(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】トルク伝達シャフトにおける力および/またはトルクを規定するための測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01L 3/00 20060101AFI20230403BHJP
【FI】
G01L3/00 C
(21)【出願番号】P 2020540548
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(86)【国際出願番号】 AT2019060028
(87)【国際公開番号】W WO2019144172
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-24
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】513131176
【氏名又は名称】アーファオエル・リスト・ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】519223125
【氏名又は名称】ピエゾクリスト・アドバンスト・センソリクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・シュリッカー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ファルク
(72)【発明者】
【氏名】フランツ・ドライジープナー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート・コカール
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・プロープスト
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-105171(JP,A)
【文献】特許第3969142(JP,B2)
【文献】特許第6248709(JP,B2)
【文献】独国特許出願公開第102010024806(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0342253(EP,A1)
【文献】西独国特許出願公開第3019751(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク伝達シャフト(3)における力および/またはトルクを規定するための測定装置(1)であって
、その出力シャフトおよび/または入力シャフトが前記トルク伝達シャフト(3)によって形成されている機械
である軸受装置(2)によって支承されているものにおいて、
前記測定装置(1)は、少なくと
も3つまたは4つの圧電素子(4a、4b、4c、4d)と固定装置(5)とを有し、前記固定装置(5)は前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)を担持し、前記圧電素
子によって、前記
機械(2)と前記
機械(2)を支持するための
基板(10)との間の剪断力を測定可能になるように構成されて
おり、
前記固定装置(5)は、前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)の端面が、前記機械(2)の表面(18a)と前記基板(10)の表面(18b)とに少なくとも略平行に方向づけられているように構成されている測定装置(1)。
【請求項2】
前記固定装置(5)がさらに、摩擦接合によって前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)の端面(17a、17b)に対して平行に力を導入できるように構成されている、請求項1に記載の測定装置(1)。
【請求項3】
前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)が、前記固定装置(5)および/または前記
機械(2)および/または前記
基板(10)と、摩擦結合によって接続可能である、請求項1または2に記載の測定装置(1)。
【請求項4】
前記圧電素子が前記
機械(2)と前記
基板(10)との間の剪断力を測定するために設置および/または配置されており、および/または圧電剪断素子である、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項5】
前記固定装置(5)がさらに、前記
トルク伝達シャフト(3)の回転方向(D)に対して少なくとも略接線方向に力を測定可能なように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項6】
前記固定装置(5)および/または前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)が前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)を前記固定装置(5)と前記
機械(2)との間、または前記固定装置(5)と前記
基板(10)との間、または前記
基板(10)と前記
機械(2)との間に配置でき、予圧を負荷可能であるような方法で構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項7】
前記固定装置(5)が前記
基板(10)に対する前記
トルク伝達シャフト(3)の少なくとも一つの回転方向(D)において、前記
機械(2)がほぼ前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)によって支持可能なように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項8】
前記圧電素子が剪断力および押圧力の両方を、好ましくは少なくとも前記
トルク伝達シャフト(3)の略軸方向に測定できる複数部品の圧電センサである、請求項1から7のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項9】
前記圧電素子の少なくとも2つが剪断素子であり、少なくとも他の1つが押圧素子である、請求項1から7のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項10】
前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)の50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上が、前記固定装置(5)および/または前記
機械(2)のハウジング部(8a)および/または前記
基板(10)における凹部(7a、7b、7c、7d)、特に止まり穴に収容されている、請求項1から
9のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項11】
前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)がそれぞれ中空部(9a、9b、9c、9d)、特に中空円筒を有し、この中空部にはそれぞれ止めネジが案内可能であり、この止めネジは、前記
機械(2)と前記
基板(10)とを接続するために設置されている、請求項1から
10のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項12】
前記固定装置(5)がまた、前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)の前記中空部(9a、9b、9c、9d)と一直線上に並び、前記止めネジが収納可能な中空部を有する、請求項
11に記載の測定装置(1)。
【請求項13】
前記固定装置(5)が特に、前記
機械(2)を駆動系の様々な構成要素のハウジング(8)に取り付けるための取付板またはリング要素である、請求項1から
12のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項14】
前記リング要素が2つの構成要素間のシールとして実施され、および/またはシールと共に使用できるように実施されている、請求項
13に記載の測定装置(1)。
【請求項15】
前記固定装置(5)が
基板(10)に支持されている少なくとも2つの担持部材(5a、5b、5c、5d)を有し、前記担持部材(5a、5b、5c、5d)は、前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)のうちの1つがそれぞれ前記担持部材(5a、5b)
とハウジング(8)との間に位置するような方法で、前記
機械(2)の
前記ハウジング(8)の対向する第1の側面に、特に対で配置可能である、請求項1から
14のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項16】
少なくとも3つの担持部材(5a、5b、5c、5d)が、前記
機械(2)を定義された支承可能な方法で、前記ハウジング(8)の対向する2つの側面に配置可能である、請求項
15に記載の測定装置(1)。
【請求項17】
さらなる検出素子(11a、11b、11c、11d)が、前記担持部材(5a、5b、5c、5d)と前記
基板(10)との間にそれぞれ配置され、
前記さらなる検出素子(11a、11b、11c、11d)は、前記担持部材(5a、5b、5c、5d)と前記
基板(10)との間の静的および/または動的引張力および押圧力を測定するように設置され、好ましくは、歪ゲージおよび/または圧電素子として構成されている、請求項
15または
16に記載の測定装置(1)。
【請求項18】
トルク伝達シャフト(3)における力および/またはトルクを規定するための測定機構(9)であって、圧電効果に基づく測定装置(1)と
