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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/16 20060101AFI20230403BHJP
   F16K 31/60 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
F16K7/16 C
F16K31/60 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019051371
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153419
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】濱田 正吾
(72)【発明者】
【氏名】宮川 理
(72)【発明者】
【氏名】村田 佳祐
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-075120(JP,A)
【文献】特開平10-122408(JP,A)
【文献】特開平8-219304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/16
F16K 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室を形成する弁本体と、前記弁室内に設けられる弁体と、前記弁室をシールする金属ダイヤフラムと、を備えた弁装置であって、
前記弁体は、軸部を有し、
前記金属ダイヤフラムは、前記軸部を挿通させる挿通孔を有して円環状に構成され、その内周縁部が前記軸部に対して固定されるとともに、その外周縁部が前記弁本体に対して固定され、最大弁開状態から弁閉状態にかけて前記内周縁部と前記外周縁部との間において弁閉側に向かって凸に湾曲しており、
自然状態における前記金属ダイヤフラムは、前記弁体の軸方向に沿った断面が、前記内周縁部側の内側円弧状部と、前記外周縁部側の外側円弧状部と、を有し、
前記内側円弧状部の曲率が前記外側円弧状部の曲率よりも大きいことを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記金属ダイヤフラムは、前記内周縁部に、前記弁体の軸方向に交差する平面に沿って延びるとともに前記軸部に接続される内側接続部を有することを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁室を形成する弁本体と、弁室内に設けられる弁体と、弁室をシールするダイヤフラムと、を備えた弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、冷凍空調装置等に利用される弁装置において、弁室をシールするためのシール部材として、金属ダイヤフラムが利用されている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された弁装置(ダイヤフラム弁)では、金属ダイヤフラムが、その外周縁部がボディ(弁本体)によって保持され、その中央部にディスク(弁体)の軸部が挿通されて接続されている。即ち、ディスクが弁座に対して接離する際、ディスクの移動に伴ってダイヤフラムが変形するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-219303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようにダイヤフラムを備える弁装置では、高圧流体を使用する場合、剛性の高い金属を用いてダイヤフラムを構成する必要がある。一方、このような弁装置では、流量の増大が要求される場合があり、この場合には、弁体のストローク(移動量)を長くする必要がある。弁体のストロークを長くすると、ダイヤフラムの変位量が大きくなり、特に剛性の高い金属を用いた場合に応力集中しやすくなってしまう。ダイヤフラムに応力集中が生じると、応力割れの原因となり、耐久性が低下してしまう。即ち、高圧および大流量に対応しつつダイヤフラムの耐久性を向上させることは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、高圧および大流量に対応しつつダイヤフラムの耐久性を向上させることができる弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の弁装置は、弁室を形成する弁本体と、前記弁室内に設けられる弁体と、前記弁室をシールする金属ダイヤフラムと、を備えた弁装置であって、前記弁体は、軸部を有し、前記金属ダイヤフラムは、前記軸部を挿通させる挿通孔を有して円環状に構成され、その内周縁部が前記軸部に対して固定されるとともに、その外周縁部が前記弁本体に対して固定され、最大弁開状態から弁閉状態にかけて前記内周縁部と前記外周縁部との間において弁閉側に向かって凸に湾曲しており、自然状態における前記金属ダイヤフラムは、前記弁体の軸方向に沿った断面が、前記内周縁部側の内側円弧状部と、前記外周縁部側の外側円弧状部と、を有し、前記内側円弧状部の曲率が前記外側円弧状部の曲率よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、ダイヤフラムが弁閉側に向かって凸に湾曲していることで、弁体を弁座に対して接離させる際に、応力集中を抑制することができる。即ち、ダイヤフラムが弁開側に向かって凸に湾曲している構成においては、内周縁部近傍に応力が集中しやすいのに対し、本発明ではダイヤフラム全体に応力が分散しやすい。従って、剛性の高い金属を用いてダイヤフラムを構成することで高圧に対応し、且つ、弁体のストロークを長くして大流量に対応した場合であっても、ダイヤフラムの損傷を抑制し、耐久性を向上させることができる。
