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特許7254785超音波を付加信号と融合するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】超音波を付加信号と融合するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20230403BHJP
   A61B 5/28 20210101ALI20230403BHJP
   A61B 7/04 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61B8/00
A61B5/28
A61B7/04 Y
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020519413
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018054019
(87)【国際公開番号】W WO2019070754
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】62/568,709
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/969,632
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518322506
【氏名又は名称】エコーノース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】EchoNous, Inc.
【住所又は居所原語表記】8310 154th Avenue Northeast, Building B, Redmond, Washington 98052 US
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】パグーラートス、ニコラオス
(72)【発明者】
【氏名】ペイルーア、ラーマチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ニーミネン、グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ドハティ、テリー
(72)【発明者】
【氏名】ブロード、ロン
(72)【発明者】
【氏名】ブルンケ、シェルビー
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/120154(WO,A2)
【文献】国際公開第2005/037096(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0231508(US,A1)
【文献】特開平04-030841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0287207(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 5/02 - 5/03
A61B 7/00 - 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚の上に配置されるように構成された感知面(160)を有するハンドヘルド装置(140)を備えており、前記ハンドヘルド装置は、
前記感知面(160)に配置されて前記感知面の中央部分を形成する超音波トランスデューサのアレイを有する超音波センサ(118)と、
心電図(EKG)センサ(116)と、
前記中央部分から外側に延びる前記感知面の一部に配置された聴診センサ(114)と、
接続されたプロセッサ(130)及び前記プロセッサ(130)に接続されたメモリ(132)と、ここで前記プロセッサ(130)は、同期モジュール(400)を前記ハンドヘルド装置内に実装するように構成されており、さらにここで、前記超音波センサ、前記EKGセンサ、及び前記聴診センサは、患者のそれぞれの信号を同時に取得するように構成されており、前記同期モジュールは、超音波センサ、前記EKGセンサ、及び前記聴診センサの二つ又はそれ以上により取得された前記信号を同期するように構成されており、
メモリ(122)及びプロセッサ(120)を含むコンピューティング装置(112)とを備え、
前記コンピューティング装置(112)の前記プロセッサ(120)が、前記ハンドヘルド装置(140)の前記超音波センサ(118)、前記EKGセンサ(116)、及び前記聴診センサ(114)からの信号を受信して処理するように構成されている、システム(100)
【請求項2】
前記コンピューティング装置(112)に結合され、前記超音波センサ、前記EKGセンサ、及び前記聴診センサからの前記信号に関連する情報を表示するように構成されたディスプレイ(124)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記同期モジュールが、前記超音波センサ、前記EKGセンサ、及び前記聴診センサのうちの2つ以上によって取得された前記信号にタイムスタンプ情報を関連付ける、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記同期モジュールが、同時に取得された超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを関連付けて、前記超音波データ、前記EKGデータ、及び前記聴診データを、前記超音波データ、前記EKGデータ、及び前記聴診データが受信された順序に基づいて取得可能である又は指示されたメモリ位置において組み合わされた状態で前記メモリ(132)に共に記憶するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プローブが前記コンピューティング装置と無線で通信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
パルスオキシメトリセンサ(26)をさらに備え、前記プロセッサが前記パルスオキシメトリセンサからの信号を受信して処理するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ハンドヘルド装置(140)の前記プロセッサ(130)に結合されたディスプレイ(124)をさらに備え、前記ディスプレイ(124)は前記超音波センサ、前記EKGセンサ、及び前記聴診センサからの信号に関連する情報を表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム
【請求項8】
前記EKGセンサは、前記ハンドヘルド装置(140)の前記感知面に配置された複数の電極(116)を有する、請求項1に記載のシステム
【請求項9】
ハンドヘルド装置(140)の超音波センサ(118)、心電図(EKG)センサ(116)及び聴診センサ(114)により、超音波データ、心電図(EKG)データ、及び聴診データを同時にそれぞれ取得するステップと、ここで前記超音波センサ(118)は、ハンドヘルド装置(140)の感知面(160)に配置されて、患者の皮膚に配置されるように構成された感知面の中央部分を形成するトランスデューサのアレイを有しており、さらにここで前記EKGセンサ(116)と前記聴診センサ(114)とは、前記中央部分から外側に延びる前記感知面の部分に配置されており、さらにここで、前記超音波センサ(118)、心電図(EKG)センサ116、及び聴診センサ(114)の各々が前記ハンドヘルド装置(140)の同じ感知面(160)に配置されており