、シャフト(3)
と、
機械(2)
と、前記
機械(2)の支持装置(10)と、を有し、
前記
機械(2)は、前記シャフト(3)を支承し、
前記測定装置は、少なくとも2つ、好ましくは3つまたは4つの圧電素子(4a、4b、4c、4d)と固定装置(5)とを有し、前記固定装置(5)は前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)を担持し、前記圧電素子によって、前記機械(2)と前記機械(2)を支持するための支持装置(10)との間の剪断力を測定可能になるように構成されており、
前記測定装置(1)は、前記シャフト(3)の回転質量および/または前記シャフト(3)および
機械(2)からなるアセンブリの回転部の回転質量を変化させ
ず、
前記機械は、負荷および/または駆動機械であり、前記機械(2)は、前記測定装置(1)によって、前記支持装置(10)に支持されている測定機構(9)。
【請求項19】
前記
機械(2)が
、電気機器または内燃機関である、請求項
18に記載の測定機構(9)。
【請求項20】
前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)と前記固定装置(5)および/または前記
機械(2)および/または前記支持装置(10)との間には、ペーストが塗布され、摩擦係数を増加させる、請求項
18または19に記載の測定機構(9)。
【請求項21】
前記支持装置(10)と前記
機械(2)との間の前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)が、約40kN~約80kN、好ましくは約60kNの予圧で負荷される、請求項
18から
20のいずれか一項に記載の測定機構(9)。
【請求項22】
前記
機械(2)のハウジング部(8a)がまた、前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)の中空部と一直線上に並び、その中に止めネジが収容されている中空部を有する、
請求項11または12に記載の測定装置(1)を有する、請求項
18から
21のいずれか一項に記載の測定機構(9)。
【請求項23】
前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)の端面が、前記
機械(2)の表面(18a)と前記支持装置(10)の表面(18b)とに少なくとも略平行に方向づけられている、請求項
18から
22のいずれか一項に記載の測定機構(9)。
【請求項24】
請求項
18から
23のいずれか一項に記載の測定機構を備えた車両。
【請求項25】
請求項1から
17のいずれか一項に記載の測定装置、または請求項
18から
23のいずれか一項に記載の測定機構を備えた試験台。
【請求項26】
請求項1から
17のいずれか一項に記載の第1の測定装置が軸受装置としての駆動機械と接続され、請求項1から
17のいずれか一項に記載の第2の測定装置が軸受装置としての負荷機械と接続されている、請求項
25に記載の試験台。
【請求項27】
シャフト(3)に印加されるトルクおよび/またはシャフト(3)に印加される力を規定するための方法(100)であって、前記トルクおよび/または前記力が、少なくとも2つの圧電素子(4a、4b、4c、4d)によって、前記シャフト(3)
の軸受装置(2)の軸受の
前記軸受装置(2)への反力を測定することによって規定され、
前記反力が前記圧電素子(4a、4b、4c、4d)での剪断力として測定され
、
以下の作業ステップ:
- トルク曲線の不規則性、特にトルク振動および捩り振動について導出された値を試験するステップ(104c)、
- 被試験システムの特性の変化について導出された値を試験するステップ(104d)、
- 導出された値の曲線を投影するステップ(104e-1)、
- 前記軸受装置(2)の起こり得る過負荷について、投影された曲線を試験するステップ(104e-2)、および
- 投影される過負荷、および/または不規則性、および/または前記被試験システムの特性の変化が検知された場合に電力を適合し、特に削減するステップ(104e-3)、
の少なくとも1つをさらに有する方法(100)。
【請求項28】
前記反力の測定が、好ましくは、請求項18から
23のいずれか一項に記載の測定機構
(9)によって行われ、以下の作業ステップ:
- 第1の圧電素子(4a)の少なくとも1つの信号および第2の圧電素子(4c)の少なくとも1つの信号を検出するステップ(101)、および
- 前記第1の圧電素子(4a)および前記第2の圧電素子(4c)に印加されるトルク、および/またはぐらつき運動の発生を信号から導出するステップ(102)
を有する請求項
27に記載の方法(100)。
【請求項29】
前記圧電素子(4a、4c)が前記シャフト(3)の回転方向(D)に関して、公知の好ましい方向(V
1、V
3)、特に同じ好ましい方向(V
1、V
3)に方向づけられており、さらに、以下の作業ステップ:
-
回転方向における、前記圧電素子(4a、4c)の好ましい方向(V
1、V
3)の構成要素に対応した信号を合計するステップ(103)、および
- 信号から前記シャフト(3)の捩り振動の発生を導出するステップ(104a)
を有する請求項
28に記載の方法(100)。
【請求項30】
前記圧電素子(4a、4c)がその好ましい方向(V
1、V
3)が公知であるように、特に平行であるように方向づけられており、さらに、以下の作業ステップ:
- 前記圧電素子(4a、4c)の好ましい方向(V
1、V
3)の平行な構成要素に対応した信号を合計するステップ(103)、および
- 信号から前記軸受の反力を導出するステップ(104
b)
、
を有する請求項
28に記載の方法(100)。
【請求項31】
少なくとも導出された数の値の経時変化が記録される、請求項
27から
30のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項32】
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項
27から
31のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる指令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項33】
請求項
32に記載のコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項34】
コンピュータによって実行されると、
前記コンピュータに請求項
27から
31のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる指令を含む、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受装置、特に、その出力シャフトおよび/または入力シャフトがトルク伝達シャフトによって形成されている機械によって支承されている、トルク伝達シャフトにおける力および/またはトルクを規定するための測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ、特に内燃機関や電気機械を調整する場合、モータのシャフトのトルクを可能な限り正確に知ることが重要である。
【0003】
このために、歪ゲージや圧電センサを備えた測定装置を使用することが従来技術から公知である。
【0004】
静的力を測定するためには、一般的に歪ゲージや類似の測定素子が機能する。しかし、一般的に、この種の測定素子を有する測定システムは、動的力の経過を測定するには、反応時間が長すぎる。一方、圧電測定素子または圧電素子は、動的引張力、押圧力、剪断力の測定に適している。これらは、ダイナミックレンジが幅広く、剛性を有し、また、高い動的力を同時に高分解能で測定できる。
【0005】
特許文献1は、力およびトルク測定のための圧電検出素子に関し、この圧電検出素子は、少なくとも2つの圧電素子と、それらの間に配置された、絶縁材料からなる少なくとも1つの担持板とからなり、圧電素子は、担持板の座標系について結晶学的に予め配向されており、これと固定して接続されている。
【0006】
特許文献2は、複数の力測定セルと、アンプ機構とからなる力およびモーメント測定機構に関し、複数の力測定セルは、組付板の間に固定してネジ止めされて測定ユニットを形成し、モーメント形成が可能なように座標軸に対して配置されており、力測定セルの信号が、評価のためにアンプのグループに伝送され、また、その出力がオペアンプのグループに伝送され、これにより、個々の力構成要素と力モーメントの両方が測定可能になることを特徴としている。
【0007】
文献独国特許第102009014284号は、互いに平行に軸方向に対向し、半径方向内側にあるモーメント伝達要素によって互いに強固に接続されている第1および第2の円盤状の取付フランジからなるトルクセンサに関し、第2の取付フランジは、その半径方向外側の取付領域と、同軸方向内側にあるモーメント伝達要素との間の同軸上の周方向領域に、半径方向補強ウェブによって互いに分離された複数の切欠部と、剪断力検出器とを有する測定フランジとして構成されており、切欠部は、一方の面で軸方向外側に開口している少なくとも3つの測定ポケットによって形成されており、測定ポケットの基底面は、一様に薄く、ばね弾性を有する変形体である平坦な閉鎖面として構成されており、剪断力検出器は、基底面、または測定ポケットの軸方向に対向する外面に適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許公開第02666452号明細書
【文献】独国特許出願公開第19525222号明細書
