(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、これを含むオレフィン重合用触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィン
(51)【国際特許分類】
C07F 19/00 20060101AFI20230403BHJP
C08F 4/6592 20060101ALI20230403BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20230403BHJP
C07F 17/00 20060101ALI20230403BHJP
C07F 7/00 20060101ALN20230403BHJP
【FI】
C07F19/00 CSP
C08F4/6592
C08F10/00 510
C07F17/00
C07F7/00 A
C07F7/00 Z
(21)【出願番号】P 2022505474
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 KR2020009414
(87)【国際公開番号】W WO2021020778
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0092126
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】パク ソンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク ランファ
(72)【発明者】
【氏名】イ ウォンジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョンスン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン テホ
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0088274(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0059134(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0257348(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0288462(US,A1)
【文献】米国特許第05886202(US,A)
【文献】特表2022-509060(JP,A)
【文献】米国特許第05856547(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0152591(US,A1)
【文献】米国特許第06313239(US,B1)
【文献】特開平06-157631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 19/00
C08F 4/6592
C08F 10/00
C07F 17/00
C07F 7/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される遷移金属化合物:
【化1】
前記化学式1において、nは1~20の整数であり、
Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Qはそれぞれ独立して、ハロゲン、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミド、
またはC
6-20アリールアミ
ドであり、
R
1~R
3およびR
4~R
11はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド
、または置換または非置換のC
1-20シリルであるが、前記R
2
~R
3およびR
4~R
11はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C
4-20環を形成することができ、
R
12およびR
13はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド
、または置換または非置換のC
1-20シリルであるが、前記R
12およびR
13は互いに結合して置換または非置換の飽和または不飽和C
-203
環を形成することができ、
R
14~R
16はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド
、または置換または非置換のC
1-20シリルである。
【請求項2】
前記化学式1において、nは1または2であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Qはそれぞれハロゲン、または置換または非置換のC
1-20アルキルであり、R
1~R
3はそれぞれ水素であり、R
4~R
11はそれぞれ水素、または置換または非置換のC
1-20アルキルであり、R
12およびR
13はそれぞれ置換または非置換のC
1-20アルキル、または置換または非置換のC
6-20アリールであるか、R
12とR
13とが互いに結合して置換または非置換のC
-203
環を形成し、R
14~R
16はそれぞれ、置換または非置換のC
1-20アルキル、または置換または非置換のC
6-20アリールである、請求項1に記載の遷移金属化合物。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-1~1-36で表される遷移金属化合物のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の遷移金属化合物:
【化2】
前記化学式1-1~1-36において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Qはそれぞれハロゲン、または置換または非置換のC
1-20アルキルであり、Meはメチル基であり、
t-Buはt-ブチル基であり、Phはフェニル基である。
【請求項4】
前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-37~1-39で表される化合物のいずれか1つである、請求項1に記載の遷移金属化合物:
【化3】
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の遷移金属化合物および助触媒化合物を含むオレフィン重合用触媒。
【請求項6】