前記ハンドヘルド装置内のプロセッサ(130)により実装された同期モジュール(400)により、前記超音波データ、前記EKGデータ、及び前記聴診データを受信するステップと、
受信した前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データのうち少なくとも2つを前記同期モジュールにより同期させるステップと、
前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データをメモリ(122,132)に記憶するステップとを備える方法。
【請求項10】
前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを同期させた状態で複合型ディスプレイに表示するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
受信した前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データのうち前記少なくとも2つを同期させるステップが、前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データのうち前記少なくとも2つのそれぞれにタイムスタンプ情報を関連付けるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記同期モジュールにより同じ時点で取得された前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを関連付け、そして前記聴診データ、EKGデータ、及び超音波データを、前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データが受信された順序に基づいて取得可能である又は指示されたメモリ位置のメモリ内に、共に記憶するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
受信した前記超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを人工知能(AI)データ認識モジュールによって分析し、受信した前記データが一又は複数の病理を示すかどうかを決定するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
【0002】
本出願は、2017年10月5日に出願された米国仮出願第62/568,709号及び2018年5月2日に出願された米国非仮出願第15/969,632号に対して、35 U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張し、これらの出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0003】
本出願は、生理学的センシングシステム及び方法に関し、より詳細には、超音波、心電図、及び聴診のデータを取得して表示するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
超音波画像診断は、典型的には、超音波データを取得するために特別に設計された超音波装置を利用して、トレーニングを受けた超音波の専門家によって臨床現場で実施される。同様に、心電図(EKG)は、典型的には、心電図データを取得するために特別に設計された装置を利用して、トレーニングを受けた専門家によって臨床現場で実施される。聴診データは、典型的には、内科医または他の臨床医によって聴診器を使用して取得される。
【0005】
従って、これらの異なるタイプの臨床データ、すなわち、超音波データ、EKGデータ、及び聴診データの取得は、従来は別々の機器を使用して、別々の患者の訪問または別々の環境で行われることが多い。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、超音波、心電図、及び聴診のデータを組み合わせて取得または提供するためのシステム、方法、及び装置を提供する。3つ全ての信号または2つの信号のうちのいずれかの組み合わせが、超音波センサ、心電図(EKG)センサ、及び聴診センサに接続された単一のコンピューティング装置によって同時に取得される場合がある。得られた信号は、異なるセンサから得られたデータが時間を合わせた状態で記憶されるように、互いに同期する場合がある。代替的に、あるいは追加的に、得られた信号は、同期した状態で表示される場合がある。代替的に、あるいは追加的に、コンピューティング装置は、各信号を別々に取得して表示するように構成される場合がある。人工知能技術が、超音波センサ、EKGセンサ、及び聴診センサから受信した信号を分析し、信号が個別にまたは互いに組み合わされて1つ以上の病理を示すかどうかを判断するために、利用される場合がある。
【0007】
少なくとも1つの実施形態では、超音波センサ、EKGセンサ、聴診センサ、及びコンピューティング装置を含むシステムが提供される。コンピューティング装置は、メモリ及びプロセッサを含み、プロセッサは、超音波センサ、EKGセンサ、及び聴診センサからの信号を受信して処理するように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、プロセッサ、プロセッサに結合されたメモリ、超音波センサ、EKGセンサ、及び聴診センサを含むハンドヘルド装置が提供される。超音波センサ、EKGセンサ、及び聴診センサは、ハンドヘルド装置の感知面に配置される。超音波センサ、EKGセンサ、及び聴診センサの各々は、プロセッサに通信可能に結合されている。
【0009】
別の実施形態では、コンピューティング装置によって超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを受信するステップ、受信した超音波データ、EKGデータ、及び聴診データのうちの少なくとも2つを同期させるステップ、並びに、超音波データ、EKGデータ、及び聴診データをメモリに記憶するステップを含む方法が提供される。
【0010】
さらに別の実施形態では、コンピューティング装置及び人工知能(AI)データ認識モジュールを含むシステムが提供される。コンピューティング装置は、超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを取得するように構成されている。AIデータ認識モジュールは、取得された超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを受信し、データを自動的に評価し、データの複合分析に基づいて臨床的に関連する決定を生成するように構成されている(例えば、受信されたデータが1つ以上の病理を示すかどうかを自動的に決定する)。
【0011】
別の実施形態では、プローブの感知面に配置された超音波センサと、プローブの感知面に配置された心電図(EKG)センサとを含むハンドヘルドプローブが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の1つ以上の実施形態に従って、超音波、心電図、及び聴診の信号の組み合わせを取得し、同期させ、及び表示するためのシステムを説明するブロック図である。
