(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】エスカレータ用保護シート
(51)【国際特許分類】
B66B 23/12 20060101AFI20230404BHJP
【FI】
B66B23/12 Z
(21)【出願番号】P 2019081400
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591153145
【氏名又は名称】ユニオン建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503171913
【氏名又は名称】サコス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000104412
【氏名又は名称】カンボウプラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松澤 将太
(72)【発明者】
【氏名】原 甲太
(72)【発明者】
【氏名】横田 孝
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-019333(JP,A)
【文献】特開平02-147596(JP,A)
【文献】特開2005-126223(JP,A)
【文献】特開平10-250966(JP,A)
【文献】特開平09-040341(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0004705(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 - 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エスカレータを覆って保護するエスカレータ用保護シートであって、
エスカレータの踏面を覆い、板材が配設されている踏面覆い部と、エスカレータの踏面の間の高さに対応する蹴上げ面を覆う蹴上げ面覆い部と、エスカレータの左右の欄干側面部内側を覆う側面覆い部と、を有し、
踏面覆い部と蹴上げ面覆い部の長辺側が接合され、踏面覆い部と蹴上げ面覆い部の短辺側両辺に側面覆い部が接合され、これらの踏面覆い部と蹴上げ面覆い部と側面覆い部とが、踏面と蹴上げ面と欄干側面部内側の形状に応じて一体型に成形されて
おり、
踏面覆い部に、開口部を通して板材を収納する板材収納部と、開口部を開閉する着脱体と、が設けられている
ことを特徴とするエスカレータ用保護シート。
【請求項2】
エスカレータを覆って保護するエスカレータ用保護シートであって、
エスカレータの踏面を覆い、板材が配設されている複数の踏面覆い部と、エスカレータの踏面の間の高さに対応する蹴上げ面を覆う複数の蹴上げ面覆い部と、エスカレータの左右の欄干側面部内側を覆う左右の側面覆い部と、を有し、
これらの複数の踏面覆い部と複数の蹴上げ面覆い部と左右の側面覆い部とにより、複数段のエスカレータの複数段の踏面とこれらの踏面間の複数段の蹴上げ面と左右の欄干側面部内側とを覆うように接合され、
蹴上げ面覆い部における、設置時に直上段となる踏面覆い部と接続される辺が、この踏面覆い部の下面における奥行方向の途中部分に接続されていることを特徴とするエスカレータ用保護シート。
【請求項3】
蹴上げ面覆い部における設置時に蹴上げ面の縦方向に沿う長さと設置時に直上段の踏面覆い部に重なる前記途中部分までの長さとを合わせた蹴上げ面覆い部の長さが、踏面覆い部における前記途中部分から、この踏面覆い部の奥端辺までの長さと略同一であることを特徴とする請求項2に記載のエスカレータ用保護シート。
【請求項4】
踏面覆い部に、開口部を通して板材を収納する板材収納部と、開口部を開閉する着脱体と、が設けられていることを特徴とする請求項
2または3に記載のエスカレータ用保護シート。
【請求項5】
側面覆い部の外側に、エスカレータの欄干側面部内側に付着する付着部が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のエスカレータ用保護シート。
【請求項6】
側面覆い部に、当該エスカレータ用保護シートの折り畳み時に折り畳み位置を案内する折り畳み用案内部が設けられていることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のエスカレータ用保護シート。
【請求項7】
蹴上げ面覆い部と側面覆い部とが折り畳み自在に構成され、エスカレータの踏面の間の高さが小さくなっている箇所でも設置可能に構成されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のエスカレータ用保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータを保護するエスカレータ用保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータを据え付けた後に、エスカレータ周辺の工事を行う際や、エスカレータが設けられている空間の天井に取り付けられている照明装置や天井パネルなどを修理したり交換したりするいわゆるメンテナンス工事を行う際などには、工事対象となる天井などから、ねじや工事で発生したかけらなどの各種の異物がエスカレータ上に落下することがある。したがって、このような工事を行う際には、落下するねじなどの異物がエスカレータの踏面や内部などに入り込むなどして傷つくことがないように、エスカレータの踏面などに保護シート(養生シートとも呼ばれる)を前もって被せて保護するなどの設置作業を行っている。また、前記メンテナンス工事などが終わると、被せた保護シートなどを撤去している。
