IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置、及び制御方法 図1
  • 特許-情報処理装置、及び制御方法 図2
  • 特許-情報処理装置、及び制御方法 図3
  • 特許-情報処理装置、及び制御方法 図4
  • 特許-情報処理装置、及び制御方法 図5
  • 特許-情報処理装置、及び制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/16 20060101AFI20230403BHJP
   G06F 21/88 20130101ALI20230403BHJP
【FI】
G06F3/16 530
G06F21/88
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022005020
(22)【出願日】2022-01-17
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】▲片▼山 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲遷▼
(72)【発明者】
【氏名】森 英久
(72)【発明者】
【氏名】徳野 真弘
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-242585(JP,A)
【文献】特開平9-35191(JP,A)
【文献】特開2008-294688(JP,A)
【文献】特表2015-518665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/16
G06F 21/00-21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OS(Operating System)のプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記OSのプログラムを実行するプロセッサと、
音を出力するスピーカと、
近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記特定の信号を受信したことを示す第1情報を出力する近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得したことに応じて音を出力させるための第1音データを出力するEC(Embedded Controller)と、
前記ECから出力された前記第1音データが入力される端子と前記OSに基づく処理により前記プロセッサから出力された第2音データが入力される端子とを備え、前記第1音データに基づく音と前記第2音データに基づく音とを排他的に切り替えて前記スピーカから出力させるオーディオ処理デバイスと、
を備え、
前記ECは、
前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得した場合、前記オーディオ処理デバイスが前記第1音データに基づく音を前記スピーカから出力させるように制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記ECは、
前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得した場合、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替えるための制御信号を出力し、
前記オーディオ処理デバイスは、
前記ECから出力される前記制御信号が入力される制御端子を備え、前記制御信号に基づいて、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御端子は、
I2S(Inter-IC Sound)規格に対応する端子である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記オーディオ処理デバイスは、
前記制御信号に基づいて前記プロセッサに対して切替制御を要求し、
前記プロセッサは、
前記オーディオ処理デバイスからの前記切替制御の要求に応じて、前記オーディオ処理デバイスに対して、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替える指示を行い、
前記オーディオ処理デバイスは、
前記プロセッサからの前記指示に応じて、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替える、
請求項2または請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ECは、
前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得したことに応じて第2情報を前記プロセッサへ出力し、
前記プロセッサは、
前記ECから出力された前記第2情報を取得すると、前記ECに対して前記第1音データを出力させる指示を行い、
前記ECは、
前記プロセッサからの前記第1音データを出力させる指示に応じて、前記第1音データを出力する、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ECは、
前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替えるための制御信号を出力した後、所定の条件が満たされると、前記スピーカから出力させる音を前記第1音データに基づく音から前記第2音データに基づく音へ切り替えるための制御信号を出力する、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
OS(Operating System)のプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記OSのプログラムを実行するプロセッサと、音を出力するスピーカと、近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、オーディオ処理デバイスと、EC(Embedded Controller)とを備える情報処理装置における制御方法であって、
前記近距離無線通信部が、近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記特定の信号を受信したことを示す第1情報を出力するステップと、
前記ECが、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得したことに応じて音を出力させるための第1音データを出力するステップと、
