(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための加熱部材
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20230403BHJP
A24F 40/70 20200101ALI20230403BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/70
(21)【出願番号】P 2021513447
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019074487
(87)【国際公開番号】W WO2020064365
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-10
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516284998
【氏名又は名称】ヘレウス ネクセンソス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Nexensos GmbH
【住所又は居所原語表記】Reinhard-Heraeus-Ring 23, 63801 Kleinostheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ティム アスムス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ディートマン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ムツィオール
(72)【発明者】
【氏名】カールハインツ ヴィーナント
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108451046(CN,A)
【文献】特表2013-509160(JP,A)
【文献】特表2010-533980(JP,A)
【文献】特表2003-506837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための加熱部材であって、
電気絶縁材料を有する基体と、
前記基体に直接配置された加熱構造体と、
前記加熱構造体を前記基体に位置固定するように適合された被覆層と、
を有しており、前記基体は、
エアロゾルを形成する物質が配置されるものであり、酸化アルミニウム材料
または陽極酸化されたアルミニウム材料
から形成されている、加熱部材。
【請求項2】
前記基体は管状に形成されている、請求項1記載の加熱部材。
【請求項3】
前記基体は
、陽極酸化されたアルミニウム材料を有している、請求項1または2記載の加熱部材。
【請求項4】
前記基体は、
スリーブを含む、または
載置された加熱構造体と共にスリーブ状に巻かれた、陽極酸化されたアルミニウムフィルム、または
焼成された酸化アルミニウム材料またはセラミック射出成形部材
を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の加熱部材。
【請求項5】
前記加熱構造体は、
前記基体に印刷され、蒸着され、厚膜ペーストとして被着されている、または
構造化された金属フィルムとして、前記基体に配置されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の加熱部材。
【請求項6】
前記構造化された金属フィルムは、蛇行形を有しており、該蛇行形の導体路の少なくとも1つの部分領域は、前記基体の外径の丸みに対応する丸みを有している、請求項5記載の加熱部材。
【請求項7】
前記被覆層は、
焼成されたガラス層、または
耐熱プラスチックから成る射出成形部材
を含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の加熱部材。
【請求項8】
当該加熱部材は、前記加熱構造体に配置された少なくとも1つの温度センサを有しており、前記被覆層は、前記温度センサ用のカバーを有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の加熱部材。
【請求項9】
前記加熱構造体は、構造化された鋼合金、ニッケル・鉄合金、またはニッケル・クロム合金を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の加熱部材。
【請求項10】
吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための加熱部材を製造する方法であって、連続するステップ、すなわち
電気絶縁材料を有する基体を準備するステップと、
前記基体に加熱構造体を直接配置するステップと、
前記加熱構造体を前記基体に位置固定するように適合された被覆層を配置するステップと、
を含み、
前記基体は、
エアロゾルを形成する物質が配置されるものであり、酸化アルミニウム材料
