに有用な任意の好適な起泡剤組成物と共に使用され得る。好適な起泡剤は、ボード芯の重量が低減され得るような最終生成物中の空気間隙をもたらすように選択される。いくつかの実施形態において、起泡剤は、安定した石鹸、不安定な石鹸、または安定した石鹸および不安定な石鹸の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、起泡剤の1つの構成成分は、安定した石鹸であり、もう1つの構成成分は、安定した石鹸および不安定な石鹸の組み合わせである。いくつかの実施形態において、起泡剤は、アルキルサルフェート界面活性剤を含む。
【0025】
GEO Specialty Chemicals(Ambler,PA)製の石鹸製品のHYONICライン(例えば、25AS)などの多くの商業的に既知の起泡剤が入手可能であり、本開示の実施形態に従って使用され得る。他の市販の石鹸としては、Stepan Company(Northfield,Illinois)製のPolystep B25が挙げられる。本明細書に記載される起泡剤は、単独で、または他の起泡剤と組み合わせて使用され得る。
【0026】
いくつかのタイプの不安定な石鹸は、本開示の実施形態によると、異なる鎖長および異なるカチオンを有するアルキルサルフェート界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C-C12、例えば、C-C10またはC10-C12であり得る。好適なカチオンとしては、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、またはカリウムが挙げられる。不安定な石鹸の例としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸カリウム、デシル硫酸カリウム、オクチル硫酸ナトリウム、デシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸アンモニウム、それらのブレンド、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0027】
いくつかのタイプの安定した石鹸は、本開示の実施形態によると、異なる(概してより長い)鎖長および異なるカチオンを有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化)アルキルサルフェート界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C10-C14、例えば、C12-C14、またはC10-C12であり得る。好適なカチオンとしては、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、またはカリウムが挙げられる。安定した石鹸の例としては、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウレス硫酸マグネシウム、ラウレス硫酸アンモニウム、それらのブレンド、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、これらのリストからの安定した石鹸および不安定な石鹸の任意の組み合わせが使用され得る。
【0028】
起泡剤の組み合わせおよびそれらの発泡石膏生成物の調製における添加の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,643,510号に開示される。例えば、安定した気泡を形成する第1の起泡剤および不安定な気泡を形成する第2の起泡剤が組み合わされ得る。いくつかの実施形態において、第1の起泡剤は、8~12個の炭素原子のアルキル鎖長、および1~4単位のアルコキシ(例えば、エトキシ)基鎖長を有する石鹸である。第2の起泡剤は、任意に、6~20個の炭素原子、例えば、6~18個の炭素原子または6~16個の炭素原子のアルキル鎖長を有する非アルコキシル化(例えば、非エトキシル化)石鹸である。これらの2つの石鹸の個々の量を調節することは、約100%の安定した石鹸または約100%の不安定な石鹸が得られるまで、ボード気泡構造の制御を可能にする。
【0029】
いくつかの実施形態において、起泡剤は、アルキルサルフェートおよび/またはアルキルエーテルサルフェートの形態である。そのような起泡剤は、オレフィンが、石鹸になるように作製されたときでさえ、概して分子の正面において二重結合を含有し、それにより、それらを不必要により反応性の高いものにするため、オレフィンよりも好ましい。したがって、好ましくは、起泡剤は、アルキルサルフェートおよび/またはアルキルエーテルサルフェートを含むが、オレフィン(例えば、オレフィンサルフェート)および/またはアルキンを本質的に含まない。オレフィンまたはアルキンを本質的に含まないということは、起泡剤が(i)スタッコの重量に基づき0重量%の、もしくはゼロのオレフィンおよび/もしくはアルキン、または(ii)効果のない、または(iii)取るに足りない量のオレフィンおよび/もしくはアルキンのいずれかを含有することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するように、オレフィンおよび/またはアルキン起泡剤を使用する意図された目的を達成するための閾値量未満の量である。取るに足りない量は、当業者が理解するように、スタッコの重量に基づき、例えば、約0.001重量%未満、例えば、約0.005重量%未満、約0.001重量%未満、約0.0001重量%未満などであってもよい。
【0030】
起泡剤は、任意の好適な量で石膏スラリーに含まれる。例えば、いくつかの実施形態において、それは、スタッコの約0.01重量%~約0.25重量%、例えば、スタッコの約0.01重量%~約0.1重量%、スタッコの約0.01重量%~約0.03重量%、またはスタッコの約0.07重量%~約0.1重量%の量で含まれる。
【0031】
脂肪族アルコールは、任意の好適な脂肪族脂肪アルコールであってもよい。本明細書全体を通して定義されるように、「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルを指し、置換または非置換、分岐鎖または非分岐鎖、および飽和または不飽和であってもよく、いくつかの実施形態に関連して、本明細書に記載される炭素鎖、例えば、C-C(xおよびyは整数である)によって示されることが理解されるであろう。したがって、脂肪族という用語はまた、基の疎水性を維持するヘテロ原子置換を有する鎖を指す。脂肪族アルコールは、単一化合物であってもよく、または2つ以上の化合物の組み合わせであってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、脂肪族アルコールは、C10-C20脂肪族アルコールまたはC-C16脂肪族アルコール(例えば、C-C14、C-C12、C-C10、C-C、C-C16、C-C14、C-C12、C-C10、C10-C16、C10-C14、C10-C12、C12-C16、C12-C14、またはC14-C16脂肪族脂肪アルコールなど)などの、C-C20脂肪族アルコールである。例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノールなど、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0033】
10-C20脂肪族アルコールは、直鎖または分岐鎖のC-C20炭素鎖、および少なくとも1つのヒドロキシル基を含む。ヒドロキシル基は、炭素鎖上の任意の好適な位置において付着し得るが、好ましくは、いずれかの末端炭素にあるか、またはその付近にある。ある特定の実施形態において、ヒドロキシル基は、炭素鎖のα、β、またはγ位置において付着し得、例えば、C-C20脂肪族アルコールは、以下の構造サブユニットを含むことができる:
【0034】
【化1】
【0035】
したがって、いくつかの実施形態に従った望ましい脂肪族アルコールの例は、1-ドデカノール、1-ウンデカノール、1-デカノール、1-ノナノール、1-オクタノール、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0036】
いくつかの実施形態において、泡安定剤は、脂肪族アルコールを含み、脂肪酸アルキロアミド(fatty acid alkyloamide)またはカルボン酸タウリドを本質的に含まない。いくつかの実施形態において、泡安定剤は、グリコールを本質的に含まないが、グリコールは、いくつかの実施形態において、例えば、より高い界面活性剤の含量を可能にするために、含まれ得る。上記の成分のうちのいずれも本質的に含まないということは、泡安定剤が(i)これらの成分のうちのいずれかの重量に基づき0重量%、または(ii)効果のない、または(iii)取るに足りない量のこれらの成分のうちのいずれか、のいずれかを含有することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するように、これらの成分のうちのいずれを使用する意図された目的を達成するための閾値量未満の量である。取るに足りない量は、当業者が理解するように、スタッコの重量に基づき、例えば、約0.0001重量%未満、例えば、約0.00005重量%未満、約0.00001重量%未満、約0.000001重量%未満などであってもよい。
【0037】
脂肪族アルコールは、任意の好適な量で石膏スラリー中に存在し得る。いくつかの実施形態において、脂肪族アルコールは、スタッコの約0.0001%重量%~約0.03%重量%、例えば、スタッコの約0.0001重量%~約0.001重量%、スタッコの約0.0002重量%~約0.0075重量%、スタッコの約0.0001重量%~約0.003重量%、またはスタッコの約0.0005重量%~約0.001重量%の量で存在する。
【0038】
好ましい実施形態において、効率を高めるために、起泡剤、気泡水、および脂肪族アルコールが、石膏スラリーへの添加前に組み合わされる。この方法での調製は、脂肪族アルコールが、石膏スラリー中で希釈され、気泡の泡へのアクセスのためにスラリーの他の構成成分と競合するよりもむしろ、気泡と直接作用して、望ましい安定化効果を提供することを可能にする。
【0039】
脂肪族アルコールは、起泡剤に添加され、典型的には溶解され得る。脂肪族アルコールが概して不水溶性であるため、それらは、いくつかの実施形態において、石鹸に添加され、気泡生成の前に最初に可溶化される。脂肪族アルコールは、本開示の実施形態に従って、安定した起泡剤または不安定な起泡剤中に溶解され得る。いくつかの実施形態において、次いで、溶解した脂肪族アルコールを有する第1の起泡剤は、別の起泡剤(例えば、不安定な起泡剤とブレンドされた溶解した脂肪族アルコールを有する安定した起泡剤、または安定した起泡剤とブレンドされた溶解した脂肪族アルコールを有する不安定な起泡剤)とブレンドされる。
【0040】
界面活性剤(起泡剤)と脂肪族アルコールとの間の有効重量割合は、石膏スラリーへの添加前に、最終の起泡剤-脂肪族アルコールブレンド中で使用され得る。例えば、起泡剤は、約5000:1~約5:1、例えば、約5000:1~約1000:1、約500:1~約100:1、または約500:1~約10:1の重量比で、脂肪族アルコールに対して存在し得る。例示するために、一実施形態において、典型的な最終の起泡剤-脂肪族アルコールブレンドは、30重量%の界面活性剤および1重量%の脂肪族アルコールを有し、混合物の残りは水からなる。
【0041】
起泡剤および脂肪族アルコールは、混合(撹拌、かき混ぜ)によって容器内でブレンドされ得る。追加の起泡剤が注入によって添加され得る。好ましい実施形態によると、気泡は、セメント系スラリーと接触する前に予め生成および予め安定化される。理論に束縛されるものではないが、セメント系スラリーと混合する前に脂肪族アルコールで調整される、界面活性剤の薄膜が形成されることが考えられる。気泡の予生成は、石鹸溶液と加圧空気の高剪断混合を伴う。この起泡剤の予生成は、それが気泡をもたらすために好ましく、それは、気泡を作製することなく、単に混合中にある程度の空気を取り込む系とは対照的である。これらの空気取り込み系は、ある程度の石鹸を含有するスラリーを単純にブレンドすることによって、単に泡を追加する。気泡は、予め生成された気泡の泡のサイズがより均一であり、制御され得るため、そのような混合された泡系とは区別され得る。
【0042】
脂肪族アルコールとの起泡剤組成物ブレンドが組み合わされた後、気泡が生成され、次いで、スラリーに添加(例えば、注入)される。気泡を生成するための方法および装置は、周知である。例えば、米国特許第4,518,652号、同第2,080,009号、および同第2,017,022号を参照されたい。気泡は、水性起泡剤-脂肪族アルコール混合物から予め生成され得る。例えば、起泡剤および脂肪族アルコールの組み合わせの最終組成物は、投薬量調節を介して気泡発生器装置に誘導され得る。気泡を作製する1つの方法は、水と石鹸溶液を混合する気泡発生器を使用することである。かき混ぜ、乱流、または混合を含む任意の混合方法が使用されて、空気と石鹸を組み合わせ、泡を形成させることができる。例えば、気泡発生器装置は、気泡を生成するために混合された圧縮空気および界面活性剤溶液を含むことができる。水および空気の量は、特定の密度の気泡を生成するように制御される。気泡体積の調節は、乾燥生成物の全重量を制御するために使用される。
【0043】
