(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】紫外線照射によるウイルス不活化装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20230403BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
A61L9/20
B01D53/26 200
(21)【出願番号】P 2022125915
(22)【出願日】2022-08-05
【審査請求日】2022-08-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592026211
【氏名又は名称】ナカ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141346
【氏名又は名称】潮崎 宗
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 俊一
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-203182(JP,A)
【文献】特許第6990494(JP,B1)
【文献】特表2013-508138(JP,A)
【文献】特開2006-158994(JP,A)
【文献】特開2016-101187(JP,A)
【文献】国際公開第1984/003880(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3233265(JP,U)
【文献】国際公開第2018/070457(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
B01D 53/00
B01J 4/00、19/00
C02F 1/32
F16J
F17C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の中のウイルスを不活化させるための紫外線を照射する紫外線照射装置と、
内部に充填された気体に前記紫外線照射装置から
の前記紫外線を
有効に照射可能な素材の側壁を備え、夫々所定容量の前記気体を充填可能な複数個のエアータンクと、
前記気体の排出が完了した前記エアータンクから順に前記ウイルスで汚染されている可能性のある前記気体を所定吸入時間ずつ吸入させる吸入動作と、前記紫外線照射装置により
ウイルスを不活化するのに十分な所定の照射条件で前記紫外線が照射された前記エアータンクから順に前記気体を所定排出時間ずつ排出させる排出動作とを制御する制御装置と、
を備え、
前記複数個のエアータンクは、夫々前記紫外線照射装置から同じ前記所定の照射条件で前記紫外線が照射されるように、前記紫外線照射装置に対して夫々同じ位置関係で前記紫外線照射装置を取り囲むように配置される、
ウイルス不活化装置。
【請求項2】
前記所定の照射条件は、所定の波長、所定の照射強度、所定の照射距離、及び所定の照射時間に関する条件である、請求項1に記載のウイルス不活化装置。
【請求項3】
前記各エアータンクに吸入させられる前記気体を除湿する除湿装置をさらに備える、請求項1に記載のウイルス不活化装置。
【請求項4】
前記エアータンクは、
吸入弁と、
前記吸入動作において、前記吸入弁を介して前記ウイルスで汚染されている可能性のある前記気体を前記エアータンク内に吸入し、または前記排出動作において、前記エアータンク内の気体が前記吸入弁から漏れ出すことを阻止する第1のファンと、
排出弁と、
前記排出動作において、前記排出弁を介して前記エアータンク内の気体を排出し、または前記吸入動作において、前記エアータンク内の気体が前記排出弁から漏れ出すことを阻止する第2のファンと、
を備える
、
請求項1に記載のウイルス不活化装置。
【請求項5】
前記エアータンクは、上面または底面の一方の面上に前記
第1のファンおよび前記吸入弁を備え、前記底面または前記上面の他方の面上に前記排出弁および前記
第2のファンを備え
ると共に、円筒形状
の前記側壁を備え、
前記紫外線照射装置は、前記エアータンクの夫々の前記円筒
形状の前記側壁によって所定距離内で取り囲まれ、前記エアータンクの前記上面と前記底面の間の距離と略同一の筒長を有する筒状の紫外線ランプを備える、
請求項
4に記載のウイルス不活化装置。
【請求項6】
前記エアータンクは、底面上の第1の穴に前記
第1のファンおよび前記吸入弁を備え、前記底面上の第2の穴に前記
第2のファンおよび前記排出弁を備え、前記紫外線を有効に透過可能な透明な材質の円錐面
からなる前記側壁を備えた円錐形状を有し、
前記紫外線照射装置は、前記エアータンク毎に、該エアータンクの前記円錐形状の頂点部分に設置され、発光された紫外線の配光角が前記円錐形状の頂点部分から前記円錐面に向かう角度に略一致する紫外線発光ダイオードを備える、
請求項
4に記載のウイルス不活化装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記気体の排出が完了した前記エアータンクから順に、該エアータンクに設置されている前記吸入弁が開かれ該エアータンクに設置されている前記排出弁が閉じられて前記ウイルスで汚染されている可能性のある気体が前記所定吸入時間ずつ吸入させられるように前記
第1のファンおよび前記
第2のファンの回転を制御し、前記紫外線照射装置により所定照射時間だけ紫外線が照射された前記エアータンクから順に、該エアータンクに設置されている前記排出弁が開かれ該エアータンクに設置されている前記吸入弁が閉じられて前記気体が前記所定排出時間ずつ排出させられるように前記
第2のファンおよび前記
第1のファンの回転を制御する、請求項
4乃至6の何れか1項に記載のウイルス不活化装置。
【請求項8】
前記エアータンクは、上面または底面の一方の面上に吸入弁を備え、前記底面または前記上面の他方の面上に排出弁を備え
、
複数の前記エアータン
クに具備される前記吸入弁は第1の面内の第1の円周上に並ぶように配置され、複数の前記エアータン
クに具備される前記排出弁は第2の面内の第2の円周上に並ぶように配置され、
前記第1の面内で回転可能に設置され、前記第1の円周上に沿った第1のターンテーブルレールを備え、前記第1のターンテーブルレール上の一箇所に、流入するウイルスで汚染されている可能性のある気体を1つの前記吸入弁を介して該吸入弁が設置されている前記エアータンク内に吸入させるバルブ開放口が開けられ、該バルブ開放口以外の前記第1のターンテーブルレール下に位置する前記吸入弁は該吸入弁からの気体の吸入が阻止される構成を備える第1のターンテーブルと、
前記第1のターンテーブルを回転させる第1のモータと、
前記第2の面内で回転可能に設置され、前記第2の円周上に沿った第2のターンテーブルレールを備え、前記第2のターンテーブルレール上の一箇所に、1つの前記排出弁を介して該排出弁が設置されている前記エアータンク内で除菌された気体を排出させるバルブ開放口が開けられ、該バルブ開放口以外の前記第2のターンテーブルレール上に位置する前記排出弁は該排出弁からの気体の排出が阻止される構成を備える第2のターンテーブルと、
前記第2のターンテーブルを回転させる第2のモータと、
を備える請求項1に記載のウイルス不活化装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記気体の排出が完了した前記エアータンクから順に、該エアータンクに設置されている前記吸入弁の位置に前記第1のターンテーブルの前記バルブ開放口が停止して、該吸入弁が開かれて前記ウイルスで汚染されている可能性のある気体が前記所定吸入時間ずつ吸入させられるように前記第1のモータの回転を制御し、
前記紫外線照射装置により所定照射時間だけ紫外線が照射された前記エアータンクから順に、該エアータンクに設置されている前記排出弁の位置に前記第2のターンテーブルの前記バルブ開放口が停止して、該排出弁が開かれて前記気体が前記所定排出時間ずつ排出させられるように前記第2のモータの回転を制御する、
請求項
8に記載のウイルス不活化装置。
【請求項10】
前記ウイルスで汚染されている可能性のある前記気体は人または動物の呼気から導かれ、前記エアータンクから排出される前記気体は大気中に放出される、請求項1
に記載のウイルス不活化装置。