または陽極酸化されたアルミニウム材料
から形成されている、方法。
【請求項11】
前記基体を準備するステップは、
管状の基体を準備するステップ、および/または
酸化アルミニウム材料または陽極酸化されたアルミニウム材料
から形成されている基体を準備するステップ
を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記基体を準備するステップは、
前記基体をスリーブとして準備し、かつ前記基体に前記加熱構造体を配置するステップ、
前記基体を陽極酸化されたアルミニウムフィルムとして準備し、かつ前記基体を、その上に配置された前記加熱構造体と共に、5~15mmの外径を備えてスリーブ状に巻くステップ、または
前記基体を、酸化アルミニウム材料を含む未加工体として準備し、かつ前記未加工体を焼成するステップ
を含む、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記加熱構造体を配置するステップは、
金属ペーストのスクリーン印刷またはタンポ印刷によって前記加熱構造体を前記基体に印刷し、かつ前記金属ペーストを焼成するステップ、または
蒸着またはディップコーティングによって金属層を前記基体に配置し、かつレーザアブレーション加工によって構造化するステップ、または
前記加熱構造体を蒸着するかまたは厚膜ペーストとして被着し、かつフォトリソグラフィ加工によって構造化するステップ、または
構造化された金属フィルムとしての前記加熱構造体を前記基体に配置するステップ
を含む、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記被覆層を配置するステップは、
前記基体および前記加熱構造体上のガラス層を焼成するステップ、または
耐熱プラスチックから成る射出成形部材を、前記基体および前記加熱構造体および/または温度センサに配置するステップ
を含む、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1から9までのいずれか1項記載の加熱部材を有する、吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための蒸発器ユニット用の加熱器。
【請求項16】
請求項1から9までのいずれか1項記載の加熱部材を有する、吸入可能なエアロゾルを供給するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための加熱部材およびこの加熱部材を製造する方法に関する。さらに、本発明は、吸入可能なエアロゾルを供給するシステム、ならびにこのようなシステムのための蒸発器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、エアロゾルを形成する物質を加熱する、吸入可能なエアロゾルを供給するための加熱部材を備えたシステムが知られている。これらのシステムは、電子タバコまたは単にEシガレットと呼ばれることも多い。典型的には、このようなシステムはマウスピースならびに加熱部材を含む蒸発器ユニットを有している。使用されるシステムに応じて、物質は、タバコまたはタバコに類する製品等の、ニコチン含有製品を含んでいてよく、液体状、気体状または固体状であってよい。しかしまた、ニコチン無しの物質も提供することができる。この場合、形成されるエアロゾルは、エアロゾルにニコチンを混ぜるために、ニコチン含有体またはニコチン混合体の傍らに案内されるか、またはこれらを通流することができる。
【0003】
また一般に、物質は従来のタバコにおけるように燃焼するのではなく、単に加熱されるだけに過ぎず、これにより、吸入可能なエアロゾルが得られる。この場合、加熱部材は物質を約200℃~400℃の温度範囲で加熱し、これにより、システムのユーザが吸入できる、吸入可能なエアロゾルが生じることになる。
【0004】
例えば、従来技術から、槍状、管状または棒状の加熱部材が知られている。エアロゾルを形成する物質は、これらの加熱部材と接触させられる。
【0005】
例えば、米国特許第5665262号明細書に記載された管状の加熱部材は、金属スリーブと、金属スリーブ上の絶縁層と、その上に取り付けられた抵抗素子とから形成される。
【0006】
日本国特許出願公開第2014216287号明細書に記載された加熱部材は、酸化した表面を備えた細いアルミニウム管から形成される。細いアルミニウム管の周りには、熱線が巻き付けられている。
【0007】
米国特許出願公開第2017021547号明細書には、アルミニウムシリンダの周りに巻き付けられたNiCd熱線との間の熱的な接触促進部材として穿孔されたアルミニウムシリンダを備えた、管状の加熱部材が記載されている。管状の加熱部材は、エアロゾルを形成する物質で満たされる。
【0008】
独国特許出願公開第102016115574号明細書には、ガラスまたはガラスセラミックから成る支持体材料および金属のヒートコンダクタ構造を備えた管状の加熱部材が記載されている。
