IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タツタ電線株式会社の特許一覧

特許7254904シールドプリント配線板、シールドプリント配線板の製造方法、及び、接続部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】シールドプリント配線板、シールドプリント配線板の製造方法、及び、接続部材
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20230403BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/02 N
H05K9/00 R
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021507377
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2020011799
(87)【国際公開番号】W WO2020189686
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2019051386
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】春名 裕介
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-059802(JP,A)
【文献】特開2018-041953(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147423(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/147426(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/132951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムと、
シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムと、
導電性フィラーが接着性樹脂により金属箔に固定された接続部材と、
導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材とを備え、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、前記基体フィルムの上に前記電磁波シールドフィルムが配置されており、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層を前記接続部材の導電性フィラーが貫いて、前記接続部材の導電性フィラーが前記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、前記電磁波シールドフィルムの上に前記接続部材が配置されており、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び前記接続部材の金属箔に前記補強部材の導電性接着剤層が接触するように前記電磁波シールドフィルム及び前記接続部材の上に前記補強部材が配置されており、
前記基体フィルムのグランド回路と、前記補強部材の金属製補強板とが電気的に接続されており、
前記絶縁層が、平均粒子径D 50 が0.1μm以上、30μm以下の中空フィラーを含まず、0.1μm~30μmの中空部を含まないことを特徴とするシールドプリント配線板。
【請求項2】
前記補強部材の金属補強板の厚さが、0.05~1mmである請求項1に記載のシールドプリント配線板。
【請求項3】
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、前記接続部材は、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置されている請求項1又は2に記載のシールドプリント配線板。
【請求項4】
前記電磁波シールドフィルムは、さらに導電性接着剤層を含み、
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、
前記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層は、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項1~3のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項5】
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は導電性接着剤からなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項1~3のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項6】
前記電磁波シールドフィルムは、さらに絶縁接着剤層を含み、
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層側の前記電磁波シールドフィルムのシールド層の面は粗面化されており、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層の一部は、前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層を貫き、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項1~3のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項7】
ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムと、
シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムと、
導電性突起が金属箔に形成された接続部材と、
導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材とを備え、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、前記基体フィルムの上に前記電磁波シールドフィルムが配置されており、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層を前記接続部材の導電性突起が貫いて、前記接続部材の導電性突起が前記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、前記電磁波シールドフィルムの上に前記接続部材が配置されており、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び前記接続部材の金属箔に前記補強部材の導電性接着剤層が接触するように前記電磁波シールドフィルム及び前記接続部材の上に前記補強部材が配置されており、
前記基体フィルムのグランド回路と、前記補強部材の金属製補強板とが電気的に接続されており、
前記絶縁層が、平均粒子径D 50 が0.1μm以上、30μm以下の中空フィラーを含まず、0.1μm~30μmの中空部を含まないことを特徴とするシールドプリント配線板。
【請求項8】
前記補強部材の金属補強板の厚さが、0.05~1mmである請求項7に記載のシールドプリント配線板。
【請求項9】
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、前記接続部材は、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置されている請求項7又は8に記載のシールドプリント配線板。
【請求項10】
前記電磁波シールドフィルムは、さらに導電性接着剤層を含み、
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、
前記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層は、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項7~9のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項11】
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は導電性接着剤からなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項7~9のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項12】
前記電磁波シールドフィルムは、さらに絶縁接着剤層を含み、
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層側の前記電磁波シールドフィルムのシールド層の面は粗面化されており、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層の一部は、前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層を貫き、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項7~9のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項13】
ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムと、
シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムと、
金属箔が複数回屈曲して形成された山折り部を有する接続部材と、
導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材とを備え、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、前記基体フィルムの上に前記電磁波シールドフィルムが配置されており、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層を前記接続部材の山折り部が貫いて、前記接続部材の山折り部が前記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、前記電磁波シールドフィルムの上に前記接続部材が配置されており、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び前記接続部材の金属箔に前記補強部材の導電性接着剤層が接触するように前記電磁波シールドフィルム及び前記接続部材の上に前記補強部材が配置されており、
前記基体フィルムのグランド回路と、前記補強部材の金属製補強板とが電気的に接続されており、
前記絶縁層が、平均粒子径D 50 が0.1μm以上、30μm以下の中空フィラーを含まず、0.1μm~30μmの中空部を含まないことを特徴とするシールドプリント配線板。
【請求項14】
前記補強部材の金属補強板の厚さが、0.05~1mmである請求項13に記載のシールドプリント配線板。
【請求項15】
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、前記接続部材は、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置されている請求項13又は14に記載のシールドプリント配線板。
【請求項16】
前記電磁波シールドフィルムは、さらに導電性接着剤層を含み、
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、
前記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層は、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項13~15のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項17】
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は導電性接着剤からなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項13~15のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項18】
前記電磁波シールドフィルムは、さらに絶縁接着剤層を含み、
前記電磁波シールドフィルムは、前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層、前記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、
前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層側の前記電磁波シールドフィルムのシールド層の面は粗面化されており、
前記電磁波シールドフィルムのシールド層の一部は、前記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層を貫き、前記基体フィルムのグランド回路に接触している請求項13~15のいずれかに記載のシールドプリント配線板。
【請求項19】
ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムを準備する基体フィルム準備工程と、
シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムを、前記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、前記基体フィルムに積層する電磁波シールドフィルム配置工程と、
導電性フィラーが接着性樹脂により金属箔に固定された接続部材を、前記接続部材の導電性フィラーが、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、前記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、前記電磁波シールドフィルムに配置する接続部材配置工程と、
導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材を、前記補強部材の導電性接着剤層が、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び前記接続部材の金属箔に接触するように配置する補強部材配置工程とを含み、
前記絶縁層が、平均粒子径D 50 が0.1μm以上、30μm以下の中空フィラーを含まず、0.1μm~30μmの中空部を含まないことを特徴とするシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項20】
前記補強部材の金属補強板の厚さが、0.05~1mmである請求項19に記載のシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項21】
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、前記接続部材配置工程では、前記接続部材を、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置する請求項19又は20に記載のシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項22】
ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムを準備する基体フィルム準備工程と、
シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムを、前記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、前記基体フィルムに積層する電磁波シールドフィルム配置工程と、
導電性突起が金属箔に形成された接続部材を、前記接続部材の導電性突起が、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、前記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、前記電磁波シールドフィルムに配置する接続部材配置工程と、
導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材を、前記補強部材の導電性接着剤層が、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び前記接続部材の金属箔に接触するように配置する補強部材配置工程とを含み、
前記絶縁層が、平均粒子径D 50 が0.1μm以上、30μm以下の中空フィラーを含まず、0.1μm~30μmの中空部を含まないことを特徴とするシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項23】
前記補強部材の金属補強板の厚さが、0.05~1mmである請求項22に記載のシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項24】
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、前記接続部材配置工程では、前記接続部材を、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置する請求項22又は23に記載のシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項25】
ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムを準備する基体フィルム準備工程と、
シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムを、前記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、前記基体フィルムに積層する電磁波シールドフィルム配置工程と、
金属箔が複数回屈曲して形成された山折り部を有する接続部材を、前記接続部材の山折り部が、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、前記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、前記電磁波シールドフィルムに配置する接続部材配置工程と、
導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材を、前記補強部材の導電性接着剤層が、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び前記接続部材の金属箔に接触するように配置する補強部材配置工程とを含み、
前記絶縁層が、平均粒子径D 50 が0.1μm以上、30μm以下の中空フィラーを含まず、0.1μm~30μmの中空部を含まないことを特徴とするシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項26】
前記補強部材の金属補強板の厚さが、0.05~1mmである請求項25に記載のシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項27】
前記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、前記接続部材配置工程では、前記接続部材を、前記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置する請求項25又は26に記載のシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項28】
請求項19に記載のシールドプリント配線板の製造方法に使用される、導電性フィラーが接着性樹脂により金属箔に固定された接続部材。
【請求項29】
請求項22に記載のシールドプリント配線板の製造方法に使用される、導電性突起が金属箔に形成された接続部材。
【請求項30】
請求項25に記載のシールドプリント配線板の製造方法に使用される、金属箔が複数回屈曲して形成された山折り部を有する接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドプリント配線板、シールドプリント配線板の製造方法、及び、接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やコンピュータなどの電子機器は、小型化や高速処理化などにより、メイン基板や外部から受ける電磁波などのノイズの影響を受けやすくなっている。そのため、電磁波などのノイズを遮蔽するシールドフィルムを備えたプリント配線板の要求が高くなっている。また、このようなプリント配線板は、携帯電話やコンピュータなどに使用される電子部品が接続されて用いられ、使用時の曲げなどによって、電子部品が実装される実装部位には歪みなどが生じる場合がある。そのため、電子部品が実装される実装部位に対向する位置には、補強部材が設けられる。
【0003】
例えば、このような補強部材が形成されたシールドプリント配線板として、特許文献1には、以下のシールドプリント配線板が開示されている。
すなわち、特許文献1には、グランド用配線パターンが形成されたベース部材と、当該グランド用配線パターンを覆って当該ベース部材上に設けられた絶縁フィルムと、を有すると共に、電子部品が当該ベース部材の下面に設けられた実装部位に接続されたプリント配線板と、前記グランド用配線パターンと同電位であると共に前記実装部位に対向する領域まで配置された導電層と、当該導電層上に設けられた絶縁層と、を備え、前記プリント配線板上に設けられたシールドフィルムと、前記実装部位に対向する領域に配置され、前記シールドフィルム上に設けられた導電性を有する補強部材と、を有するシールドプリント配線板であって、前記補強部材は、球状の導電性粒子を含んだ導電性接着剤により前記絶縁層上に接着され、前記絶縁層は、前記導電性接着剤が接着された後において、当該導電性接着剤から突出した前記導電性粒子の突出長よりも薄い層厚みで形成され、前記導電性接着剤が前記絶縁層に接着された後において、前記導電性粒子が前記導電層と接触することを特徴とするシールドプリント配線板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-156457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシールドプリント配線板を製造する場合、プリント配線板にシールドフィルムを配置した後、補強部材の球状の導電性粒子が、シールドフィルムの絶縁層を突き破るように、補強部材をシールドフィルムにプレスすることにより、補強部材を配置することになる。
【0006】
この際、補強部材の導電性粒子に均等に圧力がかからず、一部の導電性粒子がシールドフィルムの絶縁層を充分に突き破れないことがあった。
特に、シールドフィルムの絶縁層に、シールドプリント配線板に設けられた回路パターンや、グランド開口部等に起因した凹部及び/又は凸部が形成されていると、補強部材及び導電性接着剤が凹部及び/又は凸部に追随できず、導電性粒子がシールドフィルムの絶縁層を突き破りにくくなることがある。
導電性粒子がシールドフィルムの絶縁層を充分に突き破っていない場合、電気抵抗値の増加につながる。
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムと、シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムと、導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材とを備えるシールドプリント配線板において、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されたシールドプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシールドプリント配線板は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムと、シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムと、導電性フィラーが接着性樹脂により金属箔に固定された接続部材と、導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材とを備え、上記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、上記基体フィルムの上に上記電磁波シールドフィルムが配置されており、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層を上記接続部材の導電性フィラーが貫いて、上記接続部材の導電性フィラーが上記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、上記電磁波シールドフィルムの上に上記接続部材が配置されており、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び上記接続部材の金属箔に上記補強部材の導電性接着剤層が接触するように上記電磁波シールドフィルム及び上記接続部材の上に上記補強部材が配置されており、上記基体フィルムのグランド回路と、上記補強部材の金属製補強板とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別のシールドプリント配線板は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムと、シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムと、導電性突起が金属箔に形成された接続部材と、導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材とを備え、上記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、上記基体フィルムの上に上記電磁波シールドフィルムが配置されており、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層を上記接続部材の導電性突起が貫いて、上記接続部材の導電性突起が上記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、上記電磁波シールドフィルムの上に上記接続部材が配置されており、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び上記接続部材の金属箔に上記補強部材の導電性接着剤層が接触するように上記電磁波シールドフィルム及び上記接続部材の上に上記補強部材が配置されており、上記基体フィルムのグランド回路と、上記補強部材の金属製補強板とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別のシールドプリント配線板は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムと、シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムと、金属箔が複数回屈曲して形成された山折り部を有する接続部材と、導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材とを備え、上記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、上記基体フィルムの上に上記電磁波シールドフィルムが配置されており、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層を上記接続部材の山折り部が貫いて、上記接続部材の山折り部が上記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、上記電磁波シールドフィルムの上に上記接続部材が配置されており、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び上記接続部材の金属箔に上記補強部材の導電性接着剤層が接触するように上記電磁波シールドフィルム及び上記接続部材の上に上記補強部材が配置されており、上記基体フィルムのグランド回路と、上記補強部材の金属製補強板とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0011】
これらの本発明のシールドプリント配線板では、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とを電気的に接続させるため、接続部材を使用している。
すなわち、これらの本発明のシールドプリント配線板では、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部により、電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部を、電磁波シールドフィルムのシールド層と接触させている。
そのため、本発明のシールドプリント配線板では、補強部材の金属製補強板と、電磁波シールドフィルムのシールド層とは、接続部材を介して電気的に接続可能である。
従って、これらの本発明のシールドプリント配線板では、接続部材を介し、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とを電気的に接続させることができる。
【0012】
また、従来のシールドプリント配線板を製造する際は、補強部材の導電性接着剤層に導電性フィラー等を配置し、導電性フィラー等が電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫くように補強部材の金属製補強板に圧力をかけていた。しかし、このような方法では、圧力が分散して、導電性フィラー等が充分に電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫けない場合があった。
本発明のシールドプリント配線板を構成する接続部材の金属箔は、補強部材の金属製補強板に比べ均等に圧力をかけやすい。そのため、本発明のシールドプリント配線板を製造する際に、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部が電磁波シールドフィルムの絶縁層を充分に貫きやすくなる。
従って、製造された本発明のシールドプリント配線板では、接続部材の導電性フィラー、導電性突起、又は、山折り部を、充分に電磁波シールドフィルムのシールド層と接触させることができる。そのため、電磁波シールドフィルムと、接続部材との間の電気抵抗値を低くすることができる。
その結果、本発明のシールドプリント配線板では、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されることになる。
【0013】
本発明のシールドプリント配線板では、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、上記接続部材は、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置されていてもよい。
従来のシールドプリント配線板を製造する際は、補強部材の導電性接着剤層に導電性フィラー等を配置し、導電性フィラー等が電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫くように補強部材に圧力をかけていた。
このような場合において、電磁波シールドフィルムの絶縁層に、基体フィルムに設けられたプリント回路等に起因した凹部及び/又は凸部が形成されていると、圧力が分散しやすくなり、導電性フィラー等が充分に電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫けない場合があった。
本発明のシールドプリント配線板を構成する接続部材の金属箔は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、その形状に合わせ変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部は、電磁波シールドフィルムの絶縁層を充分に貫くことができる。
【0014】
本発明のシールドプリント配線板では、上記電磁波シールドフィルムは、さらに導電性接着剤層を含み、上記電磁波シールドフィルムは、上記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層、上記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、上記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、上記電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層は、上記基体フィルムのグランド回路に接触していてもよい。
【0015】
また、本発明の別のシールドプリント配線板では、上記電磁波シールドフィルムは、上記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、上記電磁波シールドフィルムのシールド層は導電性接着剤からなり、上記電磁波シールドフィルムのシールド層は、上記基体フィルムのグランド回路に接触していてもよい。
【0016】
また、本発明の別のシールドプリント配線板では、上記電磁波シールドフィルムは、さらに絶縁接着剤層を含み、上記電磁波シールドフィルムは、上記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層、上記電磁波シールドフィルムのシールド層、及び、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の順に積層されてなり、上記電磁波シールドフィルムのシールド層は金属からなり、上記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層側の上記電磁波シールドフィルムのシールド層の面は粗面化されており、上記電磁波シールドフィルムのシールド層の一部は、上記電磁波シールドフィルムの絶縁接着剤層を貫き、上記基体フィルムのグランド回路に接触していてもよい。
【0017】
本発明のシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの構成が、上記構成であっても機能することができる。
