(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】ピッチ可変式バッテリー治具及びこれを有するセル電池化成装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20230403BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20230403BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/058
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021191084
(22)【出願日】2021-11-25
【審査請求日】2022-01-25
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】チーシェン・チュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジュイフン・ウェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン-ハオ・マー
(72)【発明者】
【氏名】チェンチー・シェ
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/122098(WO,A1)
【文献】特開2019-040861(JP,A)
【文献】特表2018-529182(JP,A)
【文献】特開2018-098082(JP,A)
【文献】特開2010-140844(JP,A)
【文献】特開2002-134176(JP,A)
【文献】特開2019-175670(JP,A)
【文献】国際公開第2014/178236(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01M 10/44-46
G01R 31/36-396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリートレイと協働するピッチ可変式バッテリー治具であって、前記バッテリートレイは、複数のバッテリーをそれぞれ収容するための複数の区画を含み、前記ピッチ可変式バッテリー治具は、
案内フレームと、
それぞれが本体と、挟持板と、少なくとも1つの充放電電極と、カップリング部材と、カップリング部と、を含み、前記本体が前記案内フレームにカップリングされ、相対的に摺動可能であり、前記挟持板、前記少なくとも1つの充放電電極、前記カップリング部材、及び前記カップリング部が前記本体に設けられており、前記カップリング部材が隣接する挟持ブロックの前記カップリング部にカップリングされている複数の挟持ブロックと、
前記案内フレームに取り付けられ、前記複数の挟持ブロックにカップリングされている摺動アクチュエータと、
を備え、
前記複数の挟持ブロックの前記挟持板が、前記バッテリートレイの前記複数の区画に少なくとも部分的に収容されると、前記摺動アクチュエータは、前記複数の挟持ブロックを駆動して、前記複数のバッテリーをそれぞれ圧縮するように前記複数の挟持ブロックの前記挟持板を付勢し、前記複数の挟持ブロックの前記充放電電極は、前記複数のバッテリーの電極と接触状態にある、ピッチ可変式バッテリー治具。
【請求項2】
前記案内フレームにカップリングされ且つ前記摺動アクチュエータと前記複数の挟持ブロックとの間に位置する押しブロックを更に備え、前記押しブロックは、前記摺動アクチュエータによって加えられる引張力によって、前記複数の挟持ブロックを引っ張るように付勢され、これにより、前記複数の挟持ブロックは、前記カップリング部材及び前記カップリング部によって制限され、且つ互いに一定の距離を置いて配置されており、前記複数の挟持ブロックの前記挟持板及び前記充放電電極が、前記バッテリートレイの前記複数の区画に少なくとも部分的に収容されると、前記押しブロックは、前記摺動アクチュエータによって前記複数の挟持ブロックを押すように付勢される、請求項1に記載のピッチ可変式バッテリー治具。