【0003】
詳しくは、例えば、ねじなどの異物が、エスカレータの踏面上に落ちたり、エスカレータの踏面と例えば欄干の側面部内側の下部に設けられているスカートガードとの間の隙間などに落ちたりすると、エスカレータの構成部品が傷ついたり、エスカレータが正常に動かなくなるトラブルを発生したりする恐れがある。このため、エスカレータに直接異物が落ちると、より良好な安全性を確保するために、異物が落ちた箇所近傍の機械のユニット部分を交換する場合もあり、この場合には多くの手間がかかるとともに、交換部品等の多大な費用も発生する。したがって、このような不具合を生じないように、保護シートなどを予め被せるなどの設置作業を行っている。
【0004】
この保護シートなどの設置作業などについて具体的に説明する。エスカレータの階段部は、エスカレータの利用者が踏む踏面と、踏面の間の高さ部分に対応する蹴上げ面と、これらの踏面や蹴上げ面を駆動するための構成部品などから構成されている。また、エスカレータには欄干が左右に立設されており、各欄干の上端には利用者が手を載せる手摺が設けられているとともに、欄干の側面部内側の下部にはスカートガードなどが設けられている。そして、保護シートなどの設置工事を行う際には、少なくともエスカレータの踏面や蹴上げ面などを覆うように、面状に広げることができる保護シート(合成樹脂製シートで、ブルーシートとも称せられる)を被せている。
【0005】
また、エスカレータが設けられている空間の天井などの工事を行う際には、エスカレータの踏面に単管パイプなどを立てて工事用の足場を組む必要がある。したがって、この際には、単管パイプなどを設置する箇所が不安定とならないように、保護シートを階段部などに被せた後に、踏面に置いた保護シートの上に、踏面の大きさに合ったベニヤ板などの板材を置いて、この板材上に単管パイプなどを立設させている。また、板材が滑らないように、保護シートと板材との間にゴムマットなどを敷く場合もある。ベニヤ板などの板材は、足場を組んだり取り外したりする際に、足場や工事で用いる単管パイプなどを落としたり、工具などを落としたりした際の衝撃で踏面を破損しないようにするため、エスカレータの踏面を広い範囲(殆どの場合には全段に)に渡って敷いている。
【0006】
ところで、エスカレータの踏面などを保護するものとして、例えば、特許文献1や特許文献2に、エスカレータの養生装置やエスカレータ踏段の養生装置が開示されている。なお、一般に、エスカレータの踏面の短辺の長さ(奥行方向寸法)は、エスカレータの蹴上げ面の短辺の長さ(高さ)よりも長い。したがって、特許文献1や特許文献2に開示された前記養生装置でも、これに合わせて、踏面覆い部の短辺の長さは、蹴上げ面覆い部の短辺の長さよりも長く構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-19333号公報
【文献】特開平2-147596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のようにブルーシートとも称せられる面状の保護シートを踏面や蹴上げ面の形状に合わせて覆ったり、踏面の寸法に合わせた板材を敷いたりする各作業を行うには、多くの手間や時間がかかってしまい、特にエスカレータの踏面を広い範囲(殆どの場合には全段に)に渡って敷く場合には、大変多くの手間や時間がかかってしまう。また、これらの保護シートや板材などを撤去する際には、保護シートや板材の上に落ちた異物などが、エスカレータの踏面と欄干の側面部内側との間の隙間などに落ちたりすることがないように注意する必要があるため、この際にも多くの手間や時間がかかってしまう。また、板材が滑らないように保護シートと板材との間にゴムマットなどを敷いた場合でも、作業者が上り下りする際に、板材がずれることを完全に防ぐことができず、安全性が低下するおそれがあった。
【0009】
特許文献1に、踏面と蹴上げ面を覆う踏段用シートと欄干を覆う欄干用シートが提案されている。しかし、これらの踏段用シートや欄干用シートでは、踏段用シートの両端を踏段と欄干のスカートガードとの間に挿入しているので、欄干用シートで挿入部を覆っていてもシートを撤去する際に踏面または蹴上げ部とスカートガードとの間に異物などが転がり込む場合がある。また、欄干用シート下端部は踏段の形状に応じて成形されていない(欄干用シート下端部は踏段の形状に応じて成形されているとは記載されていない)ので、蹴上げ面および踏面奥端部近傍は欄干用シート下端部が接触していない状態になる恐れがあり、その隙間から異物などが転がり込む場合がある。
