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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-03
(45)【発行日】2023-04-11
(54)【発明の名称】電源回路及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230404BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20230404BHJP
【FI】
H02J1/00 304E
G06F1/26 303
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019044913
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020150628
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】江口 進
【審査官】山本 香奈絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093722(JP,A)
【文献】特開2011-221588(JP,A)
【文献】特開2016-214043(JP,A)
【文献】特開2018-147007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機電源と、
前記待機電源に接続される第1経路と、
前記待機電源よりも電圧が高い電力を出力する主電源と、
前記主電源に接続される第2経路と、
前記第1経路と前記第2経路との間に配置されるスイッチと、
前記第1経路に直列に挿入され、前記第2経路から前記スイッチを経由して前記待機電源に流れる電流を阻止する逆流防止素子と、
前記第1経路から供給される電力で動作する電源制御回路であって、前記主電源からの電力出力の検出を契機に前記スイッチをオンにすることで、前記第1経路に電力を供給する電源を、前記待機電源から前記主電源に切り替える電源制御回路とを備え、
前記スイッチがオンになることにより、前記待機電源よりも電圧が高い電力が前記主電源から前記スイッチを経由して前記第1経路に供給されることで、前記待機電源から前記第1経路への電力供給を停止する、電源回路。
【請求項2】
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の状態を監視する、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出された場合、前記スイッチをオフにする、請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出された場合、前記第1経路から供給される電力で動作する制御回路に対して、アラーム信号を出力する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項5】
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出されない場合、前記スイッチをオンにする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項6】
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出されず且つ前記主電源の出力が検出された場合、前記スイッチをオンにする、請求項5に記載の電源回路。
【請求項7】
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出されず且つ前記主電源の出力が検出されない場合、前記スイッチをオフにする、請求項1から6のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項8】
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で前記主電源の出力が検出されない場合、前記スイッチをオフにする、請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項9】
前記第1経路と前記第2経路との間で前記スイッチに直列に接続され、前記待機電源よりも電圧が高い電力を前記第1経路に出力するDC/DCコンバータを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項10】
待機電源と、
前記待機電源に接続される第1経路と、
前記第1経路から供給される電力で動作する制御回路と、
前記制御回路からの出力指示に基づいて、前記待機電源よりも電圧が高い電力を第2経路に出力することを開始する主電源と、
前記第1経路と前記第2経路との間に配置されるスイッチと、
前記第1経路に直列に挿入され、前記第2経路から前記スイッチを経由して前記待機電源に流れる電流を阻止する逆流防止素子と、
