(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】電動弁および冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
F16K 1/32 20060101AFI20230403BHJP
F25B 41/35 20210101ALI20230403BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
F16K1/32 C
F25B41/35
F16K31/04 K
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2019194965
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中川 大樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓也
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-329158(JP,A)
【文献】特開2016-156447(JP,A)
【文献】特開2018-115743(JP,A)
【文献】特開2003-148643(JP,A)
【文献】特開2011-021749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0012038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00 - 1/54
F16K 31/04
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ポートを開閉する弁体と、前記弁体を軸線方向に沿って駆動する駆動部と、前記弁体を前記軸線方向に案内する案内部と、を備えた電動弁であって、
前記駆動部は、
前記軸線方向に進退移動する駆動軸を有し、
前記弁体は、
前記駆動軸の進退移動に伴い前記弁ポートに対して接離する弁部と、
前記駆動軸の先端部と前記弁部の基端部とに亘って設けられるとともに前記案内部に案内される中空状の弁ホルダと、
前記弁ホルダに内蔵されて前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部のいずれか一方に当接し他方と離隔して設けられるばね受と、
前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部の他方と前記ばね受との間に圧縮状態で介装される圧縮ばねと、を有して構成され、
前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部の少なくとも一方と前記ばね受とは、当該ばね受の前記軸線方向に対する傾きを規制する傾き規制手段を介して接続されており、
前記ばね受には、前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部のいずれか一方に回転摺
動する回転摺
動面が設けられ、
前記傾き規制手段は、前記ばね受の前記回転摺
動面に開口して前記軸線方向に延びる孔部と、前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部の少なくとも一方から前記軸線方向に延びるとともに前記回転摺
動面を跨いで前記孔部に挿入される軸部と、を備え、前記軸部の前記孔部への挿入長さは、当該孔部の内径以上であることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と固定され、
前記ばね受は、前記駆動軸の先端部に前記回転摺
動面で当接するとともに、前記弁部の基端部と離隔して設けられ、
前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記駆動軸の先端部に形成された前記軸部と、を備え、
前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と固定され、
前記ばね受は、前記駆動軸の先端部と離隔するとともに前記弁部の基端部に前記回転摺
動面で当接して設けられ、
前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記弁部の基端部に形成された前記軸部と、を備え、
前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と固定されるとともに、前記弁部の基端部と回動自在に係合され、
前記ばね受は、前記駆動軸の先端部と離隔するとともに前記弁部の基端部に前記回転摺
動面で当接して設けられ、
前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記弁部の基端部に形成された前記軸部と、を備え、
前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項5】
前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と回動自在に係合され、
前記ばね受は、前記駆動軸の先端部に前記回転摺
動面で当接するとともに前記弁部の基端部と離隔して設けられ、
前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記駆動軸の先端部に形成された前記軸部と、を備え、
