(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】医療器具に高周波交流電流を出力するための発生器
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2019553896
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(86)【国際出願番号】 EP2018061551
(87)【国際公開番号】W WO2018202872
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】102017109638.8
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フェーズィング
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0036757(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0296271(US,A1)
【文献】特表2003-526385(JP,A)
【文献】特開2001-276089(JP,A)
【文献】特開平08-275957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00-18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具に高周波交流電流を出力するための発生器(10)であって、
給電ユニット(12)、HF発生器1次側ユニット(14)、アプリケーションユニット(22)および前記発生器(10)の制御ユニット(16)を有しており、これらのうち、前記HF発生器1次側ユニット(14)は、前記給電ユニット(12)と前記アプリケーションユニット(22)とに接続されており、かつ動作中、前記アプリケーションユニット(22)の高周波発生器回路(24)に高周波交流電流を供給するように構成されており、
前記アプリケーションユニット(22)の前記高周波発生器回路(24)は、前記アプリケーションユニット(22)の少なくとも1つのリレー(26)を介して、医療器具を接続するための端子(28)に切り替え可能に電気的に接続されており、
前記制御ユニット(16)は、中間制御回路(30)を介して前記アプリケーションユニット(22)に接続されており、
前記中間制御回路(30)は、
前記制御ユニット(16)から制御信号を受信して、前記少なくとも1つのリレー(26)を
個別に制御するように構成され、
前記中間制御回路(30)は、前記制御ユニット(16)および前記アプリケーションユニット(22)の前記高周波発生器回路(24)の双方からガルバニック分離されている、
ことを特徴とする発生器(10)。
【請求項2】
前記中間制御回路(30)は、前記発生器(10)の動作中、前記制御ユニット(16)からの制御信号を受信し、該制御信号に基づいてリレー制御信号を形成し、前記アプリケーションユニット(22)の前記少なくとも1つのリレー(26)に出力するように構成されている、請求項1記載の発生器(10)。
【請求項3】
前記中間制御回路(30)は、少なくとも1つの光カプラ(36)を介して前記制御ユニット(16)に接続されており、
前記光カプラ(36)は、前記制御ユニット(16)からの制御信号を前記中間制御回路(30)に伝送するように構成されており、
前記中間制御回路(30)は、前記制御ユニット(16)から受信された制御信号を処理し、該受信された制御信号に基づいてリレー制御信号を形成するように構成されたリレー制御ユニット(32)を有している、請求項2記載の発生器(10)。
【請求項4】
前記アプリケーションユニット(22)は、複数のリレー(26)を有しており、
前記制御ユニット(16)と前記中間制御回路(30)との間の前記光カプラ(36)の数は、前記リレー(26)の数より小さい、
請求項3記載の発生器(10)。
【請求項5】
前記制御ユニット(16)と前記中間制御回路(30)との間の絶縁電圧は2kVより大きく、前記中間制御回路(30)と前記アプリケーションユニット(22)との間の絶縁電圧は最大1kVである、請求項1から4までの少なくとも1項記載の発生器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生物組織の切除および/または凝固のための医療器具に高周波交流電流を出力するための発生器に関する。当該発生器は、自身に器具を電気的に接続して動作時に高周波交流電流を供給するため、相応の器具に接続可能な端子を有する。発生器および器具は、組み合わされて、外科用高周波機器もしくは外科用HF機器を形成している。