前記第1経路から供給される電力で動作する電源制御回路であって、前記主電源の出力が検出された場合、前記スイッチをオンにすることで、前記第1経路に電力を供給する電源を、前記待機電源から前記主電源に切り替える電源制御回路とを備え、
前記スイッチがオンになることにより、前記待機電源よりも電圧が高い電力が前記主電源から前記スイッチを経由して前記第1経路に供給されることで、前記待機電源から前記第1経路への電力供給を停止する、電子装置。
【請求項11】
前記電源制御回路は、前記スイッチをオンにする場合、前記待機電源の動作を停止させる、請求項1から9のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項12】
前記電源制御回路は、前記スイッチをオンにする場合、前記待機電源の電力変換動作を停止させる、請求項1から9のいずれか一項に記載の電源回路。
【請求項13】
前記電源制御回路は、前記スイッチをオンにする場合、前記待機電源に入力される電力を遮断する、請求項1から9のいずれか一項に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主電源と、出力電圧が所定値以上になったとき出力を停止させる待機電源と、待機時には両電源の出力部間を切断し、非待機時には主電源より待機電源の出力部に前記所定値以上の電圧を与えるトランジスタとを有する電源装置が知られている。このような構成によれば、非待機時では待機電源は出力を停止するので、非待機時での待機電源における電力損失を減らすことが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-207035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、両電源の出力経路間に配置されるスイッチ(例えば特許文献1の場合、トランジスタ)を制御する回路は主電源であるので、主電源が停止している状態では、当該回路の動力源を確保できない。
【0005】
そこで、本開示は、待機電源と主電源の両出力経路間に配置されるスイッチを制御する回路の動力源を主電源の停止状態に確保可能な電源回路及び電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
待機電源と、
前記待機電源に接続される第1経路と、
前記待機電源よりも電圧が高い電力を出力する主電源と、
前記主電源に接続される第2経路と、
前記第1経路と前記第2経路との間に配置されるスイッチと、
前記第1経路に直列に挿入され、前記第2経路から前記スイッチを経由して前記待機電源に流れる電流を阻止する逆流防止素子と、
前記第1経路から供給される電力で動作する電源制御回路であって、前記主電源からの電力出力の検出を契機に前記スイッチをオンにすることで、前記第1経路に電力を供給する電源を、前記待機電源から前記主電源に切り替える電源制御回路とを備え、
前記スイッチがオンになることにより、前記待機電源よりも電圧が高い電力が前記主電源から前記スイッチを経由して前記第1経路に供給されることで、前記待機電源から前記第1経路への電力供給を停止する、電源回路を提供する。
【0007】
また、本開示は、
待機電源と、
前記待機電源に接続される第1経路と、
前記第1経路から供給される電力で動作する制御回路と、
前記制御回路からの出力指示に基づいて、前記待機電源よりも電圧が高い電力を第2経路に出力することを開始する主電源と、
前記第1経路と前記第2経路との間に配置されるスイッチと、
前記第1経路に直列に挿入され、前記第2経路から前記スイッチを経由して前記待機電源に流れる電流を阻止する逆流防止素子と、
前記第1経路から供給される電力で動作する電源制御回路であって、前記主電源の出力が検出された場合、前記スイッチをオンにすることで、前記第1経路に電力を供給する電源を、前記待機電源から前記主電源に切り替える電源制御回路とを備え、
前記スイッチがオンになることにより、前記待機電源よりも電圧が高い電力が前記主電源から前記スイッチを経由して前記第1経路に供給されることで、前記待機電源から前記第1経路への電力供給を停止する、電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、待機電源と主電源の両出力経路間に配置されるスイッチを制御する電力制御回路の動力源を主電源の停止状態に確保可能な電源回路及び電子装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における電子装置の構成例を示す図である。
図2】電源制御回路の動作例を示すフローチャートである。
図3】システム制御回路の動作例を示すフローチャートである。
図4】第1の具体例に係る電子装置の構成例を示す図である。
図5】第1の具体例に係る電子装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】電源回路の動作例を示すタイミングチャートである。
図7】第2の具体例に係る電子装置の構成例を示す図である。
図8】第2の具体例に係る電子装置の動作例を示すフローチャートである。