【請求項3】
前記挟持ブロックの前記カップリング部材は、フック部を含み、前記カップリング部は凹部であり、前記フック部は、隣接する前記挟持ブロックの前記凹部に挿入され、前記フック部は、前記凹部において自由に摺動することが可能である、請求項1に記載のピッチ可変式バッテリー治具。
【請求項4】
前記案内フレームは、案内レールと、案内棒と、を含み、前記挟持ブロックの前記本体は、案内スロットと、貫通穴と、を含み、前記挟持ブロックの前記案内スロットは、前記案内フレームの前記案内レールにカップリングされており、前記挟持ブロックの前記貫通穴は、前記案内棒に嵌合する、請求項1に記載のピッチ可変式バッテリー治具。
【請求項5】
各挟持ブロックは、2つの充放電電極を含み、前記2つの充放電電極は、前記本体の底部の両側にそれぞれ配置されている、請求項1に記載のピッチ可変式バッテリー治具。
【請求項6】
セル電池化成装置であって、バッテリートレイと、少なくとも1つの請求項1~5のいずれか一項に記載のピッチ可変式バッテリー治具と、を備え、前記バッテリートレイは、
前記バッテリートレイの両側にそれぞれ配置されている2つの摺動棒と、
前記2つの摺動棒に立設され、互いに一定の距離を隔てて、前記複数の区画を画定している複数の仕切り板と、
前記複数の仕切り板にカップリングされた圧縮板と、
を備え、
前記複数のバッテリーが、それぞれ前記複数の区画に収容されると、前記ピッチ可変式バッテリー治具は、前記バッテリートレイに近づき、これにより、前記複数の挟持ブロックの前記挟持板が、前記複数の区画に挿入され、且つ前記バッテリーと前記仕切り板との間にそれぞれ位置する、セル電池化成装置。
【請求項7】
前記ピッチ可変式バッテリー治具の前記挟持板が、前記バッテリートレイの前記複数の区画に少なくとも部分的に収容されると、前記複数の挟持ブロックは、前記ピッチ可変式バッテリー治具の前記摺動アクチュエータによって、前記複数のバッテリーを挟持するように付勢され、前記圧縮板は、セル電池化成工程を開始するために、前記複数のバッテリーを圧縮する、請求項6に記載のセル電池化成装置。
【請求項8】
前記バッテリートレイの両側にそれぞれ配置された、請求項1~5のいずれか一項に記載の2つのピッチ可変式バッテリー治具を備え、前記複数のバッテリーが、それぞれ前記複数の区画に収容されると、前記2つのピッチ可変式バッテリー治具は、同時に前記バッテリートレイに近づき、これにより、前記複数の挟持ブロックの前記挟持板は、前記複数の区画の、2つの対応する側にそれぞれ挿入され、且つ前記バッテリーと前記仕切り板との間に位置する、請求項6に記載のセル電池化成装置。
【請求項9】
前記バッテリートレイは、2つの位置決め棒を更に含み、前記2つの位置決め棒は、前記バッテリートレイの両側にそれぞれ配置されており、各位置決め棒は、前記複数の区画にそれぞれ対応する複数の仕切りブロックを含む、請求項6に記載のセル電池化成装置。
【請求項10】
各位置決め棒は、押しブロックを更に含み、前記ピッチ可変式バッテリー治具は、押し棒を更に含み、前記ピッチ可変式バッテリー治具が前記バッテリートレイに近づくとき、前記押し棒は、前記位置決め棒が回転されるように、前記押しブロックを押し、次いで、前記複数の仕切りブロックは、前記複数の仕切り板の外へ移動される、請求項9に記載のセル電池化成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッチ可変式バッテリー治具及びこれを有するセル電池化成装置(battery cell formation apparatus)に関し、特に、パウチ型リチウム電池のセル電池化成工程に適した装置、並びにセル電池化成工程中にバッテリーを挟持し、充電及び放電するためのバッテリー治具に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池が完成製品に製造される前に、それは、まずセル電池化成工程を経なければならない。所謂「セル電池化成工程」とは、パウチ型リチウム電池(半製品のリチウム電池)の電極を電気的に活性化する工程であり、これにより、パウチ型リチウム電池の化学成分は、元の流体状態から徐々に固体化し、電気エネルギーを蓄積するようになる。