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特許7255029直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法
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  • 特許-直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-31
(45)【発行日】2023-04-10
(54)【発明の名称】直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/14 20060101AFI20230403BHJP
   D01D 5/30 20060101ALI20230403BHJP
【FI】
D01F8/14 B
D01D5/30 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022535862
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2020095362
(87)【国際公開番号】W WO2021128750
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】201911350190.9
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
(72)【発明者】
【氏名】范 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
(72)【発明者】
【氏名】張 元華
(72)【発明者】
【氏名】王 麗麗
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-209217(JP,A)
【文献】特開2001-207331(JP,A)
【文献】特開昭49-030618(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107794581(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1737224(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106149071(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00-13/02
D01F8/00-8/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FDY工程に従って、カチオン可染ポリエステル(Cationic DyeD Polyester, CDP)融体とポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate, PET)融体とを分配し、同一の紡糸口金上の吐出孔mと吐出孔nから圧出して、延伸糸(Fully OrienteD Yarn、FDY)を生成した後、緩和熱処理を行い、直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維を得る、直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法であって、
前記PET融体の固有粘度は0.55~0.60DL/gであり、前記CDP融体の固有粘度は0.70~0.75DL/gであり、
前記分配とは、前記CDP融体を分配孔Aにより、及び前記PET融体を分配孔Bにより前記吐出孔mへ分配するとともに、前記CDP融体を分配孔Cにより、及び前記PET融体を分配孔Dにより前記吐出孔nへ分配することであり
記分配孔Aと前記分配孔Bは高さが等しい円柱孔であり、前記分配孔Aと前記分配孔Bの直径比は1.30~1.50:1であり、前記分配孔Cと前記分配孔Dは高さが等しい円柱孔であり、前記分配孔Cと前記分配孔Dの直径比は1:1.30~1.50である、
直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【請求項2】
前記CDP融体と前記PET融体との質量比は50:50である、
ことを特徴とする請求項1に記載の直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【請求項3】
前記吐出孔mまたは前記吐出孔nは、円形、楕円形、あるいは「8」形の吐出孔である、
ことを特徴とする請求項1に記載の直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【請求項4】
すべての吐出孔は同心円を成すように分布し、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nである、
ことを特徴とする請求項1に記載の直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【請求項5】
前記吐出孔mは、導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順に構成され、前記吐出孔nは、導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順に構成され、前記導入孔Eは前記分配孔A及び前記分配孔Bと同時に接続し、前記導入孔Fは前記分配孔C及び前記分配孔Dと同時に接続し、前記分配孔A、前記分配孔B、前記分配孔C及び前記分配孔DはスピニングビームIII中の分配板に位置し、前記PET融体はスピニングビームIにより前記分配孔Bと前記分配孔Dへ送られ、前記CDP融体はスピニングビームIIにより前記分配孔Aと前記分配孔Cへ送られる、
ことを特徴とする請求項1に記載の直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【請求項6】
前記スピニングビームIの温度は280~285℃であり、前記スピニングビームIIの温度は275~280℃であり、前記スピニングビームIIIの温度は278~282℃である、
ことを特徴とする請求項5に記載の直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【請求項7】
前記FDY工程に関するパラメータは、冷却温度が23~25℃、インターレースノズル圧力が0.20~0.30MPa、第1ローラ速度は2400~2500m/min、第1ローラ温度が90~95℃、第2ローラ速度が4000~4200m/min、第2ローラ温度が160~180℃、巻取速度が3930~4120m/minであり、前記緩和熱処理に関する処理温度が90~120℃、処理時間が20~30minである、
