(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】天井埋込型空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/22 20060101AFI20230404BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
F24F1/0007 361D
F24F13/20
F24F13/22
(21)【出願番号】P 2018069620
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】弁理士法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】竹本 星羅
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-213767(JP,A)
【文献】特開2017-101847(JP,A)
【文献】特開2009-204293(JP,A)
【文献】特開2006-097937(JP,A)
【文献】実開平02-114816(JP,U)
【文献】特開2013-200097(JP,A)
【文献】特開2012-100394(JP,A)
【文献】特開平06-034153(JP,A)
【文献】特開平08-320132(JP,A)
【文献】特開平04-217722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/22
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、吸込口と吹出ガイド筒を有し前記本体ユニットの底面に取り付けられる化粧パネルを有する天井埋込型空気調和機において、
前記本体ユニットは、天面板、前面板、背面板、左側面板、及び右側面板を有する箱型の筐体と、前記前面板側に配置される第1熱交換器と、前記背面板側に配置される第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器の間に配置され前記第1熱交換器及び第2熱交換器を経由して前記吸込口から空気を吸い込み吹出筒から吹き出す複数のシロッコファンを用いたファンユニットと、前記第1熱交換器及び第2熱交換器で生じる露を集めるとともに前記複数のシロッコファンの前記吹出筒から吹き出される空気を前記化粧パネルの吹出ガイド筒の方向に導く複数の吹出開口を有するドレンパンとを備え、
前記吹出筒の周囲が前記ドレンパンの前記吹出開口の周壁の内側に入り込むように配置され、
前記ドレンパンは、前端部と後端部を長辺とする四角形状に形成され、且つ複数の前記吹出開口の周囲を囲むように補強金具が取り付けられていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記補強金具は、ドレンパンの下面の側に配置されていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項3】
請求項
2に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記補強金具は、前記ドレンパンの前記前端部に位置する長片と、前記奥端部に位置する長片を有することを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井埋込型空気調和機(室内機)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調室内の天井裏に設置される天井埋込型空気調和機は、天井裏に設置される箱型の本体ユニットとその本体ユニットの下面を覆い室内の天井面に露出する化粧パネルとを有しており、冷媒配管によって屋外に設置される室外機と接続されることで冷媒回路を形成している。
【0003】
化粧パネルには吸込口と吹出口が形成されている。本体ユニットの内部には、熱交換器と、シロッコファンを用いたファンユニットと、熱交換器で生じる露を集めるとともにシロッコファンから吹き出される空気を化粧パネルの方向に導く吹出開口を有するドレンパンなどが設けられる。ファンユニットは熱交換器を経由して化粧パネルの吸込口から空気を吸い込む。その空気は熱交換器で冷媒と熱交換された後にドレンパンの吹出開口を経由して化粧パネルの吹出口から空調室内に吹き出される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シロッコファンを用いたファンユニットでは、2個以上のシロッコファンが用いられる場合が多く、ドレンパンにはそのシロッコファンの数に応じた数の吹出開口を一列に並べて設ける必要がある。しかも化粧パネルの吸込口に対応する側のドレンパンの部分は吸い込まれた空気の通過を邪魔しないようにする必要がある。したがって、シロッコファンの数が増大するほど、ドレンパンが吹出開口の並びに沿って長尺化するのて、その剛性を確保するために、ドレンパンを下面から支持するための補強板が必要となり、補強板自体の取付作業が必要となっていた。
【0006】
