(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/00 20060101AFI20230403BHJP
A63H 27/10 20060101ALI20230403BHJP
A63H 5/00 20060101ALI20230403BHJP
A63H 33/22 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A63H33/00 C
A63H27/10 A
A63H5/00 J
A63H5/00 C
A63H33/22 A
(21)【出願番号】P 2022011341
(22)【出願日】2022-01-27
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2019-01-28
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】519032309
【氏名又は名称】福士 英実
(74)【代理人】
【識別番号】100103986
【氏名又は名称】花田 久丸
(72)【発明者】
【氏名】福士英実
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-208911(JP,A)
【文献】国際公開第95/024951(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3146442(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0401734(KR,Y1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0043799(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0247306(US,A1)
【文献】米国特許第09579587(US,B1)
【文献】米国特許第06036576(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
A63B 67/00-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に気体が充填される軟質袋状の刃部に相当するバルーン部(10)と、該バルーン部の下端と一体固定できる口径を有するバルーン取付部(20)と、該バルーン取付部に同軸延長方向に取付けられ、掌で握持可能な太さを有する柄(ツカ)部(30)、とで構成されたことを特徴とする素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項2】
前記バルーン部(10)
が市販の応援用スティックバルーンで構成されたことを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項3】
前記市販の応援用スティックバルーンが、ラバーバルーン又はマイラーバルーンで構成されたことを特徴とする請求項2記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項4】
前記バルーン部(10)の下端とバルーン取付部(20)とが、強く膨張させたバルーンの膨圧がバルーン取付部の内壁に掛かることにより一体固定されることを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項5】
前記バルーン部(10)の下端とバルーン取付部(20)とが、接着テープ(21)で一体固定されることを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項6】
前記バルーン部(10)の下端とバルーン取付部(20)とが、バルーン取付部の内壁に貼り付けられた一方向性の滑り止めテープ(22)で一体固定されることを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項7】
前記バルーン部(10)の下端とバルーン取付部(20)とが、予め空気を入れて十分に膨らませたバルーン部の下端の一部がバルーン取付部の内壁の一部に設けた内肩部(23)で係止変形することで一体固定されることを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項8】
前記バルーン部(10)の下端とバルーン取付部(20)とが、バルーン取付部の底部に設けた開口部(24)から一部分だけ外部に表出させたバルーン部の空気注入口(11)へストローや空気注入針を差込み、バルーン部へ空気を強く注入しバルーン部を膨らませ、該バルーン部を完全に膨張させることでバルーン取付部の壁面にバルーン部の下端を膨接させることで一体固定されることを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項9】
前記バルーン部(10)の下端とバルーン取付部(20)とが、バルーン取付部の側壁に設けた複数の切込み部(25)を周回する紐でバルーン表面を押圧変形させることで一体固定されることを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項10】