【文献】独国特許第102009014284号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、トルク伝達シャフトに印加されるトルク、または印加される力の改善された規定を提供することである。特に、本発明の課題は、測定装置が、被試験システムでの測定に可能な限り影響を及ぼさない、好ましくは影響を及ぼさない測定装置、測定機構および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、トルク伝達シャフトの軸受装置における力および/またはトルクを規定するための測定装置、そのような測定装置を備えた測定機構、および独立請求項にかかるトルク伝達シャフトに印加されるトルクの規定方法によって解決される。有利な形態は、従属請求項において請求される。
【0011】
本発明の第1の態様は、軸受装置、特に、その出力シャフトおよび/または入力シャフトがトルク伝達シャフトによって形成されている機械によって支承されている、トルク伝達シャフトにおける力および/またはトルクを規定するための測定装置に関し、測定装置は、少なくとも2つ、好ましくは、3つまたは4つの圧電素子と固定装置とを有し、固定装置は圧電素子を担持し、圧電素子によって軸受装置と軸受装置を支持するための支持装置との間の力、特に剪断力を測定可能になるように構成されている。
【0012】
本発明の第2の態様は、トルク伝達シャフトにおける力および/またはトルクを規定するための測定機構に関し、圧電効果に基づく測定装置と、特に上記請求項のいずれか一項に記載の、シャフト、軸受装置および軸受装置の支持装置を有し、軸受装置はシャフトを支承し、測定装置はシャフトまたはシャフトアセンブリの回転質量を変化させない。特に、シャフトの回転質量は測定装置から独立している。
【0013】
本発明の第3の態様は、シャフトに印加されるトルクおよび/またはシャフトに印加される力を規定するための方法に関し、トルクおよび/または力は、少なくとも2つの圧電素子によって、シャフトの軸受装置の軸受の反力を測定することによって規定される。
【0014】
本発明の第4および第5の態様は、第1の態様にかかる測定装置、または第2の態様にかかる測定機構を有する試験台および車両に関する。
【0015】
本発明の第6および第7の態様は、コンピュータによって実行されると、コンピュータにそのような方法のステップを実行させる指令を含むコンピュータプログラムと、そのようなコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読な媒体に関する。コンピュータ可読な媒体は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本発明にかかる方法のステップを実行させる指令を含む。
【0016】
本発明の第1の態様においてさらに説明された特徴および利点については、本発明のさらなる態様にも通用し、またその逆も同様である。
【0017】
本発明の意味での固定装置は、好ましくは、圧電素子を担持するために、特に固定するために機能する。さらに好ましくは、固定装置は、個々の圧電素子を接続し、それにより、圧電素子は互いに相対的な位置に保持される。好ましくは、固定装置は取付板、リング要素、または取付ブラケットや測定フランジである。さらに好ましくは、固定装置は既存の装置、例えばギアまたは機械のハウジングの構成部材であってよい。これは、圧電素子を測定装置の固定装置に提供する。
【0018】
本発明の意味での圧電素子は、好ましくは、圧電素子と当接する2つの面を介して作用する力を測定するように設置された測定素子である。好ましくは、圧電素子は、圧電結晶と、電荷放出部または電気回路からなる。
【0019】
本発明の意味での測定装置は、好ましくは圧電センサである。この場合、測定装置は圧電素子のハウジングとして機能する。あるいは、測定装置は、圧電素子が別個のハウジングに配置された個々の圧電センサから構成されてもよい。
【0020】
本明の意味での機械は、エネルギー、好ましくは運動エネルギー、特に回転を電気エネルギーに、またはその逆に、または化学エネルギーを運動エネルギーに変換するように設置されている。本発明の意味での機械は、好ましくはハウジングを有する。
【0021】
本発明の意味での軸受装置は、好ましくは、シャフトを回転可能に支承するための装置であり、特に、転がり軸受、玉軸受または滑り軸受である。好ましくは、軸受装置はまた、ハウジングを有する。また、好ましくは、軸受装置自体も支持または支承されている。さらに好ましくは、軸受装置は、本発明によれば機械または機械の一部である。
【0022】
本発明の意味での支持装置は、好ましくは、この要素に作用する力および/またはトルクに対して要素を支持するための装置である。支持装置は、好ましくは、いわゆる反力または支承反力を与えるように設置されている。本発明の意味での支持装置は、好ましくは、軸受装置を支持するために機能する。支持装置は、好ましくは、ベルハウジング、駆動系のハウジング、または基板である。
【0023】
本発明の意味での「支承可能」という用語は、「支承できる」または「支承されている」ことを意味する。
【0024】
本発明の意味での「接続可能」という用語は、「接続できる」または「接続されている」ことを意味する。
【0025】
本発明の意味での「導入可能」という用語は、「導入できる」または「導入されている」ことを意味する。好ましくは、ある本体から別の本体への力の伝達を意味する。
【0026】
本発明の意味での「支持可能」という用語は、「支持できる」または「支持されている」ことを意味する。
【0027】
本発明の意味での「貫通可能」という用語は、「貫通できる」または「貫通されている」ことを意味する。
【0028】
本発明の意味での「負荷可能」という用語は、「負荷できる」または「負荷されている」ことを意味する。
【0029】
本発明の意味での「配置可能」という用語は、「配置できる」または「配置されている」ことを意味する。
【0030】
本発明は、特に、トルク伝達シャフトに印加される力および/またはトルクをこのトルク伝達シャフト上で直接測定しないというアプローチに基づく。
【0031】
従来技術では、このような力および/またはトルクを測定するために、例えば上記で引用した特許文献3に記載されるように、トルク伝達シャフトにネジ止めされるか、または他の方法で取り付けられている測定装置が一般的に使用されている。
【0032】
これに対し、本発明によれば、好ましくは、軸受によって支承されたシャフトの軸受装置に、支承の反力として印加される力が測定され、これらの力から、シャフトが加える力、またはシャフトに印加されるトルクが推測される。換言すると、本発明によれば、力伝達経路においてトルク伝達シャフト上とは異なる箇所で力が測定され、これらの力からトルク伝達シャフトに印加されるトルクが規定され、特に計算される。
【0033】
一方で、測定素子として使用される圧電素子の強度および剛性のために、軸受装置は、好ましくは、圧電素子によって完全に支持、または支承可能である。このため、圧電素子には好ましくは全負荷が印加されるか、または力の分流は少なくとも無視することができる。
【0034】
他方で、測定時に圧電素子を使用することにより、高い動的力の変化やトルクの変化を登録することができる。
【0035】
さらに、測定装置は回転シャフトの構成部材ではないため、測定結果を歪めない。本発明により、特に測定されるトルク伝達システム、特に試験台で被試験システムの運動質量または回転質量は変更されない。また、測定装置によって、振動ダンパとして作用するか、またはトルク伝達システムの固有周波数に影響を与え、特に歪めるような弾性がトルク伝達システムに加えられない。これは、圧電素子と比較して構成上比較的柔らかいため、被試験システムに影響を与える、測定素子として歪ゲージを有するシステムに比べて特に圧電素子の利点である。
【0036】
トルク伝達シャフトに測定フランジとして配置された測定装置が、回転数が高い場合にこのシャフトから離脱する危険性も、本発明にかかる測定装置、測定機構および方法によって排除される。
【0037】
さらに、本発明にかかる解決手段によれば、トルク伝達シャフトの動きを分析し、シャフトの動きの不規則性や振動を検知することが可能となる。特に、本発明にかかる測定装置、測定機構、および方法によって、シャフトのぐらつき運動が検知され、測定され得る。しかしながら、シャフト上に配置された測定フランジのような測定装置では、これは可能ではないか、または困難である。特に、そのような測定フランジでは、これが実際にぐらついているシャフトの位置にあることを保証できない。トルク伝達シャフトがその軸受装置または機械、特にモータに及ぼす力もまた、本発明によって規定することができる。そのような力は、測定フランジでは測定できず、利用可能な測定値から規定できないか、少なくとも正確には規定できない。
【0038】
このように、本発明にかかる解決手段により、シャフトに印加される動的トルク、およびシャフトの垂直方向および水平方向の振動を規定することができる。
【0039】
本発明の特に有利な点は、例えばレースでよく見られるようにベルハウジングのみで支承されるモータの場合、ベルハウジングおよびモータの間に本発明にかかる測定装置を配置することにより、トルク伝達駆動シャフトにおける力およびトルクを規定できることである。その場合、モータやシャフト上のさらなる測定点は不要である。測定装置は、そのような駆動系の動作に影響を与えないため、走行動作中、例えばレース中に、駆動系を診断するために使用することさえできる。
【0040】
さらに、本発明にかかる測定装置の有利な構成では、固定装置は、摩擦接合によって圧電素子の端面に対して平行に力を導入できるように構成されている。この構成は、圧電剪断素子を圧電素子として使用する可能性を提供している。特に、これにより、圧電素子の端面とそれぞれ力を導入する素子との間に摩擦による接合を確立する必要なく、2つの反対方向の力を単一の圧電素子によって測定できる。