図9】第3の具体例に係る電子装置の構成例を示す図である。
図10】第3の具体例に係る電子装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、一実施形態における電子装置の構成例を示す図である。図1に示す電子装置200は、直流電力を生成する電源回路100を備え、電源回路100により生成された直流電力で動作する。電源回路100は、電子装置200に内蔵されてもよいし外付けされてもよい。電子装置200の具体例として、サーバ、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置などが挙げられるが、本実施形態おける電子装置200は、これらの装置に限られない。
【0012】
電子装置200は、電源回路100の他に、システム制御回路21及び主回路22を備える。システム制御回路21及び主回路22は、電源回路100から供給される直流電力で動作する。システム制御回路21は、主回路22の動作が要求されない待機時だけでなく、主回路22の動作が要求される非待機時にも動作することが要求される回路であり、電源回路100及び主回路22の状態を監視し制御する。具体的には、システム制御回路21は、電子装置200に搭載されている電源回路100等のユニットや主回路22を搭載するボードの状態(電圧、電流、温度、アラーム信号など)を監視する。システム制御回路21は、故障等により異常が発生すると、各ユニットやボードから来るアラーム信号を検知することにより、または、電圧・電流・温度・アラーム信号等の監視により異常と判断し、切断処理を行う。また、システム制御回路21は、電子装置200の投入や切断を行う際の投入シーケンスや切断シーケンス処理を行う。システム制御回路21は、待機電源11からの電力供給により動作する。主回路22は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)等を含む。待機時には、主回路22の動作が要求されないので、主電源12の動作を停止して主電源12の出力を停止させることにより、主電源12を待機時にも動作させる場合に比べて、電源回路100及び電子装置200の省電力化が可能となる。
【0013】
電源回路100は、待機電源11、第1経路31、主電源12、第2経路32、スイッチ33、電源制御回路35及びダイオード34を備える。
【0014】
待機電源11と主電源12は、外部電源36に共通に接続され、外部電源36から供給される電力が入力される。外部電源36は、交流電流を出力する交流電源(例えば、商用交流電源)であるが、直流電源を出力する直流電源でもよい。
【0015】
待機電源11は、外部電源36から供給される電力を直流の電力に変換し、変換後の直流電力を第1経路31を介してシステム制御回路21に供給する。システム制御回路21は、第1経路31から供給される電力で動作する。第1経路31は、待機電源11の出力部に接続され、システム制御回路21の電源入力部に接続される。待機電源11は、第1経路31に出力する直流電力の電圧が第1の設定電圧値になるように動作する。
【0016】
主電源12は、外部電源36から供給される電力を直流の電力に変換し、変換後の直流電力を第2経路32を介して主回路22に供給する。主回路22は、第2経路32から供給される電力で動作する。第2経路32は、主電源12の出力部に接続され、主回路22の電源入力部に接続される。主電源12は、第2経路32に出力する直流電力の電圧が第1の設定電圧値よりも高い第2の設定電圧値になるように動作する。これにより、主電源12は、待機電源11よりも電圧が高い電力を出力できる。
【0017】
主電源12は、外部からの出力指示に基づいて、待機電源11よりも電圧が高い電力を第2経路32に出力することを開始し、外部からの停止指示に基づいて、電力を第2経路32に出力することを停止する。主電源12の出力指示又は停止指示を表す指示信号37は、システム制御回路21から主電源12に出力される。システム制御回路21は、待機状態の解除指令38の有無に従って、主電源12の出力指示又は停止指示を表す指示信号37を出力する。解除指令38は、通常時、管理者の判断の下、図示しない管理端末から送られる。なお、電源回路100以外の電子装置200内に異常が起きた場合、システム制御回路21自身が、異常を検知して主電源12の停止指示を表す指示信号37を出力する。
【0018】
スイッチ33は、第1経路31と第2経路32との間に配置される素子であり、電源制御回路35から供給される切り替え信号に従って、第1経路31と第2経路32との間を接続又は遮断するバイパススイッチである。スイッチ33の具体例として、トランジスタ等のスイッチング素子、リレーなどがある。スイッチ33は、スイッチ33での損失を抑える点で、オン抵抗が比較的小さなFET(Field Effect Transistor)が好ましい。
【0019】