更にバルーン取付部(20)の下端部に鍔(つば)部(26)を設けたことを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項11】
更に柄(ツカ)部(30)内に乾電池を収納するとともに、バルーン収納部(20)の底部中央にLED素子(27)を配置しバルーン部全体を下部から透過照明することで、バルーン部全体が内部から発光するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【請求項12】
更に柄(ツカ)部(30)内に乾電池、加速度センサ(28)およびミニスピーカ(29)を配置することで、該素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具を振り下ろした際の振り下ろし加速度を該加速度センサで検知し、検知された降り下ろし加速度に対応する「空気切り裂き音」をミニスピーカから空気切り裂き速度の効果音として発するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、いわゆる素肌剣術に用いられるエアーソフト刀剣遊具に関する。この素肌剣術とは、防具を着けない相手に対する剣術であり、介者剣術と呼ばれる甲冑を着けた相手に対する剣術と対比される。なお「スポーツちゃんばら」と呼ばれる現代風の競技または遊戯も、この素肌剣術の範疇に分類され得る。歴史的には甲冑着用が当然であった戦国時代の介者剣術から、平安な江戸時代への移行に伴い、平服・平時の偶発的な個人戦を前提とする素肌剣術へと変わった経緯がある。また徳川家康の令により、それまでの武士道とは異なる儒教を軸とした新しい「武士道」が全国に広められ、さらに260年近くにもおよぶ平和な時代が続いたことにより、禅など心法・精神鍛錬に重きを置く流派が出現したことで、上記素肌剣術は武術が昇華した剣術ともいえる。本願発明は現代では小学生に居合道を指導する中で、武士の礼儀作法を学びつつその精神的鍛練の一環として、上述の素肌剣術において使用する安全かつ安価なエアーソフト刀剣遊具に関するものである。なお
図12に、本願に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具を用いて行う小学生による非公開の模擬試合を示す参考図を添付する。
【背景技術】
【0002】
このエアーソフト刀剣遊具を用いた剣術は、特に近年では子供の遊技に留まらず、大人の間でも護身術の訓練やスポーツとして広がりつつある。また現在では全日本スポーツチャンバラ選手権大会や世界スポーツチャンバラ選手権大会が開催されるほどの人気がある。ところで素肌剣術用のエアーソフト刀剣遊具としては、当っても痛くないことが当然要求される。特に子供の間で行なわれるエアーソフト刀剣遊具を用いた剣術の場合には、当って痛いと子供が無気になったり、怒って喧嘩になってしまう恐れもあるためである。
【0003】
まず古武道具としては特開昭51-14432号、練習用警棒としては実公昭54-32879号、そして護身剣道用ソフト剣としては実開平5-78265号に夫々開示されている。これ等は基本的には
図13に示すように、芯棒の周りに弾性材としてウレタンを巻き付け、その上から布製またはレザー製の袋を被せるという構成を採っていた。このウレタンの弾性によって、防具無しでも相手を傷つけることのない非常に都合の良いものであった。しかしながら従来のこれ等の警棒やソフト太刀には、ウレタンなどの品質にバラつきがあり、このためソフト太刀の性能にも当然にバラつきが生じるので、試合を行う場合には可成りの不公平が生じることがあった。また更にウレタンなどは使用しているうちに硬化するので、ほぼ6か月を基準としてウレタンを交換することが義務づけられていたが、使用者がウレタンの交換を行わずいつまでも使用していると、事故の原因となる可能性があった。
【0004】
上記不具合を解消するために、国際公開第95/24951号公報(優先権主張:特願平6-43926号、特願平6-215916号、特願平6-287956号)にはスポーツちゃんばら用の刀剣遊具が提案されている。しかしこれ等の引例に開示されている刀剣遊具は
図14に示すように、当っても痛くないとは言い難く、防具等の特別な装備が必要とされるのが実情であった。すなわち刃に相当する部分には空気が充填された袋状体とされているものの、柄の部分が握り易いように硬質で小径の棒状体とされている。それ故、片手で持って素早く振り回すことが出来て、逆に強く打撃してしまう。また、柄の部分から刃の部分は、境界が段付形状となって刃の部分が大径とされている。そして、柄の部分と刃の部分との間で構造と外径が大きく変化する段差を有することから、その段差部分に応力が集中し易い。それ故、強度を保つために刃の部分もある程度硬くすることが避けられず、当たると痛かった。また、強度を保つために硬質の柄の部分を袋状体の内部にまで延び出させると、刃の部分の強度が大きくなり過ぎて、危険ですらあった。
【0005】
