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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20230403BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230403BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230403BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230403BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230403BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/891
A61K8/31
A61K8/37
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q5/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020530198
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2019027154
(87)【国際公開番号】W WO2020013182
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2018131071
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】中田 博子
(72)【発明者】
【氏名】大賀 光
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0079520(KR,A)
【文献】特開2008-266211(JP,A)
【文献】特開2017-095375(JP,A)
【文献】国際公開第2011/049246(WO,A1)
【文献】特開2005-306856(JP,A)
【文献】特開2001-302484(JP,A)
【文献】Isehan, Japan,Volume & Curl Mascara S,Mintel GNPD [online],2013年02月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#2155316, [検索日:2019.09.05], 表題部分, 成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の粉末(P)と、油分(V)を含み、P/V比が0.30~0.75であることを特徴とする化粧料。
(P)(p1)を含む粉末 化粧料全量中15~40質量%
(p1)パルミチン酸デキストリン 化粧料全量中3.5~10質量%
(V)(v1)および(v2)を含む油分
(v1)揮発性油分 化粧料全量中5~50質量%
(v2)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含む不揮発性液状油分 化粧料全量中30~65質量%
【請求項2】
請求項1に記載の化粧料において、粉末が板状粉末であることを特徴とする化粧料。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化粧料において、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの配合量が化粧料全量中10~30質量%であることを特徴とする化粧料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の化粧料において、(V)油分に(v3)半固形油分を含むことを特徴とする化粧料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の化粧料において、チューブ状容器に充填されていることを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年7月10日付け出願の日本国特許出願2018-131071号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、化粧料に関し、特にマットな仕上がりでありながらも、なめらかな化粧料に関する。
【背景技術】
【0003】
化粧料を塗布した肌や唇の質感は、つや感とマット感を付与するものに大きく二分される。中でも液状の化粧料でマットな質感を有する化粧料は、なめらかさに劣り、経時でしわが目立ってしまうものが多かった。また、マット感を有する化粧料は、硬すぎてチューブ化できず、容器から直接塗布するのではなく、容器にあらかじめ入れられた塗布具を使って塗布するもの、または中皿またはジャータイプ用の容器に充填されているもの(例えば、特許文献1参照)であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-269039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記従来技術に鑑み行われたものであり、その解決すべき課題は、マットな仕上がりでありながらも、なめらかな化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが前述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定量のパルミチン酸デキストリンを含む粉末、揮発性油分、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含む不揮発性液状油分を含み、P/V比を調整することにより、マットな仕上がりでありながらも、なめらかな化粧料を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明にかかる化粧料は、以下の粉末(P)と、油分(V)を含み、P/V比が0.30~0.75であることを特徴とする。
(P)(p1)を含む粉末 化粧料全量中15~40質量%
(p1)パルミチン酸デキストリン 3.5~10質量%
(V)(v1)および(v2)を含む油分
(v1)揮発性油分 化粧料全量中5~50質量%
(v2)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含む不揮発性液状油分 化粧料全量中30~65質量%
前記化粧料において、粉末が板状粉末であることが好適である。
