(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】空気質情報の提供装置及び提供方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/58 20180101AFI20230403BHJP
F24F 110/50 20180101ALN20230403BHJP
【FI】
F24F11/58
F24F110:50
(21)【出願番号】P 2020530227
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 JP2019027345
(87)【国際公開番号】W WO2020013228
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2018132664
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 剛司
(72)【発明者】
【氏名】小田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】黒井 聖史
(72)【発明者】
【氏名】笹井 雄太
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】槙原 進
【審判官】松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-152175(JP,A)
【文献】特開2002-92079(JP,A)
【文献】特開2010-267276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(20)において取得された空気質情報と他所の空間(30)において取得された空気質情報とを比較した比較情報を提供する提供部(10)と、
前記対象空間(20)の空気質情報の公開の可否をユーザーの指示に基づいて選択する選択部(15)とを備え、
前記対象空間(20)を特定する情報、及び前記対象空間(20)の前記空気質情報の公開は
、前記ユーザー以外の一
般に対して行われることを特徴とする、空気質情報の提供装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象空間(20)の空気質情報に基づいて、前記対象空間(20)の空気質を改善する改善案(13a,13b,13c)を提供することを特徴とする、空気質情報の提供装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記改善案(13a,13b,13c)として、改善の程度が異なる複数の改善案を提供することを特徴とする、空気質情報の提供装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記改善案(13a,13b,13c)を実施した場合の前記対象空間における空気質の改善の程度を予想して提供することを特徴とする、空気質情報の提供装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つにおいて、
前記対象空間(20)の空気質を改善するための製品及びサービスの少なくとも一方の発注情報をユーザーから受信する受信部(14)を備えることを特徴とする、空気質情報の提供装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つにおいて、
前記提供部(10)は、前記対象空間(20)及び前記他所の空間(30)についてカテゴリー別にソートされた前記比較情報を提供することを特徴とする、空気質情報の提供装置。
【請求項7】
提供部(10)が、対象空間(20)において取得された空気質情報と他所の空間(30)において取得された空気質情報とを比較した比較情報を提供する提供工程と、
前記対象空間(20)の空気質情報の公開の可否をユーザーの指示に基づいて選択する選択工程とを備え、
前記対象空間(20)を特定する情報、及び前記対象空間(20)の前記空気質情報の公開は
、前記ユーザー以外の一
般に対して行われることを特徴とする、空気質情報の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気質情報の提供装置及び提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気の状態を検知する技術として、予め規定された清浄レベルと、室内のセンシングデータとから空気の汚染度を演算し、その値を外部出力することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術の場合、対象とする空間の空気について検知した清浄レベルと、予め規定された清浄レベルとの比較は行っている。しかしながら、対象空間の清浄レベルを知ることができるのみであり、空間の使用目的等について同様である他の空間と比較した場合の相対的な清浄レベルを知ることはできない。このことから、ユーザーにとって、空間の使用目的、実情等に応じた清浄レベルの目標を設定することが困難である。
