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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】群遅延補償フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/00 20060101AFI20230404BHJP
   H01P 1/209 20060101ALI20230404BHJP
   H01P 7/10 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H01P1/00 A
H01P1/209
H01P7/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018210000
(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公開番号】P2020077975
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】芝 祥一
(72)【発明者】
【氏名】永井 利明
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-092601(JP,A)
【文献】特開2002-050908(JP,A)
【文献】特開平10-322155(JP,A)
【文献】米国特許第04437073(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00
H01P 1/20- 1/219
H01P 7/00- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スロットを有し、信号を伝送する導波管と、
第1誘電体と、前記第1誘電体の表面に形成される第1金属層と、前記第1金属層に設けられる第1開口部とを有する第1誘電体共振器であって、前記第1開口部を前記第1スロットに結合させた状態で前記導波管に当接され、前記信号の第1周波数帯の群遅延を補償する第1誘電体共振器と
を含み、
前記第1誘電体共振器のサイズは、前記第1誘電体共振器の共振周波数に応じて、設定され且つ、前記第1誘電体共振器は、複数の表面を有しており、
前記複数の表面のうちの前記第1誘電体共振器の前記第1開口部を有する表面と、前記複数の表面のうちの、前記第1開口部を有する前記表面の反対面と、で定義される前記第1誘電体共振器の厚さは、前記第1誘電体共振器の共振周波数における波長λの電気長λeの1/2(λe/2)に対応する長さである、群遅延補償フィルタ。
【請求項2】
前記第1誘電体共振器は、前記第1周波数帯に除去帯域を有する誘電体共振器である、請求項1記載の群遅延補償フィルタ。
【請求項3】
前記導波管は、第2スロットをさらに有し、
第2誘電体と、前記第2誘電体の表面に形成される第2金属層と、前記第2金属層に設けられる第2開口部とを有する第2誘電体共振器であって、前記第2開口部を前記第2スロットに結合させた状態で前記導波管に当接され、前記信号の第2周波数帯の群遅延を補償する第2誘電体共振器をさらに含み、
前記第2誘電体共振器の前記第2開口部を有する表面と、当該表面の反対面との間の厚さは、前記第2誘電体共振器の共振周波数における波長λの電気長λeの1/2(λe/2)に対応する長さである、請求項1又は2記載の群遅延補償フィルタ。
【請求項4】
前記第1スロット及び前記第2スロットは、前記導波管の導波管軸方向に離間している、請求項3記載の群遅延補償フィルタ。
【請求項5】
前記第1スロット及び前記第2スロットは、前記導波管の導波管軸を挟んで対向している、請求項3記載の群遅延補償フィルタ。
【請求項6】
前記第1誘電体共振器は、前記第1金属層の前記第1開口部に対向する位置に設けられる第2開口部をさらに有し、
第2誘電体と、前記第2誘電体の表面に形成される第2金属層と、前記第2金属層に設けられる第3開口部とを有する第2誘電体共振器であって、前記第3開口部を前記第2開口部に結合させた状態で前記第1誘電体共振器に当接され、前記信号の第2周波数帯の群遅延を補償する第2誘電体共振器をさらに含み、
前記第2誘電体共振器の前記第2開口部を有する表面と、当該表面の反対面との間の厚さは、前記第2誘電体共振器の共振周波数における波長λの電気長λeの1/2(λe/2)に対応する長さである、請求項1記載の群遅延補償フィルタ。
【請求項7】
前記第2誘電体共振器は、前記第2周波数帯に除去帯域を有する誘電体共振器である、請求項3乃至6のいずれか一項記載の群遅延補償フィルタ。
【請求項8】