【0008】
この際、自然状態における前記ダイヤフラムは、前記弁体の軸方向に沿った断面が、前記内周縁部側の内側円弧状部と、前記外周縁部側の外側円弧状部と、を有し、前記内側円弧状部の曲率が前記外側円弧状部の曲率よりも大きいことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ダイヤフラムにおける応力集中をさらに抑制し、耐久性を向上させることができる。ダイヤフラムは、軸部の近傍(内周縁部側)において応力が集中しやすい。このとき、本構成においては、弁体が弁座に対して接離する際、ダイヤフラムが、曲率の小さい外側円弧状部において変形しやすく、外周縁部側に応力を分散させることができる。
【0010】
さらに、前記ダイヤフラムは、前記内周縁部に、前記弁体の軸方向に交差する平面に沿って延びるとともに前記軸部に接続される内側接続部を有することが好ましい。この構成によれば、内側接続部を軸部に対して弁開側に重ねて接続しやすく、ダイヤフラムを弁閉側に向かって凸に湾曲させやすくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の弁装置によれば、ダイヤフラムが弁閉側に向かって凸に湾曲していることで、高圧および大流量に対応しつつダイヤフラムの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る弁装置を示す断面図である。
図2】前記弁装置を最大弁開状態とした際の要部を示す拡大断面図である。
図3】前記弁装置を弁閉状態とした際の要部を示す拡大断面図である。
図4】前記弁装置のダイヤフラムを示す断面図である。
図5】前記ダイヤフラムの寸法を示す断面図である。
図6】比較例の弁装置を最大弁開状態とした際の要部を示す拡大断面図である。
図7】前記弁装置を弁閉状態とした際の要部を示す拡大断面図である。
図8】前記弁装置のダイヤフラムを示す断面図である。
図9】本発明に係る弁装置におけるダイヤフラムおよび比較例の弁装置におけるダイヤフラムに生じる最大応力の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る弁装置について、図1図5を参照して説明する。本実施形態の弁装置は、変位可能なシール部材である金属ダイヤフラムを備えたものである。図1は、実施形態の弁装置であるダイヤフラム弁10を示す断面図である。図2は、ダイヤフラム弁10を最大弁開状態とした際の要部を示す拡大断面図である。図3は、ダイヤフラム弁10を弁閉状態とした際の要部を示す拡大断面図である。図4は、ダイヤフラム弁10の金属ダイヤフラム15を示す断面図である。図5は、金属ダイヤフラム15の寸法を示す断面図である。
【0014】
ダイヤフラム弁10は、図1に示すように、内部に弁室11を有する弁本体(ボディ)12と、弁室11内に設けられた弁体13と、弁体13を進退移動させるために回転操作される操作部14と、弁室11の内部をシールする金属ダイヤフラム15と、を備えた手動開閉タイプのバルブである。弁本体12は、互いに螺合される第1部材12aおよび第2部材12bを備え、第1部材12aと第2部材12bとの面合せ部に金属ダイヤフラム15の外周縁部152が挟持されている。
【0015】
弁本体12の第1部材12aは、その一端側に開口して弁室11に連通する流入ポート12cと、他端側に開口して弁室11に連通する流出ポート12dと、流入ポート12cが弁室11に開口した開口である弁ポート12eと、を備える。弁本体12の第2部材12bは、全体円筒状に形成され、操作部14の軸部14bを回転支持するとともに、軸部14bの雄ねじ部と螺合するように構成されている。
【0016】
弁体13は、図2、3に示すように、上下にフランジを有した円筒状の弁体ケース13aと、弁体ケース13aの内部に保持された弁部材13bと、弁部材13bよりも上側にて弁体ケース13aに保持された連結部材13cと、を有して構成されている。弁部材13bは、樹脂製やゴム製のパッキンであって、弁ポート12eに着座して密閉可能に構成されている。連結部材13cは、弁体ケース13aよりも上方に延びる円柱状の軸部13dを有し、この軸部13dの上面13eに金属ダイヤフラム15が固定され、上面13eに操作部14の軸部14bが接続されている。
【0017】