【0005】
本開示の目的は、対象空間の空気について、同様の他の空間の中での比較情報を含む空気質情報を提供する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、室内空気質情報の提供装置を対象とする。当該室内空気質情報の提供装置は、対象空間及び他所の空間の空気質情報をそれぞれ取得する取得部と、対象空間の空気質情報と他所の空間の空気質情報とを比較した比較情報を提供する提供部と、対象空間(20)の空気質情報の公開の可否をユーザーの指示に基づいて選択する選択部(15)とを備えている。
【0007】
第1の態様では、対象空間の空気質情報について、他の空間の空気質情報と比較して提供することができる。また、ユーザーが望む場合には、対象空間の空気質情報を公開することができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、対象空間の空気質情報に基づいて、対象空間の空気質を改善する改善案を提供する。
【0009】
第2の態様では、ユーザーは空気質の改善案を知ることができる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、改善の程度が異なる複数の改善案を提供する。
【0011】
第3の態様では、ユーザーは複数の改善案を知ることができる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第2又は第3の態様において、改善案を実施した場合の対象空間における空気質の改善の程度を予想して提供する。
【0013】
第4の態様では、ユーザーは改善案を実施した場合の改善の程度を知ることができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第4のいずれかの態様において、対象空間の空気質を改善するための製品及びサービスの少なくとも一方の発注情報をユーザーから受信する受信部を備える。
【0015】
第5の態様では、ユーザーは空気の質改善のために製品及び/又はサービスを発注することができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第1~第5のいずれかの態様において、提供部(10)は、対象空間(20)及び他所の空間(30)についてカテゴリー別にソートされた比較情報を提供する。
【0017】
第6の態様では、該当するカテゴリーにおける対象空間の空気質情報を知ることができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、室内空気質情報の提供法方を対象とする。当該室内空気質情報の提供法方は、取得部が、対象空間及び他所の空間の空気質情報をそれぞれ取得する取得工程と、提供部が、対象空間の空気質情報と前記他所の空間の空気質情報とを比較した比較情報を提供する提供工程とを備えている。
【0019】
第8の態様では、対象空間の空気質情報について、他の空間の空気質情報と比較して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本開示の室内空気質情報の提供装置及び提供方法について、概略を示す図である。
【
図2】
図2は、提供部(10)の表示の一例であり、対象空間(20)の具体的な空気質情報と、他所の空間(30)との比較におけるランキングを示す図である。
【
図3】
図3は、提供部(10)の表示の一例であり、特に、対象空間(20)の空気質についてのレーダーチャート(11)と、空気質を象徴するイメージ画像(12)を示す図である。
【
図4】
図4は、提供部(10)の表示の一例であり、対象空間(20)の空気質の改善案を提供する図である。
【
図5】
図5は、提供部(10)の表示の一例であり、空気質の改善案の1つについての詳細と、当該案を実施した際に予想される改善結果を示す図である。
【
図6】
図6は、提供部(10)の表示の一例であり、対象空間(20)の空気質情報について公開するか否かを選択する選択部について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
《実施形態》
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における室内空気質情報の提供装置及び提供方法について模式的に示す図である。
【0022】