前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項6】
前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と回動自在に係合され、
前記ばね受は、前記駆動軸の先端部に前記回転摺
動面で当接するとともに前記弁部の基端部と離隔して設けられ、
前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記駆動軸の先端部に形成されて前記軸部を構成する第1の軸部と、前記弁部の基端部から前記軸線方向に延びて前記孔部に挿入される第2の軸部と、を備え、
前記孔部の内周面と前記第1および第2の軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項7】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1~6のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁および冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の冷凍サイクルに設けられる電動弁として、内部に弁室を有して一次および二次の継手が接続される弁ハウジング(弁本体)と、コイルからの電磁力によって回転駆動されるマグネットロータおよびロータ軸(ねじ軸)を有した電動モータ(駆動部)と、電動モータにより軸線方向に進退駆動される弁体と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この電動弁では、電動モータによって弁体が進退駆動されることによって、弁体のニードル弁(弁部)が弁室の弁ポートを開閉する。
【0003】
従来の電動弁90は、
図8に示すように、一次継手91aおよび二次継手91bが接続された弁本体91と、駆動部のマグネットロータ(不図示)に固定されたねじ軸92と、軸線L方向に進退駆動される弁体93と、弁本体91に固定されて弁体93を軸線L方向に案内する支持部材94と、を備える。弁本体91は、その内部に弁室91cを有し、二次継手91b側に弁座部材91dが固定され、この弁座部材91dの開口によって弁ポート91eが構成されている。弁体93は、その先端部(下端部)に設けられて弁ポート91eを開閉するニードル弁(弁部)95と、ねじ軸92の先端部に係合するとともにニードル弁95の基端部に固定される円筒状の弁ホルダ96と、弁ホルダ96に内蔵されてねじ軸92の先端部に当接しかつニードル弁95の基端部と離隔して設けられるばね受97と、ニードル弁95の基端部とばね受97との間に圧縮状態で介装される圧縮ばね98と、ねじ軸92の先端部と弁ホルダ96との間に介装されるスラストワッシャ99と、を有して構成されている。
【0004】
この電動弁90は、駆動部(ステッピングモータ)のマグネットロータが磁力により回転駆動されることで、ねじ軸92が軸線L回りに回転(正回転)するとともに、ねじ軸92の雄ねじが支持部材94の雌ねじに案内されて軸線L方向に進退移動(下降および上昇)する。ねじ軸92が下降すると、その先端部が当接するばね受97と圧縮ばね98を介してニードル弁95が下向きに付勢されるとともに、ニードル弁95に固定された弁ホルダ96が支持部材94に案内されつつ下降し、ニードル弁95の先端が弁座部材91dに着座して弁ポート91eが弁閉される。一方、駆動部によりねじ軸92が軸線L回りに逆回転されて上昇すると、その先端部がスラストワッシャ99を介して弁ホルダ96に係合し、弁ホルダ96が支持部材94に案内されつつ上昇し、ニードル弁95の先端が弁座部材91dから離座して弁ポート91eが弁開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の電動弁では、弁開状態からねじ軸を下降させてニードル弁の先端を弁座部材に着座させる際に、ねじ軸の先端部が回転しつつ当接するばね受と圧縮ばねを介してニードル弁を下向きに付勢するため、ばね受や圧縮ばねが傾いているとニードル弁に作用する付勢力が均等にならず、ニードル弁が弁ポートの中心からずれたり軸線に対して傾いたりした状態で着座する可能性がある。このように弁ポートに対してニードル弁が偏心したり傾いたりした状態で着座すると、弁閉しているにも関わらず冷媒が漏れる弁漏れが発生する可能性があるとともに、ニードル弁と弁座部材との当接部分に偏った応力集中が起き、局所的な変形や摩耗が進展して耐久性が低下する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、弁ポートに対する弁部の偏心や傾きを抑制することでシール性や耐久性を高めることができる電動弁および冷凍サイクルシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電動弁は、弁ポートを開閉する弁体と、前記弁体を軸線方向に沿って駆動する駆動部と、前記弁体を前記軸線方向に案内する案内部と、を備えた電動弁であって、前記駆動部は、前記軸線方向に進退移動する駆動軸を有し、前記弁体は、前記駆動軸の進退移動に伴い前記弁ポートに対して接離する弁部と、前記駆動軸の先端部と前記弁部の基端部とに亘って設けられるとともに前記案内部に案内される中空状の弁ホルダと、前記弁ホルダに内蔵されて前