前記助触媒化合物が、下記化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物および化学式4で表される化合物からなる群より選択される1つ以上である、請求項5に記載のオレフィン重合用触媒:
【化4】
化学式
4
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または[L]
+[Z(A)
4]
-
前記化学式2において、nは2以上の整数であり、R
aはハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基であり、
前記化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、C
1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC
1-20炭化水素基、またはC
1-20アルコキシ基であり、
前記化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]
+および[L]
+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換のC
6-20アリール基か、置換または非置換のC
1-20アルキル基である。
【請求項7】
前記化学式2で表される化合物が、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、およびブチルアルミノキサンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項8】
前記化学式3で表される化合物が、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項9】
前記化学式4で表される化合物が、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート
、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、およびトリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレートからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項10】
前記遷移金属化合物、前記助触媒化合物、またはそのいずれも担持する担体をさらに含む、請求項5に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項11】
前記担体が、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項10に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項12】
前記担体に担持される前記遷移金属化合物の量が、担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり、前記担体に担持される前記助触媒化合物の量が、担体1gを基準に2mmol~15mmolである、請求項10に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項13】
請求項5に記載のオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィン系単量体
を重合
する段階を含むポリオレフィン
の製造方法。
【請求項14】
前記オレフィン系単量体が、C
2-20α-オレフィン(α-olefin)、C
-204
ジオレフィン(diolefin)、C
3-20シクロオレフィン(cycloolefin)およびC
-204
シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項13に記載のポリオレフィン
の製造方法。
【請求項15】
エチレンと1-ヘキセンとが共重合
する、請求項14に記載のポリオレフィン
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合触媒用遷移金属化合物、これを含むオレフィン重合用触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィンに関するものである。具体的に、本発明は、炭素ブリッジのシクロペンタジエニルフルオレニル(carbon bridged cyclopentadienyl fluorenyl)骨格にアリルトリメチルシラン置換基が導入されたオレフィン重合触媒用遷移金属化合物、これを含むオレフィン重合用触媒およびそれを用いて重合されたポリオレフィンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オレフィンを重合するのに用いられる触媒の一つであるメタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物に、シクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)、インデニル(indenyl)、シクロヘプタジエニル(cycloheptadienyl)などのリガンドが配位結合された化合物として、サンドイッチ構造を基本的な形態とする。
【0003】
オレフィンを重合するために用いられる他の触媒であるチーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒が、活性点である金属成分が不活性である固体表面に分散され活性点の性質が均一ではないことに対し、メタロセン触媒は、一定の構造を有する1つの化合物であるため、すべての活性点が同じ重合特性を有する単一活性点触媒(single-site catalyst)として知られている。このようなメタロセン触媒で重合された高分子は、分子量分布が狭く、共単量体の分布が均一であり、チーグラー・ナッタ触媒に比べて共重合活性度が高い。
【0004】
しかしながら、活性が高く、共重合性がさらに向上し、高分子量の樹脂を調製し得るオレフィン重合用メタロセン触媒が依然として求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、活性が高く、優れた物性を有する樹脂を調製することができ、新規の構造を有するオレフィン重合触媒用遷移金属化合物、これを含むオレフィン重合用メタロセン触媒、およびそれを用いて重合されたポリオレフィンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するための本発明の一具体例により、下記化学式1で表される遷移金属化合物が提供される。
【0007】
【0008】