望ましい場合、起泡剤の混合物は、予めブレンドされた「オフライン」であってもよく、すなわち、発泡石膏生成物を調製するプロセスとは切り離され得る。しかしながら、混合プロセスの一体的な「オンライン」部分として、第1および第2の起泡剤を同時かつ連続的にブレンドすることが好ましい。これは、例えば、異なる起泡剤の別々の流れを送り込み、水性気泡の流れ(それは次いで、焼石膏スラリーに挿入され、それと混合される)を生成するために用いられる気泡発生器において、またはその直前にそれらの流れを集めることによって達成され得る。この方法でブレンドすることによって、ブレンド中の第1および第2の起泡剤の比は、発泡硬化石膏生成物中の望ましい空隙特徴を達成するように単純かつ効率的に調節され得る(例えば、別々の流れの一方または両方の流量を変化させることによって)。このような調節が必要か否かを決定するための最終製品の審査に応じて、このような調節は行われる。そのような「オンライン」ブレンドおよび調節のさらなる記載は、参照により組み込まれる米国特許第5,643,510号および同第5,683,635号で見ることができる。
【0044】
気泡のオンライン添加は、1つ以上の石鹸が本明細書に記載されているような発泡調整剤と予混合物中で組み合わされることを可能にし、それが次に石膏スラリー、例えば石膏スラリー用の主なミキサに挿入されるため、いくつかの実施形態において有利である。この方法での石鹸および石鹸(気泡)調整剤の添加は、例えば、当該技術分野で既知のプロセス制御装置の助けを借りて、各構成成分の相対重量を調節することができるため、システムにおける可撓性を可能にする。したがって、1つ以上の石鹸および石鹸調整剤の個々の量は、より良好な精度で制御され得、それぞれの構成成分(すなわち、石鹸および石鹸調整剤)の予め決定された相対量で、オフサイトで調製された石鹸(起泡剤)および石鹸調整剤(発泡調整剤)の組み合わされた源からは得られない製造中の可撓性を可能にする。
【0045】
図14は、起泡剤(石鹸)および発泡調整剤(石鹸調整剤)が、各構成成分の量に関して調節され得る予混合物中で組み合わされる気泡生成システム10の実施形態を示す概略流れ図である。具体的には、本明細書に記載されているように、不安定な石鹸12、石鹸調整剤14、および安定した石鹸16は、個々の導管を介して、任意の順序でブレンド流れ導管18に導入される。界面活性剤溶液を希釈するために、気泡水20はまた、ブレンド流れ導管18に添加され得る。気泡空気24は、気泡生成に好適であり得るため、望ましい目標の泡密度(例えば、約2lb/ft~約8lb/ft、約3lb/ft~約7lb/ft、または約4lb/ft~約6lb/ftなど)を達成するために導入され得る。
【0046】
ブレンド流れ導管18の内容物は、気泡発生器22に挿入される。清潔で、乾燥した空気24もまた、気泡発生器22に挿入され、気泡26を形成するために使用される。気泡発生器22は、一般に、当該技術分野で既知であるように、ロータおよびステータを含む。気泡発生器は、ロータとステータとの間の剪断作用を使用して空気、水、および起泡剤を圧力下で混合して気泡を生成する。空気は、空気圧(例えば、約40psi~約100psi、または約40psi~約80psi)および流量(例えば、約20ft/分~約60ft/分、または約30ft/分~約50ft/分)の正確な制御を有する導管を介して供給され得る。次いで、気泡26は、当該技術分野で既知であるように、石膏ボードまたはセメントボードなどのボードを形成するために使用されるセメント系スラリーを形成するためのミキサに送達され得る。
【0047】
有利には、システム10は、気泡、特に不安定な石鹸12、石鹸調整剤14、および安定した石鹸16の製造に使用される構成成分のオンライン調節を可能にする。不安定な石鹸12、石鹸調整剤14、および安定した石鹸16は、それぞれ予備成形され、個々の導管を介してブレンド流れ導管18に導入され得る。望ましい場合、不安定な石鹸12および石鹸調整剤14は、予め導管内で最初に組み合わされ得るか、および/または同様に、安定な石鹸16および石鹸調整剤14は、予め導管内で最初に組み合わされ得る。構成成分12、14、および16の挿入は、以下に説明されるような流量計量システムによって支援され得る。
【0048】
システム10は、気泡生成システムが連続的に気泡を形成し、セメント系スラリーミキサが連続的にボードを形成しているときでさえ、各構成成分12、14、および16の相対量のオンザフライ調節を可能にする。説明するために、構成成分12、14、および16は、第1の重量比で存在することができるが、オペレータ(例えば、ボードラインオペレータ)は、構成成分12、14、および16のうちの1つ以上の量を調節し得、第2の重量比を、全てオンザフライで、気泡、ひいてはボードが連続的に調製される間に、形成する。例えば、オペレータは、ボード層内の目標空気空隙構造を達成し、当該技術分野で既知のような空隙サイズ分布を制御するために、構成成分12、14、および16の相対量を変更したいことがある。これは、湿ったスラリーのサンプルおよび/または下流でサンプリングされたボードの断面(例えば、ナイフにおける湿った形態、または乾燥後)の目視検査に応答し得、特に気泡から生じる空隙を含む石膏層の検査による。
【0049】
流量計量システムは、いくつかの実施形態において、1つ以上のポンプおよび1つ以上弁を含み得る。例えば、1つ以上のポンプ(例えば、革新的空洞または容積移送ポンプ)を使用して、特定の起泡剤または発泡調整剤構成成分のブレンド流れ導管18への注入を容易にすることができる。いくつかの実施形態において、ポンプは、高精度ポンプの形態であり、材料流量を定量化するために流量計を含む。弁または他の流量調整器を使用して、ブレンド流れ導管18に注入される各構成成分12、14、および16の量を調節する。ソレノイド弁またはパルス弁(例えば、変調でパルスする弁)のような、任意の好適な弁を当該技術分野で既知であるように利用することができる。
【0050】
様々な実施形態において、流量計量システムは、1つ、2つ、または3つのポンプが、第1の起泡剤、第2の起泡剤、および発泡調整剤のための弁と動作可能に関連付けられるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の起泡剤、第2の起泡剤、および発泡調整剤のそれぞれに1つずつ、3つのポンプが使用される。いくつかの実施形態において、2つの起泡剤のうちの1つが発泡調整剤と組み合わされる場合など、他の起泡剤に添加される前に、2つのポンプが使用されてもよく、例えば、一方のポンプが最初に組み合わされる2つの成分に使用され、他方のポンプは第3の成分に使用される。他の実施形態において、単一のポンプが使用され、第1の起泡剤、第2の起泡剤、および発泡調整剤の注入に適している。
【0051】
いくつかの実施形態において、プロセスコントローラを利用して、オンライン調節のために流量計量システムを操作することができる。プロセスコントローラは、ブレンド流れ導管に導入される第1の起泡剤、第2の起泡剤、および発泡調整剤の量を調節するために、流量計量システムのポンプおよび/または弁と通信し得る。ポンプおよび弁を使用して流量計量システムを操作するためのハードウェアおよびオペレーティングシステムは周知である。簡潔には、コントローラは、チップまたは電子制御ユニットの形態であってもよく、いくつかの実施形態において、メモリを提供されたコンピュータモジュールと関連付けられ得る。弁およびポンプは、1つ以上の望ましい特徴、例えば、オン/オフ、パルスの速度、作動速度、流量、流れ圧力などの自動設定を有することができ、例えば、モジュールのメモリ内に設置され得る。コントローラは、例えば、人間のオペレータから指示を受け取ることができ、それに応答して、弁および/またはポンプに、例えば、それらの設定を通して、制御出力信号を送信することができる。これは、当業者に理解されるように、ポンプおよび/または弁が、流量、流れ圧力、パルスの速度、作動速度などのうちの1つ以上を調節することができるため、構成成分12、14、および16のうちの1つ以上の量のオンライン調節を可能にする。
【0052】
スラリーおよび予め生成された気泡は、発泡石膏組成物を作製するために組み合わされ得る。石膏スラリーおよび予め生成された気泡を組み合わせる1つの方法は、気泡を加圧して、それをスラリーに押し込むことによる。少なくとも1つの実施形態が、気泡リングを使用して、気泡を分布させる。気泡リングは、スラリーがそれを通って流動することを可能にする、成形された装置である。それは、スラリーがリングを通過するときのスラリーへの過圧気泡の放出のための、1つ以上のジェットまたはスロットを含む。気泡リングの使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,494,609号に開示される。気泡およびスラリーを組み合わせる別の方法は、気泡を直接ミキサに添加することによる。一実施形態において、気泡リングまたは他の気泡注入装置が、気泡をミキサの放流管に注入するように配向される。このプロセスは、参照により組み込まれる、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第5,683,635号に記載される。気泡が生成される、またはスラリーに導入される方法にかかわらず、本方法の重要な特徴は、脂肪族アルコールが、気泡のスラリーへの導入前の気泡発生または生成におけるある時点で組み合わされるか、または添加されることである。石膏組成物は、石膏芯を形成するように成形される。
【0053】
本開示の脂肪族アルコールおよび起泡剤レジームを用いて形成された硬化石膏芯の石膏結晶マトリックは、任意の望ましい孔径分布を有するように調整され得る。石鹸の使用法は、当業者によって理解されるように、望ましい空隙サイズおよび分布に応じて生成物によって異なる。望ましいように空隙サイズを調節するための技術は、周知であり、当業者によって理解されるであろう。例えば、米国特許第5,643,510号および同第US2007/0048490号を参照されたい。例えば、発泡石膏芯の空隙サイズ分布は、水性石鹸混合物中の石鹸の濃度を調節することによって、微細に制御され得る。発泡石膏芯が調製された後、石膏芯の内部の検査が空隙構造を明らかにする。空隙サイズ分布の変化は、石鹸濃度を初期または前の濃度から変化させることによってもたらされる。内部が小さい空隙のあまりに大きい画分を有する場合、水性石鹸混合物中の石鹸濃度は低減され得る。あまりに多くの非常に大きい、楕円形の、または不規則な形の空隙が見つかった場合、石鹸濃度は増加し得る。最小空隙サイズ分布は、生成物、位置、または使用される原材料によって異なり得るが、このプロセス技術は、それがどのように画定されるかにかかわらず、望ましい空隙サイズ分布に近づくために有用である。多くの実施形態における望ましい空隙サイズ分布は、使用されている石膏配合物のための高強度芯をもたらす分布である。
【0054】
例えば、いくつかの実施形態において、硬化石膏芯は、比較的大きい空気間隙の平均空気間隙径、例えば、直径が少なくとも約100ミクロンの平均空気間隙径、直径が少なくとも約150ミクロンの平均空気間隙径、直径が少なくとも約200ミクロンの平均空気間隙径、直径が少なくとも約250ミクロンの平均空気間隙径、直径が少なくとも約300ミクロンの平均空気間隙径、または直径が少なくとも約350ミクロンの平均空気間隙径などを有する、空気間隙を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、硬化石膏芯は、比較的小さい空気間隙の平均空気間隙径、例えば、直径が約100ミクロン未満の平均空気間隙径、直径が約90ミクロン未満の平均空気間隙径、直径が約80ミクロン未満の平均空気間隙径、直径が約70ミクロン未満の平均空気間隙径、直径が約60ミクロン未満の平均空気間隙径、または直径が約50ミクロン未満の平均空気間隙径などを有する、空気間隙を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、石膏結晶マトリックスは、空隙を含む孔径分布を有し、最大周波数を有する空気間隙サイズは、約100ミクロン以下、約80ミクロン以下、約70ミクロン以下、または約50ミクロン以下の直径である。他の実施形態において、石膏結晶マトリックスは、空気間隙を含む孔径分布を有し、最大周波数を有する空気間隙サイズは、少なくとも約100ミクロンの直径、例えば、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約200ミクロンなどの直径である。
【0057】
