(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20230404BHJP
A61F 5/02 20060101ALI20230404BHJP
A61F 5/10 20060101ALI20230404BHJP
A61H 1/00 20060101ALI20230404BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
A61H23/02 370
A61F5/02 N
A61F5/10
A61H1/00 311Z
A61H1/02 K
A61H23/02 330
(21)【出願番号】P 2021531195
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 ES2019070201
(87)【国際公開番号】W WO2020030834
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-03-11
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】521056032
【氏名又は名称】デマック、エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ トーレ バレイロ、ホセ ルイス
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-536527(JP,A)
【文献】特開2004-160120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
A61H 1/00
A61F 5/10
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置であって、第1のフェルールおよび第2のフェルールであって、
前記第1のフェルールおよび前記第2のフェルールはNi-Ti合金から作製されるサーモストレッチワイヤにより接合される、第1のフェルールおよび第2のフェルールと、前記サーモストレッチワイヤに電流を流す制御部であって、前記電流が前記サーモストレッチワイヤを流れると、前記サーモストレッチワイヤの形状記憶の特性によって、前記第1のフェルールおよび前記第2のフェルールが第1方向において対向するように、前記サーモストレッチワイヤが前記第1方向に沿った形状に戻る、制御部とを備え、
前記第1のフェルールは、第1の電気配線を介して前記制御部により給電される第1の振動発生手段を収容するための
第1のハウジング
を有
し、
前記第2のフェルールは、第2の電気配線を介して前記制御部により給電される第2の振動発生手段を収容するための
第2のハウジング
を有
し、
前記
第1の振動発生手段
および前記第2の振動発生手段の
給電および位相および規模は、前記制御部に
より制御され、
前記
第1のフェルールおよび前記第2のフェルールは、接着剤を用いて、
若しくは圧力を加えることによって、
若しくは空気袋を使用することによって、または
これらの組み合わせによって、
前記第1のフェルールおよび前記第2のフェルールが適用される前記
特定の身体部位に固定される、
特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
【請求項2】
前記
第1のフェルールおよび前記第2のフェルールが中空の円筒形または指サック構造を有する、請求項1に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
【請求項3】
前記第1のフェルール
および前記第2のフェルールを
前記特定の身体部位に固定するための手段として空気袋を使用する
ものであって、
前記第1のフェルール
および
前記第2のフェルールはそれぞれの空気袋を
有し、
第1のダクト
および
第2のダクトのそれぞれを介して空気が
前記空気袋に供給される、請求項1に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の振動発生手段および前記第2の振動発生手段において生成される振動の強度、位相および速度を制御および調整することを担当する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
【請求項5】
前記第1の振動発生手段および前記第2の振動発生手段が、偏心器と関連付けられたモータ、またはその内部に収容された振動質量を有する電磁アクチュエータ、または両方の組み合わせである、請求項1から
4のいずれか一項に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
【請求項6】
複数の指のうち少なくとも1つ
の指に、
特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる前記装置
が適用
される、請求項1から
5のいずれか一項に記載の
特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置を有する特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[本発明の目的]