【0018】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムを準備する基体フィルム準備工程と、シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムを、上記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、上記基体フィルムに積層する電磁波シールドフィルム配置工程と、導電性フィラーが接着性樹脂により金属箔に固定された接続部材を、上記接続部材の導電性フィラーが、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、上記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、上記電磁波シールドフィルムに配置する接続部材配置工程と、導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材を、上記補強部材の導電性接着剤層が、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び上記接続部材の金属箔に接触するように配置する補強部材配置工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の別のシールドプリント配線板の製造方法は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムを準備する基体フィルム準備工程と、シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムを、上記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、上記基体フィルムに積層する電磁波シールドフィルム配置工程と、導電性突起が金属箔に形成された接続部材を、上記接続部材の導電性突起が、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、上記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、上記電磁波シールドフィルムに配置する接続部材配置工程と、導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材を、上記補強部材の導電性接着剤層が、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び上記接続部材の金属箔に接触するように配置する補強部材配置工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の別のシールドプリント配線板の製造方法は、ベースフィルム上にグランド回路を含むプリント回路が形成された基体フィルムを準備する基体フィルム準備工程と、シールド層及び絶縁層を含む電磁波シールドフィルムを、上記電磁波シールドフィルムのシールド層の上に、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層が位置するように、上記基体フィルムに積層する電磁波シールドフィルム配置工程と、金属箔が複数回屈曲して形成された山折り部を有する接続部材を、上記接続部材の山折り部が、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、上記電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、上記電磁波シールドフィルムに配置する接続部材配置工程と、導電性接着剤層及び金属製補強板からなる補強部材を、上記補強部材の導電性接着剤層が、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層及び上記接続部材の金属箔に接触するように配置する補強部材配置工程とを含むことを特徴とする。
【0021】
これらの本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、接続部材の導電性フィラー、導電性突起、又は、山折り部が、電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、電磁波シールドフィルムのシールド層と接触するように、電磁波シールドフィルムに配置している。
そのため、製造されたシールドプリント配線板において、電磁波シールドフィルムと、接続部材との間の電気抵抗値を低くすることができる。
従って、本発明のシールドプリント配線板の製造方法により、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されたシールドプリント配線板を製造することができる。
【0022】
これらの本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、上記接続部材配置工程では、上記接続部材を、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置してもよい。
接続部材の金属箔は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、その形状に合わせ変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部は、電磁波シールドフィルムの絶縁層を充分に貫くことができる。
【0023】
上記本発明のシールドプリント配線板の製造方法に使用される、導電性フィラーが接着性樹脂により金属箔に固定された接続部材は、本発明の接続部材である。
また、上記本発明のシールドプリント配線板の製造方法に使用される、導電性突起が金属箔に形成された接続部材は、本発明の接続部材である。
また、上記本発明のシールドプリント配線板の製造方法に使用される、金属箔が複数回屈曲して形成された山折り部を有する接続部材は、本発明の接続部材である。
これらの本発明の接続部材を使用して、シールドプリント配線板を製造することにより、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されたシールドプリント配線板を製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のシールドプリント配線板では、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部により、電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫き、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部を、電磁波シールドフィルムのシールド層と接触させている。
そのため、本発明のシールドプリント配線板では、補強部材の金属製補強板と、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部とは、補強部材の導電性接着剤層及び接続部材の金属箔を介して電気的に接続可能である。
従って、これらの本発明のシールドプリント配線板では、接続部材を介し、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とを電気的に接続させることができる。
また、本発明のシールドプリント配線板を構成する接続部材の金属箔は、均等に圧力をかけやすい。そのため、本発明のシールドプリント配線板を製造する際に、接続部材の導電性フィラー、導電性突起又は山折り部が電磁波シールドフィルムの絶縁層を充分に貫きやすい。
従って、製造された本発明のシールドプリント配線板では、接続部材の導電性フィラー、導電性突起、又は、山折り部を、充分に電磁波シールドフィルムのシールド層と接触させることができる。そのため、電磁波シールドフィルムと、接続部材との間の電気抵抗値を低くすることができる。
その結果、本発明のシールドプリント配線板では、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板の断面図を模式的に示す断面図である。
図2図2は、絶縁層に凹部及び凸部がある電磁波シールドフィルムに、接続部材を使用せずに補強部材を配置したシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係る基体フィルム準備工程の一例を模式的に示す模式図である。
図5A図5Aは、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図5B図5Bは、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図6A図6Aは、本発明の第1実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図6B図6Bは、本発明の第1実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図7A図7Aは、本発明の第1実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図7B図7Bは、本発明の第1実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図8図8は、本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図9図9は、本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
図12図12は、本発明の第2実施形態に係る基体フィルム準備工程の一例を模式的に示す模式図である。
図13A図13Aは、本発明の第2実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図13B図13Bは、本発明の第2実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図14A図14Aは、本発明の第2実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図14B図14Bは、本発明の第2実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図15A図15Aは、本発明の第2実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図15B図15Bは、本発明の第2実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図16図16は、本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図17図17は、本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図18図18は、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図19図19は、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
図20図20は、本発明の第3実施形態に係る基体フィルム準備工程の一例を模式的に示す模式図である。
図21A図21Aは、本発明の第3実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図21B図21Bは、本発明の第3実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図22A図22Aは、本発明の第3実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図22B図22Bは、本発明の第3実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図23A図23Aは、本発明の第3実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図23B図23Bは、本発明の第3実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図24図24は、本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図25図25は、本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のシールドプリント配線板について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板1aは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、導電性接着剤層21a、シールド層22a及び絶縁層23aが順に積層された電磁波シールドフィルム20aと、導電性フィラー31が接着性樹脂32により金属箔33に固定された接続部材30と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
【0028】
シールドプリント配線板1aでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
また、シールドプリント配線板1aでは、基体フィルム10のグランド回路12aに電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aが接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20aが配置されている。
なお、シールドプリント配線板1aでは、基体フィルム10のプリント回路12bはカバーレイ13に覆われているので、プリント回路12bと、電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aとは接触していない。
【0029】
また、シールドプリント配線板1aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを接続部材30の導電性フィラー31が貫いて、接続部材30の導電性フィラー31が電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aの上に接続部材30が配置されている。
【0030】
また、シールドプリント配線板1aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材30の金属箔33に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20a及び接続部材30の上に補強部材40が配置されている。
【0031】
さらに、シールドプリント配線板1aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが電気的に接続されている。
【0032】
シールドプリント配線板1aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とを電気的に接続させるため、接続部材30を使用している。
すなわち、シールドプリント配線板1aでは、接続部材30の導電性フィラー31により、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫き、接続部材30の導電性フィラー31を、電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触させている。
そのため、シールドプリント配線板1aでは、補強部材40の金属製補強板42と、電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aとは、接続部材30を介して電気的に接続可能である。
従って、シールドプリント配線板1aでは、接続部材30を介し、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とを電気的に接続させることができる。
【0033】
また、従来のシールドプリント配線板を製造する際は、補強部材の導電性接着剤層に導電性フィラー等を配置し、導電性フィラー等が電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫くように補強部材の金属製補強板に圧力をかけていた。しかし、このような方法では、圧力が分散して、導電性フィラー等が充分に電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫けない場合があった。
シールドプリント配線板1aを構成する接続部材30の金属箔33は、補強部材40の金属製補強板42に比べ均等に圧力をかけやすい。そのため、シールドプリント配線板1aを製造する際に、接続部材30の導電性フィラー31が電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを充分に貫きやすい。
従って、製造されたシールドプリント配線板1aでは、接続部材30の導電性フィラー31を、充分に電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触させることができる。そのため、電磁波シールドフィルム20aと、接続部材30との間の電気抵抗値を低くすることができる。
その結果、シールドプリント配線板1aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが充分に電気的に接続されることになる。
【0034】
シールドプリント配線板1aには、電子部品が搭載されることになる。
電子部品の搭載部位の反対側に補強部材40を配置させることにより、実装部位を補強することができる。
そのため、シールドプリント配線板1aに電子部品を搭載する際に、実装部位に歪み等が生じることを防ぐことができる。
【0035】
また、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、接続部材は、電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置されていてもよい。
【0036】
このような、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部がある本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板を説明する前に、まず、接続部材を使用しない従来のシールドプリント配線板について説明する。
