(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】戸体及び建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/82 20060101AFI20230403BHJP
E06B 3/76 20060101ALI20230403BHJP
E06B 3/88 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
E06B3/82
E06B3/76
E06B3/88
(21)【出願番号】P 2020006939
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-180444(JP,A)
【文献】特開昭60-43594(JP,A)
【文献】実公昭47-43160(JP,Y1)
【文献】実開昭57-68899(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/68-3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組みされた上骨、下骨及び一対の縦骨と、
芯材と、
前記芯材の屋外側及び屋内側にそれぞれ設けられた面材と、を備えた戸体であって、
前記面材のうち、少なくとも一方の面材は、化粧部材が配置された凹部を有し、
前記凹部は、前記一方の面材の表面より見込み方向に凹むように形成されており、
前記下骨は、
樹脂部材の第1骨部及び
金属部材の第2骨部を備え、
前記第1骨部は、前記凹部に対応する部分に、前記凹部との干渉を避けるための非干渉部を有し、
前記第2骨部は、前記凹部の下方に張り出し、前記化粧部材を下方から支持する支持部を有
し、
前記化粧部材は、前記一方の面材に固定されており、
前記一方の面材と前記第2骨部は固定されており、
前記第2骨部と他方の面材とは離間していることを特徴とする戸体。
【請求項2】
請求項1に記載の戸体であって、
前記一方の面材、前記第1骨部、及び前記第2骨部が、互いに固定されていることを特徴とする戸体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の戸体であって、
前記戸体の下端部に補助部材を備え、
前記補助部材は、前記第2骨部に固定された固定部と、前記化粧部材の下端部の見付け面を覆う被覆部を有することを特徴とする戸体。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の戸体であって、
前記上骨は、上側第1骨部及び上側第2骨部を備え、
前記上側第1骨部は、前記凹部に対応する部分に、前記凹部との干渉を避けるための上側非干渉部を有し、
前記上側第2骨部は、前記凹部の上方に張り出した上側支持部を有し、
前記戸体の上端部に上側補助部材を備え、
前記上側補助部材は、前記上側第2骨部に固定された上側固定部と、前記化粧部材の上端部の見付け面を覆う上側被覆部を有することを特徴とする戸体。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の戸体と、
前記戸体を開閉可能に支持する建具枠とを備えることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸体及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玄関ドア等の建物の出入り口に設けられるドアとして、枠状に形成された骨材の内側に断熱材等の芯材を配置し、その外表面を表面材で被覆したフラッシュドアが知られている。特許文献1のように、フラッシュドアの一方側の面に凹部を設けて、凹部に遮音性や装飾性に優れたパネル等を嵌め込んだドアが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のフラッシュドアにおいては、凹部が骨材と干渉してしまうため、凹部を、両側に設けられた外郭縦骨より左右方向における内側、又は上下に設けられた外郭横骨より上下方向における内側に設けなければならないという制限を有していた。仮に、デザイン性を向上させるために、パネルを、外郭縦骨と上下方向において重なる位置、又は外郭横骨と左右方向において重なる位置に設ける場合には、表面材の表面に別部材を貼り付けて扉の厚みを厚くした上で凹部を形成する場合もあった。