前記化学式1において、nは1~20の整数であり、Mはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。
【0009】
Qはそれぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド、またはC1-20アルキリデンである。
【0010】
R1~R3およびR4~R11はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルであるが、前記R1~R3およびR4~R11はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。
【0011】
R12およびR13はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルであるが、前記R12およびR13は互いに結合して置換または非置換の飽和または不飽和C2-20環を形成し得る。
【0012】
R14~R16はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルである。
【0013】
具体的に、前記化学式1において、nは1または2であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Qはそれぞれハロゲン、または置換または非置換のC1-20アルキルであり、R1~R3はそれぞれ水素であり、R4~R11はそれぞれ水素、または置換または非置換のC1-20アルキルであり、R12およびR13はそれぞれ置換または非置換のC1-20アルキル、または置換または非置換のC6-20アリールであるか、R12とR13とが互いに結合して置換または非置換のC2-20環を形成し、R14~R16はそれぞれ、置換または非置換のC1-20アルキル、または置換または非置換のC6-20アリールであり得る。
【0014】
好ましくは、前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-1~1-36で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0015】
【0016】
前記化学式1-1~1-36において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Qはそれぞれハロゲン、または置換または非置換のC1-20アルキルであり、Meはメチル基であり、Phはフェニル基である。
【0017】
より好ましくは、前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-37~1-39で表される化合物のいずれか1つであり得る。
【0018】
【0019】
本発明の他の具体例により、前記遷移金属化合物および助触媒化合物を含むオレフィン重合用触媒が提供される。
【0020】
具体的に、前記助触媒化合物は、下記化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物および化学式4で表される化合物からなる群より選択される1つ以上であり得る。
【0021】
【化4】
[化学式4]
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または[L]
+[Z(A)
4]
-
【0022】
前記化学式2において、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、C1-20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基である。
【0023】
前記化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基、またはC1-20アルコキシ基である。
【0024】
前記化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換のC6-20アリール基か、置換または非置換のC1-20アルキル基である。
【0025】
具体的に、前記化学式2で表される化合物は、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、およびブチルアルミノキサンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0026】
また、前記化学式3で表される化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、およびトリブチルボロンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0027】
また、前記化学式4で表される化合物は、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、およびトリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレートからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0028】
好ましくは、前記オレフィン重合用触媒が、遷移金属化合物を担持する担体をさらに含む。具体的に、前記担体が、遷移金属化合物と助触媒化合物とのいずれも担持し得る。
【0029】
具体的に、前記担体は、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。
【0030】
ここで、前記担体に担持される遷移金属化合物の量が、担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり、担体に担持される助触媒化合物の量が、担体1gを基準に2mmol~15mmolである。
【0031】
本発明のまた他の具体例により、前記オレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体が重合して得られるポリオレフィンが提供される。
【0032】
この際、前記オレフィン系単量体が、C2-20α-オレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cycloolefin)およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選択される少なくとも1つであり得る。
【0033】
具体的に、前記ポリオレフィンが、エチレンと1-ヘキセンとが共重合して得られ得る。
【発明の効果】
【0034】