【0037】
従来のシールドプリント配線板において、基体フィルムには、グランド回路や、それ以外のプリント回路が形成されているので、基体フィルムには凹部及び/又は凸部が生じることになる。
凹部及び/又は凸部がある基体フィルムの上に電磁波シールドフィルムを配置すると、基体フィルムの凹部及び/又は凸部に起因して、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部が生じることがある。
特に電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層が薄い場合、電磁波シールドの絶縁層に、このような凹部及び/又は凸部が生じやすい。
【0038】
絶縁層に凹部及び/又は凸部がある電磁波シールドフィルムに、接続部材を使用せずに補強部材を配置する場合について図面を用いて説明する。
図2は、絶縁層に凹部及び凸部がある電磁波シールドフィルムに、接続部材を使用せずに補強部材を配置したシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
【0039】
図2に示すように、従来のシールドプリント配線板501は、ベースフィルム511上にグランド回路512a及びそれ以外のプリント回路512bが形成された基体フィルム510と、導電性接着剤層521、シールド層522及び絶縁層523が順に積層された電磁波シールドフィルム520と、導電性フィラー543を含む導電性接着剤層541及び金属製補強板542からなる補強部材540とを備える。
【0040】
シールドプリント配線板501では、基体フィルム510のプリント回路512bは、カバーレイ513により覆われており、基体フィルム510のグランド回路512aは、カバーレイ513により覆われていない。
基体フィルム510において、プリント回路512bを覆う部分のカバーレイ513には凸部515が形成されている。また、基体フィルム510において、グランド回路512aはカバーレイ513で覆われていないので、凹部516が形成されている。
【0041】
また、シールドプリント配線板501では、グランド回路512aに電磁波シールドフィルム520の導電性接着剤層521が接触するように、基体フィルム510の上に電磁波シールドフィルム520が配置されている。
シールドプリント配線板501では、基体フィルム510の凹部516及び凸部515に起因して、電磁波シールドフィルム520の絶縁層523には、凹部526及び凸部525が形成されている。
【0042】
また、シールドプリント配線板501では、電磁波シールドフィルム520の絶縁層523を、補強部材540の導電性フィラー543が貫いて、補強部材540の導電性フィラー543が電磁波シールドフィルム520のシールド層522と接触するように、電磁波シールドフィルム520の上に補強部材540が配置されている。
さらに、シールドプリント配線板501では、補強部材540が、電磁波シールドフィルム520の絶縁層523の凹部526の境界526α及び凸部525の境界525αを跨ぐように配置されている。
【0043】
シールドプリント配線板501を製造する場合、電磁波シールドフィルム520に補強部材540を押し付けることにより、補強部材540の導電性フィラー543が、電磁波シールドフィルム520の絶縁層523を貫くことになる。
【0044】
ここで、補強部材540の金属製補強板542は、硬く変形しにくい。
そのため、電磁波シールドフィルム520の絶縁層523に凹部526及び凸部525があると、補強部材540の導電性フィラー543全体に均一な圧力をかけにくくなる。
そのため、図2に示すように、シールドプリント配線板501には、電磁波シールドフィルム520の絶縁層523を充分に貫いていない補強部材540の導電性フィラー543が生じることになる。
【0045】
補強部材540の導電性フィラー543が、電磁波シールドフィルム520の絶縁層523を充分に貫いていないと、基体フィルム510のグランド回路512aと、補強部材540の金属製補強板542との間の電気抵抗値が大きくなりやすくなる。
【0046】
次に、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部がある本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板を、図面を用いて説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、シールドプリント配線板2aは、上記シールドプリント配線板1aと同様に、基体フィルム10、電磁波シールドフィルム20a、接続部材30及び補強部材40からなる。
【0047】
シールドプリント配線板2aでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
基体フィルム10において、プリント回路12bを覆う部分のカバーレイ13には凸部15が形成されている。また、基体フィルム10において、グランド回路12aはカバーレイ13で覆われていないので、凹部16が形成されている。
【0048】
また、シールドプリント配線板2aでは、グランド回路12aに電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aが接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20aが配置されている。
シールドプリント配線板2aでは、基体フィルム10の凹部16及び凸部15に起因して、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aには、凹部26a及び凸部25aが形成されている。
【0049】
シールドプリント配線板2aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを、接続部材30の導電性フィラー31が貫いて、接続部材30の導電性フィラー31が電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aの上に接続部材30が配置されている。
また、シールドプリント配線板2aでは、接続部材30が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aの凹部26aの境界26α及び凸部25aの境界25αを跨ぐように配置されている。
【0050】
そして、シールドプリント配線板2aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材30の金属箔33に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20a及び接続部材30の上に補強部材40が配置されている。
【0051】
ここで、接続部材30の金属箔33は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aに、凹部26a及び凸部25aがあったとしても、その形状に合わせ、接続部材30の金属箔33は変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aに凹部26a及び凸部25aがあったとしても、接続部材30の導電性フィラー31は、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを充分に貫くことができる。
【0052】
従って、シールドプリント配線板2aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが充分に電気的に接続されることになる。
【0053】
次に、シールドプリント配線板101aの各構成について説明する。
【0054】
(基体フィルム)
基体フィルム10を構成するベースフィルム11及びカバーレイ13の材料は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチックからなることが望ましい。このようなエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が挙げられる。
また、これらのエンジニアリングプラスチックの内、難燃性が要求される場合には、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく、耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが望ましい。なお、ベースフィルム11の厚みは、10~40μmであることが望ましい。また、カバーレイ13の厚みは、10~50μmであることが望ましい。
【0055】
基体フィルム10を構成するグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bは、特に限定されないが、導電性材料をエッチング処理すること等により形成することができる。
導電材料としては、銅、ニッケル、金等、公知の導電材料が挙げられる。また、グランド回路12a及びプリント回路12bの厚みは特に限定されないが、例えば10~100μmの範囲内で適宜設定される。
【0056】
(電磁波シールドフィルム)
電磁波シールドフィルム20aでは、導電性接着剤層21aは、導電性を有し接着剤として機能できればどのような材料から構成されていてもよい。
例えば、導電性接着剤層21aは、導電性粒子と、接着性樹脂組成物とから構成されていてもよい。
【0057】
導電性粒子としては、特に限定されないが、金属微粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維、金属繊維等であってもよい。
【0058】
導電性粒子が金属微粒子である場合、金属微粒子としては、特に限定されないが、銀粉、銅粉、ニッケル粉、ハンダ粉、アルミニウム粉、銅粉に銀めっきを施した銀コート銅粉、高分子微粒子やガラスビーズ等を金属で被覆した微粒子等であってもよい。
これらの中では、経済性の観点から、安価に入手できる銅粉又は銀コート銅粉であることが望ましい。
【0059】
導電性粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、0.5~15.0μmであることが望ましい。導電性粒子の平均粒子径が0.5μm以上であると、導電性接着剤層の導電性が良好となる。導電性粒子の平均粒子径が15.0μm以下であると、導電性接着剤層を薄くすることができる。
【0060】
導電性粒子の形状は、特に限定されないが、球状、扁平状、リン片状、デンドライト状、棒状、繊維状等から適宜選択することができる。
【0061】
接着性樹脂組成物の材料としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。
接着性樹脂組成物の材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0062】
導電性接着剤層21aには、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤等が含まれていてもよい。
【0063】
導電性接着剤層21aにおける導電性粒子の配合量は、特に限定されないが、15~80質量%であることが好ましく、15~60質量%であることがより望ましい。
上記範囲であると、接着性が向上する。
【0064】
導電性接着剤層21aの厚さは、特に限定されず、必要に応じ適宜設定することができるが、0.5~20.0μmであることが望ましい。
導電性接着剤層の厚さが0.5μm未満であると、良好な導電性が得られにくくなる。
導電性接着剤層の厚さが20.0μmを超えると、シールドプリント配線板全体の厚さが厚くなり扱いにくくなる。
【0065】
また、導電性接着剤層21aは、異方導電性を有することが望ましい。
導電性接着剤層21aが異方導電性を有すると、等方導電性を有する場合に比べて、プリント配線板の信号回路で伝送される高周波信号の伝送特性が向上する。
【0066】
電磁波シールドフィルム20aにおいて、シールド層22aは金属からなる。
【0067】
シールド層22aは、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛等の材料からなる層を含んでいてもよく、銅層を含むことが望ましい。
銅は、導電性及び経済性の観点からシールド層22aにとって好適な材料である。
なお、シールド層22aは、上記金属の合金からなる層を含んでいてもよい。
【0068】
電磁波シールドフィルム20aでは、絶縁層23aは充分な絶縁性を有し、導電性接着剤層21a及びシールド層22aを保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性組成物等から構成されていることが望ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等が挙げられる。
【0069】
上記熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等が挙げられる。
【0070】
上記活性エネルギー線硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物等が挙げられる。
【0071】
絶縁層23aは、1種単独の材料から構成されていてもよく、2種以上の材料から構成されていてもよい。
【0072】
絶縁層23aには、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
【0073】
絶縁層23aの厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、1~15μmであることが望ましく、3~10μmであることがより望ましい。
絶縁層の厚さが1μm未満であると、薄すぎるので導電性接着剤層及びシールド層を充分に保護しにくくなる。
絶縁層の厚さが15μmを超えると、厚すぎるので電磁波シールドフィルムが折り曲りにくくなり、また、絶縁層自身が破損しやすくなる。そのため、耐折り曲げ性が要求される部材へ適用しにくくなる。
【0074】
電磁波シールドフィルム20aでは、シールド層22aと絶縁層23aとの間にアンカーコート層が形成されていてもよい。
アンカーコート層の材料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0075】
(接続部材)
接続部材30では、導電性フィラー31は、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コート銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉及び樹脂に金属粉を被覆した粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの粒子は、導電性に優れている。
【0076】
接続部材30では、導電性フィラー31の平均粒子径は、1~200μmであることが望ましい。
導電性フィラーの平均粒子径が、1μm未満であると、導電性フィラーが小さいので、電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫通しにくくなる。
導電性フィラーの平均粒子径が、200μmを超えると、導電性フィラーが大きくなるので、電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫くのに大きな圧力が必要になる。
【0077】
接続部材30では、接着性樹脂32の材料としては特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。
接着性樹脂の材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0078】
接続部材30では、金属箔33は導電性を有する金属からなれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの材料は導電性に優れる。
【0079】
接続部材30では、金属箔33の厚さは、0.1μm以上であることが望ましく、1μm以上であることがより望ましい。
金属箔の厚さが0.1μm未満であると、金属箔の強度が弱くなり破損しやすくなる。
【0080】
また、電磁波シールドフィルム20aに凹部及び/又は凸部が形成されている場合、接続部材30の金属箔33の厚さは、凹部の深さ及び凸部の高さのいずれか大きい方の距離以下の厚さであることが望ましく、凹部の深さ及び凸部の高さのいずれか大きい方の距離の50%以下の厚さであることがより望ましい。
金属箔の厚さが電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部高さ及び/又は凹部の深さのいずれか大きい方の距離を超えると、柔軟性が低くなり、電磁波シールドフィルムの絶縁層の凹部及び/又は凸部の形状に合わせて変形しにくくなる。
【0081】
(補強部材)
補強部材40では、導電性接着剤層41は導電性を有し接着剤として機能できればどのような材料から構成されていてもよい。
例えば、導電性接着剤層41は、導電性粒子と、接着性樹脂組成物とから構成されていてもよい。
【0082】
導電性粒子としては、特に限定されないが、金属微粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維、金属繊維等であってもよい。
【0083】
導電性粒子が金属微粒子である場合、金属微粒子としては、特に限定されないが、銀粉、銅粉、ニッケル粉、ハンダ粉、アルミニウム粉、銅粉に銀めっきを施した銀コート銅粉、高分子微粒子やガラスビーズ等を金属で被覆した微粒子等であってもよい。
これらの中では、経済性の観点から、安価に入手できる銅粉又は銀コート銅粉であることが望ましい。
【0084】