図2図2は、本開示の1つ以上の実施形態に従って、超音波、心電図、及び聴診の信号の組み合わせを取得し、同期させ、及び表示するためのシステムを説明するブロック図である。
図3A図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態に従って、図2のシステムで使用される場合があるプローブの斜視図である。
図3B図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態に従って、図3Aに示されたプローブの正面図である。
図4図4は、本開示の1つ以上の実施形態に従って、聴診センサ、EKGセンサ、及び超音波センサから取得されたデータを同期させる同期モジュールを説明するブロック図である。
図5図5は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、取得された超音波データ、EKGデータ、及び聴診データの同期表示を説明する説明図である。
図6図6は、本開示の1つ以上の実施形態に従った、人工知能(AI)データ認識モジュールを含む、超音波、EKG、及び聴診の信号を取得するためのシステムを説明するブロック図である。
図7図7は、1つ以上の実施形態に従って、図6に示すAIデータ認識モジュールのトレーニングを説明するブロック図である。
【発明の詳細な説明】
【0013】
心胸腔などの生理学的評価のために医学で広く使用されている3つの主要な技術には、超音波検査、聴診検査、及び心電図検査がある。それぞれの技術は、関心領域(例えば、心胸腔)内に存在する臓器の解剖学的構造及び生理学的機能を評価することに有用な異なる種類の情報を提供する。
【0014】
医療用超音波画像診断(超音波検査)は、心臓と肺の両方を検査するための最も効果的な方法の1つである。超音波画像診断は、心臓の解剖学的情報だけでなく、大動脈及び肺動脈などの主要な動脈並びに弁を通る血流に関する定性的及び定量的な情報を提供する。超音波画像診断の大きな利点の1つは、その高いフレームレートで、常に動いている心臓の状態を評価するために不可欠な、動的な解剖学的情報と血流情報を提供できる事である。血流情報を提供することと組み合わせ、超音波画像診断は、心内腔、弁及び動脈/静脈の構造と機能を評価するための最良のツールの1つを提供する。同様に、超音波画像診断は、体内の液体の状態を評価することができ、心嚢液貯留(心臓の周りの液体)の評価に最適なツールである。
【0015】
肺の場合、超音波画像診断は、様々な肺疾患に関連した特定の画像パターンを示す機能と、心嚢液貯留の評価を含む肺の周囲及び肺の個々の区域内の流体状態を評価する機能とを有する、肺の解剖学的構造に関する情報を提供する。
【0016】
聴診は、心臓や肺などの臓器が発する可聴音、あるいは、これらの臓器に関連する可聴音を捕捉する事で、これらの臓器の生理学的な状態や機能を評価することを可能にする。これらの臓器、または場合によっては他の臓器の状態や機能は、種々の音が様々な生理学的現象とどのように関連しているか、また病理的状態ごとにその音がどのように変化するかを示す臨床情報に基づいて評価される事ができる。
【0017】
心電図検査(EKGまたはECG)は、心周期の様々な位相に関連する心臓の電気的活動を捕捉する事により、心臓に焦点を当てている。心臓の状態及び機能は、様々な病理的状態に基づいて心臓の電気的活動がどのように変化するかを示す臨床的知識に基づいて評価される場合がある。
【0018】
本開示は、これらの3種類の信号(すなわち、聴診、EKG、及び超音波の信号)が、1つ以上の視聴覚出力を介して取得され、表示される(場合によっては同期した状態において)システム、装置、及び方法を提供する。聴診、EKG、及び超音波のデータの組み合わせを提供することは、患者の生理学的状態、特に患者の心臓及び肺についてのものを正確かつ効率的に評価するための医師等の能力を大幅に向上させる。さらに、3つの信号をすべてデジタル化することにより、デジタル信号処理を用いたそのような信号の分析が可能になり、それにより、信号データを組み合わせて評価する事ができる様々な信号及び画像処理アルゴリズムの実装が可能になる。このようなアルゴリズムは、特定の疾患状態に関連することが知られている3つの信号のそれぞれのパターンを検出するための機械学習及びパターン認識に基づくアルゴリズムを含む場合がある。
【0019】
3つの信号は、組み合わされて併せて評価される時、それぞれの信号の個別の評価が別々に提供される場合よりも、患者の生理学的状態についてより多くの洞察を提供する場合がある。すなわち、これらの信号の組み合わされた取得及び表示は、特にそれら信号が同期している場合には、最終的には、任意の1つの信号を単独で使用して得られる場合よりも有意に優れた感度及び特異度をもたらす追加の情報を提供する。本明細書に記載されているように、これらの3つの信号を同期した状態で組み合わせることにより、ディープラーニングなどの高度な方法を含む機械学習を用いた信号の分析が促進され、これにより、3つの信号すべてに関連する専門医の知識をシステム及び装置に取り込むための明確な経路が提供される。この結果、専門家ではない医師等は、患者の生理学的状態を高い感度及び特異度をもって迅速に評価することができる。
【0020】
本開示によって提供されるシステム及び装置は、超音波、EKG、及び聴診のセンサを単一のコンピューティング装置に結合し、デジタル化し、メモリに記憶し、ユーザインタフェースまたはディスプレイを介して3つの信号全てをユーザに視覚化し、場合によってはそれらが取得されたときにリアルタイムでそれらをユーザに表示することを可能にする。さらに、患者の動的な現象が適切に捕捉され、3つの信号すべてに対して時間的に整合されるように、3つの信号すべてを取得時に同期させるためのモジュール及び方法が提供される。3つの信号の同期は、生理学的現象が3つの異なる信号すべてによって適切に表現されて時間的に整合した状態で示される場合、超音波、可聴音、及び電気の信号で明らかにされる情報が、同じ時点での生理機能に関連した状態を反映するという点で、臨床的に重要である。
【0021】
図1は、超音波信号、心電図信号、及び聴診信号を取得するためのシステム10を説明するブロック図である。システム10は、コンピューティング装置12(「医療装置」とも呼ばれる)、少なくとも1つの聴診センサ14、少なくとも1つの心電図(EKG)センサ16、及び少なくとも1つの超音波センサ18を含む。本明細書で提供される実施形態には、これに限定されないが、1つ以上の追加のセンサ26、例えばパルスオキシメータセンサ、がさらに含まれる場合がある。例えば、追加のセンサ26は、ジャイロスコープ、圧力センサ、運動センサ、温度センサ、EEGセンサ、あるいは、患者の生理的状態、状況もしくは応答、患者の周囲の環境、またはシステム10の状態もしくは状況を感知するための任意の他の種類のセンサ、の1つ以上を含む場合がある。
【0022】
聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18は、それぞれ、有線または無線の通信チャンネルによってコンピューティング装置12に通信可能に結合される。コンピューティング装置12は、3種類の信号、例えば、聴診、EKG、及び超音波の信号を取得し、好ましくはデジタル化し、処理する。
【0023】
聴診センサ14は、例えば、循環器系、呼吸器系、及び消化器系に関連する体音を含む患者の内部体音を検出する任意のセンサである場合がある。聴診センサ14は、皮膚表面を介して音信号を検出するために、患者の皮膚と接触して配置される場合がある感知面を有する。聴診センサ14は、電子式またはデジタル聴診器である場合があり、関連分野で知られる場合がある様に、感知された信号を増幅して処理するための増幅回路及び信号処理回路を含む場合がある。