【請求項11】
前記呼気は、人または動物が装着するマスクまたはフルフェイスヘルメットに連結された呼気チューブを介して導かれる、請求項
10に記載のウイルス不活化装置。
【請求項12】
前記ウイルスで汚染されている可能性のある前記気体は大気中から導かれ、前記エアータンクから排出される前記気体は吸気として人または動物の口または鼻に導かれる、請求項1
に記載のウイルス不活化装置。
【請求項13】
前記吸気は、人または動物が装着するマスクまたはフルフェイスヘルメットに連結された吸気チューブを介して導かれる、請求項
12に記載のウイルス不活化装置。
【請求項14】
前記ウイルス不活化装置は、人が背中に背負いまたは肩にかけ、あるいはキャスター付きキャリーで運ぶ形態であって、充電式または乾電池のバッテリー電源により駆動される携帯型装置である、請求項1
に記載のウイルス不活化装置。
【請求項15】
気体の中のウイルスを不活化させるための紫外線を照射する紫外線照射装置からの
前記紫外線を、
該紫外線を有効に透過可能な側壁を備えたエアータンクの内部に充填された気体に照射することにより前記充填された気体
の中のウイルスを不活化するウイルス不活化方法であって、
夫々前記紫外線照射装置から前記ウイルスを不活化するのに十分な同じ所定の照射条件で前記紫外線が照射されるように、前記紫外線照射装置に対して夫々同じ位置関係で前記紫外線照射装置を取り囲むように配置される複数個の前記エアータンク
を用意し、
前記気体の排出が完了した前記エアータンクから順に前記ウイルスで汚染されている可能性のある前記気体を所定吸入時間ずつ吸入させ
る吸入動作と、
前記紫外線照射装置により
前記所定の照射条件で前記紫外線が照射された前記エアータンクから順に前記気体を所定排出時間ずつ排出させる
排出動作と、
を実行することにより連続的に流入する前記ウイルスで汚染されている可能性のある前記気体中の前記ウイルスを不活化する、
ウイルス不活化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射することによりウイルスを不活化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)(いわゆる新型コロ
ナウイルス)は世界中でパンデミックの脅威となっており、深刻な健康被害と経済的負担
を引き起こしている。
例えば、SARS-CoV-2の感染者が吐く呼気中には多くのSARS-CoV-2
が含まれており、このような汚染されている可能性のある呼気中のウイルスを殺菌してか
ら大気中に放出することが、重要な課題として求められている。
逆に、病院や、店舗、ホテル、または空港などのようなSARS-CoV-2が大気中
に存在し易い場所に関係するスタッフや顧客などにとって、大気中のウイルスを殺菌して
から息を吸うことも、課題として求められている。
【0003】
旧来から、紫外線を使ってウイルスを不活化できる技術が知られている。例えば、特許
文献1によれば、利用者から発せられた呼気をベルマウス形状の吸引口を一端に備える吸
引パイプにて捉え、その一端に連結され、吸引口からの気流を流入させる送風機と、流入
した気体に対して波長が222nm(ナノメートル)または254nmである紫外線を照
射する紫外線ランプとを有するウイルス不活性化装置が知られている。この特許文献1で
は、かかる装置を用いて呼気が発せられた直後において呼気に対するウイルスの不活性化
を行うことにより、周囲へのウイルス拡散による感染リスクを効果的に抑制することがで
きるとしている。
【0004】
一方、非特許文献1は、SARS-CoV-2を含む液体培地に30cmの距離から、
抗ウイルス効果を持つことが知られており、既存の最も安価かつ容易に得られ実用化され
ている253.7nmの波長の紫外線を500μW/cm2の放射照度で30秒間照射す
ることにより、時間依存的な感染性(ウイルス力価)が減少し、SARS-CoV-2の
感染性が99.99%減少するという実験結果を開示した。また、非特許文献1は、それ
らの減少が有意なウイルスRNA(RiboNucleic Acid:リボ核酸)量の
減少(ウイルスゲノムの損傷)によるものであることを突き止めた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】“UVC disinfects SARS-CoV-2 by induction of viral genome damage without apparent effects on viral morphology and proteins”,Chieh-Wen Lo,Ryosuke Matsuura,Kazuki Iimura,Satoshi Wada,Atsushi Shinjo,Yoshimi Benno,Masaru Nakagawa,Masami Takei & Yoko Aida,Scientific Reports volume 11,Article number:13804(2021).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術は、呼気についてタンク内を通過させなが
らウイルスを不活性化するという処理をただ漠然と開示しているにすぎず、SARS-C
oV-2を対象とした場合に、非特許文献1にあるように、紫外線を約30cmの距離か
ら500μW/cm
2の放射照度で30秒照射するという動作を保証するものではない。
特許文献1の
図1には、同じタンクを直列に接続することでより入念に不活性化処理を行
うというような記載もあるが、理論的に裏付けられた不活性化処理ではない。従って、特
許文献1に記載の従来技術は、SARS-CoV-2を効果的に不活性化することはでき
ないという課題があった。
【0008】
なお、特許文献1では「不活性化」という語句を使用しているが、非特許文献1では「
不活化」という語句を用いているため、以下の説明では「不活化」という語句を用いる。
【0009】
ここで、SARS-CoV-2が含まれる可能性がある人の呼気に対して、非特許文献
1に開示されているように、紫外線を約30cmの距離から500μW/cm2の放射照
度で30秒照射するという動作を実施することを考察してみる。呼気は人の口や鼻から連
続的に吐かれるものである。従って、呼気を30cm以内の距離にある紫外線下に30秒
程度さらし続けるためには、呼気を30秒間流せるだけの非常に長い(もしくは大きい)
タンクとそれに対応する紫外線ランプ等が必要になってしまう。この結果、従来、呼気中
のSARS-CoV-2を不活化する実用的な装置を実現するのが困難であるという課題
があった。
【0010】
そこで、本発明は、呼気等の気体中のSARS-CoV-2等のウイルスを不活化でき
る実用的なウイルス不活化技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
態様の一例のウイルス不活化装置は、気体の中のウイルスを不活化させるための紫外線を照射する紫外線照射装置と、内部に充填された気体に紫外線照射装置からの紫外線を有効に照射可能な素材の側壁を備え、夫々所定容量の前記気体を充填可能な複数個のエアータンクと、気体の排出が完了したエアータンクから順にウイルスで汚染されている可能性のある気体を所定吸入時間ずつ吸入させる吸入動作と、紫外線照射装置によりウイルスを不活化するのに十分な所定の照射条件で紫外線が照射されたエアータンクから順に気体を所定排出時間ずつ排出させる排出動作とを制御する制御装置と、を備え、複数個のエアータンクは、夫々紫外線照射装置から同じ所定の照射条件で紫外線が照射されるように、紫外線照射装置に対して夫々同じ位置関係で紫外線照射装置を取り囲むように配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、呼気等の気体中のSARS-CoV-2等のウイルスを不活化できる
実用的なウイルス不活化技術を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】第1の実施形態のウイルス不活化装置の外観図である。
【
図1B】第1の実施形態のウイルス不活化装置における紫外線ランプとエアータンクの関係を説明する図である。
【
図2】第1のファン+吸入弁のセット、および第2のファン+排出弁のセットの各セットの詳細を示す構成図である。