前記群遅延は、バンドパスフィルタの通過帯域の端部で生じる群遅延である、請求項1乃至7のいずれか一項記載の群遅延補償フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、群遅延補償フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、管壁に結合孔を有する主導波管と、前記主導波管の前記結合孔を介して電磁的に結合する副導波管と、前記主導波管の管壁に設けられ導波管内の結合孔の近傍に突出する電磁的な結合の調整手段とを有することを特徴とする導波管マイクロ波回路またはミリ波回路がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-050908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の導波管マイクロ波回路またはミリ波回路は、群遅延を補償することを行っていない。
【0005】
そこで、群遅延を補償できる群遅延補償フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態の群遅延補償フィルタは、第1スロットを有し、信号を伝送する導波管と、第1誘電体と、前記第1誘電体の表面に形成される第1金属層と、前記第1金属層に設けられる第1開口部とを有する第1誘電体共振器であって、前記第1開口部を前記第1スロットに結合させた状態で前記導波管に当接され、前記信号の第1周波数帯の群遅延を補償する第1誘電体共振器とを含み、前記第1誘電体共振器のサイズは、前記第1誘電体共振器の共振周波数に応じて、設定され且つ、前記第1誘電体共振器は、複数の表面を有しており、前記複数の表面のうちの前記第1誘電体共振器の前記第1開口部を有する表面と、前記複数の表面のうちの、前記第1開口部を有する前記表面の反対面と、で定義される前記第1誘電体共振器の厚さは、前記第1誘電体共振器の共振周波数における波長λの電気長λeの1/2(λe/2)に対応する長さである。
【発明の効果】
【0007】
群遅延を補償できる群遅延補償フィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態の群遅延補償フィルタ100を含む通信システム1を示す図である。
図2】バンドパスフィルタ13の通過特性と群遅延特性を示す図である。
図3】実施の形態の群遅延補償フィルタ100による群遅延の補償特性を説明する図である。
図4】比較用の群遅延補償フィルタ50を示す図である。
図5】群遅延補償フィルタ50の電磁界シミュレーションの結果を示す図である。
図6】実施の形態の群遅延補償フィルタ100を示す図である。
図7】導波管110と誘電体共振器120とを別々に示す図である。
図8】導波管110のスロット113と誘電体共振器120の寸法を示す図である。
図9】スロット113と誘電体共振器120の寸法に対する群遅延の特性を示す図である。
図10】比較用の無線送信装置30と実施の形態の無線送信装置10の構成を示すブロック図である。
図11】群遅延補償フィルタ100を示す図である。
図12】実施の形態の変形例の誘電体共振器120Mを示す図である。
図13】実施の形態の変形例の群遅延補償フィルタ100Aを示す図である。
図14】実施の形態の変形例の群遅延補償フィルタ100Cを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の群遅延補償フィルタを適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の群遅延補償フィルタ100を含む通信システム1を示す図である。通信システム1は、無線送信装置10と受信機20とを含む。
【0011】
無線送信装置10は、送信チップ11、バンドパスフィルタ13、送信増幅器15、バンドパスフィルタ17、群遅延補償フィルタ100、及びアンテナ19を含む。送信チップ11は、送信データを出力するコンピュータ(チップセット)である。送信データの通信速度は、一例として10Gbpsである。送信チップ11は、短パルス発生器を内蔵するインパルス無線方式を採用しており、送信信号をバンドパスフィルタ13に出力する。
【0012】
バンドパスフィルタ13は、ミリ波帯の所定の通過帯域を有し、送信チップ11から入力される送信信号に含まれるミリ波帯の成分(ミリ波パルス)を透過して送信増幅器15に出力する。
【0013】
送信増幅器15は、バンドパスフィルタ13から入力される送信信号を増幅して群遅延補償フィルタ100に出力する。送信増幅器15は、所謂PA(Power Amplifier)である。群遅延補償フィルタ100は、送信増幅器15から出力されるミリ波帯の送信信号に含まれる群遅延を補償して、バンドパスフィルタ17に出力する。
【0014】
バンドパスフィルタ17は、ミリ波帯の所定の通過帯域を有し、群遅延補償フィルタ100から入力される送信信号に含まれるミリ波帯の成分(ミリ波パルス)を透過してアンテナ19に出力する。
【0015】
アンテナ19は、バンドパスフィルタ17から入力される送信信号を放射する。放射された送信信号は、受信機20のアンテナ21によって受信される。
【0016】
受信機20は、アンテナ21、受信増幅器23、及び検波器25を含む。アンテナ21によって受信された信号(受信信号)は、受信増幅器23で増幅され、検波器25によって受信データが取り出される。受信データは、送信データに等しい。