【0041】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、圧電素子は、固定装置および/または軸受装置および/または支持装置と、摩擦結合によって接続可能である。これにより、固定装置と軸受装置との間、または固定装置と支持装置との間、または軸受装置と支持装置との間の力を、それぞれ圧電剪断素子を用いて測定できる。
【0042】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、圧電素子は、軸受装置と支持装置との間の剪断力を測定するために設置、および/または配置されており、および/または圧電剪断素子である。
【0043】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、固定装置は、シャフトの回転方向に対して少なくとも略接線方向に力を測定可能な方法でさらに構成されている。これにより、測定された力の煩雑なベクトル分解を行うことなく、シャフトに印加する力および/またはシャフトに印加するトルクの計算が容易になる。
【0044】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、固定装置および/または圧電素子は、圧電素子を固定装置と軸受装置との間、または固定装置と支持装置との間、または支持装置と軸受装置との間に配置でき、予圧を負荷可能であるような方法で構成されている。特に、固定装置および/または圧電素子は、このために特別に設けられた中空部を有していてもよい。
【0045】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、固定装置は、支持装置に対するシャフトの少なくとも一つの回転方向において、軸受装置がほぼ圧電素子によって支持可能なように構成されている。これにより、測定される力全体が圧電素子に確実に導入される。
【0046】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、圧電素子は、剪断力と押圧力の両方を、好ましくは少なくともシャフトの略軸方向に測定できる複数部品の圧電素子である。これにより、シャフトの回転方向とシャフトの軸方向の両方の力を測定できる。
【0047】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、圧電素子の少なくとも2つは剪断素子であり、圧電素子の少なくとも他の1つは押圧素子である。これによっても、シャフトの法線方向、特にシャフトの回転方向の接線方向の力と、シャフトの軸方向の力の両方を測定することが可能となる。
【0048】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、固定装置は、シャフトが貫通可能な開口部を有する。これにより、シャフトが軸受装置から離れる側から軸受装置を支持することが可能となる。
【0049】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、2つの圧電素子を有する測定機構において、第1の圧電素子および第2の圧電素子は、開口部に対して少なくとも略対向して配置され、圧電素子が2つ以上の場合には、圧電素子は、開口部に対して、好ましくは、開口部を通って案内され得るシャフトの回転軸に対して、互いに略同じ角度関係で配置され、好ましくは、圧電素子はすべて、開口部の中心点から同じ距離を有する。これらの代替的な構成により、シャフトに印加される力またはシャフトに印加されるトルクを、特に簡単に計算することができる。
【0050】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、圧電素子の50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上が、固定装置および/または軸受装置のハウジング部および/または支持装置における凹部、特に止まり穴に収容されている。これにより、固定装置を圧電素子のハウジングとして機能させることができる。特に、これにより、各圧電素子の周囲に個々のハウジングを設けることを回避できる。
【0051】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、圧電素子は、それぞれ中空部、特に中空円筒を有し、この中空部にはそれぞれ止めネジが案内可能であり、この止めネジは、軸受装置と支持装置とを接続するために設置されている。これにより、特に圧電素子に予圧または予荷重をかけることができ、これにより、圧電素子の端面とさらなる素子との間で摩擦接合を確立できる。
【0052】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、固定装置はまた、圧電素子の中空部と一直線上に並び、止めネジが支承可能な中空部を有する。これにより、止めネジを固定装置に通すこともできる。
【0053】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、固定装置は、特に、軸受装置を駆動系の様々な構成要素のハウジングに取り付けるための取付板またはリング要素である。これにより、本発明にかかる測定装置は、多数のモータおよび/または駆動系に対して特に普遍的に使用することができる。
【0054】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、リング要素は、2つの構成要素間のシールとして実施され、および/またはシールと共に使用できるように実施されている。この有利な構成では、測定装置は、周囲の構成要素が力を測定するために構成上わずかに適合させるだけで済むような方法で、既存のシール溝またはガイドに使用することができる。その際、被試験システムの回転質量は特に影響されない。
【0055】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、固定装置は、支持装置に支持されている少なくとも2つの担持部材を有し、ここで、担持部材は、圧電素子のうちの1つがそれぞれ担持部材とハウジングとの間に位置するような方法で、軸受装置のハウジングの対向する第1の側面に、特に対で配置可能である。この有利な構成は、支持装置が基板によって形成され、軸受装置が基板に支承されているモータ、特に電動機である場合に特に有益である。
【0056】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、少なくとも2つのさらなる担持部材が、圧電素子の1つが担持部材とハウジングとの間に配置されるような方法で、軸受装置のハウジングの対向する側面に配置可能である。
【0057】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、少なくとも3つの担持部材が、軸受装置を定義された支承可能な方法で、ハウジングの対向する2つの側面に配置可能である。
【0058】
本発明にかかる測定装置のさらなる有利な構成では、さらなる検出素子が担持部材と支持装置との間にそれぞれ配置され、ここで、さらなる検出素子は、担持部材と支持装置との間の引張力および押圧力を測定するように配置され、好ましくは、圧電素子または歪ゲージとして構成されている。これにより、動的力だけでなく、さらに静的力も測定装置で測定可能なさらなる測定素子を設けることができる。
【0059】
本発明にかかる測定機構の有利な構成では、軸受装置は機械、特に負荷および/または駆動機械、好ましくは電気機器または内燃機関である。ここで、機械はシャフトを収容し、シャフトに対する負荷モーメントまたはカウンターモーメントを表す。
【0060】
測定機構のさらなる有利な構成では、支持装置はベルハウジングである。好ましくは、この構成の測定装置は、シール面上またはベルハウジングと機械との間の境界面に適合するリング要素として構成されている。この特に有利な構成では、軸受装置はベルハウジングによって支持されており、それ以上の支持を必要としない。そのような構成は、特にレースモータに設けられている。本発明によれば、測定装置は、通常、ベルハウジングと機械との間に設けられたシール溝の領域に任意のシステム内に収納することができる。
【0061】
本発明にかかる測定機構のさらなる有利な構成では、圧電素子と固定装置および/または軸受装置および/または支持装置との間にペーストが塗布され、摩擦係数を増加させる。これにより、上述した個々の要素間の摩擦接合をさらに良好に保証することができる。
【0062】
本発明にかかる測定機構のさらなる有利な構成では、支持装置と軸受装置との間の圧電素子は、約40kN~約80kN、好ましくは約60kNの予圧で負荷される。これらの値によって、測定され通知される力またはトルクのための摩擦接合は、予圧によって負荷される要素に過負荷をかけることなく、特に良好に保証することができる。特に、この予圧の約10分の1までの剪断力を測定できる。
【0063】
本発明にかかる測定機構のさらなる有利な構成では、軸受装置のハウジング部はまた、圧電素子の中空部と一直線上に並び、その中に止めネジが収容されている中空部を有する。
【0064】
本発明にかかる測定機構のさらなる有利な構成では、圧電素子の端面が、軸受装置の表面と支持装置の表面とに少なくとも略平行に方向づけられている。この構成により、要素間の摩擦接合を特に良好に実現することができる。
【0065】
本発明にかかる試験台の有利な構成では、第1の測定装置が駆動機械上に配置され、第2の測定装置が軸受装置としての負荷機械上に配置されている。このような有利な構成により、例えば、モータシャフトが回転すると電気モータの出力トルクが揺れる、いわゆるトルクリップルが観測可能である。ここで、トルクリップルは、この使用例ではしばしば原動機と呼ばれている駆動機械の固有振動の一種に相当する。さらに、試験台、特に、検査対象物に伝達され得るダイナモメータのさらなる寄生的影響を規定することができる。
