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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】危険物貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20230404BHJP
   E04H 5/02 20060101ALI20230404BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20230404BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20230404BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230404BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230404BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20230404BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20230404BHJP
【FI】
E04H1/12 307
E04H5/02 Z
E04B1/94 G
E05B47/00 G
B65G1/00 521A
B65G1/00 531
F25D17/08 301
F25D17/06 301
E05B49/00 F
E05B49/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019104108
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020197078
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】504208795
【氏名又は名称】有限会社アークテック
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100106356
【弁理士】
【氏名又は名称】松枝 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 桂一
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-074756(JP,U)
【文献】特開2006-002381(JP,A)
【文献】特開平05-268825(JP,A)
【文献】実開昭59-012935(JP,U)
【文献】実開昭58-046350(JP,U)
【文献】特開2009-063227(JP,A)
【文献】特開平07-248142(JP,A)
【文献】特開2009-068762(JP,A)
【文献】特開2013-219652(JP,A)
【文献】特開2008-127869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04H 5/02
E04B 1/94
E05B 47/00,49/00
B65G 1/00
F25D 17/06,17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防法で定められる危険物を貯蔵するための危険物貯蔵庫において、
前記危険物を貯蔵するための第一の区画と、
前記第一の区画と間仕切り壁を隔てて隣接した第二の区画とを備え、
前記第二の区画は、前記間仕切り壁に設けられた通気口を介して前記第一の区画と通気可能に配置され、
前記第二の区画は、外部に設置される室外熱交換器との間で冷媒を循環させる室内熱交換器及び該室内熱交換器からの空気を前記通気口を介して前記第一の区画に送るファンを収容することを特徴とする危険物貯蔵庫。
【請求項2】
前記通気口に防火ダンパーが設置されることを特徴とする請求項1に記載の危険物貯蔵庫。
【請求項3】
前記通気口は前記間仕切り壁に二箇所に設けられ、前記通気口の一方は、前記通気口の他方より高い位置に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の危険物貯蔵庫。
【請求項4】
前記室内熱交換器は、前記第二の区画内で、前記通気口の一方より低く、前記通気口の他方よりも高い位置に設置され、前記室内熱交換器の上部に前記ファンが設置されることを特徴とする請求項3に記載の危険物貯蔵庫。
【請求項5】
前記第一の区画内の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサにより測定される温度に基づいて、前記ファンの風量を制御する制御装置とを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の危険物貯蔵庫。