【
図3】第1の実施形態の制御システムの回路構成図である。
【
図4】制御回路による制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図5】フェーズ1~12における吸入弁と排出弁の動作状態を示すタイミング図である。
【
図6】第1の実施形態におけるエアータンクの他の実施例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態における除湿機構の第1の実施例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態における除湿機構の第2の実施例を示す図である。
【
図9A】第2の実施形態のウイルス不活化装置の構成図(その1)である。
【
図9B】第2の実施形態のウイルス不活化装置の構成図(その2)である。
【
図10A】第3の実施形態のウイルス不活化装置の構成図(その1)である。
【
図10B】第3の実施形態のウイルス不活化装置の動作説明図である。
【
図10C】第3の実施形態のウイルス不活化装置の構成図(その2)である。
【
図10D】第3の実施形態のウイルス不活化装置の構成図(その3)である。
【
図11A】本実施形態によるウイルス不活化装置をマスクまたはフルフェイスヘルメットと接続する場合の構成例を示す図である。
【
図11B】本実施形態によるウイルス不活化装置に接続されるマスクの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施形態は、前述した非特許文献1の論文に記載のSARS-CoV-2ウイルス不活化技術を利用するものである。この論文は、SARS-CoV-2を含む液体培地に30cmの距離から、抗ウイルス効果を持つことが知られており、既存の最も安価かつ容易に得られ実用化されている253.7nmの波長の紫外線を500μW/cm2の放射照度で30秒間照射することにより、時間依存的な感染性(ウイルス力価)が減少し、SARS-CoV-2の感染性が99.99%減少するという実験結果を開示するものである。また、この論文は、それらの減少が有意なウイルスRNA(RiboNucleic Acid:リボ核酸)量の減少(ウイルスゲノムの損傷)によるものであることを突き止めたものである。
【0015】
以下に説明する本発明の実施形態は、SARS-CoV-2が含まれる可能性があり、
人や動物の口や鼻から連続的に吐かれる呼気に対し、待ち時間無しに、所定距離以内の距
離から発光される紫外線を所定時間連続的に照射し続けることを可能にする技術である。
これを可能とするために、本発明の実施形態は、内部に充填された気体に紫外線照射装
置からの所定の波長の紫外線を所定距離以内の距離から所定照射強度で照射可能であって
、夫々所定容量の気体を充填可能なエアータンクを複数個用意する。そして、本発明の実
施形態は、気体の排出が完了したエアータンクから順にウイルスで汚染されている可能性
のある気体を所定吸入時間ずつ吸入させる吸入動作と、紫外線照射装置により所定照射時
間だけ紫外線が照射されたエアータンクから順に気体を所定排出時間ずつ排出させる排出
動作とを実行させる制御装置を備えるものである。
【0016】
上記構成要素を具備することにより、本発明の実施形態は、例えば人や動物が口や鼻か
ら連続的に吐く呼気を、エアータンクを次々に切り替えながら所定吸入時間(例えば3秒
間)ずつ複数のエアータンク内に順次吸入させ、所定距離以内の距離から所定の強度で所
定照射時間の紫外線照射が完了したエアータンクから順に、タンク内に充填されていたウ
イルスの不活化が完了した気体を所定排出時間ずつ排出させることにより、連続的に発生
する呼気等の気体中のSARS-CoV-2等のウイルスを連続的に不活化することを可
能にするものである。
【0017】
汚染されている可能性のある気体を複数のタンクに次々と吸入させることにより、連続
的に流入する気体に対する、所定距離以内の距離、所定強度、および所定時間毎の所定波
長の紫外線照射によるウイルスの不活化の連続性を担保するという発想は、コンピュータ
のパイプライン処理をウイルスの不活化に応用するような発想であり、独創性があるもの
である。
【0018】
ここで、非特許文献1で報告されているように、紫外線の波長は深紫外領域である10
0~280nmの範囲、例えば253.7nm程度であることが好適である。また、所定
距離は例えば30cm前後以内の距離であることが好適である。また、紫外線照射所定強
度は500μW/cm2の放射照度であることが好適である。さらに、紫外線照射の所定
時間は30秒前後であることが好適である。条件によっては、20秒強であってもよい。
【0019】
図1Aは、本発明の第1の実施形態のウイルス不活化装置100の外観図である。ウイ
ルス不活化装置100は、#1と#2の2台のウイルス不活化ユニット101によって構
成される。これらのウイルス不活化ユニット101は、#1と#2の吸入チューブ接続口
106と吸入チューブ108が相互に接続され、また、#1と#2の排出チューブ接続口
107と排出チューブ109とが相互に接続されることにより、全体として1台のウイル
ス不活化装置100として機能する。
【0020】
このウイルス不活化装置100は、例えばリュックサックなどのように人が背中に背負
いまたは肩に掛け、あるいはキャスター付きキャリーで運ぶ形態であって、充電式または
乾電池のバッテリー電源により駆動される携帯型装置であってよい。
【0021】
1つのウイルス不活化ユニット101は、吸入チューブ108から吸入される気体の中
のウイルスを不活化させるための紫外線を照射する紫外線ランプ102(紫外線照射装置
)、より具体的には深紫外領域の波長を有するUV-C(UltraViolet―C)
ランプを備える。
【0022】
また、ウイルス不活化ユニット101は、内部に充填された気体に紫外線ランプ102
からの所定の波長の紫外線を所定距離以内の距離から所定照射強度で照射可能であって、
夫々所定容量の気体を充填可能な複数個のエアータンク103を備える。例えば、各エア
ータンク103は、紫外線が有効に透過可能なように、ガラスの透明な側壁を有する。側
壁の素材は、ガラスに限られるものではなく、紫外線が有効に透過可能な素材であれば何
でもよい。そして例えば、#1のウイルス不活化ユニット101は、#1の紫外線ランプ
102を取り囲むように、#1から#6の6個のエアータンク103を備える。同様に、
#2のウイルス不活化ユニット101は、#2の紫外線ランプ102を取り囲むように、
#7から#12の6個のエアータンク103を備える。
【0023】
図1Bは、紫外線ランプ102とエアータンク103の関係を説明する図である。
図1
Aに示すように、紫外線ランプ102の周囲を透明な側壁を有する6個のエアータンク1
03が取り囲むことにより、
図1B(a)に示すように、UV-Cランプである紫外線ラ
ンプ102による紫外線照射を、例えば30cm以内の距離から6個のエアータンク10
3内の気体に照射することが可能となる。
【0024】
図1B(b)に示すように、各エアータンク103は、例えば約1l(リットル)の容
量を有し、例えば高さが180mm(ミリメートル)、直径が例えば100mmφ45m
mを有する。
【0025】
後述するように、エアータンク103は、その上面に、汚染されている可能性のある気
体(人や動物の呼気、または外気)を吸入するための第1のファン+吸入弁のセット11
0を備え、その下面に、タンク内で紫外線ランプ102によって紫外線を所定時間(例え
ば30秒間)照射された後の殺菌された気体を排出するための第2のファン+排出弁のセ
ット111を備える。なお、上面または下面の一方に、第1のファン+吸入のセット11
0と第2のファン+排出弁のセット111とが並べて具備されてもよい。
【0026】
図1Aの説明に戻り、6個のエアータンク103の上面側には、吸入チューブ108か
らの汚染されている可能性のある気体を各第1のファン+吸入のセット110を介して各
エアータンク103に導くための、吸入チューブ接続口106と一体として成形された吸
入側ボウル状カバー104が具備される。
同様に、6個のエアータンク103の下面側には、各エアータンク103内で殺菌され