本発明の具体例によるオレフィン重合触媒用遷移金属化合物およびこれを含むオレフィン重合用メタロセン触媒は、特異な立体構造を有するため、重合体の物性調節が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0036】
[オレフィン重合触媒用遷移金属化合物]
本発明の一具体例により、下記化学式1で表される遷移金属化合物が提供される。
【0037】
【0038】
前記化学式1において、nは1~20の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは1~5の整数である。具体的にnは1または2であり得る。
【0039】
Mは、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。具体的に、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり得る。
【0040】
Qはそれぞれ独立して、ハロゲン、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミド、C6-20アリールアミド、またはC1-20アルキリデンである。具体的に、Qはそれぞれハロゲン、または置換または非置換のC1-20アルキルであり得る。より具体的に、Qはそれぞれ塩素であり得る。
【0041】
R1~R3およびR4~R11はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルである。具体的に、R1~R3はそれぞれ水素であり、R4~R11はそれぞれ、水素、置換または非置換のC1-20アルキルであり得る。また、R1~R3およびR4~R11はそれぞれ独立して、隣接する基が結合して置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成し得る。
【0042】
R12およびR13はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルであるが、前記R12およびR13は互いに結合して置換または非置換の飽和または不飽和C2-20環を形成し得る。具体的に、R12およびR13はそれぞれ、置換または非置換のC1-20アルキル、または置換または非置換のC6-20アリールであるか、またはR12とR13とが互いに結合して置換または非置換のC2-20環を形成し得る。より具体的に、R12およびR13はそれぞれ、メチルまたはフェニルであるか、またはR12とR13とが互いに結合してC3-4環を形成し得る。
【0043】
R14~R16はそれぞれ独立して、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルである。具体的に、R14~R16はそれぞれ、置換または非置換のC1-20アルキル、または置換または非置換のC6-20アリールであり得る。より具体的に、R14~R16はそれぞれ、メチルまたはフェニルであり得る。
【0044】
本発明の好ましい具体例において、前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-1~1-36で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0045】
【0046】
前記化学式1-1~1-36において、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、Qはそれぞれハロゲン、または置換または非置換のC1-20アルキル、好ましくは塩素またはブチル基であり、Meはメチル基であり、Phはフェニル基である。
【0047】
本発明のより好ましい具体例において、前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-37~1-39で表される化合物のいずれか1つであり得る。
【0048】
【0049】
[オレフィン重合用触媒]
本発明の他の具体例により、下記化学式1で表される遷移金属化合物および助触媒化合物を含むオレフィン重合用触媒が提供される。
【0050】
【0051】
前記化学式1において、n、M、Q、R1~R16は、前記遷移金属化合物の項目において説明した通りである。
【0052】
本発明の好ましい具体例において、前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-1~1-36で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0053】
【0054】
前記化学式1-1~1-36において、M、Q、Me、およびPhは、前記遷移金属化合物の項目において説明した通りである。
【0055】
本発明のより好ましい具体例において、前記化学式1で表される化合物が、下記化学式1-37~1-39で表される化合物のいずれか1つであり得る。
【0056】
【0057】
一方、助触媒化合物は、下記化学式2で表される化合物、化学式3で表される化合物および化学式4で表される化合物のうち1つ以上を含み得る。
【0058】
【0059】
前記化学式2において、nは2以上の整数であり、Raはハロゲン原子、C1-20炭化水素基、またはハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基であり得る。具体的に、Raはメチル、エチル、n-ブチル、またはイソブチルであり得る。
【0060】
【0061】
前記化学式3において、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-20炭化水素基、ハロゲンで置換されたC1-20炭化水素基、またはC1-20アルコキシ基である。具体的に、Dがアルミニウム(Al)のとき、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立して、メチルまたはイソブチルであり、Dがボロン(B)のとき、Rb、RcおよびRdはそれぞれペンタフルオロフェニルであり得る。
【0062】
[化学式4]
[L-H]+[Z(A)4]-または[L]+[Z(A)4]-
【0063】
前記化学式4において、Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは第13族元素であり、Aはそれぞれ独立して置換または非置換のC6-20アリール基か、置換または非置換のC1-20アルキル基である。具体的に、[L-H]+はジメチルアニリニウム陽イオンであり、[Z(A)4]-は[B(C6F5)4]-であり、[L]+は[(C6H5)3C]+であり得る。
【0064】
具体的に、前記化学式2で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0065】