電源制御回路35は、第1経路31から供給される電力で動作する。電源制御回路35は、スイッチ33をオフからオンにすることで、第1経路31に電力を供給する電源を待機電源11から主電源12に切り替える。スイッチ33がオフの状態では、待機電源11から第1経路31に電力が供給される。これに対し、スイッチ33がオンの状態では、待機電源11よりも電圧が高い電力が主電源12からスイッチ33を経由して第1経路31に供給されるので、待機電源11から第1経路31への電力供給は停止する。
【0020】
ダイオード34は、第2経路32からスイッチ33を経由して待機電源11に流れる電流を阻止する逆流防止素子である。ダイオード34が第1経路31に直列に挿入されることによって、主電源12から出力される電力(すなわち、待機電源11よりも電圧が高い電力)が第2経路32からスイッチ33を経由して待機電源11に供給されることを防止する。ダイオード34は、アノード側が待機電源11に接続され、カソード側がスイッチ33が接続される側に接続される。
【0021】
したがって、図1に示す形態によれば、主回路22の動作が要求される非待機時にスイッチ33がオンになることにより、待機電源11から第1経路31への電力供給は停止するので、待機電源11の非待機時での損失は低減する。その結果、電源回路100及び電子装置200の非待機時での省電力化が可能となる。なお、待機電源11は、システム制御回路21への電力供給という意味での待機電源ということである。
【0022】
また、電源制御回路35は、第1経路31から供給される電力で動作するので、電源制御回路35の動力源を主電源12が停止している状態(例えば、待機時)でも確保できる。したがって、主電源12が停止している状態でも、電源制御回路35は、スイッチ33をオフからオンに切り替えるオン信号、又はスイッチ33をオンからオフに切り替えるオフ信号を出力できる。
【0023】
電源制御回路35は、第1経路31から電力が供給されている状態で、電源回路100(例えば、待機電源11、第1経路31、主電源12及び第2経路32のうち少なくとも一つ)の状態を監視する。これにより、主電源12が停止している状態でも、電源回路100の状態(例えば、電圧、電流及び温度のうち少なくとも一つ)を監視することが可能となる。その結果、電源制御回路35は、その監視結果を主電源12の停止状態で外部(例えば、システム制御回路21)に出力でき、システム制御回路21は、主電源12の停止状態における電源回路100の状態を取得して所定の制御に利用できる。
【0024】
電源制御回路35は、第1経路31から電力が供給されている状態で電源回路100の異常が検出された場合、スイッチ33をオフにする。これにより、電源回路100の異常発生時にスイッチ33がオンの状態であることによる不具合を回避できる。また、電源制御回路35は、第1経路31から電力が供給されている状態で電源回路100の異常が検出された場合、システム制御回路21に対してアラーム信号39を出力する。これにより、主電源12が停止している状態でも、システム制御回路21は、電源回路100に発生した異常を検知できる。電源回路100の異常には、電圧異常、電流異常、温度異常などがある。
【0025】
電源制御回路35は、第1経路31から電力が供給されている状態で、第1経路31又は待機電源11の異常(例えば、過電圧又は過電流)が検出された場合、スイッチ33をオフする。これにより、第1経路31又は待機電源11に発生した過電圧が、スイッチ33を介して、主電源12、第2経路32及び主回路22に印加されることを防止できる。また、第1経路31又は待機電源11に発生した過電流が、スイッチ33を介して、主電源12、第2経路32及び主回路22に流れることを防止できる。
【0026】
電源制御回路35は、第1経路31から電力が供給されている状態で、第2経路32又は主電源12の異常(例えば、過電圧又は過電流)が検出された場合、スイッチ33をオフする。これにより、第2経路32又は主電源12に発生した過電圧が、スイッチ33を介して、待機電源11、第1経路31及びシステム制御回路21に印加されることを防止できる。また、第2経路32又は主電源12に発生した過電流が、スイッチ33を介して、第1経路31及びシステム制御回路21に流れることを防止できる。
【0027】
図2は、電源制御回路35の動作例を示すフローチャートである。電源制御回路35は、第1経路31から電力が供給されている状態で、図2に示すスタートからリターンまでの処理を繰り返し実行する。
【0028】
ステップS11にて、電源制御回路35は、電源回路100の状態を監視することによって、電源回路100に異常が発生したか否かを判断する。
【0029】
電源制御回路35は、電源回路100の異常が検出された場合、電源回路100の異常状態を知らせるアラーム信号39をシステム制御回路21に出力する(ステップS17)。なお、電源制御回路35は、ステップS17をスキップして、ステップS19の動作を行ってもよい。
【0030】
電源制御回路35は、電源回路100の異常が検出されない場合、主電源12の出力が検出されるか否かを判断する(ステップS13)。
【0031】