【0017】
図2は、バンドパスフィルタ13の通過特性と群遅延特性を示す図である。図2(A)において、横軸は周波数(GHz)、縦軸はS21パラメータ(dB)である。図2(B)において、横軸は周波数(GHz)、縦軸は遅延量(遅延時間)を示す。
【0018】
図2(A)に示すように、バンドパスフィルタ13の通過帯域は、一例として81.8GHzから85.4GHzであり、通過帯域の両側は2本の矢印で示すようにS21パラメータが急峻に低下する特性を示す。
【0019】
図2(B)は、バンドパスフィルタ13を透過する信号に含まれる群遅延特性を示す。図2(B)に示すように、バンドパスフィルタ13では、通過帯域の両端に大きな群遅延が生じる。通過帯域の中央部の帯域に比べて、通過帯域の両端に生じる群遅延の遅延量は、約300psである。このように、バンドパスフィルタ13では、通過帯域の両端に約300psの群遅延が生じる。
【0020】
図3は、実施の形態の群遅延補償フィルタ100による群遅延の補償特性を説明する図である。図3(A)には、群遅延補償フィルタ100に入力される送信信号の群遅延特性を示す。図3(A)に示す群遅延特性は、図2(B)に示す群遅延特性に相当する。
【0021】
実施の形態の群遅延補償フィルタ100による群遅延の補償特性は、図3(B)に示すような群遅延特性を有する。図3(B)に示す群遅延特性は、図3(A)に示す群遅延特性の正負を反転させたような特性であり、負の群遅延を示す。ここで、負の群遅延とは、群遅延の量が負(マイナス)であることを意味し、図3(B)に示すように極小値を有する特性を有することを意味する。
【0022】
実施の形態の群遅延補償フィルタ100は、矩形導波管に群遅延の補償特性を実現する構成を付加した構成を有する。実施の形態の群遅延補償フィルタ100は、図3(A)に示す群遅延特性に図3(B)に示す群遅延特性を合成することによって、図3(C)に示すように通過帯域内の群遅延を平坦化した群遅延特性を実現する。
【0023】
図4は、比較用の送信フィルタ50を示す図である。図4では、図示するようにXYZ座標系を定義する。送信フィルタ50は、導波管60と空洞共振器70とを含む。
【0024】
導波管60は、X軸方向に延在する導波管軸を有する金属製の矩形導波管である。導波管60は、X軸方向の両端に開口部61を有する(X軸正方向側の開口部61は陰になっているため見えていない)。一方の開口部61がバンドパスフィルタ13(図1参照)に接続され、他方の開口部61が送信増幅器15に接続される。導波管60の一方の開口部61には、図3(A)に示すような群遅延特性を有する送信信号が入力される。導波管60は、TEモードのミリ波を伝送する。
【0025】
また、導波管60は、Z軸正方向の壁部62に形成されるスロット63を有する。スロット63は、壁部62をXY平面視で貫通する矩形状の開口部である。スロット63は、一例として、Y軸方向に長手方向を有し、X軸方向に短手方向を有する細長い開口部である。ただし、スロット63は、このような形状に限らず、円形等であってもよい。
【0026】
空洞共振器70は、直方体状で内部が空洞の金属製の共振器であり、Z軸負方向側の壁部71に開口部72が設けられている。開口部72は、平面視で、一例としてスロット63よりも大きい。空洞共振器70のZ軸方向の長さは、空洞共振器70の共振周波数における波長λの電気長λeの約1/2(λe/2)である。
【0027】
空洞共振器70は、Z軸負方向側の面がスロット63を覆い、かつ、開口部72がスロット63とXY平面視で重なるように、導波管60の壁部62の上に配置される。この状態で、スロット63と開口部72は、電磁気的に結合される。
【0028】
図5は、送信フィルタ50の電磁界シミュレーションの結果を示す図である。図5(A)は、送信フィルタ50のS11パラメータ(実線)とS21パラメータ(破線)の周波数特性を示す図である。横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸はS11パラメータとS21パラメータのレベル(dB)を示す。ここで、空洞共振器70の共振周波数frは、81.8GHzである。これは、バンドパスフィルタ13(図1参照)の通過帯域(図2(A)参照)の両端のうちの低い方の端部に相当する周波数である。
【0029】
図5(A)に示すように、共振周波数frにおいて、S11パラメータは極大値が得られ、S21パラメータは極小値が得られたことから、送信フィルタ50は、共振周波数frを中央とする除去帯域(阻止帯域)を有することが分かる。このように、送信フィルタ50は、空洞共振器70の共振周波数frにおいて除去帯域フィルタとして機能することが分かる。
【0030】
図5(B)は、送信フィルタ50の群遅延特性を示し、横軸は周波数(GHz)、縦軸は遅延量(遅延時間)を示す。図5(B)に示すように、送信フィルタ50は、共振周波数frで負の群遅延を示すことが分かった。このため、空洞共振器70を用いれば、共振周波数frの帯域における群遅延を低減(補償)することができる。