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部のいずれか一方に当接し他方と離隔して設けられるばね受と、前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部の他方と前記ばね受との間に圧縮状態で介装される圧縮ばねと、を有して構成され、前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部の少なくとも一方と前記ばね受とは、当該ばね受の前記軸線方向に対する傾きを規制する傾き規制手段を介して接続されており、前記ばね受には、前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部のいずれか一方に回転摺動する回転摺動面が設けられ、前記傾き規制手段は、前記ばね受の前記回転摺動面に開口して前記軸線方向に延びる孔部と、前記駆動軸の先端部および前記弁部の基端部の少なくとも一方から前記軸線方向に延びるとともに前記回転摺動面を跨いで前記孔部に挿入される軸部と、を備え、前記軸部の前記孔部への挿入長さは、当該孔部の内径以上であることを特徴とする。
【0009】
このような本発明によれば、弁体は、弁部と弁ホルダとばね受と圧縮ばねとを有して構成され、駆動軸の先端部および弁部の基端部の少なくとも一方とばね受とは、ばね受の傾きを規制する傾き規制手段を介して接続されているので、駆動軸の弁閉方向への移動に伴いばね受と圧縮ばねを介して弁部が付勢される際、弁ポートに対する弁部の偏心や傾きを抑制することができる。したがって、弁ポートに対して偏心や傾きなく弁部を着座させることで、弁閉時における弁漏れの発生を抑制するとともに、弁部と弁ポートとの当接部分の局所的な変形や摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
【0010】
この際、前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と固定され、前記ばね受は、前記駆動軸の先端部に前記回転摺動面で当接するとともに前記弁部の基端部と離隔して設けられ、前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記駆動軸の先端部に形成された前記軸部と、を備え、前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていることが好ましい。
【0011】
また、前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と固定され、前記ばね受は、前記駆動軸の先端部と離隔するとともに前記弁部の基端部に前記回転摺動面で当接して設けられ、前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記弁部の基端部に形成された前記軸部と、を備え、前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていてもよい。
【0012】
また、前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と固定されるとともに、前記弁部の基端部と回動自在に係合され、前記ばね受は、前記駆動軸の先端部と離隔するとともに前記弁部の基端部に前記回転摺動面で当接して設けられ、前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記弁部の基端部に形成された前記軸部と、を備え、前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていてもよい。
【0013】
また、前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と回動自在に係合され、前記ばね受は、前記駆動軸の先端部に前記回転摺動面で当接するとともに前記弁部の基端部と離隔して設けられ、前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記駆動軸の先端部に形成された前記軸部と、を備え、前記孔部の内周面と前記軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていてもよい。
【0014】
また、前記弁ホルダは、前記駆動軸の先端部と回動自在に係合されるとともに、前記弁部の基端部と回動自在に係合され、前記ばね受は、前記駆動軸の先端部に前記回転摺動面で当接するとともに前記弁部の基端部と離隔して設けられ、前記傾き規制手段は、前記ばね受に形成された前記孔部と、前記駆動軸の先端部に形成されて前記軸部を構成する第1の軸部と、前記弁部の基端部から前記軸線方向に延びて前記孔部に挿入される第2の軸部と、を備え、前記孔部の内周面と前記第1および第2の軸部の外周面とが互いに摺接し、かつ前記軸線方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、前記ばね受の傾きが規制されていてもよい。
【0015】
以上の各構成によれば、構造が異なる各種の弁部が採用された場合であっても、前述のように、弁ポートに対する弁部の偏心や傾きを抑制することができるので、弁ポートに対して偏心や傾きなく弁部を着座させ、弁閉時における弁漏れの発生を抑制するとともに、弁部と弁ポートとの当接部分の局所的な変形や摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
