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特許7254657電気錠判別システム、電気錠判別装置、電気錠判別方法、電気錠判別プログラムおよび自動ドアシステム
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  • 特許-電気錠判別システム、電気錠判別装置、電気錠判別方法、電気錠判別プログラムおよび自動ドアシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】電気錠判別システム、電気錠判別装置、電気錠判別方法、電気錠判別プログラムおよび自動ドアシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20230403BHJP
   E05F 15/74 20150101ALN20230403BHJP
【FI】
E05B47/00 G
E05F15/74
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019137026
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021021210
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松永 絢一
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-217961(JP,A)
【文献】特開平11-293976(JP,A)
【文献】特開平11-190156(JP,A)
【文献】特開平5-202656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、
前記ドアを開動作させるドア駆動部と、
前記ドア駆動部により前記ドアを開動作させたときの前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定部と、
前記電気錠制御部が前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定部で判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別部と、
を備えることを特徴とする電気錠判別システム。
【請求項2】
前記ドア駆動部は、前記ドアを限定的に開動作させることを特徴とする請求項1に記載の電気錠判別システム。
【請求項3】
前記電気錠制御部は、接続される可能性のある電気錠への印加電圧のうち最も低い電圧を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の電気錠判別システム。
【請求項4】
施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、
前記選択された電気錠または前記電気錠制御部が出力する信号が入力可能な信号入力部と、
前記信号入力部が開放状態、短絡状態、若しくは前記選択された電気錠または前記電気錠制御部が出力する信号が入力される状態のいずれかとなるように直接的または間接的に前記信号入力部に接続される接続部と、
前記選択された電気錠を前記接続部を介して前記電気錠制御部と接続したときの前記信号入力部の状態に基づいて電気錠の種別を判別する種別判別部と、
を備えることを特徴とする電気錠判別システム。
【請求項5】
前記電気錠制御部は、前記電気錠が施錠または解錠されていることを示す施解錠信号を受信可能であり、
前記信号入力部は、前記施解錠信号を出力する電気錠を前記電気錠制御部に接続したときに前記施解錠信号が入力されるものであり、
前記種別判別部は、前記信号入力部に入力される前記施解錠信号に基づいて電気錠の種別を判別することを特徴とする請求項4に記載の電気錠判別システム。
【請求項6】
前記種別判別部による判別結果を通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気錠判別システム。
【請求項7】
施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、
前記ドアを開動作させるドア駆動部が前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定部と、
前記電気錠制御部が前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定部で判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別部と、
を備えることを特徴とする電気錠判別装置。
【請求項8】
施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御ステップと、
前記ドアを開動作させるドア駆動部が前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定ステップと、
前記電気錠制御ステップが前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定ステップで判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別ステップと、
を備えることを特徴とする電気錠判別方法。
【請求項9】
施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうちから少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御ステップと、
前記ドアを開動作させるドア駆動部が前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定ステップと、