導電性粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、0.5~15.0μmであることが望ましい。導電性粒子の平均粒子径が0.5μm以上であると、導電性接着剤層の導電性が良好となる。導電性粒子の平均粒子径が15.0μm以下であると、導電性接着剤層を薄くすることができる。
【0085】
導電性粒子の形状は、特に限定されないが、球状、扁平状、リン片状、デンドライト状、棒状、繊維状等から適宜選択することができる。
【0086】
接着性樹脂組成物の材料としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。
接着性樹脂組成物の材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0087】
導電性接着剤層41には、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤等が含まれていてもよい。
【0088】
導電性接着剤層41における導電性粒子の配合量は、特に限定されないが、15~80質量%であることが好ましく、15~60質量%であることがより望ましい。
上記範囲であると、接着性が向上する。
【0089】
導電性接着剤層41の厚さは、特に限定されず、必要に応じ適宜設定することができるが、0.5~80.0μmであることが望ましい。
導電性接着剤層の厚さが0.5μm未満であると、良好な導電性が得られにくくなる。導電性接着剤層の厚さが80.0μmを超えると、補強部材全体の厚さが厚くなり扱いにくくなる。
【0090】
補強部材40では、金属製補強板42は、導電性を有する金属材料からなっており、シールドプリント配線板1aに電子部品を実装する際に、曲げなどに起因して実装部位に生じる歪みなどを防ぐことができれば、どのような金属材料であってもよい、
このような金属材料としては、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛及びステンレス鋼及びこれらの合金等が挙げられる。
【0091】
金属製補強板42の厚さとしては、0.05mm~1mmであることが望ましい。
金属製補強板の厚さが、0.05mm未満であると、強度が充分でなく、シールドプリント配線板に電子部品を実装する際に歪み等が生じやすくなる。
金属製補強板の厚さが、1mmを超えると、嵩張るので、シールドプリント配線板を電子機器に配置しにくくなる。
【0092】
次に、シールドプリント配線板1aの製造方法を説明する。
なお、このシールドプリント配線板の製造方法は、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板の製造方法の一例でもある。
【0093】
シールドプリント配線板1aの製造方法は、(1)基体フィルム準備工程と、(2)電磁波シールドフィルム配置工程と、(3)接続部材配置工程と、(4)補強部材配置工程とを含んでいてもよい。
【0094】
以下、各工程について図面を用いて詳述する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る基体フィルム準備工程の一例を模式的に示す模式図である。
図5A及び図5Bは、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図6A及び図6Bは、本発明の第1実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図7A及び図7Bは、本発明の第1実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
【0095】
(1)基体フィルム準備工程
まず、図4に示すように、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成され、かつ、プリント回路12bを覆うようにカバーレイ13が形成された基体フィルム10を準備する。
【0096】
(2)電磁波シールドフィルム配置工程
次に、図5Aに示すように、導電性接着剤層21a、シールド層22a及び絶縁層23aが順に積層された電磁波シールドフィルム20aを準備する。
そして、図5Bに示すように、電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aが、基体フィルム10のグランド回路12aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aを基体フィルム10に積層する。
【0097】
(3)接続部材配置工程
次に、図6Aに示すように、導電性フィラー31の一部が剥き出しになるように、接着性樹脂32により導電性フィラー31を金属箔33に固定して、導電性フィラー31が接着性樹脂32により金属箔33に固定された接続部材30を準備する。
そして、図6Bに示すように、接続部材30の導電性フィラー31が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫き、電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、接続部材30を電磁波シールドフィルム20aに押し付けることにより、接続部材30を電磁波シールドフィルム20aに配置する。
【0098】
(4)補強部材配置工程
次に、図7Aに示すように、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40を準備する。
そして、図7Bに示すように、補強部材40の導電性接着剤層41が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材30の金属箔33に接触するように、補強部材40を配置する。
以上の工程を経て、シールドプリント配線板1aを製造することができる。
【0099】
なお、上記シールドプリント配線板1aの製造方法では、図5A及び図5Bに示すように、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aには、凹部及び/又は凸部がない。しかし、本発明の第1実施形態に係るシールドプリント配線板の製造方法では、電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、上記接続部材配置工程では、上記接続部材を、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置してもよい。
接続部材の金属箔は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、その形状に合わせ変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、接続部材の導電性フィラーは、電磁波シールドフィルムの絶縁層を充分に貫くことができる。
【0100】
また、上記シールドプリント配線板1aの製造方法に使用される接続部材30は、本発明の接続部材でもある。
なお、接続部材30では、導電性フィラー31の一部が剥き出しになるように、接着性樹脂32により導電性フィラー31が金属箔33に固定されていたが、本発明の接続部材では、接着性樹脂が導電性フィラーの全体を覆うようにして、導電性フィラーが金属箔に固定されていてもよい。
このような接続部材を使用して、シールドプリント配線板を製造することにより、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されたシールドプリント配線板を製造することができる。
【0101】
次に、本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板について説明する。
図8は、本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板1bは、上記シールドプリント配線板1aの電磁波シールドフィルム20aが、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bに置換された以外は、上記シールドプリント配線板1aと同じ構成である。
【0102】
すなわち、図8に示すように、シールドプリント配線板1bは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bと、導電性フィラー31が接着性樹脂32により金属箔33に固定された接続部材30と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
【0103】
シールドプリント配線板1bでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
また、シールドプリント配線板1bでは、基体フィルム10のグランド回路12aに電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bが接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20bが配置されている。
なお、シールドプリント配線板1bでは、基体フィルム10のプリント回路12bはカバーレイ13に覆われているので、プリント回路12bと、電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bとは接触していない。
【0104】
また、シールドプリント配線板1bでは、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23bを接続部材30の導電性フィラー31が貫いて、接続部材30の導電性フィラー31が電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bと接触するように、電磁波シールドフィルム20bの上に接続部材30が配置されている。
【0105】
また、シールドプリント配線板1bでは、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23b及び接続部材30の金属箔33に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20b及び接続部材30の上に補強部材40が配置されている。
【0106】
さらに、シールドプリント配線板1bでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが電気的に接続されている。
【0107】
シールドプリント配線板1bは、電磁波シールドフィルムの構成が異なるものの、上記シールドプリント配線板1aと同じ効果を奏する。
【0108】
次に、シールドプリント配線板1bの電磁波シールドフィルム20bの構成について説明する。
電磁波シールドフィルム20bでは、シールド層22bは、導電性接着剤からなり電磁波シールド機能を有すればどのような材料から構成されていてもよい。
例えば、シールド層22bは、導電性粒子と、接着性樹脂組成物とから構成されていてもよい。
【0109】
導電性粒子としては、特に限定されないが、金属微粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維、金属繊維等であってもよい。
【0110】
導電性粒子が金属微粒子である場合、金属微粒子としては、特に限定されないが、銀粉、銅粉、ニッケル粉、ハンダ粉、アルミニウム粉、銅粉に銀めっきを施した銀コート銅粉、高分子微粒子やガラスビーズ等を金属で被覆した微粒子等であってもよい。
これらの中では、経済性の観点から、安価に入手できる銅粉又は銀コート銅粉であることが望ましい。
【0111】
導電性粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、0.5~15.0μmであることが望ましい。導電性粒子の平均粒子径が0.5μm以上であると、導電性接着剤層の導電性が良好となる。導電性粒子の平均粒子径が15.0μm以下であると、導電性接着剤層を薄くすることができる。
【0112】
導電性粒子の形状は、特に限定されないが、球状、扁平状、リン片状、デンドライト状、棒状、繊維状等から適宜選択することができる。
【0113】
接着性樹脂組成物の材料としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。
接着性樹脂組成物の材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0114】
シールド層22bには、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤等が含まれていてもよい。
【0115】
シールド層22bにおける導電性粒子の配合量は、特に限定されないが、15~80質量%であることが好ましく、15~60質量%であることがより望ましい。
上記範囲であると、接着性が向上する。
【0116】
シールド層22bの厚さは、特に限定されず、必要に応じ適宜設定することができるが、0.5~20.0μmであることが望ましい。
シールド層の厚さが0.5μm未満であると、良好な電磁波シールド機能が得られにくくなる。
シールド層の厚さが20.0μmを超えると、シールドプリント配線板全体の厚さが厚くなり扱いにくくなる。
【0117】
電磁波シールドフィルム20bでは、絶縁層23bは充分な絶縁性を有し、シールド層22bを保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性組成物等から構成されていることが望ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等が挙げられる。
【0118】
上記熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等が挙げられる。
【0119】
上記活性エネルギー線硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物等が挙げられる。
【0120】
絶縁層23bは、1種単独の材料から構成されていてもよく、2種以上の材料から構成されていてもよい。
【0121】
絶縁層23bには、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
【0122】
絶縁層23bの厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、1~15μmであることが望ましく、3~10μmであることがより望ましい。
絶縁層の厚さが1μm未満であると、薄すぎるので導電性接着剤層及びシールド層を充分に保護しにくくなる。
絶縁層の厚さが15μmを超えると、厚すぎるので電磁波シールドフィルムが折り曲りにくくなり、また、絶縁層自身が破損しやすくなる。そのため、耐折り曲げ性が要求される部材へ適用しにくくなる。
【0123】
電磁波シールドフィルム20bでは、シールド層22bと絶縁層23bとの間にアンカーコート層が形成されていてもよい。
アンカーコート層の材料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0124】
なお、シールドプリント配線板1bにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0125】
上記シールドプリント配線板1bを製造する方法としては、上記シールドプリント配線板1aを製造する方法の(2)電磁波シールドフィルム配置工程において、電磁波シールドフィルム20aの代わりに、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bを用いればよい。
【0126】
なお、図8に示すシールドプリント配線板1bでは、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23bには、プリント回路12b及びグランド回路12aに起因する凹部及び凸部が形成されているが、本発明のシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び凸部が形成されておらず、平坦であってもよい。
【0127】
次に、本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板について説明する。
図9は、本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第1実施形態に係る別のシールドプリント配線板1cは、上記シールドプリント配線板1aの電磁波シールドフィルム20aが、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cに置換された以外は、上記シールドプリント配線板1aと同じ構成である。
【0128】
すなわち、図9に示すように、シールドプリント配線板1cは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cと、導電性フィラー31が接着性樹脂32により金属箔33に固定された接続部材30と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
また、絶縁接着剤層24c側のシールド層22cの面27cは粗面化されており、凹部28c及び凸部29cが形成されている。
【0129】
シールドプリント配線板1cでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
また、シールドプリント配線板1cでは、シールド層22cの一部である凸部29cが、絶縁接着剤層24cを貫き、基体フィルム10のグランド回路12aに接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20cが配置されている。
【0130】