前記オーディオ処理デバイスが、前記ECから出力された前記第1音データが入力される端子と前記OSに基づく処理により前記プロセッサから出力された第2音データが入力される端子とを備え、前記第1音データに基づく音と前記第2音データに基づく音とを排他的に切り替えて前記スピーカから出力させるステップと、
前記ECが、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得した場合、前記オーディオ処理デバイスが前記第1音データに基づく音を前記スピーカから出力させるように制御するステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紛失また盗難にあった物を探索するための技術がある。例えば、特許文献1には、夜間などに広い駐車場に駐車して車から離れたような場合、後でどの場所に車を駐車したのかわからなくことがあるが、携帯用送信機のスイッチを押すことにより、自車にわりあてられた特定の電波が送信されて、自車に載置された受信機によりその特定の電波が受信されて、ランプの点灯またはブザーを鳴らして、離れた場所から自車の位置の確認できる技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ノート型パソコンに代表される移動端末(情報処理装置)の盗難または紛失を防止するために、第1移動端末の現在位置と第2移動端末の現在位置との間の距離が所定値以上となった場合、少なくともいずれか一方に警告音を出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-035191号公報
【文献】特開2008-294688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、紛失または盗難にあったノート型パソコンなどの情報処理装置を探索するために離れた場所から情報処理装置に音(例えば、ビープ音)を出力させようとしても、システムの制約から音を出力できない場合がある。例えば、システムの動作状態が通常の動作状態であって、システムの制御によりスピーカから音を出力している場合には、スピーカ及びオーディオデバイスなどをシステムが占有しているため、システムの制約により、遠隔操作でビープ音を鳴らすことができない場合がある。例えば、遠隔操作でビープ音を鳴らすための専用のスピーカを追加することによってビープ音を鳴らすことはできるが、ハードウェアの追加及びコストアップなどの影響が大きい。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、既存のスピーカを用いて遠隔操作により音を出力することができる情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、OS(Operating System)のプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記OSのプログラムを実行するプロセッサと、音を出力するスピーカと、近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記特定の信号を受信したことを示す第1情報を出力する近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得したことに応じて音を出力させるための第1音データを出力するEC(Embedded Controller)と、前記ECから出力された前記第1音データが入力される端子と前記OSに基づく処理により前記プロセッサから出力された第2音データが入力される端子とを備え、前記第1音データに基づく音と前記第2音データに基づく音とを排他的に切り替えて前記スピーカから出力させるオーディオ処理デバイスと、を備え、前記ECは、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得した場合、前記オーディオ処理デバイスが前記第1音データに基づく音を前記スピーカから出力させるように制御する。
【0008】
上記情報処理装置において、前記ECは、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得した場合、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替えるための制御信号を出力し、前記オーディオ処理デバイスは、前記ECから出力される前記制御信号が入力される制御端子を備え、前記制御信号に基づいて、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替えてもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記制御端子は、I2S(Inter-IC Sound)規格に対応する端子であってもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記オーディオ処理デバイスは、前記制御信号に基づいて前記プロセッサに対して切替制御を要求し、前記プロセッサは、前記オーディオ処理デバイスからの前記切替制御の要求に応じて、前記オーディオ処理デバイスに対して、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替える指示を行い、前記オーディオ処理デバイスは、前記プロセッサからの前記指示に応じて、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替えてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記ECは、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得したことに応じて第2情報を前記プロセッサへ出力し、前記プロセッサは、前記ECから出力された前記第2情報を取得すると、前記ECに対して前記第1音データを出力させる指示を行い、前記ECは、前記プロセッサからの前記第1音データを出力させる指示に応じて、前記第1音データを出力してもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記ECは、前記スピーカから出力させる音を前記第2音データに基づく音から前記第1音データに基づく音へ切り替えるための制御信号を出力した後、所定の条件が満たされると、前記スピーカから出力させる音を前記第1音データに基づく音から前記第2音データに基づく音へ切り替えるための制御信号を出力してもよい。
【0013】