【0066】
本発明にかかる方法の有利な構成では、反力は、圧電素子での剪断力として測定される。
【0067】
本発明にかかる方法のさらなる有利な構成では、反力の測定は、好ましくは、本発明の第1の態様にかかる測定機構によって行われ、方法は、以下の作業ステップ:
- 第1の圧電素子の少なくとも1つの信号および第2の圧電素子の少なくとも1つの信号を検出するステップ、および
- 第1および第2の圧電素子に印加されるトルク、および/またはぐらつき運動の発生、および/またはシャフトの捩り振動を信号から導出するステップ
を有する。
【0068】
本発明によれば、軸受装置の支持部の2つの圧電素子によって少なくとも2つの異なる箇所で力を測定することによって、この箇所で作用するトルク以外の他のパラメータを導出することができる。例えば、シャフトが回転可能に支承されている場合に、シャフトの屈曲部が軸受装置のいずれかに作用するシャフトのぐらつき運動を誘発するかどうかを、力に基づいて判断できる。さらに、起こり得る振動に基づいて、シャフトの捩り振動も信号から導出することができる。試験台の有利な構成について既に説明したように、実際の測定タスクに対する試験台の一連の寄生的影響を特定することができる。
【0069】
本発明にかかる方法のさらなる有利な構成では、圧電素子は、シャフトの回転方向に関して、公知の好ましい方向、特に同じ好ましい方向に方向づけられており、この方法はさらに、以下の作業ステップ:
- 圧電素子の好ましい方向の構成要素に対応した信号を合計するステップ、および
- 信号からシャフトの捩り振動の発生を導出するステップ
を有する。
【0070】
シャフトの捩り振動を特定するために圧電素子の信号を有意義に評価するためには、シャフトの回転方向に対する個々の圧電素子の好ましい方向を知る必要がある。捩り振動の発生は、回転方向に対する標準化された構成要素の重ね合わせから導出することができる。
【0071】
本発明にかかる方法のさらなる有利な構成では、圧電素子は、その好ましい方向が公知であるように、特に、その好ましい方向が互いに平行であるように方向づけられており、方法は、以下の作業ステップ:
- 圧電素子の好ましい方向の平行構成要素に対応した信号を合計するステップ、
- 信号から軸受の反力を導出するステップ
をさらに有する。
【0072】
個々の圧電素子の標準化された平行構成要素を合計することで、軸受装置に作用する全体の動荷重を推論することができる。これは特に、起こり得る摩耗を早期に発見し、場合によって対策を取るのに有利になる。
【0073】
本発明にかかる方法のさらなる有利な構成では、少なくとも導出された数の値の経時変化が記録される。経時曲線から、試験台の構成要素のさらなる特性、または試験台または他の測定機構の寄生的影響を特定することができる。
【0074】
よって、本発明にかかる方法のさらなる有利な構成は、以下の作業ステップ:
- トルク曲線の不規則性について導出された値を試験するステップ、
- 被試験システムの特性の変化について導出された値を試験するステップ、
- 導出された値の曲線を投影するステップ、
- 軸受装置の起こり得る過負荷について、投影された曲線を試験するステップ、および
- 投影される過負荷、および/または不規則性、および/または被試験システムの特性の変化が検知された場合に電力を削減するステップ
のうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
この有利な構成は、被試験システム、特に駆動機械または原動機の分析に関する。好ましくは、被試験システムにおいて望ましくない特性が確認された場合には、制御部による適合によって、電力を調整することができる。したがって、この有利な構成は、好ましくは閉鎖調整回路に関する。
【0076】
例えば駆動系では、ギア歯車の生産誤差によりトルク曲線に不規則性が生じ、したがって、噛み合いギアのピッチ誤差が周期的なトルク増加につながる可能性がある。また、シャフトや駆動系全体の弾性変化は、経時変化を観察することで確認できる。最終的に、圧電素子の高速測定応答により、トルクの増加を検知し、未来さらに生じ得る曲線を予測することが可能となり、したがって、システムの増加と慣性によりトルクが臨界範囲に達するかどうかを確認できる。この時、電力の適合は機械を保護する役割を果たし、重大な損傷を防ぐことができる。
【0077】
さらなる利点および特徴は、図に関連した好ましい実施例の以下の説明から明らかである。図は、以下の少なくとも一部を模式的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】本発明の第1の態様にかかる測定装置の第1の実施例を有する、本発明の第2の態様にかかる測定機構の第1の実施例を示す。
【
図2】例えば
図1にかかる測定装置の第1の実施例における、測定装置の圧電素子の配置構成を示す。
【
図3】本発明の第1の態様にかかる測定装置の第2の実施例を有する、本発明の第2の態様にかかる測定機構の第2の実施例の一部を示す平面図および側面断面図である。
【
図4】本発明の第1の態様にかかる測定装置を有する本発明の第2の態様にかかる測定機構の第2の実施例の一部を示す分解斜視図である。
【
図5】
図3および
図4の本発明の第1の態様にかかる測定装置の第2の実施例の平面図および側面断面図である。
【
図6】
図5の側面断面図におけるA印の領域の拡大図である。
【
図7】本発明の第1の態様にかかる測定装置の第3の実施例を有する、本発明の第2の態様にかかる測定機構の第3の実施例の斜視図である。
【
図8】
図7による本発明の第2の態様にかかる測定装置の第3の実施例の一部と、被試験システムとを有する、試験台の下から見た平面図である。
【
図9】
図8による本発明の第2の態様にかかる測定装置の第3の実施例の一部をシャフト3の方向から見た側面平面図である。
【
図10】
図9にも示されている本発明の第2の態様にかかる測定装置の第3の実施例の一部の代替的な実施形態を示す。
【
図11】
図9および
図10にも示されている本発明の第2の態様にかかる測定装置の第3の実施例の一部のさらなる実施形態を示す。
【
図12a】
図2による測定素子の配置構成の測定信号の経時曲線を示す。
【
図13a】
図2による測定素子の配置構成の測定信号のさらなる経時曲線を示す。
【
図14】
図12bによる測定信号の評価のさらなる経時曲線である。
【
図15】本発明の第1の態様にかかる測定装置における測定素子のさらなる例示的な配置構成を示す。
【
図16】本発明の第3の態様による本発明にかかる方法の実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、本発明の第2の態様にかかる測定機構9の断面図である。
【0080】
取付板5として構成された測定機構9の測定装置1は、圧電素子4a、4b、4c、4dが部分的に埋め込まれた4つの凹部7a、7b、7c、7dを有する。さらに、取付板5は、穴として実施された中空部12、および開口部6を有する。
【0081】
さらに、
図1は、電動機として実施されている軸受装置2を示す。しかしこれは、内燃機関や、回転運動を発生させたり、受けたりする他の種類の機械であってもよい。軸受装置2は、前面側ハウジング部8a、8cと中間ハウジング部8bとを有するハウジングを有する。
【0082】
電動機2のシャフトは、前面側ハウジング部8aから軸方向に離れるため、
図1による斜視図では見えない。
【0083】
測定機構9の組み立てられた状態では、取付板1は、穴21aを通って圧電素子4a、4b、4c、4dおよび固定装置5を案内される止めねじ(図示せず)によって、対応する、電動機2の前面側ハウジング部8aの内ねじを備える穴にねじ止めされている。
【0084】
さらに、取付板5は中空部12によって、支持装置10の対応する、同様に内ねじを備える穴(図示せず)にねじ止めされている。示された実施例において、支持装置10は、好ましくは、クラッチベルまたはクラッチハウジングとも呼ばれるベルハウジングであり、一般的には、モータ、この場合には電動機2と、車両の駆動系における車両ギアとの間に配置されている。
【0085】
特に、取付板5は、ハウジング部を改造したものでもよいし、ベルハウジングのカバーを改造したものでもよい。
【0086】
組み立てられた状態では、シャフト3(視認できず)は、取付板の開口部6を通って案内され、これを介してギア(図示せず)に案内される。
【0087】
測定素子4a、4b、4c、4dは、止めねじ(図示せず)により発生した予圧によって端面17a、17b、17c、17dを介して電動機2の前面側ハウジング部8aに対して摩擦接合式に押圧され、これにより電気モータ2との摩擦接合が形成される。
【0088】
一方、既に説明したように、取付板5は、中空部12を通ってねじによって支持装置10、例えばベルハウジングに接続されており、この方法によってベルハウジング10に支持されている。
【0089】
好ましくは、電動機2は、他の支持部を有していない。
【0090】
この場合、シャフト3(図示せず)におけるトルクに対する電動機2の抵抗に対抗する電動機2の軸受の反力全体が、電動機2の前面側ハウジング部8aと圧電素子4a、4b、4c、4dとの間の摩擦接合部に作用している。
【0091】
この抵抗によってシャフト3(図示せず)に印加されるトルクは、圧電素子4a、4b、4c、4dの端面17a、17b、17c、17dの摩擦接合部に力が作用することで表される。これらの圧電素子4a、4b、4c、4dは、好ましくは、少なくとも1つの圧電剪断効果を有し、これにより、印加された剪断力に応じて圧電素子4a、4b、4c、4dの圧電結晶に電気的応力が発生する。
【0092】