前記化学式3で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロン等が挙げられ、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0066】
前記化学式4で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(o、p-ジメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラペンタフルオロフェニルボレートなどが挙げられる。
【0067】
本発明の好ましい具体例において、オレフィン重合用触媒が遷移金属化合物を担持する担体をさらに含み得る。具体的に、前記担体が遷移金属化合物と助触媒化合物とのいずれも担持し得る。
【0068】
この際、担体は、表面にヒドロキシ基を含有する物質を含んでよく、好ましくは、乾燥され表面に水分が除去された、反応性の大きいヒドロキシ基とシロキサン基とを有する物質が使用され得る。例えば、担体は、シリカ、アルミナ、および酸化マグネシウム(マグネシア)からなる群より選択される少なくとも1つを含み得る。具体的に、高温で乾燥されたシリカ、シリカ-アルミナ、およびシリカ-マグネシア等が担体として用いられ、これらは通常、Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO3)2等の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分を含有し得る。また、これらは、炭素、ゼオライト、塩化マグネシウム等をも含み得る。ただし、担体がこれらに限定されるものではなく、遷移金属化合物と助触媒化合物とを担持し得るものであれば特に限定されない。
【0069】
オレフィン重合用触媒に使用され得る遷移金属化合物および/または助触媒化合物を担持する方法として、物理的吸着方法または化学的吸着方法が使用され得る。
【0070】
例えば、物理的吸着方法は、遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後、乾燥する方法、遷移金属化合物と助触媒化合物とが溶解された溶液を担体に接触させた後、乾燥する方法、または遷移金属化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後、乾燥して、遷移金属化合物が担持された担体を調製し、これとは別に助触媒化合物が溶解された溶液を担体に接触させた後、乾燥して、助触媒化合物が担持された担体を調製した後、これらを混合する方法等であり得る。
【0071】
化学的吸着方法は、担体の表面に助触媒化合物をまず担持させた後、助触媒化合物に遷移金属化合物を担持させる方法、または担体の表面の官能基(例えば、シリカの場合、シリカ表面のヒドロキシ基(-OH))と触媒化合物とを共有結合させる方法等であり得る。
【0072】
担体に担持される遷移金属化合物の量は、担体1gを基準に0.001mmol~1mmolであり得る。遷移金属化合物と担体の比が前記範囲を満足すると、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の面から有利である。
【0073】
担体に担持される助触媒化合物の量は、担体1gを基準に2mmol~15mmolであり得る。助触媒化合物と担体との比が前記範囲を満足すると、触媒の活性維持および経済性の面から有利である。
【0074】
担体は、1種または2種以上が使用され得る。例えば、1種の担体に遷移金属化合物と助触媒化合物とのいずれも担持されても良く、2種以上の担体に遷移金属化合物と助触媒化合物とが、それぞれ担持されても良い。また、遷移金属化合物と助触媒化合物とのいずれか1つのみが担体に担持されても良い。
【0075】
[オレフィンの重合]
本発明の具体例によるオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィン系単量体を重合してオレフィン系重合体を調製し得る。
【0076】
なお、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体の単独重合体(homopolymer)またはオレフィン系単量体と共単量体との共重合体(copolymer)であり得る。
【0077】
オレフィン系単量体は、C2-20αオレフィン(α-olefin)、C1-20ジオレフィン(diolefin)、C3-20シクロオレフィン(cycloolefin)、およびC3-20シクロジオレフィン(cyclodiolefin)からなる群より選択される少なくとも1つである。
【0078】
例えば、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、または1-ヘキサデセン等であり、オレフィン系重合体は、前記例示のオレフィン系単量体を1種のみ含む単独重合体であるかまたは2種以上含む共重合体であり得る。
【0079】
例示的な実施例において、オレフィン系重合体は、エチレンとC3-20αオレフィンとが共重合された共重合体であって良く、エチレンと1-ヘキセンとが共重合された共重合体が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0080】
この場合、エチレンの含有量は、55重量%~99.9重量%が好ましく、90重量%~99.9重量%がより好ましい。αオレフィン系共単量体の含有量は、0.1重量%~45重量%が好ましく、0.1重量%~10重量%がより好ましい。
【0081】
本発明の具体例によるオレフィン系重合体は、例えば、フリーラジカル(free radical)、陽イオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、添加(addition)などの重合反応によって重合され得るが、これらに限定されるものではない。
【0082】
好ましい実施例として、オレフィン系重合体は、気相重合法、溶液重合法またはスラリー重合法などにより調製され得る。オレフィン系重合体が溶液重合法またはスラリー重合法により調製される場合、使用され得る溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒;およびこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0083】
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0084】