具体的には、パウチ型リチウム電池は、流体状態にあり且つ柔らかいパウチに充填されている化学成分をその内部に有するリチウム電池を指す。従って、セル電池化成工程の間、パウチ型リチウム電池は膨張することになるので、その形状を維持するために、均一な外部成形力(external shaping force)を加え続けることが必要である。「トレイ(TRAY)」と題する台湾特許第I424603号には、パウチ型リチウム電池のための従来のセル電池化成装置が開示されており、固定板と可動板との間の収容空間が、可動板がバッテリーを挟持するために移動されている間、パウチ型バッテリーを収容するために使用される。加えて、各固定板には、制限用の突起部が設けられており、これにより、バッテリーは均一に押圧され、各可動板と各固定板との間のピッチが維持され得る。従来技術では、パウチ型バッテリーは、連係軸によって駆動される可動板を移動させることによって挟持されるが、各可動板と各固定板との間のピッチは、制限用の突起部によって事前設定されており、従って、各パウチ型バッテリーに与えられる成形空間は、厚さの差が大きい(例えば、5~7mm)バッテリーについても変更できず、適切ではなかった。
【0003】
既存のパウチ型リチウム電池のセル電池化成装置には、ピッチ可変式電極治具が設けられてはいるが、それはまた、前述の従来技術の欠点を有し、即ち、適用可能なバッテリーの厚さが制限されており、また、ピッチ可変機構全体が複雑であり、短い耐用年数を有している。通常、連接棒又はチェーンが、電極治具を駆動するために使用される。従来技術の機構は、組み立てるのが複雑であり、そのメンテナンスは困難である。チェーンは、ある期間の後に伸びてしまい、チェーンが抜け落ちることを引き起こし、その張力は、定期的に再調整される必要があり、多大な費用がかかる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の主な目的は、異なる厚さを有する複数のバッテリーを同時に自動的に挟持し得、且つより広い範囲の厚さを有するバッテリーに適しているピッチ可変式バッテリー治具及びこれを有するセル電池化成装置を提供することである。
【0005】
上記目的を達成するために、複数のバッテリーをそれぞれ収容するための複数の区画を含むバッテリートレイと協働する、本発明のピッチ可変式バッテリー治具は、主に、案内フレームと、複数の挟持ブロックと、摺動アクチュエータと、を備える。各挟持ブロックは、本体と、挟持板と、少なくとも1つの充放電電極と、カップリング部材と、カップリング部と、を含む。本体は、案内フレームにカップリングされ、相対的に摺動可能である。挟持板、充放電電極、カップリング部材、及びカップリング部は、本体に設けられている。カップリング部材は、隣接する挟持ブロックのカップリング部にカップリングされている。摺動アクチュエータは、案内フレームに取り付けられ、複数の挟持ブロックにカップリングされている。複数の挟持ブロックの挟持板が、バッテリートレイの複数の区画に少なくとも部分的に収容されると、摺動アクチュエータは、複数の挟持ブロックを駆動して、複数のバッテリーを圧縮するように複数の挟持ブロックの挟持板を付勢し(urge)、複数の挟持ブロックの充放電電極は、複数のバッテリーの電極と接触状態にある。
【0006】
本発明のピッチ可変式バッテリー治具は、摺動アクチュエータを使用して、複数のバッテリーを圧縮するように複数の挟持ブロックの挟持板を駆動し、複数の挟持ブロックの間に配置されたカップリング部材及びカップリング部を含むカップリング機構によって、複数の挟持ブロックの挟持板は、バッテリーの実際の厚さに従って適応的に調整されて、バッテリーを挟持し得、即ち、調整されて、セル電池化成工程中にバッテリーの厚さを固定(fix)し得る。従って、本発明は、異なる厚さを有する複数のバッテリーを同時に挟持し得、挟持されることになるバッテリーの厚さの範囲は、比較的大きい。
【0007】