た気体を各第2のファン+排出弁のセット111を介して排出チューブ109に導くため
の、排出チューブ接続口107と一体として成形は排出側ボウル状カバー105が具備さ
れる。
なお、各第1のファン+吸入弁のセット110に夫々個別のチューブが接続されそれら
がまとめられて吸入チューブ108に接続され、一方、各第2のファン+排出弁のセット
111に夫々個別のチューブが接続されそれらがまとめられた排出チューブ109に接続
されるような構成が採用されてもよい。
【0027】
<第1のファン+吸入弁のセット110と第2のファン+排出弁のセット111の設置構
造>
図2は、
図1Bで説明した、各エアータンク103に具備される第1のファン+吸入弁
のセット110、および第2のファン+排出弁のセット111の各セットの詳細を示す構
成図である。
エアータンク103の上面には、エアータンク103の内側に開く吸入弁203が具備
され、その上に第1のファン201が具備される。一方、エアータンク103の下面には
、エアータンク103の外側に開く排出弁204が具備され、その下に第2のファン20
2が具備される。
第1のファン201と第2のファン202はそれぞれ、各ファンの底面がエアータンク
103側に向くように設置される。
吸入弁203はエアータンク103の内側に開くように設置され、排出弁204はエア
ータンク103の外側(排出側)に開くように設置される。
【0028】
<基本動作>
後述する
図3の制御回路301によって、第1のファン201が順方向回転したとき同
時に、第2のファン202も順方向回転するように制御される。逆に、第1のファン20
1が逆方向回転したとき同時に、第2のファン202も逆方向回転するように制御される
。
[基本動作1]:後述する
図3の制御回路301によって、1つのエアータンク103に
具備されている第1のファン201および第2のファン202が順方向回転するように制
御された場合、次のような基本動作が実行される。第1のファン201が、エアータンク
103の上側から下側に向かう正の風圧(
図2の矢印A)によって、吸入弁203をエア
ータンク103の内側に押し広げる。この結果、
図1Aの吸入チューブ108、吸入チュ
ーブ接続口106、および吸入側ボウル状カバー104から、ウイルスに汚染されている
可能性のある空気がエアータンク103内に吸入される。
このとき、第2のファン202が、エアータンク103外下側方向からエアータンク1
03内上側方向に向かう正の風圧によって、排出弁204がエアータンク103の下側か
らエアータンク103内に向かって下面壁に押し付けられる。この結果、エアータンク1
03内からのウイルスに汚染されている可能性のある空気の排出が阻止される。
[基本動作2]:一方、後述する
図3の制御回路301によって、1つのエアータンク1
03に具備されている第1のファン201および第2のファン202が逆方向回転するよ
うに制御された場合、次のような基本動作が実行される。第2のファン202が、エアー
タンク103の上側から下側に向かう負の風圧(
図2の矢印B)によって、排出弁204
をエアータンク103の外側(排出側)に押し広げる。この結果、エアータンク103内
の殺菌された空気が排出させられる。
このとき、第1のファン201が、エアータンク103内下側方向からエアータンク1
03外上側方向に向かう負の風圧によって、吸入弁203がエアータンク103の内がか
らエアータンク103外に向かって上面平気に押し付けられる。この結果、エアータンク
103内への汚染されている可能性のある空気の吸入が阻止される。
【0029】
<具体的な動作>
図3は、
図2の構造および基本動作第1に基づいて動作する、第1の実施形態の制御シ
ステムの回路構成図である。以下の説明において、#iは、
図1Aの#1および#2の2
つのウイルス不活化ユニット101に対応する#1から#12の12本のエアータンク1
03のいずれかを指定するものとする。すなわち、1≦#i≦12である。
#i(i番目)のエアータンク103において、第1のファン201(#1)と第2の
ファン202(#1)は、同極性で接続用リレー310(#i)に接続され、接続用リレ
ー310(#i)は、極性反転リレー320(#i)に接続され、極性反転リレー320
(#i)はファン駆動電源330に接続される。
【0030】
極性反転リレー320(#i)は、それがオフのときにはファン駆動電源330をその
まま接続用リレー310(#i)に出力し、それがオンのときにはファン駆動電源330
の極性を反転させて接続用リレー310(#i)に出力する。
【0031】
接続用リレー310(#i)は、それがオフのときには、第1のファン201(#1)
および第2のファン202(#1)を駆動しない。
接続用リレー310(#i)は、それがオンのときであって、かつ極性反転リレー32
0(#i)がオフのときには、第1のファン201および第2のファン202を順方向回
転させる。接続用リレー310(#i)は、それがオンのときであって、かつ極性反転リ
レー320(#i)もオンのときには、第1のファン201および第2のファン202を
逆方向回転させる。
【0032】
図3の制御回路301は、接続用リレー310(#i)および極性反転リレー320(
#i)(1≦#i≦12)の夫々のオンまたはオフを制御し、CPU(中央演算処理装置
)302、ROM(リードオンリーメモリ)303、RAM(ランダムアクセスメモリ)
304、インタフェース回路305、電源スイッチ306、およびシステムバス307を
備える。また、制御回路301全体に電源電圧を供給する特には図示しないシステム電源
回路を備える。
【0033】
上述の構成において、インタフェース回路305は、
図3の接続用リレー310(#i
)および極性反転リレー320(#i)(1≦#i≦12)の制御入力と個別に接続され
、CPU302からの指示によって、任意のリレー回路のオンまたはオフを制御すること
ができる。また、インタフェース305は、例えば押しボタンスイッチまたはトグルスイ
ッチである電源スイッチ306の状態を取りこみ、オンまたはオフの状態をCPU302
に通知することができる。
CPU302、ROM303、RAM304、およびインタフェース回路305は、シ
ステムバス307によって相互に接続されて、通信を行うことができる。
【0034】
図4は、
図3の制御回路301が実行する制御プログラムの処理の詳細を示すフローチ
ャート、
図5は、各エアータンク103(#i)(1≦#i≦12)を処理するフェーズ
1~12における、吸入弁203と排出弁204の動作状態を示すタイミング図である。
以下、
図4のフローチャートおよび
図5のタイミング図に基づいて、
図3に示される制御
システムの動作を説明する。
【0035】
まず、ユーザによって
図3の制御回路301の電源スイッチ306がオンされると、制
御回路301が起動(ブート)される(
図4のステップS401)。その後、CPU30
2は、ROM303に記憶されている後述する
図4のフローチャートで示される制御プロ
グラムを、RAM304に読み出して、その実行を開始する(
図4のステップS402)
。
続いて、CPU302は
、前述した#iを指定するRAM304上の変数iに初期値1
をセットした後(
図4のステップS403)、ユーザによって電源スイッチ306がオフ
されたと判定するまで(
図4のステップS414)、以下のステップ
S403またはS4
04からS414の各処理を、繰返し実行する。
【0036】
この繰返し処理において、CPU302はまず、変数iの値がエアータンク103の最
後の番号である12に到達したか否かを判定する(
図4のステップS404)。
【0037】
ステップS404の判定がNOならば、CPU302は、RAM304に記憶されてい
る変数iの値に+1した値を、RAM304上の変数jに格納する(
図4のステップS4
05)。ここで、変数iは#iのエアータンク103に対して吸入動作を実行させるため
の制御変数であり、変数jは#jのエアータンク103に対して廃棄動作を実行させるた
めの制御変数である。
【0038】
●フェーズ1
まず最初は、RAM304に記憶されている変数iには、ステップS403において1
がセットされている。従って、上記ステップS404の判定はNOとなり、次のステップ