【0010】
特許文献2に、踏面を覆う板部材と、ライザー面を覆うシート部材とを備えたエスカレータ踏段の養生装置が提案されている。しかし、このエスカレータ踏段の養生装置では、側面覆い部がなく、踏面または蹴上げ面とスカートガードとの間に異物などが入り込む恐れがある。また、踏面覆い部同士が例えば同一方向に重なるようにエスカレータ用保護シートを折り畳んだ際に、踏面覆い部同士が前後方向や左右方向にずれない状態で折り畳むことができない。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、エスカレータに多くの手間や時間をかけることなく設置したり、撤去したりすることができ、しかも、異物が、踏面や蹴上げ面だけでなく、これらの踏面や蹴上げ面と欄干の側面部内側との間の隙間に入り込むことを良好に防止できるエスカレータ用保護シートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、エスカレータを覆って保護するエスカレータ用保護シートであって、エスカレータの踏面を覆い、板材が配設されている踏面覆い部と、エスカレータの踏面の間の高さに対応する蹴上げ面を覆う蹴上げ面覆い部と、エスカレータの左右の欄干側面部内側を覆う側面覆い部と、を有し、踏面覆い部と蹴上げ面覆い部の長辺側が接合され、踏面覆い部と蹴上げ面覆い部の短辺側両辺に側面覆い部が接合され、これらの踏面覆い部と蹴上げ面覆い部と側面覆い部とが、踏面と蹴上げ面と欄干側面部内側の形状に応じて一体型に成形されており、踏面覆い部に、開口部を通して板材を収納する板材収納部と、開口部を開閉する着脱体と、が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、エスカレータを覆って保護するエスカレータ用保護シートであって、エスカレータの踏面を覆い、板材が配設されている複数の踏面覆い部と、エスカレータの踏面の間の高さに対応する蹴上げ面を覆う複数の蹴上げ面覆い部と、エスカレータの左右の欄干側面部内側を覆う左右の側面覆い部と、を有し、これらの複数の踏面覆い部と複数の蹴上げ面覆い部と左右の側面覆い部とにより、複数段のエスカレータの複数段の踏面とこれらの踏面間の複数段の蹴上げ面と左右の欄干側面部内側とを覆うように接合され、蹴上げ面覆い部における、設置時に直上段となる踏面覆い部と接続される辺が、この踏面覆い部の下面における奥行方向の途中部分に接続されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のエスカレータ用保護シートは、蹴上げ面覆い部における設置時に蹴上げ面の縦方向に沿う長さと設置時に直上段の踏面覆い部に重なる前記途中部分までの長さとを合わせた蹴上げ面覆い部の長さが、踏面覆い部における前記途中部分から、この踏面覆い部の奥端辺までの長さと略同一であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のエスカレータ用保護シートは、踏面覆い部に、開口部を通して板材を収納する板材収納部と、開口部を開閉する着脱体と、が設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のエスカレータ用保護シートは、側面覆い部の外側に、エスカレータの欄干側面部内側に付着する付着部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のエスカレータ用保護シートは、側面覆い部に、当該エスカレータ用保護シートの折り畳み時に折り畳み位置を案内する折り畳み用案内部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のエスカレータ用保護シートは、蹴上げ面覆い部と側面覆い部とが折り畳み自在に構成され、エスカレータの踏面の間の高さが小さくなっている箇所でも設置可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、踏面覆い部と蹴上げ面覆い部とに加えて、エスカレータの左右の欄干側面部内側を覆う側面覆い部を有し、これらの踏面覆い部と蹴上げ面覆い部と側面覆い部とが踏面と蹴上げ面と欄干側面部内側の形状に応じて一体型に成形されていることにより、エスカレータ用保護シートをエスカレータ上で広げるだけで、素早くかつ簡単に、すなわち、少ない時間で手間を省きながら、エスカレータに設置することができ、撤去作業も素早くかつ簡単に行うことができる。例えば、このエスカレータが、列車が出入りする駅などに設置されている場合には、工事(例えばメンテナンス作業など)を実施可能な時間が、終電から始発までの限られた時間(例えば、4時間程度)内に行わなければならないが、これによれば、エスカレータ用保護シートを広げたり撤去したりする作業を大幅に短縮することができるため、メンテナンス作業などの時間を長く確保することができる利点がある。また、エスカレータ内側の左右の欄干側面部内側を覆う側面覆い部を有し、踏面覆い部と蹴上げ面覆い部の短辺側両辺に側面覆い部を接合させることにより、ねじなどの異物が、踏面や蹴上げ面だけでなく、これらの踏面や蹴上げ面と欄干側面部内側との間の隙間に、落ちたり入り込んだりすることを良好に防止することができ、良好な信頼性を得ることができる。