また、本発明の第2態様に係る、OS(Operating System)のプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記OSのプログラムを実行するプロセッサと、音を出力するスピーカと、近距離無線通信を行う近距離無線通信部と、オーディオ処理デバイスと、EC(Embedded Controller)とを備える情報処理装置における制御方法は、前記近距離無線通信部が、近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、前記特定の信号を受信したことを示す第1情報を出力するステップと、前記ECが、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得したことに応じて音を出力させるための第1音データを出力するステップと、前記オーディオ処理デバイスが、前記ECから出力された前記第1音データが入力される端子と前記OSに基づく処理により前記プロセッサから出力された第2音データが入力される端子とを備え、前記第1音データに基づく音と前記第2音データに基づく音とを排他的に切り替えて前記スピーカから出力させるステップと、前記ECが、前記近距離無線通信部から出力された前記第1情報を取得した場合、前記オーディオ処理デバイスが前記第1音データに基づく音を前記スピーカから出力させるように制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、情報処理装置は、システムの動作状態によらず、既存のスピーカを用いて遠隔操作により音を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの概略構成の一例を示す図。
図2】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
図3】第1の実施形態に係る遠隔ビープ制御を行う構成の一例を示すブロック図。
図4】第1の実施形態に係る遠隔ビープ制御処理の一例を示すフローチャート。
図5】第1の実施形態に係る遠隔ビープ制御の停止処理の一例を示すフローチャート。
図6】第2の実施形態に係る遠隔ビープ制御を行う構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の概略構成の一例を示す図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と、携帯端末50(端末装置の一例)とを備えている。情報処理装置10は、ノート型(クラムシェル型)のPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)などのコンピュータ装置の一例である。情報処理装置10は、屋内または屋外を問わず様々な場所へ移動して利用可能であるため、紛失または盗難の可能性がある。携帯端末50は、スマートフォンなどの携帯型のコンピュータ装置の一例である。また、携帯端末50は、ノート型(クラムシェル型)のPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)などのコンピュータ装置であってもよい。
【0017】
携帯端末50と情報処理装置10とが互いの識別情報をペアリングの情報として予め登録しておくことで、携帯端末50と情報処理装置10との間で通信が可能である。例えば、携帯端末50と情報処理装置10とは、Bluetooth(登録商標)機能を利用して通信を行うビーコン(Beacon)を用いて通信可能である。
【0018】
情報処理装置10を紛失した場合または情報処理装置10が盗難にあった場合、ユーザは、携帯端末50からビーコンを用いて特定の信号を情報処理装置10へ送信することにより、情報処理装置10からビープ(Beep)音などの報知音を出力させることができる。例えば、紛失したり盗難にあったりした情報処理装置10を発見できるように、情報処理装置10から大きな音量のビープ音を出力させることで、情報処理装置10の場所を知らせることができる。
【0019】
ここで、携帯端末50から情報処理装置10へ送信する特定の信号のことを、以下では、「紛失防止タグ」と称する。携帯端末50からビーコンを用いて紛失防止タグを送信すると、情報処理装置10がビーコンの届く範囲(例えば、100m程度の範囲)にあれば、その紛失防止タグを受信してビープ音を出力する。
【0020】
[情報処理装置のハードウェア構成]
次に、図2を参照して、情報処理装置10の主要なハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
情報処理装置10は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、表示部14と、チップセット21と、不揮発性メモリ22と、記憶媒体23と、オーディオコーデック24と、LANアダプタ25と、USBコネクタ26と、近距離無線通信部27と、エンベデッドコントローラ31と、スピーカ32と、操作部33と、電源ボタン34と、電源回路35とを備える。
【0022】
CPU(Central Processing Unit)11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、情報処理装置10全体を制御している。例えば、CPU11は、OS(Operating System)やBIOS(Basic Input Output System)に基づく処理を実行する。
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。
【0023】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んで構成されている。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0024】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを含んで構成されており、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画像を表示する。
【0025】
チップセット21は、CPU11と各種デバイスとの橋渡しを行う。例えば、チップセット21は、USB、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。例えば、複数のデバイスとして、不揮発性メモリ22と、記憶媒体23と、オーディオコーデック24と、LANアダプタ25と、USBコネクタ26と、近距離無線通信部27と、エンベデッドコントローラ31とが含まれる。
【0026】
不揮発性メモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成されている。不揮発性メモリ22は、BIOSのプログラム、BIOSが利用する設定データなどを記憶する。
【0027】
記憶媒体23は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶媒体23は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションなどの各種プログラム、及び各種プログラムが利用するデータなどを記憶する。