S405において、変数jに変数iの値1に+1した値2がセットされる。
この結果、i=1、j=2の状態をフェーズ1と定義する。フェーズ1では、以下の制
御動作により、#i=#1(1番目)のエアータンク103に対して吸入動作が実行され
、#j=#2(2番目)のエアータンク103に対して排出動作が実行される。
【0039】
フェーズ1におい
て、CPU302はまず、#i=#1番の接続用リレー310(#1
)をオンする(
図4のステップS407)。
【0040】
次に、CPU302は、#i=#1番の極性反転リレー320(#1)はオフのままと
する(
図4のステップS408)。
【0041】
さらに、CPU302は、#j=#2番の接続用リレー310(#2)をオンする(図
4のステップS409)。
【0042】
また、CPU302は、#j=#2番の極性反転リレー320(#2)もオンする(図
4のステップS410)。
【0043】
以上の動作の後、CPU302は、3秒間の待ち状態となる(
図4のステップS411
)。以上のようにして、フェーズ1
では、
図3のエアータンク103(#1)において、
接続用リレー310(#1)がオンされ(
図4のステップS407)、極性反転リレー3
20(#1)がオフされて(
図4のステップS408)、極性反転リレー320(#1)
が順極性方向に接続される。これにより、3秒間だけ、エアータンク103(#1)の吸
入側の第1のファン201(#1)が順方向に回転し、同じく排出側の第2のファン20
2も順方向に回転する。この結果、前述した基本動作1により、
図5に示されるように、
エアータンク103(#1)の吸入弁203(#1)が3秒間吸入状態となり、同じく排
出弁204(#1)が3秒間排出阻止状態となって、ウイルスに汚染されている可能性の
ある空気が3秒間エアータンク103(#1)内に吸入される。その後、フェーズ
2から
フェーズ
12まで、エアータンク103(#1)の吸入弁203(#1)と排出弁204
(#1)が閉じたままとなることにより、エアータンク103(#1)内の空気は、タン
ク内にとどまって紫外線ランプ102(
図1A、
図1B参照)の紫外線照射によって殺菌
される。
【0044】
フェーズ1において、上記動作と同時に、3秒間だけ、エアータンク103(#2)の
接続用リレー310(#2)がオンされ(
図4のステップS409)、極性反転リレー3
20(#2)もオンされて(
図4のステップS410)、極性反転リレー320(#2)
が逆極性方向に接続される。これにより、3秒間だけ、エアータンク103(#2)の排
出側の第2のファン202(#2)が逆方向に回転し、同じく吸入側の第1のファン20
1(#2)も逆方向に回転する。この結果、前述した基本動作2により、
図5に示される
ように、エアータンク103(#2)の排出弁204(#2)が3秒間排出状態となり、
吸入弁203(#2)が3秒間吸入阻止状態となって、エアータンク103(#2)内で
30秒間殺菌された空気が3秒間エアータンク103(#2)から排出させられる。
【0045】
以上のフェーズ1の3秒間の動作の後、CPU302は、いままでオンしていた接続用
リレー310(#1)をオフしてエアータンク103(#1)に対する吸入動作を停止さ
せ、同様にいままでオンしていた接続用リレー310(#2)と極性反転リレー320(
#2)をオフしてエアータンク103(#2)に対する排出動作を停止させる(
図4のス
テップS412)。
【0046】
次に、CPU302は、RAM304に記憶されている変数iの値を+1インクリメン
トする(
図4のステップS413)。
【0047】
その後、CPU302は、
図3の制御回路301の電源スイッチ306がユーザによっ
てオフされたか否かを判定する(ステップS414)。
【0048】
ステップS414の判定がNOならば、CPU302は、変数iの値がエアータンク1
03の数に対応する値12を超えた値13に達したか否かを判定する(
図4のステップS
415)。
【0049】
ステップS415の判定がNOならば、CPU302は、
図4のステップS404の制
御処理に戻り、制御を続行する。
【0050】
●フェーズ2
変数iの値が「2」になると、前述したステップS404の判定はNOとなり、次のス
テップS405において、変数jに変数iの値1に+1した値3がセットされる。
この結果、i=2、j=3の状態をフェーズ2と定義する。フェーズ2では、以下の制
御動作により、#i=#2(2番目)のエアータンク103に対して吸入動作が実行され
、#j=#3(3番目)のエアータンク103に対して排出動作が実行される。
【0051】
フェーズ2においては、CPU302はまず、#i=#2番の接続用リレー310(#
2)をオンする(
図4のステップS407)。
【0052】
次に、CPU302は、#i=#2番の極性反転リレー320(#2)はオフのままと
する(
図4のステップS408)。
【0053】
さらに、CPU302は、#j=#3番の接続用リレー310(#3)をオンする(図
4のステップS409)。
【0054】
また、CPU302は、#j=#3番の極性反転リレー320(#3)もオンする(図
4のステップS410)。
【0055】
以上の動作の後、CPU302は、3秒間の待ち状態となる(
図4のステップS411
)。以上のようにして、フェーズ2
では、
図3のエアータンク103(#2)において、
接続用リレー310(#2)がオンされ(
図4のステップS407)、極性反転リレー3
20(#2)がオフされて(
図4のステップS408)、極性反転リレー320(#2)
が順極性方向に接続される。これにより、3秒間だけ、エアータンク103(#2)の吸
入側の第1のファン201(#2)が順方向に回転し、同じく排出側の第2のファン20
2も順方向に回転する。この結果、前述した基本動作1により、
図5に示されるように、
エアータンク103(#2)の吸入弁203(#2)が3秒間吸入状態となり、同じく排
出弁204(#2)が3秒間排出阻止状態となって、ウイルスに汚染されている可能性の
ある空気が3秒間、1つ前のフェーズ1で排出が完了したエアータンク103(#2)内
に吸入される。その後、フェーズ
3から次のサイクルのフェーズ1まで、エアータンク1
03(#2)の吸入弁203(#2)と排出弁204(#2)が閉じたままとなることに
より、エアータンク103(#2)内の空気は、タンク内にとどまって紫外線ランプ10
2(
図1A、
図1B参照)の紫外線照射によって殺菌される。
【0056】
フェーズ2において、上記動作と同時に、3秒間だけ、エアータンク103(#3)の
接続用リレー310(#3)がオンされ(
図4のステップS409)、極性反転リレー3
20(#3)もオンされて(
図4のステップS410)、極性反転リレー320(#3)
が逆極性方向に接続される。これにより、3秒間だけ、エアータンク103(#3)の排
出側の第2のファン202(#3)が逆方向に回転し、同じく吸入側の第1のファン20
1(#3)も逆方向に回転する。この結果、前述した基本動作2により、
図5に示される
ように、エアータンク103(#3)の排出弁204(#3)が3秒間排出状態となり、
吸入弁203(#3)が3秒間吸入阻止状態となって、エアータンク103(#3)内で
30秒間殺菌された空気が3秒間エアータンク103(#3)から排出させられる。
【0057】
以上のフェーズ2の3秒間の動作の後、CPU302は、いままでオンしていた接続用
リレー310(#2)をオフしてエアータンク103(#2)に対する吸入動作を停止さ
せ、同様にいままでオンしていた接続用リレー310(#3)と極性反転リレー320(
#3)をオフしてエアータンク103(#3)に対する排出動作を停止させる(
図4のス
テップS412)。
【0058】
次に、CPU302は、RAM304に記憶されている変数iの値を+1インクリメン
トする(
図4のステップS413)。
【0059】
その後、CPU302は、
図3の制御回路301の電源スイッチ306がユーザによっ
てオフされたか否かを判定する(ステップS414)。
【0060】
ステップS414の判定がNOならば、CPU302は、変数iの値がエアータンク1
03の数に対応する値12を超えた値13に達したか否かを判定する(
図4のステップS
415)。
【0061】