【請求項6】
前記制御装置は、前記危険物貯蔵庫の外部に設置される筐体内に収容され、前記第一の区画内に設置された前記温度センサと有線接続又は無線接続することを特徴とする請求項5に記載の危険物貯蔵庫。
【請求項7】
前記第一の区画を開閉する扉と、
前記扉を施錠する電気錠と、
所定の認証動作を実行し、認証結果に基づいて前記電気錠の施錠又は解錠操作を行う認証端末を備えることを特徴とする請求項6に記載の危険物貯蔵庫。
【請求項8】
前記認証結果及び前記電気錠の施錠及び解錠を記録する監視装置が前記筐体内に収容され、前記監視装置は、前記電気錠と前記認証端末と有線接続又は無線接続することを特徴とする請求項7に記載の危険物貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防法で定められる危険物を貯蔵する危険物貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
消防法上の危険物を所定の指定数量以上貯蔵する場合は、各種法令による基準を満たした危険物貯蔵庫に保管する必要がある。
【0003】
消防法上の危険物は、その種類に応じて、第1類から第6類までに分類されており、例えば、そのうちの第4類に分類される引火性液体(例えば、アルコール、ガソリン、灯油などの可燃性及び揮発性を有する液体)を一定量(例えば、指定数量の1/5倍~10倍)貯蔵するには、火災予防条例などの法令の耐火性や換気性などに関する基準を満たした危険物貯蔵庫に保管する必要がある。
【0004】
また、香料などの食品添加物も化学物質であることから、消防法の危険物の規制を受ける場合がある。さらには、医薬品や化粧品の原料には、アルコール類など消防法の危険物に分類されるものもあり、危険物貯蔵庫でも保管が義務付けられる。
【0005】
危険物貯蔵庫は、コンクリート構造の建築物として、設置場所に建設することも可能であるが、指定数量1/5倍~10倍の比較的小規模の貯蔵の場合には、床面積1坪~3坪程度の鉄骨構造のものが普及している。この鉄骨構造の危険物貯蔵庫は、工場においては、まず、溶接などにより鉄骨部品の骨組みを形成した後、床面、天井面、壁面に鋼板を取り付け、必要な設備(換気扇や照明など)を付帯させて生産される。そして、工場で完成品として生産された後、設置場所に運搬されて所定位置に設置される。工場生産とすることで、運搬可能なサイズに限定されるが、安定した品質を担保し、工期を短縮することができ、コストの削減も図られる。
【0006】
また、床をコンクリート構造とする構成も提案されているが(例えば特許文献1及び特許文献2)、この構造においても、工場で生産された後、トラックで運搬されて、設置位置に設置される。
【0007】
さらに、工場生産ではなく、屋内の設置場所で床ユニット、壁パネル、天井ユニットなどの部品を組み立てることで、危険物貯蔵庫を完成させ、屋内に設置する構成についても提案されている(特許文献3)。また、人力では持ち上げられない程度の重量の貯蔵物の入出庫作業を容易且つ安全に行うことを可能とするジブクレーンを内蔵する危険物貯蔵庫も提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-2381号公報
【文献】特開2012-132216号公報
【文献】特開2010-180664号公報
【文献】特開2014-074303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
危険物貯蔵庫に保管・貯蔵される危険物の中には、適切に温度管理されて保管することが必要なものもある。例えば、食品添加物や医薬品の原料となる消防法上の危険物に該当する化学物質は、品質管理の側面から所定の温度範囲内での保管が要請される。しかしながら、例えば、夏の高い外気温の環境下では、危険物貯蔵庫内はその上限温度を超えてしまうおそれもあり、危険物貯蔵庫内の温度を適切に制御することが必要とされている。
【0010】
また、危険物貯蔵庫内において、医薬品等の原料となる危険物を保管する場合、厚生労働省による「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」、いわゆるGMP(Good Manufacturing Practice)省令を満たすように、危険物を保管・貯蔵する必要がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、庫内の温度制御を可能とし、危険物の品質管理に適する危険物貯蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の危険物貯蔵庫の構成は、消防法で定められる危険物を貯蔵するための危険物貯蔵庫において、前記危険物を貯蔵するための第一の区画と、前記第一の区画と間仕切り壁を隔てて隣接した第二の区画とを備え、第二の区画は、間仕切り壁に設けられた通気口を介して第一の区画と通気可能に配置され、外部に設置される室外熱交換器との間で冷媒を循環させる室内熱交換器及び該室内熱交換器からの空気を前記通気口を介して第一の区画に送るファンを収容することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、通気口に防火ダンパーが設置される。また、通気口は間仕切り壁に二箇所に設けられ、通気口の一方は、通気口の他方より高い位置に設けられる。室内熱交換器は、第二の区画内で、通気口の一方より低く、通気口の他方よりも高い位置に設置され、室内熱交換器の上部にファンが設置される。