【0028】
オーディオコーデック24は、各種の音データのエンコードまたはデコードを行うコーデックデバイスであり、チップセット21と、エンベデッドコントローラ31と、スピーカ32と接続されている。例えば、オーディオコーデック24は、CPU11からチップセット21を介して入力される音データに基づく音またはEC31から入力される音データに基づく音をスピーカ32から出力させる。なお、オーディオコーデック24は、不図示のマイクが接続されてもよく、マイクを介して入力される音に基づく音データを生成してもよい。
【0029】
LANアダプタ25は、有線または無線により、ネットワークを介して他の装置と通信を行う。ネットワークとは、例えば、インターネットや、携帯電話網、VPN(Virtual Private Network)網、専用通信回線網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network;公衆交換電話網)など、またはこれらの組み合わせによって構成される通信ネットワークである。
【0030】
USBコネクタ26は、USB規格に対応した各種機器(周辺機器)と接続するためのコネクタ(接続端子)である。USBコネクタ26は、チップセット21が備えるUSBコントローラと接続されており、USB規格に対応した各種機器(周辺機器)と接続可能なUSBポートとして構成されている。
【0031】
近距離無線通信部27は、所定の通信方式を用いて他の機器(例えば、携帯端末50)と近距離無線通信を行う。例えば、近距離無線通信部27は、Bluetooth(登録商標)による通信を行う。一例として、近距離無線通信部27は、BLE(Bluetooth Low Energy)の通信規格に対応したビーコンを用いて、携帯端末50から電波を受信する。近距離無線通信部27は、チップセット21と接続されている。近距離無線通信部27とCPU11とは、チップセット21を介してデータの送受信を行う。
【0032】
また、近距離無線通信部27は、エンベデッドコントローラ31とも接続されている。例えば、近距離無線通信部27は、エンベデッドコントローラ31のデジタル入力端子と接続されており、携帯端末50からビーコンを用いて紛失防止タグを受信すると、紛失防止タグを受信したことを示す情報をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0033】
スピーカ32は、オーディオコーデック24に接続されており、オーディオコーデック24よってデコードされた音データに基づく音を出力する。
【0034】
操作部33は、キーボードや、タッチパッド、電源ボタンなどを含んで構成されている。操作部33は、ユーザの操作に基づいて操作信号をエンベデッドコントローラ31へ出力する。なお、操作部33は、USBコネクタ26などを介して接続される外部機器であってもよい。外部機器としては、キーボードや、マウス、タッチパッドなどが挙げられる。
【0035】
電源ボタン34は、情報処理装置10の電源をオンするための操作子である。例えば、電源ボタン34は、ユーザの操作に応じた操作信号をエンベデッドコントローラ31へ出力する。
【0036】
電源回路35は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、AC/DCアダプタなどを含んで構成されている。例えば、電源回路35は、ACアダプタ(不図示)などの外部電源又はバッテリなどから供給される直流電圧を、情報処理装置10を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路35は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、情報処理装置10の各部に電力を供給する。
【0037】
エンベデッドコントローラ(EC:Embedded Controller)31は、OSやBIOSの処理を実行するCPU11とは別に設けられているプロセッサである。エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ31には、それぞれの入力端子を介して、例えば、オーディオコーデック24、操作部33、電源ボタン34、及び電源回路35などが接続されている。また、エンベデッドコントローラ31は、バスを介して接続されているチップセット21を経由して、CPU11とデータの授受を行う。
【0038】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、電源ボタン34に対するユーザの操作に応じた操作信号を取得した場合、電源回路335の制御、及びCPU11に対するシステムの起動の指示などを行う。また、エンベデッドコントローラ31は、携帯端末50から紛失防止タグを受信したことを示す情報を近距離無線通信部27から取得すると、スピーカ32からビープ音を出力させるための制御を行う。
【0039】
なお、図2を参照して説明した各部の一部は、1個のチップに集積されたSoC(System on a Chip)として構成されてもよい。一例として、図示するSoC100は、CPU11と、メインメモリ12と、チップセット21と、不揮発性メモリ22とを含んで構成されている。
【0040】
次に、情報処理装置10が携帯端末50から近距離無線通信を用いて遠隔操作によりビープ音を出力する制御(以下、「遠隔ビープ制御」と称する)を行う構成について詳しく説明する。
【0041】
[遠隔ビープ制御の構成]
図3は、本実施形態に係る遠隔ビープ制御を行う構成の一例を示すブロック図である。この図では、図2に示す構成のうち遠隔ビープ制御に関する構成を示している。
【0042】
オーディオコーデック24は、SoC100とHDA(High Definition Audio)バスにより接続されており、OS上で動作するオーディオドライバの制御によりデータの送受信が行われる。OS(システム)が通常動作状態である場合、OSに基づく処理によりSoc100から出力されたオーディオデータがHDAバスを介してオーディオコーデック24のHDA端子に入力される。
【0043】
SoC100から出力されたオーディオデータは、OSの処理により出力される音のデータ、及びOS上で動作するアプリケーションの処理により出力される音のデータなどである。また、通常動作状態とは、OSが起動して上記のオーディオに関する処理を実行可能な状態であり、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているスリープステートの「S0」(非スリープ状態)に相当する。
【0044】