また、凹部にガラス等の重量物である化粧部材を配置すると、化粧部材の支持が不安定になってしまう恐れがあった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂切欠き部によって戸体の厚みを過度に厚くすることなく化粧部材を配置しつつ、化粧部材を安定した状態で支持する戸体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の戸体は、枠組みされた上骨、下骨及び一対の縦骨と、芯材と、前記芯材の屋外側及び屋内側にそれぞれ設けられた面材と、を備えた戸体であって、前記面材のうち、少なくとも一方の面材は、化粧部材が配置された凹部を有し、前記凹部は、前記面材の表面より見込み方向に凹むように形成されており、前記下骨は、第1骨部及び第2骨部を備え、前記第1骨部は、前記凹部に対応する部分に、前記凹部との干渉を避けるための非干渉部を有し、前記第2骨部は、前記凹部の下方に張り出し、前記化粧部材を下方から支持する支持部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1骨部の非干渉部によって戸体の厚みを過度に厚くすることなく化粧部材を配置しつつ、第2骨部の支持部が下方から支持することで、化粧部材を安定した状態で支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る扉10を屋外側から見た正面図である。
【
図3】扉10における
図2に示すX部分の下端部の構成を説明する斜視図である。
【
図4】扉10における
図2に示すX部分の下端部の構成を説明する分解斜視図である。
【
図6】
図3に示す斜視図における下骨22を説明する斜視図である。
【
図7】扉10における
図2に示すX部分の上端部の構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<本実施形態>>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る扉10を屋外側から見た正面図であり、
図2は、
図1中のA-A矢視断面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の建具である玄関ドア1(以下、「ドア1」ともいう。)は、所謂片開きドアであり、建物の外壁開口部に固定される建具枠であるドア枠2と、このドア枠2に開閉可能に支持された戸体である扉10とを備えている。ドア1の左右方向、上下方向、及び屋内外方向は、互いに直交している。屋内外方向は、見込み方向ともいう。
図3及び
図4は、扉10の下端部のうち、
図2に示すX部分を説明する斜視図である。
図5は、
図1中のB-B矢視断面図である。
【0010】
扉10は、縦長の矩形状であり、骨材20、芯材30、面材40、化粧部材60、及び補助部材81、82を備えたドアであり、芯材30の屋内側及び屋外側にそれぞれ面材40を配置した所謂フラッシュドアである。
図4において、芯材30、面材40及び化粧部材60はそれぞれ下端部のみを切り出して示している。実際は、
図5に示すように、上下に亘って設けられている。
【0011】
骨材20は、上骨21、下骨22、及び一対の縦骨23を備え、扉10の周囲に沿って四周枠組みされている。上骨21は、上側第1骨部21Xと上側第2骨部21Yを備え、下骨22は、下側第1骨部22Xと下側第2骨部22Yを備える。本実施形態では、上側第1骨部21Xと下側第1骨部22Xは、それぞれ硬質PVC(Poly Viniyl Chloride)等の硬質樹脂で成形された樹脂骨部21X、樹脂骨部22Xであり、上側第2骨部21Yと下側第2骨部22Yは、それぞれスチール等の金属製の型材である金属骨部21Y、金属骨部22Yである。上骨21及び下骨22は、上側第1骨部21X及び下側第1骨部22Xとして樹脂骨部21X、22Xを備えることで断熱性を向上させつつ、上側第2骨部21Y及び下側第2骨部22Yとして金属骨部21Y、22Yを備えることで、強度を向上させている。上骨21及び下骨22の詳細は、後述する。縦骨23は、金属製の型材としているが、樹脂骨部を加えて、断熱性を向上させてもよい。
【0012】