金属ダイヤフラム15は、1枚の全体円形板状(皿状)の金属薄板材からなり、中央部に弁体13の軸部13dを挿通させる挿通孔15aが形成されている。金属ダイヤフラム15は、挿通孔15aの内周縁部151が弁体13の軸部13dに溶接固定され、外周縁部152が弁本体12の第1部材12aと第2部材12bとの間に挟持されることで弁本体12に対して固定されている。また、金属ダイヤフラム15は、自身の弾性により面外方向に撓むことで弁体13を上下移動自在に支持するとともに、金属ダイヤフラム15の弾性による上向きの付勢力が作用することで、弁体13は、弁部材13bが弁ポート12eから離れた弁開位置にて支持されている。尚、金属ダイヤフラムは、複数の金属薄板材によって構成されていてもよい。
【0018】
このようなダイヤフラム弁10では、操作部14のハンドルが回転操作されることで、軸部14bの雄ねじ部が第2部材12bの雌ねじ部に案内されて操作部14が上下移動し、この上下移動が弁体13に伝達される。ハンドルの閉操作により操作部14が下方に移動すると、その押圧力によって金属ダイヤフラム15を面外方向下向きに撓ませつつ弁体13が下方に移動し、弁部材13bが弁ポート12eに着座する。ハンドルの開操作により操作部14が上方に移動すると、金属ダイヤフラム15が初期位置に復帰しようとする弾性力(復元力)によって弁部材13bが上方に移動し、弁部材13bが弁ポート12eから離座する。このように弁部材13bは、操作部14のハンドルの操作に伴って弁開位置と弁閉位置との間を上下方向に進退移動するようになっている。
【0019】
次に、図2~4を参照して金属ダイヤフラム15の詳細な形状について説明する。尚、以下では金属ダイヤフラム15を基準として弁ポート12e側を弁閉側とし、その反対側を弁開側とする。また、以下に説明する金属ダイヤフラム15の形状は、特に説明がない限り自然状態における形状とする。金属ダイヤフラム15は、内周縁部151に内側接続部153を有し、外周縁部152に外側接続部154を有する。内側接続部153および外側接続部154は、弁体13の軸線L方向に対して略直交する平面に沿って延びている。内側接続部153は、弁体13の上面13eに対して弁開側に重ねられて固定される。外側接続部154は、上記のように弁本体12の第1部材12aと第2部材12bとの間に挟持される。
【0020】
金属ダイヤフラム15は、内側接続部153と外側接続部154との間に、弁閉側に向かって凸に湾曲した湾曲部155を有する。湾曲部155は、図2に示す最大弁開状態から図3に示す弁閉状態にかけて、弁閉側に向かう凸形状を維持する。尚、金属ダイヤフラム15は、最大弁開状態において自然状態から多少変形していてもよいし、変形していなくてもよい。
【0021】
湾曲部155は、内周縁部側の内側領域A1と外周縁部側の外側領域A2とを有し、内側領域A1と外側領域A2とで凸形状の曲率が異なっている。具体的には、金属ダイヤフラム15は、弁体13の軸線L方向に沿った断面が、内周縁部151側の内側円弧状部156と、外周縁部152側の外側円弧状部157と、を有し、内側円弧状部156の曲率が外側円弧状部157の曲率よりも大きい(内側円弧状部156の曲率半径が外側円弧状部157の曲率半径よりも小さい)。
【0022】
金属ダイヤフラム15のうち最も弁閉側に位置する頂点部158は、内側領域A1と外側領域A2との間の(内側円弧状部156と外側円弧状部157との間の)境界部159よりも外周縁部152側に位置している。
【0023】
ここで、金属ダイヤフラム15の湾曲部155の断面形状の設定方法の一例について図5を参照して説明する。まず、ダイヤフラム弁10の各部の寸法に基づき、湾曲部155の幅(軸線L方向との直交方向における寸法)W1と、軸線L方向における内側接続部153と外側接続部154との間隔H1と、が定まる。次に、外側接続部154からの湾曲部155の弁閉側への突出寸法H2と、外側円弧状部157の曲率半径r1と、を適宜に設定し、第1円弧C1を描写する。このとき、第1円弧C1は、外側接続部154における基準点B1を通るとともに、突出寸法H2を示す水平線を接線とするものであり、このように描写することで第1円弧C1の中心O1は自ずと定まる。
【0024】
次に、内側接続部153における基準点B2を通る垂直線(弁体の軸部13dの側面と一致する)と、第1円弧C1と、の両方に接するように、曲率半径r2の第2円弧C2を描写する。このとき、第2円弧C2の中心O2は、軸線L方向において内側接続部153よりも低い高さとなり(下方に位置し)、軸線L方向との直交方向において、曲率半径r2だけ内側接続部153から離れた位置となる。また、第1円弧C1と第2円弧C2とが滑らかに連続する(これらが重なり合う点A3において、第1円弧C1の接線と第2円弧C2の接線とが一致する)。これにより、点A3を境界部159として、第2円弧C2のうち境界部159から内側接続部153にかけての部分が内側領域A1(内側円弧状部156)となり、第1円弧C1のうち境界部159から外側接続部154にかけての部分が外側領域A2(外側円弧状部157)となる。このとき、内側円弧状部156の上端における接線が軸線L方向に沿っていることから、内側円弧状部156が軸部13dの側面に沿っている。
【0025】