いくつかの実施形態において、強度を強化するために、硬化石膏芯は、大きい空隙、すなわち、少なくとも約100ミクロンの直径を有することによってもたらされる、有意な空隙体積を含む。例えば、いくつかの実施形態において、硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約20%、例えば、硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約30%、硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約40%、硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約50%、硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約60%、硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約70%、硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約80%、または硬化石膏芯の総空隙体積の少なくとも約90%が、少なくとも約100ミクロンの直径を有する空隙によってもたらされる。強度を維持しながら重量低減を強化するために、いくつかの実施形態において、高周波数におけるより小さい、概して別々の空気間隙、すなわち、約100ミクロン未満の直径を有する、かつ/または約50ミクロン未満の直径を有する空気間隙が、大きい空隙間に配置され得る。いくつかの実施形態において、最大周波数を有する空気間隙サイズが約100ミクロン以下、約80ミクロン以下、約70ミクロン以下、または約50ミクロン以下の直径であると同時に、少なくとも約100ミクロンの直径を有する空気間隙による空隙体積の寄与は、上記の体積パーセントのうちのいずれかに従ったいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、空気間隙の分布は、比較的狭く、それは、芯構造の顕微鏡写真または他の画像の画像分析によって特徴付けられ得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、平均空気間隙サイズという用語(平均空気間隙径とも称される)は、芯中の個々の空気間隙の最大直径から計算される。最大直径は、フェレ径と同じである。各空気間隙の最大直径は、試料の画像から得られ得る。画像は、二次元画像を提供する走査電子顕微鏡(SEM)などの任意の好適な技術を使用して撮影され得る。空気間隙の大量の孔径が、空隙の断面(孔)のランダム性が平均直径を提供することができるように、SEM画像で測定され得る。試料の芯全体を通してランダムに位置する複数の画像中の空隙の測定を行うことは、この計算を改善することができる。加えて、いくつかの二次元SEM画像に基づき、芯の三次元立体的モデルを構築することもまた、平均空隙サイズの計算を改善することができる。別の技術は、三次元画像を提供するX線CT走査分析(XMT)である。別の技術は、光学顕微鏡法であり、光対比が、例えば、空隙の深度を判定するのを補助するために使用され得る。空隙は、手動、または画像分析ソフトウェア、例えば、NIHによって開発されたImageJを使用することのいずれかによって測定され得る。当業者は、画像からの空隙サイズおよび分布の手動判定が、各空隙の寸法の目視観測によって決定され得ることを理解するであろう。試料は、石膏ボードを分割することによって得られ得る。
【0059】
概して直径が約5μm以下の空隙を有する蒸発水空隙もまた、上記の空気(気泡)間隙と共に空隙をもたらす。いくつかの実施形態において、約5ミクロンを超える孔径を有する空隙対約5ミクロン以下の孔径を有する空隙の体積比は、約0.5:1~約9:1、例えば、約0.7:1~約9:1、約0.8:1~約9:1、約1.4:1~約9:1、約1.8:1~約9:1、約2.3:1~約9:1、約0.7:1~約6:1、約1.4:1~約6:1、約1.8:1~約6:1、約0.7:1~約4:1、約1.4:1~約4:1、約1.8:1~約4:1、約0.5:1~約2.3:1、約0.7:1~約2.3:1、約0.8:1~約2.3:1、約1.4:1~約2.3:1、約1.8:1~約2.3:1などである。
【0060】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、脂肪族アルコールは、気泡が石膏スラリー(時に「スタッコスラリー」と称される)に導入されたとき、起泡剤から形成された気泡の泡の安定性を強化すると考えられる。さらに、気泡の泡は、周囲の石膏スラリーとの界面において外側シェルを形成すると考えられる。脂肪族アルコールは、界面においてシェルを増強および安定化して、それにより、空隙サイズおよび分布に対する改善された制御を提供すると考えられる。加えて、改善された安定性のため、崩壊する気泡の泡はより少なく、したがって、いくつかの実施形態において、脂肪族アルコールなしで調製された同じボードと比較して、同じ望ましいボード重量低減を達成するために、より少ない起泡剤が必要とされる。さらに、起泡剤がミセルを形成すると考えられる。この点で、起泡剤は、概して、疎水性尾部および親水性頭部を有する界面活性剤である。脂肪族アルコールは、界面活性剤および脂肪族アルコールからの疎水性領域が互いに隣接して、疎水性領域間の疎水性相互作用によって気泡の泡を保護するように、界面活性剤ミセルに組み込まれ得る。
【0061】
石膏スラリーは、水と、スタッコとを含む。硫酸カルシウムα半水化物、硫酸カルシウムβ半水化物、硫酸カルシウム無水物を含む、任意の好適なタイプのスタッコが石膏スラリーで使用され得る。スタッコは、繊維質または非繊維質であってもよい。本開示の実施形態は、任意の好適な水対スタッコ比(WSR)に対応することができる。いくつかの実施形態において、WSRは、約0.3~約1.5、例えば、約0.3~約1.3、約0.3~約1.2、約0.3~約1、約0.3~約0.8、約0.5~約1.5、約0.5~約1.3、約0.5~約1.2、約0.5~約1、約0.5~約0.8、約0.7~約1.5、約0.7~約1.3、約0.7~約1.2、約0.7~約1、約0.8~約1.5、約0.8~約1.3、約0.8~約1.2、約0.8~約1、約0.9~約1.5、約0.9~約1.3、約0.9~約1.2、約1~約1.5、約1~約1.4、約1~約1.2などである。
【0062】
驚くべきことに、かつ予想外に、気泡空隙の改善された安定性および本明細書に記載される関連した得られる利点は、ボード芯の形成で使用される様々な石膏スラリー添加剤および量の存在下でさえ達成され得る。したがって、本開示の実施形態に従って、起泡剤および脂肪族アルコールを含む改善された調整気泡予混合物は、超軽量ボード、耐カビ性および耐水性ボード、ならびに防火製品を含む様々なタイプの石膏生成物の調製で使用され得る。
【0063】
石膏スラリーは、当該技術分野において既知の促進剤または抑制剤を含んで、硬化速度を調節することができる。促進剤は、様々な形態であってもよい(例えば、湿潤石膏促進剤、耐熱促進剤、および気候安定化促進剤)。例えば、米国特許第3,573,947号および同第6,409,825号を参照されたい。いくつかの実施形態において、促進剤および/または抑制剤が含まれる場合、促進剤および/または抑制剤はそれぞれ、スタッコの約0重量%~約10重量%(例えば、約0.1%~約10%)など、例えば、スタッコの約0重量%~約5重量%(例えば、約0.1重量%~約5重量%)などの固体ベースの量で、ボード芯を形成するためのスタッコスラリー中に存在してもよい。
【0064】
他の添加剤が、生強度、たわみ抵抗、耐水性、耐カビ性、防火性、熱特性、ボード強度などを含む望ましい特性を提供するために、石膏スラリー中に含まれ得る。好適な添加剤の例としては、例えば、デンプン、分散剤、ポリリン酸塩、高膨張性微粒子、ヒートシンク添加剤、繊維、シロキサン、酸化マグネシウムなどの強度添加剤、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書における添加剤という単数形の用語の使用は、便宜上使用されるが、当業者が容易に理解するように、複数形、すなわち、組み合わせた2つ以上の添加剤を包含することが理解されるであろう。
【0065】
いくつかの実施形態において、石膏スラリーは、デンプンなしのボードの強度と比べて、石膏ボードの強度を増加させるのに有効であるデンプンを含む(例えば、増加した釘抜き抵抗性を介して)。ヒドロキシエチルもしくはヒドロキシプロピルデンプン、またはそれらの組み合わせなどのヒドロキシアルキルデンプン、あるいは芯強度強化ではなく、概して紙-芯接着強化を提供する酸調整移動性デンプンよりも概して好ましいアルファ化デンプンを含む、任意の好適な強度強化デンプンが使用され得る。任意の好適なアルファ化デンプンは、US2014/0113124 A1およびUS2015/0010767-A1に記載されるように、強化添加剤中に含まれ得、それらに記載されるその調製法および望ましい粘度範囲を含む。
【0066】
含まれる場合、アルファ化デンプンは、任意の好適な粘度を呈し得る。いくつかの実施形態において、アルファ化デンプンは、当該技術分野において既知であり、US2014/0113124 A1に記載されるようなVMA方法に従って測定される中程度粘度デンプンであり、そのVMA方法は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態に従った望ましいアルファ化デンプンは、例えば、VMA方法に従って、水中の15重量%のデンプン溶液中で測定されたとき、約20センチポアズ~約700センチポアズ、例えば、約約20センチポアズ~約600センチポアズ、約20センチポアズ~約500センチポアズ、約20センチポアズ~約400センチポアズ、約20センチポアズ~約300センチポアズ、約20センチポアズ~約200センチポアズ、約20センチポアズ~約100センチポアズ、約30センチポアズ~約700センチポアズ、約30センチポアズ~約600センチポアズ、約30センチポアズ~約500センチポアズ、約30センチポアズ~約400センチポアズ、約30センチポアズ~約300センチポアズ、約30センチポアズ~約200センチポアズ、約30センチポアズ~約100センチポアズ、約50センチポアズ~約700センチポアズ、約50センチポアズ~約600センチポアズ、約50センチポアズ~約500センチポアズ、約50センチポアズ~約400センチポアズ、約50センチポアズ~約300センチポアズ、約50センチポアズ~約200センチポアズ、約50センチポアズ~約100センチポアズ、約70センチポアズ~約700センチポアズ、約70センチポアズ~約600センチポアズ、約70センチポアズ~約500センチポアズ、約70センチポアズ~約400センチポアズ、約70センチポアズ~約300センチポアズ、約70センチポアズ~約200センチポアズ、約70センチポアズ~約100センチポアズ、約100センチポアズ~約700センチポアズ、約100センチポアズ~約600センチポアズ、約100センチポアズ~約500センチポアズ、約100センチポアズ~約400センチポアズ、約100センチポアズ~約300センチポアズ、約100センチポアズ~約200センチポアズなどの中程度粘度を有することができる。いくつかの実施形態によると、アルファ化デンプンは、押出デンプンとして調製され得、例えば、デンプンは、US 2015/0010767-A1に記載されるように、押出機内の一段階でのアルファ化および酸調整によって調製され、その押出方法は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
含まれる場合、デンプンは、任意の好適な量で存在し得る。いくつかの実施形態において、デンプンは、スタッコの約0重量%~約20重量%、例えば、スタッコの約0重量%~約15重量%、スタッコの約0重量%~約10重量%、スタッコの約0.1重量%~約20重量%、スタッコの約0.1重量%~約15重量%、スタッコの約0.1重量%~約10重量%、スタッコの約0.1重量%~約6重量%、スタッコの約0.3重量%~約4重量%、スタッコの約0.5重量%~約4重量%、スタッコの約0.5重量%~約3重量%、スタッコの約0.5重量%~約2重量%、スタッコの約1重量%~約4重量%、スタッコの約1重量%~約3重量%、スタッコの約1重量%~約2重量%の量で、石膏スラリー中に存在する。
【0068】
石膏スラリーは、任意に、いくつかの実施形態において、流動性を強化するために少なくとも1つの分散剤を含むことができる。分散剤は、スタッコスラリー中、他の乾燥成分と共に乾燥形態で、かつ/または他の液体成分と共に液体形態で含まれてもよい。分散剤の例としては、ナフタレンスルホン酸およびホルムアルデヒドの縮合生成物である、ポリナフタレンスルホン酸およびその塩(ポリナフタレンスルホネート)および誘導体などのナフタレンスルホネート;ならびにポリカルボン酸エーテルなどのポリカルボキシレート分散剤、例えば、PCE211、PCE111、1641、1641F、もしくはPCE 2641型分散剤、例えば、MELFLUX 2641F、MELFLUX 2651F、MELFLUX 1641F、MELFLUX 2500L分散剤(BASF)、およびCoatex,Inc.から入手可能なCOATEX Ethacryl M;ならびに/またはリグノスルホネートもしくはスルホン化リグニンが挙げられる。ナフタレンスルホネート分散剤は、最終生成物中のより大きい泡、故により大きい空隙の形成を促進するために使用され得、ポリカルボキシレートエーテルなどのポリカルボキシレートが、生成物中のより小さい泡、故により小さい空隙を形成するために使用され得る。生成物の空隙構造の変化が製造中に望ましいため、そのような分散剤調節および他のプロセス中の変化は、当業者が理解するように行われ得る。リグノスルホネートは、亜硫酸蒸解を使用した木材パルプの生成からの副生成物である、水溶性アニオン高分子電解質ポリマーである。本開示の実施形態の原理の実施において有用なリグニンの一例は、Reed Lignin Inc.から入手可能なMarasperse C-21である。
【0069】