【0024】
EKGセンサ16は、関連分野で知られている場合がある様に、患者の心臓の電気的活動を検出する任意のセンサである場合がある。例えば、EKGセンサ16は、動作中に患者の皮膚に配置され、各心拍の間に脱分極及び再分極する心筋のパターンに起因する患者における電気的変化を検出するために使用される任意の数の電極を含む場合がある。
【0025】
超音波センサ18は、患者における関心領域内のターゲット構造に向けて超音波信号を送信するように構成されたトランスデューサを含む。トランスデューサは、超音波信号の送信に応答してターゲット構造から戻るエコー信号を受信するようにさらに構成される。そのために、トランスデューサは、超音波信号を送信し、その後のエコー信号を受信する能力のあるトランスデューサ素子を含む場合がある。様々な実施形態では、トランスデューサ素子は、フェーズドアレイの要素として配置される場合がある。適したフェーズドアレイトランスデューサは、当技術分野で知られている。
【0026】
超音波センサ18のトランスデューサアレイは、複数のトランスデューサ素子の1次元(1D)アレイ、または、2次元(2D)アレイである場合がある。トランスデューサアレイは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックスを含む場合がある、または、微小電気機械システム(MEMS)に基づく場合がある。例えば、様々な実施形態では、超音波センサ18は、微小電気機械システム(MEMS)に基づく圧電式超音波トランスデューサである圧電式マイクロマシン加工超音波トランスデューサ(PMUT)を含む場合があり、または、超音波センサ18は、静電容量の変化によりエネルギー変換がなされる静電容量式マイクロマシン加工超音波トランスデューサ(CMUT)を含む場合がある。
【0027】
図1に示される様に、聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18それぞれは、それぞれの有線または無線のチャンネルを介してコンピューティング装置12に別々に結合される場合がある。例えば、聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18のそれぞれは、それぞれのケーブルによってコンピューティング装置12に電気的に及び通信可能に結合される場合がある。任意の数の電極を含む場合があるEKGセンサ16の場合、電極は、リード線によってコンピューティング装置12に結合される場合がある。本開示に従って、任意のEKGセンシング構成がEKGセンサ16として利用される場合があるが、例えば、EKGセンサ16は、10個の電極と12本のリード線とを有するEKGセンサである場合がある。例えば、以下でより詳細に説明する図3A及び3Bに示すプローブ140は、3つの電極を有するEKGセンサ116を含む。
【0028】
動作する際、システム10のユーザは、センサ14、16、18の各々からの信号を、好ましくは、同時にまたは重複する時間間隔の間に取得するために、センサ14、16、18の各々を所望の位置に配置する場合がある。例えば、EKGセンサ16は、複数の電極を含む場合があり、それら電極が1つ以上のリード線によってコンピューティング装置12に結合された状態で、患者の身体に適切な構成で配置される場合がある。ユーザは、聴診センサ14を患者の皮膚における任意の所望の位置に配置する場合があり、同様に、関心のある信号を得るために超音波センサ18を所望の位置に配置する場合がある。従って、動作する際、コンピューティング装置12は、好ましくは信号がそれぞれ取得された時に、聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18のそれぞれからの信号を受信する場合がある。
【0029】
コンピューティング装置12は、様々な電子機器及び1つのプロセッサ(本明細書では、総称して「電子機器及びプロセッサ20」と呼ぶか、場合によっては単に「プロセッサ20」と呼ぶ)を含む。電子機器及びプロセッサ20は、処理回路及び駆動回路を含む場合がある。部分的には、処理回路、すなわちプロセッサは、聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18からの信号の取得を制御する。
【0030】
例えば、電子機器及びプロセッサ20は、超音波センサ18のトランスデューサ素子からの超音波信号の送信を制御する処理回路と、超音波信号の送信を駆動するためにトランスデューサ素子に動作可能に結合された駆動回路とを含む場合がある。駆動回路は、処理回路から受信した制御信号に応答して超音波信号の送信を駆動する場合がある。コンピューティング装置12は、例えば、超音波信号の送信のための駆動回路に電力を供給するために、電子機器及びプロセッサ20に電力を供給する電源をさらに含む場合がある。電子機器及びプロセッサ20は、同様に、聴診センサ14からの聴診信号の取得を制御し、EKGセンサ16からのEKG信号の取得を制御する処理回路を含む場合がある。
【0031】
さらに、電子機器及びプロセッサ20は、聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18から受信した信号を処理するフィルタ、増幅器、前処理及びデジタル化の回路などの信号処理回路を含む場合がある。特に、電子機器及びプロセッサ20は、図4に関してさらに詳細に論じられるように、受信された信号を同期させるための同期モジュールを含むか、または、実装する場合がある。
【0032】
電子機器及びプロセッサ20は、本明細書に記載されているように、コンピューティング装置12の動作を提供または実施するための1つ以上のアプリケーション特定集積回路(ASIC)を含む場合がある。
【0033】
図1に示されたコンピューティング装置12は、メモリ22及びディスプレイ24をさらに含む。メモリ22は、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光記憶装置、磁気記憶装置、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、有機記憶媒体などを含む、コンピュータが読み取ることができる任意の記憶媒体である、または、それを含む場合がある。メモリ22は電子機器及びプロセッサ20に結合されており、それは、メモリ22に記憶されているプログラム化された命令を実行して、本明細書に記載されているようなコンピューティング装置12の機能を果たす場合がある。さらに、メモリ22は、コンピューティング装置12によって取得された信号を記憶する場合がある。信号は、図4に関して以下でさらに詳細に議論されるように、同期した状態で、または、信号を同期させるための関連情報を伴ってメモリ22に記憶される場合がある。
【0034】