(調製例1:ジフェニルメチリデン{(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド(diphenylmethylidene{(3,6-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]}zirconium dichloride);化学式1-37)の調製)
【0085】
[2-(トリメチルシリルメチル)-2-プロペン-1-オール(2-(trimethylsilylmethyl)-2-propen-1-ol)の調製]
2-(トリメチルシリルメチル)アリルアセテート(2-(trimethylsilylmethyl)allyl acetate)(25g、173mmol)をメタノール(220mL)に溶解した溶液に、炭酸カリウム(K2CO3)(18.6g、173mmol)を蒸留水(22mL)に溶解した水溶液をゆっくり投入した。投入完了後、これを常温にて4時間撹拌した。撹拌後、これに蒸留水を入れて反応を終了した。ジエチルエーテル(diethyl ether)を用いて有機層を抽出した後、硫酸マグネシウム(MgSO4)で残りの水を除去した。真空下で全ての溶媒を除去して、淡黄色のオイル化合物17.4g(90%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 4.90-4.88(m,1H),4.66(s,1H),3.97(s,2H),1.53(s,2H),0.03(s,9H)。
【0086】
[2-(トリメチルシリルメチル)メタンスルホネート(2-(trimethylsilylmethyl)methanesulfonate)の調製]
[2-(トリメチルシリルメチル)-2-プロペン-1-オール(17.4g、121mmol)とトリエチルアミン(triethylamine)(22g、217mmol)とをジクロロメタン(dichloromethane)(275ml)に希釈した溶液に、メタンスルホニルクロリド(methanesulfonyl chloride)(20.72g、181mmol)を0℃にてゆっくり添加した。その後、これを0℃にて3時間撹拌した。0℃にて炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液を入れて反応を終了した後、ジクロロメタンで抽出して有機層を分離した。硫酸ナトリウム(Na2SO4)で残りの水を除去した後、真空下で全ての溶媒を除去して、黄色オイル化合物25g(93%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 5.03(d,1H),4.84(s,1H),4.56(s,2H),3.02(s,3H),1.60(s,2H),0.06(s,9H)。
【0087】
[2-(トリメチルシリルメチル)アリルブロミド(2-(trimethylsilylmethyl)allyl bromide)の調製]
2-(トリメチルシリルメチル)メタンスルホネート(25g、112mmol)をテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)(400mL)に希釈した溶液に、リチウムブロミド(lithium bromide)(48.82g、562mmol)を常温にてゆっくり添加した後、70℃にて4時間撹拌した。0℃にて蒸留水を入れて反応を終了した後、ジエチルエーテルで抽出して有機層を分離した。硫酸ナトリウムで残りの水を除去した後、真空下で全ての溶媒を除去して黄色オイル化合物18g(78%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 5.04(s,1H),4.74(d,1H),3.90(d,2H),1.72(d,2H),0.05(s,9H)。
【0088】
[2-(シクロペンタジエニルメチル)アリル]トリメチルシラン([2-(cyclopentadienylmethyl)allyl]trimethylsilane)の調製]
2-(トリメチルシリルメチル)アリルブロミド(18g、86.9mmol)をテトラヒドロフラン(400mL)に希釈した溶液に、シクロペンタジエニドナトリウム(sodium cyclopentadienide)(40.75g、104mmol、2.4MのTHF溶液)を-30℃にてゆっくり滴下し、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。0℃にて蒸留水を加えて反応を終了した後、ジエチルエーテルで抽出して有機層を分離した。硫酸マグネシウムで残りの水を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により分離して、淡黄色オイル化合物13g(78%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 6.42-6.02(m,4H),4.60-4.55(m,2H),3.06-2.97(m,2H),2.87-2.85(m,2H),1.54(s,2H),0.03(d,9H)。
【0089】
[2-[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]シクロペンタジエニルリチウム(2-[2-(trimethylsilylmethyl)allyl]cyclopentadienyl lithium)の調製]
[2-(シクロペンタジエニルメチル)アリル]トリメチルシラン(620mg、3.22mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に希釈した溶液に、n-ブチルリチウム(n-BuLi)(1.44g、2.93mmol、1.6Mヘキサン溶液)を-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応溶液の溶媒を真空下で乾燥した後、ヘキサンを入れて15分間撹拌した。生成された固体をろ過した後、真空下で乾燥して、淡黄色固体化合物528mg(83%)を得た。
【0090】
[2-[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]-6,6-ジフェニルフルベン(2-[2-(trimethylsilylmethyl)allyl]-6,6-diphenylfulvene)の調製]