芯材30は、予め所定形状に成型されたEPS(発泡ビーズポリスチレン)製の断熱材を例示できる。なお、芯材30には、フェノール樹脂系、ハニカム材(水酸化アルミハニカム、セラミックハニカム、ペーパーハニカム)、フォーム材(イソシアヌレートフォーム、ウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム)等の断熱材を用いてもよい。芯材30には、予め所定の形状に成形された固形状の芯材30に限らず、例えば、成形された複数の断熱材を組み合わせた芯材30を用いてもよく、組み合わされた骨材20と面材40とで囲まれた領域に、液体状の発泡ウレタン樹脂を注入した芯材30を用いてもよい。
【0013】
面材40は、芯材30の屋外側に設けられた屋外側面材41と、芯材30の屋内側に設けられた屋内側面材42を備え、それぞれ鋼板等の金属によって成形された薄板状部材である。
【0014】
図4等に示すように、屋外側面材41は、化粧部材60を配置するために、凹部45を備えている。化粧部材60は、両面テープ等のテープ材61によって、屋外側から屋外側面材41の凹部45に嵌めるように屋外側面材41に固定されている。化粧部材60の屋外側面材41への取付けは、テープ材61だけでなく、接着剤、リベットやネジ等の所定の固定具を用いることができる。化粧部材60は、その全域がガラスで形成された部材であり、扉10の屋外側を装飾し、扉10の屋外側の見栄えを高めるものである。化粧部材60としては、ガラス製の部材だけでなく、アルミニウム等の金属材料の押出形材で形成された部材や、木製の部材等の任意の素材で形成されたものを用いることができる。
【0015】
凹部45は、屋外側面材41の表面より見込み方向に向かって凹むように形成された窪んだ部分である。凹部45は、屋外側面材41に曲げ加工を施すことで形成されている。凹部45は、屋外側から屋内側に向かって凹み、屋外側面部41aの上端部から下端部まで連続した凹部とすることで、屋外側面材41の上端部から下端部までの長さを備えた化粧部材60の設置を可能としている。
図3~
図5に示すように、屋外側面材41は、曲げ加工によって形成された、芯材30の屋外側の面に沿った屋外側面部41aと凹部面部41ea、扉10の上面に沿った屋外側上面部41b、凹部上面部41eb、屋外側側面部41c、屋外側下面部41dを有する。凹部面部41eaは、化粧部材60がテープ材61で固定される面である。屋内側面材42は、曲げ加工によって形成された、芯材30の屋内側の面に沿った屋内側面部42a、扉10の上面に沿った屋内側上面部42b、屋内側下面部42dを有している。
【0016】
通常、屋外側面材41の上端部及び下端部に、折り曲げ加工で凹部45を形成すると、凹部45の窪んだ部分と上骨21及び下骨22とが干渉してしまうため、扉10の上端部から下端部までに亘る化粧部材を設置することが難しく、従来は、骨材20と干渉しない領域に凹部45を形成したり、平坦な屋外側面材の表面に、アルミ材から成る金属部材等の別部材を貼り合わせて、別部材によって凹部を形成したりしていた。
【0017】
これに対し、扉10では、凹部45に対応する上骨21及び下骨22の樹脂骨部21X、22Xに、凹部45との干渉を避けるための非干渉部(21n、22n)として樹脂切欠き部21n、22nを設けて、凹部45が骨材20と干渉することを防いでいる。非干渉部(21n、22n)とは、凹部45と対応する部分に設けられた、凹部45との干渉を避けるための部分である。以下、
図2に示すX部分における扉10の下端部の構成について説明する。
【0018】
樹脂骨部22Xは、下面22Xaと側面22Xbを備える。下面22Xaと側面22Xbは、凹部45と対応する部分に、凹部45との干渉を避けるための樹脂切欠き部22nを備えている。樹脂切欠き部22nは、樹脂骨部22Xの一部を切り落とした部分である。「凹部45と対応する部分」とは、樹脂骨部22Xに樹脂切欠き部22nを設けない場合に、樹脂骨部22Xと凹部45とが接触してしまう等の干渉が生じ得る部分をいう。樹脂切欠き部22nによって、屋外側面材41と樹脂骨部22Xとの干渉によって、屋外側面材41の設置ができなくなったり、凹部45が変形したりすることを防ぐことができる。そのため、扉10の下端部において凹部45の形状を維持することができるため、従来のように、別部材を加工する必要がなく、別部材を加工する工程を削減し、別部材の形成に要するコストも削減することができる。さらに、別部材を屋外側面部41aの屋外側の面に貼り合わせないため、扉10の厚み(屋内外方向の長さ)を過度に厚くすることなく、扉10のデザイン性を向上できる。
【0019】