【0014】
本発明の危険物貯蔵庫は、さらに、第一の区画内の温度を測定する温度センサと、温度センサにより測定される温度に基づいて、ファンの風量を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。制御装置は、危険物貯蔵庫の外部に設置される筐体内に収容され、第一の区画内に設置された温度センサと有線接続又は無線接続する。
【0015】
本発明の危険物貯蔵庫は、さらに、第一の区画を開閉する扉と、扉を施錠する電気錠と、所定の認証動作を実行し、認証結果に基づいて電気錠の施錠又は解錠操作を行う認証端末を備えることを特徴とする。認証結果及び電気錠の施錠及び解錠を記録する監視装置が筐体内に収容され、監視装置は、電気錠と認証端末と有線接続又は無線接続する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の危険物貯蔵庫によれば、庫内の温度を調節することを可能とし、危険物貯蔵庫内を適温に制御し、危険物貯蔵庫に保管される危険物を適切に品質管理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態における危険物貯蔵庫の全体構成を表す外観図である。
図2】本発明の実施の形態における危険物貯蔵庫の全体構成を表す外観図である。
図3】危険物貯蔵庫本体の上面からの矩計図である。
図4】危険物貯蔵庫本体の正面からの矩計図である。
図5】危険物貯蔵庫本体の右側面からの矩計図である。
図6】危険物貯蔵庫の温度管理制御を含む危険物貯蔵庫の制御・監視処理にかかる機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
図1及び図2は本発明の実施の形態における危険物貯蔵庫の全体構成を表す外観図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は左側面図、図2(a)は右側面図、図2(b)は背面図である。図3は危険物貯蔵庫本体の上面からの矩計図、図4は危険物貯蔵庫本体の正面からの矩計図、図5は危険物貯蔵庫本体の右側面からの矩計図を示す。
【0020】
危険物貯蔵庫本体1には、後述するように、ヒートポンプ装置である空調設備が取り付けられており、ヒートポンプ装置は、いわゆるエアコンの冷房機能、暖房機能を実現する。ヒートポンプ装置を構成する室外器ユニット40は、危険物貯蔵庫本体1の外部に設置される。室外機ユニット40は、室外熱交換器と凝縮器を備えて構成される。ヒートポンプ装置を構成する室内熱交換器22は、危険物貯蔵庫本体1の内部に設置され、室内熱交換器は、外部に設置される室外熱交換器との間で冷媒を循環させ、危険物貯蔵庫内部を設定温度になるよう制御される。室内熱交換器22とファン24によりヒートポンプ装置の室内機ユニットを構成する。さらに、危険物貯蔵庫本体1の外部には、ヒートポンプ装置を制御する制御装置を収容する屋外型筐体80が設置される。
【0021】
危険物貯蔵庫本体は、消防法で定められた危険物を保管・貯蔵するための第一の区画10と、第一の区画10と間仕切り壁30を隔てて隣接した第二の区画20とを有して構成される。間仕切り壁30には、その上部と下部それぞれに通気口32、34が設けられ、第一の区画10と第二の区画20は通気口32、34を介して通気可能に配置される。
【0022】
第二の区画20は、室外機ユニット40の室外熱交換器との間で冷媒を循環させる室内熱交換器22と、その室内熱交換器22からの空気を上側の通気口32を介して第一の区画10に送るファン24とを収容する空間である。室外機ユニット40の室外熱交換器と室内熱交換器22との間は冷媒が循環するパイプで接続され、ヒートポンプ装置は、危険物貯蔵庫内部の温度・節度を調整する空調設備として機能する。室内熱交換器22は、第二の区画20内で、上部の通気口32より低く、下部の通気口34よりも高い位置に設置され、室内熱交換器22の上部にファン24が設置される。ファン24を室内交換器22に対して高さ方向上方に配置し、室内熱交換器22を、下部通気口34を通して下側から吸入し、上側に吐出する構成とすることで、第二の区画の床面積を必要最低限に抑え、第二の区画はコンパクト化される。
【0023】