【0016】
本発明の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、前記いずれかの電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電動弁および冷凍サイクルシステムによれば、弁ポートに対する弁部の偏心や傾きを抑制することでシール性や耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電動弁を示す縦断面図である。
【
図2】前記電動弁の要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る電動弁の要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る電動弁の要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図5】本発明の第4実施形態に係る電動弁の要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図6】本発明の第5実施形態に係る電動弁の要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図7】本発明の冷凍サイクルシステムを示す図である。
【
図8】本発明の従来例に係る電動弁の要部を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態に係る電動弁を
図1、
図2に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動弁10Aは、弁ハウジング1と、弁体2と、駆動部3と、を備えている。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1の図面における上下に対応する。
【0020】
弁ハウジング1は、筒状の弁本体1Aと、弁本体1Aの内部に固定される支持部材1Bと、を有している。弁本体1Aは、その内部に円筒状の弁室1Cが形成され、弁本体1Aには、側面側から弁室1Cに連通して冷媒が流入される一次継手管11が取り付けられ、底面側から弁室1Cに連通して冷媒が流出される二次継手管12が取り付けられている。さらに、弁本体1Aには、弁室1Cと二次継手管12とを連通する位置に弁座部材13が固定され、この弁座部材13を貫通して断面円形状の弁ポート14が形成されている。支持部材1Bは、金属製の固定部15によって弁本体1Aに溶接固定されている。支持部材1Bは、樹脂成形品であって、弁座部材13側に設けられて円筒状の弁ガイド部(案内部)16と、駆動部4側に設けられて内周面に雌ねじが形成された雌ねじ部17と、を有して形成されている。弁本体1Aの上端部には、ケース18が溶接等によって気密に固定されている。
【0021】
弁体2は、弁座部材13に対して接離して着座及び離座するニードル部21を有する弁部2Aと、弁部2Aの基端部22を保持する円筒状の弁ホルダ2Bと、弁ホルダ2Bに内蔵されて後述するねじ軸32先端の拡径部32cに当接するばね受2Cと、弁部2Aの基端部22とばね受2Cとの間に圧縮状態で介装される圧縮ばね2Dと、ねじ軸32の拡径部32cと弁ホルダ2Bとの間に介装されるスラストワッシャ2Eと、を有して構成される。弁部2A、弁ホルダ2B、ばね受2C、圧縮ばね2Dおよびスラストワッシャ2Eは、軸線Lを中心とする同軸上に配設され、弁体2は、駆動部3によって軸線L方向に沿って進退駆動される。弁部2Aは、基端部22から上方(駆動部3側)に突出した突起部23を有し、この突起部23が圧縮ばね2Dに挿入されている。弁ホルダ2Bの上壁部には、ねじ軸32を挿通させる挿通孔24が形成され、ねじ軸32の拡径部32cは、スラストワッシャ2Eを介して弁ホルダ2Bの上壁部に係合している。スラストワッシャ2Eは、ねじ軸32の拡径部32cと弁ホルダ2Bの上壁部に当接可能になっており、その当接面同士の摩擦力が極めて小さくなり、これによりねじ軸32の回転が弁ホルダ2Bに伝達されにくくなっている。
【0022】
駆動部3は、電動モータとしてのステッピングモータ3Aと、ステッピングモータ3Aの回転により弁体2を進退させるねじ送り機構3Bと、ステッピングモータ3Aの回転を規制するストッパ機構3Cと、を備える。ステッピングモータ3Aは、外周部が多極に着磁されたマグネットロータ31と、ケース18の外周に配設された図示しないステータコイルと、マグネットロータ31に固定された駆動軸としてのねじ軸32と、を備えている。ねじ軸32は、固定部材32aを介してマグネットロータ31に固定されるとともに、軸線Lに沿って延び、その上端部はストッパ機構3Cのガイド33に挿入されている。ねじ軸32の中間部には雄ねじ部32bが一体に形成され、この雄ねじ部32bが支持部材1Bの雌ねじ部17に螺合し、これによってねじ送り機構3Bが構成されている。マグネットロータ31が回転すると、ねじ軸32の雄ねじ部32aが雌ねじ部17に案内されることで、マグネットロータ31およびねじ軸32が軸線L方向に進退移動し、これに伴って弁体2も軸線Lに沿って上昇または下降する。ねじ軸32の先端部には、弁体2の弁ホルダ2Bに係合する拡径部32cが形成されている。
【0023】