また、これらの踏面覆い部と蹴上げ面覆い部と側面覆い部とが、踏面と蹴上げ面と欄干側面部内側の形状に応じて一体型に成形されてエスカレータを覆っているので、保護した踏面上を作業者が歩くことができ、そのスペースも多く取れる。また、踏面覆い部に板材が配設されて一体化されているので、作業者が上り下りしても、板材がずれることを防止でき、安全性を向上させることができる。さらに、踏面覆い部に、開口部を通して板材を収納する板材収納部と、開口部を開閉する着脱体と、が設けられているので、踏面覆い部の板材収納部に収納する板材を容易に交換することができる。したがって、このエスカレータ用保護シートを設置した後に行う工事やエスカレータ用保護シートの持ち運び作業などに合わせて、剛性の大きな板材や軽量で持ち運びしやすい板材などを収納することができる。また、大きさや厚みなどが異なる板材に変更することも容易に行える。
【0020】
また、蹴上げ面覆い部における、設置時に直上段となる踏面覆い部と接続される辺を、この踏面覆い部の下面における奥行方向の途中部分に接続することで、踏面覆い部同士が例えば上下方向に重なるようにエスカレータ用保護シートを折り畳んだ際に、踏面覆い部同士が前後方向や左右方向にずれる寸法が少ない状態で折り畳むことが可能となる。さらに、蹴上げ面覆い部における設置時に蹴上げ面の縦方向に沿う長さと設置時に直上段の踏面覆い部に重なる前記途中部分までの長さとを合わせた蹴上げ面覆い部の長さが、踏面覆い部における前記途中部分から、この踏面覆い部の奥端辺までの長さと略同一であるよう構成することにより、踏面覆い部同士が例えば上下方向に重なるようにエスカレータ用保護シートを折り畳んだ際に、踏面覆い部同士が前後方向や左右方向にずれない状態で折り畳むことができるので、エスカレータ用保護シートを極めてコンパクトな状態で折り畳むことができて、持ち運びが容易となるとともに保管スペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係るエスカレータ用保護シートの側面断面図であり、エスカレータ用保護シートをエスカレータに設置したエスカレータ設置状態を示す。
【
図2】同エスカレータ用保護シートの正面図であり、エスカレータ設置状態を示す。
【
図3】同エスカレータ用保護シートの斜視図であり、エスカレータ設置状態を示す。
【
図4】同エスカレータ用保護シートの要部拡大側面断面図である。
【
図5】同エスカレータ用保護シートの最下段箇所の要部拡大側面断面図である。
【
図6】同エスカレータ用保護シートの板材を踏面覆い部に収納する様子を簡略的に示す要部拡大側面断面図である。
【
図7】同エスカレータ用保護シートの折り畳み途中の様子を簡略的に示す側面断面図である。
【
図8】同エスカレータ用保護シートの折り畳んだ状態を簡略的に示す側面断面図である。
【
図9】比較例のエスカレータ用保護シートを折り畳んだ状態を簡略的に示す側面断面図である。
【
図10】同エスカレータ用保護シートの側面覆い部の折り畳み位置などを簡略的に示す図である。
【
図11】同エスカレータ用保護シートの側面覆い部の折り畳み状態を簡略的に示す斜視図である。
【
図12】同エスカレータ用保護シートの側面覆い部の折り畳み状態を簡略的に示す斜視図である。
【
図13】同エスカレータ用保護シートの側面覆い部の折り畳み状態を簡略的に示す斜視図である。
【
図14】同エスカレータ用保護シートの側面覆い部の折り畳み状態を簡略的に示す斜視図である。
【
図15】同エスカレータ用保護シートの、最上段の延長用踏面覆い部に設けた補助着脱体などを示す図である。
【
図16】同エスカレータ用保護シートの、最下段の踏面覆い部の下面に設けた補助着脱体などを示す図である。
【
図17】同エスカレータ用保護シートの、蹴上げ面覆い部と踏面覆い部との接合箇所である下段接続部が直下段の踏面覆い部の後端上部である場合を示す側面断面図である。
【
図18】同エスカレータ用保護シートの下段接続部が直下段の踏面覆い部の後端下部である場合を示す側面断面図である。
【
図19】同エスカレータ用保護シートの下段接続部が直下段の踏面覆い部の下面の途中箇所である場合を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係るエスカレータ用保護シートを、図面に基づき説明する。
図1~
図8および
図10~
図19は本発明の実施の形態に係るエスカレータ用保護シートを示し、
図1~
図5などはエスカレータ用保護シートをエスカレータに設置した状態を示し、
図7、
図8はエスカレータ用保護シートを折り畳む状態を示す。なお、これらの図面においては、理解し易いように、複数段の階段部およびこれに対応する欄干側面部内側を覆う1組のエスカレータ用保護シートだけをエスカレータに設置した状態を示しているが、実際には、エスカレータの保護範囲に応じて、このエスカレータ用保護シートを前後に複数組繋げて(前端部や後端部が重なるように)設置する。
【0023】
図1~