低分子量分散剤は概して好ましい。低分子量ナフタレンスルホネート分散剤は、より高い粘度、より高い分子量の分散剤よりも低い水需要の傾向があるため、好ましい。したがって、約3,000~約10,000(例えば、約8,000~約10,000)の分子量が好ましい。別の例として、PCE211型分散剤に関して、いくつかの実施形態において、分子量は約20,000~約60,000であってもよく、それは、60,000を超える分子量を有する分散剤よりも小さい遅延を呈する。
【0070】
ナフタレンスルホネートの一例は、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なDILOFLOである。DILOFLOは、水中45%ナフタレンスルホネート溶液であるが、例えば、約35重量%~約55重量%の固形分の範囲内の他の水溶液もまた、容易に入手可能である。ナフタレンスルホネートは、例えば、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なLOMAR Dなどの乾燥固体または粉末形態で使用され得る。ナフタレンスルホネートの別の例は、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なDAXADである。
【0071】
含まれる場合、分散剤は、任意の好適な量で存在し得る。いくつかの実施形態において、例えば、分散剤は、スタッコの約0重量%~約0.7重量%、スタッコの0重量%~約0.4重量%、スタッコの約0.05重量%~約5重量%、スタッコの約0.05重量%~約0.3重量%、またはスタッコの約1重量%~約5重量%の量で存在する。
【0072】
いくつかの実施形態において、石膏スラリーは、任意に、望ましい場合、1つ以上のリン酸塩含有化合物を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において有効なリン酸塩含有構成成分としては、水溶性構成成分が挙げられ、イオン、塩、または酸、すなわち、縮合リン酸の形態であってもよく、それらのそれぞれは、2つ以上のリン酸単位;縮合リン酸塩の塩またはイオン(それぞれが2つ以上のリン酸塩単位を含む);およびオルトリン酸塩の一塩基塩または一価イオン、ならびに水溶性環状ポリリン酸塩の塩を含む。例えば、米国特許第6,342,284号、同第6,632,550号、同第6,815,049号、および同第6,822,033号を参照されたい。
【0073】
リン酸塩組成物は、いくつかの実施形態において添加された場合、生強度、永久的な変形(例えば、たわみ)への抵抗性、寸法安定性などを強化することができる。例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウム、およびトリメタリン酸アンモニウムを含む、トリメタリン酸塩化合物が使用され得る。トリメタリン酸ナトリウム(STMP)が好ましいが、他のリン酸塩が好適である場合があり、例えば、テトラメタリン酸ナトリウム、約6~約27の反復リン酸塩単位を有し、分子式Nan+23n+1(式中、n=6~27)を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式Kを有するピロリン酸四カリウム、分子式Na10を有するトリポリリン酸三ナトリウム二カリウム、分子式Na10を有するトリポリリン酸ナトリウム、分子式Naを有するピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(POを有するトリメタリン酸アルミニウム、分子式Naを有する酸性ピロリン酸ナトリウム、1,000~3,000の反復リン酸塩単位を有し、分子式(NHn+23n+1(式中、n=1,000~3,000)を有するポリリン酸アンモニウム、または2以上の反復リン酸単位を有し、分子式Hn+23n+1(式中、nは2以上である)を有するポリリン酸が挙げられる。
【0074】
含まれる場合、リン酸塩含有化合物は、任意の好適な量で存在し得る。例示するために、いくつかの実施形態において、リン酸塩含有化合物は、例えば、スタッコの約0.1重量%~約1重量%、例えば、約0.2重量%~約0.4重量%の量で存在し得る。
【0075】
シロキサンなどの耐水または耐カビ添加剤が任意に含まれ得る。含まれる場合、いくつかの実施形態において、シロキサンは、好ましくは、乳剤の形態で添加される。次いで、スラリーが、シロキサンの重合を促進して、高架橋シリコーン樹脂を形成する条件下で成形され、乾燥させられる。シロキサンの重合を促進して、高架橋シリコーン樹脂を形成する触媒が、石膏スラリーに添加され得る。米国特許第7,811,685号に記載されるように、いくつかの実施形態において、触媒作用、ならびに/または耐カビ性および/もしくは耐水性に起因する酸化マグネシウムが含まれ得る。含まれる場合、酸化マグネシウムは、スタッコの約0.02重量%~約0.1重量%、例えば、約0.02重量%~約0.04重量%などの任意の好適な量で存在する。
【0076】
いくつかの実施形態において、Wacker-Chemie GmbH(Munich,Germany)によってSILRES BS 94という名で販売されている無溶媒メチル水素シロキサン流体が、シロキサンとして使用され得る。この製品は、水または溶媒を含有しないシロキサン流体である。いくつかの実施形態において、スタッコの重量に基づき、約0.05%~約0.5%、例えば、約0.07%~約0.14%のBS 94シロキサンが使用され得ることが企図される。例えば、いくつかの実施形態において、乾燥スタッコ重量に基づき、約0.05%~約0.2%、例えば、約0.09%~約0.12%のシロキサンを使用することが好ましい。
【0077】
石膏スラリーは、いくつかの実施形態において、任意の好適な耐火添加剤を含むことができる。好適な耐火添加剤の例としては、米国特許第8,323,785号に記載されるように、高膨張性微粒子、高効率ヒートシンク添加剤、繊維など、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ、そのような添加剤の記載は、参照により本明細書に組み込まれる。バーミキュライト、アルミニウム三水和物、ガラス繊維、およびそれらの組み合わせが、いくつかの実施形態において使用され得る。
【0078】
例えば、いくつかの実施形態に従って有用な高膨張性微粒子は、約1560°F(約850℃)で1時間の加熱後、それらの元の体積の約300%以上の体積膨張を呈することができる。いくつかの実施形態において、約1560°F(約850℃)の温度を有するチャンバ内に1時間配置された後、それらの元の体積の約300%~約380%の体積膨張を有する、高膨張性バーミキュライトが使用され得る。含まれる場合、バーミキュライトなどの高膨張性微粒子は、任意の好適な量で存在し得る。いくつかの実施形態において、それは、スタッコの約1重量%~約10重量%、例えば、約3重量%~約6重量%の量で存在する。
【0079】
アルミナ三水和物および水和アルミナとしても既知のアルミニウム三水和物(ATH)は、その結晶化または化合物含水量により、耐火性を増加させることができる。ATHは、高効率ヒートシンク添加剤の好適な例である。そのような高効率ヒートシンク(HEHS)添加剤は、パネル芯の石膏二水和物構成成分からの脱水および水蒸気の放出を引き起こす温度範囲内で、同等量の石膏二水和物のヒートシンク能力を超えるヒートシンク能力を有する。そのような添加剤は、典型的には、分解し、石膏二水和物と同じまたは同様の温度範囲内で水蒸気を放出する、アルミニウム三水和物または他の金属水酸化物などの組成物から選択される。同等量の石膏二水和物と比べて増加したヒートシンク効率を有する他のHEHS添加剤(またはHEHS添加剤の組み合わせ)が使用され得るが、好ましいHEHS添加剤は、石膏二水和物と比べて効率が向上したヒートシンク効率を提供して、防火または他の高温用途を目的とした石膏パネルで使用されるとき、HEHS添加剤の重量のいかなる増加または他の望ましくない特性も相殺する。含まれる場合、ATHなどのヒートシンク添加剤は、任意の好適な量で存在し得る。いくつかの実施形態において、それは、スタッコの約1重量%~約8重量%、例えば、約2重量%~約4重量%の量で含まれる。
【0080】
繊維としては、鉱物繊維、炭素、および/またはガラス繊維、ならびにそのような繊維の混合物、ならびにパネルに同等の利点を提供する他の同等の繊維が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、ガラス繊維は、石膏芯スラリーおよび得られる結晶芯構造に組み込まれる。そのような実施形態のいくつかにおけるガラス繊維は、約0.5~約0.75インチの平均長さおよび約11~約17ミクロンの直径を有することができる。他の実施形態において、そのようなガラス繊維は、約0.5~約0.675インチの平均長さおよび約13~約16ミクロンの直径を有してもよい。含まれる場合、ガラス繊維などの繊維は、スタッコの約0.1重量%~約3重量%、例えば、約0.5重量%~約1重量%などの任意の好適な量で存在する。
【0081】
本開示の実施形態に従った石膏ボードは、ドライウォール(壁だけではなく、天井および当該技術分野において理解される他の位置のためにも使用されるそのようなボードを包含することができる)、防火ボード、耐カビボード、耐水ボードなどが挙げられるが、これらに限定されない、望ましい密度の範囲を有する様々な異なる製品における有用性を有する。ボード重量は、厚さの関数である。ボードが異なる厚さで一般的に作製されるため、ボード密度は、本明細書において、ボード重量の尺度として使用される。好適な厚さの例としては、3/8インチ、2分の1インチ、5/8インチ、3/4インチ、もしくは1インチ、またはいくつかの国においては、9mm、9.5mm、10mm、12mm、12.5mm、13mm、15mm、20mm、または25mmが挙げられる。本開示の実施形態に従った石膏ボードの利点は、最大で、より重いボード密度、例えば、約43pcf以下、または40pcf以下、例えば、約17pcf~約43pcf、約20pcf~約43pcf、約24pcf~約43pcf、約27pcf~約43pcf、約20pcf~約40pcf、約24pcf~約40pcf、約27pcf~約40pcf、約20pcf~約37pcf、約24pcf~約37pcf、約27pcf~約37pcf、約20pcf~約35pcf、約24pcf~約35pcf、約27pcf~約35pcfなどを含む、密度の範囲で見られ得る。
【0082】
本明細書に記述されるように、石膏ウォールボードから質量を取り除くことは、付随して発生する強度の損失を補う際に相当な困難を引き起こしてきた。改善された気泡空隙安定性を考慮して、本開示のいくつかの実施形態は、驚くべきことに、かつ予想外に、良好な強度および/または望ましい火炎もしくは熱的特性、より低い水需要、ならびに本明細書に記載される添加剤の効率的な使用を伴う、より軽量のボードの使用を可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、ボード密度は、約17pcf~約35pcf、例えば、約17pcf~約33pcf、17pcf~約31pcf、17pcf~約28pcf、約20pcf~約32pcf、約20pcf~約31pcf、約20pcf~約30pcf、約20pcf~約30pcf、約20pcf~約29pcf、約20pcf~約28pcf、約21pcf~約33pcf、約21pcf~約32pcf、約21pcf~約33pcf、約21pcf~約32pcf、約21pcf~約31pcf、約21pcf~約30pcf、約21pcf~約29pcf、約21pcf~約28pcf、約21pcf~約29pcf、約24pcf~約33pcf、約24pcf~約32pcf、約24pcf~約31pcf、約24pcf~約30pcf、約24pcf~約29pcf、約24pcf~約28pcf、または約24pcf~約27pcfなどであってもよい。
【0083】
カバーシートは、任意の好適な形態であってもよい。カバーシートに関して、「正面」および「頂部」シートという用語は、本明細書において互換的に使用されるが、「背面」および「底部」という用語も同様に、本明細書において互換的に使用されることが理解されるであろう。例えば、カバーシートは、セルロース繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、鉱物綿、または上記の材料の組み合わせを含んでもよい。シートのうちの一方または両方が、個々のシートまたは複数のシートを含んでもよい。好ましい実施形態において、カバーシートは、セルロース繊維を含む。例えば、マニラ紙またはクラフト紙などの紙シートが、背面シートとして使用され得る。有用なカバーシート紙としては、United States Gypsum Corporation(Chicago,IL)から入手可能なManila 3-ply、Manila 7-ply、News-Line 3-ply、または7-ply、International Paper(Newport,IN)から入手可能なGrey-Back 3-plyおよびManila Ivory 3-ply、ならびにUnited States Gypsum Corporation(Chicago,IL)から入手可能なManila厚紙およびMH Manila HT(高張力)が挙げられる。
【0084】