電源制御回路35は、主電源12の出力が検出された場合、スイッチ33をオンにする(ステップS15)。“スイッチ33をオンにする”には、スイッチ33をオフからオンに切り替える、又は、スイッチ33をオンの状態に維持することを含む。これにより、主電源12から出力される電力は、第2経路32を経由して主回路22に供給されるだけでなく、第2経路32からスイッチ33を経由して第1経路31に供給される。第1経路31に供給された電力は、電源制御回路35とシステム制御回路21に供給される。
【0032】
一方、電源制御回路35は、主電源12の出力が検出されない場合、スイッチ33をオフにする(ステップS19)。“スイッチ33をオフにする”には、スイッチ33をオンからオフに切り替える、又は、スイッチ33をオフの状態に維持することを含む。これにより、主電源12の運転停止により主電源12の出力が停止している状態で、待機電源11から出力された電力が、第1経路31からスイッチ33を経由して第2経路32に供給されることを防止できる。また、待機電源11にかかる過負荷(第1経路31からスイッチ33を経由して第2経路32に電力を供給することによる負荷)を防止できる。
【0033】
図3は、システム制御回路21の動作例を示すフローチャートである。システム制御回路21は、第1経路31から電力が供給されている状態で、図3に示すスタートからリターンまでの処理を繰り返し実行する。
【0034】
ステップS21にて、システム制御回路21は、待機状態の解除指令38があるか否かを判断する。
【0035】
システム制御回路21は、解除指令38がないと判断した場合、主電源12の停止指示を表す指示信号37を出力する(ステップS27)。主電源12は、停止指示を表す指示信号37を受信すると、第2経路32への電力出力を停止する。一方、システム制御回路21は、解除指令38があると判断した場合、電源制御回路35からのアラーム信号39と主回路22からのアラーム信号23との少なくとも一方があるか否かを判断する(ステップS23)。主回路22からのアラーム信号23は、主回路22側で検出された異常を知らせる信号である。
【0036】
システム制御回路21は、少なくとも一方のアラーム信号が検知された場合、主電源12の停止指示を表す指示信号37を出力する(ステップS27)。一方、システム制御回路21は、いずれのアラーム信号も検知されない場合、主電源12の出力指示を表す指示信号37を出力する(ステップS25)。主電源12は、出力指示を表す指示信号37を受信すると、第2経路32への電力出力を開始する。
【0037】
図4は、第1の具体例に係る電子装置の構成例を示す図である。図4において、電子装置201は、上述の電子装置200の一具体例である。PSU(Power Supply Unit)101は、上述の電源回路100の一具体例である。上述の電子装置及び電源回路と同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
【0038】
PSU101は、AC/DC変換回路15、待機電源11、第1経路31、主電源12、第2経路32、スイッチ33、電源制御回路35、ダイオード34及びオアリングFET41,42を備える。AC,DCは、それぞれ、“Alternating Current“、”Direct Current“の略語である。
【0039】
AC/DC変換回路15は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路である。待機電源11は、AC/DC変換回路15から供給される直流電力を、第1の設定電圧値(例えば、12.0ボルト)の直流電力に変換する。主電源12は、AC/DC変換回路15から供給される直流電力を、第2の設定電圧値(例えば、12.12ボルト)の直流電力に変換する。
【0040】
オアリングFET41は、第2経路32に直流に挿入された素子である。電子装置201は、第2経路32のうちオアリングFET41と主回路22との間の箇所に接続される一又は複数の他の電源回路(不図示)を備える場合がある。オアリングFET41は、この不図示の他の電源回路から主電源12に電流が回り込むことを防止する。同様に、オアリングFET42は、第1経路31に直流に挿入された素子である。電子装置201は、第1経路31のうちオアリングFET42とシステム制御回路21との間の箇所に接続される一又は複数の他の電源回路(不図示)を備える場合がある。オアリングFET42は、この不図示の他の電源回路からスイッチ33に電流が回り込むことを防止する。
【0041】
図5は、第1の具体例に係る電子装置201の動作例を示すフローチャートであり、PSU101の起動時の流れを示す。図6は、電源回路の一例であるPSU101の動作例を示すタイミングチャートである。図4,6を参照して図5について説明する。なお、ダイオード34の電圧降下分及び波形のディレイは、説明の便宜上、無視する。
【0042】
ステップS1にて、電子装置201の電源スイッチが押されるなどして交流電力からPSU101に交流電力が入力されると、AC/DC変換回路15から供給される直流電力によって、待機電源11が起動する。待機電源11が起動すると、待機電源11から第1経路31への直流電力の出力が開始する(ステップS2)。待機電源11は、第1経路31の電圧Vsが12.0ボルトになるように電力変換して、直流の出力電流Isaを出力する。この際、主電源12は、システム制御回路21からの出力指示を表す指示信号37によって起動するので、この段階では起動せずに停止している(図6の上段及び下段の波形参照)。