ストッパ機構3Cは、ケース18の天井部から垂下された円筒状のガイド33と、ガイド33の外周に固定されたガイド線体34と、ガイド線体34にガイドされて回転かつ上下動可能な可動スライダ35と、を備えている。可動スライダ35には、径方向外側に突出した爪部35aが設けられ、マグネットロータ31が回転して爪部35aを押すことで、可動スライダ35がガイド線体34に倣って回転かつ上下するようになっている。ガイド33には、マグネットロータ31の最上端位置を規定する上端ストッパ33aが形成され、ガイド線体34には、マグネットロータ31の最下端位置を規定する下端ストッパ34aが形成されている。これらの上端ストッパ33aおよび下端ストッパ34aに可動スライダ35の爪部35aが当接することで、可動スライダ35の回転が停止され、これによりマグネットロータ31の回転が規制され、弁体2の上昇または下降も停止される。
【0024】
次に、
図2に基づき、弁体2およびねじ軸32の構成について詳しく説明する。本実施形態の電動弁10Aにおいて、弁体2のばね受2Cとねじ軸32とは、ばね受2Cの軸線L方向に対する傾きを規制する傾き規制手段4Aを介して接続されている。また、電動弁10Aにおいて、弁ホルダ2Bは、ねじ軸32の拡径部32cと回動自在に係合されるとともに、弁部2Aの基端部22と嵌合されて互いに固定されている。ばね受2Cは、ねじ軸32の拡径部32cに当接するとともに、弁部2Aの基端部22と離隔して設けられている。傾き規制手段4Aは、ばね受2Cに形成されて軸線L方向に延びる孔部25と、ねじ軸32の拡径部32cから軸線L方向に延びて孔部25に挿入される軸部36と、を備えて構成されている。孔部25の内径Dと、軸部36の孔部25への挿入長さLとは、挿入長さLが内径D以上(L>D)である。また、挿入長さLは、内径Dの2倍以上(L>2D)であることが好ましく、さらには内径Dの3倍以上(L>3D)であることがより好ましい。このような孔部25の内周面と軸部36の外周面とが互いに摺接し、かつ軸線L方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、ばね受2Cの傾きが規制されている。
【0025】
以上の本実施形態によれば、弁体2のばね受2Cとねじ軸32の拡径部32cとは、ばね受2Cの傾きを規制する傾き規制手段4Aを介して接続されているので、ねじ軸32の弁閉方向への移動(下降)に伴いばね受2Cと圧縮ばね2Dを介して弁部2Aが付勢される際、弁ポート14に対する弁部2Aの偏心や傾きを抑制することができる。したがって、弁ポート14に対して偏心や傾きなく弁部2Aのニードル部21を着座させることで、弁閉時における弁漏れの発生を抑制するとともに、弁部2Aと弁ポート14との当接部分の局所的な変形や摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
【0026】
また、傾き規制手段4Aは、ばね受2Cに形成されて軸線L方向に延びる孔部25と、ねじ軸32の拡径部32cから軸線L方向に延びて孔部25に挿入される軸部36と、によって構成されていることで、弁体2の構成部材を増やすことなく、比較的簡便な構造によって傾き規制手段4Aを構成することができる。また、傾き規制手段4Aにおいて、軸部36の挿入長さLが孔部25の内径D以上(L>D)であることで、ばね受2Cの傾きをより確実に規制することができる。
【0027】
次に、
図3に基づき、本発明の第2実施形態に係る電動弁10Bについて説明する。本実施形態の電動弁10Bは、第1実施形態の電動弁10Aと同様に、弁ハウジング1と、弁体2と、駆動部3と、を備えている。一方、電動弁10Bは、弁体2の一部構成が電動弁10Aと相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0028】
本実施形態の電動弁10Bの弁体2において、弁ホルダ2Bは、ねじ軸32の拡径部32cと回動自在に係合されるとともに、弁部2Aの基端部22と嵌合されて互いに固定されている。ばね受2Cは、弁部2Aの基端部22に当接するとともに、ねじ軸32の拡径部32cから突出する突起部32dと離隔して設けられている。突起部32dは、第1実施形態の軸部36を省略した拡径部32cに設けられるもので、圧縮ばね2Dに挿入されることで、ねじ軸32の拡径部32cと圧縮ばね2Dとが位置決めされている。弁部2Aの基端部22とばね受2Cとは、ばね受2Cの軸線L方向に対する傾きを規制する傾き規制手段4Bを介して接続されている。
【0029】
傾き規制手段4Bは、ばね受2Cに形成されて軸線L方向に延びる孔部26と、弁部2Aの基端部22から軸線L方向に延びて孔部26に挿入される軸部27と、を備えて構成されている。孔部26の内径Dと、軸部27の孔部26への挿入長さLとは、挿入長さLが内径D以上(L>D)である。また、挿入長さLは、内径Dの2倍以上(L>2D)であることが好ましく、さらには内径Dの3倍以上(L>3D)であることがより好ましい。このような孔部26の内周面と軸部27の外周面とが互いに摺接し、かつ軸線L方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、ばね受2Cの傾きが規制されている。
【0030】