【0031】
しかしながら、空洞共振器70による負の群遅延は、約1×10-8(=10ns)と大きく、図2(B)に示す群遅延(約300ps)を補償するには大きすぎる。これは、空洞共振器70のQ値が比較的大きいことが一つの要因であると考えられる。
【0032】
以下では、実施の形態の群遅延補償フィルタ100における群遅延の補償特性の最適化について説明する。
【0033】
図6は、実施の形態の群遅延補償フィルタ100を示す図である。図6では、図示するようにXYZ座標系を定義する。群遅延補償フィルタ100は、導波管110と誘電体共振器120とを含む。群遅延補償フィルタ100は、空洞共振器70(図4参照)よりもQ値が低い誘電体共振器120を用いて、群遅延特性の補償を最適化する。
【0034】
また、ここでは、図6に加えて図7を用いて説明する。図7は、導波管110と誘電体共振器120とを別々に示す図である。図7では、誘電体共振器120を天地逆に示す。
【0035】
導波管110は、X軸方向に延在する導波管軸を有する金属製の矩形導波管である。導波管110は、X軸方向の両端に開口部111を有する(X軸正方向側の開口部111は陰になっているため見えていない)。一方の開口部111がバンドパスフィルタ13(図1参照)に接続され、他方の開口部111が送信増幅器15に接続される。導波管110は、TEモードのマイクロ波を伝送する。一方の開口部111には、図3(B)に示すような群遅延特性を有する送信信号が入力される。
【0036】
また、導波管110は、Z軸正方向の壁部112に形成される2個のスロット113を有する。スロット113は、壁部112をXY平面視で貫通する矩形状の開口部であり、スロット113は、Y軸方向に長手方向を有し、X軸方向に短手方向を有する細長い開口部である。2個のスロット113は、導波管110の導波管軸方向に所定の間隔を隔てて配置されている。2個のスロット113のうちの一方は第1スロットの一例であり、他方は第2スロットの一例である。
【0037】
誘電体共振器120は、2個のスロット113に対応して2個設けられている。誘電体共振器120は、直方体状の誘電体125の表面(6面のすべて)のうち、開口部122以外の部分に金属めっき層121を形成することによって、金属めっき層121に開口部122を形成した構成を有する。
【0038】
2個の誘電体共振器120のうちの一方は、第1誘電体共振器の一例であり、一方の誘電体共振器120において、金属めっき層121は、第1金属層の一例であり、開口部122は、第1開口部の一例である。また、2個の誘電体共振器120のうちの他方は、第2誘電体共振器の一例であり、他方の誘電体共振器120において、金属めっき層121は、第2金属層の一例であり、開口部122は、第2開口部の一例である。
【0039】
開口部122は、Z軸負方向側の面の金属めっき層121のうちの一部である。誘電体共振器120のZ軸方向の長さは、誘電体共振器120の共振周波数における波長λの電気長λeの1/2(λe/2)に対応する長さである。
【0040】
電気長λeの1/2(λe/2)に対応する長さとは、半波長の電気長(λe/2)と等しい長さに限らず、誘電体共振器120の共振周波数及び/又はQ値等を調整するために、半波長の電気長(λe/2)よりも少し短く又は長く設定される長さを含む意味である。
【0041】
開口部122は、一例として、誘電体共振器120のZ軸負方向側の面の金属めっき層121のY軸方向における中央部の所定幅の部分をX軸負方向側の端部からX軸正方向側の端部まで除去した部分である。開口部122からは、誘電体共振器120の直方体状の誘電体の表面が表出する(図7参照)。なお、開口部122は、X軸負方向側の端部からX軸正方向側の端部まで除去する必要はなく、X軸方向においてもっと短くてもよい。
【0042】
このため、誘電体共振器120は、開口部122以外が金属めっき層121によって被覆された空洞共振器である。
【0043】
誘電体共振器120は、Z軸負方向側の面がスロット113を覆い、かつ、開口部122がスロット113とXY平面視で重なるように、導波管110の壁部112の上に配置される。より具体的には、図7に示す導波管110に対して誘電体共振器120をZ軸方向に反転させて開口部122をZ軸負方向側に向けた状態で、誘電体共振器120を導波管110の上に配置する。この状態で、スロット113と開口部122は、電磁気的に結合される。換言すれば、誘電体共振器120は、開口部122をスロット133に結合させた状態で導波管110に当接される。
【0044】
ここで、群遅延補償フィルタ100では、導波管110と誘電体共振器120の結合量は、開口部112と開口部122とが重なることによって導波管110と誘電体共振器120との間に生じる開口部のサイズで決まる。このため、開口部122のサイズが異なる誘電体共振器120を複数用意し、誘電体共振器120を交換することで、導波管110と誘電体共振器120の結合量を調整することができる。