同様に、芯材30が、凹部45と対応する部分に、芯材非干渉部(30n)を備えることが好ましい。芯材非干渉部(30n)とは、凹部45と対応する部分に設けられた、凹部45との干渉を避けるための部分である。本実施形態の芯材非干渉部(30n)は、芯材30の一部を切り落とした芯材切欠き部30nである。芯材切欠き部30nを設けることで、凹部45が芯材と干渉してしまうことを防ぎ、凹部45による扉10のデザイン性を向上させることができる。
【0020】
樹脂切欠き部21nを設けることによって、比較的大きな化粧部材60の設置が可能となる一方で、化粧部材60がガラスのように重量物である場合には、化粧部材60をテープ材61等で屋外側面材41に固定するだけではその固定が不安定であったり、化粧部材60が扉10から脱落してしまったりするなど、化粧部材60を安定な状態で支持することができない虞がある。
【0021】
そこで、
図4及び
図5に示すように、金属骨部22Yは、凹部45の下方に張り出して、化粧部材60を下方から支持する下側支持部22sを備えている。具体的には、下側支持部22s上に、左右方向に沿って複数のセッティングブロック65が配置され、セッティングブロック65の上方に化粧部材60を載置している。セッティングブロック65は、化粧部材60の下面を支持するための直方体状の部材であり、弾性を備えた部材であることが好ましい。
【0022】
金属骨部22Yは、上面22Ya、側面22Yb、側面22Yc、下面22Ydを備える。上面22Yaは見込み面に沿った部分、側面22Ybは、凹部面部41eaに沿った部分、側面22Ycは屋内側面部42aに沿った部分、下面22Ydは屋外側下面部41dに沿った部分である。金属骨部22Yは、屋外側から屋内側に向かって、下面22Yd、側面22Yb、上面22Ya、側面22Ycの順に連続している。また、下面22Ydは上面22Yaより下側に設けられており、下面22Ydは、芯材切欠き部30nの見付け面に沿った屋外側の面より屋外側に設けられている。
図6は、
図3に示す斜視図における下骨22を説明する斜視図であり、
図3に示す斜視図から、芯材30、面材40、化粧部材60等を除いた状態を示している。
図6に示すように、下骨22は、樹脂切欠き部22nを設けたことで、樹脂切欠き部22nの部分から金属骨部22Yの下面22Ydの一部が凹部45の下方に張り出す。この張り出した部分が下側支持部22sである。
【0023】
金属骨部22Yは、樹脂骨部22Xよりも強度が強い。そのため、金属骨部22Yが化粧部材60を下方から支持することで、化粧部材60をより安定した状態で支持することができる。特に、凹部45に設置する化粧部材60が重量物である場合には、樹脂骨部22Xだけでなく、金属骨部22Yを備えた下骨22とすることで、下骨22の強度を向上させることができ、化粧部材60を安定した状態で支持する。また、下骨22が化粧部材60の荷重によって破損してしまう恐れを軽減させることができる。このように、扉10は、屋外側面材41に凹部45を備え、凹部45に対応する部分に樹脂切欠き部22nを備えることで、扉10を過度に厚くすることなく、扉10の上端部から下端部に亘る大きさの化粧部材60の設置を可能としつつ、下骨22について、金属骨部22Yが下側支持部22sを備えることで、化粧部材60が重量物であっても、安定した状態で支持することが可能となる。
【0024】
また、屋外側面材41と樹脂骨部22Xと金属骨部22Yとが互いに固定されていることが好ましい。具体的には、
図4に示すように、下方から屋外側下面部41d、樹脂骨部22Xの下面22Xa、金属骨部22Yの下面22Ydの順に重ねあわされ、リベット等の固定部材92を屋外側面材41の下方から上方に向かって挿入することで固定されている。これによって、化粧部材60から下側支持部22s(金属骨部22Y)が受けた荷重を屋外側面材41と樹脂骨部22Xに分散して伝達することができる。化粧部材60が重量物である場合には、化粧部材60の荷重によって扉10全体として屋外側が重くなってしまうが、化粧部材60の荷重を分散させることで、扉10をより安定させることができる。
【0025】
また、金属骨部22Yに、化粧部材60が固定された屋外側面材41を固定している一方で、金属骨部22Yが屋内側面材42とは離間していることが好ましい。
図4及び