さらに、異なる材質の袋状体と棒状体を一体化させて且つ袋状体の密閉空気室構造を実現する必要があることから、製造が非常に困難で、製造不良も発生し易かった。またこれ等の引例には、柄の部分まで袋状体で一体形成された刀剣遊具も開示されているが、柄の部分が細いことから強度の確保が困難であり、強度を確保しようとすると前述のように刃の部分を含む袋状体の全体を硬くする必要があって、当っても痛くないとは言い難い不具合を有していた。
【0006】
そのため上記不具合を解消するために実用新案登録第3146442号では、本願発明の発明者自身の考案に係るエアーソフト刀剣遊具10が開示されている。すなわち
図15に示すように、柄カバー14が、棒状体28の長手方向を柄部20の長手方向に向けた状態で、空気を密封した袋状体12の柄部20の外周面に重ね合わされて巻き付けられ、固定部材としての固定紐によって柄部20の表面に重ね合わされた状態で固定される。ここにおいて、空気栓24が柄部20に位置するため、柄部20に柄カバー14が巻き付けられることによって、空気栓24が柄カバー14で覆われるようになっている。このような構造とされたエアーソフト刀剣遊具は、柄部20を柄カバー14の上から把持して使用される。そして、本実施形態におけるエアーソフト刀剣遊具によれば、刃部18が大径で軟質の袋状体12で形成されていることから、当っても痛みがなく、安全に使用することが出来る。従って、特別な防具を用いることなくエアーソフト刀剣遊具を用いた剣術を楽しむことが出来るという利点を有する。
【0007】
この引例の構成では、柄部20も大径であるので使用者は両手で柄部20を把持することになる。これにより、子供などのように手の力が弱い使用者でも持って振り回すことが容易とされている。また、柄部20が或る程度太くされていることと相俟って、素早く振り回すことが困難とされており、刃部18の速度が抑えられることから、当ったときの痛みがより抑えられている。加えて、袋状体12が刃部18から柄部20にかけて同じ外周形状をもって連続する寸胴形状とされていることから、柄部20と刃部18との境界部22の強度も有利に確保され得て、境界部22で屈曲してしまうようなことも回避されている。これにより、境界部22の強度を確保するために袋状体12を厚肉とするようなことも不要とされて、袋状体12をより軟質に形成することが出来ることから、当ったときの痛みを更に軽減することが可能とされている。この様にこの引例に係る刀剣遊具では、高い安全性と優れた使用性を有するエアーソフト太刀を、優れたコスト効率をもって安価に提供することが可能となっている。
【0008】
しかしながら本願の発明者自身により10年以上も前に考案された上記のエアーソフト太刀には、現在では以下のような不具合を有する。
1.空気を密封した袋状体12の刃部18と柄部20は一体構造であり、柄部20と刃部18の横幅は略同一である。従って特に小さな子供の手で握持するには太すぎる。特に袋状体12の柄部20の外周面には柄カバー14が重ね合わされて巻き付けられているため、小さな子供の手で握持するには無理がある。
2.袋状体12は、先端の切先部分は真剣を模して斜めに傾斜させた形状を有した特殊な形状であり、生産ロット数を考慮すると割高である。またこの袋状体12については従来からビニール玩具等に用いられている塩化ビニール樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等が好適に採用されると言及するに止まる。ところが現実のエアーソフト刀剣遊具を用いた剣術では、相手と打撃戦を行う場合に相手の刀剣や身体に自分の刀剣が激しく撃ちつけられる際の打撃音についてはこの引例では全く考慮が払われていない。
3.更に最も不具合な点として、この引例に係る刀剣遊戯が開発された後、袋状体12として流用可能で優良かつ安価な代替市販品が数多く開発されているにも拘らず、この引例に係る構成ではこれ等の代替市販品を使用できる構造とはなっていない。例えば近年テレビのバレーボールやサッカー中継等でお馴染みの応援スティックバルーンである。この応援スティックバルーンを袋状体12として流用すれば、エアーソフト刀剣遊具を用いた剣術の対戦では打ち合う際に高い金属音を発することも可能となる。しかしながらこの引例に係る構成では、この様な既存の安価な市販品である応援スティックバルーンを流用するという技術的思想は存在しない。なお
図16には現在市販中のビニール製の日本刀を図示するが、上記1から3に記した問題点を解決する構造には依然として至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開昭51-14432号
【文献】実公昭54-32879号
【文献】実開平5-78265号
【文献】国際公開第95/24951号公報
【文献】特開平6-43926号
【文献】特開平6-215916号
【文献】特開平6-287956号