【0009】
米国特許第6222166号明細書には、16×10E-16/℃を上回る、高い熱膨張係数を有する金属から成る加熱部材が記載されており、例えばこの材料は、誘電体層、例えばAl2O3と、その上に被着された厚膜抵抗ヒータとを備えたアルミニウム材料であってよい。
【0010】
ただし、従来技術から公知の加熱部材は、製造技術的な手間を増やさなければこれらの加熱部材を製造することができず、かつ加熱部材を構成するためには比較的高価な材料を使用しなければならない、という欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を克服する改良された加熱部材およびこのような改良された加熱部材を製造する方法を提供すること、特に加熱部材を廉価にかつ簡単に製造可能にする加熱部材および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、本発明に基づき、特許請求項1に記載の対象に適した方法によって解決される。
【0013】
吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための本発明による加熱部材は、このために、
電気絶縁材料を有する基体と
基体に配置された加熱構造体と、
加熱構造体を基体に位置固定するように適合された被覆層と、
を有している。
【0014】
基体は、理想的には高い温度安定性および高い熱伝導率を有している。さらに、少なくとも基体の上面は、良好な電気絶縁特性を備えた電気絶縁材料を有している。電気絶縁材料には、例えば酸化アルミニウム材料、陽極酸化されたアルミニウム材料、またはガラススラリによってコーティングされた鋼、特にガラススラリによってコーティングされた鋼スリーブが含まれていてよい。
【0015】
「加熱構造体」という用語は、基体に配置されており、最も簡単な構成ではヒートコンダクタとも呼ばれる金属線材を有する加熱抵抗を意味していてよい。例えば、加熱構造体は、例えば蛇行状に延在する導体路の形態で形成されていてもよい。導体路を電流が通流すると、導体路の固有抵抗に基づき熱が生じる。導体路を通流する電流に応じて、加熱構造体の加熱出力を決定することができる。加熱構造体は、基体の外面に配置されていてよい。
【0016】
加熱構造体は、例えばスクリーン印刷および/またはテープキャスティングによって、または別個の構造体として、基体に配置することができる。
【0017】
「被覆層」という用語は、基体および加熱構造体上に焼成される、例えばガラス材料等の電気絶縁層を意味していてよい。例えば焼成は、少なくとも850℃で少なくとも1時間実施することができる。
【0018】
これに対して代替的に、被覆層は、基体および加熱構造体に押し当てられて加熱構造体を基体に位置固定する、耐熱プラスチックから成る射出成形部材であってもよい。
【0019】
本発明の根底を成す意外な知見は、本発明による加熱部材の簡単かつ廉価な製造を達成可能であるという点にある。
【0020】
一例では、基体は管状に形成されている。
【0021】
例えば、管は、20mm以下の直径を有していてよくかつ円形、楕円形、三角形または多角形の横断面を有していてよい。この例では、これに対応して加熱構造体および被覆層も管状に形成されている。エアロゾルを形成する物質は、例えば管の中心に配置することができる。
【0022】
別の例では、基体は、酸化アルミニウム材料、陽極酸化されたアルミニウム材料、またはガラススラリによってコーティングされた鋼、特にガラススラリによってコーティングされた鋼スリーブを有している。
【0023】
酸化アルミニウム材料または陽極酸化されたアルミニウム材料から成る基体は、極めて良好な温度特性を備えた有利な原材料を提供する。代替的に、ガラススラリによってコーティングされた、鋼から成る基体が準備されてもよい。
【0024】
一例では、基体は、
スリーブ、または
好適には0.1~0.7mmの厚さを有し、載置された加熱構造体と共にスリーブ状に巻かれた、特に5~15mmの外径を備えて巻かれた、陽極酸化されたアルミニウムフィルム、または
焼成された酸化アルミニウム材料またはセラミック射出成形部材
を含む。
【0025】
スリーブは、例えば5~15mmの外径および0.1~0.7mmの壁厚さを有していてよい。閉じられたスリーブを形成するために、陽極酸化されたアルミニウムフィルムの巻成は、フィルムの突合せ縁部が互いに結合、例えば溶接されるように行われてよい。代替的な例では、突合せ縁部は結合されずに開いたままである。さらに別の例では、フィルムは、その突合せ縁部同士がオーバラップしていてよく、かつ/または複数回巻かれて巻成されていてよい。
【0026】
さらに1つの例では、加熱構造体は、
基体に印刷され、蒸着され、光構造化可能なペーストとして被着されている、または
構造化された金属フィルムとして、基体に配置されている。
【0027】
加熱構造体は、例えばスクリーン印刷および/またはテープキャスティングによって、特に迅速かつ効果的に、基体に配置されることができる。