なお、シールドプリント配線板1cでは、基体フィルム10のプリント回路12bはカバーレイ13に覆われているので、プリント回路12bと、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cとは接触していない。
【0131】
また、シールドプリント配線板1cでは、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23cを接続部材30の導電性フィラー31が貫いて、接続部材30の導電性フィラー31が電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cと接触するように、電磁波シールドフィルム20cの上に接続部材30が配置されている。
【0132】
また、シールドプリント配線板1cでは、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23c及び接続部材30の金属箔33に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20c及び接続部材30の上に補強部材40が配置されている。
【0133】
さらに、シールドプリント配線板1cでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが電気的に接続されている。
【0134】
シールドプリント配線板1cは、電磁波シールドフィルムの構成が異なるものの、上記シールドプリント配線板1aと同じ効果を奏する。
【0135】
次に、シールドプリント配線板1cの電磁波シールドフィルム20cの構成について説明する。
【0136】
電磁波シールドフィルム20cでは、絶縁接着剤層24cの材料は、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。
絶縁接着剤層24cの材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0137】
絶縁接着剤層24cには、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤等が含まれていてもよい。
【0138】
絶縁接着剤層24cの厚さは、特に限定されないが、0.5~20.0μmであることが望ましく、1~15μmであることがより望ましい。
絶縁接着剤層の厚さが、0.5μm未満であると、絶縁接着剤層の強度が弱く、破損しやすくなる。
絶縁接着剤層の厚さが、20.0μmを超えると、シールド層が絶縁接着剤層を貫きにくくなる。
【0139】
電磁波シールドフィルム20cでは、シールド層22cは金属からなる。
【0140】
シールド層22cは、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛等の材料からなる層を含んでいてもよく、銅層を含むことが望ましい。
銅は、導電性及び経済性の観点からシールド層22cにとって好適な材料である。
なお、シールド層22cは、上記金属の合金からなる層を含んでいてもよい。
【0141】
電磁波シールドフィルム20cでは、絶縁接着剤層24c側のシールド層22cの面27cは粗面化されているが、その表面粗さRaは、0.5~30μmであることが望ましく、0.5~20μmであることが望ましい。
表面粗さRaが、0.5μm未満であると、シールド層の凸部が、絶縁接着剤層を貫きにくくなる。
表面粗さRaが、30μmを超える場合、シールド層が必要以上に粗く、このようなシールド層を形成するコストが高くなる。
【0142】
電磁波シールドフィルム20cでは、絶縁層23cは充分な絶縁性を有し、絶縁接着剤層24c及びシールド層22cを保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性組成物等から構成されていることが望ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等が挙げられる。
【0143】
上記熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等が挙げられる。
【0144】
上記活性エネルギー線硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物等が挙げられる。
【0145】
絶縁層23cは、1種単独の材料から構成されていてもよく、2種以上の材料から構成されていてもよい。
【0146】
絶縁層23cには、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
【0147】
絶縁層23cの厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、1~15μmであることが望ましく、3~10μmであることがより望ましい。
絶縁層の厚さが1μm未満であると、薄すぎるので導電性接着剤層及びシールド層を充分に保護しにくくなる。
絶縁層の厚さが15μmを超えると、厚すぎるので電磁波シールドフィルムが折り曲りにくくなり、また、絶縁層自身が破損しやすくなる。そのため、耐折り曲げ性が要求される部材へ適用しにくくなる。
【0148】
電磁波シールドフィルム20cでは、シールド層22cと絶縁層23cとの間にアンカーコート層が形成されていてもよい。
アンカーコート層の材料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0149】
なお、シールドプリント配線板1cにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0150】
上記シールドプリント配線板1cを製造する方法としては、上記シールドプリント配線板1aを製造する方法の(2)電磁波シールドフィルム配置工程において、電磁波シールドフィルム20aの代わりに、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cを用いればよい。
なお、電磁波シールドフィルム20cを準備する際に、シールド層22cの凸部29cは、絶縁接着剤層24cを貫いていなくてもよい。この場合、電磁波シールドフィルム20cを基体フィルム10に積層する際に、圧力をかけ、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cの凸部29cが、絶縁接着剤層24cを貫き、基体フィルム10のグランド回路12aと接触するようにしてもよい。
【0151】
なお、図9に示すシールドプリント配線板1cでは、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23bには、プリント回路12b及びグランド回路12aに起因する凹部及び凸部が形成されているが、本発明のシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び凸部が形成されておらず、平坦であってもよい。
【0152】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板101aは、上記シールドプリント配線板1aの接続部材30が、導電性突起134が金属箔133に形成された接続部材130に置換された以外は、上記シールドプリント配線板1aと同じ構成である。
【0153】
すなわち、図10に示すように、シールドプリント配線板101aは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、導電性接着剤層21a、シールド層22a及び絶縁層23aが順に積層された電磁波シールドフィルム20aと、導電性突起134が金属箔133に形成された接続部材130と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
【0154】
また、シールドプリント配線板101aでは、接続部材130の導電性突起134が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫いて、電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aの上に接続部材130が配置されている。
【0155】
また、シールドプリント配線板101aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材130の金属箔133に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20a及び接続部材130の上に補強部材40が配置されている。
【0156】
このように、接続部材130を使用することにより、シールドプリント配線板101aでは、接続部材130の導電性突起134を、充分に電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触させることができる。そのため、電磁波シールドフィルム20aと、接続部材130との間の電気抵抗値を低くすることができる。
その結果、シールドプリント配線板101aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが充分に電気的に接続されることになる。
【0157】
また、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、接続部材は、電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置されていてもよい。
【0158】
電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部がある本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板を、図面を用いて説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
図11に示すように、シールドプリント配線板102aは、上記シールドプリント配線板101aと同様に、基体フィルム10、電磁波シールドフィルム20a、接続部材130及び補強部材40からなる。
【0159】
シールドプリント配線板102aでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
基体フィルム10において、プリント回路12bを覆う部分のカバーレイ13には凸部15が形成されている。また、基体フィルム10において、グランド回路12aはカバーレイ13で覆われていないので、凹部16が形成されている。
【0160】
また、シールドプリント配線板102aでは、グランド回路12aに電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aが接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20aが配置されている。
シールドプリント配線板102aでは、基体フィルム10の凹部16及び凸部15に起因して、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aには、凹部26a及び凸部25aが形成されている。
【0161】
また、シールドプリント配線板102aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを、接続部材130の導電性突起134が貫いて、接続部材130の導電性突起134が電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aの上に接続部材130が配置されている。
また、シールドプリント配線板102aでは、接続部材130が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aの凹部26aの境界26α及び凸部25aの境界25αを跨ぐように配置されている。
【0162】
そして、シールドプリント配線板102aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材130の金属箔133に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20a及び接続部材130の上に補強部材40が配置されている。
【0163】
ここで、接続部材130の金属箔133は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aに、凹部26a及び凸部25aがあったとしても、その形状に合わせ、接続部材130の金属箔133は変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aに凹部26a及び凸部25aがあったとしても、接続部材130の導電性突起134は、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを充分に貫くことができる。
【0164】
従って、シールドプリント配線板102aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが充分に電気的に接続されることになる。
【0165】
次に、シールドプリント配線板101aの各構成について説明する。
【0166】
(接続部材)
接続部材130では、導電性突起134は、金属箔133と一体化していてもよく、接着性樹脂により金属箔133に接着されていてもよい。
【0167】
接続部材130において、金属箔133は導電性を有する金属からなれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの材料は導電性に優れる。
【0168】
接続部材130では、金属箔133の厚さは0.1μm以上であることが望ましく、1μm以上であることがより望ましい。
金属箔の厚さが0.1μm未満であると、金属箔の強度が弱くなり破損しやすくなる。
【0169】
また、電磁波シールドフィルム20aに凹部及び/又は凸部が形成されている場合、接続部材130の金属箔133の厚さは、凹部の深さ及び凸部の高さのいずれか大きい方の距離以下の厚さであることが望ましく、凹部の深さ及び凸部の高さのいずれか大きい方の距離の50%以下の厚さであることがより望ましい。
金属箔の厚さが電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部高さ及び/又は凹部の深さのいずれか大きい方の距離を超えると、柔軟性が低くなり、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部の形状に合わせて変形しにくくなる。
【0170】
接続部材130では、導電性突起134の材料は、特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
また、金属箔133と導電性突起134とは同じ材料からなることが望ましい。
【0171】
接続部材130では、導電性突起134は柱状であってもよく、例えば、円柱、楕円柱、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、八角柱等であってもよい。
導電性突起134が柱状であると、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫きやすくなる。
【0172】
接続部材130では、導電性突起134の底面の面積は、1.0~1.0×10μmであることが望ましい。
導電性突起の底面の面積が1.0μm未満であると、導電性突起の強度が弱くなり、導電性突起が折れやすくなる。
導電性突起の底面の面積が1.0×10μmを超えると、導電性突起が太すぎるので、電磁波シールドフィルムの絶縁層を貫きにくくなる。
【0173】
接続部材130では、導電性突起134同士のピッチは、1~1000μmであることが望ましい。
導電性突起同士のピッチが1μm未満である接続部材は、作製することが技術的に難しい。
導電性突起同士のピッチが1000μmを超えると、密度が低くなり、接続部材の導電性突起と、電磁波シールドフィルムのシールド層との総接触面積が小さくなる。そのため、電気抵抗が高くなりやすくなる。
【0174】
接続部材130では、導電性突起134の高さは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫くことができれば、特に限定されないが、1~60μmであることが望ましい。
【0175】
シールドプリント配線板101aの基体フィルム10、電磁波シールドフィルム20a及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aの基体フィルム10、電磁波シールドフィルム20a及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0176】
次に、シールドプリント配線板101aの製造方法を説明する。
なお、このシールドプリント配線板の製造方法は、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板の製造方法の一例でもある。
【0177】
シールドプリント配線板101aの製造方法は、(1)基体フィルム準備工程と、(2)電磁波シールドフィルム配置工程と、(3)接続部材配置工程と、(4)補強部材配置工程とを含んでいてもよい。
【0178】
以下、各工程について図面を用いて詳述する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る基体フィルム準備工程の一例を模式的に示す模式図である。
図13A及び図13Bは、本発明の第2実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図14A及び図14Bは、本発明の第2実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図15A及び図15Bは、本発明の第2実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