図5に示すように、屋外側面材41の凹部面部41eaを金属骨部22Yの側面22Ybに固定部材93で固定して、化粧部材60が固定された屋外側面材41の荷重を金属骨部22Yに分散している。一方、屋内側面材42は、金属骨部22Yを樹脂骨部22Xの内側に設けて、金属骨部22Yと屋内側面材42とを離間させている。具体的には、金属骨部22Yの側面22Ycと樹脂骨部22Xの側面22Xbとを固定部材94で固定し、屋内側面部42aと金属骨部22Yの側面22Ycとの間に樹脂骨部22Xの側面22Xbを配置することで、屋内側面材42と金属骨部22Yとを離間させている。また、屋内側面材42の屋内側下面部42dと樹脂骨部22Xの下面22Xaとが固定部材96で固定されており、金属骨部22Yと離間して配置されている。金属骨部22Yは、スチール等の金属で形成されており、樹脂骨部22Xより熱伝導率が高い。そのため、他方側の面材と金属骨部22Yとを離間させることで、一方側の面材(例えば、屋外側面材41)から他方側の面材(例えば、屋内側面材42)への熱の伝わりを防ぎ、扉10の断熱性を向上させることができる。
【0026】
さらに、扉10の下端部に補助部材82を備えることが好ましい。補助部材82は、化粧部材60の見付け面の下端部を覆う被覆部82aと、金属骨部22Yに固定された固定部82bを有するアルミニウムやスチール等の略L字状の金属部材である。
【0027】
被覆部82aは、化粧部材60の見付け面に沿っており、化粧部材60の下端部を覆うことで、屋外側から化粧部材60を支えて、化粧部材60が屋外側に外れないようにしている。なお、被覆部82aと化粧部材60との間に緩衝部材85を設けることがより好ましい。緩衝部材85は、弾性を有する直方体状の部材である。緩衝部材85を設けることで、化粧部材60を凹部面部41ea側に押し付けて、化粧部材60が見込み方向に動くことを防いだり、テープ材61と化粧部材60との固定をより強固にしたりする。
【0028】
固定部82bは、金属骨部22Yの下側支持部22sに沿っており、下側から固定部82b、下側支持部22sの順に重ねられ、ねじ等の固定部材91を固定部82bの下方から上方に向かって螺合することで固定されている。固定部82bが金属骨部22Yに固定されていることで、補助部材82をより強固に扉10に固定することができ、化粧部材60を安定した状態で支持できる。また、固定部82bを下側支持部22sに固定することで、化粧部材60の自重で補助部材82が屋外側に傾くことを防ぐことができる。
【0029】
上記において、扉10の下端部について説明したが、扉10の上端部においても同様の構成を有していてもよい。
図7は、扉10における
図2に示すX部分の上端部の構成を説明する斜視図である。扉10の上端部の構成は、扉10の下端部の構成を上下反転させたものと同様である。
【0030】
図5及び
図7に示すように、上骨21は、樹脂骨部21Xと金属骨部21Yを備える。樹脂骨部21Xは、上面21Xaと側面21Xbを有する。上面21Xaと側面21Xbは、凹部45と対応する部分に、凹部45との干渉を避けるための樹脂切欠き部21nを備える。樹脂切欠き部21nは、樹脂骨部21Xの一部を切り落とした部分である。樹脂切欠き部21nによって、樹脂骨部21Xと凹部45との干渉を防ぐことができる。
【0031】
上骨21においても、下骨22と同様に、扉10は、金属骨部21Yが、凹部45の上方に張り出した上側支持部21sを備えている。具体的には、上側支持部21sの下方に、左右方向に沿って配置された複数のセッティングブロック65を配置し、上側支持部21sに配置されたセッティングブロック65と、下側支持部22sとの間に化粧部材60を配置した状態で、化粧部材60を支持している。なお、扉10は、上端部及び下端部にそれぞれセッティングブロック65を備えたが、扉10の上端部にセッティングブロック65を設けない構成であってもよい。
【0032】
上骨21の金属骨部21Yは、下面21Ya、側面21Yb、側面21Yc、上面21Ydを備える。下面21Yaは見込み面に沿った部分、側面21Ybは凹部面部41eaに沿った部分、側面21Ycは屋内側面部42aに沿った部分、上面21Ydは屋外側上面部41bに沿った部分である。金属骨部21Yは、屋外側から屋内側に向かって、上面21Yd、側面21Yb、下面21Ya、側面21Ycの順に連続している。また、上面21Ydは下面21Yaより上側に設けられており、上面21Ydは、芯材切欠き部30nの見付け面に沿った屋外側の面より屋外側に設けられている。上骨21の樹脂切欠き部21nの部分から金属骨部21Yの上面21Ydの一部が凹部45の上方に張り出す。この張り出した部分が上側支持部21sである。