前記電気錠制御ステップが前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定ステップで判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする電気錠判別プログラム。
【請求項10】
施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠の中から選択された電気錠と、
前記選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、
前記ドアを開動作させるドア駆動部と、
前記ドア駆動部により前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定部と、
前記電気錠制御部が前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定部で判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別部と、
を備えることを特徴とする自動ドアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠判別システム、電気錠判別装置、電気錠判別方法、電気錠判別プログラムおよび自動ドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物に設けられたドアには、防犯のために機械式の鍵や、電気錠が取り付けられている。電気錠は、通電時に施錠または解錠状態となるタイプや、施解錠信号を出力するタイプなど多種類に及んでいる。電気錠を組み込んだドアシステム等では、取り付けられる電気錠の種別を自動的に判定する仕組みが設けられることがある。
【0003】
特許文献1には、施解錠するシリンダを動作させるアクチュエータ、並びにシリンダの施解錠に連動して施錠信号または解錠信号を発生する検出スイッチを有する通電時施解錠型または瞬時通電施解錠型の錠種の判定方法が記載されている。この判定方法は、アクチュエータを駆動させるための供給部からの電源供給を一定時間とし、その後アクチュエータへの電源供給を停止し、電気錠検出スイッチからの施錠信号、解錠信号を入力し、その変化の有無により錠種を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-217961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の錠種の判定方法は、施錠信号または解錠信号を発生する検出スイッチを有する電気錠に対して用いることができるが、施錠信号または解錠信号を出力しない電気錠に用いることができず、判定可能な電気錠の種類が限定されてしまう。また、電気錠の種類によっては動作電圧が異なっており、電気錠の判定のために通電したときに過剰電圧により高負荷をかけてしまうおそれもあった。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、幅広く電気錠の種別を判別することができる電気錠判別システム、電気錠判別装置、電気錠判別方法、電気錠判別プログラムおよび自動ドアシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は電気錠判別システムである。電気錠判別システムは、施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、前記ドアを開動作させるドア駆動部と、前記ドア駆動部により前記ドアを開動作させたときの前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定部と、前記電気錠制御部が前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定部で判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明のある態様の電気錠判別システムは、施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、前記選択された電気錠または前記電気錠制御部が出力する信号が入力可能な信号入力部と、前記信号入力部が開放状態、短絡状態、若しくは前記選択された電気錠または前記電気錠制御部が出力する信号が入力される状態のいずれかとなるように直接的または間接的に前記信号入力部に接続される接続部と、前記選択された電気錠を前記接続部を介して前記電気錠制御部と接続したときの前記信号入力部の状態に基づいて電気錠の種別を判別する種別判別部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のある態様は電気錠判別装置である。電気錠判別装置は、施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、前記ドアを開動作させるドア駆動部が前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定部と、前記電気錠制御部が前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定部で判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明のある態様は電気錠判別方法である。