好ましくは、圧電素子4a、4b、4c、4dは、押圧力を測定できるように構成してもよい。そのような構成では、シャフト(3)(図示せず)の軸方向における動的負荷を規定することもできる。これは、例えば、電動機を回転数で軸方向、周方向に押し退ける力がシャフトの屈曲部の腹部に発生するため、例えばその回転中にシャフトが屈曲することで発生し得る。
【0093】
印加された電気電圧は、電荷放出部22a、22b、22c、22dを介して評価装置(図示せず)に案内される。
【0094】
図2は、
図1の固定装置5に関しても示されるように、圧電素子4a、4b、4c、4dの配置構成を示す。
【0095】
また、圧電素子4a、4b、4c、4dに用いられる圧電結晶のそれぞれの好ましい方向V1、V2、V3、V4と同様に、軸X、Yを有する直交座標系が矢印で示されている。
【0096】
それぞれの好ましい方向V1、V2、V3、V4は、圧電素子のどの負荷方向に、特に端面17a、17b、17c、17dへの剪断力によって、圧電結晶に最も強い電圧が発生するかを表す。
【0097】
さらに、配置構成の幾何学的中心点Mから、圧電素子4a、4b、4c、4dの中心点までの距離dを表す。
【0098】
図1に示す測定装置1の第1の実施例において、この幾何学的中心点Mは、圧電素子4a、4b、4c、4dの配置構成に関連して、電動機2のシャフト3(図示せず)の位置も表している。ここで、距離dは、幾何学的中心点、面積中心点または質量重心点Mからの、個々の圧電素子4a、4b、4c、4dの幾何学的中心点、面積中心点または質量重心点Mまでの距離である。
【0099】
この場合、
図1の幾何学的中心点M、ひいてはシャフト3(図示せず)と同心に配置されている点線で示された円Dは、シャフト3(図示せず)の回転方向に対応する。したがって、圧電素子4a、4b、4c、4dまたはそれらの結晶の好ましい方向は、
図2の視野面に垂直な幾何学的中心点Mを通るシャフト3の回転方向Dに対してすべて接線となっている。
【0100】
図1に示す測定装置1の第1の実施例と同様に、圧電素子4a、4b、4c、4dは、それぞれ、止めねじまたは他のクランプ要素を案内可能な開口部または穴21a、21b、21d、21cを有する。
【0101】
図3は、測定装置1と、この場合ベルハウジングとして構成した支持装置10を備えた測定機構9の第2の実施例を平面図と側面断面図とで示したものである。
【0102】
ベルハウジング10は、モータ(図示せず)の設置側に向かって拡がる円錐形を有する。中空部12では、ベルハウジング10がねじによってモータ(図示せず)に取り付けられている。平面図では、ベルハウジング10は、組み立てられた状態でモータ(図示せず)に当接しているフランジの領域において、およそ閉じた蹄鉄の形状を有する。
【0103】
本実施例ではベルハウジング10とモータ(図示せず)との間に配置される一種のワッシャまたは中間要素として構成された測定装置は、ベルハウジングのフランジと同じ形状を有し、また、取付ねじ(図示せず)が案内され得る同じ中空部12を有する。測定装置1に関連して、これらの取付ねじは、好ましくは止めねじを形成し、さらに好ましくはこの止めねじにより圧電素子4の領域における摩擦接合が実現され得る。
【0104】
この第2の実施例の測定装置1の固定装置5a、5bは、以下に詳細に説明するように、好ましくは2つの部分から構成されている。圧電素子4は、好ましくは、固定装置5の2つの部分5a、5bのそれぞれの中空部または穴12の領域に配置され、固定装置5によって支持される。このため、示された実施例では、好ましくは8個の圧電素子がある。しかしながら、特に中間要素の中空部12の位置の間に、より多くのまたはより少ない圧電素子が設けられてもよい。
【0105】
測定機構9の第2の実施例では、測定装置1は、ベルハウジング10がモータ(図示せず)に取り付けられたときに、ベルハウジングのフランジ上に配置され、接合ねじ(図示せず)によってベルハウジングと共にモータ(図示せず)のハウジングにねじ止めされることが好ましい。
【0106】
個々の圧電素子4は、固定装置5に電線で接続され、そのような電線22を介して、好ましくは測定装置1の外部に配置された測定電子機器に接続されている。しかしながら、代替的に、そのような測定電子機器もまた、少なくとも部分的に、測定装置1の構成部材であり得る。
【0107】
図4は、再び、
図3による部分的な測定機構9の分解斜視図である。
【0108】
ここで明確にわかるのは、固定装置5a、5bによって形成され、モータとして構成された軸受装置2(図示せず)のシャフト3(図示せず)をギアに連結するために貫通させることができる開口部6である。
【0109】
図5は、
図3および
図4の測定装置9の第2の実施例に関連して表された、測定装置1の第2の実施例の平面図および断面図である。
【0110】
この第2の実施例の好ましい実施形態では、圧電素子またはその圧電結晶20a、20bが、シャフト3の回転方向D(図示せず)に、すなわちシャフト3の回転軸の周りの同心円に接線方向に方向づけられている好ましい方向V
1、V
2、V
3、V
4、V
5、V
6、V
7、V
8を有する。回転方向Dは、
図5において二重矢印で示されている。ここで、シャフト3(図示せず)は、時計回りおよび反時計回りの両方の回転方向Dに回転できる。
【0111】
代替的に、個々の圧電素子4の好ましい方向Vxは、任意のまたは他の定義による方向づけでもよい。以下に、いくつかの代替案を、以下の実施例に関連して示す。
【0112】
図6は、
図5の断面図における領域Aの拡大図である。中空部12の周囲に配置されるリング状の圧電素子4は、好ましくは、電極19を介して互いに接触する2つの圧電結晶20a、20bを有している。電極19は、2つの結晶間の電荷放出または電圧測定のために使用される。さらに、好ましくは、圧電結晶の端面17a、17bには、さらなる電極が配置されている。さらに好ましくは、これらの電極は、それぞれ固定装置5a、5bの一部によって形成されている。
【0113】
左側圧電結晶20aは固定装置の左側部分5aの凹部7a内に配置され、右側圧電結晶20bは右側圧電結晶20bの凹部7b内に配置されている。この時、両方の圧電結晶20a、20bは、それぞれの凹部7a、7bから固定装置5a、5bのそれぞれの部分の表面よりもわずかに突出しており、したがって、組み立てられた状態では固定装置5a、5bの両方の部分間に封止間隙16が生成されるか、または残される。好ましくは、1つの切欠部7aのみが存在してもよい。
【0114】
測定装置1が例えば
図3および
図4に示すように測定機構9内に置かれている場合、好ましくは、中空部12を通って案内されるクランプ手段(図示せず)、特に止めネジが、固定装置5a、5bの2つの部分を共に押圧する。この加えられた予圧により、左側圧電結晶20aと固定装置5aの左側部分との間、および右側圧電結晶20bと固定装置5bの右側部分との間に摩擦接合が生じる。
【0115】
固定装置の左側部分5aと右側部分5bの残りの中間面はまだ封止間隙16によって分離されているため、固定装置の2つの部分5a、5bは、圧電結晶20a、20bの端面17a、17bのみを介して支持されている。また、これら2つの端面を介して圧電素子4の圧電結晶20a、20bには、剪断力および/またはさらなる動圧力が印加される。
【0116】
他の実施例にも適用可能なこの第2の実施例の代替実施形態では、圧電素子4は、単一の圧電結晶20を有してもよい。
【0117】
図7は、本発明にかかる測定機構9の第3の実施例を示す。
【0118】
この実施例では、軸受装置2は、駆動系またはモータ試験台の、負荷機械および/または駆動機械、いわゆる原動機である。
【0119】
原則として、ここで同様に示されている測定装置5a、5b、5c、5d(視認できず)の第3の実施例は、試験台として他の種類の測定機構にも適用できる。
【0120】
出力シャフトおよび/または入力シャフト3を有する電動機2は、本実施例で支持装置を形成する基板10に、測定装置1によって支持されている。
【0121】
測定装置1は、4つの部分から構成されている。これらの部品はそれぞれ、圧電素子4a、4b、4c、4dと、担持部材として構成された固定装置5a、5b、5c、5dと、さらなる検出素子11a、11b、11c、11dとを有する。
【0122】
2つの担持部材5a、5b、5c、5dは、好ましくは、電動機2のハウジング8上にそれぞれ対向して配置されており、本実施例の場合、第3の担持部材5cに対向する第1の担持部材5aと、第4の担持部材5dに対向する第2の担持部材5b(視認できず)とが対になって配置されている。
【0123】
両方の担持部材の対は、共通のベースを形成する基板10上の適当な装置によって、電動機2のハウジング8に対して予圧をかけるか、または予荷重をかけることができ、したがって、ハウジングとそれぞれの担持部材11a、11b、11c、11dとの間に配置された圧電素子4a、4b、4c、4dとハウジング8との間で、または圧電素子4a、4b、4c、4dとそれぞれの担持部材11a、11b、11c、11dとの間で摩擦接合が生じ、これによって電動機2を基板10から離れた位置に保持することができる。このために、好ましくは、圧電結晶の端面にペーストが塗布されており、これにより摩擦係数が増加して摩擦接合が改善される。
【0124】
例えば、そのようなペーストは、第1の圧電素子4aおよび第2の圧電素子4bと電動機2のハウジング8の表面18aとの間に塗布してもよい。好ましくは、ペーストはさらに、第1の圧電素子4aと第2の圧電素子4bとの間に、それぞれの角度11a、11bで塗布される。
【0125】
さらに、担持部材11a、11b、11c、11d(視認できず)は、基板10に支持されている。好ましくは、さらなる検出素子11a、11b、11c、11dが、担持部材11a、11b、11c、11dと基板10との間に配置されている。さらに好ましくは、これらのさらなる検出素子11a、11b、11c、11dは、歪ゲージまたはさらなる圧電素子に基づくものである。