ディスプレイ24は、コンピューティング装置12のユーザに視覚的な及び/または可聴の情報を提供する出力インターフェースである。ディスプレイ24及び/またはコンピューティング装置12は、ユーザに可聴情報を提供するために、1つ以上のスピーカを含むか、または、それに結合される場合がある。ディスプレイ24は、例えば、LEDディスプレイ技術を含むが、これに限定されない任意のタイプのディスプレイ技術を使用する場合がある。ディスプレイ24は、聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18から取得された信号を表示する場合がある。より具体的には、ディスプレイ24は、図4及び図5に関して以下でさらに詳細に論じられるように、聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18から取得された信号及び/または画像を同期させた状態で表示するために使用される場合がある。いくつかの実施形態では、ディスプレイ24は、画面に触れるユーザからの入力を受信することが可能なタッチスクリーンなどの入力インターフェースを提供する場合がある。いくつかの実施形態では、コンピューティング装置12は、コンピューティング装置12のユーザからの入力を受信することが可能な、1つ以上のボタン、ノブ、スイッチなどを含む場合がある。
【0035】
図2は、超音波、心電図、及び聴診の信号を取得するためのシステム100を説明するブロック図である。システム100は、多くの点でシステム10と類似しているが、図2のシステム100と図1のシステム10との間の主な相違点は、システム100では、聴診センサ114、EKGセンサ116、及び超音波センサ118が全て、例えば任意の有線または無線の通信チャンネルによってコンピューティング装置112に通信可能に結合されたプローブ140に含まれている事である。例えば、プローブ140は、1つ以上の電気ケーブルによってコンピューティング装置112に結合される場合がある。
【0036】
さらに、プローブ140は、それ自体に、図1のコンピューティング装置12の電子機器及びプロセッサ20と実質的に同じ場合がある電子機器及びプロセッサ130を含む場合がある。例えば、プローブ140内の電子機器及びプロセッサ130は、聴診センサ114、EKGセンサ116、及び超音波センサ118からの信号の取得を制御する処理回路及び駆動回路を含む場合がある。プローブ140が電源を含む実施形態では、プローブは、患者から超音波、心電図、及び聴診の信号データを取得するためにコンピューティング装置112から分離して動作し、後に所望であれば、さらなる処理のために、取得された信号データをアップロードするべくコンピューティング装置112と通信可能に結合される場合がある。
【0037】
いくつかの実施形態では、プローブ140は、プローブがコンピューティング装置112から分離して動作しているときには電子機器及びプロセッサ130を使用するように構成される場合があるが、プローブ140がコンピューティング装置112に結合(または「ドッキング」)されているときには、プローブ140は、それ自身の電子機器及びプロセッサ130の代わりにコンピューティング装置112内の電子機器及びプロセッサ120の一部または全部を使用する場合がある。これは、コンピューティング装置112内の電子機器及びプロセッサ120が、より静かな電源、より精密な発振器、及び/もしくはより望ましい放熱要素などのより高品質な部品を採用する場合、または取得された一もしくは複数の信号データを生成、受信、及び/もしくは処理するためのより多くの計算資源を提供する場合に有利である場合がある。
【0038】
例えば、本開示の譲受人に譲渡されて参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/446,290号は、超音波プローブとドッキングステーションとからなる超音波システムを記載している。超音波プローブは、好ましくは、ハンドヘルドプローブのような携帯型超音波プローブであり、関心領域内のターゲット構造に向けて超音波信号を送信する1つ以上の第1のトランスデューサ素子を含む。超音波プローブはまた、1つ以上の第1のトランスデューサ素子からの超音波信号の送信を制御する処理回路と、1つ以上の第1のトランスデューサ素子及び処理回路に動作可能に結合された駆動回路とを含む。駆動回路は、処理回路から受信した制御信号に応答して、1つ以上の第1のトランスデューサ素子による超音波信号の送信を駆動する。超音波プローブは、超音波信号の送信に応答してターゲット構造から戻るエコー信号を受信する1つ以上の第2のトランスデューサ素子と、少なくともパルス波モードの動作において超音波信号を送信するために駆動回路に電力を供給する電源とをさらに含む。
【0039】
ドッキングステーションは、超音波プローブとの結合を可能にするインターフェースを含む。ドッキングステーションはまた、インターフェースを介して超音波プローブに電気的に結合し、超音波プローブの超音波機能を高める回路を含む。少なくとも1つの実施形態では、ドッキングステーションは、超音波プローブとは別に提供される。様々な実施形態では、ドッキングステーション内の回路は、より静かな電源、発振器、及び/もしくは放熱素子などのより高品質な部品を採用することによって、または、超音波信号もしくはデータを生成、受信、及び/もしくは処理するためのより多くの計算資源を提供することによって、超音波プローブの超音波機能を向上させる。
【0040】
米国特許出願第15/446,290号明細書に記載されたシステムは、本明細書に記載されたように聴診及びEKGの信号取得をさらに含み、本開示の原理に従った複合プローブ140を提供するように適応される場合がある。複合プローブ140の聴診及びEKGの信号取得は、複合プローブ140がコンピューティング装置112に電気的に結合またはドッキングされている場合に、同様に強化される場合がある。
【0041】
さらに、プローブ140は、電子機器及びプロセッサ130に結合されたメモリ132を含む場合がある。メモリ132は、電子機器及びプロセッサ130によって取得され、場合によってはデジタル化された信号を記憶する場合がある。聴診、EKG、及び超音波の信号データは、本明細書に記載されているように、同期した状態で、または、それら信号を同期させるための関連情報とともに記憶される場合がある。
【0042】
聴診センサ114、EKGセンサ116、及び超音波センサ118は、図1のシステム10に関して上述した聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18と類似する場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、図2並びに図3A及び3Bを参照して本明細書で説明したような特定の相違点を含む場合がある。
【0043】
図3Aは、プローブ140の少なくとも1つの実施形態の斜視図であり、図3Bは、プローブ140の感知面160を説明する図3Aに示された実施形態の正面図である。
【0044】
図3Bに示すように、聴診センサ114、EKGセンサ116、及び超音波センサ118は、プローブの感知面160に配置される場合がある。例えば、超音波センサ118(超音波トランスデューサのアレイを含む場合がある)は、感知面160の中央部分を形成する場合があり、EKGセンサ116及び聴診センサ114は、超音波センサ118が配置されている中央部分から外方に延びる感知面160の部分に配置される場合がある。
【0045】
聴診センサ114は、そうでなければ、図1に示した聴診センサ14と実質的に同じである場合があり、例えば、循環器系、呼吸器系、及び消化器系に関連する体音を含む患者の内部体音を検出するための任意のセンサである場合がある。複数の聴診センサ114が、プローブ140の感知面160に提供される場合がある。この場合、1つ以上の聴診センサ114は、超音波センサ118のいずれか一方または両方の側に配置される場合がある。任意の数の聴診センサ114が、プローブ140に含まれ、例えば、感知面160に配置される場合がある。