本発明の目的は、補強板の取付作業を不要としつつドレンパン自体に剛性を持たせることで、ファンケーシングの吹出筒とドレンパンの吹出開口とが連通する天井埋込型空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、本体ユニットと、吸込口と吹出ガイド筒を有し前記本体ユニットの底面に取り付けられる化粧パネルを有する天井埋込型空気調和機において、前記本体ユニットは、天面板、前面板、背面板、左側面板、及び右側面板を有する箱型の筐体と、前記前面板側に配置される第1熱交換器と、前記背面板側に配置される第2熱交換器と、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器の間に配置され前記第1熱交換器及び第2熱交換器を経由して前記吸込口から空気を吸い込み吹出筒から吹き出す複数のシロッコファンを用いたファンユニットと、前記第1熱交換器及び第2熱交換器で生じる露を集めるとともに前記複数のシロッコファンの前記吹出筒から吹き出される空気を前記化粧パネルの吹出ガイド筒の方向に導く複数の吹出開口を有するドレンパンとを備え、前記吹出筒の周囲が前記ドレンパンの前記吹出開口の周壁の内側に入り込むように配置され、前記ドレンパンは、前端部と後端部を長辺とする四角形状に形成され、且つ複数の前記吹出開口の周囲を囲むように補強金具が取り付けられていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、前記補強金具は、ドレンパンの下面の側に配置されていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の天井埋込型空気調和機において、前記補強金具は、前記ドレンパンの前記前端部に位置する長片と、前記奥端部に位置する長片を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドレンパンの複数の吹出開口の並びの周囲を囲むように、そのドレンパンに補強金具が取り付けられているので、そのドレンパンが補強され補強板は不要となり、補強板の取付作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例の天井埋込型空気調和機の設置状態を示す説明図である。
【
図2】
図1の天井埋込型空気調和機の斜視図である。
【
図3】
図2の天井埋込型空気調和機の本体ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例の天井埋込型空気調和機100について説明する。この天井埋込型空気調和機100は、
図1に示すように、空調室Rの天井T1に取り付けられ、屋外に設置される図示しない室外機との間で冷媒配管により接続されて冷媒回路を形成する。天井埋込型空気調和機100は、天井裏T2に配置される箱型の本体ユニット200と、空調室R側に露出するように本体ユニット200の底面に取付けられる化粧パネル300を有する。本体ユニット200には、
図2に示すように、側面に制御回路が搭載された電装品箱400を備える。
【0011】
また、化粧パネル300には、前方の左側から右側にかけて吹出口としての吹出ガイド筒310,320,330,340が形成されている。左端の吹出ガイド筒310を通過する空気は左端の回転板380と一緒に回転する吹出ガイド筒310及び上下風向板311により、中央の吹出ガイド筒320,330を通過する空気は共通の上下風向板321により、右端の吹出ガイド筒340を通過する空気は右端の回転板390と一緒に回転する吹出ガイド筒340及び上下風向板341により、上下の吹出方向が調整可能となっている。回転板380は
図2の状態から左方向に90度回転可能に形成され、回転板390は
図2の状態から右方向に90度回転可能となっている。
【0012】
化粧パネル300の下面370(
図1に示す空調室Rに臨む面)の吹出ガイド筒310,320,330,340の並びよりも後方には、左右方向に長い形状の吸込口350が形成され、その吸込口350はグリル360で覆われている。そして、このグリル360と化粧パネル300の下面370の前部372との間のうち、グリル360と上下風向板311~341の間が、後記するように下方向に突出した凸部371となり、前部372よりも下方に突出している。
【0013】
図3に化粧パネル300を取り外して本体ユニット200を下から見た状態を示し、
図4にこの本体ユニット200を下方から見た展開図を示す。本体ユニット200は、前記した電装品箱400の他に、鋼板製の筐体500と、熱交換器600と、ファンユニット700と、ドレンパン800と、吸込口910と吐出口920を有するドレンポンプ900を備える。
【0014】
筐体500は、長方形の天面板510と、天面板510の四辺から下方に延在する前面板520、背面板530、左側面板540、右側面板550で形成された箱型である。右側面板550には
図2に示す電装品箱400が取り付けられ、また、同じ右側面板550にドレンパイプ551が取り付けられる。さらに、左側面板540と右側面板550のそれぞれの天面板510側には、2個の取付金具560が取り付けられている。本体ユニット200は、この取付金具560を天井裏T2に固定された図示しない吊りボルトにて吊り下げることで天井裏T2に設置される。
【0015】