【0126】
これらは、好ましくは、基板10の表面18bに支持されている。
【0127】
測定装置1の担持部材5a、5b、5c、5dは、代替的または追加的に、電動機2のハウジング8の2つの端面に配置され、示された圧電素子またはさらなる圧電素子によって、これらの表面、例えばシャフト3が突出している表面と、摩擦接合に入ることができる。
【0128】
図8は、第3の実施例による
図7にかかる測定機構9を備えた試験台を示しており、この測定機構は、シャフト3を介して、ギアと、差動装置13と、2輪ダイナモメータ14a、14bとのアセンブリを有する駆動系の残りの部分に接続されている。
【0129】
なお、
図7の基板10は、
図8では見易さのために図示していないが、電動機2と測定装置1の配置構成は、
図7の下から見た図に相当する。
【0130】
シャフト3に印加されるトルクは、電動機2と測定装置1を介して基板10で支持されている。このように、基板10は、電動機2とシャフト3に設けられたホイールダイナモメータ14a、14bの抵抗との間に生じるトルクの反力を与える。
【0131】
図7に関連して既に説明したように、本発明の第3の態様による本発明にかかる測定方法を実施するために、圧電素子4a、4b、4c、4dの表面、特に端面17a、17b、17c、17dと電動機2の表面18aとの間に、および/または圧電素子4a、4b、4c、4dの表面、特に端面17a、17b、17c、17dと担持部材11a、11b、11c、11dのそれぞれの表面との間に摩擦接合が形成されるように、電動機2は担持部材5a、5cおよび5b、5dの対の間でクランプされる。したがって、圧電剪断効果を利用して、圧電素子4a、4b、4c、4dにおける力を測定でき、これによりシャフト3に印加される、ひいては電動機2に印加されるトルクを圧電素子4a、4b、4c、4dに作用させることができる。
【0132】
さらに、さらなる検出素子11a、11b、11c、11dを用いて、担持部材5a、5b、5c、5dと基板10(図示せず)との間の剪断力および/または押圧力、特に静圧力を測定できる。
【0133】
図9、
図10、
図11はそれぞれ、
図7、
図8の測定機構9の第3の実施例を、シャフト3を有する側から見た図である。したがって、第1の担持部材5aおよび第3の担持部材5c、ならびに測定機構1に属する対応する要素のみが視認できる。測定装置1のその他の要素は、その背後に隠れている。
【0134】
図9、
図10、
図11は、圧電素子4a、4b、4c、4dおよび他の検出素子11a、11b、11c、11dを用いて実行できる力測定の様々な選択肢を例示することを目的としている。
【0135】
図9において、圧電素子4a、4cを用いて、機械2のハウジング8の表面18aに平行なそれぞれの動的力F_
dynが、圧電剪断効果によって測定できる。これに対し、他の検出素子11a、11cは、歪ゲージを有する測定検出器として構成されており、したがって、基板10(図示せず)上の担持部材5a、5cによって作用される静的力F_
statを測定できる。検出素子11a、11cを用いて担持部材5a、5cを介した静的力を測定することにより、トルク変動だけが観察できるわけではない。シャフト3に加えられたトルクに基づいた検出素子11a、11cにおける力の差により、トルク3の絶対値も規定できる。
【0136】
図10は、圧電素子4a、4cが、機械2のハウジング8の表面18aに平行な動的力F_
dynだけでなく、表面18aに垂直な動的力F_
dyn’も測定する点で、
図9の実施形態とは異なる。
【0137】
これにより、シャフト3の回転位置に応じて圧電素子4a、4cに押圧力が異なるため、例えばシャフト3のF_dyn、F_dyn’方向へのぐらつき運動を測定することができる。
【0138】
図11は、他の検出素子11a、11cも圧電素子として構成されている点で、
図9の実施形態とは異なる。これらを例えば
図11に示すように圧電剪断素子として実施した場合、担持部材5a、5cと基板10(図示せず)との間の動的剪断力F_
dyn’、F_
dyn’を測定できる。また、
図10に示す構成のように、シャフト3のぐらつき動作を確認して解析することもできる。
【0139】
図12aは、例えば
図2に関連して説明したように、シャフト3が幾何学的中心点Mを通って図示面に対して垂直に走行している状態で、
図2に示すような測定素子4a、4b、4c、4dの配置構成において、4つの測定素子4a、4b、4c、4dに対する時間tまたはシャフトの回転角度radにわたる力の測定を示す。
【0140】
各測定センサは、図示された各時点で、ニュートンNの力に対応する信号を生成する。ここで、F4aは測定素子4aの測定信号、F4bは第2の測定素子4bの測定信号、F4cは第3の測定素子4cの測定信号、F4dは第4の測定素子4dの測定信号を表す。
【0141】
各測定信号は、実際には純粋な捩り振動の際の振幅が1である。この振幅は、測定信号F
4b、F
4c、F
4dでは、
図12aでより明確に表現できるように、係数を掛けて若干変化させた。
【0142】
さらに、測定信号F4a、F4b、F4c、F4dは、互いにわずかに位相がずれている。
【0143】
図12bは、測定信号F
4a、F
4b、F
4c、F
4dの評価を示す。一方で、それぞれの測定素子4a、4b、4c、4dに印加された個々の力F
4a、F
4b、F
4c、F
4dを合計し、合計を測定素子4a、4b、4c、4dを支持する固定装置5で計算し、その際、幾何学的中心点Mからの
図2の距離dを1と仮定した。
【0144】
この総トルクは、
図12bの図中の曲線Mzとして、時間tまたはシャフト3の回転角radにわたって単位Nmで示されている。
【0145】
この強い発振に基づいて、測定期間中に周期的に4Nm~-4Nmの強いトルク変動がシャフトに印加されていることがわかる。
【0146】
曲線F
xは、
図2のX方向における圧電素子F4a、F4b、F4c、F4dに印加された力の経時曲線を表している。
【0147】
図2に示す配置構成では、好ましい方向V
2、V
4を有する第2の測定素子4bおよび第4の測定素子4dが、それぞれ直交座標系のX方向に方向づけられているため、この方向の力は、特にこれら2つの測定素子4b、4dによって測定される。この方向に力が加えられた場合、好ましい方向V
1、V
3が直交座標系のY軸に平行に方向づけられている第1の測定素子4aおよび第3の測定素子4cは、本質的な寄与をしないか、あるいは全く寄与しない。
【0148】
直交座標系のY方向に対する第1の測定素子4aおよび第3の最後の測定素子4cに関しても同様であるため、Y方向FYの測定力は、略これら2つの測定素子4a、4cによって測定される。
【0149】
第2および第4の測定素子4b、4dの好ましい方向V
2、V
4が対向または平行であるか否かに応じて、測定された測定信号F
4b、F
4dを加算または減算して合計力を形成する必要がある。また、
図2による直交座標系のY方向の合計力F
Yに関して、第1および第3の測定センサ4a、4cによって規定された力、またはそれらの測定信号F
4a、F
4dについても同様である。
【0150】
図12bからわかるように、直交座標系のX方向とY方向には小さな力のみが生じ、それぞれがゼロ点を中心に振動する。したがって、シャフト3は、非常に弱いぐらつき運動を有する。これは、測定信号F
4a、F
4b、F
4c、F
4dの位相がわずかにずれていることに起因する。
【0151】
図12bによる合計力の規定のために、好ましい方向V
1、V
2、V
3、V
4が回転方向Dに対して接線方向に方向づけられていることは必ずしも必要ではない。しかしながら、好ましい方向V
1、V
2、V
3、V
4の方向づけは、個々の方向の合計力とトルクがベクトル構成要素の計算によって推測できるように、公知であるべきである。
【0152】
図13aは、
図2に示す測定素子4a、4b、4c、4dの配置構成で記録された測定信号F
4a、F
4b、F
4c、F
4dの他の図である。
【0153】
それぞれの測定信号は異なる振幅を有し、位相が対立している。このため、それらは別の曲線として容易に認識することができる。ここでも、
図13aに示すように、より見易くするために、わずかな位相シフトを行った。
図13aのF
4a、F
4b、F
4c、F
4dのような係数を用いた測定信号の乗算は行わなかった。
【0154】
図13bは、
図12bに示すように、測定素子に印加された個々のトルクを総トルクMzに加算し、X方向の力F
xとY方向の力F
yとを加算した図である。この図から、測定期間中は総トルクMzのゼロ点付近でわずかな変動があったことがわかる。一方、シャフト3は、特にX方向にはぐらつき運動を行い、Y方向のぐらつき運動は少なくなっていた。
【0155】
図14は、
図12bおよび
図13Bにかかる
図2による配置構成の測定素子4a、4b、4c、4dの測定信号のさらなる加算を、時間tまたはシャフト3の回転角度Radにわたって図示したものである。
【0156】
図から明らかなのは、特に総トルクMzは、約1000msの期間にわたって発振しながら揺れ動き、その後、発振が再び急激に減少し、さらに約1000msの期間にわたって再び揺れ動く点である。
【0157】
このような経過は、専門用語では、いわゆるトルクリップルと呼ばれている。このトルクリップルとは、原動機などの電動機が適切に制御されていないために、固有振動になってしまうことを意味する。
【0158】
本発明にかかる測定装置1、測定機構9、および本発明にかかる方法により、モータまたは試験台の多数のそのような特性を規定または分析することができる。
【0159】