本発明の目的は、本発明の名称において確立されたように、特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置であって、好ましくは指の関節炎および関節症を治療することが好ましい装置、すなわち、治療される対象である身体部位、特に指および関節に配置され、指における障害の治療および改善を可能にする装置である。すなわち、指の指骨間のヒンジ関節をストレッチさせ、矯正し、加温し、マッサージし、および/または振動させる機能を実行する個別装置(アクティブなスタック副木)として機能する。
【0002】
また、本発明の目的は、個別装置が、複数の指のうち1つのために開発された手袋の複数の指のうち少なくとも1つに設置され、手袋にも使用され得る、手袋または類似のものである。
【0003】
本発明は、使用される要素の特殊な構成およびデザイン、それらの性質、および、関節症に由来する障害の治療および改善のための装置が達成されるような機能性で特徴付けられる。それは、フェルール間の軸方向の力を生成するフェルールを分離する距離を制御可能に修正することが可能な手段により、それらの反対側により接合され、整列配置された少なくとも2つの周囲のフェルールまたはリング要素で作製されるからである。ここで、フェルールのうち少なくとも1つは、1つの制御部(8)により供給される振動発生手段を収容するための手段を有し、その結果、振動中の圧縮を回避し、障害に存在する変形を矯正すべく、一方の手ではデュアルマッサージおよび/または振動機能性を、他方の手ではそれが適用される身体部位(指であることが好ましい)のストレッチングを、同時に実行される。
【背景技術】
【0004】
指、手または手首は、関節の過度の使用の結果、または、関節、筋肉または骨の問題、あるいは病状の結果としてさえ患う。火傷、かゆみまたは痛みなどの効果が生じ、これらの部分は、疲れ、痛み、硬直、しびれ、暑さ、寒さ、またはヒリヒリ感を感じることさえできる。
【0005】
それは、通常通りにそれらを動かすことが不可能な場合、またはそれらが腫れ得る場合に発生する。手は、赤、青ざめた色または青などの異なる色に変化さえし得る。手首、手のひらまたは指に塊が見られる場合がある。
【0006】
指、手または手首における問題は、負傷により生じ得る。しかしながら、指、手または手首における問題の多くの他の原因が存在する。
【0007】
過度の使用に起因する問題は、以下の通りである。
‐手根管症候群は、手首の神経(正中神経)が圧力されることにより生じる。症状は、指および手におけるヒリヒリ感、しびれ、衰弱または痛みを含む。
‐腱における痛みは実際、腱組織またはその周囲における一連の微細な裂傷(micro-tears)である、腱症の症状である。痛みおよび過敏に加えて、腱の負傷の一般的な症状は、患部の強度および可動性の低下を含む。
‐ドケルヴァン症候群は、手首の親指側を走る腱と腱の鞘(保護鞘)が腫れて炎症を起こす場合に、手および手首に発生し得る。
‐反復運動障害とは、同じ動きを何度も繰り返す場合に発生する痛み、腫れまたは過敏などの症状を説明するのに使用される用語である。
‐書痙は、書くまたはタイピングする活動などの、反復的な手または指の動きにより生じる。
【0008】
トリガーフィンガまたはトリガー親指は、指または親指の屈筋腱およびその覆い部が厚くなるまたは腫れる場合に発生する。
【0009】
骨、筋肉または関節の問題は、以下の通りである。
‐デュピュイトラン拘縮は、手のひらまたは手の皮膚、時には、足の裏の皮膚の下において組織が異常に厚くなることである。最後に、厚くなった皮膚および腱(手掌筋膜)は、動きを制限し得、または、指が曲がるようにさせて、ストレッチできないようにさせ得る。
【0010】
病状に起因する問題は、以下の通りである。
糖尿病、妊娠、変形性関節炎、痛風、リウマチ性関節炎、ループス、レイノー現象、感染。
【0011】
書く場合の指の過度の使用は、関節のストレスおよびドケルヴァン腱鞘炎(橈骨茎状突起の近くのトンネルを通過する場合に発生する、長母指外転筋および短母指伸筋の鞘の覆い部の炎症)および母指CM関節症をもたらし得る。
【0012】
ミネソタ州(米国)のMayo Clinicの医者らは、毎年彼らが、「テキストサム損傷」と称される障害を患う患者の数が増加しているのを目撃すると指摘した。それは筋肉の末端部分の炎症であって、悪化し続けると、より激しい負傷がもたらされる。それは腱が曲がったり腱に力を入れたりする場合に生じ、指の炎症を引き起こす。以前、多くの工場従業員が、彼らの仕事の性質上、この障害を患った。
【0013】
研究所の生物医工学専門家であるKristin Zhaoは、この障害を7年間研究している。彼女は、携帯電話を扱う場合に親指が不快な動きをすると考える。関節が緩んだり弱まったりして、その結果、骨が正常と違う動きをすると彼女は説明する。これは、痛みを生じさせ、やがて変形性関節炎を引き起こし得る。
【0014】
筋肉および指の関節の痛みを緩和するための様々な装置が、痛みのある部位をマッサージする目的の振動手段を使用することで、最先端の技術で開発された。振動手段としては、US2013309951,GB2479358,WO2010033055およびWO9632915といった状態に説明されているものなどが挙げられ、これらの特許は、振動手段を取り付けるフェルールを使用して指に適用される振動手段に基づく装置を開示している。
【0015】