加えて、セルロース紙は、任意の他の材料または材料の組み合わせを含むことができる。例えば、一方または両方のシート、特に正面(頂部)シートは、紙の強度を強化するために、ポリビニルアルコール、ホウ酸、または本明細書に記載されるポリリン酸塩(例えば、トリメタリン酸ナトリウム)を含むことができる。いくつかの実施形態において、紙は、少なくとも部分的に湿潤されるように、ポリビニルアルコール、ホウ酸、および/またはポリリン酸塩のうちの1つ以上の溶液と接触させられ得る。紙は、いくつかの実施形態において、少なくとも部分的に飽和され得る。ポリビニルアルコール、ホウ酸、および/またはホウ酸は、いくつかの実施形態において、紙中の繊維に浸透することができる。ポリビニルアルコール、ホウ酸、および/またはポリリン酸塩の溶液は、当該技術分野において理解されるように、任意の好適な量であってもよく、任意の好適な方法で適用され得る。例えば、溶液は、ポリビニルアルコール、ホウ酸、および/またはポリリン酸塩の間に存在する水中約1固形分重量%~約5固形分重量%の各成分の形態であってもよく、それらは、1つの溶液中に、または望ましい場合、複数の溶液中に添加され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、一方または両方のシートは、ガラス繊維、セラミック繊維、鉱物綿、または上記の材料の組み合わせを含むことができる。本開示に従った一方または両方のシートは、概して親水性であってもよく、シートが、シートの表面上に水分子を吸着し、かつ/またはシート内に水分子を吸着することが少なくとも部分的に可能であることを意味する。
【0086】
他の実施形態において、カバーシートは、ガラス繊維セラミック繊維、鉱物綿、またはそれらの混合物を「実質的に含まなく」てもよく、それは、カバーシートが、(i)シートの重量に基づき0重量%の、もしくはゼロのそのようなガラス繊維セラミック繊維、鉱物綿、もしくはそれらの混合物、または(ii)効果のない、または(iii)取るに足りない量のガラス繊維セラミック繊維、鉱物綿、もしくはそれらの混合物のいずれかを含有することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するように、ガラス繊維セラミック繊維、鉱物綿、またはそれらの混合物を使用する意図された目的を達成するための閾値量未満の量である。取るに足りない量は、当業者が理解するように、例えば、スタッコの重量に基づき、約5重量%未満、例えば、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.2重量%未満、約0.1重量%未満、または約0.01重量%未満などであってもよい。しかしながら、代替の実施形態において望ましい場合、そのような成分がカバーシートに含まれ得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、頂部および/または底部シートの熱伝導率は、約0.1w/(m.k.)未満である。例えば、頂部および/または底部シートの熱伝導率は、約0.05w/(m.k.)未満である。
【0088】
望ましい場合、いくつかの実施形態において、一方または両方のカバーシートは、任意に、より大きい耐火性を適切に付与する(そのような特性が求められている場合)、任意の好適な量の無機化合物または無機化合物の混合物を含むことができる。好適な無機化合物の例としては、アルミニウム三水和物および水酸化マグネシウムが挙げられる。例えば、カバーシートは、高い結晶水含量を有する任意の無機化合物もしくは無機化合物の混合物、または加熱すると水を放出する任意の化合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、シート中の無機化合物または無機化合物の全混合物の量は、シートの約0.1重量%~約30重量%に及ぶ。シートで使用される無機化合物(複数可)は、任意の好適な粒径または好適な粒径分布を有してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、ATHは、シートの総重量の約5%~約30%の量で添加され得る。ATHは、典型的には、室温で非常に安定している。約180℃~205℃の温度を超えて、ATHは、典型的には、吸熱分解を受け、水蒸気を放出する。そのようなATH添加剤のための分解熱は、約1000ジュール/グラムを超え、一実施形態においては、約1170ジュール/グラムである。理論に束縛されるものではないが、ATH添加剤は、以下の等式、Al(OH)→Al+3HOに従って205℃を超えて加熱されたとき、分解して、水蒸気として約35%の結晶化の水を放出することが考えられる。
【0090】
ATHなどの高い含水量の無機粒子を含むカバーシートは、ボードの耐火性を高めることができる。無機化合物または化合物の混合物が、いくつかの実施形態において、シートに組み込まれる。ATHを含む紙などのカバーシートは、最初に約1%の濃度で、水中でセルロース繊維を希釈し、次いで、所定の比率でATH粒子と混合することによって調製され得る。混合物は、鋳型に注入され得、その底部は、水を流出させるためのワイヤメッシュを有することができる。流出後、繊維およびATH粒子は、ワイヤ上に保持される。濡れたシートは、吸取紙に移され、約200~360°Fで乾燥させられ得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、カバーシートまたはスタッコスラリー中に含むことに関して記載されるように、例えば、約20μm未満のATH粒子が好ましいが、任意の好適な源またはグレードのATHが使用され得る。例えば、ATHは、商標名SB 432のHuber(10μm)またはHydral(登録商標)710(1μm)など、業務用供給会社から入手され得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、カバーシートは、水酸化マグネシウムを含んでもよい。これらの実施形態において、水酸化マグネシウム添加剤は、好ましくは、180℃~205℃で、またはそれを超えて、約1000ジュール/グラムを超える、例えば、約1350ジュール/グラムの分解熱を有する。そのような実施形態において、Akrochem Corp.(Akron,Ohio)を含む供給会社から市販されるものなど、任意の好適な水酸化マグネシウムが使用され得る。
【0093】
他の実施形態において、カバーシートは、ATH、水酸化マグネシウム、またはそれらの混合物を「実質的に含まず」、それは、カバーシートが、(i)シートの重量に基づき0重量%の、もしくはゼロのそのような無機化合物、例えば、ATH、水酸化マグネシウム、もしくはそれらの混合物、または(ii)効果のない、または(iii)取るに足りない量の無機化合物、例えば、ATH、水酸化マグネシウム、もしくはそれらの混合物のいずれかを含有することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するように、ATH、水酸化マグネシウム、またはそれらの混合物を使用する意図された目的を達成するための閾値量未満の量である。取るに足りない量は、例えば、約5重量%未満、例えば、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、約0.01重量%未満などであってもよい。
【0094】
カバーシートはまた、任意の好適な全厚を有してもよい。いくつかの実施形態において、カバーシートのうちの少なくとも1つは、比較的高い厚さ、例えば、少なくとも約0.014インチの厚さを有する。いくつかの実施形態において、さらに高い厚さ、例えば、少なくとも約0.015インチ、少なくとも約0.016インチ、少なくとも約0.017インチ、少なくとも約0.018インチ、少なくとも約0.019インチ、少なくとも約0.020インチ、少なくとも約0.021インチ、少なくとも約0.022インチ、または少なくとも約0.023インチがあることが好ましい。これらの範囲に対する任意の好適な上限、例えば、約0.030インチ、約0.027インチ、約0.025インチ、約0.024インチ、約0.023インチ、約0.022インチ、約0.021インチ、約0.020インチ、約0.019インチ、約0.018インチなどの範囲の上限が採用され得る。シートの全厚は、石膏ボードに取り付けられた各シートの厚さの合計を指す。
【0095】
カバーシートは、任意の好適な密度を有するこができる。例えば、いくつかの実施形態において、カバーシートの少なくとも一方または両方は、少なくとも約36pcf、例えば、約36pcf~約46pcf、例えば、約36pcf~約44pcf、約36pcf~約42pcf、約36pcf~約40pcf、約38pcf~約46pcf、約38pcf~約44pcf、約38pcf~約42pcfなどの密度を有する。
【0096】
カバーシートは、任意の好適な重量を有するこができる。例えば、いくつかの実施形態において、例えば、少なくとも約33lbs/MSF(例えば、約33lbs/MSF~約65lbs/MSF、約33lbs/MSF~約60lbs/MSF、33lbs/MSF~約58lbs/MSF、約33lbs/MSF~約55lbs/MSF、約33lbs/MSF~約50lbs/MSF、約33lbs/MSF~約45lbs/MSFなど、または約45lbs/MSF未満)などのより低い基本重量のカバーシート(例えば、紙から形成される)が、いくつかの実施形態において利用され得る。他の実施形態において、一方または両方のカバーシートは、約38lbs/MSF~約65lbs/MSF、約38lbs/MSF~約60lbs/MSF、約38lbs/MSF~約58lbs/MSF、約38lbs/MSF~約55lbs/MSF、約38lbs/MSF~約50lbs/MSF、約38lbs/MSF~約45lbs/MSFの基本重量を有する。
【0097】
しかしながら、望ましい場合、いくつかの実施形態において、例えば、釘抜き抵抗性をさらに強化するために、または取り扱いを強化するために、例えば、エンドユーザにとって望ましい「感触」特性を促進するために、より重い基本重量でさえ使用され得る。したがって、カバーシートのうちの一方または両方は、例えば、少なくとも約45lbs/MSF(例えば、約45lbs/MSF~約65lbs/MSF、約45lbs/MSF~約60lbs/MSF、約45lbs/MSF~約55lbs/MSF、約50lbs/MSF~約65lbs/MSF、約50lbs/MSF~約60lbs/MSFなど)の基本重量を有することができる。望ましい場合、いくつかの実施形態において、一方のカバーシート(例えば、設置されたときの「正面」紙側)が、例えば、釘抜き抵抗性および取り扱いを強化するために、上記のより高い基本重量を有することができる一方で、もう一方のカバーシート(例えば、ボードが設置されたときの「背面」シート」)が、望ましい場合、ある程度より低い基本重量(例えば、約60lbs/MSF未満、例えば、約33lbs/MSF~約55lbs/MSF、約33lbs/MSF~約50lbs/MSF、約33lbs/MSF~約45lbs/MSF、または約33lbs/MSF~約40lbs/MSFの基本重量)を有することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、石膏ボード生成物は、従来のウォールボードで見られる耐火性を超えた耐火性をもたらす。耐火性を得るために、ボードは、任意に、本明細書に記載されるように、最終ボード生成物の耐火性を強化するある特定の添加剤から形成され得る。ある耐火性ボードは、ボードがアセンブリ内にある間にある特定の試験に合格したときに「防火性」とみなされる。
【0099】
いくつかの実施形態において、耐火性添加剤を含む石膏ボードは、xy方向(幅-長さ)の高温収縮、z方向(厚さ)の高温収縮、およびを断熱インデックス(TI)含むASTM C1795-15に従った小規模ベンチ試験を使用して、特定の試験に合格し得る。このようなベンチ試験は、石膏ボードの耐火性能、例えば、UL U305、U419、および/またはU423(2015版)、および/または同等の火災試験手順ならびに基準のいずれかの下に構築されたアセンブリのASTM E119-09aでのフルスケール試験において予測するのに好適である。これらのUL試験のうちの任意の1つのアセンブリでASTM E119-09a試験に合格することは、を可能にする。簡潔には、UL U305はアセンブリにおいて木製のスタッドを必要とする。UL U419は、25ゲージのスタッドを使用した無負荷ベアリング金属スタッドアセンブリである。UL U423は、20ゲージのスタッドを使用した耐荷重金属スタッドアセンブリである。UL U419は、一般に、UL UL305およびUL U423の下でスタッドより容易に変形するライトゲージ鉄スタッドを使用するため、UL U305またはUL U423よりも難しい試験と考えられる。
【0100】
いくつかの実施形態によると、石膏ボードは、ASTM E119を使用したUL U305、U419、および/またはU423、ならびに/または同等の燃焼試験手順および基準のうちの1つ以上の下に構築されたアセンブリの火災の封じ込めおよび構造的完全性要件に準じた防火性を満たすか、それを超えるように構成され、例えば、ボードは、本明細書で考察される耐火添加剤を含有する。したがって、本開示は、いくつかの実施形態において、本明細書で考察されるような様々なUL基準の火災の封じ込めおよび構造的完全性手順および基準に準じた防火性(17分、20分、30分、3/4時間、1時間、2時間など)を満たすことが可能である、石膏ボード(例えば、1/2インチまたは5/8インチの厚さにおける低減された重量および密度)、ならびにそれを作製するための方法を提供する。