【文献】実用新案登録第3146442号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は上述の如き事情を背景として発明されたものであって、その解決課題とするところは、当っても痛くなく、特別な防具を必要とすることなしに剣術を楽しむことが出来て、より簡易な構成を有する新規な構造の刀剣遊具を提供することにある。具体的には市販品のスティックバルーンを柄部に簡単に装着可能な構成とし、これにより安価に大量生産可能であり、更に安全かつ気軽な素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本願発明の各態様を開示する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本願発明の実施態様または技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
すなわち本願発明に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具は、内部に気体が充填される軟質袋状の刃部に相当するバルーン部と、このバルーン部の下端と一体固定できる口径を有するバルーン取付部と、このバルーン取付部に同軸延長方向に取付けられ、掌で握持可能な太さを有する柄(ツカ)部、とで構成した素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具を開示する。そしてこのバルーン部は、市販の応援用スティックバルーンを利用することで安価な素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具を実現した。これにより万一バルーン部が破損しても簡単に交換可能である利点を有する。
【0013】
なおこの応援用スティックバルーンは、ラバーバルーンでも又はマイラーバルーンでもよく、特にマイラーバルーンを使用すれば、刀剣部であるバルーン部が相互に打ち付けられると金属音を発し、合戦の臨場感を実現させることが可能である。
【0014】
上記バルーン部の下端とバルーン取付部の接合は、種々の構成で実現される。例えば強く膨張させたバルーンの膨圧がバルーン取付部の内壁に掛かることを利用してもよいし、もっと簡単に接着テープで一体固定してもよい。更にバルーン取付部の内壁に一方向性の滑り止めテープを張り付けてもよい。その他、バルーン取付部の内壁の一部に設けた内肩部でバルーンを係止変形させたり、バルーン取付部の底部に設けた開口部から一部分だけ外部に表出させたバルーン部の空気注入口から口で空気を入れてバルーンを膨らませ、バルーンを完全に膨張させることでバルーン取付部の壁面にバルーン部の下端を膨接させることで一体固定してもよい。更にまたバルーン取付部の側壁に複数の切込み部を設け、そこを周回する紐でバルーン表面を押圧変形させることで一体固定してもよい。これ等の構成は、バルーン取付部の構造を一部工夫するだけで実現することが可能であり、従って安価に実現することが可能である。
【0015】
なお上記とは別に上記構成に付加して、バルーン取付部の下端部に鍔(つば)部を設けたり、バルーン収納部の底部中央にLED素子を配置しバルーン部全体を下部から透過照明したり、また更に加速度センサでエアーソフト刀剣遊具を振り下ろした際の振り下ろし速度に対応する「空気切り裂き音」をミニスピーカから空気切り裂き速度の効果音として発するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具では、市販品の応援用のスティックバルーンを使用するため、安価に大量生産可能であり、更に安全かつ気軽に合戦の臨場感を向上させて使用できるという大きな利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本願発明の第1実施形態としての素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具1の斜視図である。
【
図2】
図2(A)は
図1中のA-A線での断面図であり、(B)および(C)は下斜め方向からの斜視図である。
【
図3】
図3は本願発明に使用する市販の応援用スティックバルーンの外観図である。
【
図4】
図4は本願発明の第2実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具2の要部を示す概念図である。
【
図5】
図5は本願発明の第3実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具3の要部を示す概念図である。
【
図6】
図6は本願発明の第4実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具4の要部を示す概念図である。
【
図7】
図7は本願発明の第5実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具5の要部を示す概念図である。
【
図8】
図8は本願発明の第6実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具6の要部を示す概念図である。
【
図9】
図9は本願発明の第7実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具7の要部を示す概念図である。