ことを特徴とする請求項6に記載の直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してポリエステル繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種のカチオン可染ポリエステル繊維(Cationic DyeDPolyester, CDP)とポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate, PET)繊維との二成分複合繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維応用分野の持続的な廓大及び紡糸技術の発展と共に、過去20年間で様々な高付加価値を有する差別化繊維、いわゆる第二世代合成繊維の開発と応用が続いている。そのうち、複合紡糸はひときわ目立つ技術と知られている。複合紡糸は、種類、粘度あるいは割合の異なる二成分または二成分以上の繊維形成ポリマー融体・溶液を、それぞれの管路によって輸送し、さらに複数の分配板より組み立つ複合パックで分配し、口金板に到着する際にいろいろな形式で合流させて複合流体になさせ、最後に同じ吐出孔により圧出して一本の繊維にする。複合紡糸技術は繊維の物理的改質に重要な手段の一つとして、「天然の外観」と「高付加価値」を持つ合成繊維の開発において、重要な役割を果たしている。
【0003】
CDP/PET複合繊維は異なる性能の同類繊維形成ポリマーの複合に属するが、その二成分は、比較的近い物性と比較的良い相溶性を持つために剥離が生じにくいので、繊維になると強い接着力を有する。よって、CDP/PET複合繊維は優れた染色性能、弾性及び機械的性質を持って、衣装用生地に広く応用されている。
【0004】
しかしながら、CDP/PET複合繊維は編物特に平織りニットに応用されると編物の表面で不規則な帯状むらが不規則に発生してしまう。この問題はCDP/PET複合繊維編物の開発と使用を激しく制限する。
【0005】
それゆえ、不規則な帯状むらが避けられるCDP/PET並列型二成分複合繊維及びその製造方法の開発は意味深い課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は従来のCDP/PET並列型複合繊維の編物に応用する時の不規則な帯状むら問題を克服し、一種の直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため本発明は、収縮挙動と収縮形態の異なる成分質量比の3:1~5:1のCDP/PET複合繊維と、成分質量比の1:3~1:5のCDP/PET複合繊維とを混在させて、単一複合繊維のような位整った螺旋形態状巻縮を破壊して、複合繊維編物の不規則な帯状むら問題を克服することで、これを課題解決のための手段とするものである。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術手段を採用する。
【0009】
FDY工程に従って、カチオン可染ポリエステル(Cationic DyeD Polyester, CDP)融体とポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate, PET)融体とを分配し、同一の紡糸口金上の吐出孔mと吐出孔nから圧出して、延伸糸(Fully OrienteD Yarn、FDY)を生成した後、緩和熱処理を行い、直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維を得る、直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法であって、
PET融体の固有粘度は0.55~0.60DL/gであり、CDP融体の固有粘度は0.70~0.75DL/gであり、
前記分配とは、CDP融体を分配孔Aにより、及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ分配するとともに、CDP融体を分配孔Cにより、及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ分配することであり
配孔Aと分配孔Bは高さが等しい円柱孔であり、分配孔Aと分配孔Bの直径比は1.30~1.50:1であり、分配孔Cと分配孔Dは高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dの直径比は1:1.30~1.50である、
直延伸法によるCDP/PET二成分並列型複合繊維の製造方法。
【0010】
具体的には、本発明においては、CDP融体を分配孔AとCにより、PET融体を分配孔BとDにより分配し、分配孔の入口においてCDP融体とPET融体の見掛け粘度差を5%以下にし、分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口では、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が5%以下であり、各分配孔は、高さが等しい円柱孔であり、分配孔AとBの直径比は、分配孔BとDの直径比と異なり、これにより吐出孔mに分配するCDP融体とPET融体の質量比と、吐出孔nに分配するCDP融体とPET融体の質量比とが異なり、一束のCDP/PET並列型複合繊維中に、二種類の異なるCDPとPETの質量比が共存することを実現し、巻縮形態の違いが保証される。これに対応させて、分配孔及び導入孔の数量と位置関係を合理的に設定し、順調な融体分配を保証する。また、本発明においては、吐出孔mと吐出孔nとを同心円状により配列して、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであるようにして、CDPとPETの質量比が3:1~5:1のCDP/PET複合繊維が、CDPとPETの質量比が1:3~1:5のCDP/PET複合繊維の間に混在することを保証し、整った左右の螺旋形態を破壊する。また、本発明においては、スピニングビームI、II及びIIIの温度を合理的に設定し、PET融体の固有粘度(0.55~0.60DL/g)とCDP融体の固有粘度(0.70~0.75DL/g)を相互に配合し、吐出孔より圧出したPET成分とCDP成分の見かけ粘度を互いに近づけ、各複合繊維の質量比を制御し、順調な紡糸を保証する。また、本発明においては、吐出孔の形状を調整する必要がなく、汎用の並列型複合吐出孔を用いることができる。また、本発明においては、FDY工程を用い、紡糸工程のパラメータを合理的に設定することにより、巻縮性が良く、弾性が良好で、総合性能が良い繊維を製造する。
【0011】
発明原理は以下の通りである。
【0012】