好ましくは、本発明のピッチ可変式バッテリー治具は、案内フレームにカップリングされ且つ摺動アクチュエータと複数の挟持ブロックとの間に位置する押しブロックを更に備え得る。摺動アクチュエータは、引張力を加えて、複数の挟持ブロックを引っ張るように押しブロックを付勢し、これにより、複数の挟持ブロックは、カップリング部材及びカップリング部によって制限され、且つ互いに一定の距離を置いて配置されるようになる。複数の挟持ブロックの挟持板及び充放電電極が、バッテリートレイの複数の区画に少なくとも部分的に収容されると、摺動アクチュエータは、引張力を終了させ、複数の挟持ブロックを押すように押しブロックを付勢し得る。換言すれば、複数の挟持ブロックの挟持板が複数の区画に入る前に、摺動アクチュエータは、挟持ブロック間のピッチを増大させるために、即ち、適用可能なバッテリーの厚さの範囲を拡張するために、複数の挟持ブロックを引っ張るように押しブロックを付勢することになる。複数の挟持ブロックの挟持板が複数の区画に入った後、摺動アクチュエータは、複数の挟持ブロックを押すように押しブロックを付勢し、これにより、複数の挟持ブロックは、個々のバッテリーの実際の厚さに従ってバッテリーを挟持する。
【0008】
本発明では、挟持ブロックのカップリング部材は、フック部を含み得、カップリング部は凹部であり、フック部は、隣接する挟持ブロックの凹部に挿入され得、フック部は、凹部において自由に摺動することが可能である。換言すれば、カップリング部として機能する凹部は、カップリング部材として機能するフック部の移動、特に、水平摺動のマージンを提供し、従って、挟持ブロック間の可変ピッチの範囲を提供し、また、適用可能なバッテリーの厚さの範囲を増大させる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のセル電池化成装置は、バッテリートレイと、上記で説明されたピッチ可変式バッテリー治具と、を備える、バッテリートレイは、主に、2つの摺動棒と、複数の仕切り板と、圧縮板と、を備え、ここにおいて、2つの摺動棒は、バッテリートレイの両側にそれぞれ配置されており、複数の仕切り板は、2つの摺動棒に立設されており、複数の仕切り板は、互いに一定の距離を隔てて、複数の区画を画定しており、圧縮板は、複数の仕切り板にカップリングされている。複数のバッテリーが、それぞれ複数の区画に収容されると、ピッチ可変式バッテリー治具は、バッテリートレイに近づき、これにより、複数の挟持ブロックの挟持板が、複数の区画に挿入され、且つバッテリーと仕切り板との間にそれぞれ位置する。
【0010】
従って、本発明のセル電池化成装置は、主に、バッテリートレイと、ピッチ可変式バッテリー治具とで構成されている。バッテリートレイは、主に、バッテリーを置くために使用され、圧縮力が、セル電池化成工程の間、バッテリーを成形するために加えられる。ピッチ可変式バッテリー治具は、バッテリーを挟持するために使用される。更に重要なことには、各バッテリーの実際の厚さに従って、化成されることになるバッテリーの厚さが成形され得る。
【0011】
更に、本発明のセル電池化成装置では、ピッチ可変式バッテリー治具の挟持板が、バッテリートレイの複数の区画に少なくとも部分的に収容されると、複数の挟持ブロックは、ピッチ可変式バッテリー治具の摺動アクチュエータによって、複数のバッテリーを挟持するように付勢され、圧縮板が複数のバッテリーを圧縮し、次いで、セル電池化成工程が開始される。即ち、ピッチ可変式バッテリー治具の挟持板が区画に入ると、挟持板は、バッテリーの実際の厚さに従ってバッテリーを挟持し、バッテリーは圧縮され、次いで、セル電池化成工程が開始される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明のセル電池化成装置の好ましい実施形態の上面図である。
【
図2】