【0046】
EKGセンサ116は、関連分野で知られている場合があるように、患者の心臓の電気的活動を検出するための任意のセンサである場合がある。図3Bに示すように、EKGセンサ116は、プローブ140の感知面160に配置された複数の電極を含む場合がある。このような場合、1つ以上のEKGセンサ116は、超音波センサ118のいずれか一方側または両側に配置される場合がある。好ましくは、少なくとも1つのEKGセンサ116が超音波センサ118の各側に配置されるように複数のEKGセンサ116を配置し、これによりEKG電極間の距離をより大きくする。
【0047】
超音波センサ118は、図1の超音波センサ18に関して上述したように、超音波信号を送信し、その後のエコー信号を受信することができるトランスデューサ素子を含む場合があるトランスデューサを含む。
【0048】
使用時には、プローブ140の感知面160は患者の皮膚に配置される場合があり、聴診、EKG、及び超音波の信号は、好ましくは同時にプローブ140によって受信される場合がある。信号の取得は、図1の電子機器及びプロセッサ20並びにメモリ22に関して上述したものと同一または類似の方法で、プローブ140の内部において、電子機器及びプロセッサ130によって制御されてメモリ132に記憶される場合がある。
【0049】
いくつかの実施形態では、超音波センサ118及びEKGセンサ116のみがプローブ140の感知面160に配置される場合があり、他の実施形態では、聴診センサ114がプローブ140の感知面160にさらに配置される場合がある。
【0050】
図2に戻ると、図2に示されたコンピューティング装置112は、電子機器及びプロセッサ120とメモリ122とを含む。コンピューティング装置112の電子機器及びプロセッサ120並びにメモリ122は、プローブの電子機器及びプロセッサ130並びにメモリ132によって実行される信号の取得に加えて、またはそれに代わるものとして、プローブ140による信号の取得を制御する場合がある。コンピューティング装置112の電子機器及びプロセッサ120並びにメモリ122は、コンピューティング装置112の動作を制御する場合もある。例えば、電子機器及びプロセッサ120並びにメモリ122は、プローブ140から信号を受信し、コンピューティング装置112に、ディスプレイ124に信号及び/または信号に関連付けられた画像を表示させる場合がある。
【0051】
コンピューティング装置112は、例えば、タブレットコンピュータ、PCもしくはワークステーションコンピュータ、スマートフォンなどのモバイルコンピューティング装置、またはそのようなものである場合がある。コンピューティング装置112は、任意の有線または無線の通信チャンネルを介してプローブ140と通信する場合があり、従って、プローブ140によって取得され、処理され、及び/または記憶された信号を受信する場合があり、そのような信号、または、そのような信号に関連付けられたもしくはそのような信号から得られた画像を表示する場合がある。
【0052】
1つ以上の実施形態では、プローブ140は、取得された信号、画像、または、取得された信号に関連付けられた、もしくは、取得された信号から得られた臨床パラメータを表示するためのディスプレイを含む場合がある。このような場合、コンピューティング装置112は、聴診センサ114、EKGセンサ116、及び超音波センサ118からの信号を取得し、処理し、及び表示するためのものとして必要とされ無い場合があり、これは、すべてプローブ140自体によって実行される場合がある。
【0053】
図4は、聴診センサ、EKGセンサ、及び超音波センサの任意の2つ以上から同時に取得される信号またはデータを同期させる同期モジュール400を説明するブロック図である。1つ以上の実施形態では、同期モジュール400は、本明細書に記載されるように、聴診センサ、EKGセンサ、及び超音波センサの3つのすべてから取得される信号またはデータを同期させる場合がある。しかしながら、本明細書で提供される実施形態は、同期モジュールがそのようなセンサのうちの任意の2つ以上からの信号を同期させる場合がある為、3つのセンサ全てからの信号の同期に限定されないことが容易に理解されるであろう。図1のシステム10に関して、同期モジュール400は、電子機器及びプロセッサ20並びにメモリ22に含まれる場合がある、または、電子機器及びプロセッサ20並びにメモリ22によりアクセス可能である場合がある。図2のシステム100に関して、同期モジュール400は、プローブ140の電子機器及びプロセッサ130並びにメモリ132に含まれるか、もしくは、電子機器及びプロセッサ130並びにメモリ132によりアクセス可能である場合があり、かつ/または、コンピューティング装置112の電子機器及びプロセッサ120並びにメモリ122に含まれるか、もしくは、電子機器及びプロセッサ120並びにメモリ122によりアクセス可能である場合がある。
【0054】
図4に示すように、聴診データ、EKGデータ、及び超音波データは、聴診センサ、EKGセンサ、及び超音波センサによって受信された信号から導出され、それぞれ同期モジュール400に提供される。1つの実施形態では、同期モジュール400は、聴診データ、EKGデータ、及び超音波データのそれぞれにタイムスタンプ情報を付加または関連付けることによって、これらのデータを同期させる。例えば、同期モジュール400は、時計を含む(または時計へアクセスする)場合があり、データを受信した時間を示すタイムスタンプ情報でデータをタイムスタンプする場合がある。タイムスタンプ情報は、UTC時間などの基準時間に関する時間を示す場合がある。
【0055】
同期モジュール400は、出力データを同期させた状態でメモリに記憶し得る場合と、メモリ(例えば、図1のメモリ22、または図2のメモリ122もしくは132)に結合される場合とがある。例えば、データは、同期モジュール400によって提供される関連するタイムスタンプ情報と共にメモリに記憶される場合がある。代替的または追加的に、同期モジュール400は、聴診データ、EKGデータ、及び超音波データを同期させた状態で記憶するために遠隔に配置されたメモリに提供する場合がある。
【0056】
別の実施形態では、同期モジュール400は、受信されたデータにタイムスタンプを付加するのではなく、その代わりに、同時に取得された聴診データ、EKGデータ、及び超音波データを関連付けて、データが受信された順序に基づいて順序付け又は検査される場合がある記憶位置にデータが結合された状態において共同で記憶する。例えば、同じ時点(例えば、時間t1)で取得される聴診データ、EKGデータ、及び超音波データは、同期モジュール400によって互いに関連付けられて順序付けがなされた記憶位置に記憶される場合がある。次の時点(例えば、時間t2)において、その時点で取得された聴診データ、EKGデータ、及び超音波データは、互いに関連付けられて、時間t1で取得されたデータの記憶位置に連続して続いている順序付けられた記憶位置に記憶される場合がある。すなわち、取得されたデータは、それが同期モジュール400によって受信された相対的な時間に基づいて順序付けられる場合がある。
【0057】