電気錠判別方法は、施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御ステップと、前記ドアを開動作させるドア駆動部が前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定ステップと、前記電気錠制御ステップが前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定ステップで判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別ステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明のある態様は電気錠判別プログラムである。電気錠判別プログラムは、施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠のうちから少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠を制御する電気錠制御ステップと、前記ドアを開動作させるドア駆動部が前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定ステップと、前記電気錠制御ステップが前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定ステップで判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
また本発明のある態様は自動ドアシステムである。自動ドアシステムは、施錠してドアの開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠の中から選択された電気錠と、前記選択された電気錠を制御する電気錠制御部と、前記ドアを開動作させるドア駆動部と、前記ドア駆動部により前記ドアを開動作させようとしたときに前記ドアの開閉状態を判定する開閉判定部と、前記電気錠制御部が前記選択された電気錠を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに前記開閉判定部で判定された前記ドアの開閉状態に基づいて前記選択された電気錠の種別を判別する種別判別部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、幅広く電気錠の種別を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る自動ドアシステムの構成を示す模式図である。
図2】実施形態1に係る自動ドアシステムの機能構成を示すブロック図である。
図3】電気錠の種別を示す図表である。
図4図4(a)~図4(c)は、電気錠とドアコントローラとの接続を示す模式図である。
図5】電気錠の種別判別処理の手順を示すフローチャートである。
図6】電気錠の別の種別判別処理の手順を示すフローチャートである。
図7図7(a)~図7(c)は変形例に係る電気錠とドアコントローラとの接続を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る自動ドアシステム100の構成を示す模式図である。図1に示す自動ドアシステム100は、自動ドア10を電気錠30により施解錠し、自動ドア10への人または物体の侵入を自動ドアセンサ20により検知して自動ドア10を開閉するように機能する。自動ドアシステム100は、自動ドア10、自動ドアセンサ20、電気錠30、およびドアコントローラ40等を有する。図1に示す自動ドア10は、両引分け戸タイプであり、2枚の自動ドア10が左右に自動的に開閉する。自動ドア10は、左右一対であり、左右に間隔を開けて固定配置されたフィックス15に沿って往復移動可能としてあり、左右のフィックス15間の開口部11を開閉する。
【0018】
自動ドア10は、左右それぞれの戸先框10aが突き合わされるように接触して開口部11が閉ざされた全閉状態となる。自動ドア10は、全閉状態において電気錠30によって施錠される。電気錠30は、例えば開口部11の上方における無目16等の自動ドア10周辺に配置されている。自動ドア10は、電気錠30が解錠された状態で、戸先框10aが離間するように移動し、戸先框10aがフィックス15の方立15a付近まで移動して停止し、開口部11が開いた全開状態となる。尚、自動ドア10は、両引分け戸タイプのほか、片引き戸タイプおよび回転ドアタイプ等のものであってもよい。
【0019】
自動ドアセンサ20は、例えば赤外線反射式センサであり、上述の無目16に配置されており、無目16における配置位置から斜め下方に向けて赤外光を投受光し、検知エリアを形成する。検知エリアの形状は、円形、楕円、長方形、矩形以外の多角形であってもよい。自動ドアセンサ20は、検知エリアに人または物体が進入したか否かをモニターしている。自動ドアセンサ20は、検知エリアに人または物体が進入したか否かを判定し、進入したと判定した場合に起動信号を生成しドアコントローラ40へ出力する。自動ドアセンサ20は、電波や音波を用いたドップラー効果により検知するもの、カメラで画像を取得し画像処理により検知するもの、人または物体までの距離を測距して検知するもの、遠赤外線の受光量に基づいて人または物体の存在を検知するもの、サーモグラフィーにより検知するもの等を用いることができる。
【0020】
ドアコントローラ40は、検知エリアに人または物体が進入したか否かの判定結果として起動信号を自動ドアセンサ20から取得し、ドアモータ50を作動させて自動ドア10が開放または閉鎖するように駆動する。ドアコントローラ40は、自動ドア10が全開状態になった後は、一定時間、全開状態を保持し、ドアモータ50を反転方向へ作動させて自動ドア10が全閉状態となるまで駆動する。また、ドアコントローラ40は、電気錠30の種別を自動的に判別する機能を備えており、判別した電気錠30の種別に応じて、電気錠30を施解錠すべく通電する。尚、ドアコントローラ40は、本発明における電気錠判別装置に相当する。また、自動ドアシステム100は、本発明における電気錠判別システムに相当する。