【0045】
実施の形態の群遅延補償フィルタ100は、誘電体共振器120のQ値を最適化して、バンドパスフィルタ13から入力される送信信号に含まれる群遅延特性を補償する。
【0046】
なお、導波管110と誘電体共振器120は、例えば、固定具等で固定すればよい。このような構成については、図11を用いて後述する。
【0047】
図8は、導波管110のスロット113と誘電体共振器120の寸法を示す図である。スロット113のX軸方向の長さをHT、Z軸方向の長さ(壁部112の厚さ)をHH、開口部122のY軸方向の長さをHWとする。また、誘電体共振器120のX軸方向の長さをRT、Y軸方向の長さをRW、Z軸方向の長さをRHとする。
【0048】
図9は、スロット113と誘電体共振器120の寸法に対する群遅延の特性を示す図である。図9に示す特性は、電磁界シミュレーションにおいて、図8に示す各寸法を変更することによって得た特性である。
【0049】
図9(A)には、HH=0.2mm、HW=1.15mm、HT=0.4mm、RH=1.0mm、RW=3.0mm、RT=2.0mmに設定した場合のシミュレーション結果を示す。なお、誘電体共振器120の比誘電率は2.8、誘電正接(Loss tangent)は0.01である。また、このとき誘電体共振器120の共振周波数frは81.8GHzである。
【0050】
図9(A)に示すように、負の群遅延は共振周波数fr(81.8GHz)において得られ、約250psであった。これは、バンドパスフィルタ13で生じる約300psの群遅延(図2(B)参照)を補償するのに適した値である。
【0051】
また、図9(B)には、HH=0.2mm、HW=1.15mm、HT=0.4mm、RH=0.6mm、RW=2.5mm、RT=1.98mmに設定した場合のシミュレーション結果を示す。なお、誘電体共振器120の共振周波数frは85.4GHzである。
【0052】
図9(B)に示すように、負の群遅延は共振周波数fr(85.4GHz)において得られ、約240psであった。これは、バンドパスフィルタ13で生じる約300psの群遅延(図2(B)参照)を補償するのに適した値である。
【0053】
このように、スロット113と誘電体共振器120の各部の寸法を変更することによって、負の群遅延が生じる周波数を調整できることが分かった。また、負の群遅延の遅延量は、バンドパスフィルタ13で生じる群遅延を補償するのに適した値であり、図4に示す空洞共振器70の負の群遅延の遅延量よりも小さい値が得られた。このように、負の群遅延が生じる周波数を調整できるとともに、比較的小さな負の群遅延の遅延量が得られたのは、スロット113と誘電体共振器120の各部の寸法を変更することによって、群遅延補償フィルタ100のQ値を調整できたからである。
【0054】
図9(C)には、群遅延補償フィルタ100の群遅延特性を示す図である。横軸は周波数(GHz)を示し、縦軸は群遅延補償フィルタ100の群遅延による遅延量(遅延時間)を示す。
【0055】
通過帯域の中央部の帯域に比べて、通過帯域の両端の帯域に生じる群遅延の遅延量は、約150psであり、図2(B)に示す群遅延の約半分に低減されている。なお、150psという群遅延の遅延量は、81.8GHzから85.4GHzというバンドパスフィルタ13の通過帯域(図9(C)に2つの矢印で示す範囲)で得られた値である。
【0056】
このように、図6及び図7に示す2個のスロット113、2個の誘電体共振器120、2個の開口部122のサイズと、2組のスロット113及び開口部122の重なり具合等の位置関係とを調整することにより、負の群遅延が得られる2つの周波数帯を調整することができることが分かった。すなわち、一例として、一方の誘電体共振器120で81.8GHzに負の群遅延を設定することができ、他方の誘電体共振器120で85.4GHzに負の群遅延を設定することができる。
【0057】
図10は、比較用の無線送信装置30と実施の形態の無線送信装置10の構成を示すブロック図である。図10では、比較用の無線送信装置30と実施の形態の無線送信装置10に含まれる構成要素をブロックで示す。
【0058】
図10(A)に示すように、比較用の無線送信装置30は、送信チップ11、バンドパスフィルタ13、送信増幅器15、群遅延補償フィルタ11A、マイクロストリップ-導波管変換器12、バンドパスフィルタ17、及びアンテナ19を含む。これらのうち、送信チップ11、バンドパスフィルタ13、送信増幅器15、バンドパスフィルタ17、及びアンテナ19は、図1に示すものと同様である。
【0059】
比較用の無線送信装置30では、群遅延補償フィルタ11Aは、群遅延を補償するフィルタであり、プリント基板に実装された回路によって実現される。このため、送信増幅器15とマイクロストリップ-導波管変換器12との間に設けられている。群遅延補償フィルタ11Aは、送信増幅器15から出力される送信信号に予め群遅延を補償する処理を行い、マイクロストリップ-導波管変換器12に出力する。群遅延補償フィルタ11Aとマイクロストリップ-導波管変換器12との間はマイクロストリップラインによって接続されている。