2-[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]シクロペンタジエニルリチウム(500mg、2.52mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に希釈した溶液に、ベンゾフェノン(benzophenone)(460mg、2.52mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に希釈した溶液を、-30℃にてゆっくり添加した。温度を徐々に常温に上げた後、70℃にて4時間還流しながら撹拌した。蒸留水を加えて反応を終了した後、ジエチルエーテルで抽出して有機層を分離した。硫酸マグネシウムで残りの水を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により分離して、オレンジ色の液体化合物653mg(72%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.36-7.27(m,10H),6.45(dd,1H),6.24(dd,1H),6.00(s,1H),4.66(s,1H),4.59(s,1H),3.07(s,2H),1.54(s,2H),0.04(s,9H)。
【0091】
[(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]-1,1-ジフェニルメタン((3,6-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]-1,1-diphenylmethane)の調製]
(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)リチウム((3,6-di-t-butylfluorenyl)lithium)(558mg、1.96mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)に希釈した溶液に、2-[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]-6,6-ジフェニルフルベン(350mg、0.98mmol)をテトラヒドロフラン(3mL)に希釈した溶液を、-30℃にてゆっくり添加した。温度を徐々に常温に上げた後、12時間撹拌した。蒸留水を加えて反応を終了した後、ジエチルエーテルで抽出して有機層を分離した。硫酸マグネシウムで残りの水を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により分離して、淡いオレンジ色の固体化合物420mg(67%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.60-7.00(m,16H),5.44-5.33(m,3H),4.49(m,2H),2.61(m,2H),1.47-1.42(m,4H),1.35(s,18H),0.05(s,9H)。
【0092】
[ジフェニルメチリデン{(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド(diphenylmethylidene{(3,6-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]}zirconium dichloride)の調製]
(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]-1,1-ジフェニルメタン(250mg、0.39mmol)をジエチルエーテル(5mL)に希釈した溶液に、n-ブチルリチウム(338mg、0.80mmol、1.6Mヘキサン溶液)を、-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応溶液に四塩化ジルコニウム(ZrCl4)(92mg、0.39mmol)を-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応が終了すると、反応溶液の溶媒を真空下で乾燥した後、トルエン(toluene)に溶解してろ過した。ろ液を真空下で乾燥して、赤色固体化合物150mg(48%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.16(s,2H),7.99-7.89(m,4H),7.46-7.10(m,8H),6.34-6.27(m,2H),6.07(t,1H),5.72(t,1H),5.44(t,1H),4.62(m,2H),3.06(m,2H)1.46(s,18H),1.35(s,2H),0.05(s,9H)。
【0093】
(調製例2:ジフェニルメチリデン{(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]}ハフニウムジクロリド(diphenylmethylidene{(3,6-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]}hafnium dichloride;化学式1-38)の調製)
調製例1と同様の方法により得た(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]-1,1-ジフェニルメタン(120mg、0.189mmol)をジエチルエーテル(2mL)に希釈した溶液に、n-ブチルリチウム(162mg、0.382mmol、1.6Mヘキサン溶液)を、-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応溶液に四塩化ハフニウム(HfCl4)(61mg、0.189mmol)を-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応が終了すると、反応溶液の溶媒を真空下で乾燥した後、トルエンに溶解してろ過した。ろ液を真空下で乾燥して、黄色固体化合物90mg(54%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 8.11(s,2H),7.99-7.86(m,4H),7.44-7.05(m,8H),6.36-6.29(m,2H),5.99(t,1H),5.64(t,1H),5.36(t,1H),4.58(m,2H),3.06(m,2H)1.44(s,18H),1.33(s,2H),0.03(s,9H)。
【0094】
(調製例3:ジフェニルメチリデン{(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド(diphenylmethylidene{(2,7-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]}zirconium dichloride;化学式1-39)の調製)
【0095】
[(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)リチウム(2,7-di-tert-butylfluorenyl)lithium)の調製]