第一の区画10の空気は、側壁30の下部通気口34から、第二の区画20に引き込まれ、室内交換器22の下側から吸引され、熱交換により温度調節された空気が室内熱交換器22から上向きに吐出され、室内熱交換器22から吐出された空気は、ファン24により、上部の通気口32を介して、第一の区画10内に送り出される。これにより、危険物が保管・貯蔵されている第一の区画10内の温度・湿度を制御することができる。通気口32、34には、防火ダンパーが設置され、間仕切り壁30はいわゆる一時間耐火構造の基準を満たす。
【0024】
第一の区画10は、消防法で定められた危険物を保管・貯蔵するための空間であり、第一の区画10と第二の区画20に必要な床面積となるように、形状、幅及び奥行きの寸法を決め、軽量鉄骨(高耐食メッキ鋼材)の骨組みにより床面、支柱、天井のフレームが構成される。
【0025】
第一の区画10及び第二の区画20の側面の外壁は、好ましくは、耐火性・断熱効果・強度に優れているケイ酸カルシウム板を3枚重ね、その3枚のケイ酸カルシウム板の間に断熱性能の高いロックウールを充填して形成され、さらに、不燃シートを挟む構成であってもよい。また、外壁の外側面と内側面にガルバリウム鋼板(登録商標)が張り付けられ、天井及び屋根も断熱・遮熱塗料で塗装されたガルバリウム鋼板で形成され、発泡性断熱材で裏打ちされる。空調の効率を高めるために外壁面や天井・屋根は高い断熱性を確保するよう施工される。
【0026】
図示される構成では、第二の区画20は、室内熱交換器22とファン24を収容可能な程度の広さであり、第一の区画10よりも幅及び奥行きの寸法ともに小さく設計され、第一の区画10と第二の区画20を隔てる間仕切り壁30は、強化石膏ボードを2枚重ね、その2枚の強化石膏ボードの間に断熱性能の高いロックウールを充填して形成され、さらに、不燃シートを挟む構成である。
【0027】
危険物貯蔵庫の正面には、危険物の入った容器(ドラム缶など)を搬入・搬出程度の間口(例えば幅1600mm×高さ1950mm程度の広さ)を有する開口部が形成され、開口部は扉11によって開閉される。扉11は、例えばドア式のスチール製両開扉であるが、引き戸形態であってもよい。開口部の最低地上高さは、およそ400mm程度であり、作業者が出入りするための踏み段が扉11の前に配置されている。第二の区画20にも扉21が取り付けられ、室内熱交換器22及びファン24などのメンテナンス作業のため、作業員が出入り可能となっている。
【0028】
第一の区画10の内部の照明には、防爆照明灯12が備えられる。また、第4類の引火性液体を貯蔵する場合の要請として、危険物貯蔵庫は、換気設備として、内部に可燃性ガスがたまらないように、側面にカバーで覆われた外気取入口13が設けられると共に、内部から外部に排気ダクト14を導き、その先にベンチレータ(好ましくは回転式ベンチレータ)15が設けられる。
【0029】
図4に示されるように、危険物貯蔵庫の床を形成する床パネル50は、軽量鉄骨をフレーム状に形成した土台55上に設置され、土台55及び床パネル50とにより床構造体を構成する。
【0030】
鉄骨骨組みの土台55は、ボックス状の金属部材を溶接して、少なくとも枠(好ましくは、さらに格子を有する)形状に組み立てられる。土台55上には、複数の所定位置に束56が立てられ、溶接にて固定される。束56も、土台55と同様のボックス状の金属部材を短く切断して形成される。ボックス状の金属部材は、例えば、肉厚3.2mm×縦75mm×横75mmの寸法であり、束の高さは、例えば65mm程度である。土台55の縦横寸法は、貯蔵庫の床寸法に応じて適宜決定される。
【0031】
床パネル50の床フレーム51は、土台55とほぼ同一の縦横寸法を有し、土台55と同様に、ボックス状の金属部材を用いて、溶接により枠と格子を有する形状に組み立てられる。床パネル50は、このフレーム状の床フレーム51、床フレーム51上に敷設されるシート52、シート52上に配置される鉄筋53、及びシート52上に鉄筋53を覆うように打設される土間コンクリート54を含んで構成される。
【0032】
なお、ドラム缶などに第4類の引火性液体を貯蔵する場合は、貯蔵庫の床パネル10の片隅にはドレン受け(溜め升)16が設けられ、床パネル50のコンクリート板54は、そのドレン受け16に向けて緩やかに下る勾配が設けられる。束56の高さを調整することで、勾配が形成される。こうして、貯蔵している液体が床にこぼれた場合に、そのこぼれた液体がドレン受け16に流れ込むようにする。そして、第4類の引火性液体を貯蔵する場合に必要な設備である排気ダクト14の吸い込み口は、ドレン受け16の直上に設けられ、ドレン受け16から生じた可燃性ガスは直ちに排気ダクト14から外に排出される。
【0033】
土台55は、地面に施工されたコンクリート基礎60上に載置、固定される。コンクリート基礎60は、危険物貯蔵庫の床面の形状、サイズに合わせて地面に打設され、地中に延びる鉄筋により地面に固定される。コンクリート基礎60上には、アンカーボルトにより鋼板製の薄いベースプレートが載置、固定され、土台55は、そのベースプレートを介してアジャスターボルトによりコンクリート基礎60に固定される。コンクリート基礎に代わって、コンクリート版を地面に打設し、その上に土台55を載置・固定する施工であってもよい。