熱交換器600は筐体500に格納され、筐体500の前面板520の側に配置される第1熱交換器610と、背面板530の側に配置される第2熱交換器620とを有する。そして、第1熱交換器610は上側が筺体500の前面板520の方向に傾斜し、第2熱交換器620は上側が筺体500の背面板530の方向に傾斜している。そして、この熱交換器部610,620は、各々の上端が筐体500の天面板510に取り付けられている。また、この熱交換器610,620の左側面板540側の各々の端部には、後記するモータ軸712を支持するモータ軸支持板630が取り付けられ、熱交換器620,630の右側面板550側の各々の端部には、後記するモータ軸713を支持するモータ軸支持板640が取り付けられている。
【0016】
ファンユニット700は、モータ取付台711を有する両軸型のファンモータ710と、そのファンモータ710の一方の回転軸712に固定された2個の羽根車721、722と、そのモータ710の他方の回転軸713に固定された2個の羽根車723、724と、各羽根車721~724を個々に囲むファンケーシング731~734とを有する。ファンケーシング731~734は、筐体500の天面板510に取り付けられる上面取付部731a~734aと、側面の吸込開口731b~734bと、下方向に突出するように形成された吹出筒731c~734cとを、それぞれ有する。羽根車721とファンケーシング731、羽根車722とファンケーシング732、羽根車723とファンケーシング7331、羽根車724とファンケーシング734は、それぞれシロッコファンを形成している。
【0017】
ドレンパン800は、発泡スチロール製の断熱材810で形成されている。この断熱材810には、上面810aからから下面810bに貫通する4個の吹出開口821~824が横方向に一列に並べて形成されている。また、このドレンパン800は、
図5に示すように、奥端部810cと前端部810dを長辺とするほぼ長方形に形成されている。
【0018】
そして、断熱材810の上面810aには、奥端部810c側の外壁831と奥側の内壁832との間に、熱交換器630で発生する露を受け止める溝833が形成されている。また、前端部810d側の外壁841と前側の内壁842との間に、第2熱交換器620で発生する露を受け止める溝843が形成されている。さらに、右端部810e側の外壁851と右側の内壁852の間にも溝853が形成されている。さらに、内壁832と吹出開口821~824の周壁821a~824aの間にも、ファンケーシング731~734の外側に付着した露の露受け部として働く溝834が形成されている。さらに、内壁842と吹出開口821~824の周壁821a~824aの間にもファンケーシング731~734の外側に付着した露の露受け部として働く溝844が形成されている。さらに、断熱材810の上面810aの右奥には、ドレンタンク860が形成されている。そして、溝833と溝853はドレンタンク860に連続し、溝843は溝853に連続している。つまり、溝833,843,853に溜まったドレン水はドレンタンク860に集まるようになっている。溝843,833は溝844,834には連通していない。
【0019】
断熱材810の下面810bの側には、
図6に示すような形状の補強金具870が埋め込みにより装着されている。この補強金具870は、ドレンパン800の奥端部810cに対応する長片871、前端部810dに対応する長片872、長片871と長片872の
図6における左側を接続する短片873、長片871と長片872の
図6における右側を接続する短片874、及び取付片875,876を有する。この補強金具870の全体形状は、長片871,872と短片873,874によって、ドレンパン800の吹出開口821~824の並びの外側を囲む長方形の形状となっている。断熱材810への補強金具870の埋め込みは、断熱材810を成型する型内に補強金具870を予め位置決めしておいてから、発泡スチロールを発泡させて埋め込む。これにより補強金具870は、長片871、872が断熱材810の内部に埋め込まれ、短片873,874、取付片875、876が露出するように、断熱材810に一体化される。
【0020】
化粧パネル300の吹出ガイド筒310はドレンパン800の吹出開口821に連通し、吹出ガイド筒320はドレンパン800の吹出開口822に連通し、吹出ガイド筒330はドレンパン800の吹出開口823に連通し、吹出ガイド筒340はドレンパン800の吹出開口824に連通するよう形成されている。左側の吹出ガイド筒310の上下風向板311と右側の吹出ガイド筒340の上下風向板341は、それぞれ前記したように90度回転調節可能となっている。
【0021】
ここで、吹出ガイド筒320を代表して説明する。
図7に示すように、吹出ガイド筒320は、上端開口322がファンケーシング732の吹出開口732cとドレンパン800の吹出開口822において連通し、下端開口323が前方斜め下方向を向くように配置され、上端開口322から下端開口323にかけての通風路324は滑らかに湾曲した形状となっている。そして、吹出開口としての下端開口323には吹出ガイド筒330と共用の上下風向板321が取り付けられ、通風路324の奥上部には吹出ガイド筒320用の左右風向板325が取り付けられている。また、下端開口323の下端323aは、化粧パネル300の下面370の前部372よりも下方に突出している。吹出ガイド筒330の図示しない通風路内にも左右風向板325と同様の図示しない左右風向板が取り付けられている。左端の吹出ガイド筒310と右端の吹出ガイド筒340は図示しない左右風向板が取り付けられ、上下風向板311、341は回転板380、390の回転によって回転可能になっているが、これらの部分については本発明と関係がないので詳しい説明は省略する。