【
図10】
図10は本願発明の第8実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具8の要部を示す概念図である。
【
図11】
図11は本願発明の第9実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具9の要部を示す概念図である。
【
図12】
図12は本願発明に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具を用いた試合の様子を説明するための参考写真である。
【
図13】
図13は従来例に係る芯棒の周りに弾性材としてウレタンを巻き付けた護身剣道用ソフト剣の断面図である。
【
図14】
図14は従来例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具の概念図である。
【
図15】
図15は従来例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具の概念図である。
【
図16】
図16は従来例に係る市販のビニール製の日本刀を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施例)
以下、本願発明を更に具体的に明らかにするために、本願発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず
図1は本願発明の第1実施形態としての素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具1の斜視図であり、
図2(A)は
図1のA-A線での断面図である。この素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具1は、所定の長さ寸法を有する寸胴形状のバルーン部10と、このバルーン部10の下部端部を収納固定するバルーン取付部20、そしてこのバルーン取付部に対し同軸延長方向に取付けた柄(ツカ)部30で構成されている。以下、各部について詳述する。
【0019】
バルーン部10は刀剣部であり、
図3に示すように市販の応援用スティックバルーンで構成される。バルーン部10の材質は各種あり限定はしないが、スティック状のラバーバルーンやマイラーバルーンがよい。特にマイラーバルーンは、例えばバレーボールやバスケットボールの試合で多くの観客が左右の手に各一本ずつを持ち、このスティックバルーン同士を相互に打ち鳴らして使用する市販の応援グッズである。サイズは各種あり、例えば直径約7cm、長軸長約70cm、先端は丸みを帯び、他端には空気注入用の空気注入口(空気逆止弁付き)があり、この空気注入口に直接またはストロー等を差し込み、口で空気を吹き込むことでバルーン部を膨らませる構造になっている。マイラーバルーンは、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロンなどの素材上にアルミニウムを蒸着させたフィルムに空気注入口(空気逆止弁付き)を付けて貼り合わせたバルーンのことで、気密性が高く、また相互に打ち付けると甲高い金属音がする。ラバーバルーンよりも割れにくく、素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具の刀剣部に好適である。表面は金属のようにキラキラ光るので剣術の臨場感を生じさせる効果も有する。更に細長くスティック状にバルーンを構成しても、ラバーバルーンと比べると剛性が比較的高く、従って振り回しても直線形状を維持できる効果を有し、刀剣部として好適である。また先端は丸みを帯びさせて素肌剣術用に使用すれば、安全性を向上させることが可能である。なお従来例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具が開発された当時には、これ等のマイラーバルーンは未だ広く使用されていなかった素材であるが、現在では広く世界バレーやバスケットボール(ミニバス)の応援などにも利用されている。また更に最近ではアイドルのコンサートや、結婚式の二次会を盛り上げるグッズとしても使用されている。従ってこれ等は何処でも容易に入手可能で、また非常に安価に入手できるため、仮に素肌剣術の遊戯中にバルーン部10が破損したとしても、容易にかつ安価に交換可能であるという実用性も兼ね備えている。この点で本願発明に係るエアーソフト刀剣遊具では、既製品のスティックバルーンを使用するという技術的思想に基づいており、この点では従来の素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具が特注形状のバルーンを使用するという前提とは大きく異なる。
【0020】