【0043】
電源制御回路35及びシステム制御回路21は、第1経路31に供給された電力によって起動し、システム制御回路21は、主電源12の出力指示を表す指示信号37を出力する(ステップS3)。主電源12は、出力指示を表す指示信号37を受信すると、第2経路32への出力を開始する(ステップS4)。待機電源11は、第1経路31に出力する直流電力の電圧が第1の設定電圧値(12.0ボルト)になるように動作する。主電源12は、第2経路32に出力する直流電力の電圧が第1の設定電圧値よりも1%程度高い第2の設定電圧値(12.12ボルト)になるように動作する。つまり、主電源12は、第2経路32の電圧Vmが12.12ボルトになるように電力変換して、直流の出力電流Imを出力する(図6の上段及び中段の波形参照)。
【0044】
ステップS5にて、電源制御回路35は、主電源12からの電力出力の検出を契機に、スイッチ33をオンにする。スイッチ33のオンにより、主電源12から第2経路32に出力された電力は、スイッチ33を経由して第1経路31に供給される(ステップS6)。この際、主電源12の出力電流Imの一部は、スイッチ33を経由するバイパス電流Isbとして流れる。また、待機電源11よりも電圧が高い電力が主電源12からスイッチ33を経由して第1経路31に供給されるので、第1経路31の電圧Vsは、第2経路32の電圧Vmに等しくなるように僅かに上昇する。また、待機電源11の出力電流Isaは、停止する。
【0045】
【表1】
【0046】
表1は、効率96%で定格電力1588Wの主電源12と効率50%で定格電力36Wの待機電源11とを使用した場合の、PSUの電力変換効率と損失との測定結果の一例を示す。スイッチ33がないPSUでは、主電源12単独での損失が66.2Wで、待機電源11単独での損失が36Wであるとき、PSU全体において、効率は94%となり、損失は102.2Wとなった。これに対し、スイッチ33あるPSUでは、スイッチ33でバイパスすることで、スイッチ33の損失1.5Wが増えるものの、待機電源11の出力は停止するので、PSU全体において、効率は96%に上昇し、損失は67.7Wに低下した。
【0047】
図7は、第2の具体例に係る電子装置の構成例を示す図である。図7において、電子装置202は、上述の電子装置200の一具体例である。PSU102は、上述の電源回路100の一具体例である。上述の電子装置及びPSUと同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
【0048】
PSU102は、待機電源11の出力停止だけでなく待機電源11の動作停止を指示する点で、上述のPSU101と異なる。待機電源11の動作自体を停止させることで、待機電源11の損失を更に削減できる。電源制御回路35は、スイッチ33をオンする場合、待機電源11の電力変換動作を停止させる指示を出力してもよいし、待機電源11に入力される電力を遮断する指示を出力してもよい。
【0049】
図8は、第2の具体例に係る電子装置202の動作例を示すフローチャートであり、PSU102の起動時の流れを示す。ステップS1~S6は、図5と同様であるので、その説明を省略する。
【0050】
ステップS7にて、電源制御回路35は、スイッチ33をオンにした後、待機電源11の動作を停止させる指示を出力する。これにより、非待機状態において、待機電源11の損失を削減できる。
【0051】
図9は、第3の具体例に係る電子装置の構成例を示す図である。図9において、電子装置203は、上述の電子装置200の一具体例である。PSU103は、上述の電源回路100の一具体例である。上述の電子装置及びPSUと同様の構成及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。
【0052】
PSU103は、DC/DCコンバータ43を更に備える点で、上述のPSU101と異なる。PSU101では、待機電源11は、主電源12と同じ電圧系である。これに対して、PSU103では、待機電源11は、主電源12と異なる電圧系である。例えば、主電源12の設定電圧値が12ボルトで、待機電源11の設定電圧値が5ボルト又は3.3ボルトの場合が存在する。このような場合、第2経路32の電圧Vmを5ボルト又は3.3ボルトよりも僅かに大きな電圧に降圧変換するDC/DCコンバータ43が、スイッチ33と第1経路31との間に挿入されることが好ましい。
【0053】
図10は、第3の具体例に係る電子装置の動作例を示すフローチャートであり、PSU103の起動時の流れを示す。ステップS1~S5は、図5と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