近距離無線通信部27は、チップセット21を介してCPU11とデータの送受信を行う。例えば、近距離無線通信部27は、CPU11で実行されるBIOSまたはOSの処理により、外部の機器(例えば、携帯端末50)と近距離無線を用いて通信を行う。一例として、近距離無線通信部27は、BLEの通信規格に対応したビーコンを用いて、携帯端末50から電波を受信する。
【0045】
また、近距離無線通信部27は、エンベデッドコントローラ31のデジタル入力端子とさらに接続されており、携帯端末50から紛失防止タグを受信すると、紛失防止タグを受信したことを示す「-BT_INT」信号を出力する。
【0046】
エンベデッドコントローラ31は、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号を取得すると、スピーカ32からビープ音を出力させるように制御する。例えば、エンベデッドコントローラ31は、「-BT_INT」信号を取得すると、SoC100で動作しているBIOSに通知し、BIOSからの指示に応じてビープ信号(EC_Beep)を出力する。ビープ信号は、例えば所定の周波数(ビープ音の周波数)のPWM信号である。なお、エンベデッドコントローラ31とSoCとは、例えばeSPI(Enhanced Serial Peripheral Interface)で接続されている。
【0047】
なお、エンベデッドコントローラ31は、「-BT_INT」信号を取得すると、BIOSに通知することなく、ビープ信号(EC_Beep)を出力してもよい。
【0048】
エンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号(EC_Beep)は、オーディオコーデック24のビープ端子(Beep)に入力される。図3において、符号R1が示す矢印の経路が、エンベデッドコントローラ31の制御によりスピーカ32からビープ音を出力させるパスである。一方、図3において、符号R2が示す矢印の経路が、前述したSoC100(オーディオドライバ)の制御によりスピーカ32から音を出力させるパスである。
【0049】
オーディオコーデック24は、エンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音と、SoC100から出力されたオーディオデータに基づく音とを排他的に切り替えてスピーカ32から出力させる。ここで、通常動作状態(例えば、「S0」)では、SoC100(オーディオドライバ)の制御によりオーディオコーデック24のリソースが占有され、スピーカ32から音を出力させるパス(符号R2が示す矢印の経路)が使用されている。なお、インテル(登録商標)系のCPUで対応している「S0ix」の動作状態でも同様に、SoC100(オーディオドライバ)の制御によりオーディオコーデック24のリソースが占有されている状態である。そのため、エンベデッドコントローラ31の制御によりスピーカ32からビープ音を出力させるには、オーディオコーデック24のリソースを切り替える必要がある。
【0050】
そこで、エンベデッドコントローラ31は、「-BT_INT」信号を取得すると、スピーカ32から出力させる音を、エンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ切り替えるための制御信号(「Cont_Beep」信号)を出力する。この制御信号は、オーディオコーデック24のコントロール端子(CNT)に入力される。コントロール端子は、例えば、I2S(Inter-IC Sound)規格に対応する端子である。
【0051】
オーディオコーデック24は、この「Cont_Beep」信号に基づいて、スピーカ32から出力させる音をエンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ切り替える。ここでは、スピーカ32から出力させる音をエンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ切り替える場合の「Cont_Beep」信号を「Cont_Beep(ON)」信号と称する。一方、スピーカ32から出力させる音をSoC100から出力されたオーディオデータに基づく音へ切り替える場合の「Cont_Beep」信号を「Cont_Beep(OFF)」信号と称する。
【0052】
具体的には、例えばオーディオコーデック24は、「Cont_Beep」信号に基づいてSoC100(オーディオドライバ)に対してスピーカ32から出力させる音の切替制御を要求する。SoC100(オーディオドライバ)は、オーディオコーデック24からの切替制御の要求に応じて、オーディオコーデック24に対してスピーカ32から出力させる音を切り替える指示を行う。オーディオコーデック24は、このSoC100(オーディオドライバ)からの指示に応じて、スピーカ32から出力させる音を、SoC100から出力されたオーディオデータに基づく音からエンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ、或いはその逆へ切り替える。
【0053】
[遠隔ビープ制御処理の動作]
次に、情報処理装置10が、携帯端末50から紛失防止タグを受信したことによりビープ音を出力する遠隔ビープ制御処理の動作について説明する。
図4は、本実施形態に係る遠隔ビープ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0054】
(ステップS101)近距離無線通信部27は、携帯端末50から送信された紛失防止タグ(Loss prevention tag)を受信すると、ステップS103の処理へ進む。
【0055】
(ステップS103)近距離無線通信部27は、紛失防止タグを受信すると、紛失防止タグを受信したことを示す「-BT_INT」信号を出力する。そして、ステップS105の処理へ進む。
【0056】
(ステップS105)エンベデッドコントローラ31は、「-BT_INT」信号を取得すると、ビープ音の出力トリガとなる「Beep_ON」信号をSoC100(BIOS)へ送信する。そして、ステップS107の処理へ進む。
【0057】
(ステップS107)SoC100(BIOS)は、エンベデッドコントローラ31から「Beep_ON」信号を取得すると、ビープ信号の出力を要求する「Beep Request」信号をエンベデッドコントローラ31へ送信する。そして、ステップS109の処理へ進む。
【0058】
(ステップS109)エンベデッドコントローラ31は、SoC100(BIOS)から「Beep Request」信号を取得すると、スピーカ32から出力させる音をエンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ切り替えるための「Cont_Beep(ON)」信号をオーディオコーデック24へ送信する。そして、ステップS109の処理へ進む。
【0059】