【0002】
外科用高周波機器または外科用HF機器は、従来技術から長い間公知である。外科用HF機器によって形成されて適用時に出力されるHFエネルギは、例えば人体の切除または凝固に用いられる。当該用途では、HFエネルギを組織に導入するための外科用電気器具が発生器に接続される。モノポーラ適用の場合、さらに、外科用HF機器へのエネルギのガイドバックに用いられるニュートラル電極またはガイドバック電極も接続される。バイポーラ適用の場合、ガイドバック電極は器具に配置されている。
【0003】
最新の安全性要求に対応した、外科用HF機器のための現行の発生器は、アプリケーションユニットとこれからガルバニック分離された中間電流回路とを有する。外科用電気器具は、発生器のアプリケーションユニットに接続される。したがって、アプリケーションユニットは、電気外科的に適用される際には、患者の組織に直に接触する。アプリケーションユニットおよび中間電流回路は患者およびユーザの安全のために相互にガルバニック分離されている。こうした外科用HF機器の一例は、独国特許出願公開第102010025298号明細書に記載されている。
【0004】
本発明の課題は、高い動作安全性を提供する、改善された外科用HF機器を提供することである。
【0005】
本発明にしたがって、当該課題は、給電ユニット、高周波発生器1次側ユニット(HF発生器1次側ユニット)、アプリケーションユニットおよび制御ユニットを有する、医療器具に高周波交流電流を出力するための発生器により解決される。ここで、HF発生器1次側ユニットは、給電ユニットとアプリケーションユニットとに接続されており、かつ動作中、アプリケーションユニットに高周波交流電流を供給するように構成されている。アプリケーションユニットは、少なくとも1つのリレーを介して、医療器具を接続するための端子に切り替え可能に電気的に接続されている。制御ユニットは、アプリケーションユニットからガルバニック分離されており、かつ少なくとも1つのリレーおよび場合によりアプリケーションユニットを制御するように構成されている。制御ユニットは、中間制御回路を介してアプリケーションユニットに接続されており、中間制御回路は、制御ユニットおよびアプリケーションユニットの双方からガルバニック分離されている。
【0006】
本発明による中間制御回路は、当該中間制御回路によって駆動されるリレーのリレーコイルとセンスバックコンタクトとをきわめて小さい絶縁間隔で構成できるという利点を提供する。これにより、例えばより小さな構造のリレーが得られる。こうして、省スペースおよび重量の軽減が達成される。より小さな絶縁間隔が可能となる理由は、中間制御回路が発生器の制御ユニットからガルバニック分離される場合、アプリケーションユニットと中間制御回路との間の最大電位差(ひいてはリレーが形成しなければならない絶縁電圧)がより小さくなりうるよう中間制御回路を形成できることにあり、これにより、発生器の中間回路と中間制御回路との間で既により大きな最大電位差を支配的とすることができる。当該インタフェースでは、こうしたより大きな最大電位差により、相応に高い絶縁電圧を達成するためのコストがさらに低減される。
【0007】
HF1次側ユニットおよび制御ユニットは、1つの回路板上に実現可能であり、1次供給制御ユニットを形成する。この場合、中間制御回路は、自身からガルバニック分離された2次制御ユニットを形成し、この2次制御ユニットは、アプリケーションユニットの出力を切り替えるリレーの駆動および読み出しを行う。
【0008】
好適には、中間制御回路の電圧供給は、中間制御回路と制御ユニットとの間に配置された変換器、例えば直流電流変換器、例えばDC/DCコンバータにより行われる。
【0009】
制御ユニットから中間制御回路への信号伝達のために、好適には、このような変換器、例えば光カプラが設けられる。
【0010】
中間制御回路は、好適には、リレーを駆動しそのセンスバックコンタクトを読み出すために一方側で少なくとも1つのリレーに接続されたリレー制御ユニット、例えばコントローラを有する。他方側では、リレー制御ユニットは、変換器、例えば光カプラを介して、制御ユニットに接続されており、こうした手段により制御ユニットと制御信号を交換することができる。
【0011】
リレー制御ユニットはコントローラとして構成可能であるので、中間制御回路と制御ユニットとの間には、リレー駆動のためのものよりも少数の信号変換器、例えばより少数の光カプラを設けることができる。なぜなら、当該信号変換器を介して、リレー制御ユニットによって復号化され、複数のリレーに対するリレー制御信号に変換可能な、より複雑な符号化信号も伝送可能となるからである。