ステップS5にてスイッチ33がオンすると、主電源12から第2経路32に出力された電力の一部は、スイッチ33を経由してDC/DCコンバータ43の入力部に供給される(ステップS8)。スイッチ33を経由して入力される電力は、DC/DCコンバータ43により降圧変換されて、第1経路31に出力される(ステップS9)。つまり、待機電源11の設定電圧よりも高い電圧の電力が、DC/DCコンバータ43によって、第1経路31に出力される。このように、待機電源11側と主電源12側とで電源電圧が異なる場合でも、DC/DCコンバータ43の挿入によって、待機電源11の出力停止による損失低減が可能となる。
【0055】
以上、電源回路及び電子装置を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0056】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
待機電源と、
前記待機電源に接続される第1経路と、
前記待機電源よりも電圧が高い電力を出力する主電源と、
前記主電源に接続される第2経路と、
前記第1経路と前記第2経路との間に配置されるスイッチと、
前記主電源からの電力出力の検出を契機に前記スイッチをオンにすることで、前記第1経路に電力を供給する電源を、前記待機電源から前記主電源に切り替える電源制御回路とを備え、
前記電源制御回路は、前記第1経路から供給される電力で動作する、電源回路。
(付記2)
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の状態を監視する、付記1に記載の電源回路。
(付記3)
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出された場合、前記スイッチをオフにする、付記1又は2に記載の電源回路。
(付記4)
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出された場合、前記第1経路から供給される電力で動作する制御回路に対して、アラーム信号を出力する、付記1から3のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記5)
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出されない場合、前記スイッチをオンにする、付記1から4のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記6)
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で電源回路の異常が検出されず且つ前記主電源の出力が検出されない場合、前記スイッチをオフにする、付記1から5のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記7)
前記異常は、前記第1経路又は前記待機電源の異常である、付記3から6のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記8)
前記異常は、前記第2経路又は前記主電源の異常である、付記3から7のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記9)
前記異常は、温度の異常である、付記3から8のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記10)
前記電源制御回路は、前記第1経路から電力が供給されている状態で前記主電源の出力が検出されない場合、前記スイッチをオフにする、付記1又は2に記載の電源回路。
(付記11)
前記第1経路に直列に挿入される逆流防止素子を備え、
前記逆流防止素子は、前記第2経路から前記スイッチを経由して前記待機電源に流れる電流を阻止する、付記1から10のいずれか一項に記載の電源回路。
(付記12)
待機電源と、
前記待機電源に接続される第1経路と、
前記第1経路から供給される電力で動作する制御回路と、
前記制御回路からの出力指示に基づいて、前記待機電源よりも電圧が高い電力を第2経路に出力することを開始する主電源と、
前記第1経路と前記第2経路との間に配置されるスイッチと、
前記主電源の出力が検出された場合、前記スイッチをオンにすることで、前記第1経路に電力を供給する電源を、前記待機電源から前記主電源に切り替える電源制御回路とを備え、
前記電源制御回路は、前記第1経路から供給される電力で動作する、電子装置。
(付記13)
前記第1経路又は前記待機電源の異常は、過電圧又は過電流である、付記7に記載の電源回路。
(付記14)
前記第2経路又は前記主電源の異常は、過電圧又は過電流である、付記8に記載の電源回路。
【符号の説明】
【0057】
11 待機電源
12 主電源
21 システム制御回路
22 主回路
31 第1経路
32 第2経路
33 スイッチ
35 電源制御回路
100 電源回路
101,102,103 PSU
200,201,202,203 電子装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10