従来のCDP/PET複合繊維において巻縮によるねじり応力は均しいから、編み糸にすれば一部の線分は整然たるコイル状巻縮が生じるため、他の部分に対して異なる配向状態と力学的応答挙動を持つ。よって、CDP/PET複合繊維で編物を作る時に繊維の光反射効果と張力が不均一だから、編物の表面で突起または陥没、及び明暗の不規則に変化する縞模様すなわち不規則な帯状むらが現れる。
【0013】
紡糸工程において、ポリマー融体は持続的に流動している。融体流量を制御するには、円穴内部で流動する融体の流量計算式
【数1】
に基づく考えがある。上式中には、ΔQが融体の流量、Dが円穴の直径、μが融体の見掛け粘度、lが円穴の長さ、ΔPが円穴両端の圧力差である。上式により、ΔP、μ及びlをそれぞれ同じにすれば、このような二本の円穴を経る融体の流量の比は、円穴直径の4乗の比に比例する。
【0014】
本発明のFDY工程は、CDP融体とPET融体とを分配した後、同じ口金板に位置する吐出孔mと吐出孔nにより圧出して並列型自発巻縮弾性繊維にする。そのうち、分配は、CDP融体を分配孔Aにより、PET融体を分配孔Bにより同時に吐出孔mへ導入し、並びにCDP融体を分配孔Cにより、PET融体を分配孔Dにより同時に吐出孔nへ導入する。
【0015】
分配孔A(またはC)を経るCDP融体と、分配孔B(またはD)を経るPET融体との流量比は、
【数2】
と表記でき、そのうち、ΔQ1、D1、μ1及びl1は分配孔A(またはC)に属し、ΔQ2、D2、μ2及びl2は分配孔B(またはD)に属する。本発明においては、紡糸融体の固有粘度の選択とスピニングビームI、II及びIIIの温度の制御により、分配孔A、B、C及びDの入口においてPET融体とCDP融体との見掛け粘度差を5%以下にし、よって、μ1とμ2が大体同一にする。一方、分配孔A、B、C及びDは分配板に位置して寸法が小さいため、分配孔Aを経たCDP融体の圧力降下と分配孔Bを経たPET融体の圧力降下、または分配孔Cを経たCDP融体の圧力降下と分配孔Dを経たPET融体の圧力降下は大体同一にし、よって、ΔP1とΔP2がほぼ等しい。なお、分配孔Aと分配孔Bが等高、分配孔Cと分配孔Dが等高だから、l1とl2が等しい。
【0016】
上記の条件によって計算すると、ΔQ1/ΔQ2はΔD1/ΔD2とほぼ等しいことがわかっている。したがって、分配孔Aと分配孔Bとの直径比が1.30~1.50:1とすれば、Aを経たCDP融体とBを経たPET融体との流量比は約3:1~5:1になり、最後に吐出孔mより圧出した単糸におけるCDPとPETとの質量比は3:1~5:1になる。同じ理由によって、分配孔Cと分配孔Dとの直径比が1:1.30~1.50とすれば、Cを経たCDP融体とDを経たPET融体との流量比は約1:3~1:5になり、さらに吐出孔nより圧出した単糸におけるCDPとPETとの質量比は1:3~1:5になる。
【0017】
そのうえ、本発明の異なる熱収縮率を持つCDPとPETは、同じ吐出孔より圧出された際に、相溶性があるために一緒に接合できる。こんな接合と異なる熱収縮率と共に、CDP/PET複合繊維は熱処理を経たら自発巻縮が生じて弾性を得る。この巻縮の具体的な形態は、より高い収縮率を有するCDPが内側、より低い収縮率を持つPETが外側にあるコイルである。
【0018】
本発明の複合繊維においては、CDPとPETとの質量比が3:1~5:1及び1:3~1:5とする二種類の複合フィラメントが混在するので、各フィラメントは互いに違い巻縮形態がしって、普通のCDP/PET複合繊維のような位整った螺旋形態構造を打ち破る。よって、緩和熱処理後本発明における並列型二成分複合繊維は不規則な巻縮配向が生じ、編物に応用されると不規則な帯状むらが起こらない。
【0019】
本発明に係る好適態様を以下に示す。
【0020】
前記直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法において、PET融体とCDP融体との質量比は50:50である。
【0021】
前記直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法において、吐出孔mまたは吐出孔nは、円形、楕円形、あるいは「8」形の吐出孔である。
【0022】
前記直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法において、すべての吐出孔は同心円を成すように分布し、同一円上の吐出孔は、いずれも吐出孔mであるか、いずれも吐出孔nである。したがって、CDP/PET質量比が3:1~5:1の複合繊維とCDP/PET質量比が1:3~1:5の複合繊維をよく混在させることでき、整った左右の螺旋形態を破壊できる。
【0023】
前記直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法において、吐出孔mは、導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順に構成され、吐出孔nは、導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順に構成され、前記導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと同時に接続し、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと同時に接続し、分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔DはスピニングビームIII中の分配板に位置し、PET融体はスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ送られ、CDP融体はスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ送られる。
【0024】
前記直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法において、PET融体の固有粘度は0.55~0.60DL/gであり、CDP融体の固有粘度は0.70~0.75DL/gであり、スピニングビームIの温度は280~285℃であり、スピニングビームIIの温度は275~280℃であり、スピニングビームIIIの温度は278~282℃である。
【0025】
前記直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法において、FDY工程に関するパラメータは、冷却温度が23~25℃、インターレースノズル圧力が0.20~0.30MPa、第1ローラ速度は2400~2500m/min、第1ローラ温度が90~95℃、第2ローラ速度が4000~4200m/min、第2ローラ温度が160~180℃、巻取速度が3930~4120m/minであり、緩和熱処理に関する処理温度が90~120℃、処理時間が20~30minである。
【0026】