(ステップS111)また、エンベデッドコントローラ31は、SoC100(BIOS)から「Beep Request」信号を取得すると、ビープ信号(EC_Beep)の出力を開始する。なお、ステップS109とステップS111の処理の順序は逆でもよい。そして、ステップS113の処理へ進む。
【0060】
(ステップS113)オーディオコーデック24は、エンベデッドコントローラ31から「Cont_Beep(ON)」信号を取得すると、スピーカ32から出力させる音をビープ音へ切り替える制御を要求する「Select Beep Request」信号を、SoC100(オーディオドライバ)へ送信する。そして、ステップS115の処理へ進む。
【0061】
(ステップS115)SoC100(オーディオドライバ)は、オーディオコーデック24から「Select Beep Request」信号を取得すると、オーディオコーデック24の出力の切り替えを要求する「Change Output Request」信号を、オーディオコーデック24へ送信する。そして、ステップS117の処理へ進む。
【0062】
(ステップS117)オーディオコーデック24は、SoC100(オーディオドライバ)から「Change Output Request」信号を取得すると、スピーカ32から出力させる音をSoC100から出力されたオーディオデータに基づく音からエンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ切り替える。
【0063】
なお、エンベデッドコントローラ31は、「-BT_INT」信号を取得すると、ビープ音の出力トリガとなる「Beep_ON」信号をSoC100(BIOS)へ送信せずに、エンベデッドコントローラ31自身の制御により「Cont_Beep(ON)」信号及びビープ信号(EC_Beep)を出力してもよい。
【0064】
また、オーディオコーデック24は、「Cont_Beep(ON)」信号を取得すると、「Select Beep Request」信号をSoC100(オーディオドライバ)へ送信せずに、オーディオコーデック24自身の制御により、スピーカ32から出力させる音をSoC100から出力されたオーディオデータに基づく音からエンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ切り替えてもよい。
【0065】
[遠隔ビープ制御の停止処理の動作]
情報処理装置10は、遠隔ビープ制御によりビープ音を出力した場合、所定の条件が満たされるまで、ビープ音を出力させる制御を継続する。所定の条件とは、例えば、一定時間が経過すること、或いは、情報処理装置10に対して何らかの操作がされること等である。ここでは、この所定の条件のことを「ビープ停止条件」と称する。以下に、遠隔ビープ制御により出力したビープ音の出力を停止させる際の処理の動作について説明する。
【0066】
図5は、本実施形態に係る遠隔ビープ制御の停止処理の一例を示すフローチャートである。この図に示す処理は、前提として、図4のステップS111でビープ信号(EC_Beep)の出力を開始しているものとする。
【0067】
(ステップS121)エンベデッドコントローラ31は、ビープ停止条件が満たされたか否かを判定する。例えば、エンベデッドコントローラ31は、内部のタイマを使用して、ビープ音の出力開始からの時間をカウントし、一定時間が経過した場合に、ビープ停止条件が満たされたと判定する。或いは、エンベデッドコントローラ31は、操作部33から操作信号を取得した場合、ビープ停止条件が満たされたと判定してもよい。エンベデッドコントローラ31は、ビープ停止条件が満たされていないと判定した場合(NO)、図4のステップS111で出力を開始したビープ信号(EC_Beep)を継続して出力する。一方、エンベデッドコントローラ31は、ビープ停止条件が満たされたと判定した場合(YES)、ビープ信号(EC_Beep)の出力を停止し、ステップS123の処理へ進む。
【0068】
(ステップS123)エンベデッドコントローラ31は、スピーカ32から出力させる音を、エンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音からSoC100から出力されたオーディオデータに基づく音へ切り替えるための「Cont_Beep(OFF)」信号を、オーディオコーデック24へ送信する。そして、ステップS125の処理へ進む。
【0069】
(ステップS125)オーディオコーデック24は、エンベデッドコントローラ31から「Cont_Beep(OFF)」信号を取得すると、スピーカ32から出力させる音をオーディオデータに基づく音へ切り替える制御を要求する「Select Audio Request」信号を、SoC100(オーディオドライバ)へ送信する。そして、ステップS127の処理へ進む。
【0070】
(ステップS127)SoC100(オーディオドライバ)は、オーディオコーデック24から「Select Audio Request」信号を取得すると、オーディオコーデック24の出力の切り替えを要求する「Change Output Request」信号を、オーディオコーデック24へ送信する。そして、ステップS129の処理へ進む。
【0071】
(ステップS129)オーディオコーデック24は、SoC100(オーディオドライバ)から「Change Output Request」信号を取得すると、スピーカ32から出力させる音をSoC100から出力されたオーディオデータに基づく音へ切り替える。
【0072】
なお、エンベデッドコントローラ31がビープ信号(EC_Beep)の出力を停止させる制御と「Cont_Beep(OFF)」信号を送信する制御との順序は、いずれが先でもよい。
【0073】
また、オーディオコーデック24は、「Cont_Beep(OFF)」信号を取得すると、「Select Audio Request」信号をSoC100(オーディオドライバ)へ送信せずに、オーディオコーデック24自身の制御により、スピーカ32から出力させる音をSoC100から出力されたオーディオデータに基づく音へ切り替えてもよい。