【0033】
また、扉10の上端部に補助部材81を備えることが好ましい。補助部材81は、化粧部材60の見付け面の上端部を覆う被覆部81aと、金属骨部21Yに固定された固定部81bを有するアルミニウムやスチール等の略L字状の金属部材である。
【0034】
被覆部81aは、化粧部材60の見付け面に沿っており、化粧部材60の上端部を覆うことで、化粧部材60を支えて、化粧部材60が屋外側に外れないようにすることができる。なお、扉10の下端部と同様に、被覆部81aと化粧部材60との間に緩衝部材85を設けることがより好ましい。
【0035】
固定部81bは、金属骨部21Yの上側支持部21sに沿っており、上側から固定部81b、上側支持部21sの順に重ねられ、ねじ等の固定部材91を固定部81bの上方から下方に向かって螺合することで固定されている。つまり、上側支持部21sは、補助部材81を支持する。金属骨部21Yは、樹脂骨部21Xよりも強度が強いため、固定部81bを金属骨部21Yに固定することで、補助部材81をより強固に扉10に固定することができる。
【0036】
さらに、扉10の上端部においても、金属骨部21Yに、化粧部材60が固定された屋外側面材41を固定している一方で、金属骨部21Yが他方の面材とは離間していることが好ましい。
図5に示すように、屋外側面材41側は、凹部面部41eaを金属骨部21Yの側面21Ybに固定部材93で固定している。一方で、屋内側面材42側は、金属骨部21Yを樹脂骨部21Xの内側に設けて、金属骨部21Yと屋内側面材42とを離間させている。具体的には、金属骨部21Yの側面21Ycと樹脂骨部21Xの側面21Xbと固定部材94で固定し、屋内側面部42aと金属骨部21Yの側面21Ycとの間に樹脂骨部21Xの側面21Xbを配置することで、屋内側面材42と金属骨部21Yとを離間させている。また、屋内側面材42の屋内側上面部42bと樹脂骨部21Xの上面21Xaとが固定部材96で固定されており、金属骨部21Yと離間して配置されている。これによって、一方側の面材(例えば、屋外側面材41)から他方側の面材(例えば、屋内側面材42)への熱の伝わりを防ぎ、扉10の断熱性を向上させることができる。
【0037】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0038】
上述の実施形態では、屋外側面材41に凹部45を設け、化粧部材60を配置したが、屋内側面材42に凹部を設けて化粧部材を配置してもよく、屋外側面材41と屋内側面材42の両方に凹部を設けて化粧部材を配置してもよい。
【0039】
上述の実施形態の非干渉部(21n、22n)を、上骨21及び下骨22のそれぞれ一部を切り落とした樹脂切欠き部21n、22nとしたが、これに限られない。例えば、凹部45と干渉する部分に上骨21又は下骨22を設けないようにするために、上骨21又は下骨22を分断して配置する構成であってもよい。同様に、芯材非干渉部(30n)は、芯材30の一部を切り落として形成したものに限られない。例えば、予め成形された複数の断熱材を組み合わせることで形成された芯材非干渉部(30n)や、組み合わされた骨材20と面材40とで囲まれた領域に注入された液体状の発泡ウレタン樹脂によって形成された芯材非干渉部(30n)であってもよい。
【0040】
また、上述の実施形態では、扉10の上端部と下端部にそれぞれ上側支持部21sと下側支持部22sを設ける構成としたが、扉10の上端部に上側支持部21sを設けず、扉10の下端部に下側支持部22sを設ける構成であってもよい。化粧部材60が重量物であっても、扉10の下端部に設けられた下側支持部22sが化粧部材60を支持することができるため、化粧部材60を安定した状態で支持することができる。
【0041】
さらに、上述の実施形態では、上側第1骨部21Xと下側第1骨部22Xをそれぞれ樹脂骨部21X、22Xとし、上側第2骨部21Yと下側第2骨部22Yをそれぞれ金属骨部21Y、22Yとしたが、これに限られない。上側第1骨部21X、下側第1骨部22X、上側第2骨部21Y、下側第2骨部22Yは、それぞれ任意の材質からなる骨部とすることができる。例えば、上側第1骨部21X、下側第1骨部22X、上側第2骨部21Y、下側第2骨部22Yの全てを樹脂骨部としたり、全てを金属骨部としたり、上側第1骨部21Xと上側第2骨部21Yを樹脂骨部とし、下側第1骨部22Xと下側第2骨部22Yを金属骨部としてもよい。