【0022】
ここで、天井埋込型空気調和機100の組み立てについて適宜
図4を参照して説明する。まず、本体ユニット200の筐体500を天面板510側を組立台の上に向けて置き、組立済みの第1熱交換器610,620を天面板510の内側に固定する。
【0023】
次に、組立済みのファンユニット700を、第1熱交換器610,620の間に位置合わせしてから、モータ710のモータ取付台711を天面板510にネジ止めし、一方の回転軸712をモータ軸支持板630で支持し、他方の回転軸713をモータ軸支持板640で支持する。さらに、ファンケーシング731~734の上面取付部731a~734aを天面板510にネジ止めする。
【0024】
このとき、
図4に示すように、ファンユニット700のモータ回転軸712,713の中心C1と前側の第1熱交換器610の上下方向の中心C2との距離をL1とし、C1と奥側の第2熱交換器620の上下方向の中心C3との距離をL2としたとき、L1<L2となるように配置して、ファンユニット700を奥側の第2熱交換器620よりも前側の第1熱交換器610に近づける。
【0025】
次に、ドレンポンプ900を筐体500の右側面板550の内側に取り付けて、その吐出口920を
図3に示すドレンパイプ551に連結する。そして、ドレンパン800の上面810aの溝833に第2熱交換器620を位置合わせし、溝843に第1熱交換器610を位置合わせしてから、このドレンパン800を筐体500の内側に入るように下から押し込んで、補強金具870の短辺873を筐体500の左側面板540にネジ止めし、取付片875,876を右側面板550にネジ止めする。このように取り付けられたドレンパン800は、その奥端部810cは後記するスペースS1に臨み、前端部810dは後記するスペースS2に臨むことになる。
【0026】
以上によって、ファンユニット700の4個のファンケーシング731~734の吹出筒731c~734cがドレンパン800の上面810a側の4個の吹出開口821~824の周壁821a~824aの内側に入り込み、ファンケーシング731~734の吹出筒731c~734cがドレンパン800の吹出開口821~824に連通する。また、ドレンパン800のドレンタンク860内にドレンポンプ900の吸込口910が位置する。
【0027】
組み立て済の本体ユニット200は化粧パネル300とは個別に梱包されているので、天井埋込型空気調和機100を設置する際は、まず、その梱包を解いてから、天井裏T2に埋め込まれた複数の吊りボルトに本体ユニット200を吊り下げて天井裏T2に設置する。そして、化粧パネル300を
図1に示す空調室R側から取り付ける。このとき、
図7に示すように、化粧パネル300の吹出ガイド筒320の上端開口322をドレンパン800の下面810bから吹出開口822に挿入し、ファンケーシング732の吹出筒732cに連通させる。また、残りの吹出ガイド筒310,330,340についても同様にドレンパン800の吹出開口821,823,824に挿入し、ファンケーシング731、733、734の吹出筒731c、733c、734cに連通させる。そして、化粧パネル300を本体ユニット200の筐体500にネジ止めし、図示しない冷媒配管、電源線、信号線などを接続する。
【0028】
以上のように組み立てられた天井埋込型空気調和機100は、
図8に示すように、奥側の第2熱交換器620と背面板530との間の空間S1と、前側の第1熱交換器610と筐体500の前面板520との間の空間S2が、ドレンパン800の下面810bと化粧パネル300との間のスペースS3で連通する。このスペースS3には吹出ガイド筒310~340が配置されるが、スペースS3はそれらの相互間を連通するスペースともなる。
【0029】
以上から本実施例の天井埋込型空気調和機100では、吹出ガイド筒320が、その下端開口323の下端232aが化粧パネル300の下面370の前部372よりも下方に突出し、その下端開口323の開口面が前方斜め下方向を向いている。また、通風路324が前面板520の下方向に向けて滑らかに湾曲している。このため、羽根車722の回転で吹き出される空気が吹出ガイド筒320によって風量損失を受けにくくなり、吹出空気流の天井埋込型空気調和機100前方への到達距離を伸ばすことが可能になる。吹出ガイド筒310,330,340についても同様である。
【0030】