しかしながら、関節部位においてマッサージおよび/または振動が発生している間に、任意の指のストレッチ機能を同時に実行する装置はない。
【0016】
したがって、本発明の目的は、上記のすべての状況に対して、簡単且つ効果的に適用され得る装置を展開することである。ここで、指または患部のストレッチ効果を発生させている間、関節部位にマッサージ/振動が同時に適用され、すべてのものは、治療が適用される専用センタを訪問する必要がなくなり、そのような目的のために、以下に説明された、その必須性が請求項1に述べられているものなどの装置を開発する。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置であって、身体部位の、好ましくは指および足指の、関節炎および関節症を治療するためのものであることが好ましい装置である。
【0018】
装置は、両方のフェルールを分離する距離を制御可能に修正可能な手段によって、それらの対向する側により接合される少なくとも2つのフェルールを備え、これは、フェルール間に一定のまたは可変の軸方向の力を生成するプログラム可能な弾性手段であり得、ここで、フェルールのうち少なくとも1つは、少なくとも1つの振動発生手段を有する。
【0019】
両方のフェルールを分離する距離を修正可能な手段は、フェルール間に安定した軸方向の力を生成し、形状記憶を備えた制御ばねまたは金属、プログラム可能なプラスチック、電磁アクチュエータそのもの、またはストラップ、またはワイヤ、または形状記憶を備えたシートまたはワイヤ、または、機械的に、温度、電流などによるかに関わらず、電子制御装置の意のままにその長さを変化可能にする任意の他の手段であり得る。
【0020】
フェルールを分離する距離を修正可能な手段の目的は、はじめに2つの指骨を分離する力を生成して、近似値を有する場合に振動マッサージがそこに圧力を加えないように充分なオフセットを生成することである。
【0021】
フェルール間に安定した軸方向の力を生成する別の方法は、気圧を用いることである。気圧は、より良いストレッチを確実にするために、フェルールを指に固定させるのに使用されることもできる。
【0022】
フェルールは、指をそれらの内部に収容するように最も便利な幾何学的構成を有し得、ここで、1つまたはすべてのフェルールが中空シリンダの形状を採用し得、または、フェルールのうち1つが指サックの形状または上記の複数の形状の組み合わせの形状を採用し得る。
【0023】
フェルールは、異なる方法で指に固定されなければならない。方法は、接着剤を用いて、圧力を加えることによって、または空気袋を使用することによって行われ得る。
【0024】
フェルールのうち少なくとも1つは、その強度、位相および速度を制御可能にする手段を有する振動機構を含む。これらの振動機構は、偏心質量モータとして実装されることも、または異なる静的コイル構成もしくは可動コイル構成を有する電磁アクチュエータを用いて実装されることもできる。偏心質量モータは、同じアセンブリの電磁アクチュエータと組み合わされることもできる。
【0025】
ストラップ、ワイヤまたはケーブルまたはシートは、電気的に扱われる場合または加熱された場合に、筋肉と同様に収縮する(一般的にそれらの長さの2%から5%)小さなセクション要素である。この屈曲能力または短縮能力は、特定の温度でその内部構成を直接変化させる特定の合金の特性である。Flexinolの場合、使用できる異なる性質を有する多くの材料が存在するが、それを貫通する電流を循環させる場合に収縮するように作製される。
【0026】
フェルールも、振動発生手段が配置されたハウジングを有する。使用できるものは、偏心器と組み合わせたモータ、または、その内部に振動質量を有する電磁アクチュエータ、または、2つの所望の機能を組み合わせる電磁機構(図面)のおかげで振動と組み合わされた動きを含む。
【0027】
装置は、その強度、位相および速度などのパラメータにおける振動を制御する手段を有し得る。
【0028】
手段の振動する動きは、同じ方向における相互の近づくこと、距離を置くことまたは軸方向の運動を確立するように制御される。これは、監視システムを使用した振動手段の位相制御により可能となる。同様の位相を有する場合にも、低周波高調波運動が生成され得る。
【0029】
このように、2つの振動手段が等しい位相を有するとき、同一の軸方向の運動効果が生じる。しかしながら、位相が反対であるとき、圧縮を抑制するための弾性手段によりその後修正されるローカルの拡張効果と圧縮効果とが交互に発生して、指骨間の交互の拡張のみを残し、患者に役立つ。最後に、位相がわずかにシフトされるとき、位相差の量に応じて、低速のマッサージが行われ得る。
【0030】
フェルールを分離する距離を制御可能に修正可能な手段の作動で合って、振動発生手段を有するフェルールと共に組み合わされた作動は、関節に対して組み合わされた効果を有する:一方の手に対して、関節の距離または自由空間を修正し、軸方向の力により指骨を分離する効果を有している間にそれをマッサージし、これは、動作または関節症および/または関節炎により生じる痛みを緩和して軽減する。
【0031】
装置は、治療される指にあらかじめ配置された指サックと共に使用され得、当該指サックは、その内部に、治療を促進する鎮痛剤および/または消炎剤を有する。最後に、装置は、第2の保護指サックにより覆われ得る。
【0032】
この装置の応用は、特に以下のようなものを含む:
‐関節症および関節炎の治療