【0179】
(1)基体フィルム準備工程
まず、図12に示すように、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成され、かつ、プリント回路12bを覆うようにカバーレイ13が形成された基体フィルム10を準備する。
【0180】
(2)電磁波シールドフィルム配置工程
次に、図13Aに示すように、導電性接着剤層21a、シールド層22a及び絶縁層23aが順に積層された電磁波シールドフィルム20aを準備する。
そして、図13Bに示すように、電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aが、基体フィルム10のグランド回路12aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aを基体フィルム10に積層する。
【0181】
(3)接続部材配置工程
次に、図14Aに示すように、導電性突起134が金属箔133に形成された接続部材130を準備する。
そして、図14Bに示すように、接続部材130の導電性突起134が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫き、電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、接続部材130を電磁波シールドフィルム20aに押し付けることにより、接続部材130を電磁波シールドフィルム20aに配置する。
【0182】
(4)補強部材配置工程
次に、図15Aに示すように、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40を準備する。
そして、図15Bに示すように、補強部材40の導電性接着剤層41が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材130の金属箔133に接触するように、補強部材40を配置する。
以上の工程を経て、シールドプリント配線板101aを製造することができる。
【0183】
なお、上記シールドプリント配線板101aの製造方法では、図13A及び図13Bに示すように、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aには、凹部及び/又は凸部がない。しかし、本発明の第2実施形態に係るシールドプリント配線板の製造方法では、電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、上記接続部材配置工程では、上記接続部材を、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置してもよい。
接続部材の金属箔は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、その形状に合わせ変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、接続部材の導電性突起は、電磁波シールドフィルムの絶縁層を充分に貫くことができる。
【0184】
また、上記シールドプリント配線板101aの製造方法に使用される接続部材130は、本発明の接続部材でもある。
このような接続部材を使用して、シールドプリント配線板を製造することにより、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されたシールドプリント配線板を製造することができる。
【0185】
次に、本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板について説明する。
図16は、本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板101bは、上記シールドプリント配線板101aの電磁波シールドフィルム20aが、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bに置換された以外は、上記シールドプリント配線板101aと同じ構成である。
【0186】
すなわち、図16に示すように、シールドプリント配線板101bは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bと、導電性突起134が金属箔133に形成された接続部材130と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
【0187】
シールドプリント配線板101bでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
また、シールドプリント配線板101bでは、基体フィルム10のグランド回路12aに電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bが接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20bが配置されている。
なお、シールドプリント配線板101bでは、基体フィルム10のプリント回路12bはカバーレイ13に覆われているので、プリント回路12bと、電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bとは接触していない。
【0188】
また、シールドプリント配線板101bでは、接続部材130の導電性突起134が、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23bを貫いて、電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bと接触するように、電磁波シールドフィルム20bの上に接続部材130が配置されている。
【0189】
また、シールドプリント配線板101bでは、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23b及び接続部材130の金属箔133に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20b及び接続部材130の上に補強部材40が配置されている。
【0190】
さらに、シールドプリント配線板101bでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが電気的に接続されている。
【0191】
シールドプリント配線板101bは、電磁波シールドフィルムの構成が異なるものの、上記シールドプリント配線板101aと同じ効果を奏する。
【0192】
シールドプリント配線板101bの電磁波シールドフィルム20bの望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1bの電磁波シールドフィルム20bの望ましい構成及び材料等と同じである。
また、シールドプリント配線板101bにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0193】
上記シールドプリント配線板101bを製造する方法としては、上記シールドプリント配線板101aを製造する方法の(2)電磁波シールドフィルム配置工程において、電磁波シールドフィルム20aの代わりに、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bを用いればよい。
【0194】
なお、図16に示すシールドプリント配線板101bでは、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23bには、プリント回路12b及びグランド回路12aに起因する凹部及び凸部が形成されているが、本発明のシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び凸部が形成されておらず、平坦であってもよい。
【0195】
次に、本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板について説明する。
図17は、本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第2実施形態に係る別のシールドプリント配線板101cは、上記シールドプリント配線板101aの電磁波シールドフィルム20aが、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cに置換された以外は、上記シールドプリント配線板101aと同じ構成である。
【0196】
すなわち、図17に示すように、シールドプリント配線板101cは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cと、導電性突起134が金属箔133に形成された接続部材130と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
また、絶縁接着剤層24c側のシールド層22cの面27cは粗面化されており、凹部28c及び凸部29cが形成されている。
【0197】
シールドプリント配線板101cでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
また、シールドプリント配線板101cでは、シールド層22cの一部である凸部29cが、絶縁接着剤層24cを貫き、基体フィルム10のグランド回路12aに接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20cが配置されている。
【0198】
なお、シールドプリント配線板101cでは、基体フィルム10のプリント回路12bはカバーレイ13に覆われているので、プリント回路12bと、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cとは接触していない。
【0199】
また、シールドプリント配線板101cでは、接続部材130の導電性突起134が、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23cを貫いて、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cと接触するように、電磁波シールドフィルム20cの上に接続部材130が配置されている。
【0200】
また、シールドプリント配線板101cでは、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23c及び接続部材130の金属箔133に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20c及び接続部材130の上に補強部材40が配置されている。
【0201】
さらに、シールドプリント配線板101cでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが電気的に接続されている。
【0202】
シールドプリント配線板101cは、電磁波シールドフィルムの構成が異なるものの、上記シールドプリント配線板101aと同じ効果を奏する。
【0203】
シールドプリント配線板101cの電磁波シールドフィルム20cの望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1cの電磁波シールドフィルム20cの望ましい構成及び材料等と同じである。
また、シールドプリント配線板101cにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0204】
上記シールドプリント配線板101cを製造する方法としては、上記シールドプリント配線板101aを製造する方法の(2)電磁波シールドフィルム配置工程において、電磁波シールドフィルム20aの代わりに、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cを用いればよい。
なお、電磁波シールドフィルム20cを準備する際に、シールド層22cの凸部29cは、絶縁接着剤層24cを貫いていなくてもよい。この場合、電磁波シールドフィルム20cを基体フィルム10に積層する際に、圧力をかけ、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cの凸部29cが、絶縁接着剤層24cを貫き、基体フィルム10のグランド回路12aと接触するようにしてもよい。
【0205】
なお、図17に示すシールドプリント配線板101cでは、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23bには、プリント回路12b及びグランド回路12aに起因する凹部及び凸部が形成されているが、本発明のシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び凸部が形成されておらず、平坦であってもよい。
【0206】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板について説明する。
図18は、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板201aは、上記シールドプリント配線板1aの接続部材30が、金属箔233が複数回屈曲して形成された山折り部235を有する接続部材230に置換された以外は、上記シールドプリント配線板1aと同じ構成である。
【0207】
すなわち、図18に示すように、シールドプリント配線板201aは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、導電性接着剤層21a、シールド層22a及び絶縁層23aが順に積層された電磁波シールドフィルム20aと、金属箔233が複数回屈曲して形成された山折り部235を有する接続部材230と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
【0208】
また、シールドプリント配線板201aでは、接続部材230の山折り部235が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫いて、電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aの上に接続部材230が配置されている。
【0209】
このように、接続部材230を使用することにより、シールドプリント配線板201aでは、接続部材230の山折り部235を、充分に電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触させることができる。そのため、電磁波シールドフィルム20aと、接続部材230との間の電気抵抗値を低くすることができる。
その結果、シールドプリント配線板201aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが充分に電気的に接続されることになる。
【0210】
また、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、接続部材は、電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置されていてもよい。
【0211】
電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部がある本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板を、図面を用いて説明する。
図19は、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板の断面の別の一例を模式的に示す断面図である。
図19に示すように、シールドプリント配線板202aは、上記シールドプリント配線板201aと同様に、基体フィルム10、電磁波シールドフィルム20a、接続部材230及び補強部材40からなる。
【0212】
シールドプリント配線板202aでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
基体フィルム10において、プリント回路12bを覆う部分のカバーレイ13には凸部15が形成されている。また、基体フィルム10において、グランド回路12aはカバーレイ13で覆われていないので、凹部16が形成されている。
【0213】
また、シールドプリント配線板202aでは、グランド回路12aに電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aが接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20aが配置されている。
シールドプリント配線板202aでは、基体フィルム10の凹部16及び凸部15に起因して、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aには、凹部26a及び凸部25aが形成されている。
【0214】
また、シールドプリント配線板202aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを、接続部材230の山折り部235が貫いて、接続部材230の山折り部235が電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aの上に接続部材230が配置されている。
また、シールドプリント配線板202aでは、接続部材230が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aの凹部26aの境界26α及び凸部25aの境界25αを跨ぐように配置されている。
【0215】