【0042】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
枠組みされた上骨、下骨及び一対の縦骨と、芯材と、前記芯材の屋外側及び屋内側にそれぞれ設けられた面材と、を備えた戸体であって、前記面材のうち、少なくとも一方の面材は、化粧部材が配置された凹部を有し、前記凹部は、前記面材の表面より見込み方向に凹むように形成されており、前記下骨は、第1骨部及び第2骨部を備え、前記第1骨部は、前記凹部に対応する部分に、前記凹部との干渉を避けるための非干渉部を有し、前記第2骨部は、前記凹部の下方に張り出し、前記化粧部材を下方から支持する支持部を有することを特徴とする戸体である。
【0043】
このような戸体によれば、第1骨部の非干渉部によって戸体の厚みを過度に厚くすることなく化粧部材を配置させつつ、第2骨部の支持部が下方から支持することで、化粧部材を安定した状態で支持することができる。
【0044】
かかる戸体であって、前記一方の面材、前記第1骨部、及び前記第2骨部が、互いに固定されていることを特徴とする。
【0045】
このような戸体によれば、一方の面材と樹脂骨部と金属骨部が互いに固定されていることで、支持部が化粧部材から受けた荷重を一方の面材と樹脂骨部に分散して伝達することができる。
【0046】
かかる戸体であって、前記第1骨部は樹脂部材であり、前記第2骨部は金属部材であることを特徴とする。
【0047】
このような戸体によれば、断熱性が高い樹脂部材からなる第1骨部を用いて戸体の断熱性を向上させつつ、より強度が高い金属骨部からなる第2骨部の支持部が化粧部材を下方から支持することで、より安定した状態で化粧部材を支持することができる。
【0048】
かかる戸体であって、前記化粧部材は、前記一方の面材に固定されており、前記一方の面材と前記第2骨部は固定されており、前記第2骨部と他方の面材とは離間していることを特徴とする。
【0049】
このような戸体によれば、一方の面材と第2骨部とを固定することで、一方の面材に固定された化粧部材の支持状態をより安定させつつ、他方の面材が金属部材からなる第2骨部と離間することで、一方の面材側から第2骨部を伝って他方の面材側に熱が伝わってしまう恐れを軽減させることができる。
【0050】
かかる戸体であって、前記戸体の下端部に補助部材を備え、前記補助部材は、前記第2骨部に固定された固定部と、前記化粧部材の下端部の見付け面を覆う被覆部を有することを特徴とする。
【0051】
このような戸体によれば、補助部材が、第2骨部に固定しつつ、化粧部材の下端部を覆うことで、化粧部材が戸体から外れてしまう恐れを軽減できる。
【0052】
かかる戸体であって、前記上骨は、上側第1骨部及び上側第2骨部を備え、前記上側第1骨部は、前記凹部に対応する部分に、前記凹部との干渉を避けるための上側非干渉部を有し、前記上側第2骨部は、前記凹部の上方に張り出した上側支持部を有し、前記戸体の上端部に上側補助部材を備え、前記上側補助部材は、前記上側第2骨部に固定された上側固定部と、前記化粧部材の上端部の見付け面を覆う上側被覆部を有することを特徴とする。
【0053】
このような戸体によれば、上側補助部材が、上側第2骨部に固定しつつ、化粧部材の上端部を覆うことで、化粧部材が戸体から外れてしまう恐れを軽減できる。
【0054】
かかる戸体と、前記戸体を開閉可能に支持する建具枠とを備えることを特徴とする建具である。
【0055】
このような建具によれば、第1骨部の非干渉部によって戸体の厚みを過度に厚くすることなく化粧部材を配置させつつ、第2骨部の支持部が上下方向において化粧部材を支持することで、安定した状態で化粧部材を支持することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ドア(玄関ドア、建具)、2 ドア枠、10 扉(戸体)、20 骨材、21 上骨、21n 樹脂切欠き部(上側非干渉部)、21s 上側支持部、21X 樹脂骨部(上側第1骨部)、21Y 金属骨部(上側第2骨部)、22 下骨、22n 樹脂切欠き部(非干渉部)、22s 下側支持部(支持部)、22X 樹脂骨部(下側第1骨部、第1骨部)、22Y 金属骨部(下側第2骨部、第2骨部)、23 縦骨、30 芯材、30n 芯材切欠き部、40 面材、41 屋外側面材(面材、一方の面材)、42 屋内側面材(面材、他方の面材)、45 凹部、60 化粧部材、65 セッティングブロック、81 補助部材、82 補助部材