‐腱炎の治療
‐手根管症候群
‐手掌筋膜の線維化であるデュピュイトラン拘縮の治療。その起源は不明であり、表層の手掌腱膜の後退により手を漸進的に閉じさせる。
‐トリガーフィンガ
【0033】
この技術の別の応用は、アキレス腱に適用され、先に説明されたように、身体に固定するために関連する修正を加え、アキレス腱の両端に振動/拡張手段を配置し得る。
【0034】
また、先に言及されたように、本発明の目的は、説明された装置を備える手袋または類似のものを展開することであって、それは手袋の指のうち少なくとも1つに配置され、それらのすべてに配置されることさえあるので、異なる指が同時に治療され得る。
【0035】
別段の指示がない限り、本明細書に使用されるすべての技術的および科学要素は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解される意味を有する。本発明の実施において、明細書に説明されたものと同様またはそれと同等の方法および材料が使用され得る。
【0036】
明細書および特許請求の範囲の全体において、「備える」という文言およびその変形例は、他の技術的特性、添加剤、コンポーネントまたはステップを除外することを意図するものではない。当業者にとって、本発明の他の目的、効果および特性は、部分的に明細書から、部分的に本発明の実施から推論されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
その実際の実施形態の好ましい例に応じて、作成された説明を補完し、本発明の特性をより良く理解することに役立つことを目的として、一組の図面が、説明の不可欠な部分として提供され、例示目的および非限定的目的については、以下のものが示されている。
【
図3】フェルールのうち1つが指サックである実施形態の可能な形状を示す。
【
図4】安定した軸方向の力を生成するための手段が圧縮空気を用いるものであり、それが適用される身体部位に固定される手段としても空気を使用する装置の、異なる図を示す。
【
図5】安定した軸方向の力を生成するための手段が圧縮空気を用いるものであり、それが適用される身体部位に固定される手段としても空気を使用する装置の、異なる図を示す。
【
図6】安定した軸方向の力を生成するための手段が圧縮空気を用いるものであり、それが適用される身体部位に固定される手段としても空気を使用する装置の、異なる図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
「本発明の好ましい実施形態」
図を考慮して、提案された発明の好ましい実施形態が以下に説明される。
図1は、先端が消炎剤および/または鎮痛剤のゲルまたはポマードを含む指サック(2)により覆われた指(1)を示し、ゲルまたはポマードは、厳密にいえば、第1のフェルール(3)および第2のフェルール(4)を備える装置により覆われ得る指サックの一部に配置される。示された実施形態において、両方のフェルールは、円筒形の中空構成を有し、形状記憶を備えた弾性のあるロッドまたはストラップのようなものによってフェルールを分離する距離を制御可能に修正可能な手段(5)により、要素により接合される。
【0039】
安定した軸方向の力のフェルールとジェネレータを分離する距離を制御可能に修正可能な手段(5)は、ロボット工学において筋肉と同様に使用されるサーモストレッチワイヤ、または圧縮空気、または任意の他の軸方向の力を生成する手段、またはその最初の位置を回復しやすい弾性材料などと、変化し得る。
【0040】
材料は、それを変形した外部の力の適用が停止された後にその形状を回復する場合、形状記憶を有すると言われる。
【0041】
サーモストレッチワイヤを生産するのに使用される可能な弾性材料は、電流が通過または加熱される場合に長さが増加し、物体を移動または持ち上げることが可能な特殊なニッケル-チタン合金のワイヤであり得る。当該ワイヤはNitinolまたはFlexinol、またはその最初の形状を回復させる弾性メモリを有する任意の材料であり得る。
【0042】
ニチノールは、明らかに不可逆的な方法で変形された後にその形状を回復できる形状記憶を備えた材料である。ニチノールとして既知であるものは、Ni-Ti合金である。
【0043】
第1のフェルール(3)および第2のフェルール(4)には、振動発生手段(6)および(7)をそれぞれ収容するためのハウジング(3.1)および(4.1)がそれぞれ存在する。振動発生手段(6)および(7)の両方は、偏心器と関連付けられたモータ、およびその内部に収容された振動コイルを有する電磁機構であってもよく、または両方の組み合わせであってもよい。振動発生手段は、すべてのフェルールに配置される必要はなく、むしろ複数のフェルールのうち1つのみに配置され得る。
【0044】
第1の振動発生手段(6)は給電ケーブル(6.1)を有し、その一方、第2の振動発生手段(7)は給電ケーブル(7.1)を有し、両方は、その強度、位相および速度の調整を担当する制御部(8)から伸びている。
【0045】
図4から
図6は、安定した軸方向の力を生成するプログラム可能な弾性手段(5)が、フェルール(3)と(4)との間に力または分離を生じさせる圧縮空気が充填されたキャビティからなる実施形態を示す。圧縮空気は、フェルールを指に固定させる手段として使用されることもできる。
【0046】