【0028】
代替的に、加熱構造体は導体路として金属フィルムに設けられていてよく、これに対応して構造化された金属フィルムもやはり基体に配置され、被覆層によって保持することができる。
【0029】
この例では、構造化された金属フィルムは蛇行形を有していてよく、蛇行形の導体路の少なくとも1つの部分領域は、基体の外径の丸みに対応する丸みを有している。
【0030】
有利には、構造化された金属フィルムは、上記のような構成に基づき板ばねと同様に作用し、ひいては基体に対する熱的な接触を改良する。
【0031】
別の例では、被覆層は、
焼成されたガラス層、または
特にPEEK材料、PPS材料、またはPTFE材料を含む耐熱プラスチックから成り、好適には基体および加熱構造体に押し当てられている射出成形部材
を含む。
【0032】
射出成形部材による位置固定に基づき、加熱部材は特に簡単かつ廉価に製造することができる。なぜなら、被覆層の焼成を省くことができるからである。
【0033】
さらに1つの例では、加熱部材は、加熱構造体に配置された少なくとも1つの温度センサ、好適には2つの温度センサ、特に2つの供給導線を備えたPT1000を有しており、供給導線は、平帯形供給導線またはワイヤ供給導線として形成されており、各供給導線は、軸線方向にまたは互いに平行に配置されておりかつ少なくとも、白金材料、ニッケル材料、鉄材料、銅材料または黄銅材料を含んでおり、好適には、供給導線は金、銀または白金によってコーティングされており、被覆層が、温度センサ用のカバーを有している。
【0034】
温度センサは、例えば評価電子機器に接続されていてよく、加熱構造体の目下の温度を評価電子機器に伝えることができる。
【0035】
有利には、この例で説明した、平形供給導線を備えた温度センサは、特に省スペース式の配置を可能にする。さらに有利には、被覆層に設けられたカバーは、加熱構造体における温度センサの良好な位置固定、ならびに外部に対する良好な断熱を可能にする。これに関連して「カバー」という用語は、温度センサの外側の幾何学形状を少なくとも部分的に包囲する、被覆層に設けられた凹部を意味していてよい。
【0036】
一例では、加熱構造体は、特に0.4~3オーム、好適には0.6オームの抵抗を有する構造化された鋼合金、ニッケル・鉄合金、またはニッケル・クロム合金を有している。
【0037】
有利には、加熱構造体用に鋼合金を選択することにより、特に有利な加熱部材を製造することができる。
【0038】
また本発明は、連続するステップ、すなわち
電気絶縁材料を有する基体を準備するステップと、
基体に加熱構造体を配置するステップと、
加熱構造体を基体に位置固定するように適合された被覆層を配置するステップと、
を含む、吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための加熱部材を製造する方法も提案する。
【0039】
一例では、基体を準備するステップは、
管状の基体を準備するステップ、および/または
酸化アルミニウム材料、陽極酸化されたアルミニウム材料、またはガラススラリによってコーティングされた鋼、特にガラススラリによってコーティングされた鋼スリーブを有する基体を準備するステップ
を含む。
【0040】
さらに1つの例では、基体を準備するステップは、
基体をスリーブとして準備し、かつ基体に加熱構造体を配置するステップ、
基体を陽極酸化されたアルミニウムフィルムとして準備し、かつ基体を、その上に配置された加熱構造体と共に、5~15mmの外径を備えてスリーブ状に巻くステップ、または
基体を、酸化アルミニウム材料を含む未加工体、特にセラミック射出成形部材として準備し、かつ未加工体を焼成するステップ
を含む。
【0041】
一例では、加熱構造体を配置するステップは、
金属ペーストのスクリーン印刷またはタンポ印刷によって加熱構造体を基体に印刷し、かつ金属ペーストを焼成するステップ、または
蒸着またはディップコーティングによって金属層を基体に配置し、かつレーザアブレーション加工によって構造化するステップ、または
加熱構造体を蒸着するかまたは光構造化可能なペーストとして被着し、かつフォトリソグラフィ加工によって構造化するステップ、または
構造化された金属フィルムとしての加熱構造体を基体に配置するステップ
を含む。
【0042】
さらに1つの例では、被覆層を配置するステップは、
基体および加熱構造体上のガラス層を焼成するステップ、または
耐熱プラスチック、特にPEEK材料、PPS材料、またはPTFE材料から成る射出成形部材を、基体および加熱構造体および/または温度センサに配置する、好適には押し当てるステップ
を含む。
【0043】
また本発明は、本発明による加熱部材および/または本発明による方法によって製造された加熱部材を有する、吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための蒸発器ユニットも提案する。
【0044】