図1に示す室内空気質情報の提供装置は、対象空間(20)及び他所の空間(30)の空気質情報をそれぞれ取得する取得部(21,31)と、対象空間(20)の空気質情報と他所の空間(30)の空気質情報とを比較した比較情報を提供する提供部(10)とを備えている。
【0023】
より具体的に、
図1において、対象空間(20)の一例である対象ビル(20)の室内空気質情報が、センサ(21)により取得される。また、他所の空間(30)の例である少なくとも一つの他所のビル(30)の室内空気質情報が、センサ(31)により取得される。これらの室内空気質情報は、クラウド(40)を利用し、インターネット回線等を通じて伝達され、提供部(10)に提供される。ここで、対象空間(20)の室内空気質情報については、クラウド(40)を介することなく提供部(10)に直接伝達されても良い。
【0024】
尚、対象ビル(20)における室内空気質情報もクラウド(40)に提供されている。他所の空間(30)の一つである特定の他所のビル(30)においても、本開示の室内空気質情報の提供装置を用いることができる。その場合、当該他所のビル(30)の立場からは、対象ビル(20)は「他所の空間」の一つである。
【0025】
提供部(10)は、スマートフォン及びタブレットを含む手持ちの端末、一般的なコンピュータのモニター等を利用しても良いし、表示画面を含む専用の装置を備え付けるのであっても良い。
図1では、提供部(10)の一例としてタブレット(10)を示している。提供部(10)は、対象ビル(20)に設置する、設備の保守を行うサービスマンが携帯する等であっても良い。
【0026】
このようなシステムによると、対象空間(20)の空気質情報を単独に提供することに加えて、他所の空間(30)における空気質情報と比較した相対的な情報を提供することができる。
【0027】
比較情報は、対象空間(20)及び他所の空間(30)の空気質情報それ自体又は当該空気質情報を評価した点数に基づくものであっても良い。点数とは、二酸化炭素濃度等の項目毎に、所定の方法によって評価した値である。例えば、二酸化炭素濃度について、一定時間のうち所定の閾値を超えなかった時間の割合を点数としても良い(90%の時間、閾値を超えなかった場合に90点とする等)。また、PM2.5濃度について、0~5ppmの場合を100点、5~10ppmであれば90点というように値の範囲に基づいた点数を付けても良い。更に、各項目の点数に基づいて総合的な点数を付けても良い。
【0028】
また、比較の方法としては、対象空間についての値と平均値との比較、偏差値による表示、順位づけて表示するランキング、複数の段階に分類して表示するクラス分け等を含んでいても良い。各種のグラフ、色、写真等を用いて視覚的に表示しても良い。
【0029】
図2には、提供部(10)における表示の例を示す。
図2では、対象空間(20)及び他所の空間(30)における空気質について、温度及び湿度に基づく指数(Tem/Hum)、二酸化炭素濃度(CO
2)、総揮発性有機化合物(TVOC:Total Volatile Organic Compounds)、PM2.5濃度、ホルムアルデヒド濃度(HCHO)の5つ項目について検知する例を示している。更に、当該5つの項目に基づいて空気質偏差値を算出し、合わせて6つの項目について表示している。尚、空気質に関する項目としては上記には限らず、他にも例えばCO(一酸化炭素)、PM10、O
3(オゾン)、NO
2(二酸化窒素)及びSO
2(二酸化硫黄)等についての情報を含んでいても良い。
【0030】
図2の例では、「○○ビル」と表記した対象空間(20)の空気質偏差値は34である。また、対象空間(20)と他所の空間(30)とを合わせて総数2365の空間における空気質偏差値を順位づけたとき、○○ビルは2164位であることを示している。尚、対象空間(20)である「○○ビル」以外については、数値及びビルの名称等を省略している。
【0031】
このように、対象空間(20)の室内空気質について、他所の空間(30)と比較したランキングとして表示することにより、対象空間の清浄レベルについて、維持、改善等のための目標を知ることができる。従って、対象ビル(20)の利用者は、必要であるか又は希望する製品及び/又はサービスを理解しやすくなる。また、製品及び/又はサービスの提供者は、購入を促しやすくなる。
【0032】
尚、この例では偏差値による順位付けを表示してるが、二酸化炭素濃度等の個々の項目について順位づけたランキングを表示しても良い。
【0033】
また、偏差値等により空気質を複数の段階に分類して表示するのであっても良い。つまり、偏差値順に1位から最下位まで順に並べる(ランキング形式の表示をする)ことの他に、偏差値に基づいて「優、良、可……」、「A、B、C……」等のクラスに分類して、これを表示するのであっても良い。このようにすると、対象空間(20)の空気質について、ランキングとは別に望ましい状態であるかどうかを知ることができる(ランキングとしては中程度であるが、注目している項目の空気質自体は十分に良好である等)。