以上の本実施形態によれば、弁体2の弁部2Aの基端部22とばね受2Cとは、ばね受2Cの傾きを規制する傾き規制手段4Bを介して接続されているので、ねじ軸32の弁閉方向への移動(下降)に伴い圧縮ばね2Dとばね受2Cを介して弁部2Aが付勢される際、弁ポート14に対する弁部2Aの偏心や傾きを抑制することができる。したがって、弁ポート14に対して偏心や傾きなく弁部2Aのニードル部21を着座させることで、弁閉時における弁漏れの発生を抑制するとともに、弁部2Aと弁ポート14との当接部分の局所的な変形や摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
【0031】
また、傾き規制手段4Bは、ばね受2Cに形成されて軸線L方向に延びる孔部26と、弁部2Aの基端部22から軸線L方向に延びて孔部26に挿入される軸部27と、によって構成されていることで、弁体2の構成部材を増やすことなく、比較的簡便な構造によって傾き規制手段4Bを構成することができる。また、傾き規制手段4Bにおいて、軸部27の挿入長さLが孔部26の内径D以上(L>D)であることで、ばね受2Cの傾きをより確実に規制することができる。
【0032】
次に、
図4に基づき、本発明の第3実施形態に係る電動弁10Cについて説明する。本実施形態の電動弁10Cは、第1、2実施形態の電動弁10A,10Bと同様に、弁ハウジング1と、弁体2と、駆動部3と、を備えている。一方、電動弁10Cは、弁体2の一部構成が電動弁10A,10Bと相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0033】
本実施形態の電動弁10Cの弁体2において、弁ホルダ2Bは、ねじ軸32の先端部32eと一体に固定されるとともに、先端側(弁座部材13側)の開口に軸受け28が固定されている。弁部2Aは、その基端部22が軸受け28に回動自在に係合され、軸線L回りに回転可能に支持されている。ばね受2Cは、弁部2Aの基端部22に当接するとともに、ねじ軸32の先端部32eと離隔して設けられている。この弁体2では、弁ホルダ2Bがねじ軸32の先端部32eに固定されているため、ねじ軸32の回転に伴って弁ホルダ2Bも回転する。一方、弁部2Aは、弁ホルダ2Bに対して軸受け28により回転可能に支持されていることから、着座の際に弁座部材13に対して周方向の摩擦力が作用しないようになっている。
【0034】
弁部2Aの基端部22とばね受2Cとは、ばね受2Cの軸線L方向に対する傾きを規制する傾き規制手段4Cを介して接続されている。傾き規制手段4Cは、ばね受2Cに形成されて軸線L方向に延びる孔部26と、弁部2Aの基端部22から軸線L方向に延びて孔部26に挿入される軸部27と、を備えて構成されている。孔部26の内径Dと、軸部27の孔部26への挿入長さLとは、挿入長さLが内径D以上(L>D)である。また、挿入長さLは、内径Dの2倍以上(L>2D)であることが好ましく、さらには内径Dの3倍以上(L>3D)であることがより好ましい。このような孔部26の内周面と軸部27の外周面とが互いに摺接し、かつ軸線L方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、ばね受2Cの傾きが規制されている。
【0035】
以上の本実施形態によれば、弁体2の弁部2Aの基端部22とばね受2Cとは、ばね受2Cの傾きを規制する傾き規制手段4Cを介して接続されているので、ねじ軸32の弁閉方向への移動(下降)に伴い圧縮ばね2Dとばね受2Cを介して弁部2Aが付勢される際、弁ポート14に対する弁部2Aの偏心や傾きを抑制することができる。したがって、弁ポート14に対して偏心や傾きなく弁部2Aのニードル部21を着座させることで、弁閉時における弁漏れの発生を抑制するとともに、弁部2Aと弁ポート14との当接部分の局所的な変形や摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
【0036】
また、傾き規制手段4Cは、ばね受2Cに形成されて軸線L方向に延びる孔部26と、弁部2Aの基端部22から軸線L方向に延びて孔部26に挿入される軸部27と、によって構成されていることで、弁体2の構成部材を増やすことなく、比較的簡便な構造によって傾き規制手段4Cを構成することができる。また、傾き規制手段4Cにおいて、軸部27の挿入長さLが孔部26の内径D以上(L>D)であることで、ばね受2Cの傾きをより確実に規制することができる。
【0037】
次に、
図5に基づき、本発明の第4実施形態に係る電動弁10Dについて説明する。本実施形態の電動弁10Dは、第1~3実施形態の電動弁10A~10Cと同様に、弁ハウジング1と、弁体2と、駆動部3と、を備えている。一方、電動弁10Dは、弁ハウジング1および弁体2の一部構成が電動弁10A~10Cと相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0038】
本実施形態の電動弁10Dの弁ハウジング1は、内部に弁室1Cを有する第1弁本体1Dと、この弁本体1Dに固定される筒状の第2弁本体1Eと、第1弁本体1Dの内部に固定されて弁部2Aを案内する案内部材1Fと、を有している。第1弁本体1Dは、ステンレス等の金属材料から切削加工により成形され、弁ポート14となる開口が一体に形成されている。第2弁本体1Eは、第1弁本体1Dの上部にカシメおよびロウ付けにより固定され、この第2弁本体1Eの上部に支持部材1Bおよびケース18が溶接固定されている。案内部材1Fは、第1弁本体1Dに嵌合固定され、その中心を貫通する貫通孔によって弁部2Aの中間部を軸線L方向に沿って案内するように構成されている。
【0039】