図2は、本発明のバッテリートレイの好ましい実施形態の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明のピッチ可変式バッテリー治具の好ましい実施形態の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明のセル電池化成装置の好ましい実施形態の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のピッチ可変式バッテリー治具及びこれを有するセル電池化成装置が実施形態において詳細に説明される前に、以下の説明では、同様の構成要素は、同じ参照番号によって示されることに特に留意されたい。更に、本発明の図面は、単に例示的であり、それらは、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、全ての詳細が必ずしも図面に提示されている訳ではない。
【0014】
本発明のセル電池化成装置の好ましい実施形態の上面図である
図1を参照する。
図1に示されるように、この実施形態のセル電池化成装置は、主に、バッテリートレイ3と、2つのピッチ可変式バッテリー治具2と、を備える。2つのピッチ可変式バッテリー治具2は、バッテリートレイ3の両側に別々に配置されている。この実施形態のセル電池化成装置は、2つのピッチ可変式バッテリー治具2を、バッテリートレイ3に向かって又はそれから離れるように移動させるための移送モジュール(図示せず)と、セル電池化成工程の間、圧縮力を加えるための圧縮モジュールと、を更に備える。移送モジュールは、空気圧シリンダ、ねじと協働するモータ、又は2つのピッチ可変式バッテリー治具2を移動させることが可能な他の同等の構成要素であり得、圧縮モジュールもまた、空気圧シリンダ、ねじと協働するモータ、又はバッテリー4を圧縮することが可能な他の同等の構成要素であり得る。これらのモジュールの特定の動作は、以下で詳細に説明される。
【0015】
本発明のバッテリートレイ3の好ましい実施形態の斜視図である
図2を参照する。
図2に示されるように、この実施形態のバッテリートレイ3は、主に、2つの摺動棒32と、2つの位置決め棒5と、複数の仕切り板33と、圧縮板34と、を含む。2つの摺動棒32及び2つの位置決め棒5は、それぞれバッテリートレイ3の両側に配置されており、2つの位置決め棒5は、2つの摺動棒32の上方に配置されている。各仕切り板33には、その上縁部の対向する2つの端部に2つのタブ331がそれぞれ設けられており、従って、仕切り板33は、タブ331によって両側の摺動棒32に掛けられ得る。バッテリー4は、バッテリー4の上部開口部41を使用して、仕切り板33の上部においてピン332に掛けられるが、バッテリー4は、ピン332に係止されておらず、即ち、バッテリー4は、依然として、限られた範囲内で、ピン332上で自由に摺動し得る。
【0016】
各位置決め棒5は、複数の仕切りブロック51と、押しブロック52と、を含み、隣接する仕切りブロック51は、互いに一定の距離を置いて配置されている。各仕切りブロック51は、2つの仕切り板33の間に置かれ、即ち、バッテリー4を収容するための区画31が、仕切りブロック51によって、隣接する仕切り板33の間に形成される。圧縮板34は、複数の仕切りブロック51の一方の側に配置され、且つ圧縮モジュール(図示せず)に接続されており、従って、圧縮モジュールは、圧縮板34を通じて、仕切りブロック51及びバッテリー4を圧縮し得る。
【0017】
本発明のピッチ可変式バッテリー治具2の好ましい実施形態の斜視図である
図3を参照する。
図3に示されるように、この実施形態のピッチ可変式バッテリー治具2は、主に、案内フレーム21と、複数の挟持ブロック22と、押しブロック28と、摺動アクチュエータ29と、押し棒6と、を備える。この実施形態の案内フレーム21は、案内レール211と、案内棒212と、を含む。
【0018】
この実施形態の挟持ブロック22は、本体23と、挟持板24と、2つの充放電電極25と、カップリング部材26と、カップリング部27と、を含む。本体23は、案内スロット231と、貫通穴232と、を含む。案内スロット231は、案内フレーム21の案内レール211にカップリングされており、貫通穴232は、案内棒212に嵌合する。これによって、本体23は、案内フレーム21にカップリングされ得、相対的に摺動し得る。
【0019】