図3において、1はエスカレータ、10はエスカレータ1を覆って保護する本発明の実施の形態に係るエスカレータ用保護シートである。まず、
図1~
図3を参照しながら、エスカレータ1について説明する。
図1~
図3に示すように、エスカレータ1は、階段部2と左右の欄干側面部内側5とを有する。階段部2は、エスカレータ1の利用者が踏む複数の踏面3と、踏面3の間の高さ部分に対応する複数の蹴上げ面4と、これらの踏面3や蹴上げ面4を駆動するための構成部品(図示せず)などから構成されている。踏面3や蹴上げ面4は、左右方向に長く、左右方向の寸法(すなわち幅)と比較して、奥行方向(踏面3の場合)または高さ方向(蹴上げ面4の場合)に短い矩形形状とされている。
【0024】
エスカレータ1の階段部2の左右には欄干6が立設されている。各欄干6の上端部には利用者が手を載せる手摺7が設けられているとともに、欄干側面部内側5には内側板5A、下部にはインナーデッキ5Bおよびスカートガード5Cが設けられている。なお、インナーデッキ5Bおよびスカートガード5Cはエスカレータ1の側面部内側5の一部を構成している。但し、エスカレータ1によっては、インナーデッキ5Bが設けられていない場合もある。
【0025】
図1~
図5に示すように、エスカレータ用保護シート10は、エスカレータ1の踏面3を覆い、板材11が配設されている踏面覆い部12と、エスカレータ1の蹴上げ面4を覆う蹴上げ面覆い部13と、エスカレータ1の左右の欄干側面部内側5を覆う側面覆い部14と、を有する。なお、この実施の形態の図面などでは、側面覆い部14は、エスカレータ1の左右の欄干側面部内側5の下部に設けられているインナーデッキ5Bおよびスカートガード5Cを覆っている場合を示しているが、インナーデッキ5Bが無い場合には、エスカレータ1のスカートガード5Cおよび内側板5Aの下部を覆うよう構成される。
【0026】
踏面覆い部12および板材11は、踏面3に合わせた大きさおよび形状とされ、左右方向に長く(すなわち幅が広く)奥行き方向に短い矩形形状とされている。また、蹴上げ面覆い部13は、蹴上げ面4の左右方向の寸法(すなわち幅)に合わせた寸法とされている。すなわち、踏面覆い部12の前端部(先端部とも称す)や後端部(奥端部とも称す)の辺が踏面覆い部12の長辺であり、踏面覆い部12の左端部や右端部の辺が踏面覆い部12の短辺である。
【0027】
一方、
図1や
図4、
図5などに示すように、蹴上げ面覆い部13は、蹴上げ面4の上端部から直上段の踏面覆い部12の下面に沿って前方に少し入り込んでいる。つまり、蹴上げ面覆い部13は、前記入り込んでいる寸法分だけ、蹴上げ面4の高さよりも大きな寸法とされている。
【0028】
エスカレータ用保護シート10は、踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13の長辺側が接合されている。また、踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13の短辺側両辺に側面覆い部14が上方にほぼ直角に延びる状態で接合されている。そして、これらの踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13と側面覆い部14とが、踏面3と蹴上げ面4と欄干側面部内側5との形状に応じて一体型に成形(形成)されている。したがって、エスカレータ用保護シート10の踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13と側面覆い部14とにより、エスカレータ1における階段部2と左右の欄干側面部内側5との間の隙間も覆っている。
【0029】
なお、
図1~
図5に示すように、この実施の形態では、踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13とが交互に複数段(
図1などでは5段の場合を示す)接合され、これらの複数段の踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13とに、それぞれ左右一枚ずつの側面覆い部14が接合されている。そして、これらの複数の踏面覆い部12と複数の蹴上げ面覆い部13と左右の側面覆い部14とにより、複数段のエスカレータ1の複数段の踏面3とこれらの踏面3間の複数段の蹴上げ面4と左右の欄干側面部内側5とを覆うように接合されている。ただし、これに限るものではなく、エスカレータ1の階段部2における1段のみまたは、2~4段や6段以上に対応するようにエスカレータ用保護シート10を構成してもよい。
【0030】
側面覆い部14はスカートガード5Cおよびインナーデッキ5B付近までを覆う。インナーデッキ5Bからさらに上方の箇所は別の欄干用シート(図示せず)で側面覆い部14を覆うようにすると好適であり、そうすることで、欄干6の手摺7からスカートガード5Cまで広い範囲にわたって良好に覆うことができる。これにより、エスカレータ1よりも上方からの異物が、踏面3や蹴上げ面4と欄干側面部内側5との間の隙間に、落ちたり入り込んだりすることを良好に防止することができ、撤去作業の際も欄干用シートから取り外せば、踏面3や蹴上げ面4と欄干側面部内側5との間の隙間に、落ち込んだり入り込んだりすることを防止できる。