【0021】
図2は、実施形態1に係る自動ドアシステム100の機能構成を示すブロック図である。各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
自動ドアセンサ20およびドアコントローラ40は、CAN(Controller Area Network)バスによって相互に通信接続している。自動ドアセンサ20およびドアコントローラ40の通信接続は、CANに限られず、イーサネット(登録商標)やWiFi(登録商標)等の有線または無線通信を用いてもよい。自動ドア10は、自動ドア10の開動作を制限するように作動させるための印加電圧が異なる複数の電気錠30から少なくとも一つ選んで取り付け可能となっている。電気錠30は、ドアコントローラ40に接続ケーブル60によって電気的に接続されている。尚、接続ケーブル60は、本願の請求項における接続部に相当する。
【0023】
図3は電気錠30の種別を示す図表である。電気錠Aは、電圧非印加時に解錠状態であり、印加電圧が70Vであって、施錠または解錠されているかを示す施解錠信号の出力が無い。電気錠B1は電圧非印加時に施錠状態、電気錠B2は電圧非印加時に解錠状態であり、印加電圧がともに30Vである。電気錠B1およびB2は、いずれも施解錠信号の出力が有る。
【0024】
ここで、施解錠信号は、施錠信号または解錠信号を含み、施錠信号の場合は施錠時にONとなり解錠時にOFF、解錠信号の場合は施錠時にOFF解錠時にONとなるものとする。電気錠B1およびB2が出力する施解錠信号は、解錠信号であり、解錠時にONとなり施錠時にOFFとなるものとする。
【0025】
電気錠C1は電圧非印加時に解錠状態、電気錠C2は電圧非印加時に施錠状態である。電気錠C1は、印加電圧が70Vであり、施解錠信号の出力が無い。電気錠C2は、印加電圧が30Vであり、施解錠信号の出力が無い。尚、電気錠30は、プーリ固定式等どのような方式のものであってもよく、印加電圧は上述の例に限られるものではない。
【0026】
ドアコントローラ40は、ドア駆動部41、電気錠制御部42、施解錠信号入力部43、開閉判定部44、種別判別部45、および通知部46を有する。ドア駆動部41は、自動ドアセンサ20からの起動信号に基いてドアモータ50を駆動制御し、自動ドアを開閉する。ドア駆動部41は、後述するように種別判別部45からの指令に基づいて電気錠30の判別時に自動ドア10を駆動制御する。ドア駆動部41は、種別判別部45からの指令に基づいて自動ドア10を駆動制御する際には、自動ドア10を限定的に駆動する。即ち、ドア駆動部41は、通常より電流量を下げたり、通電時間を短くするなどして自動ドア10を低駆動トルクで駆動し、或いは、全開状態まで駆動するのではなく所定開幅(例えば数cm~数10cm程度)まで自動ドア10を駆動するようにしてもよい。
【0027】
電気錠制御部42は、電気錠30に対して電圧を印加または非印加して電圧設定することで電気錠30の施解錠を制御する。電気錠制御部42は、電気錠30へ印加する電圧として、接続される可能性のある各種の電気錠30における定格の印加電圧を包含する。電気錠制御部42は、例えば図3に示した電気錠30のいずれが接続されても、施解錠を制御できるように30Vおよび70Vの各印加電圧を電気錠30に印加できるものとする。また、電気錠制御部42は、電気錠30が施錠または解錠されているかを示す信号としての施解錠信号を受信し、施解錠信号に基づく制御や、ドア駆動部41への出力などを行う。尚、電気錠制御部42および後述の施解錠信号入力部43は、ドア駆動部41と同じ機器内に収容されていてもよいし、別の機器として構成されていてもよい。
【0028】
施解錠信号入力部43は、電気錠30が施錠または解錠されているかを示す信号としての施解錠信号の入力端子部分である。図4(a)~図4(c)は電気錠30とドアコントローラ40との接続を示す模式図である。図4(a)は電気錠Aとドアコントローラ40との接続を、図4(b)は電気錠B1およびB2とドアコントローラ40との接続を、図4(c)は電気錠C1およびC2とドアコントローラ40との接続を表している。図4(a)~図4(c)において、コネクタaは電気錠30側のコネクタを、コネクタbはコネクタaに接続される接続ケーブル60のコネクタを、コネクタdはドアコントローラ40側のコネクタを、コネクタcはコネクタdに接続される接続ケーブル60のコネクタを表している。尚、接続ケーブル60は、信号線としてのケーブル自体とケーブル両端のコネクタを含む構成であり、以下では接続ケーブルA、B、Cの3つを例示して説明する。
【0029】
電気錠A、電気錠B1およびB2、並びに電気錠C1およびC2は、電圧を印加するための電圧+側および電圧-側の各端子に接続されている。図4(a)に示す電気錠Aは、ドアコントローラ40の施解錠信号入力部43における施解錠信号入力端子43aが開放状態となるよう接続ケーブルAによって接続されている。電気錠A側のコネクタaは、施解錠信号入力端子43aに対応する端子が開放状態としてある。接続ケーブルAのコネクタbはメス型であり、電気錠A側のコネクタa(オス型)に接続される。接続ケーブルAは、ドアコントローラ40側の電圧+側および電圧-側の各端子に接続する信号線と、施解錠信号入力部43に接続する信号線を有している。
【0030】
図4(b)に示す電気錠B1およびB2は、施解錠信号入力端子43aが電気錠側の施解錠出力に接続されるよう接続ケーブルBによって接続されている。接続ケーブルBは、接続ケーブルAと同等であり、ドアコントローラ40側の電圧+側および電圧-側の各端子に接続する信号線と、施解錠信号入力部43に接続する信号線を有している。
【0031】