【0012】
またこのことは、制御ユニットと中間制御回路との間に、高電圧耐性を有する少数の要素のみ、例えば光カプラまたはDC/DCコンバータのみを設ければよいことに寄与している。このため、制御ユニットと中間制御回路との間の2kV超、例えば4kV超の絶縁電圧の実現を容易にすることができる。他方では、これにより、中間制御回路とアプリケーションユニットとの間の絶縁電圧を最大1kVに制限することができ、よって、リレーをこのような絶縁電圧に対して構成する必要もなくなる。
【0013】
発生器のアプリケーションユニットは、好適には、HF発生器1次側ユニットと共に高電圧トランスを形成する高周波発生器回路を有し、これにより、アプリケーションユニットは、HF発生器1次側ユニットから同様にガルバニック分離される。このことにより同様に、HF発生器1次側ユニットと制御ユニットとが共通の電位レベルで駆動可能となり、制御ユニットとHF発生器1次側ユニットとを相互にガルバニック分離する必要がなくなる。
【0014】
本発明を、以下に、図に関連した実施例に即して詳細に説明する。図には次のことが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による発生器の概略的なブロック回路図である。
【
図2】本発明による発生器の第2の概略的な図である。
【0016】
図1に示されている発生器10は、給電ユニット12を有し、この給電ユニット12は、HF発生器1次側ユニット14と発生器10の制御ユニット16とに接続されており、発生器のこれらの要素にエネルギを供給する。例えば、HF発生器1次側ユニット14および制御ユニット16は、トランス18を介して給電ユニット12に接続可能である。なお、給電ユニット12は、バッテリ電源であってもよいし、または一種の電流供給ユニットであってもよい。
【0017】
HF発生器1次側ユニット14の一部は高周波トランス20の1次コイルであり、この高周波トランス20の2次側はアプリケーションユニット22の部分である。アプリケーションユニット22は、例えば発生器10の動作中、発生器10に接続された医療器具に出力可能な高周波高電圧を形成するように構成された高周波発生器回路24を有する。このために、高周波発生器回路24は、リレー26を介して、1つもしくは複数の医療器具を接続するための端子28に接続されている。リレー26を介して、高周波発生器回路24と端子28との間の接続を切り替えることができる。
【0018】
リレー26の駆動ならびにそのセンスコンタクトの読み出しは、リレー制御ユニット32を含む中間制御回路30により行われる。中間制御回路30は、一方側では、特に一方のDC/DCコンバータ34と他方の光カプラ36とを介して、制御ユニット16に接続されている。これにより、中間制御回路30は制御ユニット16からガルバニック分離されている。DC/DCコンバータ34は、中間制御回路30にエネルギを供給するために用いられる。光カプラ36は、制御ユニット16と中間制御回路30のリレー制御ユニット32との間で制御信号を伝送するために用いられる。
【0019】
リレー制御ユニット32は、制御ユニット16側で、光カプラ36を介して受信された制御信号を、リレー26を個別に駆動可能とするためのリレー制御信号へ変換するように構成されている。さらに、リレー制御ユニット32は、リレー26のセンスバックコンタクトを読み出して相応のコントロール信号を形成可能であり、当該コントロール信号は、リレー制御ユニット32から光カプラ36を介して制御ユニット16へ伝達可能である。中間制御回路30から制御ユニット16までの対応する距離だけでなく、光カプラ36およびDC/DCコンバータ34も、制御ユニット16と中間制御回路30との間の絶縁電圧が例えば4kVとなるように選定されている。他方、中間制御回路30とアプリケーションユニット22との間の絶縁電圧は例えば1kVのみであり、これにより、リレー26は1kVの絶縁電圧に対して設計されれば充分であり、発生器10の例えば5kVの最大出力電圧に対する手段でなくてよい。
【符号の説明】
【0020】
10 発生器
12 給電ユニット
14 高周波発生器1次側ユニット(HF発生器1次側ユニット)
16 制御ユニット
18 トランス
20 高周波トランス
22 アプリケーションユニット
24 高周波発生器回路
26 リレー
28 端子
30 中間制御回路
32 リレー制御ユニット
34 DC/DCコンバータ
36 光カプラ