本発明は、前記好適態様のいずれか一項に記載する方法で製造するCDP/PET二成分複合繊維であって、複数のPET/CDP並列型複合繊維からなり、同一の繊維束において、一部のPET/CDP並列型複合繊維では、CDPとPETの質量比が3:1~5:1であり、他の一部のPET/CDP並列型複合繊維では、CDPとPETの質量比が1:3~1:5であり、直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維における各フィラメントの巻縮方向が不規則に分布する。
【0027】
好ましくは、直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維について、巻縮収縮率は48~53%、巻縮安定度は80~83%、巻縮伸長率は90~93%、巻縮弾性回復率は88~92%である。
【0028】
また、好ましくは、直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維について、破断強度は2.7~3.0cN/Dtex、破断伸長率は40.0±4.0%、総繊度が100~200Dtexである。
【0029】
前記直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維より作った編物の不規則な帯状むらの検測方法は、以下の通りである:まず編物の表面写真を撮影しさらにそれをグレースケール画像(黒の0から白の255まで256段階と示す)に変換し、次にグレースケール画像の1回目と2回目の処理を行ってパラメータDを計算し、最後にパラメータDで不規則な帯状むらの程度を表記する。そのうちに、グレースケール画像は帯状むらに属する低いグレースケール区域(区域Iと表記する)、及びむらない地方に属する高いグレースケール区域(区域IIと表記する)と低いグレースケール区域(区域IIIと表記する)を含み、区域IIは1回目の処理さらに区域IIIは2回目の処理によって白点に変換させ(グレースケールを255にする)、そして区域Iを黒点に変換させ(グレースケールを0にする)、最後に、Aは総点数およびBは黒点数として算式D=ΣB/AによりパラメータDを得る。
【0030】
Dは3%以上にすれば帯状むらが生じることが判定でき、10%になれば帯状むらの「深刻な状態」に達することが言える。本発明の直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維より作ってあげる編物のDは1%以下であり、帯状むらの問題を克服するのが結論できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の利点としては、
(1)本発明に提出した直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法において、異なる直径の分配孔を採用して得た複合繊維の成分比を異なるようにして、整った螺旋形態のような巻縮形態を避けて、不規則な帯状むら問題が克服できる。
(2)本発明に提出した製造方法による直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維は、優れた巻縮性、弾性などの総合性能を有し、広く応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明における紡糸融体分配の見取図であり、そのうちにA、B、C及びDは互いに独立の分配孔で、EとFは互いに独立の導入孔である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者がいろいろと本発明を改正しても、それは本発明と等価形のものとして、本発明の請求の範囲内に入るものとする。なお、実施例における種々の物性および特性の測定方法は下記のとおりである。
【0034】
本発明における巻縮収縮率と巻縮安定度は中国国家標準規格GB6506-2001の「合成繊維変形糸巻縮性能の試験方法」によって測定する。
【0035】
巻縮伸長率(変形糸の弾性と巻縮程度を示すことで、変形糸に標準初荷重を与えるときの糸長と、さらに(より高い)伸長荷重を与えるときの糸長の差の、標準初荷重下の糸長に対する百分率である)及び巻縮弾性回復率の測定方法としては、
まず約50cmの繊維サンプルを100℃の水で30minかけて熱処理して自然乾燥し、次に約30cmの部分を切り取って、一端を固定して、そこから20cmの位置を表記して、他の端に0.0018cN/Dtexの標準初荷重を与えて、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を初期長l1と記録し、さらに荷重を0.09cN/Dtexと変換して、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を荷重長l2と記録し、最後に荷重を除いて、2minの回復を経た後、0.0018cN/Dtexの標準初荷重を再び加えて、30sを経た際に固定端から表記点までの糸長を回復長l3と記録し、そして以下の式
CE = (l2-l1)/l1
SR = (l2-l3)/(l2-l1)
で巻縮伸長率CEと巻縮弾性回復率SRを計算することである。
【0036】
実施例1
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.73DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.56DL/gとする)とを分配し、円形吐出孔m及び円形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
図1に示すように、分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させる;
分配孔Aと分配孔Bは直径比を1.5:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比を1:1.5とする高さが等しい円柱孔であり;
吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ282℃、279℃、280℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が5%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が25℃、インターレースノズル圧力が0.3MPa、第1ローラ速度が2430m/min、第1ローラ温度が94℃、第2ローラ速度が4000m/min、第2ローラ温度が164℃、巻取速度が3930m/minである。
(2)そして、上記FDYに90℃と30minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成され、巻縮収縮率が52%、巻縮安定度が80%、巻縮伸長率が91%、巻縮弾性回復率が92%、破断強度が2.7cN/Dtex、破断伸長率が44%、総繊度が108Dtexである