図4(c)に示す電気錠C1およびC2は、ドアコントローラ40の施解錠信号入力部43における施解錠信号入力端子43aが短絡状態となるよう接続ケーブルCによって接続されている。電気錠C1およびC2側のコネクタaは、施解錠信号入力端子43aに対応する端子が短絡状態としてある。接続ケーブルCは、接続ケーブルAと同等であり、ドアコントローラ40側の電圧+側および電圧-側の各端子に接続する信号線と、施解錠信号入力部43に接続する信号線を有している。上述のように接続ケーブルA、BおよびCは同等である。また接続ケーブルA、BおよびCを用いずに、電気錠30側のコネクタaとドアコントローラ40側のコネクタdとを接続するようにしてもよい。
【0032】
開閉判定部44は、ドア駆動部41によって自動ドア10が駆動されたときに、自動ドア10が開動作したか否かを判定する。電気錠30が解錠されている場合、ドア駆動部41によって自動ドア10が正常に駆動され、開閉判定部44は自動ドア10が開動作したと判定することになる。一方、電気錠30が施錠されている場合には、ドア駆動部41によって自動ドア10を駆動しようとしても自動ドア10は動かず、開閉判定部44は自動ドア10が開動作しなかったと判定することになる。自動ドア10が開動作したか否かは、ドア駆動部41における駆動モータ(図示略)が正常に動作しているか否かで判定される。例えば、ドア駆動部41は自動ドア10を駆動する際の負荷が増大している場合には開動作しなかったと判定する。
【0033】
種別判別部45は、電気錠制御部42から電気錠30への電圧の印加、施解錠信号の状態、および自動ドア10を駆動したときの開閉判定部44の判定結果などの判断要素に基づいて、電気錠30の種別を判別する。もし仮に電気錠30が専用制御器を備えている場合、ドアコントローラ40は専用制御器に対して電気錠30の施錠または解錠を要求するだけで良いが、専用制御器の分だけ自動ドアシステム100を構成する機器の数が増える。また、電気錠30と専用制御器との接続ケーブル、および専用制御器とドアコントローラ40との接続ケーブルなども必要となりコスト高の傾向となる。自動ドアシステム100における機器数の抑制や低コスト化等のため、専用制御器を用いることなく、電気錠30とドアコントローラ40とを接続ケーブル60で接続し、種別判別部45により電気錠30の種別を自動的な判別する。尚、種別判別部45は、電気錠制御部42と同じ機器内に収容されていてもよいし、別の機器として構成されていてもよい。更に、開閉判定部44は、種別判別部45と同じ機器内に収容されていてもよいし、別の機器として構成されていてもよい。
【0034】
通知部46は、種別判別部45によって判別された電気錠30の種別を外部に対して通知する。通知部46は、電気錠30の種別を音声や、表示などの方法で通知し、また保守点検用のハンディターミナル等の外部装置へ出力して通知してもよい。通知部46は、自動ドアシステム100の施工時などにおいて、現場の施工者に対して電気錠30の種別の確認情報を提供し、自動的に正しく判別されたかを知得させることができる。
【0035】
次に自動ドアシステム100の動作について、ドアコントローラ40における電気錠30の種別判別処理に基づいて説明する。図5は、電気錠30の種別判別処理の手順を示すフローチャートである。ドアコントローラ40に接続されている電気錠30は、上述の電気錠A、B1、B2、C1およびC2のいずれかであるとする。また、電気錠30は、接続ケーブル60によってドアコントローラ40に接続されていてもよいし、接続ケーブル60を介さずに接続されていてもよい。また電気錠B1およびB2は施解錠信号として解錠信号を出力しており、以下の例では、電気錠30から解錠信号が出力される場合について説明するが、施解錠信号として施錠信号が出力される場合も同様である。
【0036】
種別判別部45は、電気錠制御部42に対して電気錠30への印加電圧を0Vとする電圧設定状態とするよう指令し、施解錠信号入力部43における解錠信号の状態を確認する(S1)。次に種別判別部45は、電気錠制御部42に対して電気錠30への印加電圧を30Vとする電圧設定状態とするよう指令し、施解錠信号入力部43における解錠信号の状態を確認する(S2)。種別判別部45は、確認した解錠信号の状態がステップS1からステップS2で変化したか否かを判定する(S3)。
【0037】
ステップS3において解錠信号の状態が変化したとの判定結果であった場合(S3:YES)、電気錠B1およびB2のいずれかが接続されていることになり、種別判別部45は、解錠信号がONからOFFに変化したか否かを判定する(S4)。種別判別部45は、ステップS4で解錠信号がONからOFFに変化したと判定した場合(S4:YES)、電気錠B2であると判別し(S5)、処理を終了する。また、種別判別部45は、ステップS4で解錠信号がOFFからONに変化しており、否と判定した場合(S4:NO)、電気錠B1であると判別し(S6)、処理を終了する。
【0038】
ステップS3において解錠信号の状態が変化しなかったとの判定結果であった場合(S3:NO)、電気錠A、C1およびC2のいずれかが接続されていることになり、種別判別部45は、解錠信号が常時OFFであるか否かを判定する(S7)。種別判別部45は、ステップS7において解錠信号が常時OFFであると判定した場合(S7:YES)、電気錠Aであると判別し(S8)、処理を終了する。
【0039】
種別判別部45は、ステップS7において解錠信号が常時OFFではないと判定した場合(S7:NO)、電気錠制御部42に対して電気錠30への印加電圧を0Vとするよう指令し(S9)、ドア駆動部41へ自動ドア10を開動作するよう指令する(S10)。開閉判定部44は、ドア駆動部41によって自動ドア10が駆動されたときに、自動ドア10が開動作したか否かを判定する(S11)。ステップS11において自動ドア10が開動作したと判定された場合(S11:YES)、種別判別部45は、電気錠C1であると判別し(S12)、処理を終了する。ステップS11において自動ドア10が開動作しなかったと判定された場合(S11:NO)、種別判別部45は、電気錠C2であると判別し(S13)、処理を終了する。