そして、シールドプリント配線板202aでは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材230の金属箔233に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20a及び接続部材230の上に補強部材40が配置されている。
【0216】
ここで、接続部材230の金属箔233は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aに、凹部26a及び凸部25aがあったとしても、その形状に合わせ、接続部材230の金属箔233は変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aに凹部26a及び凸部25aがあったとしても、接続部材230の山折り部235は、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを充分に貫くことができる。
【0217】
従って、シールドプリント配線板202aでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが充分に電気的に接続されることになる。
【0218】
次に、シールドプリント配線板201aの各構成について説明する。
【0219】
(接続部材)
接続部材230において、金属箔233の材料は、導電性を有する金属からなれば特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、チタン、亜鉛及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
これらの材料は導電性に優れる。
【0220】
接続部材230では、金属箔233の厚さは0.1μm以上であることが望ましく、1μm以上であることがより望ましい。
金属箔の厚さが0.1μm未満であると、金属箔の強度が弱くなり破損しやすくなる。
【0221】
また、電磁波シールドフィルム20aに凹部及び/又は凸部が形成されている場合、接続部材30の金属箔33の厚さは、凹部の深さ及び凸部の高さのいずれか大きい方の距離以下の厚さであることが望ましく、凹部の深さ及び凸部の高さのいずれか大きい方の距離の50%以下の厚さであることがより望ましい。
金属箔の厚さが、電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部高さ及び/又は凹部の深さのいずれか大きい方の距離を超えると、柔軟性が低くなり、電磁波シールドフィルムの絶縁層の凹部及び/又は凸部の形状に合わせて変形しにくくなる。
【0222】
接続部材230では、山折り部235の高さは、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫くことができれば、特に限定されないが、2~30μmであることが望ましい。
【0223】
シールドプリント配線板201aの基体フィルム10、電磁波シールドフィルム20a及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aの基体フィルム10、電磁波シールドフィルム20a及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0224】
次に、シールドプリント配線板201aの製造方法を説明する。
なお、このシールドプリント配線板の製造方法は、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板の製造方法の一例でもある。
【0225】
シールドプリント配線板201aの製造方法は、(1)基体フィルム準備工程と、(2)電磁波シールドフィルム配置工程と、(3)接続部材配置工程と、(4)補強部材配置工程とを含んでいてもよい。
【0226】
以下、各工程について図面を用いて詳述する。
図20は、本発明の第3実施形態に係る基体フィルム準備工程の一例を模式的に示す模式図である。
図21A及び図21Bは、本発明の第3実施形態に係る電磁波シールドフィルム配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図22A及び図22Bは、本発明の第3実施形態に係る接続部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
図23A及び図23Bは、本発明の第3実施形態に係る補強部材配置工程の一例を模式的に示す模式図である。
【0227】
(1)基体フィルム準備工程
まず、図20に示すように、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成され、かつ、プリント回路12bを覆うようにカバーレイ13が形成された基体フィルム10を準備する。
【0228】
(2)電磁波シールドフィルム配置工程
次に、図21Aに示すように、導電性接着剤層21a、シールド層22a及び絶縁層23aが順に積層された電磁波シールドフィルム20aを準備する。
そして、図21Bに示すように、電磁波シールドフィルム20aの導電性接着剤層21aが、基体フィルム10のグランド回路12aと接触するように、電磁波シールドフィルム20aを基体フィルム10に積層する。
【0229】
(3)接続部材配置工程
次に、図22Aに示すように、金属箔233が複数回屈曲して形成された山折り部235を有する接続部材230を準備する。
そして、図22Bに示すように、接続部材230の山折り部235が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aを貫き、電磁波シールドフィルム20aのシールド層22aと接触するように、接続部材230を電磁波シールドフィルム20aに押し付けることにより、接続部材230を電磁波シールドフィルム20aに配置する。
【0230】
(4)補強部材配置工程
次に、図23Aに示すように、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40を準備する。
そして、図23Bに示すように、補強部材40の導電性接着剤層41が、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23a及び接続部材230の金属箔233に接触するように、補強部材40を配置する。
以上の工程を経て、シールドプリント配線板201aを製造することができる。
【0231】
なお、上記シールドプリント配線板201aの製造方法では、図21A及び図21Bに示すように、電磁波シールドフィルム20aの絶縁層23aには、凹部及び/又は凸部がない。しかし、本発明の第3実施形態に係るシールドプリント配線板の製造方法では、電磁波シールドフィルムの絶縁層には凸部及び/又は凹部があり、上記接続部材配置工程では、上記接続部材を、上記電磁波シールドフィルムの絶縁層の凸部及び/又は凹部の境界を跨ぐように配置してもよい。
接続部材の金属箔は、柔軟性があり容易に変形させることができる。そのため、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、その形状に合わせ変形することができる。
従って、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び/又は凸部があったとしても、接続部材の山折り部は、電磁波シールドフィルムの絶縁層を充分に貫くことができる。
【0232】
また、上記シールドプリント配線板201aの製造方法に使用される接続部材230は、本発明の接続部材でもある。
このような接続部材を使用して、シールドプリント配線板を製造することにより、基体フィルムのグランド回路と、補強部材の金属製補強板とが充分に電気的に接続されたシールドプリント配線板を製造することができる。
【0233】
次に、本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板について説明する。
図24は、本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板201bは、上記シールドプリント配線板201aの電磁波シールドフィルム20aが、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bに置換された以外は、上記シールドプリント配線板201aと同じ構成である。
【0234】
すなわち、図24に示すように、シールドプリント配線板201bは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bと、金属箔233が複数回屈曲して形成された山折り部235を有する接続部材230と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
【0235】
シールドプリント配線板201bでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
また、シールドプリント配線板201bでは、基体フィルム10のグランド回路12aに電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bが接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20bが配置されている。
なお、シールドプリント配線板201bでは、基体フィルム10のプリント回路12bはカバーレイ13に覆われているので、プリント回路12bと、電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bとは接触していない。
【0236】
また、シールドプリント配線板201bでは、接続部材230の山折り部235が、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23bを貫いて、電磁波シールドフィルム20bのシールド層22bと接触するように、電磁波シールドフィルム20bの上に接続部材230が配置されている。
【0237】
また、シールドプリント配線板201bでは、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23b及び接続部材230の金属箔233に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20b及び接続部材230の上に補強部材40が配置されている。
【0238】
さらに、シールドプリント配線板201bでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが電気的に接続されている。
【0239】
シールドプリント配線板201bは、電磁波シールドフィルムの構成が異なるものの、上記シールドプリント配線板201aと同じ効果を奏する。
【0240】
シールドプリント配線板201bの電磁波シールドフィルム20bの望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1bの電磁波シールドフィルム20bの望ましい構成及び材料等と同じである。
また、シールドプリント配線板201bにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0241】
上記シールドプリント配線板201bを製造する方法としては、上記シールドプリント配線板201aを製造する方法の(2)電磁波シールドフィルム配置工程において、電磁波シールドフィルム20aの代わりに、導電性接着剤からなるシールド層22b及び絶縁層23bが順に積層された電磁波シールドフィルム20bを用いればよい。
【0242】
なお、図24に示すシールドプリント配線板201bでは、電磁波シールドフィルム20bの絶縁層23bには、プリント回路12b及びグランド回路12aに起因する凹部及び凸部が形成されているが、本発明のシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び凸部が形成されておらず、平坦であってもよい。
【0243】
次に、本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板について説明する。
図25は、本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板の断面の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の第3実施形態に係る別のシールドプリント配線板201cは、上記シールドプリント配線板201aの電磁波シールドフィルム20aが、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cに置換された以外は、上記シールドプリント配線板201aと同じ構成である。
【0244】
すなわち、図25に示すように、シールドプリント配線板201cは、ベースフィルム11上にグランド回路12a及びそれ以外のプリント回路12bが形成された基体フィルム10と、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cと、金属箔233が複数回屈曲して形成された山折り部235を有する接続部材230と、導電性接着剤層41及び金属製補強板42からなる補強部材40とを備える。
また、絶縁接着剤層24c側のシールド層22cの面27cは粗面化されており、凹部28c及び凸部29cが形成されている。
【0245】
シールドプリント配線板201cでは、基体フィルム10のプリント回路12bは、カバーレイ13により覆われており、基体フィルム10のグランド回路12aは、カバーレイ13により覆われていない。
また、シールドプリント配線板201cでは、シールド層22cの一部である凸部29cが、絶縁接着剤層24cを貫き、基体フィルム10のグランド回路12aに接触するように、基体フィルム10の上に電磁波シールドフィルム20cが配置されている。
【0246】
なお、シールドプリント配線板201cでは、基体フィルム10のプリント回路12bはカバーレイ13に覆われているので、プリント回路12bと、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cとは接触していない。
【0247】
また、シールドプリント配線板201cでは、接続部材230の山折り部235が、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23cを貫いて、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cと接触するように、電磁波シールドフィルム20cの上に接続部材230が配置されている。
【0248】
また、シールドプリント配線板201cでは、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23c及び接続部材230の金属箔133に補強部材40の導電性接着剤層41が接触するように電磁波シールドフィルム20c及び接続部材230の上に補強部材40が配置されている。
【0249】
さらに、シールドプリント配線板201cでは、基体フィルム10のグランド回路12aと、補強部材40の金属製補強板42とが電気的に接続されている。
【0250】
シールドプリント配線板201cは、電磁波シールドフィルムの構成が異なるものの、上記シールドプリント配線板201aと同じ効果を奏する。
【0251】
シールドプリント配線板201cの電磁波シールドフィルム20cの望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1cの電磁波シールドフィルム20cの望ましい構成及び材料等と同じである。
また、シールドプリント配線板201cにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等は、上記シールドプリント配線板1aにおける基体フィルム10及び補強部材40の望ましい構成及び材料等と同じである。
【0252】
上記シールドプリント配線板201cを製造する方法としては、上記シールドプリント配線板201aを製造する方法の(2)電磁波シールドフィルム配置工程において、電磁波シールドフィルム20aの代わりに、絶縁接着剤層24c、金属からなるシールド層22c及び絶縁層23cが順に積層された電磁波シールドフィルム20cを用いればよい。
なお、電磁波シールドフィルム20cを準備する際に、シールド層22cの凸部29cは、絶縁接着剤層24cを貫いていなくてもよい。この場合、電磁波シールドフィルム20cを基体フィルム10に積層する際に、圧力をかけ、電磁波シールドフィルム20cのシールド層22cの凸部29cが、絶縁接着剤層24cを貫き、基体フィルム10のグランド回路12aと接触するようにしてもよい。
【0253】
なお、図25に示すシールドプリント配線板201cでは、電磁波シールドフィルム20cの絶縁層23bには、プリント回路12b及びグランド回路12aに起因する凹部及び凸部が形成されているが、本発明のシールドプリント配線板では、電磁波シールドフィルムの絶縁層に凹部及び凸部が形成されておらず、平坦であってもよい。
【符号の説明】
【0254】
1a、1b、1c、2a、101a、101b、101c、102a、201a、201b、201c、202a シールドプリント配線板
10 基体フィルム
11 ベースフィルム
12a グランド回路
12b プリント回路
13 カバーレイ
15 凸部
16 凹部
20a、20b、20c 電磁波シールドフィルム
21a 導電性接着剤層
22a、22b、22c シールド層
23a、23b、23c 絶縁層
24c 絶縁接着剤層
25a 凸部
25α 凸部の境界
26a 凹部
26α 凹部の境界
27c 粗面化された面
28c 凹部
29c 凸部
30、130、230 接続部材
31 導電性フィラー
32 接着性樹脂
33、133、233 金属箔
40 補強部材
41 導電性接着剤層
42 金属製補強板
134 導電性突起
235 山折り部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24
図25