【0031】
図6および
図4、
図5などに示すように、踏面覆い部12は、板材11を収納する板材収納部(板材収納領域)12bを備えた袋状の袋状体12fと、この袋状体12fの一部に設けられた開口部12aと、開口部12aを開閉する面状ファスナーなどからなる着脱体12c、12dと、開口部12aを覆う蓋材12eとから構成されている。すなわち、踏面覆い部12の開口部12aを開けることで、内部に収納されている板材11を交換することも可能に構成されている。なお、この実施の形態では、踏面覆い部12の前辺(いわゆる段鼻)に開口部12aが設けられている場合を図示したが、これに限るものではなく、踏面覆い部12の左辺、右辺、後辺に開口部12aを設けて、この開口部12aを通して、板材11を収納するよう構成してもよい。また、着脱体12c、12dは線状のファスナーやボタンや紐などでもよい。
【0032】
この構成によれば、踏面覆い部12に、開口部12aを通して板材11を収納する板材収納部12bと、開口部12aを開閉する着脱体12c、12dと、が設けられているので、踏面覆い部12の板材収納部12bに収納する板材11を容易に交換することができる。したがって、このエスカレータ用保護シート10を設置した後に行う工事やエスカレータ用保護シート10の持ち運び作業などに合わせて、剛性の大きな板材11や軽量で持ち運びしやすい板材11などを収納することができる。また、大きさや厚みなどが異なる板材11に変更することも容易に行える。
【0033】
エスカレータ用保護シート10は、エスカレータ1の長さに合わせて、複数(複数組)のエスカレータ用保護シート10同士を前後方向に合わせて設置することができるよう構成されている。この実施の形態のエスカレータ用保護シート10においては、
図1に示すように、最上段の蹴上げ面覆い部13には、これより、前方(上方)に配置されたエスカレータ用保護シート10の最下段の踏面覆い部12の下に敷くことができるように、延長用踏面覆い部15が設けられており、これにより、上下段側のエスカレータ用保護シート10の接続箇所でも隙間なくエスカレータ1を覆うことができるようになっている。
【0034】
また、
図1などに示すように、エスカレータ用保護シート10の側面覆い部14の外側端部には、エスカレータ1の欄干側面部内側5に付着する付着部16が設けられている。この実施の形態では、付着部16は例えば滑り止め材で構成され、側面覆い部14の外側端部に張り付けられている。また、この実施の形態では、付着部16が、エスカレータ1の欄干側面部内側5の一部をなすインナーデッキ5Bに貼り付けられ、付着部16を介して、エスカレータ用保護シート10の側面覆い部14をエスカレータ1の欄干側面部内側5に張り付けることができるよう構成されている。しかし、これに限るものではなく、付着部16は、インナーデッキ5Bが無いエスカレータ1の欄干側面部内側5にも付着されるよう構成されている。なお、付着部16は、滑り止め材以外のもの、例えば粘着面を有する材料でもよく、エスカレータ1の欄干側面部内側5に張り付けることが可能な材料であればよい。また、最上段の延長用踏面覆い部15の下面に滑り止め材や粘着面を有する材料など張り付けるなどしてもよい。
【0035】
この構成によれば、側面覆い部14の外側に、エスカレータ1の欄干側面部内側5に付着する付着部16が設けられているので、このエスカレータ用保護シート10を設置する際に、側面覆い部14の付着部16をエスカレータ1の欄干側面部内側5に付着させて容易に取り付けることができる。これにより、作業能率が向上するとともに、異物が、エスカレータ1の欄干側面部内側5と側面覆い部14との間の隙間から内部に侵入することを確実に防止することができて、信頼性が向上する。
【0036】
ここで、
図7、
図8などに示すように、エスカレータ用保護シート10は、折り畳み自在に構成されている。また、
図7、
図8および
図4などに示すとともに上記したように、蹴上げ面覆い部13は、蹴上げ面4の上端部から直上段の踏面覆い部12の下面に沿って奥端部に少し入り込むように、踏面覆い部12と接続されている。つまり、蹴上げ面覆い部13における、設置時に直上段の踏面覆い部12と接続される辺が、この直上段の踏面覆い部12の下面における奥行方向の途中部分に接続されている。
【0037】
なお、この蹴上げ面覆い部13における直上段の踏面覆い部12と接続される箇所を上段接続部13dと称し、蹴上げ面覆い部13における直下段の踏面覆い部12と接続される箇所を下段接続部13cと称する。また、設置時において蹴上げ面覆い部13における直上段の踏面覆い部12と重なる箇所を、上段重なり部13bと称する。また、
図4、
図5などでは、蹴上げ面覆い部13の上段重なり部13bが分かり易いように、踏面覆い部12とわずかな隙間をあけた状態で示しているが、実際には、蹴上げ面覆い部13の上段重なり部13bと踏面覆い部12とは接触した状態で配設される。なお、この実施の形態では、蹴上げ面覆い部13と、この蹴上げ面覆い部13における直下段の踏面覆い部12とは、踏面覆い部12の奥端上部箇所(下段接続部13c)で接続されている。