電動弁10Dの弁体2において、弁ホルダ2Bは、ねじ軸32の拡径部32cと回動自在に係合されるとともに、弁部2Aの基端部22と軸受け28によって回動自在に係合されている。ばね受2Cは、ねじ軸32の拡径部32cに当接するとともに、弁部2Aの基端部22の突起部23と離隔して設けられている。ねじ軸32の拡径部32cとばね受2Cとは、ばね受2Cの軸線L方向に対する傾きを規制する傾き規制手段4Dを介して接続されている。この傾き規制手段4Dは、前記第1実施形態の傾き規制手段4Aと同様に、ばね受2Cの孔部25と、弁部2Aの軸部36と、を備えて構成されている。孔部25の内径Dと、軸部36の孔部25への挿入長さLとは、挿入長さLが内径D以上(L>D)である。また、挿入長さLは、内径Dの2倍以上(L>2D)であることが好ましく、さらには内径Dの3倍以上(L>3D)であることがより好ましい。このような孔部25の内周面と軸部36の外周面とが互いに摺接し、かつ軸線L方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、ばね受2Cの傾きが規制されている。
【0040】
以上の本実施形態によれば、ねじ軸32の拡径部32cとばね受2Cとは、ばね受2Cの傾きを規制する傾き規制手段4Dを介して接続されているので、ねじ軸32の弁閉方向への移動(下降)に伴いばね受2Cと圧縮ばね2Dを介して弁部2Aが付勢される際、弁ポート14に対する弁部2Aの偏心や傾きを抑制することができる。したがって、弁ポート14に対して偏心や傾きなく弁部2Aのニードル部21を着座させることで、弁閉時における弁漏れの発生を抑制するとともに、弁部2Aと弁ポート14との当接部分の局所的な変形や摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
【0041】
次に、
図6に基づき、本発明の第5実施形態に係る電動弁10Eについて説明する。本実施形態の電動弁10Eは、第1~4実施形態の電動弁10A~10Dと同様に、弁ハウジング1と、弁体2と、駆動部3と、を備えている。一方、電動弁10Eは、弁ハウジング1および弁体2の一部構成が電動弁10A~10Cと相違し、弁体2の一部構成が電動弁10Dと相違している。以下、相違点について詳しく説明する。
【0042】
本実施形態の電動弁10Eの弁ハウジング1は、電動弁10Dと同様に、第1弁本体1Dと、第2弁本体1Eと、案内部材1Fと、を有している。電動弁10Eの弁体2において、弁ホルダ2Bは、ねじ軸32の拡径部32cと回動自在に係合されるとともに、弁部2Aの基端部22と軸受け28によって回動自在に係合されている。ばね受2Cは、ねじ軸32の拡径部32cに当接するとともに、弁部2Aの基端部22の突起部23と離隔して設けられている。ねじ軸32の拡径部32cおよび弁部2Aの基端部22とばね受2Cとは、ばね受2Cの軸線L方向に対する傾きを規制する傾き規制手段4Eを介して接続されている。
【0043】
傾き規制手段4Eは、ばね受2Cを上下に貫通する孔部25と、弁部2Aの軸部27と、ねじ軸32の拡径部32cから軸線L方向に延びて孔部25に挿入される軸部36と、を備えて構成されている。孔部25の内径Dと、軸部27,36の孔部25への挿入長さLとは、挿入長さLが内径D以上(L>D)である。また、挿入長さLは、内径Dの2倍以上(L>2D)であることが好ましく、さらには内径Dの3倍以上(L>3D)であることがより好ましい。このような孔部25の内周面と軸部27,36の外周面とが互いに摺接し、かつ軸線L方向と交差する方向への互いの移動を規制することで、ばね受2Cの傾きが規制されている。
【0044】
以上の本実施形態によれば、ねじ軸32の拡径部32cおよび弁部2Aの基端部22とばね受2Cとは、ばね受2Cの傾きを規制する傾き規制手段4Eを介して接続されているので、ねじ軸32の弁閉方向への移動(下降)に伴いばね受2Cと圧縮ばね2Dを介して弁部2Aが付勢される際、弁ポート14に対する弁部2Aの偏心や傾きを抑制することができる。したがって、弁ポート14に対して偏心や傾きなく弁部2Aのニードル部21を着座させることで、弁閉時における弁漏れの発生を抑制するとともに、弁部2Aと弁ポート14との当接部分の局所的な変形や摩耗を抑制して耐久性を向上させることができる。
【0045】
次に、本発明の冷凍サイクルシステムを
図7に基づいて説明する。
図7は、実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。図において、符号100は前記各実施形態の電動弁10A~10Eを用いた膨張弁であり、200は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、300は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、400は四方弁を構成する流路切換弁、500は圧縮機である。電動弁100、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、および圧縮機500は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。