次にバルーン取付部20について説明する。このバルーン取付部20は、例えば塩ビ管のような円筒状の管でもよく、また木材等の材質でもよい。特に材質は軽いものであれば限定しない。口径は、上記バルーン部10の下端部を押圧摺動させて挿入固定できる直径があればよい。挿入口の形状は、円形や多角形でもよい。いずれの場合も、空気で膨張したバルーン部10の下端を、バルーン取付部20の内壁に沿って強く摺動挿入させることで、バルーン部10とバルーン取付部20が一体固定できる口径とする。すなわち摺動挿入させ後はバルーン部の膨圧がバルーン取付部の内壁に掛かり、この膨圧によってバルーン部10はバルーン取付部20から抜け落ちない構造となっている。なおバルーン取付部20の長軸方向の長さは、このバルーン部の膨圧を十分に受け止めて、素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具による対戦中に相手のバルーン部と強打接触しても容易には抜けない程度の長さとするのが良い。例えば約10cm程度の長さが考えられる。なおバルーン取付部20の底部は、
図2(B)に示すように封止する平面または(C)に示すように柄部30と連結する筋状部材(例えば木材)で構成してもよい。
【0021】
次に柄(ツカ)部30について説明する。この柄部30は、上記バルーン取付部20の底部に同軸延長方向に取付けられている。太さは対戦様に片手または両手で十分に握持出来るよう、子供あるいは大人の掌サイズに合った太さとなるようにする。この柄部の断面形状は、
図2(B)のように円筒形でもよし、真剣の柄を模して
図2(C)のように楕円形でもよい。この様に柄部を楕円形として、居合道における「刃筋を通す」グリップとすれば更に好適である。なお長さは両手の掌で握持出来るような長さでよい。またバルーン取付部20の底部に対して、この柄部30をビス止めで取り付けてもよいし、両者を一体成型してもよい。いずれの場合も、
図15に示す従来例の構成と異なり、柄部の太さ長さとも自在に設計可能であり、真剣の柄の太さと略同一にすることも当然可能である。このため遊戯用のエアーソフト刀剣遊具とはいえ、より真剣の柄(ツカ)の握り感を再現することが可能となる。
【0022】
(第2実施例)
図4は本願発明の第2実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具2の要部を示す概念図である。第1実施例では空気で膨張したバルーン部10の下端を、強くバルーン取付部20の内壁に沿って摺動挿入させることで、バルーン部10とバルーン取付部20が一体固定する構造であるが、試合中にバルーン部10が強打される際にバルーン部10がバルーン取付部20から抜けるのを防止するために、両者を接着テープ21で固定させる構成である。この構成であれば、簡単に子供でもバルーン部10をバルーン取付部に固定させることが可能であり、更にバルーン部10が破損した場合でもその場で簡単に取替可能である。
【0023】
(第3実施例)
図5は本願発明の第3実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具3の要部を示す概念図である。第2実施例と同じくこの実施例3もバルーン部10とバルーン取付部20を一体固定する構造に関し、バルーン部10がバルーン取付部20から抜けるのを防止するために、バルーン取付部20の内壁に一方向性の滑り止めテープ22を張り付け、バルーン部10の下端をバルーン取付部20に固定させる構成である。ここで一方向性の滑り止めテープ22とは、1方向にのみ滑り止めが効き(ストップ)、逆方向には滑る(スライド)ように織られた特殊繊維で、例えば座り直しや移乗が楽に行える車椅子用滑り止めシートに使用されるものである。生地はナイロン、PP(ポリプロピレン)、すべり止め樹脂/PU(ポリウレタン)、リエーテルサルフォン等が使用される。この様にバルーン取付部20の内壁に一方向性の滑り止めテープ22を張り付けることで、予め空気を入れて十分に膨らませた既製のスティックバルーンの下端をバルーン取付部20の上部口内へ強く摺動挿入すると、挿入時にはスティックバルーンの下端が滑り止めテープ22上を滑り押圧摺動し、簡単にエアーバルーンを取り付け可能である。また一旦スティックバルーンを挿入させた後は逆方向にはストップが掛かるため、実際の対戦中にバルーン部10を強打しても、不用意にバルーン取付部20からバルーン部10が抜けてしまうという不具合を防止することが可能である。
【0024】
(第4実施例)
図6は本願発明の第4実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具4の要部を示す概念図である。第3実施例と同じくバルーン部10とバルーン取付部20を一体固定する構造に関し、バルーン部10がバルーン取付部20から抜けるのを防止するために、バルーン取付部20の内壁に内肩部23を設け、予め空気を入れて十分に膨らませた既製のエアーバルーンの下端をこの内肩部23で係止変形させる。バルーン部10の下端をバルーン取付部20に強く押圧挿入させるだけで、バルーン部10とバルーン取付部は、内肩部23で変形膨張することで強固に一体化する。従って対戦中にバルーン部10を殴打しても、不用意にバルーン取付部20からバルーン部10が抜けてしまうという不具合を防止することが可能である。
【0025】
(第5実施例)