一方、挟持板24、充放電電極25、カップリング部材26、及びカップリング部27は、全て本体23に配設されている。挟持板24は、本体23に配設され、バッテリートレイ3の一方の側に向かって突出している。2つの充放電電極25は、本体23の底部の両側に別々に配置されており、バッテリートレイ3の一方の側に向かって突出している。この実施形態のカップリング部材26は、フック部261を含み、この実施形態のカップリング部27は、凹部であり、フック部261は、隣接する挟持ブロック22の凹部に挿入される。この実施形態での凹部の特定の寸法(長さ、幅、及び深さ)は、フック部261の特定の寸法(長さ、幅、及び高さ)よりも大きく、従って、フック部261は、凹部(即ち、カップリング部27)において自由に摺動し得ることに特に留意されたい。即ち、この実施形態のカップリング部材26及びカップリング部27の設計は、隣接する挟持板24間のピッチを可変にする。
【0020】
図1、
図2、及び
図3を同時に参照する。以下は、この実施形態のセル電池化成装置の動作の説明である。最初に、摺動アクチュエータ29は、引張力を加えて、複数の挟持ブロック22を引っ張るように押しブロック28を付勢し、これにより、複数の挟持ブロック22は、カップリング部材26及びカップリング部27によって制限され、且つ互いに一定の距離を置いて配置され、即ち、挟持ブロック22間のピッチが増大される。主な目的は、異なる厚さを有するバッテリー4に適合させるために、2つの隣接する挟持ブロック22の挟持板24間の距離と、充放電電極25間の距離とを増大させること、及び適用可能なバッテリーの厚さの範囲を増大させることである。
【0021】
本発明のセル電池化成装置の好ましい実施形態の部分拡大斜視図である
図4を参照する。2つのピッチ可変式バッテリー治具2は、バッテリートレイ3に向かって移動するように、移送モジュール(図示せず)によって駆動される。押し棒6は、押しブロック52を押し、位置決め棒5を回転させ、これにより、複数の仕切りブロック51は、位置決め棒5が回転するにつれて、複数の仕切り板33の外へと移動する。これは、隣接する挟持ブロック22間のピッチが、もはや仕切りブロック51によって制限されず、調整され得ることを意味する。更に、2つのピッチ可変式バッテリー治具2は、更に移動し、挟持板24を、仕切り板33とバッテリー4との間のバッテリートレイ3の区画31に徐々に挿入させる。次いで、充放電電極25は、バッテリー4の電極42と接触状態になる。
【0022】
一旦挟持ブロック22の挟持板24が区画31内に配置されると、摺動アクチュエータ29は、挟持板24間の距離がほとんどのバッテリー4を収容するのに十分であるという理由で、引張力を加えなくなる。この時、摺動アクチュエータ29は、挟持ブロック22を押すように押しブロック28を駆動し、これにより、挟持ブロック22の挟持板24は、バッテリー4を挟持するために仕切り板33と協働し、即ち、挟持板24は、個々のバッテリー4の実際の厚さに従ってバッテリー4を挟持する。
【0023】
次に、圧縮モジュール(図示せず)は、複数のバッテリー4を圧縮するように圧縮板34を駆動し、次いで、セル電池化成工程が開始され、即ち、バッテリー4は、ピッチ可変式バッテリー治具2上の充放電電極25によって充電及び放電される。最後に、セル電池化成工程が完了した後、圧縮モジュールは、圧縮力を加えなくなる。次いで、2つのピッチ可変式バッテリー治具2が、バッテリートレイ3から離れる方向に移動される。挟持ブロック22の挟持板24が、区画31の外へ移動された後、バッテリー4は取り出され得る。
【0024】
本発明では、ピッチ可変式バッテリー治具2の挟持ブロック22の挟持板24が区画31に入る前に、摺動アクチュエータ29が、挟持ブロック22のピッチを増大させ、即ち、適用可能なバッテリー厚さの範囲を拡張する。挟持板24が区画31に挿入された後、摺動アクチュエータ29は、バッテリーを挟持するように挟持板24を駆動し、従って、バッテリー4は、各バッテリーの実際の厚さに従って挟持され得る。この実施形態では、適用可能なバッテリーの厚さの範囲は、5mm~7mmである。しかしながら、先行技術は、このような大きい厚さの範囲を有するバッテリー4には、好適ではあり得ない。