上記の実施例は単なる例であり、本発明にかかる方法およびシステムの保護範囲、適用および構造を制限することを意図するものではない。むしろ、前記の説明は、特許請求の範囲およびそれらの同等の特徴の組み合わせから生じる保護の範囲を離れることなく、特に記載された構成部材の機能および配置構成に関して、様々な変更がなされる、少なくとも一つの実施例による実施のための指針を当業者に提供するものである。
【0160】
特に、提示された実施例の個々の特徴を組み合わせてもよい。例えば、測定素子4a、4b、4c、4dは、
図1および
図2の第1の実施例においても使用することができ、圧電効果による剪断力と押圧力の両方を測定できる。
【0161】
さらに、押圧力の測定に圧電効果のみが使用される別の配置構成において、測定素子4a、4b、4c、4dを有する本発明にかかる測定機構を、開口部6を有さない測定素子でも実現することも可能である。
【0162】
個々の実施例における様々な代替的な実施形態に関して既に述べたように、圧電素子4a、4b、4c、4dおよび他の圧電素子もまた、様々な有利な配置構成で配置することができる。
【0163】
例えば、
図15の第4の実施例は、
図2にかかる圧電素子の配置構成をさらに発展させたものであり、この場合、4つの測定素子4a、4b、4c、4dは、好ましい方向V
1、V
2、V
3、V
4の方向づけに関して総トルクMzを測定するのに特に適している。さらに、第4の実施例は、4つの測定素子4e、4f、4g、4hをさらに備えており、その好ましい方向V
5、V
6、V
7、V
8の方向づけは、直交座標系のX方向およびY方向の剪断力を測定するのに特に適している。
【0164】
さらに、特に測定装置は、
図3から
図6に示す第3の実施例にしたがって、リング要素として構成することができる。さらに、シールと一緒に溝に挿入できるように構成してもよく、それ自体が両面シール部材、特に
図3および
図4に示すようなベルハウジング10のためのシールリングとして構成してもよい。
【0165】
図8において、電動機2で使用されているような測定装置1は、ホイールダイナモメータ14a、14bにも使用することができる。原則として、
図8に示された第3の測定装置1の例とは関係なく、負荷機械と駆動機械またはそのシャフト3の両方の挙動の分析を可能にするために、負荷機械と試験台の駆動機械の両方に、本発明にかかる任意の測定装置を使用することが可能である。
【0166】
また、原則として、圧電素子4a、4b、4c、4dを、軸受装置2と支持装置10との間のトルク伝達経路に形状に合わせて配置することも可能である。この場合、圧電測定は、圧電素子4a、4b、4c、4dに押圧力および/または引張力を加えることによって行われる。
【0167】
図12a~
図14を参照して既に説明したように、本発明は、トルク伝達する支承されたシャフトに関連して生じ得る様々な現象を解析するために、シャフトに印加されるトルクまたはシャフトに印加される力を規定するための方法に適している。
【0168】
【0169】
そのような方法では、好ましくは、第1の圧電素子4a;4bの少なくとも1つの信号と第2の圧電素子4c;4bの少なくとも1つの信号が最初に検出される(ステップ101)。これらの信号から、印加トルクMzおよび/またはX方向Fxおよび/またはY方向Fyのぐらつき運動の発生および/またはシャフトの捩り振動が導出される(ステップ102)。
【0170】
捩り振動の測定は、好ましくは、入力シャフトと出力シャフトの両方の信号を取得し、これらの測定値に基づいてそれぞれのトルク振動を計算する。
【0171】
さらに好ましくは、信号は、圧電素子4a、4c;4b、4dの好ましい方向のそれぞれの向きの構成要素にしたがって合計される(ステップ103)。このためには、ベクトル分解によって、個々の測定信号を異なる空間方向の構成要素に分割することが必要であり得る。
【0172】
このことから、シャフト3の捩り振動の発生状況を導出することができる(ステップ104a)。代替的または追加的に、軸受の反力は、信号から導出することができる(ステップ104b)。
【0173】
好ましくは、トルク曲線の不規則性は、信号の経時曲線から、または派生値から推論できる(ステップ104c)。被試験システムの特性の変化もまた規定できる(ステップ104d)。さらに、経過を未来に投影することができ(ステップ104e-1)、軸受装置2の過負荷の可能性のある投影された経過を監視することができる(ステップ104e-2)。最後に、好ましくは、投影された過負荷が検知された場合には、電動機2の電力または試験台のダイナモメータを適合することができる(ステップ104e-3)。
【0174】
シャフト上のトルクMzおよび横力Fx、Fyを計算できるようにするために、好ましくは圧電素子4a、4b、4c、4dのそれぞれの好ましい方向V1、V2、V3、V4、測定信号S1、S2、S3、S4および/または測定された力のベクトル分解、特に直交分解が実行される。
【0175】
ここで、規定されるパラメータMz、Fx、Fyは方程式系の解であり、各測定信号に対して以下のような方程式が有効である。
S1=a11・Mz+a12・Fx+a13・Fy
S2=a21・Mz+a22・Fx+a23・Fy
S3=a31・Mz+a32・Fx+a33・Fy
・
・
・
SN=aN1・Mz …
【0176】
各係数aは、ここでは、センサのそれぞれの位置および基準システムにおける好ましい方向V1、V2、V3、V4の向き、それぞれの圧電素子4a、4b、4c、4dの感度、および取付手段を介した力の分流による信号損失の可能性などのいくつかの要因に依存する。
【0177】
トルク構成要素Mz、第1の横力成分Fxおよび第2の横力成分Fyのためのこのような方程式系を解くために、測定信号は、好ましい方向V1、V2、V3が単一の平面内に位置するように方向づけされた少なくとも3つの圧電素子4a、4b、4cから必要とされる。さらに、好ましい方向V1、V2、V3のうち少なくとも2つの方向は、平行でも反平行でもないことが必要である。
【0178】
N=3のこの一般的な場合、すなわち3つの圧電素子4a、4b、4cを有する場合には、上述の方程式系の解は明らかである。測定システム1にさらに圧電素子を追加すると、3つのパラメータMz、Fx、Fyが規定された状態で方程式系が過大に規定されてしまうが、再度測定精度を向上させることができる。
【0179】
N=4の場合、4つの異なる方程式系F(S1、S2、S3)、F(S1、S2、S4)、F(S1、S3、S4)、F(S2、S3、S4)を設定することができる。規定されるべき個々のパラメータMz、Fx、Fyに対して規定された値は、その後、加算され、平均化され、すなわち、4つの圧電素子4a、4b、4c、4dを4で割った場合に、規定され得る。同様に、最小化タスクによって解かれる過規定方程式F(S1、S2...、SN)を確立することができる。
【0180】
方程式の系の一般的な解が見つかった場合、規定されるべき構成要素Fx、Fy、Mzの計算は、行列の乗算に還元することができる。これは、3行と、測定信号S1、S2、S3、SNが利用可能な数だけの列を持っている。行列の要素または係数は、規定されるパラメータFx、Fy、Mzに対する個々のセンサのそれぞれの寄与を表す。
【0181】
【0182】
測定信号S1、S2、S3、S4をそれぞれのパラメータMz、Fx、Fyに寄与する構成要素に分解して規定するためには、圧電素子4a、4b、4cの位置と好ましい方向V1、V2、V3、V4の向きを知る必要がある。
【0183】
幾何学的パラメータは、測定システム1の構築図から、および圧電素子4a、4b、4dの好ましい方向の知識から規定することができる。
【0184】
しかし、圧電素子4a、4b、4c、4dの好ましい方向V2、V3、V4、V5の向きは、較正測定を用いて好ましい方向V1、V2、V3、V4を測定することにより規定することもできる。好ましくは、測定システム1は、このために2つの平板の間にクランプされる。次のステップでは、公知の方向を有する外部横力がかかる。導入された横力の大きさおよび方向に対する個々の測定信号S1、S2、S3、S4の大きさから、圧電素子4a、4b、4c、4dの好ましい方向V1、V2、V3、V4によってクランプされる平面内での圧電素子4a、4b、4c、4dの好ましい方向V1、V2、V3、V4を規定することができる。
【0185】
同様に、定義されたトルクMzを印加し、個々の測定信号S1、S2、S3、S4を測定することにより、個々の圧電素子4a、4b、4c、4dの好ましい方向V1、V2、V3、V4が公知であれば、回転軸Dからの圧電素子4a、4b、4c、4dのそれぞれの距離を規定することができる。
【0186】
記載されている実施例は単なる例であり、保護範囲、用途、構造を何ら制限することを意図したものではない。むしろ、上述した説明は、少なくとも一つの実施例を実施するためのガイドラインを当業者に提供するものであり、それによって、特に記載された構成部材の機能および配置構成に関して様々な変更が、特許請求の範囲およびこれらの同等の特徴の組み合わせから生じる保護範囲から離れることなく行われることが可能である。特に、個々の実施例は、互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0187】
1 測定装置
2 軸受装置
3 シャフト
4、4a、4b、4c、4d 圧電素子
5、5a、5b、5c、5d 固定装置
6 開口部
7a、7b、7c、7d 凹部
8、8a、8b、8c ハウジング
9 測定機構
10 支持装置
11a、11b、11c、11d 検出素子
12 固定装置の中空部/支持装置の中空部
13 ギアと差動装置
14a、14b ホイールダイナモメータ
15 試験台
16 封止間隙
17a、17b、17c、17d 端面
18a、18b 表面
19 電極
20a、20b 圧電結晶
21a、21b、21c、21d 穴
22、22a、22b、22c、22d 電荷放出部/電線