次に、本実施形態の金属ダイヤフラム15と、図6~8に示す比較例の金属ダイヤフラム100と、のそれぞれに生じる最大応力について説明する。金属ダイヤフラム100は、軸部13を挿通させる挿通孔101を有して円環状に構成され、その内周縁部102が軸部13に対して固定されるとともに、その外周縁部103が弁本体12に対して固定され、図6に示す最大弁開状態から図7に示す弁閉状態にかけて、内周縁部102と外周縁部103との間において弁開側に向かって凸に湾曲している。また、金属ダイヤフラム100は、図8に示すように自然状態においても弁開側に向かって凸に湾曲している。
【0026】
本実施形態の金属ダイヤフラム15または比較例の金属ダイヤフラム100を用いて弁閉度を変化させた際に各金属ダイヤフラムに生じる最大応力のシミュレーション結果を図9に示す。尚、図9における横軸は、弁体13の最大弁開状態を基準(0)とした変位量を最大変位量で除した割合(弁閉度)で示しており、縦軸は、各金属ダイヤフラムに生じる最大応力を、比較例の金属ダイヤフラム100に生じる最大応力で除した割合(比率)で示している。また、シミュレーションの条件として、最大弁開状態(弁閉度0%)から弁閉状態(弁閉度100%)にかけて、一定の圧力がダイヤフラムに作用しており、最大弁開状態においても所定の応力が生じるものとした。
【0027】
金属ダイヤフラム15および金属ダイヤフラム100のいずれを用いた場合であっても、弁閉度が高くなるにしたがって、各金属ダイヤフラムに生じる最大応力は大きくなっていく。最大弁開状態(弁閉度0%)において、本実施形態の金属ダイヤフラム15に生じる最大応力は、比較例の金属ダイヤフラム100に生じる最大応力の約50%となる。また、弁閉状態(弁閉度100%)において、本実施形態の金属ダイヤフラム15に生じる最大応力は、比較例の金属ダイヤフラム100に生じる最大応力の約30%となる。いずれの弁閉度においても、本実施形態の金属ダイヤフラム15に生じる最大応力は、比較例の金属ダイヤフラム100に生じる最大応力よりも小さい。このように、本実施形態の金属ダイヤフラム15においては、比較例の金属ダイヤフラム100と比較して、金属ダイヤフラム全体に応力が分散されるようになっており、最大応力が低下する結果、耐久性が高くなる。
【0028】
以上の本実施形態によれば、金属ダイヤフラム15が、弁閉側に向かって凸に湾曲した湾曲部155を有することで、金属ダイヤフラムが弁開側に向かって凸に湾曲している構成と比較して、金属ダイヤフラム全体に応力が分散しやすく、最大応力が低下する結果、耐久性が高くなる。これに加えて、金属ダイヤフラムが弁開側に向かって凸に湾曲している構成の場合は、ダイヤフラムに引張応力が加わるのに対して、本実施形態の場合は、ダイヤフラムに圧縮応力が加わる。一般的に金属は引張応力よりも圧縮応力に対しての耐久性が高いため、最大応力の大きさだけでなく応力の種類の違いからも、耐久性が高くなると考えられる。従って、剛性の高い金属薄板材を用いて金属ダイヤフラム15を構成することで高圧に対応し、且つ、弁体13のストロークを長くして大流量に対応した場合であっても、金属ダイヤフラム15の損傷を抑制し、耐久性を向上させることができる。
【0029】
また、金属ダイヤフラム15において内側円弧状部156の曲率が外側円弧状部157の曲率よりも大きいことで、金属ダイヤフラム15における応力集中をさらに抑制し、耐久性を向上させることができる。
【0030】
また、金属ダイヤフラム15が、軸線L方向に直交する平面に沿った内側接続部153を有することで、内側接続部153を軸部13dの上面13eに重ねて接続することができ、金属ダイヤフラム15の湾曲部155を弁閉側に向かって凸に湾曲させやすくすることができる。
【0031】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、弁装置として、手動開閉タイプのバルブを例示したが、本発明の弁装置は、モータによって駆動される電動弁や、その他の開閉形式を備えたものなどにも適用可能である。
【0032】
また、前記実施形態では、金属ダイヤフラム15が2つの円弧状部156、157を有し、内側円弧状部156の曲率が外側円弧状部157の曲率よりも大きいものとしたが、ダイヤフラムは、1つの円弧状部を有していてもよいし、3つ以上の円弧状部を有していてもよい。また、ダイヤフラムが複数の円弧状部を有する場合、これらの曲率の関係は、応力集中を避けるように、例えば各部の寸法や弁体のストローク長等に応じて適宜に設定されればよい。
【0033】
また、前記実施形態では、金属ダイヤフラム15が、軸線L方向に直交する平面に沿った内側接続部153を有するものとしたが、ダイヤフラムはその内周縁部側における適宜な部分が弁体の軸部に接続されればよい。例えば、前記実施形態における内側円弧状部156に相当する部分が弁体の軸部に接続される構成としてもよい。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
10 ダイヤフラム弁(弁装置)
11 弁室
12 弁本体
13 弁体
13d 軸部
15 金属ダイヤフラム
15a 挿通孔
151 内周縁部
152 外周縁部
156 内側円弧状部
157 外側円弧状部
153 内側接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9