【0038】
また特に、
図1、
図4に示すように、蹴上げ面覆い部13における設置時に蹴上げ面4の縦方向に沿う部分(立設面部13aと称す)の長さL1と、設置時に直上段の踏面覆い部12に重なる前記途中部分(上段接続部13d)までの長さL2(すなわち、上段重なり部13bの長さL2)と、を合わせた蹴上げ面覆い部13の長さ(この例では、蹴上げ面覆い部13の長さ)L1+L2が、踏面覆い部12における前記途中部分(上段接続部13d)から、この踏面覆い部12の奥端辺12gまでの部分(非蹴上げ面覆い部17と称す)の長さL3と略同一とされている。なお、
図4、
図5などにおける13fは、蹴上げ面覆い部13における立設面部13aと上段重なり部13bとの境界点を示し、エスカレータ1の階段部2における蹴上げ面4の上端部と踏面3の段鼻との接続箇所に対応する箇所を覆っている。
【0039】
そして、この構成により、エスカレータ用保護シート10を、その踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13とが交互に上下に重なるように折り畳むと、
図7、
図8に示すように、踏面覆い部12同士が前後方向(設置時における奥行方向)にずれない、コンパクトな状態で折り畳むことができるようになっている。
【0040】
つまり、一般的に、踏面覆い部12の前後方向の長さは、蹴上げ面4に沿う蹴上げ面覆い部13の略上下方向に沿う長さよりも長いので、例えば、蹴上げ面覆い部13の上端辺が直上段の踏面覆い部12の段鼻に接続されており、蹴上げ面覆い部13’が単に蹴上げ面4の縦方向に沿う部分(立設面部13aと称す)の長さL1である場合には、比較例を示す
図9に簡略的に示すように、1段毎に踏面覆い部12と蹴上げ面覆い部13との長さの差(L2+L3-L1)の寸法分だけ、前後方向にずれた状態で畳まれてしまう。これに対して、本発明の実施の形態のエスカレータ用保護シート10では、このようなことなく、踏面覆い部12同士が前後方向(設置時における奥行方向)にずれない、コンパクトな状態で折り畳むことができるようになっている。
【0041】
すなわち、上記構成によれば、蹴上げ面覆い部13における、設置時に直上段となる踏面覆い部12と接続される辺が、この踏面覆い部13の下面における奥行方向の途中部分である上段接続部13dに接続され、蹴上げ面覆い部13における設置時に蹴上げ面4の縦方向に沿う長さL1と設置時に直上段の踏面覆い部12に重なる前記途中部分までの長さL2とを合わせた蹴上げ面覆い部13の長さ(L1+L2)が、踏面覆い部12における上段接続部13dから、この踏面覆い部12の奥端辺までの長さL3と略同一である。これにより、
図8に示すように、踏面覆い部12同士が例えば上下方向に重なるようにエスカレータ用保護シート10を折り畳んだ際に、踏面覆い部12同士が前後方向や左右方向にずれない状態でエスカレータ用保護シート10を折り畳むことができる。したがって、エスカレータ用保護シート10を極めてコンパクトな状態で折り畳むことができて、持ち運びが容易となるとともに保管スペースを小さくすることができる。
【0042】
また、エスカレータ用保護シート10は、上記のように踏面覆い部12や蹴上げ面覆い部13を折り畳む際に、側面覆い部14も折り畳めるよう構成されている。すなわち、
図10~
図14などに示すように、例えば、谷折り線18と山折り線19とに沿って折り畳むことで、側面覆い部14も上下に折り畳めるよう構成されている。例えば、谷折り線18は、エスカレータ用保護シート10の側面覆い部14における、踏面覆い部12の奥端部と蹴上げ面覆い部13の下端部との接続部分の両端部から延びるように形成され、これらの谷折り線18の中間位置に山折り線19が設けられる。これらの谷折り線18や山折り線19は予め折り目をつけるよう構成されていると好適であり、分かり易いように側面覆い部14自体の色と異なる色で示されていてもよい。これらの谷折り線18や山折り線19は、当該エスカレータ用保護シート10の折り畳み時に折り畳み位置を案内する折り畳み用案内部の一例である。
【0043】
また、折り畳み用案内部の他の例として、
図11、
図13に示すように、側面覆い部14の内面における踏面覆い部12の近傍箇所には、踏面覆い部12を底面とし、山折り線19の下端部を頂点とする略三角形状の折り畳みガイドプレート20が貼り付けられている。この折り畳みガイドプレート20を用いることで、山折り線19で畳んだ部分を良好に重ねることができるように図られている。また、
図13、
図14に示すように、畳んだ部分が重なり合う部分につまむ際に目印となる目印部(マーク、折り畳み用案内部の他の例)21を記載したり(切り欠いたり)してもよい。
【0044】
さらに、このエスカレータ用保護シート10では、
図15、
図16に示すように、踏面覆い部12や蹴上げ面覆い部13および側面覆い部14を折り畳んだ後に、これらが全て内部に折り畳まれた状態を良好に保持できるように、最上段の延長用踏面覆い部15の上面(表面、