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
【0037】
実施例2
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.73DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.6DL/gとする)とを分配し、円形吐出孔m及び円形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させることであり;
分配孔Aと分配孔Bは直径比が1.3:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比が1:1.3とする高さが等しい円柱孔であり; 吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ285℃、279℃、282℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が4.9%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が25℃、インターレースノズル圧力が0.3MPa、第1ローラ速度が2500m/min、第1ローラ温度が95℃、第2ローラ速度が4140m/min、第2ローラ温度が176℃、巻取速度が4070m/minである。
(2)そして、上記FDYに119℃と21minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成するものであって、巻縮収縮率が50%、巻縮安定度が82%、巻縮伸長率が90%、巻縮弾性回復率が90%、破断強度が2.7cN/Dtex、破断伸長率が41%、総繊度が108Dtexとする
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
【0038】
実施例3
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.75DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.57DL/gとする)とを分配し、円形吐出孔m及び円形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させることであり;
分配孔Aと分配孔Bは直径比が1.4:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比が1:1.4とする高さが等しい円柱孔であり; 吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ283℃、280℃、281℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が4.8%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が23℃、インターレースノズル圧力が0.2MPa、第1ローラ速度が2480m/min、第1ローラ温度が92℃、第2ローラ速度が4170m/min、第2ローラ温度が180℃、巻取速度が4100m/minとする。
(2)そして、上記FDYに90℃と30minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成するものであって、巻縮収縮率が53%、巻縮安定度が80%、巻縮伸長率が92%、巻縮弾性回復率が92%、破断強度が2.7cN/Dtex、破断伸長率が40%、総繊度が124Dtexとする
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
【0039】
実施例4
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.7DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.57DL/gとする)とを分配し、円形吐出孔m及び円形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させることであり;
分配孔Aと分配孔Bは直径比が1.4:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比が1:1.4とする高さが等しい円柱孔であり; 吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ283℃、275℃、282℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が4.9%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が24℃、インターレースノズル圧力が0.3MPa、第1ローラ速度が2400m/min、第1ローラ温度が90℃、第2ローラ速度が4100m/min、第2ローラ温度が160℃、巻取速度が4030m/minである。
(2)そして、上記FDYに95℃と28minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成するものであって、巻縮収縮率が49%、巻縮安定度が80%、巻縮伸長率が92%、巻縮弾性回復率が89%、破断強度が2.7cN/Dtex、破断伸長率が39%、総繊度が108Dtexである
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
【0040】
実施例5
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.72DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.6DL/gとする)とを分配し、円形吐出孔m及び円形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させることであり;
分配孔Aと分配孔Bは直径比が1.5:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比が1:1.5とする高さが等しい円柱孔であり; 吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ283℃、277℃、278℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が4.7%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が25℃、インターレースノズル圧力が0.2MPa、第1ローラ速度が2490m/min、第1ローラ温度が91℃、第2ローラ速度が4190m/min、第2ローラ温度が168℃、巻取速度が4120m/minである。