ステップS415の判定がNOならば、CPU302は、
図4のステップS404の制
御処理に戻り、制御を続行する。
【0062】
●フェーズ3~11
以下、フェーズ3からフェーズ11まで、制御対象のエアータンク103(#i)の接
続用リレー310(#i)と極性反転リレー320(#i)が一つずつずらされながら(
図4のステップS413で変数iの値がインクリメントされながら)、上記フェーズ2と
同様の制御が実施される。
【0063】
●フェーズ12
やがて、変数iの値が「12」になると、前述したステップS404の判定がYESと
なる。この結果、次のステップS406において、変数jに値1がセットされる。
この結果、i=12、j=1の状態をフェーズ12と定義する。フェーズ12では、以
下の制御動作により、#i=#12(12番目)のエアータンク103に対して吸入動作
が実行され、一巡して戻った#j=#1(1番目)のエアータンク103に対して排出動
作が実行される。
【0064】
フェーズ12においては、CPU302はまず、#i=#12番の接続用リレー310
(#12)をオンする(
図4のステップS407)。
【0065】
次に、CPU302は、#i=#12番の極性反転リレー320(#12)はオフのま
まとする(
図4のステップS408)。
【0066】
さらに、CPU302は、#j=#1番の接続用リレー310(#1)をオンする(図
4のステップS409)。
【0067】
また、CPU302は、#j=#1番の極性反転リレー320(#1)もオンする(図
4のステップS410)。
【0068】
以上の動作の後、CPU302は、3秒間の待ち状態となる(
図4のステップS411
)。以上のようにして、フェーズ12
では、
図3のエアータンク103(#12)におい
て、接続用リレー310(#12)がオンされ(
図4のステップS407)、極性反転リ
レー320(#12)がオフされて(
図4のステップS408)、極性反転リレー320
(#12)が順極性方向に接続される。これにより、3秒間だけ、エアータンク103(
#12)の吸入側の第1のファン201(#12)が順方向に回転し、同じく排出側の第
2のファン202も順方向に回転する。この結果、前述した基本動作1により、
図5に示
されるように、エアータンク103(#12)の吸入弁203(#12)が3秒間吸入状
態となり、同じく排出弁204(#12)が3秒間排出阻止状態となって、ウイルスに汚
染されている可能性のある空気が3秒間、1つ前のフェーズ11で排出が完了したエアー
タンク103(#12)内に吸入される。その後、フェーズ1から次のサイクルのフェー
ズ11まで、エアータンク103(#12)の吸入弁203(#12)と排出弁204(
#12)が閉じたままとなることにより、エアータンク103(#12)内の空気は、タ
ンク内にとどまって紫外線ランプ102(
図1A、
図1B参照)の紫外線照射によって殺
菌される。
【0069】
フェーズ12において、上記動作と同時に、3秒間だけ、エアータンク103(#1)
の接続用リレー310(#1)がオンされ(
図4のステップS409)、極性反転リレー
320(#1)もオンされて(
図4のステップS410)、極性反転リレー320(#1
)が逆極性方向に接続される。これにより、3秒間だけ、エアータンク103(#1)の
排出側の第2のファン202(#1)が逆方向に回転し、同じく吸入側の第1のファン2
01(#1)も逆方向に回転する。この結果、前述した基本動作2により、
図5に示され
るように、エアータンク103(#1)の排出弁204(#1)が3秒間排出状態となり
、吸入弁203(#1)が3秒間吸入阻止状態となって、エアータンク103(#1)内
で30秒間殺菌された空気が3秒間エアータンク103(#1)から排出させられる。
【0070】
以上のフェーズ12の3秒間の動作の後、CPU302は、いままでオンしていた接続
用リレー310(#12)をオフしてエアータンク103(#12)に対する吸入動作を
停止させ、同様にいままでオンしていた接続用リレー310(#1)と極性反転リレー3
20(#2)をオフしてエアータンク103(#1)に対する排出動作を停止させる(図
4のステップS412)。
【0071】
次に、CPU302は、RAM304に記憶されている変数iの値を+1インクリメン
トする(
図4のステップS413)。
【0072】
その後、CPU302は、
図3の制御回路301の電源スイッチ306がユーザによっ
てオフされたか否かを判定する(ステップS414)。
【0073】
ステップS414の判定がNOならば、CPU302は、変数iの値がエアータンク1
03の数に対応する値12を超えた値13に達したか否かを判定する(
図4のステップS
415)。
【0074】
最後のフェーズ12では、最後のエアータンク103(#12)に対する吸入動作が終
了して、ステップS413で変数iの値が+1されると、変数iの値が13となって、ス
テップS415の判定がYESとなる。この場合には、CPU302は、ステップS40
3の処理に戻り、変数iの値を1にリセットし、再びエアータンク103(#1)に対す
る吸入処理の制御に戻る。
【0075】
以上のフェーズ1からフェーズ12までの動作が、制御対象のエアータンク103(#
1)の接続用リレー310(#i)と極性反転リレー320(#i)が、i=1->2-
>3->・・・->11->12->1->・・・というように一つずつずらされながら
、繰返し実行される。
【0076】
ユーザによって電源スイッチ306がオフされると、ステップS414が実行されたタ
イミングでその判定がYESとなる。この結果、CPU302は、全ての接続用リレー3
10(#i)および極性反転リレー320(#i)(1≦#i≦12)の状態をリセット
した後(
図4のステップS416)、自分自身がシャットダウンして動作を停止する(図
4のステップS417)。
【0077】
図6は、第1の実施形態におけるエアータンクの他の実施例を示す図である。
図1Aに
開示した第1の実施形態は、1つのウイルス不活化ユニット101あたり、紫外線ラン
プ
1本あたりにその周囲に配置できるエアータンク103の数は6本程度であった。一方、
1本あたりの容量が1l(リットル)程度のエアータンク103を用いて、ウイルスに汚
染されている可能性のある気体を吸入して不活化するためには、成人の肺活量を考慮した
場合に、1本のエアータンク103を例えば呼気で満たす場合に、3秒程度かかると想定
される。このようにして、ウイルスで汚染されている可能性のある気体が満たされたエア
ータンク103に対して例えば30秒前後の紫外線照射を行うためには、30秒÷3秒=
10本以上のエアータンク103を用意する必要がある。従って、
図1Aの第1の実施形
態では、2つのウイルス不活化ユニット101が必要であった。
【0078】
これに対して、第1の実施形態における
図6の変形例では、紫外線ランプ102を取り
囲むエアータンク601の形状が、
図1Aのエアータンク103のような単純な円筒形で
はなく、
図6(a)に示されるように、上から見下ろしたときの断面が、紫外線ランプ1
02に近づくにつれて先が細くなり、遠ざかるにつれて末広がりになるような扇形の形状
を有している。これにより、
図6の変形例の場合、1本の紫外線ランプ102を取り囲む
エアータンク601の数を12本までに増やすことが可能となり、
図1Aに示したウイル
ス不活化ユニット101を1つに減らすことができる。これにより、ウイルス不活化装置
100全体をダウンサイジングさせることが可能となる。
【0079】
図7は、上述した第1の実施形態における除湿機構の第1の実施例を示す図である。気
体に紫外線を照射してウイルスを不活化するにあたっては、気体中の湿気が大敵である。
特に、人や動物の呼気は湿度が高いため、エアータンク103への吸気を吸入する際には
、除湿機構が必須となる。
図7の実施例では、
図7(b)に示されるように、エアータン
ク701において、側壁のベース素材を例えば透明なアクリルとし、濃い色の部分を珪藻
土を混合した例えばABS樹脂による珪藻土混合部702とすることができる。これによ
り、各エアータンク701に充填された気体に対して、除湿を行うことが可能となる。こ
の結果、エアータンク701に紫外線を照射した場合のウイルスの不活化率を高めること
が可能となる。