【0101】
石膏ボードは、例えば、Underwriters Laboratories UL U305、U419、およびU423規格、ならびにそれらの燃焼試験手順のうちのいずれか1つと同等である任意の他の燃焼試験手順に従って、アセンブリ内で試験され得る。例えば、本明細書におけるASTM E-119の特定の燃焼試験手順の参照、ならびにUL U305、U419、およびU423などのUnderwriters Laboratoriesに従って調製されたアセンブリを使用することはまた、ASTM E119-09aおよび当該の特定のUL基準と同等である、任意の他のエンティティによって公表されたものなどの燃焼試験手順も含むことが理解されるべきである。
【0102】
例えば、石膏ボードは、いくつかの実施形態において、UL Design Number U305、U419、またはU423のうちのいずれか1つに従って構築されたアセンブリを通る伝熱を阻止するのに有効であり、アセンブリは、石膏ボードの単層を有する第1の側面と、石膏ボードの単層を有する第2の側面とを有する。ASTM E119-09aは、特定のアセンブリ全体の多数の場所に熱電対を配置することを含む。次いで、熱電対は、アセンブリが時間をかけて熱にさらされるため、温度を監視する。この点において、アセンブリの第1の側面上の石膏ボードの表面が、ASTM E119-09aの時間-温度曲線に従って加熱される一方で、アセンブリの第2の側面上の石膏パネルの表面は、ASTM E119-09aに準じた温度センサが備わっている。ASTM E119は、熱電対のいずれかが特定の設定温度(周囲温度+325°F)を超える場合、または熱電対の温度の平均が異なる設定温度(周囲温度+250°F)を超える場合に、アセンブリが試験に失敗することを特定する。
【0103】
耐火性ボードのいくつかの実施形態において、加熱されたとき、温度センサの最大単一値は、約50分後に約325°F未満+周囲温度であり、かつ/または温度センサの平均値は、約50分後に約250°F未満+周囲温度である。いくつかの実施形態において、ボードは、約40ポンド/立方フィート以下の密度を有する。望ましくは、ボードは、本明細書に記載される良好な強度、例えば、少なくとも約11ポンド(5kg)、例えば、少なくとも約13ポンド(5.9kg)、または少なくとも約15ポンド(6.8kg)の芯硬度を有する。
【0104】
いくつかの実施形態において、耐火添加剤を有する耐火石膏ボードのアセンブリの第1の側面上の表面が加熱されたとき、温度センサの最大単一値は、約55分後に約325°F未満+周囲温度であり、かつ/または温度センサの平均値は、約55分後に約250°F未満+周囲温度である。他の実施形態において、アセンブリの第1の側面上の石膏ボードの表面が加熱されたとき、温度センサの最大単一値は、約60分後に約325°F未満+周囲温度であり、かつ/または温度センサの平均値は、約60分後に約250°F未満+周囲温度である。他の実施形態において、アセンブリの第1の側面上の石膏パネルの表面が加熱されたとき、温度センサの最大単一値は、約50分後に約325°F未満+周囲温度であり、かつ/または温度センサの平均値は、約50分後に約250°F未満+周囲温度である。他の実施形態において、アセンブリの第1の側面上の石膏ボードの表面が加熱されたとき、温度センサの最大単一値は、約55分後に約325°F未満+周囲温度であり、かつ/または温度センサの平均値は、約55分後に約250°F未満+周囲温度である。他の実施形態において、アセンブリの第1の側面上の石膏ボードの表面が加熱されたとき、温度センサの最大単一値は、約60分後に約325°F未満+周囲温度であり、かつ/または温度センサの平均値は、約60分後に約250°F未満+周囲温度である。
【0105】
いくつかの実施形態において、耐火添加剤を有する耐火石膏ボードは、ASTM E119-09aの下で1時間の防火性を達成するために、UL Design Number U305に従って構築されたとき、アセンブリを通る伝熱を阻止するのに有効である。いくつかの実施形態において、ボードは、ASTM E119-09aの下で1時間の防火性を達成するために、UL Design Number U419に従って構築されたとき、アセンブリを通る伝熱を阻止するのに有効である。いくつかの実施形態において、石膏ボードは、ASTM E119-09aの下で1時間の防火性を達成するために、UL Design Number U423に従って構築されたとき、アセンブリを通る伝熱を阻止するのに有効である。いくつかの実施形態において、ボードは、ASTM C1795-15に従って、約20分以上の断熱インデックス(TI)および/または約10%未満の高温収縮(S)を有する。いくつかの実施形態において、ボードは、約0.06以上、例えば、約0.2以上の高温厚さ膨張(TE)対Sの比率(TE/S)を有する。
【0106】
さらに、いくつかの実施形態において、石膏ボードは、約1560°F(850℃)まで加熱されたとき、x-y方向(幅-長さ)の約10%未満の高温収縮、および約20%を超えるz方向(厚さ)の高温厚さ膨張を有する、重量および密度が低減された、耐火石膏ボードの形態であってもよい。さらに他の実施形態において、壁または他のアセンブリで使用される場合、そのようなアセンブリは、より重い、より高密度の、商業用防火パネルで作製されたアセンブリに匹敵する燃焼試験性能を有する。いくつかの実施形態において、パネルの高温収縮は、典型的には、x-y方向(幅-長さ)に約10%未満である。いくつかの実施形態において、z方向の高温厚さ膨張対x-y高温収縮の比率は、1570°F(855℃)において少なくとも約2~約17超である。
【0107】
いくつかの実施形態において、本開示の原理に従って形成された耐火石膏ボード、およびそれを作製するための方法は、約1800°F(980℃)で1時間加熱された後、約85%以上の平均収縮抵抗を呈するパネルを提供することができる。他の実施形態において、石膏ボードは、約1800°F(980℃)で1時間加熱された後、約75%以上の平均収縮抵抗を呈する。
【0108】
カバーシート間の石膏層は、約20分以上の断熱インデックス(TI)を提供するのに有効であり得る。ボードは、本明細書に記載されるような望ましい密度(D)を有することができる。カバーシート間の石膏層は、約0.6分/ポンド/立方フィート(0.038分/(kg/m))以上のTI/D比を有する、石膏ボードを提供するのに有効であり得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、本開示に従って作製された石膏ボードは、ASTM標準C473-10に従った試験プロトコルを満たす。例えば、いくつかの実施形態において、ボードが1/2インチの厚さで鋳造されたとき、ボードは、ASTM C473-10(方法B)に従って決定されるように、少なくとも約65lbf(重量ポンド。それは時に、これが力の測定値であることを理解している当業者によって便宜上単純に「lb」または「lbs」と称される)、例えば、少なくとも約68lb、少なくとも約70lb、少なくとも約72lb、少なくとも約74lb、少なくとも約75lb、少なくとも約76lb、少なくとも約77lbなどの釘抜き抵抗を有する。様々な実施形態において、釘抜き抵抗性は、約65lb~約100lb、約65lb~約95lb、約65lb~約90lb、約65lb~約85lb、約65lb~約80lb、約65lb~約75lb、約68lb~約100lb、約68lb~約95lb、約68lb~約90lb、約68lb~約85lb、約68lb~約80lb、約70lb~約100lb、約70lb~約95lb、約70lb~約90lb、約70lb~約85lb、約70lb~約80lb、約72lb~約100lb、約72lb~約95lb、約72lb~約90lb、約72lb~約85lb、約72lb~約80lb、約72lb~約77lb、約72lb~約75lb、約75lb~約100lb、約75lb~約95lb、約75lb~約90lb、約75lb~約85lb、約75lb~約80lb、約75lb~約77lb、約77lb~約100lb、約77lb~約95lb、約77lb~約90lb、約77lb~約85lb、または約77lb~約80lbであり得る。
【0110】
曲げ強度に関して、いくつかの実施形態において、2分の1インチの厚さのボードに鋳造されたとき、ボードは、ASTM標準C473-10、方法Bに従って決定されるように、機械方向に少なくとも約36lb(例えば、少なくとも約38lb、少なくとも約40lbなど)、および/または機械横方向に少なくとも約107lb(例えば、少なくとも約110lb、少なくとも約112lbなど)の曲げ強度を有する。様々な実施形態において、ボードは、約36lb~約60lb、例えば、約36lb~約55lb、約36lb~約50lb、約36lb~約45lb、約36lb~約40lb、約36lb~約38lb、約38lb~約60lb、約38lb~約55lb、約38lb~約50lb、約38lb~約45lb、約38lb~約40lb、約40lb~約60lb、約40lb~約55lb、約40lb~約50lb、または約40lb~約45lbの機械方向の曲げ強度を有することができる。様々な実施形態において、ボードは、約107lb~約130lb、例えば、約107lb~約125lb、約107lb~約120lb、約107lb~約115lb、約107lb~約112lb、約107lb~約110lb、約110lb~約130lb、約110lb~約125lb、約110lb~約120lb、約110lb~約115lb、約110lb~約112lb、約112lb~約130lb、約112lb~約125lb、約112lb~約120lb、または約112lb~約115lbの機械横方向の曲げ強度を有することができる。
【0111】
加えて、いくつかの実施形態において、ボードは、ASTM C473-10、方法Bに従って決定されるように、例えば、少なくとも約12lb、少なくとも約13lb、少なくとも約14lb、少なくとも約15lb、少なくとも約16lb、少なくとも約17lb、少なくとも約18lb、少なくとも約19lb、少なくとも約20lb、少なくとも約21lb、または少なくとも約22lbの平均芯硬度を有することができる。いくつかの実施形態において、ボードは、約11lb~約25lb、例えば、約11lb~約22lb、約11lb~約21lb、約11lb~約20lb、約11lb~約19lb、約11lb~約18lb、約11lb~約17lb、約11lb~約16lb、約11lb~約15lb、約11lb~約14lb、約11lb~約13lb、約11lb~約12lb、約12lb~約25lb、約12lb~約22lb、約12lb~約21lb、約12lb~約20lb、約12lb~約19lb、約12lb~約18lb、約12lb~約17lb、約12lb~約16lb、約12lb~約15lb、約12lb~約14lb、約12lb~約13lb、約13lb~約25lb、約13lb~約22lb、約13lb~約21lb、約13lb~約20lb、約13lb~約19lb、約13lb~約18lb、約13lb~約17lb、約13lb~約16lb、約13lb~約15lb、約13lb~約14lb、約14lb~約25lb、約14lb~約22lb、約14lb~約21lb、約14lb~約20lbf、約14lbf~約19lbf、約14lbf~約18lbf、約14lbf~約17lbf、約14lbf~約16lbf、約14lbf~約15lbf、約15lb~約25lb、約15lb~約22lb、約15lb~約21lb、約15lb~約20lb、約15lb~約19lb、約15lb~約18lb、約15lb~約17lb、約15lb~約16lb、約16lb~約25lb、約16lb~約22lb、約16lb~約21lb、約16lb~約20lb、約16lb~約19lb、約16lb~約18lb、約16lb~約17lb、約17lb~約25lb、約17lb~約22lb、約17lb~約21lb、約17lb~約20lb、約17lb~約19lb、約17lb~約18lb、約18lb~約25lb、約18lb~約22lb、約18lb~約21lb、約18lb~約20lb、約18lb~約19lb、約19lb~約25lb、約19lb~約22lb、約19lb~約21lb、約19lb~約20lb、約21lb~約25lb、約21lb~約22lb、または約22lb~約25lbの芯硬度を有することができる。
【0112】
本開示の実施形態に従った生成物は、典型的な製造ラインで作製され得る。例えば、ボード製造技術は、例えば、米国特許第7,364,676号および米国特許出願公開第2010/0247937号に記載されている。簡潔に、石膏ボードの場合、プロセスは、典型的には、カバーシートを移動コンベヤ上に放出することを伴う。石膏ボードが通常「裏向き」に形成されるため、このカバーシートは、そのような実施形態において、「正面」カバーシートである。
【0113】