【0074】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置10は、OSのプログラムを一時的に記憶するメインメモリ12(メモリの一例)と、OSのプログラムを実行するSoC100(プロセッサの一例)と、音を出力するスピーカ32と、近距離無線通信(例えば、ビーコン)を行う近距離無線通信部27と、オーディオコーデック24(オーディオ処理デバイスの一例)と、エンベデッドコントローラ31とを備えている。近距離無線通信部27は、近距離無線通信により紛失防止タグ(特定の信号の一例)を受信した場合、紛失防止タグを受信したことを示す「-BT_INT」信号(第1情報の一例)を出力する。エンベデッドコントローラ31は、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号を取得したことに応じてビープ音を出力させるためのビープ信号(第1音データの一例)を出力する。オーディオコーデック24は、エンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号が入力される端子と、OSに基づく処理によりSoC100から出力されたオーディオデータ(第2音データの一例)が入力される端子とを備えている。オーディオコーデック24は、ビープ信号に基づくビープ音とオーディオデータに基づく音とを排他的に切り替えてスピーカ32から出力させる。そして、エンベデッドコントローラ31は、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号を取得した場合、オーディオコーデック24がビープ信号に基づくビープ音をスピーカ32から出力させるように制御する。
【0075】
これにより、情報処理装置10は、システムの動作状態が例えば「S0」または「S0ix」状態のときであっても、既存のスピーカ32を用いて遠隔操作によりビープ音を出力することができる。よって、情報処理装置10は、システムの動作状態によらず、既存のスピーカ32を用いて遠隔操作により音を出力することができる。
【0076】
例えば、エンベデッドコントローラ31は、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号を取得した場合、スピーカ32から出力させる音をオーディオデータに基づく音からビープ信号に基づくビープ音へ切り替えるための「Cont_Beep(ON)」信号(制御信号の一例)を出力する。オーディオコーデック24は、エンベデッドコントローラ31から出力される「Cont_Beep(ON)」信号が入力されるコントロール端子(制御端子の一例)を備えており、「Cont_Beep(ON)」信号に基づいて、スピーカ32から出力させる音をオーディオデータに基づく音からビープ信号に基づくビープ音へ切り替える。
【0077】
これにより、情報処理装置10は、エンベデッドコントローラ31の制御に基づいてオーディオコーデック24のリソースを切り替えることにより、システムの動作状態が例えば「S0」または「S0ix」状態のときであっても、既存のスピーカ32を用いて遠隔操作によりビープ音を出力することができる。
【0078】
オーディオコーデック24のコントロール端子は、例えば、I2S(Inter-IC Sound)規格に対応する端子である。また、このコントロール端子は、一例として、イヤホンジャックへの挿入を検出するジャック検出端子であってもよい。
【0079】
これにより、情報処理装置10は、オーディオコーデック24の汎用的な端子を制御することにより、システムの動作状態が例えば「S0」または「S0ix」状態のときであっても、遠隔操作でビープ音を鳴らすことができる。
【0080】
また、オーディオコーデック24は、「Cont_Beep(ON)」信号に基づいて、SoC100に対して、スピーカ32から出力させる音をビープ音へ切り替える切替制御を要求する。例えば、オーディオコーデック24は、この切替制御を要求として、「Select Beep Request」信号を、SoC100へ送信する。SoC100は、オーディオコーデック24からの切替制御の要求に応じて、オーディオコーデック24に対して、スピーカ32から出力させる音をオーディオデータに基づく音からビープ信号に基づくビープ音へ切り替える指示を行う。例えば、SoC100は、ビープ音へ切り替える指示として、オーディオコーデック24の出力の切り替えを要求する「Change Output Request」信号を、オーディオコーデック24へ送信する。そして、オーディオコーデック24は、SoC100からの上記指示に応じて、スピーカ32から出力させる音をオーディオデータに基づく音からビープ信号に基づくビープ音へ切り替える。
【0081】
これにより、情報処理装置10は、エンベデッドコントローラ31の制御に基づいてSoC100(例えば、オーディオドライバ)がオーディオコーデック24のリソースを切り替えることにより、システムの動作状態が例えば「S0」または「S0ix」状態のときであっても、既存のスピーカ32を用いて遠隔操作によりビープ音を出力することができる。
【0082】
また、エンベデッドコントローラ31は、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号を取得したことに応じて、ビープ音の出力トリガとなる「Beep_ON」信号(第2情報の一例)をSoC100へ出力する。SoC100は、エンベデッドコントローラ31から出力された「Beep_ON」信号を取得すると、エンベデッドコントローラ31に対してビープ信号を出力させる指示を行う。例えば、SoC100は、ビープ信号を出力させる指示として、ビープ信号の出力を要求する「Beep Request」信号をエンベデッドコントローラ31へ送信する。そして、エンベデッドコントローラ31は、SoC100からのビープ信号を出力させる指示に応じて、ビープ信号(EC_Beep)を出力する。
【0083】
これにより、情報処理装置10は、遠隔操作によりビープ音を出力する指示(例えば、ビーコンの紛失防止タグ)を受取った場合、エンベデッドコントローラ31がSoC100(例えば、BIOS)へ通知することにより、SoC100(例えば、BIOS)からの指示に応じて、エンベデッドコントローラ31の制御によりオーディオコーデック24のリソースを切り替えることができる。よって、情報処理装置10は、システムの動作状態が例えば「S0」または「S0ix」状態のときであっても、既存のスピーカ32を用いて遠隔操作によりビープ音を出力することができる。
【0084】
また、エンベデッドコントローラ31は、スピーカ32から出力させる音をオーディオデータに基づく音からビープ信号に基づくビープ音へ切り替えるための「Cont_Beep(ON)」信号を出力した後、ビープ停止条件(所定の条件の一例)が満たされると、スピーカ32から出力させる音をビープ信号に基づくビープ音からオーディオデータに基づく音へ切り替えるための「Cont_Beep(OFF)」信号(制御信号の一例)を出力する。
【0085】