【0060】
マイクロストリップ-導波管変換器12は、群遅延補償フィルタ11Aとバンドパスフィルタ17の間に設けられており、群遅延補償フィルタ11Aから出力される送信信号を導波管形式の送信信号に変換してバンドパスフィルタ17に出力する。
【0061】
バンドパスフィルタ17は、マイクロストリップ-導波管変換器12とアンテナ19の間に設けられており、マイクロストリップ-導波管変換器12から出力される送信信号のうちのミリ波帯の所定の通過帯域の成分を通過させてアンテナ19に出力する。
【0062】
一方、図10(B)に示すように、実施の形態の無線送信装置10は、送信チップ11、バンドパスフィルタ13、送信増幅器15、マイクロストリップ-導波管変換器12、群遅延補償フィルタ100、及びバンドパスフィルタ17、及びアンテナ19を含む。これらのうち、送信チップ11、バンドパスフィルタ13、送信増幅器15、バンドパスフィルタ17、及びアンテナ19は、図1及び図10(A)に示すものと同様である。
【0063】
実施の形態の無線送信装置10では、マイクロストリップ-導波管変換器12は、送信増幅器15と群遅延補償フィルタ100の間に設けられている。
【0064】
このため、送信チップ11から出力される送信信号は、バンドパスフィルタ13を通過し、送信増幅器15で増幅されてから、マイクロストリップ-導波管変換器12で導波管形式の送信信号に変換されて群遅延補償フィルタ100に出力される。群遅延補償フィルタ100は、マイクロストリップ-導波管変換器12から入力される送信信号に含まれる群遅延特性を補償し、群遅延特性が補償された送信信号は、バンドパスフィルタ17に出力される。バンドパスフィルタ17は、群遅延補償フィルタ100から出力される送信信号のうちのミリ波帯の所定の通過帯域の成分を通過させてアンテナ19に出力する。
【0065】
ここで、比較用の無線送信装置30と実施の形態の無線送信装置10の構成要素のうち、マイクロストリップ-導波管変換器12は、送信信号の帯域をシフトする等のネガティブな影響を及ぼし兼ねない構成要素である。
【0066】
また、比較用の無線送信装置30と実施の形態の無線送信装置10を伝送される送信信号は、導波管の出力側で検出できるが、プリント基板及びマイクロストリップライン等の出力側で検出することはできない。
【0067】
このため、比較用の無線送信装置30では、送信信号を検出できるのは、バンドパスフィルタ17の出力側のみであり、マイクロストリップ-導波管変換器12の影響が含まれた送信信号になり、群遅延特性の補償を高精度に行うことは容易ではない。
【0068】
これに対して、実施の形態の無線送信装置10では、マイクロストリップ-導波管変換器12の出力側と、バンドパスフィルタ17の出力側とで送信信号を検出できる。バンドパスフィルタ17の出力は、群遅延補償フィルタ100で群遅延が補償された信号である。
【0069】
このため、マイクロストリップ-導波管変換器12の出力側で検出される送信信号と、バンドパスフィルタ17の出力側で検出される送信信号とに基づいて、マイクロストリップ-導波管変換器12の影響を排除して群遅延補償フィルタ100の群遅延の補償特性を調整でき、高精度に群遅延特性の補償を行うことができる。
【0070】
以上のように、実施の形態によれば、導波管110がスロット113を有するとともに、群遅延補償フィルタ100がスロット113に結合する開口部122を有する誘電体共振器120を含むことにより、比較的簡易な構成で容易に送信信号の群遅延特性の補償を行うことができる。
【0071】
したがって、群遅延を補償できる群遅延補償フィルタ100を提供することができる。より具体的には、比較的簡易な構成で容易に送信信号の群遅延特性の補償を行うことができる群遅延補償フィルタ100を提供することができる。
【0072】
ここで、群遅延を補償するには、DSP(Digital Signal Processor)のような信号処理回路を用いて行う手法もある。しかしながら、このような手法では、群遅延を補償するために電力が必要になる。
【0073】
これに対して、実施の形態の群遅延補償フィルタ100は、導波管110に誘電体共振器120を付加した構成で群遅延特性を補償できるので、群遅延を補償する構成要素を動かすために電力は不要である。したがって、実施の形態によれば、消費電力が不要な構成で群遅延を補償できる群遅延補償フィルタ100を提供することができる。
【0074】
また、図10を用いて説明したように、群遅延補償フィルタ100は、導波管110に誘電体共振器120を付加した構成で群遅延特性を補償できるので、マイクロストリップ-導波管変換器12の影響を排除して群遅延の補償特性を調整できる。したがって、実施の形態によれば、高精度に群遅延を補償できる群遅延補償フィルタ100を提供することができる。
【0075】