石膏スラリーの乾燥および/または湿潤構成成分は、ミキサ(例えば、ピンまたはピンレスミキサ)に供給され、それらはかき混ぜられて、石膏スラリーを形成する。ミキサは、本体と、放出管とを備える(例えば、当該技術分野において既知のゲート-キャニスタ-ブートの配列、または米国特許第6,494,609号および同第6,874,930号に記載される配列)。いくつかの実施形態において、放出管は、例えば、米国特許出願公開第2012/0168527 A1号および米国特許出願公開第2012/0170403 A1号に記載されるような、単一供給入口または複数供給入口のいずれかを有するスラリー分配器を含むことができる。それらの実施形態において、複数供給入口を有するスラリー分配器を使用することによって、放出管は、米国特許出願公開第2012/0170403 A1号に記載されるような、好適な分流器を含むことができる。起泡剤は、望ましい場合、ミキサの放出管内(例えば、米国特許第5,683,635号および同第6,494,609号に記載されるゲート内)、または本体内に添加され得る。起泡剤を含む全ての成分が添加された後に、放出管から放出されたスラリーは、一次石膏スラリーであり、ボード芯を形成する。このボード芯スラリーは、移動している正面カバーシート上に放出される。
【0114】
正面カバーシートは、スラリーの比較的緻密な層の形態で薄いスキムコートを有してもよい。また、当該技術分野において既知のハードエッジが、例えば、正面スキムコートを形成する同じスラリー流から形成され得る。気泡が放出管に挿入される実施形態において、二次石膏スラリーの流れは、ミキサ本体から除去されて、高密度スキムコートスラリーを形成することができ、それは次いで、当該技術分野において既知の正面スキムコートおよびハードエッジを形成するために使用され得る。含まれる場合、通常、正面スキムコートおよびハードエッジは、芯スラリーが、通常ミキサの上流に配置される前に、移動している正面カバーシート上に配置される。放出管から放出された後、芯スラリーは、必要に応じて、正面カバーシート(任意に、スキムコートを有する)にわたって分割され、第2のカバーシート(典型的には、「背面」カバーシート)で被覆されて、最終生成物のボード前駆体であるサンドイッチ構造の形態で、湿潤アセンブリを形成する。第2のカバーシートは、第2のスキムコートを任意に有してもよく、それは、存在する場合、正面スキムコートと同じ、または異なる二次(高密度)石膏スラリーから形成され得る。カバーシートは、紙、繊維マット、または他のタイプの材料(例えば、ホイル、プラスチック、ガラスマット、不織布材料、例えば、セルロースおよび無機充填剤のブレンドなど)から形成されてもよい。
【0115】
それによって提供される湿潤アセンブリは、生成物が望ましい厚さにサイズ決定される(例えば、形成プレートを介して)形成ステーション、およびそれが望ましい長さに切断される1つ以上のナイフ区分に運ばれる。湿潤アセンブリは、硬化されて、硬化石膏のインターロッキング結晶マトリックスを形成し、余分な水は、乾燥プロセスを使用して除去される(例えば、窯を通してアセンブリを輸送することによって)。驚くべきことに、かつ予想外に、本開示の実施形態に従って調製されたアルファ化部分加水分解デンプンを用いて、本開示の実施形態に従って調製されたボードが、デンプンの低い水需要特徴のため、乾燥プロセスにおいてはるかに短い時間を必要とすることがわかった。これは、エネルギー費用を低減するために有利である。
【0116】
いくつかの実施形態において、本発明の脂肪族アルコールは、参照により本明細書に組み込まれる米国出願第62/184,060号、同第62/290,361号、および同第15/186,176号に記載されるように、濃縮層を有する複合ボード中のボード芯の起泡剤を安定化させるために使用され得る。例えば、脂肪族アルコールおよび起泡剤は、米国出願第62/184,060号、同第62/290,361号、および同第15/186,176号に記載される成分、量、ボード寸法、および生成方法を使用して、濃縮層中でより濃縮された添加剤を有する、低密度ボード芯を調製するために使用され得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、脂肪族アルコールは、セメントボード生成物中で使用され得る。セメントは、水と、セメント材料(例えば、ポートランドセメント、アルミナセメント、マグネシアセメントなど、およびそのような材料のブレンド)との芯混合物から形成され得る。起泡剤および脂肪族アルコールもまた混合物中に含まれる。任意に、軽量凝集体(例えば、膨張粘土、膨張スラグ、膨張シェール、パーライト、膨張ガラスビーズ、ポリスチレンビーズなど)が、いくつかの実施形態において、混合物中に含まれ得る。セメントボードの形成で使用され得る他の添加剤としては、例えば、分散剤、繊維(例えば、ガラス、セルロース、PVCなど)、促進剤、抑制剤、ポゾラン材料、硫酸カルシウム半水化物(例えば、硫酸カルシウムα半水化物)、充填剤など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0118】
脂肪族アルコールは、発泡セメントスラリーを形成する方法で使用され得る。方法は、起泡剤を脂肪族アルコールと組み合わせて、水性石鹸混合物を形成することと、水性石鹸混合物から気泡を生成することと、気泡を、セメント(例えば、ポートランドセメント、アルミナセメント、マグネシアセメントなど、またはそれらの組み合わせ)および水を含むセメントスラリーに添加して、発泡セメントスラリーを形成することとを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。気泡がセメントスラリーに取り込まれると、気泡の泡は、シェルがスラリーと接する泡を包囲して形成される。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、脂肪族アルコールの存在は、望ましくは、界面においてシェルを安定化させると考えられる。例えば、分散剤、繊維(例えば、ガラス、セルロース、PVCなど)、促進剤、抑制剤、ポゾラン材料、硫酸カルシウム半水化物(例えば、硫酸カルシウムα半水化物)、充填剤など、またはそれらの組み合わせなどの他の添加剤もまた、セメントスラリーに添加され得る。セメントボード(およびその中に含まれる添加剤)を調製する方法は、例えば、米国特許第4,203,788号、同第4,488,909号、同第4,504,335号、同第4,916,004号、同第6,869,474号、および同第8,070,878号に記載される。
【0119】
水と、セメントと、起泡剤と、脂肪族アルコールとを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になるセメントスラリーは、スラリーがボードとして形成され、乾燥させられたとき、脂肪族アルコールなしで形成されたボードと比較して増加した強度を有することができる。
【0120】
以下の実施例(複数可)は、本発明をさらに例示するが、当然のことながら、その範囲を何ら制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0121】
本実施例は、ポリカルボキシレート分散剤の存在ありおよびなしで、起泡剤の発泡特性への脂肪族アルコールの効果を実証する。
【0122】
具体的には、起泡剤溶液に対して、発泡、表面張力、および安定性実験を実施した。3つのタイプの起泡剤(石鹸)を試験した。起泡剤1Aは、CS230の形態の安定した石鹸であり、Stepan(Northfield,IL)から市販のラウリルエーテルサルフェートブレンドである。加えて、起泡剤1Bおよび起泡剤1Cとして識別された2つの不安定な石鹸を試験した。起泡剤1Bは、Polystep B25であり、Stepanから市販のアルキルサルフェートブレンドであり、起泡剤1Cは、Hyonic 25ASであり、Geo Specialty Chemicals(Ambler,PA)から市販のアルキルサルフェートブレンドである。各起泡剤は、界面活性剤として作用し、したがって、それらが水を必要とするため、界面活性剤溶液を形成した。
【0123】
図2~5および表1に示されるように、いくつかの試料に脂肪族アルコールを添加することによって、界面活性剤溶液調整を実施した。試験した脂肪族アルコールは、1-オクタノール、1-デカノール、および1-ドデカノールであった。各溶液は、30重量%の界面活性剤と、1重量%の脂肪族アルコール(存在する場合)とを含有した。Coatex Group(Genay,France)から市販のEthacryl M(商標)の形態の、0.1重量%(1000ppm)のポリカルボキシレートエーテル(PCE)分散剤の添加によって、いくつかの溶液をさらに調整した。石膏生成物で使用される表面活性ポリマー分散剤を用いて、系に対する石鹸調整剤の影響を評価するために、PCEを含んだ。各溶液の残部は、水であった。60秒間バイアル瓶中で10mLの界面活性剤溶液を(手で)振って、気泡の高さをmmで報告することによって、発泡研究を実施した。
【0124】
図1~3は、発泡結果を示す棒グラフである。図1は、安定した石鹸および不安定な石鹸の両方を単独で、かつEthacryl M(商標)(Coatex)の形態の1000ppmのポリカルボキシレートエーテル分散剤の存在下で用いて生成した気泡の結果を示す。図1は、ポリカルボキシレートが、両方の不安定な石鹸の発泡に対して強い影響を有することを示す。
【0125】
図2および3は、1重量%脂肪族アルコールで調整された不安定な界面活性剤溶液(起泡剤1Bおよび1Cのそれぞれ)を単独で、またはEthacryl M(商標)(Coatex)の形態の1000ppmのポリカルボキシレートエーテル分散剤と共に用いて生成した気泡を示す。図2、3は、1重量%の脂肪族アルコールを用いた石鹸調整が、不安定な石鹸の発泡特性を変化させたことを実証する。具体的には、発泡に対するポリカルボキシレートの相対的影響を低減する脂肪族アルコールによって実証されるように、脂肪族アルコールの存在下でより頑丈な気泡構造が生成された。より低い気泡の高さは、それがポリカルボキシレートの相対的表面活性の低減を示すため、望ましかった。デカノールの場合、発泡は、溶液中のPCEを用いてさらに低減された。デカノールは、界面活性剤-脂肪族アルコール複合体が、ポリカルボキシレートよりも空気/水界面に対して高い親和性を有したため、より低い気泡の高さをもたらした。
【0126】
加えて、プレート法を使用して表面張力試験を実施した。プレート法において、液体の空気/液体界面張力を判定するために、溶液中にプラチナプレートを浸漬することによって試験を実施した。Kruss K12 Tensiometer(Kruss GmbH(Hamburg,Germany))を使用して、試験液体の表面張力の変化を判定した。これは、空気/液体界面において起こっている変化、および界面活性剤の構成のよりよい理解を可能にした。
【0127】
表1に見られるように、起泡剤1B、すなわち、Stepan Polystep B25の溶液に関して、表面張力試験を実施した。1重量%のドデカノールを用いたさらなる溶液調整ありおよびなしで、試験を実施した。溶液は、異なる濃度(1000ppmおよび5000ppmのそれぞれ)の起泡剤1B、すなわち、Stepan Polystep B25を含有した。加えて、0.1重量%(1000ppm)の量のEthacryl M(商標)(Coatex)の形態のポリカルボキシレートエーテル分散剤を用いた溶液調整ありおよびなしで、試験を実施した。表面張力値は、ミリニュートン/メートル(mN/m)である。
【0128】
【表1】
【0129】
表1の結果は、ドデカノールの形態の脂肪族アルコールの存在が、ドデカノールなしよりも頑丈な(例えば、強力な)気泡を生成するのに有益であったことを示す。また、脂肪族アルコールが起泡剤と共に使用されたとき、ポリカルボキシレート分散剤の使用によって引き起こされる表面張力に対する悪影響は全くなく、気泡の安定性(例えば、強度)を示すことがわかる。未調整界面活性剤と比較したとき、ドデカノールで調整された界面活性剤溶液の表面張力は、減少した。より低い表面張力は、概して、より高い表面活性を示し、同じ発泡特性を達成するための界面活性剤の使用量の低減を可能にすることができる。
【0130】
さらに、不安定な起泡剤1Aおよび1Bから生成された気泡の分解を評価した。図4および5に記載されるように、単独で、および界面活性剤溶液を脂肪族アルコールで調整したときの起泡剤を考慮した。経時的にmmでの気泡の高さを測定することによって、分解を判定した。
【0131】
図4および5に見られるように、脂肪族アルコールを用いた界面活性剤溶液の調整もまた、分解に影響を及ぼした。図5中、「1k」は、溶液中1000ppmの起泡剤を指す。気泡の高さは、全ての調整された石鹸に関してより高く、結果は、調整された石鹸が従来の起泡剤よりも遅いペースで分解することを示す。気泡の高さの急速な減少は、不安定な泡、および気泡からの有意な液体放出を示す。全ての場合において、脂肪族アルコールで調製された石鹸溶液は、より長持ちし、従来の未調整石鹸ほど急速には分解しなかった。
【実施例2】
【0132】
本実施例は、ウォールボード製造における、起泡剤の発泡特性への脂肪族アルコールの効果を実証する。
【0133】
ウォールボードを商業的製造ラインで調製した。各ボードを表2に記載される配合物から調製した。石鹸を水とブレンドし、続いて気泡を生成し、気泡を石膏スラリーと混合することによって、40:60の比率のアルキルエーテルサルフェートおよびアルキルサルフェートの形態の起泡剤を用いて、ボードをそれぞれ作製した。アルキルエーテルサルフェートがGeo Hyonic PFM 33の形態であった一方で、アルキルサルフェートは、Geo Hyonic 25 ASの形態であった(両方ともGeo Specialty Chemicalsから入手可能)。
【0134】