図5は、システム10内の別個の聴診センサ14、EKGセンサ16、及び超音波センサ18によって取得される場合がある、または、システム100においてプローブ140の同じ感知面160に提供される聴診センサ114、EKGセンサ116、及び超音波センサ118の組み合わせによって取得される場合がある聴診データ、EKGデータ、及び超音波データの同期表示を説明する説明図である。データの同期表示は、システム10のコンピューティング装置12のディスプレイ24に、もしくは、システム100のコンピューティング装置112のディスプレイ124に提供される場合があり、または、プローブ140がディスプレイを含む実施形態ではプローブに表示される場合がある。
【0058】
図5に示すように、超音波画像502は時間tにおける特定の点について示されている。時間tにおけるEKG波形504は破線で描かれている。同様に、聴診波形506は、EKG波形504の破線に対応する時間tについて破線で描かれている。本実施形態の信号はリアルタイムで取得されるので、超音波画像502は順次更新され(例えば、現在の超音波画像を反映するように)、EKG及び聴診の波形504、506は、表示された超音波画像502に対応する時間tを常に破線で示しながら左から右へとのびていく。
【0059】
聴診信号、EKG信号、及び超音波信号の3つは、リアルタイムで、すなわち、それらが取得されたときに表示される場合があり、または、同期した状態でメモリに記憶され、後にメモリから取り出されて、図5に示すように同期表示において表示される場合がある。さらに、音声情報が、聴診データ、EKGデータ、及び超音波データのうちの1つ以上の表示と同期した状態で提供される場合がある。音声情報は、1つ以上のスピーカを介して提供される場合がある。例えば、聴診データは、聴診データに関連付けられた映像情報の表示に同期した状態で、1つ以上のスピーカを介して可聴情報として出力される場合がある。
【0060】
超音波データは、Aモード、Bモード、Cモード、Mモード、連続波(CW)及びパルス波(PW)を含むドップラーモードなどを含むがこれらに限定されない、任意の超音波モードに関連付けられた任意の超音波データである場合がある。超音波データは、任意の超音波モードで取得される場合があり、任意の超音波モードで可聴情報として表示及び/又は提供される場合がある。
【0061】
1つ以上の実施形態では、人工知能技術が、本明細書に記載された装置またはシステムのいずれかによって取得された聴診、EKG、及び超音波の信号を分析するために、人工知能(「AI」)データ認識モジュールに採用される場合がある。AIデータ認識モジュールによる分析は、聴診信号、EKG信号、及び超音波信号個々のいずれかに基づく場合があり、または、これらの信号のいずれかの組み合わせに基づく場合がある。
【0062】
例えば、本開示の譲受人に譲渡され参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/454,678号 は、(i)取得された超音波画像が、例えば、患者の臓器もしくは他の組織、あるいは、患者の特徴もしくは関心領域、を含む構造及び/または解剖学的構造の所望のビュー、を正確にもしくは概ね正確に描写もしくは表現するか、あるいは正確にはもしくは概ね正確には描写もしくは表現しないか、並びに、(ii)解剖学的構造の臨床的に所望のビューを表す取得された画像が正常な機能を示すのかもしくは特定の病理を示すのか、を決定するような、取得された超音波画像に関する決定を行うために超音波画像認識モジュールを利用する、超音波画像のための人工知能ネットワークシステム及び方法の様々な実施形態を記載している。
【0063】
米国特許出願第15/454,678号に記載されている人工知能技術は、取得された聴診、EKG、及び超音波の信号を同様に分析し、それら信号が1つ以上の病理を示すかどうかを決定するために、本開示の実施形態において変更されて実施される場合がある。少なくとも1つの実施形態では、人工知能技術を実施するために使用されるAIパラメータは、1つ以上の病理を示すことが知られている聴診、EKG、及び超音波の信号から得られたトレーニングデータを処理することによって学習される。
【0064】
図6は、本開示の実施形態に従った、超音波、EKG、及び聴診の信号を取得するためのシステム200を説明するブロック図である。図6に示されたシステム200は、図2に示されたシステム100と類似しているが、1つの相違点は、システム200が、取得された聴診、EKG、及び超音波の信号を分析するためのAIデータ認識モジュール228をさらに含むことである。
【0065】
図6に示すように、システム200は、図2に関して示されて説明されたものと同じ場合がある、コンピューティング装置112及びプローブ140を含む。1つ以上の実施形態では、システム200は、図1に関して示されて説明されているように、聴診センサ14、EKGセンサ16、超音波センサ18、及び追加のセンサ26のうちの1つ以上に別々に結合されたコンピューティング装置12を代わりに利用する場合がある。1つ以上の実施形態では、システム200は、代わりに、コンピューティング装置112を使用せずにプローブ140を利用する場合がある。
【0066】
システム200は、通信ネットワーク202、AIデータ認識モジュール228、及びAI知識データベース226をさらに含む場合がある。AIデータ認識モジュール228及びAI知識データベース226の一方もしくは両方は、コンピューティング装置112もしくはプローブ140に組み込まれる場合があり、または、それらは、互いに動作可能に及び/もしくは通信可能にリンクされたもしくはリンク可能な複数の装置を構成する場合がある。
【0067】
図2に関して説明したように、プローブ140は、聴診データ、EKGデータ、及び超音波データを取得するために使用される場合がある。取得されたデータは、通信ネットワーク202を介してAIデータ認識モジュール228に提供される場合がある。通信ネットワーク202は、ローカルエリアネットワーク、無線ネットワーク、専用線、イントラネット、インターネットなどを含む1つ以上の物理ネットワークを介して通信するために、1つ以上のプロトコルを利用する場合がある。
【0068】
1つ以上の実施形態では、AIデータ認識モジュール228がコンピューティング装置112内に提供され、または、AIデータ認識モジュール228のローカル実装及び/もしくはAI知識データベース226に記憶された知識がコンピューティング装置112内に含まれる場合があり、ここで、コンピューティング装置112は、例えば更新されたデータ認識アルゴリズム及び/もしくは知識を受信するために、遠隔地に配置された(例えば、1つ以上のサーバコンピュータまたは「クラウド」に記憶された)AIデータ認識モジュール228にアクセスする場合がある。
【0069】
AIデータ認識モジュール228は、コンピューティング装置112によって取得された聴診データ、EKGデータ、及び超音波データを受信し、取得されたデータに基づいて決定を行う。例えば、AIデータ認識モジュール228は、取得されたデータが正常な機能を示すか特定の病理を示すかを決定する場合がある。そのような決定は、個々のデータ信号(例えば、聴診データ、EKGデータ、超音波データのうちの任意の1つ)に基づいて、または、取得されたデータ信号の任意の組み合わせに基づいて、AIデータ認識モジュール228によって行われる場合がある。
【0070】
AIデータ認識モジュール228は、取得されたデータが特定の病理を示すかどうかを決定するために、AI知識データベース226から引き出された人工知能を採用する任意の計算知能システムによって実装される場合がある。そのような決定は、例えば、取得された聴診、EKG、及び超音波のデータを受信することに応答して、AIデータ認識モジュール228によって自動的に実行される場合がある。