さらに本発明は、本発明による加熱部材および/または本発明による方法によって製造された加熱部材を有する、吸入可能なエアロゾルを供給するシステムも提案する。
【0045】
本発明の別の特徴および利点は、本発明の好適な実施形態を概略図に基づき説明する以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の実施形態による加熱器の概略横断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による加熱器の等角投影図である。
【
図3】本発明の実施形態による加熱器の等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1~
図3に示す、吸入可能なエアロゾルを供給するシステムのための加熱部材1は、電気絶縁材料を有する管状の基体5と、基体5に配置された加熱構造体3と、加熱構造体3を基体5に位置固定するように適合された被覆層7とを有している。図示のように、加熱構造体3は、基体5の外面に配置されている。エアロゾルを形成する物質は、管状の基体5の内部に配置することができる。さらに、
図1には、被覆層7の外周面の周りに配置された、複数の棒状の冷却体9a~9nが示されている。ただし、当業者には、これらの冷却体9a~9nが本発明にとって重要ではないということを理解する。
【0048】
また、
図1には、加熱構造体3に配置された温度センサ13と、温度センサ13を加熱構造体3上にまたは加熱構造体3に接して固定するために被覆層7に設けられたカバー11も示されている。
【0049】
図示の基体5は、第1の実施形態では、5~15mmの外径と、0.1~0.7mmの壁厚さとを備えた、陽極酸化されたアルミニウム管であってよい。酸化アルミニウム層は5~50μmの厚さを有しており、電気絶縁下層として機能する。陽極酸化されたアルミニウム管には、
a)金属ペーストのスクリーン印刷またはタンポ印刷およびその後の焼成、
b)例えば蒸着、ディップコーティングによる金属層の全面的な被着およびその後のレーザ構造化、
c)光構造化可能なペースト、特に厚膜ペースト(浸漬、噴霧)およびその後のフォトリソグラフィ加工による構造化、または
d)例えば打ち抜かれて構造化された金属フィルムの押当て/接着
を介して、加熱構造体3を被着することができる。
【0050】
図3には被覆層7が透明に示されており、その下に位置する加熱構造体3を見ることができる。図示の加熱構造体3は、
図3では蛇行状に形成されており、供給線材(図示せず)に接触接続する2つの接続コンタクト17a,17bを有している。
【0051】
図示しない一実施形態では、基体5は、接続コンタクト17a,17bおよび温度センサ13の供給導線15a,15bを介して拡張可能である。
【0052】
第2の実施形態では、上述した陽極酸化されたアルミニウム管に代えて、アルミニウムフィルムが基体5として使用されてもよい。例えば、0.1~0.7mmの厚さを有するアルミニウムフィルムを帯状に切断してから陽極酸化することができる。酸化アルミニウム層は、5~50μmの厚さを有していてよい。陽極酸化されたアルミニウム帯には、第1の実施形態において上述したような加熱構造体3を被着することができる。
【0053】
加熱構造体3が被着された後にフィルムが巻かれ、5~15mmの外径を有するスリーブが形成される。閉じられたスリーブを形成するために、フィルムの突合せ縁部を互いに結合、例えば溶接することができる。これに対して代替例では、突合せ縁部は結合されずに開いたままである。しかしまた、図示しない一実施形態では、フィルムはその突合せ縁部同士がオーバラップしていてもよい。巻成は、特に加熱構造体3がフィルム巻成体によって被覆されるように、複数回回転させる形で行われてもよい。
【0054】
第3の実施形態では、基体5として、酸化アルミニウムから成る未加工体を準備し、管の形状で押し出し、次いで所望の長さを有する個別部材に分けて焼成することができる。これに対して代替的に、未加工体はセラミック射出成形部材として製造されてもよい。
【0055】
第4の実施形態では、鋼スリーブを、ガラススラリから成る被覆層7によってコーティングし、次いで焼成することができる。
【0056】
第5の実施形態では、アルミニウムスリーブ、代替的にはアルミニウム(合金)スリーブを、約15μmまで陽極酸化して、または約25μmまで硬質陽極酸化して準備することができる。加熱構造体3は、0.4~3オーム、典型的には0.6オームの電気抵抗を有する、腐食処理された鋼合金42、NiCr合金または類似の材料であってよい。
【0057】
第2~第5の実施形態の別の処理ステップは全て、第1の実施形態の処理ステップに対応し得る。
【0058】
上記の説明、請求項および図面に記載した特徴は、個別でも、任意の組合せにおいても、本発明の様々な実施形態にとって重要なものであり得る。
【符号の説明】
【0059】
1 加熱部材
3 加熱構造体
5 基体
7 被覆層
9a~9n 冷却体
11 カバー
13 温度センサ
15a,15b 供給導線
17a,17b 接続コンタクト