【0040】
ドアコントローラ40は、ステップS1からステップS13によって、電気錠A、B1、B2、C1およびC2の種別を判別することができる。電気錠C1およびC2はいずれも施解錠信号出力が無く、電気錠C1は電圧非印加時解錠型、電気錠C2は電圧非印加時施錠型である。種別判別部45は、電気錠30への印加電圧を0Vにして自動ドア10を開動作させることによって、電気錠30からの施解錠信号の有無に関わらず、電気錠C1およびC2のいずれであるかを判別することができる。
【0041】
ドア駆動部41は、例えば低駆動トルクや所定開幅などで自動ドア10を限定的に駆動するようにしてもよく、これにより、電気錠30の種別判別時の自動ドア10の開動作を最低限に抑え、自動ドア10の破損を防ぎ、過剰な負荷を与えないようにすることができる。
【0042】
また、電気錠制御部42は電気錠30への電圧設定状態を0V、30Vと低い印加電圧を設定していくことで、種別判別時に電気錠30へ過大な負荷をかけないようにすることができる。
【0043】
電気錠Aは、電気錠C1およびC2と同様に、施解錠信号の出力が無く、電圧非印加時解錠型である。種別判別部45は、電気錠Aと、電気錠C1およびC2との判別について、施解錠信号入力部43が開放状態で施解錠信号入力が常時OFFである場合に、接続されている電気錠30が電気錠Aであると判別する。また種別判別部45は、施解錠信号入力部43が短絡状態で施解錠信号入力が常時ONである場合に、接続されている電気錠30が電気錠C1およびC2であると判別する。
【0044】
電気錠Aと、電気錠C1およびC2との判別では、施解錠信号入力部43の施解錠信号入力端子43aが短絡状態または開放状態となることを利用している。これにより、種別判別部45は、施解錠信号を出力しない2種の電気錠30に対して、自動ドア10を駆動することなく種別を判別することができる。
【0045】
電気錠B1およびB2はいずれも施解錠信号出力が有り、電気錠B1は電圧非印加時施錠型、電気錠B2は電圧非印加時解錠型である。種別判別部45は、電気錠B1およびB2と、他の電気錠A、C1およびC2との判別について、施解錠信号入力部43で施解錠信号が変化する場合に、接続されている電気錠30が電気錠B1およびB2であると判別する。これにより、種別判別部45は、施解錠信号の出力が無い電気錠、および施解錠信号出力が有る電気錠に対して種別の判別をすることができる。
【0046】
図6は、電気錠30の別の種別判別処理の手順を示すフローチャートである。種別判別部45は、電気錠制御部42に対して電気錠30への印加電圧を0Vとするよう指令し、施解錠信号入力部43における解錠信号の状態を確認する(S21)。次に種別判別部45は、ドア駆動部41へ自動ドア10を開動作するよう指令する(S22)。開閉判定部44は、ドア駆動部41によって自動ドア10が駆動されたときに、自動ドア10が開動作したか否かを判定する(S23)。
【0047】
ステップS23において自動ドア10が開動作しなかったと判定された場合(S23:NO)、電気錠30は電気錠B1およびC2のいずれかであり、種別判別部45は、解錠信号がON状態であるか否かを判定する(S24)。種別判別部45は、解錠信号がON状態であると判定された場合(S24:YES)、電気錠C2であると判別し(S25)、処理を終了する。ステップS24において解錠信号がON状態ではないと判定された場合(S24:NO)、種別判別部45は、電気錠B1であると判別し(S25)、処理を終了する。
【0048】
ステップS23において自動ドア10が開動作したと判定された場合(S23:YES)、電気錠30は電気錠A、B2およびC1のいずれかであり、種別判別部45は、電気錠制御部42に対して電気錠30への印加電圧を30Vとするよう指令し、施解錠信号入力部43における解錠信号の状態を確認する(S27)。種別判別部45は、確認した解錠信号の状態がステップS21からステップS27で変化したか否かを判定する(S28)。種別判別部45は、ステップS28において解錠信号の状態が変化したとの判定結果であった場合(S28:YES)、電気錠B2であると判別し(S29)、処理を終了する。
【0049】
種別判別部45は、ステップS28において解錠信号の状態が変化しなかったとの判定結果であった場合(S28:NO)、解錠信号が常時OFFであるか否かを判定する(S30)。種別判別部45は、ステップS30において解錠信号が常時OFFであると判定した場合(S30:YES)、電気錠Aであると判別し(S31)、処理を終了する。種別判別部45は、ステップS30において解錠信号が常時OFFではないと判定した場合(S30:NO)、電気錠C1であると(S32)、処理を終了する。
【0050】
ドアコントローラ40は、図5とは別の処理手順である図6に示すステップS21からステップS32によって、電気錠A、B1、B2、C1およびC2の種別を判別することができる。図6に示す種別判別処理において、種別判別部45は、自動ドア10の開動作によって、接続されている電気錠30が、電圧非印加時解錠型であるか、電圧非印加時施錠型であるかの判別を行う。また、電気錠B1とC2との判別において、電気錠C2の場合、施解錠信号入力部43の施解錠信号入力端子43aが短絡状態であることを利用している。
【0051】
また、種別判別部45は、電気錠30への印加電圧を30Vと設定することで、施解錠信号の変化を利用して電気錠B2を判別する。さらに、種別判別部45は、解錠信号が常時OFF状態であるか否かを判定することで、電気錠AとC1とを判別することができる。