【0071】
「人工知能」は、本明細書では、知識を(例えば、トレーニングデータに基づいて)学習し、そのような学習された知識を使用して、その取り組みを1つ以上の問題を解決することに適応させる事ができる任意の計算知能システム及び方法を広義に記述するために使用される。人工知能機械は、例えば、画像認識などの問題を解決するために、ニューラルネットワーク、ディープラーニング、畳み込みニューラルネットワーク、及びベイズプログラム学習技術を採用する場合がある。さらに、人工知能は、制約プログラム、ファジー論理、分類、従来の人工知能、記号的操作、ファジー集合理論、進化的計算、サイバネティクス、データマイニング、近似推論、微分のない最適化、決定木、及び/またはソフトコンピューティングといった計算技術の任意の1つ又は組み合わせを含む場合がある。1つ以上の計算知能技術を採用して、AIデータ認識モジュール228は、聴診、EKG、及び超音波の信号データのより良い評価のために、未知の及び/または変化する環境に適応するように学習する場合がある。
【0072】
AI知識データベース226は、受信された聴診、EKG、及び/または超音波のデータに関して、AIデータ認識モジュール228によるデータ分析を容易にする、様々な情報を含む場合がある。特に、AI知識データベース226は、特定の聴診、EKG、及び/または超音波のデータを様々な病理に関連付ける情報を含む場合がある。AI知識データベース226は、AIデータ認識モジュール228によってアクセス可能であってコンピュータが読み取ることができる任意の記憶媒体に記憶される場合がある。
【0073】
図7は、1つ以上の実施形態に従って、AIデータ認識モジュール228のトレーニングを説明するブロック図である。AIデータ認識モジュール228は、トレーニングデータ210に基づいてトレーニングされる場合がある。トレーニングデータ210は、任意の聴診、EKG、または、超音波の情報を含む場合がある。例えば、トレーニングデータ210は、心雑音などに関連する可能性のある異常な心臓音、喘鳴、動悸などの異常な肺音、または、1つ以上の病理に関連する可能性のある任意の他の体音など、特定の病理に関連する様々な聴診データ(例えば、音声波形)を含む場合がある。同様に、トレーニングデータ210は、不整脈、心筋梗塞、肺塞栓症などの特定の病理に関連する様々なEKGデータ(例えば、電気波形)を含む場合がある。トレーニングデータ210は、心臓などの臓器の既知のビューに関連付けられた様々な超音波データ(例えば、超音波画像データ)と、特定の病理に関連付けられた超音波データとをさらに含む場合がある。
【0074】
他のトレーニング入力220が、トレーニングのためにAIデータ認識モジュール228にさらに提供される場合がある。他のトレーニング入力220は、例えば、トレーニングプロセスを通じてAIデータ認識モジュール228で開発されたデータ認識モデルを調整または管理するための手動入力を含む場合がある。
【0075】
AIデータ認識モジュール228は、トレーニングデータ210を使用して反復トレーニングプロセスを実施する場合がある。トレーニングは、多種多様な学習ルールまたはトレーニングアルゴリズムに基づく場合がある。例えば、学習ルールは、バックプロパゲーション、リアルタイムリカレント学習、パターンバイパターン学習、教師付き学習、補間、重み付け和、強化学習、時間差学習、教師なし学習、及び/または記録学習のうちの1つ以上を含む場合がある。
【0076】
トレーニングの結果として、AIデータ認識モジュール228は、トレーニングデータ210に応答して動作を修正することを学習し、AI知識230を得るか、または生成する場合がある。AI知識230は、任意の情報のうち、それに基づいてAIデータ認識モジュール228が新しいデータまたは状況に対する適切な応答を決定する場合があるものを表す場合がある。特に、AI知識230は、聴診、EKG、及び超音波のデータと1つ以上の病理との間の関係を表す。AI知識230は、AI知識データベース226に記憶される場合がある。
【0077】
トレーニングデータ210に基づいて、AI認識モジュール228は、学習してその動作を修正する場合があり、AI知識データベース226に含まれる知識を適用して、新しい入力、例えば、コンピューティング装置112によって受信された聴診、EKG、及び超音波のデータなど、に関する決定を行う方法を変更する場合がある。AIデータ認識モジュール228は、取得した知識を入力された聴診、EKG、及び超音波のデータに適用し、データを自動的に評価して、データの複合分析に基づいて1つ以上の臨床的に関連した決定を生成する場合がある。例えば、AI認識モジュール228は、受信したデータが1つ以上の特定の病理を示すかどうかを自動的に決定する場合がある。
【0078】
1つ以上の実施形態では、本開示は、超音波データ、心電図(EKG)データ、及び聴診データを取得するように構成されたコンピューティング装置と、取得された超音波データ、EKGデータ、及び聴診データを受信し、さらに受信されたデータが任意に組み合わされて1つ以上の病理を示すかどうかを自動的に決定するように構成された人工知能(AI)データ認識モジュールとを備えるシステムを提供する。
【0079】
システムは、コンピューティング装置に通信可能に結合された同期モジュールをさらに含む場合があり、同期モジュールは、取得された超音波データ、EKGデータ、及び聴診データのうちの2つ以上を同期させるように構成される場合がある。
【0080】
AIデータ認識モジュールは、取得された超音波データ、EKGデータ、及び聴診データのうちの2つ以上の同期したものが1つ以上の病理を示すかどうかを決定するように構成される場合がある。
【0081】
1つ以上の実施形態では、本開示は、ハンドヘルドのプローブであって、プローブの感知面に配置された超音波センサと、プローブの感知面に配置された心電図(EKG)センサとを含むものを提供する。
【0082】
ハンドヘルドプローブは、プロセッサ、及びプロセッサに結合されたメモリをさらに含む場合があり、超音波センサ及びEKGセンサは、プロセッサに通信可能に結合されている。EKGセンサは、プローブの感知面に配置された複数の電極を含む場合がある。
【0083】
上述した様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせる事ができる。本明細書で言及され、及び/または、出願データシートに記載されている米国特許出願の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものである。さらなる実施形態を提供するために、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用することが必要であれば、実施形態の側面を修正する事ができる。
【0084】
これら及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして、実施形態に対して行われる事ができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲とともに、すべての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。従って、特許請求の範囲は、開示によって制限されるものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7