前記化粧料において、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの配合量が化粧料全量中10~30質量%であることが好適である。
前記化粧料において、(V)油分に(v3)半固形油分を含むことが好適である。
前記化粧料において、チューブ状容器に充填されていることが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マットな仕上がりでありながらも、なめらかな化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明にかかる化粧料は、以下の粉末(P)と、油分(V)を含み、P/V比が0.30~0.75であることを特徴とする。
(P)(p1)を含む粉末 化粧料全量中15~40質量%
(p1)パルミチン酸デキストリン 化粧料全量中3.5~10質量%
(V)(v1)および(v2)を含む油分
(v1)揮発性油分 化粧料全量中5~50質量%
(v2)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含む不揮発性液状油分 化粧料全量中30~65質量%
【0010】
((P)粉末)
粉末は、化粧料に一般的に使用されているものであれば特に制限されず使用することができる。しかし、本発明において、色材は粉末に含まれないものとしている。
【0011】
粉末として、疎水化処理していない粉末を用いることが好ましい。疎水化処理粉末を用いると、安定性を確保するために粉末量を増量しなくてはいけなくなってしまうため、パサつきを感じる場合がある。
【0012】
((p1)パルミチン酸デキストリン)
本発明の粉末には、パルミチン酸デキストリンを含むことが必要である。
パルミチン酸デキストリンの配合量は、化粧料全量中3.5~10質量%であることが必要である。また、4質量%以上であることが好ましい。パルミチン酸デキストリンの配合量が少なすぎると、安定性に劣る。
また、9質量%以下であることが好ましい。パルミチン酸デキストリンの配合量が多すぎると、のびのなめらかさが損なわれる。
【0013】
また、粉末として、板状粉末を用いることが好ましい。球状粉末を用いると、使用感に劣ってしまう場合がある。
【0014】
板状粉末は、通常化粧料に使用される粉体であれば多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。
板状粉末の短径と長径の比率は、短径1に対して長径10以上が好ましい。
【0015】
板状粉末としては、例えば、セリサイト、マイカ、合成マイカ、タルク、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク、アルミニウムパウダー、ポリエチレンテレフタレート積層末等の光輝性粉体類、N-アシルリジン等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン等の複合粉体類等が挙げられる。
これらのうち、セリサイト、マイカ、合成マイカ、タルクを用いることが好ましい。
【0016】
粉末の配合量は、化粧料全量中15~40質量%であることが必要である。また、20質量%以上であることが好ましい。粉末の配合量が少なすぎると、マット感が不足する。
また、35質量%以下であることが好ましい。粉末の配合量が多すぎると、なめらかさが低減したり、経時でのパサつきや乾燥感が高まったりする。
【0017】
((V)油分)
油分(V)は、揮発性油分、不揮発性液状油分、半固形油分、固形油分が挙げられる。
【0018】
((v1)揮発性油分)
揮発性油分は、化粧料に一般的に使用されているものであれば特に制限されず使用することができる。揮発性油分は、好ましくは沸点250℃未満の油分が挙げられる。
【0019】
揮発性油分としては、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられる。
【0020】
揮発性油分の配合量は、化粧料全量中5~50質量%であることが必要である。また、10質量%以上であることが好ましい。揮発性油分の配合量が少なすぎると、マット感が不足する。
また、30質量%以下であることが好ましい。揮発性油分の配合量が多すぎると、塗布時のフィット感が低減する。
【0021】
((v2)不揮発性液状油分)
不揮発性液状油分は、化粧料に一般的に使用されているものであれば特に制限されず使用することができる。不揮発性液状油分は、好ましくは沸点250℃以上の油分が挙げられる。
不揮発性液状油分としては、例えば、極性油分、炭化水素油、天然動植物油及び半合成油、シリコーン油等が挙げられる。
【0022】
本発明の化粧料には、不揮発性液状油分のうち、極性油分を含むことが好ましい。極性油分を配合することで、さらにしっとり感に優れた化粧料を得ることができる。
【0023】
本発明にかかる化粧料には、極性油分であるトリ(カプリル/カプリン)酸グリセリルを配合することが必要である。また、その配合量は、化粧料全量中10~30質量%であることが好ましい。また、20質量%以上であることがより好ましい。トリ(カプリル/カプリン)酸グリセリルの配合量が少なすぎると、マット感やしっとり感に劣る場合がある。
また、25質量%以下であることがより好ましい。トリ(カプリル/カプリン)酸グリセリルの配合量が多すぎると、マット感やフィット感に劣る場合がある。
【0024】
その他の極性油分としては、例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、セバシン酸ジエチルヘキシル、オクチルドデカノール、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、オキシステアリン酸オキシステアリル、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸)ペンタエリスリチル、トリオクタノイン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒマシ油、セバシン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0025】
炭化水素油としては、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、α-オレフィンオリゴマー等が挙げられる。
天然動植物油及び半合成油としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、胚芽油、パーシック油、パーム油、レッドパーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、フェニルトリメチコン等が挙げられる。
【0026】