【0052】
(変形例)
図7(a)~図7(c)は、変形例に係る電気錠30とドアコントローラ40との接続を示す模式図である。図7(a)は電気錠Aとドアコントローラ40との接続を、図7(b)は電気錠B1およびB2とドアコントローラ40との接続を、図7(c)は電気錠C1およびC2とドアコントローラ40との接続を表している。
【0053】
図7(a)に示す電気錠Aは、ドアコントローラ40の施解錠信号入力部43における施解錠信号入力端子43aが開放状態となるよう接続ケーブルAによって接続されている。接続ケーブルAは、施解錠信号入力部43における施解錠信号入力端子43aに対応するコネクタcの端子が開放状態としてある。接続ケーブルAのコネクタbはメス型であり、電気錠A側のコネクタa(オス型)に接続される。また接続ケーブルAのコネクタcはオス型であり、ドアコントローラ40側のコネクタd(メス型)に接続される。図7(b)に示す電気錠B1およびB2は、施解錠信号入力端子43aが電気錠側の施解錠出力に接続されるよう接続ケーブルBによって接続されている。接続ケーブルBのコネクタbはメス型であり、電気錠B1およびB2側のコネクタa(オス型)に接続される。また接続ケーブルBのコネクタcはオス型であり、ドアコントローラ40側のコネクタd(メス型)に接続される。
【0054】
図7(c)に示す電気錠C1およびC2は、施解錠信号入力部43における施解錠信号入力端子が短絡状態となるよう接続ケーブルCによって接続されている。接続ケーブルCは、施解錠信号入力部43における施解錠信号入力端子に対応するコネクタcの端子が短絡状態としてある。接続ケーブルCのコネクタbはオス型であり、電気錠C1およびC2側のコネクタa(メス型)に接続される。また接続ケーブルCのコネクタcはオス型であり、ドアコントローラ40側のコネクタd(メス型)に接続される。接続ケーブル60は、電気錠Aであれば接続ケーブルAで、電気錠B1およびB2であれば接続ケーブルB、電気錠C1およびC2であれば接続ケーブルCが使用されているものとする。
【0055】
変形例に係る電気錠30とドアコントローラ40との接続関係では、接続ケーブルA、BおよびCが、それぞれ異なる形式となっている。電気錠Aと、電気錠C1およびC2との判別では、図7(a)および図7(c)に示した接続ケーブルAおよび接続ケーブルCによって施解錠信号入力部43の施解錠信号入力端子43aが短絡状態または開放状態となることを利用している。これにより、種別判別部45は、施解錠信号を出力しない2種の電気錠30に対して、自動ドア10を駆動することなく種別を判別することができる。接続ケーブルAは、メス型のコネクタbが電気錠A側のコネクタa(オス型)に接続され、施解錠信号入力端子43aを開放状態とする。一方、接続ケーブルCは、オス型のコネクタbが電気錠C1およびC2側のコネクタa(メス型)に接続され、施解錠信号入力端子43aを短絡状態とする。
【0056】
接続ケーブルAのコネクタbがメス型であるため、誤って電気錠C1およびC2が接続ケーブルAでドアコントローラ40に接続されることはない。同様に、接続ケーブルCのコネクタbがオス型であるため、誤って電気錠Aが接続ケーブルCでドアコントローラ40に接続されることはない。
【0057】
次に、実施形態および変形例に係る電気錠判別システムとしての自動ドアシステム100、電気錠判別装置としてのドアコントローラ40、電気錠判別方法および電気錠判別プログラムの特徴を説明する。
電気錠判別システムとしての自動ドアシステム100は、電気錠制御部42、ドア駆動部41、開閉判定部44および種別判別部45を有する。電気錠制御部42は、施錠して自動ドア10の開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠30のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠30を制御する。ドア駆動部41は自動ドア10を開動作させる。開閉判定部44は、ドア駆動部41により自動ドア10を開動作させたときの自動ドア10の開閉状態を判定する。種別判別部45は、電気錠制御部42が前記選択された電気錠30を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに開閉判定部44で判定された自動ドア10の開閉状態に基づいて前記選択された電気錠30の種別を判別する。これにより、自動ドアシステム100は、電気錠30からの施解錠信号の有無に関わらず、幅広く電気錠の種別を判別することができる。
【0058】
またドア駆動部41は、自動ドア10を限定的に開動作させる。これにより、自動ドアシステム100は、電気錠30の種別判別時の自動ドア10の開動作を最低限に抑えることができる。
【0059】
また電気錠制御部42は、接続される可能性のある電気錠30への印加電圧のうち最も低い電圧を設定する。これにより、自動ドアシステム100は、種別判別時において、電気錠30へ過大な負荷をかけないようにすることができる。
【0060】
自動ドアシステム100は、電気錠制御部42、信号入力部としての施解錠信号入力部43、接続部としての接続ケーブル60および種別判別部45を有する。電気錠制御部42は、施錠して自動ドア10の開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠30のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠30を制御する。施解錠信号入力部43には、前記選択された電気錠30または電気錠制御部42が出力する信号が入力可能である。接続ケーブル60は、施解錠信号入力部43が開放状態、短絡状態、若しくは前記選択された電気錠30または電気錠制御部42が出力する信号が入力される状態のいずれかとなるように直接的または間接的に施解錠信号入力部43に接続される。種別判別部45は、前記選択された電気錠30を接続ケーブル60を介して電気錠制御部42に接続したときの施解錠信号入力部43の状態に基づいて電気錠30の種別を判別する。これにより、自動ドアシステム100は、例えば施解錠信号を出力しない2種の電気錠30に対して、自動ドア10を駆動することなく種別を判別することができる。