2,7-ジ-t-ブチルフルオレン(2,7-di-tert-butylfluorene)(1g,3.59mmol)をジエチルエーテル(15mL)に希釈した溶液に、n-ブチルリチウム(1.56g、3.66mmol、1.6Mヘキサン溶液)を、-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応終了後、真空下で全ての溶媒を除去した後、黄色固体化合物1.08g(100%)を得た。
【0096】
[(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]-1,1-ジフェニルメタン((2,7-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]-1,1-diphenylmethane)の調製]
(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)リチウム(373mg、1.31mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に希釈した溶液に、2-[2-(トリメチルシリルメチル)アリル]-6,6-ジフェニルフルベン(234mg、0.66mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に希釈した溶液を、-30℃にてゆっくり添加した。温度を徐々に常温に上げた後、12時間撹拌した。蒸留水を加えて反応を終了した後、ジエチルエーテルで抽出して有機層を分離した。硫酸マグネシウムで残りの水を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により分離して、淡いオレンジ色の固体化合物146mg(35%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.68-7.08(m,16H),5.48-5.10(m,3H),4.62-4.50(m,2H),2.97-2.86(m,2H),1.32-1.29(m,4H),1.17(s,18H),0.05(s,9H)。
【0097】
[ジフェニルメチリデン{(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]}ジリチウム(diphenylmethylidene{(2,7-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]}dilithium)の調製]
(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]-1,1-ジフェニルメタン(146mg、0.23mmol)をジエチルエーテル(2mL)に希釈した溶液に、n-ブチルリチウム(197mg、0.46mmol、1.6Mヘキサン溶液)を、-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応終了後、真空下で全ての溶媒を除去した後、生成された固体をヘキサンで洗浄しながらろ過した後、真空下で乾燥して、暗いオレンジ色の固体化合物70mg(47%)を得た。
【0098】
[ジフェニルメチリデン{(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド(diphenylmethylidene{(2,7-di-tert-butylfluorenyl)[(2-trimethylsilylmethylallyl)cyclopentadienyl]}zirconium dichloride)の調製]
ジフェニルメチリデン{(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)[(2-トリメチルシリルメチルアリル)シクロペンタジエニル]}ジリチウム(70mg、0.11mmol)をトルエン(1.5mL)に希釈した溶液に、四塩化ジルコニウム(25mg、0.11mmol)を、-30℃にてゆっくり添加した後、温度を徐々に常温に上げて12時間撹拌した。反応溶液をろ過した後、真空下で乾燥して、オレンジ色の固体化合物55mg(62%)を得た。
1H-NMR(CDCl3,300MHz):δ 7.99-7.94(m,2H),7.86-7.83(m,2H),7.62-7.54(m,4H),7.11-6.91(m,6H),6.51-6.47(m,2H),6.18(t,1H),5.78(t,1H),5.64(t,1H),4.77-4.70(m,2H),3.28-3.24(m,2H),1.60(s,2H),1.13(s,18H),0.02(s,9H)。
【0099】
(実施例1:化合物1-37を用いたエチレン1-ヘキセン共重合体の合成)
調製例1で得られた遷移金属化合物(化合物1-37)を用いてポリオレフィンを重合した。具体的に、重合には2Lのオートクレーブ反応器を利用した。使用したすべての試薬は、グローブボックス(glove box)またはシュレンク技術(Schlenk technique)を用いて不活性条件で行った。100℃にて約20分間真空で水分および酸素等の異物を除去した後、反応器にヘキサン1Lを注入し、200rpmで撹拌して、重合温度である80℃まで上昇させた。その後、化合物1-37と、助触媒としてメチルアルミノキサン(MAO)とを、Al/Zr=2000の比で混合して、予め用意した触媒を反応器に投入した。ヘキサン蒸気圧を含めて1kgf/cm2となるように窒素を注入した後、エチレンを4kgf/cm2で注入して、総気圧を5kgf/cm2に合わせた。反応器を1000rpmで撹拌しながら1-ヘキセンを加えて、15分間重合を行った。重合完了後、反応ガスをベントし、反応器を開けて生成された樹脂を得た。樹脂を24時間以上乾燥した後、物性を測定した。使用した触媒と1-ヘキセンとの量は、下記表1に示した。
【0100】
(実施例2:化合物1-39を用いたエチレン1-ヘキセン共重合体の合成)
遷移金属化合物として化合物1-39を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法によりオレフィン重合を行った。使用した触媒と1-ヘキセンとの量は、下記表1に示した。
【0101】
実施例1および2で得られたポリオレフィンの物性を測定した後、その結果を下記表1に示した。
【0102】
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の具体例により、活性が高く、優れた物性を有する樹脂を製造することができ、新規な構造を有するオレフィン重合触媒用遷移金属化合物およびこれを含むオレフィン重合用メタロセン触媒が提供され得る。