BMAは、ボールミル粉砕された促進剤であり、石膏を含有し、ブドウ糖を用いた乾式ミル粉砕によって調製された。分散剤は、BASF(Germany)から市販の、BASF Melflux 541の形態のポリカルボキシレート分散剤であった。抑制剤は、ジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩(DOW Chemical Company(Midland,MI)から市販のVersenex(商標)80)の水溶液の1%溶液であり、1部(重量)のVersenex(商標)80を99部(重量)の水と混合することによって調製された。
【0135】
乾燥および湿潤成分を別々にミキサに導入して、スタッコスラリー(時に石膏スラリーと呼ばれる)を形成した。コンベヤ上で進んでいる、移動している紙カバーシート上にスラリーを放出し、スラリーが広がり紙上に芯を形成するようにした。高密度スキムコートを、ローラを用いて紙カバーシート上に適用した。高密度スラリーは、ローラの縁部の周囲を進んで、ボードの縁部を形成した。第2のカバーシートを芯に適用して、長い連続的なリボンの形態のボード前駆体のサンドイッチ構造を形成した。リボンを硬化させ、切断し、窯で乾燥させ、処理して、最終ボード生成物を形成した。
【0136】
【表2】
【0137】
表2の配合物から4つのタイプのボードを作製し、違いは、起泡剤を有する長鎖アルコールの存在に関連した。ボード2Aは、対照であり、脂肪族アルコールを用いた起泡剤のいかなる調整も含まなかった。ボード2Bを、起泡剤に添加した1%の1-ドデカノールを含んだ起泡剤で調製した。ボード2Cを、1%の1-デカノールを含んだ起泡剤で調製した。ボード2Dを、1%の1-オクタノールを含んだ起泡剤で調製した。石鹸溶液と加圧空気との高剪断混合によって、泡発生装置を用いて起泡剤を調製し、スラリー出口の前に、主ミキサの外側でスラリーに導入した。
【0138】
20倍の倍率の光学顕微鏡で撮影した画像は、各タイプのボードの芯から得られた。合計9つの光学顕微鏡画像をボード2A~2Dのそれぞれから撮影した。各ボードからの9つの画像を、同じボード芯の9つの異なる点から撮影し、各ボードに対して3つをランダムに選択し、それを図6A~9C中で芯の例として提示する。図6A~6Cは、対照ボード2Aからの画像である。図7A~7Cは、ボード2Bからの画像である。図8A~8Cは、ボードド2Cからの画像である。図9A~9Cは、ボード2Dからの画像である。これらの図に見られるように、芯構造は、石鹸調整剤の導入後に影響を受けた。図6A~6Cに示されるように、対照ボード2Aの芯構造が有意な数のより大きい空隙を有する一方で、ボード2B(図7A~7C)およびボード2D(図9A~9C)は、より大きい空隙のサイズの低減および全体的な空隙サイズの低減を示し、ボード2C(図8A~8C)は、空隙サイズの増加を示した。
【0139】
条件当たり6つの画像を分析した。空隙分析のために各実験条件からランダムに選択した画像(すなわち、図6A~6C、7A~7C、8A~8C、9A~9C)を、Clemex Technologies,Inc.(Longueuil,Quebec)から市販のClemex Vision PEを用いて分析した。各画像に対して、空隙(泡)の直径を、各空隙に対して手動で測定した。分布をソフトウェアによって提供した。結果の要約は、表3で報告される。
【0140】
【表3】
【0141】
ソフトウェアによって算術平均を決定し、ボード内の全ての空隙からの空隙径の算術平均(マイクロメートルで)を示す。ソフトウェアによって展開された分布図から体積平均を決定し、体積で計量された平均空隙サイズを示す。
【0142】
さらに、図10~13は、ボード2A(図10)、2B(図11)、2C(図12)、および2D(図13)のそれぞれの体積分布を示す棒グラフである。棒グラフは、マイクロメートルでの空隙サイズの関数として、空隙の体積周波数を示す。
【0143】
表3および図10~13からわかるように、対照ボード2A中の空隙が概してより大きく、より分散している一方で、ボード2Bおよび2Dの空隙は、より小さく、分布がより狭かった。対照ボードの空隙は、より大きく、より均一に分布していた。対照ボード2A中の空隙の分布が二峰性であった一方で、ボード2Bおよび2Dの分布は、単峰性およびガウス型であった。
【0144】
これらの結果は、起泡剤中の界面活性剤(石鹸)調整が、別様に配合物または界面活性剤の投薬量を変化させることなく、ウォールボードの空隙サイズ分布変化を誘発するのに十分であることを実証する。これらの結果は、より好ましい分布(より狭い、またはより広い)が、新しい界面活性剤ブレンドなしで容易に実現され得ることをさらに示す。
【実施例3】
【0145】
本実施例は、石鹸調整が起泡剤ブレンドの表面張力を低減することができることを示す。具体的には、Kruss K12 Tensiometerを用いて、実施例1に記載されるように、プレート法を使用して表面張力試験を実施した。
【0146】
起泡剤3A、すなわち、Stepan B25、および起泡剤3B、すなわち、Hyonic 25ASの溶液に関して、表面張力試験を実施した。さらなる溶液調整なしで(対照)、ならびに1重量%のドデカノール、1重量%のデカノール、および1重量%のオクタノールを用いたさらなる溶液調整ありで、各起泡剤に関する試験を実施した。溶液は、異なる濃度(2000ppm、1000ppm、および500ppmのそれぞれ)の起泡剤を含有した。結果は、表4に示される。
【0147】
【表4】
【0148】
表4の結果は、脂肪族アルコールの存在が、より表面活性の高い石鹸ブレンドを生成するのに有益であったことを示す。例えば、調整された石鹸の表面張力が低減され、気泡の安定性(例えば、強度)が改善されたことを示すことがわかる。未調整界面活性剤と比較したとき、アルコール調整界面活性剤溶液の表面張力は、減少した。より低い表面張力は、概して、より高い表面活性を示し、同じ発泡特性を達成するための界面活性剤の使用量の低減を可能にすることができる。
【0149】
本明細書に列挙される公開、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
本発明を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」、および「an」、および「the」、および「少なくとも1つ」という用語、ならびに同様の指示語の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するよう解釈されるものである。1つ以上の項目のリストが後に続く「少なくとも1つ」という用語(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択された1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)のうちの2つ以上の任意の組み合わせを意味するよう解釈されるものである。本明細書で使用される場合、「結合関係」という用語は、必ずしも2つの層が直接接触していることを意味するわけではないことが理解されるであろう。「備えること」、「有すること」、「含むこと」、および「含有すること」という用語は、特に明記しない限り、オープンエンドな用語として解釈されるものである(すなわち、「が挙げられるが、これらに限定されない」)。また、「備えること」(またはその同等物)が列挙されるどの箇所においても、「備えること」は、「から本質的になる」および「からなる」を組み込むとみなされる。したがって、要素(複数可)を「備える」実施形態は、列挙された要素(複数可)「から本質的になる」および「からなる」実施形態を支持する。「から本質的になる」が列挙されるどの箇所も、「からなる」を組み込むとみなされる。したがって、要素(複数可)「から本質的になる」実施形態は、列挙された要素(複数可)「からなる」実施形態を支持する。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別途記載のない限り、その範囲内に入るそれぞれ別々の値に個々に言及する簡略化した方法として機能することを単に意図し、それぞれ別々の値は、個々に本明細書で列挙されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例および例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、本発明の理解をより容易にすることを単に意図し、特許請求の範囲に別途記載されない限り、本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における用語は、特許請求の範囲に記載されていない要素を本発明の実施にとって不可欠と示すものとみなされるべきではない。
【0151】
本発明を実施するための本発明者らに既知の最良の様式を含む、本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変化形は、上記の記載を読んで当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変化形を必要に応じて用いることを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用される法律によって許容される、添付の請求の範囲において列挙される主題の全ての修正物および同等物を含む。さらに、上記の要素のその全ての可能な変化形における任意の組み合わせが、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
[付記]
[付記1]
発泡セメント系ボードを作製する方法であって、
(a)第1の量の第1の起泡剤、第2の量の第2の起泡剤、および第3の量の脂肪族アルコールをブレンドして水性ブレンド流れを形成することであって、前記第1、第2、および第3の量が、第1の重量比である、形成することと、
(b)第1、第2、および/または第3の量を制御可能に変更して、前記第1の重量比とは異なる第2の重量比を形成することと、
(c)前記ブレンドされた流れの中に空気を挿入して気泡を形成することと、
(d)少なくとも水、セメント系材料、および前記気泡を混合して、スラリーを形成することと、
(e)第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間に前記スラリーを配置して、ボード前駆体を形成することと、
(f)前記ボード前駆体をボードに切断することと、
(g)前記ボードを乾燥させることと、を含む、方法。
[付記2]
前記第1、第2、および第3の量が、流量計量システムによって制御され、プロセスコントローラが、前記流量計量システムと通信して前記第1、第2、および第3の量のうちの1つ以上を調節する、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記流量計量システムが、前記第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの各々の前記水性ブレンド流れへの流動を制御するための弁と動作可能に関連する少なくとも1つのポンプを含む、付記2に記載の方法。
[付記4]
前記脂肪族アルコールが、C -C 20 脂肪族アルコールである、付記1~3のいずれか一つに記載の方法。
[付記5]
安定した起泡剤が、不安定な起泡剤の添加の前に、前記脂肪族アルコールと組み合わされる、付記3に記載の方法。
[付記6]
前記不安定な起泡剤が、前記安定した起泡剤の添加の前に、前記脂肪族アルコールと組み合わされる、付記3に記載の方法。
[付記7]
気泡を形成するためのシステムであって、
(a)気泡発生器と、
(b)前記気泡発生器に空気を導入するための空気供給導管と、
(c)第1の量の起泡剤、第2の量の第2の起泡剤、および第3の量の脂肪族アルコールを、順序に関係なく、直接または間接的に前記気泡発生器に導入するように構成された流量計量システムと、
(d)直接的または間接的に前記気泡発生器に導入される第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの相対量を選択的に変化させるために前記流量計量システムと通信するコントローラと、を備える、システム。
[付記8]
気泡を形成するためのシステムであって、
(a)第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールのブレンド流れ導管への流動を、順序に関係なく制御するための1つ以上の弁にと動作可能に関連する少なくとも1つのポンプを含む流量計量システムと、
(b)前記ブレンド流れ導管に導入される第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの相対量を、選択的に変化させるために前記流量計量システムと通信するコントローラと、
(c)前記ブレンド流れ導管と流体連通する気泡発生器と、
(d)前記気泡発生器内に空気を導入するための空気供給導管と、を備える、システム。
[付記9]
前記脂肪族アルコールが、C -C 20 脂肪族アルコールである、付記7または8に記載のシステム。
[付記10]
前記流量計量システムが、前記第1の起泡剤、第2の起泡剤、および脂肪族アルコールの各々の、前記気泡発生器と流体連通するブレンド流れ導管への流動を制御するための弁と動作可能に関連する少なくとも1つのポンプを含む、付記7または8に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14