フェルールを分離する距離を修正可能な様々な手段(圧縮空気、サーモストレッチワイヤなど)と、フェルールを指に固定させる様々な手段(接着剤または圧力を加えることまたは空気袋を使用することなど)とを組み合わせることが可能である。
【0047】
図4に示される非限定的な実施形態において、第1のフェルール(3)が、指へのフェルールの固定を確実にするために加圧空気が供給される膨張可能な空気袋(3.3)(
図5および6)に接続されたダクト(3.2)を有することが確認できる。また、第2のフェルール(4)は、その対応する空気袋(4.3)(
図6)に空気を供給するダクト(4.2)を有し、ダクトは1回膨張されると、フェルールを指に確実に固定させる。
【0048】
フェルールを分離する距離を制御可能に修正可能な手段(5)は、フェルール(3)と(4)との間に挿入された導管に空気(5.1)を供給するダクトを有し、その結果、供給された気圧に応じて、フェルール間の分離が変化し、すなわち、安定した軸方向の力を生成する。
【0049】
本発明の性質を十分に説明しながら、それを実施する方式に加えて、その本質においては、その主な原則が改変、変更または修正されない限り、それは例として示されるものとは詳細において異なり、保護が同様に適用される他の実施形態において実施され得るということがここに述べられる。
[他の考えられる項目]
[項目1]
少なくとも2つのフェルールであって、上記フェルールを分離する距離を制御された方式で修正可能な手段により、それらの反対側により接合される、少なくとも2つのフェルールを備えることと、上記フェルール間に軸方向の力を生成することとを特徴とし、複数の上記フェルールのうち少なくとも1つは、制御部により供給される振動発生手段を収容するためのハウジングを有する、特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目2]
ケーブル(6.1)を用いて供給される第1の振動発生手段(6)を収容するためのハウジング(3.1)を有する第1のフェルール(3)を備え、その一方、ケーブル(7.1)を用いて供給される第2の振動発生手段(7)を収容するためのハウジング(4.1)を有する第2のフェルール(4)をも備え、上記振動発生手段の上記供給および位相制御および規模は、上記制御部(8)に由来することを特徴とする、項目1に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目3]
上記フェルールが中空の円筒形または指サック構造を有することを特徴とする、項目1または2に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目4]
上記フェルールは、接着剤を用いて、または圧力を加えることによって、または空気袋を使用することによって、または上記の組み合わせによって、それらが適用される上記身体部位に固定されることを特徴とする、項目1または2または3に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目5]
指のフェルールを固定するための手段として空気袋を使用する場合に、各フェルール(3)および(4)は、それ自身の空気袋(3.3)および(4.3)をそれぞれ有し、ダクト(3.2)および(4.2)のそれぞれを介して空気が空気袋に供給されることを特徴とする、項目4に記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目6]
プログラム可能な弾性手段(5)は、Ni-Ti合金から作製されるサーモストレッチワイヤであることを特徴とする、前述の項目のいずれかに記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目7]
上記フェルールを分離する上記距離を制御された方式で修正可能な上記手段は、上記フェルール(3)と(4)との間に挿入され、空気供給ダクト(5.1)に接続されたダクトを有し、その結果、供給された気圧に応じて、より多いまたはより少ない分離が上記フェルール間に生じるようになることを特徴とする、前述の項目のいずれかに記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目8]
上記制御部は、上記振動発生手段において生成される振動の強度、位相および速度を制御および調整することを担当することを特徴とする、前述の項目のいずれかに記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目9]
上記振動発生手段が、偏心器と関連付けられたモータ、またはその内部に収容された振動質量を有する電磁アクチュエータ、または両方の組み合わせであることを特徴とする、前述の項目のいずれかに記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目10]
その内部に鎮痛剤および/または消炎剤が含浸された指サックと組み合わせて使用されることを特徴とする、前述の項目のいずれかに記載の特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる装置。
[項目11]
複数の指のうち少なくとも1つが、関節症および関節炎を治療するための上記装置を有することを特徴とする、項目1から10のいずれかに記載の装置を有する特定の身体部位をマッサージしストレッチさせる手袋。