また、開口部122のサイズが異なる誘電体共振器120を複数用意し、誘電体共振器120を取り替えることで、導波管110と誘電体共振器120の結合量を調整することができる。比較用の無線送信装置30では、ワイヤボンディング等による群遅延補償フィルタ11Aの調整が必要であり、調整作業は、著しく作業性が悪い工程であった。
【0076】
これに対して、群遅延補償フィルタ100を含む無線送信装置10では、調整作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【0077】
なお、以上では、群遅延補償フィルタ100が2個の誘電体共振器120を含む形態について説明したが、誘電体共振器120の数は1個であってもよい。この場合は、通過帯域の定周波数側又は高周波数側の群遅延のいずれか一方を補償する構成になる。
【0078】
また、以上では、ミリ波を伝送する群遅延補償フィルタ100について説明したが、ミリ波には限られず、例えば、マイクロ波を伝送するように各部のサイズを変更してもよい。
【0079】
また、以上では、バンドパスフィルタ13が送信チップ11と群遅延補償フィルタ100との間にある形態について説明したが、バンドパスフィルタ13は、群遅延補償フィルタ100と送信増幅器15との間にあってもよい。
【0080】
また、以上では、群遅延補償フィルタ100が無線送信装置10に含まれる形態について説明したが、群遅延補償フィルタ100は、無線受信装置に含まれて受信信号の群遅延を補償してもよい。また、無線送信装置10でもなく、無線受信装置でもなく、信号を処理する信号処理装置に含まれて、信号の群遅延を補償してもよい。
【0081】
また、導波管110と誘電体共振器120は、図11に示すような構成で固定することができる。図11は、群遅延補償フィルタ100を示す図である。群遅延補償フィルタ100は、導波管110及び誘電体共振器120に加えて、固定板130及びねじ140をさらに含む。
【0082】
図11では、導波管110は、壁部112の四隅にねじ穴114を有し、固定板130は、ねじ穴114に対応する貫通孔131を有する。導波管110と誘電体共振器120を位置合わせした状態で、導波管110と固定板130で誘電体共振器120を挟み、ねじ140を貫通孔131に挿通させてねじ穴114に固定すれば、導波管110と誘電体共振器120を所望の位置関係で固定することができる。また、このような構成であれば、誘電体共振器120を交換することによる導波管110と誘電体共振器120の結合量の調整が容易である。また、導波管110と誘電体共振器120の位置の微調整を簡単にすることができる。
【0083】
なお、図11に示す導波管110と誘電体共振器120を固定する構成は一例であり、その他の様々な構成によって固定することができる。
【0084】
図12は、実施の形態の変形例の誘電体共振器120Mを示す図である。誘電体共振器120は、XY平面視でテーパ状(台形状)の開口部122Mを有する。開口部122Mの幅は、W1からW2(<W1)まで変化している。このような誘電体共振器120Mをスロット113に対してX軸方向に移動させれば、スロット113と重なる開口部122Mの部分のY軸方向の長さを容易に調整することができる。このため、群遅延の補償特性を容易に調整することができる。
【0085】
なお、ここでは、誘電体共振器120Mがテーパ状の開口部122Mを有する形態について説明したが、開口部122Mの形状は、三角形又は円のようなテーパ状以外の形状であってもよい。
【0086】
図13は、実施の形態の変形例の群遅延補償フィルタ100Aを示す図である。群遅延補償フィルタ100Aは、導波管110Aと誘電体共振器120A及び120Bとを含む。誘電体共振器120A及び120Bは、それぞれ、第1誘電体共振器及び第2誘電体共振器の一例である。
【0087】
導波管110Aは、X軸方向の両端に開口部111Aを有するとともに、Z軸正方向側の壁部112Aに1個のスロット113Aを有する。導波管110Aは、図6及び図7に示す導波管110よりもX軸方向の長さが短くてもよい。
【0088】
誘電体共振器120Aは、開口部122A1、122A2を有し、開口部122A1、122A2以外には金属めっき層121Aが形成されている。開口部122A1は、図6及び図7に示す誘電体共振器120の開口部122と同様であり、開口部122A2は、Z軸正方向側の面に設けられている。すなわち、開口部122A1と開口部122A2は対向している。開口部122A2は、開口部122A1とはXY平面視で90度角度が異なる。開口部122A1、122A2は、それぞれ、第1開口部、第2開口部の一例である。
【0089】
誘電体共振器120Bは、図6及び図7に示す誘電体共振器120と同様であり、開口部122B以外の表面に金属めっき層121Bが形成されている。開口部122Bは、第3開口部の一例である。
【0090】
群遅延補償フィルタ100Aは、スロット113Aと開口部122A1の位置を合わせて導波管110Aに誘電体共振器120Aを重ねて配置し、さらに、開口部122A2と開口部122Bの位置を合わせて誘電体共振器120Bに誘電体共振器120Aを重ねた構成を有する。