【0034】
図6は、危険物貯蔵庫の温度管理制御を含む危険物貯蔵庫の制御・監視処理にかかる機能ブロック図である。危険物貯蔵庫の第一の区画10内の所定位置に、第一の区画10内の温度を測定する温度センサ70が設置される。設置位置は、好ましくは、第一の区画10の上方であり、例えば、天井裏面や側壁上部である。温度センサ70は防爆仕様のものが用いられる。
【0035】
温度センサ70に加えて、危険物貯蔵庫内の湿度を測定する湿度センサ72が第一の区画10内に設置される。湿度センサ72も防爆仕様のものが用いられ、温度センサ70の近傍に設置される。危険物貯蔵庫周囲の外気温を測定するための外気温センサ71も設置される。
【0036】
また、危険物貯蔵庫の扉11には、防爆仕様の電気錠73が取り付けられ、扉11近傍の外壁面には、電気錠73の施解錠を操作するための認証端末74が取り付けられる。認証端末74は、例えばIDカードによるID読み取りによる認証やテンキーによる暗証番号入力による認証などさまざまな認証手段を適宜採用可能である。図1では、IDカードを用いた認証動作を実行する認証端末74としてのカードリーダ装置が示される。認証端末74は、電気錠73と電気的に接続され、認証端末74による認証結果により、電気錠73の施解錠が操作される。
【0037】
温度センサ70は、定期的(例えば1分毎)に測定した温度データ信号を制御装置75及び記録装置77に送信する。制御装置75はコンピュータ装置であり、危険物倉庫の外部に設置される屋外型筐体80内に収容されている。屋外型筐体80の外観構成は、図1に示される。制御装置75は、温度センサ70及びファン24など危険物貯蔵庫に設置されたさまざまな設備と有線接続または無線接続する。本実施の形態例では、有線接続する例を示し、温度センサ70及びファン24など危険物貯蔵庫内に設置された電気的な各種装置からの配線は、危険物貯蔵庫の外壁を貫通させ、危険物貯蔵庫の外壁に直付けされた配線中継器90を介して外部に出され、危険物貯蔵庫の外部に設置された屋外型筐体80内に収容される制御装置75や記録装置77と有線接続される。配線中継器90は、配線を中継する端子装置を含む。
【0038】
制御装置75は、第一の区画10内の温度が所定の設定温度になるように、ファン24の風量を制御する。例えば、第一の区画10内の温度が設定温度より高い場合は、ファンの風量24をより大きくし、設定温度より低い場合は、ファン24の運転を停止する又は風量をより小さくするよう制御する。危険物貯蔵庫内を一定温度に保ち、危険物の品質を劣化を防止することができる。
【0039】
記録装置77は、温度センサ70、外気温センサ71、湿度センサ72、電気錠73及び認証端末74からのデータ信号を時刻とともに記録するデータロガーである。温度センサ70、外気温センサ71及び湿度センサ72からの所定単位時間ごとの温度及び湿度のデータ、電気錠73からの施錠及び解錠動作のデータ、認証端末74からの認証結果のデータを記録する。制御装置75により制御されるファン24の風量データも記録する。こうして、危険物貯蔵庫内の環境を常時監視することができ、保管される危険物の品質管理を行うことができる。また、電気錠73の施解錠認証の記録により危険物貯蔵庫に出入りする作業者を監視することができ、これらにより、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP(Good Manufacturing Practice)省令)に沿った管理が実現可能となる。
【0040】
記録装置77は、上述した温度・湿度や電気錠の施解錠、認証端末による認証結果に加えて、危険物貯蔵庫に設置されるさまざまな電気的設備の稼働状態を監視し、異常発生時には、警報などを発する。記録装置77は、例えばモニタと接続し、各種設備の稼働状態がモニタに表示され、作業員による確認作業を可能とし、また、データの出力機能も有する。
【0041】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1:危険物貯蔵庫本体、10:第一の区画、11:扉、12:防爆照明灯、13:外気取入口、14:排気ダクト、15:ベンチレータ、16:ドレン受け、20:第二の区画、21:扉、22:室内熱交換器、24:ファン、30:間仕切り壁、40:室外熱交換器、50:床パネル、51:床フレーム、52:シート、53:鉄筋、54:土間コンクリート、55:土台、56:束、60:コンクリート基礎、70:温度センサ、71:外気温センサ、72:湿度センサ、73:電気錠、74:認証端末、75:制御装置、77:記録装置、80:屋外型筐体、90:配線中継器
図1
図2
図3
図4
図5
図6