【0061】
また電気錠制御部42は、電気錠30が施錠または解錠されていることを示す施解錠信号を受信可能である。施解錠信号入力部43は施解錠信号を出力する電気錠30を電気錠制御部42に接続したときに、施解錠信号が入力されるものである。種別判別部45は、施解錠信号入力部43に入力される施解錠信号に基づいて電気錠30の種別を判別する。これにより、自動ドアシステム100は、施解錠信号の出力が無い電気錠30、および施解錠信号の出力が有る電気錠30に対して種別の判別をすることができる。
【0062】
また種別判別部45による判別結果を通知する通知部46を備えることで、自動ドアシステム100は、施工者に対して電気錠30の種別の確認情報を提供することができる。
【0063】
また電気錠判別装置としてのドアコントローラ40は、電気錠制御部42、開閉判定部44および種別判別部45を有する。電気錠制御部42は、施錠して自動ドア10の開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠30のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠30を制御する。開閉判定部44は、自動ドア10を開動作させるドア駆動部41が自動ドア10を開動作させようとしたときに自動ドア10の開閉状態を判定する。種別判別部45は、電気錠制御部42が前記選択された電気錠30を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに開閉判定部44で判定された自動ドア10の開閉状態に基づいて前記選択された電気錠30の種別を判別する。これにより、ドアコントローラ40は、電気錠30からの施解錠信号の有無に関わらず、幅広く電気錠の種別を判別することができる。
【0064】
電気錠判別方法は、電気錠制御ステップ、開閉判定ステップおよび種別判別ステップを備える。電気錠制御ステップは、施錠して自動ドア10の開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠30のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠30を制御する。開閉判定ステップは、自動ドア10を開動作させるドア駆動部41が自動ドア10を開動作させようとしたときに自動ドア10の開閉状態を判定する。種別判別ステップは、電気錠制御ステップが前記選択された電気錠30を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに開閉判定ステップで判定された自動ドア10の開閉状態に基づいて前記選択された電気錠30の種別を判別する。この電気錠判別方法により、電気錠30からの施解錠信号の有無に関わらず、幅広く電気錠30の種別を判別することができる。
【0065】
電気錠判別プログラムは、電気錠制御ステップ、開閉判定ステップおよび種別判別ステップをコンピュータに実行させる。電気錠制御ステップは、施錠して自動ドア10の開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠30のうち少なくとも一つを選択して当該選択された電気錠30を制御する。開閉判定ステップは、自動ドア10を開動作させるドア駆動部41が自動ドア10を開動作させようとしたときに自動ドア10の開閉状態を判定する。種別判別ステップは、電気錠制御ステップが前記選択された電気錠30を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに開閉判定ステップで判定された自動ドア10の開閉状態に基づいて前記選択された電気錠30の種別を判別する。この電気錠判別プログラムにより、電気錠30からの施解錠信号の有無に関わらず、幅広く電気錠の種別を判別することができる。
【0066】
自動ドアシステム100は、電気錠30、電気錠制御部42、ドア駆動部41、開閉判定部44および種別判別部45を備える。電気錠30は、施錠して自動ドア10の開動作を制限するための印加電圧が異なる電気錠30の中から選択された電気錠30である。電気錠制御部42は、前記選択された電気錠30を制御する。ドア駆動部41は自動ドア10を開動作させる。開閉判定部44は、ドア駆動部41により自動ドア10を開動作させようとしたときに自動ドア10の開閉状態を判定する。種別判別部45は、電気錠制御部42が前記選択された電気錠30を制御するために印加した設定電圧および当該設定電圧を印加したときに開閉判定部44で判定された自動ドア10の開閉状態に基づいて前記選択された電気錠30の種別を判別する。これにより、自動ドアシステム100は、電気錠30からの施解錠信号の有無に関わらず、幅広く電気錠の種別を判別することができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0068】
10 自動ドア(ドア)、 30 電気錠、
40 ドアコントローラ(電気錠判別装置)、 41 ドア駆動部、
42 電気錠制御部、 43 施解錠信号入力部(信号入力部)、
44 開閉判定部、 45 種別判別部、 46 通知部、
60 接続ケーブル(接続部)、
100 自動ドアシステム(電気錠判別システム)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7