【0046】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁400により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時には、図に実線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室外熱交換器200に流入され、この室外熱交換器200は凝縮器として機能し、室外熱交換器200から流出された液冷媒は膨張弁100を介して室内熱交換器300に流入され、この室内熱交換器300は蒸発器として機能する。
【0047】
一方、暖房運転時には、図に破線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室内熱交換器300、膨張弁100、室外熱交換器200、流路切換弁400、そして、圧縮機500の順に循環され、室内熱交換器300が凝縮器として機能し、室外熱交換器200が蒸発器として機能する。膨張弁100は、冷房運転時に室外熱交換器200から流入する液冷媒、または暖房運転時に室内熱交換器300から流入する液冷媒を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御する。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、家庭用エアコン等の空気調和機に用いられる電動弁10A~10Eを例示したが、本発明の電動弁は、家庭用エアコンに限らず、業務用エアコンであってもよいし、空気調和機に限らず、各種の冷凍機等にも適用可能である。また、前記実施形態では、一次継手管11から冷媒が流入し、二次継手管12から流出する旨を記載しているが、この一方向流れに限定されるものではなく、逆流しとして、二次継手管12から冷媒が流入し、一次継手管11から流出する場合にも適用可能である。
【0049】
また、前記実施形態では、駆動部3がステッピングモータ3Aとねじ送り機構3Bとストッパ機構3Cと、を備えて構成されていたが、このような構成に限らず、駆動部としては、駆動軸を介して弁体を軸線方向に沿って駆動できるものであればよい。また、前記実施形態では、駆動部3のねじ軸32の雄ねじ部32bが支持部材1Bの雌ねじ部17に螺合することでねじ送り機構3Bが構成されていたが、これに限らず、駆動軸の側に雌ねじが形成され、支持部材1Bの側に雄ねじが形成され、これらの雄ねじと雌ねじとが螺合することでねじ送り機構が構成されていてもよい。また、駆動軸は、前記実施形態のねじ軸32のようにステッピングモータ3Aによって回転駆動されることで、ねじ送り機構3Bによって進退駆動されるような構成に限らず、直動モータ等によって回転を伴わずに進退駆動されるものであってもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、弁体2の弁部2Aの先端部が先細形状のニードル部21とされ、このニードル部21が弁ポート14に挿入されて着座する構成であったが、これに限らず、弁部2Aの先端が平板状に形成され、弁ポートを覆うように着座する構成であってもよい。また、前記実施形態では、弁部2Aが弁ホルダ2Bと別体に形成されて固定されるか、あるいは弁部2Aが軸受け28によって弁ホルダ2Bに回転可能に支持される構成であったが、これに限らず、弁部2Aと弁ホルダ2Bとが一体に形成されていてもよい。また、前記第1,4,5実施形態では、弁部2Aの基端部22に圧縮ばね2Dが直接当接する構成であったが、弁部2Aの基端部22と圧縮ばね2Dとの間にスラストワッシャ2Eと同様の摩擦力を軽減させる部材が介装されていてもよい。また、前記実施形態において、ばね受2Cには軸線L方向に延びる孔部25,26が形成されているが、この孔部は、はね受2Cを軸線L方向に貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0051】
また、前記第1~5実施形態について、以下に補足説明する。第1,4,5実施形態のように、ばね受2Cと駆動軸(ねじ軸32)の先端部(拡径部32c)が当接するとともに、互いに相対回転して摺動するような構成においては、少なくとも駆動軸の先端部とばね受(の回転摺動面側)との間に、ばね受の回転摺動面を跨いで傾き規制手段(傾き規制手段4A,4D,4E)が設けられている。また、前記第2,3実施形態のように、ばね受2Cと弁部2Aの基端部22とが当接するとともに、互いに相対回転して摺動するような構成においては、少なくとも弁部の基端部とばね受(の回転摺動面側)との間に、ばね受の回転摺動面を跨いで傾き規制手段(傾き規制手段4B,4C)が設けられている。このように、ばね受の回転摺動面に対し、これに当接する駆動軸の先端部または弁部の基端部から軸部を延長し、この軸部をばね受の孔部に挿入することにより、以下の追加的な効果も奏することができる。すなわち、駆動軸の芯とばね受の芯とは、軸線Lに対して交差方向にずれることがなく、かつ、駆動軸とばね受とが傾くことがないので、ばね受の回転摺動面と駆動軸の先端面とが互いに傾かず、一定の面圧で回転摺動することになり、ばね受部の耐久性を高めることができるとともに電動弁の作動耐久性を向上させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
2 弁体
2A 弁部
2B 弁ホルダ
2C ばね受
2D 圧縮ばね
3 駆動部
4A,4B,4C,4D,4E 傾き規制手段
10A,10B,10C,10D,10E 電動弁
14 弁ポート
16 弁ガイド部(案内部)
22 基端部
32 ねじ軸(駆動軸)
32c 拡径部(先端部)
25,26 孔部
27,36 軸部