また、化粧パネル300の吸込口350から吸い込まれた空気は、奥側の第2熱交換器620と背面板530の間のスペースS1から第2熱交換器620に到達する。さらに、化粧パネル300の吸込口350から吸い込まれた空気は、ドレンパン800の下面810bと化粧パネル300の間で且つ吹出ガイド筒310~340の間のスペースS3、及び前側の第1熱交換器610と前面板520の間のスペースS2を経由して、前側の第1熱交換器610にも到達する。このため、吸込口350からの距離が第2熱交換器620よりも遠い第1熱交換器610にも、充分な量の空気を送り込むことが可能となって、第1熱交換器610による熱交換が第2熱交換器620と同様に可能となり、天井埋込型熱交換器の熱交換能率を高めることができる。このとき、第1熱交換器610はその上側が筐体500の前面板520の方向に傾斜し、第2熱交換器620はその上側が筐体500の背面板530の方向に傾斜しており、スペースS1,S2ともに下方向から空気が吸い込まれるので、吸込空気の変更される角度が直角から鈍角に緩やかになって通風抵抗が減少し、それら第1及び第2熱交換器610、620における空気と冷媒との熱交換の効率が、傾斜が無い場合と比べて高くなる。また、このように第1及び第2熱交換器610、620を傾斜させることにより、直立させる場合に比べて上下幅が長くなるので、その分だけ熱交換面積を大きくした熱交換器をそこに配置することができ、この面でも熱交換の効率が高くなる。
【0031】
さらに、
図7に示したように、ファンユニット700のモータ回転軸711,712の中心C1と第1熱交換器610の上下の中心C2との距離をL1とし、C1と第2熱交換器620の上下の中心C3との距離をL2としたとき、L1<L2に設定している。このとき、ファンケーシング731~734の吹出筒731c~734cは真下、つまりドレンパン800の方向を向くようにしているため、その吹出筒731c~734cが第1熱交換器610や第2熱交換器620に当たることはない。以上から、ファンユニット700が第2熱交換器620よりも第1熱交換器610の側に近づいた配置とすることが可能となり、ファンユニット700に近い第1熱交換器610への空気の吸込量が増大する。このため、L1=L2にした場合よりも第1熱交換器610に吸い込まれる空気量が第2熱交換器620に吸い込まれる空気量よりも多くなるので、第2熱交換器620に比べて空気流路が長くなる第1熱交換器610においても、第2熱交換器620と同等の熱交換効率となって、バランスが改善される。つまり、L1<L2に設定することで第1熱交換器610に吸い込まれる空気量が増大し、第1熱交換器610と第2熱交換器620における熱交換効率のバランスも改善される。また、L2を従来と同じにした場合は、第1熱交換器610の位置が筺体500の背面板530の側に寄るので、筐体500の前面板520を背面板530の側に寄せることができ、筐体500の前後寸法を小さくすることができる。なお、ファンユニット700のファンケーシング731~734の第1熱交換器610側がその第1熱交換器610に当接するような場合は、ファンケーシング731~734の第1熱交換器610を向く側を、
図7に示すラインD1部分でカットした横向きの平面形状に形成すれば良い。
【0032】
さらに、ファンユニット700のファンケーシング731~734は、その吹出筒731c~734cの周囲がドレンパン800の吹出開口821~824の周壁821a~824aの内側に入り込むように配置される。一方、ドレンパン800には第2熱交換器620用の溝833の周壁821a~824aの側に溝834が形成され、第1熱交換器610用の溝843の周壁821a~824aの側に溝844が形成されている。したがって、ファンケーシング731~734の外側に露が付着した際に、その露がドレンパン800の溝834,844に落下してそこで受け止められ、化粧パネル300の吹出ガイド筒310~340を伝わって室内に落下することを防止できる。ファンケーシング731~734から落下する露はわずかであるので溝843,833は溝844,834には連通していないが、連通させてもよい。
【0033】
さらに、ドレンパン800には補強金具870を取り付けている。その取り付けを、補強金具870をドレンパン800の断熱材810の製造時に埋め込んで行うことで、ドレンパン800に一体化している。この補強金具870は、ドレンパン800自体の強度を高くする。また、従来ではドレンパン800を下から支える補強板が使用されるが、補強金具870はドレンパン800の下面810bの側に埋め込まれているので、ドレンパン800を下から支えることになり、その補強板を省略することができる。さらに、その補強金具870の短片873と取付片875,876を筐体500にネジ止めするので、そのネジ止めによってドレンパン800の取り付けと同時に筐体500の補強を行うこともできる。
【符号の説明】
【0034】
100:天井埋込型空気調和機
200:本体ユニット
300:化粧パネル、310~340:吹出ガイド筒、322:上端開口、323:下端開口、311,321,341:上下風向板、350:吸込口、360:グリル、370:下面、380,390:回転板
400:電装品箱
500:筐体、510:天面板、520:前面板、530:背面板、540:左側面板、550:右側面板、560:取付金具、551:ホース
600:熱交換器、610:第1熱交換器、620:第2熱交換器、630、840:モータ軸支持板
700:ファンユニット、710:ファンモータ、721~724:羽根車、731~734:ファンケーシング、731c~734c:吹出筒
800:ドレンパン、810:断熱材、821~824:吹出開口、833,834,843,844:溝、860:ドレンタンク、870:補強金具
900:ドレンポンプ