図15においては簡略的に示す)と、最下段の踏面覆い部12の下面(裏面)とに互いに着脱できる、面状ファスナーなどの補助着脱体22、23を設けている。
【0045】
なお、エスカレータ用保護シート10の基材(踏面覆い部12の板材11以外の部分や、蹴上げ面覆い部13、側面覆い部14)としては、ポリエステル織物の両面に軟質塩化ビニル樹脂が含浸された折り畳み可能なシート(例えば、厚み0.48mm、質量560g/m2)を用いると好適であるが、これに限るものではない。すなわち、エスカレータ用保護シート10の基材としては、当該エスカレータ用保護シート10を繰り返し使用できるように、耐久性を有するシート材であればなんでもよい。エスカレータ用保護シート10の基材は、いわゆるブルーシートを用いてもよく、基材の厚手の生地としてゴムシートを用いてもよい。また、雨漏りする場所においても、当該エスカレータ用保護シート10を用いることができるように、前記基材として防水性を有する材料を用いてもよい。
【0046】
また、複数の蹴上げ面覆い部13および複数の非蹴上げ面覆い部17を一枚の前記基材で構成し、この基材に踏面覆い部12や側面覆い部14をミシン縫製または高周波ウェルダー溶着で隙間の内容に接合すると好適であるが、これに限るものではない。また、前記基材の表面の色を、ビスや埃などの異物が落下した際に、この異物を目視し易い色にするとさらに好適であるが、これに限るものではない。
【0047】
また、板材11としては、例えばプラスチック製敷板を用いればよいが、これに限るものではなく、鉄柱などの足場を良好に支持することができる剛性などを有することが望ましい。また、板材11は、持ち運びに便利なように、軽量であることが望ましいが、これに限るものでなく、樹脂製、木製、軽量な金属製の板など各種の板材を用いるとよい。
【0048】
また、蹴上げ面覆い部13と側面覆い部14とが折り畳み自在に構成されているので、エスカレータ1の出入り口部分の踏面の間の高さ(蹴上げ面の高さ)が低くなる部分(小さい箇所)においてもこのエスカレータ保護シート10を良好に設置することができる。また、
図2、
図10に示すように、最上段の蹴上げ面覆い部13と側面覆い部12との接合方法は、面ファスナー24、25などの着脱手段を張り付けて、着脱可能としてもよい。すなわち、蹴上げ面覆い部13と側面覆い部12との接合部分には、面ファスナー24、25などの着脱手段を張り付けて、分離可能とする。そして、エスカレータ1の踏面の間の高さが低くなる部分に設置する場合、最上段部の蹴上げ面覆い部13と側面覆い部12の面ファスナー24、25の接合を剥し、最上段の延長用踏面覆い部15と側面覆い部14が踏面3と欄干側面部内側5から浮き上がって段差などができることを防止でき、段差などにより足が引っ掛かるなどの不具合が発生することを防止している。
【0049】
なお、上記の実施の形態においては、
図4および
図17に示すように、蹴上げ面覆い部13と、この蹴上げ面覆い部13における直下段の踏面覆い部12とは、踏面覆い部12の後端上部箇所(下段接続部13c)で接続されている場合を述べたが、これに限るものではなく、
図18に示すように、踏面覆い部12の後端下部箇所(下段接続部13c)で接続したり、
図19に示すように、踏面覆い部12の後端下部近傍(少し前方)の、踏面覆い部12の下面の途中箇所で接続したりしてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では側面覆い部14により、エスカレータ1の欄干側面部内側5の下部に設けられているインナーデッキ5Bやスカートガード5Cを覆う場合を述べたが、これに限るものではなく、側面覆い部14(および踏面覆い部12、蹴上げ面覆い部13)により、踏面3や蹴上げ面4との間の隙間を覆った状態で、エスカレータ1の欄干側面部内側5における少なくとも下部を覆うように構成すればよい。
【0051】
また、上記の実施の形態では、エスカレータ1が左右に2人が並ぶことができるいわゆる2人用のエスカレータ1である場合を図示したが、これに限るものではなく、いわゆる1人用のエスカレータに対しても同様の構成をエスカレータ用保護シート10として適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 エスカレータ
2 階段部
3 踏面
4 蹴上げ面
5 欄干側面部内側
5A 内側板
5B インナーデッキ
5C スカートガード
6 欄干
7 手摺
10 エスカレータ用保護シート
11 板材
12 踏面覆い部
12a 開口部
12b 板材収納部(板材収納領域)
12c、12d 着脱体
12e 蓋材
12f 袋状体
12g 奥端辺
13 蹴上げ面覆い部
13a 立設面部
13b 上段重なり部
13c 下段接続部
13d 上段接続部
13f 境界点
14 側面覆い部
15 延長用踏面覆い部
16 付着部
17 非蹴上げ面覆い部
18 谷折り線(折り畳み用案内部)
19 山折り線(折り畳み用案内部)
20 折り畳みガイドプレート(折り畳み用案内部)
21 目印部(マーク、折り畳み用案内部)
22、23 補助着脱体
24、25 面ファスナー(着脱手段)