(2)そして、上記FDYに102℃と25minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成するものであって、巻縮収縮率が48%、巻縮安定度が80%、巻縮伸長率が93%、巻縮弾性回復率が88%、破断強度が2.7cN/Dtex、破断伸長率が39%、総繊度が100Dtexである
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
【0041】
実施例6
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.72DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.58DL/gとする)とを分配し、円形吐出孔m及び円形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させることであり;
分配孔Aと分配孔Bは直径比が1.3:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比が1:1.3とする高さが等しい円柱孔であり; 吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ283℃、277℃、281℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が4.6%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が25℃、インターレースノズル圧力が0.2MPa、第1ローラ速度が2440m/min、第1ローラ温度が93℃、第2ローラ速度が4150m/min、第2ローラ温度が176℃、巻取速度が4080m/minである。
(2)そして、上記FDYに110℃と23minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成するものであって、巻縮収縮率が50%、巻縮安定度が81%、巻縮伸長率が93%、巻縮弾性回復率が90%、破断強度が2.9cN/Dtex、破断伸長率が38%、総繊度が132Dtexである、
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
【0042】
実施例7
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.7DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.58DL/gとする)とを分配し、橢円形吐出孔m及び円形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させることであり;
分配孔Aと分配孔Bは直径比が1.3:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比が1:1.3とする高さが等しい円柱孔であり; 吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ283℃、276℃、282℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が4.5%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が25℃、インターレースノズル圧力が0.3MPa、第1ローラ速度が2450m/min、第1ローラ温度が93℃、第2ローラ速度が4180m/min、第2ローラ温度が173℃、巻取速度が4110m/minである。
(2)そして、上記FDYに111℃と22minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成するものであって、巻縮収縮率が48%、巻縮安定度が82%、巻縮伸長率が92%、巻縮弾性回復率が88%、破断強度が2.9cN/Dtex、破断伸長率が38%、総繊度が160Dtexである
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
【0043】
実施例8
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維の製造方法は、以下の通りである。
(1)質量比の50:50のCDP融体(固有粘度は0.7DL/gとする)とPET融体(固有粘度は0.56DL/gとする)とを分配し、橢円形吐出孔m及び「8」形吐出孔nにより圧出して、FDYにする。そのうち、
分配は、CDP融体を分配孔Aにより及びPET融体を分配孔Bにより吐出孔mへ輸送させ、同時にCDP融体を分配孔Cにより及びPET融体を分配孔Dにより吐出孔nへ輸送させることであり;
分配孔Aと分配孔Bは直径比が1.4:1とする高さが等しい円柱孔であり、分配孔Cと分配孔Dは直径比が1:1.4とする高さが等しい円柱孔であり; 吐出孔mは導入孔E、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、吐出孔nは導入孔F、過渡孔及びキャピラリーの順で構成され、導入孔Eは分配孔A及び分配孔Bと接続させ、導入孔Fは分配孔C及び分配孔Dと接続させ、分配孔A、B、C及びDはスピニングビームIIIにある分配板に位置し、PET融体をスピニングビームIにより分配孔Bと分配孔Dへ輸送させ、CDP融体をスピニングビームIIにより分配孔Aと分配孔Cへ輸送させ、スピニングビームI、II及びIIIの温度はそれぞれ280℃、275℃、278℃に制御し;
分配孔A、分配孔B、分配孔C及び分配孔Dの入口において、PET融体とCDP融体との見かけ粘度差が4.7%であり;
すべての吐出孔は同心円によって位置し、さらに、同一円上の吐出孔は、いずれも前記吐出孔mであるか、いずれも前記吐出孔nであり;
FDY工程に関する冷却温度が23℃、インターレースノズル圧力が0.3MPa、第1ローラ速度が2410m/min、第1ローラ温度が91℃、第2ローラ速度が4200m/min、第2ローラ温度が170℃、巻取速度が4120m/minである。
(2)そして、上記FDYに120℃と20minとの緩和熱処理を与えて、
巻縮方向が不規則なCDP/PET複合繊維が混在して構成するものであって、巻縮収縮率が50%、巻縮安定度が83%、巻縮伸長率が91%、巻縮弾性回復率が90%、破断強度が3cN/Dtex、破断伸長率が36%、総繊度が200Dtexである、
直延伸法によるCDP/PET二成分複合繊維を得る。
図1