【0080】
図8は、第1の実施形態における除湿機構の第2の実施例を示す図である。この実施形
態では、エアータンク801の周囲に、水滴を下に落とすための溝802が設けられてい
る。このようなエアータンク801を用いることにより、効果的な除湿を行うことが可能
となる。
【0081】
その他の除湿機構の実施例として、
図1Aの吸入側ボウル状カバー104または吸入チ
ューブ接続口106内に、適当な除湿機構を具備してもよい。これにより、複数のエアー
タンク103に対して一括して除湿を行うことが可能となる。
【0082】
図9Aおよび
図9Bは、本発明の第2の実施形態のウイルス不活化装置の構成図(その
1)である。第2の実施形態では、
図1Aなどの紫外線ランプ(UV-C)102の代わ
りに、紫外線(UV-C)LED(Light Emitting Diode:発光ダ
イオード)902が使用される。
紫外線LED(UV-C LED)902は、紫外線ランプ102に比較して、強い殺
菌力を備える。例えば、気体に対して紫外線が照射される場合には、紫外線ランプ102
では30秒が必要なのに対して、紫外線LED902では5秒程度で済む。
その一方、紫外線LED902の配光範囲は、
図9Aの(b)に示されるように、紫外
線ランプ102に比較して、配光角が110°、有効照射距離が100mm程度と狭い。
【0083】
そこで、第2の実施形態では、
図9A(c)に示されるように、紫外線LED902に
よる配光903の配光角が、エアータンク901の円錐形状の頂点部分から円錐面に向か
う角度に略一致するような構成が採用される。
そのためにまず、
図9A(a)に示されるように、底辺直径が220mm、高さが80
mm程度で、容量が約1l(リットル)の、円錐形状を有するエアータンク901が使用
される。また、このようなエアータンク901の円錐の頂点部分に紫外線LED902が
設置される。
さらに、エアータンク901は、紫外線LED902からの紫外線を有効に
透過可能な透明な材質の円錐面を備える。このような構成により、紫外線LED902か
ら発光された紫外線の配光角が、エアータンク901の円錐形状の頂点部分から円錐面に
向かう角度に略一致する。
加えて、
図9A(d)に示されるように、エアータンク901は、底面上の第1の穴に
、
図1Bの第1のファン+吸入弁のセット110と同様の、第1のファン+吸入弁のセッ
ト904を具備し、同じく底面上の第2の穴に、
図1Bの第2のファン+排出弁のセット
111と同様の、第2のファン+排出弁のセット905を具備する。第1のファン+吸入
弁のセット904と、第2のファン+排出弁のセット905の各詳細構成としては夫々、
第1の実施形態において説明した、第1のファン+吸入弁のセット110と第2のファン
+排出弁のセット111の場合と同様の、
図2に示される詳細構成を採用することができ
る。
【0084】
このような構成の紫外線LED902とエアータンク901のセットが、
図9Bに示さ
れるように、LED支持体908を用いて、例えば6セット設置されることにより、ウイ
ルス不活化装置が構成される。そして、それぞれのエアータンク901の各第1のファン
+吸入弁のセット904には、#1と#2の吸入チューブ906が接続され、それぞれの
エアータンク901の各第2のファン+排出弁のセット905には、#1と#2の排出チ
ューブ907が接続される。
【0085】
図9Bに例示される構成を有するウイルス不活化装置に対する制御システムとしては、
第1の実施形態において説明した、
図3に示される制御システム構成と、
図4に示される
制御プログラムフローと、
図5に示される制御タイミング構成と同様のものを採用できる
。この場合、第1の実施形態の場合の12台(#1から#12)/フェーズ1~12に対
して、第2の実施形態の場合は6台(#1から#6)/フェーズ1~6の制御となる。
【0086】
図10Aは、第3の実施形態のウイルス不活化装置の構成図(その1)である。また、
図10Bは、第3の実施形態のウイルス不活化装置の動作説明図である。
図10Aの(a
)に示されるように、第3の実施形態において、紫外線ランプ102の周囲を、例えば6
本のエアータンク103が取り囲む構成は、第1の実施形態における
図1Aのウイルス不
活化ユニット101の構成と同様である。
また、
図10Aの(b)および(c)に示されるように、第3の実施形態において、各
エアータンク103の上面および下面に夫々、吸入弁203および排出弁204(
図2参
照)を備える構成も、第1の実施形態の構成と同様である。
ただし、第3の実施形態では、第1の実施形態にはあった、吸入弁203とセットの第
1のファン201と、排出弁204とセットの第2のファン202は具備されない。
【0087】
その代わりに、
図10A(d)に示される構成を有するターンテーブル1001が、図
10Bの(a)に示されるように、6本のエアータンク103全体の上面の吸入側と下面
の排出側に、各モータ1003によって回転駆動可能なように具備される。
このターンテーブル1001には、
図10Aの(d)に示されるように、各エアータン
ク103の吸入弁203又は排出弁204と接する位置に、ターンテーブルレール100
4が設置される。
【0088】
そして、
図10Aの(d)に示されるように、ターンテーブルレール1004上の一箇
所には、吸入弁203の直径に合わせて、バルブ開放口1002が開けられている。
【0089】
いま、
図10Bの(a)に示されるように、吸入側のターンテーブル1001がモータ
1003によって回転させられて、バルブ開放口1002が1つのエアータンク103の
吸入弁203の位置に例えば例えば3秒間停止したとき、後述する
図10Cまたは
図10
Dの吸入チューブ接続口106の部分に取り付けられる特には図示しない吸入ファンの回
転によって生成される気体の流れが、バルブ開放口1002の停止位置にある吸入弁20
3をエアータンク103の内側に押し広げて、吸入チューブ接続口106から流入するウ
イルスで汚染されている可能性のある気体が、その吸入弁203が設置されているエアー
タンク103に例えば3秒間吸入される。
【0090】
一方、
図10Bの(a)に示されるように、排出側のターンテーブル1001がモータ
1003によって回転させられて、バルブ開放口1002が1つのエアータンク103の
排出弁204の位置に例えば3秒間停止したとき、後述する
図10Cまたは
図10Dの排
出チューブ接続口107の部分に取り付けられる特には図示しない排出ファンの回転によ
って生成される気体の流れが、バルブ開放口1002の停止位置にある排出弁204をエ
アータンク103の外側(排出側)に吸い広げて、エアータンク103内で所定時間除菌
された気体が、その排出弁204が設置されているエアータンク103から例えば3秒間
排出される。
【0091】
また、第1の実施形態の場合と同様に、エアータンク103の吸入弁203の1つの位
置に吸入側のターンテーブル1001のバルブ開放口1002が停止することにより、エ
アータンク103が吸入状態にあるときは、その吸入状態のエアータンク103に隣接す
る先行するエアータンク103が排出状態になるように制御される。
これを実現するために、
図10Bの(b)に示されるように、排出側のターンテーブル
1001のバルブ開放口1002の位置は、常に吸入側のターンテーブル1001のバル
ブ開放口1002の位置よりも1バルブ(弁)分進んでいるように、各モータ1003に
よって、各ターンテーブル1001の回転が制御される。
【0092】
上述の制御動作に加えて、ターンテーブル1001上のターンテーブルレール1004
は、バルブ開放口1002の位置にある吸入弁203又は排出弁204以外の吸入弁20
3又は排出弁204と軽く密着している。
従って、エアータンク103の吸入弁203の1つの位置に吸入側のターンテーブル1
001のバルブ開放口1002が停止することにより、エアータンク103が吸入状態に
あるときは、そのエアータンク103の排出弁204は、排出側のターンテーブル100
1のターンテーブルレール1004に密着していて、そこからの気体の排出が阻止された
状態となる。これにより、そのエアータンク103が吸入状態にあるときは、吸入弁20
3からエアータンク103内に吸入されたウイルスで汚染されている可能性のある気体が