【0034】
表示の形としては、例えば、
図2において順位の表示に代えて(又は追加して)クラス分けを表示するようにしてもよい。TVOC等の個々の項目についても、具体的な数値に変えてクラス分けを表示するようにしても良い。
【0035】
また、提供部(10)は、対象空間(20)及び他所の空間(30)についてカテゴリー別にソートされた前記比較情報を提供しても良い。
【0036】
対象空間(20)及び他所の空間(30)としては、テナントビル、病院、学校等の様々な用途が考えられる。また、対象空間が所在する地域(国、都道府県、気候区分、地形等)も様々である。更に、建物構造(鉄骨造、鉄筋コンクリート造等)、築年数等の建物の属性についても様々である。
【0037】
このような違いは対象空間(20)の空気質に影響し、また、望まれる空気質にも違いがある。そこで、対象空間(20)を用途、地域、属性等のカテゴリー別に空気質情報をソートして提供することにより、カテゴリー別の比較情報を知ることができる。また、偏差値等について、カテゴリー内における値を算出することもできる。ここで、カテゴリーは組み合わせても良い。
【0038】
例えば、東京都のテナントビルとして空気質の偏差値、九州におけるPM2.5濃度の順位、北海道の学校における温度及び湿度に基づく指数のクラス分け、等の形で空気質情報をソートして提供することにより、更に目的に即した情報を提供することができる。
【0039】
図3には、提供部(10)における表示の他の例を示す。
図3では、対象空間(20)の室内空気質について、
図2と同じ項目をレーダーチャート(11)に示している(破線)。また、同じレーダーチャート(11)において、他所の空間(30)における各項目の平均値を合わせて示している(実線)。このような表示を用いると、他所の空間(30)との比較における対象空間(20)の清浄レベルをより明瞭に示すことができる。
【0040】
また、
図3では、検知された室内空気質の各項目の値に基づいて、空気質を象徴するイメージ画像(12)を示している。
図3の場合、空気質偏差値が36であって空気質は低いので、空気質の低さを象徴するイメージ画像(12)を表示する。具体的な空気質に応じて、例えば、粉塵や排煙が発生している工場、交通量の多い道路、ほこりの多い雑踏等の写真であっても良い。このようなイメージ画像(12)を表示することにより、直感的・感覚的に対象空間(20)の空気質を把握することができる。
【0041】
また、室内空気質の提供装置において、対象空間(20)の空気質情報に基づいて、対象空間(20)の空気質を改善する改善案(13a,13b,13c)を提供しても良い。
【0042】
このとき、改善の程度が異なる複数の改善案(13a,13b,13c)を提供してもよい。また、改善案(13a,13b,13c)を実施した場合の対象空間(20)における空気質の改善の程度を予想して提供しても良い。
【0043】
このようにすると、ユーザーは空気質の改善案を知ることができる。また、改善の程度に合わせた複数の改善案を知り、選択することができる。更に、改善案を実施することにより予想される改善の程度を知ることができる。
【0044】
図4に、改善案の提供に関して例示する。この例では、二酸化炭素濃度の改善に関して、3種類の改善案を示している。それぞれ、実施した場合に予想される改善の程度を合わせて示している。
【0045】
第1の改善案(13a)では、座席の配置を変更することを提案し、二酸化炭素濃度を1500ppmから1300ppmに改善すると予想している。第2の改善案(13b)では、換気量を制御するためにVAV(可変風量装置)を設置することを提案し、二酸化炭素濃度を1500ppmから1100ppmに改善すると予想している。第3の改善案(13c)では、全熱交換器を設置することを提案し、二酸化炭素濃度を1500ppmから800ppmに改善すると予想している。それぞれの改善案(13a,13b,13c)について、費用、納期等を合わせて示しても良い。
【0046】
図4のように複数の改善案(13a,13b,13c)を並べて表示する画面において、任意の1つを選択可能にしても良い。ここでは提供部(10)としてタブレット(10)を用いているので、タップすることにより第3の改善案(13c)を選択できるようにする。
【0047】
図5に、第3の改善案(13c)を選択した場合に遷移する表示の例を示す。