図7は本願発明の第5実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具5の要部を示す概念図である。この実施例は、バルーン取付部20の底部にバルーン部の空気注入用の空気注入口(空気逆止弁付き)11を一部分だけ外部に表出させる開口部24を設けた構成である。一般的なバルーンはバルーンの一端に空気注入口があり、ここから直接またはストローや空気注入針を挿入し空気を注入して膨らませる。この構成では、上記他の実施例とは異なり、バルーンを予め完全には膨らませずにバルーン取付部20に挿入し、バルーンの空気注入口11を開口部24からバルーン取付部20の外へ出す。そしてバルーンをバルーン取付部20に挿入した状態のままで、この空気注入口へストローや空気注入針を差込み、バルーンへ空気を強く注入しバルーンを完全に膨張させる。すなわち完全に膨張させたバルーンを、バルーン取付部の壁面に膨接させることで、バルーン部10をバルーン取付部20へ強く圧接固定させることが可能となる。これによりバルーン部10がバルーン取付部20から抜け落ちるのを防止することができる。
【0026】
(第6実施例)
図8(A)は本願発明の第6実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具6の要部を示す概念図である。この実施例は、バルーン取付部20の側壁にバルーンを紐で縛り固定する複数の切込み部25を設けた構成である。この構成では完全に膨張させたバルーン部10をバルーン取付部に押圧挿入した後に、切込み部を周回するように紐で強く結束する。結束された紐の内側はバルーン表面を押圧するため、切込み部の周回方向の断面図である(B)に示すようにバルーンは押圧変形し、これによりバルーンはバルーン取付部20から抜け落ちず、従ってバルーン部10が対戦中に強打されてもバルーン取付部20と一体的な構造を保つことが可能となる。この場合、結束用にソフトな紐をすれば十分なため、安全性は保たれる利点を有する。
【0027】
(第7実施例)
図9は本願発明の第7実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具7の要部を示す概念図である。この実施例は、バルーン取付部20の下端部に鍔(つば)部26を設けた構成である。これによりエアーソフト刀剣遊具7は、更に鍔を有する真剣を模した構成とすることが可能となる。
【0028】
(第8実施例)
図10は本願発明の第8実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具8の要部を示す概念図である。この実施例は、柄(ツカ)部30内に乾電池を収納し、バルーン収納部20の底部中央には、LED素子27を配置する。この実施例では、このLED素子27を発光させてバルーン部10全体を照明させ、あたかもアニメ中の光の剣のようにバルーン部全体が内部から発光するアニメグッズを模すように構成されている。LED素子27はバルーン収納部20に取付けられており、従ってこのエアーソフト刀剣遊具7を振り回しても危険は無く、暗闇の中での素肌剣術を楽しむことが可能となる。
【0029】
(第9実施例)
図11は本願発明の第9実施例に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具9の要部を示す概念図である。この実施例は、柄(ツカ)部30内に収納した乾電池と、加速度センサ28およびミニスピーカ29で構成されている。すなわちこの構成では、このスポーツ素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具9を振り下ろした際の振り下ろし加速度を加速度センサ28で検知し、同じく柄(ツカ)部30内に内蔵する図示しない擬音発生装置により、前述の検知された降り下ろし加速度に対応する「空気切り裂き音」を発生させ、ミニスピーカ29から「空気切り裂き音」を効果音として発するように構成している。これにより更に真剣の立会い戦の臨場感を生じさせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本願発明に係る素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具では、空気を密封した既製品のバルーンを使用するため安価であり、かつ激しく打ち合う素肌剣術にも十分耐え得る強度が得られる利点を有する。またバルーン部10と柄部30は、夫々異なる径で構成することが可能であり、より真剣と似たグリップ感を得ることが出来る。特にバルーン部10に応援用スティックバルーン形のマイラーバルーンを使用すれば、相手と打撃戦を行う場合に、相手の刀剣や身体に自分の刀剣が激しく撃ちつけられる際の効果的な打撃音を得ることが可能となる。更にバルーン部をLED照明することで光の剣としたり、刀剣を振り下ろす際の「空気切り裂き音」を効果的に演出することも可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 素肌剣術用エアーソフト刀剣遊具
10 バルーン部
20 バルーン取付部
30 柄(ツカ)部