、その排出弁204から外に排出されるのが阻止される。
一方、エアータンク103の排出弁204の1つの位置に排出側のターンテーブル10
01のバルブ開放口1002が停止することにより、エアータンク103が排出状態にあ
るときは、そのエアータンク103の吸入弁203は、吸入側のターンテーブル1001
のターンテーブルレール1004に密着していて、そこからの気体の吸入が阻止された状
態となる。これにより、そのエアータンク103が排出状態にあるときは、ウイルスで汚
染されている可能性のある気体が吸入弁203からエアータンク103内に吸入されるの
が阻止される。
さらに、吸入弁203および排出弁204がともにバルブ開放口1002の位置に無い
エアータンク103については、それらの吸入弁203および排出弁204がともに、タ
ーンテーブルレール1004が密着していることにより閉じている状態となる。このため
、そのエアータンク103に対しては気体の吸入も排出も行われない状態で、紫外線ラン
プ102からの紫外線が照射され続けることになる。
【0093】
以上のようにして、第3の実施形態の制御システムでは、吸入側のターンテーブル10
01とそれと連動して回転する排出側のターンテーブル1001に対して、モータ100
3および特には図示しないロータリーエンコーダ等を介して、各ターンテーブル1001
のバルブ開放口1002がエアータンク103の吸入弁203および排出弁204の位置
に所定時間(例えば3秒間)ずつぴたりと停止する制御を行うことにより、効率的なウイ
ルス不活化を行うことができるウイルス不活化装置を実現することが可能となる。
【0094】
図10Cおよび図10Dは夫々、第3の実施形態におけるウイルス不活性化装置の構成
図(その2)および(その3)である。図10Cおよび
図10Dでは夫々、第3の実施形
態において、吸入側のターンテーブル1001のバルブ開放口1002の位置のエアータ
ンク103内に、ウイルスで汚染されている可能性のある気体を送り込む機構
の例と、お
よび排出側のターンテーブル1001のバルブ開放口1002の位置のエアータンク10
3から、紫外線照射により除菌された気体を排出する機構の例
とが示されている。
【0095】
図10Cでは、吸入側のターンテーブル1001と共に回転可能な吸入チューブ接続口
106が、そのターンテーブル1001のバルブ開放口1002に直接接続されている。
同様に、排出側のターンテーブル1001と共に回転可能な排出チューブ接続口107が
、そのターンテーブル1001のバルブ開放口1002に直接接続されている。
【0096】
このとき、特には図示しないが、前述したように、
図10Cの吸入チューブ接続口10
6の位置
付近に、特には図示しない吸入チューブからのウイルスで汚染されている可能性
のある気体を吸入側のターンテーブル1001のバルブ開放口1002に吸入させる吸入
ファンが具備される。
また、
図10Cの排出チューブ接続口107
付近の位置に、排出側のターンテーブル1
001のバルブ開放口1002からそのバルブ開放口1002の位置のエアータンク10
3
内の紫外線除菌された気体を特には図示しない排出チューブ側に排出させる排出ファン
が具備される。
【0097】
図10Dでは、第3の実施形態において、
図1Aの第1の実施形態と同様に、吸入側の
ターンテーブル1001全体を覆う吸入側ボウル状カバー104およびそれと一体に成形
されている吸入チューブ接続口106と、排出側のターンテーブル1001全体を覆う排
出側ボウル状カバー105およびそれと一体に成形されている排出チューブ接続口107
とを備える。
【0098】
このとき、特には図示しないが、前述したように、
図10Dの吸入チューブ接続口10
6
付近の位置に、特には図示しない吸入チューブからのウイルスで汚染されている可能性
のある気体を吸入側のターンテーブル1001のバルブ開放口1002に吸入させる吸入
ファンが具備される。
また、
図10Dの排出チューブ接続口107
付近の位置に、排出側のターンテーブル1
001のバルブ開放口1002からそのバルブ開放口1002の位置のエアータンク10
3からの紫外線除菌された気体を特には図示しない排出チューブ側に排出させる排出ファ
ンが具備される。
【0099】
ここまでの実施形態は、ウイルスで汚染されている可能性のある気体は人または動物の
呼気から導かれ、エアータンクから排出される気体は大気中に放出されるように実施され
てよい。
また、ウイルスで汚染されている可能性のある気体は大気中から導かれ、エアータンク
から排出される気体は吸気として人または動物の口または鼻に導かれるように実施されて
よい。
【0100】
図11Aは、本実施形態によるウイルス不活化装置をマスクまたはフルフェイスヘルメ
ットと接続する場合の構成例を示す図である。例えば、病院や介護施設において、
図11
Aの(a)に示されるように、医療用酸素ボンベの吸入に用いるマスクを用いることがで
き、そのようなマスクの呼気バルブや吸気バルブを、
図11Aの(b)に示されるように
、例えば患者等の腰に装着した本発明の実施形態によるウイルス不活化装置に接続するこ
とができる。
【0101】
例えばマスクの呼気バルブに本発明の実施形態の吸入チューブ(例えば
図1Aの吸入チ
ューブ108)に接続することにより、ウイルスで汚染されている可能性のある人や動物
の呼気中のウイルスを不活化し、排出チューブ(例えば
図1Aの排出チューブ109)か
ら大気中に放出させることができる。
【0102】
または例えば、本発明の実施形態の排出チューブ(例えば
図1Aの排出チューブ109
)をマスクの吸気バルブに接続することにより、吸入チューブ(例えば
図1Aの吸入チュ
ーブ108)から取り込んだウイルスで汚染されている可能性のある大気中のウイルスを
不活化し、排出チューブからマスクに供給することができる。
【0103】
人だけでなく、例えば地方産ブランド牛にマスクを装着してブランド牛が新型コロナウ
イルスに感染しないよう予防をすることなども可能となる。
【0104】
また、人などが装着する
図11Aの(c)に例示されるようなフルフェイスヘルメット
に対しても、
図11Aの(b)に例示される上述のマスクの場合と同様に、本発明の実施
形態によるウイルス不活化装置を用いることができる。
【0105】
図11Bは、上述のように本発明の実施形態によるウイルス不活化装置に接続すること
ができるマスクの構成例を示す図である。
図11Bの(a)、(b)、(c)、(d)、
または(e)に示されるように、様々な装着形態が可能である。
【符号の説明】
【0106】
100 ウイルス不活化装置
101 ウイルス不活化ユニット
102 紫外線ランプ
103、601、701、801、901 エアータンク
104 吸入側ボウル状カバー
105 排出側ボウル状カバー
106 吸入チューブ接続口
107 排出チューブ接続口
108、906 吸入チューブ
109、907 排出チューブ
110、904 第1のファン+吸入弁のセット
111、905 第2のファン+排出弁のセット
201 第1のファン
202 第2のファン
203 吸入弁
204 排出弁
301 制御回路
302 CPU
303 ROM
304 RAM
305 インタフェース回路
306 電源スイッチ
307 システムバス
310 接続用リレー
320 極性反転リレー
330 ファン駆動電源
702 珪藻土混合部
902 紫外線LED
903 配光
908 LED支持体
1001 ターンテーブル
1002 バルブ開放口
1003 モータ
1004 ターンテーブルレール
【要約】
【課題】紫外線を照射することによりウイルスを不活化する技術に関し、呼気等の気体中
のSARS-CoV-2等のウイルスを不活化できる実用的なウイルス不活化技術を実現
する。
【解決手段】制御回路301は、接続用リレー310および極性反転リレー320を介し
て#1から#12の第1のファン201および第2のファン202を制御することにより
、気体の排出が完了したエアータンク103から順にウイルスで汚染されている可能性の
ある気体を所定吸入時間ずつ吸入させる吸入動作と、紫外線照射装置により所定照射時間
だけ紫外線が照射されたエアータンク103から順に気体を所定排出時間ずつ排出させる
排出動作とを制御する。
【選択図】
図3