【0091】
スロット113Aと開口部122A1はXY平面視で直交しており、開口部122A2と開口部122BもXY平面視で直交している。
【0092】
スロット113、誘電体共振器120A及び120B、開口部122A1及び122A2、及び開口部122Bのサイズと重なり具合を調整することにより、誘電体共振器120A及び120Bによって得られる2つの負の群遅延の周波数帯を調整することができる。
【0093】
なお、スロット113A、開口部122A1、122A2、及び開口部122Bのサイズ、位置、及び/又は向きを調整することにより、群遅延補償フィルタ100AのQ値を調整することができ、群遅延の補償量と周波数を調整することができる。
【0094】
図14は、実施の形態の変形例の群遅延補償フィルタ100Cを示す図である。群遅延補償フィルタ100Cは、導波管110Cと2個の誘電体共振器120とを含む。
【0095】
導波管110Cは、X軸方向の両端に開口部111Cを有するとともに、Z軸正方向側の壁部112C1及びZ軸負方向側の壁部112C2にスロット113C1、113C2を有する。導波管110Cは、図6及び図7に示す導波管110よりもX軸方向の長さが短くてもよい。
【0096】
2個の誘電体共振器120は、図6及び図7に示す誘電体共振器120と同様の構成を有する。
【0097】
導波管110Cの壁部112C1のスロット113C1には、Z軸正方向側の誘電体共振器120の開口部122の位置を合わせ、壁部112C2のスロット113C2には、Z軸負方向側の誘電体共振器120の開口部122の位置を合わせて、導波管110Cに対して固定すればよい。
【0098】
Z軸正方向側とZ軸負方向側とで誘電体共振器120、スロット113C1、113C2、及び開口部122のサイズをそれぞれ設定するとともに、Z軸正方向側とZ軸負方向側とでスロット113C1、113C2と開口部122の位置関係をそれぞれ設定すれば、2個の誘電体共振器120によって得られる2つの負の群遅延の補償量と周波数を調整することができる。 以上、本発明の例示的な実施の形態の送信フィルタについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0099】
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第1スロットを有し、信号を伝送する導波管と、
第1誘電体と、前記第1誘電体の表面に形成される第1金属層と、前記第1金属層に設けられる第1開口部とを有する第1誘電体共振器であって、前記第1開口部を前記第1スロットに結合させた状態で前記導波管に当接され、前記信号の第1周波数帯の群遅延を補償する第1誘電体共振器と
を含む、群遅延補償フィルタ。
(付記2)
前記第1誘電体共振器は、前記第1周波数帯に除去帯域を有する誘電体共振器である、付記1記載の群遅延補償フィルタ。
(付記3)
前記導波管は、第2スロットをさらに有し、
第2誘電体と、前記第2誘電体の表面に形成される第2金属層と、前記第2金属層に設けられる第2開口部とを有する第2誘電体共振器であって、前記第2開口部を前記第2スロットに結合させた状態で前記導波管に当接され、前記信号の第2周波数帯の群遅延を補償する第2誘電体共振器をさらに含む、付記1又は2記載の群遅延補償フィルタ。
(付記4)
前記第1スロット及び前記第2スロットは、前記導波管の導波管軸方向に離間している、付記3記載の群遅延補償フィルタ。
(付記5)
前記第1スロット及び前記第2スロットは、前記導波管の導波管軸を挟んで対向している、付記3記載の群遅延補償フィルタ。
(付記6)
前記第1誘電体共振器は、前記第1金属層の前記第1開口部に対向する位置に設けられる第2開口部をさらに有し、
第2誘電体と、前記第2誘電体の表面に形成される第2金属層と、前記第2金属層に設けられる第3開口部とを有する第2誘電体共振器であって、前記第3開口部を前記第2開口部に結合させた状態で前記第1誘電体共振器に当接され、前記信号の第2周波数帯の群遅延を補償する第2誘電体共振器をさらに含む、付記1記載の群遅延補償フィルタ。
(付記7)
前記第2誘電体共振器は、前記第2周波数帯に除去帯域を有する誘電体共振器である、付記3乃至6のいずれか一項記載の群遅延補償フィルタ。
(付記8)
前記群遅延は、バンドパスフィルタの通過帯域の端部で生じる群遅延である、付記1乃至7のいずれか一項記載の群遅延補償フィルタ。
【符号の説明】
【0100】
100、100A、100C 群遅延補償フィルタ
110、110A、110C 導波管
111A、111B 開口部
113、113A、113C1、113C2 スロット
120、120A、120B、120M 誘電体共振器
121、121A、121B 金属めっき層
122、122A1、122A2、122B、122M 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14