不揮発性液状油分の配合量は、化粧料全量中30~65質量%であることが必要である。また、35質量%以上であることが好ましい。不揮発性液状油分の配合量が少なすぎると、しっとり感が不足する。
また、60質量%以下であることが好ましい。不揮発性液状油分の配合量が多すぎると、マット感が不足する。
【0027】
((v3)半固形油分)
半固形油分は、化粧料に一般的に使用されているものであれば特に制限されず使用することができる。半固形油分は、好ましくは融点30~50℃の油分が挙げられる。
【0028】
半固形油分としては、例えば、ワセリン、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ダイマージリノール酸エステル、マカダミアナッツ油ポリグリセリル-6エステルズベヘネート、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等が挙げられる。
【0029】
((v4)固形油分)
固形油分は、化粧料に一般的に使用されているものであれば特に制限されず使用することができる。
【0030】
固形油分としては、例えば、固体油脂、ロウ類、固形炭化水素、高級アルコールが挙げられる。例えば、カカオ脂、硬化ヒマシ油等の固体油脂;モクロウ、カルナウバロウ、ミツロウ、サラシミツロウ、キャンデリラロウ、ホホバロウ等のロウ類:ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素ワックス;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール等の高級アルコール;シリコーンワックス等が例示される。
【0031】
本発明の化粧料は、P/V比が0.30~0.75であることが必要である。P/V比は、粉末の配合量を、液状油分の配合量で除することにより計算することができる。なお、P/V比は、色材を除いて算出した値である。P/V比が0.30~0.75であることにより、マット感を有しつつ、なめらかな使用感が得られる。
P/V比は、0.35以上であることが好ましい。また、P/V比は、0.38以上であることがより好ましい。P/V比が低すぎると、マット感が不足する。
また、P/V比は、0.60以下であることが好ましい。P/V比が高すぎると、なめらかさが低減したり、経時でのパサつきや乾燥感が高まったりする。
【0032】
本発明の化粧料において、塗布30分後のP/V比が0.5~0.8であることが好ましい。
【0033】
本発明の化粧料は、硬度が15~80gfであることが好ましい。本発明の化粧料は、硬度が15~80gfであることにより、化粧料の安定性がさらに良好になり、さらに種々の容器を用いることができる。
硬度は20gf以上であることが好ましい。硬度が低すぎると、フィット感に劣る場合がある。また、硬度は70gf以下であることが好ましい。硬度が高すぎると、なめらかさに劣る場合がある。
なお、硬度の測定方法は、サン科学社製レオメータを用いて次の条件で測定した(負荷重:2kg、針の径:5.6φ、針入深度:3mm、上昇速度:20mm/min、測定温度:25℃)。
【0034】
本発明の化粧料は、チューブ状容器やジャー容器など種々の容器に充填することができるが、チューブ状容器に充填することが好適である。マットな仕上がりの化粧料は、化粧料の硬度や粘度が硬いため、チューブ状化粧料にすると容器から出すことが困難であったため、チューブ状化粧料にすることが困難であった。しかし、本願発明では、マットな仕上がりでありながらも、なめらかで塗布しやすいチューブ状化粧料を得ることも可能である。
【0035】
本発明にかかる化粧料には、上記必須成分以外に、通常化粧料に使用される成分、例えば、色材、界面活性剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、保湿剤、紫外線吸収剤、美容成分、繊維、香料、水等を必要に応じて配合することができる。
【0036】
また、本発明にかかる化粧料には、色材を配合しても良い。色材は、製剤を着色することを目的に配合されるものである。色材としては、顔料、パール顔料、これらをレーキ化したものなど、化粧料に通常配合されるものを使用することができる。
【0037】
具体的には、無機白色系顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛)、無機赤色系顔料(酸化鉄(べンガラ)、チタン酸鉄)、無機褐色系顔料(γ-酸化鉄)、無機黄色系顔料(黄酸化鉄、黄土)、無機黒色系顔料(黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン)、無機紫色系顔料(マンゴバイオレット、コバルトバイオレット)、無機緑色系顔料(酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト)、無機青色系顔料(群青、紺青)、パール顔料(酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔)、金属粉末顔料(アルミニウムパウダー、カッパーパウダー)、有機顔料(赤色202号、赤色205号、赤色220号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号)、ジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキの有機顔料(赤色3号、赤色104号、赤色227号、赤色401号、橙色205号、黄色4号、黄色202号、緑色3号、青色1号)、天然色素(クロロフィル、カルチノイド系(β-カロチン)、カルサミン、コチニール、カルコン、クルクミン、ベタニン、フラボノール、フラボン、アントシアニジン、アントラキノン、ナフトキノン)、機能性顔料(窒化ホウ素、フォトクロミック顔料、合成フッ素金雲母、鉄含有合成フッ素金雲母、微粒子複合粉体(ハイブリッドファインパウダー))等が挙げられる。
【0038】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等のポリオキシエチレン系界面活性剤、オクチルポリグリコシド等のアルキルポリグリコシド類、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル等のポリグリセリン系界面活性剤、マルチトールヒドロキシアルキルエーテル等の糖アルコールヒドロキシアルキルエーテル類、脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