図3の表示と類似しているが、空気質偏差値、空気質の順位等については第3の改善案(13c)を実施した場合の予想を示している。レーダーチャート(11)においても、対象空間(20)の室内空気質の測定値と、他所の空間(30)を含めた平均値とに加えて、改善案の実施後の予想値について示している。また、イメージ画像(12a)として、改善後の空気質を象徴する写真を示する。例えば、森林、清流等の写真であっても良い。
【0048】
このような表示により、ユーザーは、改善案を実施した場合の効果の予想を具体的に且つ直感的に知ることができる。
【0049】
尚、改善案の内容を示す画像(例としては全熱交換器)、発注した場合の予想される配送の日数、価格等について合わせて表示しても良い。
【0050】
更に、室内空気質の提供装置において、対象空間(20)の空気質を改善するための製品及びサービスの少なくとも一方の発注情報をユーザーから受信する受信部(14)を備えていても良い。
【0051】
図5では、受信部として、ユーザーが改善案を発注するための購入ボタン(14)を表示している。購入ボタン(14)がタップされることにより、ユーザーによる発注情報が受信される。
【0052】
このようにすると、ユーザーは、改善の効果の予想を確認した上で、製品及び/又はサービスを容易に発注することができる。製品及び/又はサービスの提供者にとっては、発注を促す効果が期待できる。
【0053】
また、室内空気質の提供装置において、対象空間(20)の空気質情報の公開の可否をユーザーの指示に基づいて選択する選択部(15)を備えていても良い。これにより、ユーザーの希望により、対象空間(20)の空気質情報を公開することができる。
【0054】
これに関して
図6に例示する。
図6では、空気質偏差値が68と良好であり、順位も2365件中で126位と上位になっている。このような空気質情報について、公開することの可否を選択するための選択部(15)を表示する。ユーザーが選択部(15)における「はい」をタップすると、対象空間(20)を特定する情報(ビルの名称等)、具体的な空気質情報(空気質偏差値、二酸化炭素濃度等の個々の項目)等を公開することができる。
【0055】
対象空間(20)の室内空気質が良好であれば、公開により、オフィス等の空気質が良好であること、空気質制御の設備が優れていること等を宣伝することができる。これにより、対象空間(20)であるビル等の価値をアピールし、高めることができる。
【0056】
尚、ユーザーとは、例えば、対象空間(20)を含むビル等を所有し、対象空間(20)について空調設備を設置している人物である。このようなユーザーが、製品及び/又はサービスの提供者(以下、「提供者」とする)との間で契約を締結し、空気質情報等の提供を受ける。尚、他所の空間(30)の所有者等(他のユーザー)についても、それぞれ提供者と契約を締結していると想定する。
【0057】
空気質情報は、このような契約を締結したユーザーのみに提供されるのであってもよい。この場合、契約を締結していない単なるビルの利用者等(例えば商業ビルの客)は、空気質情報を見ることはない。ユーザーは、他所の空間(30)との比較情報(平均値、偏差値、ランキング等)を見ることができる。また、他所の空間(30)の空気質情報が公開されている(当該空間のユーザーが公開を選択している)場合には、当該情報を見ることができる。ユーザーが公開を選択していない場合にも、ランキング等の比較情報には利用される。
【0058】
また、ユーザーは、空気質情報を一般にも(つまり、提供者と契約を締結しているユーザー以外にも)公開することを選択できる。そうした場合、優れた空気質を一般にアピールすること等が可能である。
【0059】
《その他の実施形態》
以上では、提示部(10)としてタブレットを用いる場合を説明したが、その他に、スマートフォン、パーソナルコンピュータのモニタ、専用の表示装置等を用いても良い。提示部(10)の種類が異なると、例えば画面サイズが異なるので、より大きい又は小さい画面サイズに対応させた表示方法及び操作方法を用いることが望ましい。コンピュータのモニタを提示部(10)とする場合、操作はタップに代えてマウス等のデバイスを用いて行っても良い。専用の表示装置であれば、専用の操作方法を用いる。
【0060】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本開示は、空気質情報の提供装置及び提供方法について有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 タブレット(提供部)
11 レーダーチャート
12 イメージ画像
12a イメージ画像
13a 第1の改善案
13b 第2の改善案
13c 第3の改善案
14 購入ボタン(受信部)
15 選択部
16a マーカー
16b マーカー
20 対象ビル(対象空間)
21 センサ(取得部)
30 他所のビル(他所の空間)
31 センサ(取得部)
40 クラウド