これにより、情報処理装置10は、遠隔操作によりビープ音を出力した場合、一定時間が経過した後、或いはユーザによる操作入力があった場合、ビープ音の出力を停止することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る情報処理装置10における制御方法は、OSのプログラムを一時的に記憶するメインメモリ12(メモリの一例)と、OSのプログラムを実行するSoC100(プロセッサの一例)と、音を出力するスピーカ32と、近距離無線通信(例えば、ビーコン)を行う近距離無線通信部27と、オーディオコーデック24(オーディオ処理デバイスの一例)と、エンベデッドコントローラ31とを備える情報処理装置における制御方法であって、近距離無線通信部27が、近距離無線通信により紛失防止タグ(特定の信号の一例)を受信した場合、紛失防止タグを受信したことを示す「-BT_INT」信号(第1情報の一例)を出力するステップと、エンベデッドコントローラ31が、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号を取得したことに応じて音を出力させるためのビープ信号(第1音データの一例)を出力するステップと、オーディオコーデック24が、ビープ信号が入力される端子と、OSに基づく処理によりSoC100から出力されたオーディオデータ(第2音データの一例)が入力される端子とを備え、ビープ信号に基づくビープ音とオーディオデータに基づく音とを排他的に切り替えてスピーカ32から出力させるステップと、エンベデッドコントローラ31が、近距離無線通信部27から出力された「-BT_INT」信号を取得した場合、オーディオコーデック24がビープ信号に基づくビープ音をスピーカ32から出力させるように制御するステップと、を含む。
【0087】
これにより、情報処理装置10は、システムが通常動作状態(例えば、「S0」または「S0ix」状態)のときであっても、既存のスピーカ32を用いて遠隔操作によりビープ音を出力することができる。よって、情報処理装置10は、システムの動作状態によらず、既存のスピーカ32を用いて遠隔操作により音を出力することができる。
【0088】
<第2の実施形態>
本実施形態では、遠隔ビープ制御に関する構成の別の例を説明する。
図6は、本実施形態に係る遠隔ビープ制御を行う構成の一例を示すブロック図である。この図において、図3の各部に対応する構成には同一の符号を付している。
【0089】
本実施形態では、オーディオコーデック24がSoC100から出力されたオーディオデータに基づく音を出力するスピーカが2つ備えられている点が、第1の実施形態と異なる。SoC100から出力されたオーディオデータに基づく音をスピーカから出力させるパス(符号R2が示す矢印の経路)がスピーカ32Aとスピーカ32Bとの2つのスピーカのそれぞれに分かれている。スピーカ32Aが図3のスピーカ32に対応する。一方、スピーカ32Bは、アンプ241を介してオーディオコーデック24と接続されている。スピーカ32Bは、アンプ241を介することにより、スピーカ32Aよりも、高品質の音を出力することができる。
【0090】
このように、スピーカ32Aとスピーカ32Bとの2つのスピーカを備えた構成でも、遠隔ビープ制御としては、第1の実施形態と同様にオーディオコーデック24のリソースを切り替えることで、スピーカ32Aからビープ音を出力することができる。
【0091】
また、図6に示す構成では、SoC100からもビープ信号(SoC_Beep)が出力される点も第1の実施形態と異なる。このビープ信号(SoC_Beep)は、エンベデッドコントローラ31から出力されるビープ信号(EC_Beep)と同様に、オーディオコーデック24のビープ端子に入力される。ビープ信号(SoC_Beep)は、BIOSのアップデート時などに出力されるものであり、「S0」または「S0ix」状態では出力されることがない。そのため、「S0」または「S0ix」状態における遠隔ビープ制御には影響しない。
【0092】
以上、この発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の各実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0093】
また、上記実施形態では、情報処理装置10は、携帯端末50から紛失防止タグを受信したことに応じてビープ音を出力する例を説明したが、ビープ音以外の報知音を出力してもよく報知音の種類は任意の音とすることができる。
【0094】
また、エンベデッドコントローラ31は、オーディオコーデック24に「Cont_Beep」信号を出力するのではなく、SoC100に対してスピーカ32から出力させる音の切替制御を要求してもよい。その場合、SoC100(オーディオドライバ)は、エンベデッドコントローラ31からの切替制御の要求に応じて、スピーカ32から出力させる音を、SoC100から出力されたオーディオデータに基づく音からエンベデッドコントローラ31から出力されたビープ信号に基づくビープ音へ切り替える指示をオーディオコーデック24に対して行ってもよい。
【0095】
なお、上述した情報処理装置10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置10が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置10が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0096】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態における情報処理装置10及びが備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 情報処理システム、10 情報処理装置、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 表示部、21 チップセット、22 不揮発性メモリ、23 記憶媒体、24 オーディオコーデック、25 LANアダプタ、26 USBコネクタ、27 近距離無線通信部、31 エンベデッドコントローラ、32(32A,32B) スピーカ、33 操作部、34 電源ボタン、35 電源回路、100 SoC、241 アンプ
【要約】
【課題】情報処理装置が、システムの動作状態によらず、既存のスピーカを用いて遠隔操作により音を出力すること。
【解決手段】情報処理装置は、OSのプログラムを実行するプロセッサと、音を出力するスピーカと、近距離無線通信により特定の信号を受信した場合、特定の信号を受信したことを示す第1情報を出力する近距離無線通信部と、近距離無線通信部から出力された第1情報を取得したことに応じて音を出力させるための第1音データを出力するECと、ECから出力された第1音データに基づく音とOSに基づく処理によりプロセッサから出力された第2音データに基づく音とを排他的に切り替えてスピーカから出力させるオーディオ処理デバイスと、を備え、ECは、近距離無線通信部から出力された第1情報を取得した場合、オーディオ処理デバイスが第1音データに基づく音をスピーカから出力させるように制御する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6