また、高級脂肪酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、リン酸エステル類、アルキル硫酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、アミノ酸類、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、その他の界面活性剤を配合することもできる。
【0039】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0040】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0041】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0042】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0043】
皮膜剤としては、例えば、シリコーン化プルラン、トリメチルシロキシケイ酸、ジメチルアミノメタクリレート4級化塩、ビニルピロリドン・メタクリル酸-N,N-ジメチル-エチルアンチニオエチル塩共重合体、シリコーン/ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリルアルキル)コポリマー、デキストリン、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エチル、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸プロピルトリメチコン)コポリマー、ポリ酢酸ビニル、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー、ポリエーテルグラフトアクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、フロロ変成シリコーンレジン等が挙げられる。
【0044】
保湿剤としては、例えば、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0045】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0046】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);血行促進剤(ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β-ブトキシエステル、ミノキシジル又はその類縁体、ビタミンE類、γ-オリザノール、アルコキシカルボニルピリジンN-オキシド、塩化カルプロニウム、及びアセチルコリン又はその誘導体等);各種抽出物(例えば、ショウガ、ウバク、オウレン、シコン、バーチ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、ボタン、海藻等)、賦活剤(例えば、パンテニールエチルエーテル、ニコチン酸アミド、ビオチン、パントテン酸、ローヤルゼリー、コレステロール誘導体等);抗脂漏剤(例えば、ピリドキシン類、チアントール等)等が挙げられる。
【0047】
本発明の化粧料は、リップグロス、下地用のリップベース、口紅オーバーコート、リップクリームなどの唇用化粧料、アイシャドー、頬紅、ファンデーション、化粧下地等のメーキャップ化粧料、スキンケア化粧料、毛髪化粧料などに応用することができる。
【実施例
【0048】
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
実施例の説明に先立ち本発明で用いた評価試験方法について説明する。
【0049】
評価(1):硬度測定試験
容器充填前の試料の硬度を、サン科学社製レオメータを用いて以下の条件で測定した(負荷重:2kg、針の径:5.6φ、針入深度:3mm、上昇速度:20mm/min、測定温度:25℃)。
【0050】
評価(2):使用感(なめらかさ、マット感、縦じわの目立たなさ、しっとり感)
専門パネル10名が唇に試料を塗布し、塗布時の使用感(なめらかさ、マット感、縦じわの目立たなさ、しっとり感)を評価した。
A:9名以上が使用感が良好である(なめらかさがある、マット感がある、縦皺が目立たない、しっとり感がある)と回答した。
B:8名が使用感が良好であると回答した。
C:7名が使用感が良好であると回答した。
D:5名以上7名未満が使用感が良好であると回答した。
E:4名が使用感が良好であると回答した。
F:4名未満が使用感が良好であると回答した。
上記評価がE以上は、使用感がよく、Fは使用感が劣るものとした。
【0051】
評価(3):安定性
試料を低温(5℃)および高温(40℃)で30日間保管し、常温(25℃)で保管した標準品と比較し、分離等の有無を確認した。
G:分離なし
B:分離あり
【0052】
本発明者らは、下記表1および表2に示す化粧料(唇用化粧料)を常法により製造し、チューブ状容器に充填し、上記評価方法にて測定した。結果を表1および表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
試験例1-1より、揮発性油分の配合量が3質量%の場合、マット感に満足できないことが明らかになった。
試験例1-4、1-5より、極性油分(不揮発性液状油分)であるトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの配合量を増やすことで、マット感やしっとり感が向上することがわかる。
試験例1-6より、パルミチン酸デキストリンが少ない場合、安定性が悪くなってしまう傾向にあることがわかる。
【0056】
次に、本発明者らは、P/V比について検討を行った。本発明者らは、下記表3に示す化粧料(唇用化粧料)を常法により製造し、チューブ状容器に充填し、上記評価方法にて測定した。結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3より、P/V比が低すぎるとなめらかではあるものの、マット感が不足し、P/V比が高すぎるとマット感は高いものの、なめらかさおよびしっとり感が不足する傾向にあることが明らかになった。
【0059】
これらのことから、本発明にかかる化粧料は、以下の粉末(P)と、油分(V)を含み、P/V比が0.30~0.75であることを特徴とする。
(P)(p1)を含む粉末 化粧料全量中15~40質量%
(p1)パルミチン酸デキストリン 化粧料全量中3.5~10質量%
(V)(v1)および(v2)を含む油分
(v1)揮発性油分 化粧料全量中5~50質量%
(v2)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含む不揮発性液状油分 化粧料全量中30~65質量%